アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ5at ANICHARA
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ5 - 暇つぶし2ch11:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 01:18:10 jW+SztsP


12:蛇姫は泣き虫の懇願に黙って首を縦に振る ◆ZJTBOvEGT.
07/10/26 01:19:59 IvcqhHfW

出がらしのお茶をそそぎつつ、まずは安堵の静留であった。
先の放送の中に愛しい人の名前はなく、自分はおろか、同行しているジャグジーの知り合いの名前すら
その中には含まれていなかったことは、少なからず静留を安心させた。
眼にうっすらと涙をうかべ、貧乏ゆすりしながら放送を待っていたジャグジーも、
たった今尿意を思い出してお手洗いに駆け込んでいったところだ。
気持ちを落ち着けるためかどうかは知らないが、あれだけお茶を飲み続ければ当然だろう。
すすめる端から熱いのをずびずび飲み干していくので、面白くなって十数杯おかわりさせてしまった。
思えば、そんなことをしてしまったのも、自分とて気が気でなかったためだったのだろうか。
ともあれ、安全を確保しつつ、落ち着いて放送を聞くという目的は果たされたのだ。
なつきのことを思えばこんなところに長居は無用である。
朝食をすませ次第、この家からは出発。使えそうなものはすでに確保している…

「う、うひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ?」

唐突に聞こえた悲鳴は、静留を一瞬で思索の世界から引き離した。
ジャグジーだ。彼が悲鳴をあげて、そして派手に転倒した音だった。
こんな閉所で薙刀、つまり自分のエレメントはかえって不利。
そのためにこの家から調達した包丁を片手に用心深く和室を出、
彼のいるであろうお手洗い前に視線を這わす。
…いた。身体をくの字にまげて倒れ伏している。
静留は眉をひそめた。
彼のズボンは、下りていた。
幸いにして見たのは彼の背中だったが、決して気分の良い光景でないのはむろんのこと。
この時点でなんとなくオチの読めた静留は包丁を下ろし、
いつも以上に朗らかな口調で、単刀直入に聞いた。

「なにしてはるん?」
「み、み、み、水、水がっ、便器から水がっ」
「お手洗いにお水が流れるんは当然ですやろ」
「ち、違うっ、い…いきなり、いきなりお尻をなめてきたんだ。
 誰もいないのに、誰かいるみたいに。
 う、あ、まさか、そんなはず…ここはもう、列車じゃないのに」
「なんの話どす」

突然、混乱に明確な恐怖がまじり始める様子に静留は不審を抱きつつも、聞いてみる。
それに後押しされたのか、疑惑が…少なくとも彼の頭の中では氷塊したのか。

「レイルトレーサーだ!」

確信に満ちた恐怖の眼で、ジャグジーは叫んだ。
いきおいよく立ち上がりながら。

「誰もいないのに、誰かいるんだ!
 やっぱりそうだ、狙われたら逃げられない…」

手中にエレメントを発現。
その長い柄を器用に使って、静留はジャグジーの後頭部を一発どついた。
彼が完全に、こちらを向く前に。










13:蛇姫は泣き虫の懇願に黙って首を縦に振る ◆ZJTBOvEGT.
07/10/26 01:21:03 IvcqhHfW

「で、なんです? レイルトレーサーいうんは、お手洗いでお尻なめるオバケですのん?」
「え、ああ、いや、違う、違います…多分」

落ち着いたジャグジーをちゃぶ台の向かいに座らせ、
静留はまたも急須にお湯を注いでいた。
お茶請けにはお煎餅を。これもまた、この家にあったものだ。
六枚しかなかったとはいえ、当座の朝食代わりとしては充分だろう。
手持ちの食料は温存する必要がありと見ていた。

「あそこにいたオバケの名前、知りたいどすか」
「うわああああっ、嫌だ、知りたくない。
 知ったら逃げられないとか必ず現れるとか、もうそんなのゴメンですぅ~」
「そうは言うてもねぇ…最近のお手洗いなら、どこででも見ますえ」
「そんな、どこででも見るなんて、あんな、あんな…」

みるみる血の気の引いていく彼の表情を堪能しつつ、静留は教えた。
たっぷりと勿体ぶった溜めを経て。彼を恐れさせたものの正体を。

「アレのことを…ウォシュレット、言います」
「うわあああああああああああああああああああああっ」

そこまでして聞きたくないのか?
畳の上に伏せったジャグジーは、両手で両耳を押さえて頭をぶんぶん左右に振っている。
さすがの静留も、こればかりはたまらなかった。
ぷっ、と吹き出してしまったのを、あわてて右手で押さえていた。
…この男、面白すぎる。
が、これ以上、時間の無駄遣いをしているわけにもいくまい。

「アレは文明の利器どす」
「…へ?」
「トイレットペーパーのかわりに、お水、吹き付ける機械どす。
 最近のお手洗いにはよくついてますさかい、今度から慌てたらあきません」
「…………」

なんとも形容のしがたい顔で黙りこくったジャグジーに、
静留は、見通しが甘かったかな、と思わなくもない。
ここに来るまでに互いの素性を確認してみたところ、
驚くべし、この男は禁酒法時代のニューヨークからやってきたというのだ。
同様に、自分が二十一世紀の日本からこの場に呼ばれたことを伝えたときには、
ちょうど今と同じような顔をして、もう一度聞き返してきたのである。
信じられないものは最初の部屋で嫌というほど見せられた二人であったから、
ここで嘘を言うのも無益であれば、信じないのも無益であると互いに理解。
この殺し合いの舞台は、二十一世紀の日本の町並み…静留の時代の文化圏がモデルとなっているのは明らかだったので、
わからないことで取り乱すことのないように、道すがらできるだけのことは教えてはいたものの、
トイレに盛り込まれた地味な未来技術のことは意識の端にすら上っていなかったのだ。
何も知らない身からしてみれば、悲鳴を上げるのも当然だったろう。
これから先もこういうことを繰り返されては足を引っ張る事態につながる可能性もあるが、
さりとて全幅の信用がおける協力者を見放すのもまた論外だ。
聞く限りではこの男の家族兄弟、恋人、親友に類する人間はこの殺し合いに参加させられていない。
アイザックとミリアの二人は、旅先で偶然出会った知り合い程度にすぎないようだ。
つまり、誰かが殺された拍子に態度を豹変させる可能性はほぼゼロということ…自分と違って。
最初に出会った人間が彼であったのは大当たりと考えるべきだろう。
どうせなら、なつきとすぐに会いたかったのは言わずもがなだが、
殺し合いを破綻させるのに協力者が一人いるといないとでは大違いであることに変わりない。
もっとも、度を超した馬鹿者や臆病者に一緒に来られてはたまらないので、
引き込む仲間は選ばなければならないが。

「人数が多くなればなるほど、寝首かかれる可能性も高くなりますなぁ」
「え? あ…ですけど、それじゃあ。もう、九人も…」

14:蛇姫は泣き虫の懇願に黙って首を縦に振る ◆ZJTBOvEGT.
07/10/26 01:22:20 IvcqhHfW

唐突な切り出しに、ジャグジーは表情を変えて乗ってきた。
放送前にしていた話の続きである。
豪華客船を拠点に主催に対抗しようという人物のことを触れ回る他、
自分達は生き残るため、ひいては脱出のため、どのように行動していくべきか。
その中でひとつだけ、意見を異にする部分があったのである。

「ジャグジーはんの言うてることもわかります。
 せやけど、これは現実的な問題どす。
 九人や十人の集団になったら、全員の様子に眼を配るだけでも骨やわ」

仮に大人数との合流がなったとして、静留のもっとも警戒するところは、影にいて枝を折る者の存在。
その何者かが仕掛けた扇動で、集団は修復不能なまでに引き裂かれ、互いが互いを殺し合うこととなる。
そうなれば情報が錯綜し、対主催全体の生存率を引き下げることにさえなりかねない。
それよりは、四人以下の少人数で濃密な意思疎通を図り、殺し合いを最速で破壊することのみを考えて活動する方が、
必然、つけいられる隙を与えずに済む。
これが静留の持論であった。

「うちかて、何もできなくて怯えているのを放っておいたりするんは心苦しゅう思いますけど、
 早く済めば済むほど、そういう人達が死なずに済みますさかいに…わかりますやろ」

大集団を作ることの危険性はジャグジーも認めているようだ。
だが、自衛すらままならない人物に遭遇しても情報交換のみにとどめ、
その場に放置していく方針にはどうも乗り気になれないらしい。
今もその眼は難色を示すかのように微量の涙を浮かべてはいたが、

「わかりました」

と、ついに承諾の言葉を聞かせてくれた。
それもどこまで当てにできるかはわからない。
仮に片足を失った参加者に出会えば、たとえ足手まといになろうが
連れて行こうと食い下がるだろう。この男が持つ心の強さは、そういう強さだと静留は見ていた。
そこはその都度、最大限の落とし所を見つけていくしかないだろう。
それでも駄目なら…その時こそが、別離のときだ。
なつきと再会するまでは、誰かをかばって移動する余裕などありはしないのだから。
なにせ、もう、九人も死んでいるのだ!

「そうと決まれば、善は急げ、やわ」
「は、はいっ」

立ち上がった静留に続いてジャグジーも立つ。
その口に、ジャパニーズ・クラッカーを慌てて突っ込みながら。

(本当は家の中、土足で上がるんはあきませんえ?)

なつきを守り抜き、螺旋王を打倒したあかつきには、
この男にそれを教えてやるのもいいだろう。
とりとめもなくそんなことを考えて、静留は廊下に土足を踏み出した。
もとより作法など、守っている場合ではない…










15:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 01:23:04 1cCvnNZj


16:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 01:24:00 1u1WrggD
      

17:蛇姫は泣き虫の懇願に黙って首を縦に振る ◆ZJTBOvEGT.
07/10/26 01:24:02 IvcqhHfW

(まだ九人か)

それが放送後の、ヴィラルの率直な印象だった。
あのクルクル、そしてケンモチと交戦したことからわかるように、今回、螺旋王が企図したこの実験、
ただ黙って殺されるような貧弱どもが集められているわけでは決してないようだ。
自分自身、人間に近い状態への改造を賜っている以上、能力にまかせて圧倒できると考えるのは虫が良すぎるというもの。
最初、螺旋王におろかな攻撃をしかけた人間も、ガンメン並の攻撃力を繰り出していたことを忘れてはならなかった。
もしかしたら人間同士にしてみても、互いに攻めあぐねているのかもしれない…
だが、だとしたら。今まで自分が追跡してきた、あの二人組は。
睡眠から目覚めた直後に発見したあの二人の話に聞き耳を立てていたところ、
どうやら他の仲間を集める算段を立てているようであった。
しかも片方、男の方は何を言っても聞いてもメソメソしている始末。
女の方も終始のほほんとしくさって、物腰から危機感がまるで感じられない。
すぐにでも襲撃をかけようかとは思ったが、支給品とともに時計を失っていたため正確な時間がわからず、
第一回放送を待たざるを得なかったのだ。
その第一回放送を、近場の住居に隠れてこそこそと聞いていたあの二人は、果たして人類の強者か?
まあ、隠れるという動作をとった以上、危険を推測するだけの能力は持ち合わせているのだろうが…

(だがな…それは襲われることを恐れていると、自ら証明したに過ぎんぞ、人間!)

口元が獰猛な三日月をえがく。牙をむきだす獣の笑みだ。
男が上げた、わけのわからない悲鳴が聞こえた先ほどはさすがに警戒もしたが、
この状況下で考えられる原因は仲間割れくらいのもの。
そしてそれきり静かになったとなれば、あの中にいるのは、裸ザルのメス一匹。
自ら数の有利さえ殺してしまったというわけだ。
あとは出てきたところを奇襲、まっぷたつに斬り裂いてやるだけ…出てきた。
ここまでだ。死者の十人目か十一人目となれ!
今まで潜んでいた向かいの塀の影から一息に飛び出し、斬りかかる。
相手が玄関から出た瞬間を狙ったのだ。
ヴィラルにとっては行動の自由がいくらでもあり、逆に人間には逃げ場がない。
よしんば一発目を避けたとて、間髪入れずに突きかかれば対処できまい。
ましてや、奴は丸腰…

「どちらさんどすか?」

のはずだった。
必殺を期したヴィラルの突きは、なにか固いものに止められていた。
いつの間にか現れた、長柄の武器に。
理解不能だった。何の手品か検討もつかなかった。

「殺し合いに乗るつもりは今のところあらしまへんけど」

振り下ろしたハサミが、きりきり音をたてて伏せられる。
そして、裸ザルのメスは、のほほんとした調子で笑ってみせた。
…いや、ヴィラルにとっては、鎌首をもたげて獲物にせまる蛇のそれに見えたのだが。

「襲ってくるなら、話は別どすなぁ?」
「こ、こいつ…」

直感的にまずいと思った。
ヴィラルは急いで、かつ冷静に、前方に向かって退避した。
後ろに下がれば一瞬で切り伏せられる未来が見えていた。
無理矢理にでも奥へ奥へと押し込まなければ、得物の長さで勝ち目がなくなる。
突きかかってきたところをなんとか回避、そのまま飛びかかって押さえ込む。
勝ったと思った。確かにヴィラルは賭けに勝っていた。
この一瞬の攻防自体が絶体絶命そのものだった。
押し倒し、のしかかってしまえば、長柄の武器が一体、何の役に立つ。

「では、死ねっ」

18:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 01:25:00 1u1WrggD
            

19:蛇姫は泣き虫の懇願に黙って首を縦に振る ◆ZJTBOvEGT.
07/10/26 01:25:24 IvcqhHfW

馬乗りの体勢から、ハサミの片刃を胸に向かって振り下ろす。
それで決着のはずだったが、直後、にぶい衝撃が脇腹に走った。
続いて、その部分から途方もない熱を感じた。
何が…何が起こったというのか?

「死ぬのは、あんたや」

メスが、不敵に笑った。
その着衣が、みるみる赤く染まっていく。
まだ、ハサミは振り下ろされてもいないのに。
―ああ、なるほど。
これは、おれの血か!
一度理解してしまえば、あとは実に早かった。

「ぐふっ」

血を吐いた。
メスは、小型の武器を事前に隠し持っていたのだ。
こういう風に組み付かれることをすでに想定し、
そして今、ヴィラルの脇腹にその刃を突き立てた。

「へ、蛇女がぁぁっ…」
「逝きよし」
「キサマが死ねえ」

これしきの苦痛で武器を手放す獣人に、人類掃討部隊長は務まらない。
あとはハサミを振り下ろすだけで終わりであることに変わりはない。
メスに腹をかっさばかれるよりも先に、生命の根本を断ってくれよう。
ヴィラルは渾身の力でその手のハサミを予定通り振り下ろそうとし、

「うああああああああっ」
「な…ぐおおっ?」

伏兵のために、それも果たせずに終わった。
死んだかと思われたもう一人が、ヴィラルを思い切り蹴り飛ばしたのだ。
こうまでなっては勝ち目がない。
玄関の天井を見上げながらそう直感し、すぐさまそれに従った。
入ってきた玄関からまろび出て、飛ぶように逃げていく。
止血しなければ死んでしまう。
偶然、眼についた家に飛び込み、カーテンを引き裂いた。
気が遠くなりそうだった。何も食べていないのに吐き気もした。

「終わらせん、このままでは終わらせんぞ、人間…」

そして、屈辱に打ち震える。
止血が終わっても、彼には休憩をとる気すらなかった。










20:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 01:26:48 1cCvnNZj


21:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 01:27:01 1u1WrggD
         

22:蛇姫は泣き虫の懇願に黙って首を縦に振る ◆ZJTBOvEGT.
07/10/26 01:27:03 IvcqhHfW

「服があってよかったわぁ」

着物の袖を振りながら、静留はころころと笑った。
血に染まった着衣は放棄し、あの家の中のタンスをあさって発掘したのがこの和服。
成人式にでも着たものだろうか。新品同様のしろものであった。

「どうどす、ジャグジーはん?」

後ろをとぼとぼ歩いている彼にも話をふってみる。
さっきから不景気な顔をして、黙りこくっているものだから。
まあ、なんとなくこの男の言いそうなことの予想はついていて。

「ごめんなさい」
「はぁ、残念やわ、似合うてないんやね」
「ち、ち、ち、違いますっ。服は似合ってます。
 そっちの話じゃなくて…」
「ん?」
「結局、藤乃さんを戦わせてしまって…ごめんなさい、すみません」

案の定の台詞を言ってしょんぼりする様子は、実にほほえましいものだった。
彼と出会えたのは、正真正銘の大当たりであると静留は思った。

「そないなこと、言わんで欲しいわ。
 ジャグジーはんがいなければ、うちは死んでた思います」

これは誇張無しの事実だった。
時間にして二十秒前後にすぎなかった、あの一瞬の戦いは、
彼がいなければよくて相打ちだったのだ。
とっさの正しい判断に自分は救われ、あまつさえ無傷でいられている。
人を見る眼は、どうやら曇っていなかったらしい。

「そのときにできることをすればええんどす。
 さっきは、うちが前に立っていたからそのまま戦っただけやし。
 もっと自信持たんと、ニューヨークのお仲間にそれこそ申し訳ないと違いますか」
「…です、か」
「です、の」

この男は、信頼をしてやればやるほど応えてくれるのだろう。
他人を傷つけることをけしかけでもしない限り、裏切ることもないだろう。
だったらいくらでも信頼しよう。
もちろん、自分とて信頼される努力はおこたらない。
この男には、それだけの投資をする価値があると見た。

「ほな、さっき話した通り、大きな道にそって駅、目指しましょか」
「ううっ、駅かぁ」
「レイルトレーサー、どすか?」
「ううわあああっ、その話はもういやだあっ」

からかいつつも歩き出す。
…考えたくもないが、なつきが死んだりしたときには、
この男にはやはり一番最初に死んでもらうことになる。
自分の詳細を知っている人間は一人でも少ない方がいいに決まっているし、
この男に対しても、それこそが嘘をつかない誠実な態度と言うべきだった。
そんなことには当然、ならない方がいい。
だから急ぐのだ。いつ、先ほどのような殺人者が現れるか…
もうすでに、戦闘から三十分は経過していた。
静留もジャグジーも、再度の来襲を警戒して歩いてはいたが、
そろそろそれもないと判断したところで無理もない頃合いだ。
その上、この入り組んだ住宅街の中、二人の警戒は必然、物陰や屋根の上に向かっていた。

23:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 01:27:14 2sRolWIL


24:蛇姫は泣き虫の懇願に黙って首を縦に振る ◆ZJTBOvEGT.
07/10/26 01:28:12 IvcqhHfW
襲撃者の判断は、その上を行ったことになる。
襲撃者はどぶ川のへりに捕まってその身を潜め、ずっとそこで待っていたのだ。
音もなく、気配もなく、膂力だけで陰から飛び出し標的を斬り殺すべく。
そして、それに静留が気づいたときには、なんの手の打ちようも…

「藤乃さ…」

突き飛ばされた静留が次に見たのは、
どぶ川から飛び上がってきた先の襲撃者に袈裟斬りにされたジャグジー。
しぶく血潮はさながらスプリンクラーのよう。
エレメントを発現させて襲撃者に斬りつけたのは、ほとんど反射的な行動だった。
ハサミを紅くきらめかせてそのまま襲ってきたそいつを一瞬早くはじき飛ばすことに成功する。

「ちぃっ」

舌打ちなどをしているようだが、生かしておくつもりなどない。
エレメントを蛇腹状にのばし、からめ取ってみじん切りにしてやろう。
初見の相手にこれを予期することは不可能だ。
実際、その通りだった。
いきなり射程外から飛んできた一撃を襲撃者はハサミの片刃で受け止めはしたが、
からめ取られた武器をどうにもできずに手放すしかなくなっていた。
だがしくじった。本来なら捕らえるのは武器ではなく、襲撃者その人のはずだったのに。
不利を悟ったかの敵はジャグジーのデイパックを奪い、先ほど同様、飛ぶように去っていく。
傷を受けているとは思えない素早さだった。
すぐ追跡して仕留めようとは思ったが、静留はジャグジーに駆け寄ることを優先する。
当たり所によっては、手当さえ早くすれば回復の見込みもあると思った。
結果は、数秒と経たずにその考えが甘いと悟ることとなったわけだが。

「ジャグジーはん…」

血溜まりに沈んだ彼は、しかし安心したような眼で静留を見ていた。
ついさっきまで泣いて怯えてついてきていたというのに、
今の表情はまったくおだやかなものだった。
…あっけなさすぎる。
静留は、ややうつむき気味に、たずねてみた。

「死ぬの、怖ないんどすか?」

かすかに首を動かしたジャグジーは、直後、咳き込み、喉から血を吐き出した。
それに構わず、静留は言葉を待ち、耳を傾けてやる。
どうせすでに、せっかく着替えた着物もまた血まみれになっていた。
彼は苦しみつつも、懸命に言葉をつむいでいく。

「こわい、ですよ…すごく、こわい。
 もうダメだって、自分でわかるのは、こわい…けど」
「けど?」
「…ふだん、泣いて、ばかりですから。
 ホントにこわいときは、涙…もう、枯れてるんですよ」

静留は、何も言えなくなった。
人の末期に立ち会っているとはいえ、何を聞いてやればいいものかわからなくなってしまった。
ジャグジーの方が先に口を開く。もう残されている時間が少ないからか。

「助けたい人が…いるん、ですよね。藤乃さん」

言葉なく、静留はうなずく。

「助けて、あげてください。
 僕も、最後に、少しだけですけど…手伝えますから」

25:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 01:29:14 1u1WrggD
             

26:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 01:29:46 1cCvnNZj


27:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 01:29:48 2sRolWIL


28:蛇姫は泣き虫の懇願に黙って首を縦に振る ◆ZJTBOvEGT.
07/10/26 01:30:18 IvcqhHfW

ジャグジーは、無理矢理に身体を起こした。
開いた傷口から、さらにおびただしい血が流れ出る。
そして、何を思ったか、先の襲撃者が置いていったハサミの片刃に手をかけ、
一息に自らの首筋にまで持って行く。

「何を…」
「こんなものがなければ、僕らは殺し合いをしないでもいい」

静留は瞬時に理解した。
彼が何を言わんとし、これから何をしようとしているのか。
誰かから奪わねばならないがゆえに、あえて今まで触れずにきた、脱出の最重要事項。
彼が言外に示しているのは、それだ。
首筋に刃を当てたまま塑像のように立ち尽くした彼は、
最後に静留の方に何かを懇願するような、だが強くひたむきな視線を向けて。

「だから…助けて、あげてください」

前に向かって、全力で倒れ込んだ。
おそらく、これで血は全部流れつくしただろう。
彼は殺し合いの軛から、自らを解放してみせたのだ。
彼が今とったような手段をとらずとも、それをなしうる可能性を静留に残して。
ジャグジー・スプロットは、首と胴体が泣き別れになって、死んだ。
泣かず怯えず、この世を去った。
最後にそっとつぶやいたのは、誰かの名前だったのだろうか…
静留には、ついにわからずじまいであった。




【ジャグジー・スプロット@BACCANO バッカーノ! 死亡】









「また、濡れねずみやな」

血に染まった着物を捨て、結局、静留は最初に着ていた
風華学園の制服姿に戻ることになった。
乾かす暇などなかったので、濡れたままなのが気持ち悪いが。
デイパックの中に、巨大ハサミの片刃と首輪を収める。
着替えのついでに、血を洗い落としてきたばかりだ。
ジャグジーの死体は葬っていない。
そのようなことをしている暇が惜しかったのだ。
胸の前で十字の印を切り、それでお別れとさせてもらった。
これから予定通り、大きな道に出て駅を目指すことになる。
とにかく、なつきだ。
なつきが死んでしまうようなことになれば、自分は殺人者側に回るしかなくなる。
遺された首輪もそのとき同時に、完全に無意味と化すことになる。
恋する心の前にはすべてが些末事なのだ。少なくとも彼女、藤乃静留にとっては。

29:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 01:30:19 1u1WrggD
                   

30:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 01:31:48 1cCvnNZj


31:蛇姫は泣き虫の懇願に黙って首を縦に振る ◆ZJTBOvEGT.
07/10/26 01:31:51 IvcqhHfW
彼は本当に、最後の最後まで力になってくれた。
助けたい人を助けてくれと、自身の首を切り落としてまで言ってくれた。
こんなところで死んで良い人間では断じてなかった。
だが静留は、なつきが大事だった。
それ以外がどうでもいいわけではないが、なつきがあまりに巨大すぎるのだ。
彼がそこを承知して死んだとまでは思えない。
きっと彼が心のどこかで望み、託そうとしていたであろう役割を果たしてやれるかどうかは微妙なところである。
どう逆立ちしたところで、ジャグジー・スプロットに対して、なつきに抱くほどの感情を持つことはできないのだから。
仮に彼が自分と同じ時代の生まれで、風華学園の生徒会に同じく席を並べていたとしても、そうなる可能性はゼロだ。
それでも、これだけは太鼓判付きで保証してやれる。

「ジャグジーはん、あんた…ほんま、ええ男でしたわ」

それが彼への手向けの言葉。
死者にかかずらうのはこれまで。
生者には生者の都合があり、今はことさらそれを優先せねばならない時だ。

「ほな、さいなら。ご冥福、祈っとりますえ」

静留は最後に、彼のいる方向に軽く手を振った。




【F-3/大きな道路沿い/1日目/朝】

【藤乃静留@舞-HiME】
[状態]:健康 、衣服が濡れている
[装備]:雷泥のローラースケート@トライガン
[道具]:支給品一式、マオのヘッドホン@コードギアス 反逆のルルーシュ、 巨大ハサミを分解した片方の刃@王ドロボウJING、
     ランダムアイテム1(本人確認済み)、ジャグジーの首輪、包丁
[思考]:
基本思考:なつきを守る。襲ってくる相手には容赦はしない。
1:なつきを探す事を最優先する。
2:なつきの事を知っている人間を探す。
3:豪華客船にゲームに乗っていない人間を集める。
4:首輪を詳しく調べられる技術者を探す。
5:あまり大人数で行動するつもりはない。

【備考】
※「堪忍な~」の直後辺りから参戦。
※マオのヘッドホンから流れてくる声は風花真白、もしくは姫野二三の声であると認識。
(どちらもC.C.の声優と同じ CV:ゆかな)


32:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 01:31:56 1u1WrggD
           

33:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 01:32:54 2sRolWIL


34:蛇姫は泣き虫の懇願に黙って首を縦に振る ◆ZJTBOvEGT.
07/10/26 01:33:02 IvcqhHfW










「く、くそっ…蛇が、蛇女がぁぁっ…」

二度にわたって撃退されたヴィラルに、もはや余力は残されていなかった。
今、奴が現れたら何もできずに殺される。
デイパックの中から出てきた食糧をむさぼりながら、下水道の一角でひたすら息をひそめているしかない。
どこまで情けなく、みじめな気分を味わわなければならないというのか。
消耗しきった体力を回復しなければ、挽回のチャンスすら与えられはしない。
武器はいいものが手に入ったのだ。
性には合わないが、体力を奪われた今の自分にこの重量級の銃は頼りになるに違いなく、
瓶は、そのまま使っても鈍器になるし、割れば刺突用の武器にもなる。
中身は調味料…貴重な食糧なので、武器としての使用は後回しだが。
もうひとつ重たい何かが入っているのは、休んだ後で確認することにし、
下水の悪臭の中、ヴィラルはその場に伏せた。
誰かが来たら、逃げねばならない…はなはだ不本意な自らの状態を再確認し、怒りに肩をふるわせながら。



【F-3/下水道/1日目/朝】
【ヴィラル@天元突破グレンラガン】
[状態]:脇腹に刺し傷(応急処置済み)、極度の体力消耗、衣服が濡れている
[装備]:ワルサーWA2000(6/6)@現実
[道具]:支給品一式、バルサミコ酢の大瓶@らき☆すた、ワルサーWA2000用箱型弾倉x4、ランダムアイテム1(重いもの)
[思考]
基本:ゲームに乗る。人間は全員殺す。
1:今は休まねば…
2:蛇女(静留)に味わわされた屈辱を晴らしたい。
3:『クルクル』と『ケンモチ』との決着をつける。
4::螺旋王の目的とは? 
[備考]
螺旋王による改造を受けています。
①睡眠による細胞の蘇生システムは、場所と時間を問わない。
②身体能力はそのままだが、文字が読めるようにしてもらったので、名簿や地図の確認は可能。
…人間と同じように活動できるようになったのに、それが『人間に近づくこと』とは気づいていない。
 単純に『実験のために、獣人の欠点を克服させてくれた』としか認識してない。




35:蛇姫は泣き虫の懇願に黙って首を縦に振る ◆ZJTBOvEGT.
07/10/26 01:58:11 IvcqhHfW
申し訳ありません。静留の状態表を修正します。



【F-3/大きな道路沿い/1日目/朝】

【藤乃静留@舞-HiME】
[状態]:健康 、衣服が濡れている
[装備]:雷泥のローラースケート@トライガン
[道具]:支給品一式、マオのヘッドホン@コードギアス 反逆のルルーシュ、 巨大ハサミを分解した片方の刃@王ドロボウJING、
     ランダムアイテム1(本人確認済み)、ジャグジーの首輪、包丁
[思考]:
基本思考:なつきを守る。襲ってくる相手には容赦はしない。
1:2~5のため、ひとまずF-5の駅に移動
2:なつきを探す事を最優先する。
3:なつきの事を知っている人間を探す。
4:豪華客船にゲームに乗っていない人間を集める。
5:首輪を詳しく調べられる技術者を探す。
6:あまり多人数で行動するつもりはない。

【備考】
※「堪忍な~」の直後辺りから参戦。
※マオのヘッドホンから流れてくる声は風花真白、もしくは姫野二三の声であると認識。
(どちらもC.C.の声優と同じ CV:ゆかな)



36:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 02:10:12 BYtqjrCY
2 :名無しセカンド:2007/10/24(水) 22:48:39 ID:jO0FflIs0
投下乙。
文章的にも内容的にも良かったと思う。
でも、他作品の情報を思い出してしまうかもしれないというのは自分は好きではない。
こなたがオタクでいいとは思うけど、ロワ参加作品のことを知っているのはどうかと思う。
原作バトロワをこなたが知っているのは問題ないとは思うけどね。
663 :名無しセカンド:2007/10/24(水) 23:06:39 ID:W2Uj6FpA0
グレンラガンの多元世界って、微妙にエルリックサーガに似てるから
誰かが創作した世界が実際に存在しうるってのは、ありだと思うんだけどね
664 :名無しセカンド:2007/10/24(水) 23:35:32 ID:8xS79iT60
F.E氏、t2氏、投下乙です。
「片道~」の方はあちこちに誤解の種がまかれていますね。
チェスが名乗った偽名がまさかここまで拡大するとは…。
どうなるか、興味深く見てます。
「ちぎれた翼~」は切ない話ですね。
そんなことはないと思いつつ、あえて偽者の希望にすがるとは……。
ヒューズだけがそのフォローを考えているのに年齢差が良く出ていて、良かったです。
665 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 00:41:25 ID:4GBvVow20
気が付けば、早くももう100話越えしてるんだな……流れはえーw
うーん…ちょっと気が早いかもだが、キリも良さそうだし感想リレーとかしてみたらどうかと提案してみる
666 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 01:36:21 ID:LBX9Cjzk0
投下乙です。
舞衣はこのまま発狂エンドに行ってもおかしくないくらい壊れてきたな。
ティアナと違って希望もクソもなさそうだし……ロイドマジやべぇ。
667 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 01:38:31 ID:XoHIDYxM0
投下乙です。
舞がどんどん危ない方向に…。
そしてロイドさん逃げてー!
668 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 01:39:20 ID:FeMMn3co0
>何が彼女を壊したか?
明智の冷静沈着な描写が実にらしかったです。ティアナの不安定さも絶妙。
クロスミラージュはいいネタになるだろうと思ってたけど、一対一の形とはおもしろい。
>三つの心が一つにならない
この三人は早くもダメな感じが蔓延しているw
既にカレンと絶望先生のコンビが確立してきてるだけに、他の連中と絡んだときが楽しみだw
>S・O・S
逃げてー! ロイドさん逃げてー!
冷静に狂ってる舞衣がいい感じでした。
心理描写もスマートで、読みやすかったです。
>>665
そういうのは始めたモン勝ちだってばっちゃが言ってた。
669 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 02:15:53 ID:H3IAaqo.0
投下乙
これがアニロワというものか……
エリオに追悼。ムスカ、お前たぶんぜったい楽に殺されないぞ……
何はともあれGJでした!


37:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 02:10:34 BYtqjrCY
670 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 02:17:34 ID:YnGVvZT20
投下乙ー。
エリオに合掌。これでStsのロリショタコンビは両方死亡かー。
あと笑うところじゃないんだろうけど、「私はムスカ大佐だ」で盛大に吹いてしまったw
671 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 02:17:49 ID:Pys74bBs0
投下乙!
しかし。ありゃりゃ、意外とあっさり死んじゃったなぁエリオ。
まあ、これがパロロワというものだ。ムスカにも一矢報いたし、よくやったよ彼は。
672 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 02:19:12 ID:85YMXCEwO
投下乙ってエリオーー!?
まさかここでこうくるとは……予想外。
ランサー達は誤解フラグ立ってるし、今後が気になる。そしてムスカがどんどんヘタレにww
しかしStSのちびっこコンビは早くも全滅か……これがバトロワというものかorz
673 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 02:23:02 ID:LBX9Cjzk0
乙です。なんというロリショタ処理。
紫電一閃出したのに無念だなーエリオ。はやての死亡フラグを引っかぶったか。
しかしランサー因縁がどんどん出来てるな。今一番ロワしてるんじゃないか?
>>670
俺も吹いてしまったwwwwwww
ニコニコの見すぎかもしれんwwwww
674 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 02:24:06 ID:FeMMn3co0
投下乙。
エリオ逝ったー! そしてまた一人、ショタが消えていった。
戴宗さんとの会話シーンが大作のそれを思い出させる。それだけに、死体発見の衝撃が半端ねぇ……。
やり場のない怒りと悲しすぎる誤解が、悲惨さを際立たせる演出に。上手かったです。
しかしムスカ……こいつ単独トップマーダーかよw
675 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 03:08:17 ID:JmnLUkyY0
投下乙!
「私はムスカ大佐だ」に絶望した。
雰囲気からそう来ることは分かっていたのに……
戴宗とランサーにも誤解フラグが立って……この後が楽しみだ。
676 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 05:21:18 ID:SlN.O1pU0
「私はムスカ大佐だ」と叫んでいる
スパイダーマンのコスプレをしたムスカを幻視した


38:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 02:10:57 BYtqjrCY
677 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 06:54:30 ID:3diRTBKA0
乙。こういう死に方はきついよなあ
ムスカ、電気耐性上手い具合に役立ったな
678 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 08:17:40 ID:HWu.4kA20
投下乙。エリオ無念のリタイヤ。
◆t2vl.cEw/o氏にも誰か意見いってやってほしい。
本人不安がってるぜ。
だが、自分としては記憶は制限されているのではなく、最初から知らない扱いだから
備考欄には反対。こなたがどっかで聞いた台詞うんぬんは別の漫画がいい。
679 : ◆AZWNjKqIBQ:2007/10/25(木) 08:17:58 ID:LHSshl/w0
MAPです。
URLリンク(blogimg.goo.ne.jp)
100話達成記念に一枚です。
URLリンク(blogimg.goo.ne.jp)
680 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 09:29:53 ID:z/uWjqRg0
MAP乙です
死亡者が病院を中心に固まってんな……
記念絵GJっす!
>>678
投下ラッシュで忘れてたぜ、ごめん。投下乙&GJ!
記憶の封印についてはそうそう解除されたくないけど、何かに使えるかもしれない。
具体的なことは思いつかないけど、展開を広げるためのネタの一つとして備考欄には賛成
681 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 09:43:47 ID:JdhqAlHo0
投下がいっぱいで嬉しいねぇ。
>ちぎれた翼で繋いだ未来へ
文章はいい感じだと思う。4人も真直ぐに生きて欲しいところ。
ただ参加してる他作品の知識はこなたを一気に強キャラに
引き上げてしまうので封印したほうが無難かも……と思ってしまう。
>S・O・S
逃げてー! ロイドさん逃げてー!
ほぼ同時に発狂した二人の中原キャラ。
片方は僅かな希望が見えたがもう舞衣はもう戻れなさそう……
>片道きゃっちぼーる2・伝言編
ドモンを中心に広がる誤解の輪に笑った。
しかしなつきも士郎も地味に死亡フラグを立てて行ってる気がしてならないw
>不屈の心は、この胸に
せつねぇ……ランサーも戴宗の兄貴もエリオを
見所のあるやつって見てたのが余計につらい……
ここまで「私はムスカ大佐だ」が絶望的に聞こえたことはないな
しかし絶対楽な死に方させてもらえないぞこいつw


39:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 02:13:32 BYtqjrCY
682 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 09:44:01 ID:3diRTBKA0
MAPとか記念絵とか乙
記憶封印されていようが元々知らなかろうが、
参戦者がアニメ的能力、性格を持っていることは
遅かれ早かれ気づくような気がする。絶望先生が
683 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 13:02:58 ID:XoHIDYxM0
MAP&記念絵乙です。早くも百話か~。
仮投下作品についてだけど、原作バトロワについてはともかく
こなたが他参戦作品についての知識を持ってるという展開は、
う~ん、個人的には・・・やめてほしいところ。
684 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 13:39:35 ID:3diRTBKA0
こなたが類似作品からどんどん類推するのも面白いかも
インスパイアされてる漫画やアニメはいっぱいあるからね
685 :683:2007/10/25(木) 13:40:36 ID:3diRTBKA0
冒頭の一行抜けた
最後の最後まで参加作品の記憶は戻らないままにしておいて、
686 :685:2007/10/25(木) 13:41:29 ID:3diRTBKA0
何度も何やってるんだ…俺は684です
687 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 16:21:09 ID:VEYPD73c0
>不屈の心は、この胸に
なんかすごい違和感を感じる
あれだけエリオの状態に気を使っていた兄貴がエリオを置いて、エリオが戴宗と話す→ムスカに襲われる→ムスカ逃走、これほどの時間まで戻ってこないのは変かも
それに戴宗もあれほどもう子供を死なせないと思っていたのにまだムスカがいるかも知れない院内でエリオ一人にして氷を取りにいくのも
それに花瓶が割れる音やムスカが吹き飛ばされた際の音に二人が反応しないのも、人のいない院内ではムスカの叫びやエリオの紫電一閃のかけ声は周囲によく響きわたると思う
688 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 17:08:35 ID:85YMXCEwO
毒吐き行けよやー
689 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 17:12:23 ID:8bdoDC2cO
ツッコミと批判は違うだろ
690 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 17:17:02 ID:oETjzt7I0
これは普通にツッコミと感じた俺は異端?
691 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 17:20:35 ID:85YMXCEwO
過剰反応しすぎたか、すまん
692 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 17:25:32 ID:oETjzt7I0
それにしてもムスカ楽に殺してもらえんだろなー
693 :687:2007/10/25(木) 17:29:21 ID:VEYPD73c0
いえ自分もわかりにくくてすいません


40:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 02:13:59 BYtqjrCY
694 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 19:25:40 ID:ruzENpzY0
>それに花瓶が割れる音やムスカが吹き飛ばされた際の音に二人が反応しないのも、
>人のいない院内ではムスカの叫びやエリオの紫電一閃のかけ声は周囲によく響きわたると思う
だからランサーが血相変えて戻ってきたんじゃねーの?戴宗を犯人と決め付けてた感があった。
あとは結果論じゃないかな。何時何分何秒ランサーがエリオを置いてったのか描写も明確にないし主観の問題で済みそうな気も……。
695 : ◆t2vl.cEw/o:2007/10/25(木) 20:41:44 ID:14tVP5wo0
意見色々ありがとうございます。とりあえず一番心配だった原作ロワの部分は問題ナシでOKということでしょうか
記憶云々は伏線に使えるかもしれないとの人もいらっしゃるようなので、最後の補足をなくして、本文は弄らずでいきたいと思います
一応、wikiの制限見たところ記憶はないのではなく、封印されているという設定のようなので
696 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 20:44:32 ID:85YMXCEwO
1v氏仮投下乙です、がひとつ疑問が。
SS内ではマッハキャリバーの参戦時期はJS事件直前のようですが、スバルに対しての呼び方が「相棒」なので最速でもギンガ戦以降の筈ですよ。
読み違いがあったらすみません
697 : ◆1vqUwy6meQ:2007/10/25(木) 21:11:11 ID:VR7RTKsM0
すみませんなのは詳しく見てなかったので
修正します
698 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 23:05:02 ID:XoHIDYxM0
hsj氏投下乙です。
パーティが分かれたか。
アレンビー組みはティアナの今後で運命が分かれそうな予感。
おっさんは高遠に上手いこと言い含められる場面しか浮かんでこねぇw
699 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 23:32:23 ID:JdhqAlHo0
>おっさんは高遠に上手いこと言い含められる場面しか浮かんでこねぇw
うむ、反論できんw
それでも金田一なら金田一なら何とかしてくれる……
って金田一は何かヤバゲなフラグが立ってるんだったw


41:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 02:14:18 BYtqjrCY
700 :名無しセカンド:2007/10/25(木) 23:46:58 ID:ruzENpzY0
>>699
おっさんは既に他の事件で犯人に言いくるめられてるしな。
何回犯人が用意したミスリードを選んでくれたことかw
701 :名無しセカンド:2007/10/26(金) 00:12:19 ID:gLEtvJ6o0
◆RwRVJyFBpg氏投下乙
クレア自重しろw
マタタビの投げやりな態度がいい味出してるなぁ
702 :名無しセカンド:2007/10/26(金) 00:19:30 ID:PMNQP5Go0
投下乙です~
まさかこの2人がここまでロワと無関係なことで時間を潰すと投票当時誰が予想できただろうか……w
703 :名無しセカンド:2007/10/26(金) 00:26:09 ID:KdRWgQNEO
いいねえ
クレアは期待を裏切らない男だ。
こいつと親父が会ったら、どうなることやら
704 :名無しセカンド:2007/10/26(金) 00:26:52 ID:R1dDZNFQ0
クレア…。馬鹿がいる、本物の馬鹿がいる! 服着ろ馬鹿!www
そしてマタタビ頑張れ超頑張れ。馬鹿の相手頑張れ。
705 :名無しセカンド:2007/10/26(金) 00:26:53 ID:EmeP6wM20
新スレ乙。
あと、投下してくれた人たちみんな乙。
706 :名無しセカンド:2007/10/26(金) 00:34:55 ID:7CtT4xgI0
バッカーノ見た事なかったんだがいい馬鹿だなクレアw
しかし中々面白い組み合わせだなこの二人
707 :名無しセカンド:2007/10/26(金) 00:40:38 ID:8.dj0w7Q0
念のためこちらにも新スレ案内
スレリンク(anichara板)l50
あとみなさん投下乙です
708 :名無しセカンド:2007/10/26(金) 01:37:32 ID:8.dj0w7Q0
◆ZJTBOvEGT氏投下乙
ジャグジーに笑って会長にビビッてヴィラルに同情した。
そんでジャグジーに惚れ直してやっぱり会長にビビッてヴィラルに同情www
何がいいたいかというとGJ!
709 :名無しセカンド:2007/10/26(金) 01:44:33 ID:NNbmcSEo0
投下乙!
ジャグジー頑張った。土壇場ではやる男だよ。
そしてヴィラル、戦果一つあげたのにサラマンダー臭が抜けねぇ。
710 :名無しセカンド:2007/10/26(金) 01:45:31 ID:RotCxfOc0
GJ!ジャグジーオワタと思ってたがやはりか……
ただヴィラルが下手人ってのは全く考えてなかったw ぶぶ覚醒が来るかとばかり。
そして気付けばトップマーダーですよ、公務王。
711 :名無しセカンド:2007/10/26(金) 01:49:26 ID:NNbmcSEo0
いや、ムスカと同率一位だ。
ってこいつらがトップなのかよw


42:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 02:15:08 BYtqjrCY
気持ち悪すぎこの会話
どうにかしてください

43:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 02:23:53 GFTWrgPo
どうにもできませんよ
つーか2chでさんざからかわれて逃げた人たちですから

44:訂正
07/10/26 09:18:19 PGwuXCtw
>>10
テンプレミスっす
不注意でテンプレと勘違い、マジごめん OTL
スルーでお願いします

45:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 11:53:52 izgnPkrz
気持ち悪い会話なんかわざわざコピペせんでも

46:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 18:33:39 au6Fqiqe
つーかなんでコピペするかわけ分からん、サイト見れば一発やん
したらばはアク禁できてもサイトの閲覧停止とかシステム上絶対できないし、
レス削除しても番号は強制的に跳んでそれ自体をなかったことにできないとか弱点も多いしな

47:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 19:07:59 UbBIuMAz
 

48:悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱 ◆tu4bghlMIw
07/10/26 19:08:19 QKfrZaxY
「あ……れ……」

わたしが目覚めた時、空は、青く染まっていた。

身体を起こし、左右に頭を振って状況を簡単に確かめる。よく、周りが見えない。
まるで睡眠薬を何錠も無理やり摂取したみたいな感覚だ。
頭がボーっとしてクラっとして瞬いてフラフラする。
指先から足の先、眼球、内臓、その他沢山、身体中ありとあらゆる場所から気だるさが抜けない。

わたしは誰なのか。それは他人に問い掛けるまでも無く分かる―小早川ゆたか、陵桜学園高等部一年D組所属。
普通の、高校生だ。そう普通の。
毎日当たり前のように学校に通い、当たり前のように勉強をして、当たり前のように友達と話をして……。
そんな無限回廊にも似たサイクルに身を委ねる日本中何処にでもいる筈のごく普通の高校生だ。

うん、何一つ間違ってない。
プロフィールにもデータにも現状分析にもこれっぽちの淀みは―


「……起きたか」
「え……」


少し離れた場所から男の人の声。わたしは当然、その方向に顔を向ける。
……忘れて、いた……違う、多分逃げていたんだ。
もう"普通"なんて言葉はわたしの中に一片たりとも残っていない。ううん、正確には全て"異常"に乗っ取られたと言った方がいい。
現れたのは男の人、もちろん知らない人なんかじゃなかった。


「Dボゥイさん」
「悪いな、側を離れていて。その……少し"後始末"をしていた」


彼はそう呟きながら両手に付いた土を軽く払った。
若干伏し目がちの視線と赤く染まった衣服。
それはわたしの意識を完全に覚醒させ、正しい現状分析を行わせるには十分過ぎる程の材料となった。

あのおじさんの……ヒィッツカラルドさんの死体を埋めていたんだ。
そして背筋を走る、悪寒にも似た電撃。
衝動で動いていたあの時とは違う。人が一人死んだという、あまりにも単純で複雑で残酷な事実を認識する。

「大丈夫、です」
「……そうか」

わたしは少しだけ気分が悪くなったけど、出来るだけ顔に出さないように答えた。
Dボゥイさんの回答からはわたしの反応で彼が何を感じ取ったのかは分からなかった。

「でもわたしより、Dボゥイさんの傷の方が……」
「いやそれがな……目が覚めたら直っていた」
「え……!!」

クルッと背中を向けたDボゥイさんの後姿は壮絶で、でもとても不自然な光景だった。
確かに左肩から背中の中央に向けて大きな裂傷があるにはある。
服もズバッと裂けていて、ヒィッツカラルドさんの力がまやかしなんかじゃなかった事を否が応にも意識させられる。
だけどその傷跡は、出来てからもう数日が経過したかのように完全に出血が止まっていた。

「痛み……ます?」
「多少は、な。だがほとんど変わらず動かせる……血は足りないが……それと、あの男が持っていた道具もいくつか回収出来た」


49:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 19:09:05 UbBIuMAz
 

50:悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱 ◆tu4bghlMIw
07/10/26 19:10:15 QKfrZaxY
彼がそう言ってわたしに見せたのは、大きな長い銃のようなものだった。
50cmくらいの鉄の塊。多分ライフル、という類の銃だろう。
漫画などでよく殺し屋っぽい人が使っていたりする武器だ。

「あの男には不要の代物だったんだろう。そして―これは君に預ける」
「わたし……に?」

Dボゥイさんはその大きな銃をわたしに差し出した。
訳が分からずわたしは言われるがままに、ソレを受け取った。
……重い。デイパックの中に入っていた拳銃と比べても考えられないくらいの重量がある。

わたしは戸惑った。
だって自分にこんなものを扱える訳が無いからだ。
事実、本来支給されていたM500という大きな銃だって今はDボゥイさんが持っている。
しかもコレは見る限りただ弾を撃つだけの銃じゃない。
銃身の下の辺りにも、バズーカ砲のようなものがくっついている。きっと凄い銃だ。


「でも、そのっ、わたしよりDボゥイさんが持っていた方が―っ!」
「いや、たとえ撃つ事が出来なくても十分な威嚇になる。それに……」
「?」
「ゆたかがいなければ、俺はあの男に殺されていた。
 君の強さがあの男を倒した―だから、これはゆたかが持つべきだ」
「あ…………」


それはどういう意味だったんだろう。
気が付くとわたしはいつの間にか、ポケットの削岩機の形をしたアクセサリに触れていた。
少しだけ、暖かい。何だろう、どこか不思議な力を感じるような気もする。

ヒィッツカラルドさんがDボゥイさんを傷つけようとした瞬間、わたしの中に生まれたやり所の無い感情。

『みんなで一緒に帰りたい』

『生きていて欲しい』

多分、言葉にしてしまうとこんな簡単な台詞に変換されると思う。
だけどそんな単純な想いがあの時だけはこれ以上無いくらい心強いものに感じた。


「は、はいっ!!」


わたしは重さに震える手で、腕の中の銃をギュッと強く抱き締めた。
Dボゥイさんの言葉はぶっきらぼうで、少し乱暴だけど、とても暖かくて、胸が一杯になる優しさに満ち溢れていた。
だからわたしも最高の笑顔で彼に応えた。


「それで……だ。話は変わるんだが実は少し困った事になった」
「困った事、ですか?」

Dボゥイさんはそれまでと打って変わって突然深刻そうな表情を顔に刻む。

「―ゆたか、今何時か分かるか?」
「時間……ですか? あっ! もしかして……ッ!!」

急いで"右腕"に付けた腕時計を確認する。
針と文字盤からなるその機械はもうすぐ六時五十分を刻もうとしていた。
そして思い出す。最初に広間に集められた時に説明された独自のシステムについて。

51:悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱 ◆tu4bghlMIw
07/10/26 19:11:20 QKfrZaxY


「……放送」
「ああ―聞き逃した」


わたし達は、思わず天を見上げた。
空は青。雲一つ無い晴天。
黒色の幕は完全に引かれ、太陽が顔を出す時間だ。
最初の放送が行われたはずの午前六時は、とっくに過ぎ去っていた。



 ■


「ど、どどどどどどどうしましょうっ!!」
「……ゆたか、とりあえず落ち着け」
「で、でも、そんなっ、無理ですよ! だって、一つ目の禁止エリアが決まるのは―」
「朝の七時……十分後だな」


Dボゥイさんは何故か平然とした様子で左腕に嵌めた時計を見ながら答える。
何でこんなに平然としていられるのだろう。
だってもしもここが禁止エリアに設定されていたら大変な事になるはずなのに。

「俺の見立てでは、少なくとも七時の時点でここが禁止エリアになる事は無い筈だ」
「そ、それって……どういう意味ですか?」
「"貴様らの中から、最も優秀な一人を選び出せ" つまり、参加者同士の戦いが奴の望み。
 それに奴の佇まい、言動。自身もかなりの使い手である事は容易に想像が可能だ」

淡々とDボゥイさんは続ける。わたしはそれを聞く。
戦って生き残るのが命題なら、わたしにとっては分が悪すぎる賭けだなぁなんて思いながら。

「そう考えれば、奴にとっても禁止エリアの役割は『散らばった人間を追い込む』事。
 ならば『エリアに踏み込んだ人間を殺害する』結果は極力避けたいと思うのが道理」
「……ッ!!」

わたしはDボゥイさんの考察に驚きの声を漏らした。
凄い。だってそれはあの空間に連れて来られても平静を保っていた、という証明なのだから。
わたしなんて、脅える事しか出来なかったのに。


「ただ、な。問題はこれは仮説であって、決して断定は出来ない、という事だ」
「それって……」
「このD-7エリアが禁止エリアに設定されている可能性は零では無い。
 俺も手を尽くして他の参加者を探したんだがな……結局誰とも会えずじまい……あと一分か」


その言葉につられてわたしも時計に目をやった。
短針と長針が刻むは六時五十九分。つまり注目すべきは―秒針だ。
わたし達の間を沈黙が支配した。
視線は無常にも回り続ける細長い針へと注がれる。
単純に考えてみても六十四分の一の確立。それにDボゥイさんの推理を加えれば、心配する必要なんてこれっぽちも無いはずなのに。


「……十秒」


52:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 19:12:28 UbBIuMAz


53:悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱 ◆tu4bghlMIw
07/10/26 19:13:01 QKfrZaxY


息を呑む。
9、8、7、6、5、4、3、2……。

喉がカラカラになる。
そういえば殺し合いが始まってから何も口にしていなかったっけ。
お腹減ったな。デイパックに食べ物が入ってるって言ってたけど、何があるんだろう。

―イチ。

わたしは、そんな、どうでも良い事を考えて自分を誤魔化すことしか出来なかった。


―ゼ……



「―爆発はしないわ、盛り上がっている所悪いのだけど」
「「ッ!?」」


わたし達が死角から投げ掛けられた声に背筋を震わせた瞬間、秒針は"12"の文字盤を通過していた。
七時、だ。今までの恐怖が一瞬で霧散してしまうような感じを覚えた。
過ぎてしまえば何もかもが何てことの無い、ただの心配のし過ぎだったように思えて来る。喉元過ぎればなんとやらだ。


「……誰だ、お前は」
「……不躾ね」
「お互い様だ」


現れたのは青色の軍服を身に纏った女の人だった。
金色の髪と白い肌とのコントラストが眩しい。スラッとした抜群のスタイルはわたしなんかと違う、大人の雰囲気に満ち溢れていた。
突然わたし達の前に姿を見せた―いや、"ギリギリまで見せなかった"彼女にDボゥイさんは訝しげな視線を送る。
そして、わたしの身長ぐらいはありそうな巨大な斧を取り出し正眼に構えた。
ピリピリした空気が流れる。一触即発の様相。どちらも相手の腹の内を探っている。


「ちょ、おばさ―! イテッ!!」
「……パズー君?」
「お、おねえさん! 駄目だよ、そんな喧嘩腰で……」
「隠れているように、そう言った筈よ」
「だからって……ほら、あの男の人、なんか凄そうな武器持っているし……」


わたしとDボゥイさんは突然現れた男の子と女の人のやり取りをぽかーんとしながら見つめていた。
何かとても失礼な呼び方が"パズー"と呼ばれた少年の口から飛び出そうとした瞬間、抜群のタイミングで炸裂した女の人のゲンコツが緊張した空気をぶち壊したと言ってもいいかもしれない。
二人のやり取りを見る限り、どうやら同行者……のようだった。



 ■




54:悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱 ◆tu4bghlMIw
07/10/26 19:14:02 QKfrZaxY
「で、どういうつもりだ、ホークアイ中尉?」
「あなた達がゲームに乗っていない事を確かめる必要があったので。
 小さな女の子と親しげに話す若い男……中々危険な構図だと思いませんか?」


"小さな"というのは一体どれくらいの年齢を意識しているのかな、絶対下に見られているだろうなぁ、そんな事をわたしは考えていた。
あの後、なんとかどちらも警戒を解いて軽く情報交換を行う事になった。
簡易的な自己紹介は済ませてある。金髪の女の人はリザさん。隣の男の子はパズー君だ。
ちらり、と視線を送るとパズー君は何を思ったのか破顔一笑。
もしかして……同じくらいの年齢だと思われているのかな?

「―妙な事を言う。俺達が、か? 馬鹿馬鹿しい。そうだろ、ゆたか?」
「え、ええ、はい。そ、そうですね……」

言われてみると……わたし、Dボゥイさんに倒れ込むみたいに眠っちゃったんだよね……。
そんな少し前の事を思い出した途端、恥ずかしさでわたしの頬が少しだけ熱くなったような気がした。
Dボゥイさんは天然なのか、わたしなんて眼中に無いのかまるで気にしている様子は無いけれど。


「まぁ、いいでしょう。それにとりあえず、これで交換が成立しそうですし」
「……交換?」
「簡単な論理です。あなた達は放送の情報が欲しい、そして私は銃が欲しい。
 ほら、上手く釣り合いが取れていると思いませんか?」
「銃って……」

その場にいたパズー君とDボゥイさんの視線がわたしに―正確には今はわたしのデイパックの中に入っている大きな銃に注がれた。

「どういう事だ?」
「そもそも、私達は今から北へ行って銃器を調達する予定でした。本職が、そちらですので」
「なるほど……な。だが情報と引き換えでは、こちらの方が相当に分が悪いと思うが?」
「ええ、それは十分に理解しています。
 それに、私もあんな心温まる場面を見せられてその銃を寄越せ、と言うほど冷徹な訳ではありません。
 報酬はDボゥイさんが持っていらっしゃる方の銃で結構です」
「―何故、分かる?」

Dボゥイさんは分かり易いくらい露骨に眉を顰めた。わたしも今の発言には少し違和感を覚えた。
だってDボゥイさんが銃を持っている事をリザさんは知らない筈なのだから。


「言ったはずです。本職がそちら、だと。
 わたしが現れた時のあなたの視線の微妙な変化、独特の筋肉の強張り、意識の分散……懐に拳銃を持っている事は容易く推測できました」

リザさんは事も無げにそう答えた。
銃を扱う事に関するスペシャリスト……そうだよね、軍人さんなんだから。
ただ持っているだけでも普通の人とプロの人だと大きな違いがある、って事なのかな。


「それに―放送の情報は絶対に必要なもの。ですが……」
「知らない事を逆手に取って、嘘の情報を流す者もいる、と言いたい訳か」
「ええ。ですが、幸い私達には同行者がいる―どちらも殺し合いに乗っているとは考え難いような」

Dボゥイさんの視線がパズー君に、リザさんの視線がわたしへと向けられる。
積極的に人を殺そうとする、つまりヒィッツカラルドさんのようなタイプの人がわたし達みたいな小さな子供を連れている訳が無い、という論理だろうか。
確かにある程度筋が通っていて、分かり易い材料だ。

「加えて物品を介した関係は言葉だけのものよりも、中々強固だと思われませんか?」
「……了解した。持って行け、ホークアイ中尉。残弾は三発しかないがな」
「ありがとうございます」

55:悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱 ◆tu4bghlMIw
07/10/26 19:15:03 QKfrZaxY
Dボゥイさんは銃をリザさんに手渡した。
二人は同じようなタイミングで小さく溜息を吐いた。


 ■


「まずは禁止エリアについて……ですが。順番どおりで行くと七時からB-1、九時からD-5、十一時からG-6。
 それに首輪自体もエリアに踏み込んだ瞬間ではなく、一分後に爆発するようですね。
 また、禁止エリアで爆死する事をあまり好ましくない、とも螺旋王は言っていました」
「な、なんだぁ……じゃあ全然大丈夫だったんだね、Dボゥイさん」
「……そうだな」


わたし達は自分達の地図にリザさんが言った禁止エリアをメモしていく。
でもDボゥイさんは地図ではなく、チラチラと"パズー君の反応"を伺っていた。

なるほど、リザさんが嘘を付けば、ちゃんと放送を聞いているはずのパズー君が何らかのリアクションを示すはず、という事か。
だけど特に変化は無し。逆に彼は何故自分を見るのかと、怪訝な表情を浮かべていたくらいだ。
やっぱり、リザさんは嘘をついていない、って意味なのかな。―そもそも全然信用出来そうなようにも思えるけれど。

七時からはB-1。わたし達がいるD-7とは全くの別方向。
D-5は感覚的には少しだけ近いような気もするが、川を挟んだ対岸に位置する場所だ。やっぱり遠い。
Dボゥイさんの仮説はやっぱり当たっていたようだ。


「あとは、そうですね。殺し合い自体はあまり捗っていない、と螺旋王は言っていました。それに……」
「少さな女の子が、螺旋の力に目覚めたのを、この目で見られた―とか言ってなかったっけ?」
「ああ、そんな事も確かに。螺旋の力、と言われてもいまいちピンと来ませんが」

わたしのポケットの中で一度、コアドリルがドクンと脈打ったような錯覚を覚えた。そしてどこか暖かい。

「……相羽シンヤという男は名前を呼ばれたか?」
「お知り合いですか? いえ、今回の放送では呼ばれていませんね」
「そいつは重畳。もっとも、奴がそう簡単にくたばる訳が無いか……」


"相羽シンヤ"その名前を口にした時のDボゥイさんの表情は今まで見た事が無いくらい、怖くて恐ろしいものだった。

「それでは……他の死者も教えて貰えるか?」
「そう、ですね。死亡者は名簿の順番で呼ばれました。
 順に、アニタ・キング、……エドワード、エルリック、キャロ・ル・ルシエ……」


『エドワード・エルリック』という名前を声に出した時、リザさんの顔色が一瞬曇ったように感じた。
でも、今はもう元通りの涼しげな表情に戻っている。気のせい……だったのかな?


「―素晴らしきヒィッツカラルド」


でも、ヒィッツカラルドさんの名前が呼ばれた瞬間、わたしの意識は急に現実に戻された。
わたし達を襲って来た魔法のような力を持っていたおじさんの名前だ。

ここまでで合計八人。それって多いのかな、少ないのかな。
産まれて初めて目の当たりにした明確な"死"
名簿の名前に斜線を引いていく行為に酷い背徳感を覚えた。


「そして、最後に―柊つかさ。……先の放送で名前を呼ばれたのは以上、九名です」

56:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 19:15:44 UbBIuMAz
 

57:悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱 ◆tu4bghlMIw
07/10/26 19:16:23 QKfrZaxY


……え?


「柊……つかさ、だと」
「……知り合い、かしら。でも、ごめんなさいね、私達もグズグズしていられなくて。
 せっかく銃を貰えたと言っても、こんな怪物みたいな銃よりも軽い銃の方が好みですし。このまま北上する事にします」
「…………相当なものだぞ、それは。女の細腕で扱えるか?」
「慣れていますから」


二人が何か話をしている。多分、銃の話だ。

"でもそんなの関係ない"

あの脳味噌をグラグラ揺らすような大きな音が頭の中に呼び起こされる。
揺れる。揺れる。
外から思いっきり殴られてもこうはならないんじゃ無いかって思えるくらい、小刻みに意識へと攻撃を仕掛ける。

意識は朦朧として、螺旋を描く。ジリジリと焦がれるような太陽が肌を焼く感覚。
胸がギュッて締め付けられるような、心臓がリボンでグルグル巻きにされているような不思議な気分だ。
息を、吸い込む。いつもは風船のように簡単に膨らむ肺に全然空気が入って来ない。
苦しい。
酸素が足りなくて二酸化炭素が頭を一杯にして、それで―


わたしの頭の中につかさおねえちゃんの笑顔がユラリと浮かんだ。
そして、一瞬の間を置いてソレは粉々に砕け散る。
爆散。ホールで見たあの男の人の死体がつかさおねえちゃんと何故か重なった。
赤と何かが爆ぜる音。
飛び散る液体と思わず顔を顰めてしまうような臭い。


死んだ。つかさおねえちゃん……が?
嘘。嘘でしょ?
人の死、自体はほんの少し前に経験した。命の無くなった肉体を見たりもした。
だけど、違う。
見知らぬ人、名前と外見しか知らない人間の死と身近な人間がいなくなってしまう感覚が、こんなに別だなんて思わなかった。
ついこの間まで、笑っていた人が死んだ。消えた。殺された。
それはまるで心の中にぽっかりと空いた穴のようだ。
そうだ、空洞。ヒィッツカラルドさんの眉間に刻まれた赤くて黒い穴のような……。

直立を保てなくなった両足がガクガク震える。
まるで酔っ払いのように惑う脚。
……ダメだ……今日は、大分、調子が良いと思っていたんだけど。


「……おい、どうした? おい、ゆたか? おい!!」
「パズー君?」
「おばさん!! 大変だ、ゆたかが……!!」
「また、あなたはそんな―」
「今はそんな事どうでもいいだろ、おばさん!! お兄さん、大変なんだ―!!」
「おい、ゆたか、しっかりしろ、ゆたか!!」


世界が、落ちていく。
力を失ったわたしの筋肉がその働きを放棄する。
まるで腰が抜けたみたいに崩れ落ちる、その寸前をDボゥイさんに受け止められた。


58:悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱 ◆tu4bghlMIw
07/10/26 19:17:27 QKfrZaxY

パズー君やリザさん、Dボゥイさんがわたしの名前を呼んでいるのが分かる。
Dボゥイさんの腕は暖かかった。
まるで揺り篭、原始の海、羊水、どれでもいい。
凄く、心が落ち着いた。

だけど、その逆。
私のポケットに入っているアクセサリはいつの間にか冷たくなっていた。
まるで、氷の塊のような感覚だ。
私の中の暖かな感情が全部無くなってしまった後の抜け殻―みたいだ。


「ゆたか!! しっかりしろ!!」


そんな事を考えながら、私の意識は深い深い闇へと落ちて行った。


 ■


「本当にいいのかい? おいら達もいた方がいいんじゃ―」
「いや、問題ない」
「本当に……大丈夫ですか? Dボゥイさん」
「ああ」

二人はまだゆたかの状態が気になる様子だった。
だが、俺の対応を見て決心を固めたらしい。
こちらを何度も振り返りながらも元々の目的地であった警察署の方角へと消えた。


閉じた瞳を透明な液体で濡らしたゆたかを見つめながら俺は考える。

柊つかさ。
それはゆたかが知り合いとして名前を挙げた人物の一人だ。
他にも泉こなた、柊かがみという知り合いがいるとは聞いていたが、こんなに早く死亡者が出るとは。
これではゆたかを知り合いに預ける、という方針は中々難しい事かもしれない。


「う……」

俺はふらつくを頭を抑えながら、自らの失態を呪った。
血が、足りない。
傷自体は目覚めた時には、ほぼ完治していた。背中から完全に致命傷、そう思っていたはずなのだが。
ただし、失った血液に関しては別問題だ。
血……輸血をするのならば病院に向かうべきだろうか。だが、この状態のゆたかを置いていく事など出来る訳も無い。
ひとまずは、彼女が目覚めるまで耐えるしかないのか。



【D-7/住宅団地/1日目/朝】

59:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 19:17:30 bibcwk7e



60:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 19:17:43 UbBIuMAz
 

61:悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱 ◆tu4bghlMIw
07/10/26 19:18:32 QKfrZaxY

【Dボゥイ@宇宙の騎士テッカマンブレード】
[状態]:左肩から背中の中心まで大きな裂傷(出血は治癒、裂傷に伴う痛みは若干残っている)、吹き飛ばされたときに全身に打撲、中度の貧血
[装備]:テッカマンアックスのテックランサー(斧) @宇宙の騎士テッカマンブレード
[道具]:支給品一式  
[思考]
1:ゆたかの意識が戻るのを待つ
2:テッカマンエビル、相羽シンヤを殺す
3:2を果たすためなら、下記の思考を度外視する可能性あり
4:病院に向かい
5:ゆたかを知り合いか信頼できる人物にゆだねる、つもりだったが迷い中。
6:ゲームに乗っている人間を殺す

[備考]
 :殺し合いに乗っているものはラダムと同じだと結論しました
 :テッカマンアックス撃破後、身体が蝕まれる前ぐらいを意識しました
 :月の石のかけら@金色のガッシュベル!!は時間経過により、全てただの石に戻りました 
 :ヒィッツカラルドの簡単に埋葬された死体の上にフィーロの帽子@バッカーノ! が置かれています。
 :六課メンバー、クロ達、リザの仲間達の情報を入手。


【小早川ゆたか@らき☆すた】
[状態]:肉体的疲労小、精神的疲労極大、絶望 、失神
[装備]:COLT M16A1/M203@現実(20/20)(0/1)、コアドリル@天元突破グレンラガン
[道具]:支給品一式、鴇羽舞衣のマフラー@舞-HiME、糸色望の旅立ちセット@さよなら絶望先生[遺書用の封筒が欠損] 、M16 アサルトライフル用予備弾x20(5.56mm NATO弾)、M203 グレネードランチャー用予備弾(榴弾x6、WP発煙弾x2、照明弾x2、催涙弾x2)
[思考]
1:???

[備考]
 :コアドリルがただのアクセサリーではないということに気がつきました。

【COLT M16A1/M203@現実】
ベトナムのジャングル戦において使用されてきたM16A1 アサルトライフルにM203 グレネードランチャーを装着した画期的装備。
連射性の低さを補い、火力アップを図るために装着されたM203は40mmの各種グレネード弾を発射できる。
現在もアメリカ軍によって現役で使用されている高い能力を持った武装である。




62:悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱 ◆tu4bghlMIw
07/10/26 19:19:32 QKfrZaxY

【E-7/市街地/1日目 朝】

【リザ・ホークアイ@鋼の錬金術師】
[状態]:健康
[装備]:M500ハンター(3/5)@現実、ダーツ@現実(残り23本)
[道具]:デイバッグ、支給品一式、
      泉そうじろうのデジタルカメラ・説明書付@らき☆すた(※マタタビの勇姿(後ろ姿)を撮ったデータが一枚入っています)
[思考] 基本:ここから脱出する。殺し合いをするつもりはない
1:北上し、警察署で更なる銃器を調達する
2:ロイ・マスタング大佐、マース・ヒューズ中佐、エルリック兄弟(アル)を探し合流する
3:パズーが仲間と合流するまでの間、彼を保護する
4:2日目の0時頃に温泉へと戻り、マタタビに協力を要請する
5:トンネルで見た化物を警戒する
6:ゆたかを心配

 ※リザ・ホークアイの参加時期はアニメ15話辺り。彼女の時間軸では、マース・ヒューズはまだ存命しています
 ※トンネルで出会った人物より、『線路の影をなぞる者(レイルトレーサー)』の名前を聞きましたが、
   それが名簿に記載されていないことにまだ気づいていません
 ※ディバッグに穴が開いてしまったので、持ち運びが不便。歩行速度に影響が出ています
 ※マタタビと情報交換をしてません。また、マタタビを合成獣の一種だと考えています
 ※マタタビの温泉再建については、まだパズーに話していません
 ※Dボゥイとゆたかの知り合いについての情報を得ました。
 

 【パズー@天空の城ラピュタ】
[状態]:健康だが右頬と頭頂部に鈍い痛み
[装備]:ルールブレイカー@Fate/stay night
[道具]:デイバック、支給品一式、タロットカード@金田一少年の事件簿、USBフラッシュメモリ@現実
[思考] 基本:螺旋王を倒し、みんなを救う
1:シータを探し出し合流する
2:リザ・ホークアイと同行する
3:六課メンバー、クロ達、リザの仲間を見つけたら声をかける。
4:ゆたかを心配

※言峰により揺さぶりをかけられましたが、反発しています
※六課メンバー、クロ達、リザの仲間達の名前、容姿をある程度覚えました
※Dボゥイとゆたかの知り合いについての情報を得ました。

63:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 19:20:20 YIcPOSny
 

64:悲劇は目蓋を下ろした優しき鬱 ◆tu4bghlMIw
07/10/26 19:20:53 QKfrZaxY
すいません。
>>62の中尉達の現在地はC-7/道路です。

65:剣持警部は忠実に職務を遂行する ◆hsja2sb1KY
07/10/26 19:52:18 ZFXe+uLs
疾走する。


「うっひゃ―――これ気持ちい―――い!!」
「う、お、お、お、わ、振―り―落―と―さ―れ―る―!!」
「た、た、た、耐えるのだ―――!! キ―――ル―――!!」


 爆音をたてて水上を疾走する。
 力強く迫力のある重量感のボディ。全体的にしかしシャープなフォルム。
 目の覚めるような鮮やかな青地のボディに、横に太く三すじに流れるはっきりとしたピンクと白のライン。
 アレンビー・ビアズリーの支給品である。


「爽快―――い!!」
「お願い誰か助けて―――!!」
「スピードを緩めるのだアレンビ―――!!」
「え―――こんなに気持ちいいのに―――!?」


彼女には全く聞くつもりがない。気持ち良さそうに水飛沫を跳ね上げて、全速力で駆け抜ける。
 颯爽と背中にぴちぴちと跳ねるブリをしょった一人の女性を乗せて、軽快に走る水上オートバイ。その容姿はとても楽しげに見える。
 後部には強風に煽られながら、アレンビーの肩にがっしりと掴まる子供一人とカラス一匹。こちらの姿はとても命がけに見える。


「っひゃ―――♪」
「もうやめてとめて降ろして―――!!」
「私も落ちそうなのだ―――っ!!」


 アレンビー・ビアズリー。キール。ガッシュ・ベル。
彼女たちは移動速度を上げるため一旦高速道路を飛び降りて、アレンビーの支給品を使って水上を移動していた。
目的は豪華客船に、ゲームに乗っていない人間を集めること。そして高遠清麿とドモンとジンを見つけること。目線の定まった三人の結束は固い。

「うげ―。気持ち悪―。もう死にそう―」
「そろそろ対岸が見えてきたのだ、アレンビ―!!」

 キールはぐったりと突っ伏す。ガッシュが前方を見て声を掛けた。E-3はそれほど広い海域ではない。
 まっすぐに進めばあっという間に対岸に突き当たる。
 しかしアレンビーは自分の運転に自信を持っている。没頭し気にせずブレーキをかけようとしない。

「アレンビ―?どうしたのだ?早く速度を緩めぬか!」
「まだまだまだ! 大~丈~夫だって―――! アタシに任せてってば―――!」
「アレンビ―――!! いい加減にするのだ―――!!」
「はい、はい、わかった、わかったってば!!」



66:剣持警部は忠実に職務を遂行する ◆hsja2sb1KY
07/10/26 19:53:44 ZFXe+uLs
 余裕を見せるアレンビーにガッシュが慌てて制止の言葉を投げ掛ける。
 不満げな顔をしたアレンビーがそれに応える。

「え、と、あれ? あれ? あれ?」
「どうしたのだ!?」
「……」

アレンビーはハンドル類や計器類を見回しながら、ガチャガチャといじり回す。
少し慌て出す。

「え―――と……これブレーキどこにあんの!!?」
「な……バカモノォォォォォォォ!!!」
「……………!!! !!! !!!」

 三人が岸辺をみる。目を丸くする間に地面がたちまち近づく。
 そのまま水上オートバイは一瞬の鈍い音と共に対岸に突っ込んだ。
 なすすべのない三人達を振り飛ばしていきながら。
 水上オートバイは持ち主達を置き去りにしてなかなかのスピードで飛んでいく。
 アレンビー。キール。ガッシュ。三人は一瞬宙を飛び、仲良く地表に降りた。


「バ……バカモノ……」
「だって……コアランダーとかと勝手が違っててさあ……」
「お願いだから……説明書は読んでくれ……アレンビーちゃん……」

 乗り物が地面を走っていく音を聞きながら、三人は岸辺の向こうの茂みに放り出されていた。


「エヘヘ~ゴメンゴメン」」
「ウヌ……」
「俺、死ぬかと思ったぜ~」
「ゴメン、やっちゃったー。ポルヴォーラは大丈夫?」
「ウヌゥ……デイパックの中で大人しくしてるのだ」
「はは~とりあえずそん中いれときゃ安全みたいだな」

 普通に会話をする。まだまだ元気な三人だった。


   ◇   ◇   ◇   ◇


 放送が終わる。
 剣持勇は怒りを込めて拳を割れんばかりに握りしめる。

「くそったれぇっっっ! もう9人か!」

 苛立ちまぎれに吐き捨てる。
高速道路から降りた東側出入り口の片隅。高速道路上の巨大文鎮はもう見えない。まだ目眩のする体で歩いてきた。
 途中、どこからか大音量で放送が流れてきて、座り込んで注意深く放送に耳を傾けた。
 支給された荷物に関係資料もはいっていたのかも知れないが、確認する前に全て焼け落ちてしまった。
 死亡者の名前と禁止エリアの場所はなんとか頭にいれる。



67:剣持警部は忠実に職務を遂行する ◆hsja2sb1KY
07/10/26 19:54:55 ZFXe+uLs
 放送で呼ばれた名前の中に、予想通りの名前があった。

警察は地道な作業を旨とする。奇跡は信じず自分の目と足でかせぐ。そう簡単に悲劇を止められると思うには年を食いすぎた。
だが長年正義を信じて警察官を勤めてきた人間である。目の前で犠牲者が出ることを防げなかった。怒りと無力感がないまぜになる。
 彼が死ななければ自分が死んでいたかも知れない。自分の代わりに死んでいった枢木スザクの顔を思い出し、悔恨の念にしばし浸る。

 ―あの男だったのだろうか、と思う。人間のようで人間でない、鮫の歯をした男。何か爆弾のようなものでも車に仕掛けたのか。
 あの炎上はそのために起きてしまったのか。
 ほかに誰かいて、そいつが攻撃を仕掛けてきたのなら、とっくに気絶している自分は死んでいたはずだろう。
 だとしたら倒したあの男が事前に車に何か細工していたと考えるのが当然の帰結である。
 鮫の歯をした男の顔を思い出す。ヴィラルと名乗っていた。憎しみが沸いてくる。

(スマン、きっと仇はとってやるからな、クルクルくん……)

 短かすぎる付き合いだったが、とてもいい奴だった。
 まだこれからの人生だったのに。
 ぐしっ、と涙が滲んでくる。

(ああ、ちきしょう!)

 顔を歪める。
目を袖で乱暴に擦って、気を取り直すために別のことを考える。
 自分のような一般人。枢木スザクのような別世界人。そして彼も見たことがなさそうだった鮫の歯をした男。
 どうやら、まるでバラバラの世界から寄せ集められたようだ。
 できの悪いSF小説。悪夢を見ているようだ。なんでよりによってこの俺が、と思う。
 この常識一辺倒で生きてきたこの俺が。

(こんな時、金田一やあのイヤミ警視がいてくれたらなあ……)

 心の中でグチを吐く。
 自分の頭と違って優秀だ。今頃状況を分析して自分には到底思いも寄らない脱出策を練っていることだろう。
 金田一一、明智健吾。剣持のこの二人に対する信頼は絶対である。どんな難解な事件もたちどころに解き明かしてきた。

(はぁぁ、ここにいない人間のことを考えててもしょーがないだろう?)

 溜息をつきながら腰を上げる。剣持はまだ知らない。剣持と同時に金田一と明智がこの場に呼ばれていることを。そしてもう一人。
 背中の痛みもいくらかマシになってきた。打撲の原因は不明だが、これも車から転落した時のものだろう。

(ま、誰もいなくても俺の仕事は変わらない。犯罪者を摘発し一般市民を守る、そして事件を解決するだけだ)

 方針は固めた。
 つまり殺し合いに乗らず、殺し合いに乗った者をとっ捕まえ、殺し合いに乗っていない者を保護する。
 それと同時に情報を集めて捜査。この状況を解決する。
 どうやってかはまだ考えが及ばないが、彼にとってやれることはそう普段と変わりない。

(これはどうするか……)



68:剣持警部は忠実に職務を遂行する ◆hsja2sb1KY
07/10/26 19:56:10 ZFXe+uLs
 手持ちで持ってきた、かたわらの巨大ハサミの片刃と抜き身の日本刀を見る。
 少しためらう。二つのバッグに入れてもいいが、はみだしてしまう。
 それに大事な食料品の椎茸と一緒に刃物を突っ込んでおく、というのは躊躇われた。
 悩んだ後ベルトの両脇に挟む。

(……切り裂きジャックか、俺は!)

 ……どう見ても通り魔にしか見えない。腰の両脇に抜き身の刃物を装備した姿は、市民の安全を守る警察官には到底見えなかった。
 だが背に腹は代えられないと譲歩する。鮫の歯の男のようなのがいつ襲ってくるかわからない。
 誰かに会ったらその都度対処していこう、と思う。

「さて、行くか」

 立ち上がる。忠実に自分の職務を遂行するために。
 だがすぐに足を止めて硬直する。目の前に一人の青い髪の少女が立っていた。
 この場にそぐわないほどにニッコリと笑いながら。

「オジサン!名前なんて言うの?」


   ◇   ◇   ◇   ◇


「高遠揺一ィィィィィィィイ!!?」

 剣持はあんぐりと口を開ける。

 剣持、アレンビー、キール、ガッシュは合流していた。
 普段から日本刀を背中にしょったドモンに接しているアレンビーには、剣持の帯刀した姿に違和感を抱かなかった。
 あまりに緊張感がない二人と一匹に剣持はどっと気が抜ける。
 聞けば水上にいて放送も全く聞いていなかったのだと言う。
 お前らどんな状況にいるのかわかってるのか! 怒鳴りつけたい衝動にかられるが、すぐにそれを忘れてしまった。
 剣持は喋る烏にも驚かされたが、それ以上に驚かれたのは三人の言葉。彼の知る人物からの伝言。

『豪華客船にゲームに乗っていない人間を集める』
『主催側に対する一大拠点にするつもり』
『金田一君、明智君、剣持君、一時休戦といきましょう』
『君たちとの勝負はここから脱出してからということで』

 金田一と明智の名前が出てくるということは呼ばれたということだ、彼と同じくこの殺し合いに。
(よかった……ここにいるのは俺だけじゃなかったんだ……まだあいつらがいりゃあ……)
 だが高遠に関してはまた新たに疑念が沸いてくる。
 剣持の知りうる高遠の人物像は、そんなことを計画することは決してない。
 むしろ罠だと考えるのが自然だろう。
 だが反面、信じたい思いがある。本気で豪華客船を一大拠点にするつもりなら、それは希望に繋がる。
巨大文鎮が通路を遮っていなければ、目と鼻の先の場所である。その気になれば泳いででも行く。

(しかし、いくらなんでもこりゃ怪しいだろうが!)

 たしかに金田一、明智とチームを組めば、頭脳面で敵う者はいないだろう。
 悩む。高遠と豪華客船の様子を見に行かなければならないと考える。



69:剣持警部は忠実に職務を遂行する ◆hsja2sb1KY
07/10/26 19:57:15 ZFXe+uLs
「どうしたのだ?悩み事なら話すがよいぞ」
「ううん……ああ……いや」
 ガッシュが剣持の顔を見上げながら言う。三人はとりあえず剣持に伝言を伝えられた事で素直に喜んでいる。
 だから剣持は言葉を濁す。

「いや……とりあえず……豪華客船に向かおうと思ってるんだが……」
「ウヌ……? 一人で行くのが心細いのか……?」
「ああ………いや………まあ………」
 ―言ってしまった方がいいのだろうか。
 しかし高遠は凶悪殺人者だ、と言って彼らの希望を打ち砕きだくない。
 まだ高遠が何をしようとしているのか全くわからない。
 まだ余計なことを話す段階でないと判断する。

「よし! わかったのだ!!」
 ガッシュが合点をして力強く胸を叩く。
「私も一緒に行こう!」
「な……何ぃぃ!!」
 思わず大げさに驚愕してしまった。
「安心するがよい! 私は結構強いのだ!!」
「ダメだダメだダメだ!!」
 剣持は慌てて断る。危険な事態も起こりうるかも知れないのだ。こんな子供など連れて行けるものか!
 だがこうと決めたらガッシュは頑として譲らない。

「剣持、私が信用できないのか……?」
「い、いや、信頼はする! 信頼はするが……!」
「ならばよいな!!」

 ……しばらくして。結局剣持はガッシュに押し切られてしまった。
 ガッシュはガッシュで伝言を伝えた義務を感じていた。
 剣持を無事に豪華客船まで連れて行くまでは自分が守ってやらなくては、と。
 見たところ剣持は、清麿のように力の弱い一般人のように見えた。不安がっている。魔物である自分の方が強い。
(私が守ってやらないといけないのだ!)
 妙な責任感が芽生えていた。道中は短いがなにが起こるかわからない。いざとなったら自分が矢面に立つつもりだった。

「あ、そうだ。豪華客船の方まで行くんなら水上バイクを使いなよ」
 うろたえる剣持を尻目に、アレンビーが暢気に声をかける。
「ウヌ……? よいのか……?」
「うん! 機械を見たけど大丈夫みたいだし!」
 アレンビーが言う。三人がかりで水に戻してある。
 水上オートバイはしばらく地面を走って止まっていた。ところどころカスリキズとヘコミ傷が見られるが、奇跡的に無事だった。

「よいのか……?」
「いいぜー? 俺タチはこのまま町の中心部に向かうからさー」
 キールは心の中であんな思いはコリゴリと呟く。
「あばよ~ガッシュ~。俺はアレンビーちゃんと二人っきりで楽しませてもらうぜ~」
 気分よさげにアレンビーの回りを飛び回る。
「何いってんのよ! キール!」
 殴りつける。
「あ、あとアタシの注射器とスコップも持って行く?」
「いや、そこまでされたら悪いのだ!」 


70:剣持警部は忠実に職務を遂行する ◆hsja2sb1KY
07/10/26 19:58:26 ZFXe+uLs
 主に注射器という単語に拒否反応してガッシュは断った。
アレンビーに支給された残りの二つは注射器。そして古びたスコップ。彼女にとってそれは何の意味もなさない代物だった。
「アタタ、それとついでにポルヴォーラも連れてってくんない?」
 キールは懲りずに言う。
「ダメだってば!! ポルヴォーラはアタシと一緒に行くの!!」
 デイパックを抱きしめる。
「……チッ」
 キールは横を向いて心底悔しそうな顔をした。


  ◇  ◇  ◇  ◇


 剣持とガッシュ、アレンビーとキール(とポルヴォーラ)は二手に別れる。
 剣持とガッシュは豪華客船及びその周辺。アレンビーとキールは北東に町の中心部に向かう。

「じゃあまたすぐに会おうね! ガッシュー!」
「じゃあなガッシュ~!!」

「ウヌ! また会おうなのだ!清麿に会ったら豪華客船に向かうよう言って欲しいのだ!」
「ありがとうな!!」
 剣持も声を掛ける。ガッシュの言葉を聞いて少し気がかりになりながら手を振る。
 だがいずれ金田一と明智も伝言を聞きつけて来るだろう。
(高遠がなにか企んでいたとしても俺ががなんとか食い止める)
 無理に伝言を止めさせることはない。そう自分に言い聞かせた。


 キールとアレンビーは出発する。
「行くよ!! キール!!」
「やれやれ、しょ~がないな~アレンビーちゃんは~。やっぱり俺サマがついてないとダメだねぇ~」
「もう、バカ!!」
 少々の不安を残して二人の姿はあっという間に消えていく。


「さて、俺たちも行くか」
 水上バイクに跨る。ガッシュがしっかりと背中に掴まっている。
「ウヌ、出発なのだ―!!!」
 ガッシュは拳を振り上げる。

 剣持とガッシュは豪華客船へと向かう。
 その行き着く先は希望となるか絶望となるか。





71:剣持警部は忠実に職務を遂行する ◆hsja2sb1KY
07/10/26 20:00:15 ZFXe+uLs
【E-3 北東 高速道路の東側出入り口近くの岸辺 一日目 朝】
【剣持勇@金田一少年の事件簿】
[状態]:背中を強く打撲、刑事としての使命感、ヴィラルに対する憎悪、高遠揺一への疑念
[装備]ビシャスの日本刀@カウボーイビバップ
巨大ハサミを分解した片方の刃@王ドロボウJING
水上オートバイ
[思考]基本:殺し合いを止める
1:殺し合いに乗っている者を無力化・確保する
2:殺し合いに乗っていない弱者を保護する
3:情報を収集する
4:高遠揺一及び、豪華客船とその周辺の捜査
[備考]
※ 高遠揺一の存在を知っているどこかから参戦しています。
※スザクの知り合い、その関係について知りました。(一応真実だとして受け止めています)
※確認前に名簿が焼けたため誰が参加したか知りません。
※ヴィラルがどうなったのかを知りません。
※高峰清麿、ドモン・カッシュ、ジンの情報を得ました。
※両脇に抜き身の刃物を装備した姿は、見る人が見れば危険人物に見えます。
※ガッシュ、アレンビー、キールと情報交換済み


【ガッシュ・ベル@金色のガッシュベル!!】
[状態]:健康、おでこに少々擦り傷
[装備]:ガッシュの魔本@金色のガッシュベル!!
[道具]支給品一式、ウォンのチョコ詰め合わせ@機動武闘伝Gガンダム
[思考]基本:螺旋王を見つけ出してバオウ・ザケルガ!!
 1:なんとしてでも高嶺清麿と再会する
2:剣持を守る
 3:豪華客船にゲームに乗っていない人間を集める
 4:ジンとドモンと金田一と明智を捜す
[備考]
※高遠を信用できそうな人物と認識
※剣持、アレンビー、キールと情報交換済み
※第一放送を聞いていません




72:剣持警部は忠実に職務を遂行する ◆hsja2sb1KY
07/10/26 20:01:45 ZFXe+uLs
【D-4 南西端 一日目 朝】
【アレンビー・ビアズリー@機動武闘伝Gガンダム】
[状態]:健康
[装備]:背中にブリ
[道具]:支給品一式、ブリ@金色のガッシュベル!!(鮮度:生きてる)
     爆弾生物ポルヴォーラ@王ドロボウJING
     注射器と各種薬剤、スコップ
[思考]
基本思考:螺旋王にドモンとダブルゴッドフィンガー!
1:高嶺清麿を最優先で捜索!
2:ドモンとジンと金田一と明智を捜索!
3:豪華客船にゲームに乗っていない人間を集める
4:悪いヤツにはビームブリをブチかます!
5:強い人が居たら、ファイトしてみたいと心の片隅では思ってたり……
6:とりあえず北東に進み、人の多そうな町の中心部に向かう(具体的にどこら辺かは未定)
[備考]
※いきなりキールに口説かれてから今までノンストップなので、名簿の確認はまだ。
※シュバルツと東方不敗は死人と認識。
※キール、ガッシュ、剣持と情報交換済み
※高遠を信用できそうな人物と認識
※第一放送を聞いていません




73:剣持警部は忠実に職務を遂行する ◆hsja2sb1KY
07/10/26 20:03:15 ZFXe+uLs
【キール@王ドロボウJING】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:支給品一式、ジンの仕込みナイフ@王ドロボウJING
[思考]
基本思考:とりあえず、さっさと会場から逃げ出す
1:仕方ないので高嶺清麿を探してやる
2:豪華客船にゲームに乗っていない人間を集める
3:アレンビーと二人でウエディングブリに入刀したい
4:ジンも探さしてやるか
5:他にも女性が居たら口説くつもり、野郎には興味なし
[備考]
※いきなりアレンビーを口説いてから今までノンストップなので、名簿の確認はまだ。
※アレンビー、ガッシュ、剣持と情報交換済み
※高遠を信用できそうな人物と認識。
※第一放送を聞いていません


【水上オートバイ】快適な水上の散歩を保証します。
ただし生命に関わる危険がありますので免許のない方の運転はご遠慮ください。―BF社。

【注射器と各種薬剤】注射器数本と薬剤アンプルのセット。
アンプルの中身は栄養剤、解熱剤、興奮剤、睡眠剤、毒薬。

【スコップ】普通のスコップ。そこそこ強力な近接武器としても使用可能。


74:ちぎれた翼で繋いだ未来へ ◆t2vl.cEw/o
07/10/26 21:12:26 qoTYquzs
『久しいな、諸君』

朝日が差し込む中、ロージェノムの放送が始まった。
ある者は憎しみを込め空を見上げ、ある者は己の戦果に笑みながら、ある者は仲間の無事を祈る中、その声を聞いているのだろうか。
ここ、F-4の民家で放送を聞く4人も、そんな放送を聞く一群だった。

『くくっ―誰がそんな事をするものか。このゲームに乗らぬ者は、そう考えただろうな。
 それは当然だ。そう簡単に趣旨変えされては、我が困る』

まるで、戦いに乗らず、見知らぬ者達同士で手を取り合った彼らを、あざ笑うようにロージェノムは言った。

『さて、禁止エリアについて説明しようではないか。
 死亡者から話しては、自我を喪失し、放送を聞き取れなくなる者もいるやもしれんからな』

死者が出ている。ロージェノムが、そう暗に匂わせる発言をしたとき、こなたの体が小さく震えた。
スバルは、そのこなたの体を抱きしめ、アルは鋼の手をギリと音がするほどに握り締める。
一人、戦場という死に最も近い場所で戦い続けたことのあるヒューズだけが、冷静にペンを取り、放送された禁止区域を地図へと書きこんで行く。

『さて、最後の一人を目指す者、このゲームを破壊しようと目論む者。どちらにとっても感心があるだろう、死亡者の
発表に移らせてもらおう』

そして、とうとう死者の名前が呼ばれる時が来た。
4人ともが、知り合いが、仲間が、友が死んでいないことを祈る。
だが

『エドワード・エルリック』

「え……」
「く……っ!」

呼ばれた兄の名にアルは唖然とした声をあげ、ヒューズは思わず奥歯を噛み締め苦々しい声を漏らし。

『キャロ・ル・ルシエ』

「!!!!!!」

仲間の名にスバルは目を見開き。

『柊つかさ』

「…………」

友の名に、こなたは、まるで、その放送が聞こえていないかのように、ぽかんと空を見上げた。

「ウソだ……兄さんが、兄さんが…!!」

がくりと膝をつき、アルが地面を殴る。
その鋼の鎧からは、流したい涙は全く流れてくれなかった。

「クソっ…!エド……なんで、若いヤツが先に逝っちまうんだ……!!」

ヒューズは、このバトルロワイアルの不条理さに、壁を殴りつけ。

「キャロ、なんで、キャロぉっ…!!」

スバルは地面に崩れ落ち、仲間の名を呼びながら涙を流し。


75:ちぎれた翼で繋いだ未来へ ◆t2vl.cEw/o
07/10/26 21:13:29 qoTYquzs

「…………」

そして、こなたは現実が受け入れられないのか、唖然とした顔のまま、虚空を見つめていた。
4人が4様の悲しみにくれる中、放送が終わり、重苦しい空気の中、暫く時間が過ぎていき

「あのね…」

そんな中、こなたが口を開いた。

「あたしね、昔、クラスメイト同士が、首輪を付けられて、最後の一人になるまで殺し合う『ゲーム』をさせられる。ってマンガ読んだんだ」

全く感情の篭らない、淡々とした語り口で、こなたはさらに言葉を紡ぐ。

「主人公が、ゲームに参加しないで頑張るんだけど、友達も、仲間も、どんどん死んでいっちゃうんだ。まるで、今の私たちみたいだよね」

朝日が差すだけの薄暗い部屋の中、ただこなたの声だけ響いていき。

「でもね、最後は主人公とヒロインが首輪を外して脱出に成功するんだ。首輪を外すと死んだって信号が出されて、それで主催を騙したんだよ。だからさ、この『ゲーム』だって、きっと首輪を外したら死んだって思われるんだよ。だからさ……」

そこまで言って、こなたの肩が小さく震え始め、声も震えだして、

「だから、きっと……生きてるんだよ、首輪外して、つかさも、みんな……きっと、生きて……」

こなたの心が限界に達した。

「ありえないよね、そんなこと。そんな、都合のいいこと……」

こなたの足から力が抜け、床にへたり込んで、頬を伝い流れ落ちた涙が、床を濡らしていく。

「ありえないわけじゃない!」

そんなこなたに、何時の間にか立っていたアルが声を上げた。
涙を目に溜めながら、ぽかんとアルを見上げるこなたの目に映る、その鎧の体では、見た目の感情は変わらない
だが、その声色には、明らかな希望の色を滲みだしていた。

「そうだよ、あのしぶとい兄さんがそう簡単に死ぬわけがない。きっと、首輪を外して、どこかに居るはずだ!」

もしも、こなたが言うとおりだとすれば、首輪を外せば死人扱いになるということだ。
この『ゲーム』でも、こなたの言うような状態と、同じようになる可能性は低い。むしろ、ゼロに極めて近いと言ってもいいだろう。正にありえない可能性なのである。
だが、アルはその可能性を考えないことにした。なぜならそれは、




76:ちぎれた翼で繋いだ未来へ ◆t2vl.cEw/o
07/10/26 21:14:41 qoTYquzs
「こなたやスバルみたいな異世界の人間が居る、死んだはずのヒューズさんだっている。今のこの状態がありえないんだ。なら、ありえないことなんてありえない。そう、考えよう」

兄の死に、崩れ落ちそうなアルの心が掴んだ、僅かな希望だったから。
だが例えそれが僅かでも、暗闇の中に差し出される一条の光を、こなたが、スバルが、ヒューズが、アルの中に輝くのを見た。

「ありえないことはありえない、か。あははは、そのセリフも何かのマンガで見た記憶があるよ。
……でも、そうだよね。悪い方向でのありえないことがあるなら、良い方向でのありえないことだって、きっとあるはずだよ」

涙を拭い取りながら、こなたが立ち上がり。

「キャロも、つかさっていう子も、そのアル君のお兄さんと一緒に首輪を外して居るかもしれない。そういうことだよね、アル。
なら、あたしも、こんなところで泣いてる場合じゃないか」

ぐしぐしと袖で涙を擦り取り、スバルも立ち上がり、よしと気合を入れなおす。
そうして、三人は手を取り合い、不安をお互いが消しあうように、そして希望を分かち合うように、頷きあう。
ヒューズは、そんな子供たちの姿に、声をかけようとして、やめた。
戦場で、無数の死を見てきた、ヒューズだからこそわかる。そんな都合のいい奇跡など、起きる筈はないと。
今、目の前で子供たちが掴もうとしているのは、大海に投げ出された藁程度の、僅かな希望に過ぎないのだと。
だが、ヒューズは同時にこうも思う。今にも消えてしまう希望だろうと、希望には変わりない。
そしてその希望は、子供たちが前を見て、この死地を生き抜いてゆくために必要な力なのだと。

(なら、もしもその希望が消えて溺れそうな時に、きっちり下から支えてやるのが大人の仕事ってもんだな)

この子供たちの希望こそが、このゲームから脱出するきっかけになるのを信じ、それを助けよう。
そう、ヒューズは静かに心の中で決めた。

「なら善は急げだ。エド達の探索や、他の知り合いとの合流のためにも、ここに何時までも留まってるわけにはいかないだろう?」
「はい!それじゃあ、最初の予定通り、デパートを目指しましょう」

ヒューズの提案にスバルがそう言い、手早く荷物を纏める。
アルは、まだ本調子ではないこなたを支え、4人はスバルを先頭にして、外へ続くドアを開けた。
そうして、朝日の中、4人は歩き出す。
その先にある絶望を、希望で塗り替えるために。


77:ちぎれた翼で繋いだ未来へ ◆t2vl.cEw/o
07/10/26 21:16:37 qoTYquzs
 【F-4/民家の外/1日目-朝(放送直後)】

 【チーム:引率の軍人と子供たち】
 [共通思考]
  1.主催者の打倒。またはゲームからの脱出
  2.首輪の解析、解除が可能な人物、技術、物を探す
  3.互いの知り合いや、ゲームに乗っていない者を探し仲間とする
  4.殺し合いはしない
  5.希望を持ち続ける

 ※首輪から、会話が盗聴されている可能性に気づきました
 ※盗撮に関してはあくまで推測の域なので、確定ではありません
 ※螺旋王には少なからず仲間や部下がいると考えています
 ※それぞれの作品からの参加者の情報を共有しました
 ※ヒューズ意外の三人は、まだ知り合いが生きて居る可能性に賭けることで希望をもっています
 ※今のところは三人が互いの不安を保管しあうことで、崩壊するほど不安定ではありません


78:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 21:18:03 qoTYquzs

 【マース・ヒューズ@鋼の錬金術師】
 [状態]:健康、腹一杯
 [装備]:S&W M38(弾数5/5)
 [道具]:デイバック(×2)、支給品一式(×2、-ランタン×1)、ロイの発火布の手袋@鋼の錬金術師
      S&W M38の予備弾数20発、エンフィールドNO.2(弾数5/6)、短剣×12本
      制服のボタン(ロイ)、単眼鏡、水鉄砲、銀玉鉄砲(銀玉×60発)、ジャガイモカレー(中)
 [思考]:
  基本:主催の打倒。または脱出を目指して行動。仲間を集める
  1.デパートや病院等、人が集まりそうな場所を目指す
  2.ロイ・マスタングを探す
  3.首輪や脱出に関する考察を続ける
  4.子供たちが希望を失いそうになったら、しっかりと支えてやる

 【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
 [状態]:健康、腹一杯
 [装備]:リボルバー・ナックル(左手)(カートリッジ:6/6)@魔法少女リリカルなのはStrikerS
 [道具]:デイバック、支給品一式(食料-[大量のじゃがいも、2/3][水])、ジャガイモカレー(特大)
      ランダムアイテム不明(本人確認済み)、予備カートリッジ(×12発)
 [思考]:
  基本:仲間を集めて事態の解決を目指す
  1.ヒューズに従って行動する
  2.六課のみんなと合流する
  3.キャロもみんなもまだ生きて居ると信じよう
  
 【アルフォンス・エルリック@鋼の錬金術師】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:デイパッグ、支給品一式
 [思考]
  基本:仲間を集めて事態の解決を目指す
  1.ヒューズに従って行動する
  2.兄やロイ・マスタングを探す
  3.こなたを護る
  4.あのしぶとい兄さんが、そう簡単に死ぬはずがない

 ※アルの参戦時期はヒューズ死亡後のいずれか

 【泉こなた@らき☆すた】
 [状態]:右頬に銃創、疲労・小、腹一杯
 [装備]:
 [道具]:デイバック、支給品一式、マチェット、チェーンソー、ジャガイモカレー(小)
 [思考]
  基本:死にたくないので助かるよう行動する。みんなと再会したい
  1.ヒューズに従って行動
  2.柊かがみ、柊つかさ、小早川ゆたかを探す
  3.大丈夫。きっとみんな生きてるよ…

 ※こなたの参戦時期は原作終了後


79:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 22:04:47 as+XLNX3
3615 :やってられない名無しさん:2007/10/25(木) 21:55:37 ID:???O
あと設定ミスもなー。
ていうか普通に原作みてりゃ分かることを何故間違うかな
3616 :やってられない名無しさん:2007/10/25(木) 21:55:50 ID:???O
あと設定ミスもなー。
ていうか普通原作みてりゃ分かることを何故間違うかな
3617 :やってられない名無しさん:2007/10/25(木) 21:57:32 ID:???O
うは、連投しちまった。すまん
3618 :やってられない名無しさん:2007/10/25(木) 22:03:45 ID:???0
>>3614
あー、確かに問題かねぇ。
普通に違和感なく読んでた。
3619 :やってられない名無しさん:2007/10/25(木) 22:07:25 ID:???0
初期のCを思い起こさせるな。
3620 :やってられない名無しさん:2007/10/25(木) 22:37:34 ID:???0
ぶっちゃけ内容もないよう。
3621 :やってられない名無しさん:2007/10/25(木) 22:41:50 ID:???0
寒い……俺は死ぬのか……
3622 :やってられない名無しさん:2007/10/25(木) 22:43:41 ID:???0
アニロワは全体的にレベル高いからな
初心者が恐る恐る書いて、それでもテンパってて
所々うっかりしてるって感じだと思う
俺はロワには書いてないが、そういう経験は結構したなあ
3623 :やってられない名無しさん:2007/10/25(木) 22:59:04 ID:???0
へたすればR.O.Dも知らない罠。
ねねねならそこらへんの机やらなにやらに八つ当たりぐらいしてほしかったぜ。
3624 :やってられない名無しさん:2007/10/25(木) 23:11:39 ID:???0
なのはもRODも大して知らず、話も動いてないってどんだけ~
3625 :やってられない名無しさん:2007/10/25(木) 23:14:26 ID:???0
少なくとも、あのレベルを「文章未満だからNG」のラインにしてしまうことに関しては、特に異論はないけど……?
他の人でアレだけ酷い人はまず居ないし、放送も終わって徐々に要求レベルも上がっていくだろうし。
まあ、それだけよっぽどなレベルってことでしょ、アレ。
投下するなら最低限の推敲しろっていうのも、前回既に言われたことだしね。
3626 :やってられない名無しさん:2007/10/25(木) 23:19:22 ID:???0
うん、ちょっと関係ない毒なんだ。
どうせ  だバカヤロ―!!でも次アナタ達頑張って。
3627 :やってられない名無しさん:2007/10/25(木) 23:42:44 ID:???0
予約が来ないなぁ……と思ったらスレ容量限界じゃん。誰か新スレ建てたれ。
俺がやると十中八九テンプレミスるので、wiki編集に逃げる。
3628 :やってられない名無しさん:2007/10/25(木) 23:59:08 ID:???0
>>3627
俺も十中八九ミスるだろうけど誰も立てないんで初挑戦してみるわw
新スレ立てたらまた報告します


80:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 22:05:33 as+XLNX3
3629 :やってられない名無しさん:2007/10/26(金) 00:22:02 ID:???0
立てたよー
6なのに5ってやっちまったよー
事前に確認しときゃよかったー OTL
3630 :やってられない名無しさん:2007/10/26(金) 00:24:05 ID:???0
ミスったとはいえとにかく乙。
3631 :やってられない名無しさん:2007/10/26(金) 00:47:43 ID:???0
余計なものまでコピペしちまってる気がするが乙
3632 :やってられない名無しさん:2007/10/26(金) 00:50:45 ID:???0
ID見たら分かるがスレ立てた人とテンプレ張ってたのは別人っぽい。
3633 :やってられない名無しさん:2007/10/26(金) 01:00:59 ID:???0
>>3632
待ってくれ、俺スレ立てからテンプレまでやった記憶があるんだ
確認してみたらマジIDが違うんだ
どいうことなんですか、教授!?
3634 :やってられない名無しさん:2007/10/26(金) 01:01:37 ID:???0
日付変更直後はIDがまだ変わってないときがある
恐らくそれだろうね
3635 :やってられない名無しさん:2007/10/26(金) 01:49:56 ID:???0
あーちょいタンマ。
新スレ? の>>10ってどういう意味よ?ID:1cCvnNZjさんよ?
最初のテンプレがスレを定義するという話になって慌てたGが、歪んだテンプレの新スレを立てた……と、穿った見方をしちゃうんだけれど。
そこんとこ、説明してくれないかな、>>3633よ?
あのスレ使わない方が良いのかねえ??
3636 :やってられない名無しさん:2007/10/26(金) 02:23:30 ID:???O
ネタキャラ二人がトップマーダーってw
3637 :3633:2007/10/26(金) 02:31:36 ID:???0
ええとごめん、いっぱいになった投下スレのを見てコピペってて1レス目に
>テンプレは>>2-8辺りに
とあったんで>>2-8までがテンプレだと勘違い
8を流し読みしつつ投下したら何故かすでに8が投下されててやっと違和感を
そんで毒吐きの意見見て現在『うわ、ヤベ」という状態
ぶっちゃけると俺の不注意だごめんなさいorz
3638 :やってられない名無しさん:2007/10/26(金) 02:53:37 ID:???0
>>3637
んじゃそのこと向こうのスレに安価つけてかいときな
同IDで訂正すりゃOKでしょ
3639 :やってられない名無しさん:2007/10/26(金) 08:00:59 ID:???0
ヴィラルがあんまりネタキャラ化するようだったら、ランスの支給品を螺旋王からプレゼンツさせるつもりだった。
やらない方がいい空気だな。
3640 :3633:2007/10/26(金) 09:20:54 ID:???0
>>3638
訂正してきました
でもまたID変わってた……orz

81:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 22:06:52 as+XLNX3
3622 :やってられない名無しさん:2007/10/25(木) 22:43:41 ID:???0
アニロワは全体的にレベル高いからな
初心者が恐る恐る書いて、それでもテンパってて
所々うっかりしてるって感じだと思う

特にここなんだけど、自分で書いててレベルが高いとか言わないでくれないか?

82:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 22:15:00 xuHQ9jhY
中途半端な引用乙

83:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 22:27:57 UbBIuMAz
 

84: ◆LXe12sNRSs
07/10/26 22:30:10 ESJ1iZlh
 磁石というものの性質を知っているだろうか?
 鉄などの強磁性体を引き寄せたり、地磁気に応答して方位を指し示したりするアレだ。
 磁石にはN極とS極と呼ばれる2つの磁極があり、異なる極は引き合い、同じ極は反発し合うという性質を持っている。
 電気と磁気の力はお互いに不可分であり、これらの関係は電磁気学の基本方程式である
 マクスウェルの方程式によって与えられるものなのだが、まぁそんな細かい原理は論点の範疇外なので割愛。

 磁石は、互いに引き合うものなのである。

 N極を男性、S極を女性といった具合に、性別に当てはめてみると分かりやすい。
 本質は同じ人間だが、彼らはいかなる環境下でも、同姓同士で群れを作る傾向がある。
 仕事をするにも、遊ぶにも、同姓のほうが感情を共有しやすいのだ。
 磁石の原理に例えるなら、逆に異性同士は反発し合うということになるが、これはどうだろうか。
 異性に対して恐怖心や苦手意識を持つ者は、決して少なくない。割合的に言えば、同姓を嫌悪する者よりもずっと多いだろう。

 しかし、人間は磁石のような己の性質に従うだけの『物』ではない。
 感情を持ち、常に心境を変化させ、そして、なんといっても『愛』を持ち合わせた存在だ。
 それらは時に性質すらも凌駕し、本能で求め合う。
 NもSも関係なく、強力な磁気を秘めた、一つ一つの磁石として。
 互いに、それこそ本物の磁石のように、引き寄せ合う―


 ◇ ◇ ◇



85:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 22:30:40 ifGa1j2e
 

86:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 22:31:09 ubg8vlQc
一番苦情がでているおじさんが登場だお

87:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/26 22:31:50 UbBIuMAz
 

88:アイザックとミリアの二人は知らず世界の中心となる
07/10/26 22:32:08 ESJ1iZlh
「う~ん、おかしいなぁ……」
「どうしたんですか、アイザックさん?」
「この地図さ。いいか、俺たちが今いるのはこのC-3ってところだろ。で、俺たちが目指してのはこの右下にあるE-4にあるゴミ処分場だ。
 最短ルートでゴミ処理場に行くには、この青い橋を渡ればいいんだろうけど、その橋が見当たらないんだよなぁ」
「ああ、それなら上ですよ、上。私たちの上にあるあれが、地図上の青いライン、つまり高速道路です。橋じゃありません」
「上? ……ああ、あれか! あんな高いところにあるから、俺はてっきり、鳥が羽を休めるための休憩所だと思っていたよ!
 いやぁ、アメリカの国道と比べて随分変わってるんだなぁー。カフカの国じゃあれが普通なのかい?」
「日本じゃ普通ですけど、アメリカでも普通だと思いますよ」
「え、そうなのか? つい最近リンカーンハイウェイが国道に変わったばかりだと思ってたのに、時代が進むのは早いんだなぁ」
(高速道路も知らないなんて、きっとその辺の記憶もなくなっちゃってるんですね)
「なにはともあれ、あそこを渡っていけばD-3まで行けるんだな!
 そんでD-3まで行った後はぁ、また高速道路を降りてゴミ処理場まで行けばいいわけだ!」
「ええ、そのとおりです!」
「ん……でも待てよ、あんな高い場所にある道路、いったいどうやって上ればいいんだ?」
「簡単です、入り口から入ればいいんですよ」
「おいおい、入り口って言ったって、道路にドアなんか付いてるはずないだろ?」
「入り口が全てドアというわけではありませんよ。高速道路の入り口は坂になっているんです」
「坂? もしかして上り坂か?」
「そうです。ほら、ちょうどあそこに曲がりくねった勾配が見えるでしょう?」
「おぉ、ホントだ! スゲーな、坂道まで螺旋型になってるのか! 俺の親父って、かなりの凝り性なんだなぁ」
「あそこから高速道路に上れるようになってるんですよ。アイザックさん、走りましょう!」
「おー! ……いや、でもちょっと待ってくれ。俺たちが渡ろうとしているのは道路なんだろう?
 でも俺たちは車を持っていない。つまり、歩くことしかできないんだ。そんな俺たちが、道路を渡っていいのか?」
「なるほど、その疑問はもっともですね……でも問題ないですよ! ポロロッカ星規定の高速道路が車両限定とは限りません!
 もし誰かに怒られても、アイザックさんはポロロッカ星の王子様なんですから、全然大丈夫です!」
「そっか、そうだよな! よーし、そうと決まればさっさと行こうぜカフカ!」
「はい!」

 こうして、風浦可符香とアイザック・ディアンは螺旋状に上る勾配を目指す。


 ◇ ◇ ◇




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