【涼宮ハルヒの憂鬱】涼宮ハルヒを語れ その68at ANICHARA2
【涼宮ハルヒの憂鬱】涼宮ハルヒを語れ その68 - 暇つぶし2ch702:ハルキョン SS 台風
07/11/14 00:16:55 53BAl4Yv
何の変哲もない風の強い日だった。
ハルヒがぎゃあぎゃあ喚き、朝比奈さんがドジをし、長門はマイペースに本を読み、古泉は意味もなくニヤニヤしていた。
中学の頃から比べると随分騒がしいわけだがそれが当たり前になっちまうとどうってことはないもんだ。
中学では親しい友達として佐々木がいたわけだが立ち位置的には古泉と似たようなもんだからうるさくはなかった。
まあどちらにせよ身の回りが騒がしくなったのはひとえにハルヒのせいなのだろう。
個人的には悪い関係とは思わない3人ともハルヒというきっかけがなければ知り合うこともなかっただろうからな。
そんな台風の中心みたいなハルヒはグースカ眠っている。正確にはスヤスヤだが性格的にグースカだろう。
長門が本を閉じる時間になったので起こそうとしたら古泉に止められた。
「気持ちよく寝ていらっしゃるようですからもう少しこのままで。あなたが見ていて差し上げれば問題ないですよ」
下手に起こして機嫌を悪くして閉鎖空間なんてのはゴメンですから、そう言われては従うしかなかったわけだ。
騙された気がする。あいつが楽をしたいがために体よく使われた気がしてならない。
しかし我ながら台風の例えは言い得て妙だ。
中心でありながら周囲は無風。そこだけならばいつもどおりと勘違いしてしまうくらい。
しかし少し離れると暴風。知らないところでいろんな人が迷惑してる。
台風が台風として生まれたかったは別として。

くだらない思考はここまでだ。面倒だから起こすか?
「ん…」
と、起きたか?手間が省けて助かる。
「ハルヒ、起きろ。ほら。行くぞ」
声だけかけてさっさと出口に向かう。ハルヒに付き合って俺まで遅くなるなんてバカらしいからな。
何かに引っかかった。いや違う。何かに引っ張られてる。ハルヒが俺の服を掴んでいた。
「行っちゃヤダ…」
ハルヒらしくないその声に体が固まる。その瞬間を狙ったようにバカ力で引っ張られた。
気づいたときにはハルヒに抱きしめられていた。
「ダメ…」
…寝ぼけて…るのか?そうでなければハルヒはこんなことしない。
「みくるちゃんのこと好きでもいいから、有希のこと好きでもいいから、だからここにいて」
泣いている子どものようだった。
小さい、そう小学生くらいのハルヒを幻視する。凛とした顔で寂しそうにブランコに乗っていた。
美人というのは子どもの頃から顔のつくりが違うんだな、なんてことを思う。
「キョン…」
目の前にハルヒ。俺は子どもをあやすように頭でも撫でてやるべきなのだろうか。
違うな。
「ハルヒ、誰が好きとかじゃなくて俺は自分の意思でここにいたいと思ってる」
ハルヒの手を握る。俺は今から恥ずかしいことを言うのだろうな。
「他の誰でもないお前がいるからここにいる。お前が中心なんだ」
俺は我侭な子どもであるハルヒの面倒を見たいんじゃない。
隣でいろいろな不思議を一緒に見て回りたい。そう思う。
「これは夢だ。とりあえず寝とけ」
今度は頭を撫でてやる。ハルヒは俺に寄りかかるように再び眠りについた。

「ホントに何にもしてないでしょうね?」
疑り深い神様だな。もっと全知全能になれよ。
「変な夢見るし、起きたらあんたが目の前にいるし最悪ね」
プリプリ怒っている。相変わらずのハルヒなわけだが逆に安心した。
ハルヒが人に弱みを見せるなんてそれだけで天変地異だ。
ありうるとしたら夢の中だけであって欲しい。
いつもは勝手に先を歩いていくハルヒが今日は俺と並んでいる。
それだけで十分だと思う。
「なあハルヒ」
「なによ」
「どうも南からでかい台風が接近してるらしい。団長様のSOS団パワーでどこかにやってくれないか」
台風には台風を。
「なにそれ。そんなことできるわけないでしょ」

週末、台風は急に進路を変え洋上に抜けていった。おかげで今日は絶好の不思議探索日和だ。
「びっくりしたわ。ホントにどっか行っちゃうんだもん。これ効くのね」
ハルヒはひょいっとてるてる坊主を取り出した。
その顔が今日鏡で見た顔にそっくりだったのはただの偶然に違いない。


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