07/11/11 01:00:56 EgHRnxu6
俺は30歳、つたないサラリーマンだ
昨日彼女と別れ、今日は仕事で大失敗し部長から大目玉
車はパンクし携帯は壊れ、帰宅途中には急に雨が降り出す始末
駅まで猛ダッシュするも後少しの所で信号に引っかかる
(もう勘弁してくれ)
その時
「お兄ちゃん、そんなに濡れると風邪引くよ」
隣で信号待ちしてた女の子が突然傘を差し出してきた
「えっ俺に?いいの?」
「うん、もう1本あるから大丈夫、良いよねお母さん」
少女の隣には母親(一瞬女子高生に見えた)が立っていた
「受け取って良いんですか?」
「良いんですよ、こちらこそ安物の傘で御免なさいね」
「いいえそんな、すみません、有難く頂戴します」
信号が青に変わり、俺はもう一度お辞儀をし急いでその場を去った
「お母さん、あのお兄ちゃん元気になるといいね」
「そうね、でもつかさの優しい気持ちは十分届いたと思うわ」
「えへへ」
「じゃあ帰ろうか、今夜はつかさの大好きなすき焼きよ」
「わーいすき焼きだ」
その日俺は天使を見た
傘の柄の部分に書かれてあった「ひいらぎかがみ」の文字
この天名を生涯忘れる事はないだろう