07/10/22 21:08:51 B60rKa/K
自然と俯いていく目は、足元の濡れたアスファルトを見る。
薄暗い視線の端には、私とこなたの靴。
「かがみ……」
上を、右を向く。
「かがみも、約束してくれたじゃない」
こなたもこっちを見ていた。
「未来に何が起こるかわからないけど、壁が立ち塞がるかもしれないけど、周りに流されるんじゃなくて、私達で、何があっても繋がっていよう」
こなたと、その背後の闇に、交互に焦点が合う。
こなたは、何かを決めたように、一度頷いて、
「お父さん達がどんなに説得しても私達を認めてくれなかったら、本当に、どうしても許してくれなかったら、その時は、駆け落ちしよう。
それに、周りから差別されたり非難の目を向けられても、これが私達の本当の姿なんだもん。何を言われても、耐えていこうよ。
私は、かがみと一緒なら、何があっても乗り越えられる気がするんだ」
こなたは下を見て、それから上を向いて、
「例え世界中が私達を拒んでも、ずっと一緒だよ」
「……そうよね。私も、同じ気持ち……かな」
元々こうなることは分かってた。
でも、分かってるのに、この道を選んだんだから。
乗り越えていかなきゃ。
私は、こなたのことが大好きだから。……愛してるから。
結果的にこの選択はよかったのか、なんて今はまだ分からない。
今立っているのは、そこに行く途中の道。
回答が来るのは、もっとずっと先のことだろう。
だから、少しでもいい結果が出るように……。
気づいたら、雨は幾分か弱くまばらになっていた。
傘に落ちてくる重量感も、少なく感じられる。
―もう要らないかな。
少しくらいなら濡れたって構わない。こなただってずぶ濡れなんだし。
傘をたたむ。
小雨が頭に降り注ぐ。リボンもなく、そのまま下ろしている髪にも。
「……なんでたたむの? かがみ」
「もう必要ないでしょ。これくらいの雨なら」
「……はげるよ」
「余計なお世話だ!」
空を見る。
強い風で、大部分の雲は遠くへと流れ去っていた。
そして、
「ほら、見て」
空の一点を指差す。
「あ……」