【涼宮ハルヒ】佐々木とくっくっ Part6【鎖骨】at ANICHARA2
【涼宮ハルヒ】佐々木とくっくっ Part6【鎖骨】 - 暇つぶし2ch650:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 02:28:09 p/9IpPij
というか、着痩せ論ならハルヒとどっこいどっこいなんじゃね?

651:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 02:31:45 +A09iqgX
>>649
結論だな。つまり佐々木は身体の線がきれいってこったな

652:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 02:44:40 ImwwWTKN
●<何故藤原さんのスレはないんでしょうかふもっふ!

653:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 02:52:10 eHnbPGwm
>>652
この…ガチホモめwww
キョンだけでは物足りないのか

654:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 02:56:21 7X2w7pwC
世界を落ち着いて眺める佐々木さんの団において、
キョンに酷い扱いを受けるのは橘であり、デレる役はパンジーである。
九曜は我が子のように可愛がられる。
そして我らが佐々木はキョンの後ろの席で毎日夫婦漫才。

素晴らしいショーだとは思わんかね。

655:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 03:32:20 yq03njrp
>>654
その意見については僕は断固として否と言わざるを得ないね
別に君が即興で考えただろう団体名に文句があるわけじゃない
橘さんが酷く扱われることも藤原さんにデレるというトンデモ話も見逃すし
九曜さんを子供のように可愛がる光景というのも微笑ましい限りだ、認めよう。
だけどだ、後ろの席で毎日夫婦漫才という一行だけは断固として認められない
キョンと僕は常に対等でいたいんだ、前後や上下の関係なんていらない
僕が求めるのは常に同じ視界を共有できる”隣”だけだよ、キョン

「結局のところ何が言いたいんだ佐々木よ」
「つまり、これからは君の後ろではなく隣が僕の特等席だってことさ」

656:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 04:03:31 Wyz+aaZE
こんな時間まで、俺は何をやってるんだ。
1本できたので、投下。6レス予定。


657:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 04:04:26 buZNe6fY
支援

658:笹の葉ワルツ 1/6
07/05/08 04:06:46 Wyz+aaZE
 たしか、そう、その日は七夕だった。塾の帰り道、ベガだのアルタイルだのそんな話しを
今にも降り出しそうな曇り空を見上げながら、お前と話していた記憶がある。佐々木と別れて、
自転車に乗ってそこから先の記憶がどうもはっきりしない。ただ、通い慣れた道だ。ぼーっと
しながらも、事故にも遭わず、俺は帰路についていたようだ。はっきりとした記憶があるのは、
風呂に入ったこと、夕飯をキチンと平らげたこと。何もする気がなくて、さっさと寝てしまった
こと、ぐらいだ。
 で、なんだって佐々木?
「だから、当時は聞きそびれていたんだが、二年前の七夕の夜、といっても深夜に近い頃だ。
キミは僕と会っていなかったか」
 そりゃ、お前と友達になったのは、二年前、中三の春だが、七夕の深夜にお前と会っていた
記憶はないぞ。
「うむぅ、となると、やはりキミではないのか。仕方がない、これ以上は埒が明きそうにない。
僕と七夕の関わり合い、僕の秘密から話そう。全部聞いてから、キミの意見を聞かせてくれ。
実は僕は七夕と僕らの出身中学にはちょっとした思い出があってね…………

「笹の葉ワルツ」

 俺が目を覚ましたのは、風によってだった。柔らかで無機質な感覚が頭の後ろにある。
すっと、顔をひと撫でされた瞬間に、眠気は吹き飛んでいた。どこまでも、冷たい無機質な手、
この手には覚えがある。冬眠明けの熊のような動きで、身体を起こす。
 公園のベンチには、去年の春の頃と同じように身じろぎもせず、一年前から座っていたかの
ような、長門の姿があった。どうやら、俺は長門に膝枕して貰っていたらしいな。ち、もう少し、
後ろ頭に鋭敏な感覚があればな、そう思わないでもない。
「長門、一体何が起こってるんだ…って蒸し暑いな……この暑さ、もしかして、“また”なのか?」
 とりあえずは、この宇宙人に状況を確認する。コンマ2ミリ、長門の顔が首肯する。
「また、三年、いや四年前の七夕か……一体、ここに、俺はあと何回来るんだ」
 今度は、髪の毛二本分くらい長門の顔が振れた。違うのか、今は何時なんだ。
「現在のあなた、からすれば2年前に相当する」
 今回は、朝比奈さんじゃないのか、朝比奈(大)さんでもなく。座ったままの長門が俺を
見上げる。そうか、今回の黒幕はお前なのか、長門有希。お前は一体、俺に何をやらせる
気なんだよ。
 長門は応えず、すっと右手の人差し指を北の方角に差す。
「この先に、中等学校が存在する」
 東中はあっちだぞ、俺はハルヒの通っていた、東中の方向を指した。
「あなたが、かつて通っていた、学校」
 俺の中学で、俺の在学中に奇天烈な事件なんか、何もなかったはずだがな。
一体、何があるんだ。
「そこにあなたを待つ、人がいる」
 今度は一体、誰がいるんだ。その質問には答えが返らなかった。まったく、どうしてこう
未来から俺を引っ張ってくるヤツは、何も話さないんだ。
 ああ、わかっているさ、既定で禁則なんだろ。

659:笹の葉ワルツ 2/6
07/05/08 04:10:11 Wyz+aaZE
 俺は口から半ばほどはみ出ていた文句を飲み込み、長門に背を向け、かつて通い慣れた道を、
自分の中学校への通学路をたどり始めた。
 ちぇ、あんな顔を見せられちゃ、問いつめることすらできやしない。いいさ、今は長門を信
じるだけだ。コレは、今の俺、あるいは未来の俺、もしくはハルヒとSOS団にとって必要な
ことなのだ、きっと。
 長門にとって、とは考えなかった。何でなんだろう。アイツにだって、親玉はいるし、アイ
ツ自身の意志ってものがあるんだって、俺は誰よりも知っていたはずなのに。


 しかし、暑いな。もっとも前の時と違い、俺は夏っぽい格好をしていた。もっとも、サイズ
が微妙に、極めて微妙に小さい。身体を動かすたびにあちこちが突っ張る。目に入る範囲では
身体に異常はないんだが、とりあえず、身につけている物を確認する。財布はある。携帯はな
いようだな。ってこの財布、俺の財布じゃない……どういうことなんだ? いや、この財布は
俺のだ、確かに。そう、今の俺ではなく、二年前の俺の財布である。
 まったくもって意味が、わからん。
 そんなとりとめもない思考を垂れ流しにしながらも、俺の両足はきっちりと俺の身体を、
中学へと届けていた。
 そこには、ひとりの女性が、校門には寄りかかるようにして、立っていた。

「誰かと思えば、まさかキミがここに現われるなんて、想像すらしていなかったな。一体、
どんな風の吹き回しだい? キョン」

 容姿は多少幼いものの、その表情は、ある意味では今の彼女よりもよく知っていた。そう、
このころ、俺は他の誰よりも、彼女と連んでいたからだ。二年前の佐々木がそこに立っていた。
「……ん、キョンじゃない? 失礼だが、あなたは、キョンの……」
 果てさて、どう説明したもんだろうか。ハルヒの時とは違う。佐々木は、俺のことを見知っ
ている。どうしたものか、俺は確かに、ヤツのことはよく知っている。生まれてこの方十六年
も付き合っているのだ。利発な佐々木のことだ、下手な嘘は通じないだろう。だから、嘘だけ
は吐かないように注意して口を開いた。嘘は吐かない。だが、真実も告げない。
「ああ、確かにキミがキョンと呼ぶ人間についてはよく知っている。たぶん、キミよりも、他の誰よりも」
 佐々木は眉を潜めて、値踏みするように俺を見つめた。
「あなたが着用している衣服は、今日、彼が着ていたものだ。だが、あなたは彼によく似てい
る、生き写しだが、彼ではない。これは一体、どういうことなのだろうね。世の中には似た人
が三人はいるとは聞いたことがあるが、ここまで似ていたら、そこには何か、作為的なものが
あるとしか思えない」
 俺は、首を窄めて、降参というように両手を広げた。世の中には告げることのできない事実
もある。言うべきじゃないこともある。今がその時で、これがそれだ。
「詮索無用という訳か、ではあなたの名前は? あなたはキョンによく似ているが、彼ではな
いのだから、そうは呼びたくない」
 とりあえずは、好きに呼んでくれて構わないが、敢えて言うなら、そうだな。ジョン・スミス
とでも呼んでくれ。
 それを聞いた、佐々木はくつくつと、転げる鈴のような笑い声を上げた。……なんか、懐か
しいぞ。この春に再び聞いた笑い声だが、二年前の佐々木はこんな風に良く笑っていた。
「匿名希望くん、そうか、キミもジョン……そうか、そうだっ。キミだ、ジョン」
 …………はぁ?
「再びキミに会えるとはな、どうしたことだ。いや、これはアルタイルが起こした奇跡なのか
な。おかしいな、あれから二年だ。半額バーゲンセールでもあと十四年はかかるはずじゃ
あないか? しかも二年前とまったく変わっていない、キミはあれかエルフかメトセラなのか」

660:笹の葉ワルツ 3/6
07/05/08 04:13:19 Wyz+aaZE
 ちょっと、ちょっと待って欲しい。佐々木、お前と会うのは初めてのはずだ。なぜ、俺のこ
とを知っている。
「その言葉は、そっくりそのままキミに返そう。ジョン、初めてあったはずのキミがどうして
僕の名字を知っているのかな?」
 そういって、佐々木はウィンクを返した。
 ぐぅの音もでないとはまさにこのことか。まったくもって、返す言葉もない。
「僕の質問には答えられない、答えたくても……か」
 俺の表情を読み取って、佐々木はそう嘆息した。このころから、佐々木は俺の顔色を読む
プロフェッショナルだった。彼女に見抜かれない嘘を吐くのは至難の技であった。
 ……いや、いま思い返せば、きっと佐々木は俺の吐く嘘など、初めっからまるっとすべて
お見通しだったのだろう。
「ジョン、答えられない質問には答えなくても、構わない。だけど、嘘は吐かないでくれ。
僕からのお願いだ」
 そう、こんな風に即座に先手を打ってくるのが、佐々木だった。
「あの時と同じ質問をするよ」
 どの時だ? いや、決まっているな。佐々木がジョン・スミスと合った二年前…俺からすれ
ば四年前の時だ。どうやら、あと最低一回は、俺はタイムトラベルを体験することになるらしい。
「ジョン、キミの知り合いに超能力者はいるかね?」
 にやけた二枚目と、人畜無害そうな笑顔を振りまく誘拐犯、そして森さんや新川さん、多丸
兄弟の顔が浮かぶ。結構、多いな、超能力者の知り合い。
 ああ、結構いるぜ。
「次の質問だ、キミの知り合いに宇宙人はいるか?」
 即座に本を読む長門の横顔が浮かんだ。何を考えているかよく分からないエプロン姿の喜緑
さん、連想的に彼女が思い浮かぶが、これは途中で止めておく、痛くもない脇腹が痛むからな。
そして、違和感の塊である周防九曜のモップ頭が浮かぶ。
 宇宙人の知り合いも……増えたな。
「次だ。キミの知り合いに未来人はいるか?」
 即座に、メイド姿の朝比奈さんが浮かんだ。ああ、こんな瞬間にも、あなたは実に愛らしい。
そして、特盛りの朝比奈(大)さん、パンジーの花壇は記憶から追い払う。……アイツにも(大)
がいるんだろうか? そして、何よりこの俺が未来人なのだ。だが、これは答えられない。
「ふむ、これには答えがない……と、そうだ。異世界人なんてのはどうだね」
 それはまだ、知り合っていない。だが、知り合って分かるものなのかね。
「……さてね、超常の知り合いなど、僕にとってはキミだけさ、ジョン。コホン、さて最後の
質問だ……重要な質問だから、よく考えて、答えてくれ」
 咳払いして、佐々木は俺を真剣な眼差しで俺を見つめた。ごくり、とつばを飲み込む。嘘は
吐かない、真実も語らない、心の中で不文律を口ずさむ。
「ジョン、“今の”キミの側に僕はいるだろうか。キミの側で、僕は笑っていられるのだろうか」
 佐々木はそう聞いた。彼女は今にも泣き出しそうな、そんな不安定な表情を見せていた。
迷子の猫のような、すがりつくような、そんな瞳で、俺を射抜いた。この質問に俺は答えなけ
ればならない。じっとりと湿った空気が喉に張り付いた。
「答えて、くれないか?」
 なんで、その答えが必要なんだ。佐々木? 佐々木のあまりの必死さに、思わず、そう問い
返していた。
「質問に質問で返すな、と学校では教わらなかったのかな? でも、その質問には答えさせて
貰うよ。僕ばかり質問していて、そのフェアじゃないからね。僕には友達がいる、とても仲の
良い友達が、親友、そう親友と呼んでも、差し支えはないだろう。だけど、僕らは離ればなれ
になる。そう、十ヶ月後には、確実に」

661:笹の葉ワルツ 4/6
07/05/08 04:16:26 Wyz+aaZE
 どうしてなんだ? 俺はかつて、そうしていたように、佐々木の言葉に相づちを入れた。
「ジョン、キミがあれからどれだけの時を過ごしたのかはわからない。僕にとっては、あれか
ら二年が過ぎた。僕はいま中三だ。高校受験だよ、そして彼と僕との志望する学校は異なっ
ている。同じ学校に通うことは……おそらくない」
 そうなのか?
「残念ながら、僕と彼の実力差はそれなりにあってね。今の状況のまま推移するならば、その
差が縮まることはおそらくないだろう。もちろん、彼と同じ高校に僕が志望校を変更することは
不可能じゃない。だけど、僕はそれをしないのだ、きっと。それは僕の、僕のちっぽけなプライド
が許さない。彼と別れるのが寂しい、そんなノイズに僕は踊らされたくない。僕がいま罹患し
ているのは麻疹のようなものだ、精神的な病の一種だよ。そんな物のために、僕は一生にわた
る選択を変更したくは、ないのだ」
 それなら、なんでお前はそんなに苦しそうなんだ。
 お前を苦しめているのも、不快な雑音なのか?
「……不安、なんだ。彼にこれ以上、踏み込むのが、怖い。何時かやってくる確実な未来が、
僕には怖い。でも、彼と触れあうと、心が、身体が喜びに震えてしまう。…………彼が微笑む
のを見ているのが好き、彼が困ったように、照れて笑うのが好き、妹さんの頭を愛しそうに撫
でる右手が好き、美味しい物を食べている時の楽しそうな口元が好き、無警戒な笑顔が好き、
どこかに行きたいのに、どこに行けばいいのかわからない、そんな風に悩んでいる横顔が好き、
自転車をこいでいる背中が好き、悲しい人を見ていられなくて、動き出してしまうそんな彼が
好き、大好きなの。離れたくないの。でも、こんなのは本当じゃない、こんなのはただのノイ
ズなんだ!! 本当の“僕”じゃあない!!」
 その時、風が雨粒を運んできた。夏特有のたたき付けるような通り雨が立ちつくす俺たちを包んだ。
 こんなことをしてはいけない。理性は俺に警告を発した。だけど、俺の身体は止まらなかった。
「それなら、どうして、お前は泣いているんだ。佐々木」
 俺は両腕でぎゅっと、彼女の抱きしめ、首筋に顔を埋めるようにして、そう囁いた。
「わからない、僕には自分が分からない、だから、知りたいんだ。僕は……別れてしまっても、
再び、キミに逢えるのか。教えてくれ、キョン」
 そのまま、俺たちはじっとしていた。俺はぼそぼそとささやき始めた。
「俺のことは教えられない、そういうルールだ。だけど、俺がよく知っている男の話をする。
聞いてくれ」
 その男は、特に何も考えずに、中三の時代を過ごす。それがどんなに得難い幸せかもしらず
に、親友と一緒に一年を過ごすんだ。勉強にはあまり熱心になれなかった。ソイツなりの人並
みに、受験勉強を続けて、最初の志望校より、ひとつランクを下げて、専願で受験する。無事
に、男は受かる。彼はそのまま何となく、卒業して、中三の時の親友とはそれきり、別れてしまう。
 腕の中の佐々木がぴくりと震えた。
 男は取り立てて、何の特徴もない、県立高校で一年を過ごす。その一年については割愛する
ぜ。いろいろあっただろうけど、悪い一年じゃあなかったそうだ。
 そして、二年目の春、男は親友と再び巡り会う。そうだな、その男は約束したぜ、もう親友
を泣かすようなことはしないって。一番近くで、男の大好きな親友の笑顔を見つめている、
そう約束するよ。

 そして俺は佐々木を離した。
 通り雨はすでにやんでいた。

662:笹の葉ワルツ 5/6
07/05/08 04:19:42 Wyz+aaZE
 もう、行きなよ。ずいぶんと遅くなってしまった。親御さんが心配するぜ。
 佐々木はしばらく逡巡していが、やがて、佐々木の家の方向へと歩き出した。
 佐々木は何も言わなかった、俺も何も言わずに佐々木の背中を見送っていた。彼女が角を曲
がって、見えなくなって、しまうまで。
 俺も踵を返すと、公園へと、長門の元へと帰った。


 一年後も、そのまま座っているんじゃないか、長門は俺が立ち去った時と寸分変わらぬ様子
で、ベンチに座っていた。これでいいのか? 長門は、俺の言葉を聞いているのか、いないのか、
まったく反応しない。ただ、髪の毛が二三本、縦に揺れた。
 どうやら、この時間の俺の役目を俺は果たしたようだ。
 長門はゆっくりと、左手を上げて、俺を手招きした。長門の隣に腰を落ち着ける。長門は上
げたままだった、左手をそのまま俺の肩に回すと、豆腐でもつかむかのように、自分の方へと
俺を寄せた。何だ、また膝枕してくれるのか?
 ゆっくりと、コンマ一ミリ、長門は頷いた。今度はゆっくりと、長門の無機質な柔らかさを
右側頭部で味わう俺なのさ。
「催眠導入を開始、目覚めたら、あなたは元のあなたに戻る」
 なあ、これはどんな意味があるんだ。
「彼女にとって、今後二年間は規定事項となった。彼女は情報改変技能を保持したまま、情報
改変能力を受け付けない。情報統合思念体は彼女と涼宮ハルヒの違いから、情報改変能力の
解析のための貴重な示唆を受け取るだろう」
 ……なんだって、そう口を開こうとするが、急速に意識レベルが落ち込んでいく。長門がな
おも、何かを……。
「当該対象の異時間同位体との同期を解除、時間連結平面帯の可逆性越境情報の情報連結を解
除、バックアップデータのアップロードを……」


 俺が目を覚ましたのは、頬に触れた雨によってだった。
 ふわ、柔らかな……って、俺、何してる。ここ、どこ、今、いつ、そんで、あなた、誰?!
 なんと、見知らぬ高校生のお姉さんに、俺は膝枕されているのだった。
 あわっわわわ、転がるようにして立ち上げる俺なのだった。
 え~~と、そのすいません、なにがどうなっていたのでしょう。
 お姉さんは固まったままで、ノーリアクション。沈黙が流れる。お姉さん、セーラー服の胸
ポケットから、眼鏡を取り出して、掛けた。残念、俺には眼鏡属性はない。
 お姉さんはゆっくりと、立ち上がると、俺の目の前に立つ。なんだかな、小柄だからか、
俺よりも年下に見える。だが、お姉さんの着用しているのは確か北高のセーラー服(夏服)だ。
「あなたは……そこ……で倒れていた。暑気当たりと思われる」
 ゆっくりと、指さしたのはベンチの脇、そこにはマイ自転車が転がっていた。
 あ、それで介抱してくれてたんですか? すいません、ありがとうございました。
 ぺこりとお辞儀をする俺である。ベンチのカゲで、横倒しになっていたママチャリを起こす。
「……待って」
 お姉さんが俺の、右頬に手を当てた。な、なんでしょう。
「……もう、大丈夫。……蚊が、いた」
 あ、そっすか。不思議な雰囲気をたたえた先輩からそっと離れる俺なのさ。でも、美人だね~。
 こんな先輩がいるんなら、北高もいいかな~。
「そう…………待っている」

663:笹の葉ワルツ 6/6
07/05/08 04:21:14 Wyz+aaZE

 いつもの喫茶店で、飲み慣れたブレンドのカップをソーサーに戻しながら、俺は佐々木に返
事を返した。
 七夕かぁ。今、振り返ってみれば、俺が志望校を、北高に決めたのは、その当たりだったよ
うな気がするな。
 まぁ、志望理由は学力的に適当だったこと。自転車通学が可能な距離だったことが大きいん
だが。まぁどっちにしろだな、佐々木よ。俺はお前にあった記憶だけはないぞ。
 うん、神に誓って、ないな。
「ふむ、そうなると……そうか、そういうことか」
 佐々木は俺の言葉も無視して、ひとり得心することがあったようだ。心なしか頬が緩んでい
るようにも見受けられる。
 なんだよ、何か思い当たることでもあったのか?
「いや、結構、今日の話しは忘れてくれて、構わない。どうやら、まだその時ではなかったようだ」
 おいおい、どういうことなんだよ、ちゃんと説明しろよな。
「まぁ、待ちたまえ。いずれ、キミにも今日のやりとりを理解する日が来るはずだ、そうだな、
これくらいは教えておいて構わないだろう。あの日の熱い抱擁を僕は、一日たりとも忘れたこ
とはなかったよ。キミがいくら覚えがないと言い張ろうが、約束は絶対に果たして貰うからね。
僕は結構、計画的で執念深いのだ」
 はぁ、お前は何を言ってるんだ、ミルコっ面で、そう返す俺なのさ。この春の陽気で、どっか
やられているんじゃないだろうな。
 そんな俺を見ながらも、佐々木はにやにやくつくつと笑っていた。ちょっと、怖い。
 ちなみに、俺には本当に心当たりがない。佐々木が何のことを言っているのか、知っている
人がいたら教えてくれよ。

664:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 04:22:11 Wyz+aaZE
 というわけでおしまい。
 うお、俺の睡眠時間ピンチ。
 ひさびさに甘いの書けたぜぇw

665:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 04:25:25 buZNe6fY
乙だぜ。
俺の睡眠時間もピンチだがいいもん見させてもらったよ。
後悔はない

666:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 04:39:08 RMpUruUV
>>663
昨日たまたま保管庫のある作品を見たけれど、なんか繋がってるなw
昔の佐々木は例の精神病っぽい面もあったけど、2年でキョンと再会するまでにどんな心持ちでいたか、
なんて想像の余地もあったし面白かった。
コイツ等幸せそうでいいじゃないかっ

667:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 05:42:06 daSHfxZS
1時間以内にレスがなければ佐々木はキョンの嫁

668:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 06:31:59 FuOjWt/V
だが阻止

669:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 06:33:15 k9VGS3YY
●>そう簡単に彼を渡すわけにはいきませんね。ふんもっふ!!!

670:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 06:36:03 LaTX+tLU
40分も待ってた俺の忍耐を無にしやがってwwww

671:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 07:41:47 C9M3D0Aw
『涼宮ハルヒの分裂』のハルヒと佐々木の立場台詞をまるまる置き換えた文章を書き起こしていたが、
あまりの文章量に挫折した。各々妄想してくれ。
P.73
「毎度のことながら、遅刻をするとは・・・。もう少しパンクチュアルな生活を心掛けようとは思わないのかい?
あれだけ僕が注意を促しているというのに、今日に至っては最後に姿を現すどころか、
待ち合わせ時間を過ぎてしまうところを見る限り、そういった気概は皆無であるようだけれど。
いいかい、キョン。時間というのは、そう、一秒一秒をもっと大切にしたほうがいい。
何故なら、君の時間は常に君だけのものとして在るとは限らないからさ。
今この時、今回のケースに於いては、君が待ち合わせ時間を超過して発生した時間は、
待たされていた僕達の時間と等価と言ってしまっても過言ではないのだよ。
だからというわけではないが、従来の団則の他に、今日君が遅れてきた時間の分だけ、罰金を加算させてもらうよ。
何も金銭に拘っているわけではないということはもちろん君も分かっているとは思うが、
この様にペナルティを増やしでもしない限り、君の時間に関する認識は改まりそうに無いからね。
過ぎ去ってしまった時間は何物にも代えられないとはいえ、せめて、図らずも抱いてしまった僕達の君への苛立ちの解消や、
君が”贖罪行動の遂行によって得る満足”を獲得するには、簡易且つ合理的な罰則だとは思わないかい?
ああ、遅れてしまった言い訳なら、喫茶店できちんと聞かせてもらうから安心したまえ。くっくっ。」

佐々木は一気に喋り終え、少し長めの呼吸をして、そして興味深そうな視線を俺の隣に向けた。

「ところで、君の横に居られる美しい女性は誰なんだい?紹介してもらえると有難いのだが。
もしかしたら、遅れて到着した理由は彼女に起因するのかな?」

「ああ、こいつは俺の・・・・・・」
と俺が言いかけた途中で、
「親友よ!」
ハルヒが勝手に解答を出した。

672:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 07:45:12 C9M3D0Aw
連投すいません。
なんか修正前の文を載せてしまったようで、改正が甘い点や行足らずは見逃してー。

673:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 10:49:57 itgdurHT
SOS団団長・佐々木様ハァハァ

毎日休まず下校時間まで参加いたします

674:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 10:57:22 itgdurHT
保管庫のカテゴリー見てワロタ

おっぱいネタの多さにw

675:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 11:37:39 kgT1kRfV
佐々木はキョンの嫁。ハルヒはキョンの恋人。長門はキョンの愛人。
それぞれの性格などを考慮した場合これがベストだと思った。

676:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 11:43:39 qE1XUBjw
みくるはどこ行った。

677:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 11:45:53 yq03njrp
っ ペット

678:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 11:46:03 kgT1kRfV
巨乳? 特盛り? なんのことですか?

679:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 12:42:54 S87jMkvB
みくるはキョンの初めてのひt

680:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 12:48:46 1tRJ4bxL
●<僕を忘れては困りますね

681:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 13:27:51 5sGWGVED
>>658-663
く、上手いな。GJだぜい。
キョンが過去に跳ぶ理由とか、リアリティがあっていいと思った。
あまりの出来の良さと、
今まで一つだった七夕SSが増えてしまうことに嫉妬な俺、小せぇなぁorz

682:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 13:32:46 pOUb2wnH
保管庫のURL見てて思ったんだが……sasaki_ss
佐々kissだな

いや、それだけなんだが

683:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 13:38:30 4ScpG5V5
佐々木と登場させるSSを書くにあたって個人的に一番困るのが
彼女の博識さというか雑学に関する描写だと感じる
いかに理論的に、しかし堅苦しくなく、かつ佐々木かわいいよ佐々木
にするかが一番難解だ
ちなみに中学時代のクラスメート(というか友人)は
岡本さん・須藤、国木田……あと誰かいたっけ?

684:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 13:39:40 C9M3D0Aw
>>683
中河

685:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 14:03:48 kgT1kRfV
ささきっすきっス HEY!HET!HEY!HEY!

686:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 15:03:54 p4/G0Fb7
いきなりのハイテンションワロタ

687:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 15:20:44 eHnbPGwm
( ゚∀゚)o彡゜佐々木ササッキー佐々KISS
ササニシキ!

688:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 15:39:42 GNyvwVVP
佐々木!!!はやくきてくれーーっ!!

689:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 15:55:20 dkTyrvdR
>>688
そっちの佐々木は結構です

690:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 16:11:16 urQoVqF9
「佐々」で切ると元警察官僚で評論家の佐々淳行を思い浮かべるから勘弁してくれ。w

691:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 16:25:03 /HyX3BS7
「佐々」って聞いたらミントの僕らを思い出す訳だが

692:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 17:46:32 qCZhS9KO
>>683
キョンがいない…

693:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 17:46:56 ou7tbv3C
ハルヒや長門のSSに比べて佐々木SSの難易度って高いよな・・
情報が少ないから想像を広げれるけど論的な表現が難しすぐる
知的なお前らに惚れた

694:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 17:48:37 mbMuoNgV
>>693
そこで女友達と話す佐々木さんを(ry

695:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 18:03:20 bBNhYslV
佐々木ってゴキブリみたいな害虫苦手そうだな

696:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 18:04:49 PHUtFC+I
何で佐々のオッサンが出てくるんだよw

697:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 18:06:13 pJ6AxkQM
>>693
驚愕が出ればまた広がるさw
それまで待て

698:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 18:08:15 urQoVqF9
>>696

>>682が悪い(棒

699:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 18:12:22 qCZhS9KO
>>695
ゴキが出たらきっと佐々木らしからぬ悲鳴をあげてキョンに抱きつくな

700:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 18:15:47 4P6rUJ1B
たぶん、焦って女口調になるだろうと予想。

701:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 18:34:21 4PiVK08x
佐崎って大魔神?

702:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 18:41:34 iDQabxoH
ゴキブリが苦手で遠回しにキョンに退治してくれるように頼む佐々木

703:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 18:47:27 z++2f59N
僕は特別昆虫を忌み嫌っている訳では…
とか何とかいいつつ後ずさりする佐々木

704:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 18:53:43 QBRzp0kc
いやあっとかきゃんっなんて悲鳴が聞けたら新鮮だよな

705:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 18:54:13 iD5ZnJ7+
うぐぅ・・・怖いよぉ

706:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 19:01:50 kgT1kRfV
キョン、助けて……

707:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 19:04:14 /HyX3BS7
色々講釈垂れながらジリジリ後ずさりするのか
焦って女口調でビビりまくるのか
どっちだと思う?

708:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 19:06:31 Ftj28blV
>>707
Gとの遭遇時は前者
Gが飛んだら後者
その合わせ技で一本だ!

709:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 19:07:56 mbMuoNgV
>>707
理屈っぽいことを言いながらキョンの後ろに隠れるに100ペソ

710:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 19:08:30 z++2f59N
という事でだ、誰かss書いてちょんまげ

711:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 19:14:00 qCZhS9KO
>>708
いいなw
ゴキが出て言動が支離滅裂する佐々木もゴキが飛んできて悲鳴をあげる佐々木を想像したら萌える

712:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 19:37:19 Ftj28blV
佐々キョン バカップル
『Gとの遭遇』

「キョン、キミは知っているかい?ゴキブリというのは元来はゴキカブリと呼ばれていたようだ。
さらには人類が生まれる遥か昔から存在していると言う。そんな彼らの生命力は凄まじいものだ。
一匹いるのであればソコには百匹は存在すると言うが、それは彼らの生命力の賜物なのだろうね。
尊い彼らの命を僕は奪うことは出来ない…しかし駆逐しなければキミの学習へ影響が出るだろう?
そんな二律背反に立たされているキミと僕。さあ、どうするべきだろうね」

くっくっと自嘲するように笑う佐々木。

「どうでもいいがいつまで座っているつもりだ?ヤツに襲われるぞ」

ヤツはもう臨戦態勢だ。なのに佐々木は動こうともしない。どうしたものかと佐々木の顔をのぞき込むと青ざめていた。

「…僕の腰が抜けて…た、立てなく…なっちゃった…」

そんな事を言ってもGは止まらないぞ。

ほら、飛んだ。

「う、うひゃぁぁ!」

…なんて素っ頓狂な悲鳴を上げるんだ、お前は。

「き、キョン!たすけて!お願い!僕を守って!」

…やれやれ

俺はそんな事を呟きながら佐々木を抱き上げると、首筋に思い切り抱きつかれた。

まあ、Gのおかげで佐々木の新たな一面が垣間見えた事だしな。

「キョン…ありがとう…大好き…」

「ああ…俺もだ」

その後の俺たちがどうなったかは秘密だ。

一晩中…佐々木に抱きつかれていたために学習がはかどらなかった、とだけ言っておこう。


713:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 19:39:37 Ftj28blV
こうですか?わかりません(><)

714:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 19:43:54 bBNhYslV
分かりませんとか言いながらとんでもないのを投下しやがってw
佐々木かわいいよ佐々木!
てか二人とも何やってるんだw

715:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 19:55:29 qCZhS9KO
>>712
ちょw腰抜かしたのかw
かわいいな~

716:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 19:58:06 fLauo65T
結局ささっきーは二回腰を抜かすわけだな(謎

717:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 19:59:28 Ftj28blV
>>716
誰が上手いこと言(ry

718:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 20:04:46 kgT1kRfV
僕の初めてを捧げたんだ。
責任を取ってもらうよ。

719:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 20:10:00 ujVcpqA9
はじめて~の~

720:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 20:15:13 eHnbPGwm
>>712
仕事早いな
俺なんて2~3レス分を書き上げるのにほぼ半日かかるのに
GJ!

721:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 20:20:20 z++2f59N
>>718
本命のバレンタインチョコの事か、似たような事小学生の時言われたな…

722:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 20:20:46 2ELWwiuq
>>636マダー?
エロパロにも来てない

723:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 20:25:44 qCZhS9KO
>>721
この鈍感さはまちがいなくフラクラKだな!
キョン乙!!

724:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 20:26:50 vVL7euGn
>一晩中…佐々木に抱きつかれていたために学習がはかどらなかった、とだけ言っておこう。

「あのね、あたしもキョンくんにずっとだきついていたんだよ」

「あぁそうだったね。今日ほどキョンに妹がいると言うことを憎たらしく思ったことはないよ。くっくっくっ…」

なんだ佐々木。なにを言いたいんだその目は。
妹の奴を部屋に入れたのは俺だが、そこまで睨まれる理由が俺には判らないぞ

725:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 20:28:13 4P6rUJ1B
佐々木は怪談も苦手と妄想。

726:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 20:29:46 7X2w7pwC
いや、非科学的なことだとかなり冷めた目で見てそうなのだが。
あれはあれで番組の構成などを楽しむものだ云々。

727:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 20:33:12 KO+kEckv
ゴキブリss投稿してだいじょぶなムード?
って、もうやってる職人さんがいるのか…

728:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 20:35:51 dqbeJGY/

 クトゥルー神話で知られるホラー作家ラヴクラフトは、
 神話など信じない唯物論者だったのさ
 だからこそ 説明のできない恐怖に興味があったんだ
       , -‐- 、.     ,. ‐-ー- 、
      ,'. /  ト、 ヽ.   ノ /    ヽ
.      i. ((从ソ 从〉  ノハハハハハ !
      l. (|┳ ┳i!l   .!|─ ─ ,iリ)!
.     ハNiヘ  ー ノハ!.  ’ 、 - ,ノル´ ……つまり お前も、
.        {iつ旦O    O旦と'!}   怖いもんは怖いんだな
.       とくュュュュ〉    〈_.〈__,i'つ

729:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 20:36:15 ujVcpqA9
>>727
おかまいなくどーぞ

730:黒い安息日・1
07/05/08 20:36:29 KO+kEckv
「お邪魔します」
「ん、じゃあその辺に座っててくれ。下から飲み物もって来る」
今入ってきたばかりのドアから出て行く彼を微笑で見送ると、私はいつものようにベッドの端、足を向けるほうに浅く腰掛けた。
三度跨げば我が家も同然、と誰かが言っていたが、このキョンという風変わりな渾名を持つ友人の部屋は
ある側面では私の自室などより余程リラクゼーションに適した場所であった。
異性の友人をほとんど持たない、というよりそもそも交友関係がひどく狭い私にとって、同級生とはいえ
ここまで気の置けない信頼関係を築けたというのは客観的に見てもなかなか信じられないことではある。
しかもまだ世の中の事も良く知らない子供だとは言え、一応男と女だ。
それがこんな狭い部屋の中に膝つき合わせてなにをするかというと、これが何の変哲もない受験勉強だというのだから笑ってしまう。
私は苦笑を、彼が膨れ顔に答えて見せるときの表情をこっそりと浮かべた。まったく、いまさらだが風変わりなのが渾名だけではないとはね。
下でキョンと彼のご母堂が話しているのがきこえる。買い物に行くから留守番を頼む、小学生じゃないんだから少しは息子を信じろ、
などと話の内容が事細かに鼓膜を震わせるのを受けて、私は体の両側から石壁が迫ってくるような居心地の悪さを感じた。
確かに一般的中流家庭の家屋に高度な遮音機構など望むべくもないが、あの音量でこれだけクリアに聞こえるのでは、
普段の彼とのやり取りは御家族にも丸聞こえだったという事ではないか。
…別に聞かれて困るような話などした覚えはないが、それでも顔が段々と熱くなってくる。いや、なにを不安に思う事がある。
キョンが気づいてないんだ、他の人間に気取られるわけがない。
いや、でもこう言っては悪いけどキョンはこの手の感情の機微には極めて疎い、だから彼が気づかなくてもご家族は気づいているかも、
いやそもそもキョンにしたって実は感づいているのだがそれを巧妙に韜晦して……
このままでは思考の迷宮に入ってしまいそうだったのでそこで一旦意識をクリンナップする事にした。
なんとなく脱力して、ベッドに倒れこむ。なに、かまうものか。これだけ音の抜けがいい家だ、階段を上がってくる音なんかすぐにわかる。
そう思うとますます体に力がはいらなくなってしまった。冷えたシーツが火照った顔にここちよい。
火が出るとまでは行かないがパンケーキぐらいは焼けそうなくらいにはなっていた顔の熱をシーツがゆっくりと奪っていく感覚に満足して、ゆっくりと体に力を込める。
男の子のベッドをリハビリテーション代わりにするなんて、私もずいぶんダメな人間になったものだ。
ようやく先ほどと同じ高さまで戻った視界の片隅に、妙なものが写った。
私の座っているベッドと、その向かいにある学習机。その間に、何か黒いものが落ちているのだ。
なんだろう。
目を凝らし、ゆっくりと顔を近づけた私に向かって、
その物体は、
…翔んだ。


731:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 20:36:41 qCZhS9KO
>>727
どうぞ~

732:黒い安息日・2
07/05/08 20:38:33 KO+kEckv
しかし、うちのお袋も他に何か言う事ないのかね。
一緒の学校に行けないって、そもそも俺と佐々木の志望校は違うし、それにおそらくお袋が勘ぐっているであろうことも俺たちの間にはないしな。
まったくなんというか、男と女がいればすぐに惚れた晴れたの話になると思ってるなんて、ワイドショーの見すぎと違うかね。
二人分の飲み物と菓子を乗せたお盆を手に憤然と階段を登る俺の耳を、絶叫が貫いた。



「きゃあああぁぁぁぁぁああああっ!?」
とっさに首をひねって避けると、その黒い物体は羽音とともに頭上を通り過ぎていった。
あわてて机側に飛びのいて見ると、さっきまで私が顔をうずめていたあたりを何かが這い回っている。
「ひっ…」
とてもじゃないけどキョンには聞かせられないような情けない悲鳴が漏れる。って、今はそんな事を気にしている場合じゃないって!
それは、その黒い悪魔(カヤキス)は、伝染病のベクターである事で、そして何よりその造形で忌み嫌われている
俗にゴキブリという家庭内害虫の一種であった。
またしてもこちらに向かってくるブツを避けながら、私はいつもの自分を取り戻そうと必死だった。
だってそうでしょ?虫をみてキャーキャー甲高い声を上げて逃げ回るなんて、彼が見たらどう思う?
彼にとって少しでも退屈な現実から外れているというだけで傍にいるこの私が、こんな取り乱したところを見たらどう思う?
そう思うと、少し心が静まった。そう、その調子。いつもの冷静な自分を、愛を取り戻せ。YOUはSHOCK。天才のこのおれがなぜ。うわらば。
ああああああああ全然冷静になってないじゃんなにやってんの!左舷!弾幕薄いぞ!
「佐々木!? どうした、なにがあった!?」
うわ、最悪。キョン、キミはどうしてそう間が悪いの。
すかさずドアを背で押して、進入を阻む。冗談じゃない、虫なんかで半泣きになった顔なんかみっともなくて見せられない。
「ちょ、ちょっと待って! 今ドアの前にまきビシばら撒いちゃったから!」
「はあ? ま、まきびしだぁ?」
うん、普通おかしいと思うよね。ごもっとも。ってか何でこんな言い訳しか出で来ないわけ?私はいつからくの一になったんだろう。
「そ、そうじゃなくて画鋲!画鋲撒いちゃったから危ないの!」
「俺の部屋に画鋲なんてあったかなぁ……って、おい佐々木、
画鋲がドアの前にあるって言うけどその割にお前の声がえらいドアの近くから聞こえるんだが?」
キョン、ああキョン、数学もそれぐらい頭がまわってくれると、お姉さんとってもうれしいな。同い年だけど。
「と、とにかくはいっちゃだめーーーーーーーーーーっ!!!」


733:黒い安息日・ラスト
07/05/08 20:39:34 KO+kEckv
その後といえば、もう散々なものだった。
一応は私が参考書を取ろうとして本棚をひっくり返して気が動転していた、という事で決着を見たが、
彼はいまいち合点のいかない様子だった。とはいっても、『本当に取ろうとしたのは参考書だったのか?』なんて、
間違った方向に勘ぐっている模様だ。私が彼に対するほどに、彼からの信頼はなかったってことなのだろうか。泣きたくなった。
しかし、なんというひどい日だったのだろう。あんな醜態を見せた上に、家捜しの汚名まで被ってしまった。
将来のリングネームはエクスプローラー佐々木かな、などと自虐に浸っていると、傍らのフラグクラッシャーは苦笑を浮かべて、
「ま、やっぱり人の部屋ってのはものめずらしいもんだからな。
それに、まさか本気でお前が家捜しするようなやつだなんておもっちゃいねえよ」
なんて言ってのけた。どうしてこうキミは人の気持ちを揺さぶるのが好きかね。
「ねえ、キョン」
「ん?」
「これでいて結構、僕はうかつでそそっかしいところもあるみたいだ」
「らしいな」彼が笑う。
「だから、これからも色々と失敗はしてしまうとおもう。
そのとき、キミは僕の手助けをしてくれるかい?」

そう、私の、傍に、いっしょにいてくれる?

「当たり前だろ」
窓から差し込む夕日がまぶしいのか、目を細めながら。
「部屋の片付けは、俺の得意とするところだぜ」
やっぱり見当違いの笑顔を、私に向けた。


END


734:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 20:40:27 OwExlqvD
結局>>644は投下しなかったんだろうか・・・

>>727
ヤッチマイナー!



735:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 20:41:08 KO+kEckv
以上です~一周遅れの話題ですいませんでした。
ってか、生まれて初めて書いたssがゴキブリネタって…

736:名無しさん@お腹いっぱい
07/05/08 20:43:14 46SFCA90
>>733
流石FKKだ。乙です。

737:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 20:44:14 7X2w7pwC
>>733
 結 局 折 る の か !

738:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 20:44:33 7AesrJAJ
佐々木はタラール族か

739:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 20:49:38 qCZhS9KO
>>733
ササッキー取り乱しすぎだよササッキーw
フラクラKもとんだ勘違いしてるなw
GJ!おもしろかったよ~

740:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 20:54:23 h0vBzvHl
>>735
佐々木パニクり加減がかわい過ぎだよ佐々木
しかし何故佐々木がここまでG嫌いなのか。それがわからない。

741:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 20:55:41 bBNhYslV
>>733
GJ!
こんな斬新なササッキーは初めて見たw
よっぽどパニクってたんだなww

742:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:06:46 yq03njrp
>>740
特大Gを見つけて「これは興味深い」などと観察していたら
唐突に飛んできて顔にへばりつかれたんじゃね?

743:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:08:25 pOUb2wnH
>>740
むしろGを嫌うのに理由が要るのかと小(ry

744:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:08:45 ZRHd2GBI
かぁいぃな

745:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:09:39 dqbeJGY/

    ワ ワ ワタシ ニ ダッテ
     ニガテ ナ モノ クライ…
        , -‐- 、  っ      ,. ‐-ー- 、
       ,'. /  ト、 ヽ   っ   ノ /    ヽ
.      i. ((从ソ.u从〉  .   ノハハハハハ !
      l. (|┳ <i!l       .!|─ ─ ,iリ)! ジ ガ デテルゾ…
.      ハOヘ '' (フ''ノO      ’ 、 - ,ノル´
.      ○ニ)"ー'゙iニ○       〈}゙|†'|´{>―[囲|
       O./ュュュュゝO        .i´T `i
        〈__八_,〉    ⊂∋  〈_,八__〉

746:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:12:03 eM4GKJ3t
>>745
佐々木かわいいよ佐々木

747:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:12:22 yq03njrp
>>745
半分真顔って演技か、演技なのか!

748:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:18:05 KO+kEckv
>>736-744
え~と、つたない文ながら、それなりに楽しんでいただけたようで何よりです。
次はもっと修行を積んできます。
>>738
アバロンのゴキが一匹減ったな。さて、ssでも書くか。
>>745
かぁいいよ~

749:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:18:30 /HyX3BS7
>>735
お前GJ過ぎるぞww
佐々木かわい杉だよ佐々木

750:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:22:07 h0vBzvHl
>>742-743
「カヤキス これがわからない」あたりでググってくれると嬉しい・・
マイナーネタで申し訳ない

751:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:24:48 Ftj28blV
>>735
GJ!
俺もゴキSS投下したけど、リアルに見たときないので恐怖感がイマイチ解らないんだ。
だがようやくわかったよ。佐々木がこれほどまでに取り乱す程ゴキはヤバいんだな?
それにしても…
佐々木かわいいよ佐々木
>>745
かわいいな~!


752:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:25:47 KO+kEckv
ロマサガネタを混ぜたのは、今2をやっててダンターグにフルボッコにされたからです。
確かにわかりづらいネタだなぁ。タイトルもだけど。

753:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:26:58 Ftj28blV
佐々キョン バカップル
『井戸の中の女』

夜。久しぶりに泊まりに来た佐々木と談笑していたのだが、うるさい妹が

「キョンくん!これ一緒に観よ~」

と、一枚のDVDを差し出してきた。ディスクの表面を確認すると『リング』と記されていたので、ああ、これが有名な『指輪物語』か…と結論付けていた。

「なあ、佐々木。これから妹と一緒に『ロード・オブ・ザ・リング』観てもいいか?」

「ああ、構わないよ。僕としても将来の妹と交流を深めるのも吝かではないさ」

そうか、良かったな妹よ。姉が出来るらしいぞ。

「うん!お姉ちゃん!よろしくね~」

できれば俺の事もお兄ちゃんと呼んで欲しいがな。

・・・

俺が想像していた指輪物語は確か洋画だったはずだ。
この映画は純度百パーセントの邦画であり、『呪いのビデオ』や『貞子』が物語のキーワードのようだ。
妹は始めから俺の膝の上にいたが、物語が進むにつれ佐々木が段々俺に近付いて来ており、気付けば俺の片手に縋りついていた。

「お前どうしたんだ」

「いや、何でもないさ…ああ…何でもない」

…そうか。



754:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:28:16 OwExlqvD
>>735
GJだぜ

佐々木のエロネタ書こうかと思ったがここは健全な板という事を思い出した。
しかし当然ながら佐々木派閥専用の此処ほどエロパロでは佐々木ファンは多くないのではと思うと
どうせ佐々木SSを書くなら佐々木派閥のみんなに楽しいんで欲しいと思う
それになによりエロ描写がマジ難しい……
上の方でも描写に関してどこまでがセーフでどこからがアウトなのかが曖昧だしな……
直接的な描写は勿論、淫語、そしくはそれに類する単語、効果音あぁ……難しい

755:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:28:44 Ftj28blV
・・・
どれくらい経っただろうか。
偶に目を瞑りたくなるような場面もあったが、生憎にも俺は過去に殺人鬼に遭遇した事から免疫ができてるのさ。
そして妹は俺の膝の上ですっかり寝ていた。
DVDを観始めたのが夜の1時からだったしな。夏休みだからといって調子に乗っていたみたいだ。

「すまん、佐々木。妹を寝せてくる」

「ああ、了解した。大至急、可及的、速やかに戻って来てもらえると助かるよ…」

「わかった、すぐに戻るから待っていてくれ」

部屋から出る直前に見たテレビには井戸が映っていた…

・・・
妹を寝かせ、我が部屋の扉をいざ開けようとした時、俺の耳には
「きゃぁぁぁぁあああっ!」
なんて、耳を覆いたくなる程の叫び声が届いた訳だが…

「佐々木!どうした!」

「き、キョン…キョン!」

うわぁっ!
部屋に飛び込むと佐々木に抱きつかれた。
いったいどうしたんだ、と問うとテレビを指さす。なるほどな、これが貞子か。

「わかった、わかったから落ち着け!」

「う、うん…キョン…キョン…」

佐々木を抱き上げベッドまで運び、腰を下ろさせる。

「大丈夫か?」

「ああ…大丈夫だよ…キョン、礼を言おう。ありがとう」



756:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:30:16 Ftj28blV
「映画は止めるぞ。それに夜も遅い。もう寝よう」

「ああ…」

テレビの電源を落とし、俺は横になった。だが佐々木は一向に動く気配がない。

「いつまでそうしてるんだ?お前は一晩中起きてるつもりかよ」

「違う…違うんだよ…腰が抜けて…」

…すまん。
再び佐々木を抱き上げ横にさせた。
電灯を消そうとしたら止められた。

「明るければキミの脳が活性化され学習に効果的だ」

だそうだ。

・・・

「なあキョン。今夜僕を抱き締めたまま就寝を迎えてくれないか?」

「…なんでだ?」

「いいじゃないか、滅多にない僕からのお願いだろう?」

…しょうがないな。

その後、抱き締めているうちにムラムラしてきた俺のせいで佐々木が再び腰を抜かしたのは言うまでもない。

END


757:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:31:04 iD5ZnJ7+
>>756
ラストさえ無ければ
しかしGJ

758:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:33:00 Ftj28blV
>>725のコメントを受けて、>>716のネタを盛り込み、予告もクソも何も無しに唐突に投下しました…
スレの流れ読めなくて本当にすまんね。俺にはフラクラの資質があるようだ…orz

759:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:33:24 qCZhS9KO
>>756
またやっちゃったのかw
このシリーズ結構好きだ

760:名無しさん@お腹いっぱい
07/05/08 21:34:01 46SFCA90
>>756
キョンウラヤマシス

761:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:34:52 /HyX3BS7
>>758
いやGJだ
最後のは、まぁ気にすんなw
佐々木かわいいよ佐々木

762:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:37:43 ZRHd2GBI
住人の妄想が広がってるんだろうね

763:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:38:50 KO+kEckv
>>758
GJなんだぜ!!!
てか、「久しぶりに」「止まりに来た」って
どういうことか詳しく聞こうか

764:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:40:45 qCZhS9KO
>>754
まぁ俺としてはあっちに投下されても佐々木好きは覗きにいくからいいと思うよw
まぁお前の好きなようにしてくれ
とりあえず佐々木かわいいよ佐々木と言っとこうかな

765:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:43:06 Ftj28blV
>>763
世の中にはギブアンドテイクという言葉があるだろう?
『同情するなら金をくれ!』

『妄想するならネタを出せ!』

お願いします…


766:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:45:26 KO+kEckv
>>754
直接的な、極度に性的な描写がなければいいと思うけど、
線引きが難しいよな~…
極度なエロ・グロネタは好まない人も少なくないだろうし(自分も含め)、どうなんだろ。
キョンのベッドのにおいを嗅ぐイヤンな佐々木を書いてしまった人間には何もこれ以上いえません


767:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:47:39 7X2w7pwC
>>754
すでにエロパロに投下されてる佐々木SSもある。
どんと来い。

768:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:50:53 Ftj28blV
>>766
おっぱいはセーフみたいだぜ!

769:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 21:55:19 eHnbPGwm
俺が読んだエロパロの佐々キョンは結構鬱だった
最後に佐々木がキョンの記憶を消すというやつ

770:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:00:56 KO+kEckv
バッドエンドかぁ…確かに恋物語なんてのは大抵悲恋だけれども。
ここはほら、ある意味もう悲劇が約束されているササッキーの幸せを妄想しようって言う
輩の集まりだしねw

771:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:04:07 /HyX3BS7
俺も読んだけどなかなかに鬱だった
つか泣きそうになった

772:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:04:35 OwExlqvD
そもそもキョンが佐々木に劣情を催すかという問題もある
佐々木は佐々木でキョンを誘うというイメージが沸かないし……
ことさら喘ぐ佐々木はもっと想像できん……想像するとエロいけどな

773:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:06:29 2ELWwiuq
いや佐々木は誘い受けだろう

774:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:06:41 bBNhYslV
まちがいなく佐々木は誘い受けだよな…
なんかエロいよ佐々木…

775:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:09:55 Ftj28blV
>>774
佐々木はエロくない!セクシーなんだ!…とほざいてみる…
いや、鎖骨とか…太ももとかがさ…

776:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:09:56 KO+kEckv
隠してるんだけど気づいて欲しい、みたいな感じかなあ。
でもそのうち「なんで気づかないんだ!」って相手の鈍さに憤る感じ。

…なんか色々といやな記憶が浮かび上がってきやがったぜ!!orz

777:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:10:10 z++2f59N
>>772
やっぱさ、そういう時は口調が(ry

778:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:13:03 qCZhS9KO
>>772
そうか?
キョンフィルターで語られないが実は二人はことを済ませてるっていうのもありえると思うぞ

779:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:20:11 by8VHnhD
「ねえキョン、そろそろ電気を消してくれないかな…///」
「ああ、わかったよ」

でもって暗転したら最後
インドア派らしく海外文学からの引用等、様々な趣向を凝らしてくる佐々木

「ところで今くらい『僕』ってのやめない?」

780:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:20:19 CTbgd9VG
>>778
それが次巻の驚愕展開なわけですか。

781:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:21:27 bBNhYslV
>>778
ことを済ませてるかは分からないがキスくらいはしたことあるんじゃないかなぁ
キョンも結構キス慣れしてる感じだったし

782:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:22:41 WKTuanjV
エロ風味ぐらいならともかく、分別をつけないとハルヒスレみたいになるぜ。

783:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:22:54 EtSA3tRp
はいSSいきますよ。

784:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:23:04 vVL7euGn
             -‐ '´ ̄ ̄`ヽ
             /         \
         / / / .ィ ./ヽ.Y l .', ヽ     
        ,' ! -/7'Y /|' "´ヽ|. !!i '  やぁキョン知っているかい?
        !  !.ト●    ● ! !ノ、i !   子どもはコウノトリさんが
        ,'' l l l⊃ 、_,、_, ⊂⊃ l丿 !   連れてくるのだよ
        /⌒ヽ!;!l|ヘ       j /⌒i/  
      \ / | l>,、 __, イァ/  /!ノ´  
.        / /| | |___|{ヘ、__∧
       `ヽ<.| |         彡'


785:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:23:38 Ftj28blV
>>778

「ねえ、コトってなんだい?いくら博識の僕でもこのように抽象的な表現までは読み取れないな」
「ほら、この前の晩の事だ。覚えてないのか?」
「…!!」
「わかったか?」
「あ、ああ…でもね、僕があの晩の事を忘れるハズがないだろう?」
あんなに衝撃的な痛みはね…くっくっ…


786:1
07/05/08 22:23:42 EtSA3tRp
8月はもう暦の上では秋、で残暑というらしい。
しかしながら、この浴びせかけられるような蝉の声、目の前の揺らぐ景色。
これぞまさしく俺の愛する夏の風物詩である。
まさしく今夏真っ盛りなのだ。
そして、俺は今まさしく灼熱のアスファルトの上を予備校目指して走っているわけである。
予備校は夏季営業期間ということで、昼過ぎに始まり夕方5時に終わるスケジュールになっている。
真夏の真昼間の炎天下を自転車で走るのは酷なものだが、塾が普段よりも早く終わるとなぜかお徳な感じがするから人間不思議なものだ。
で、そんな塾へと向かう道。
普段は、荷台にもう一人乗せているのだが、今は夏休み。
学校であいつの顔をみることもなく、ゆえに一緒に予備校へ行くこともない。
話し相手のいない道のりは普段より少し長く感じる。
その日は、そんな夏休みの一日だった。

授業開始の5分前に教室につくのは、ついついだらけてしまう夏休みだからということにしておこう。
階段を上がって教室へ向かおうとしたとき、教室の前で壁を背に立つ級友の姿が俺の視界に入った。
「よぉ、佐々木。」
と、片手を挙げて軽く挨拶してやる。
すると、そいつは壁から背を離し、俺のほうへ向き直りながら、
「やぁ、キョン。」
と片手を挙げて短い挨拶をした。
「教室の外で何をやっているんだ?誰かを待っているのか?」
「んー、そうだね。まぁ、正確に言うと誰かを待っていた、となるかな。」
一瞬、頭の中でクエスチョンマークが踊る。
目の前の佐々木はカードを選ばそうとしているマジシャンのような笑顔で俺を見ている。
そして、くっくっ、と笑い声を上げながら、
「つまり、僕の待ち人は今目の前にいるということだよ。」
相変わらず、ややこしい話をする奴だな。
―っといけね。
もうすぐ授業が始まる。
時間がない、話なら手短に頼むぜ。
「誰のせいで時間がないと思っているんだい?」
はい、俺のせいです。
「僕が取り急ぎ確認したいのは、今日の夕方、君のスケジュールは空いているかどうか、ということだ。」

787:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:23:54 ujVcpqA9
>>783
よっしゃ!こいッ!!

788:2
07/05/08 22:24:39 EtSA3tRp
当然のことながら、この一介の中学3年男子の夏休みに一丁前な予定など入っているわけもなく、その日の夕方は見事に空いていた。
俺がその旨を佐々木に告げると、あいつは、わかった、詳しい話は授業が終わってから、と言って、教室へ入っていった。
なんか質問というより確認に近い感じだったが、まぁいいや。

午後5時、時間通りに授業が終わる。
佐々木のほうへ歩いていこうとすると、佐々木は左手の親指で教室のドアを指差した。
どうやら、外で待っていてくれという意味らしい。
俺は鞄を担ぎなおして、塾の外へ出た。
塾から出てくる学生の顔を眺めながら時間をつぶしていると、5分ほどして佐々木が出てきた。
「やぁ、キョン。少し待たせてしまったね。」
「いや、別にいいよ。んで、用事ってなんだ?」
一瞬佐々木が唇を親指で押さえて言いよどむようなしぐさをした。
珍しい、こいつがそんな動作をするなんて。
「キョン、僕たちは今年は受験生で受験勉強を最優先しなくてはならない立場とはいえ、息抜きは必要だ。」
お前のその意見には大賛成だ、佐々木。
ただ、自分がそんなにまじめに勉強をしているかと言われると少し疑問だが。
「それに今はせっかくの夏だ。どうせ息抜きをするなら夏の風物詩を楽しむのが一番だと思うのだがね。」
視線をあちらこちらに泳がす佐々木の姿はその日初めて見たね。
普段の人を食ったようなどこか飄々とした感じがしない。
他の学生たちはあらかた帰ってしまったようで、あたりは通勤帰りのサラリーマンばかりだった。
「あぁ、そうだな―」
頭の中で夏の風物詩に考えをめぐらせる。
花火、スイカ、海水浴、盆踊り―
どれもこれも素敵だね。
受験生には縁遠そうな夏の風物詩に思いをはせながら、佐々木の顔へ視線を向ける。
黒いきらきら光る瞳が俺を見ている。
ほんの少しの間をおいて佐々木が口を開いた。

「いっしょに夏祭りに行かないかい?」

789:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:24:52 +A09iqgX
>>779
僕ということによって、キョンへの一線をはみ出さないようにしていたのを
解除することによって佐々木が・・・☆

790:3
07/05/08 22:25:35 EtSA3tRp
なんでも、佐々木の家の近所で地元の夏祭りがあるらしい。
それが今日の夕方で、せっかくだから受験の息抜きがてら行かないか、とのことだった。
ちょうど受験の息抜きがしたかった俺は二つ返事でオーケーした。
普段から息抜きばかりしたがっているだろう、という突っ込みは勘弁していただきたい。
で、それからどうしたかというと―
俺は佐々木の家で、佐々木の部屋の前にいた。

佐々木は荷物を置いておきたいのと、着替えをしたいのでいったん家に戻るがキミはどうする?と尋ねてきた。
本心を言うなら、俺も鞄を家に置いて、身軽に夏祭りを楽しみたかったが、
家に帰ってから再び外へ遊びに行くとなると妹がうるさそうだ。
家には電話で連絡を入れて、そのまま行くことにした。
というわけで、俺は佐々木と一緒に佐々木の家まで向かうことになったわけである。

佐々木の家は、なんか立派な一戸建てだった。
予想通り、というかなんというか。
ガレージとかあるぞ、立派なガレージとか。
と、俺があほみたいに口を開けポケーっとしていると、家の扉を開けた佐々木から声がかかった。
「何をしているんだい、キョン?我が家のセキュリティーホールでも探しているのかな?」
と、振り向きながらいたずらっぽく俺を見ている。
馬鹿野郎、お前道を行く人が聞いたらあらぬ勘違いをしてしまうじゃないか。
ただでさえ、住宅街の真ん中で立ち尽くす男の姿は怪しいのに。
佐々木は喉の奥で笑い声を上げて
「なら、家の中へあがってくれるといい。そんなところに立ち尽くすとあらぬ疑いを掛けられるよ。」
いや、ちょっと待て、それは中にお前のご両親とかがおられるとですな、ちょっといろいろと入りづらく―
「大丈夫。両親は共働きで、今家には僕しかいないよ。」
そんな俺の考えを察したのか、佐々木はそう言った。
しかし、それはそれでやばいような気がするのだが―

791:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:26:12 MA8F7QFc
>>776
ゴメンと言いたくなる記憶がてんこもりだぜ・・・

「今日はキミのご両親も妹さんもいないんだよね」
「ああ。受験生だからって旅行に置いてかれちまったよ。
ところでお前はそろそろ帰らないのか。遅いから自転車で送っていくぜ」
「今夜は帰りたくないな……」
「どうした、親と喧嘩でもしたのか? 俺でよければ相談に乗るぞ」

792:4
07/05/08 22:26:49 EtSA3tRp
というわけで、俺は佐々木の家の中へと入ってきたわけである。
「お邪魔しまーす。」
と誰に対してでもなく、小声で言う。
佐々木は笑ってるんだが、あきれてるんだかよくわからない表情で
「いらっしゃいませ。」
と言った。
家の中は予想に違わず、セレブリティーな雰囲気のするものだった。
リビングに置いてある立派なテーブルとソファなんかいくらするか想像もできんし、
なんかえらい大画面なテレビとか、大砲みたいに立派なスピーカーとか。
もはや、暮らしの水準が家とはまるで違う。
母親をここにつれくれば「佐々木さんと同じ大学にいけないわよ。」なんて戯言をいうこともなくなるだろう。
住む世界が違うんだから。
根っからの貧乏性のせいで落ち着かない。
せめて、テーブルの上に食べかけのポテチの袋なんぞが転がっていれば、それがどれだけ俺の心の支えになってくれることか。
「それじゃあ、キョン。適当にリビングでくつろいで待っていてくれたまえ。」
くつろげるか。
二階への階段を上っている佐々木の後を追いかける。
「あー、悪い佐々木。できればお前の部屋の前で待つとかできないかな。もしも、お前のご両親が帰ってきたときにリビングで鉢合わせると非常にこう、あの、あれでだな―」
このリビングでくつろいでいるところを、佐々木の両親に鉢合わせなんかした日には、もうなんか目も当てられない事態になるのは、目に見えているというかね。
この年で修羅場はまだ結構でございます。
「まぁ、別にかまわないよ。あ、でも一応これだけは言っておくよ―」
そう言って、俺のほうを振り向いた佐々木は両手の人差し指で小さな×を作って
「覗かないでね。」
唇を端をにぃっと吊り上げて、くるりと部屋の中へ入っていった。

793:5
07/05/08 22:27:50 EtSA3tRp
覗く気など毛頭ないが、だからと言って他にやることがあるわけでもなく…
俺は廊下に座り込んで、ぼーっとあごに手を当てている。
当然のことながら、あたりは物音ひとつなく、静かだ。
この家の中に漂うどこか重厚な感じとあいまって少し息苦しい。
「キョン、そこにいるのかい?」
扉越しに佐々木の声が聞こえた。
「あぁ。いるよ。なんだ?」
「いや、なんでもない。」
「そうか。」
そういえば、佐々木の部屋ってどんなんなんだろね。
あいつのことだから、ピンクの女の子女の子した部屋ではあるまい。
シンプルかつ機能的な内装で、小難しい本とかがいっぱいありそうだな―
「ねぇ、キョン―」
「どうしたんだ、佐々木?」
「いや、えーっと、まぁ、すまないね。待ってもらって。」
なんだ?
えらく歯切れが悪い、普段の佐々木らしくないな。
「そんなことなら別にかまない。」
と言いつつ内心、両親が帰ってくるまでに早くして、と思っていたのは内緒だ。
キィ、と短い音を立ててドアが少し開いた。
隙間から佐々木の顔が少し覗いている。
「?」
少し困ったような顔をした佐々木はそれからゆっくりと部屋の扉を開けて出てきた。
手を前に組んで緊張した感じで立っている。
「…どうかな?」
そのときに俺がどんな顔をしていたのかはわからない。
ただ、泉に斧を落としたきこりが妖精を見たときに同じような顔をしていたんじゃないかと思う。
もっとも、俺が見たのは妖精ではなく、浴衣を着た同級生なのだが。

薄紫の帯と白地に蒼い紫陽花の柄の浴衣、は佐々木にどうしようもなく似合っていた。
その姿を見たら、俺が思わずあほみたいに口を開けてしまっていたことも納得してもらえるはずだ。
「…変かい?」
浴衣の袖を手のひらで握りながら、佐々木が不安そうに訊いてくる。
「いや、よく似合っているよ。」
もっと気の利いたせりふを言いたかったところなのだが、
いかんせんついさっきまで思考停止していたため、ありふれた言葉しか口にできなかった。
ここで似合っていないとなどと言える奴には、迷わず眼科か精神科をお勧めする。
佐々木は何も返答はしなかった。
けど、その代わり、二度と見れないであろうあいつのあんな輝くような笑顔を俺に向けていた。

794:6
07/05/08 22:28:35 EtSA3tRp
なんだかんだで時刻はもう6時近かった。
少し、佐々木の部屋を覗いてみたかったのだが、佐々木に追い立てられるように、俺と佐々木は急いで家の外へと向かった。
別に佐々木の両親のご帰宅が怖かったわけではなく、もう祭りがいい頃合だからということだ。
佐々木は手際よく、玄関から下駄を出した。
外に出てみると、改めて自分の格好と佐々木の格好が不釣合いなのがわかる。
「ずいぶん待たせてしまってすまないね、キョン。浴衣の着付けは昨日何回か練習したのだが…」
カラコロと音を立てながら、佐々木が俺の後をゆっくりついてくる。
なるほど完璧な着こなしはそのおかげか。
じゃあ、自転車でひとっ走り行こうか。
自転車を引っ張り出すと、俺はそれにまたがった。
「待ちたまえ、キョン。」
そう言って佐々木がカラコロ音を立てながら、俺のほうへと歩いてくる。
「まったく。キミは浴衣姿で僕に自転車を漕いでみせろというのかね?」
そうあきれ返るような口調で言うが早いか、俺の自転車の荷台に腰を下ろした。
「あぁ、わりぃ。」
「朴念仁という言葉はまさにキミのためにあるようだね。」
そう言って佐々木は右手を俺の腰に回した。
いつもどおりの見慣れた光景だ。
ただ、ほんの少しだけ少し香水の匂いがした。
「いくぜ、佐々木。」
そう言って自転車を漕ぎ始める。
端から見たら俺たちはどんな風に見えるんだろうね。
夕日に染まった町並みはまるで別世界のようで、俺はどこか不思議な場所へ迷い込んだような非日常的な錯覚に陥っていた。
背中に佐々木の額が当たっている感触がする。
今、佐々木はどんな世界を見ているのだろうか。
少し湿気を帯びた風が心地いい。
どこか言葉を忘れてしまったように何も言えない。
背中をくすぐるあいつの髪と、腰に回された細い腕だけがその存在を俺に知らしてくれていた。

しばらく走っていると家族連れや中学生らしき集団を目にする機会が多くなってきた。
そして、縁日の屋台が見えてくるころ、日の光はもうずいぶん弱まっていた。
「たそがれ、か。たそがれる、という言葉があるように、
 この闇と光の狭間は一瞬だけ別世界に迷い込んでしまったみたいだね。」
後ろのあいつがそう語りかける。
お前ほどたそがれるって言葉が似合うやつはそうはいねーよ。
「それはどういう意味だい?」
そう言って喉の奥で笑い声を上げた。

795:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:28:38 +A09iqgX
>>792
おらワクワクしてきたぞ

796:7
07/05/08 22:29:15 EtSA3tRp
自転車を適当な場所に止めて佐々木を降ろす。
時刻はもう7時前か。
昼飯を食ってから、何も食っていなかったので腹が減った。
「とりあえず、佐々木。何か食いもんを買おう。」
自転車から降りて下駄を履きなおしている佐々木にそう声をかける。
「あぁ、そうだね。」
佐々木はそう素っ気のない返事を返した。
歩きはじめるとすぐにその佐々木の素っ気無さの意味がわかった。
慣れない下駄で砂利道を歩いているせいで、あいつはこけないようにするだけで精一杯だった。
下を必死に見ながら歩いている姿はまるで綱渡りだ。
おっと―、そう言ってバランスを崩した佐々木の肩を支えてやる。
「すまない、キョン。やはり普段慣れないことはするものではないな。」
そう言って俺の顔を見上げて苦笑いをする。
「あぶなっかしいな。」
佐々木の右側に回って左腕を少し上げる。
「俺の腕につかまって歩くといいだろ。」
「えっ」、たぶんあいつの心の声が聞こえたら、そう言っていたに違いない。
そんな驚いた顔をして、大きな目をより大きく見開いて俺の顔を見た。
そして下をうつむくと左手で浴衣の襟をつかみながら
「これくらいで大丈夫だよ―」
と右手で俺の左手を握った。
佐々木の手は小さくてやわらかかった。
その小さな手を壊れないように、俺は力強く握っていた。

それから屋台で焼きそばを買った。
佐々木は普段の饒舌さもどこへやら、口数は少ない。
ただ、俺の手を離すことはない。
そして
「キョン、少し行きたい場所があるんだ。」
と、立ち止まって俺の左手を引きながら言った。

797:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:29:41 z++2f59N
>>775
格好からしてガーターベルト似合いそう

798:8
07/05/08 22:32:04 EtSA3tRp
なんでも、佐々木の話によるとこの夏祭りでは7時半から花火が上がるらしい。
佐々木が時間を気にしていたのはそのためだった。
その花火の絶景ポイントがあるらしいので、そこへ行こう、とのことだった。
と、いうわけで二人で祭りで用意されたベンチに座って焼きそばをかきこんで、その場所へ向かうこととなった。

その場所は神社の境内の脇にある生垣だった。
縁日と少し離れたその場所には人気は少なく、生垣を背にすると、あれだけいる祭り客がまったく視界には入らない不思議な場所だった。
「実は、この場所は花火がきれいに見えるポイントからは少しずれているんだ。
 だけれども、そのおかげで他の祭り客に邪魔されることなく、花火を楽しめるんだ。」
おそらく、学校の試験で満点をとったときでも見せないような得意な顔で佐々木は俺を見ていた。
「なるほど―」
そう俺が言ったとき、最初の花火が上がった。
確かに佐々木の言うとおり、花火の打ち上げ場所からは少し距離があるせいで、絶景ポイントとは言いがたい感じだった。
しかし、花火がまるで俺たち二人のために上がっているような感覚は、また格別のものだ。
「まるで夢見たいだろう。」
遠くの花火を見つめながら佐々木がそう語りかける。
光のあと、時間を置いて響き渡る爆発音が聞こえる。
「僕はこの花火を写真で撮ろうとする人には賛成できない。
 ましてやそれが携帯電話のカメラ機能なんていうならなおさらね。
 花火は一瞬だけ輝いて、そして消えてしまうものなんだ。
 それを、記録して残したいなんてあさましい人間のエゴだよ。」
「そうだな。」
「過ぎ去っていく時間の一瞬だけを切り取って、それを永遠に保存することなんてできない。
 そんなものを信じ、すがろうとする人間の浅ましさはまさに精神病だね。
 変わっていく世界のほんの一瞬だけが永遠に続いていくなんて、愚かしいにもほどがあるよ。」
そして、佐々木の肩が俺に触れた。
「だから、僕はこの一瞬を焼き付けているんだ。
 もう二度とは来ないこの一瞬を―」
遠くを見つめる佐々木の目には何が映っているのだろうか。
花火?それとももっと別の何か―
でも、佐々木よ―
「確かに何もかも変わっていくけれども、できる限り『変わらないように努力すること』ならできるぜ。」
一瞬あっけにとられたような色が佐々木の顔に浮かんだ。
そして、聞きなれたあの笑い声を上げながらあいつはこう言った。
「キミらしいね。
 なら、キョン。お願いだ。
 出来る限りでいい、キミは変わらないでいてくれよ―」
そして、あいつはそれから
「―のままで。」
と言ったのだが、その声は花火の音にかき消されて俺には聞きとることは出来なかった。

『夢花火』

799:798
07/05/08 22:32:48 EtSA3tRp
はい、これがもろにかぶりまくっている夏祭りネタSSでございます。

800:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:33:44 vVL7euGn
良い感じに情景が浮かんだよ GJ

801:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:34:25 +A09iqgX
>>799
心に響いたぜ!
心からGJ!!

802:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:36:36 qCZhS9KO
GJ!
佐々キョンはキョンみくと似た切なさがあるよな…

803:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:36:40 MA8F7QFc
>>799
すごく良かったぜGJ!!

804:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:38:39 OwExlqvD
>>799
>隙間から佐々木の顔が少し覗いている。
>「?」
>少し困ったような顔をした佐々木はそれからゆっくりと部屋の扉を開けて出てきた。
隙間から恥ずかしがりながらピョコンッと顔を覗かせてる佐々木の姿を妄想してのたうち回ってる
GJ!

805:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:38:51 KO+kEckv
約束されてる別れって切ない…
蝶・GJ

806:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:40:23 by8VHnhD
>浴衣の着付けは昨日何回か練習したのだが…」

佐々木かわいいよ佐々木

807:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:40:43 J/hBUh5S
>>792
あー、これ反則技だよな
指で小さく×なんて反則技だよなああああああ?
誘ってるよ
それ誘ってるんだろおおおおお?

808:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:41:18 +A09iqgX
>>806
all for Kyonですな

809:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:47:33 bBNhYslV
>>799
いいなぁ、こういう話

>―のままで
これに入る言葉が伝わってきてそれがまた切ないなぁ…
やっぱり佐々キョンの話は癒されるわ
GJ!

810:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:49:01 h0vBzvHl
>>799GJだよ>>799
ヤバイ可愛過ぎて眩暈がしてきた

811:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:50:45 l/2eHWb+
エロパロ板から転載。まさか・・・



新刊:驚愕で、「普通に驚愕する事が三つ。猛烈に驚愕する一つ」
って谷川の担当編集のセリフの「猛烈な一つ」が判明した模様

URLリンク(d.hatena.ne.jp)  ・・・・・orz

URLリンク(www.kadokawa.co.jp)  6/1 \(^o^)/




812:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:54:03 yq03njrp
>>799
最後の会話がいいなぁ
佐々木のすでに決めている別れと秘めた想い
そのどちらもわかっていないのにあまりにも的確すぎるぜキョン

それはそれとして
着替えシーンでGに遭遇して裸のまま飛び出してくる佐々木なんて妄想をしたのは俺だけでいい

813:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:54:40 bBNhYslV
驚愕見るの怖いから発売が延期されてもなんとも思わないぜw

814:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 22:57:53 +A09iqgX
>>813
スレ違いだけど、シャナの次作の方が、俺はおっかなく思ってるぞ

815:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 23:09:34 /HyX3BS7
佐々木は両手

816:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 23:11:06 /HyX3BS7
スマン、誤送信だ
>>799
佐々木は両手でってのがもうかわい過ぎてかわい過ぎて
とにかくGJ!

817:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 23:12:09 Ftj28blV
>>799
GJぅ!瞼を閉じれば綺麗な情景が脳裏に描かれたよ…


「佐々木、かわいいぞ」
「五月蝿い五月蝿い五月蝿い!」
は、>>814のせいなんだからねっ!

818:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 23:16:04 Yh/bJhlc
>>811
ネタバレが怖くてもうエロパロ行けないじゃない!!!!

今まで集めた佐々木団メンバーの画像見てたら超能力者も結構ツボなデザインだと感じて来た


819:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 23:21:10 +A09iqgX
>>818
佐々木団メンバーの橘→ツインテール
>>817「五月蝿い五月蝿い五月蝿い!」→シャナ
と瞬間的にイメージが沸いたのは俺ばけなはず。

820:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 23:22:48 +A09iqgX
>>819
俺ばけな→俺だけな
失礼orz

821:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 23:24:10 vVL7euGn
>>819の書き込みを見て俺の中で橘の声は釘宮理恵になったw

822:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 23:25:34 z++2f59N
>>818
そうか一樹君か

823:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 23:26:15 /HyX3BS7
>>719
おまいのせいで橘の声が釘宮になったじゃねぇかw

824:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 23:26:22 +A09iqgX
>>821
激しく同意
そして勝手にキャラの方向性が分かった気がするw

825:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 23:27:30 /HyX3BS7
うわorz
>>819

826:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 23:31:04 Ftj28blV
>>821
俺の中では…
佐々木→白石涼子
は確定してたが
ついさっき
橘京子→釘宮理恵
になった…
んじゃぁ周防は?伊藤静?これってハヤテのご(ry

827:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 23:36:48 5qG/ATFj
んー、3周ぐらい遅れてるような気もするが、俺もGネタ書いたから投下するよ。

828:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 23:36:49 p4/G0Fb7
あらゆるものをとりあえず若本ボイスで再生してしまう俺は異端

829:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 23:37:04 EYL4I5NA
佐々木「橘さんは何で飛ぶの~?」
橘「10歳なのです~」

830:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 23:37:52 Ftj28blV
>>827
カマン

831:827
07/05/08 23:37:52 5qG/ATFj
黒い悪魔、あるいは天使

掃除を生徒にやらせる方針の公立学校としては、鍵のかからない部屋にはどうに
かして日々の清掃を生徒に割り振るわけで、今日から俺と佐々木と他数人はここ
家庭科室の割り当てだ。調理実習なんてのは1年生の時に男女一緒にやったぐら
いで、ここに足を踏み入れたのはそれ以来だな。
「ほら、さっさとすませるぞ」
適当に割り当てを決め、家庭科室とその準備室、そしてそれに付属する廊下と階
段という三つに分かれ、俺と佐々木は家庭科室の担当となった。なったのだが、
どうも佐々木の様子がおかしい。
一言で表現すれば「挙動不審」だな。
今から思えば、新しい掃除当番表が張り出された時からどうも妙だったのだが、
俺と一緒にここに来る間にそれは顕著になり、一緒に家庭科室の中に入ると、ま
るで隠れている妖怪やエイリアンが飛び出てくるのを恐れる映画のヒロインのよ
うに、落ち着き無く辺りをきょろきょろとうかがっている。
「どうしたんだ、佐々木?」
「ひっ?!」
俺の声に驚いた様子でこっちを向く。教室からここまで一緒に来ていたはずの俺
の存在も忘れるほど、どうやら精神的に不安定のようだな。
「や、やあ、キョン、どうかしたのかい?
声が震えているぞ、佐々木。端から見て、どうかしているのはお前の方だ。
「いや、その、実は、・・・この部屋には多少のトラウマがあってだね」
顔は俺の方を向いているが、視線は俺の方に一定しておらず、常に周囲への警戒
を続けている。
実に落ち着きが無い。
「別に何か危ないものがこの部屋にあるわけでもなし、俺としてはお前の挙動不
審の方が何かのトラウマになりそうだが」
俺の言葉に、佐々木は哀しそうな顔で頭を振った。
「ああ、キョン、君は・・・2年前の夏の悲劇を忘れたのかい?」
2年前?
2年前ていうと、俺やお前が1年生のころの話か?はて、何か猟奇事件でもあっ
たのかと考えそうになったが、あいにくとこの学校は新聞沙汰とは無縁だし、そ
うでないレベルの事件も記憶には無い。
「いったい、何の話をしてるんだ?」
佐々木をここまで挙動不審にさせるような事件があれば、いくら俺の脳味噌の記
憶力が人並み以下でも覚えていてもよさそうなものだが、まったく覚えがない。
「失敬、キョン、あれは女子生徒の間では有名だったようだが、どうやら君の耳
にまでは届かなかったようだね。僕にとっては非常に重要な事件だったから、君
も知っているに違いないという先入観があったようだ、すまない」
謝罪はいいから、事情を説明してくれ。そうでないと、お前を挙動不審者として
警察に通報したくなるからな。
「・・・キョン、生物の増殖には何が必用だと思う?」

832:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 23:38:30 5qG/ATFj
おいおい、また何の話だよと思ったが、答えた方が話が早いんだろうな、きっと。
「繁殖に適した気温と水と食い物、だったかな?」
俺の返答に頷きながらも、佐々木は周囲への警戒を続けている。
「季節は真夏だったから、少々温度は高すぎだったようだけどね。1学期最後の
調理実習の後、この部屋の収納スペースに小麦粉、パスタ、砂糖等が密閉されな
い状態で放置されていた。かなり大量にね。常温で放置しても腐らない食材だか
らと、教師が判断したようだが想像力の欠如としか言いようがない失態だよ。そ
して、夏休みの間、ここを利用するものはおらず、ここの水道管の一部に漏水が
あった」
そこで一旦言葉を切り、俺の目を見る。
「くっくっ、キョン、何が起こったと思う?」
・・・あー、なんだかあまり想像したくない事態かな?
この地球に人類なんかよりもずっとずっと早く誕生して、それなのに人類から嫌
われている、あれですか。
俺の言葉に佐々木がどこか青ざめた真剣な顔でうなずく。
「だが、表面上は何の変化も無いように見えた。2学期最初の家庭科の授業で、
ここに来た僕たちにはそう見えたんだよ。忘れるわけがない、テーブルマナーの
授業だ。和食と洋食の食器の違いや作法について、実際に食器を並べてみようと
いうやつだ。僕は、教師の指示で、そこの戸棚を開けて・・・」
壁に作りつけの食器棚を指さす佐々木の指は震えている。
「そう戸棚を左手で開けたんだ。そして、中に何かが動いていて、動いて、ぼ、
僕の左手に・・・」
佐々木はしばし自分の左手を見つめて、何かを振り落とすように振り回す。
「・・・後はパニックだった。そこら中に、あいつらがいたんだから。結局、授
業は中止になり、専門の業者による駆除と漏水の修理諸々で2週間ばかりこの部
屋は使用中止になった」
そういえばそんなこともあったけ。ただ、それは俺にとって「何か工事やってる
な」程度の認識でしかなく、そんな大騒ぎがそこにあったことまでは知らなかった。
「つまり、その件でお前はこの部屋が苦手だってことか?」
十分にトラウマになるわな、そりゃあ。
「いや、そうではないんだよ、キョン」
どういうことだよ?
「確かに今でも苦手だが、それはあの存在そのものに対してであって、この部屋
にでは無いんだ。駆除と工事の後、ここは非常に安全な場所になったと理解する
ことで、僕はその後、何の問題もなくここを利用していた」
じゃ、その挙動不審はなんだ?
「・・・先週だったかな、目撃例が出たんだよ」
また出たのかよ。ま、完全な駆除なんてのは無理というか、あれって下水を伝っ
て来たりするんだったかな。いぶし出されて隣の家になんてのもあるらしいが。
「そりゃあ、2年も経てば少しは出るだろうさ。だけど、2年前みたいな大発生
てのは、そうそう無いと思うぞ?」
というかあってたまるか。
「もちろん、僕もあんな事態がもう一度起こる可能性は低いと理性では理解して
いるよ。だけどねキョン、一度経験していることで、もしかしたら?と思ってし
まうんだよ。恐怖という根源的な感情は、僕程度の理性では消し去ることはでき
ないのだろうね」
だったら、誰かに当番代わってもらえば良かったんじゃないか?わざわざ恐い思
いすることもないだろうし。
「・・・ああ、その方法もあったね。考えもしなかったよ、くっくっ」
俺の言葉に一瞬きょとんとした佐々木は、かなり意表をつかれたのか、それとも
冷静な判断ができない状態だった自分がおかしかったようだ。
「でも、キョン、こうやって君に話すことで、どうやら僕は多少の落ち着きを取
り戻したようだよ。悩みとか心配事は、やはり信用できる友人に話すことは有効
なようだね」

833:827
07/05/08 23:39:24 5qG/ATFj
先ほどまでの挙動不審はかなりなりを潜め、どうにかいつもの調子を取り戻し
ているようだ。
俺としても挙動不審な佐々木よりも、いつもの笑顔の方がいいしな。
「しかし、僕も妙な精神状態だったようだね。たまたま、ここで再び目撃例があっ
たからといって、またあんなことがあるんじゃないかと心配するなんてね」
そう言いながら、佐々木は戸棚の前に立つ。
そして、左手でその取っ手を引いた。
「こうやって、戸棚を開けたら出てくるなんてことが、そうそう」
佐々木が固まった。
そいつは動いた。
そして佐々木の左手に・・・
「うきゃあああああ!!!」
佐々木は半狂乱になって左手を振り回し、そいつを振り払った。
「いやあああああ!!!」
落ち着け佐々木と声をかけるよりも早く、佐々木が俺の右腕にしがみついて来る。
小柄なくせにものすごい力で、これが火事場のくそ力ってやつかね?
佐々木の悲鳴はよっぽど大きかったんだろうな。隣で掃除してるクラスメイトだ
けでなく、一つ上の階で掃除の見回りをしていた教師まで、何事かとすっ飛んで
きた。
佐々木は俺にしがみついたまま、がくがくと震えて離れようとしない。震えてい
るだけならまだしも、涙まで流してる。
駆けつけた教師や生徒は、俺に抱きついて泣いてる佐々木を見て何事があったの
かと心配していたが、俺の事情説明を受け、俺と佐々木と開いたままの戸棚を見
て「なるほど」とそれぞれに納得したようだ。
「佐々木、落ち着け。居たのは一匹だけだぞ?」
俺は声をかけるが、聞こえないのか佐々木は俺の腕にしがみついたままだ。
いっこうに落ち着かない様子の佐々木を見て、教師が保健室に連れて行くように
言い、俺も異存が無いのでそれに従った。
俺の右手にしがみついたままの佐々木は、いつもの小難しい理屈を並べている様
子からは想像もできないような、その、実に女の子らしい様子で、こうやってた
またま身近に居たからだろうが頼られている状況は悪い気はしなかった。だが、
泣きながらしがみついている美少女を連れて掃除の時間の校舎内を保健室まで歩
くことで集めた視線は、俺にかなりの精神的疲労を与えてくれたけどな。
やれやれ、また誤解されるネタが増えたな。
佐々木よ、将来の恋人だか旦那がこの話を耳にすることがあったら、俺に代わっ
てちゃんと弁解しておいてくれよ?
特にだ、保健室まで連れて行っても俺を離してくれなかった佐々木を見て、落ち着
くまで一緒に居ろと言って俺たちをベッドに座らせた養護教員は、結局は二人して
いつのまにか横になって眠ってしまったときも、ちゃんと保健室に居て俺たちの間
には何もやましいことはなかったと証言したことについては絶対にだ。

834:827
07/05/08 23:40:54 5qG/ATFj
以上、おそまつ。

835:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 23:44:26 EYL4I5NA
乙だっぜ!
狼狽える佐々木は可愛いな~

836:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/08 23:46:19 Ftj28blV
>>834
GJ!トラウマネタか。なるほどなー。腕を振り回す佐々木、テラかわゆす
キョンにも萌えたことはここだけの秘密だ。

837:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 00:00:07 h0vBzvHl
>>834
G大量発生はヤバ過ぎる・・・駆除完了つったってそうそう切り替えられんぜ

>二人していつのまにか横になって眠ってしまった
お前らどれだけ無防備なんだwwあーもうw

838:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 00:00:20 CNXSnZX0
GJ!
佐々木かわいいよ佐々木

839:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 00:04:03 QEUmnkrl
GJ!
この二人の行動ににやにやw
てかGJのGがゴキブリに思えてきたww

840:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 00:05:41 /HyX3BS7
>>834
GJ!
腕を振り回すとかかわい過ぎワロタw

841:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 00:16:51 4NOIobyH
GJ
正直、ゴキちゃんシリーズ終了希望
自分ちにでてきそうな気が・・・。

842:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 00:17:58 cqWq8Cm+
だが断……確かにマジもんがでたらやだなww

843:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 00:25:34 2skm+Z0G
実家ではゴキブリホイホイにネズミが引っかかりますよ!

844:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 00:26:01 5qqXk5D9
北に住んでてGの恐怖を知らない俺は勝ち組

845:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 00:26:38 tUmcLhu6
ゴキに関しては同感.
しかしながら,それを怖がるササッキーにはいろいろもてあますな

846:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 00:40:50 usln4PfL
Gをみると冷たい目になって何の躊躇もなく素手で叩き潰す佐々木もいいなw
そして唖然とするキョン

847:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 00:47:41 ss582lMN
俺はゴキって字見るだけで
気持ち悪くなる・・・orz

しかし佐々木かわいいよ佐々木

848:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 00:49:46 4NOIobyH
>>846
バイハすら怖くて一人で出来ない俺の場合、まず固まるよ

849:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 00:53:20 9AnzX+Ad
>>847
佐々木「ゴキブリ」

850:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 01:03:37 ss582lMN
>>849
俺の知っている佐々木はそんな事を言わない・・

851:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 01:07:35 2GYYr/A7
>>850
なんだその「アイドルはうんこしない」的な発言はw

852:小ネタ・G
07/05/09 01:08:07 AzbC2pkg
 時期的に本州以南だとそろそろ気をつけないといかんからな。
 ということで基本的な注意事項だ。
  ・やつらは集団でやってくる
  ・水まわりは要注意
  ・食料を与えるな
  ・温かい場所も注意

 っとこんなところか?
 去年は俺の部屋にも出没しやがって、面倒なことになったからな。
 「キョン、もっと具体的に効果のある内容は無いのかい?」
 どうした佐々木よ。まさかこんなネタに喰いつくとは思わなかったぞ。
 「い、いや別にどうというこ、ことは無いのだけどね?」
 ……微妙に呂律が回ってないぞ。
 「某粘着系のトラップやホウ酸系などいろいろと工夫はしているんだよ?」
 ホイホイは誘引剤で誘き寄せるタイプだから、生息を確認するまで使わない方がいいぞ?
 下手な場所に設置すると、それこそ外から余計に誘き寄せかねんからな。
 基本はやはり塵一つない清潔な状態を保つに限る。
 「……え? そ、そうなのかい!? あ、いやそうだよね、いやいや何を言ってるんだ私。
  ああいや僕もそれくらいは気づいていたとも。うんそう、そういうことか」
 ……お前がGを苦手なことは分かったから無理に平気なふりせんでいいぞ?
 「ぼ、僕がごご、ゴキブリが苦手? 何を言うのよキョン」
 あー、俺が悪かったって。そんなに苦手だとは思ってなくてな。
 「だから僕は何とも思っていないと……!」
 「今度、お前ん家に見に行ってやろうか?」
 「キョン! 何度も言うけど僕は別に……! って、え? 今何て……。
  え、ちょ、ほ、本当? なら今日にでもってああいやこれはその」


 (あいつら何を話してるんだ?)
 (何とも思ってないとか、平気なふりとか)
 (佐々木さん、さっきは真っ青だったのに今度は真っ赤よ)
 (やだ、もしかして何かあったのあの2人)
 (マジ!? じゃあ今日にでも家にってのはもしかして!)
 (くそ! キョンのやつ昼間っから見せつけやがって!)


Gトークで盛り上がる?佐々キョンと妄想爆発に誤解するクラスメイトをお送りしてみた。
皆もこれからの時期、こまめに掃除しろよ?

853:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 01:13:52 t1jhZ1kq
>>864
「殺虫パンチ!」
「よせ佐々木、ここは食堂だ!」

すいませんすいません

854:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 01:14:37 5qqXk5D9
>>853
もちつけよw

855:639
07/05/09 01:21:18 U6wNMc1S
とことん遅れてすまん。
第一弾投下しておk?


856:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 01:23:31 ac4GXGOR
イケイケGOGO ジャーンプ!!

857:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 01:23:45 LNFMTCGp
どうぞどうぞ、というか投下してくださいお願いしm(ry

858:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 01:23:45 incopnvQ
>>855
かも~ん

859:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 01:24:03 2GYYr/A7
>>855
かもん!!

860:湯煙@佐々木vol.1 1/?
07/05/09 01:25:17 U6wNMc1S
古泉属する機関とやらがどれだけのコネと力を持っているかは
知らないし知りたくも無いが、それでも信じていいことが一つだけある訳で、
それはSOS団創設後に行われたであろう俺の身辺調査の結果である。
これ以上ないというほどに平凡な中流家庭で、
これ以上ないというほどに平凡な人生を(あくまで高校生になるまではだが)
送ってきた俺は間違いなく普通の人間だということだ。
普通。
今となってはどれだけ懐かしく、
郷愁を覚えずにはいられない響きだろう。
灰色空間やらタイムトラベルやら様々な経験を積んだ俺には
最早遠いところにある言葉であり、
しかしこうして見ると自分の経験値もどうってことなかったのだと
自責の念に駆られることも無いわけではない。
いやいや、よく考えてみろ俺。
俺の経験値において大半を占めているのはあくまで
非日常的冒険活劇チープ版であり、
鶴屋さんの別荘にしても夏の孤島にしても豪華ではあっても
それが威圧感となることはなかった。
だからこれは初体験となる。
山奥に佇み、奥ゆかしさと風流さすら威圧感へと変えるほどに一般人とは縁の
無い高級旅館に泊まるというのは。


861:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/09 01:26:24 W8rpokXV

      あのさ キョン
      佐々木さんのスレ 早すぎないかなあ
      ちょっと油断してただけで すぐ新着が100件越すんだけど……
       ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     マイニチ タイヘン ダヨ… , -ー- 、     アリガタイコトジャネーカ
                ./,. u./ i \    マ イイカラ イッパイ ヤッテケ
         , -‐- 、   i ノノソハノバリ)   ,. ‐-ー- 、
        ,'. /  ト、 ヽ  リ(l │ │ |ソ   ノ /    ヽ
.   …チッ .i. ((从ソ.lll从〉 .`'ハ、 ヮ ,ノ    ノハハハハハ !
 ジャマモンガ .l. (|┳ ┳i!l  ⊂}´゙i†!':iつ    !|─ ─ ,iリ)!
.         ハNiヘ  ヮ ノハ!   .i´ T`i     ’ 、 - ,ノル´
.          {iつ旦O   〈__八__〉     と"旦と'!}
.         とくュュュュ〉         旦    〈_〈__i'つ

862:湯煙@佐々木vol.1 2/?
07/05/09 01:27:27 U6wNMc1S
「という割にはいつもの君と変わりが無いように思えるよ、キョン」
どうやら俺のような一般人には近づくことさえ憚られるようなこの
高級旅館も、佐々木と俺の顔には何ら影響を及ぼさないらしい。
ちなみにこの旅館、本館に部屋がない。
風呂もない。
どうしてかと言えば、本館を囲むように存在する部屋という名の
簡素ながらもしっかりとした家屋に必要なものが全て揃っているからだ。
いや、どう考えても金と土地の無駄遣いである。
俺には到底理解できないというかしたくない。
分不相応もいいところだぜこれは。
「妙な経験だけなら随分と積んだんでな。その賜物だろう。」
「君がそういうのならそうなのだろう。
とはいえ、君の気持ちも理解できなくはない。
実際ここは著名人や政治家もお忍びで利用するほどの隠れ宿というやつで、
言い換えれば変なところで我侭だったり意地を張ったりする人間が
来るのであれば必然、無駄なところに贅を尽くすようになるというものだよ。
それでもキョン、この渡り廊下からの景色は中々のものだと思うけれどね。
来訪者の傾向故に案内人である女中さんがいなくてよかったと思わないか?
深緑を味わいながらゆっくりと部屋に向かおうじゃないか。」
たしかに、しっかりと手入れされた日本庭園が視界に広がっている。
審美眼じみたものがないことは重々承知だが、それでもこれがどれだけすごいか多少は
解るというものだ。
「不均一的、あるいは非左右対称的な美というのかな。
そもそも花道や枯山水、陶芸にも見られるように日本の伝統では微妙な歪みと
それに伴う不完全性をこそ愛でる訳だが、
人間の顔だって左右対称とはいかないことを考えればそれこそ自然なのだろうね。
西洋的な左右対称は人為的で僕は好かない。
ありのままを受け入れるというのは日本の美徳の中でも最上のものに違いない。」
「枯山水ってのはアレか。京都の寺やらにあるようなのだろう。」
「そうだね。
まぁ、これは学者、あるいは識者閣員によって意見が分かれるものだと思うけれど、
基本日常に関連するカタチで美を表す傾向にある日本においてあれだけ緊張感のある
芸術というのも珍しいだろう。
………うーん、やっぱり芸術に関しては僕は口を閉じている方がいいのかもしれないな。
いつもの調子で口が回らない。」
「そんなに気にする必要はないだろう。
こういうのはきっと、評したりするもんじゃなくて体で感じ取るもんなんだろうさ。」
口にしてからちょっとしまったと思った。
語りモードに入った佐々木に対する言葉としてはあまりに直情的で観念的だ。
きっと手痛いしっぺ返しが帰ってくるんだろうと身構えていたが、
どうしたことだろうね。
佐々木はぽかんとした無防備な顔で俺を見ていた。
あ、笑い出した。
「くっくっくっくっく……いや、その通りだよ。
確かに、言葉が不粋となる時もある。
言語だけで全ての情報が遣り取りできるとか限らないのだからね……
だめだ、お腹いたい…くっくっく……やはり君は最高だよ、キョン」
そうかい。お褒めいただい光栄さ。
「いや、すまない。嘲っているつもりなどまったくないよ。
むしろ今までで一番高い評価を下している最中だよ。」
「ま、何だって構わんさ。さて、お部屋についたぜお姫様。」
扉を開け、去年の夏の出来事から反省を学んだ俺は佐々木をしっかりエスコートする。
畳の香りがほどよく嗅覚を刺激し、俺と佐々木は部屋の趣味の良さと
窓からの景色に圧巻されているうちにちょっと回想モードに入ろうじゃないか。


863:湯煙@佐々木vol.1 3/?
07/05/09 01:28:59 U6wNMc1S
「キョン、折角の休みだ。ここは一つ、長旅と洒落込むのはいかがかな?」
事の発端は佐々木のその一言に由来する。
まぁ、俺たちも高校二年になる訳で、
前には絶海の無人島に行ったりもしたから
今更長旅に怖気づくなんてこともなく俺は佐々木の誘いにあっさりと乗った。
「そうかい、それはありがたい。ところで、君は行きたいところがあるのかな?
もし構わないなら、僕に決めさせてもらいたい。」
全然構わない。
佐々木なら絶海の孤島やら吹雪の雪山に行ったりはしないだろうという確信があるからな。
あんな心身共に疲れる旅行は年に一回か二回で十分であり、
それも古泉プロデュースの茶番劇があること前提の時だけだ。
「ちなみにキョン、君は行き先不明のサプライズ旅行と予定が100%判明している
観光旅行のどちらがお好みかな。」
言うまでも無いことだろうに。
旅行ってのはゆっくり楽しむためにあるというのが凡人たる俺の信念である。
「くっくっくっ、確かにその通りだ。ではキョン、楽しみにしているよ。」
さて、皆さんなら気付いていただけるものと思うが一応言っておこう。
俺はこのとき、旅行に参加する人数を聞いていなかった。どうせ佐々木団の面子
の、そうだな、橘あたりも参加するだろうと思っていたのだ。
これもSOS団雑用係にして連絡が来るのは一番最後という俺の立場に由来する
に違いない。本当、習慣というのは恐ろしいものだね。

メールで送られてきた旅行の予定は佐々木らしく綿密なのに無理がないものとなっており、
こいつ将来旅行代理店にでも就職すれば高給取りになれるだろうという幻想が浮かばない
こともないほどのものであった。
何ていっても、こちらの起床時間まで指定してきてるんだからな。
どうやら中学三年における一年の付き合いは俺の生活リズムが把握できるほど
のものだったらしく、しかし俺が佐々木の生活リズムを把握できていないのは
さて、何でだろうね。
「キョン、それは僕の生活リズムを知りたいということかい?
無論、君になら教えるのもやぶさかではないが、他人に伝えることは社会的タブーに相当する
旨は言っておこうじゃないか。
それとも、君は知り合いの行動は悉く把握していないと心配になるのかな。
僕の記憶が正しいと仮定した上ではそのような奇矯な趣味を君が持ち合わせていた
覚えはないのだがね」
「どんな趣味だそれは。というか、他の連中は来てないのか?」
「ああ、言い忘れていたよ。僕と君以外に参加者は無し。所謂二人旅というやつだ。」
そうかい、そりゃびっくりだ。どれくらいびっくりかというと、
コペルニクス的なんたらってぐらいびっくりだぜ。
表情が変わらないのは高校になってから積んだ非常識経験値の賜物だ、というか
「集合地点をここにした時点でそれに気付くべきだった…とでも考えているのだろう。」
俺の脳内をスキミングのごとく読み取らないでいただきたい。
そりゃあ、集合地点が俺達が通っていた塾に近い懐かしい公園であったのに
そこまで考えが及ばなかった俺の脳なら、簡単な機器で内容を読み取れそうだが。
「まぁ、いいか…というか、さっさと行こうぜ。
時間ギリギリになって走るなんて御免だからな。」
お互い荷物は小さめのトランクと肩掛けバック。
三泊四日の旅行な訳で、さて、せいぜい楽しもうじゃないか。

864:湯煙@佐々木vol.1 4/?
07/05/09 01:30:23 U6wNMc1S
はい、回想終了。
ってうお、佐々木と二人旅って気付いた時点で色々ピンチなことに
考えが及ばない俺をどうしたらいいのだろうか。
いやいや待て待て。
佐々木の指定してきた起床時間は俺にしてみればあり得ない早起きは三文の得
的日の出タイムであり、新幹線と電車を乗り継いでこの隠れ宿に一番近い
駅に着くまで頭の中に眠気が沈殿していたのだから早朝の俺に冷静
かつ正常な判断を下す力などあろうはずもなく、つまりこれは不可抗力で
あって誰に文句を言われる筋合いもないのだ。
あとは、健全なままこの旅行を終えれば万々歳である。
うん、すばらしいじゃないか俺。自分に対する言い訳は完璧だ。
「絶景と評していいのではないかな、これは。キョン、どう思う?」
「いいんじゃないか。
俺はこんな景色を見るの初めてみたいなもんだからどう言ったらいいか考えてたところだ。」
部屋の中がどうなっているのかちと調べ、荷物もおいて一休みする午後五時。
簡単な台所もついていることに驚愕したり座布団を出したりと色々したが、
今は佐々木が淹れてくれたお茶で二人揃ってのんびりしている。
…本当に今更だが、こんなとこに一介の高校生が来て、しかも自分は宿泊費を一銭も
払っていないことに我ながらどっきりだ。
佐々木曰く、母親の親戚に作家筋で著名な方がいるらしく、
ここに二人分予約を入れたはいいが締め切りの関係でいきなり来られなくなったらしい。
キャンセルするのも面倒なので、誰か行かないかと話を回したところ、
新幹線でもかなり時間のかかるここまで来たがる人間はいなかったらしく、佐々木にまで
お鉢が回ってきたらしい。
加えて佐々木の両親は仕事で忙しいらしく、お友達と行って来なさいの一言だったとのこと。
いいんだろうか、そんなことで。
俺がそんな招待される側としてはいささか不謹慎な思考に埋没していたので、
佐々木がいつ動き始めたのに気付かなかった。
荷物をごそごそとしては、押入れから何か取り出している。
ためつがめつして俺をチラッと見ては、また荷物をごそごそ。
「………どうしたんだ、佐々木。というか、何をしている?」
ギクっというような擬音を伴うような動作で佐々木が止まった。
こいつに限ってないと思うが、何かやましいことでもあるのだろうか。
「いやいやいやいや、気にしないでくれ。というか、電車での長旅で
疲れも溜まっているだろう?
六時には夕食が運ばれてくるはずだから、君から先にお風呂に入ってはいかがかな。」
招待された側としてそれはちょっといただけないな。
一番風呂は佐々木に譲るぜ。
「な、何を言っているんだ君は。誘ったのは僕で、むしろ君が僕の我侭に付き合って
くれているのだから君から入ってくれ。」
風呂が二つあればよかったのだが、どうやらそこまで無意味に豪華という訳ではなく、
それでも露天風呂つきなのだが、残念ながら体を洗うスペースが一つしかない以上
どちらかが先に入るしかない。
まぁ、よくよく考えてみれば佐々木も女だし、自分が入ったあとの風呂に
男が入るのは嫌なのかもしれない。
では男が入った後の風呂はいいのかという疑問もあるが、
それはきっと優先順位の問題なのだろう。
じゃ、すまんが先に風呂いただくぜ。
「ああ、ゆっくりと寛いできてくれたまえ、キョン」


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch