07/04/08 00:52:52 lKLD2eDo
翌日。
「なぁキョン! お前もとうとうナンパの道に目覚めたのか!」
「何の話だ谷口。俺はお前のような誰彼構わずナンパして振られるような性癖は持ち合わせていないぞ」
谷口が朝っぱらから猛烈な勢いで絡んでくる。やめろ暑苦しい。野郎に集られてたまるか。
つーか、俺がいつ、どこでナンパなんてしたんだ。お前が期待しているようなことは何も無い。
「嘘つけ。俺は見たぞ! 昨日キョンが俺の知らない女と喫茶店で―」
「ちょっと待て。お前の知らない女と俺が一緒にいるだけでナンパだって言うのか。それはいささか短絡的過ぎないか」
少し俺も虚を突かれて動揺していたんだろう。その時はまだ気付いていなかった。
―気付いてさえいれば谷口の口を世間には言えないような手段ででも塞いでいたのに。
「ねぇキョン、その話、あたしも興味あるんだけど」
ああそうさ、俺の後ろの席、SOS団団長涼宮ハルヒ。こいつが俺の後ろの席だということをすっかり忘れていた。
「あれは確実にただの友達って雰囲気じゃなかったな。二人で「わあああああ! なんでもない!! そんなことは無いぞハルヒ!!」
今の瞬間に机で殴ってでも谷口の口を塞いでおくべきだった。ハルヒは俺の後ろという地の利を最大限生かして俺を羽交い絞めにすると、
「さぁ谷口。続きを言いなさい」
後ろで鼻息荒く俺を締め上げるハルヒとまるで自慢するかのように言葉を発する谷口。全身の血が消え失せたような気がした。
「―二人で手を繋いで実に十分以上! ウェイトレスがコーヒー置いても無反応で二人の世界に入ってやがったんだ!」
俺は脳が酸欠になるのを感じつつ、どうやったら谷口の顎を粉砕できるか考えていた。