07/03/11 00:41:25
ピンと上げられ、一際の存在感を見せつける右手。
----これはこれは、ネルフの赤木リツコ博士
人体への影響は?善虫の駆除による生態系への影響は?専門用語が交差する禅問答。
どちらも一歩も引かない攻守攻防が繰り広げられる。そして、業を煮やしたリツコは
----そんなに自信がおありなら、時田博士ご自身が飲んでみてくださいません?
と半ば興奮気味に時田氏に詰め寄る。彼はてをひらひらと仰がせ
----私には夢がありますが、貴女にはありませんなぁ
と溜息と失笑交じりに答え、周りの笑いを誘う。顔を硬直させ、ぐっちお息を飲むしか
その場のリツコには選択肢がなかった。
場所を変え、JAの試作展示会場。畑には数々の害虫が飛び交っている中、農薬JAを
満載した散布機が登場した。驚きと期待の声の響く中、JAの散布が始まる。
白い、いかにも”人体ニハ有害デスヨ”的な煙に巻かれ、ばたりばたりと地に落ちていく
無数の虫、虫、虫。中には善虫もいるであろうが、そんな事は気にしない様子でしたり顔の
時田氏率いるJAの面々。流石にこの効果にはネルフのお二方も目を見張らざるを
得なかった。
しかし、運命の悪戯は着々とその場にいた者達を蝕んでいた。それまで風一つなかった
晴天が突如として強烈な突風吹き荒れる北風に見舞われる。それまでの和気藹々とした
様子から一変して慌しく、そして緊張が走る展示会場。一人のJA職員の
----風下には集落が・・・・
の言葉を耳にしたミサトが
----人体には影響ないはずなんじゃないのっ!?
と彼らを一括する。どうやら、テスト段階らしく、まだ人体への影響が0と言う訳ではないと
時田は漏らした。