【野菜】 アスカの家庭菜園 【栽培】at EVA
【野菜】 アスカの家庭菜園 【栽培】 - 暇つぶし2ch321: ◆EVA01/6L0s
07/07/10 22:15:58
「えぇ~、修学旅行行っちゃダメ?」
「そ。収穫期前だもの、作戦担当の私が決めたの。」
「そんな決定権がお前にあるのか?まだだ、まだ終わらんよ!
ちょっとシンジ、なんとか言ってやったらどうなの?」
「…いや、僕は多分こんなことだろうと思ってて。」
「あきらめてた訳?はん!情けない。飼いならされた男なんて最低!」
「まぁまぁ、気持ちはわかるけどコレばっかりは仕方ないでしょ?
あなた達が修学旅行に行ってる間に使徒の攻撃があるかも知れないんだし。」
「マリガン、この埋め合わせはいつかして貰う。」
「…ま、二人ともこれをいい機会だと思わなきゃー。クラスのみんながいないうちに勉強できるでしょ。」
「若者をいじめないで頂きたい。」

農業用溜め池で泳ぐアスカとレイ。
本を読んでいるシンジにちょっかいをかけるアスカ。
「何の本読んでるの?…三国志!?」
「うん、今ちょうど長坂の逃避行のところ。曹操軍が百万の軍勢で攻めてきてて…」
「うん、知ってる知ってる!
劉備の第二夫人・糜夫人が、正室の子・阿斗を趙雲に預けて井戸に身投げしちゃうんだよね。
で、曹操軍の中を趙雲が単騎脱出、長坂橋で張飛が仁王立ちして…」
「うわあああぁぁぁ!先に展開言わないで!」
「ねぇ、シンジ。もしシンジが趙雲で、アタシが糜夫人だったとしたら、
シンジはアタシが井戸にダイブするのを止めて一緒に逃げてくれるのかな?」
「…えっ?」
「な~んてね。」
アスカの意外な一面を垣間見てちょっと驚くシンジだった。



第拾話 コシイタイワー

322: ◆EVA01/6L0s
07/07/10 22:17:37
>>320
支援ありがとうございます。頑張ります!

チラシの裏
今回、三国志ネタが満載です… わかりづらかったら申し訳ありません。

323:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/10 22:20:25
赤い人ww

324:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/10 22:40:17
おつ!
農業用溜め池で泳ぐとは頑強な二人だw

325:@携帯 ◆EVA01/6L0s
07/07/13 12:54:39
第八使徒 サンダルフォン(巨大なユスリカ)を農場の井戸の底にて発見。
まだ羽化していない使徒を虫取り網で捕獲する、というミサトの作戦に、自ら進んで志願するアスカ。
マッスルスーツに着替えると、うやうやしく左腕のPF・改をシンジに預け、井戸に潜っていく。
「シンジ殿、どうかその子をよろしく頼みます…」
その後ろ姿は、どこか哀愁を帯びていた。
「糜夫人?…って、ちょっ、アスカ、死亡フラグ!」

降下していくアスカ。途中で使徒が羽化して捕獲から殲滅に。
だが途中でつるべが切れてしまい、井戸の底へ落ちてゆく。
間一髪でアスカの手を取るシンジ。
「アスカ、大丈夫?絶対に助けるから!絶対離さないからね!」
「戦場でラブロマンスか… ガルマらしいよ、お坊ちゃん。」
手、離してやろうか、と思うシンジ。ほっとして意識を失うアスカ。
仕方なくアスカを背負って一旦退避するシンジ。
だがしかし。
懐にPF・改、アスカを背中に背負った状態では、マッスルスーツ着用とはいえ、なかなか登れない。
使徒の攻撃をかわしつつ登っていくが、あと少しのところでスーツの限界が…
「…もうダメか。」
と、その時。
粉塵を巻き上げ、単騎駆けつける猛将の姿が!
「我こそは!名は張飛、字は翼徳、燕人張飛ここにあり!ここから先は一歩も通さねえぜ!」
見れば、青葉シゲルにまたがり、片手に電気蝿叩きを持ったレイがいた。
青葉は青くなって息を切らしている。
「ファーック!何をちんたら走ってやがる!この資本主義のオス豚が!」
ロン毛の頭に噛み付くPF。電気蝿叩きで尻を叩くレイ。
張飛じゃなくてDMCのクラウザーさんかよ、と心の中で突っ込むシンジ。

かくしてレイの活躍により、シンジ達は引き上げられ、使徒は電気蝿叩きの餌食となったのだった。

326:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/13 21:24:16
レイも三国志ファンだったとw
それにしても青葉w

327:@携帯 ◆EVA01/6L0s
07/07/15 15:17:33
その夜。
使徒殲滅を祝って、地元の温泉旅館で宴会が開かれていた。
久しぶりにドンチャン騒ぎをするネルフ一行。

「シンジ君が趙雲でレイが張飛、アスカが糜夫人なら、私は正室の甘皇后ね♪」
「甘皇后はマヤちゃんだろう?葛城はどうみても孫尚香だな。」
「そういう加持さんは劉備みたいですね。僕は糜竺あたりかな…」
「マイナーなところはそっくりだよ、日向君。私は誰にあたるかな?赤木君。」
「副農場長は黄忠がぴったりですわ。」
「…ああ。老いてますます盛んだからな。では私は誰が似合うか?」
「碇農場長は… 『俺を斬れる者はいるか?』と三回言って頂けます?」
「俺を斬れる者はいるか?俺を斬れる者はいるか?俺を斬れる者は…」
「ここにいるぞ!」
一升瓶で首元を横から思い切り殴るリツコ。
「モルスァ」みたいなことを言いながら、すごい勢いで飛んで行くゲンドウ。
「碇農場長が魏延で、リツコさんが馬岱www」
碇農場長とリツコの挙動を見て、大爆笑の一同。久々に笑いの絶えることのない夜であった。
こうして第三新東京市の夜は更けていった。
しかし、若干約一名だけ姿が見えないことに、誰も気付いていない。

宴もたけなわになった頃、温泉で一人呻く男がいた。
ロン毛のその男は、今日一日中四つん這いになってレイを乗せていため、痛めた身体を癒していた。
お湯に浸かりながらボソッと呟く。
「コシイタイワー」



~第拾話 コシイタイワー Fin~

328:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/15 21:07:23
おつ!
青葉がオチだったとは意外だった
次もwktk

329: ◆KEVrvVR6eo
07/07/17 22:09:06
突然で恐縮ですが、以後、◆KEVrvVR6eo のコテに替えます…

拾った酉を使ってみたところ、◆EVA01/6L0s が出たので喜んで使っていたのですが、
ググってみたら有名な方のコテじゃないですか…
慌てて替える次第であります。
決して悪意があって使用した訳ではありません。申し訳ありませんでした。
以後、◆KEVrvVR6eo で投下を続けます。改めてよろしくお願い致しますm(__)m

330: ◆KEVrvVR6eo
07/07/17 22:11:07
公衆電話からゲンドウに電話をかけるシンジ。
「…何だ。」
「もしもし、父さん。あの、えっと…」
「どうした。早く言え。」
「その…ナスの追肥の最適配合比についてなんだけど…」
「そういうことは全て葛城君に一任してある。下らんことで電話してくるな。」
ショックを隠せず、しばらく受話器を持ったまま呆然とたたずむシンジだった。

ミサトに相談し、慰められるシンジ。
「…父さんは、僕やナスなんかよりも稲作の方が大事なんだ。」
「碇農場長、忙しいからねー。あまり気にしちゃダメよ。」
そう言いつつ、あわててナスの肥料について調べるミサト。



第拾壱話 降下した霜の中で

331:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/17 22:38:18
おつ
今回は停電の話だね
どう料理してくるのか楽しみw

332:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/17 23:42:40
麻婆茄子食いてぇ


333:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/18 00:54:26
>>329
貴方が奴じゃないのが解ったんで、やっと素直にレスが出せるよ・・・
今までの分ひっくるめて GJ!!!!

334: ◆KEVrvVR6eo
07/07/19 21:29:39
皆様、読んで頂きいつもありがとうございます。
能力不足で今回と次作はギャグが不作かもしれませんが、ご容赦下さいませ。

…私事なのですが、一人暮らしの私の家に今朝お中元が届きました。
かなり大きな箱だったのでワクテカしていたのですが、中身を開けたら…
大きな水ナスの漬物のみが20個程入っておりましたw
賞味期限は今月末まで。泣きながら食しております。
ツマラナイ文章を書いていた私に対しての、シンジ君の呪いなんでしょうか?

チラ裏スマソ。
引き続き投下していきます~

335: ◆KEVrvVR6eo
07/07/19 21:32:06
とある晩。
ミサト達の監視の目を逃れ、こっそり農場の裏の山で肝試しをするシンジ、レイ、アスカの三人。
「じゃあ、行動開始の前にグループのリーダーを決めましょう!
で、当然アタシがリーダー。異議ないわね♪」
アスカを先頭に、鬱蒼と生い茂った茂みの中を歩いてゆく。
鳴り響く虫の音、不気味に響き渡る鳥の声。
夜行性の動物たちによる、まるで真夜中のパーティーのようだ。
「べ、別に全然怖くなんかないんだから!」
突然飛び出すコウモリの群れ。
「キャアァァァ!」
レイとアスカにしがみつかれ、内心ウハウハなシンジ。
「も、もう十分堪能したわよね?帰りましょ!」
ビビリまくりなアスカに萌え~なシンジ。
「…私、帰り道、知らない。」
あくまでクールなレイに萌え~なシンジ。
「とりあえず、ミサトさんに迎えに来てもらおうよ。」
皆、我先にとネルフ本部へ連絡する。

一方その頃。
何者かの妨害により、ネルフ本部のあらゆる電力がダウンする。
「ダメ。連絡つかない。」
「こっちもだめ、携帯電話もつながらない!」
「僕もだ。」
「とにかく本部へ行きましょう。」
すたすた歩いていくレイ。
「ちょっと、ファースト!リーダーはアタシよ!
北斗七星があそこだから…こっちの方角ね。」
月明かりのみを頼りに、暗い道なき道を進む三人だった。


つづく

336:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/19 23:47:59
おつ

>北斗七星があそこ
これは・・・

337:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/20 12:05:17
もつかれさまです

338:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/20 14:15:33
>>332
>>334
俺は田楽が好き

339: ◆KEVrvVR6eo
07/07/21 22:36:58
>>336
うわあぁぁ、俺のバカバカバカ…
北極星の間違えです…
とりあえず、アスカが北極星と北斗七星を間違えたため道に迷った、
という設定で脳内補完よろしくですm(__)m
アスカさん、責任押し付けてごめんなさい…

>>337
ありがとうございます。

>>338
私は煮浸しが大好物です。

340: ◆KEVrvVR6eo
07/07/21 22:43:11
第九使徒 マトリエル(ウンカ)襲来を日向マコトがトラクターに拡声器をつけて告げている。急がねば。
「あそこまで行けば、きっとジオフロントに行けるわ。」
そう強がるアスカに一抹の不安を感じるシンジ。
北斗七星と北極星を間違えてない?方向が少し違う気が…
北斗七星は北極星を見つけるためのツールだよ…
結局、言えずじまいのシンジだった。
「時間が惜しいわ、近道しましょう。」
機転をきかせたレイが提案する。
「むぅぅ~!アタシがリーダーなんだから!仕切らないでよ!」
二人の気持ちを代弁するかのように、両者のPFが喧嘩を始める。
喧嘩を止めることも出来ないシンジ。どうしよう…

しばらく進んでゆくと、二手に別れている道が。
「うーん、右ね。」
「私は左だと思うわ。」
決断を迫られるシンジ。逃げちゃダメだ。どうする、どうするよ俺!

【右へ行く】  【左へ進む】  【引き返す】 【方角が間違っていることを教える】

つ【様子を見る】

強引に右へ進んだアスカが草むらを掻き分けると、そこにはウンカの大群がおり、慌てて引き返す。
「…使徒を肉眼で直接確認。これで急がなきゃ。」
取り繕うアスカに、再び萌え~なシンジ。

初霜の降りた農場を横目に、ジオフロントへ急ぐ三人であった。

341:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/21 23:19:36
乙です

>>339
きれいに繋がってるから、まったく気にならない

342: ◆KEVrvVR6eo
07/07/23 22:22:59
>>341
ありがとうございます。
書き込む前にもっと推敲してミスを減らすよう努力していきます。

343: ◆KEVrvVR6eo
07/07/23 22:30:12
なんとか本部に辿り着く三人。
「あなたたち…」
「リツコさん、エヴァは?」
「スタンバイできてるわ。碇指令はあなたたちが来ることを信じていたのよ。
問題点は二つ。目標の殲滅はもちろん、霜対策も忘れないでね。
霜対策としては、送風機で地表付近の空気を撹拌する送風法、
連続散水して作物の表面を凍結させることで植物体温を0度に維持し、
組織の凍結を防ぐ散水氷結法などがあるわ。
でも、電力がダウンしている状況でこれらの作戦は厳しいの。どうにかうまくやってみて頂戴。お願いね。」
早速エヴァに乗り込む三人。

「目標は強力な口吻で稲から栄養を直接吸収するつもりよ。」
「どうすれば?」
「決まってんじゃない。やっつけるのよ。」
「どうやって?殺虫剤もないんだよ。しかも霜対策の方も…」
「作戦はあるわ。焚き火をすれば、目標も霜も同時にやっつけられるわ。
名付けて、飛んで火に入る夏の虫作戦よ。
ここに留まるコンバインがディフェンス。ライトをつけて奴らをおびき寄せ、稲を守る。
バックアップは薪集め。落ちてる枝なんかを回収してオフェンスに渡す。
そしてオフェンスは火を熾して、目標の殲滅と同時に霜ともさようなら。これでいいわよね?」
「いいわ。ディフェンスは私が。」
「お生憎様。私がやるわ。」
「そんな、アスカ、危ないよ!」
「だからなのよ。チャンスは最大限に生かす。それが私の主義だ!
シンジがオフェンス。ファーストがバックアップ。いいわね?」
「…私、オフェンスやりたい。」
「むぅぅ~!アタシがリーダーなんだから!仕切らないでよ!じゃ、いくわよ!」
しかし、結局シンジを説き伏せ、無理やりオフェンスを担当するレイ。
「ファイヤー!ククク、皆燃え尽きてしまうがよい! ヽゝ゜ー゜νニヤリ」
レイは本当は最初からオフェンスがやりたくて仕方がなかったのでは、と内心思うシンジとアスカ。
…とにもかくにも三人の絶妙なコンビネーションで使徒殲滅及び霜対策は無事完了したのだった。

344:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/23 23:22:30
おつ
これは焼畑というやつ?

345:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/25 01:19:31
GJ!

346: ◆KEVrvVR6eo
07/07/25 22:56:20
拙作を読んでいただき、いつもありがとうございます。
分かりづらい点も多々あったので前回の補足をば少し…

焚き火についてなのですが、
ウンカの集光性(虫が光に集まる習性)を利用して、誘蛾灯の如く殲滅することと、
霜対策としてよく用いられている、『燃焼法』をイメージして書いてみました。
燃焼法とは、田畑の周りにいくつか一斗缶などを置いておき、
中に可燃性の木材チップや灯油を入れて燃やすという、霜対策の方法です。
燃焼による気温そのものの上昇と輻射熱による植物体温の上昇という2つの効果が期待できるので効率がよいことと、
他の防霜対策よりも簡単に実施でき、経費や設備投資が比較的少ないため、昔から用いられているそうです。
ただ、風向きや火の勢いに注意が必要で、実施する場合、農家の方は田畑の近くに小屋を建てて、
火事にならないよう、一晩中見守っているそうです。
私が幼少の頃の話なのですが、友人の家が農業を営んでおりまして、
霜注意報が出るとこの燃焼法を使って霜対策を行っていたのを思い出してネタとして使用してみました。
マニアックでわかりづらいことをネタにしてしまい申し訳ありませんです。

このスレによって、野菜作りに興味を持って下さる方や野菜が好きになってくれる方が増えることを祈って、
あと少し投下を続けたいと思います。
駄文・乱文でお見苦しい限りですが、今しばらくお付き合い下さいませm(__)m

347: ◆KEVrvVR6eo
07/07/25 22:58:23
作戦終了後、先ほど肝試しをした山の丘に寝転んで、農場と停電の村を見下ろす三人。
「電気、人工の光がないと… いや、いつもと代わり映えないよね…」
「この村じゃ、電気があるのは一部の箇所だけだから…」
先の作戦の焚き火のみがチカチカと光り、農場を幻想的に照らしている。

電気が復旧し、明かりを灯す村。ほんの気持ちだけ明るくなった…気がする。
「…ほ、ほら、こっちの方が落ち着くもの。」
「アスカって、実は怖がり屋さんなんだね。」
「う、うっさいわねー!」
再度、怖がり屋さんアスカ萌え~なシンジ。

何はともあれ今回も使徒の殲滅に成功した。
その三人を祝うかのように、徐々に夜空は白み始め、朝日が白昼夢色に染めていく。
その暁の空をいつまでも眺めている三人だった。



~第拾壱話 降下した霜の中で Fin~

348:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/26 21:43:12
いいよいいよ

>>346
そのマニアックさが(・∀・)イイ!!

349: ◆KEVrvVR6eo
07/07/27 22:50:17
トウジとケンスケが菜園の余った野菜を受け取りにミサトの家にやってきた。
「あらー、二人ともいらっしゃい♪」
ミサトの襟章を見るなり、敬礼するケンスケ。
「葛城三佐、昇進おめでとうございます!
襟章の線が二本になってる。一尉から三佐に昇進したんだよ。」
「へー」
「あの年で中学生二人を養うなんて大変なことだよ。」
「それは分かるけど…
前回の使徒戦なんか、アスカのたてた作戦の方が的確だったしなぁ…」

その夜、ケンスケ、トウジ、ヒカリを招いて昇進パーティーが開催される。
地元の山菜を使った天麩羅パーティー。
何故に天麩羅?
当然のように振舞うミサト達。
皆の当然な感じにビビるシンジとアスカ。
遅れて加持とリツコも到着する。
「父さんは日本にいないの?」
「碇農場長は今、南極に行ってるわ。」
「南極!?いつも思うんですけど、南極で家庭菜園なんて、不可能に近いですよね?
父さんは何を考えているんだろう?」
「…」
ゲンドウのしようとしていることを告げられないリツコだった。



第拾弐話 肥料の価値は

350:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/27 23:49:50
乙~
ふきのとうの天麩羅食べたくなった

351:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/28 00:37:02
GJ!
ここ読んでたら実家の手伝いしたくなった。
ケド、農家(米)だけでは食っていけんのよ・・・
今の世の中・・・

352: ◆KEVrvVR6eo
07/07/29 22:03:19
>>348,>>350-351
どうもです!
農業のみで生計をたてていくのは難しいですよね…
でも、日本の将来を支えていくのは農家だと思っております。
農家の方には本当に感謝せねばといつも思う次第です。

続き投下します~

353: ◆KEVrvVR6eo
07/07/29 22:04:31
第拾使徒 サハクィエル(ニホンザル)襲来

神出鬼没に現われては作物を食い荒らしていく使徒。
第三新東京市の迎撃システム(防護フェンス・ネット)も効果がない。
そこで業を煮やしたミサトのたてた、絶望的な作戦説明を聞かされる。
「目標は稲、麦、トウモロコシだけでなく、ナス、トマト、ジャガイモ、その他果樹園にも現われて食い荒らしているわ。
どこに現われるかは正直分からないのが現状なのよ。
そこで、一旦、すべての畑への追肥の投与を中断、一番出没しそうな畑へのみ肥料を投下することにしたわ。
そうすることで、その作物のみを成熟させ、使徒をおびき寄せるの。」
「わかりました。…で、そのおとりの畑ってどこですか?」
「…ス イ カ、よ!絶対目標はそこに来るわ!」
「ちょっ、葛城、待っ…!」
あわてる加持。
「これでうまくいったら正に奇跡ね。」
「奇跡ってのは、起こしてこそ初めて価値が出るものよ。」
「作戦といえるの?これが?」
「女の勘よ。自信はあるわ。ね、加持?」
「考え直してくれ、葛城!お、俺のスイカ…俺の子供たちが…」

成功したらみんなにステーキ奢るから、と言って立ち去るミサト。
呆然と立ち尽くす加持。
泣きながらチルドレン達に告げる。
「俺はここでスイカを見守ることしか出来ない。
でも、君たちには君たちにしか出来ないことがある。
…というか、お願いだから俺の子供たちを守ってくれ。頼むから俺の…」
保安部に取り押さえられ、引きずられながら連れ去られていく加持。
段々と遠ざかってゆくその姿を見送りながら、絶対にこの作戦は成功させようと心に誓う三人だった。

354:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/29 22:24:10
加持さんピンチGJ

355:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/30 15:20:33
ミサトヒドスw
スイカを守れ!

356: ◆KEVrvVR6eo
07/07/31 22:17:02
エヴァ配置地点を指示される三人。スイカ畑に身を潜める。
使徒襲来。予測通りスイカ畑にやって来た。
あっという間にスイカを一つ、ペロリとたいらげる。
「お、俺の子供が!デンスケ、デンスケ~!」

「あのスイカ、『デンスケ』って名前なんだ?」
「…そうみたいね。」
「どうせなら『アスカ』って付けてくれればよかったのに… 加持さんのイジワル~」
ちょっと不機嫌になるアスカ。
しかし、三人のコンビネーションでなんとか使徒殲滅。

碇農場長からの「よくやったな、シンジ」の言葉をかけてもらった嬉しさよりも、
泣きじゃくる加持さんの不憫さに胸を痛めるシンジ。

沈痛な面持ちで食事に行く四人。とりあえず雰囲気を変えるべく、明るく振舞うアスカ。
「ミサトの財布の中身くらいわかってるわよ。無理しなくたっていいわよ。
ここのお蕎麦屋さんおいしいの。優等生も蕎麦なら付き合うっていうしさ。」
屋台の暖簾をくぐると既に先客が一名。
一人寂しくヤケ酒を煽っている加持の姿が。
「…ヒック。オヤジさん、今日俺の息子が、俺のデンスケが…」
黙って立ち去る四人。

その後、葛城家で再び天麩羅パーティーが開かれたのだった。
「山ウド、タラの芽、コシアブラ♪」
裏山で採れた山菜を揚げていくミサト。
自分の畑で採れたナスを揚げていくシンジ。
自分の畑で採れたイモを揚げていくレイ。
自分の畑で採れたトマトを揚げようとするアスカ。
総力をもって止めに入る三人。
こうして第三新東京市の夜は更けていく…

~第拾弐話 肥料の価値は Fin~

357:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/31 23:00:13
加持さん不憫す。。。

358:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/01 00:25:10
乙です。
このアスカならトマトの天麩羅にケチャップつけて食いそうな勢いwww

359:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/01 00:46:47
>トマトのてんぷら に一致する日本語のページ 約 2,140 件中 1 - 50 件目 (0.52 秒)
結構あるもんだなw
中にはレシピもあったし

360:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/01 01:10:05
>>359
結構旨そう。食いたくなった
でもアスカさんの一個丸ごとは・・・遠慮しますw

361:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/01 18:39:23
でんすけって、でんすけすいかから採ったのかな?
あれはなかなか良いものだ。

私的な事だが、今年は家庭菜園で大玉すいか作ったが、
まずまずな出来だった。
夏エヴァから早10年だけど、リメイクは見たいような
見たくないような…。架空の話でも子供が痛い目に遭うようなのを
見たくはない歳になったんだなと思うと、ちと複雑だ。

362: ◆KEVrvVR6eo
07/08/02 22:38:28
>>357
加持さんの扱いが今回ひどすぎました… ごめんなさい。
でも、きっと今後活躍してくれるはず、と次の職人様に託してみます。

>>358-360
トマトの天麩羅って結構あるんですねw 知らなかった…
水分が多いので揚げるの大変そうですがw

>>361
デンスケは、おっしゃる通り、でんすけすいかから名付けました。
美味しいですけど、いかんせん高いですよね。
家庭菜園でスイカを作ってらっしゃるなんて羨ましい限りです。
リメイク版では、少しでも救われる方向になって欲しいですが、期待出来そうにないですよね…
少なくともこのスレではハッピーエンドになればいいな、と思います。


駄作を見て下さっている優しい皆様に申し訳ないのですが、
諸事情により来週あたりまで投下ペースが遅くなってしまいます。
大変申し訳ありませんがお許し下さい。
では、私の最後の回を投下します。
あと少し、お付き合い下さいませ。

363: ◆KEVrvVR6eo
07/08/02 22:41:42
ネルフ本部・中央作戦司令室。
その第一発令所にて、伊吹マヤがスコップをふるっている。
ネルフの中枢、スーパーコンパニオン・プランツ『NEGI(ネギ)』の定期健診中だ。
「さすがマヤ。速いわね。」
「それはもう先輩の直伝ですから。」
「あ、待ってそこ。シャベルの方が速いわよ。ちょっと貸して。」
「!! …さっすが先輩!」
ネギが掘り返され、収穫部位生長速度が表示される。
「ネギ・システム、三種とも生殖生長期に入りました!」
「第127次定期健診、異常なし。」
「了解、お疲れ様。」

洗面所で手と顔を拭いているリツコ。
鏡に写った疲れ顔の自分を見て、自嘲気味に一人呟く。
「異常なし、か… 母さんは今日も元気なのに… 私はただ日焼けして歳をとるだけなのかしらね…」



第拾参話   土竜、侵入

364:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/03 00:00:28
>>363
投下ペースはいい、お前のペースでいい。

だがな、NEGIで噴いちまったじゃねーか!責任とってよ!!

365:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/04 06:05:42
GJ
イロウルの回だね。
リツコさん大活躍wktk

366: ◆KEVrvVR6eo
07/08/06 17:25:57
ジオフロントの中心部に位置するライスセンター(セントラルドグマ)。
そこに裸で集められたシンジ、アスカ、レイの三人。
今日のテストは、マッスルスーツの補助なしでの農作業の筋負荷をシミュレーションするものだった。
映像モニターは切ってあるとはいえ、全裸でのテストに不平不満を爆発させるアスカ。
「冗談ではない!」

「テスト、スタート!」
「シミュレーション、ネギ畑模擬農耕地帯の制御下に入りました。」
模擬農耕地帯を鍬で掘っていく三人。
「気分はどう?」
「何か、重いわ。」
「いつもよりきつい気がする。」
「感覚がおかしいのよ。右腕だけは重たくて、あとはビリーズ・ブートキャンプをやった後のような感じ。」

「レイ、鍬を大きく振りかぶってみて。」
ネギのソースとシンクが対立モードに移行する。
「…ジレンマか。作った人間の性格が窺えるわね。」
「何言ってんの?作ったのはアンタでしょ?」
「私は育て上げただけ。掛け合わせと種を作ったのは母さんよ。」

その頃。
発令所では、冬月と青葉が農場内の異変をチェックしていた。
「三日前に搬入された土壌です。ここですね、空洞があるのは。」
ネルフ農場の地中奥深くに、いくつかの穴が空いているのをモニターが映し出す。
「第87ビニールハウスの土壌か…」
冬月は迅速に埋め立て処理(鎮圧)するよう、青葉に命じた。

367:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/06 20:43:19
>模擬農耕地帯を鍬で掘っていく三人。
これを全裸でやってる絵を想像して吹いたw

368: ◆KEVrvVR6eo
07/08/09 20:36:27
と、その時!
突然鳴り響く警報。
第11使徒 イロウル(土竜)襲来。
「どうしたの!?」
「ドライストア(シグマユニット)に汚染警報発令!」
「第87ビニールハウスの土壌が沈下、陥没しています!」
「第6散水用パイプにも異常発生!」
土壌の空洞の数が一気に増え、爆発的なスピードで広がっていく。
「第6散水用パイプを閉鎖!分析パターン、青。間違いなく使徒よ!」
あくまで冷静、迅速に指示を出すリツコ。

一方、指令室では…
「使徒の侵入を許したのか?
ライスセンター(セントラルドグマ)を物理封鎖!ドライストアと隔離しろ!」
「誤報だ。日本政府と委員会にはそう伝えろ。」
ゲンドウと冬月が小声で囁きあう。
「場所がまずいぞ。」
「…ああ。紫黒米に近すぎる。」



続く

369:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/09 21:22:58
おつ
紫黒米たべられちゃうぞw

370:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/09 22:25:08
ミミズは喰うしとんでもないヤツだよな、モグラって。

371: ◆KEVrvVR6eo
07/08/11 20:49:49
緊急対策会議が開かれる。
リツコが土竜(モグラ)の習性について推理、以下のような戦略を立てる。

「現在、ビニールハウス両脇の散水用パイプを封鎖しているため、
使徒はネギ畑に向かって進行しています。
でも、モグラにはネギ類の臭いを嫌ってその箇所を避ける習性があるわ。
そこで、下の図を見て欲しいの。
               NEGI畑
┃          ┃  九条ネギ‐2  ┃          ┃
┃  分葱‐3    ┗━━━━━┛  深谷ネギ‐1  ┃
┗━━━━━┛    ■     ┗━━━━━┛
          ←■←←←←↑→→→→→■→
         ┏━┏━━↑━━━┓━┓
         ┃封┃×←←←↑→→→→×┃封┃
         ┃ ┃×←←←↑→→→→×┃ ┃   ■:モグラ取り
         ┃鎖┃   第87    ┃鎖┃
         ┃ ┃  ビニールハウス ┃ ┃
         ┗━┗━━━━━┛━┛
今回使徒が侵入した第87ビニールハウスがここ。幸い、周りにはネギ畑しかないわ。
よって、予測されうる使徒の移動経路は矢印のようになると推論されます。
その移動経路にモグラ取りを仕掛け、使徒を殲滅するのが最も得策だと思われます。
モグラ取りを仕掛けるのは… 青葉くんと日向くん、よろしく頼むわ。」

久しぶりの登場、しかも活躍の場を与えられて歓喜の青葉と日向。
しかし、重労働を押し付けられたと知った途端、急にやる気をなくす。
しぶしぶモグラ取りを仕掛けに出陣する二人だった。


372: ◆KEVrvVR6eo
07/08/11 20:57:27
うわ、すごいずれた…orz
ものすごく分かり辛くなっちゃいましたが、
何となく雰囲気で脳内補完よろしくお願いしますですm(__)m

>>369
紫黒米はNEGI畑の上の方にあるということで…
食べられないようにリッちゃん必死です。

>>370
モグラの退治は本当に難しいそうです。
もし失敗して手負いのまま逃してしまうと、
もう絶対に捕獲することは不可能だとか。
実は青葉と日向、かなり重要な役目だったりしますw

373:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/11 21:22:36
乙♪
図解とは芸が細かい。頭が下がります。

374:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/11 22:31:43
>>372
こんな感じ?

                    NEGI畑
┃                ┃     九条ネギ‐2   ┃              ┃
┃  分葱‐3     ┗━━━━━┛   深谷ネギ‐1  ┃
┗━━━━━┛    ■    ┗━━━━━┛
                ←■←←←←↑→→→→→■→
              ┏━┏━━↑━━━┓━┓
              ┃封┃×←←←↑→→→→×┃封┃
              ┃  ┃×←←←↑→→→→×┃  ┃   ■:モグラ取り
              ┃鎖┃       第87         ┃鎖┃
              ┃  ┃   ビニールハウス  ┃  ┃
              ┗━┗━━━━━┛━┛

375:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/12 00:41:17
すげえww

376:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/12 09:19:52


377:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/12 17:45:28
AAは専ブラで

378: ◆KEVrvVR6eo
07/08/13 20:04:01
>>373-377
どうもです。
致命的に文章表現能力が欠如しているため図説で凌ごうと思ったのですが、
このあり様です… 申し訳ありませんでした。
専ブラって何?と存在を知らなかった私は初心者丸出しですね…

>>374
補足ありがとうございます!
本当に感謝ですm(__)m

379: ◆KEVrvVR6eo
07/08/13 20:05:36
やる気なく、作業しながら駄弁るメガネとロン毛。
日向「おい、エアギター。」
青葉「うぜえ。」
日向「長澤まさみ、好きか?」
青葉「俺は沢尻エリカ派だ。」
日向「…沢尻の太腿、ボンレスハムじゃね?」
青葉「長澤は顔がボンレスだなw」
日向「…」
青葉「…」
日向「ふかし芋、食うか?」
青葉「おう。」
日向「左右どっちに仕掛けるか?」
青葉「俺、左。」
日向「じゃあ、俺右な。」
青葉「正面どうするよ?」
日向「お前やれよ。」
青葉「お前がやれよ。」
日向「…」
青葉「…」
日向「おい、エアギター。」
青葉「…うぜえ。」
日向「赤木リツコ、無茶ばっか言うな。」
青葉「ああ、三十路あなどれねえ。」
日向「三十路で金髪www」
青葉「三十路でタイツwww」

…結局、日向が仕掛けた右側(深谷ネギ方面)にモグラがかかる。
勝ち誇るメガネ。頭を抱えるロン毛。
使徒殲滅に成功し、大いに沸くネルフ。
しかし、これだけでは終わらなかったのだ。

380:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/13 21:33:57
なんて生々しい会話w

381:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/13 21:51:13
やる気ねぇwww

382: ◆KEVrvVR6eo
07/08/15 20:46:45
「…ぬわんてインチキっ!」

モグラ取りにかかり死亡したモグラから大量に流れ出る血。
その血液に根腐れを起こす病原菌が含まれていたのだ。
あっという間に三種のNEGIの一つ、『FUKAYA(深谷ネギ)』の根に侵食していく。
「ダメです!病原菌に乗っ取られます!」
病原菌は、更に『KUZYO(九条ネギ)』に侵食し始める。
「土壌状態を変更!畑を灌水状態にして!」
ある程度侵食のスピードを緩やかにすることに成功するが、一時的であることに変わりはない。

再度、緊急対策会議が開かれる。
ミサトはネギを廃棄し、クロルピクリン及び臭化メチルによって土壌を消毒することを提案する。
それに対し、リツコはその案を却下。
ネギの根に、ネギに対しては無害な共生菌を寄生させ病原菌を排除、死滅させる案を出す。
「寄生できる植物がなければ、その終着点は『死』、そのものだ。」
賛同する碇農場長。
「『WAKEGI(分葱)』が強いか、病原菌が強いか… 勝負だな。」
「その共生菌の作成、間に合うんでしょうね?WAKEGIまで侵されたら終わりなのよ。」
「…約束は守るわ。」



つづく

383:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/15 21:34:18
EVAと農業をココまでリンクさせるとわ・・・ 感服致しました!
GJと言わざるを得ない

384:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/15 22:02:37
VSモグラおつ

385: ◆KEVrvVR6eo
07/08/17 21:12:15
唯一、病原菌の侵食を免れたWAKEGIに、対病原菌対策を始める準備が行われる。
WAKEGIの畑には、開発者が残した様々な農具や農薬が置かれていた。
「!! こんな所にグリオスターが!これなら意外と速く共生菌でプロテクトできますね!先輩!」
マヤが嬉しそうに話しかける。
「ありがとう、母さん。確実に間に合うわ。」

生物農薬『グリオスター』は、植物と親和性の高い有効微生物『グリオ菌』の胞子を含む顆粒状の農薬である。(by出光興産)
グリオ菌は、根の表面で繁殖、陣取りし、あたかも根に靴下を履かせたかのようにガードして病原菌を排除してくれるのだ。

作業が始まる。
ミサトからNEGIについて問いかけられるリツコ。
「長い話よ。その割りに面白くない話。―コンパニオンプランツって知ってる?」
「ええ… 有機栽培で二種類の作物を混植して病気を防ぐシステム。」
「母さんが開発した技術なのよ。」
「じゃあ、お母さんがネギを移植したの?」
「そう。」
「それでネギを守りたかったの?」
「違うと思うわ。母さんのこと、そんなに好きじゃなかったから。農学者としての判断ね。」

そのとき、青葉が叫ぶ。
「KUZYOが乗っ取られました!」
病原菌がWAKEGIにも侵食していく。
「リツコ、急いで!」
「大丈夫。まだ余裕があるわ。…完全な排除には半年くらいかかるけれど。」
「半年って… 工エエェェ(´д`)ェェエエ工工」

何はともあれ、リツコのグリオ菌プロテクト作戦によって、NEGI畑は守られた。
農場に歓声がこだまする。大きくため息をつくリツコ。
「…ほんと、母さんらしいわ。」

386: ◆KEVrvVR6eo
07/08/17 21:14:43
>>383-384
ありがとうございます。現実とはかけ離れた内容ですがお許しを。
次回、私の投稿のラストです。

387:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/17 21:52:39
ナオコさんSUGEEEE
GJです

388:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/18 10:16:15
>「半年って… 工エエェェ(´д`)ェェエエ工工」
読んだ感想がまさにそんな感じwww

389:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/18 16:21:24
URLリンク(www.nya-taloda.jpn.org)
URLリンク(www.nya-taloda.jpn.org)
URLリンク(www.nya-taloda.jpn.org)
URLリンク(www.nya-taloda.jpn.org)
 )

 )・∴  ∞
 (∵ (・∀・ ))) ドンドン ガンガル
  )←━cc )))
 (    し-Jll   ホホジボジセッセセ ホジセッセ
 )  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
 (
  ).            _..,∞,,,
 (.           ●'''" * ""'';;,         大きなスコップに パワーアップ!
  )  / ̄ ̄|    \.从 从 ;;;ミ
 ( /     |     ゝ゚ー ゚ν ;;;ミ.  /|   壱ちゃんに負けずに ほじせっせ
  <       <|===(,,,ノ(,,,ノ===<  |
 ( \     |      ヽ    ;;ミ.  \|     (´´ほじほじせっせ ほじせっせ
  \ \__|        > >  ,/~  (´⌒(´
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
URLリンク(www.nya-taloda.jpn.org)
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390:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/18 20:02:56
>>389
グロ(エロ?)注意

391:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/19 11:30:26
>>389
禁壷使ってるから、隠しようがネーよ! クソがwww

392: ◆KEVrvVR6eo
07/08/19 21:56:45
「もう歳かしらね。徹夜がこたえるわ。」
そう呟くリツコにミサトが抹茶を差し出す。
「また約束守ってくれたわね。お疲れさん。」
茶碗を時計回りに二回まわし、お抹茶を味わうリツコ。
「ミサトの淹れた抹茶をこんなにおいしいと思ったのは初めてだわ。結構なお手前で。」
飲み口を親指と人差し指でぬぐい、指を懐紙でふき取る。
茶碗を反時計回りにまわし、正面を自分の方にもどして置くと、いつもより饒舌に語りだす。
「死ぬ前の晩、母さん、言ってたわ。ネギは自分の好みの三種を植えたんだって。
白葱で甘みのある深谷、青葱で辛味のある九条、玉葱との雑種で汎用性のある分葱。
その三種がせめぎあっているのがネギなのよ。人の持つ味覚の嗜好性をわざと残したのね。」
何を言っているのか、ちょっち分からないミサト。
「WAKEGIにはね、玉葱としてのパターンがインプットされていたの。
最後まで扱いやすさを優先し、ネギと玉葱の雑種であることを守ったのね…」
よく分からないなりに、一応納得してみるミサト。

一方…
放置され続けているシンジ、レイ、アスカの三人。
「も、もう疲れたよ…」
「ねえ、シンジ?ここをどこだと思ってる?」
「えっ、模擬農耕地帯でしょ、アスカ?」
「違う!ここはブートキャンプだ!」
「碇君… ワンモアセッ!」
この時だけで、碇シンジは2キロの減量に成功したと後に語っている。



~第拾参話  土竜、侵入 Fin~

393: ◆KEVrvVR6eo
07/08/19 21:58:06
これで、私の投下はおしまいです。
こんな駄作を今まで読んで下さった皆様、感謝の気持ちでいっぱいです。
中途半端な終わり方で恐縮ですが、今の私に出来る限界がここまでです…
もし、続きを書いてくださる方がいらっしゃれば嬉しいです。
時々ネタは投下する予定ですので、その時はまたよろしくです。
本当にありがとうございました。

394:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/20 01:20:57
乙かれさま~
楽しませてもらいました
ネタ投下まってます

395:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/20 22:05:26
ブーツキャンプな

396:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/26 03:31:49
え?ブートキャンプじゃねぇの?

397:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/30 09:47:42
>>1-100
>>101-200
>>201-350


398:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/30 13:05:03
>>396
お前は片方の足にしかブートをはかないのか?

399: ◆KEVrvVR6eo
07/08/31 21:23:29
最後の最後で誤解を与えかねない表現をしてしまったので、お詫びと共に補足をば…

「ブートキャンプ」は、エクセサイズで話題になったビリーのが元ネタです。
>>366で伏線張ったつもりでした。分かりにくくてすいません…)
ちなみに“boot camp”は、「海軍、海兵隊、及び沿岸警備隊の基礎訓練所」の意味で、
海兵隊において、新兵のことを“boot”と呼ぶことに由来しているそうです。
(「長靴・ブーツ」のイメージから、「下っ端」ということでこう呼ばれている?
また、単数形なのは、片方だけじゃ「ブーツ」は役にたたないので、
まだ「半人前」であることを暗に揶揄しているのではないでしょうか?)
更に蛇足ながら、
陸軍の基礎訓練は“Basic Combat Training(BCT)”、
空軍の基礎訓練は“Basic Military Training(BMT)”
というそうです。
一応参考サイトを。
URLリンク(en.wikipedia.org)



…Side Storyの方はなかなか進んでおらず、現在も執筆中。
しばしお待ち下さいませm(__)m

400:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/31 22:43:16
新EVA、すごいことになってた!超カッコイイ!

シンジとのシンクロシーンがたまらない!
URLリンク(image.blog.livedoor.jp)

性能が大幅に強化されたらしい。
URLリンク(image.blog.livedoor.jp)

エントリープラグ内もすごく豪華に。
URLリンク(image.blog.livedoor.jp)

というか、シンジがメッチャカッコ良くなった。イメージぶち壊しすぎ。
URLリンク(image.blog.livedoor.jp)
URLリンク(image.blog.livedoor.jp)
URLリンク(image.blog.livedoor.jp)

ソースはこちら。
URLリンク(blog.livedoor.jp)

401:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/01 01:17:31
そんな新しいもの買っていたら農家が一つ傾くよ・・・

402:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/01 09:53:35
農作業でマッチョになったんだな

403:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/05 09:22:54
>>400
ちょwww腹抱えてワロタwww

お前リアルでもかなりおもろいだろwww

404:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/06 21:30:49
良スレにつき、保守

405:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/09 18:18:28
保守~

大好きだった百姓スレが落ちてしまっていてショックを隠せない今日この頃。
しばらくの間は、保守間隔を詰めた方がいいんでしょうかねぇ?

406:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/12 22:14:59
保守

407:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/12 22:34:22
大野菜協会、長期間の研究の末「3mの巨大サツマイモ」の栽培に成功。しかし、ちんこに似ていたため非公開に。【画像あり】

日本大野菜協会が2002年に特別チームを発足し、5年の歳月を費やし、3mもの巨大サツマイモの栽培に成功した。
しかし、それが一般に発表される事はなかった。
その理由は栽培された巨大サツマイモがあまりにも男性器に酷似していたためである。
大野菜協会会長は「5年の歳月と沢山の経費をかけて作り出した大作といえるものだし、一般の方々にも見てもらいたい…が、ここまで酷似していてはコレを発表することは出来ない。我々にも恥がある。」
と、肩を落として語った。
長い歳月に渡り研究に研究を重ね、苦労の末栽培された世紀の大サツマイモは性器に似た大サツマイモになるという悲しい結末で幕を閉じた。

スレリンク(news7板)


408:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/13 23:21:10
無農薬シリーズ・・・・完成していたの?

409:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/15 21:58:09
|柱|皿 ) そ~…(私は八号機。…アスカが呼んでる?)

|柱|(# 皿 )<無農薬シリーズ、とっくに完成してたわよ!知らなかったの?

|柱|(# 皿 )つΥ<このトマトの苗、特別にアスカだけにあげるわ!

|柱|(# 皿 )<べ、別に礼なんかいらないんだから!

|柱|)彡 サッ



恥ずかしがり屋でツンデレな八号機さん。

410:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/16 22:41:17
|柱|皿 ) そ~…

|柱|(# 皿 )<誰もいない… 今がチャンス!

|柱|)彡 サッ

411: ◆KEVrvVR6eo
07/09/16 22:42:24
肌にまとわり付くような、気持ちの悪い湿っぽい暑さでアタシは目を覚ました。
気だるい身体をようやく起こし、時計を見やると、既に11時過ぎを指していた。
カーテンと窓を開け、外の空気を入れる。でも、その空気の生暖かさに、余計に嫌悪感を覚える。
とりあえずシャワーを浴び、テーブルに置かれてあるシンジの作った朝食を温めなおす。
今日はシンジもミサトもいない。誰もいない部屋の中で、一人、遅めの朝食をとる。
シンジとファーストは朝から農業研修を行っているのだ。ミサトもその同伴なのだろう。
アタシは大学で生物生産学を専攻し、農業実習なんかは既にやっていたため、その必要はない。
優越感はあるが、除け者にされているようで気分は悪い。
それにシンジとファーストが仲良く研修を受けていると思うと、それだけで虫唾が走る。
…というか、何でシンジとファーストの仲が気になるのだろう?そういう自分が何より一番イヤだった。
ムシャクシャした気持ちを抱えながら、お茶をすする。

いつの間にか正午をまわっていた。いまさら学校へ行く気など毛頭ない。
だから、気分転換にショッピングに出掛けようと思うまで、さほど時間はかからなかった。
ヒカリと一緒だったら楽しいだろうな、とは思ったが、彼女を学校から連れ出す訳にもいかない。
飲みかけのお茶を飲み干して、タンクトップに半ズボンとラフな服装に着替えると、
散らかった部屋を後にし、アタシは一人、家を出た。



side story #1 Garden City Life ―アスカ編―

412: ◆KEVrvVR6eo
07/09/16 22:43:41
日本へ来て数ヶ月。ここでの生活もかなり慣れてきた。でも、この蒸し暑さだけはどうしても慣れない。
吹き出る汗を拭いながら、村の中心部へと向かう。

ショッピング、とは言っても、ここ第三新東京市にはそれほど店がある訳ではない。
唯一のブティック、『ファッションセンター・しまむら』で洋服を見る。
ミサトから貰ったすずめの涙ほどの小遣いでも買えるぐらい安いことは安いのだが、いかんせんセンスがない。
でも値段の割にはそこそこなので、そこは我慢。
来るべき加持さんとのデート用に、グリーンのワンピースとボレロのような上着のセットを購入する。
(実際にはヒカリのお姉さんの友達とのデートで着ることになってしまったのだけど…)
しばらくウインドウショッピングを堪能した後、『Aコープ』でスイカバーを購入し、食べながら外をふらついてみる。

使徒の襲撃がない時は、毎日田畑の管理をするだけの代わり映えのない日常。
そこから逃れたいと思ったからかもしれない。
アタシは普段は行かない、村のはずれへ行ってみようと思った。

バスの時刻表を見る。…次のバスまでは一時間以上もあった。
イライラに任せてバス停を蹴飛ばすと、アタシは歩き出した。

413: ◆KEVrvVR6eo
07/09/16 22:45:40
左右一面にどこまでも広がる田園風景。そして遥か彼方まで延びてゆく一本道。
別に何か目的がある訳でもないし、急ぐ旅でもない。だらだらとかたつむりのように歩を進めていく。
照りつける太陽の日差しにウンザリしながら、アタシは物思いに耽る。ずっと昔の記憶が鮮明に蘇ってくる。


ママはドイツの大学で、園芸学の准教授をしていた。
その影響もあって、アタシも同じ道に進むことを決意したのだった。
家では家庭菜園もしていた。ママはそこで採れた野菜を料理していつも食卓に並べてくれた。
どの料理も全部美味しかったけれど、ママの作るトマト料理は何よりもダントツ一番美味しかった。
だからトマトには人一倍思い入れがあった。
アタシの書いた論文、『トマトのハイポニカ農法の確立』が評価され、
ネルフの専属就農者に選ばれた時は本当に嬉しかった。
1本の苗から1万5千個のトマトを成らせる養液栽培法、ハイポニカ農法。
人類の食糧危機を救うエリートとして選ばれたのだ。世界一。だから私を見て。
でも。その喜びを分かち合えないまま、ママは死んでしまった。自ら命を絶ってしまった。
そのときから、アタシはひたすらトマトの育成に励んだ。
アタシにはトマトしかないのだ。トマトを育てるしか…


現実と記憶の残像の狭間で、感傷的な気分に陥ったその時だった。
とても芳しいコーヒーの薫りに、急に現実に戻される。頭の中の思い出が遠ざかってゆく。
ふと顔を上げると、田んぼの傍らに、おおよそ不釣り合いな洒落た店構えの喫茶店が目の前に現れた。
白いしっくい塗りの外壁の下半分はレンガ張りになっており、三角屋根のてっぺんに大きな風見鶏が立っている。
何故こんな場所にカフェが?
そんな疑問が頭をよぎったが、その香りに引き寄せられるように、アタシはその店に入っていった。

414: ◆KEVrvVR6eo
07/09/16 22:48:53
「いらっしゃいませ!」

『風見鶏』と店の名前の書かれた看板がぶら下がっている分厚いドアを開け、中に入ると、
年齢不詳の髭のマスターとそのご婦人らしき長い髪の綺麗な女の人がアタシを出迎えた。
大きな出窓のおかげで店の中はおだやかに明るい。意外にも小奇麗な店内に少し驚く。
アタシの他に客はいない。当たり前だろう。こんな辺鄙な場所にわざわざ来る酔狂な客などいるはずがない。
アイスコーヒーをオーダーすると、開け放たれている出窓側の席に座る。
店内から流れてくるジャズのアルトサックスの音色に耳を傾けながら、アタシは再び記憶の海へと沈んでゆく。


ママがいなくなってから、アタシは自分の殻の中に閉じこもるようになっていた。
いつも自室に引き篭もり、TVばかり見ていた。
そんな時、あのアニメに出逢ったのだった。「機動戦士ガンダム」だ。
はじめは、なんて前時代的、面白くないアニメだろう、と思っていた。
だけど。話が進んでいくにつれ、ある人物に興味を惹かれていったのだった。
そう、赤い彗星、シャア・アズナブルに。
ララァを失ったシャアの気持ちが、アタシには痛いほど共感できた。
プライドが高く、超優秀。でも、心のどこかに闇を抱えている… そんな彼。
だからアタシは、シャアと自分とを重ねあわせるようになっていった。
いつしかアタシはシャアに傾倒し、その言動を真似る癖がついていた。
アタシ専用のコンバインが作られることになった時、そのカラーを赤にしたのは言うまでもない。
そういえばあのアニメ、最後、シャアはどうなったのだったっけ?


…そんなことを考えていた時。
マスターの声に、再度現実に引き戻されてしまった。

415: ◆KEVrvVR6eo
07/09/16 22:50:56
「お待たせしました。今日も暑いですねぇ。お嬢さんは学生さんかな?」
物思いの邪魔をされた苛立ち。非常に不愉快だ。
そんな人の気も知らず、余程暇だったのか、
はたまた喋ることもサービスの一つとでも考えているのだろうか、マスターがしきりに話しかけてくる。
アタシは、物思いの邪魔をされた苛立ちから、皮肉っぽくマスターに突っかける。
「こんな辺鄙な場所にカフェなんてビックリ。お客さんなんてほとんど来ないでしょ?」
「ええ。開店休業状態で商売あがったりですよ。」
テーブル上の草物盆栽を持ち上げて、布巾でその下を拭きながらそうマスターは答える。
「でも、私の淹れるコーヒーを楽しみにしてくれている方がいる限り、続けていくつもりです。」
アタシにはそこまでして営業を続けていく神経が理解できなかった。
「ここのマスターは、口は悪いけれどとっても美味しいコーヒーを淹れるのよ。」
ステレオの前でCDを選んでいる女の人が微笑みながら口を挟む。
「お前はいつも一言多いんだよ、カレン。」 マスターが子供のように口を尖らせる。
「あらー、でも本当のことじゃない?お兄ちゃんのコーヒーは世界一だって。」
美人でおっとりとしたこの女の人は、どうやらマスターの妹さんらしい。
「う… そう、かな…」 照れて顔を赤らめながら顎鬚を撫でさするマスター。
そんな微笑ましい二人のやり取りを見つめながら、アタシはアイスコーヒーをゆっくりと味わう。
妹さんとマスターの自負した通り、とても美味しいコーヒーだった。

何かのはずみで、ふと話が途切れる。
刹那、出窓の隙間からふわっと夏の風が震え、アタシの顔を撫でて通り過ぎていった。
その風は、朝に感じたような嫌悪感は全くなく、逆に涼しく、とても快いものだった。
朝からずっと抱えていたモヤモヤとした気持ちは、既にどこかへ消えていた。
今度来る時は加持さんと一緒に来ようかな。
ヒカリと一緒にお茶するのもいいな。ついでにバカシンジも連れて。そしてファーストも…
アタシはそう心に決めた。

「ご馳走さまでした~」
代金を支払うと、マスターとその妹さんにお礼をし、弾んだ心でアタシは店を出た。

416: ◆KEVrvVR6eo
07/09/16 22:52:28
帰りのバスは幸いにもすぐに来てくれた。足早にバスに飛び乗る。
誰もいないガラガラのバスの中。アタシは農場に寄ってみようと思った。
無性にトマト畑が気になり、見ておきたくなったのだ。
田んぼの中の案山子と、その周りを飛び交うトンボの群れを眺めながら、目的地への到着を心待ちにする。

バスを降り、農場へ向かう。アタシのトマト畑の隣で、シンジがナスに追肥をやっているのが目に入る。
シンジはアタシに気付いていない。視線をトマト畑へと戻す。
第七使徒イスラフェル(スギナ)戦の時にシンジと一緒に植えたトマトの苗は、
いまや背丈以上に大きくなり、美味しそうな実をいくつもつけていた。
真っ赤なトマト。畑に入ると、アタシは手を伸ばし、それを二個もいだ。
キュッという、なんともいえない感触が手に残る。
アタシはおもむろに、一つをシンジに向かって放り投げた。
「うわっ、アスカ!?危ないじゃないか!」
突然自分に向かって飛んできたトマトに驚き、慌てて受け止めるシンジ。その呆けた顔に言い放つ。
「いいから食べなさいよ!アタシのトマトが食べられない訳?」
ブツブツと文句を言っているシンジを横目に、アタシは手の中のトマトを見つめる。
光沢のある真っ赤なそれは、まるで神様の気まぐれで作られた宝石のようだ。
食べる前にそっと匂いを嗅いでみる。
夏の太陽の香りと甘酸っぱくて青臭いトマト特有の香り。服で軽く拭うと、アタシはたまらずかぶりつく。
張りのある外皮が破れると同時に、口中にさわやかな酸味がさっと広がっていく。
噛みしめていくほどに、じわじわと甘味が増してゆき、思わず顔がほころんでしまう。
もぎたてのトマトは少々生暖かったけれど、何よりも新鮮でとてもおいしかった。
食卓塩がこの場にないのが本当に恨めしい。
滴り落ちる果汁が手を汚すが、構わず何度も口へと運んでいく。
シンジの方を見やると、アイツも同じように一心にトマトをほおばっていた。
自分の作ったトマトを美味しそうに食べているのを見ていると、それだけで嬉しくなった。

417: ◆KEVrvVR6eo
07/09/16 22:53:38
ふと、先程のカフェのマスターが言っていた言葉を思い出す。
『私の淹れるコーヒーを楽しみにしてくれている方がいる限り、続けていくつもりです。』
今なら彼の言っていた意味がわかる。
今まで、アタシはいかにトマトの生産性を高められるかだけを考えて栽培に取り組んできた。
でも。ただ作るだけが目的じゃない。食べてくれる人がいるのだ。目の前のシンジのように。
きっとママも、アタシが美味しそうに食べるのを楽しみにして、家庭菜園をずっと続けてきたのだろう。
アタシの作ったトマトを食べてくれる消費者。その人たちへの真心を忘れていたことに、今更ながら気付いた。
これからはその気持ちも大切にして栽培していこう。そう思った。

トマトを食べ終えたシンジと目が合ってしまう。
手と口の周りを汚したカッコの悪い状況。そんなお互いの姿に笑い合う。
「ありがとう、アスカ。すごく美味しかったよ。」
思ったことを素直に口にするバカシンジ。いつもアイツはアタシの意表をついてくる。
不覚にも少しドギマギしてしまう。照れ隠しにシンジの服で手と口を拭ってやった。
「ちょっ、アスカ止めてよ!」
「…すっごく汗臭い。ちゃんとお風呂入ってるの?」
「あ、当たり前だろ!今日は朝から農作業してたんだからしょうがないじゃないか!
あ~あ、シャツが汚れちゃったよ…」
シンジにはお気の毒様だけれど、アタシの心は今日一番の爽快な気分だった。

いつの間にか、もう日は暮れかかっていた。
「ねぇシンジ、そろそろ帰ろっか?」
「うん、帰ろう。」
農場を後にして、アタシ達は並んで歩き出す。
トマトと同じくらい真っ赤な夕焼け。
それによって作られた影法師を踏みしめながら、アタシ達は家路につく。



~side story #1 Garden City Life ―アスカ編― Fin~

418: ◆KEVrvVR6eo
07/09/16 22:56:52
アスカの設定の補完を兼ねて投下。
TVシリーズ本編とは若干違いますが、ご容赦下さいませ。

…もしアレでしたら、いつかまたレイ編でも書いてみますです。

419:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/17 00:07:23
GJ
レイ編期待してる

420:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/17 01:02:00
GJ!
そういや前、トマトの天麩羅の話あったけどトマトのフライはちゃんとしたメニューに
あるのな…  
なんか漬物に出来そうなくらい青いトマトを輪切りにして・種抜きして小麦粉・溶き卵
パン粉の順に絡めて揚げる料理だったよ… なぜかケチャップつけて食うらしい。

青いトマトなんざ自分で作らねーと手に入らねーよ!

真っ赤に熟した桃太郎トマト万歳!

421:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/20 01:44:32
アスカのトマト好きにはそんな訳があったのか
冷やしトマト食いたくなったぜ

422:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/20 14:02:53
>>412
しまむら
ワロタ

423:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/22 15:24:55
うちのトマトはこの前の台風でほとんど落ちてしまった
もったいないから拾って醤油漬けにしたんだが
ちょっとぐらい天麩羅にしてみれば良かったな・・・

424:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/25 20:58:44
青いトマトのフライにケチャップ…
どんな味なんだろうか?

前回の台風で、菜園家や農家の皆様は大変だったみたいですね。
家はジャガイモが不作だった…

425:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/29 21:43:26
保守

426:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/03 09:41:51
保守

427:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/03 22:13:40 77UCBmb1
         ハ,,ハ
        ('(゚∀゚∩_ おいらをどこかのスレに送って!
      /ヽ   〈/\ お別れの時にはお土産を持たせてね!
     /| ̄ ̄ ̄|.\/
       | .モツ煮..|/
        ̄ ̄ ̄
現在の所持品:たばこ・ブラウザゲー・デストロイヤー・モロゴ石・菌・大便・大輔・魔界村・処女膜
真紅はいらない子

428:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/04 09:36:03
>真紅はいらない子
てめぇ!

429:党員
07/10/06 00:21:53
>>428
事実よぉ
おばかさぁんwww

430:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/07 14:46:48
アスカ「へえ、これが加持さん自慢のスイカ畑」
加持「どうだい、一つ持っていくか?」
アスカ「それじゃこれとこれと二つもらっていい?」
加持「ああ、構わないが…?」
アスカ「ねえ加持さん見て見て!





   ス イ カ ッ プ !





加持、即死…

431:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/07 22:05:27
スイカップwww

432:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/13 09:25:13
新米の季節

433:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/20 12:41:59 iZegqi6Y
保守


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