07/11/06 00:20:13 ziGRAv9V
「ねえみくるちゃん」
「なんですか、涼宮さん」
「あのさ、例え話なんだけど聞いてくれる?」
涼宮さんにしては珍しい話し方、なにかな?
「えっとね、みくるちゃん、その好きな人とかできたらどうする?」
「え?」
「あたしは恋愛なんて精神に気まぐれだと思ってるけど、人がそういう気持ちを抱くことまでは否定しないわ。勝手にしなさいってことね。で、気になったからサンプルとしてみくるちゃんに聞いてるの」
すごい早口で言われた。
「え?えと、やっぱり告白…でしょうか」
「みくるちゃんはいきなり告白とかするの?」
「う~ん、やっぱり恥ずかしいですし怖いからちょっと難しいですね」
「まあ普通そうよね。じゃあどうするの?」
やっぱり珍しい。涼宮さんが『普通』って言葉を悪い意味じゃなくて使ってる。
「えっと、自分の気持ちに気づいてもらえるようにアピールするとか」
「具体的には?」
「お弁当作ってくるとか、あとは…その人の近くにいようとするとかでしょうか」
あとはなんだろ?雑誌とかにはもっとのってそうだけど。
「ふーん」
「どうかしたんですか?」
「別になんでもないわ。あたしには全然似合わないわね」
「…涼宮さん、やっぱり好きな人いるんですか」
たぶんキョンくんだと思うけど。
「何でそうなるのよ!言ったでしょ、恋や愛なんて精神病の一種よ」
認めないようにしてる涼宮さんがなんだかかわいい。
「…男はそういうの喜ぶのかしらね」
「そう思います」
きっとキョンくんも。
「朝比奈さん、ちょっといいですか?」
「キョンくん?」
「ハルヒのことで相談があるんですが…」
あ!もしかして涼宮さんキョンくんに…
「なんかあいつ最近俺に弁当分けるようになったり勉強教えに来たりとおかしな行動をしてるんです。心当たりありませんか?」
「…えと?」
「また何か企んでるんだと思います。先手を打っておこうかと思いまして」
キョンくんは真面目な顔してる。ということは、本気で言ってる?
「朝比奈さん?どうしたんですか、信じられないものを見たような顔してますよ」
「だって…だって…」
女の子の好きって気持ちをそんな風にとるなんて…。
「知りません!」
「なあハルヒ、お前に頼むのは筋違いだと重々承知しているんだがそれでも頼みたいことがある」
「な、なによ」
「なんだかわからんが朝比奈さんを怒らせてしまった。間をもってくれないか」
「なんであたしが」
「鶴屋さんに頼んだら快くOKをくれたんだが朝比奈さんから何か耳打ちされた途端態度が一変してな」
「…あんた何したの?」
「いや、なんというか、……お前に関することだ」
「…あたし?」
キョンくんはあまり変わっていないみたいだけどそれでも二人の距離は縮まってると思う。
「しょうがないわね。あたしに任せなさい」
嬉しそうにこっちに来る涼宮さん。自分のこと気にかけてもらって嬉しいんだろうな。
あとはわたしが本当のことを教えるかどうか。
…うん、いいと思う。
あんなに可愛い女の子を大切にしないキョンくんはちょっとくらい反省してもらわなきゃ。
「ねえみくるちゃん。キョンが何か言ったんだって?」
わたしは息を大きく吸い込んだ。