07/02/23 10:17:26 wnAGyo+z
そいつは突然俺の家にやってきた。
翠星石とか言うわけのわからない人形が鞄に入ってやってきたのだ。
そしてこう言うのだった。
「お前は今日から私のマスターになるのですぅ。どうも頼りない馬鹿そうな人間ですが、仕方ないですぅ」
「なに?おい!俺のどこが馬鹿だと?」
初対面でそんなことを言われて黙っていられるわけがない。
俺のストレスメーターは70まで上昇した。
「きゃあ!近寄るなですぅ!」
少し歩み寄ろうとしただけで翠星石は部屋から逃げていってしまった。
俺は馬鹿らしくて追いかける気も起きなかった。
それよりもこの時間は俺のパソコンライフの時間だ。
人形に構っている暇なんてない。
俺はすぐさまパソコンを起動させる。
いつものようにゲームに熱中する俺。
と、そこへ
「人間、ドアを開けてですぅ」
おい、なんなんだ!こっちは今いいところだってのに!無視だ無視!
すると今度は行動が激しくなった。
「開けろと言ってるですぅ!開けないとドアを壊すですよ!」
ドンドンとドアを殴ったり蹴ったりする音が聞こえてくる。
「あーもう五月蝿い!開けるから待て!」
ドアを開けるなり、翠星石が部屋に飛び込んできた。
そして俺の脛を思いっきり蹴るのだった。
「いってぇ!何するんだよクソ人形!殺すぞ!」
「すぐにドアを開けないからですぅ」
何なんだ!俺のゲームの時間を邪魔した上、言うこと聞いてやったらキックされるなんて。
俺のストレスメーターは80に上昇した。
それからしばらくして翠星石は俺のことをまじまじと見つめたり、ゲームを観察したりしていた。
なんだかんだいって俺には気があるらしい。
「人間、椅子が無いから膝の上に座らせるですぅ」
「は?邪魔だっつうの。第一、ゲーム見えないじゃん。俺現在司令官やってんだから、負けるわけにはいかないんだよ」
「そんなことしったこっちゃないです」
そう言って翠星石は俺の膝の上に無理矢理よじ登ってきた。
そのままプレイを続けたが、ゲームの内容は酷い有様だった。
味方の陣地に誤爆してしまったのだ。
おかげで司令官解任、さらにはサーバーからバン(追い出される)されてしまった。
それもこれもこいつのせいだ!
この人形、妙にいい匂いするし、感触いいし・・・!
とりあえず気分をすっきりさせるために風呂にでも入ってこよう。
俺は翠星石を抱きかかえて床に下ろした。
風呂から上がった俺は、服を着ながらいつもの楽しみである風呂上りのヨーグルトの一気飲みのことを考えていた。
暑く火照った喉に流れ込む冷たいヨーグルトのことを考えただけで、ニヤけてしまった。
そして服を着終わった俺は冷蔵庫を開ける。
ついにきたぜ!ヨーグルトちゃん!
「・・・え?」
そこには信じられない光景があった。
ない!間違いなくそこに置いてあったはずのヨーグルトがなかったのだ!
「オーマイガーーーーット!!!ちょっとちょっと、嘘でしょ!嘘でしょ!?」
俺はもう泣きそうな気分だった。
なんでよ?牛乳屋さんちゃんと持ってきたじゃん!マジありえねえよ!
「まさか・・・あいつか!!翠星石だ!あのクソ人形め!」
俺のストレスメーターは98に達した。
と、2階の俺の部屋と思われる位置からガシャン!と音がした。
「今度は何をした?何をしたんだよお!」
急いで部屋に駆け戻った。ドアを開けるとそこには、人形がなぜか増えていた。
そして・・・