07/10/14 12:25:27 7bQ4Iiv+
「どうしたのキョン?神妙な顔して・・・。も、もしかして今日は二人で過ごすの嫌だった
みんなで過ごしたかった?」
誕生日を満喫して隣で手を繋ぎながら歩いているハルヒの言葉ではっと気がつく。
いや、今年のハルヒの誕生日はお前がなんと言おうとも、俺と二人で過ごしてもらう
予定だったから全然嫌じゃなかったぞ。
それに俺達は今日物凄く楽しんだだろ。
お前もいつも以上に輝いていたしな。
ただ、お前の顔を見ていて昔のことを懐かしんでいただけだ。特に意味は無い。
「昔って言えば、キョンあのこと覚えてる?」
あのことって何だ?内容を言ってくれないとなんともいえないぞ。
「む~、解ると思ったのに。まぁ、いいわ。高校の時急にあたしがバーに連れてけ
って言ったのをキョンが必死に抵抗して止めさせたことよ。
『酔っ払いがお前に絡んでくるかもしれん。
なんだかんだ言ってお前は綺麗だからな。もしお前が絡まれて面倒なことになって
警察沙汰にでもなってみろ。俺たち、いや、お前はどうなる?
きっと後悔するぞ。
それに俺はお前が危険な目に少しでもあわせたくないから事前に回避できることは
回避するようにしているんだ。俺の言うことを理解してくれ』って言ってくれたのよ。
忘れたって言わせないわよ。あたしはこれで今まで解らなかった、ううん、
解ろうとしていなかったキョンの気持ちがはっきり判明したんだから。・・・好きだって。
あたしの気持ちを変えたこのセリフをあんたはちゃんと覚えているでしょう?」
・・・すまん。少し考えてみたが俺の記憶の中にはその出来事に関連した事象を
一つも拾えなかった。ってスマン。スマン。頼むからグーで殴るな。
あらかじめ言っとくがパーではたいてもダメだぞ。
ハルヒはまたもアヒル口で少し不機嫌ながらも俺への攻撃を止め、
俺の腕に抱きつきなおして俺に自分の体重をかけながら続けた。
「ふん!まぁいいわ。あんたが覚えているのは大して期待していなかったし。
でね、あんたはあたしが20歳になったらバーに連れて行ってあげるって最後に言ったのよ」
なるほどな。過去の俺はそんなこと言っていたのか。
そうと解ったら、ハルヒ、繁華街へ戻るか。
一軒寄り忘れたお店があることだしな。
腕に抱きついているハルヒの体を無理やり方向転換させ、ハルヒの返事を聞く前に
俺達は数年前にした約束を果たすため、町に戻った。
昔の俺なら自分とハルヒを守るためあらかじめ予防策を練って抵抗したりしただろう。
でも今は違う。いつどんなときだっていかなる状況であっても
ハルヒを最優先で守り大切にしていくと俺の中で誓ったんだ。
昔はハルヒに引っ張られたけど、今は自分から引っ張っていかないとな。
今のような幸せがずっと続くようにな。
おわり