07/08/26 01:35:45 5FeHnJit
「やれやれだ……」
快適なシャワーを浴びる俺。
「くぅぅ……諦めないのです」
橘が湯船から身を乗り出して、俺の耳元を触ろうとしている。
残念だったな。俺にその攻撃は効かない。
橘は、頬を膨らませながら、妹愛用のアヒルちゃんで遊び始めた。
「さてと……」
俺は橘と違って、頭を洗うのも身体を洗うのも早い。
身体を洗ったら、湯船にもう一浸かりしてから上がるのがおれの常だ。
「え?きょ……キョンさん何するんですか!!」
さっきの仕返しだ。
俺は、橘がいるのも構いなしに湯船に入っていった。
俺より小さい橘は、俺に押しつぶされるように、湯船に沈んでいった。
橘イジメにも飽きたので、風呂から上がることにする。
沈められて、頭から足の先までグッショリになりながら、橘も付いてくる。
そんな橘にバスタオルを手渡してやる俺は、優しい男だ。
春先といえども、風呂上りは少し暑い。
すぐにシャツを着る気になれなかった俺は、パンツとTシャツだけ着た状態で、飲み物を求めてキッチンへ向かった。
すると、素っ裸のままでバスタオルを頭に被った橘が付いてくる。
「おい、何か着てこいよ、さすがに風邪ひくぞ」
「着てきた下着は、洗われちゃったのです」
そういえば、さっき脱衣場にある洗濯機が回っていたな。
というか、こいつは人の家の洗濯機に勝手にパンツ入れたのか。図々しいにも程が有る。
「あら、そうだったわね、ごめんなさい」
キッチンで明日の米をといでいたお袋が言う。
「ひゃあ!ごめんなさい!」
お袋を見つけた橘が、慌ててバスタオルで前を隠す。
さすがに、こいつも人の家で裸で歩き回るのははしたないと気付いたらしい。
やれやれだ……
優しい男である俺は、コンビニで橘用のパンツを買ってきてやった。
店員さんの目が、ちょっと痛かった。
それで、帰ってきたら、
「ブラは無いんですか?」
とか言い出す橘。
敢えてパンツしか買ってこなかったのは、『お前には必要ねーだろ』という意味だ。
おしまい