古畑任三郎と戦わせたいエヴァキャラat EVA
古畑任三郎と戦わせたいエヴァキャラ - 暇つぶし2ch310:1
06/10/11 15:12:01 aGM+z9RL
ゲンドウ「起動開始」
リツコ「主電源全回路接続!」
古畑「いやぁぁエバの起動実験まで見せていただけるなんて光栄ですぅ~んふふっ」
ゲンドウ「・・・・貴様が無理やり押しかけてきたんだろうが・・・・」
古畑「え?ゲンドウさん何か言いませんでした?」
ゲンドウ「・・・・・」
古畑「ゲンドウさん?」
ゲンドウ「・・・・知らん」
今泉「古畑さん!ぼぼぼぼっ僕緊張してきました!」周囲のものにやたらと触る
リツコ「触らないで!!」
今泉「はっはっはっはっはい!!」慌てて転びそうになりボタンを押してしまう
古畑「馬鹿!」今泉のおでこをたたく
  「・・・君の押したボタンで何もおきなくてよかったね」周囲をうかがう
マヤ「可動電圧 臨界点まで0.3 0.2 突破!!!!」
起動システム「第2段階へ移行!!」
シゲル「パイロット接合に入ります、接合開始」


311:2
06/10/11 15:14:33 aGM+z9RL
マヤ「絶対境界線まで後・・0.9・・・・・0.5・・・・パルス逆流!!!!」
零号機「ぬゴアああああああああああああああああああ」
古畑「なななっ何ですか!?誰の声ですか~!?」
今泉「あわわわわっ」転ぶ今泉
シゲル「第三ステージで異常発生!拒絶が始まってます」
マヤ「零号機制御不能!」古畑たちは完全に蚊帳の外
ゲ「実験中止、電源を落とす」
古畑「実験中止ですか~!?あのロボットどうなったんですかしゃべってますよ~!?」
ゲンドウ「少し黙っていろ!」
今泉「あわわわわわっ」声にビックリして壁にぶつかりながら避難する今泉
リツコ「予備電源に切り替わります!・・・危険です下がってください!!!」
古畑「リツコさんの言うとおりですぅ~!!!!ゲンドウさ~ん!
   ゲンドウさん危ないですよ~!!」後ろに下がりながら、逃げ腰で話す古畑
ゲンドウ「レェェェェェェイ!!!」声をかけようと近づいた古畑驚く
マヤ「オートエジェクション作動します!」レイのプラグ射出する
ゲンドウ「いかぁぁぁぁぁん!!!!」声をかけようと近づいた古畑驚く
リツコ「特殊ベイクライト急いで!!」
ゲンドウ「レェェッェェイ!!!」声をかけようと近づいた古畑驚く
まや「5  4   3  2  1」
古畑「どこ行くんですか危ないですってゲンドウさ~ん!」ゲンドウを追いかける
ゲンドウ「ぬわぁぁぁう!!」加熱したハッチをひらこうとしてやけどする
古畑「あ~あ~あ~・・・またあなたは無茶を・・・誰か~誰か軍手~」手をふる古畑
ゲンドウ「がぁ!ぬおおお!大丈夫か!レイ!レイ!・・・そうか・・・」
古畑「・・おい君のせいじゃないのか?変なボタンを押すから・・」
今泉「ぼっ僕ですか!?そんな~ひどいや古畑さん」小声で話す2人

312:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/11 20:38:26
↑すんげ~うけるっ

313:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/13 15:28:46 nMUEPk2G
保守ついでに
URLリンク(imepita.jp)

314:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/13 23:06:57
>>313
保存したw

315:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/14 21:17:48 OUoEVXeS
ミサト「レイ!!」
リツコ「自爆する気!?」
レイ「私が死んでも代わりはいるもの」

古畑「な~んかひっかかるな~自殺とは思えない、今泉君やってみて」
今泉「ちょっ僕にはできませんよ~w」

316:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/15 22:30:13
>>315
でもけっきょくやらされる今泉君

317:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/17 20:50:15 gCmEgQMJ
播種

318:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/18 19:33:44
今泉「古畑さんは言ってたよ、チビはうるさいって、チビは用無しだって」
ギリギリギリギリギリギリギリギリギリギリクタッ
西園寺
「あんたみたいな窓際族の代わりはいくらでもいるんだよ、今泉」

319:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/19 00:39:30
今泉カワイソス

320:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/10/30 00:47:26 Dgn0W1TJ
age

321:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/05 16:42:09
今泉のことかー!!!

322:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/14 23:51:10
ほす

323:マイク男
06/11/15 17:00:55
赤木リツコ

324:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/18 14:25:37


325:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/11/25 21:15:42
保全さげ

326:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/07 23:12:24
保全さげ

327:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/12 01:10:04
ほす

328:名無しが氏んでも代わりはいるもの
06/12/31 19:18:35
ほす

329:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/16 10:07:02
綾波 レイ

330:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/16 11:31:07 Jp7QaU6g
hosu


331:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/19 16:47:44
保守

332:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/02 23:02:59
ほす

333:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/13 15:08:05
話がかみ合いそうも無い根府川と

334:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/18 17:11:58
hosyu

335:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/26 23:12:08
保守

336:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/03/18 14:02:35
どくだみ、ハブ茶プーアールー、

337:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/03/23 19:33:14
のがれものおりん

338:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/03/23 20:09:18
冬月

339:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/04/08 01:01:06
保守

340:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/04/22 01:29:02 7fvaY6Sz
古畑「スマップの事件、解決したの私なんですよ~」
ミサト「スマップなつかし~」

341:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/04/22 06:43:01 9g/OcnuW
あえての委員長

342:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/04/22 10:10:35
PS2の名探偵エヴァンゲリオンって微妙に『逆転裁判』チックだったけど、シンジが古畑っぽかったらそれはそれで面白かったかも。

343:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/04/22 11:47:28
juk

344:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/04/27 15:20:44
     }           {                 i.  /^′
     ,}         ,:彡              | /
     {       ,.イ´         j: i_,,. -ーt′
     } /~"ニフ {.   /二ニニィ  {フ=ニ、ト、
     j | {// ,i'     ,ヘツ_>'/  : ド=’イ | ヽ
     '; |`<''/  {    丶 ̄ ./    |、   ルリ
      〉 \イ,.,.、冫              l.、 |    4号機はァ…、なぜ廃盤になったのか…。
      l、  \,,ハ.          /` 丶  :},)|     古畑任三郎ですた。
        ヽ、 ,ハ ヽ      / ` ‐⌒ー ' , |‐- .._
        >'i \ ヽ.    , ‐--ー一 ''゙!丿    \
       ,/l   ヽ \ 丶、    `"二´ ,' |       ト、
       ノ |    ヽ.  丶、 `ヽ、    ___ノ  |.      | |

345:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/05/04 13:43:23 h0hGNzeh
古畑 「ん~っふふふ、あなたのようなタイプが最もボロを出すということを私は経験で知ってます~。」

アスカ 「…………。」

346:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/05/21 01:42:18
保守

347:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/06/08 16:42:19

ゲンドウ「いつから解った……。」

古畑「最初からです~。んふふ。」

348:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/06/27 08:41:54
ホシュ

349:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/06/28 23:44:25 ku4iTDa+
んっふふふふ

350:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/06/30 18:54:53
巨大化した古畑が使徒と戦うスレかと思った。

351:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/20 01:12:38
アヴァンタイトル

 え~、推理小説に出てくる犯人。
 彼らはたびたび、ウソのアリバイをでっちあげ、刑事の追及を逃れようとします。
 刑事たちは巧妙に仕組まれたウソのアリバイを暴くために四苦八苦するわけですが、
 これは、非常に、非効率なやり方なんです。
 手っ取り早いのは、犯人が犯行現場にいた証拠を見つけること。
 ……アリバイの真相?
 ん~ふっふ、それは犯人に聞いてください。


古畑任三郎 VS 惣流・アスカ・ラングレー(被害者:碇シンジ)


投下しておk?

352:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/20 02:21:35
許可などいらん

353:犯行編
07/07/20 19:19:34
>>351の続き

―2015/09/18(金) 12:20 佐世保市街-ラーメン屋

 アスカと加持がラーメン屋でとんこつラーメンを啜っている。
「……そうさ、サードチルドレンの緒戦でのシンクロ率は40%を軽く越えている」
「うそ!?」
「嘘じゃないさ。アスカもドイツ支部で、初号機の戦いぶりよく見ていただろう?」
「で、でも、あんなの、たまたま初号機が暴走しただけじゃないですか」
「持って生まれた才能、ってヤツかもな」
 箸をテーブルに叩きつけて席を立つアスカ。
「……アタシ、もうホテルに戻ります!」

―2015/09/18(金) 12:40 佐世保市街-シティホテルの303号室

 アスカ、自分の旅行バックの中を探る。
 ヘアカラースプレー、カラーコンタクト、黒ぶち眼鏡、ハードスプレー、黒いつば広帽子、
 黒い革ジャケット、ジーンズ、腕時計、革靴、手袋、現金、人形……ジャックナイフ。
 テレビをつけ、チャンネルをNHKにあわせ、少しうるさいくらいまでボリュームアップ。
 靴を脱ぐアスカ。かかとの僅かな切れ目から、慎重に小さな機械を外し、人形の髪に飾る。
 アスカを監視するために密かに取り付けられていた盗聴機、兼、発信機である。
「アンタは『人形』なんだから、いい子にしてるのよ『アスカ』」

―2015/09/18(金) 13:50 佐世保市街-シティホテルの廊下

 303号室から、黒ずくめの『少年』が出てくる。
 男装したアスカだ。
 目深に帽子を被り、ジャケットのポケットに手を突っ込んで、廊下を歩く。
 黒く染めた髪はジャケットの中に隠れており、本来の長さが分からない。
 アスカが自分に言い聞かせるように小さく呟く。
「行くわよ……アスカ」

354:犯行編
07/07/20 19:21:16
―2015/09/18(金) 14:10 佐世保駅
―2015/09/18(金) 15:30 長崎空港
―2015/09/18(金) 17:00 第三新東京空港
―2015/09/18(金) 17:20 第三新東京市-千石原駅

 アスカ、第三新東京市、葛城ミサト宅へ向けて移動

―2015/09/18(金) 17:35 マンション「コンフォート17」-11階の廊下

 アスカ、目の前のドアに書かれている部屋番号、「11-A-2」を確認。
 続いて表札も確認。ネルフドイツ支部で頭に叩き込んできた情報と素早く照合する。
(ミサトの名前と、サードチルドレンの……間違いない、ここだわ)
 ふぅ、と一つ息を吐き、インターホンを押す。……応答なし。
 もう一度、押す。
 しばらくして応答あり。 
「はーい、どちらさまですか?」
 まだ声変わりしていない少年の声。アスカ、インターホンに向かって笑顔。
「どうも、こんばんわ。葛城ミサトさんのお宅はこちらでよろしいかしら?」
「ミサトさんのお知り合いですか……少し待っていてください」
 5秒待たずにドアが開く。
 中から顔を出した少年は、間違いない、サードチルドレン『碇シンジ』である。
 料理でもしていたのか、黄緑色のエプロンを着たままの姿だ。
「はじめまして、アタシ、『園部』という者です。あなたは? ミサトのボーイフレンドかしら?」
「い、いや、ボーイフレンドとか、そういうのじゃないです!
 僕、碇シンジです。仕事の都合でミサトさんと同居してるんです」
「ええっ!? あなたが碇シンジ君?」
 アスカ、シンジに顔を寄せ、トーンを落とす。
「サードチルドレン、でしょ? 初号機専属パイロットの」

355:犯行編
07/07/20 19:23:09
「!? えっ、なんでそのことを……」
 シンジ動揺。アスカ、すかさずネルフドイツ支部のIDカードを見せる。
 シンジ、カードに書かれているドイツ語の中から「NERV」という文字を見出す。
 アスカがカードを裏返す。
 名前や生年月日がやはりドイツ語で記載されているが、シンジの目は写真に向く。
 そこには赤茶けた髪で、青い瞳の少女が写っているが、目の前の黒ずくめとは同じ人間とは思えない。
 アスカはシンジの目が動揺するのを見て取ると、カードをポケットに仕舞った。
「驚きましたか? これは……」
 アスカ、眼鏡を外し、両目の黒いカラーコンタクトを外す。
「……ああ、変装してるんだね。驚いた」
「ちょっとワケありでね。髪とかも染めてるんですよ」
 コンタクトを戻し、眼鏡をかけなおす。
 シンジが何か気付いた表情。アスカに耳打ちする。
「ここ、盗聴されてませんから……」
 アスカ、それを聞いてウインクを返す。
「ミサトに会いに来たんですが、まだお仕事みたいですね。少し時間を潰してからまた来ます」
「あ、あの、良ければ上がっていってください。ミサトさん、今日は9時過ぎるって言ってましたから」
「それじゃあ……お邪魔させてもらおうかしら」
(この男、チョロい……こんなのがエヴァのパイロットだなんて許せない。アタシが許さない!)
 アスカ、玄関に入り、シンジの後ろについてキッチンへ。

356:犯行編
07/07/20 19:24:26
「こちらにどうぞ。いま、お茶、淹れますね」
「すいません、アタシ、床に座るのってまだ苦手なんですよ。こちらでよろしいかしら?」
「あっ、ご、ごめんなさい。……どうぞ」
 シンジ、食卓の椅子を引く。アスカ、そこに座る。
 湯気の立つ湯呑みが出される。が、手に持ったまま、口をつけないアスカ。その視線は台所へ向いている。
 台所にはまな板が出ており、千切りにされたキャベツと包丁が乗っている。
「今ちょうど晩ご飯の支度していたんですよ。あの、園部さんも一緒いかがですか?」
「あら、変な時間にお邪魔してしまったわね。そんなつもりはなかったんですが」
「実はさっき『夕飯は外で済ますから』ってミサトさんから電話があって、
 ちょっと余っちゃうんですよ。これ」
 シンジはそう言って、台所の上の食材―キャベツの他、挽肉やジャガイモ―を見る。
「そういうことでしたら、頂いてもよろしいかしら?」
「ええ、是非」
「アタシは気になさらずに、どうぞ、お料理続けてください」
 シンジ、手袋を脱ごうとしないのを不審に感じながらも、アスカに背を向けて料理を続ける。
 包丁がまな板を叩く軽快なリズムがキッチンに響く。
(チャ~ンス! ……いや、ダメ。あの包丁で反撃されたら厄介ね)

357:犯行編
07/07/20 19:26:02
 少し考えた後、アスカ、湯呑みを倒す。食卓や床にお茶がこぼれる。
「キャッ!」
 シンジ、振り返る。
「ごめんなさい。思ったより熱かったら、びっくりして……」
「あ、大丈夫ですか? 足とかにかかりませんでした?」
「ええ、それは大丈夫ですけど、床が……」
「別に、気にしないで下さい。今、拭きますから」
 シンジ、台所の布巾で食卓の上を拭く。
 その後、雑巾を持ってきて、四つん這いになって床を拭く。
 アスカ、席を立ち、ポケットのジャックナイフを取り出す。その刃の冷たい輝きにシンジは気付いていない。
「アタシが……ずっとアタシが一番なのよ!」
 アスカの全体重を乗せた刃がシンジの背中に突き刺さる。
「うぐっ!!」
 ナイフを一度引き抜き、第ニ撃、第三撃と突き立てる……第四撃でシンジの反応が無くなった。
 血溜まりに伏せるシンジ。10秒程度、息荒く呆然とするアスカ。
 我に返ったアスカは、返り血をキッチンペーパーで大雑把に拭き取る。
 使ったペーパーはトイレに流す。さらにトイレットペーパーを脱衣場に持ち込み、
 鏡でチェックしつつ細かい返り血を拭き取ってゆく。
(この服は明後日、太平洋に捨ててしまうから、見た目だけ血がついていなければ……)
 納得がいくまでチェックすると、血がついたトイレットペーパーもやはりトイレに流し、リビングに戻る。
(!? エプロンが……)
 シンジは先ほどと変わらず血溜まりに伏せていたが、エプロンが外れ、テーブルの下に丸められている。
 アスカが襲撃したときにはエプロンを着たままだったはずだ。
 アスカ、シンジの脈を取る……彼は確かに死んでいる。
(そっか、あのときはまだ生きていたんだわ。でも、もう死んだみたい……大丈夫ね)
 アスカ、キッチン備え付けの電話から、タクシー会社に電話をかけ、
 あらかじめ携帯電話に録音しておいた合成音声を再生する。

358:犯行編
07/07/20 19:27:18
―2015/09/18(金) 18:10 マンション「コンフォート17」-集合玄関前

 タクシーに乗るアスカ。運転手、バックミラーから年若い客をじろじろ伺う。
「……千石原駅までお願いします」

―2015/09/18(金) 18:25 第三新東京市-千石原駅-女子トイレの個室

 アスカ、ジャケットを裏返して着なおす。色はお気に入りの赤。
 さらにコンタクトを外す。青い瞳で黒い髪の『少年』になる。

―2015/09/18(金) 18:45 第三新東京空港
―2015/09/18(金) 20:35 長崎空港
―2015/09/18(金) 21:55 佐世保駅

 アスカ、佐世保の宿泊先へ向けて移動。

―2015/09/18(金) 23:05 佐世保市街-シティホテルの303号室

 青い目、赤い髪の少女がバスルームから姿を現す。バスローブ姿だ。
 人形の髪から盗聴機を外し、靴底に戻す。
 そしてベットの上に転がると、人形を抱きしめたまま、含み笑いを漏らした。
(うふふふ……『アスカ』? ちゃんとお利巧にしてた?)
(これで、もう、文句なしにアタシが一番……みんなが見てくれる! 認めてくれる!)
 点けっぱなしだったテレビには、氷原を群れで歩くペンギンの姿が写っていた。


犯行編ここまで

359:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/20 19:39:21
エプロン
女子トイレ
つけっぱなしのテレビ

・・・が、気になるな

360:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/20 19:53:40
>>359
即レス㌧
続き(事件編)は書き上がり次第投下しますので

361:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/20 21:16:36
長らく保守った甲斐があった。
ものすごく期待しているw

362:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/20 23:00:12
この「犯行編」だけで証拠というか解決まで導けるんでしょうかね

363:351です
07/07/20 23:33:46
>>362
まだ無理かな?と思います。
明示していない手がかりがあります。
遅筆スマソですが、事件編を待ってください。

ただ、勘の良い人なら、オチまで読める人がいるかもしれません。

・・・というので回答になってますかね?

364:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/21 00:12:33
ネタバレポロリになるから、作者は返答スルーしといてくれw

365:351です
07/07/21 00:23:01
>>364
おk
以後、沈黙します。

366:事件編その1-古畑、到着
07/07/21 17:39:27
―2015/09/18(金) 22:30 マンション「コンフォート17」-集合玄関前

 古畑、自転車を漕いでマンション前に到着。待っていた今泉が駆け寄る。
「古畑さ~ん! こっち、こっち」
「わかってるよ。うるさいな~。自転車置き場どこ?」
「あ、ここの裏です」
「今泉君、これ停めて来なさい。現場、何階?」
「あ、あっと11階」
「部屋番号」
「11のAの2」
「あっそ。じゃ、これカギ。前輪、後輪、両方ね。後で上に持ってきて」
 今泉、古畑の愛車セリーヌを押して自転車置き場に。
 古畑、マンションの中へ。

367:事件編その1-現場検証
07/07/21 17:41:03
―2015/09/18(金) 22:30 マンション「コンフォート17」-葛城ミサト宅

 古畑が玄関に入ってくる。中には数名の制服警官がいて、各々作業をしており、
 時折、カメラのフラッシュが焚かれる。
 古畑、警官の一人に所属を伝え、白い手袋をつけてキッチンに入る。
 キッチンには被害者がうつ伏せに倒れていた。
「どう? 状況は」
 古畑に気付いた警官が「ごくろうさまです」と返答する。
「ガイシャは碇シンジ。この部屋に住む中学2年です」
「まだ若いじゃない」
「ええ。……殺害方法は刺殺ですね。目に見える外傷が背中に4箇所」
「即死?」
「いえ、詳しくは解剖待ちになりますが、4箇所とも致命傷ではなさそうです。失血死じゃないかと」
 古畑、無言で合掌。
「犯行時刻は?」
「これも解剖の結果次第ですが、血痕の乾き具合から4時間以上は経過しているものと」
 古畑、テーブルの下にエプロンと雑巾を発見。これらにも血痕が付着している。
 台所の上には挽肉のパック、ジャガイモ、それにまな板の上には刻みかけのキャベツ。それと空の湯呑み。
「彼、料理してる最中だったんだ。時間的に夕飯だね。母親は?」
「ガイシャの母親はすでに他界しているようです。父親とも別居中です」
「じゃ、一人暮らし?」
「同居人がいます。名前は葛城ミサト。彼女が保護者を」
「今はどこに?」
「奥の部屋に控えてもらっています。……相当こたえた様でしたよ」

368:事件編その1-ミサト1
07/07/21 17:42:37
 古畑、奥の部屋の襖の前に移動。
「あの~、失礼してよろしいですか?」
 一拍置いて「どうぞ」と返事がある。古畑、襖を開ける。
 目を真っ赤にしたミサトがベットに腰掛けている。
 右手にハンカチを持って、時々、目頭を抑える仕草をしている。
「ええ~、私、警視庁の古畑と申します。このたびはご愁傷さまでした」
 ミサト、無言で会釈。
「少しお話を」
「はい。そこにお掛けになって下さい」
 ミサト、学習机の椅子を古畑に勧める。
「この部屋もしかして、彼の?」
「そうです。シンちゃんの……」
「え~、お察しします。失礼ですが、シンジ君とはどのような?」
「シンちゃんは私の部下なんです。父親とはうまく行ってなかったみたいだから、私と」
「えぇ、シンジ君はあの若さで働いてらっしゃる? 偉いですねぇ」
「そう……シンちゃんエヴァンゲリオンのパイロットなんです。エヴァ、ご存知で?」
「ええ、ええ、それはもう。この前、部下の…今泉っていうバカなんですけど、
 こいつのせいでパトカーがガス欠しちゃいましてね。シェルターに入るの間に合わなかったんです。
 そしたらイカみたいなでっかいのが飛んできて……」
「使徒ね。第四使徒」
「その使徒に危うく踏まれそうでしたよ。でも、そのとき紫色のでっかいのが出てきて、
 イカをやっつけちゃったんです」
「それがエヴァ。初号機ね。あのときシンちゃんも乗っていて…」
 ミサト、目頭を押さえる。
「ええっ! あのでっかいのを操縦していたんですか? 彼が?」
 ミサト頷く。

369:事件編その1-ミサト2
07/07/21 17:44:25
「ええ~、彼がパイロットということは、あなたは?」
「ネルフの作戦課長です。あの作戦を指揮していたのも私です」
「ん~ネルフの作戦課長というのは、私どもにはなじみの薄い職業でして……どのようなお仕事でしょうか」
「大まかに言って軍隊の一部隊長と同じようなものだと思って頂ければ」
「なるほど、でも課長ともなれば、管理業務とかも?」
「そうです。それで、今日も遅くなって、9時過ぎちゃって、帰ってきたらシンちゃんが……」
 ミサト、また泣き出す。その時、襖の向こうから今泉の声。
「古畑さん、古畑さん、ちょっと、ちょっと」
 襖を少し開けて手招きする今泉。睨み付ける古畑。
「……ん~、では今夜はこれくらいで。よくお休みになって下さい」

370:事件編その1-二つの目撃談
07/07/21 17:45:47
 部屋を出る古畑。襖を閉めると今泉のオデコをピシリ。
「何?」
「あの、カギ」
「……まったく、そんなことで事情聴取を妨げるんじゃない」
「いえ、も、目撃者が見つかったんです」
「それを早くいいなさい」
「玄関に待たせています。あ、カギ」
 古畑、自転車のカギをポケットに仕舞い、玄関へ。
 スーツ上下にネクタイの男が二人いる。一人は角刈り頭の男で、もう一人はバーコードだ。
 制服警官がメモを取りながら、話を聞いている。
 別の警官が古畑に気付き、内容を説明する
「角刈りの方は、ガイシャや葛城ミサトが勤務している『ネルフ』という組織の一員だそうです。
 もう一人はタクシーの運転手」
「なんて?」
「角刈りはネルフの保安部の人間で、この部屋の監視をしていたそうです。それで不審な人物を見かけた、と」
「それで?」
「今日の17時30分頃この部屋を訪ねた人物がいるそうです」
「死亡推定時刻と重なるね。特徴は?」
「上から下まで真っ黒だ、と。帽子、眼鏡、革ジャケット、ジーンズ、靴、すべて。
 中学生くらいの男だったそうです。その人物は17時30分頃、玄関でガイシャと言葉を交わした後
 この部屋に入り、18時少し過ぎた頃に出てきたと」
「ふーん。で、もう一人のあのバーコードは」
「……18時頃にこのマンションの前で、やはり黒ずくめの人物を乗せたと。
 歳はやはり中学生くらいに見えたと言っています」
「拾ったの?」
「いえ、タクシー会社の無線で」
「どこからの電話で?」
「いま、問い合わせいます。で、結局その人物はここの最寄の千石原駅で降りたようです」

371:事件編その1-裏返しのTシャツ
07/07/21 17:47:43
 そのとき、鑑識の一人が古畑の肩を叩いた。
「あのぅ、もうこっちの作業は終わったんで、仏さん運び出したいんですけど」
「ああ、ごくろうさん。もういいよ」
 担架に乗せられるシンジ。遺体が仰向けになる。
 シンジは白いTシャツを着ている。シャツには乾いた赤黒い血痕が付着している。
 胸に大きな日の丸が描かれ、何か漢字らしきものが書いてあるという奇抜なデザインだ。
 ただ、輪郭がぼやけており、漢字が読み取れない。
「待って! ……これ、シャツ、裏返しに着てるね」
 古畑、逡巡の後、もう一度シンジをうつ伏せにする。
 そしてシャツをめくって、背中の刺し傷と、シャツが破れている箇所を見比べる。
「シャツが破けているところと、刺し傷の場所が合ってない……君、このシャツをちゃんと着せてみて」
 鑑識の一人が、シンジの裏返っているシャツを脱がし、表に返して着せなおす。
 古畑はまたシャツをめくる。シャツの破れ目と、背中の刺し傷の位置がぴったりと一致。
「やっぱりだ。彼、刺された後に、シャツを脱いで、裏返しに着たんだよ。
 あるいは犯人の仕業か……君、この写真一枚撮っておいて」
 指名された鑑識の一人が、シンジに向けてシャッターを切る。
 古畑、玄関に移動し、バーコード頭に話しかける。
「すいませ~ん、もう少しお話を」
「ん? 何ですか?」 
「え~、あなたが乗せた、黒ずくめの人物なんですけど、髪とか目とか肌の色なんかに特徴は無かったでしょうか?」
「う~ん、色白だったってことは覚えてるんですけど。それ以外は何も。髪は染めてなかったし、目も普通だったよ」
「ううん、質問を変えます。日本人に見えましたか」
「ああ、外人には見えなかったな」
「なぜ?」
「そりゃ、黒い目に黒い髪して日本語喋るんだから、日本人だろ」
「訛りとかは?」
「無かったよ。きれいな標準語だったな」
「んっふっふ、ご協力ありがとうございました」

372:事件編その1-犯人は外国人?
07/07/21 17:49:11
 古畑もう一度キッチンへ。警官の一人が古畑に報告。
「電話の件、回答来ました。18時ちょうどくらいにこの部屋の電話からタクシー会社に電話した者がいるそうです。
 しかし、残念ながら、音声は残っていないとのことです」
「そう、ごくろうさん……今泉君! 君、何やってんの?」
 今泉が振り返る。
「こ、これ。かわいいですよ」
 今泉、ペンギンに目線を合わせて、指でくちばしをつついている。
「おやぁ、ペンギン!? この家のペット?」
「そうです。葛城さんに聞いたら名前、ペンペンっていうそうです。あ痛っ!」
 ペンペン、今泉の指に噛み付く。怒ったのか、そっぽを向いて寝床がある冷蔵庫に。
 ボタンで開閉するドアを開けて、さっさと中に入ってしまう。
「う~ん、賢い鳥だねぇ。……それより、今泉君。君、これから被害者の交友関係を洗いなさい」
「は、はい。って、やっぱ盗みじゃなくて、怨恨ってことですか」
「物は盗られてないからね。特に、彼に一番近い外国人を探しなさい」
「ううぅ、彼にそういう友達がいるなんて思えないなぁ」
「友達なんて言ってないよ。……彼、死ぬ間際にTシャツを裏返しに着たんだ。
 電話で助けを呼びたいけど、もう立てない。運悪く携帯電話も手元に無い。そんな状況で」
「犯人がやったんじゃないですか?」
「仮に、の話だよ。裏返しのTシャツ……彼のダイイングメッセージだったとしたら」
「あの日の丸に、なんか変な字をプリントしたTシャツが、ですか?」
「日の丸を裏返す……ノットイコール日本……彼、犯人が外国人だって言いたかったんじゃない?」
「で、でも、黒目黒髪で日本語ペラペラだったって証言があるのに」
「可能性の話だよ」

―2015/09/20(日) 13:30 太平洋上-空母オーバー・ザ・レインボー

 アスカ、弐号機で第六使徒ガギエルを殲滅。
(やっりぃ! ファーストチルドレンはまだ単独で使徒を倒したこと無いはず。
 だから、実質アタシがNO1、エヴァのエースパイロット……ふふふ……ママ、アタシを見て!)

事件編その1ここまで

373:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/21 23:35:43
シンジ君、死に際に粋なことをするなあww

374:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/22 04:54:43
すげぇw
351氏と保守してた住人GJw

375:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/23 20:25:14
期待保守
このスレ初期からROMってます。
良作ですね、楽しみです。

376:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/24 12:27:15
また無駄に長いオナニー投稿がこのスレにも出てきたな
お気に入りから外そう

377:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/24 19:09:46
えー、彼はなぜ、わざわざ「お気に入りから外す」ことを宣言したのか?
キーワードは「夏」。えー、みなさんも推理してみて下さい
古畑任三郎でした

378:事件編その2-古畑、アスカと会う
07/07/25 00:18:05
―2015/09/20(日) 20:30 第三新東京市-シティホテルのレストラン

 アスカのコメカミに青筋が立つ。
 昼間、太平洋上で使徒を屠ったアスカは、その日のうちに第三新東京市に到着した。
 ここはアスカの当面の宿泊先となるホテルの地下にあるバイキング方式のレストランである。
 晩餐に加持を伴ってレストランに入ったアスカは、
 トレイを抱えたまま先ほどから目の前を行きつ戻りつする長髪の男に、いらいらしていた。
 長髪の男はこの暑い盛りに黒いロングコートを着て、
 アスカの目的である惣菜-ハンバーグの目の前に陣取っている。
「……あの~、それ取らないなら、どいてくれません?」
 アスカが我慢ならず、棘のある言い方。男が振り返る。古畑である。
「ああ~、すいませんでした~、あなたもサバの塩焼きを?」
「アタシはハンバーグ! ……じゃなくて、迷ってるんだったら、どいてって言ってるのよ」
 アスカの声を聞きつけて加持が現れる。
「どうしたんだ? アスカ。……やあ、古畑さんじゃないですか」
「ああ、加持さんですね。その節はどうも」
 アスカ、加持と古畑を見比べる。
「あなた、加持さんのお知り合いなんですか?」
「ん~、昨日お会いしたばかりですけどね」
「まさか、古畑さんとこんなところでばったりだなんて、奇遇だな。よければ一緒にどうですか?」
「はい。そうさせて頂きます。ところで……」
 古畑、声を潜める。
「このお嬢さんが、昨日おっしゃっていた? 船の上で大活躍だったっていう?」
 大活躍という言葉が聞こえたアスカは、機嫌を直す。
「そうよ、アタシは惣流・アスカ・ラングレー。船の上での事件はアタシが解決したのよ。たった一人でね!」

379:事件編その2-協力の約束
07/07/25 00:20:02
 アスカ、加持、古畑の三人が4人用テーブルに座って各々の晩餐に舌鼓を打っている。
 加持の紹介で古畑が刑事だということを知り、アスカは静かに緊張した。
「ところで、昨日おっしゃっていた、例の事件。犯人は見つかったんですか」
 例の事件。加持の周りを憚った遠まわしな言い方。アスカは緊張を悟られないよう、食事を続ける。
「ええ~、残念ながら、まだ何も。でも……」
 古畑がテーブルに身を乗り出す。アスカ、思わず引く。
「ここだけの話ですけど、犯人は外国人じゃないかって思ってます」
 喉を詰まらせるアスカ。
「ん~ふっふ、大丈夫ですか? 惣流さん。あなたも彼のことご存知で?」
「え、ええ、もちろんよ。折角、同じパイロットとして良いチームになれるかなって思ってたのに
 その矢先に殺されるなんてね」
「殺され……私は青葉さんのギターが盗難された事件のことを言っているのですが。『殺される』とは?」
 アスカはあくまで平静を装う。
「え? 碇シンジ君が死んだこととは関係ないんですか?
 ……ごめんなさい、アタシ、彼が死んだって聞いて、結構ショックだったのよ。
 思わせぶりな言い方をされると、なんでも彼の話に聞こえてしまうの」
「ん~ふっふ、私の言い方がまずかったです。あ、もちろん、碇君の事件についても調査を進めています。
 ところで、惣流さんは彼のことご存知で?」
「彼って? 碇くん? それとも青葉さん?」
「えー、碇くんの方です」
「彼とは面識ありませんよ」
「見ず知らずの人のこと、そんなに気になりますか?」
「彼の活躍、ドイツでも噂でしたから。アタシ、もう彼のこと戦友だと思ってたの。
 まだ会った事無いのに変ですよね」
「いえいえ、そんなことありません。お察しします」
「でも、アタシ、こういう性格だから気にしないフリしてたんですよ」
 古畑、一拍、間を置く。
「亡くなった彼のためにも、惣流さんも是非捜査にご協力を。我々も全力で犯人を見つけます」
「え、ええ、アタシに出来ることなら、なんでも」

380:事件編その2-鳥の足跡
07/07/25 00:22:14
―2015/09/21(月) 8:00 第三新東京市-シティホテル向かいのファミレス

 古畑と今泉が窓際の席でコーヒーを啜っている。
 古畑は事件の証拠写真の束に目を落とし、今泉はシティホテルの正面玄関を見張っている。
「古畑さ~ん。あ、あの子が犯人っていうのは、おかしいんじゃないかなぁ」
「なんで、そう思うの?」
「だって、昨日来たばかりですよ。日本に」
「違うよ。加持さんの話だと先週の金曜日には日本にいたよ。佐世保にね」
「でも、会ったこと無い人を殺しに来るかな。第三新東京市まで」
 古畑、今泉の疑問には答えず、写真をめくっていく。
 その中の一つを見た時、古畑の手が止まった。そして、声を殺して笑い出す。今泉がその様子を気にかける。
「いや、仏さんの前では言わなかったけど、自分の名前をプリントしたTシャツって、彼、なかなかのセンスだよ」
 古畑、写真の一枚を今泉に見せる。シンジが裏返しに着たあの日の丸Tシャツである。
 今泉も思わず吹き出す。
「このTシャツ、彼自分で注文したらしいです。シャツに好きな文字をプリントしてくれる店で」
「ええっ、それホント? だとしたら……ん?」
 古畑の目が写真のある部分に釘付けになる。
「これ、鳥の足跡じゃない?」
 古畑が指差した先は血溜まり。今泉が目を細める。
 そこには、小さな鳥の足跡が血溜まりから食卓の影に向かって続いている。
「あっ、これペンペンですよ。きっと」
「う~ん、あのペンギン? 犯行時に食卓の下に隠れたってこと?」
「だ、だとしたら、ペンペンは犯人を知ってますよ。きっと」
「……じゃあさ、今泉君、ペンペン連れてきてよ。今から」

381:事件編その2-しつこい男
07/07/25 00:23:49
―2015/09/21(月) 8:30 第三新東京市-シティホテルのレストラン

 アスカのコメカミにまた青筋が立つ。
 アスカが欲しいサンドイッチの前でうろつくロングコート。古畑だ。
「あら、古畑さん、お早いことですこと」
 振り返る古畑。
「おはようございます。惣流さん」
「公務員の古畑さんは、祝日もお仕事ですか?」
「いえ~、今はプライベートです。ここのレストランは良く使うんですよ~。ご一緒にいかがですか?」
 頷くアスカ。二人は思い思いの料理を取って、2人用のテーブルへ。
「え~、昨日の続きなんですが、どうも碇シンジ君の事件も外国人が犯人だという可能性が」
「待って。そもそも、アタシは彼が殺された、としか聞いてないの。一体、どういう状況だったんですか」
 古畑、わざとらしく周りを見渡し、真剣な顔を作る。
「刃物で、4回も刺されています」
「……なんでまた……」
「金目の物は盗られていないと、同居人がはっきり証言しています。怨恨の線が強いです」
「怨恨? もしかして、彼、あまり普段の行いが良くなかったとか?」
「調べた限りでは『普通の良い子』ですね、彼は」
「じゃあ、なんで?」
「彼は良くも悪くも普通の中学生です。ある一点を除いては」
「それは?」
「エヴァンゲリオンのパイロット。他の中学生と違う特徴といえばこれくらいしかない」
「……戦いに巻き込まれた人の逆恨み、とか?」
「はい、十分ありえることです」
「でも、彼の住所を知っている人なんてたかが知れているんじゃない? 学校の友人とか」
「おや? 私、彼の自宅が現場なんていいましたか?」

382:事件編その2-疑惑の表明
07/07/25 00:26:17
「物盗りじゃないって言ったわよね? 誰でも自宅で殺されたっだって思うわ。違うの?」
「んふふ、そうでした。事実、現場は彼の自宅です。でも、彼の住所を調べるのは簡単ですよ。
 彼の職場―ネルフのデータベースを閲覧できる方なら、誰でも調べられます」
 古畑、懐から一枚の紙を取り出す。『従業員データ 氏名:碇シンジ 住所:第三新東京市―』
「ええと、あのぉ、なんて名前でしたっけ、金髪の素敵な女性に調べて貰いました。
 調べてみた限りでは、あなたも碇シンジ君の住所、ご存知ですね?
 ええ、ある日を境に、彼のパーソナルデータや戦歴を参照なさってますね、何回も」
 オムレツを口に運ぼうとしていたアスカの手が止まる。
「え~、あの日どちらにいらっしゃいましたか?」
「……あの日って?」
「ああ、失礼しました。先週の金曜日です」
「その日は、佐世保にいたわ」
「ええ~、一日中ですか」
「そ、一日中。午前中は観光、お昼にラーメンを食べて、そのあとはずっと宿泊先のホテルよ」
「んっふっふ、ご協力ありがとうございます」
「プライベートなんて言った割りには、しっかりお仕事なさってますね」
「すいません、仕事柄と申しましょうか……ええ、気分直しに面白いものを」
 古畑、一枚の写真をアスカに見せる。
 アスカ、目に飛び込んできた赤黒い血痕に眉をしかめるが、日の丸Tシャツとその文字を見て、吹き出す。
「やだ、自分の名前をプリントするのが日本の流行なの? それに不謹慎よ。クックック」
「ふっふっふ、もちろん被害者と面識がある方の前では、こんなことしません」

383:事件編その2-ペンペンの証言?
07/07/25 00:27:42
 そのとき。
「痛っ!」
 アスカ、足に痛みを覚え、思わず声を上げる。
 足元を見るとペンギンが、しつこくアスカの足をくちばしで突いている。
「なによ! コイツ! 失礼なペンギンね!」
 アスカ、ペンギンを足蹴にする。
 古畑、アスカと背中合わせに座っている薄い頭の男を発見する。
「では、惣流さん、わたしはこれで……」
 古畑、ペンギンを抱えると、今泉の腕を掴み、レストランの外に引きずり出した。

―2015/09/21(月) 8:50 第三新東京市-シティホテルの駐車場

「まったく君は、なにやってるんだ!」
 ペンペンを抱える今泉に古畑が一喝。
「あ、あの子が犯人ですよ。な、ペンペン」
 クエッっとペンペン、一鳴きする。
「そのペンペンがどんなに賢くても、動物の証言で犯人捕まえられるわけないだろ!」
 古畑、今泉のオデコをピシリ。

384:事件編その2-リツコの親切
07/07/25 00:29:39
―2015/09/21(月) 10:00 ネルフ本部-自動販売機コーナー

 古畑と今泉が缶コーヒー片手にぶつぶつと談義する。
 そこに通りかかるリツコ。
「あら、古畑さん。それと、ええと……」
「今泉です」
「今泉さん。青葉君のギターは見つかったかしら?」
「はい。やはり、外国人窃盗グループの犯行でした」
「ギターは?」
「残念ながら、換金されてしまって行方を追っているところです」
「あら、青葉君も難儀なものね。あ、そうだ、あなたなちのIDカード、出来上がったわ」
 リツコ、白衣のポケットからネルフのIDカードを出す。
「これであなたたちは『特別客員技術者』としてネルフに出入りできるようになったわ」
「失礼ですが、その『特別客員技術者』というのは?」
「ネルフの従業員ではないけど、ネルフには出入りできる人たち。私の部下として、ね」
「んっふっふ、でも私、警察官なんで、副業は規則上……」
「ま、ネルフからお給料が出るわけじゃないから。副業には当たらないんじゃない?
 それにね、青葉君の件もそうだけど、シンジ君の件も早く解決してもらいたいの。私としては」
 古畑と今泉、リツコからカードを受け取る。
 写真入のそのカードにはこう書いてあった。
『ID:150765X NAME:古畑ニンザブロウ』
『ID:150766X NAME:今泉シンタロウ』
 古畑、口の端を吊り上げ―暗転。

385:事件編その2-幕間
07/07/25 00:31:05
幕間

 え~、碇シンジ君を殺した犯人は惣流アスカさんと見て間違いないでしょう。
 やはり彼女は葛城宅を訪れたことがあります。
 多少のハッタリを交えて、彼女の自白を引き出そうと思います。
 ヒントは『ネルフの風変わりな習慣』。
 解答編は7/28の23:00からトリップ「◆c9OwFy0cL. 」で落とします。
 以上、古畑任三郎でした。


事件編その2ここまで

386:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/25 00:32:38
乙!ワクワクテカテカ
楽しみに待ってます

387:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/25 03:47:56
解決編だけ鳥つけるのか
なかなか演出巧者な作者さんだな
解決編wktk

388:351
07/07/25 22:40:57
え~、>>385の訂正です~

×解答編 → ○解決編

389:解決編 ◆c9OwFy0cL.
07/07/28 23:00:18
>>385

―2015/09/21(月) 11:30 第三新東京市街-喫茶店

 アイスミルクティーで喉を潤す、黄色いワンピース姿のアスカ。
 アスカの隣の席には大きな買い物袋が置いてある。
 中身は第壱中学校の制服である。日本に来る前に注文しておいたものだ。
(学校は休み明けの24日からね。これからアタシの新しい生活が始まる……ふふふ)
 ついこぼれてしまう笑み。
 それを凍りつかせたのは、視界を遮った黒いロングコートだった。
(また、あの男……)
 路上から窓際の席のアスカに向かって手を振る古畑に、アスカは行儀のよい笑顔を返す。
 そして、やはり古畑は店内に入ってきた。
「あのぉ、ここ、よろしいですか? あっ……抹茶ラテを一つ!」

390:解決編 ◆c9OwFy0cL.
07/07/28 23:03:25
 ウエイトレスが抹茶ラテを運んでくると、古畑はさっそくストローを咥える。
「今日は何の用ですか?」
 古畑、手帳とペンを取り出し、「宍」「道」という文字を書き、アスカに見せる。
「ええ~、これ何て読むのか分かります?」
「『シンジ』でしょ。日の丸Tシャツに書いてあった字」
「え~、彼の名前は非常に特殊で、日本人でもこれを『シンジ』とは読めません。
 私も最初、『シシドウ』と読んで、なんの事なのか分かりませんでした。あなた、よく読めましたね」
「前にも言ったわよね。ネルフのデータベースで見たのよ」
「記録されてないんですよ。ネルフのデータベースには。下の名前の漢字は登録されていないんです。
 赤木博士に確認しました。ネルフでは下の名前はすべてカタカナで扱う習慣なんだそうです。たとえば……」
 古畑、内ポケットからネルフのIDカードを取り出し、アスカに示す。
 そこには『NAME:古畑ニンザブロウ』と表記されている。
「くっ……」
「え~、日本では、赤ちゃんに名前をつけるときに、漢字とその読み仮名を自由に組み合わせて良いんです。
 例えば、『白』という漢字をつけて、『クロ』と読ませるのもアリです。
 もちろん、『白』という字を見て『クロ』と読めるのは、それと知っている人だけです。
 『白』さんは一生、初対面の人から『下のお名前何とお呼びすればよろしいですか』と聞かれ続ける運命なんです。
 シンジ君の場合も同じで、ネルフのデータベース以外、彼の情報を得ることが出来ないはずのあなたが、
 『宍』と『道』という漢字を見て『シンジ』と読めるのはおかしいんです。
 しかし、あなたは彼の日の丸Tシャツを見て、名前が書いているとおっしゃいました。
 え~、どこでこの字の読み方をご存知になったのか……教えていただけますか?」
 アスカが沈黙する。じっと青い瞳を見つめる古畑。
 そうして数秒の後、その凝視に耐え切れず、アスカ、顔を背ける。
「……大体、見当ついてんでしょ? アタシがそれをどこで知ったのか」
「え~、彼の部屋の、表札。漢字は読めないけど、表札に書いてあるんだから、きっと名前なんだろう、と」
「ふふ、なんでもお見通しね。正解よ……あ~、もう、ちっくしょう!」
 赤い髪をかきむしるアスカ。店内の視線が集まる。

391:解決編 ◆c9OwFy0cL.
07/07/28 23:05:02
「え~、詳しい話、お聞かせ願いますか」
「……悔しかったのよ。あの男が何の訓練もなしにいきなり実戦で戦果をあげたことが」
「……」
「アタシがパイロットになるためにどれだけ訓練を積んだと思っているのよ!
 同い年の子供が遊んでいるのを横目に見ながら、休む間もなく、訓練、訓練!」
「……」
「アタシが血と汗と涙を重ねて、やっと上り詰めた先に、あの男は平然と立っていた。何の努力もなしに」
「……それで、彼を?」
「ええ。でも、もう終りね。せいせいするわ。エヴァの悪夢から一足先に開放されるんだもの」
 アスカは赤い髪留め―インターフェースヘッドセットを外し、テーブルの上に置く。
「え~、仲間を殺してまでやらなくちゃいけない仕事なんてありません……大変、残念です」
 アスカの肩が力なくうなだれる。
「ひとつ聞いていい? あんた、犯人は外国人って言ってたわよね。あれ、なんで?」
「え~、シンジ君が着ていたTシャツです。彼、あのTシャツを裏返しに着ていました」
 アスカはエプロン姿のシンジを思い出す。
 あのときはTシャツの柄がエプロンに隠れて見えなかった。
「日の丸を裏返す……日本ではない……つまり日本人以外の犯行じゃないかと」
 そうだ。アスカはドイツで使っていたIDカードをシンジに見せている。
 外国人だということはシンジも知っていたはずだ。帰り道にあえてタクシーを使い、
 運転手に黒い服装を印象付けたつもりだったが、まさか、シンジ本人がそんなメッセージを残していたとは。
「死に際にやってくれるわねぇ、サードチルドレンも」
 アスカ、ミルクティーを一口。

392:解決編 ◆c9OwFy0cL.
07/07/28 23:06:41
 そのとき、アスカの携帯電話が緊急事態を告げた。ネルフ本部からの着信。
 2コールを待たずに電話に出るアスカ。青い瞳に緊張が蘇る。
「え!? 使徒が!」
 アスカ、古畑を振り返る。
 古畑は笑っている。
「え~、お話の続きはお仕事の後で」
 古畑、アスカの手にヘッドセットを返す。
 掌の中に戻ったプライドの象徴を見つめるアスカ。
「ふ~ん、アタシ、随分信用されてるのね」
「はい」
 古畑、頷く。
「なにしろ、あなたは人類を守るエリートパイロットですから」
 ヘッドセットを握り締めるアスカ。
「……仕方ないわねぇ。最後にもうひと仕事がんばりますか」
 アスカはおもむろに席を立ち、出口に走り寄る。
 そして、外に出る直前、一回振り返って古畑を指差した。
「荷物とお会計、お願いね。後で払うから取りに来るのよ。いいわね!」
 そう言い残し、アスカは喫茶店の外に駆け出す。
 残された古畑は、太陽に靡いた赤い髪の眩しさに、思わず目を細めた。


解決編ここまで

古畑任三郎 VS 惣流・アスカ・ラングレー fin

393:名無しさん@そうだ選挙に行こう
07/07/29 19:47:15
面白いぐらいに反応が無い

394:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/30 23:28:11
うp主は、みんなに推理して欲しいとか無かったの?
ただうpすればそれで満足?

395:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/07/31 03:54:36
>>394
ものすごくして欲しかったです>推理
でも、どうやら失敗だったようだと悟り、幕引きにしました。

396:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/01 01:08:53
んー、あなた肝心なこと忘れてますぅ。
ここはエヴァ板ですよ。過疎で有名の。
おまけにこのスレ、今までどれだけ寂れてました?
多分リアルタイムで見てた読者なんてほとんどいなかったことでしょう。
そうだよね、西園寺くん?

えー、それとですねぇ、ここだけの話。
実は私、推理なんてからきしダメなんですよ。したこともない。
スレにはずっと生息してるんですけどねぇ。んっふっふっふ。

でもこれだけは言えますぅ。
アナタ、面白かった。
ぜひまた書いてもらいたいものです。
いちファンでした。

397:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/02 01:43:16
>>396
㌧クス
今度はもうちょいマターリやってみます
ネタできたらまた来ます

398:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/02 19:56:21
結局ハッタリって何だったの???

399:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/04 06:08:29
>>398
シンジの下の名前の漢字表記をググれ
アスカが騙されているのがわかる

400:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/06 21:20:18
400get

401:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/11 20:05:58
よくできてるとは思います

ただ、後から「じつはこんなことになってました」
ってのはちょっと白ける

402:351っす
07/08/11 21:52:43
>>398
「宍道」は地名です。アスカが言い逃れできないように、
古畑は特殊な名前だと嘘を吐きました。

>>401
貴重なご意見㌧
シンジの名前を解決編前に提示するか、しないかは散々悩んだところです。
ヘタレな俺は結局提示せず・・・今度はもうちょっと大胆にやってみます。

403:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/18 00:08:41
URLリンク(www.nya-taloda.jpn.org)
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  ).            _..,∞,,,
 (.           ●'''" * ""'';;,         大きなスコップに パワーアップ!
  )  / ̄ ̄|    \.从 从 ;;;ミ
 ( /     |     ゝ゚ー ゚ν ;;;ミ.  /|   壱ちゃんに負けずに ほじせっせ
  <       <|===(,,,ノ(,,,ノ===<  |
 ( \     |      ヽ    ;;ミ.  \|     (´´ほじほじせっせ ほじせっせ
  \ \__|        > >  ,/~  (´⌒(´
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404:351
07/08/18 02:00:10
犯行編10レス投下します。
(犯行編、事件編、解決編で一作です)

>>403
グロ(エロ?)注意

405:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/18 02:23:27
早いな。前回から

406:VSレイ
07/08/18 02:41:51
※ 前回とは連作ではありません。シンジやアスカは何事も無かったかのように生活して
います。しかしながら、『特別客員技術者』という設定だけは本作でも使います。古畑や
今泉はエヴァについてある程度知識を持ち、ネルフの面々とは顔見知りで、一般職員が出
入り可能な施設に、古畑たちも出入り可能という設定です。


アヴァンタイトル

 アニメーションはドラマよりもリアルだ。
 ……ん~ふっふ、これは嘘っぱちです。
 「絵」であるアニメが、「実写」であるドラマよりもリアルなんてことはありえません。
 んー、でもみなさん、本当にそう言い切れますか?

 たとえば、家族。

 実際に親戚が一同に会した集合写真を思い出して下さい。
 顔立ち、身長……なんとなく血の繋がりがあるのが想像できたりします。

 しかし、ドラマに出てくる家族は全然似ていません。
 アニメの方は……


古畑任三郎 VS 綾波レイ(被害者:碇ゲンドウ)

407:犯行編-少女は瞳を閉じたまま
07/08/18 02:43:10
 少女は裸のままベットの上に横たえられていた。
 一糸纏わぬ少女の肢体、その肌を蒼白く見せている月の明かり。レースカーテンの影が
まだら模様となって、ベットと少女に張り付いている。
 少女は両手を鳩尾の上で組んだまま瞼を閉じていた。その組んだ両手の下には一冊の大
学ノートがある。背表紙や角が丸まっていて、少なくとも新品ではないだろう。

 室内の照明はただ月明かりのみ。
 少女の四方を囲むコンクリートの壁には、ポスターやコルクボードの類は一切存在しな
い。目立った家具も無く、その灰色の空間からは、住んでいる者の生活の匂いがまったく
感じられなかった。もしも、窓に鉄格子でも嵌っていれば、ここが刑務所の独房だと言っ
ても通用しそうな雰囲気だ。

 唯一、ベットの脇に5段のひきだしが置いてある。高さ1メートル程度でプラスチック
製のものだ。
 ひきだしの上には飲みかけの錠剤の包装や、水が入ったビーカーなどが散乱している。
そこに埋もれている小さな置時計は、「PM 08:04」を表示していた。

 少女の瞼は閉ざされたまま、開く気配は無い。

408:犯行編-ゲンドウの住まいへ
07/08/18 02:44:21
 見上げた頭上にそびえ立つ、25階建てのマンション。その巨大なコンクリートの箱が
綾波レイを見下ろしている。レイの目的地はこのマンションに居を構えるゲンドウの部屋
だ。

 レイがそのマンションの正面玄関に到着した頃、すでに時計は午後9時を回っていた。
縦横に整列する窓の多くは明かりが灯っており、8割以上の住人が帰宅していることが窺
える。

 レイは中学校の制服を着ていた。
 今日、学校の授業が終わると、レイはそのまま帰宅した。自宅にカバンを置き、代わり
に黒いトランクを持ってきた。トランクは今日のためにあらかじめ用意していたものだ。
 トランクはレイの胸の高さほどある、かなり大きめの物だ。底面にはキャスターがつい
ており、アスファルトの路面を転がってゴロゴロという音が立つ。レイはその音と共に、
このマンションまでトランクを押してきた。

 マンションの正面玄関は自動扉である。その脇には、電卓のキーようなものが取り付け
られている。ここで暗証番号を入力するか、訪問先の住人に開けてもらわないとマンショ
ンの中には入れない仕組みだ。

 レイの細い指がキーを打つこと4回。自動扉が左右に開く。

 レイがゲンドウ宅を訪れるのは初めてではない。正面玄関の暗証番号は、ゲンドウ本人
からずっと昔に教えられていた。レイは無意識のうちに正確な番号を叩く。指先が番号を
覚えていた。もう過去に何回も入力した番号だったから。

409:犯行編-立入禁止
07/08/18 02:45:51
 集合玄関に入って、レイが向かった先はゲンドウの部屋ではなかった。22階のゲンド
ウの部屋に行くためには、高層用エレベーターに乗る必要があるが、レイはエレベーター
乗り場には向かわず、そのまま1階の廊下を奥へと進んだ。向かう場所はゴミの焼却施設
である。

 このマンションは各部屋にダストシューターが備え付けられている。ダストシューター
に捨てられたゴミは、全て1階の焼却施設に集まるよう配管されていた。ダストシュータ
ーを落ちてきたゴミは焼却炉の中に貯まり、毎週、管理者によって焼却処分される。

 レイが焼却施設のドアを押し開ける。中は真っ暗だ。手探りで照明のスイッチを探り、
明かりを点ける。

 まず目に入ったのは、本棚、使い古したロッキングチェア、布団。これらが部屋の一角
を陣取っている。ダストシューターに入らない大型のゴミである。
 奥の壁の中央には、灰色の長方形が見える。焼却炉の蓋である。蓋には小窓がついてい
る。たぶん耐熱ガラスだ。蓋のすぐ脇の壁には、いくつかのスイッチが配置されている操
作盤があり、今は緑色のランプが点灯している。

 レイはトランクを大型ゴミの一角に置くと、足早に退室する。そしてポケットから一枚
のプレートを取り出す。プレートはプラスチック製で、今日のために三日前、東急ハンズ
で購入したものだ。レイはそのプレートを焼却施設のドアノブに吊るす。そして白地に赤
い文字で「使用禁止」と書いている面が表になっていることを確かめると、来た道を戻り、
エレベーター乗り場に歩を進めた。

410:犯行編-夜景の見える部屋1
07/08/18 02:47:18
 レイがふと顔を上げると、制服姿のレイと、ゲンドウの姿が半透明になって窓に映って
いた。窓の外、ベランダを越えた眼下には、煌びやかな都会の夜景が広がっている。

 ここはゲンドウの部屋。レイとゲンドウの二人きりのディナー。

 二人を隔てる透明なガラスのテーブルの上には、色とりどりの料理が並んでいる。すべ
てゲンドウの手料理だ。二人のフォークとナイフが、10枚の皿の上を行き交う。食器と
皿が触れるたびに乾いた音が響く。

「どうだ、レイ」
 ゲンドウは沈黙を破ると、不器用に微笑み、その手を止める。
 彼はネルフ司令の制服のまま着替えておらず、白い手袋も嵌めたままだ。度が入ってい
るメガネを掛けており、その黄色いフィルターの奥、闇が張り付いているかのような暗い
瞳に、蒼い髪の少女が閉じ込められている。

「……美味しい」
 答えるレイの声は弱々しい。瑞々しいレタスにフォークが刺さる、ザクッという音。

「そうか」
 双眸の檻に14歳の少女を囲ったまま、ゲンドウのナイフが牛肉の焼けた表面に切り込
んだ。赤みのある断面から肉汁が滴り、真っ白な皿を汚してゆく。フォークが切り離され
た肉片をゲンドウの口の中まで運ぶ。肉片は咀嚼され、ゲンドウに快楽を供して飲み込ま
れていった。

411:犯行編-夜景の見える部屋2
07/08/18 02:48:27
 レイは食事の手を止めた。食べかけのシチューの皿、その上で交差するフォークとナイ
フ。ゲンドウが眉をひそめる。
「どうした。もう、いいのか」
「ええ」
 レイは言わなかった。彼女から食欲を奪っているのは、彼女の一挙手一投足を監視する
目の前の男だということを。

「デザートも用意しているが……」
「いらない。……おなか、一杯だから」
 レイの言葉に混ざる否定的な感情。その不快な響きがゲンドウの耳の奥に引っかかる。
「そうか。それでは食事はこれまでにしよう」ゲンドウが手を差し出す「さあ、こっちに
来なさい」
 その白い手袋。
 レイは知っている。その中身が、どれだけ穢れているかを。

412:犯行編-夜景の見える部屋3
07/08/18 02:49:52
 真っ赤な血が、ガラスの灰皿から滴っている。
 直径20センチくらいで厚みのある灰皿だ。その灰皿を握っているのはレイの両手だっ
た。短く息を吐くレイ。彼女はソファに座っており、ゲンドウがその膝を抱きかかえたま
ま後頭部から血を流している。

 ゲンドウはもう息をしていない。

 ディナーの後の事だった。レイがソファに腰を下ろすと、ゲンドウは無言で抱きついて
きた。ゲンドウはレイの下腹部に頭を埋め、その両手で彼女の制服を乱した。

 その行為に呼び起こされる嫌悪。そして、決心。

 幸いソファの近くに小さなテーブルがあり、灰皿があった。重量感があるそれは、レイ
の目には最適な凶器として映った。
 心を決めるとすぐに行動に移す。エヴァに乗って戦っているときのような気分だった。

「私は……あなたの人形じゃない!」

―ガラスの凶器は2回、ゲンドウの頭蓋骨に振り下ろされた。

 それきりゲンドウは動かなくなった。
 レイは死体を膝の上から乱暴に跳ね除けた。タバコの吸殻と灰が散乱した床に落ちるゲ
ンドウ。ドスッという音。その衝撃で、だらしなく開いたゲンドウの唇から、涎が一筋垂
れた。

413:犯行編-ディナーの後始末1
07/08/18 02:50:59
 レイはソファから立ち上がった。灰皿を片手に持ったまま、制服についたタバコの灰を
払い落とし、乱れを正す。壁に掛けられている時計を見ると、午後10時20分ちょうど。

 レイはまず、凶器から指紋を消す作業に取り掛かった。灰皿をキッチンに持って行き、
水道水で洗い流す。うっかり凶器に触らないよう、鍋つかみを手に嵌めての作業。最後に
キッチンタオルで満遍なく灰皿を拭く。灰皿は元のテーブルの上に戻しておく。

 次は、今夜レイがここに居たという物的証拠を消す作業だ。流し台にはディナーのとき
に使った食器や、調理器具が積み重なっている。まだ、洗っていない、汚れたままだ。皿
も、フォークも、ナイフも、2人分ある。

 レイは2人分の汚れ物を、1人分だけ洗った。洗った食器は、キッチンタオルで念入り
に水分を拭き取り、食器棚に戻す。もちろん指紋は残さないよう鍋つかみを嵌めたままだ。
これで「今夜ゲンドウは自分で1人分の料理をつくり1人で食事をした」という状況に見
えるはずだ。

 食器を洗い終わると、鍋つかみを元の場所に戻し、これで終わりと言わんばかりに、ギ
ュッと蛇口を締め上げた。

414:犯行編-ディナーの後始末2
07/08/18 02:52:20
 リビングに戻ったレイは、ゲンドウのハンドバックと財布を探し出した。そこから一つ
ずつカギを取り出す。この部屋のカギと、そのスペアだ。カギはこの二つしか持っていな
いはず。死体が着ている制服の内ポケットに2つのカギを忍ばせる。

 次は施錠。玄関、南側の大きな窓、西側の小さな窓、寝室の窓。この部屋の出入り口全
てに施錠する。

 レイは玄関から自分の靴を持って来て、キッチンの奥に備え付けられているダストシュ
ーターに向かった。ダストシューターの蓋は、目測で縦30センチ、横50センチといっ
たところか。蓋の上部の壁にスイッチがついている。スイッチはレイの目と同じくらいの
高さだ。このスイッチを押さない限り、蓋は開かない。小さな子供がダストシューターの
中を探検しないようにするための配慮だろうか。

 レイはスイッチを押し、蓋を押し開いて靴を捨てた。そして、ふうっと息を吐き出すと、
一番困難な「仕上げ」に取り掛かった。これが最後の作業だ。

415:犯行編-少女の帰宅
07/08/18 02:58:20 xw0TomJC
 アルバムを開くと、レイと一人の少年と目が会う。写真の中の少年は、照れたような控
えめな笑顔をカメラに向けている。

 時計の表示は「PM 11:37」。レイはすでに自室に帰っていた。

 帰り道は、黒いトランクと一緒だった。ゴロゴロというトランクの足音と共に、一人で
夜道を戻って来たのだ。

 帰宅した後、レイはずっとノートとアルバムを読み耽っていた。びっしりと文字で埋め
尽くされた大学ノートと、たくさんの人が写っているアルバムを交互に見比べていた。

 レイの視線は時折アルバムから離れ、黒いトランクに泳いだ。トランクは部屋の片隅に
無造作に置いてある。その大きさと色、殺風景なこの部屋にあってその存在感は大きい。
そして、密閉された空間で、目覚めることの無い眠りについているであろう碇ゲンドウを
想像した。

 レイは再びアルバムに目を戻す。 指が、写真の少年の輪郭をなぞる。
(碇シンジ……碇くん……)
 赤い瞳から、一粒の涙が零れた。


犯行編ここまで

416:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/18 03:03:11
上げちまった。スマン・・・orz

>>405
事件編からはマターリいきませうヽ(´ー`)ノ

417:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/18 11:24:09
キッチンの蛇口の指紋
ハンドバッグと財布と鍵の指紋
エレベーター(上がる時に使用)の指紋
オートロックの使用記録
(言動の部屋の)ダストシューターのスイッチの指紋

418:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/18 11:26:32
アスカ編は丸めたエプロンの中に何か包まれてると思った。

419:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/18 19:00:02
証拠が無いのは身内の犯罪である証拠、と言われてるかどうかは知らない

420:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/19 00:32:15
>>412
>タバコの吸殻と灰が散乱した床に落ちるゲンドウ。
これだと凶器を簡単に見破れるんじゃないかな? かな?

>>418
おれはペンペンが全て解決してくれると睨んでました

421:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/19 02:03:55
レイが裸エプロン姿で台所に立ち食器を洗う まで読んだ

422:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/19 02:23:42
オレは犯人だ!
レイたんじゃない!

423:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/19 19:32:41
>>420
凶器はすぐに特定されるだろうが、イコール犯人の特定ではない。

424:420
07/08/21 02:54:37
なるほどね

425:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/22 18:51:37
そろそろ事件編みたいな~

426:351
07/08/22 20:59:33
ちょうどできました。
事件編その1(5レス)落とします。

ちなみに事件編はその4(5?)までの予定です。

427:事件編その1-古畑の疑問
07/08/22 21:01:26
>>415

「えー、もう一度訊きます―」
 古畑が振り返る。
「本当に警察が到着するまでの間、この部屋から出たり、逆に入ったりした人はいないの
ですね?」
 その質問は2人の人物に向けられていた。
 ゲンドウが住むマンションの管理人である市村と、ネルフ保安部職員の室伏である。
 二人は事件の第一発見者だ。

 今日、ゲンドウは朝から第2新東京市まで出張する予定であり、ゲンドウ付きの秘書の
一人が第3新東京空港でゲンドウと待ち合わせをしていた。しかし、待ち合わせの時間に
なっても空港にゲンドウが現れない。携帯電話や、自宅の電話に連絡してみるが、無駄足
に終わる。異状を察したその秘書はネルフ保安部に「司令がまだ来ない。連絡がつかない」
という旨の連絡を入れた。

 連絡を受けたネルフ保安部は当直だった室伏をゲンドウ宅に急行させた。マンションに
到着した室伏は、管理人の市村に事情を説明して、共にゲンドウの部屋に向かう。
 室伏が押したチャイムも、ノックにも返事は無かった。ドアノブを捻ってみるが、回ら
ない。ドアにはカギが掛かっていた。
 市村が持ってきたマスターキーを使って鍵を開ける。「司令! 司令!」と叫びながら
リビングに飛び込む室伏。彼はすぐに変わり果てたゲンドウの姿を発見する。そのとき、
市村はそのまま玄関に立っていた。

「申し上げた通りですよ、刑事さん。そのあとこの方が連絡して警察の方が見えるまで、
私はずっと玄関に立っていました。その間、この部屋に出入りした人はいません」
 市村が答える。隣に立っている室伏も相槌を打つ。
「んん……わかりました。ありがとう」
 古畑の表情は釈然としない。現場の状況と合致しない疑問が一つ残っているのだ。

428:事件編その1-密室殺人
07/08/22 21:03:33
 古畑が現場に到着したとき、すでにゲンドウの遺体は検死に回されて部屋には無く、代
わりに死体があったリビングの床には、白いテープが張り巡らされていた。

 凶器は古畑が到着する前に特定されていた。リビングのテーブルの上に置いてあったガ
ラスの灰皿である。ゲンドウが倒れていた付近の床にタバコの吸殻と灰が散らばっていた
ことと、致命傷となった後頭部の傷と灰皿の形状がぴったりと一致したことがそれを裏付
けている。さらに、灰皿はきれいに洗ってあった。しかし、水で洗ったくらいでは、指紋
は消すことが出来ても、血痕が付着していたことを隠蔽することは出来ない。灰皿からは
ゲンドウの血がべっとりと付着していたという痕跡が検出されていた。

 古畑が到着した後も次々と犯人を示す手がかりが発見され、犯人の特定も時間の問題か
と思われた。ところが、一つだけ不明な点が出てきた。
 逃走経路である。
 現場はいわゆる「密室」であった。玄関や窓、部屋の出入り口はすべて内側から施錠さ
れていた。ゲンドウを殺害した犯人はどこから逃走したのか?

 玄関のカギは、遺体の上着のポケットに入っていた。しかも2つ。古畑はこれに疑問を
抱く。スペアのカギとメインのカギを同じポケットに入れるとはどういう事か。普段はメ
インを使い、スペアは財布の中にでも忍ばせておき、メインの紛失に備えるのが普通では
ないか?

429:事件編その1-逃走経路
07/08/22 21:04:44
 古畑は2つのカギに何か作為的な匂いを嗅ぎ取る。そして、見つかった2つ以外にゲン
ドウが合いカギを作らせていないかを調べるよう、古畑は他の警官に指示した。
 また、その一方で古畑自身は別の可能性も探る。

 まず、犯人がまだ室内に潜んでいる可能性。
 リビング、キッチン、寝室。古畑は人が隠れられそうな場所は全て調べて見たが、猫一
匹見つからない。この可能性はなさそうだ。

 次に、なんらかの機械を用いて自動的に施錠した可能性。
 部屋中を調べても、そのような機械も痕跡も見つからない。この可能性もなさそうだ。
糸とか針を使って何とかゲンドウのポケットにカギを入れるような細工も考えられるが、
この部屋の造りは気密性が高く、外からカギを滑り込ませられるような隙間はどこにも無
い。

 第一発見者が犯人である可能性はどうか。
 これは死亡推定時刻が合わなかった。遺体の状態から、死亡推定時刻は昨夜で間違いな
いだろう。検死の結果次第でもっと狭い範囲に絞られるだろうが、少なくとも、今朝発見
した人間が犯人とは考えにくい。

 第一発見者と入れ違いで室外に脱出した可能性は、どうか。
 この可能性も薄い。1人ならともかく、第一発見者は2人いた。しかもその中の一人は
警察が来るまでずっと玄関に立っていたという。犯人が脱出できる隙は無さそうだ。

 考えられる可能性がもう一つある。犯人は通常の出入り口から脱出したのではないとい
うものだ。つまり、普通人間が出入りしないような場所から脱出したという可能性だ。
 この部屋にはその候補が一つだけあった。ダストシューターである。

430:事件編その1-焼却施設
07/08/22 21:05:48
「うわあ、すごく深いね~」
 ダストシューターに顔を突っ込んで、懐中電灯を暗い穴の底に向ける古畑。懐中電灯の
光は、深い縦穴の闇に飲み込まれ、底の様子は杳として知れない。
「今泉君も見てみなさい。まったく底が見えないよ」
 古畑の後ろに控えていた今泉が、古畑と交代してダストシューターに頭を突っ込む。
「―この穴、1階まで続いてるんですかね?」

 古畑と今泉は、管理人の市村を連れて1階の焼却施設まで降りてきた。
「えー、これが焼却炉ですね。そして、これがその蓋」
 古畑が焼却炉の蓋を指して、市村を振り返る。
「はい。そこの操作盤のスイッチで開け閉めできるようになっています」
 古畑の指が反射的にスイッチを押そうとして、直前で止まる。
「……これを押したら、いきなり火が付いたりするんですか?」
「いえいえ、そのスイッチは蓋の開閉だけです。燃焼させるスイッチは管理人室にありま
す。住人の方が誤って押したら大事故になりかねない」
「ごもっともです―えい!」
 古畑がスイッチを押す。ウィーンという音と共に、焼却炉の蓋が右にスライドし、炉の
奥に続く四角い穴が開いた。
「ははあ、なるほど―えい!」
 もう一回押すと、左から蓋がスライドしてきて、穴を塞ぐ。
「これ、たとえば焼却炉の内側からこの蓋を開く方法はないんですか?」
 市村はその質問の意図がわからず、苦笑する。
「ないですなぁ」
「えー、万が一、誰かがこの中に迷い込んだとしたら、どうなるのでしょう?」
「炉の中にはセンサーがあります。センサーが動いているものを感知している間は、燃焼
スイッチを押しても火が付かないようになっているんですよ」
「では、もし、燃焼中に上の部屋からゴミを落としたらどうなります?」
「燃焼中はダストシューターと焼却炉が隔絶されます。炉の奥に隔壁がついているんです
よ。燃焼スイッチを入れると隔壁が閉じ、新しいゴミは入ってきません」
「んー、なるほど……参考になりました」
 古畑は口を尖らせてその蓋を睨んだ。

431:事件編その1-蛇口の指紋
07/08/22 21:06:57
 現場―ゲンドウの部屋に戻った古畑を、一人の警官が待ち構えていた。合いカギの件
だ。この部屋のカギは特殊なタイプで、複製できる業者は指で数えるほどしか無く、問い
合わせたところ、複製した事実は確認できなかった。カギはゲンドウの上着の中にあった
2つのみ。他の合いカギを使った可能性はほぼ消えた。

 報告はもう一つあった。同じ警官が古畑に告げる。
「水道の蛇口の指紋ですが、古畑さんがおっしゃっていた通り、綾波レイのものと特定で
きました」
「―そう、ごくろうさん」
 古畑の隣で聞き耳を立てていた今泉が口を挟む
「綾波レイって、ネルフで会ったあの子ですか? でも、碇司令とは親しいみたいですし、
指紋くらい残っていても、おかしくないと思うんだけどなぁ」
 その言葉に古畑は呆れ顔で答える。
「私はこれから綾波さんのところに行くから、君は実験していなさい」
「実験? 実験って、何をですか?」
 無理難題の予感を察し、今泉に緊張が走る。
「この部屋のダストシューターから、外に脱出してみて。ロープでもトランポリンでも、
どんな道具を使っても構わないから」
「む、無茶ですよ! 22階ですよ、ここ! 不可能です。いやだ!」
 古畑、パチンと今泉のオデコを鳴らす。
「可能な方法を探しなさい。頭を捻って。綾波さんは昨夜ここいて、恐らく事件に深く関
わっているはずだよ。私は本人から探ってみるから、君はこの密室を何とかしなさい。い
いね!」
 泣き出しそうな今泉をよそに、古畑は踵を返してエレベーターに向かった。

 古畑は考える。なぜ、犯人は部屋を密室に仕立てたのだろう。どうやって作ったかとい
う問題はとりあえず脇に置いておくとして、密室を作る必然性が古畑には分からなかった。
 同時に、心に決める。犯人に会ったら忘れずに訊かなくてはならない、と。

事件編その1ここまで

432:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/23 01:08:18


433:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/23 19:49:50 lxX5GAFi
俺はこういうの好きだ

434:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/23 22:03:33
おやぁ?スイカですか?えぇ~私スイカ大好きなんですよ~んっふふふふ…あのですね~やっぱり赤城先生はあの日誰かと会っていたみたいんですよぉ~
あれぇ~?どうしました?ずいぶんと不思議そうな顔をなさいますねぇ~
赤城先生ですね~、誰かにホクロのこと言われていたみたいなんですぅ~何を言われたのかは知りませんけど、えぇ~おそらく、泣きボクロのことを言ったのでしょう。レーザー除去しようとしてたみたいなんですよぉ~んっふふふふ、えぇ~…

435:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/23 22:59:16
>>434
加持さんロックオン?

436:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/24 17:46:40
つっづっき♪つっづっき♪さっさとつっづっき♪しばくぞ♪
…いやすんません、ちょっと調子のりすぎました。でもそろそろ続きが読みたいです。

437:351
07/08/25 10:33:46
事件編その2落とします。6レスです。

>>436
お待たせしました。そして懐かしいフレーズ・・・

438:事件編その2-レイの部屋へ
07/08/25 10:35:38
>>431

 チェーンを外して、ドアを開けると、古畑が立っていた。
 それはレイが制服のままベットに腰掛け、アルバムに目を落としていたときのことだっ
た。時刻は「AM 11:14」。レースカーテンから漏れる明かりが、ゲンドウの死か
ら一日経過したことを物語っている。

 ミサトから自宅待機命令が伝えられたのは3時間前、レイが通学路を歩いていたときの
ことだった。学校はもちろん、一切の外出を禁止するという命令だった。ミサトはその理
由を「本部でごたごたがあった」と濁していたが、レイにはもちろん分かっている。ゲン
ドウの死が発覚し、ネルフ本部はその対応に追われているに違いない。命令に従い、レイ
は素直に帰宅した。それからずっと、アルバムを捲っていたのだ。

「ごぶさたしてますぅ、綾波さん。警視庁の古畑です」
 レイは無言で古畑を招き入れた。小さな折りたたみテーブルを出して、そこに座らせ、
自身もその向かいに座る。古畑は2、3ヶ月くらい前からネルフに出入りするようになっ
た人物で、綾波レイとも顔見知りだった。
「えー、少しお話を伺いたいのですが」
 そう言いながら、古畑がぐるりと部屋の中を見渡す。五段のひきだし、黒いトランク、
ベット、そしてベッドの上のアルバム。
「何の話?」
「あー、まだ聞いていないのですね。実は……碇司令がお亡くなりになりました」
「どうして?」
「それがですねぇ、なんとも言い難いのですが……殺されたのです」
「そう」
「そう? えー、初めて聞いた割りにはずいぶんとあっさりしたお答えですねぇ。碇司令
と綾波さん、親子のような間柄だと聞いています。もっと驚かれると思っていましたぁ」
「そう」
 答えるレイの表情は、切り抜いた写真を貼り付けたように動かない。声にも抑揚が無い。
感情の波を示さないレイの応答に、古畑の眉間の皺が深くなっていった。

439:事件編その2-アリバイなし
07/08/25 10:37:11
 突然、古畑の指がベッドの上を指し、その顔が綻ぶ。
「そこのアルバムは、もしかしてこの前、撮影していたやつですか?」
「……そう」
「見せて頂いても?」
 レイはベットの上のアルバムを古畑に渡す。古畑はテーブルの上にアルバムを置くと、
先頭のページから順に捲り始める。
「ネルフの皆さん、大変、驚いていましたよ。なにしろあなた、カメラを持ち歩いて、会
う人会う人、片っ端から撮り続けたらしいじゃないですか。あんまり急にのめり込み始め
たから、周りの方たちが戸惑ってしまったようです」
「…………」
「あっ! すいません、話が逸れてしまいましたぁ。私がお聞きしたいのはですね」
 アルバムの写真たちを眺めながら、古畑が続ける。
「綾波さんが昨夜どこにいらっしゃったか、ということなんです」
「ずっと、ここにいたわ」レイは間髪入れずに答える「学校から帰ってきてからはずっと
この部屋に」
「うーん、質問を変えます。昨夜、碇司令の部屋に行きましたか?」
「ここにいたわ」
「もう一度質問を変えます。昨夜、碇司令の部屋の水道を使いましたか?」
「……ここにいた」
「最後です。昨夜、碇司令の部屋にある流し台の蛇口に触れましたか?」
 徐々に古畑の声が大きくなる。それでも、レイの表情は変わらない。
「ここに」
「えー、流し台には洗っていない調理器具や食器が積み重ねられていました。皿の枚数か
ら、おそらく司令は一人で調理し、それを一人で食べたものと思われます。調理する時に
は、和洋中を問わず、必ず水を使います。司令も手袋を外し、蛇口を捻ったはずなんです。
でも、蛇口にはあなたの指紋が残っていました。これは、司令が食事を終えた後、あなた
が蛇口を捻ったと考えるのが普通じゃないでしょうか」
 古畑が畳み掛ける。しかし、レイの静かな物言いは変わらない。
「……私はここにいた。それは事実。証明するもの、何も無いけど」

440:事件編その2-ハッピーバースデー
07/08/25 10:38:37
 古畑が初めてレイの動揺を見たのは、その次の会話だった。
「あっ、忘れるところでした。その前に、あなたに言おうと思っていたことが」
 それは、古畑のもう一つの切り札だった。
「お誕生日おめでとうございます」
 満面の笑みをつくる古畑。
 効果はあった。赤い瞳が一杯に見開かれる。
「ど、どうして? なぜあなたが知っているの?」
 レイはテーブル叩いて立ち上がり、その声色にも震えが混ざっていた。
「えー、ケーキです。バースデーケーキ。上にチョコレートの板が載っているやつです。
現場の冷蔵庫に手付かずのまま置いてありました。プレートには、昨日の日付と『ハッピ
ーバースデー レイ』というメッセージが書いてあったので、私、昨日があなたの誕生日
だと」
 手ごたえを確信していた古畑。
 しかし、古畑の言葉を聞いたレイの顔からは、古畑の期待とは裏腹に、急速に動揺が消
えてゆく。そしてほんの数秒後には、何の感情も読み取れない元の顔に戻っていた。
「そう。私、15歳になったの」
「昨日、司令に呼ばれました?」
 レイは頷いた。頷くまでの間は、殆ど無かった。
「……呼ばれたわ。でも、行かなかった」
「えー、そうですか」
 古畑は口をへの字に結ぶと、またアルバムを捲り始めた。

441:事件編その2-図鑑?
07/08/25 10:40:26
 ふと、アルバムを捲っていた古畑の手が止まる。
「あっ、ありました」
 古畑が写真の一枚を指して喜ぶ。
 それは、古畑と今泉のツーショット写真だった。1ヶ月ほど前に、ネルフ施設内で撮影
したものだ。シャッターを切ったのはレイである。施設内を迷っていた二人をレイが撮っ
たものだった。
「んっふっふ、私、これが見たかったわけで……ところで、一つ教えてください」
 古畑には疑問が一つあった。それはアルバムを見始めたときから思っていた。
「何?」
「このアルバム、1ページ目と2ページ目は碇司令、3ページ目は赤木博士、4ページ目
と5ページ目はシンジ君というふうに並んでいます」
「それが?」
「普通はこういう並べ方はしません。普通は昔のものから順番に並べます。最初のページ
は一番古いもので、ページを捲るたびに新しくなり、最新の写真の後はずっと空白になり
ます」
「そうなの?」
「この写真の並べ方だと、なにか、こう、綾波さんのお知り合いを集めた図鑑みたいです、
はい」
「そう……知らなかったわ」
「まぁ、好き好きですがね」
 古畑は悟る。何気ない世間話でも、レイの表情は変わらなかった。レイは元々感情の起
伏が少なく、表情の変化に乏しいのだ。加えて口数も極端に少ない。このような相手に対
し動揺を誘う作戦をとっても、難航は必至だ。アルバムを捲る古畑は決して笑顔を絶やさ
なかったが、内心、苦戦を予感していた。

442:事件編その2-シンジからの電話
07/08/25 10:42:30
 電話のベルが二人の会話を中断した。鳴ったのは備え付けの電話だ。レイが電話に出る
と、若い男の声が聞こえてきた。
『あ、綾波? 僕だけど』
「えっ……誰?」
 古畑がアルバムから顔を上げ、受話器を耳に当てるレイの横顔を見る。
『あっ、ごめん。碇シンジです』
「碇くん? どしたの?」
『綾波もやっぱり家にいるんだね。僕も今、家に居るんだ。学校に行く途中で突然ミサト
さんから電話掛かって来て、自宅待機だって』
「そう。碇くんもなのね」
『でも、ミサトさん、理由を教えてくれないんだ。それで、綾波なら何か知っているかな、
って思って電話したんだけど』
「知ってる……今、ちょうど刑事さんが来て教えてくれたの」
 古畑が焦った。レイの声は古畑の耳に届いていた。レイの肩を引っ張って振り向かせる
と、自分の口に人差し指を立て、何も言わぬよう、ジェスチャーで催促する。
「司令が殺されたの」
『えっ……嘘……』
「本当よ。刑事さんがそう言っていたもの」
『…………』ガチャ。
 しばしの沈黙の後、唐突に電話が切られる。レイは受話器を本体に戻した。
 振り返ると、古畑がコメカミを抑えていた。
「えー、先にお話しておくべきでした。実は葛城さんから、碇シンジ君には、事件のこと
伏せておいて欲しいと頼まれておりまして。うーん、弱りましたぁ」
「そう。どうして碇くんに教えないの?」
「シンジ君はなんと言いますか、とてもナイーブな少年だと。父親の死、それも他殺とい
う事実に耐えられるか、と、葛城さんは気にされていました、はい」
「もう知っていると思ったわ」
 レイは淡々と言ってのけた。あくまで、淡々と。

443:事件編その2-ミネラルウォーター
07/08/25 10:44:32
 古畑がアルバムをレイに返す。
「えー、お時間取らせましたぁ。そろそろお暇します」
 古畑が立ち上がる。テーブルを片付けようとするレイを制して、自分でテーブルを裏返
し、脚を折りたたみ、元の場所に戻した。
「今日はずっとこちらにいらっしゃるんですか?」
「命令次第ね」
「そうですか。では」
 革靴を履き、ドアノブに手を掛けて外に出ようとする古畑。それを呼び止めたのはレイ
の声だった。
「古畑さん」
 部屋の中を振り返る古畑。レイは光溢れる窓を背負って、古畑と向き合っていた。影と
なったその顔面の、2つの赤い瞳が古畑を見つめていた。
「ミネラルウォーター」
「ミネラルウォーター?」
「そう。司令は料理するとき、水道水を使わないの」
 微かに笑っている赤い瞳。
「えー、しかし、料理の前には手を洗います。その時はさすがに……」
「その時もミネラルウォーターよ」
 レイの小さな唇が言っているのは、蛇口の指紋のことだった。
「私が司令と一緒に食事をするときは、全部、私が食器を洗うの」
「つまり、蛇口に指紋がついたのは、昨夜ではなく、それ以前だと。そして、それ以降、
司令は蛇口をたまたま捻らなかった。だから、いま蛇口にあなたの指紋が残っている、と
おっしゃりたいのですね?」
 コクリ、と頷くレイ。
「ありがとうございました、参考になりました」
 古畑は会釈をして、外に出る。
 厳しい顔つきのまま、憎々しげに夏の日差しを見上げ、舌打ちを一つ鳴らした。

事件編その2ここまで

444:トリック判明した!
07/08/25 16:37:26
乙!

445:444
07/08/25 16:39:35
名前とメル欄逆・・・orz

446:ついかっとなって長文を(ry
07/08/25 17:24:08
乙。つか、レイの描写とそれに苦戦する古畑がいいな。これから、どうやって古畑がレイの冷静さを崩していくか、というとこか。
アルバムも気になるー!なんか事件に関係あるのか?…まとめると、あんたは少なくともおれの中ではネ申だということだ。

447:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/26 13:30:30


448:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/26 19:59:19


449:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/26 20:45:08


450:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/26 22:26:58


451:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/27 07:07:33


452:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/27 10:27:51


453:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/27 11:59:31


454:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/27 12:20:12


455:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/29 20:11:38
事件編その3
5レス投下します

456:事件編その3-今泉の挑戦
07/08/29 20:13:11
>>443

 古畑がレイの部屋を訪ねていたその頃、現場では今泉が密室を解明すべく捜査を続けて
いた。実は古畑や今泉よりも前から現場にいた向島がそれを手伝っている。後から応援に
駆けつけた西園寺は、すでに聞き込み捜査に出掛けており、ここにはいない。

「今泉さん、本気でやるんですか?」
 向島が今泉にそう問いかけた。向島は警官の制服姿で、その手にはロープを握っている。
ロープを辿っていくと、ダストシューターの前で背広を脱いだ今泉の胴体に行き着く。今
泉はロープを腹に巻きつけ、腕まくりし、靴下を脱いで裸足になっている。

「向島君、信じてるよ」
 今泉は古畑がいなくなった後も現場で「密室」と格闘し、やはりダストシューターから
脱出したとしか思えない、と結論していた。そして実際に脱出できるかどうかを今、実験
しようとしていたところである。

 実験にあたり、21階の住人の協力を得た。22階の犯行現場の真下に当たる部屋に住
んでいる人である。実験は、犯行現場のダストシューターから内部に入り、1階下の部屋
のダストシューターから脱出するというものである。そのため、出口となるダストシュー
ターはあらかじめ蓋を開けておかなければならず、そのための協力である。

 当初、向島はその実験に反対した。今泉が何の道具も使わずにダストシューターの中に
入ろうとしたからである。足場になったり、掴めるような凸凹が無いダストシューター内
部に、徒手空拳で入るのは無謀だと主張したのだ。そこで、ロープが登場した。今泉の胴
体にロープを巻き、向島がその一端を掴んで、今泉滑落に備えるのである。

「じゃ、行ってくるよ」
 今泉は躊躇いを振り切るのに十分な時間を使った。何度もダストシューターの蓋を開け
閉めし、向島と役回りの交替を申し出たりしたのだ。ようやく迷いが無くなると、足から
蓋の中に入れていき、垂直に切り立つ穴の中に身を投じた。

457:事件編その3-ダストシューター内部
07/08/29 20:14:33
 ダストシューターの内部は真っ暗だが、真っ暗な中にも光点は2つあった。1つは入っ
ていた蓋、すなわちゲンドウの部屋の蓋から漏れてくる明かりであり、それは今泉の眼前
にある。もう一つは、5メートルほど下に見える、1階下の蓋だ。

「向島君、降ろして。ゆっくり、そーっとね」
 ロープを掴む手が、力みすぎて震える。壁に足を突っ張っているが、膝がガクガクと笑
っている。
 そのとき、急激な浮遊感。
 頭が穴の底に落ちていく感覚。
 しかし、それはすぐに止まる。向島がロープを降ろしたのだ。
「あ、あぶないじゃないか! もっと、もっとゆっくり降ろせよ!」
「……今、降ろしたのは、たぶん5センチくらいですよ」
 今泉の抗議に対し、向島は部屋の中から冷やかな反応を返す。
「やめましょうよ、今泉さん。上がってきて下さい。作戦を練り直しましょう」
「もうだめ。戻るだけの余裕無いんだよ……引き上げてよ」
「実は、僕も支えるだけで限界なんですが」
 今泉の顔が、闇の中で引き攣った。

 ダストシューターの中で進退窮まった今泉を救出したのは、聞き込みから戻ってきた西
園寺だった。西園寺は22階の現場から今泉を引き上げたのだ。引き上げられ、床にへた
り込んだ今泉は涙目である。
「今泉さん、実験なんかしなくても、犯人がダストシューターを通ったかどうか分かりそ
うですよ」
 西園寺の視線は、今泉の足の裏に向いている。
「どういうことですか?」
 そう疑問を投げる向島に対し、西園寺が答える。
「見てください。今泉さんの足の裏、真っ黒ですよ。ダストシューターの内壁はかなり汚
れているんじゃないでしょうか。もし、犯人がロープやそれに準じた物を使って穴を降り
たとしたら、足跡なり、ロープの跡なりが残っているはずです」
 今泉は実験が無駄にならなかった事に、とりあえず胸をなでおろした。

458:事件編その3-黒いトランク
07/08/29 20:16:33
 西園寺の推理を受けて、向島がダストシューター内部の捜査に乗り出した。自分の頭と
右手を突っ込み、懐中電灯の明かりで内部の壁を調べている。

「ところで、聞き込みはどうだったの?」
 今泉は雑巾で足の裏を拭きながら西園寺に尋ねた。
「それなんですが、出ましたよ。関係ありそうな証言が」
 西園寺が内ポケットから手帳を取り出し、素早く数ページ捲る。
「青髪の少女が、昨夜9時くらいに、この先のコンビニエンスストアの店員に目撃されて
います。第壱中学校の制服を着ていて、黒くて、大きなトランクを押して歩いていたらし
いです」
「青い髪……綾波レイだ。ネルフであった、エヴァのパイロットやってるあの子!」
「その店員がちょうど、窓拭きをしているときに店の前を通りかかったそうです。しかも、
このマンションがある方向に向かっていたと」
「よく覚えていたね。その店員」
「少女が押していたトランクはかなり大きいもので、とても目立っていたので覚えていた
らしいです」
「黒いトランクかぁ。他には?」
「同じ店員の証言ですが、少女を目撃した2時間後、つまり、昨夜11時頃、もう一回同
じ少女を目撃したと言っています。しかも、やはり黒いトランクを押していたと」
「え? どういうこと?」
「一つだけ違うのは、少女が向かっていた方向です。9時に目撃した時とは逆に向かって
歩いていたと」
「じゃあ、9時にトランクと一緒にこのマンションに向かってきて、11時にはトランク
と一緒にこのマンションから遠ざかったということ?」
「そうです」
「でも、トランクなんて何に使うの?」
「トランクは荷物を運ぶための道具です。僕の考えでは、犯人が密室を作るためになんら
かの道具が必要で、それをトランクに入れて運んだのではないかと睨んでいます」
 その時、ダストシューターの内部を調べていた向島が顔を上げる。
「駄目です。今泉さんの足跡以外、何にもありませんね」
 顔をあわせて、考え込んでしまう3人。

459:事件編その3-リツコとの面会
07/08/29 20:21:14
「赤木博士、これは一体どういうことでしょうか?」
 古畑が見知らぬネルフ職員に案内された部屋は、異様に薄暗く、中に人がいることが信
じられないほどだった。しかし、薄暗い闇の中からは確かに赤木リツコの声が返って来た
のである。
「古畑さん? お久しぶりね」

 古畑はリツコに会うためにネルフに来ていた。心当たりがある場所を訪ね歩くも、リツ
コはどこにもおらず、呼び出してもらおうと冬月に頼んだところ、見知らぬ職員にこの部
屋に案内されたのだ。

 古畑にはリツコの姿がはっきりとは見えなかった。ただ、背を向けて座る姿がぼんやり
と浮かんで見えるような気がするだけだった。
「ここは、独房なの。私は今、閉じ込められているのよ」
「え~、また、どうして?」
「軍規違反をしてね。それも、過失じゃなくて、故意に」
「ああ、だからですか。早めに済ませろと副指令に釘を刺されまして」
「碇司令の事ね?」
 話の核心を察した問い掛けに、古畑はリツコの親切を感じ、頬が緩んだ。
「碇司令の事はご存知でしたか?」
「亡くなった、とだけ聞いたわ。でも、あなたが動くなら殺人ね」
「現場は碇司令の部屋です。えー、そして、寝室のベットからはあなたの髪の毛が」
「碇司令とは、そういうお付き合いですよ。男女の関係。そして私は1週間前からこの独
房で暮らしています。証人はここの監視係り、証拠は監視カメラの記録でいいかしら?」
「結構です。大変話が早くて助かります。はい」
 手帳のメモが追いつくのを待って、古畑が最後の質問をする。
「碇司令の部屋の合いカギをお持ちでしょうか?」
「持っていません。過去に作ってもらったこともありません」
「えー、ありがとうございました。お訊きしたいのは以上です」
「……待って。一つだけ分からなかったわ。合いカギの質問の意図は、何?」

460:事件編その3-助言
07/08/29 20:22:47
「古畑さん、私はあなたの質問から、あなたはもう犯人の目星はついている、と感じてい
ます。これは合っているかしら」
「ええ~、合っています。はい」
「では、なぜ合いカギの有無が問題になるのかしら? とても興味があるわ」
「うーん。形式的な捜査の一環、という事で許していただけませんか」
「独房の中って、ヒマなのよ」
「んっふっふ、分かりました。実はですね……」
 古畑は現場の状況を説明した。現場が密室であったため、合いカギの有無を確認する必
要があったとこも含め、包み隠さずに。
「なるほど……」
 リツコはそう言って、黙り込む。
 沈黙が続くこと3秒ほど。
「『ターミナルドグマの枕泥棒』」
 リツコがぼそりと呟く。
 その言葉の意味が分からない古畑に、リツコが後を続ける。
「副司令に尋ねてみて下さい。『ターミナルドグマの枕泥棒』を」
「『ターミナルドグマの枕泥棒』? それは何でしょうか?」
「秘密の軍事施設で起きた盗難事件よ。被害はどこにでもあるような枕を一つだけ。盗難
届けは未提出。きっと、殺人事件を解決する手がかりになるはずよ」
「うーん、それは助言と受け取ってよろしいのですか」
「ふふふ、どうかしら?」
「つまり、あなたは事件の真相を知っていると……」
 その質問を言い終える前に、古畑を肩を叩かれた。古畑をこの部屋に連れてきた職員だ
った。彼は腕時計を指して「時間だ」と古畑に告げた。
「無事、事件を解決なさることをお祈りしていますわ、古畑さん」
 リツコの得意げな声。
 闇の中で手を振るリツコに、古畑は軽く会釈し、部屋を辞した。

事件編その3ここまで

461:351
07/08/29 20:48:37
>>446
ありがと! 励みになります

462:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/29 21:52:21
(・∀・)イイ!!

463:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/29 23:12:57
今回もクオリティ高いですね…さすがにリツコさん登場、しかも独房verはよめなかった。wktkがとまりません!
あぁ、枕の意味が気になる~!!

464:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/08/31 22:31:49
やっべ、すげー続きが気になる
期待下げ

465:351
07/09/01 18:33:40
事件編その4+幕間、6レス投下します。

466:事件編その4-ドグマの枕泥棒1
07/09/01 18:35:02
>>460

 古畑は早速、リツコから受けた助言に従い、『ターミナルドグマの枕泥棒』というキー
ワードを冬月に伝えた。冬月は僅かに戸惑う様子を見せたものの、協力をする事を古畑に
約束する。そして、冬月は青葉を伴って、古畑を本部内の一室に案内した。

 その部屋は奥の壁一面が巨大なモニタになっていた。横幅は4、5メートルもあるだろ
うか。高さは床から天井ぎりぎりまである。その様子はさしずめミニシアターといったと
ころだ。
 冬月の指示を受けた青葉が、端末で何かを操作する。数秒後、真っ暗だったモニタに映
し出されたのは、一本の通路と、通路の行く手を阻むドアだった。薄暗い通路に、白い扉
が浮かび上がっている。その扉は本部内のいたるところで散見できる両開きのもので、脇
に磁気カードを通すスリットが見える。

「これはターミナルドグマと呼ばれる軍事施設の唯一の入り口だよ」
 長椅子に腰を下ろして足組みする古畑に冬月が説明する。
「軍事施設というのは、具体的にはどのような?」
「詳しいことは答えられない。この施設内でもトップクラスの機密事項なのだ」
「その施設に入った勇気ある泥棒がいるのですね。でも、盗んだのは枕一つ」
「そうだ……青葉、事件当日の映像を」
 冬月の号令を受けて、青葉の指がキーボードの上を軽やかに踊る。

467:事件編その4-ドグマの枕泥棒2
07/09/01 18:36:35
 冬月が言うには、その映像はターミナルドグマ入り口のドア付近に設置されている監視
カメラが写したものらしい。画面の右下に表示されている数字は、日付と時刻を表してい
るのだろう。その数字を見る限り映像は2週間前のものだ。
「事件当日、最初にターミナルドグマに入ったのは、赤木君とレイだ」
 映像は早送りされる。青葉の操作だろう。そして最初0時0分だった時刻が15時43
分に達すると、白衣のリツコが現れた。その後ろに制服姿の綾波レイが続く。リツコがス
リットにカードを通すと、扉が左右に開く。レイも同じようにスリットにカードを通し、
二人で扉の中に入っていく。扉は二人を飲み込むと、自動的に閉まる。

「次に30分後、赤木君だけが出てきた」
 16時09分、扉が開く。その向こうからリツコが姿を現す。小走りで、何か急いでい
る風に見える。そのままリツコは監視カメラの視界の外に消えていった。リツコを送り出
した扉は間もなく自動的に閉じる。
「さて、問題は、この次だ」
 注意を促すような冬月の言いように、古畑は足を組み替えて、モニタに身を乗り出した。

「さらに30分後……」
 16時41分、また扉が開く。
 まず、ベットが現れた。ベットの上には綾波レイが横たわっていた。制服のままだ。レ
イは目を閉じて眠っているように見える。ベットは、病院で使われるような、足にキャス
ターがついているタイプの物だ。
 ベットを押してきた人物が現れる。赤いレインコートを着ている。フードを目深に被り、
顔は見えない。古畑から見れば小柄だ。レインコートから突き出た革手袋が、ベットのパ
イプを掴んで、押している。
「こいつが枕泥棒だ。こいつは、レイが寝ているベットごとドグマの外に運び出し、枕だ
けを奪って姿をくらましたのだ」
 冬月は映像の一部を指差す。人差し指の先にはレイの頭がある。そして、頭の下には確
かに枕があった。

468:事件編その4-ドグマの枕泥棒3
07/09/01 18:38:16
「えー、いくつか質問させてください」
 足組みを解いて冬月に向き直る古畑。
「このとき綾波さんは気付いていなかったのですか?」
 映像が切られ、モニタが暗転する。
「そうだ。気付いていなかった。後でレイに聞いたところ、ずっと寝ていたそうだ。起き
たときにはベットはドグマの外、本部施設内に放置されており、その上で目が覚めたと言
っておる」
「盗まれたのは枕一つをおっしゃいましたが、それは確かなとこですか?」
「これも後になって調べたことだが、あの枕以外に無くなっている備品は無かった」
「ターミナルドグマに入る道は今の扉だけ?」
「そう。他に出入り口は無い」
「換気口の類は?」
「人間が出入り出来るようなものは無い」
「赤木博士が綾波さんよりも先にドグマから出ました。あれはなぜ?」
「本部からの呼び出しだよ。確かエヴァの実験に関することだったはずだ」
「赤いレインコートの人物は、見つかりましたか?」
「見つかっていない。今日に至るまでな」
「ターミナルドグマには何があるんでしょうか?」
「教えられん」
「赤木博士と綾波さんは中で何をしていたのでしょう?」
「それも秘密だ。ただし、赤木君とレイは頻繁にドグマに出入りしていた、ということだ
けは教えておこう」
「最後に一つ」
 古畑が眉間に人差し指を立てて言う
「副司令、あなたは枕泥棒の正体、ご存知ですか?」
 古畑と冬月の会話を聞いていた青葉は、僅かな驚きの表情で冬月の顔を伺う。
「……さあな。知らない、ということにしておいてくれ」
 冬月はそう答えると、暗くなったモニタに向かったまま、口元に皺を作った。

469:事件編その4-自販機コーナーにて1
07/09/01 18:39:50
 古畑の携帯電話に西園寺から連絡が入った。
 連絡の内容はコンビニ店員の目撃証言に関する報告である。
 綾波レイと思しき人物が黒いトランクを押して歩いている姿が目撃された。目撃された
時刻は事件当日の午後9時と午後11時の2回。おそらく、犯行のために事件現場に赴く
ときと、その帰り道だろう。西園寺はレイが押していた黒いトランクに関して、密室を作
るために必要な道具を運んだと考えているようだ。

 自販機コーナーの長椅子で缶コーヒーを啜りながら、古畑は推理する。
 西園寺の報告に出てきた「黒いトランク」。かなり大きめのものだという。西園寺は何
かを現場に運び入れるために使ったと考えているようだが、そう結論するのはどうか。ま
ったく逆の可能性、つまり、現場から何かを運び去るのに使った可能性は無いだろうか。

 今泉はまだ密室を解明してはいない。西園寺や向島も協力して、様々な方法を試してい
るが、これといった決め手は見つかっていない。
 古畑はある仮説を立てていた。その仮説が事実ならば、密室を解明できる。それどころ
か、レイの不思議なアルバムも、枕泥棒も、黒いトランクの中身も、すべて説明がつくの
だ。
 ただ、その仮説には裏づけが無い。何でもいい。その仮説を確信できるような証拠、ま
たは証言は無いだろうか。

 古畑は考え込む。そのまま、1秒、1分、刻一刻と過ぎていく時間。見知らぬネルフの
職員が自動販売機でジュースを買って、立ち去る。

 不意に、ドサッという音。
 古畑が座っている長椅子に、誰かが勢いよく腰を下ろしたのだ。
 思考を中断して顔を上げる古畑。
 そこには、碇シンジがいた。顔色は青白い。古畑は直感する。彼はレイから父ゲンドウ
の死を聞いた。そして、事実を確認するためにネルフ本部に押しかけて、望みどおり事実
を知ったのだ。

470:事件編その4-自販機コーナーにて2
07/09/01 18:42:12
「シンジ君」と、壊れ物に触れるように古畑が声を掛ける。
「あっ……古畑さん」驚いて顔を上げるシンジ。
「大変なことになったね。でも、あまり思いつめない方がいい。まだ無理だろうけど」
「ハハ……僕、どうすればいいのか……」
 シンジが上げた顔を伏せ、床と向き合う。
「犯人は必ず見つけるよ。あまり気を落とさないで」
 そう言って古畑が俯いたシンジを覗き込む。
「ひとつだけ訊きたいことがあるんだよ」

「君、今日、綾波さんの部屋に電話を掛けたね」
「は、はい。掛けましたけど」
「何の用だったの?」
「えーっと、急に自宅待機なんて珍しい事だから、綾波なら何か知ってるかなって思って、
聞いてみたんです。そして、その時初めて知りました。父さんが死んだ、って」
「君、電話を掛けて、綾波さんが出たとき、一番初めに何て言ったか覚えてる?」
「あ、ええっと……『綾波? 僕だけど』だったかな?」
「よく覚えているね」
「綾波に電話するときは殆どそう言ってますから」
「名乗らなかったの? 普通、電話を掛けたらまず自分から名乗るものじゃない?」
「ええ、他の相手ならそうします。でも、いつも名乗ってないんです。綾波に電話すると
きは。だから、今日も名乗りませんでした。というより、そこまで考えませんでした」
「今日はどうだったの?」
「今日は……そうだ、そういえば、今日は名前を聞き返されました。なんでだろう? い
つも声だけで通じていたのに」
「……ありがとう。十分参考になったよシンジ君」
 小銭を自販機に投入し、缶コーヒーを買う古畑。取り出し口から出てきたそれを、シン
ジに渡す「とにかく、今は気を落とさないで。葛城さんや、周りの大人の人ととよく相談
して、余り深く悩まないように」。
 古畑は笑顔でシンジの肩を叩く。シンジが受け取った缶に2、3粒、水滴が垂れた。

471:幕間
07/09/01 18:43:53

 え~、今回の犯人は強敵でした。
 どうやら私はずっと間違った推理をしていたようです。
 しかし、シンジ君のおかげで、なんとかこの事件を解決できそうです。

 問題は4つです。
 1つ、密室はどのように作られたか?
 2つ、黒いトランクの中には何が入っていたのか?
 3つ、ターミナルドグマの枕泥棒の正体は誰か?
 4つ、レイのアルバムの写真は何故、図鑑のように並べられているのか?

 この事件の最大の謎はやはり『密室』です。
 あの晩、碇司令の部屋に綾波レイが居たことは確かなようです。
 そして、碇司令を殺したのもおそらく彼女でしょう。
 では、どうやって彼女はあの密室を作ったのか?
 この謎を解けば事件の全貌が見えるはずです。

 え~、ヒントです。
 忘れている方は、テレビ本編、特に終盤あたりをよく思い出して下さい。
 んっふっふ、以上、古畑任三郎でした。

事件編その4および幕間ここまで

472:351
07/09/01 18:53:25
>>462->>464

ども。合いの手があると、とてもやりやすいです。感謝。

解決編は1週間くらいで書きあがる予定ですが、
いつごろ投下しましょうかね?
私としては9月末頃に落とそうかと考えていますが、
ご希望があればなるべく沿うようにします。ご意見くださいませ。

473:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/01 19:54:58
乙。やっぱりシンジが重要な役割を果たすんですね…うわぁ解決編が楽しみやわぁ。
で、投下時期ですけど、個人的には出来次第読みたいです。結末が気になって夜も寝られそうにありませんので。(もちろん、書くスピードは作者様がやりやすいように、ですけど。)
皆さんはどうお考えですか?

474:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/01 22:33:53
解決編+(0゚・∀・) + ワクワクテカテカ +

475:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/02 13:56:37
1ヶ月もじらされるのは勘弁してくださいですぅ><
早めに投下してくれるとうれしいな

476:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/09/02 16:16:26
中には早くしてくれとの声もありますが
執筆を早くして作品の質を落とすより
作者さんのペースでじっくり書いていただけた方がうれしいです

477:351 ◆c9OwFy0cL.
07/09/02 18:16:44
みなさん、ご意見ありがとうございます。

解決編投下は9/8の23:00からにします。
このレスと同じトリップをつけるので、
まだ見たくない方はあぼーんして下さいね。


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