07/11/05 23:42:55 dLeSlpE3
高校2年の夏、まぶしい陽気と新緑の香る、ある日のSOS団部室での出来事
ホームルームを終え、掃除当番のキョンより一足先に部室にやってきたハルヒは部室に
一人きりでいる古泉を見つける
「あれ、古泉くん一人だけなの? 珍しいわね、有希が部室にいないなんて…」
「ええ、実はわけあって長門さんには席をはずしてもらっています。今日は涼宮さんにぜひ
お話したいことがありましたので」
「ふ~ん、それってあたしと2人だけでないとダメな話なわけ?有希にも聞かれちゃまずい
ような話ってこと?古泉くん」
「ええ、幸いにも朝比奈さんは3年生の受験対策補講の真っ最中ですし、今日が一番
お話しするには適していると思いましたので」
つかつかと団長専用の机に向かい、イスに腰をおろすハルヒ
「それで?それはどんな話なの、古泉くん?」
「申し訳ありませんが、涼宮さん、お話しする前に一度ご起立いただいてよろしいでしょうか?」
「へっ?座って聞いてちゃダメなの?」
「ええ、ついでに申しますとそちらのロッカーの前で僕に背を向ける形で立っていただけると
大変ありがたいのですが…」
「変なの、そのロッカーの前で立って聞いていないとダメなわけ?それってそんなに大事な話
なの?」
「ええ、SOS団の団員全員の未来に関わる最重要なお話です。お話しするためにも涼宮さん
にはどうしても指定の位置に立っていただかないといけないのです」
「えっ!?そんなに大事な話しなの・・・、う~ん、それじゃあ言われた通りにするけど・・・」
しぶしぶとハルヒは、古泉に指定されたロッカーの前に立った。夏の暑い湿気でカビがつくのを
防ぐ為、部室内のロッカーはこの時期だけは扉が開かれてる。
「ロッカーの前に立ったわよ、古泉くん。これでいいの?」
「ええ、ありがとうございます涼宮さん、ではSOS団にとって重要なお話をさせていただきます・・・
・・・・・・が、その前に、涼宮さん失礼させていただきます」
「エッ!?ちょ、ちょっと、古泉くん!?きゃあ!!!」
突然、古泉はハルヒを背後から両手で押し、ロッカーの中に押し込むと有無をいわざず素早く
外側からロッカーの鍵を閉めたのだ。
「ちょっと!古泉くん!コラッ!早くここを開けなさい!一体なんのつもりなの!?」
内側からロッカーの扉をガンガン叩くハルヒ、いつも礼節の行き届いているハルヒにとっては忠臣の
古泉からの不意をついた行為にその声色は驚きを隠せないでいた。
ロッカーの外側からはクスクスと、喉の奥で笑いをこらえているようなくぐもった嘲笑が聞こえ
ハルヒはさらにあせりを感じていると
「誠に申し訳ありません、涼宮さん。ですが、今しばらくそこで我慢していただけますでしょうか?
もうすぐ彼がこの部室にやってきます。涼宮さんも彼の本当の気持ちが知りたいとは思いませんか?」
「えっ?」
「おや、彼がやってきたようですよ。僕が彼の本当の気持ちを聞きだす間、しばし御静かにしていただ
けると幸いなのですが」