明らかにおかしいエヴァンゲリオンat EVA
明らかにおかしいエヴァンゲリオン - 暇つぶし2ch218:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/05/18 16:09:48 dnFifeVq
「そんな……」シンジは愕然と、そして絶望感から膝を折ろうとした。しかし、その時、スピーカから声が届いた。
『もおおっ、しつこいわね! バカシンジなんて当てにできないのにぃ!』
「アスカ……」
 そして、発令所の声。戦略自衛隊が館内から撤退して、生存者の誰もが状況を把握できるように回線を開いているのだろう。いや、それよりも―
『外はどうなってる!』
『活動限界まで1分を切ってます……このままじゃアスカが!』
「っ……!母さんっ!」
 瞬間的に、シンジは叫んでいた。それは、ずっと前から感じていたこと。感じていながら、目を逸らし、誤魔化し続けていたこと。しかし、もうそうはいかない。綾波レイも碇ユイも怖い。ここにあるのは怖いモノばかりだった。それもここですべてが終わる。
怖いことも楽しいことも悲しいことも、嬉しかったことも、全部、全部、消えて、二度と戻ってくることはない。逃げ続けて、結局逃れられず、最後には何も残らない。
(もうそんなのは沢山なんだ!)
だからシンジは何もかもを忘れてただ叫んだ。
「母さん!」
「母さんっ!」
「嫌なことばかりだけど、楽しいことも見つけたんだ……ずっと一緒に居たいんだ!」
「居なくなってしまった人がいて、悲しいって思ったんだ!」
「もうそんな人が出ちゃだめなんだ! だから……」

「だから……行かせてよッッ!」

 息を荒げていたシンジは、不意に顔を上げた。何かの兆候があったわけではない。そして実際に何の変化もなく、初号機は獰猛な無表情で封印されている。だが、身体の、心の奥底で、水の音を聞いたような気がした。
「……!」
 誰かが自分に触れている。その心のざわめきにシンクロしたかのように地響きが始まる。そして目の前のベークライトを突き破り、巨大な何かが猛然とシンジに向かってくる。
轟音と衝撃。恐る恐る眼を開けると、そこには初号機の腕があった。五指の隙間で自分のみを避け、隔壁に突き刺さっている。
初号機には誰も乗ってはいないはずだった。誰も。いや……
その事実に、シンジは慄然と呟いた。
「母さん……!」
 もう、間違いようもない。
 母は、初号機の中に居たのだ。



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