もしシンジきゅんが男娼だったら 2at EVA
もしシンジきゅんが男娼だったら 2 - 暇つぶし2ch450:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/08/05 00:21:59
>>449
自分はとても元気です。但し自分のパソコンは不調です。

誰か携帯でちまちま書いている俺の代わりに書いてくれないかなーと思ってます。ボスケテー

451:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/05 00:34:48
生きてた!嬉しい!

452:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/05 10:00:41
携帯からだと大変ですね
投下はパソコンが直ってからでもいいと思いますよ
のんびり保守して待ってます

453:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/05 12:35:10
孔雀氏にPC差し上げたい・・・
お元気でよかった
投下、気長に待っております!

454:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/16 22:27:30
おまいら信者かwww

あっあの、孔雀氏、このパソコンどうぞ使ってやって下さい!

455:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/20 01:02:08
   人       アザラシさんのケツマンコは本当によく締まるお!!
  (_ )      アザラシさんのケツアナちんぽしごきはみんなを幸せにするお  
 (__)          もぐちゃんにも分けてあげたい所存だお
 ( ´∀`)∞
  ( つつ/⌒ヽ゚Z 
.(( ( ィ⌒` =´ω`) ・゚・。z アッーーーー!!!
  とと、_入`_,つλう
    カクカク

456:/03(月) 10:51:01 ID:???



457:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 10:52:59
土曜日駅で待ってます。仕事が終わるのは何時になるかわかりますか。

 返信がこないようにと小さく祈る。その祈りが届いたのか授業が終わるまでは返信は無かった。
―キーン、コーン……
 老教師の授業を遮るようにチャイムが鳴る。老教師はすぐに教科書を閉じて号令を掛けた。この部分だけは、生徒一同に気に入られている。
 すぐに担任教師が来て、簡単なホームルームを終わらせる。6回の授業を終えて漸く中学生達の自由な時間が訪れた。
「シンジー、今日途中で……あ、今日ネルフ行く日やったか?」
「うん、ゴメン」
「じゃあまた今度だな。しかし羨ましいよ、毎週決まった回数以上エヴァンゲリオンに乗れて、しかも掃除がサボれるなんて」
 トウジとケンスケは下校中の寄り道に誘ってくれようとしたのだろう。
 シンジとしては掃除をしてでもそっちに行きたい気分だ。……改めて自分はエヴァに乗りたくて乗っているワケではない気がしてくる。
「馬鹿シンジぃ! 行くわよ!!」
「あ、ごめん!」
 謝ってばかりと茶化される前に鞄を持って立ち上がった。
 考え方を変えれば、エヴァに乗るからこそこの2人と出会えたのだ。そして早くしろと目を尖らせるアスカに呼ばれるのも、何も言わないし一緒に行っているつもりすら無いかもしれないレイがついてくるのも、ある意味エヴァのお陰。
「アンタ今日音楽室掃除でしょ? 無理ってちゃんと言った?」
「言ってあるよ」
「なら、とっとと行くわよ」
「うん。……あ、綾波はちゃんと言ってある?」
 後ろを振り向いて尋ねる。
「前もって言ってあるわ」
 それ以上は喋らない。しかし、きちんとシンジの後ろに居る。
「そっか、じゃあ行こっか」

458:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 10:54:48
「もう、2人共! 早くしなさいよね」
 シンジが仕切っているようで気に入らないアスカは早口でまくし立てた。


 帰り道。曜日によってネルフ本部に行く事を義務付けられているパイロット3人は掃除当番を合法エスケープしてその本部へ行く為のバス停へと歩いていた。
 どんなに文明が発達しても屋外の気温は操作出来ない。常夏なんて言葉では片付けられない暑さが3人を襲う。
 正確にはレイは襲われていないようだが。暑さを感じないかのような無表情。
 そのレイが1歩分後ろで、シンジとアスカは並んでいる。
 話題を振るのは専らアスカ。シンジはどこで身に着けたか豊富な相槌を打つばかり。
 先日の肉体的には気持ち良く、精神的には気分が悪い出来事を忘れそうな程の日常。
 ……を、壊そうとする男がこちらへ歩いてきた。
「何あの男、何かこっち見てんだけど」
 真っ先に気付いたのはアスカで―もしかしたら先にレイが気付いていたかもしれないが、当然の如く何も言わなかった―明らかに不愉快そうな表情を浮かべている。
「え?」
 アスカの言葉に視線を向けると、そこには確かにこちらをジロジロと見てくる男が居た。
 髪の長さと色で遠くからでもよくわかる。シンジはその男を見たことが有る。
 どこでだろうかと考えてすぐに思い出した。
「あ……」
 小さく声を漏らしてしまったのを、後ろからレイが聞いていた。やはり何も言わなかったが。
 だらしない長さの髪。無理して抜いた色の髪。整っているといえば整っているけれど、その顔は覚えていない。ただその髪を何と無く覚えていただけ。
 先日会ったコンビニバイトの男。

459:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 10:57:11
 別に嫌な思いをさせられたワケではない。寧ろスタッフルームにかくまってもらった、と言っても過言ではない。
 お礼をちゃんと言わなくては。
 そう思っている筈なのに、ミサトとの一夜が思い出されて顔が強張る。
「別にアタシが見られるのは仕方無いけど、あぁいう目付きって何だか腹立つのよね」
 可愛いなぁと見とれるのは勝手だが、はて誰だろうと伺われるのは嫌い、らしい。
 確かにかなり距離を置いて真正面に居る男は時折目を細めて考えるような態度。
 それでも足は止めていない。徐々にこちらに近付いていた。
 男はいきなり目を逸らし、少し早歩きになる。
 あのコンビニの近くに住んでいるとしたら、何故こんな所に来ているのだろうか。この辺りは住宅街でそれこそ3人の取り敢えずの目的地であるバス停しか無いし、ましてや男の進行方向は今授業を受けてきた学校位しか大きな建物は無い。
 1度目を逸らした男は2度とこちらを見ずに、3人の横を車道側を通って何事も無かったように過ぎた。
 そのまま少し無理をした早足でどんどんと遠ざかっていく。
 あの男に見間違いは無いと振り返るシンジ。どうして中途半端に目を逸らしたのかわからずに苛立って背を睨み付けるアスカ。
「調子乗った髪の色しちゃって、何かウザいってヤツね」
 後ろを向いて男の背を見たままアスカは首の後ろから髪をかき上げるように風に靡かせた。
「……何よ」
 ずっとこちらを見ているようなレイの視線にアスカが苛立ちを込めて尋ねる。
 その理由も「別に」とすらもレイは言わない。
 元からアスカを見ていなかったのかもしれないが、シンジにはわからない。

460:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 10:59:36
 ただ、気の所為かもしれないが、レイも通り過ぎていった男を気にしていたようには感じられた。


 屋外とはうって変わって本部内は酷く涼しい。涼しいを通り越して少々肌寒い。
 パソコンを使っての授業が一般と化してきた学校もある程度冷房を強めにしているが、ここ程ではない。
 来るまでに沢山かいた汗が休息に冷やされて、体調を崩さない方が可笑しい位。だがパイロット3人は慣れてしまったのか早々にプラグスーツに着替えてテストプラグに座っていた。
 プラグ内はLCLのお陰なのか必ず適温。屋外が暑かろうと本部内が寒かろうと、シンクロテストに影響が出る事は無い。
「シンジ君の伸び率は本当に凄いわね。感心せざるを得ないわ」
「そう……」
「気の無い返事ね。例えシンジ君が喜ばなくても、貴方は作戦部長として嬉しい筈でしょ?」
「そう……」
 溜息まで混じってきそうなミサトの返事に、逆にリツコが溜息を吐く。
 モニタリングされているパイロット3人は目を閉じている。瞑想している……のか、何も考えていないのか。リツコからすると隣に立つミサトも深く考えているようで何も考えていないように見えた。
 今週の頭からずっとこう……
 もう1度、今度はわざとらしく溜息を吐いてみる。が、ミサトは無反応。
「ミサト、貴方書類の整理残してたわよね」
「……え? あ、あぁ、そういえば残してたっけ。あぁー報告書って面倒臭いのよねぇー!」
 余りにもわざとらしい言い方はテストプラグ内のシンジにも聞こえている。

461:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 11:01:22
「そっちを優先してきたら? 別に貴方はここで見ていなくても良いんだから。後で結果をプリントアウトするわ。ハッキリ言わせてもらうけれど、そんな腑抜けた貴方が居ると迷惑なのよ」
 ミサトは答えない。
「仕事をする気が無いなら帰りなさいとまでは言わないわ。でもここに居られては迷惑よ。覇気の無い人間が居るだけで周りの士気も全て持っていかれる事位、作戦部長の貴方こそわかるでしょう」
 凛とした声に捲くし立てられて押し黙っているワケではない。
 寧ろ努力と根性のみで三佐まで上り詰めたミサトも言い返す能力は持っている。それをミサトも、目付きを鋭くしているリツコもわかっていた。
「どうせ後回しにしても問題無い報告書なんでしょうし、今の貴方じゃなかなか片付かないかもしれないけれど、ここに居て私達の業務を妨害するよりは貴方にとってマシだと思うわ」
 これがもし友人として楽しく会話をしている時分ならば、ミサトも流石に怒りを見せていただろう。
「ゴメン……そうね、行ってくるわ。定時に上がる予定だから、それまでにシンクロ率と武器操作テストの結果報告をお願い。パソコンの方にメールで構わないから。赤木博士、頼みました」
「承知しましたわ、葛城三佐」
 仕事を強く意識した時の2人の呼び方。
 薄いファイルを片手にしたミサトは日向に「遠距離中心の訓練させておいて」と耳元で指示を下して部屋を後にする。
 LCLの中、ゆっくりとシンジは目を開けた。
 ミサトのあの落ち着きの無さは、あの日の自分が原因なのだろうか。
 多分そうなのだろう。今の自分の落ち着き過ぎているようなテンションの低さは明らかに彼女が理由なのだから。

462:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 11:03:53
「ったく、ミサトの奴どうしちゃったのかしら。家でも何か変だったし」
 右側に通信窓が現れる。大袈裟に両手を顔の辺りに上げる外国人風のリアクション。些細なミサトの態度の変化に、アスカは気付いていた。
「アンタも最近ちょっと変よね。もしかしてアタシの見てない所で喧嘩でもしたの?」
「えっ?」
「はぁあーばっかみたい! ミサトもガキじゃないんだから。ま、アンタはガキだけどね」
 気付いていないのは寧ろシンジの方。シンジに負けずとも劣らない感受性豊かなアスカが共に暮らしている2人の変化を見逃すワケが無い。
 そしてそれを指摘しない辺り、ガキと称されたシンジよりも大人なの態度が取れている。
「シンジ君、大丈夫? 具合悪くなっちゃった?」
 優しいマヤの声が映像を伴わずに通信で入った。
「大丈夫です、すみません」
「そう? 葛城さん、別にシンジ君に怒ってるとかじゃないと思うわ。ほら、シンクロ率かなり伸びてるし」
 でも今この瞬間は下がったか何かしたのだろう。だから声を掛けてきたのだろう。
 再び目を閉じて、昼寝をする時に体を預けるようなイメージで。微かに鼻腔をくすぐるのはいかにも鉄分が豊富そうな血液の匂いだが、それでもプラグの内側に居れば徐々に心は落ち着きを取り戻してくる。
 次に目蓋を開く時にはいつもの自分でなくては。これ以上ミサトを困らせるワケにはいかなく、またそれ以上にアスカに気付かれたくはない。


 シンクロテストは簡単に終わり戦闘訓練に移る。先のミサトの指示通り遠距離からの射撃訓練をメインとするらしい。が、シンジにはプラグから出るように指示が下った。

463:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 11:06:24
「シンクロ率以外のデータも簡単に取らせてもらうわ」
「アタシ達のは良いの?」
 当然リツコの言葉にアスカは不服そうに疑問を投げかける。
「えぇ」
 それがまるで「お前達2人はデータを取るより出来ない事をしろ」と言われているように思える程アスカのプライドと日本語の理解力は高い。
 あまつさえ相手がレイ。アスカからするとどうにも相性が悪い。我慢が出来ない程嫌いではないが、我慢したくない程度には苦手な相手。シンジが居るなら未だしも、2人きりは勘弁してもらいたい。
「アタシ別に援護射撃なんて出来なくたって良いじゃん! 3人の中で先陣切るのってやっぱりアタシでしょ? だったら接近戦の練習だけすれば良いじゃない」
 周りが思っているよりもアスカは苛立っているらしい。声だけではなく、見事なまでに顔に表れていた。
「そもそも何で馬鹿シンジがやんないの? アタシやファーストより後から入ったんだから、シンジこそ訓練積ませるべきじゃない!」
 異国の血が混ざっている事を差し引いても尚整った形を無駄にひしゃげてアスカは声を大きくする。
「ちょっとシンクロ率の伸びが良いからって、特別扱いするつもり!? アタシ達は、アタシはもうどうでも良いってワケぇッ!?」
「落ち着きなさいアスカ、これは身長の問題だから」
「身長!?」
「そう。シンジ君の身長が伸びているの。だから測り直すだけよ」
 そこまで聞くと、漸くアスカの呼吸が落ち着いた。
「……何それ」
「可笑しな誤差が出ていると思ったら、言葉通り彼の身長が伸びていたの。勿論修正出来る範囲内だけど、この年頃はこれから更に伸びるだろうから、今の内に伸び率を測っておく、それだけよ」

464:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 11:08:39
「僕、身長伸びてますか?」
「自分自身じゃわからないでしょうけどね。それに、そんなに極端に伸びたワケじゃないわ」
 それでも測らなくてはならないとは、意外と面倒な仕事らしい。測られる側の自分は別に、測る側の人間や機械はさぞ面倒臭いだろう。
「2人に関してはこのまま戦闘訓練に移行するわ。こっちでプラグを繋ぐから、待っていて頂戴。シンジ君は上がって」
「はい」
 初号機に繋がれているテストプラグのみグゥンと音を立てて引き上げられる。
「シンクロ率も身長も、伸びて良かったですねー。ま、どっちもアタシには敵わないみたいだけど」
 プラグから出る寸前のアスカの通信。
 勿論シンジは答えず、しかしほんの少し唇を尖らせていた。


 所謂身体測定なので特別な人件費は割けない。故にリツコだけが『身体データ計測』を担当する事になった。
 大きなタオル―自宅で使うバスタオルとは違う感触がするし、どうやら素材が違うらしい―でスーツの上から体を拭いた後、計測器が有るらしい部屋へとリツコの後ろを歩く形で向かう。
「シンジ君、体が重くなったり軽くなったり、だるくなったという感じはしない?」
「重く?」
 2歩分以上前をコツコツと音を立てながら歩くリツコが振り返らずに尋ねてきた。
「特に、何も感じませんけど……僕、重くなったんですか?」
「そうよね。普通自分の些細な体重の変動には気付かないわ。ましてやシンジ君の場合身長が伸びた、純粋に成長した証拠の体重の変動……気付けという方が難しいわよね。それに……」
 呟いて、足は止めないが漸く肩越しにシンジの顔を見る。
「……もしかしたら体重は増えていないかもしれないし」

465:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 11:10:20
 それだけ言うとまた前を向いてしまう。
「見た感じ背が伸びたのに逞しくなった印象は無いし……加持君だったかしら、シンジ君の頬がこけて見えると言っていたわ」
 心当たりは無いがシンジは右手を自分の右頬に当ててみた。
 プラグスーツ越しの感触は今までと変わらない……と言いたいが、今までの感触がわからない。こんな風に触れてみた事等無いのだから、プラグスーツで触れても素手で触れているような感触だった事しかわからない。
「……ねぇ、ちょっと訊きたい事が有るんだけど、良いかしら?」
 唐突な言葉にシンジは小首を傾げた。
「余り人には聞かれたくないの。ここなら流石にビデオは設置されてないし、多分盗聴器の類も無いわ」
 漸く着いた『身体データ計測』を行う部屋の戸を開けながら言う。
 つまり他の部屋にはそれらが有る、らしい。別に見られたり聞かれたりして困る事は何も無いが。
「別に、構いませんけど」
 その返事にリツコは満足そうな笑みを見せた。開いた扉を抑えたままシンジを中へと招き入れる。
 そして器用に後ろ手にロックを掛けた。


「加持君の事なんだけど」
「加持さん?」
 予想外というか何というか。
 リツコの方が断然加持に近い位置に居るし、それでも訊けない事ならミサト辺りにでも訊きそうだが……しかし1度良いと言った手前引けない。
 しかし身長を測るより先に質問をされるとは。予想より広い室内はまるで市立体育館のトレーニングルームのようで、ここで加持の話をするのは不釣合いに思える。
「別にね、知らないなら良いのよ。ミサトのあの調子、加持君と何か有ったのかなと思っただけだから」

466:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 11:11:36
 しかしリツコは言い終えてから目を細める。
「……それだけだと少し嘘になるわね」
 言いたくない素振りを見せながら、本当は言いたい。女性は時折、酷くわかりやすい。
 その事にシンジは気付かなかったが、何も言えず黙っていればリツコから口を開いた。
「加持君の方に何か有ったのは間違い無いのよ。多分『お仕事』の関係でしょうけど」
 ここで言う仕事は何か特別な事なのだろうか、いやに強調されている。
 そんな彼女の雰囲気が恐ろしく思えてシンジは逃げるように部屋の中央へ、更に奥へと進んでリツコから離れた。
「その『お仕事』の都合で、彼はシンジ君の『お仕事』も知っているのね」
 予想ではなく断言に近い。
「ねぇ……加持君から何か聞かされていない? 例えば、どこに行ってきたとか、どこに行かなくてはならないとか」
「聞いて……ません」
 間は有ったが、嘘ではない。
 どこに行ったか、どこに行くかなんて聞かされていないし、そもそも本部の外で働いている事だって何と無く知った程度に過ぎない。
 見た目に反してどこかしっかりしている、頼れる大人として見ている面は有るが、よく考えれば秘密主義者を思わせる程に加持の手の内は教えてもらえない。
「言わないように口止された?」否定の意味で首を左右に振って見せたが「そう? 嘘は良くないわ。加持君に言っておいて頂戴。それを私に隠してあげるというのは取引材料にならないと」
 リツコの方が先に知っていた。それだけじゃない、先に客までなっていた。
「これはシンジ君にも言える事ね」
 そう言いながらリツコには余り似合わない大股で間合いを詰めてくる。

467:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 11:12:48
「私は貴方の知られたくない事を知っている。周りに知らされたくなければ正直に答えなさい、なんて言えてしまうのよ」
 入ってきたドアを見ると、赤く『LOOK』と表示されている。鍵を掛けられていた。言い直せば、閉じ込められていた。
「本当に知らない?」
「知りません」
 シンジにおいての精一杯の強い口調を向ける。
「そう……そうね、加持君がうっかり話す、なんて事はしないわね」
 いつの間にかシンジは後退して壁に背を付けているのに対し、計ったように互いの手1つ分程の距離でリツコは足を止めた。
「まさか加持君が大切なお客様だから言えません、なんて事は無いでしょうし?」
 語尾をわざとらしく上げて疑問形にする。
 そんな単純な誘導尋問にはもう掛からないし、端から加持は客ではない。
 不快。実に不快。加持と並んでいる姿を見て、加持の『客』だと思われるのは。加持に抱かれている自分を想像されるのは。
「すみません、本当に知らないんです。加持さんが今どこで働いてるのかも知らない」
 多少口調を強くしても身長の差でどうしても見上げる形になり迫力が出ない。
「じゃあ加持君に直接訊かなくてはならないわね」
「そうして下さい」
 降参を示すようにリツコは小さく溜め息を吐いて肩を落とす。
「……ねぇ、話は変わるけど、ミサトの様子に心当たりは無い?」
―ズキリ
 胸の奥の方に強い痛みを感じた。
 加持との関係は潔白を通り越して不快ですらあったが、ミサトとの間には彼女が調子を鈍らせる最たる理由が有る。
 残念ながらリツコはそれを見逃さない。


 照明器具は安っぽい白と黄色の混ざり合った色で2人を見下ろすように照らしている。

468:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 11:14:15
「もしかして、加持君に抱かれなかったけれど、ミサトは抱いた?」
 先程と違い悪意の込められたリツコの視線が刺さる。貫かれてしまいそうな程痛い。
 リツコから香るのはすっかり染み付いた煙草の香りと愛飲し過ぎているコーヒーの香りとそれらを隠す為に下品にならない程度に付けられた香水。
 全てが入り混じってはいるが、何故か不快な悪臭には感じない。
 それ所か脳髄を麻痺させる香りにすら思えた。誘惑、なんて言葉が相応しくも。
「身内をそんな仕事の客にするのは良くないわよ。私と寝て思わなかった?」
「別に、ミサトさんはお客さんとかじゃありません……」
「そうなの? ならどうして寝たの。若い性欲は『お仕事』だけじゃ発散出来なかったのかしら」
 声尻がクスクスと笑ってはいるが、その言葉は疑っているのではなく確信していた。
「年、15近く離れてるわよね?」若干の自嘲を含み「ミサトだって……貴方と同居をする際に言っていたわ。子供には手を出さないと。それとも、シンジ君は大人になったから別かしら?」
 ここで言う大人は当然性的な意味を持っていて、流石のシンジもそれには気付いて頬を染める。
「僕は……そんなんじゃ……」
「懲りてないのね」
 元から綺麗な肌をファンデーションで彩った顔が近付いてくる。先の3種の香りの他にリツコ自身の体臭も混ざったそれがシンジの目蓋を下ろさせた。
「もういい加減足を洗いなさい。大人達は皆困っているのよ。……なんてね。私はそんな事言うつもり、全く無いけれど……」
 耳に息を吹き掛ける要領で囁くリツコ。
 彼女の言う『大人』の困惑の理由が心配なのか迷惑なのかはわからない。


「……身長測るのは……未だ、ですか?」

469:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 11:16:35
 これだけで息が上がるなんて恥ずかしい。極力肩を動かさないように息をする。
「大丈夫よ、後からちゃんと測るから……こうして連れ込みたいからとそれらしい嘘を吐いたワケじゃないわ」
 近寄る胸元につい目が向いてしまう。
 見るからに大きく脱いでも大きかったミサトとは少し違った。
 今も羽織っている白衣が隠しているのでリツコの体のラインはわかりにくい。しかし白衣も衣服も脱ぎ捨てれば、ミサトにも負けずとも劣らない豊満な肉体を持っていた。
 体の作りからして違う。あれだけビールを煽っているミサトがスポーティーなスタイルの良さを維持しているのに対し、リツコからは少し不健康そうな印象を受ける。
 恐らく肌の色の違いが理由だ。日光に当たる機会が無ければ徹夜で深夜勤務を繰り返しているリツコは相当白い肌をしていた。
 そう脳内で比べているのも申し訳無い気がしてくる。
 自分より随分と年上の、それも親友同士の女性の肉体を並べて、まるで評価するように乳房の大きさを考える事は、例え周りの誰もがやっていたとしても、シンジには失礼でいやらしい事。
「ミサト、胸大きかったでしょ?」
 笑いを含んだ質問に素直にYesと答える所だった。
「私なんかの胸じゃ物足りない? この前は気に入ってくれていたと思うけれど……」
 言いながらその胸を擦り寄せてくる。リツコはヒールを履いた靴で少し背伸びをし、わざとシンジの顔に胸が当たるように調節した。
「私の胸は嫌い?」
「い、え……」
「いいえ?」
「いえ……好き、です……」
「本当? 好きなら、触っても良いのよ?」
 言葉に従い顔を下に向ける形で胸に埋める。
「う……」

470:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 11:18:21
 口も鼻も大きな胸とそれを隠す衣服に塞がれて息が詰まりそうになり、苦しさに目を伏せた。
「そう、何も見なくて良いのよ」
―ばさっ
 リツコが器用に両肩から白衣を落とし、両方の袖から腕を抜いて床へと脱ぎ捨てる。
 視界は塞がれきっていないのでリツコの白い腕が露になったのがよく見えた。
 こうして見てもレイの異様な白さにはやはり敵わない。
 レイの肌を思い出す。彼女の肌の色と温もりと、その時の息遣いと。
 簡単に思い出せる。想像ではなく回想。
 数少ない自分と親しくしてくれる女性と次々に体を重ねていく事実に気付いて、精神的な意味でも胸が苦しくなった。
「こんな時に別の人の事を考えるなんて、本当誰かさんにソックリね」
 笑いを含んだ優しい言葉と、苛立ちを含んだ冗談の無い眼差し。
「お客さんにそんな態度をとっていては商売上がったりじゃないの?」
 リツコの左手がシンジの右手首を捕えた。
「それとも、前払いをしない女は客じゃないのかしら?」
 プラグスーツの手首に有るのは体にフィットさせるボタン。
 勿論フィットしている状態で押せば、着る前の異様なまでにダボダボとした大きなサイズになる。
「止め……止めて、下さい」
 抵抗の意思が余り見えない声しか出せない。
 まるで舌先で焦らすようにリツコの親指の腹は手首を撫で続け、自然と右手を上げる形にされた。
 自由になる筈の左手は動いてくれない。まるで望んでいるかのような態度が、本当は許せない筈なのに。
「どう、して……こんな事、するんですか……?」
「シンジ君はどうしてこんな事続けているのかしら?」
 何故と訊かれても答えは持ち合わせていない。

471:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/03 11:29:51
うおおおおおおおおおおおおおお
孔雀神きたこれーーーーーーーーーーーー

おかえりなさい!!!

472:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 12:00:48
 最初の頃は色々と理由が有った気はするが……
 強いて挙げるならほぼ毎週お買い上げしてくれるあのお客様が、もう会わないと言ったら何をしてくるかわからないから、辺りだろうか。
 こうやって女性に迫られているのに全く違う印象を覚える。
 ましてやリツコは性行した際に優しく―とまで言っては大袈裟か―された記憶も深い。このまま身を任せたくなる程。
―カチッ
 小さな音が右手首から聞こえた。
 次の瞬間にはもう肌とプラグスーツの間に大量の空気が流れ込んでいる。
「シンジ君、お願いが有るの」頬を擦り寄せて耳元で「この仕事……ずっと続けて頂戴」
 甘い囁きのような声は意外な言葉を紡いだ。
「続け……る?」
 止めろ、ではなく? 誰もが、買った客までもが言ってきた言葉とは正反対の意味。
「もっと私と寝なさいって意味じゃないわ」
 だから安心しなさい、とでも言いたげなリツコ。
 首の後ろにリツコの手が回り、構造全てがわかっている手付きでプラグスーツが前後に開かれた。
 そのまま滑らすように脱がされる。
「身長は伸びたけれど、体重は変わってないかもしれないわね」
 可哀想な位男として頼りないむき出しのシンジの肌に濃い口紅で彩られた唇を落とす。
 吸い付くワケでも舐めあげるワケでもなく押し付けられた唇はゆるゆると鎖骨の辺りを往復した。
「は、あ……」
 金色に染め上げた―正確には脱色した―前髪が肌に触れてくすぐったい。
「どうしてか、知りたい?」
 離れた唇が尋ねる。顔が上がっていないのでこちらを見ていない


「復讐よ」
 聞き返したいが声にならない。
 しかしリツコが先に言葉を繋げた。

473:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 12:02:44
「私じゃどうしようも出来ないから、シンジ君にお手伝いしてもらいたいの。貴方がこうしてお仕事を続ける事で私はあの人に復讐出来る」
「誰かに言うんですか?」
 あの人が誰を指すのかわからない。しかし出来るなら他人には知られたくない。
 ましてやリツコの知人に知られるとなると……最も知られたくない人間の耳に入る可能性も高くなる。
 最も知られたくない人。―父親。この期に及んで未だ父親にだけは知られたくないと考えているなんて滑稽だ。
 蔑みたければ蔑めば良い。父親なんて大嫌いだ。……そう思いながらこんな時にまで気にしているなんて。
「わざわざ言ったりはしないわよ」
 その後の質問はリツコの唇にシンジのそれを塞がれてしまい言葉にならなかった。
 考える間も与えずに舌が咥内に押し入って暴れる。鼻から漏れ合う互いの息が熱くて苦しい。
 苦しいのはそれだけじゃない。意図的に分泌させた唾液を送り込まれ、苦い薬を飲まなくてはならない時のような喉の弁の開かなさが苦し過ぎる。
 頭の芯を暈そうとする濃い口付けは2分程続き、リツコが体を起こす事によって終わった。
 唾液が橋を作るなんて物ではない。唇を重ねている最中からシンジの口の端は唾液でドロドロに汚れている。
 それを身長差で見下ろすリツコ。
 馬鹿にされているのか、子供と舐められているのか、両方なのか。
 挑発的を通り越して侮蔑にすら見える視線がシンジを刺す。
「面倒だから始めちゃいましょう。前戯なんか要らないわ」
「でも、ちゃんとしなきゃ……」
「した所で何が変わるのかしら? 放っておいたってちゃんと挿入るし、妊娠の確率が変わるワケでもないわ」

474:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 12:04:43
 リツコは短いスカートの下から右手を入れて股間を通り越してウエストの辺りを探る。こんなにも近く、そしてスカートも上がりきっていないので何をしているかは見えない。
 漸くリツコの手が下りて、同時にベージュのストッキングとその下の白に近い色らしい下着がまとめて下りてきて何をしていたのかがわかった。
「僕……あの、僕……」
 愛撫をしなくてはならないという義務感か、もしくはただ触れたいと思ってしまう思春期少年のサガか、シンジは恐る恐る右手を伸ばす。
 が、その右手と反対の左手をリツコの手が捕らえた。
「早く始めて早く終わらせましょう」
 性交ではなく復讐。
 赤い口紅を唾液でたっぷりと汚した唇が素早く告げる。
 未だストッキングに覆われた膝がシンジの脱げ掛けのプラグスーツを器用に下ろした。
 露にされた半勃ちの性器が外気で冷やされる。この感触は自分で考えていたよりも勃ち方が大きいからだろうか。
 膝で性器を一通り弄んだリツコは胸を中心にシンジに全身を預ける。
「ん……」
「重たい、なんて言っちゃ駄目よ。どの時代も女性は己の体重を異様なまでに気にかけるのだから」
「……リツコさんも、そうなんですか?」
 掠れた疑問の声に、リツコは小さく鼻で笑った。
「そうね、私も女だわ。……私の『女』の感想は終わった後にでも聞かせてもらおうかしらね」
 性器の先端が湿りを帯びた柔らかな肉に触れる。
 漸くシンジの性器が先端まで血を巡らせて完全にそそり立つ形になったが、リツコの位置からでは近過ぎて見えない。
 そのまま挿入せずにリツコは腰をグラインドさせる。ゾリゾリ、と独特な感触が背筋を通って頭まで響いた。

475:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 12:06:33
 荒い息とくぐもった声がシンジの口から垂れるのをリツコは聞き逃さない。
「切り揃えておいたここが好きだなんて、貴方達本当にそっくりよ。尤も、どうせ好きな理由は違うんでしょうけれど」
 誰とどう比べているのか今のシンジでは考える余裕も無いが、見下されているであろう事は想像が出来る。
 巧みにリツコは腰を動かして剃毛した丘を過ぎて性器を陰核へと導いた。
「あぁ、うぅんッ……」
 演技をしているかのような耳に響くわざとらしい声にシンジの腰がガクガクと震える。
「ねぇ……このトロトロとした先走りだけでも、妊娠する時はしてしまうって、ちゃんと知ってる?」
 普段の白衣をピシッと音が出る程に着こなしたリツコには似つかわしくない語尾が蕩けるように甘く延びた言葉。
「はい……あ、んぅ、知ってます」
 余り返事をしたくはない。出した声が上擦っている事をこのリツコが見逃してくれる筈が無い。
「じゃあお仕事の時はこの時点で避妊をしているのかしら?」
「してます……」
「そう……本当?」
 顔がどんどん赤くなっていくのも、胸元にじんわりと汗をかいていくのも、つまりシンジは自分が興奮していく事をよくわかっている。
 返事はついに声を出さずに頷く事に行き着いた。
「避妊方法は? コンドーム?」
 そんな事に答えて何になるのだろうか。それでもその通りだと頷く。頷かされる。大きく、無駄にぶんぶんと頭を振ってしまう。
「可哀想に、貴方も面倒だと思っているんでしょう? ああ、何て可哀想」
 舞台女優の大げさな芝居のような口振り。
 この事実を『彼』が知ったら、もっと可哀想。嗚呼可哀想なのは果たしてどちらだろう?

476:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 12:08:18
 嬉々としたリツコは1番可哀想の言葉を向けられるのが自分だと気付かずに、膣口を意図的に広げて蜜を益々垂らした。


 ポタポタと愛液が性器に落ちてはなぞるように太股へと伝う。
 リツコの愛液は本来の意味を成してリツコの膣はいつでも誰でも何でも受け入れられる状態になっており、それを知ったかのようにシンジの性器はムクムクと膨らんだ。
 だがそれをシンジが自ら挿れるのではない。
 リツコがいきり勃ったそれを玩具を扱うかのように自分の膣へ飲み込ませる。
―ドロッ
 いつの間にかすっかり濡れそぼった―なんて言葉では足りない程になっていた―のか不明の膣は抵抗を一切見せずにシンジの性器を飲み込んだ。
「は、あぅ……くっ……」
 シンジは自分の口から漏れる声を堪えきれない。例え声を出そうと出すまいと、飲み込まれる悦楽も恐怖も変わらないのに。
 その声に気分を良くしたらしいリツコの視線が上から刺さる。
 制御出来ない性器を女の自由にされて、頬を真っ赤に染め上げながら喘ぎ声を漏らす子供。
 それはリツコにとって普段有り得ないシチュエーション。
 リツコの好みに合致したのか、はたまた違うが単に珍しいからなのか、挿入すると同時に無理矢理腰を上下し始めた。
「ああぁっ! ううぅぅぁっ……ぐっ」
 ネルフ本部内はどんなに大声を上げようとも外に漏れたりはしないだろうが、それでも男の自分がこんなに声を出しているのは恥ずかしい。
 根元まで飲み込まれた性器が、その根元から全てを吸い上げられる感触。奪われてはならないと声はどんどん大きくなる。

477:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 12:10:25
 快楽に負けて強く閉じていた目を開けると、その目前にはリツコの豊かな胸が迫っている。どの女性とも形・弾力・色と、全て違う乳房。
 過去に見た事が有る筈の、だが初めて見る気がしてならないそれが上下に弾んで、どうにも恥ずかしい。
―ぬぷっ、ぬぷっ、ぐぷっ……
 膝で動くリツコが少し体勢を崩すと、必ず嚢が押し潰されるように刺激される。ほんの少し痛むように苦しく、それが何故か気持ち良い。
 口を真一文字に結んだリツコは声を出さない。変わりに唸り声に聞こえる息を漏らし、それがシンジの耳には嫌に響いて思考を麻痺させた。
 幾らロックをしたとはいえ、何かの切っ掛けで扉が開いてしまうかもしれないし、リツコが知らないだけで監視カメラが有るかもしれない。
 そう考えてリツコを制止するつもりだったのに、今はもう何も考えられず、何度も性器の上から下まで移動する細かにプツプツとした感触の有る粘液の壁しか考えられなくなっている。
「ふ、ふぅ、う……あ、アぁ……出ちゃ、う……ンんぅ……」
 早いと言われるかもしれない。それでもいきなり射精してしまうよりは良い。
 気付けばまた閉じていた目を開いてリツコを見る。良いと言ってくれる事を願って。
 言わないワケが無いだろう。そんな残忍な事を言うのはあの人位だ。
 ふと、脳裏にその名前が浮かび、目の前のリツコの顔がその女の顔に摩り替わる。
 痛い事、苦しい事、恥ずかしい事を沢山させてくる。嫌で嫌で仕方無いのに、お金が欲しいから全部受け入れる自分。
 そしてそれを楽しそうに見ている―見下している、か?―あの目にすら欲情しているのだと気付かされた。

478:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 12:12:50
「どうしたの? 未だイカなくて、大丈夫なの? 良いのよ、私を置いてイッて頂戴?」
 どうせお前にはイカせられないだろう、と言ってくれても構わないのに。あの人なら言うのに。言ってくれるのに。
 きっと聞こえないだけだ。そう思いたくて、シンジも膝を使って何とか腰を上下させてみる。
 元から経験した事の無い無理な体勢で、更にリツコは身長から割り出される体重よりかなり軽いが、それでも成長期に片足を突っ込んだ程度のシンジにとっては重たい。言うなと言われたが、やはり重たい。
「……ンっ」
 自分からはゆるゆるとした動きしか出来なかったが、それでも漸くリツコが声を上げた。
 運動の後の少し掠れた声は高過ぎず艶かしい。
 自分がリツコを支配しているのか、それともされているのか。昂り過ぎて一層射精出来ないまま逝ってしまいたい考えが頭に浮かんだシンジは更に腰を左右に揺らす。
「アうっ、ウ、おぁ、僕ッ! も、もう……イキた……」
 未開の地の無い膣内を縦に抉られるだけではなく、肉壁への悦楽にリツコの生殖器がキュッと締め付けてきた。
 そこに、ぶちまけたい。
 声にならない言葉の変わりに、口の端からだらしなく唾液が垂れる。
―ガタガタガタッ
 足元で何かが振動する音。と、同時に。
「は、あ……ッ!」
―どくん
 心臓が跳ねるような、張り裂けるような音を感じさせながら精を一気に放出する。
 膣の外でなければ奥でもない、ただその中に大量に吐き出された精は本来の目的を思い出したかのように奥へ奥へと進んでいく。勿論見えるワケではないが、シンジはそれを感じられた。
 そしてそれは酷く気持ち良い。射精した事以上に。

479:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 12:14:18
 耐えられず腰がカクカクと動く。
「……っ、う、くっ」
 今日の為に精巣の奥に溜められていた精の全てを重力に逆らって注ぎ込む。何の感慨も無いのか、リツコは何も言ってこない。
 罵る言葉も誉める言葉も、自分の悦を呟く声すらも無い。
 それでもある程度は満足したらしく脱力した体を預けてきた。
「はぁ、は……あ……ど、うして……」
 これが一体どんな復讐になるのか。誰に対しての復讐になるのか。シンジには検討も付かない。
 ただ内罰的な考えをもってすると、親友のミサトを抱いた自分に対しての何らかの復讐、なのかもしれないと考えられる。
 こんなにも申し訳無い気持ちにさせられるのだから。
「……どうしてか知りたかったら、今日の夜に貴方を1番大事にしている人に電話をしてみれば良いわ」
 言い終えてから大きく深呼吸を1度してリツコは体を離す。


 リツコの体が離れると、急速に体が冷えていく気がした。
 他人の温もりを欲している……否、単に自分を囲んでいた物体が消えて火照って上昇した体温よりも低い空気が体に当たるだけ。
 風によって着崩れした服を直すだけの手付きでリツコは素早く衣服を着直す。
 そして屈んで白衣を、そのポケットの中に入っていた携帯電話を拾い上げた。
 先程のガタガタという振動音はそれだったのかとシンジが察する前にリツコは携帯電話を開いて小さく溜息を漏らす。
「どうしたんですか……?」
 幾分呼吸が整わないシンジの問い掛けに、リツコは平然とした表情で目を合わせた。
 まるで2人の間には何事も無かったかのように。

480:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 12:16:26
「アスカがご立腹みたいなの。貴方が戻らないから。身長を測るのに何時間掛けるつもりか、って。戦闘訓練の真っ最中に何度も怒られたってマヤからメールが入っちゃって」
 携帯の画面とシンジの顔を見比べてからリツコは己の顔立ちに良く似合う、ともすれば自嘲的にも見える笑みを口の端に乗せる。
「何て言えば良いのかしらね。アスカ、勘付いているんじゃない?」
「まさかッ!」
 疲れきった喉から出る声は裏返ってしまった。
 アスカに知られているワケが無い。知られたくはない。
「……多分、大丈夫です」
 目を少し細めてみてくるリツコに安心させようとする言葉等必要無いのに。
 もしかすると、自分が安堵したいだけ、なのだろうか。
「どうしたの? 顔が赤いわよ。大丈夫じゃないの?」
 どこか冷たい微笑が含まれている。
 大丈夫だと断言出来ないし、否定もしたくない。シンジは声を口をつぐんで首を左右に振った。
 リツコは右手だけで携帯電話を操作して耳に当てる。
「もしもし? えぇ私。もう少し待ってもらえる? シンジ君も男の子だもの、私の前では脱ぎたがらないの。でも私が居ないと調べられないから手をこまねいていた所よ」
 脱がない、と強調するように告げるリツコを遮る事は出来ない。
 もしも電話の奥からこちらが見えていたら……そう考えると恥ずかしいし参るが、何故か同時に吐き出したばかりの愛液に汚れた性器がむくりと鎌首をもたげてしまう。
 遂に体は自分の意思を大きく外れて悦だけを追うようになってしまったのか。
「……えぇ、頼んだわよ」
 電話が終わる。白衣のポケットに無造作に入れてヒールを1度カツン、と鳴らした。

481:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 12:18:21
「じゃあ測りましょうか、身長」
「あ……は、はい」
「ほら、プラグスーツをちゃんと着て」
「着るんですか?」
「そうよ。どうしても全裸で測りたいと言うなら、私は別に構わないけれど。でもここは冷房がきちんと入っているからお勧めは出来ないわ。ただでさえ汗をかいた体は熱を放出しやすいのだから、すぐに風邪を引いてしまうわよ」
 淡々と説明してくれる口調は日頃のリツコと何ら代わり無い。
 その声で先程自分を慕ってくれているマヤに嘘を吐いていたのかと思うと、別にシンジ自身がした事ではないのに胸が痛む。
 だがやはりリツコの言葉に間違いは無く、早々に体が冷えてきたのでシンジは素直にプラグスーツを着た。
 そして着終えて先程の料金と金を渡された後、本当に素直に身長を測定される事になる。
 どうせ午前と午後では身長が違うのだから、午前中に測って少しでも高く見せられれば良かったのにね、とリツコが軽い冗談を言うとも思っていなかったし、数センチだが本当に身長が伸びていたのも予想外だった。


 身長と何故か体重も―だけ、の方が正しいかもしれない程念入りに―測られてシンジの身体測定もどきは終了し、戻る頃には制服に着替えたレイとアスカの2人が待っていた。
 後者は兎に角苛立ちを露にして、よくわからない理由で責め立ててきた。それは帰宅してからも変わらずで―
「ンもぉーこんなに帰りが遅くなったのも全部アンタの所為よ!」
「ごめん……」
「ご飯が遅くなったのだって、アンタの所為なんだからね!」
「ごめん」
「ミサトがなんにも言わないから、反省しないアンタの為にアタシが言ってあげてるんだから!」
「ごめん!!」

482:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 13:00:07
 何度謝ろうとアスカは引かないし、その内謝り方にまで難癖を付けてきそうな雰囲気の漂う夕食。
 2人を見ながらミサトは苦笑気味に夕食とビールを楽しんでいる。
 そう、楽しい。アスカが心の奥底からシンジに怨みを持って罵りたいワケではない事はわかる。
 足元で魚をつついているペンペンにすらこの3人独特の夕食の楽しみ方が、それを楽しんでいる事がわかる筈だ。
 ただ1つだけ、シンジは心に引っ掛かる事が有る。
「……どうしたのよ?」
「別に」
 もしも例え誤魔化してだろうと口にしたら、よくわからないけれどきっとアスカは機嫌を更に損ねそうな気がするので言わない。
 情事の後、リツコから垂らすように与えられたヒント。
 でも心当たりが無いので答えが絶対に見付からない。
 シンジは『自分を1番想ってくれている他人』が誰だかわからない。
 キーキーと騒いでいながらも黙り込むと急に心配そうに伺ってくるアスカが、果たして自分を1番に慕っているのかと問われると答えは出ない。
「ご馳走様」
「もう良いの?」
「はい」
 自分用にと配膳された―配膳したのはシンジ自身だが―ご飯と味噌汁は一応綺麗に空にした。
 食器を台所へ運ぶ間にミサトは背に不安気な視線を刺してきたが、イコール1番大事に想っている、にはならない。
 なれば良いのに、とは思うけれど。でもきっとならない。
 そうして自ら可能性を排除して、他者から見れば望んで孤独に飛び込んでいっている状況に陥っている事に、シンジは未だ気付けないでいた。
「何? ダイエット? 折角伸びた身長が縮むわよ」
「縮まないよ」

483:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 13:02:41
 アスカがやたらと絡んでくるのは身長を抜かれるのが嫌だから、とかかもしれない。勝手にそう解釈したシンジの顔が綻ぶ。
 食器洗いの当番はいつの間にやら何故か毎日シンジになっていたが、未だ2人共食べ終わっていないので今すぐする必要は無い。
 もし「どこへ行くの?」と聞かれればそう答えようと言い訳を胸に持って、途中魚を1口で飲み込むペンペンの頭を屈んで撫でて、シンジは自室へ向かった。


 かなり狭く、これを部屋と呼んでは他の部屋に怒られてしまいそうだが、シンジは今の与えられた自室もそれなりに気に入っていた。
 広過ぎて落ち着かなくなるよりは、多少手狭でも充分事足りる部屋の方が単純に好みなのかもしれない。
 その中のベッドの上に腰掛けて、携帯電話を鞄から取り出す。
 携帯していないワケではないが常に手元に置いているワケでもない。もし手元から消えても非常時の連絡が取れなくなって困る程度で、自ら買いに行ったり欲しいと強請ったりするつもりは無い。
 ……今は少し違うが。
 『客』との連絡手段は携帯電話が基本。大半の客はその場で会って買ってもらってもう2度と会わないが、中には今1番稼がせてもらっている女性のように繰り返し会う事になる大人も居る。
 今や携帯電話のアドレス帳に入っている人数の丁度半分が客になっていた。
 そのうちの1人の名前をディスプレイにさせる。
 リツコがこの人を知っているワケが無い。だけど、多分自分を今1番大事に想ってくれているのはこの人だ。
 ―当然シンジのその考えは大外れで、リツコは今『彼』の隣で電話が鳴ってしまわないかと嫌な期待をしているのだが。

484:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/03 13:05:39
 電話番号を表示させて、音声通話で発信。
 こちらから電話をするのはもしかすると……否、もしかしなくても初めてで酷く緊張する。
 呼び出し音が3度。それに負けじと煩く響く心音の所為で胸が妙に痛い。
―カチャッ
[はい?]
 どこか不審そうな声で相手が出た。
「も、もしもし、あの……碇シンジです」
 誰かがこんな仕事をするなら偽名を使えと言っていた気がするが、そんな名前生憎持ち合わせていないし、相手にも既に本名を名乗ってしまっている。
[……何か有ったとか?]
 シンジから電話が掛かってくる事が初めての相手は当然驚いて、寧ろ疑っているらしく声が低い。
「い、いえ、何でも無いんです! その……」
 やはりリツコの指した人物はこの人じゃなかったのだろうか。それとも、この電話に何か意味が有るのだろうか。
 わからないが、別段用事が有ったワケでもない。話題提供の苦手なシンジは必死に言葉を、話のネタを探した。
「……あの、今日のお昼、ちょっと気になって」
[昼?]
「はい。……返事、無かったから。土曜日の事」
 気にして電話をくれたのかと合点した1番客の女性の声はこの瞬間に華やかになる。

続く。

485:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/03 13:11:30
キター!!


孔雀氏おかえりなさい!!そしてお疲れ様!
パソコンはもう大丈夫なの?


いやーしかし、相変わらず圧倒的な技量に飲み込まれてしまった
wktkがとまらない

486:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/03 18:50:11
乙です

487:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/03 20:11:21
              *     +
           +  ∩_ _∩  
  キタァ━━━( ゚∀゚)━━━!!!
         +   ノ  /
           +  (つ ノ  +
              (ノ  *
        + * +
      +
        * +
    +

 孔雀氏まってたよ!

488:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/04 01:10:54
相変わらずGJ!

489:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/04 03:20:12
気になる気になる

490:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/08 01:12:41
愛からわず樹になる

491:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/08 01:21:48 HwX3JtI9


492:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/08 01:24:27
孔雀さん、乙!
すごいGJ!こんな引き込まれる内容とは…
興奮しながら読み耽りました(´ω`)

493:カラシ
07/09/08 01:46:28
凄いです…!前々からロムさせて頂いてたのですが、文章力も素晴らしいですし、なによりも発想が素敵過ぎます。


ネ申 職人様と呼ばせて下さい!!


師匠と呼ばせてもらいたいです。

494:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/11 12:40:49
この職人さんの文章力…見事だ。GJ

495:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/17 13:50:18
エヴァ板良スレ保守委員会

496:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/17 14:29:50
孔雀氏はエヴァ板の中でも最上級の職人だと思う。


同じSS書きの自分から見ても遥かに足元に及びまへん…!

497:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/17 15:00:08
人物の書き方にリアリティがあるというか、上手い。マジで。


498:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/17 20:44:54
本当にプロとして作家活動をされているのかと思うくらいです。


とにかく、

すんばらしい!

499:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/19 13:20:05
久しく見ていなかったが孔雀氏凄い。

読みやすくそしてハラハラさせる。練りこまれたストーリーにジェラシー。

500:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/19 23:05:40
いや、本当に悔しい!

自分にはここまで書けないです。

501:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 20:05:39
>>512カラシさん
弟子はとっていないっていうか寧ろ俺の師匠になって下さい。学びたい。

ちょいとチラ裏なんだけど
いきなり了承も無く来月から時給下がるそうで、ただでさえ今月シフト少ない貧乏フリーターの俺はいつパソ修理に出せば良いんだよって話なんですよ
つかセンターに出さなきゃ直らない程ヤバい状況らしいのにパソ使うってどうなんだろうね
でも休みが多かったんでうっかり書きまくったら出来たんで投下します

・エロくない代わりにグロいかもしれない(お前にはこれがエロなのかとか訊かない
・やおいのターンは次でも怒らない(リクエストは嬉しいし答える予定だけど今回は無いんですスマソ
・間違っても真似しない(売買春やドラッグは犯罪です

502:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 20:08:10
 冷房を付けていなくてもそんなに暑くならない部屋を彼女は気に入っているらしかった。
 確かに暑くはない。寧ろ、少し肌寒い。
 それはシンジが全裸だから。
 あまつさえ四つん這いになり、その背にオレンジジュースの入ったグラスが乗っているから。
 ワインの方が雰囲気が出るけれどアルコールは得意じゃない、と彼女は注ぎながら言っていた。実際酒の話をした記憶は無い。
「……は、ぁ」
「煩い」
 短い言葉で制される。
 背中が冷たいです。スナック菓子の小さなカスがくすぐったいです。両手が疲れて痺れました。僕もDVDが見たいです。
 もう何も言えないシンジは、今はただのテーブル。ジュースの入ったグラスと、スナック菓子を飾った皿を置かれて、ソファに座る女性とテレビの間に置かれた家具。
 それでも「椅子にしたら折れちゃいそうだから」と、お客様なりの譲歩が有ったらしい。
 DVDを見ると言った時に流行りの映画か何かかと思ったので、アーティストのライブ映像だった時は少し驚いた。
 余り知らないアーティストなので斬新で、面白いと言えば面白い。
 それに、先日のリツコと違い、彼女のする事・させる事は決してシンジや誰かに対する憎悪の感情が無い。
 寧ろ愛情に近い何らかの感情すら向けてくれている気すらする。
 そんな素敵な物ではないが、そうするのが楽しいとか、そうすれば気持ち良いとか、所謂プラス側の感情が込められているのは確かだ。
 だからだろう、甘んじて受け入れられるのは。グラスのかいた汗が背に伝って冷たくても我慢出来るのは。
「く……」
 しかし1つだけ入っている氷が溶けてしまっては、つい声も出てしまう。

503:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 20:10:02
 再びオレンジジュースよりも冷ややかな声が掛かるかと思ったシンジの耳に届いたのは意外な言葉だった。
「……この前、電話有難う」
「でん、わ……?」
 腕が痺れて声が震える。
「うん。メールの返事全然出来なかった時……あの日ね、仕事で本当に、本っ当に疲れきってて。メールを打つのに携帯の画面を見るのだって辛いかもって思ってたんだ」
 大好きなアーティストの大好きな曲に真剣な彼女はこちらを見ていない。
「シンジ君って余り電話が好きじゃなさそうだったから、まさかかかってくるなんて思わなくて」
 確かに、正直に言えば電話は苦手だった。
 表情や身振り手振りが見えないのは恐ろしい。声色だけで相手の些細な感情を掴める能力なんて当然持ち合わせていないし、相手がどこでどんな事をしているか見えないのもまた怖い。
 声だけで済む、互いに顔を見せ合わなくても済むと考えれば少しは気が楽になるのだが。
「私も特別電話が好きって程じゃないんだけど、でもシンジ君からの電話は凄い嬉しかった」
「女の人は……電話、好きじゃないんですか?」
「あぁ、女の子って長電話するもんね。私も偶にやるよ? 女の子同士限定で、だけど」
 そういう意味ではなかったのだが。取り敢えず訂正はしないし出来ない。テーブルの自分の言葉を聞いてもらい、返事を貰った事に感謝しなくては。
 この『仕事』の都合で携帯電話を使う時、一定の法則が有る事にシンジは気付いた。
 男性は電話、女性はメール。
 勿論どちらも使う人も居れば、どちらも使わずに連絡先を教えているのに会った所で待ち伏せている人も居るのだが、比較的その組み合わせが多い。

504:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 20:12:15
 目の前で再びスナック菓子に手を付けた彼女もまた女性らしくメールでばかり連絡を取ろうとする。
 だから貴方もメール派ですか? と聞いたつもりだったが……顔を合わせていても上手く会話が出来るとは限らない。
「……誰かと比べてるの?」
「え?」
―カシャン
 僅かに動いた拍子にグラスと皿がぶつかって甲高い音を立てた。
「だ、誰と、ですか?」
「それは私が訊いてるの」
 声が少し低くなった。怒っているのか、悲しんでいるのか。少なくとも楽しそうではない。
「他のお客さんとか? それとも、もしかしてガールフレンド?」
「あの……」
「私、こうして毎週シンジ君と会ってるのに、例えばあの日一緒に居たオバさんみたいな女の人と同じラインに立っているのかな?」
 答えない。答えられない。本当のテーブルになってしまいたい。
「週末しか男娼ごっこしてないって言ってたよね? じゃあ毎週末一緒に居るんだから、今はしてないんだよね? 欲しい物が有るんだったらプレゼントしちゃうし、何か他のお客さんの方が良いーとかだけは言われたくないの! ねぇ、私はッ!」
「僕はッ! その、僕は、そんなつもりじゃ……誰かと比べたり、したワケじゃ……」
 そう舌は語るが誰かと比べてしまっているのかもしれない。他の客や、客と違ってもっと身近な女性達と。
 意味をわかってもらいたいなら『好き』と言うだけで良いのに、女の口からは一向にその言葉は出てこない。その一言だけでシンジは無二の存在と認め一気に傾倒出来るのに。
 何も言われずに背に乗せられていた食器が1つ、また1つと下ろされる。
「……あの」
「もう、どうして私の言う事がきけないのッ!!」

505:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 20:13:58
 突如、逆上に近い声で叫びながら、シンジの左腕が掴まれた。
「う、わっ!?」
 そのまま事故車が横転するように寝転がされ、仰向けにされ、肉付きが悪く見える程薄い腹に踵が落とされる。
「ちゃんとお金も払って、可愛がってあげてるじゃない! 何が足りないって言うのよ!!」
 声を荒げて、他者の痛み等「い」の字も興味が無いといった調子。足首だけが妙に細い足からの暴力。
 望まれぬ子供が親からの虐待を受ける非日常が、今や日常茶飯事でお茶の間に報道されているが、あの『可哀想』を形容詞にした少年少女―それよりも幼児や幼女の方が言葉として相応しい―はこんな気持ちなのだろうか。
 痛過ぎて、痛いよりも先に怖いと体が叫ぶ感覚。
 文字通り息をする間も無く襲い掛かる暴力で、シンジは助けてと拒む事はおろか、寝返りを打つように逃げる事すら出来ない。
 ……が、彼女曰く『一方的な喧嘩』は3分程続いて終わり、途端に静寂が訪れた。
「……か、はっ……ゴメ、なさい……」
 何を言えば良いのかわからないが、この静寂は出来れば打破したい。そう考えてシンジは口癖になってしまいそうな謝罪の言葉を述べる。
「ねぇ」
 謝った事に対して何も無く、自分から謝る事は当然無く、くしゃみで止まった話を続けるような声音。
「ちょっと待ってて。怒ってないから、ちょっとだけ待ってて」
 良いとも悪いとも、どうしてと尋ねる間も与えずに彼女は冷蔵庫へと走って向かった。
 両手を広げて、足を伸ばして、大の字になってシンジは目を閉じる。自分の体の中心の腹部が酷く痛む。
 だが決して命に別状は無いだろうし、骨が折れただの内臓が破裂しただのといった事にもなっていない。

506:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 20:16:06
 嗚呼良かった。……とは流石に思えない。
「もう寝ちゃったの?」
 慌てて目をパチリと開けると、穏やかな表情で顔を覗き込まれていた。
「良かった、狸寝入りでも嫌だよ。ね、起きれるでしょ? ベッド行こう?」
「ベッド?」
 玄関から1番離れた所に有る、一人暮らしなのに女性1人で眠るには大き目の、少しマットが硬過ぎるベッド。
 シンジが思うベッドはそれで、彼女の言うベッドもそれ。
「意味、わかる?」
 首を左右に振ろうとしたが、それより先に二の腕を掴まれた。
 先程の跡が残る程強い掴み方とは違う。痛くなく、それでいてしっかりと引っ張られる。
 逆らえないのは腹部が酷く痛むから、だけではないと思いたい。


 ベッドの上に2人向かい合って座る図は、もし傍から見る人が居れば滑稽だったかもしれない。
 腹部が痛むので体を丸める意味でも膝を抱えたかったが、全裸で―2人で居るには―広くないベッドの上でそんな体勢になる勇気をシンジは持ち合わせていなかった。
 そんなシンジの顔の前に伸ばされる両手。
「これは…?」
 1つは、左手にしている方はよく見知っている。
「コンドーム。やっぱり、避妊しなきゃ駄目でしょ? 私ピルとか飲んでないし、何より結婚してないのに避妊しないでエッチする人って馬鹿だと思う。デキちゃった結婚とか、本当馬鹿で気持ち悪い!」
「そうですか?」
「思わない?」
 考えた事も無かったシンジは首を傾げて見せた。
 それよりも右手のもう1つの物が気になる。
 風邪を引いた時なんかに飲む薬の、箱から出してきたばかりの状態のようなそれ。
「あの……そっちは?」

507:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 20:17:52
 我慢出来ずに尋ねると、その手が少し遠ざかった。
「何でしょう?」
 楽しげに問われてもわからない。
「普通じゃなくなるお薬」
 やはり見た目通り薬らしい。
 錠剤ではなくカプセルで、未だ1つも使った形跡は無い。
 子供でも飲めそうな小ささだが、大人でも拒みたくなる片側が紫色で反対側は蛍光色にも見える黄色のカプセル。
「このままエッチしちゃったら、普通でしょ?」
「そうなんですか?」
 人を散々テーブル扱いした挙句腹まで蹴られて、それを普通だと頷くつもりは無い。
 だがベッドの上で、避妊用具まで付けて体を重ねるのは、ある意味普通だ。
 思い返せば彼女とはそんな事を、まともな性交をした事が無かった。いつも異常としか思えない事をされたり、させられたり……
 もしかすると、極端に『普通』が嫌いなタイプなのかもしれない。
「だから普通じゃなくなるの。お水が無くても飲めるタイプだって有ったから」
 はい、と言わんばかりにその右手を再び前に差し出してきた。
 取り敢えず受け取ったシンジだが、当然いきなり呑む気にはなれない。
 しかし未だズキズキと痛む腹部を考えると、容易に「僕が呑むんですか?」と尋ねる事も許されない。
「……どう、なるんですか?」
 それでも訊いてみる。
「バイアグラみたいな物だよ、きっと」
「ばい、あぐら?」
「知らない? そっか、知らないよね、世代違うってヤツだし。何か昔流行ったの。こう……男の子がいつまでも気持ち良いまんまでいられる薬」
 少し説明が可笑しいが、本当の意味を知らないシンジは納得した。

508:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 20:20:03
「普通にエッチしたら、それで終わりでしょ? そんなの嫌。本当はね、エッチ自体したくないの。本当にただの援交になっちゃうから」
 君の特別になりたいと、私は貴方の恋人になりたいと、そんなわかりやすい言葉を使えば良いのに。
「映画とかに有りがちな『忘れられない一夜』ってヤツにしちゃいたいの。……危ない薬とかじゃないよ? 小さな薬局で買ったんだけど、無味無臭で依存性が無いヤツだって。後、神経関係には副作用が起きたりしないんだって」
「はぁ……」
 単純に薬を呑むだけなら大した苦ではない。
 それに一応「気持ち良くなる為の物」としているのだから―どうせならないだろうが―ここまで言われて呑まないでそろそろ殴られるよりマシだろう。
「頂きます」
「召し上がれ」
 薬を飲む時に交わす言葉ではないが、返事を聞いてからシンジはカプセルを舌の上へ乗せた。
 口に含み、極力味を感じないように急いで、ゴクリと音を立てて飲み込む。
 舌に残るペタリとした感触が不快だが、幸いにも特に味は無かった。
 食道を通って胃の中へ真っ逆様。
「……どう? 大丈夫?」
 女の声にシンジは頷く。
 大丈夫と返す以外に何が有るだろう。体にも心にも一切変化は無い。
 なので思う事も「本当に水を飲まなくても良いのか」位しか無い。
「ムラムラする、とか無いの?」
「別に……」
「可笑しいなぁ……即効性って聞いたんだけど……」
 はて、と首を傾げる。当然だが、誰が何を飲もうとこんなに早く効果が出るワケが無い。

509:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 20:22:08
「まぁ良いや。どうせすぐ効果出るわよね。普通のエッチしてみようよ、私よくわからないけれど」


「う……おも、たい……」
 重たい? 所謂『上に乗る』状態ではあるけれど、体重は一切掛けていない所か殆ど触れ合っていないのに?
 両腕を伸ばした状態でシーツにつけているシンジと、向かい合ってその下に組み敷かれている女性の表現は、どうやら異なるらしい。
 ここ数ヶ月は会えていない楽なタイプのお客様―容姿か積極性に問題が有って処女を貫いてしまった独身女性、
もしくは旦那と極端なマンネリにある年齢は高めの既婚女性―に対するように、単純に指や口を使っての愛撫を施して、順序を守ってありきたりなインサートをした。
 どちらかというと女性らしくなく着太りするタイプだったらしく、豊満そうに見えた胸はそうでもない代わりに、段が有りそうな腹もそうでもない。
 胸の感度は高く脇の下からなぞるだけで嬉しそうに声を出していたが、性器自体は好ましい反応は見せず、本人も「もう良い?」を連呼していた。
 本人の話を信じるならば全く自慰をしていないので、慣れていない所為だろう。
 そしてその感想が彼女にとっては『重たい』だっただけの事。
 この先ずっとこの関係が続いたとしても、余程の間違いが起きない限り普通の性交に至るとは思っていなかった。……今が余程の間違いなのかもしれないが。
「……ねぇ、シンジ君は気持ち良い?」
「は、はい」
 思わず反射的に返事をしてしまう。
 性器に絡む肉襞は妙に乾いていて、寧ろ絡まずに圧迫してきている感触は避妊具越しでもしっかりとわかるし、あまつさえ眼下では繋がっている女性が機嫌悪そうにしている。

510:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 20:23:48
 全裸だったり他人様のベッドの上だったり、シンジとしては好ましくない要素だらけで緊張に押し潰されてしまいそうだ。
 つまり、正直に言ってしまえば、気持ち良くはない。
 この年頃の少年によくある性交イコール快楽の方式はシンジの中では成り立っていない。
「動いて……良いですか?」
「良いけど」
 いつも通り腰を引き、そして深く挿し入れる。申し訳程度の愛液が押し出されてはきたが潤滑油としては物足りない。
 ただじゃりじゃりっとした陰毛の感触が恥骨にぶつかってくるのみ。
 保存の為と無駄に冷やしたがる彼女は―避妊具同様―冷蔵庫にローションを入れっ放しにしてある。
 それも一緒に出してきてくれれば、と思わずにはいられない。下手をすれば膣を傷付けてしまうかもしれない程濡れていないのだから。
 そんな不満を思っていた筈の脳味噌が、いきなりカチリと音を立てた。
「……はうっ……あ……?」
 何が起きているのかわからないが声が漏れる。
 自分の声とは思えない程甲高く、自分の声なのに艶が有ると思わせられる声。
 腰の動きを止めたのに、勝手に背中がピクンと跳ねた。


「どうしたの?」
「は、はぁ、はぁ、はぁ……」
 訊かれてもわからない。そう答えたかっただけなのに、既に声にすらならない。
 背中が暑い。胸元も暑い。部屋の温度が急に下がったのかと勘違いしそうな程に体温が急上昇し、それでいて風邪を引いた時とは違い頭がハッキリしてくる。
「あうっ、ひっ、ひぁ……あ、あああっ!」
 その鮮明になった思考回路に考えてもいない事が大量に注ぎ込まれる。言葉には出来ない、未知の事象が無理矢理頭に刻み込まれていく。

511:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 21:00:03
 脳味噌が頭から落ちてしまいそうな位に重たくなり、それに耐え切れない膝がガクガクと震えた。
「ね……あ、お薬効いてきたの? どんな感じ?」
 シンジの異変が余程嬉しいらしく声が弾んでいる。
 それだけではない、性的な興奮すらしている。性器を濡らす愛液が粘度を増した。
「ねぇ、どんな? どんな??」
「あ……暑い、です、おちんちんが熱くて……体、全部熱くなり、そう……あぁア……」
 拙い言葉以上に掠れた声と歯のカチカチなる音が彼の体の異変を訴えてくる。
「あふッ! あ、あふ……溢れ、るぅ……ああぁ……ン、ん、んッ!!」
―ドクン!
 耳の鼓膜が破れてしまいそうな程大きな音がした。―気がした。
 それが射精だと気付けないまま、シンジは射精している。
 過去形ではなく現在進行形。硬さも熱も収まらないし、何より精液が未だ止まらない。
 射精をする瞬間の目の前が真っ白に、もしくは真っ黒になる状態が続いている。それでいて未だ膣内に有って精が出ているのに、1分前に射精も性交も終えた時のような気だるさが有って、悦以外にもきちんと頭が働いていた。
 大変、このままイッちゃってたら、赤ちゃん出来ちゃう!
「あうっ……だ、駄目、そんな……はぁ……はぁ、はぁ……」
 抜き取らなくては。そう思っているのに体が動かない。思うように声帯も動かなくて言葉が紡げない。
「な……何?」
「アうぅ……う、ぐ……」
 自由の利かない体を無理矢理動かしてシンジは性交を中断させる。ズルリと抜き出した性器―に被せてある避妊具―は吐き出し終えた精が漏れて、愛液と入り混じってドロドロに汚れている。

512:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 21:01:46
 どの体液よりも尿に近く感じる程熱く、ほやほやと湯気が立って見えた。
「止めちゃうの? ……凄いその気になってるみたいね」
 笑み交じりの問いに答える余裕等一切無い。
 彼女はシンジの顔を見て笑った。嬉しそうに、子供が他者を無邪気に馬鹿にするように。
 何も言えずに開きっ放しの口から大量に唾液を垂らしていた事に。
 見れば触れてもいない平らな胸の尖端も汗を乗せて女性のそれのようにプックリと膨らんでいる。
「……は、はぁ、はぁ、はぁっ、はぁッ……」
 呼吸がどんどん酷くなる。何かの病を患ったと思わせる程危険な音を立てた。
 そんなシンジの様子を、上半身を起こして上から下から値踏みするように見る。
「もうこれ使い物にならないわね」
 待っていましたと言わんばかりの楽しげな言葉。一見普通の女性も被虐なり嗜虐なりの性的な倒錯を抱えているケースが有り、シンジの前でほくそえむ彼女こそその後者の代表例だった。
 手が伸びたのは当然のごとくシンジの性器。瞬間、ただでさえべたべたになっている肌がブワッと汗を噴き出す。
 だが指していたのはどうやら避妊具のみらしく、器用に右手だけでするりと剥がした。
 金に糸目を付けず購入した薄手の避妊具はよく漏れなかったと誉められても良い量の精を受け止めている。
 それが無くなった性器は精でべったりと濡れており、更に未だ吐精したりないと硬さを保っていた。
「ひっ! ああぁッ!」
 シンジは後ろに引っ繰り返ってしまいそうな勢いで体を反らして痙攣したかのように震える。
 性器も血液を循環させながらビクビクと震え、鈴口が未だ吐きたりないとその口を無理矢理開いて見せる。

513:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 21:04:30
「はぁっ、は、あ……あ、ま、またッ!」
 触れる物等何も無いのに天井を向いた性器からビュッと精液が噴き出す。
 かなり粘度が高く、シンジの顎辺りにねっとりと付いて、なかなか垂れ落ちてこない。
「あぁ、う……」
 視界が、世界が全体的に黄色く見える。このまま体も心もついていけないが、多分これはひたすらに気持ちが良い。
 そのまま意識を手放したくなる位に……
「何だか強く効いてるみたいね」
 失神するのは許さない。楽しませてもらわないと。
 そう言いたげな手が爪を立てて胸の尖端を潰した。
「ひィっ!? あ、あぁ……も、触って……」
 痛い筈なのに脳内に送られる信号は何故か悦。口からは唾液が、性器からは精に見える程白く濁った先走りがつつっと零れる。
「まるで女の子がイッた時みたいな……うーん、違うかな。見た事無いから何とも言えないけど。でもそんな感じよね。これがイキっ放しってヤツ?」
「ふ、ひぁ、あ……怖い、怖い! はぁ、はぁ、はぁっ、あ……は、あ」
「怖いじゃなくて、こう……もっと喘げないの? 私、シンジ君には鳥が鳴くみたいに綺麗な声を出して欲しいの」
「あうっ……ううっ、あっ……ひっ!」
 再び指が尖端を刺激してくる。コリコリと勃ち上がった右胸の飾りは痛々しい程赤く染まり、それを爪で引掻かれる。
「ぎ、い! や、嫌だ、あぁッ! 痛い、痛い痛い、は……あ、ぐ……」
 体の一部が分離して浮き上がるような感覚。間違い無く錯覚なのにそれに身を委ねてしまいたい。そう思った罰なのか目の前の女性の望む言葉がろくに話せなかった罪なのか、シンジは突き飛ばされてベッドから床へと落とされた。

514:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 21:05:48
「あう、あうぅ……あふッ、ふあぁ……た、助けてぇ」
 ドンッと鈍い音がして背に衝撃が走る。しかしそれすら快楽に結び付いてしまうらしく、またしても射精。
 助けを請う言葉が口から出ているのはわかるが、何から救われたいのかはわからない。考える力は脳内に残っているのに、何を考えて良いのか見当も付かず、可笑しな答えとそれにすら合わない言葉が口から勝手に出てくる。
「そんなに気持ち良いの? 気持ち良いならちゃんと啼いてよ」
 放っておかれて不貞腐れるような表情で顔を覗き込まれる。しかし眼球は上手くそれを捕らえられない。
 そんな事よりも落ちる時に打った背がビリビリと痺れて、そちらにばかり気が向かう。
「はい……ひぐ、うゥ……あ、は……っ!」
「気持ち良いなら良いって言わなきゃ駄目」
 両方の肩をしっかりと押さえ込み、押し倒す要領で無理矢理シンジの背を床に押し付けた。
「ちゃんと言ってってば!」
「う、あぁっ……は、はぁっ! あ、あぁ……んっ……」
 結局喘ぎしか返せないシンジに焦らされて我慢が出来なくなったと言わんばかりに顔が近付いてくる。
 口が開く。綺麗な歯並びが見える。それなりに興奮しているのか1本白い唾液が見えた。
 その歯で噛み付かれたい、噛み砕かれたい。寧ろその口の中に飲み込まれてしまいたい。……舐められたいという考えは何故か浮かばない。
―ガリっ
「イ!? ぎ、いいぃぃィッ!!」
 尖端が噛み付かれた。
 先程願ったばかりなのに余りの痛み―いや、快楽なのかもしれない―が全身に染み渡る。
「ああ、あっ! そ、んな! すごっ……あ、イ、いぃ、気持ち良いです……あ、あ……んうぁッ」

515:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 21:07:53
 啼けという命令は終わっていない。そんな声では満足出来ない。
 折角自らの足で歩いて見付けた薬局で顔を見せてまで買った薬を使ったのだから。
 媚薬、性欲を掻き立てるだけの物ではない。勿論勃起させるだけの物でもない。
 脳を直接刺激する、国内での取り扱いは禁じられている極秘裏に輸入したドラッグ。
 効果は保障するとの言葉通りきちんと出ている。しかし自分の望んだ甘く可愛らしく可哀想な声ではない。それでは自分にとっての保障になっていない。
「ひぃ、い……アっ、あふぁ……くぁァっ……」
 何故きちんと啼かないのか。その苛立ちが素直に歯に表れる。
「アぁァッ!? ヒ、い、痛い! いたっ、ああア!!」
 噛み千切る。……とまでは流石にいかなかったが、皮膚の一部が切れて胸の尖端から血液が滲み出た。
 ほんの少しだが紛れもない出血。
 痛いのか気持ち良いのかわからない。わからないが血液が出ているのはしっかりとわかる。
 皮膚の避けた箇所、傷口がヒリヒリと痛んで気持ち良い。血液が流れた一筋のラインが熱くて気持ち良い。
「あぁ、あぃ……ッ! ひ、あ……あ、あっ、あう……んぅっ……」
 漸く求められていた声を出す事が出来た。
 満足した女性は口を、そして体を放して立ち上がる。
「シンジ君は可愛いけど……やっぱり男ってどうにも嫌ね。何か汚い。これ、勃起してる所は本当見たくない」
「あ、う、う……う……」
 答えにならない声しか返してこないシンジの股間の真上に足を上げる。
―バシッ!
 振り下ろされた足はあれだけ吐精しても未だ完全に勃起している性器を激しく蹴った。

516:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 21:09:57
 強いて形容するなら細長いシンジの性器は女性の踵と床とに押し潰される。
「アああぐうゥっ! あっ……ああっ、あ……イクうぅ……お、あ……あァッ!」
 全身の骨を一斉に折られる位の痛みに耐え切れず大声を出すシンジ。
 掠れた最後の叫びと共に、未だ色が薄くならない精液をピュッと少量吐き出した。
―ジャアアァ……
 それだけでは足らず、同じ穴から小水を流す。
「きったなぁい。何? 今のが気持ち良いの?」
 まともに消化しきれていないのか妙に色が薄く、尚且つ精より余程熱そうな尿はどんなに体に力を入れても止まらない。そもそも力が入っていないのかもしれない。
「ひぎぃッ、や! いぁだ……」
 押し付けてくる足の所為なのか心はこんなにも拒んでいるのに失禁は収まらない。
「気持ち良いの? 良かったの? 早く仰い!」
「はあ、はあ、は、あ……あぁ……とても、良い、でう……う、う……ッ」
 精も尿も止まらないのに、涙まで出てきた。
「そ」
 汗と涙と鼻水―と、更に勢いが良過ぎて掛かった自分の精―が汚く見える。彼女のシンジに対する興味が急速に失われて、足が離れる。
「……あ、りがとう……ございます……は、あ……」
「別に気にしないで」何が? と尋ねる事は一切無く、にっこりと笑みを作り「でも、そこは自分でちゃんと掃除してね」


「そこ? ……そ、こ……」
 彼女の指す場所は当然シンジが精と尿で汚した床。
 どうやって綺麗に掃除するのかは考えなくてもわかる。1つしか無い。
「……はい」
 右胸の尖端は真っ赤に腫れているし、左胸の尖端は赤黒い血液が固まり始めていた。

517:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 21:12:21
 それでもその体を何とか起こして四つん這いになり、汚れた床と向き合う。
 鈴口の締まりが悪くなったように性器の先端からポタポタと精の残りが垂れた。
「何か言う事、有る?」
 学生を卒業して当に成人もしている彼女の思い付く精一杯の酷い言葉。
「う、うゥ……床を、舐めさせて、下さい……」
 様々な羞恥を飛び越えて屈辱がシンジの胸を埋め尽くす。
―ピチャっ
 返事を待たずに舌を伸ばして床を舐めた。
 ベッドに腰を掛けて足まで組んだ女性が自分の上でクスクスと笑いを零したのが耳に届く。
「……はぁ、はあ……あっ、はぁ……あッ……」
 薬の効果なのか口を開けていると唾液が止まらない。
 床に零れた精の一部はゲル状に固まっている。
 舌でタップリ救いとるだけで激しい嘔吐感が襲ってくる。独特の青臭さがいつもより何倍も感じられた。
「んん、ぐっ……」
 吐き戻してしまいたいが、そんな事をしたら精と唾液の他に吐瀉物を口に戻す事になるだけ。
 それにもう少し顔を進めた先には尿も待っている。
 床に舌を這わせたまま顔を動かして湯気を立てる小水を舐めた。
 全く別物だがこちらも臭いが酷い。幾ら自分の出した物でも、尿は尿に変わりない。
 口付けを落とすように床に直接唇を付け、溜まった黄色い液体を啜る。
「ん……んぅ、んんッ……」
 恥ずかしく、苦しく、悔しく……そして気持ち良い。
 まるで子猫が頬を舐めてくれた時のような愛おしさで胸がいっぱいになる。その子猫を真似て必死に床を舐めた。
 床としっかりくっ付いている唇の端から唾液は垂れ続け、しまいには鼻水まで垂れてくる。

518:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 21:13:47
 口の中は相変わらず不味いに属するしょっぱさが広がっている。鼻腔を埋め尽くすのもまたアンモニアを中心とした色々な物が混ざったきつい臭い。
 頭も体も動いているが、正常ではない。……せめて味覚と嗅覚からイカれてくれれば良かったのに。
「何か、シンジ君、汚くなっちゃったね」
 頭上から注がれる冷たい言葉。
 別に彼女にそんな意図は無かった。付き合い始めてから短くはないが、男女交際のそれとは違う。また、期間的にはそれなりの長さだが、実際に会ったり電話で話をした時間だけで計算すると相当短い。
 当然、彼女はシンジの『性質』を表層的な部分でしか知らない。
 恐らく「内気」で「頼まれたら断れない」タイプの「淫乱」気質な「弟系」とでも考えているのだろう。
 見た目―男なのに男性らしさを感じさせない顔立ちと、男なので女性らしさは全く無い体付き―が気に入っているのだから、正直中身はどうでも良かった。
 ……それでは彼女の望む『普通の援助交際』から脱却出来ない事に気付かず。
「私お風呂入れてくる。っていうか、シャワー入ってくる。床が綺麗になったらシンジ君も来て良いよ」
 お風呂場で綺麗にしてあげるからね、と言いたいだけだった。
 そんな言葉を残してベッドから下りた女性は浴室へと歩いて消える。
 残されて、もう誰も見ていないのに、それでもシンジの舌は止まらず床を舐め続けている。徐々に鼻息が荒くなってきた。
 汚くなった。汚れてしまった。……自分と体を重ねて金を払った相手が偶に言う枕言葉。続くのは、もうこんな事は辞めなさい。
 汚いのなら舐め取れば良い。こんなに楽しく気持ち良くて綺麗になれるなら越した事は無い。

519:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 21:16:37
 フローリングの木目模様が誰かの微笑みに見えてきた。幻覚だという事位わかっている。
 幻覚を見て何が悪い。幻覚に甘えて何が悪い。それにもしかしたら幻覚ではなく現実かもしれない。
「ぐ! う……ぶっ、ふ……うっ! ごほっ、おォえっ! は、はぁ……うぅ……」
 苦しくなって口を離して、大きく呼吸をして再び口を付ける。それを続ける。
 いつからか聞こえていたシャワーの音が止まり、次いでカランから浴槽へ溜める為の湯の音が聞こえてきた。
 浴室から出てくる気配は無い。湯を溜めながら体や頭を洗う事にしたのだろうか。
 風呂で彼女が綺麗になるのなら、自分もどこかで綺麗にならなくては。
「……うぁ……逃げちゃ、駄目だ。駄目……外……行かな、きゃ。外に……」
 立ち向かう。暖かな部屋と優しい幻覚に逃げてはならない。外の、未知の世界へ。
 これだけ頭が混乱しきっているのに、脳内のどこかに理性は残っているのか、シンジはここに来てすぐ命令されて脱いだ服の元へ歩く。足元がふら付いたが、きちんと辿り着いた。
 綺麗に畳まれた服を開いて、様々な体液で汚れたままの体にそれをまとう。
 この仕事用にと駅2つ離れた店で買ってみた飾り気の無い女性物のブラウスの胸元は一気に内側から汚れる。下着も含めて必要以上に布は体に張り付いてきた。
 本来不快感を覚える事象も今やすっかり神経は狂って喜ばしい。
「外に、外は……僕帰ります。もう帰ります」
 目の前に居る誰かに耳打ちする位の小声。

520:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 21:18:05
 誰が見ても異常とわかる笑みを口元に浮かべてシンジは扉に手を掛けた。開いた先に楽園の花園が広がっていない筈が無いと信じて。


 マンションの廊下に出ても、エレベーターを使って1階まで下りて玄関を出ても、花園どころか雑草1つ見当たらないコンクリートの道。
 夜だからか肌寒い風が全身をなぞる。まるで愛撫されているかの心地に陥って熱い息を吐きながら上を見上げた。
 満天の……とまでは言えないが、思いの外美しい星空。欠けていながらも月も見える。
 どこへ行くのかわからないが足は勝手に動く。顔は真上を向いていて、足取りは覚束無い。挙動不審を通り越して変質者にしか見えない。
 遠目に見れば頼りない街灯と未成年には売ってくれない自動販売機の明かりを頼りに不安気に歩く少年を、幸か不幸か目にする人間は居なかった。
 人っ子一人歩いていない道を適当に歩いていると、視界に強烈に眩しい建物が飛び込んでくる。
「……あ、はぁ、加持さんと入ったお店……加持さんが、はぁ、はぁ、居るッ……居る店?」
 独り言が煩く耳に響く。ブォン、と勢いの良い音も聞こえる。気付けば自動ドアを開けていて、その眩しいコンビニに入店していた。
「いらっしゃいませー。……お」
 聞き覚えが有るような無いような声―聴覚は鈍っていないのでレジから聞こえたのがすぐにわかった―に目を向けると、見た事が有るような無いような男が立っている。
「碇シンジ君、だっけ。この前はどうも」
「どうも」
 少し声が震えているが、ちゃんと返事は出来た。
「随分な時間に来るねー? 今日も仕事?」

521:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 21:20:12
 他の店員は居ないのか砕けた口調。どうにも彼の話す声が小さい気がしてシンジはフラフラとそのレジへ向かう。
「仕事?」
「この前の背高い兄さんは一緒じゃないから違うか」
「加持さんの事?」
 意識していないのにどうしても甘えた口調になり、声も少し上ずってしまう。
「いや名前は知らないけどさ。そういや市役所行く途中でも会ったね。覚えてる?」レジ台を挟んで立つシンジに顔を近付けるようにその台に身を乗り出し「制服着て可愛い女の子2人と歩いて。もしかして、どっちか彼女?」
 何の話をしているのか把握出来ない。ある程度考える事は出来るが、何かを思い出す事が上手く出来ない。
 目の前の派手な髪をした男は見知っているし、彼と会った後に加持に会ったのも覚えている。その後道端で会った気もした。
「あの子達は援交……男がするのって援交って言うの? 兎に角、いかにも普通の女の子に援交してるってバレたらヤバいかなーって声掛けなかったんだけど。
ましてや彼女だったら絶対怒られんじゃん? 俺だったら絶対無理。つーか彼女がキャバやってるって知ってすぐ別れた、し……」
 不自然に声が止まる。どうしたのかと顔を見た。―つもりだが、よく見えない。こんなに近いのに。
「……だ、どうしたの? 大丈夫? いや大丈夫じゃないか。また奥で休むか?」
 目の前の男の声が自分の息や心音で聞き取りにくい。息をするだけで全身の血の巡りがわかる程に心臓が煩く動いている。
「はぁ……何が、ですか?」
 口を開くと、何故か鉄の味がした。
「何がって、鼻血……」

522:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 22:00:25
 鼻血? と尋ねる前に右手で鼻の下を擦る。ドロッとした気持ち悪い……否、体に付くだけで嬉しくなる気持ち良い感触。
「あ……本当だ、鼻血……鼻血、出してる……はぁ、はっ……」
 拭った手には確かに赤い液体が付着している。汚い赤。
「は、あは……」
 コンビニ店員は笑って誤魔化しているだけにも見えたが、視覚以外の情報がそうではないと言っている。
 笑い声に混じる呼吸音が酷く拙く、何よりも近付けば近付く程わかる異臭。
 何と何と何を混ぜ合わせればこんな臭いになるのか見当も付かない。多分元のどれもが余り良い匂いの物ではないという事位しか予測出来ない。
 レジ台を乗り越えてシンジのすぐ隣に立ち、そっと左手を肩に添える。
「ちょっと……ティッシュとか無いの? つかお前、服も凄い汚れてんじゃん!」
 肩に触れる他人の手がくすぐったい。ゾワッと腕全体に鳥肌が立ち、息が益々熱くなった。
「いらっしゃいませー」
 不釣り合いに呑気な声がした。自分を支える男越しに声の方向を見ると、見覚えの有る中年親父が居た。
「おや……その子、どうしたの!?」
「俺にも全然わかんなくって……あの、風邪か何かっすかね?」
「取り敢えず鼻血止めてあげて! それから……何か熱っぽそうな顔してるから」
 男の大きめの手が鼻と口を塞ぐ。
 確かに物理的に鼻血は止められるが、下手をすると窒息しかねないので本来なら叱られるべき処置の仕方。
「うち解熱剤とか有りましたっけ?」
 言われるよりも先に棚を探る年上の方の店員。

523:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 22:03:10
「んー……近くに薬局有るから薬とか余り無いからなぁ……その子本当に大丈夫? どうせこの時間お客さんなんて来ないし、良かったら早退してその子家に送ってあげたらどうかな?」
 喉飴の辺りも調べているが、当然薬の類は出てこない。
「でも……」
 手の平に伝わる熱い息と止まらない鼻血は酷く恐ろしかったが、若い方の店員はシンジの住んでいる家を知らない。先日擦れ違った市役所の近辺だとまでは想像出来るが、その辺りに置いてくるワケにはいくまい。
「……本当に早退しちゃって良いっすか?」
「明日もシフト入ってるよね? 明日オーナーに言えばきっと大丈夫だよ。それよりその子、後輩か何かでしょ? 君頼ってきたんじゃないの?」
 後輩でもないし頼られる程親しくもないが、自分は万事OKだとの遠回しな言葉に感謝した男はシンジを抱えるように休憩室へと連れる。
 自分の意思に反して無理矢理歩かされているのに全く不快じゃない。
 それよりも店内と違って薄暗い店の奥に、シンジは少し安堵した。
「そこ座ってて。……じゃない、寝てた方が良い? 兎に角楽な体勢になってて、すぐ着替えるから。それよりも! そのティッシュ店のだから好きなだけ使って良いから、先ず鼻血拭いて!」
 大声を残して彼は奥の小部屋―男子更衣室―に入って扉を閉める。
 その見るからに小さそうな部屋でゴソゴソと音より、時計の秒針を刻む音が大きい。
 パイプ椅子に座らされたシンジは、上げた先の安っぽい時計が正しければまさに真夜中だ、と頭の片隅で思った。
 夜中に、薄暗い密室で、他者と2人きりになる……あんなにも大量の精を放った後なのに体が疼く。

524:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 22:04:48
 別に彼が自分の性器に触れてくれるワケでもないのに。
 寂しい。体が寂しがる。触って欲しい。あの大きな手で、1番感じる箇所を。
 座っている椅子の近くのテーブル。先日ここに来た時に食事をとる際に借りたそれの脚に、シンジは体を擦り寄せる。
「……く、ふっ……やアぁっ……熱い、あつ、い!」
 椅子から腰を突き出す、淫らというよりだらしない姿勢。
 こんな姿を見られたら一体何と言われるだろう。そんな事より早く射精したい。せめてそろそろ止まったらしい鼻血を拭いてからにしないと。そんな事より早く射精したい。
 パンツはもう勃起しきった性器の形をしている。汚れた肌の上に履いた下着は、新たな先走りで汚れ始めていた。
 ここまで汚れた下着はどうせ捨てるのだから、脱いで手やティッシュペーパーに吐き出さず、下着に吐精してみたら面白いかもしれない。
 下着という布の独特の感触すらも気持ち良かった。腰を脚に打ち付けるように動かすと、その布が勃ち上がった性器の裏筋を押してくる。
「や、ああぁ……んいやぁ……」
―バタンっ
「未だ具合悪い!?」
 勢い良く扉が開いて着替えを終えた店員―既に私服なので店員という言葉は似合わない―が出てきた。
 今の声を聞かれてしまったかもしれない。……頭が聞いてもらって、それを罵ってもらいたいと信号を送ってくる。
「……は、い……いいえ、大丈夫れす……」
 それでも幾許かの理性が自慰でしかないピストン運動を止めさせた。
「また鼻血出てきたの? ほら、全然大丈夫じゃないじゃん」
 鼻血は止まっていた。最初から拭いていないだけで。

525:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 22:06:50
 露とも知らない男はテーブルの上のティッシュペーパーを箱から数枚取ってシンジの鼻と口をまとめて拭く。
「ん、んぅ……痛っ!」
「固まってるのは擦らなきゃ取れないんだよ。ほら、我慢する」
「やっ、やぁ……痛い、の……良い……」
「はぁ?」
 何ふざけているんだ、と言おうとした男の顔が強張る。シンジの目の焦点が合っていない。
「……痛く、痛くして、はぁ……顔、痛く……はぁ、はぁっ、痛いィ……」
 熱にうなされる子供のうわ言のように「痛くして」を連呼するシンジの唇はティッシュペーパーで塞がれた。
 反対の手で額を触り、熱が有るかどうか確かめる。
「今、自分の家に誰か居るかわかるか?」
「ミサトさんとぉ、アスカ……と、ペンペンも居ます……はっ、あァ……」
 手が少し放れた隙の答え。
 訊かれた事にはきちんと答えないと。視界はどんどん暗くなり狭まっていくのに対し、先と比べると耳はよく聞こえる気がした。
「その人に連絡取れる?」
 ペンペンは『人』ではないので除外するとして、この時間では2人共寝ている。
 それ以前に、今日もいつも同様友人の家に泊まりに行くと言ってきたので、いきなり帰るワケにはいかない。
 シンジは首を左右に振る。
「……ここで寝るワケにもいかないし、取り敢えず俺の家で良い?」
 質問の途中でシンジは首を振った。縦に、1度。
「良いの? 知らない人の家とか」
「ん……知らない人じゃ、ない……」
 名札を見ても名前を覚えきれないけれど、それでも顔はしっかりと覚えているから。
 その理屈でいけば大抵の人は知人になってしまうのだが、シンジはもう1度頷いた。

526:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 22:08:57
「あんま良い家じゃないけどベッドはちゃんと有るから、そこで寝るか?」
 入念に尋ねる男のティッシュペーパーを持つ手の首を掴まえる。
「……どこでも、良い……僕は逃げないッ……はぁ、逃げないから……はぁ、はぁっ」
 どこを見ているのかわからないが、意思を曲げる気が無いのは確かな瞳。
「流石にここまで大きい男はおんぶしてやれないから、自分で歩けよ」
「はい」
 掠れ切った声で返事をして椅子から立ち上がる。性器の先端がヌラヌラと濡れているのがわかる位に勃起しているのだから、前屈みの不安定な立ち方しか出来ない。
「肩は貸すから」
 そう言って男も屈む。彼の方が当然背が高いので、接客中のお辞儀でも考えられない程腰を曲げなくてはならない。折角貸そうと差し出した肩の位置がそれでも未だ高くて上手く腕を回せなかった。
 それでも甲斐甲斐しいまでの支えとなってくれた男のお陰で歩き出せた。回した右腕が感じる『男性の体温』が益々心音を早める。
 コンビニを裏口から出て、心音と繰り返し尋ねられる「大丈夫?」の声と足音と夜風の音が煩い知らない道を5分も歩かず、男の家に着いた。


 外壁のペンキを塗る事によって古くは見せない、けれど新しくなければデザイナーズマンションというワケでもないアパート。
 各階は4つの部屋で、2階建てで入り口たる玄関―当然オートロックのような小洒落た物は付いていない―は2つ。
 彼の部屋は1階に有るとここに来るまでに聞かされた。階段を上らなくて済むのは勃起したまま歩かされたシンジにとって有り難い。
 一応アパートの玄関となる部分は1段高くはなっていたが。……そこを上った瞬間だった。

527:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 22:11:14
「ん……くんッ、うっ……あ、アぁっ!」
 ガクンと膝が崩れた。その拍子にぶつけた両膝が痛みが足の小指の先まで伝わる。
「ど、どうした? 吐きそうとか?」
 違う、と首を横に振る。
「ウうっ……う、う……」
 胃液ではなく精液なら今すぐにでも吐いてしまいそう。大して触れてもいないのに性器の昂りは収まらない。
 他人に迷惑を掛けてまで吐精したがる自分が恥ずかしく、鈴口に綿棒を無理矢理突っ込まれて吐き出せないようにされているみたいで苦しく、頭がグワングワンと音を立てて痛く、涙が出てきた。
「部屋入ろう? 吐きそうなら便所貸すし……何か、水とかなら有るから飲んで落ち着こう?」
 見た目に反して優しい口調を持つ男の言葉で涙が止まらずに頬を伝う。
 鼻を啜りつつ、それでも不規則で性的興奮を表す息が出た。
「あ、あ……あうぅっ、あッ……な、ちゃ……変になっちゃ……なっちゃう! 変に、変ッ!」
 もう充分変になっているのは百も承知だったが、それでも最後の一線を越えたくなくて頭を必死に振る。
「はぁ、はぁ、は、あ……はぁっ、はぁ……あうっ、アアァああぁっ! あふっ! ひっ! アアぁっ! あうっ! おおおあああああッ!!」
 真夜中に獣の雄叫びに近い大声を出す。非常識な筈なのに隣にしゃがんで心配そうにしてくれている男はなす術無く、真上を向いて涙を流すシンジを見るのみ。
 むわん、と鼻を突く悪臭がした。青臭く、しかし男も嗅ぎ慣れたその臭いは精。
 いつの間にかシンジは再び射精していた。
「イ、いぃ……逃げない、行く、イクぅあ……」
「ちょと、お前……何、出して……」

528:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 22:13:42
 もういい加減精も残っていない筈なのに、シンジは未だ体を震わせる。否、痙攣していると言っても過言ではない。
 掛ける言葉が思い付かなくとも声だけは投げかけてみる男の気遣いも、もうシンジの耳には届かない。
 最初から少し臭う程度に汚れていたパンツは見るも無残に股間部分のみ色を濃くする。
 飲まされた―よくよく考えれば自ら飲んだ―薬の効果は短くないらしい。その成果を買った本人は知らないまま。
―ブシュッ!
 漸く勃起が収まりかけた性器から小水が再び噴出す。服を着たままなので、股間の汚れた色が更に広がり、布が耐え切れず色が薄く何の液体かわからなさそうな尿がポタポタと床へ漏れた。
「あ、あ……しちゃうぅ……挿れ、てェ……」
 甲高い声が出る。肛門が緩んだ感覚に襲われ、そのまま排便してしまいたくなる。
 だが脱糞するよりも、何か熱く硬く太い物をブチ込んで欲しい。
 それが全て頼りない声で口から出ていた。
 目の前が真っ白になる。天から1対の腕が伸びてきて、自分を引き上げてくれる。
「かァんぅ? あ、アッ、あ……とう、さん……?」
 そこで、ずっと前からズタボロになっていた意識が漸く途切れた。


―カンカンカンカンかんかんかんかん……
 急に聞こえてきた遮断機の音がドップラー効果で低くなって遠ざかった。
 目を開ければ逆光でオレンジ色に染め上げられた電車の中。そこに1人座っているシンジ。車両には他に誰も乗車していない。
 ふと左側に顔を向ければ、隣の車両には何人もの人が乗っているのが見えた。
 男女問わず、結構な人数が誰も席に座らず立っている。奥に居る人の顔こそ見えないが、だが全員知っている。

529:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 22:15:07
 シンジはその車両に居る人間全員から金を貰った事が有る。―つまり、客。
 1番手前に居る女性は先程風呂に入ると言っていた、最近毎週会っている羽振りの良い女性だ。
 顔を前に戻すと、1人の少女が座っている。
 逆光で顔は全く見えないけれど、座っている体の細さと髪型からしてアスカだろう。
 ずっとこちらを見ていたアスカがシンジと同じように人が乗った車両に向いた。
「……誰? あれ」
 口は動いていないが、アスカの声が質問してくる。
「知らない」
「嘘」
「……うん、知ってる。皆、知ってる」
「何で嘘吐くのよ」
「だって……」立ち上がりたい衝動を抑え「……アスカは、きっと怒るから」
 差し込む光の角度が変わり、アスカの唇が見える。相変わらず動かない。
「お客さんなんだ、辞めたい仕事の」
 電車は止まらない。だがガタガタと音を立てず体を揺らさず、2人の会話の邪魔をしてくれない。
「何で辞めずに続けてるのよ」
「お金が欲しいから」
 少し低めの声音で答える。この空間の中だけは無意味に強気になれる。
「何で欲しいの? アンタ、有れば有る程嬉しいってタイプでもないでしょ」
 そう見えているのかと懸念する前に、シンジにとってそれは事実。
「……先生に返す為」
「先生?」
「僕を育てた人。父さんが僕を預けた先。大人の人。今は連絡を取ってないし、取りたくない」
 多分、好きではなかったのかもしれない。
 自分の事なのにわからない。
「本当はわかってんじゃないの?」
「うん。本当は嫌い。でも嫌いだって認めたくない」
 3歳から14歳までの期間1番長い時間を共有した人だから。
「それ以外の理由が無いなんてダサいわね」

530:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 22:16:52
 どこまでか口に出した言葉で、どこからが考えただけの言葉なのだろう。アスカの言葉は心を見破り、ことごとく正鵠を射ている。
「でも返すんだ」
「別にその人のお金じゃないのに? 碇司令がアンタの養育費って渡してたお金渡してるんでしょ」
「多分そうだよ。……だから返すんだ」
 相変わらずアスカはレイしかしないような無表情を貫いたまま。
「先生にお金を返して、僕は父さんのお金を使っていないって、示したい」
「示してどうすんのよ」
「どうするって……示したいだけだよ。多分、それだけ」
 言葉が早くなる。いつからか目的と手段が同化してしまっているのだろうか。
「違うわ。同化してるとかじゃなくて、どうかしてんのよ、アンタは」
 失礼な言葉に表情が固まる。窓から差し込むオレンジ色の光に照らされたシンジの顔は苛々と困惑を同時に見せていた。
「そんな金送られたらアンタの先生だって良い迷惑じゃない」
 重々承知いているので未だ送らずに、いつか片付けようと手を付けていない段ボールに札をむき出しにしてしまっている。
「おセックスしって手に入れたお金ですーって言って渡すワケぇ?」
 右の耳に響くアスカの声。
「先生がアンタからお金貰ったって、碇司令にちゃんと伝えるかどうかって保障はどこに有んのよ?」
 左の耳に響くアスカの声。
「知らないよ、そんなの!」
 煩い声を掻き消そうと自分も大声を出し、両手でパンッと音がする位勢い良く耳を塞いだ。
「取り返しが付かないんだ! どこまで行っても同じだけど、もう立ち止まる事なんて出来ないんだ! もう、もう……僕は……もう、汚くなったから……」
「勝手に決め付けてるんじゃないわよ」

531:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 22:19:58
「煩いッ!!」
 背を丸めて絶叫してもアスカの声は脳味噌に直に響く。
「痛くても臭くても恥ずかしくても、それでも……そこに行けば、皆優しく……暖かく、してくれるから……お金貰って、抱き締めてもらって、それで父さんに……」
「お父さんが知ったらどう思うか考えた事有るの?」


 アスカの質問に答えるより先に視界が変わった。
 見覚えの無い天井は白にほんのりと赤み掛かっていて、そこに黒い幾何学的とナンセンスの中間辺りの模様が入っている。
 ここは自分の部屋でも、今はアスカが寝ている最初に与えられた部屋でも、病院の個室でも、居候していた先生の家でもない。
 但し茶色くて小さい埃が幾つか付いていて薄汚れている印象。
「……はッ、はぁ……」
 止めていた息を吐いて、直前まで見ていた景色が夢だったとわかった。
 背中がベタベタするのは寝汗をかいているからだろう。額にもつつっと汗が垂れる。
 夢で良かった。夢の終わり頃のアスカの質問には答えられないから。
 幾ら自分に注いだ金を全て返したからといって、シンジは父と同じ位置に立つ事が出来ないと、本当は理解していた。
 何も見ないようにもう1度目を閉じる。
 父に自分を見てもらい、認めてもらいたい。最初に手違いで体を売って大量の金を手にして、真っ先にそんな事を考えた。

532:孔雀 ◆nULfbdzH0k
07/09/22 23:00:37
 目蓋の裏しか見えない、特に音のしない―耳を澄ませばカラスが遠くで鳴いているような声が聞こえる気もする―世界でも鮮明に思い出せるのは『SOUND ONLY』の画面から聞こえた「良くやったな、シンジ」の声。
 鼻の頭がツンとして、思い出すだけで涙が出そうになる。勿論嬉しくて。
 急に考える力が消えてゆく。
 シンジは今度こそ良い夢へ、優しく暖かく抱き締められる、そして出来れば静かな夢へと落ちていった。

続く
最後の最後でさるさん規制が入って泣きそうになったのはここだけの話orz

533:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/22 23:23:26
うう…グロい
そして切ない

さすが孔雀氏だ…
気持ち悪くさせるのも作家の力量ですね

給料下げるって…!店長空気嫁

534:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/23 03:35:19
相変わらずすごいな孔雀さんは…
明日仕事あるのにこんな時間まで読みふけっちゃったよ
GJ

535:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/23 09:34:56
おもしれぇ
コンビニの店員に救われた

電車の中の話し相手がアスカって新鮮
シンジと肉体関係に無いから?

536:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/23 15:35:21
コンビニ店員GJ!このご時世、なんて優しい若者なんだ。

そして孔雀さんGJ!!
人件費削減テラヒドス…

537:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/27 02:51:56
うおおお!いつの間にか孔雀神新作キテタ!!
GGGGJJJJ!!!

538:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/27 07:35:56
目を離すと神の良作が投下されてる…
切なくて最高…

539:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/27 08:15:54
体を重ねていないアスカが最もシンジに愛情を抱いているってのが逆説的
GJ

540:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/28 00:08:42
続きwktk
今まで腐るほど二次創作を読んできたけど、孔雀氏の小説がほんと一番好き


541:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/30 15:04:01
wktk

542:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 12:04:36
きんもー☆

腐女子のオナニースレだな。
ホモ自己満足小説はやおい板にでも書いてろよ

543:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 12:10:44
俺、ジャムおじさんのパン工場で
ジャムの野郎にケツ掘ってもらって射精してます。
この前、アンパンマン号で俺相手のびんびんになったペニスにケツ穴沈め、
お互いびんびんに勃起しながらホモSEXしました。
その時、俺、腹が痛くなり、おまけに昨日から下痢気味だったことも思い出し、
俺、ジャムおじさんに「ちょっとヤバイ!」って告げたら、ジャムおじさんは俺が射精寸前と勘違いしたらしく
更にガン堀されました!

544:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 12:33:18
腐女子きもいよ

545:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 14:26:56
これは上にいていいスレじゃない

546:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 17:32:40
俺、ジャムおじさんのパン工場で
ジャムの野郎にケツ掘ってもらって射精してます。
この前、アンパンマン号で俺相手のびんびんになったペニスにケツ穴沈め、
お互いびんびんに勃起しながらホモSEXしました。
その時、俺、腹が痛くなり、おまけに昨日から下痢気味だったことも思い出し、
俺、ジャムおじさんに「ちょっとヤバイ!」って告げたら、ジャムおじさんは俺が射精寸前と勘違いしたらしく
更にガン堀されました!

547:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 17:38:45
475:名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/10/01(月) 00:59:17 ID:??? [sage]
シンジ男娼スレもキモいな
書いてる腐女子、一人で独裁状態だし。まわりでマンセーしてる奴らもやばいし

こういう奴らに限って男いねーんだろうなwww


474:名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/10/01(月) 00:58:50 ID:??? [sage]
男娼だったらってスレに1番嫌悪感を覚えたよ
文章にマジな気迫がある分キモさが倍増
哀れなシンジ萌えは鼻につく

548:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 17:42:09
475:名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/10/01(月) 00:59:17 ID:??? [sage]
シンジ男娼スレもキモいな
書いてる腐女子、一人で独裁状態だし。まわりでマンセーしてる奴らもやばいし

こういう奴らに限って男いねーんだろうなwww


474:名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/10/01(月) 00:58:50 ID:??? [sage]
男娼だったらってスレに1番嫌悪感を覚えたよ
文章にマジな気迫がある分キモさが倍増
哀れなシンジ萌えは鼻につく

549:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 17:46:17
最近どうしたんだ?

550:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 17:53:52
567:名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/10/01(月) 17:42:09 ID:??? [sage]
475:名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/10/01(月) 00:59:17 ID:??? [sage]
シンジ男娼スレもキモいな
書いてる腐女子、一人で独裁状態だし。まわりでマンセーしてる奴らもやばいし

こういう奴らに限って男いねーんだろうなwww


474:名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/10/01(月) 00:58:50 ID:??? [sage]
男娼だったらってスレに1番嫌悪感を覚えたよ
文章にマジな気迫がある分キモさが倍増
哀れなシンジ萌えは鼻につく

551:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 17:56:33
567:名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/10/01(月) 17:42:09 ID:??? [sage]
475:名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/10/01(月) 00:59:17 ID:??? [sage]
シンジ男娼スレもキモいな
書いてる腐女子、一人で独裁状態だし。まわりでマンセーしてる奴らもやばいし

こういう奴らに限って男いねーんだろうなwww


474:名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/10/01(月) 00:58:50 ID:??? [sage]
男娼だったらってスレに1番嫌悪感を覚えたよ
文章にマジな気迫がある分キモさが倍増
哀れなシンジ萌えは鼻につく

552:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 18:00:15
567:名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/10/01(月) 17:42:09 ID:??? [sage]
475:名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/10/01(月) 00:59:17 ID:??? [sage]
シンジ男娼スレもキモいな
書いてる腐女子、一人で独裁状態だし。まわりでマンセーしてる奴らもやばいし

こういう奴らに限って男いねーんだろうなwww


474:名無しが氏んでも代わりはいるもの :2007/10/01(月) 00:58:50 ID:??? [sage]
男娼だったらってスレに1番嫌悪感を覚えたよ
文章にマジな気迫がある分キモさが倍増
哀れなシンジ萌えは鼻につく

553:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 18:08:50
ここ読んでみ。

スレリンク(eva板)

554:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 19:18:52
カヲル腐も根性悪…そんなに自分達は認められないのが悔しいのか?

555:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 19:35:34
マイノリティがマジョリティを叩くのは仕方ないとして
マジョリティがマイノリティを叩くのは弱い者いじめみたいで情けないよね

556:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 19:39:55
たてつけば叩かれるのも世の理だと思うけど
マイノリティは自分達の変態性癖の重要のなさを知った方がいい
そして自粛すればそれで

557:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 19:45:11
軒並みシンジスレ荒らしてるのってカヲル腐なの?
便乗した腐叩きじゃないの?

558:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 19:48:45
エヴァにおけるマジョリティ=カヲシ(ry

559:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 19:52:23
カプでいうマイジョリティはLASか

560:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 19:53:41
>>576
カヲル腐と便乗と嫌腐かな?
あとシンジアンチ

561:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 19:56:23
>576
多分両方いる
嫌腐はこの荒れに乗っていて
カヲル腐は叩かれてスレじゃ勝てないから出張中だと思う
嫌腐はカヲル腐に成りすましたり
カヲル腐は嫌腐に成りすましているということも可能性としてはある
あとこの荒れに便乗して自分の嫌いな趣向だけを叩くやつ
もちろんこれも成りすまし可能性がある

562:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 19:59:11
>>576
何のことを指してるのか萌えオタにでも叩かれてると思ってるのか知らないけども
嫌腐に目をつけられるほどひどくやってたんだがら仕方ないね
ルール違反は咎められて当然。カヲル腐にはいい薬
普通のカヲル好きも迷惑してたしね

563:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 19:59:24
>>576
>571のネチネチした叩き方は腐女子臭い
801は出て行けと言うがカプスレや女性キャラのエロスレには何も言わない奴は腐女子を見下したいキモオタ

つーか男性キャラ好き=腐女子って思考回路がなんとも…

564:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 19:59:29
私怨荒らしは通報するまで

565:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 20:02:15
エヴァヲタは腐女子に興味ないよ
自分たちがキャラ萌えカプ萌えをしてる同じ穴のムジナと理解してる分、叩きの対象は自分たちの萌えに相対する対抗勢力へと向かう
こんなコアな板に来るヲタは腐女子を相手にしているほど良識人ではない
自分たちの萌えに関することだけに興味が及ぶ

566:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 20:02:26
>>582は腐女子ですね
見事に腐女子の基本を押さえている

567:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 20:03:01
こんなんで伸ばすなよ

568:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 20:05:41
何か腐スレ全部削除依頼出すとか動きがあるらしいけど、ここ非難所いる?

569:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 20:07:34
つまり腐女子の敵は腐女子
腐女子大自爆ですな

570:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 20:09:46
案外とそれを楽しんでる奴もいるかもよ
カヲル腐なんかすぐ暴れるし

571:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 20:09:48
腐女子叩いてる奴はみんな腐女子でキモヲタは関係ないですよ
ってことにしたいのか

572:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 20:11:08
>>587
削除依頼出されたとしても通らないのがほとんどだろ。
個人的な好き嫌いや私怨だけでは依頼の対象にならない

573:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 20:11:30
801スレが削除されたら他の男女・同性愛エロスレまで削除される危険があるんだが
やばくね?エヴァ板ますます過疎るぞ

574:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 20:12:04
>>587
そうだね
本当にやられたらヤバいし
可能性は低いと思うけどここもルール違反ではあるし
孔雀氏のSSは魅力的すぎる

どこかに立てたら誘導よろしく

575:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 20:12:31
キモヲタなんて知るかよ
らすだのりりすだの全く興味わかないのと同じだな

576:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 20:12:38
ここってまとめはあるんだっけ?

577:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 20:14:06
違反してれば削除対象になるよ

578:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/10/01 20:14:36
いや、ここ専用のまとめはない
だけどシンジ受け小説まとめになら他スレの小説と一緒にまとめられていく…と思う


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