07/07/14 23:19:41 yDUItSC0
「キョン、いつものでいいかい?」
「ああ、頼む」
佐々木がカウンターの奥に入ってコーヒーをいれる。
なんでもそつなくこなす奴だけあってコーヒーもうまい。
しばらくすると佐々木がカップを二つ持ってやってきた。
「最近は頻度が多くなってるな」
「そうだね、僕もどうにか制御が出来ればいいんだけどやり方がさっぱりわからない」
「ま、これが俺の見ている勝手な夢じゃないって保障は何処にもないんんだがな」
「くっくっ・・・・・・もしそうだとしたらキョンは頻繁に僕のことを夢に見ているわけだ、こんな嬉しいことはないよ」
ハルヒと出会ってから異常な事件に遭遇した俺はそこで得た知識を佐々木に話した。
佐々木は興味深そうに聞いていたがやはり自分もハルヒと同種だという実感はないらしい。
俺をここに呼んでしまうのもまったくの無意識だそうだ。
夢じゃないかと話し合いもしたが胡蝶の夢がどーたらこーたら言われて良くわからないがたいした問題じゃないそうだ。
まぁ確かに俺は起きたらここのことは覚えていないし佐々木も覚えていないらしいから確かめようがないんだけどな。
慣れてしまった今では閉鎖空間だから特にどうだということはない。
取り留めのない話をしてここを出るだけだ。
今日も4時間ほど適当に話して閉鎖空間をぶらぶらした。
「さて、そろそろ時間だね」
佐々木がそういってこちらを向き、少し笑った後目をつぶった。
これはいわば脱出の儀式みたいなものだ。
「じゃあな、佐々木。また呼んでくれ」
そういって俺は佐々木にゆっくり顔を近づけた。
俺と佐々木の距離がゼロになったとき、世界は歪み始めた。
毎回思うが覚えてないってのはやはりもったいないな。
そうそう、一つ言い忘れたここでは俺と佐々木は親友ではない。
恋人だ。起きたら覚えちゃいないがな。