【涼宮ハルヒ】佐々木とくっくっ Part6【鎖骨】at ANICHARA2
【涼宮ハルヒ】佐々木とくっくっ Part6【鎖骨】 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 12:49:55 s2RSmbrf
・佐々木 = 例の変な女
 自称「キョンの親友」、中学時代はキョンの自転車に二人乗りで塾に行く間柄
 キョンとは学校内外でつるむ回数がクラスメイトの誰よりも多かった
 キョンは否定するも傍からみるとどう考えても...
 古泉曰く「十人中八人が一見して目を惹かれる、実に魅力的な女性」
 恐るべきことに名実共にハルヒと対になる神的存在であることが明らかに

・佐々木SSの保管庫
URLリンク(blog.goo.ne.jp)

3:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 12:52:46 stihhL3c
>>1乙なのです♪

4:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 12:55:18 bO7MOPVr
>>1乙!
俺はいつの日か
佐々木とくっついてみせる!!

5:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 13:04:42 q6mzVSkm
塾帰りのキョンと佐々木のイラストかぁいいな

6:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 13:14:14 HoVX5625
  !. :./: : : : : : : : : : |: : : : : : : : : : : ,'.:.!    \:ヽ : :.、:.:.:!:.:.:.ヽ
 l: . .!. : : . : : . : : : :.!: : : : : : : : : : :,':./   _ゝ‐-: :|、:.!:.:.:.:.ヽ
 !. ..l. : . : : : : : : : : :|: : : : : : : : :l: イ;.!, -'"´    ト:.:.:!:l:..|:.:.:.:.:.:!
. !. . |: : : : : : : : : : : :ト; : : : : : : :.! l !イ       !ヽ |.!/:.:.:.:.:.:.:l
| : !: : : : : : :',: : : :, x-─ :.:...:.:l!.| レ    彡≠、k_ヾ:..r-、.:.:.:.:.!
. !: . .! : : : ヘ: : ,x '´: : ト、ヽ . :.:.:!レ    ー斗匕て',ラ゙:.:.:.:!., ヽ.:.:.:}
. l. . :.',: : : : :.X: :.ヘ-、:.::fヽ \_,'     "ヘっ_..::.ノ.! :.:.:.:k' /:.:.:.i kkk 乙
 !. : : ',: ヽ:.´.:ヽ、:.ヘ xz≠ミk           ゝ- ´ ! :.:.:.:.Y.:.:.:...ヘ
 l. : : : ヽ: ヽ、:.\X〈!ら::..:;.ぅ           |:.:.:.:.:.i.:.:.:.:.|.:ヽ
. ',. : : : : ` -`_t xz、 ヘヒr- ´    、        |. :.:.:.:.:.!.:.:.:.:ト、.:ヽ     
.  ', : : : : : :.:.:.:.iヘしヽ           ,     ,.l :./:l./:.ィ:ハ.}  ー`   
   ', : : : ヽ :.:.:.ヽ ニ >       ー "´     イi:.////ソ リ
   i : : : : ヽ: .:.:.::.:.:.:..:.:.ヽ、 _           / リ/iイ'
.   }: : :.ト: :、ヽ:.:\.:.:.:.:..:.:.:.:.、ニ ― t - '   メ
    | : :.ヽヽ:.ー 、_ヽ_Zー‐ ̄ー` i        ' ,
    l: ハ:トヘ  ̄             j        ` - _
   // ゙ー              /            ` - y`ーv、__
                    /               <: :/: : : : : 入
              /レ '  __    r ' ´ ̄    <´: :/: : : : : : : :.i
            _ ,ヘ: :.ラ      `          そ: / . . : : : : : : :ヽ
          ,´: : : :ヽ::}            _ ― :.: ̄i      . : : ヽ
          ,' : : : : : : y _ - ―..- ‐  ̄ ..::.....    {      . . : : i
       /  / _/ ゙ヽ `ト<              (⌒/ / j ゙̄ヽ、\ー、 \
       j    ノ∧ \/し/  ニ二._         _/¨(_∧/./ ∧\     }
      〈:   〈〈{ト、\/  |_        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  /  ∨/ |}〉〉   :/
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          \__,斗/   ノ゙ ̄`丶、   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /   lノ  :∧二._/
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7:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 13:25:46 IrHdB6dW
>>1

8:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 13:39:32 lw6IZyH8
>>6
だからー
省略しすぎだって

9:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 13:46:01 gDP5hBLC
>>1
ではPart6初の

佐々木かわいいよ佐々木

10:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 13:47:07 ckQV5aAq
>>1
超絶乙

11:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 13:47:33 ZKfYdPo8
>>1
乙。

12:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 13:52:54 yjG539zR
>>1
>>1お疲れ様、まぁコーヒーでもどうかな。もう6スレ目、一週間弱で1スレッド立っている
計算、でいいのかな? この書き込みのペースがそのまま維持されたと仮定して、来月
までに10スレに到達しそうな勢いじゃあないか、ここはお礼を言うところだね。感謝している。
そんな僕の感想は横に置いておくとして、だ。5スレは小ネタと長文SSが交互に来るメリハ
リの効いたスレッドだったように思う。鑑みてこの6スレ目はどんな風になるのだろう。とても、
そうとても楽しみだ。まぁもっとも、僕の親友たるキョン、彼のフラグクラッシャーぶりには磨
きが掛かっているのだろうけどね、ちょっと、泣けてきたよ。ねぇ彼にフラグを無視されたり、
クラッシュされないような旗を構築するにはどうしたらよいだろうね。よい知恵があったなら
僕に教えて貰えないだろうか」

 佐々木さんは少々お悩みのようです。

13:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 14:28:02 x5WoRlMl
>>1

14:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 14:32:14 A2oA5pic


15:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 14:40:15 0RE1JwLp
>>1

SS投下する前に前スレ落ちたorz

16:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 14:42:42 x5WoRlMl
前スレ>>1000ナイス

17:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 14:45:18 stihhL3c
前スレ>>1000に感謝
そして頑張れササッキー

18:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 14:51:22 0GSJT6Hg







19:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 15:14:29 MlDh2yZ6
>>1
URLリンク(akm.cx)

20:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 15:23:05 exHezGE1
URLリンク(eftb.hp.infoseek.co.jp)

佐々木ファンならもちろん知ってるよな?

21:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 15:23:21 IrHdB6dW
>>19
なんというヤンデレ

22:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 15:34:53 gDP5hBLC
>>19
怖い。でもそんな佐々木も素敵だと思う俺がいる


23:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 16:03:29 uvuurc3a
グロいよ!この佐々木に「おまえが一番好きだ」なんてキョンが言ったら大変なことになるなw

24:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 16:05:05 Pwn1Mwb3
>>20
当然
驚愕でどうなっても佐々木についていくけど

>>19
中身ってその……あの

25:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 16:18:35 q6mzVSkm
エロい
URLリンク(www7b.biglobe.ne.jp)

26:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 16:26:21 pW+UIEen
>>1乙!
鎖骨って入れる意味あるのかw

27:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 16:30:50 H+2i7nmH
鎖骨ってよく考えたら鎖骨そのものじゃなくて
そこに絶妙なラインを描いている皮がGJなんだよな

28:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 16:31:11 A3J2yLC9
>>1乙~
スレタイは鎖骨じゃなくて変な女のままで良かった気がする

29:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 16:32:53 mp0oNsWh
>>1乙というやつだね。
そして前スレ>>1000、限りなくGJ

30:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 16:49:51 FiH02iC0
前スレ1000がやってくれたぜ!


31:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 16:52:44 YO1OGcpC
いいスレタイじゃないか、P161の挿し絵でキョンも鎖骨見せてるし

32:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 16:57:23 IrHdB6dW
>>15のSS投下を待っているのは俺だけじゃないはずだ

33:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 17:03:24 wDWm4n7S
>>32
とりあえず書き貯まるのをワクテカしながら待とうや。

34:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 17:05:32 stihhL3c
ササッキーには幸せになってほしいね
もしキョンが佐々木を受け入れないならキョンをこr(ry

35:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 17:24:41 jsB2PES4
うわ、もう6スレ目か。。。はえーな

36:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 17:59:11 UhhQT6Kl
かあいい・・・
URLリンク(blog29.fc2.com)

37:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 18:10:45 6diUUSqW
>>36
綺麗なタッチだな。
誰の絵なんだ?

38:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 18:15:43 pW+UIEen
>>31
まぁそうだけどね
女ってのは男の鎖骨が好きらしいから
あの風呂に入ってる時のキョンの鎖骨を見たら佐々木はどんな反応してたのかな?

39:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 18:16:28 8kB+dPeL
>>36
女体化キョンとか書いてた人にタッチが似てる

40:36
07/05/05 18:20:59 UhhQT6Kl
ここのサイトの人だよ
URLリンク(sekirow.blog29.fc2.com)

佐々木ファンの総合サイト
URLリンク(eftb.hp.infoseek.co.jp)


41:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 18:23:08 mbIJnFhD
>>38
確かに鎖骨が好きな女連中はいるよね。
本人(達)からそれを聞いた時の寒気は、彼女達が男に感じる其れと同じなのかな、と思った。
理解し難いフェティシズムとは本当に気持ちが悪い。

佐々木はキョンフェチ。

42:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 18:28:08 8kB+dPeL
>>41
俺も誰にも言えないフェチあるよ…
>>40
最初からアド削ればよかったw情報㌧、それにしても綺麗な絵だね

43:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 18:46:33 0q6m7b7S
俺、実は足の裏フェチなんだ。
いつだったかの水泳の授業で見た、お前の足の裏はもうそれはキレイで・・・

44:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 19:08:41 L1qEExBy
いや、俺は女の鎖骨好きだぜ

45:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 19:09:30 seJmjuK2
俺は太ももだな

46:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 19:13:09 BYUfDqig
俺はアキレス腱

47:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 19:18:05 NUieKn0/
鎖骨フェチって結構多いぜ?
特に和服美人スキーな人間の85%は鎖骨好きだぜ(根拠なし)?

48:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 19:20:12 YGpsWIFw
某尖り目金貸し黒魔術士とか

49:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 19:27:28 78NhQ5pn
>>47
和服美人いいよね。
佐々木さんなら和服も似合うよね。

50:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 19:28:49 kjuW74Fh
>>48
そういえば初めて買ったラノベはオーフェンだった

51:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 19:40:42 A3J2yLC9
確かに佐々木って和服が似合いそうだな

52:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 19:41:26 mp0oNsWh
確かに着物を美しく着こなすにあたり
過剰なおっぱいはじゃまだな

53:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 19:51:44 NUieKn0/
>>52
貧乳・寸胴は和服美人にとって正義だからな。

54:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 19:51:45 0q6m7b7S
「キョンくん、君はこんな逸材を隠していたのかい?お姉さんはめがっさくやしいにょろ~」

と鶴屋さんに拉致される佐々木。
そして、始まる着せ替えごっこin鶴屋邸・・・・

55:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 19:55:55 stihhL3c
そういや中3時代は祭りとか花火大会とか無かったんかね
浴衣姿で登場した佐々木にドギマギするキョンとか
内心超緊張してるササッキー

56:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 20:06:55 pW+UIEen
>>55
そういうのはあったと思うよ
二人で結構いろんなとこに遊びに行ってたと思う
祭りと聞いて某サイトの佐々キョンで祭りに行ってる絵を思い出した

57:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 20:22:07 MfIF6NPm
キョン以外とくっつくササッキーは考えたくないけど、どうにもこうにも実りそうに無い関係なのが辛いっす
ずっと思い出を引きずって彼女が駄目になりかねないのに、一途に想っている姿しか見たくないんだよな
ああ、最低な人間かも俺orz

58:さくら
07/05/05 20:26:08 /y7MO347
>>57
ケツメイシ「さくら」より佐々木視点でお送りします




世界に色なんてなかった。
今こうして見上げているソメイヨシノは、本来持ち得ているはずの淡い色彩を失い大きく美観を損ねている。
そう見えるのは私だけなのだろうけど。

セピア色の世界は見慣れた色彩となった。いや、「見慣れた」というのは大きな語弊がある。
私はまだ、この世界を受け入れられていない。
卒業から1年。キョンと別れてから二度目の春。思い返せば、私の色はあの時から薄れていったのだ。


さくらの花が散る。一片の花びらが大地へ舞い落ちていく。
記憶が舞い戻る。一枚の花弁が舞うたびに、キミを思い出す。


橘さんと落ち合う場所は、公園の入り口を予定している。
時間まで1時間の猶予が残されているが、こんなにも早く待ち合わせ場所に赴いたのには私なりの理由というものがある。
あと少しで、私の凍てついた時間が融解する。かといってこの殺風景な世界には何の未練も無い。
最後に、止まってしまったあの頃を追憶したかっただけだ。ただそれだけ。
私の足は自然と、思い出にすがるように桜並木の奥へ向かっていく。


記憶とは所詮、過ぎ去った時間の1シーンでしかない幻。時流に身を委ねるうちに、不確かで不鮮明な形となり、いずれ消えてしまうほど儚いものだ。この桜のように。
咲き誇る姿を見せては刹那に花を散らし、若葉が映えては冬に裸となる。そうして、再び新しい蕾を宿しては開花する。
決して同じ花冠を咲かすことは無い。一度竺から離れてしまった花びらを、再び咲かせることはできないのだ。
これが人の記憶との符号点。日々蓄積されていく情報に、受け皿から押しのけられ零れ落ちていく。落ちたら最後、二度と読み返すことはできない。

私にはそれが耐えられなかった。彼と共に歩んできた証が消えることを、私の心が許さなかった。
何度も読み返した。何度も見続けた。何度も掘り起こした。
そうやって常に手元へ置いていた。端まで追いやられないように、思い出が消えてしまわないように。


59:さくら
07/05/05 20:27:27 /y7MO347



捨ててしまえば、どんなに楽になるだろうか。
昔日の二人を眺めて、この現実にいつも心を痛めていた。
私の隣に彼はいない、私の言葉が彼に届かない、私の想いは現実の前に霧散してしまう。
残酷な事実だけが、私の胸を無慈悲に穿ち続けている。

―忘れてしまえばいい。今からでも十分間に合うから

理性の訴えに、何度耳を傾けたことだろう。
恋愛なんて精神障害の一種、一時の感情に惑わされた気の迷い。自分自身にそう言い聞かせて、過去の虚像として割り切ろうとしていた。
けれど、結局捨てることができなかった。忘れることを心が頑なに拒んでいた。
捨てれば、私の世界は色を取り戻す。彼に縛り付けている鎖から開放される。
そのことを知りながらも、私は最後まで心に残すことを選んだのだ。

もう、私の拠り所としていた理性でさえ抑えることができないまでに成長した彼への思い。
でも……彼がいなければ、私の心が満たされることはない。

忘却することなどできない、許さない。
現実を受け入れることもできない、認めない。
そんな半端な気持ちでいたから、彼に連絡をとることもできずに月日を重ね、色付いていた世界から色彩が抜け落ちてしまったのだろう。



けど、それも今日で終わる。
だからこれは、私にとって最後の世界になるはずだ。

60:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 20:27:48 0q6m7b7S
>>56
いやいや、そこでフラグクラッシャーが・・・・・・

「そういえば、今日は祭りがあったね。キョンは行くのかい?」
いやあ佐々木よ、塾の日と重なってると、さすがにそんな気にはならんぞ?
「そうだな、塾がいきなり休みになるとかすれば考えなくもないが、あいにくと俺と
お前が通う塾は今日も通常営業だったはずだ。学校で勉強し、塾でもそれほど
良くない頭を酷使し、そこから気分転換になるからといって祭りに出掛けるほど、
俺の体力も精神力のゲージは高くない」

61:さくら
07/05/05 20:28:30 /y7MO347



暖かい風が頬を撫でる。春の薫りというのだろう、あの独特ともいえる匂いが私の嗅覚を刺激した。
1年前と変わらない芳香、情景、春の靡き。登場する存在は一つだけを残して過去の景色と重なった。

ぽっかりと空いたまま、埋まることの無いたった一つの空白。どこにいても、何をしても喪失感が付き纏う日常。
気付いた時にはもう手遅れだった。無くしてしまったピースの代用など存在しないのだから。
だから、目を閉じて完成した絵を夢想する。失ってしまう前の、輝いていたあの日々を思い出す。
けど、その絵に触れることは叶わない。触れようと手を伸ばせばすり抜けていく過去からの幻に、今を生きる私が干渉できるはずがなかった。
視界を開けば、キミの姿は望んでいた景色から切り取られ、陽炎となってどこかに消えてしまう。
残る情景はセピアの写真。被写体が変わろうとも、彩りが元に戻ることはなかった。

別れてしまったあの日から、何も変わることが無かった私の世界。
散っていく桜に語りかけても、答えは返らない。
私の耳に響き、心に染み付いているキミの声、今はもう聞こえない。

62:さくら
07/05/05 20:29:18 /y7MO347



突然の頬をくすぐる刺激に、私は一瞬思考が凍結した。
それはまるで、指先が僅かに触れたように微かな感触だった。
振り返る――わかってる、彼はここにいない。後ろから差し伸ばされた彼の手は幻想なのだと。
それでも希望が突き動かす。彼がここにいるのだという淡い期待が、私の冷静な理性を伏して体の行動権利を支配していた。

首を回らした先にキョンはいない。
ただ、私の肩に一片の花びらが舞い落ちていた。
摘んで目の前に掲げた。光源を遮ることもできないほどに薄い一枚の散華。
こんな小さなカケラですら彼と勘違いしてしまうほどに、私の心は病んでいるようだ。
恋愛とは、やはり精神障害だ。理屈を凌駕してメンタルを絶え間なく変動させるこの気持ちを、病気といわずして何と言おう。
でも、私は患ってしまった。あれほど彼に恋愛の非効率さについて説いていたというのに、いざこうして直面するとあらゆる理論すらも意味を成さないのだ。

目を閉じればキミに会える。傍にいる。そんな錯覚さえ信じてしまう。
その度に、嘗ての日常から移り変わった現実を思い知らされていたというのに。
私の視覚が、記憶が、心が、何度でもキミの姿を再生し続ける。
今となっては願おうとも戻ることができない眩しかった日々が、私を置いて目の前を通り過ぎていく。
走馬灯のように駆け巡る記憶の断片に、私の心は囚われたままだ。

それも今日が最後だ。
これから私は、もう一度キミとこの時間を共用するのだから。

63:さくら
07/05/05 20:30:12 /y7MO347



「――佐々木さん」


ここ最近で聞きなれた声が、私の幻想を打ち砕く。
音源に視線を送れば、案の定橘さんが真剣な面持ちで立っていた。


「そろそろキョンさんが到着する時間です。行きましょう」


もうそんな時間なのかい?感傷に浸ってただけなのに、これほど時間が進むのを早く感じてしまうとは。
もっとも、そんなことは離れ離れとなったこの1年で痛いほど実感している。



私はこれから、偶然を装って彼に会う。そういう段取りになっている。

伝えたいことは幾らでもある。それでも私は、本心を語ることは無いだろう。
一人でいる時は何度も理性を打ち破っているというのに、彼の前では顔を覗かせることも無くなる。そんな気がするのだ。ここまでくると人格障害に近い。

少なくともまだ、私は"僕"として彼と接していくことになる。それはきっと辛い痛みとして私の心に重く圧し掛かってくるであろう。
それでも私は耐えられる。空洞ができたように中身の伴わないこの1年間と比較したら、どれほどの辛さになるというのか。
親友、それが私と彼との関係。キョンの認識においての私の立ち位置。
その場所に私がもう一度上がるだけ。それだけで私の世界は色を取り戻すはずだ。
セピアの情景は今日で終わる。時間はかかるかもしれないが、あの輝いていた時間を取り戻せるのならば苦にはならない。
その為に、私は彼に会うことを決心したのだから。



けれど――もしこの気持ちが彼の前でも溢れ出してしまったら、私は一体どうなるのだろう?



未来への不安と期待が渦巻く心を落ち着けて、私は新しい世界に向けて歩み始めた。






64:さくら
07/05/05 20:31:53 /y7MO347
挫折した、稚拙なssでまじゴメンorz
職人さんのクオリティが高すぎて霞んじまう

以前に神職人が「桜」を書いてくれたんで、代わりにケツメイシの「さくら」でやってみたんだが
結果、全体的にもうグダグダ。

最後の「粉雪」は甘ッぽいプロットが半分できてる状態だが自重すべきか・・・

65:名無しさん@お腹いっぱい
07/05/05 20:38:37 n0q2mcGw
>>64
全然いいよ。はやく続きを書いていただきたい。

66:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 20:44:27 IrHdB6dW
>>64

続きがあるならぜひ読んでみたい

67:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 20:44:53 A3J2yLC9
>>64
GJ!
落ちが鬱なのはつらいがこういうのはいいね

68:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 21:04:34 pW+UIEen
>>64
GJ!
佐々木ってハルヒと同じでキョン依存症だよな…
キョンみたいに佐々木やハルヒみたいな子を一人の人としてちゃんとわかって受け止めれてやれる奴は
世の中にあんまいないからなぁ
だからハルヒに登場するキャラで佐々木に相応しいって奴はキョンしか思いつかないんだよな

69:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 21:20:13 IrHdB6dW
中学生の頃「好きな人はいないの?」と事を聞かれる度に、
そんな人はいない、と答えていた。
ただ、いつも頭には彼の顔が浮かんでいた。
私と彼の間には確かに特別な感情が存在していた。
しかし、それは友情であって恋愛感情ではなかった。
お互いにそれ以上必要とはしていなかった。
卒業式の日、私達はごくありふれた挨拶だけで別れた。
私達の友情は変わらないとお互い知っていたから。
今でも時々「好きな人はいないの?」と聞かれる事がある。
私の答えはいつも変わらない。
そんな人はいない、と言っていた。
彼の顔を思い出しながら……。

そして、私達は再び出会った――


中学生の頃「好きな奴いないのか?」と聞かれる度に
そんな奴はいない、と答えていた。
ただ、いつも頭にはアイツの顔が浮かんでいた。
確かに俺とアイツは一緒にいる事が多かった。
だが、そこに友情はあっても恋愛感情は無かった。
お互い恋愛感情が入り込むと友情が壊れてしまうと分かっていた。
卒業式の日、俺達はいつも通りに過ごして、そして別れた。
俺達の友情は変わらないとお互い知っていたから。
今でも時々「好きな奴いないのか?」と聞かれる事がある。
俺の答えは変わらない。
そんな人はいない、と言っていた。
ただ、思い浮かぶ顔はあの頃とは違っていた……。


そして、俺達は再び出会った――


なんとなく書いてみた。
特にオチも続きもないww


70:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 21:21:06 lw6IZyH8
        グ  
        ッ  
     言  ジ  
     わ  ョ  
     れ  ブ  
     る  と  
     エ     
  つ  ス     
  く  エ     
  り  ス     
  た        
  い        


>>64 GJ!


71:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 21:27:03 HTV98aT9
>>64 GJ!
その佐々木の情景がものすごい眼に浮かんだ。
ほんとに、続きがあるなら、続きが気になる。

72:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 21:32:03 pW+UIEen
>>69
こういうのいいな

73:64
07/05/05 21:32:22 /y7MO347
いや、みんなの期待を裏切ることになるんだが、「さくら」は一応これで終わりなんですよ
「粉雪」のほうは分裂後のIFのシナリオとして書くつもりなので・・・

あと>>69GJ

74:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 21:32:37 mbIJnFhD
>>69
シンプルでういいね。

75:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 21:35:47 HTV98aT9
>>69
GJ!
きれいな詩だな。

76:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 21:37:45 MOX5ulcF
>>64
とても…続きが気になるです…
>>69
言えないっ!キョンにも萌えたなんて…絶対に言えないっ!ビクッビクッ

俺、このレスしたら結婚するんだ…


佐々木ちっちゃいよ佐々木


あれ?こんな夜中に誰か来たようだ…

77:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 21:38:30 A3J2yLC9
>>69
まさに谷川が言ってたグッバイボーイミーツガールアゲインだな

78:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 21:47:25 pW+UIEen
>>69みたいなの見ると
ハルヒが実は谷口が好きだった説があるみたいに
キョンが実は佐々木が好きだったっていう説もありえるんじゃないかと思うw

79:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 21:47:27 stihhL3c
>>64>>69
GJ!なんて切ないんだ…
お前ら早く結ばれてちまえよ!

80:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 21:48:58 MOX5ulcF
>>79を見て
>>64>>69が結ばれるのかと思った…

81:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 22:05:47 t1NnuJHr
前スレ852
スレリンク(anichara2板:852番)

「ファーストキスは誰のもの?」の続きを投下します。
7レス程度。

82:スクウェア・ラブ
07/05/05 22:06:53 t1NnuJHr
「キョン、あんた今度の土曜日、佐々木さんを誘いなさい。彼女の証人喚問をするから。
会場はキョンの家で良いわ」


先日のハルヒが発端で起こった騒動にまたしても俺は巻き込まれ、ハルヒの命令により図
らずも当事者となってしまった佐々木を誘い出し、ハルヒの前に連れてこなければならな
いことになった。
やれやれ、明日は待望の休日なんだぜ。たまには日がな一日自分の部屋でゴロゴロとして
いたいし、ゲームで一日を費やすってのも悪かない。
アホの谷口や国木田と街に繰り出すのだってありだろう。

そういった何でもない休日を俺は望んでいるんだ。非日常的な出来事など、俺が退屈し
きった頃にやって来るってのがちょうど良いってもんだ。でないと俺の精神衛生上よろし
くない。
しかしこの団長様は、自分を中心に世界が回っていると信じて疑わないアレな女だからな。
結局何が言いたいかというと、上官の命令は絶対だということだ。あいつが大将なら俺は
二等兵で、その命令を履行しなければ、考えるだに恐ろしい懲罰の対象となってしまうの
だ。

いや、これ以上考えるのはよそう。これでは、世の中がいかに理不尽なものであるかを新
卒社員にこんこんと居酒屋で説教している、先輩風を秒速25メートルでビュンビュンと
吹かせる中堅社員のようだ。


俺はベッドから体を起こし、机の上で静かに眠っているケータイを掴みあげると、軽快に
操作してディスプレイに佐々木の電話番号を表示させた。
ああ、俺の携帯が佐々木の番号を律儀に記憶しているのは、先日佐々木に会ったとき、
佐々木が俺に番号とアドレスを書いた紙を手渡してきたんだ。これからは再び友誼をはか
りたいと言ってな。

ディスプレイの表示が消えないうちに通話のボタンを押して佐々木のケータイへの接続を
待つ。
2コールの後、電話に出た佐々木の声が受話器を通して俺の耳に浸み入った。
『やあ、キョンじゃないか。キミから電話を受けるとは光栄至極の限りだよ。それで、
いったい用件は何かな? これから1時間ほど語り合いたいというならやぶさかではない
が』

明朗ながらも難解なしゃべり方というのが佐々木の特徴だな。俺に取っちゃ懐かしいし、
普段も古泉で慣れているから、聞いていることは別段苦にもならないが。
「それは次の機会にで取っておこう。今日お前に電話を掛けたのは他でもない。明日は暇
か? もし用事がなければ俺の家に来てもらえると有り難い。だが無理ならそれはそれで
口実になるからいいのだが」
『キョン、キミが何を言いたいのかいまいちわからないな。僕に来て欲しいのかい? そ
れとも来て欲しくないのかい?』

佐々木はやや非難めいた口調で俺にそう問い返した。無理もないことだが。
「いや、すまん。こちらにも色々とあってな、お前が無理ならそれで良いんだ。ハルヒの
やつにもそう言っておくさ」
『キョン、涼宮さんも来るのかい? キミはさっきそれを言わなかったね。……だから僕
はてっきり……いや、何でもない、忘れてくれたまえ』


83:スクウェア・ラブ
07/05/05 22:07:40 t1NnuJHr
てっきり何だろう? 俺は佐々木の心情を察すことに長けているわけではないので、まる
でわからなかった。
長門の表情を読み取ることなら右に出るものはいないんだがな。
佐々木はそれから2秒ほど沈黙した後、
『……明日、キミの住まいに伺おう。特別何処かへ出向くといった予定は、幸い僕のスケ
ジュールにはないのでね。ところで、涼宮さんは何の用なのかキミは知っているのかい?
 もしや僕に関わることではないだろうね?』
妙に鋭い。しかし、答えづらい質問だ。
以前佐々木が妹のイタズラで、毒リンゴを食わされた姫君のようにやすらかに眠っている
俺にキスをしてしまったことをハルヒは聞き出すつもりなんだろうが、今ここで言うのは
何やら気恥ずかしい。

だから俺は、それは直接ハルヒに聞いてくれと逃げの一手を打ち、翌日の時間を取り決め
て電話を切った。佐々木はもう少し話をしたそうではあったが。
いよいよ明日――か、俺は無事でいられるだろうか。疑問だね。
朝比奈さんにでも聞いてみれば、明日俺の命が終えるのは既定事項だなんて言われちまう
かもしれないな。
さて、明日に備えて寝るとするか。



翌日、時計の針が一時を指す15分ほど前、約束通りにまずハルヒが訪れ、間をおかずに
佐々木が徒歩でやってきた。
ハルヒは佐々木と顔を合わせると、粉末を入れすぎた抹茶を飲み干してしまった後に無理
矢理浮かべたような、表現し難い笑顔で佐々木に当たり障りのない挨拶を行い、だが佐々
木はそれを感じているのかいないのか、ハルヒ対して軽く会釈をし、にこやかな笑顔を返
した。
俺はハルヒと佐々木の間に滞っている微妙な空気を感じ取りつつ、玄関に現れた俺の母親
に二人が挨拶をしている様を見つめていた。
母親は約1年ぶりの佐々木の訪問を受けて、懐かしそうにして佐々木と軽く言葉を交わし
た。

その時、母親が俺とハルヒに対して意味深な視線を向けたことが引っかかったんだが、な
んのつもりだろうな。
そういや、俺の母親は以前俺が佐々木と一緒の大学に行くものだと勝手に思いこんでい
たっけな。
俺の母親も国木田や中河と一緒で、俺と佐々木が付き合っているという勘違い組か?
やれやれ、そんな勘違いをハルヒの前でおくびにも出さないでくれよ。後が恐ろしいぜ。

これ以上母親と話していて、俺にとって都合の悪いことをしゃべられると精神上よろしく
ないと判断した俺は、二人を促し、俺の部屋へと案内した。
だが部屋にはいると、ハルヒは妹も佐々木の証人喚問に同席させるようにと俺に命令し、
それを受けてやむなく俺は妹と、ついでに遊びに来ていたミヨキチも俺の部屋へ招き入れ
た。
ミヨキチは自分が注目されていることにはにかみながら、俺に勧められておずおずと座布
団に腰掛けた。
そのミヨキチの姿を見たハルヒと佐々木は、一様に驚嘆の表情を見せ、
「へえ、これがミヨキチって子なのね。な、中々きれいな子じゃないの。確かにあんたが
書いてたとおり、とても小学生には見えないわね」


84:スクウェア・ラブ
07/05/05 22:08:27 t1NnuJHr
と、ハルヒはどう見ても友好的でない表情で俺を睨み付けた。
「なるほど、妹さんの友人の子かい。どうやら彼女は栄養とホルモンの状態がよほど良い
んだろうね。とみに彼女の一部の肉体的数値が、現在の僕のそれを上回る可能性がありそ
うなことには、恐懼の念を抱かざるを得ないよ」
佐々木はそう言って、視線を自分の体へと落とした。俺には佐々木がやや肩を落としたよ
うに見えた。
なんのことだろうな。見たところ、ミヨキチは佐々木に比べれば背が低いと思うんだが。

そんな二人の俺との会話を耳にしてミヨキチは、何やら顔を赤らめて恥ずかしそうに俺た
ちのやりとりを見守っていた。
それから10分あまりのやりとりの後、ハルヒはそろそろ時間だとばかりにベッドに立ち
上がって開口一番、ここに佐々木を対象とする第二回証人喚問の開催を宣言したのである。
「ではこれから第二回証人喚問を行うわ。証人は佐々木さんよ」
なお証人に妹、オブザーバーとして特別ゲストのミヨキチが出席している。
なおハルヒは宣言し終えると、そのままベッドにあぐらをかきどっかと座り直した。

ハルヒのその言葉聞いて、佐々木は不審気な顔つきで俺をまじまじと見つめ、
「どういうことだい、キョン? 僕はそんな話は聞いていないのだが、これから何をする
つもりなのかい?」
「ちょっとキョン、あんた佐々木さんに言わなかったの? 職務怠慢ね。このことはマイ
ナスポイントとして、あんたに罰ゲームをさせるときに考慮しておくから覚悟しておきな
さい」
こうして二人から責められ、俺は上司と部下から板挟みにされる中間管理職のような惨め
な気分を、この年にして味わう羽目になった。

つうか、言えるわけないだろう。俺が佐々木からキスをされたことをハルヒの前で証言し
て欲しい、などと当事者の俺が言えるかよ。
ハルヒ、お前はもうちょっとデリカシーってもんを標準装備した方が良い。オプション扱
いは勘弁してくれ。
ハルヒは佐々木に体を向き直ると、鬼瓦のような表情から閉店間際のスーパーのように険
しさ4割引の表情へとメタモルフォーゼさせ、

「佐々木さん、そこにいるアホキョンがあなたにちゃんと説明しなかったのは謝るわ。で
も、あたしはどうしてもあなたに聞きたいことがあるの。だから、あたしの質問に答えて
もらえるかしら?」
有無を言わせぬハルヒのその表情に妙な迫力を感じたのか、さしもの佐々木も首肯せざる
を得なかった。
ハルヒはそれを確認するとおもむろに口を開き、

「佐々木さん、あなた以前そこにいる妹ちゃんのイタズラでキョンとキスしちゃったって
のは本当なのかしら?」
2時間ドラマのクライマックスで、犯人はあなたですと指し示す刑事のような表情で佐々
木に対し質問を行った。
俺はこれから起こるであろう荒れ狂う嵐に思いを馳せ、戦々恐々とする思いで成り行きを
見守った。


85:スクウェア・ラブ
07/05/05 22:09:18 t1NnuJHr
その言葉を聞いて、妹はコクっと頷いた後にやりと笑い、ミヨキチは驚きを隠せない表情
を浮かべた。
そして佐々木は一瞬冷え切ったガラスのように固化したが、表情も変えずにすかさず、

「涼宮さん、キミは何が言いたいんだい? そうとも、あれはキョンの妹君がちょっとぶ
つかってしまってね、それで僕はキョンと粘膜同士の接触を図らずもしてしまったわけだ
よ。それは確かに否定しようのない事実さ」

さすが佐々木だ。こんな状況でも実に冷静に……って、あれ? 何かが……。

「キョン、というわけだからあなたは気にしないで欲しいの。だって不可抗力だもの。
ね?」

おかしい……。
佐々木ってこんな口調だっけか? いや、男女で口調を使い分けているってのは分かって
いるんだ。しかし、なんだこの違和感は?

「どうしたんだい、キョン? 惚けた表情をして。キミは僕とキスしてしまったのがそん
なにショックなことだったかい? それだったら謝罪の言葉を述べたいと思うが、僕とし
てもそれは複雑な気分だね」
いや、いつもの佐々木だな。だが何だったんだ、さっきの違和感は……?
俺の錯覚だろうか。それとも俺の方が動揺していたのか。

「佐々木さん、あなたがキョンにキスしたのは不可抗力だったって言いたい訳よね? で
もね、そもそもあなた、どうして寝ているキョンをのぞき込んでいたりしたの?」
ハルヒは傷口をえぐるように、さらに核心に迫った。
しかし佐々木はそれには動じずに、
「何も問題はないでしょ。わたしはキョンの寝ている姿に純粋に興味を覚えたの。いつも
難しい顔をしているキョンが、考えられないような無邪気で無防備な顔で眠っているんだ
もの。見つめてしまうのもしょうがないことでしょ?」
何か恥ずかしいぞ。それにいつもの佐々木らしくない、ストレートな物言いに思えるのは
俺の気のせいだろうか?

しかし佐々木といい妹といい、俺をいったい何だと思っているんだ。俺の寝顔はそんなに
ガキっぽいというのか?
って、ミヨキチまでコクコク頷いているじゃないか。いつの間に俺の寝顔を見たんだ。

「じゃあ涼宮さん、今度は私から尋ねさせてもらうけど、あなたはどうしてそんなにキョ
ンにこだわるの? キョンが誰とキスしていたって、あなたには関係ないはずでしょ?」
思いも掛けない佐々木の逆襲に、あっという間に守勢に立たされたハルヒは『ぐっ』と詰
まり、しばらくの間答えられなかった。
「しょ、しょうがないじゃない。あたしはSOS団の団長で、キョンは団員その1なんだか
ら。団員の風紀の乱れを気に掛けるのは団長のつとめでしょ!?」
やっと紡ぎ出した言葉だが、無理があった。と言うより無茶苦茶な屁理屈だ。


86:スクウェア・ラブ
07/05/05 22:10:27 t1NnuJHr
しばらくの間、2人の間で鉄を切断したかのような火花がバチバチと飛び交ったような気
がした。
「涼宮さん。あなた、詭弁という言葉を知っているかしら? 今のあなたの言葉がまさに
それよね」
佐々木はじっとハルヒを見据えてそう非難した。
耐え難い空気だ。神々の戦いといおうか、このまま世界が滅亡してしまうんじゃないかと
思えるほどだ。
ええと、俺この部屋を出て行っても良いかな? そろそろ胃がキリキリと痛み出してきた
んだが。

しかしそれだけに止まらず、佐々木はガゼルの首筋に噛み付くリカオンのように、トドメ
だとばかりにハルヒに禁断の言葉を突きつけた。
「涼宮さん。あなた、キョンのことどう思っているの? 聞かせてもらえないかしら?」
俺の体中から、何か嫌なものが吹き出してきて、ガマの油として売り出せそうな勢いなん
だが、いったいこれはどうした事だ。
だがハルヒは意外にも押し黙り、
「あ、あたしはキョンの事なんて……どうとも……思って……いないわ」
ハルヒはたどたどしくそう答えるのが精一杯だった。いつもの勢いがないのはどう言った
ことだろう?

だがそこまで答えたハルヒは、最後の抵抗とも言える質問を佐々木に投げつけた。
「佐々木さん、じゃあ聞くけど、あなたこそキョンのことどう思っているわけ? あ、親
友なんてのはなしだから、正直に答えてね」
ハルヒはそんなことを言っているが、佐々木には『親友』それ以外の答えがあるのか?
あいつは恋なんて精神病の一種だと言い切った女だぜ。お前と一緒でな。
しかし佐々木は、俺がこれまでに見たことのないような逡巡と、動揺ともとれる表情の変
化を見せ、仄かに頬に朱が差して見えたのだ。

「わたし、わたしは……キョンのこと……」
そこまで言いかけたとき、今まで静観していたミヨキチが突然口を開いた。
「あ……あの!!」
一瞬で静まりかえるハルヒと佐々木。そして唖然としながらここにいる全員がミヨキチに
注目した。
「ミヨキチちゃんなあに?」
「わ、わたしもあります!」
なにが?

「わたしもお兄さんとキスしたことがあります!!」

「ええーー!?」

見事にハモる俺たちの驚愕の声。いったい何度目だ?
焼けつくような非難の視線を重機関銃のように俺に乱れ打ちするハルヒと佐々木。
そのロリコンを見るような眼はやめてくれ。俺はノーマルだから。

ミヨキチはこれ以上ないという赤くした頬をしながら、
「あの、わたしもお兄さんの寝顔を見ていたら、押されて……」
押されてって、妹にか?
おとなしくうなずくミヨキチ。

87:スクウェア・ラブ
07/05/05 22:11:55 t1NnuJHr
佐々木だけでなくミヨキチまでとは、妹のやつ……。

――常習犯かよ!!

だが衝撃の事実に口もきけない俺達。
それにどうしてこのタイミングにミヨキチが突如として告白したのか、その意図が掴みか
ねた。
だがハルヒは石化が解けたようにゆっくりと口を開き、
「あんた、いったいどういことよ。このロリキョン!」
「キョン、僕は人の趣味についてとやかく言うつもりはないが、犯罪はよしたほうがいい
よ」

さっきまでいがみ合っていた二人とは思えないほどの見事な連携攻撃。
「いや、だから不可抗力だと言っているだろ?」
そんな二人の前に立ちはだかるようにミヨキチが俺の前で、
「お兄さんを責めないでください。わたしはその、気にしてないと言ったら嘘になるかも
しれませんけど、不可抗力ですし、それに決して嫌だなんて思っていません。むしろ……
いえ、なんでもありません!」

ミヨキチは真っ赤になったまま、妹とともに部屋の外に出て行ってしまった。
ハルヒと佐々木はミヨキチのそういった様子を見つめていたが、不意に俺を睨みつけた。
なんだ、俺を責めるようなその視線は?
だがハルヒは緊急停止した原子炉のように急速に熱が冷めた表情になり、
「ふう、なんだか白けちゃったわね。もういいわ。キョン、罰ゲームは貸しにしといてあ
げるわ。この辺でお開きにしましょうか?

何だかわからないが救われた気分だ。
ミヨキチには感謝してもしきれないな。今度お詫びを兼ねて何か御馳走してやろう。

だが、もしあのまま二人のいさかいが続いていたとしたら、佐々木はなんて答えたんだろ
うな。




10分後、俺は撤退する敵軍を物見に立った斥候のようにハルヒを見送った。
そして俺は佐々木を家まで送るため自転車の荷台に彼女を乗せた。
そして陽が傾きつつある中、ママチャリを漕ぎゆく。

「キョン、今日のことでひとつ思ったんだが、君は実に女性に振り回される人間だな」
そうだな。俺もそう思うよ。やれやれ、厄介なことだがな。
「そこでだ、キョン。僕は思うに、君のような人間には僕のような参謀役が必要だな。特
に涼宮さんのような人が相手では……」
「そうだな、できればずっと付いていてくれると助かるよ」

「キョン……それは……?」


88:スクウェア・ラブ
07/05/05 22:13:56 t1NnuJHr
「ああ、何しろお前は『親友』だものな」

「……キョン、自転車を止めてくれないか?」
俺が何か気に障ることを言ってしまったのか、佐々木はムッとしたような表情で、突然俺
に停車を命じ、さっさと降りた。
そして……、
「キョン、キミには責任を取ってもらわなければならないな」
責任? 何のだ?

「しらばっくれてもらっては困る。もちろん、僕の唇を奪った責任だ。それを取って欲し
い」
「ちょっと待て佐々木、お前もあの時、不可抗力といっていたじゃないか。それを今に
なってなぜ?」
「しかし、僕の唇を奪った事には変わりないだろう?」
唇を奪われたのは俺の方だと言いたかったが、佐々木の迫力に負けて言い出せなかった。
そしてやむなく佐々木に責任を取ると約束した。

「それではキョン、こういったのはどうだい?」

佐々木から提案された責任の取り方を聞いて、俺は大いに血の気が引いた。

再び俺の目の前に暗雲がたれ込めた事を感じつつ、頷くしかなかった。


終わり

**

以上です。タイトルは三角関係のさらに上の、四角関係のようなものだと思っていただければ
よろしいかと。
では。

89:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 22:20:03 SiInKB/f
乙!
妹ちゃん確信犯だなw


90:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 22:21:24 s2RSmbrf
>>81~88
ニヤニヤが止まらん!!GJ!!!w
そこでミヨキチが来るとは…ヤラレタ

91:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 22:24:18 pW+UIEen
>>88
GJ!
焦って口調を間違えた佐々木に萌えたw
キョンは佐々木に何を提案されたんだろうw

92:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 22:28:53 A3J2yLC9
>>88
これはGJ!
キョンはなんて罪深い男なんだw
萌えるところが多くてよかったよ

93:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 22:29:34 pHPTCVKD
>>88
ミヨキチGJwwなんてカオスなキョンの自室なんだwww
流石キョン天然タラシ君だよキョン

94:名無しさん@お腹いっぱい
07/05/05 22:31:16 n0q2mcGw
>>88GJ!!
てか佐々木さんの提案が気になる・・・

95:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 22:32:04 MOX5ulcF
>>88
ぐ、GJぅぅ!まさか4人全てに萌えてしまうとは…やられたよ…

96:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 22:38:34 T01fokFr
             -‐ '´ ̄ ̄`ヽ
             /         \
         / / / .ィ ./ヽ.Y l .', ヽ
        ,' ! -/7'Y /|' "´ヽ|. !!i '
        !  !.トノ  リ  `ヽ ! !ノ、i !
        ,'' l l l ●    ● l丿 ! リ キョーン
           !;!l|ヘ⊃ 、_,、_,⊂⊃j l丿i/
           |/⌒l,、 __, イァト|/| |
          ./  /|___|/  ヽ
          ||  l        彡,

97:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 22:47:17 MOX5ulcF
佐々キョン バカップル
『あつい』
キョン「暑い…」
佐々木「………」
キョン「暑い…」
佐々木「いい加減にしてくれ。キミが『暑い』と発したのはこれで38回目だ」
キョン「何で数えてんだよ…」
佐々木「無論、愛しのキョンの事…だからだ」
キョン「…そうか」
佐々木「それに『一緒に勉強しよう』と誘ったのはキミの方からだろう?せっかくのデート日和を潰してるんだ。せめて有意義に過ごそうじゃないか」
キョン「わかったわかった」
・・・
佐々木「………」
キョン「…暑すぎる…上だけ脱ぐが気にするなよ」
佐々木「…ああ」
キョン「………」ヌギヌギ…
佐々木「………」ブバァッ!
キョン「佐々木!なんで鼻血なんか出してんだ!」
佐々木「大した事はないよ。ただキミの裸体を見て妄想が広がっただけなんだ」
キョン「そうか…」
佐々木「そうだ…」
キョン「体調悪いなら勉強はやめて昼寝でもするか?」
佐々木「そうだね…」
ギシッ
ゴロン
キョン「ほら、腕枕してやるから来いよ」
佐々木「!」
キョン「嫌か?」
佐々木「…まさか」
ギシッ
ゴロン
コテッ
佐々木「熱い…」
キョン「そうだな…確かに今日は暑いな」
佐々木「違う、熱いんだ…僕の体がね…」


その後、何があったかは言わない。俺と佐々木、二人だけの秘密だ。

…夏の『暑い』日に…
…二人の『熱い』体…
しかし、
…佐々木の胸は『薄かった』事を記して置こう。

END


98:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 22:54:49 0GSJT6Hg
>>97
二人で小さなビニールプールで水遊びですか?
ととぼけてみる。

99:名無しさん@お腹いっぱい
07/05/05 22:56:28 n0q2mcGw
>>97
最強的なバカップルだ。佐々っ、佐々っ、アーーーッ!!

100:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 23:01:06 mp0oNsWh
>>97
薄いって味が?

101:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 23:05:58 s2RSmbrf
>>100
(*゚д゚*)

102:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 23:09:05 yjG539zR
 しかし、なんだ100レスも行っていないのに、この攻勢はすごいな、これぞGWクオリティか。

>>64
 いいよ、いいよー。GJ

>>69
 小綺麗にまとまってていいね。

>>81
 ミヨキチ参戦、万歳!! やってくれると思ってました。〆の佐々木もGJだ!!

>>97
ちょ、寸止めktkr


103:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 23:11:08 pW+UIEen
>>97
なんというエロス…
情熱を持て余す…

104:18
07/05/05 23:14:44 0RE1JwLp
桜が舞う・・・にはもう少しといった感じの、それでも肌寒さを感じない程度に
適度な暖かさを感じながら俺は中学の3年間を今日、終えた。
つまり、今日は中学の卒業式だ。

「これからは寂しくなるね。キミと会ってからの一年はまさに光陰矢の如く早かったように思えるよ。
僕の中学生生活においてもっとも輝かしい期間だったよ。」

感慨深くそう述べる佐々木だが、そこまで言われると逆に気味が悪い。
そんなに俺のことを持ち上げても何も出てきやしないぞ?

「くっくっ どうやら僕はこの一年でキミに図々しい女だと見なされていたらしいね。
同じ校舎で同じ時間を過ごせるのは今日が最後なんだ。
惜別の言葉くらい送ってもかまわないだろう?」

やれやれ、と口にしようとしたが佐々木の言った通りだ。
これで俺と佐々木の関係も終わる。いや、別に付き合ってたとかじゃなくてだな、
友人としての関係という意味であって・・・って俺は誰に弁解しているんだろうね。

「確かにな。お前みたいな奴とは二度とお目にかかれないだろうな。」
「だろうね。安易なトートロジーを述べるつもりはないのだが、僕は僕であって
僕以外の誰でもないのだからね。それに・・・キミもね。」

最後の言葉に変に熱がこもっていた気がしたが気のせいだろう。

それにしても、この小難しい話しも今日が最後かと思うと今更だが寂しくなるな。

105:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 23:16:15 PpCaK6Jm
>>88
キョンの末期的な鈍さに吹いたw
何でそれをそうとらえる!とツッコミ入れまくっちまったよ。

106:18
07/05/05 23:18:10 0RE1JwLp
などと思っていると佐々木がポツリと呟いた。

「ねぇ、親友。僕のこと、忘れないでおくれよ?」





俺が佐々木に(でなくても他人に)キョンではなく親友と言われるのは初めてだ。
ついでに言うと俺の本名及び苗字はあだ名を知られて以来言われていない。

佐々木がなぜ俺を「親友」と呼んだのか。その心中はわからない。
だが、いくら俺でもこんな場合なんて答えなければならないかはわかっているつもりだ。


若干の気恥ずかしさを覚え、俺は頭を掻きながらこの一年間の佐々木との思い出を胸に秘めこう答えた。

「あぁ、当然だ親友。」

もし佐々木を忘れることのできる奴がいたとしたら俺はそいつを24時間体制で監視したいものだね。

「そうかい。くっくっ ありがとう。キョン」
いつも通りの独特に笑う佐々木の表情は、今まで見たことのないような綺麗な笑顔だった。


桜が舞うにはもう少し・・・と言ったが前言撤回だ。桜はここにさいていたんだな。




やっとSSが書けたのだが他の職人が神過ぎてなんか見劣り感が・・・orz

107:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 23:23:17 stihhL3c
>>88
GJ!なんというカオスw
焦る佐々木かわいいよ佐々木

108:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 23:23:35 SiInKB/f
>>106
GJなんだぜ!


109:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 23:32:40 A3J2yLC9
>>106
いいねぇ
こういう清らかな関係の佐々キョンも好きだ

110:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 23:44:59 pW+UIEen
>>106
GJ!
この二人の関係って本当に良いなぁ

111:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 23:48:08 s2RSmbrf
>>106
桜はここに・・(´;ω;`)ウッ…

112:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 23:49:25 pHPTCVKD
>>106
GJ!きっと二人とも良い顔で笑ってるんだろうなあ。本当にこいつらはかわいいぜw

113:月の悪戯
07/05/05 23:58:34 SiInKB/f
……どうしたんだろ?今日の私は少しヘン。
さっきからキョンが話も半分くらいしか耳に入ってこない。
何だか夢の中にいるみたい……。
「お~い、着いたぞ」
キョンの言葉で、ふと我に返る。
もう着いちゃったの?
ふふっ、ホント……どうしちゃったんだろ……
「キョン、見て……満月だよ」
「ん?あぁ~ホントだ。全然気がつかなかっよ」

チュッ

「!!?お、お前」
「くっくっ、いつものお礼だよ、キョン。じゃあ、また明日」
キョンったら、ほっぺた押さえてボーッとしちゃってる。
私もちょっとドキドキしてるよ。
いつもは恋愛感情は精神病だなんて言ってるのにね。
満月のせいかな?ホント……今日の私はヘンだよ。


114:月の悪戯(佐々木の部屋)
07/05/06 00:02:41 mIslY5oM
うあぁぁぁぁぁっ!わ、私は何て事をしてしまったんだあぁぁぁっ!
明日からどんな顔でキョンに会えばいいのっ!
誰か教えてっ!
……いつも通り送ってもらって……月が綺麗だなって……
キョンが月を見上げてるのみたら……つい……
ほっぺに……チュッて………
んあぁぁぁっ!お、思い出しただけで、か、顔が……!
へ、変な女と思われたかな?いや、変だったけど……
ん~バカバカバカバカバカバカ!私のバカァ!
と、とにかく…明日キョンと学校であった時のシュミレーションしとこう……
キョンはこういう事には疎いから、なんとかなるハズ。
今回ばかりはキョンの鈍感が救いだよ……
だから、明日からもいつもと変わらないね……


ホント……鈍感なんだから………………キョンのバカ……

115:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 00:09:58 0MmTQJHF
これがGWの力だというのか……
次から次へと良作が投入されて、とてもではないが読みきれん
というかいつの間にパート5まで来てたんだ?

116:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 00:13:56 CPBdlJwJ
>>114
ササッキーかわいいよササッキー

117:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 00:15:38 mIslY5oM
前スレは特に進行早かったなぁ

118:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 00:20:34 uigYdrI0
佐々木は泣いていた
この世の何より純粋で無垢な涙を流しながら、心の中の言葉を紡いだ

「キョン、僕は君の傍に居ていいのかい……?」
俺の答えは決まっている
その答えを伝える決心もできている

「ああ…もちろんだ…………いや、違うな。ずっと傍にいてくれ、佐々木。親友としてじゃなく、恋人として!」

この言葉を伝えた瞬間に、もうあの日常には戻れない事も知っていた。……それでも俺は佐々木に伝えなきゃいけないんだ。
俺は自分の心に嘘をついたまま生きていけるほど器用じゃないんでね

「…僕は君から大切なモノや時間を奪ってしまうかもしれない。それでも、傍に居ていいと言ってくれるかい?」

そう。もうハルヒ達との時間は過ごせなくなるかも知れない。
それでも、その時間を代償にしても、俺は佐々木と歩むことを決めちまった

「何度も言わせるな。俺はお前の傍にいたい。佐々木に傍に居てほしい。」

「ありがとう……キョン。僕も、君と一緒にいたい」
俺達は寄り添って生きていくんだ。
俺たちに二度目の別れはいらない。




何か、ここだけ浮かんだよ……orz
明日にでもPCで肉付けしたいと思う

119:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 00:22:47 v2pXFAH8
>>117
GWとかみんな何してんだよwwwと思った。自分ですか?ずっと家にいましたよ…

120:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 00:27:16 mIslY5oM
>>119
俺は仕事だったよ……

121:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 00:27:32 91AUrtcB
一日一回佐々木かわいいよ佐々木ぃぃぃぃ!!

122:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 00:42:43 CPBdlJwJ
URLリンク(up2.viploader.net)
こんな感じで二人で祭りに出かけたことがあったんだろうか?

123:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 00:44:19 v2pXFAH8
>>118
俺はお前を待っていた…
>>120
お疲れ様です…自分は佐々木のおっぱいについて思考を巡らせていました…

124:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 00:46:24 xNSDwvL1
GWも新宿は混んでたぜ
服の買い物に付き合わされて暇だったので、佐々木とキョンはどうだったのかと現実逃避してた
相手もまさか「どう?」と聞いてる相手がラノベの登場人物に思いを馳せてたとは思うまい

125:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 00:48:45 tpLM8+QB
ササッキーみたいに自分の考えてること思うことを深く話せる女の子が学生の頃に居ましたよ
今でも彼女と色々話したいと思うことがある
話しているうちに自分が高められていくのがわかるんですわ
思えば俺は果報者でした・・・
そして俺は本当に馬鹿でした・・・ああ・・


126:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 00:50:04 mIslY5oM
>>123
まぁ、仕事中にムラムラしてSSなんぞ書いてしまった訳だが……


127:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 00:52:41 u+WaZl12
>>125
ササッキーにはなんとなく、
心の古傷をカリカリ引っかかれるような
なにかがあるんだよね。

128:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 00:54:41 cmr9/+pQ
>>122
素晴らしいな

129:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 00:56:11 v2pXFAH8
>>126
ちょw仕事中にですかww
世界を盛り上げる佐々木さんが、あなたの股間を盛り上げたんですね?
>>122
佐々木かわいすぎるよ佐々木

130:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 00:57:57 lg9UZVu7
>>122
その絵柄見たことあるな
優しい感じの好きだな

>>127
それはあるな、本当に

131:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 00:59:11 cmr9/+pQ
>>129
ちょw誰が上手い事言えと(ry

132:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 00:59:45 Qj0jzro1
>>122
行ってるんじゃないかな
そして二人で屋台まわって金魚掬いしたり花火を見たりして…
やばい、妄想したら萌えてきた

133:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:01:33 AreQHc9i
>>132
それだけのフラグを立て、そして全てへし折って来たキョンに萌える

134:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:04:46 uigYdrI0
>>123
ありがと
明日に投下できるか分かんないけど頑張ってみるよ

135:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:04:49 v2pXFAH8
>>133
キョンはフラグクラッシャー協会から認定されてる男だぜ!フラグの十本や百本は簡単に折りますよ。

136:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:06:19 fYWCTtzp
ぷにっ「ひぇっ!?」

ぷにっ「あわわー!?」

ぷにっ「先生ー!」


「1つ質問をしてもいいかなキョン?
その、なんだ。ゲームの中とは言え女性の胸に触れるのはいかがなものと僕は思うが」

「いやな、この購買部の女性の声が朝比奈さんによく似ているもので、つい」

「朝比奈さん?あぁ、キミの高校の先輩だったかな?」

「あぁそうだ。国木田から教えてもらったんだが、あまりに似ているものだからこれをやるたびについ…な」

「そうなのか。僕はその朝比奈さんには一度しか会っていないから判りかねるが……
 僕ので良かったらなんど触られても─「おっ!予選開始か」

「1回戦はノンジャンルか。久しぶりに優勝したいものだ。って、どうした佐々木?心なしか落ち込んでいるように見えるが?」

「そう見えたのならそれは杞憂だよキョン。くっくっくっ……」




スレリンク(anichara2板:938番)の続きですた。
(元ネタQMA 購買部)

137:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:09:34 Ug7C8G1J
>>113-114
GJ!ルナティックな佐々木かわいいよ佐々木

>>127
本当にカリカリされ過ぎだよ・・・中学時代の記憶を等価交換してネタ錬成してたら
中学の同級生から同窓会やろうぜ電話が来てウボァーみたいな事もあった('A`)

138:1/7
07/05/06 01:11:36 lLMf+wn5
季節は12月上旬
一般的な中学校では期末試験へ向けての準備に追われる時期
さらには最終学年となれば受験勉強へ向けての学習も怠ることのできない時期
参考書や問題集との親交を深めるには非常に良い機会であるこの時期の、ある日……


…………今、俺は猛烈にイラついている。




俺は朝っぱらから母親と喧嘩
不機嫌な母親に勉強のことを突付かれるだけならそんなに珍しくもない、が…
俺だって人間だ、そんなに言われたらたまには反撃する事だってあるさ
さらにはそのおかげで家を出る時間が大幅に遅れた
学校までは全力疾走さ
しかし間に合わず遅刻
そして宿題を忘れる
授業ではやたら難しい問題ばかり当てられて1問も答えられない


そんな俺は今、塾からの課題の分厚い問題集をやっていた
明日までに終わらせて提出しなければならない
全然分からない問題のおかげで、朝っぱらから続くイライラに焦りが積み重なる
あぁ…、この問題集をそこの窓から全力でぶん投げることができたらどれほど気持ちいいだろう……

「負のオーラがやたら出ているね、キョン。」

佐々木だ
いつもの俺ならたわいもない返事を返すことができただろう
しかし今の俺にはそんな余裕はない
よって言葉を発せない

「………」

「塾の課題をやってるのかい?
 くく、まだ半分もあるじゃないか。提出期限が明日ということを君は理解してるのかな?」

「分かってるさ、だから学校にまで持ち込んでやってるんだ。
 ………くそっ、全然分かんねぇ。」


139:2/7
07/05/06 01:12:06 lLMf+wn5
「キョン、この問題集ばかり覗いていても進歩しないよ。
 これと一緒にもらった参考書があっただろう?分からない時はそれも使わないと。
 君は頭の回転も良く利口なほうだとは思うが、勉強を冷めて見すぎていると思う。
 確かにこんな数学の公式なんて知らなくても生きていける、
 不便なことはあるだろうが英語を話せなくても充分人生は楽しめる、僕もそう思うよ。
 だがねキョン、今の日本はそんなに甘くはないんだ。
 学歴なんて関係ない、成功した人でこういったことを言う人はよく見るよね、
 でもそんな成功を収めることができるのは何万人に1人だと思う?
 僕は自分の人生を成功させるために勉強してるんだなんて言わないけど、
 人生を歩む上で重要な選択肢が増えるというのは、ワクワクすることだと思わないかい?」

空いている俺の前の国木田の席に座った佐々木は、ひじを俺の机につき、
手であごを支えながらそんなそうな難しいことを言っていた
平常心を保っていない今の俺にそんな難しいことを言ったって素直に反応できるわけがない

「お前にまで説教されなきゃならんのか、
 そんなことより俺は明日までにこれを終わらせなけりゃならんのだ」

問いを必死に考えつつ、俺はぶっきらぼうに答える
相変わらず分からん
頭に血が上り、脈拍が上がってくるのが分かる

「くっく、今日のキョンの機嫌の悪さはそこからきてるのかい?
 朝にでも勉強のことについて親から叱責を受けた、といった感じかな?
 それならば遅刻の理由も納得できるね。
 それよりキョン、親御さんからそんなに心配されてるのかい?
 何だったら受験や課題についても僕が力に――

「―うるせぇな!」

佐々木にイラついていたわけではない
恐らく…勉強に対して悩みのない佐々木に嫉妬している自分自身にイラついていたんだろう
朝からたまっていたイライラがついに抑えきれなくなってしまった


140:3/7
07/05/06 01:12:57 lLMf+wn5
「……キ、キョン?」

佐々木も動揺しているようだった、それもそうだろう
俺が同年代の友達に対してここまで感情を表したのは初めてかもしれない
こう言っちゃ何だが、俺は結構理性のきいた人物だ
人前で我を忘れて怒り狂うなど、まさかするはずもない

そう思っていたのだが……

「お前はいいよな、俺みたいにこんな苦労する必要がなくて!
 俺とお前は違うんだ!ほっといてくれ!」



………………………



教室の見事な沈黙のおかげでここでようやく現状を把握できる余裕ができた
今は昼休み、ほとんどの生徒が教室で思い思いの時間をすごしている
そんな中に響く怒声、どうやら注目の的らしいね
やれやれ

「すまない、キョン…そ、そんなつもりじゃ――

佐々木が見たこともない顔をしていた
表現はしにくいが…まぁ、佐々木にこんな顔をさせちゃいけないな…
俺がレアなところを見せたお礼なのだろうか
などという場違いなことを考えているほど俺の思考は腐っちゃいなく、
俺の頭ではさっきからの自分の言動がめまぐるしくリピートされていた


30人ほどの人数がいるにもかかわらずこの沈黙
その沈黙に耐え切れなくなった俺はその教室から逃げ出す事しかできなかった

校舎をフラフラと散策しつつ俺は自らの頭を冷やしていた
まさかあんなこと言っちまうとは………
佐々木はいつも通りの対応をしてくれていた、あの場合明らかに俺がどうかしている
何をやってるんだ俺は………


「謝っとかねぇとな………」

自分自身に言い聞かせるようにこんな言葉を吐いていた



141:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:13:06 bK+GduL7
>>136
ワロタwその勢いで佐々木の胸にターッチターッチそこにタッーチ♪するんだ

142:4/7
07/05/06 01:13:42 lLMf+wn5
その後、俺は午後の授業の始業の鐘ギリギリに教室に戻った
まぁ……早くから席についてクラスのやつらから注目されたくなかったんだよ
分かるよな?この気持ち


「ねぇキョン、あれはちょっと酷いんじゃない?」

授業が開始してすぐに前の席の国木田が話しかけてきた
もちろん国木田も一部始終を見届けている

「佐々木さん、泣いてたように見えたけど」

………まじかよ……!
あの佐々木が泣く?…嘘だろ、そんな柄じゃねえぞ
国木田の発言に俺は瞬間的に佐々木の席のほうを振り返ってしまった


いない

「それ」

そういいながら国木田が指差したのは俺の机の右上のあたり
何やら書いてあるのに俺は気付いた


――キョン、本当にごめん


文字体からみても佐々木からのメッセージだった


何でだ

何で俺は佐々木に先に謝らせてるんだ
どうみても悪いのは佐々木に八つ当たりしちまった俺じゃねぇか!

「佐々木さんは………いませんね、
 欠席ではないようですが、どなたか連絡を受けていますか?」

教師が出席を取りつつ佐々木の不在を確認する

「すいません!体調悪いので保健室行って来ます!」

俺は教師にそう告げるや否やダッシュで教室を駆け出した
教師が何やらいっていた気もするがそんなの耳に入っちゃいねえ



佐々木に謝りたかった

143:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:14:04 CPBdlJwJ
>>133
さすがにそれはないw
佐々木は花火が上がっててもうんちく語りそうだw

144:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:14:20 i9c6iypU
>>126
よう、俺

俺、サービス業だから黄金週間だからは忙しいんだぜ
それなのに仕事中SSの構成とか考えてるからミスとかやっちまう
おかげで頭のなかではだいぶ形になってるが
書き出せるのはGWぬけないと出来ない
早く休みが欲しい


あー、もう寝ないといけないな
佐々木さんおやすみ

145:5/7
07/05/06 01:14:22 lLMf+wn5
俺は一目散に屋上へと向かった
何故場所が分かるかって?
1年近くも一緒にいりゃ落ち込んだあいつが居そうな場所くらい分かっちまうんだよ

ガチャ!
校舎から屋上へ続くドアを一気に開ける
ヒュウ、と冷たい風を感じる。やはりもう冬だな
そして手すりにもたれ掛かりこっちを振り返る佐々木の姿を確認した
そのまま駆け足で佐々木のほうへと向かった

俺の姿を確認してから、佐々木は自らの征服の袖で顔を拭っていた
ホントに泣いてたらしいな…

「くっく、涙が出たのはいったい何年ぶりだろうね」

階段ダッシュのおかげで息切れしてる俺をよそに佐々木が呟く

「……」

「キョン、さっきは―――

「すまなかった!佐々木!」

まだ言いたいことをまとめてなかったのだがこれ以上佐々木の方から謝らせるのは許せなかった

だが、どうやらこの一言だけで充分だったらしい
そういえば俺のイラついてた理由も分かってくれてたようだしな、佐々木は


「もちろん許すよ、キョン」

爽やかな笑みを見せつつ返す佐々木
そして少しシリアスな顔になりこう続ける

「でも僕が君に対して失礼なことを言ってしまったことは事実だ、
 そのことに関しては僕のほうからも謝らせて欲しい。ごめん、キョン。」

俺はほんとに馬鹿野郎だねぇ
こんないいヤツにあんなこと言っちまったんだ
自分にも非はあるということにして、俺と対等な立場にしようとしてるんだ
それぐらい馬鹿な俺にも理解できるさ

「……キョン、許してくれないのかい?」

俺が反応できないでいると不安になったのか佐々木はこう聞き返してきた
こみ上げる涙を必死に我慢してたんだよ


「許すに…決まってるだろ」







揃って教室に戻った俺たちをやけにニヤニヤしながら見てくるやつらもいたが、まぁ気のせいにしておこう




146:6/7
07/05/06 01:14:55 lLMf+wn5


――――――――――――――――――――




6「久しぶりにみんなでゲーセンいかねぇ~?

授業後の教室、何のためにテスト前は部活動禁止になっているのか理解してない連中が
余暇の過ごし方について色々と議論している
もちろん、俺の学力と勉強実績では『テスト前なんだから早く家帰って勉強しろ』なんて事言っても
全くサマにならない事はとっくに理解しているしやろうとも思わん

「キョン~、おまいもゲーセンでも寄ってかねぇか?」
「悪いな、俺は塾の課題ってもんがあるんだ、ベンキョウすんだよ」
「ノリわりいぞ~」

などというくだらんやり取りをしていると、佐々木が隣に居ることに気が付いた

「お、佐々木か」
「キョン、これから君の家へ行っても大丈夫かな?」

いきなりの自宅訪問要求に多少戸惑ったが
佐々木が家に来ることは初めてではなかったので来られても特に困るようなことはなかった

「あ、あぁ、別に構わんが……やることねぇぞ、
 俺はこいつ終わらせないといかんしな」

俺は問題集を指差しながら答える

「だから、だよキョン。終わるまで力になるよ。」
「はは、そりゃ心強いな」

佐々木が家庭教師をやってくれるというのなら、明日までには何とか終わらせそうだな、
……いや、問題集半分もあるんだった。徹夜でもしねぇと無理なんじゃねぇか、
などと考えていると佐々木が他の女子に話しかけられていた

「佐々木さーん、この後暇ならあの喫茶店寄ってこうよ。あの最近できたっていう―

どうやら5~6人の女子グループに誘われているようだ

「あー、ごめんね。今日はちょっと無理なんだ」
「そっかぁー、……あ、もしかしてキョン君が先客~?」

そんな意味深な目で見られてもなぁ、

「確かにこれから佐々木の世話にはなるが、そんなんじゃ――
「そうなんだ、どうやら今日は家に帰してくれそうになくってさ」


俺の言葉を遮って佐々木がそういうや否や数名の女子グループの
中心に隕石が落ちたかのようにキャーキャー騒ぎ出す

俺の後ろにいた男子のツレも、何やら騒いでいる
うるせぇなあ、裏切り者ってなんだよおい!




147:7/7
07/05/06 01:16:59 lLMf+wn5
「おい佐々木、あいつら何か誤解しちまったんじゃねぇのか?」

帰り道、まだ4時すぎなのにもかかわらず日も短くなったもんだ
と実感させられる太陽の低さを視野に捕らえつつ言った

「何故だい?本当のことだろう。
 あの課題の量じゃ、僕が付きっきりで教えても今日中に終わらせるのは中々に厳しいんじゃないかい?」

あの時やっておけば……という後悔を何度もしているのに、
何故俺はまた同じ後悔をする羽目になっているんだろうねまったく、と思いつつ返す

「まぁ、そうだろうが……」

「それに、僕は構わないよ。誤解されていても」

素っ気無くそんなことを言ったので俺は隣に居るのが本当に佐々木かと確かめてしまった
俺がこんな反応をすることを予想していたのか、佐々木は少し得意げな顔をしていた

だが佐々木は気付いているのかね




自分の顔にほんのり朱が染められていたことに

そんな佐々木を見つつ、俺もその時思ったことを素直に言葉にした




「―俺もさ」


―――― Fin ――――

佐々木スレでは3作目の投下となります
倉庫に置いてありましたが流れに乗って投下
もう少し短めにまとめようと思ったのですがちょっと伸びすぎました。。

148:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:23:47 jB9Utw77
こういうの大好きだ。
GJ

149:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:25:21 i9c6iypU
>>147
スマン割り込んでしまった
GJ!

今度こそ本当に寝るよ

150:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:25:35 CPBdlJwJ
スマン、割り込んだ…
GJ!
本当にこの二人は仲がいいな

151:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:26:18 cmr9/+pQ
これはイイ佐々キョンだ
GJ!

152:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:26:51 uigYdrI0
GJ!!!!!!
こういうの好き

153:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:30:47 mIslY5oM
GJ!
なんか青春だな!

154:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:31:04 Qj0jzro1
GJ!
こういう感じの佐々キョンは初めてだな
周りからカップル扱いされてるのにまんざらじゃない二人がいいね

155:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:31:32 XfWBWey5
おめえら 俺の佐々木をあんまり泣かすなよ GJ

156:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:32:06 91AUrtcB
これは…あまりにも感情移入しすぎたせいか…涙がこぼれるところだった…

あまりのGJ具合にありきたりな称賛の言葉しか思いつかない

157:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:37:09 fgjbxdvK
GJ!
つい感情移入してしまって泣きそうになった。
今日はいい夢を見ながら寝れそうだ。

158:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:39:31 v2pXFAH8
>>147
GJとしか言えない自分の語彙の少なさが悔しいっ!ビクッビクッ それにしても青春してるなぁ…

このスレにいる人に『Kiroro』を聞くことをお勧めするよ。
つうか深夜なのにまだ人大いな…




佐々木かわいいよ佐々木

159:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:48:11 lg9UZVu7
>>147
ちょっとした障害があった方がより恋が深まるのね。
喧嘩で動揺もあった所為か、その後の佐々木の態度がちょっと素直っぽくなってるのが可愛いな。
というか最初の頬杖をつく佐々木ってのも何気に破壊力ある

160:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:49:55 ZCPETwMR
ぐっじょ
良くも悪くもあと一月ほどでこういうSSは読めなくなるかもしれないんだなあ
それまで心置きなく妄想しとくか

161:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:50:33 mIslY5oM
このスレは夜行性だなww

162:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:51:19 u+WaZl12
昼間もかなり元気だけどなw

163:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 01:55:26 v2pXFAH8
お前らいつ休んでるんだよww
べ、別に心配なんかしてないんだからねっ!

164:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 02:28:42 CPBdlJwJ
佐々木がどんなパジャマ着てるか想像しながら寝る
おやすみササッキー

165:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 02:30:06 VAIB6B0j
シフト制のためゴールデンウィークなのに全部仕事だった俺が通りますよ
飲み会でみんな祝日は休みと聞いて凹んだ

俺頑張ったから日曜日は俺が佐々木を独り占めしてもいいよね

166:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 02:39:49 Qj0jzro1
>>164
黄色いパジャマ着てたりして

>>165
残念だがそれは無理だな

167:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 02:57:34 FL9efRct
>>147
 GJ、くそう、いいなぁ青春だなぁ。

 こんなSSの後では気が引けるが、一本できたので投下、4レス予定

168:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 02:58:15 MWscItqV
こんな深夜ならいける!

10分佐々木!

169:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 02:59:12 mIslY5oM
だが阻止

170:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 03:00:58 GauIeeen
はやいな

>>167
wktk

171:いろがみ 1/4
07/05/06 03:01:51 FL9efRct
「いろがみ」

 まいどまいど、馬鹿馬鹿しく思うんだが、この寄せ書きってのはどういう習慣になるのかね。
そんなことを思いながら、俺は色紙に書く担任教師へのお別れの言葉を考えていた。オリジナ
リティの溢れる文面にしようと考えるモノの、下手の考え休むに似たり、一向に進まぬ。終い
には、“ご苦労様でした、キョン”と綴るのが精一杯というところだ。本名ではなく、クラス内で
本名より知られた通名で書くあたりが抵抗の足跡か、色紙をひょいと隣席の佐々木に手渡した。
 佐々木は、ふむと短く嘆息し、色紙を一瞥した後に、筆箱から筆ペンを取り出した。そして、
“一期一会”となかなかの達筆ぷりで一息に書いた。さらさらっと署名。
 その迷いのなさに思わず、理由を聞いてしまったのも無理からぬというところだろう。
「ん、なんで“一期一会”なのかって? うむ、こういう寄せ書きのたびに記入する文章を考
えるのは無意味だとキミは思ったことはないか、僕はそう思っている。そこで、よっぽどのこ
とがない限り、どんな寄せ書きでも、僕は自分の好きな言葉を書くことにしている。その言葉
を今回は一期一会にしてみただけのことだ」
 なるほどなあぁ。ヘンに納得させられるな。一年受け持ってもらった担任教師には、ちょっ
と失礼じゃないかと思わないでもないが、俺の書いた言葉だって決して褒められたモノじゃ
ない。それなら、佐々木の流麗な一筆の方がよいようにも思えた。
「キョン、聞いてくれないか。そして、良ければ僕の疑問に答えて欲しい。毎回、疑問に思っ
ているのだ。ああいう寄せ書きをどうして色紙の裏に書くのかね。クラスのメンバー全員で、
先生に対して感謝の意を述べるというのに。それこそ大いに失礼に当たるのではないかと
思うのだが」
 色紙って、白い方が表だろう。
「何を言っているんだ、キョン。白い方が表なのだったら、アレは白紙だ。色紙なのだから、
色の付いている方が表に決まっているだろう」
 うお、確かに、言われてしまえばその通りだ。うっ、俺が知らないと思ってやがったな。
なんだその、悪戯がうまく行った悪ガキみたいな得意な笑顔は。あ~あ~、俺は知りませ
んでしたよ、そんなこと。
「たとえば、これがサイン色紙であるのなら、裏書きするのは分かる。自分は色紙の表に書け
るような人間ではありません、という遠慮の心と捉えることも可能だからだ。しかし、師に対し
て感謝の意を述べるのに、そんな遠慮をしていては返って失礼ではないかな」
 むむむ、それは確かに。だが、言っておくが、このクラスで色紙の白い方が裏だって思って
いるのは、たぶん、お前だけだぞ。
「そうなのだよ。うむ、それも分かっているんだ。だから僕はああいう寄せ書きを受け取るたび
に僕だけは表に書こうかと数瞬、悩んでしまうのだよ。まぁ、これはキミだからこそ話した、
僕の秘密のひとつというわけだ」
 寄せ書きを見て、思っていたのはそれか。
「そうだ。僕は寄せ書きを受け取るたびに、うまい悪戯を考えついた小学生のような気分になっ
てしまうのだよ」
 わかったよ、じゃあ、俺がお前から何かを受け取るようなことがあったら、キチンと裏面も
見ることにするぜ。
「ああ、キョン、ぜひにそうしてくれたまえ。知っての通り、僕は結構へそ曲がりな所がある
からね」
 まったく、口の減らないヤツだな。
「もちろん、それもよく言われるよ。そうそう、キョン。色紙ついでに教えておこう。色紙と
は元々は和歌を記すための物だ。小倉百人一首などの和歌さ。ちなみに百人一首は、鎌倉時代
の歌人藤原定家がある貴人の別荘の襖色紙に載せるために依頼を受けたのが始まりだそうだ。
定家は壁一面に百枚の色紙を貼り付けて、あーでもない、こーでもないと悩んだようだよ」
 そりゃまた、ずいぶんと広い壁をお持ちのようで、うらやましい限りだな。
「実際どのくらいの広さだったのかはさすがに知らないがね。一面に百人一首が描かれた襖は、
なかなかの風流だったのではないかな」
 風流か、俺にはまったく縁のない話だな。

172:いろがみ 2/4
07/05/06 03:04:28 FL9efRct
「キミが朴念仁なのはいい加減よく知っていたつもりだがね、言うに事欠いてそれはないだろ
う。落花流水の心を忘れてはいけないよ」
 落花生?
「あ~~、もういいよ」
 そう言うと、佐々木はぷいすと横を向いた。周囲のクラスメイトがこっちを見てくすくすと
笑った。
「そこまで言ったんだ、今日の放課後は開けておきたまえ、キミに付き合ってもらいたい場所
がある」
 ん、付き合うのは構わんが一体何をするつもりだ。
「お茶を飲みに行こう。美味しい茶菓子もでるのだ。そうだな、午後二時にキミの自宅まで迎
えに行くよ、家の前で待っていたまえ。ああ僕らは学生だから、格好は制服でよい」
 なんだよ、ドレスコードのある喫茶店なんかあるのかよ。
「まぁ楽しみにしていたまえ。キミの期待を裏切ることはないよ」
 そういって、佐々木はにやりと唇を歪めた。考えてみれば、イヤな予感はしていたんだよな。
この時に。


 午後二時、家の前に立っていたら、音も立てずに、黒塗りの高級日本車が着いた。なんだな
んだと思っていると、運転手らしき男が降りてきて恭しく後部座席を開けるではないか。まさか
……そこから新緑色の振り袖も艶やかな佐々木がどこの良家の子女かというような優雅な動
きで降りてくる。
「やぁ、キョン。待たせてしまったようだね。行こうか、乗ってくれたまえ」
 な、なんだ。何が起こっているんだ。分からぬまま俺は車に乗せられていた。俺たちを乗せ
た車は再び音もなく動き出す。これ、返って危険なんじゃねえか。
「そうだねぇ。最近の高級車は逆に始動時などは音が出るようにしているものもあるようだよ、
むろん、内部的には静穏を維持してのレベルで」
 で、佐々木よ。俺は一体、どんな企みに付き合わされるんだ? 茶を飲みに行くのではな
かったのか?
「ああ、その通りさ。母の付き合いのある人がね。今日、野点を開いているのだ。それに参加
させてもらうのだよ」
 のだてってなんだ?
「野点とは野外で自然の風物を愛でながら茶会を開くことさ。古くは武士たちが狩りを行なっ
た際に、一緒に茶も飲んだことから来ているようだよ。時期的に見て、おそらく今回の主役は
桜、ソメイヨシノだね」
 お前はいいが、俺はどうなる。こんなくたびれた制服で顔を出せる席なのか、それは?
「そうだな、せめてシャツはキチンとズボンに入れたまえ。あとは上着の前をキチンと止めて、
うん、これでよい。キミは中学生なのだから、制服がフォーマルだ、問題はない。それに野点
では、それほど五月蠅くは言われないさ、特に今回のように不特定多数の人々が参加するよう
な催し物ではね」
 わさわさと、佐々木が制服の前を止めて、髪の毛を弄る。やめろう。お前は俺のお袋か。
「やや、これは失敬。どうにも、近所の子供を見ているようでね」
 悪うござんしたね。

173:いろがみ 3/4
07/05/06 03:07:39 FL9efRct
 そんなことをしている間に、車は純和風の屋敷の前についていた。
「さぁ、ついた。それでは僕はここから少々大きめの猫を被るからね、普段と違っていても
笑ったり、不用意な発言をしては、いけないぞ、キョンくん」
 そういって、佐々木は静かに微笑んだ。ああ、そうだな。わかりましたさ。
 車は音も立てずに、車宿りに止まる。見れば周囲は、同様かそれ以上の高級車ばかりと来た。
 運転手が俺の横のドアを開け、慇懃に一礼。俺はそれにうながされるようにまろびでた。
伸びをして、振り返ると、車内からは佐々木の右手が、すっと差し出される。
 どうした、降りないのかよ?
「キョンくん、エスコートしてくれないの?」
 あ、さいですか。気が利かずに申し訳ない。俺が手を取ると、舞踏会にやって来たお姫様の
ように優雅に降りてくる佐々木なのだった。しまったな、ちょっとドキドキするかも……。
 おいおい、佐々木相手に俺は何を考えているんだ。
 で、どっちいくんだ。お嬢様。
「キョンくん、こっちよ」
 佐々木が右手の袖をそっと押さえながら、手のひらで方向を示す。へいへいってなばかりに
そっちに向かう俺なのさ。


 そのお屋敷の庭園は見事な日本庭園であり、そこかしこに傘と簡易のベンチのような物が
置かれていた。客たちはてんでバラバラに邸内を散策しているようだ。確かに、あんまりお堅
い集まりとも思えないなぁ、これは。
「どうだい、なかなかの物じゃないか、良く手入れされた庭園という物は見ているだけでも
気持ちがよい、そうは思わないか」
 近くにいるのは俺だけなので、佐々木はいつもの口調で、問いかける。
 ああ、そうだな、と俺は心あらずという風に、答えていた。いや、それがすんごい美人が
向こうで茶を点てていたのだ。平安期のお姫様のような翠がかった長い黒髪は、桜色の振り袖
に良く映えていた。あっ痛、っっ、耳引っ張るな。
「何を鼻の下を伸ばしているんだね、キミが見るのはこっちだ、こっち」
 そういって、ぐりんと俺の首を反対方向にねじ曲げる佐々木、やばい、その方向はやばい、死ぬ。
 だが、その抗議も中途で消えた。そこには見事な桜の古木が立っていたのだ。
 苔むした幹には悠久の時を過ごした証明だ。こいつは、軽く見積もっても、俺たちの10倍は
生きているのだろう。それが、今年も見事な花をその枝一杯に開かせている。薄紅色の花は、
周囲の緑の中で、その木を浮かび上がらせる見事な働きをしていた。人によって計算され尽く
された自然の美。だが、この艶やかな花は決して、計算では開かない。そして、その花の下、
新緑色の振り袖を身に纏った佐々木はその桜すらも支配下に置いていた。
「どうだい、すばらしいだろう」
 佐々木は桜のことを言っているのだろう、恐らくは。だが俺は佐々木を含めたこの風景に、
同意を返していた。
「ああ……そうだな、とても…綺麗だ」
 俺の気持ちは桜に乗ったのか、佐々木は珍しく頬を染めた。
「な、なんだか、気恥ずかしいな。どうしたことだろうね。これは」
 その言葉には応えず、俺はじっと、佐々木を含む、その美しい風景に見入っていた。魂を
止める美しさというものは確かにあるのだ。詩人だね、俺も。

174:いろがみ 4/4
07/05/06 03:10:20 FL9efRct
「“君ならで誰にか見せむ桜の花、色をも香をも知る人ぞ知る”むむ、字余りだね」
 その時、佐々木が歌を詠み上げた。その時、五七五?七七の言葉が俺たちの間に流れる。
字余りになってるからバランス悪いな、おい。
「さすがに、今の心境を五七五で綺麗にまとめるのは、僕では荷が重すぎたよ、すまない。
もう少し、和歌の素養を積んでおくとしよう。今日の記念にキミに捧げる歌だ。謹んで受け
取ってくれたまえ」
 そんな俺たちの後ろから声が掛かった。
「紀友則、古今集の38の変形かっ、なかなかのものだねっ、風流風流、青春じゃないっか」
 振り返ると、先ほどのお姫様のお成りである。思わず、会釈する。
「お邪魔してもうしわけないっさ。ちょっと、その桜くんに用があってね。さてさて、一枝拝借っと」
 その女性は、ふんふんと桜の枝振りを確かめ、満開の桜とつぼみが絶妙にブレンドされた
一枝を右手に持った鋏で切り取った。
 佐々木は素早く猫を被り、優雅に一礼。
「ご無沙汰しております。お嬢様、本日はお招き頂きありがとうございました」
 俺も付き合ってもう一度、お辞儀をする。
「いいのさ~、このおじいちゃんもみんなに見てもらって喜んでるっさ。そろそろ咲き収めだ
からっね」
 どこかのお嬢様なのだろうが、威勢のいいしゃべり方をする人だなぁ。
「向こうで、先生が茶を点ててるから、逢い引きがすんだら、寄るといいっさ。それじゃっ」
 しゅたっと右手を挙げてそう言って、お姫様は去っていった。ところで、誰?
「ん、今の女性かい? この辺りの土豪で大地主の娘さん、僕やキミの人生には基本的に関わ
らない人だよ、所謂殿上人というヤツだ」
 ふむ、日本に根深く残る階層社会の一端を見た。
 ところで、さっきお前が詠んだ和歌もどきなんだが。
「お嬢さんが言われていた通り、あれは古今集の歌の変形だ、ちなみに元の歌では、桜ではな
く梅の花だ」
 ほう、どんな意味なんだ。
「歌の心は秘めてこそ華さ。あの歌は僕からキミに贈ったのだから、その心はキミが詠んでく
れたまえ」
 そう言って、佐々木は常にもまして華やかな笑顔をみせて、くつくつと笑った。


 後のことは、まぁいいだろう。ちなみに初めて飲んだ抹茶は酷く苦かったが、これはこれで
おつな物なのだ、ということを知ったな。あと甘い和菓子がお茶に良く合う理由が分かった。


 さて、翌日のことだ。
 佐々木は、朝から神妙に俺の隣で座っていた。心なしか、背筋も伸びていたな。だから、
つい聞いてしまったんだ。
 今日も、何かあるのかってね。
 佐々木は俺の言葉を聞いた途端に、深く深くため息を吐いた。
「……ふぅ、裏を読んでくれるんじゃなかったのか……。そうだよな、キミに返歌を期待した
僕がバカだった」
 おいおい、一回や二回、風流に触れたからといって、俺が変わるわけもないだろう。
「ああ、そうだね、その通りだ。キミは朴念仁なのだったよ」
 俺は一体、佐々木にどんな変化を期待されていたのだろうか?
 それは今になってもわからない。

175:いろがみ 補足
07/05/06 03:12:36 FL9efRct
 風流を狙いすぎて、オチがよくわからんなくなった。というわけで補足っさ。

作中で詠まれた歌の原型は
“君ならで、誰にか見せむ、梅の花、色をも香をも、知る人ぞ知る”
 古今和歌集に掲載されている三十六歌仙の一人、紀友則の歌です。

 梅の花を折って人に贈ったときに添えた歌であるとされており、

 “この花の良さ(を知らせる)が分かるのは君だけだよ”

 という意味のようです。
 単純な恋歌というわけでもないらしく、おそらく同性の友人に送った歌であろうとされてい
ますし、いろいろな解釈の幅がある歌といえるでしょう。
 まぁこのお話での解釈は秘めさせて頂くとして、佐々木がどのような返歌を望んでいたのか、
想像していただけるのもまたおつなものかと。

176:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 03:57:19 Ug7C8G1J
>>175
朧月若草萌ゆる花の世に君があれなとおもほゆるかな

歌ネタは難しいなー・・・こういう時に自分の教養の無さが身にしみて辛い

177:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 04:04:25 rnSfteBH
>>175
登場した瞬間から、鶴屋さんだと分かった。
本編でもこんな恋歌?になぞらえた展開が出てきたら、それはそれで
また優雅なもんだな。


178:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 04:07:00 i9c6iypU
>>175
佐々木嬢が生徒会長に思えたのは俺だけでいい
しかし鶴屋さんが登場とは意表を突かれた


どうせだったらキョンに

散りぬとも 香をだに残せ 桜の花
恋しき時の 思ひ出にせむ

と返してもらってもよかったかも
卒業シーズンの別れの季節だし
鶴屋さんもおじいちゃん木が咲き納めと言ってたし
間違える箇所も佐々木と同じだからね

なんにしても
風流乙っさ!

179:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 04:12:02 cvY4BHnv
>>175
おおう、なんとも。
読んでる最中に歌を詠んでいる佐々木が目に浮かぶようだった。
まるで一つの短歌のように繊細で深遠な含みのある内容に乾杯。

『僕が好意を振る舞うのは、僕のことを理解してくれるキミにだけだよ』と納得しておいた。

180:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 06:44:16 NW4/3gfU
>>175
凄いな。短歌で自分の想いを伝えようとする佐々木さんに、鶴屋さんまで
あらわれて…… 素晴らしい構成力と幅広い知識に脱帽。

181:88
07/05/06 07:27:37 k6sN1XuS
今さらながら、色々評価を頂いたみたいで有り難い限りです。
推敲が十分ではなく、今になって修正したいところばかりですが。
ところで、佐々木が出した提案ですが、次のSOS団不思議探索について行くことと、
その際キョンと手をつないで集合場所に現れること、なんてことを考えていました。

>>175
風流ですばらしいですね。俺にはこういった発想は出来ないものでうらやましい限りです。
ただ、桜の古木、もしこれがソメイヨシノならば、まず100年以上も生きることはないかと。
いや、無粋なことを言ってすみません。

182:正夢おっぱい
07/05/06 07:45:44 jB9Utw77
「キョン、キミは本当に僕のおっぱいが好きだね」
 そう言うと佐々木はいつもと違い女らしくふふっと笑った。
 うるさいな。好きなんだからいいじゃないか。
「それはおっぱいだから? それとも僕のおっぱいだからかい?」
 禁則事項だ。答える義務はない。
 やたら顔面の温度が上昇するのを感じた俺は、返答と抗議の意味を兼ねて桃色の突起を口に含み強く吸った。
「んっ……」
 くそ、色っぽいな。
「キ、キミは酷い男だな。僕のおっぱいをおもちゃにして」
 いいじゃないか。俺がこうしていじくってたからお前のコンプレックスたる貧乳が解消されたじゃないか。まあ大は小を兼ねるというし、俺も大きいほうが好きだからな。しかしそれよりも俺はこの形の良さが損なわれなかったことの方が喜ばしかったがね。
「ぼ、僕はだね、キョン、キミにそんなことをされる度に母性本能やら独占欲やらが刺激されるわけで、それだけで、そ、それだけでね、その、あ、う……」
 くそう、可愛いな。これは俺専用のおっぱいだ。誰にも渡さない。

………
……


「なあ佐々木、さっきからノート見てなににやにやしているんだ? それに顔赤いぞ。大丈夫か?」
「ああ、大丈夫さ。いや昨日見た夢があまりにも僕の欲求を如実に表したものだったからね、それをノートに書き記したんだ。この記述を見る度にその映像がリフレインされるんだよ」
「ふうん、どんな夢だったんだ?」
「それは秘密だよ。ただね、正夢にしたいんだよ。ところでキョン、キミはおっぱいが好きかい?」
 佐々木は自身の小振りだが形の良い乳房を指差しながらいつものようにくつくつと笑った。



183:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 07:47:05 jB9Utw77
175の感動台無しw

184:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 07:50:39 +2B7pc+8
フルボッキした

185:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 07:55:43 h17RLKno
>>183
俺たちにできないことをやってのける、そこに痺れるぅ憧れ・・・はしないが、まあ楽しかったGJ

186:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 07:55:46 cmr9/+pQ
>>175
GJとしか言えない俺のボキャブラリーの貧困さが辛くて仕方ないわ
とにかく佐々木かわいいよ佐々木

187:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 08:08:24 CICz1tme
今しがた夢で佐々木とはなした俺は勝ち組
マジGJ俺の深層心理

188:175
07/05/06 08:09:58 FL9efRct
>>182
 おっぱい、おっぱい

>>181
 うは、突っ込まれた。ソメイヨシノの寿命が短いことを忘れていたのは秘密だ。
 和歌で詠む桜ですし、たぶんヤマザクラなのでしょう。
 桜について佐々木に講釈を言わせるべきですね。あとで、改稿して置こう。


189:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 08:20:49 Yqa4LXH6
まあ、種類によって色々と開花時期とかもあるけど、鶴屋邸なら何が生えて
いても問題ないから適当になw

190:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 08:45:04 tpLM8+QB
和服姿のササッキーに耳を引っ張られたらもう俺はどうしていいかわからないわ
理性が保てずに思わずおっぱい吸っちゃうかもしれん
おっぱいおっぱい・・・ササッキーのおっぱい・・・

191:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 10:09:16 cmr9/+pQ
祭り

「…ぇ?…ちょ…キョ、キョン!、な、何を…ッ…ひぁ…!」
気付けば俺は佐々木を抱き締めていた。
佐々木の体はとても柔らかくて甘いシャンプーの香りがした。
今胸の中にいる少女は、力を入れれば簡単に折れてしまいそうな程に華奢で儚い存在だと、そう感じた。
手を伸ばせば掴めそうな、でも何故か遠い。
佐々木ならその手を握り返してくれると思う。
俺は佐々木を信じてる、しかし俺は、自分を信じてないのだ。
自分の気持ちに気付いた時には遅かった。
悩む前に彼女を抱き締めていた。
後ろから手を腰に回して佐々木を覆うように、抱き締めていた。

「なぁ…佐々木、愛の告白、なんてしたことあるか?」
佐々木は一瞬躊躇したような表情を作り、言い淀みながらも返答してくれた。
「わ…ぼ、僕は、した事が…ないな、以前にも公言したが恋愛なんてのは、その"精神病の一種"だと、そう思っている…」
「佐々木!」
思わず叫んでいた、自分でも驚くくらい大きな声で。
佐々木は首だけで振り向いた。
表情は僅かに朱を交えている。
もういいんだ、俺は、覚悟を決めたから。
「…俺はお前と、佐々木とずっと一緒に、共に在りたいと─願ってる」
言ってしまった、俺の全てを、俺の気持ちを。

「─僕も、ううん、わたしも、キョンと共に在りたい…そう、願ってる…」
「ふふ、君はずるいな、いつも良いところばかり取ってゆく」
そう微笑む佐々木を俺はいつまで抱き締めた。

手を伸ばしてしまったのは俺だから、壁を壊してしまったのは俺だから、責任を持たねばならん。
大丈夫さ、こいつと一緒なら…親友と一緒ならどんな壁だって乗り越えられると信じてる。
今はただ永遠に、そう願うだけさ。

192:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 10:10:27 cmr9/+pQ
スマン、勢いで書いた
今は反省している

193:名無しさん@お腹いっぱい
07/05/06 10:13:30 U1R4Wbcp
>>192
クゥ~~~~~!!

194:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 10:22:06 tpLM8+QB
>>191
ササッキーの日記がこういうので埋め尽くされてたらお前らどうする・・・?

195:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 10:28:17 uXqmOqo6
ササッキーのひとり交換日記。

ササッキー→キョン(になりきったササッキー)→ササッキー→キョン(になりきった


で超甘甘な交流が展開。
たまにキョンの目の前で、彼に小難しい話をしながら書いている。

196:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 10:43:38 JXvBpuXy
ここの小説を漫画にしてくれる神はいないか?同人誌でもいいけど。

197:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 10:48:03 sTZS+BRr
キョン「佐々木……」
佐々木「んっ……どうしたんだい、いきなり後ろから…」
キョン「…ごめん、佐々木の姿が見えたんでつい抱きついちまった…」
佐々木「キョン……あっ……」
キョン「佐々木…」


















キョン「おはよう佐々木、朝から勉強とはスゴいな」
佐々木「うわぁっ!?ぃぃいいいきなり後ろにあらわれないでくれたまえっ!!?」
こうですか?わかりません><

198:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 10:55:33 v2pXFAH8
「クラスの人たちが僕を
男の子みたいだって
言うんだよ」
そう言う佐々木の目には今にも溢れ出しそうなほど涙が溜まっており…真っ赤だった。
「だからね、キョン
僕がちゃんと女の子かどうか
調べて欲しいんだ・・・」
佐々木は何故か上のワイシャツだけは着たままで、パンティだけを脱ぎ捨てた。こいつまだ生えてねぇじゃねえか!女の子の証が丸見えだ。
「キョン、僕は初めてなんだ…優しくしてくれよ…」
俺は佐々木を優しく押し倒し、閉じられた瞼に唇を落とした。俺の手は上半身を愛撫していたが、徐々に下へと移行していき(ry
作者の脳みそが沸騰したので省略され(ry

「なあ佐々木、身悶えしながらノートに何書いてるんだ?」
「ひゃぁ!な、何でもないよ!み、見てないだろうね?」
「見てないが…それよりお前の顔、真っ赤だぞ」
「…(この朴念仁め。僕は怒ったぞ。今日はキミの家に押し掛けてこの妄想通りにしてやるよ)」

こうですか?わかりません(><)

199:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 10:57:20 v+T+CruZ
>>197 >>198

お前ら連携良過ぎwww

200:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 11:02:37 vkkMVpXL
このスレ流れ早すぎだwww自重しろwwww

201:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/06 11:05:43 zJFNcoEe
佐々木かわいいよ佐々木


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