07/07/17 15:59:12 oDGE0z9U
怪訝そうな顔をしてるであろう俺に佐々木は言う。一ヶ月前、母方の実家に行くための指定券を買いに
駅に行った時に偶然中学時代のクラスメイト、そう、俺にこの列車を薦めた奴だ、に会ったこと。その
クラスメイトは佐々木の話を聞いて、佐々木が乗る予定にしていた列車は満席だろうからとこの列車を
やけに熱心に薦めたこと。
「彼が中学時代から日本中を旅行してたのは知ってるしね。その彼のアドバイスだしこの列車に乗って
みることにしたんだよ。まあ、彼が薦めてくれた理由は今日になってわかったんだがね」
確かに、景色もいいしたまにはこういう旅もいいよな。そう言うと佐々木は小さく溜息をついてから、
「駅の窓口は混んでいてね。並んでる間に随分といろんな話を聞かせてもらったよ。君も充実した高校
生活を送れているようでなによりだ」
そう言った後、付け加えるかのように、
「ただ、彼が面白おかしく話してくれた君の高校生活のエピソードの多くに涼み・・・SOS団の名が
ついてくるのが・・・」
佐々木はなぜかそこで口をつぐむと、急に思い出したかのように俺に菓子を薦めてきた。なんだろうね。
まあ、SOS団の評判はもはや近隣の全校に広まっているだろうし、主に団長様が引き起こす数多くの
エピソードを知ってれば俺を親友と呼んでくれる佐々木が心配するのも無理はないか。
大丈夫さ、SOS団って言うか、ハルヒの暴走なら最近はなんとなくブレーキをかけるコツがつかめて
きたし。そう言うと佐々木はなんとも複雑な顔をしたがそれも一瞬、すぐにいつもの顔に戻ると、
「で、彼が指定席券を渡しながらこの列車の終点まで2時間半かかると教えてくれた後、別れ際にもう
一言『ま、頑張れよ』って言ったんだよ。さて、何を頑張れと言ったんだろうね」
頑張れ、か。おまえが行ってる学校がウチと違って結構厳しい進学校なのは知ってるだろうし、2年の
うちから成績別にクラス分けされたり大変だろうけど頑張れよってエールだろ。むしろ、俺と競い合う
成績のあいつこそ頑張れって気もするがな。
「・・・実に君らしい解釈だね」