07/03/18 19:35:50 3oc+IoZs
飴のせいか、激しくなったキスのせいか。
ちゅ、ちゅる、る。
口の端から水音が漏れて、恥ずかしさでおかしくなりそうだ。
飴を器用に転がしながら積極的に絡めてくるレナを受け止め、合わせて、流す。
逆に自分からも逃げた飴を追い、舌を探るように動かして。
魅音の動きが少し慣れてきた所で、レナは飴を舌に乗せ自分の中へと引き込んだ。
「……ぁ……」
戸惑う魅音の唇を舌先で軽くくすぐって、誘導する。
「………っ」
その意味を理解し、魅音は意を決して、レナへと舌を差し入れた。
レナに追いついて触れ、すっかりと小さくなった飴を探して、擦り絡める。
「……ん、は……はぅ、……」
軽く噛まれて、吸われて、擦られて、舐められる。
レナの遠慮のなくなった責めに、魅音はただ、逃げないでいるだけで精一杯だった。
……気持ちいいかどうかは、よく分からない。ただ……感想を言うなら、すごい、としかいえない。
こ、これ、本当に、キス……?こんなの、……出来るように……なるのかな……。
首に廻した手で距離を離させず、胸に置いた手は、そこをゆっくりと……意図を気付かれない程度に、撫でる。
時折力を込めると、魅音が微かに身体をこわばらせる。
も、だめ、だめだよ、これ……何が……なんだか…………なんか……レナの手も、熱い、し……。
もう、抵抗の意思をなくした魅音をチラリと見て、レナが嬉しそうに目を細める。
「魅ぃちゃん……ん、ちゅ、ちゅ」
それは、飴がなくなるまで続けられた。
口を離すと淡い銀糸が互いを繋ぎ、消える。
レナは口を離して、自分の顎まで伝った雫を手で拭うと、魅音に向かいにっこりと笑う。
「魅ぃちゃん、魅ぃちゃん?……零れちゃうよ、レナが綺麗にしてあげる……」
ただ荒く息をつく魅音の桜色の濡れた唇にぞくぞくしながら。
顎から、唇までを舐め上げる。……甘い。舌が走ると魅音の喉が震えたが、気にせず辿り着いた柔らかい軽く唇を吸って、顔を離した。
魅音は身体に灯った熱量を持て余し、ぼんやりとレナを見ていた。
いつものように優しい笑顔なのに、レナの熱を孕んだ瞳にサディスティックな色を感じ。一瞬、本気で目の前の少女が、分からなくなる。
…………れ、な……レナって……こんな顔、する子だっけ……?
顎を指で捕らえて、そっと上を向かせて。
つつー……。
今度は顎から、鎖骨まで伝った線を辿って下に降りて行く。
「ひゃ……ぅ……な……なに……っ」
少しシャツの襟元を押して、鎖骨に軽くキスをした。
薄く紅く色付いて、レナはうっとりとした表情を浮かべる。
レナの印。
お持ち帰りは我慢してあげるけど……今だけは、これが消えるまでは。魅ぃちゃんは、レナのだよ。
頬を紅く染めた魅音が自分の前に立った時、まさかこんな展開になるとは思いもしなかったが。
……この奥手な少女がこんな突飛な行動に至った理由はどうせ、……鈍感で、デリカシーのない彼の為だろう。
そんな事はとっくに分かっていたが、ムッとしてしまう。
魅音には、周りから空気が読めないと言われる程、ピントのズレた所があるが。元々一生懸命で、何より一途なのだ。
こんなチャンスはもう、ないかもしれない。魅音から誘って来るなんて。女の子同士でキスなんて。
魅ぃちゃんにはその気はない。レナにだって、こんな事をしてるけど、本当にその気はない。
でも、……魅ぃちゃんなら、いやじゃない。……ううん。魅ぃちゃんとなら、いいよ。……大好きだから。
一番はレナだって、どこかで安心していたのに。あっさりと盗られてから気付いた、自分の気持ち。
レナは……圭一君ほど、甘くないよ……?
「魅ぃちゃん。もう一個、食べよっか?」
レナの柔らかい笑顔と、何でもない事のように告げる言葉に答えられず、ただ、魅音は近付く顔に、荒く息を付くのみだった。
終わっとけ。