07/11/05 23:49:57 dLeSlpE3
「なるほど一生涼宮さんとともに生きていく・・・ですか。とても涼宮さんのことを大切に想われているのですね」
古泉は終始ニヤニヤ顔のままだ。なぜその部分だけを繰り返し強調したのかは意味不明だが、
一部俺の発言を勝手に改変してないかそれ?それとまたロッカーから連発であちこちを打ちつける音がしてきたが、
本当に大丈夫かあれ?今頃あちこち骨折してるんじゃないのか?少しは落ち着け。自重しろ。
「では、僕が涼宮さんに告白をするのはやめにしておきましょう。あなたという立派な人生の同伴者がいらっしゃる
涼宮さんには僕は入り込む余地はなさそうですのでね」
「僕はこれで失礼させていただきます。そうそう、この暑さで部室の空気がこもっているようですので、窓をあけてロッカーの
換気をお願いいたします、それでは」
古泉はそういうとあっさりと部室を退室していった。一体なんだったんだアイツは。何がしたかったんだ、俺に説明しろ。
俺は黙って、部室の窓をあけた。涼しい風が部屋に入ってくる。
「ハルヒと一生そばにいる・・・か、たぶんそうなるんだろうな、これからもずっと。だとすると俺はハルヒと同じ大学へいき
そしてその後も一生あいつの面倒をみてやるためには・・・、俺があいつと結婚する・・・ことになるのかな」
何いってんだろうな、俺。俺は独り言をやめた。幸い、部室にいるのは俺一人だけだ。たまにはこんな意味不明なことを
言ってみたくもなるのさ。この部室はいつだってにぎやかだからな。ハルヒがいるおかげでな。
俺はふと思い出し、古泉にいわれたロッカーの換気を行うことにした。っていうか誰が鍵を閉めたんだこのロッカー。
いつも開けっ放しにしておいたはずなんだがな。
がちゃり。
ロッカーを開けた俺、口をあんぐりあけて沈黙。
中には、滝のような汗をかいて制服がぐしょぐしょになっているハルヒが両手で自分の口を必死に覆いながら
そこにいた。しばらく俺とハルヒはお互いを見つめ合っていたが、沈黙にたえられず俺からハルヒに声をかけた。
「お前、ずっとそこにいたのか?」
コクリ。
意外なことにハルヒはずっとだまりっぱなしのままだった。いつもの元気さはどこにいったのか真っ赤に紅潮した
顔を静かに動かしうなずくだけだ。
俺はハルヒにかける言葉がみつからなかった。ハルヒはずっとこのロッカーに入っていたらしい。つーことは
さっきの古泉と俺の会話、ついでに俺の独り言も全部ハルヒに聞かれていたわけだよな・・・
この一瞬、俺の自殺願望数値はマックス値を大幅に超えていたことはたしかだ、ああそうさ穴があったら入りたいさ。
地下3000メートルくらいの深い穴に入って自分が発した妄言をくやみつづけたいさ。
よりによってなんでロッカーなんかに隠れていやがるんだこいつは。
「・・・古泉くんに、ロッカーに入っているようにいわれたの」
決定。明日、古泉の首は東京タワーのてっぺんからぷら~りとぶらさがっているな。長い付き合いだったが残念だ。
お前は俺を怒らせた。しかしどうしたものかね、この後どうすればいいのか俺は困っていたが
とりあえず自分の汗でずぶ濡れになっているハルヒをほっておけず、俺はハルヒの体に俺の着ているブレザーの制服を
そっとかけてやった。
「ねえ」とハルヒが俺のそでをそっと指先でつまんできた。
「ん?なんだ」
「・・・さっきのって・・・本当?」
「さっきの?」
「その・・・、古泉くんと話していた時にあんたが言った言葉・・・、あたしのそばに一生いてくれるって・・・」
俺は、素直にハルヒの目を見つめながら本心で答えてやった。
「ああ、一生ずっとお前のそばにいるさ。」
ハルヒの顔に、さらに朱色が広がっていく。
「あたし・・・もっともっと今以上に迷惑かけちゃうかも・・・それでも平気?」
「ああ、俺に遠慮なくたくさん迷惑をかけろ。全部俺が、受け止めてやるから」
その後、俺はハルヒの体をしっかりと抱きしめてやったのを憶えている。その後キスもしたかもしれないな。
まあ、そこまでここで語ってやる必要もないだろ、俺だって恥ずかしい想い出話だしな。だがこれがきっかけで俺と
ハルヒは正式に付き合いだしたことは確かだぜ。ん?古泉はどうしたかって?今頃ぷら~んぷら~ん吊られてるさ。