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>>265の続き
萌えブームの日本でもアニメ市場は縮小
しかし、この状況は米国に限ったことではない。03年ころから美少女系アニメ人気、いわゆる“萌え”ブームが起きた日本でも、
ビジネス自体は苦戦している。
東証マザーズに上場するアニメ制作・企画会社のGDHは、違法ダウンロードでDVD販売が落ち込み、前期には営業利益が
4億円あったのが、07年3月期には16億円の営業赤字に転落する見込みだ。
GDHの石川真一郎社長は「ネット経由のダウンロードを止めることはできない。違法コピーの差し止め訴訟をするより、
プロテクションや課金など、利益を生み出すビジネスモデルを早急に考えねばならない」と話す。もっとも具体的に何が
できるかはまだ手探り。「何らかの技術革新が起きて、違法ダウンロードを防ぐ仕組みができれば」(同)という段階だ。
しばらく環境が変わらないのであれば、制作面でさらなる見直しをかける必要がある。
画像としての質感、巧みな心理描写やストーリー性など、日本アニメの水準の高さが、世界でもトップレベルなのは誰もが
認めるところ。ただし、そのことを過信して、海外向けのローカライズでは、日本版をそのまま英語の吹き替えに直すだけなど、
不十分な点があった。
そこでGDHはアメリカ人ウケを狙って、アフロヘアのサムライが活躍する「アフロサムライ」を制作。
ハリウッドスターのサミュエル・L・ジャクソンを声優に起用し、今年1月から米国でテレビ放映を開始した。
日本では逆輸入という形で、5月からWOWOWで放映の予定となっている。
米ADVも「新世紀エヴァンゲリオン」の実写映画化に向け動き出した。上映スケジュールは未定だが、制作費も
『スパイダーマン』並みの100億円以上かける予定。アニメ復活の起爆剤とするべく、監督や俳優を絞り込んでいる最中だ。
一昨年のデータだがJETROの調べでは、05年に米国で大規模なアニメイベントが113件開催され、その参加者は累計で24万人と、
過去3年間で2倍以上に増えたという。
不正ダウンロードによっておカネのやり取りがないだけで、日本アニメの人気が下がっているわけではない。
とはいえ産業として成立しなければソフトパワーも絵に描いた餅になる。違法コピー問題を克服する仕組みづくりが急務だ。
本誌:藤尾明彦
[写真]米国から逆輸入するアニメ「アフロサムライ」。日本では5月から放映
[写真]「新世紀エヴァンゲリオン」の実写映画化に向けたイメージ
[写真]エヴァの主人公の一人。俳優を選定中
[表]03年をピークに落ち込む米国での日本アニメの市場規模