07/01/31 00:31:50
----わいはおまえを殴らなあかん、殴らな気がすまんのや・・・
放課後の体育館裏に鈍い殴打音が木霊し、彼はそう呟いた。
事は少し前の事だった。終業を知らせるチャイムが鳴り響いても尚、教室はシンジの
話題で持ちきりだった。その人ごみを掻き分け、二人の生徒がシンジに近づいてくる。
それが彼、鈴原トウジと相田ケンスケだった。
トウジはシンジを体育館裏まで呼び出すや、何の前触れもなくシンジの左頬に一発の
拳を叩きつけた。
勢い良く倒れこみ、血を流すシンジ。その血を拭いながら
----僕だって好きで乗ってる訳じゃないのに・・・
その言葉に逆上し再度殴りつけるトウジ。去り際に相方のケンスケは
----ゴメンよ、彼、こないだの騒ぎで大事に育ててたトマトダメにしちゃってさ・・・
機嫌悪いんだよ。それで新しい種の買い付けで今日も遅れて来てさ。
彼の殴る所以だけのべ足早に去っていった。
いつ以来だろう。地面に横になって大空を見上げるのは。
----東京の空は狭いよ、母さん・・・
そんな感傷に浸っていると、不意に空を遮られる。はたと傍らを見ると頭を
パックンフラワーにかじられながらボタボタと血を流しながら、しかし、その血を気に
するでもなく綾波レイが立っている。
----農薬散布警告・・・先行くから・・・・
それだけ言い残し、彼女もまた足早に去っていった。
その場に残ったのは鼻と口から血を流すシンジと
”なぜあの新種の雑草を頭から取らないのかな・・・痛くないのかな?・・・”
と、いう疑問だけだった。
----母さん・・・東京は怖い所です・・・