07/04/10 03:17:20 gc8g6rmO
『キョンと佐々木と桜色』
ちょっとした散歩のつもりで近所の公園に立ち寄ったところそこには見事な桜
が咲いていた。そしてその桜の下に不敵な笑みをうかべた少女が一人、
俺を見つめていた。「やあキョン。こんなところで会うとは何か強い縁を
感じざるをえないね。」俺が取り巻きどもを探すため周りを見渡し始めると
佐々木は「今回は本当に偶然さ。橘さんたちはいない。だがちょうど話し相手が
ほしいと思ってた頃なんだ。付き合ってもらうよ」とテレビに出てくる悪役の
ような笑い方をしながら言った。その瞳はいつものように眩しく輝いていた。
「そういやキョンはかの初代アメリカ合衆国大統領J・ワシントンが父親の桜の木
を切って素直に白状したという逸話を知ってるかい?」
ああ、有名な話だな。あれは確かあとから付けられた話だったと聞いたが・・・。
「そのとおり。あれはワシントンが桜の・・・」
佐々木が演説モードに入ったその時・・・春一番が俺達の間を通り抜けて行った・・・。
「・・・桜を切った斧が湖に落ちて湖から出てきた父親に金、銀、普通の斧の
どれが自分の斧か聞かれて正直に答え、助けたカメに連れられて竜宮城に鬼退治に・・・」
落ち着け佐々木・・・。おれは別に何も見ていないぞ。桜色だったとかいい素材だななんて
ことは微塵にも思ってない。「・・・・・」佐々木の表情は俺からは見えない。
「よ・・・用事を思い出したよ・・」
ものを書く力がほしい・・・はずかしさを抱きながらそろそろ寝るよ・・・