07/04/13 19:31:05 KTKVR+tX
「それは分かってはいるんだ。
大きな決断をする際に失敗した時のリスクを考えてくるのは当然のことだろう。
でも、いつも思ってしまうんだ。
僕が彼らの気持ちに応えてあげれば、あんな悲しい顔見なくてすむんじゃないか
僕もいちいちこんなこと考える必要もなくなるんじゃないか、ってね」
「まぁ、告白されたことがない俺には中々理解しがたいが、
佐々木自身がこれからも変わらず今まで通りのお前でい続けることが
そいつらにとっても一番嬉しい事だろうよ。」
とりあえず思ったことを素直に言ってみる。
というより俺はこいつに対して嘘がつけない、すぐばれるからだ。
「キョン、キミはそういったアドバイスが非常にうまいね、仕事にしたらきっとうまくいくと思う。」
笑顔を取り戻した佐々木が言う。
「他人の面倒事について色々考えるなんて俺には到底無理さ、
そんなやつにゃ、お前の面白い話でも聞かせてやったほうがよっぽど元気が出るんじゃないか?」
これも本音。こいつの話は聞いていて飽きない、博識で色んなことを知ってる。
古代の遺跡や宇宙理論、やけに難しい化学技術の話に最近流行のファッションの話など、ほんとに幅が広い。
「くっく、僕の話を聞いて楽しんでくれるのはキョンだけさ。
キョンほど熱心に聞き入ってくれる人なんていないよ」
そういえば理論的な話し方をしているのはよく見るが、
佐々木論からくる壮大な話を他のやつに語っている姿は見たことないかもしれんな。
「まぁ、佐々木以外にゃ気の利いたこと思いついても言える自信はないし、考えようとも思わんかもしれん」
「僕も、キョン以外に僕の知識を語るつもりはないよ。事実、半年前からキョン以外にはしていない」
両手を俺の腹に回し、頬を俺の背中に預けているのだろう、温かい。
俺は全身でもたれ掛かってくる佐々木の体温を心地よく感じていた。
終わり