07/11/15 13:20:31 sU94YbPZ
「キョン、土曜日の午後は演劇を見に行かない?」
「団活か?」
「残念ながら券は2枚しか無くて。あんたと二人きりよ」
「俺金無いからパス」
「団長が奢ってやると言っているのが判らないの?」
「そういうことなら、お願いする」
「待ち合わせはいつもの場所に三時だからね」
そして、土曜日の午前中、あたしの家に佐々木さんが来た。
黒ずくめで、作り物の大きな鎌みたいな物を持っていて、民話の死神みたいな格好だった。
「佐々木さん、どうしたの?死神みたいな格好で?ハロウィンはとっくに終わったわ」
「死神みたいなじゃなくて、私は本物の死神なの」
とうとう頭がイカれたか?
いや、自分では面白いと思っている冗談に決まっている。
「麻雀で勝負するわよ。5回勝負、覚悟してね」
2連敗したが、3戦目、あたしが初っ端に高い手をツモったのが効いて、逃げ切って勝利した。
「5連勝したら魂をもらおうと思ってたけど、2勝止まりか。というわけで、これは貰っていくわ」
と言って、演劇の券をビリビリに破いた。
「何をするの?佐々木さん!」
あたしは破れた券を呆然と見ていた。
気が付いたら佐々木さんはいなかった。
酷いわ。抗議しないと
「ちょっと佐々木さん(以下略)」
「ヒック涼宮さん?何言ってるの?全然判らないわヒック」
藤原くんが電話を代わった
「佐々木は、あんたと奴がデートに行くと聞いてから、ずっと飲み続けているぞ。かれこれ2時間」
2時間?ということは、さっきまでいた佐々木さんは?
―――『涼宮さん死ねば良いのよ』という佐々木さん
―――『そんな不吉な事を言うのはいい加減にして下さい。それに佐々木さん飲み過ぎですよ』と橘さんがたしなめている
もしかして酔っているの?佐々木さん
2時間?ということは、さっきまでいた佐々木さんは?
「え?さっきまであたしの所に佐々木さんが来ていたのよ」
―――『九曜さん飲んでいる?』という佐々木さんの声
―――『――飲んで―いる――』
「大方、夢を見たんだろ?」
―――『――それは――分身――』
「それより、事故に会ったりしてないか?
今日のデートは取り止めるのが無難かと思うがなー」
―――『――心配・・無い――ハルヒの――危機は・・去った――』
「まあ、大丈夫みたいだが、気をつけて」
券が無くなったので、残念ながら演劇には行けなくなった。
代わりにあたしの奢りで映画を見に行った。
折角のデートを佐々木さんなんかに邪魔されないわよ。じゃなくて、あたしを嘘つきにさせないわよ。
次の日のニュースで、あたし達の行くはずだった演劇場の客席に照明が落下したことを知った。
幸いなことに死傷者はゼロだったが。
(終わり)