【ひぐらし】園崎魅音専用スレッド5【きおつけ】 at ANICHARA2
【ひぐらし】園崎魅音専用スレッド5【きおつけ】 - 暇つぶし2ch724:想像とは只者ではない
07/03/31 18:45:49 DRZt4ONr

切ない系です。甘い要素…そんな無いかも。



走ってる。
一生懸命、走ってる。
私は、ただ叫んでいる。…何を?…もう、声はかすれているかもしれない。

―て、待って。

「待って!待って、待って皆!」
どれくらい走ったのだろう。もう、息も切れ始めている。だけど、だけど叫ぶ。
今までずっと一緒に居たのに、どうして今はこんなにも遠いのだろう。
あんなに近くに居たじゃないか。あんなに傍に居たじゃないか。
―ずっと、ずっと幸せで、楽しかった日々を送っていたというのに。
私は走ってる。走ってる。ひたすら走ってる。だけれども、―皆に、追いつけない。
「レナ!梨花ちゃんっ!沙都子っ!」
名前を呼ぶ。叫ぶ。なのに、振り向いてさえもくれない。皆は歩いてる。私は走っている。
―なのに、追いつけない。逆に、その幅はどんどん開いている。どんどんと、それは…明確に。
待って。置いていかないで。私を、一人にしないで。―大好きな人たち、…愛しい、ただ一人の人。
「圭ちゃんっ!!」

…ふと、名を呼んだその相手が、ぴたりと歩みを止めた。

「魅音」
優しく、私の名前を呼んでいてくれる彼。いつものように、とても優しい、笑顔で。
―ああ!待っていてくれている!置いていかないでくれるのだ、彼は。居なくならないで、くれるのだ!
走りも、どんどんと力強くなっている気がする。差も、短くなる。あと、少し。…あと、ちょっと!
「圭ちゃん…ッ」
ただ、にっと微笑んでいてくれる彼の前で立ち止まる。良かった。…一人じゃない。
私は彼へと、手を伸ばし―その手は、空を切った。

「――え」

赤い。今まで白かった世界が、真っ赤だった。目の前に居た筈の、彼が居ない。

「何、これ…。圭ちゃ…」
足を、一歩踏み出す。どん、と何かが当たった。そして、ぴちゃんという音も。
ふと、その音の先。…下を向いた。
「――」
―声が出ない。出せない。体がふるふると震える。…下に居たのは、ぶつかった物は、
…今まで、目の前に居た、彼に似たもの。
いや、似ているんじゃない。…そのものだ!彼だ、彼…、彼なのだ…。
「…あ、あ、あ…?」
周りを、見渡す。真っ赤な世界に、…大好きな人たちが沈んでいる。
レナ、沙都子、梨花ちゃん、―圭、ちゃん。
この赤いのは、…血、だ。きっと、彼等の、血なのだ…。
そう思えば思うたび、体が、震え始める。声が、かすれていく。何もかもが怖くて、一歩後ずさった。
ぴちゃん、その音は止まない。―そして、同時に感じられること。

…私は、…一人だ。

「い、いや、…いや、…あ、ああああああああああああああああああああああ!」




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