07/10/14 16:09:16 MaQrB/fU
「ね、キョン……」
「…なんだ?」
急にトーンが落ちて静かになった声に、俺はハルヒが飲み過ぎで
気分を悪くしたのかと思った。しかし、そうではなかった。
「ありがとね…今日のこと」
「……ああ、どうやらたっぷり楽しんで貰えたみたいでなによりだ」
きゅっ、とハルヒがしがみつく力を増した。しかし、力強くではなく
ただ包み込むような、ハルヒの温かさが俺に流れ込んでくるような、
そんな感じだった。
「ね、キョン……」
「…なんだ?」
俺はただその温かさを感じていられれば良かった。それだけで俺はきっと
世界の果てまでだって行ける。もちろんハルヒと一緒に、であるが。
「……大好き」
「……ああ、俺もだ。ハルヒのこと、誰が離せって言っても絶対に
手放してやるつもりはない」
「うん…」
きっとハルヒも俺も今頃になってアルコールが効いてきたんじゃないだろうか。
だって、俺もハルヒもこんなにも真っ赤な顔をしてるんだから。
しばらくは「また飲みに行くわよっ、キョン!」と息巻いていたが、おそらく
騒ぎ疲れとアルコールによって数分後には俺に負ぶさったまま、くぅくぅと寝息を
立てていた。
「まったく、うちのお姫様は……」
苦笑しながら、だけど俺はやさしく笑っているのだろう。
思えば、俺は何年も前から酔っ払っていたのかもしれない。
涼宮ハルヒという、強烈なカクテルに。