07/05/08 04:21:14 Wyz+aaZE
いつもの喫茶店で、飲み慣れたブレンドのカップをソーサーに戻しながら、俺は佐々木に返
事を返した。
七夕かぁ。今、振り返ってみれば、俺が志望校を、北高に決めたのは、その当たりだったよ
うな気がするな。
まぁ、志望理由は学力的に適当だったこと。自転車通学が可能な距離だったことが大きいん
だが。まぁどっちにしろだな、佐々木よ。俺はお前にあった記憶だけはないぞ。
うん、神に誓って、ないな。
「ふむ、そうなると……そうか、そういうことか」
佐々木は俺の言葉も無視して、ひとり得心することがあったようだ。心なしか頬が緩んでい
るようにも見受けられる。
なんだよ、何か思い当たることでもあったのか?
「いや、結構、今日の話しは忘れてくれて、構わない。どうやら、まだその時ではなかったようだ」
おいおい、どういうことなんだよ、ちゃんと説明しろよな。
「まぁ、待ちたまえ。いずれ、キミにも今日のやりとりを理解する日が来るはずだ、そうだな、
これくらいは教えておいて構わないだろう。あの日の熱い抱擁を僕は、一日たりとも忘れたこ
とはなかったよ。キミがいくら覚えがないと言い張ろうが、約束は絶対に果たして貰うからね。
僕は結構、計画的で執念深いのだ」
はぁ、お前は何を言ってるんだ、ミルコっ面で、そう返す俺なのさ。この春の陽気で、どっか
やられているんじゃないだろうな。
そんな俺を見ながらも、佐々木はにやにやくつくつと笑っていた。ちょっと、怖い。
ちなみに、俺には本当に心当たりがない。佐々木が何のことを言っているのか、知っている
人がいたら教えてくれよ。