07/11/03 22:43:04 r0YU+tqk
様々な出来事が有った高校生活を終え、大学に入り3年。
もうすぐ迫る就職活動の事を恋人になったハルヒが何かと口に出すようになった頃、俺は懐かしい奴に会うことにした。
「よお、久しぶりだな古泉。そっちはどうだ?」
「お久しぶりです。ええ、こちらはこちらで楽しくやってますよ」
数年ぶりなのにあの事と変わらぬスマイルで出迎える古泉。マジかわらねぇ。
「それで、今日は何故僕を呼んだのですか?」
「いや、ただ何となく会いたくなっただけだ」
挨拶もそこそこ、いきなり本題を切り出してくる。
「それは嘘ですね。そうであるなら涼宮さんが側にいるはずだ」
「やれやれ、誤魔化しは通じないか…実はな、相談事があるんだ」
「聞きましょう」
俺の言葉を即答する古泉。
このポーカーフェイスを崩してやる、と固く心を固め呼び出した理由を告げる。
「俺ハルヒにプロポーズしようと思うんだ」
俺の台詞に古泉は心底驚いた顔をした。
「驚きました…アナタがこんなに早くそれを決めたことも。そのことを僕に教えることも…」
そう言うと古泉はまっすぐ俺の顔を見詰め、
「それで、何を相談したいんです?」と言った。
「お前、ホントはテレパス何じゃないのか? まぁいい。それでな…アイツが喜ぶ告白の仕方が思い浮かばないんだ」
そう言って疲れた溜息を漏らす。ここ数日そればかりを考えてた。お陰でかなり寝不足気味だ。
「なるほど…しかし」
古泉は俺の言葉を聞いて、たっぷり20秒は沈黙した後。呆れたような声で
「涼宮さんはおそらくどんな告白をしても、受け入れてくれると思いますよ」
「そうか・・・いや、それはそうなんだろうが・・・なんというか」
要するに俺は不安だったのだ、こんな事になるなら谷口の馬鹿話に付き合うべきだった。
「はぁ・・・貴方も困った物だ。もっと自分に自信を持ってください」
古泉はそう俺をたしなめると。
「そうですね、貴方の場合変に気取るのは無理でしょうから・・・いっそベタな告白の方がいいかもしれません」
「ベタなってどんなのだよ・・・」
「『毎日俺のために味噌汁を作ってくれ』とかそういうのです」
思わず、『ああ、そりゃいいや』と納得した。確かに俺にはそのほうがいいかもしれん。
そんな俺の様子を古泉は「気に入りましたか?」という感じのスマイルで見守っていた。
「・・・まぁ、参考にしてみる。世話をかけたな」
「ええ、二人のお子さんが見れる日を楽しみにしています」
気が早いぞ、古泉。・・・とは言えない自分が少し悲しい。
さすがにこの事はばれてないと思うのだが。
そして数日後、俺はハルヒを呼び出した。
「何よキョン、こんな所に連れ出して。そろそろ帰らないとスーパーの特売品が買えなくなるわよ?」
「ああ、実はな・・・ハルヒ」
まっすぐハルヒの目を見る。ハルヒは俺の真剣な様子が伝わったのか何も言わずこっちを見ている。
「ハルヒ、これからはずっと俺と一緒に居て欲しい。一緒に居て俺に・・・」
軽く息を吸う。次の言葉にハルヒへのすべての思いを乗せるで、言った。
「俺のために毎日・・・ポニーテールを作って欲しい」
「そう言ったら、殴られた」
「・・・なるほど、数年ぶりの閉鎖空間の理由はそれでしたか」