アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ4at ANICHARA
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ4 - 暇つぶし2ch50:ひとつ屋根の下 1/8  ◆AZWNjKqIBQ
07/10/15 00:49:06 0n1jr1D7
昇り始めた朝日から放たれる光を、一様に東側の壁で受け止める住宅の群れ。
その中の一つ。特に他とは変わりのない一軒の民家の中に彼らはいた。

それは、スバル・ナカジマ、アルフォンス・エルリック、マース・ヒューズ、泉こなた―の四人だ。

先程までは、そこより西にあった大きな橋の下に潜んでいたが、陽が昇り始めたことで明るくなってきた事と、
海から吹き始めた風が思いのほか冷たく、これでは休むに適さないと、隠れる場所を移したのだった。
その民家は、大きな通りから二つの小さな通りを隔てた場所にある、庭付き二階建ての一軒屋である。
別に金持ちの家と言うわけではなく、安く余った土地にそこそこの家が建てられているといった感じで、
また周りの住宅も似たような感じだった。
―つまりは、見通しがよく他者を警戒しながら潜むには都合がよい場所であった。
勿論、この選択は要人警護などに精通したマース・ヒューズ中佐によるものである。


 ◆ ◆ ◆


「そっちはどうだ?」
ヒューズのその問いかけに、二階より降りてきたスバルは、
「はい。誰かが入ってきていたり、隠れているということはないと思います」
と答えた。それに満足すると、ヒューズは彼女に向って頷き、二人揃ってリビングへと戻る。
そこには、ソファに横になったこなたと、彼女を抱えて運んできたアルとがいる。
「大丈夫かい? こなたちゃん」
リビングへと戻って開口一番に放たれたヒューズのやさしい言葉に、小さな彼女は、
「ん。もうほとんど平気です」
と、横になったままの姿勢で答えた。その身体の上にはこの家で調達した毛布がかけられている。


「じゃあ、そろそろ俺は駅の方へ偵察に行ってくる。」
潜伏している家の調査をあらかた終わらせ、リビングでお茶を一口飲むと、そう言ってヒューズは立ち上がった。
そして、部屋の端に固めて置かれているバックの内、アルの物であった所から二つの物を取り出す。
こいつを借りていくぞと、片手に見せたのは軍隊の中でも使用される単眼鏡だ。
そして、もう片方に持った物を彼は慎重にテーブルの上へと置くと、アルに一つ頼みごとをした。

「アル。これを練成で無害な物に分解してくれないか?」

ヒューズが取り出したアルの最後の支給品。それはシアン化カリウム―青酸カリがたっぷりと入った瓶だった。
それを知り、スバル、アル、こなたの顔が緊張に強張る。実際に見たことはなくとも、それは猛毒として有名だったからだ。
それを無害化する事を頼まれたアルは、わかりましたと頷くとバックからペンとメモを取り出して練成陣を作り、
その中心に青酸カリの瓶を置いた。
初めて見る錬金術に、スバルとこなたの二人は興味深げにそれを注目する。
そして、アルは馴れた所作で陣の上の毒を無害なものへと再構成しようと力を振るった。―だが、

「……あれ? おかしいな」

即席で作られた陣の上に置かれた瓶には何の変化もおきなかった。それに、アルは首をかしげて訝しがる。
錬金術が使えないのか? と、ヒューズは問うたが、そうではないとアルは答えた。
練成陣は効果を発揮している。ただ、その上にのった瓶が無反応だっただけだと……。

結果。その後、練成を繰り返してみて解ったことは、各人に個別に支給された物は練成の対象外だったということだった。
逆に、そこいらにある物や、皆に共通して支給されている物に関してはいつも通りに練成することができた。

51:ひとつ屋根の下 2/8  ◆AZWNjKqIBQ
07/10/15 00:50:18 0n1jr1D7
「……仕方がないな。どっかに放る訳にもいかねえし、俺が管理しておくか」

ということで、結局。目的であった青酸カリの無害化は一旦諦め、厳重に密封してヒューズが管理することになった。
そして、ヒューズは自分のバックを肩にかけると、アルとスバルに対し、

「アル。こなたちゃんを護るのはお前の役割だ。いざとなったら、その身体を盾にして護ってやるんだぞ」
「スバル。警戒と言っても緊張しすぎるのはだめだ。自分の中で適度な緊張感を保つよう意識しろ」

と注意を残した。また、横になったこなたに対しては、二人を頼ってよく休むように言い残し、そこを後にした。


 ◆ ◆ ◆


「(……期待が外れちまったな)」

駅へと向う道すがら、ヒューズは先程の家の中で集めた情報を、一人頭の中で整理していた。
彼が、期待外れだと思ったのは、青酸カリ―正確には支給品を練成できなかったという所だ。
実は青酸カリを無効化するだけと言うならば、その方法は少なくない。
それに練成を選んだのは、錬金術師の練成がどこまで通用するかと言うヒューズの実験だったのだ。
その取っ掛かりに青酸カリを選んだのは口実で、どこかで盗聴しているであろう螺旋王を警戒してのことである。

ヒューズは手の平で自分の首に嵌った輪を撫でる。
せめて、物理的な分解ぐらいは……と期待していたが、実験の結果を鑑みるにそれは難しいだろう。
自分の世界よりも遥かに進んだスバルの魔法世界すらも手玉に取っているのだ。
螺旋王にとって、それより下位に存在する錬金術などの力を抑制することは容易い事。そう改めて認識せざるを得ない。

まぁ、それはまだ始まったばかりだとヒューズは思考を切り替えた。
まずは仲間を探す事。自分達の顔見知りと合流することも大切だが、全く別世界の仲間も欲しい。
そうすれば、また情報も増える。圧倒的な力に対し、情報戦で切り込んでいくのは自分の領分である。

そのためにもと、ヒューズは駅の方へと向ける足を早め、その蒼い姿を目立たぬ路地の中へと滑り込ませた。


 ◆ ◆ ◆


「(……暇だなぁ)」

ヒューズが家を出る際、君はできるだけ動かないようにとこなたは釘を刺されていたのだが、
体力も回復し、周りにも安全な人間しかいないと解ると、あれだけ高まっていた緊張感も次第に緩くなってきていた。
ソファの上から部屋の中を見渡しても、こなたの興味を引くような物は発見できなかった。
ゲーム機は勿論なかったし、DVDラックに収められているのも見知らぬ時代劇ものばかり……と、

「そういえばさ。あたしの支給品って、他はなんだったんだろう?」

最初に一つ拳銃を取り出したところでアルと出会った為に、他の支給品はまだ未確認だったことをこなたは思い出す。

52:ひとつ屋根の下 3/8  ◆AZWNjKqIBQ
07/10/15 00:51:33 0n1jr1D7
「そうだね。じゃあ今のうちに確認しておこうか」

と言いながら立ち上がると、アルはこなたのバックへと手を伸ばす。
そして、そこから取り出されたのは……、一本の大きな山刀―マチェットだった。
巨躯であるアルが持って、丁度釣合いが取れるぐらいの大きさで、鞘から抜くとその刃がギラリと光を反射した。
刃の背に当たる部分にはギザギザの鋸が刻まれており、その大きさと相まってまさに凶器といった様相を醸し出している。

「……う~ん。これはあたしには装備できません。って感じだなぁ。」
「……そ、そうだね。じゃあ、他にもないか見てみるね」

再びアルがバックの中に手を入れて引き抜くと、次に出てきたものは先程よりもさらに凶悪なものだった。

「(か、神殺し……!)」

こなたが胸中でそう思ったソレは、―巨大なチェーンソーだった。
今度の物は、アルが持ってもなお大きいと思わせる大きさがある。
こなたの胴回り以上もの太さのエンジン部分に、2メートルもの長さのチェーンを通すバー。
重さはゆうに20kg.程もあり、さらにこれを稼動させて振り回すとなると、相当の筋力が要求されると想像できる。

「……はは。これは絶対に無理。”こなたは装備できません”だ」
「……ハハ。ボクでもギリギリかも」

と、これでこなたに支給された物は出揃った。最初の拳銃も合わせて考えれば、これは当たりの部類に入ったろう。
もっとも、後の二つは威力はあるが、とても彼女に扱いこなせるような物ではなかったが。

アルが取り出した武器を改めてバックに仕舞うと、丁度そこに家の中を再チェックしていたスバルが帰ってきた。
彼女の顔色は先程よりも心なしか悪い様に見える。それをいぶかしむ二人に、彼女は―……。


 ◆ ◆ ◆


「……30分から、1時間ってところか」

先を焦がした枯れ草。土に刻み込まれた足跡。コンクリートの床に残った黒い煤。そして、壁にかかった乾いた血。
駅の隣りに開けた空き地に残っていた戦闘の痕跡を検分したヒューズは、それがあったであろう時間を推測する。

「(痛み分けだったみたいだな……)」

焦げた床から炭と化した繊維質を取り上げ、ヒューズはそう推測する。
足跡から推測するに、ここで戦闘を繰り広げたのはおそらく三人。そして、最低でも内二人が大きく負傷。
壁際に残された血溜りの跡からは真っ赤な足跡が、焦げた地面の上からも黒い煤の足跡が伸びている事から、
お互いにどちらも死には至っていないらしい……。
足跡はどちらもすぐに途切れてしまっているために追うことはできないが、どちらも北東方向へと向っている様に見えた。
派手で特徴的な戦闘痕は様々な情報を、それを観察する者に伝える。
そして、それによりヒューズが確信したのが―、

「……何やってるんだ。アイツは」

此処に、さっきまで彼の親友であるロイ・マスタングがいたと言う事だ。
ヒューズは親友の愚行に、ポケットの中の発火布でできた手袋を握り締める。
燃料を使用せずに直接対象を燃焼させ、爆炎を起こす彼の能力の痕跡は、非常に特徴的で解りやすい。
もちろん、直接見た訳ではないからそれだけでは断言できない。他にも同等の能力者がいるとも考えられる。
だが、そんな可能性は、床に転がった銀色のボタンが決定的な証拠となって否定していた。

53:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 00:52:52 1u9Kn0u7
 

54:ひとつ屋根の下 4/8  ◆AZWNjKqIBQ
07/10/15 00:53:03 0n1jr1D7
「いつもいつも、勝手にでしゃばって来やがって……。ケツを持つ方の気持ちも考えろってんだ」

恐らくは斬撃を受けた時に落ちたのであろう、彼の胸にある物と同種のボタンを拾いながら、ヒューズはひとりごちる。
彼の親友であるロイの目的は組織の中でトップを目指す事であり、ヒューズの目的は彼をその位置まで持ち上げることだ。
だが、上に立つ者は怠慢なぐらいが丁度よい……と言うのに、正義感と責任感が人一倍強い彼の親友は、
度々勝手に現場に出てきては自分で物事を解決しようとしてしまうのだ。
今回のコレも、その結果であろうことが容易に想像できる。

「……馬鹿野郎が。お前の方が死んじゃあ、元も子もないだろうが」

残された血痕と、付近の地面を穿つ金属片を見れば親友がどういった状態に陥っているか察するのは容易い。
だが、ヒューズは親友を追おうとはしなかった。追うとなれば、それこそ愚の骨頂だ。
彼は護るべき人間を多数待たせているのである。それを無責任に放っていくことはできない。

「死ぬなよ……」

最後にそれだけを言い残すと、ヒューズはその場所を後にして駅の構内へと向った。


 ◆ ◆ ◆


無人の駅構内で、列車のダイヤを手持ちのメモに書き写すと、ヒューズは調査も程々に仲間が待つ民家へと戻った。
螺旋王が実験と称するコレが始まって五時間足らず。夜も明けきれぬというのにもう殺し合いが始まっている。
しかも、錬金術師をはじめとしたびっくり人間達によってだ。
あんなものに襲われては、彼もその仲間達もひとたまりもないだろう。
それが、目を放していた内に仲間が死んでいたとなれば、なお最悪だ。

ヒューズは蒼い制服の裾を翻して走る。もうあの民家は近い。後一つ通りを超えればそこに辿り着く。
―と、ヒューズはある「匂い」に気付いた。

「……あ、あいつら。……まさか」

それは……、その匂いは……、その匂いが意味するものは。それが何を意味するのは彼はよく知っていた。
今までは至極冷静だったヒューズの顔色が変わる。最初は青褪め、次に赤く―。

「クソッ!」

一つ毒づくと、ヒューズは走る速度を上げて仲間の元へと急いだ。
近づくにつれ、その匂いもはっきりとしたものになる。そして……、やはりその匂いはそこから零れているものだった。


 ☆ ☆ ☆


「「「 おかえりなさーい 」」」

それが、息巻いて戻ってきたヒューズにかけられた三人の言葉だった。
三人の内の一人であるこなたは、頭巾にエプロン、片手にお玉。その姿を見れば、彼女たちが何をしていたかは明白だった。

「おかえりなさいじゃないだろうっ!」

カウンターで浴びせられたヒューズの剣幕に、三人は思わずたじろぎ、廊下を後退してしまう。
何で彼がこんなにも怒っているのか? それが三人には解らない。

55:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 00:53:17 YjKppFka
1162 :ツチダマな名無しさん:2007/10/04(木) 00:21:57 ID:dqpwCd.60
雑種には見せるのも嫌がるってのに、誰か使ってたらギルがブチ切れてるだろ。

1163 :ツチダマな名無しさん:2007/10/04(木) 00:28:14 ID:dqpwCd.60
ぶっちゃけ、納得できるだけの説得力のある(こじ付け)理論と、しっかりとした描写があれば誰が使ってもいい。

1164 :ツチダマな名無しさん:2007/10/04(木) 00:37:49 ID:v8jY0RqY0
その原作にもない暴走でキャラ退場させても基本的に賞賛な書き手の説得力にちと嫉妬だぜw
いやみとかじゃなくて本当にすげーな。

1165 :ツチダマな名無しさん:2007/10/04(木) 01:38:47 ID:9UhCbWMo0
なにを思って書いたのか、聞きたいな。

1166 :ツチダマな名無しさん:2007/10/04(木) 04:29:21 ID:v8jY0RqY0
スマソちょっと毒吐きのノリで書いてしまった。
だが、あら捜しされがちな退場話でのオリ設定が、きちんと受け入れられていることに書き手の筆力すげーとおもったのは本当だ。

1167 :ツチダマな名無しさん:2007/10/04(木) 09:38:34 ID:E94Q5Nms0
納得した人間だが、言われて見ればそうだな。

一般論として、ある程度推測可能ならオリ設定もかなり認めてよいと思う。原作設定は微妙だけど。

1168 :ツチダマな名無しさん:2007/10/04(木) 20:14:17 ID:fF3dV7Is0
俺としては原作設定はアニメ設定に反しない限り裏設定として存在するという
認識を持つべきだとは思う。
オリ設定も程度をわきまえればアリ。

1169 :ツチダマな名無しさん:2007/10/04(木) 20:49:00 ID:3HyeMrWs0
テンプレの限り、アニメに描写されない原作設定≒オリ設定 ぐらいの程度だと考えていたんだがなあ。
つまりは、それぐらいオリ設定もアリだし、それぐらい原作設定はナシかと。

1170 :ツチダマな名無しさん:2007/10/04(木) 21:47:29 ID:v8jY0RqY0
原作設定なしなのは、アニロワということもあり駄ニメやエロゲ系裏設定多杉作品を落とすため、と認識している。
だから、通ったからにはしっかり自重してほしい。
>>1168みたいなこと言い出したら事実上Fate全クリ+ラノベ読みが必須になってしまってアニロワとして美しくないと思う。
だから似たようなことを言っているが表現上>>1169に賛成。

そのSSや全体の流れからの必然性や説得力にかける展開でオリ設定や原作設定使われると萎えるな。
すまん、俺のせいだが大分話がずれてきたな。

↓以下何事もなかったように議論スレのながれ↓


56:ひとつ屋根の下 5/8  ◆AZWNjKqIBQ
07/10/15 00:54:18 0n1jr1D7
「お前達、状況を考えろよ。俺達は隠れているんだろうが!
 それなのに、こんなに美味そうな匂いをプンプンと外に漏らしてちゃあ―バレバレだろうがっ!」

その言葉に三人の表情が「あー……」という感じになる。
言われてみればその通りで、隠れ家から朝餉の匂いを漂わせている潜伏者など聞いたこともない。
あまりにも素直なその反応を見て、潜伏時の心得をきっちりと叩き込み直そうと考えていたヒューズの肩が落ちた。

「……まぁ、仕方ないか。
 じゃあ、せっかくだしお呼ばれするか。腹も減ってるしな―飯にしよう」

その言葉に、三人の―特にスバルの顔が明るくなった。


 ☆ ☆ ☆


今朝の四人の朝食はこなた特製ジャガイモカレーだった。
最初に腹が減ったと言い出したのはスバルで、彼女はバックの中から大量のジャガイモを取り出して二人に見せた。
なんでも、それが彼女に支給された食料だったらしい。
でもそのままじゃ食べられないので、こなたがこの家の台所を使って調理するということになったのだ。

こなたはジャガイモの皮むきをアルに任せると、自分は台所を漁り使えるものがないか探し始めた。
その家はあまり無駄な物を溜め込まないらしく冷蔵庫はほとんど空だったが、いくつかの玉葱とカレー粉があったので
こなたはメニューをジャガイモカレーと定めた。
皮を剥いた玉葱を手早く微塵切りにして、深い鍋の底で炒め始める。
本来なら時間を掛けたい所だが、そうも言ってられないので適当なところで水と調味料を加えて煮始める。
アルがジャガイモを剥き終わると、水を足して大まかにカットしたそれを加え、さらに煮込む。
そして、ジャガイモが煮えたら、アクを掬い取って後にカレー粉を放り込み、最後の一煮立ち。

あっと言う間に……ではないが、これでこなた特製ジャガイモカレー(ライスはないよ)の出来上がりである。


 ☆ ☆ ☆


「―おいしい。おいしいよ、こなたちゃん。―おかわり!」
四人の中でも特にたくさん。しかもバクバクと音を立ててジャガイモを貪っているのはスバルだ。
大量に作られたジャガイモカレーは、昼にもとこなたが用意したものだったのだが、朝の内に完食されそうな勢いである。

「はい。慌てて喉を詰まらせないようにね」
その彼女とは対照的に、一切食事を取らずに給仕に専念しているのはアルだ。
彼の身体は事情によりただの金属の鎧であるため、彼は食事をすることを必要とはしない。

「こなたちゃんもよく食べるんだぞ。じゃなきゃ大きくなれないからな」
帰ってきた時は不機嫌だったヒューズも何時の間にか上機嫌へと変わっていた。
子煩悩で、さらに家族思いであるため、この様なアットホームな食卓がそうさせているのかもしれない。

「……いや、あたしもう成長期すぎてるし。てか、18歳だし」
ジャガイモを冷ましながらゆっくりと食べていたこなたが、ヒューズにそう答える。
そう。この中で一番小さく、下手をすれば小学生にも間違われかねない彼女だが、実はもう18歳である。

57:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 00:54:40 YjKppFka
1171 :ツチダマな名無しさん:2007/10/05(金) 10:02:53 ID:ZO85pF2w0
ロイドとスカーと明智と酒の人に愛の手を……

1172 :ツチダマな名無しさん:2007/10/05(金) 12:18:52 ID:IM8kVr120
来週の終末にさえなれば書けるんだ……だからそれまでは……頼んだ!

1173 :ツチダマな名無しさん:2007/10/08(月) 00:41:23 ID:2QjQFt1w0
地図の奴のループが記述されている事についてはスルー?
キッチリのループ判明話と明らかに矛盾してない?(千里が地図を完璧に見ない訳がない)

1174 :ツチダマな名無しさん:2007/10/08(月) 00:58:00 ID:Don20sUc0
いや、スルーでは無いはず。食料にガソリン、ってのも含めて。
ただ、まだ仮投下だから+雑談スレに指摘済みだから様子見、ってトコロじゃないだろうか。

1175 : ◆hNG3vL8qjA:2007/10/08(月) 01:28:12 ID:siUsxeUM0
こちらで述べさせていただきます。
・ロイドの携帯電話について
「紙は舞い降りた」でアニタとシンヤの名前を本人から聞いてもいないのに彼は知っていました。
ロイド本人は「支給品で知った」と言っているので、顔写真のみ掲載されている携帯電話に名前も一緒についているでは?と解釈させていただきました。
顔がわかっているのに、名前を知るにはこれしかないと思ったのですが……。

1176 :ツチダマな名無しさん:2007/10/08(月) 01:37:52 ID:P83QGBoA0
>>1175
うん、某所では妙につつかれているけどその解釈でいいと俺も思うよ。
レーダー系も強化+PASSつきで面白い発想だと思った。

1177 :ツチダマな名無しさん:2007/10/08(月) 02:21:09 ID:ZonI686s0
>>1173千里が地図を完璧に見ない訳がない

逆に完璧に見たから地図の謎に気付けなかったのかもしれない。

『汝の欲する所を為せ、それが汝の法とならん』

って感じで千里は地図を地図でしかないと思い込んで見たから、文章には気付けなかったとか?
スパイクが気付けたのは読子に地図が地図以外の意味があると誘導されたから気付けた。という駄目理論。
もしかしたら、普通は文字に気がつけないように誘導するように地図が描かれているとか?

まあ、自分が思いつく展開はこんな駄目な感じだし、作者さんの意見がどうかも分からない以上は
作者さん待ちだなぁ。

1178 :ツチダマな名無しさん:2007/10/08(月) 03:35:37 ID:Don20sUc0
とはいえ、模様に小さい文字を混ぜる意味が良くわからん。
まあ、仔細なモノをビブリオマニアが見つけるっていう展開を書きたいんだろうが、無理やりな気がしないでもない。
特殊なフラグとかっていうより、意味の良くわからない投げっぱなしに見えるんだよなあ…

1179 :ツチダマな名無しさん:2007/10/08(月) 13:55:31 ID:YbRChjmc0
NGや修正をするべきレベルの問題とも思わないけど、主催者がそんなことをする意図が全くわからん。

主催者側に裏切りものがいるフラグか?

58:ひとつ屋根の下 6/8  ◆AZWNjKqIBQ
07/10/15 00:55:25 0n1jr1D7
「―えぇっ! あたしより年上!?」(スバル・ナカジマ 15歳)
「……お姉ちゃんだったんだ」(アルフォンス・エルリック 14歳)
「……………………」(マース・ヒューズ 29歳)
三者三様のリアクションに、当のこなたは涼しい顔だ。むしろ、最近はこういう反応を楽しめるようになってきている。


 ☆ ☆ ☆


「あのさ。ヒューズさんって、ウチのお父さんに似ている感じがする」
食事も終わりに近づいた頃、唐突にこなたがこんなことを口にした。言われたヒューズも敏感に反応する。

「へぇ、どんなところだ。格好よくて頼りになって、娘思いで最高のお父さんってところか?」
「ううん。女の子と食事してる時に、ニヤニヤしてるところ」

う……と、硬直。否定できない部分ではある。
「そ、それは……誰だってそうだろう。―って、アル。なんだその解るなぁって顔は!」
顔を真っ赤にするヒューズに対し、残りの三人はニヤニヤ顔だ。
まだ短い時間しか経っていないが、何時の間にかに四人は家族の様に仲良くなっていた。

真っ赤な顔の下で、ヒューズは一人安堵する。そして同時に、この三人を護ってやらなければと誓うのであった。


 ☆ ☆ ☆


……そう言えば、家族の写真をこいつらにはまだ見せていない。
それに気付いてヒューズは持っていたスプーンを置いて、手を懐に忍ばせるが……そこに写真はなかった。
何故かは解らないが、螺旋王に没収されたか何処かで失くしたらしい。そして、また別の事にも気付いてしまった。

「……アル。あいつらは、俺がいなくなった後も幸せに暮らしているか?」

それは、アルが生きている時間では、すでに自分は死者となっているらしいということだ。
ならば気がかりなのは、そこで残された家族―妻と幼い娘の事だった。

「ヒューズさん…………」
ヒューズが死亡した時、アルと彼の兄はその近くにはいなかった。だからその時の詳しい事は知らない。
だが、その後に伝え聞いたことをアルは正直に彼へと伝えた。

「……そうか。あいつらが元気だったんならそれでいいんだ。
 にしても、二階級特進とはな。アイツよりも先に偉くなって俺はどうするんだ。ハハハ……」

せっかくの朝食だったのに、暗くしてスマン。とヒューズは神妙な顔をした三人に謝った。
そして、気持ちを振り払うかのようにジャガイモをかきこむ始めた彼に、こなたが静かに声をかけた。

「……こういう言い方がいいのかはわかんないけど。
 あたし、お母さんのことずっと好きだよ。
 あたしが小さい頃に死んじゃったけど、あたしも、あたしのお父さんもお母さんをずっと愛してる。
 だから、ヒューズさんの奥さんも。その娘さんも……」

こなたの言葉にヒューズの心が潤む。また、こんな素直な娘を持った彼女の父親を羨ましくも思った。
ありがとう。ただ、ありがとうとだけ、ヒューズはこなたに言葉を返した。
それ以上口を開けば、また別のものも一緒に零れてしまうと、そう思ったからだ。

59:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 00:55:40 YjKppFka
1180 :ツチダマな名無しさん:2007/10/08(月) 14:12:23 ID:HofilFYc0
裏切り者がいたとして、たかがループの事を伝える意味がわからん。
もっと大事な事伝えろよって話になる。

1181 :ツチダマな名無しさん:2007/10/08(月) 18:15:51 ID:zOeRsl6w0
逆に言えば、ループに脱出の手がかりがあるということにもできる。
空間移動を拡張発展させて脱出の次元移動手段とかにできるかもしれん。

1182 :ツチダマな名無しさん:2007/10/08(月) 18:33:25 ID:Don20sUc0
地図の一言からそこまで頑張るか~w
しかし、その展開は今回の伏線が無くても問題なく出来る上に、あの伏線からそこに到達するのは遠すぎる罠

1183 :ツチダマな名無しさん:2007/10/08(月) 19:07:56 ID:zOeRsl6w0
確かに積み上げるフラグは多すぎるなw

1184 : ◆n5a5sXxJlE:2007/10/08(月) 19:36:59 ID:/OroJX8Y0
考えを述べさせて頂きます
ガソリンについては参加者にサイボーグがいるため
燃料が食料になってもいいだろうと思ったからです
地図についてはやはり無理ですか
禁止区域ならともかくループの説明もないのはおかしいと思ったんですが
説明文を入れようとするとこういうのしか浮かばなくて
今回仮に投下したのことについてですが
推敲していてこの話が大丈夫かどうか不安になったため確認のために投下しただけで
大丈夫ならもっと推敲してから本投下しようと思っていました
以上が私の考えです

1185 :ツチダマな名無しさん:2007/10/08(月) 20:05:28 ID:Don20sUc0
降臨乙です。
地図の件は読んで頂いた通り。
ガソリンについては、まあアリナシ両方の声があるみたいですが、僕からは二点だけ。
・2人共既に自分の持ち物は確認済みなのに、明らかに「支給品相当のアイテム」に全く触れないのは不自然
・単純に「食料」ではないのだから、ガソリンを出したいのであれば誰かの不明支給品をガソリンにすれば良いだけなのでは?

また、ところどころに日本語としておかしい部分が散見されましたが、人の目に触れる以上、例え仮投下でも最低限の推敲はして頂きたいと思います。
失礼ながら、全く推敲をしていないのでは? と思ってしまう誤字脱字もいくつか見られました。
テンプレの「書き手の心得その2(実際に書いてみる)」の項をもう一度読んでみてはいかがでしょうか。

1186 :ツチダマな名無しさん:2007/10/08(月) 20:26:11 ID:NHvvhznIO
文章の基本とか、そういった所を、もう少し気をつけてもらえればと思います。

1187 :ツチダマな名無しさん:2007/10/08(月) 20:34:23 ID:1AJJXNME0
>>1184
流石に食料とかの基本的なものは最低限の公平性を出すためにもその人物が食えるものであったほうがいいと思うが…
ガソリンの量も40?と相当な量があるし。支給品にしたほうが無難ではあると思う。何より食い物がないってのはそれだけでかなり不利。
さらに言えば、ミーとクロの分があるってことはもう1人食料にガソリン配られた人間が居るのが確定してしまうことも考えて。
今までに誰もそれに気がついてないってのは相当不自然だと思う。

あと、細かいうえどうでもいいんだが。
>>[道具]:デイパック(食料:サンドイッチ[2つ消費]・クッキー・お汁粉)
テンプレ見る限りでは食料と水は成人男性が二日持つと書かれているんだが、少なくないか?
クッキーとお汁粉が相当な量なければ二日もつとは到底思えないんだが。

60:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 00:55:54 1u9Kn0u7
 

61:ひとつ屋根の下 7/8  ◆AZWNjKqIBQ
07/10/15 00:56:32 0n1jr1D7
 ◆ ◆ ◆


和気藹々とした朝食が終わると、四人は気を引き締めなおして出立の準備を整えていた。
元々長く居座る予定でもなかったし、ヒューズが偵察によって持ち帰ってきた情報を聞くと仲間の安否が気になった。

「……じゃあ、まずはデパートへと向うんですか?」
スバルの確認に、ヒューズは頷く。当初は駅と列車を利用する事を考えたいたが、駅で時刻表を見てその考えは覆った。
「ああ。さっきも言ったとおり、停車時間が20分もあるんじゃ待ち伏せが怖い。
 実際に駅周辺で戦闘が行われた形跡もあったしな。俺達四人じゃ、少しリスキーすぎる」

「ヒューズさん。ロイ大佐は……」
アルの言葉にヒューズは唸る。最優先で見つけ出したいが、それには手がかりが少なすぎた。
「怪我をしているなら、おそらくは病院。またはより近いデパートへとアイツは向うだろう。
 会えるかどうかは、アイツと俺達のどちらかに運があることを祈るしかないな」

「ハイお昼。残り物だけど」
キッチンから小走りで戻ってきたのはこなただ。
その腕に、人数分のジャガイモカレーが詰められたタッパを抱えている。
こなたの分は小さく、ヒューズの分は中くらい、スバルの分は特大で、残念ながらアルの分はない。

「忘れ物はないか、みんな?」
言いながら、ヒューズは腕時計で時間を確認する。手にはメモとペンを持っていた。
同様に、他の三人もその手にメモとペンを持っている。


―時間は5時59分。予定されている螺旋王よりの放送。その1分前であった。
その緊張の1分を、彼らは朝を過ごした家の中で待つ。



 【F-4/民家/1日目-早朝】

 【チーム:引率の軍人と子供たち】
 [共通思考]
  1.主催者の打倒。またはゲームからの脱出
  2.首輪の解析、解除が可能な人物、技術、物を探す
  3.互いの知り合いや、ゲームに乗っていない者を探し仲間とする
  4.殺し合いはしない

 ※首輪から、会話が盗聴されている可能性に気づきました
 ※盗撮に関してはあくまで推測の域なので、確定ではありません
 ※螺旋王には少なからず仲間や部下がいると考えています
 ※それぞれの作品からの参加者の情報を共有しました


 【マース・ヒューズ@鋼の錬金術師】
 [状態]:健康、腹一杯
 [装備]:S&W M38(弾数5/5)
 [道具]:デイバック、支給品一式、ロイの発火布の手袋@鋼の錬金術師、制服のボタン
      S&W M38の予備弾数20発、エンフィールドNO.2(弾数5/6)、青酸カリ、単眼鏡
 [思考]:
  基本:主催の打倒。または脱出を目指して行動。仲間を集める
  1.デパートや病院等、人が集まりそうな場所を目指す
  2.ロイ・マスタングを探す
  3.首輪や脱出に関する考察を続ける

62:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 00:56:44 YjKppFka
1188 :ツチダマな名無しさん:2007/10/08(月) 23:15:31 ID:K60AXnsk0
>>1184
地図や推敲に関しては他の方がおっしゃってるので自分は食料について述べます。
ガソリンという着眼点は良かったと思います。
でももし食料、という観点のみでガソリンを出したのならこれは無くても大丈夫かな、とは思ってます。
なぜならクロもミーも我々が食べる普通の食料を「燃料」として補給することが可能んだからです(ミーくんは内部に取り込む、という感じですが)。
ガソリンを支給したいのであれば、それは支給品の一つにしたほうが通しにはなりやすいでしょう。

1189 :ツチダマな名無しさん:2007/10/09(火) 02:09:00 ID:WgaYZ5PA0
V様に関しては詳しくないので問題提起だけ。
もう決着したよ~ってんなら無視してもらって構わんです。
今回の議題は『ヴィクトリームの胴体放置は有りか無しか』です。

1190 :ツチダマな名無しさん:2007/10/09(火) 02:15:50 ID:cZTiXono0
持論を置いてみるテスト。

・首輪の起爆は、首輪のある体側がキー
・首だけが禁止エリアに入ってもセーフ(今回ループで良かった本当に!)
・V登場のSS書く人は、頭と体両方の描写必須

で、ゲイボルグのその後の描写してもらえば今回のSSは通しでいいかと。
まあ、既に一回方向転換しちゃってるから、木に刺さるなり何なりで、当たる可能性は高くないと思うけれど。

1191 :ツチダマな名無しさん:2007/10/09(火) 02:21:58 ID:nEUsNU7E0
ゲイボルクは普通に力尽きて落っこちてるぞ?
いや、俺も体まで飛んでいってるのかと一瞬思ったがw

1192 :ツチダマな名無しさん:2007/10/09(火) 02:28:09 ID:cZTiXono0
>シャマルは見た。
>Vに向けて投げつけたゲイボルクが、空中でキレイに方向転換。
>あさっての方角に向けて飛んでいき、やがて力を失い落っこちていくさまを。

失礼しました。ということでこのまま通しでおkかと。
関係ないけど、今回の海は不死酒に手配書にメロンに魔槍にと、色々落ちてるなあw
あ、レジスタンスと教師もか?

1193 :ツチダマな名無しさん:2007/10/09(火) 02:30:58 ID:WgaYZ5PA0
え?でもカミナの持ち物の中にゲイボルグあるよ。
拾った描写は無かったよね?

1194 :ツチダマな名無しさん:2007/10/09(火) 02:41:00 ID:lTR39cJ60
ぷかぷかと浮いてるところをあっさり拾われたのかもしれない。

シャマルさんでも楽に扱えるから、海より比重が軽くてもいいかもしれない。
1195 :ツチダマな名無しさん:2007/10/09(火) 03:20:04 ID:xQLJV9ag0
そもそもV様のボディはF-8にあるわけだから、
心臓に向かっていくなら海ではなく山に向かって反転したはず
仮にループ効果で海に向かったとしても、シャマルの筋力だと
大した飛距離じゃない。真名開放も投げボルクじゃないし
1196 :ツチダマな名無しさん:2007/10/09(火) 18:38:15 ID:TjtoZLy60
>>1195
まー近いほうはF-8なんだからそっちに飛んでいくのも無理はないな。
1197 :ツチダマな名無しさん:2007/10/12(金) 21:53:50 ID:LDjn7eeo0
仮投下スレに投下された◆lsM4Q2L1ws氏のSSについて
・慎二が魔術を使えるようになる
・慎二の性格が変わる
これらのことが前触れ無く起こるのは不合理であると思われます。
氏が当初からNGを示唆されておりましたが、一応こちらで指摘しておきます。

63:ひとつ屋根の下 8/8  ◆AZWNjKqIBQ
07/10/15 00:57:38 0n1jr1D7
 【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
 [状態]:健康、腹一杯
 [装備]:リボルバー・ナックル(左手)(カートリッジ:6/6)@魔法少女リリカルなのはStrikerS
 [道具]:デイバック、支給品一式(食料-[大量のじゃがいも、2/3][水])
      ランダムアイテム不明(本人確認済み)、予備カートリッジ(×12発)
 [思考]:
  基本:仲間を集めて事態の解決を目指す
  1.ヒューズに従って行動する


 【アルフォンス・エルリック@鋼の錬金術師】
 [状態]:健康
 [装備]:なし
 [道具]:デイパッグ、支給品一式
 [思考]
  基本:仲間を集めて事態の解決を目指す
  1.ヒューズに従って行動する
  2.兄やロイ・マスタングを探す
  3.こなたを護る

 ※アルの参戦時期はヒューズ死亡後のいずれか


 【泉こなた@らき☆すた】
 [状態]:右頬に銃創、疲労・小、腹一杯
 [装備]:
 [道具]:デイバック、支給品一式、マチェット、チェーンソー
 [思考]
  基本:死にたくないので助かるよう行動する。みんなと再会したい
  1.ヒューズに従って行動
  2.柊かがみ、柊つかさ、小早川ゆたかを探す

 ※こなたの参戦時期は原作終了後



 【単眼鏡@現実】
 片目に当てて使用する望遠鏡。
 集光機能付きで、暗い場所でも僅かな光さえあればクリアに見ることができる。

 【青酸カリ@現実】
 シアン化カリウム。白い粉末状で、乾燥状態では無臭。
 口径摂取すると、めまい、頭痛、嘔吐、激しい動機、痙攣などの症状を経て死に至る。

 【大型マチェット@現実】
 刃渡り50センチ程の大きな山刀。主に山中でのサバイバル用具として使われる。
 グリップにナックルガード付き。

 【大型チェーンソー@現実】
 重さは20kg.を超え、バーの長さも2m.を超える大型のチェーンソー。

64:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 00:57:49 YjKppFka
1198 :ツチダマな名無しさん:2007/10/13(土) 01:28:06 ID:DIWB2VTg0
◆LXe12sNRSs氏の阿修羅姫について
前話で

【ニコラス・D・ウルフウッド @トライガン】
[状態]:健康
[装備]:ヴァッシュ・ザ・スタンピードの銃@トライガン 弾数×四発
[道具]:支給品一式、不明支給品×1
[思考]
基本思考:ゲームに乗る
1:自分の手でゲームを終わらせる
2:敵には容赦しない
3:ビル内を捜索し、狙撃手(クアットロ)を殺害する
4:子供の死体(キャロ)をきちんと葬ってやりたい

となっております。
毒吐きにおいて、3は置いといて4に反対の行動をしているという意見がありました。
回答よろしくお願いします。

1199 :ツチダマな名無しさん:2007/10/13(土) 01:59:52 ID:temyOWwg0
指摘は尤もだが、毒吐きの意見を持ち出すな。
自分の言葉で指摘するべきだぜ、そういうルールだ。

1200 :ツチダマな名無しさん:2007/10/13(土) 12:55:24 ID:72U5luxA0
>>1197
すみません、投下してから気が付きました。
性格については修正は不可能なので、無理というならば取り下げます。


皆様まことに申し訳ございませんが。
正か否か意見をお願いします。
もし今日のうちに取り下げ要請が4票以上有ればその時点で取り下げという事にしてください。

1201 : ◆lsM4Q2L1ws:2007/10/13(土) 12:57:15 ID:72U5luxA0
鳥を付け忘れたので乗っけておきます。

1202 :ツチダマな名無しさん:2007/10/13(土) 12:58:10 ID:tevF3k4M0
それ、『取り下げ要請が三つまでなら取り下げない』ってことか?
とりあえず俺破棄に一票ね。

1203 :ツチダマな名無しさん:2007/10/13(土) 13:11:05 ID:B7kNCHc.0
根本的に考え方がおかしいと思う。慎二もそうだが、書き手さん自信が。
多数決で通しかNGかを決めるものでは決して無いし、そのラインを自分で決める権利も無い。
貴方がすべきことは、「矛盾にならない解釈」「矛盾にならない修正案」を提示することであって、
「YES or NO で通しかNGか決めてください」なんて言うことじゃあ決して無い。

そして、そういう態度で臨む限り、あのSSを通すべきだとは決して思わない。
ロワの為にも、貴方の為にも。
というか、貴方はやっぱり、暫くROMるべきだと思うよ。
文章を書く力じゃなくて、空気を読む力や協調性といった部分に、致命的な問題を感じてしまう。

65:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 00:58:42 SQA7XE5O
 

66:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 00:59:41 YjKppFka
1205 :ツチダマな名無しさん:2007/10/13(土) 13:18:23 ID:T.JbwB6wO
これは酷い
破棄で

1206 :ツチダマな名無しさん:2007/10/13(土) 13:24:05 ID:B7kNCHc.0
それと、修正を放棄し破棄するのであれば、いづれの場所でも良いので、その旨をキチンと書き込んで下さい。
貴方の個人ルールでは物事は動きません。
正式な破棄宣言が出なければ、後続の人が予約してよいのかどうかの判断に困ります。

そういった部分を考慮することが、協調性の一端なのだと思います。

1207 :ツチダマな名無しさん:2007/10/13(土) 14:46:40 ID:XxEPulfEO
俺も破棄だな
つーか、しばしROMれ
文章力が悪いわけじゃないんだから、前後の接合性とキャラの内面をしっかりすれば良SSが書けると思うんだ

1208 :ツチダマな名無しさん:2007/10/13(土) 14:51:44 ID:Pvyp45zQ0
正直修正の仕様はあったSSだと思うが破棄を希望する。
>>1203と完全に同意だ、正直今の貴方にちゃんとした修正ができるとは思えないよ。

1209 :ツチダマな名無しさん:2007/10/13(土) 17:39:22 ID:R5N4V1ME0
◆LXe12sNRSs氏にお尋ねします。
『阿修羅姫』でウルフウッドのキャロの遺体の扱いについて前話の「きちんと葬ってやりたい」と若干矛盾が生じています。
キャロを爆葬した、とも解釈がとれますが氏の意見をお聞かせください。

1210 : ◆lsM4Q2L1ws:2007/10/13(土) 19:06:13 ID:72U5luxA0
破棄の宣言をします。

1211 : ◆LXe12sNRSs:2007/10/13(土) 23:38:10 ID:6JaiKvwgO
>>1209
つまり、ウルフウッドの描写が不足している、と。

確かに、『キャロの遺体を埋葬したい』という前SSでの彼の思惑とは真逆の行動を取らせたことは認めます。
これは別にに失念していたわけでもましてや無視したわけでもなく、舞衣視点から見たウルフウッドの仕草(>>408他)で、彼の心情の推移を悟ってもらおうとしたためです。
本当なら>>417でのウルフウッド視点の描写も省きたかったんですが、あまりに彼の情報が不足していてリレーしにくい、と判断して挿入……が、それでもやっぱり無理がありましたか。
要は情景描写と台詞だけでウルフウッドの心情を把握してもらいたかったんだけど、自分のレベルじゃ到底無理な振りでした。ごめんよ書き手諸兄。
まぁいいや。ロワSSはキャラの心理描写第一、後日ウルフウッド視点の描写を加筆するという形で修正したいと思います。




ここまで転載




67:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 01:03:10 c+MYCXGZ
>>40-66

ご苦労さん
またなんかわけのわからないことむこうでほざいてるな

>というか、貴方はやっぱり、暫くROMるべきだと思うよ。

余計なお世話だと思うんだが

68:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 01:06:22 Q1O1aRfE
つーか、こちらでさらされたら向こうのログ消されるんじゃね?

69:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 01:11:19 c+MYCXGZ
スレリンク(saku板:415番)

llllllllllllllllllllllllllll/llllllllllllllll!! iilllll!!  iill!!  i!   ll!!     !   ,|  ill llllllllllヽllllllllllllllllllllllllllllllllllll
llllllllllllllllllllllllll/llllllllllllllllll!! ill! !   il! / /       、    /||  l!   l! l! llヽlllllllllllllllllllllllllllllllll
llllllllllllllllllllllll/llllllllllllllllll! il!    /_/|,_/!,,_,,_∧_n  /| i  //::||       ! `,llllllllllllllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllllll/lllllllllllllllll!      |::::::::::::::::::::::::_:::`::':::Lト、,_|/:::|:| i   i     ,|llll○llllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllll/llllllllllllllll!      |:::::::::::: "  ̄   ~ 丶、 :::::::::: '!!|,,_//|     |lllllllllllllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllllllllllllll llllll!       |:::::::                  ::ト、 ,i    |llllllllllllllll○lllllllll
llllllllllllllllllll|llllllll! !lll! i  i   i |::::    /~~``''‐、,           _ ' !、   |llllllllllllllllllllllllllllllll
llllllllllllllllllll`llllll!∧ト-!-"!''!トi;;"!!'―---/       ` 、        '   丶 ト、 |llllllll○llllllllllllllllll
lllllllllllllllllllllllllllllllllll!:ヽ:::::(: ||:::::::::::::::::... '、        ノ_    ,   ○ ' / }, |lllllllllllllllllllllllllllllll
llllllllllllllllllllllllllllllllllllヽ :: : :::::::::::::::::::::::::::`'‐ 、,    /  ` 、/ ``'- 、  /  | ,|llllllllllllllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllll\   : :::::::::::::::::     ``''"´ ::::::::::/      )/|  / /lllllllllllllllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll`'''~ト :::::::::::            , , ' 、,    //"| //lllllllllllllllllllllllllllllllll
lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll,_llll|:ヽ::::::::      , ,,,,,__   .... .   `'‐-'" /llllll//ll"llllllllllllllllllll。lllllllllllll
llllllllll,!!!-‐-、llllllllll、_ノ:::::/:::丶::::      λ ヽ、`==- 、_  、   l lllllllllllllllllllll○lllllllllllllllllllllllllll
!/:::::    ::、:::::\::::: \::丶:       丶   `.、 /~ '    l lllllllllllllllllllllllllllllolllllllllllllllllllllll
:::::   ○   |   ヽ、   \\       \、_ ,,/      /llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
::       ○ |    ヽ    \\       、 ,,       /lllllllOllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
         |     `、  .... \ \  ○       _, '"Ollllllllllllllllllllllllllllllll○lllllllllllllllllllllllll
        ,|      ヽ    .... ` 冫‐、_ _ , ○-‐ '"lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
        |   /    \    ../" ^ ヽ  イ`─-、llllll。lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
          |  /      \  /      `、 |" :: 、  `ヽ○llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll
        |  /        `'        \|   |   `、○lllllllllllllllllll○lllllllllllllllllllllllllllllllllll
       |  /         ○           | i  ○ llllll○llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll○

ムスカ「ハハハハハッ! 見ろ! ゴミのようだ!!」

70:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 01:16:29 3hT4UXGs
削除理由・詳細・その他:
5.掲示板・スレッドの趣旨とは違う投稿
 ・故意にスレッドの運営・成長を妨害している(
 ・運営掲示板を陥れるための、悪質な捏造
 ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

6.連続投稿・コピー&ペースト
 ・外部サイト(じゃないのだが)からのコピペ連投です。

---------------------------------------------------------


これはひどい

71:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 01:21:38 oblkP4di
それが通るんだったら何でも削除依頼通るだろ常考…

72:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 01:35:14 Y46onQKe
一応削除人がdionの戯言にほだされないようにするために
言ってきた方がよさげ?

73:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 01:59:09 GMXWigW8
892 最低人類0号 sage New! 2007/10/15(月) 01:43:46 ID:8PYqKzrJ
また返り討ちにあうつもりかあのゴキブリ


893 最低人類0号 sage New! 2007/10/15(月) 01:52:07 ID:HM8I/0xN
Q.したらばに通告するとかほざいたゴキブリは何をしたでしょうか?

A.何もしませんでした。

ようするにそういうことだろ?w



なんか言ってるよ

74:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 02:04:18 c+MYCXGZ
ほおっておけば?

75:どうでもいいが
07/10/15 02:09:21 AAVggoCm
人をゴキブリよわばりするってどこの亀田?

76:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 02:19:19 fYoA3Gef
894 最低人類0号 sage 2007/10/15(月) 02:12:57 ID:HM8I/0xN
「よわばり」は亀田でもしないねぇwよわばりなんて単語は無いから誰にもできない。
まともに文字を打てないほど激昂したかい?あ、虫は正しい日本語使えませんかw

ID:HM8I/0xNもこっちきて話せばいいのに

77:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 02:23:14 ce+kOoLO
皿皿皿皿皿
三     |
三 /  \
C  ・  ・
     ○ |
 \    〆   
 ●\__|
  ●   ●
   ●●●

必要そうだから張っておく

78:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 17:52:58 3PjBCHTm
 

79:流血へのシナリオ ◆2kGkudiwr6
07/10/15 17:53:00 sI8KSizC
 
あれから大して時間も経たないうちに、金色のサーヴァントと女は出て行った。
けれど、僕がロッカーから出られたのは……少なくともそれから数分は後のことだった気がする。

「……っはぁ、はぁ、はぁ!」

ロッカーから転がり出た後は、それこそ解放されたような気分だった。
まるで僕を祝福するかのように、さっきまで詰まっていた気管は簡単に酸素を通していく。
恥も外聞も無く地面に伏せったまま、深呼吸。堂々と隠れることはしないし……その必要も無い。
……けれど、そんな気分は三十秒もしないうちに霧散した。

「あ、あいつら……あんなこと言ってたってことはまだここにいる気か……?」

少し冷静になれば十分に思い当たる事実。それに気付いて、再び息が詰まり始めた。
いや、落ち着け。ここは一階。窓から外に逃げるくらいは簡単に出来るはずだ―!
そう思って見た外には……まだ十分に「暗い」と形容できる夜闇が残っていて、
外に出ようなんて気持ちはそれこそ風船並みの脆さで消え去った。

どうする?またロッカーに隠れるか……?
いやだ、教会が僕にくれた武器くらい欲しい。吸血鬼だって倒せる武器なんだ。
そうだ、あれは僕に与えられたものなんだ。
だったらその武器は僕が持っていなきゃいけないんだ……!

そうして気がつけば……よく分からない未練と恐怖がない交ぜになったまま、僕は学校の中を宛てもなく歩いていた。
幸いサーヴァントの方は鎧をガチャガチャ言わせて歩いているから、耳を澄ませば歩いてくることくらい分かる、はずだ。
そう自分に言い聞かせて廊下を忍び足で歩く―いったい自分はどうする気なのか、分からないまま。
理科室では主催者が馬鹿みたいに精巧に作った人体模型に悲鳴を上げる羽目になったし
(暗闇の中であんな無駄に凝ったモノを見れば、誰だって怯えるに決まっている)、
トイレはグズの主催者がちゃんと水道を締めていないせいで無駄に警戒してしまったけれど
(水道から垂れる音に驚いて転んだのは僕のせいじゃない、主催者のせいだ)、
ともかく言えることは金属音もせず気配も感じ取れず、ただ無為な時間を僕は過ごす羽目になっていただけ。
あのサーヴァントが職員室を出て行ってからかれこれ一時間は経っただろうか。
もう何度目になるか分からない階段の上り下りを済ませて、ふと僕は思った。

―もう学校から出て行ったのかもしれない。

「は、はは、そうだよな……せっかく盗んだ武器を渡したくないってことか……」

無駄に歩いたことに思わず溜め息を吐いて(決して安心したからじゃない、絶対だ)、
僕がそう呟いた瞬間……まるでそれを聞いていたかのように音がした。
金属音ではなく、声が……20mほど離れた図書室の中から。

「―螺旋王とやらは中々余興好きのようだな。
 稚児向けの本のようにすることで隠しているが、その実非常に重要なことばかり書かれてある。これを見よ」

80:流血へのシナリオ ◆2kGkudiwr6
07/10/15 17:54:02 sI8KSizC

サーヴァントの声がはっきりと廊下に響いた瞬間、僕は慌てて階段の段差の影に隠れていた。
図書室の中から話しているには声の通りが良い。
少しだけ顔を出して見てみれば、あいつらはご丁寧にも扉を開けっぱなしにしている。
……僕に何か恨みでもあるのかよ!

「なになに、『おヒゲのガンダム』? こんなのただの漫画に決まって―」
「我の推測が正しければ、ここにある本は全て実際に存在する数多の異世界の存在とその歴史を綴った物だ」
「……いや、いくらなんでも皆で小惑星を押し返すとか格闘技をするロボットとかありえないって」
「ふむ、ならこれはどうだ? 『マイヒメ』というが」
「……ヒメ?」

そうしてすぐにぱさりと本が投げられる音を、しばらく後に息を呑む音を聞いた。
くそ、僕にも見えるようにしろよ、卑怯だぞ……!

「まさか、これってどう見ても……」
「エレメントを始めとして、貴様の言っていたモノに全て一致する。
 各個人の詳細な名や能力、姿は隠されているようだが」
「……そうみたい。
 名簿に載ってるあたし達は、特に分かんないようにぼかされて書かれてる」
「何より問題となるのは、この殺し合いの場にはこのような建築物が大量に存在する事だ。
 もし同じように他の施設でも情報を得られるというのならば……否。
 施設に限らず様々な手段で多種多様な情報を与えようとしているのならば、
 螺旋王と言う男……余興好きと言うよりは寧ろ―」

サーヴァントの声は、まるで思案に沈むかのように切れていた。
どうやら聞こえなかったのではなく、喋らなかったのが正解らしい。
……いったい何を言おうとしていたんだ?
僕でさえこう思ったんだ、女の方が興味を覚えないわけがない。

「寧ろ、何?」
「この事象においてこれ以上の発言は許さぬ」
「な、なんでよ!?」
「そのうち分かる。今すべきことはできるだけ多くの書物を探し、その真偽を検分することであろう」
「……マジ? 全部?」
「全てではない、我が関係がありそうな書物はどれかあたりを付けてやる。
 読む事になるのはせいぜい一割から三割程度だな」
「……十分多いっての」

ムッとしたように女の方が黙る。どうやら女は発言を許さない、という言葉について意味を分かっていないようだ。
けれど、僕にとっては致命的なことにしか思えなかった。

(まさか、僕が見ていることを分かっているのか……!?)

81:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 17:54:30 3PjBCHTm
 

82:流血へのシナリオ ◆2kGkudiwr6
07/10/15 17:55:02 sI8KSizC

体が凍りつく。
何か武器があれば、あの女を狙うという形でなんとかなったかもしれない。
だけどその武器さえない。そして感づかれた以上隙も無い。
恐怖に染まった心を、それでもなんとかして逃げなくちゃいけないという理性で溶かす。
一秒に一ミリ、いやそれ以下。恐怖に震えた体ではそれ以上動かせなかった。
いったい何分経っただろうか。突如、女が挙げた声が廊下まで響いた。

「うわ、この絵本面白いかも。
 油断した金色の王様は光り輝くアーサー王の聖剣によって負けました、だってさ。
 油断で負けるなんてよっぽどお間抜けな奴よね、こいつ。バカ?」
「……おい、蜘蛛女」
(い、今だ!)

相手が喋ることで、足音が薄れることを願って。
僕は全速力でその場から走り出していた。忍び足から駆け足へと、静かに加速しながら靴箱へ。
幸いと言うべきか、外は少しずつ明るくなり始めていた。これならある程度周囲を見渡せる。
今の僕にとって、太陽光ほどありがたいものは無かった。

―少なくともずっとサーヴァントがいたままの学校よりはずっとマシだ!

外の光と中の恐怖に押し出されて、一気に全速力で駆け出す。
靴箱を通って校門へ。そして外へ。僕が息を切らせながら立ち止まった頃には、学校の姿は小さく見えていた。
後は人が集まりそうだけど目立たなさそうな所に行って衛宮を待てばいい―!
そう、思った瞬間。

「予想はしていたが、まさか本当に本人とはな……
 いや先例がある以上、死人が動き出すことに今更何の疑問もない、か」
「!?」

僅かに残っていた夜闇から、黒い神父が姿を現した。

「だ、誰だよお前! 死人ってどういう意味だ……!」
「私は言峰綺礼。知っているだろう、聖杯戦争の管理者だ。
 そして二つ目の問いについてだが……単純な話だ。お前は一度死んだ可能性がある」
「は……?」

思わず、呆けたような声を僕は出していた。
僕が死んでいる。何を馬鹿なことを。目の前にいるものが見えないのか?
そうして僕の頭は、一つの答えを出した。
こいつはバカなんだ。そうだ、バカなんだから見下してもいいはずなんだ。

「は、ははは……なに、お前、頭でもイカレてるわけ?
 僕は今ここにこうして生きているじゃないか!」

だから笑う。笑いながら嘲る。僕が一番下、底辺の人間だなんてあるはずがない……!
けれど。その神父は怒ることもせず。
物理的にも精神的にも、僕を心底見下した視線を冷徹に返してきた。
本物の威圧が込められたその視線に……僕の笑いが、凍る。

83:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 17:55:56 3PjBCHTm
 

84:流血へのシナリオ ◆2kGkudiwr6
07/10/15 17:56:14 sI8KSizC

「聖杯戦争のマスターとは思えん発言だな。
 英霊、吸血鬼、降霊術、人形。死したものを呼び出す方法など世界には数多存在する。
 数多の人物が突如こうしてここに集められること自体魔法の域、いや魔法かもしれん技だ。
 お前が死者蘇生という魔法の実験体になった可能性も多いにある。
 神秘に触れられたことを魔術師として感謝すべきだろう」

言葉を返そうとしても、できなかった。できたのはただ、魚のように口を開閉することだけ。
頭の片隅が、この神父に汚染されたかように僕へ囁いていた。

―もし……あの黒い巨人に出会った一瞬で。
自分は意識を保つことさえなく、攻撃を目に捉えることさえできずに即死していたのだとしたら?

「そ……それが本当だって証拠は!」
「ふむ、そうだな。参考ついでにだが……
 お前が死んだ後、第五次聖杯戦争がどうなったかくらいは言える」

それでも何とか言葉を捻り出した僕とは対照的に、神父はあっさりと言葉を続けていく。
その様子は、まるで声を出すために使う空気が違っているようにさえ思えた。
……だから、その続きを止めることなんてできるはずもなかった。

「衛宮士郎と遠坂凛は、アーチャーを犠牲にしながらもバーサーカーを破った」

バーサーカー。あの化け物さえ、衛宮と遠坂は倒せたって言うのか。
絶望感とかそういったものより先に、怒りやよく分からない感情が渦巻いていく。
そんな状態で、ふと冷静になって思いつけたのは奇跡だったのかもしれない。

……待てよ。作り話の可能性だってあるじゃないか。

僕はあの後聖杯戦争がどうなったか知らない。だから、適当に嘘を言われても確かめようが無いんだ。
だけどそれに気付いている間にも、神父は更に衛宮の快進撃を喋っていく。
僕にとって、屈辱的な内容を。

「アサシンとキャスターは組んでいたが、これもまたセイバーの前に敗退」
「ふざけんなよ……!
 何が言いたいんだよ、お前……!」

耐え切れずに、声を張り上げた僕に。
神父はまるで、哀れんだような笑みを向けていた。

「単純なことだ。
 少なくとも私が知る限り衛宮士郎はセイバーと共に第五次聖杯戦争を勝ち抜き、勝者となった。
 それが『お前が消えた後での』世界の結末だ……脱落者よ」



85:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 17:56:55 TZhog/ZG
 

86:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 17:57:03 3PjBCHTm
 

87:流血へのシナリオ ◆2kGkudiwr6
07/10/15 17:57:16 sI8KSizC

私は決して嘘は言っていない。ただ、一部の事実を教えなかっただけである。
故に、結果は上々。間桐の長男は私に全く疑いを向けず、衛宮士郎との絶対的差という事実に打ちひしがれるのみ。
―だが、もう一押しだ。

「言っておくと、私が見た限りでは間桐桜は遠坂凛と仲良くやっていたぞ。
 つまり……お前がいようといまいと、世界には何の支障もないということだ」

これは嘘である。いや、正確には嘘の可能性がある。
私にとって知っている事実は、ギルガメッシュから聞いた「藍色の髪の少女を遠坂凛が助けた」という事実のみ。確かめたわけではない。
……これが事実となっている可能性は極めて高いだろうが。

「ふ、ふざけてんのかよ……そんな作り話信じるもんか……」

そうして、彼は俯いて言葉を漏らした。俯いてくれたことは非常に有り難い。
あまりの容易さに愉悦に歪んでいる表情を見られずに済んだのだから。
これにて紙より薄い矜持はいとも容易く崩壊した。漬け込むのは―容易。

「……しかしお前は幸運だ。
 ここでこうして、この私に出会えたのだから」

私の言葉に、再び彼が顔を上げる。
その瞬間には、既に私は神父としての表情を取り繕っている。

「こうして殺し合いに巻き込まれたとはいえ、私が聖杯戦争の管理者をやっていたことには変わりない。
 殺し合いをしろと言われたても、正直私としてはあまり気が進まんのでね。
 今までと同じように、あくまで観察者として動くと決めている」

これは嘘ではない。
ただ、なにを観察するか述べていないだけだ。

「さて、問おうか間桐慎二。
 お前はこの殺し合いを勝ち抜く気概はあるか?」
「……は?」
「ある意味で、この殺し合いと聖杯戦争は共通している。
 参加者を殺す罪はこの殺し合いを作った者にこそある、故に人を殺すことは正当化されるのだよ。
 殺し合いに乗っている人間だから殺す。せっかくの殺し合いができる場所だから殺す。
 ここではこの二つの殺害理由は等価だ……そう、矜持から衛宮士郎を殺すことも。
 そして、優勝すればお前の望みは叶い、お前は勝ち残ったという栄誉を世界から受けるだろう」
「だ、だけどセイバーを持っている衛宮に勝てるわけないじゃないか!」
「……む? ああ、なるほど……く、くく」

最初こそ思わず疑問を浮かべたが、意味を理解してみれば単純極まりなかった。
どうやら彼は、衛宮士郎がセイバーと共にこの殺し合いに来ていると勘違いしているようだ。
なんという……愚者。なぜランサーの名が名簿にわざわざ書いてあるのか、考えることさえできないとは。
それとも未だ名簿を見ていないのか。どちらにせよ、無知蒙昧極まりない。
もっとも―それはそれで面白い。

88:流血へのシナリオ ◆2kGkudiwr6
07/10/15 17:58:19 sI8KSizC

「な、何笑ってるんだ!」
「単純なことを忘れているようだな。マスターを殺せばサーヴァントは存命できない。
 即ち……間接的にだがサーヴァントを殺す方法はある。
 ……否。それどころか、お前が新しくサーヴァントを従えることも可能だ」
「……僕が、サーヴァントを、従えられる?」

愚かな少年の目が偽りの希望に眩む。
準備は完了。後はそこに、力を投げ込むのみだ。

「持っていくがいい。魔術師と言えど人間から派生した者達だ……見習いなら尚更、な。
 運がよければ、太刀打ちできるかもしれん」

最後の支給品である、短機関銃を足元に投げる。
銃弾を喰らった程度では死なない魔術師も多数いる、などという反論もあるだろう。
だが私は嘘を吐いていない。ただ今まで通り、一部の事実を述べていないだけだ。
最初こそ愚者は躊躇っていたが、おずおずと手を伸ばし始めた。
それを確認すると共に彼に背を向け……金属音を聞くよりも先に素早く槍を取り出し、薙ぐ。
ヒッと声が漏れ、藍色の髪が数本舞った。

「な、何を……!」
「いやなに……一瞬私に照準を定めようとしたのを感じ取ったのだが、見間違いだったようだ」
「…………っ!」
「聖杯戦争とはまた違うが、間桐慎二……お前がこの殺し合いに参加するのを受理しよう」

そう呟くと共に、私は今度こそ背を向けて奴の目の前から歩き去っていく。
追撃はない。奴は足音を隠すこともせず、何処かへと向けて走っていた。
あの様子なら当分私を狙うことは無いだろう。厳然足る実力差を思い知ったのだから。
再会すれば不意を突いて殺そうとしてくるかもしれないが、それはそれで十二分に面白いことである。
奴が頼れるのは、私が与えた近代兵器のみなのだ。

「銃などという文明の産物だけに頼ったところで、魔術『師』にはなれん。
 魔術『使い』を目指す衛宮士郎には近づいてもな……」

銃のみに頼り人を殺せば殺すほど魔術師の在り様から遠ざかる……まさに皮肉。
本人がそれに気付いた時何を考えるのか。絶望に打ちひしがれるのか、あるいは私に復讐でもするのか。
もっともその場合……この槍が編む魔術によって更に絶望する事になろう。

「相当遠回りとはいえ、真実に辿り着く道標を示したことには変わりない。
 やはりあの様子だと死後もしくは死の直前から呼び出されたのだろうが……やはり碌な死に様ではなかったようだな。
 ある意味では、ここでどんな死に方をするか興味は尽きん」

日が昇る。
響き始めた声は主催者たちによるものだろう。
しかし私はそれを聞く前に、敢えて静かに呟いた。
―同じ観察者として、彼らの放送に前置きするかの如く。

89:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 17:58:57 3PjBCHTm
 

90:流血へのシナリオ ◆2kGkudiwr6
07/10/15 17:59:20 sI8KSizC

【H-2 学校・図書室 一日目 早朝】
【結城奈緒@舞-HiME】
[状態]:健康、眼帯を外したい
[装備]:衝撃のアルベルトのアイパッチ@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日
[道具]:支給品一式、パニッシャー@トライガン、ランダム不明支給品x1
[思考]
基本思考:面倒なのであまり戦いたくない。ヤバくなったら真面目にやる。
1:学校見学をさっさと終わらす。
2:とりあえず金ぴかと一緒に行動する
3:攻撃してくる人間を殺すのに躊躇いは無い
4:藤乃にはあまり会いたくない
※本の中の「金色の王様」=ギルガメッシュだとまだ気付いていません。

【ギルガメッシュ@Fate/stay night】
[状態]:健康
[装備]:巳六@舞-HiME 黄金の鎧@Fate/stay night
[道具]:支給品一式、ランダム不明支給品x1
[思考]
基本思考:打倒、螺旋王ロージェノム。【乖離剣エア】【天の鎖】【王の財宝】の入手。
1:異世界の情報を集めておく。
2:宝具、それに順ずる道具を集める
3:目障りな雑種は叩き切る
4:エレメントに興味
※学校の図書館には様々な異世界の歴史を記した本があります。
(ただしどれだけ関係ない話があるか、どこまで詳細かは不明。
 少なくとも参加者の名前や能力については述べられていない。
 また1stガンダム~ガンダム00まで全黒歴史を紹介するなど、関係ない情報も相当数紛れている)
※主催者による監視を警戒しています。

91:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 18:00:11 3PjBCHTm
 

92:流血へのシナリオ ◆2kGkudiwr6
07/10/15 18:00:21 sI8KSizC

【G-2/一日目/早朝】
【言峰綺礼@Fate/stay night】
[状態]:健康 左手にトリモチがへばりついてます
[装備]:ストラーダ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:荷物一式
[思考]
基本:観察者としての姿勢を崩さない。苦しみを観察し、検分し、愉悦とする。
1:殺し合いに干渉しつつ、ギルガメッシュを探す。
2:シータに会えばパズーの伝言を伝える。
※制限に気付いています。
※ストラーダはデイパックの中です。
※衛宮士郎にアゾット剣で胸を貫かれ、泥の中に落ちた後からの参戦。

【G-3 一日目 早朝】
【間桐慎二@Fate/stay night】
[状態]:疲労(中)
[装備]:H&K MP7(40/40)+予備弾40発@現実
[道具]:デイバッグ/支給品一式(食料:缶詰)/テッカマンエビルのクリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード
[思考]基本:この殺し合いで優勝する。ただし危険な目に遭うのは絶対に避ける。
1:ともかく言峰と金色のサーヴァントから逃げる。
2:衛宮を最大限利用した後、セイバーを奪い取る。
3:いつか言峰に復讐する。でも正面からは戦わない。
4:いつか不意を付いてあの女(奈緒)を殺しサーヴァントを奪取する。ただし今は逃げる。
[備考]:
※参戦時期はアニメ12話直後、バーサーカーと遭遇した瞬間。
※名簿も地図も確認していません。
※士郎と一緒にセイバーがいると思っています。
※クリスタルをただの観賞用の水晶だと思っています。
※十字架が武器であることに気付きました、ですが手遅れです。
※ギルガメッシュの横にいた女(奈緒)をギルガメッシュのマスターだと思っています。
※自分が死んで蘇ったという考えについては保留、というより考える余裕がありません。

【H&K MP7@現実】
重量は1.6kgと大型拳銃程度しかないにも関わらず、高い命中精度を誇る優秀な短機関銃。
発射形式はセミオートとフルオートから選ぶことが出来る。
グリップが折りたためるなど、携帯性も高い。装弾数は40発。

93:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 18:01:27 lxCpYEQd
>>73

通告したけど通告そのものが
したらばで透明削除されてるんじゃどうしうようもないっすよ


94:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 19:23:45 CTHJUX67
だと思ったわ

95:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 20:16:57 /YBRorgP
てかスレ立てても消されるだけだと思われ

96:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 20:55:40 bgLLCWge
スレ立てようがレスしようが
その場でホスト規制されたら以後反論なしで終わり
無駄なことはよせ

97:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 23:15:00 7x9BLtp6
まあ、したらばは放置でいいだろう
書き込みもできないのに議論しろなんてどういう根性だとw

そんなことより、今実質この板が運営・投稿・感想全部まかなってる状態だが、
この板全体にバトロワスレが広がっているのをどうするかを討議しないか?

98:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 23:25:24 c+MYCXGZ
放置、で、できうる限り落とす
これ最強

99:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/15 23:56:28 TwX90Yov
もうひとつなんかロワなかったっけ


100:Cats on sizuma drive ◆10fcvoEbko
07/10/16 00:09:24 W0wsa2sV
ある世界の話。
来たるべき近未来、人類は第三のエネルギー革命と呼ばれるシズマドライブの発明により、新たな繁栄の時代を迎えていた。
完全無公害、完全リサイクルを可能とするそのエネルギーは、瞬く間に人々の生活の隅々にまで浸透し、あらゆる動力がシズマドライブへと置き換えられた。
ついに人類は有史以前から脈脈と続けられてきた、エネルギー資源を巡る不毛な争いの輪から脱却することに成功したのである。
人々はこの奇跡に歓喜し、発明者として名を残した4人の博士達に惜しみない賛辞を浴びせかけた。
シズマドライブの発明により、人類の輝かしい未来は約束されたかに見えた。

しかし。







101:Cats on sizuma drive ◆10fcvoEbko
07/10/16 00:11:39 W0wsa2sV
エドが行く。
広い広い発電所の中をエドが進み行く。

腕を大きく振り上げぴょんびょん跳ね回ってエントランスを通り過ぎる。
通路の移動は膝を抱えてでんぐり返り。
消火用設備の赤い光をしげしげと眺め続け。
立ち上がると手をぐにゃぐにゃ振って大股歩き。
階段を昇ったかと思うとうにゃ~となきながらごろごろ転がり落ちる。
そのまま大の字になってしばし活動停止。
かと思えば突然弾かれたように起き上がり行動再開。
鼻歌混じりに「所長室」と書かれた部屋に入り。
机の上、あぐらでぼけっと何もしない。
部屋を出るときは逆立ち歩き。
と、何かの匂いを嗅ぎとり四つん這い。
ふんふん匂いをたどるも見つけたのがネズミの死骸でがっくり。
空腹を意識しつつ「燃料貯蔵庫」と書かれた部屋に入り。
そこにある「燃料」の放つ青い輝きに両手を広げて大はしゃぎ。
その勢いのまま部屋から飛び出し「タービン室」へ。
荷物運搬用リフトに潜り込み階を移動。
着いたときにはもう寝てる。
寝呆けたままだらりと芋虫のように這い回り。
ぐぅ~とお腹のなる音を合図に停止する。
おっくうそうに立ち上がりふらふら歩き。

そのようにしてエドは、力の抜けた姿勢のまま「中央制御室」と書かれた部屋に入って行った。
「お腹すいた~」


102:Cats on sizuma drive ◆10fcvoEbko
07/10/16 00:14:52 W0wsa2sV


中央制御室の中は薄暗かった。
部屋には一切窓はなく、外の明かりが入ってくることはない。
ただ、壁の一面がガラス張りになっており、そこから発電設備を見下ろすことができた。
そこから臨む、そびえる巨大な「管」が放つ淡い光のみが、かろうじて制御室を明かりをもたらしていた。
室内には、発電所全体の管理を行うと思われる、複数のデスクトップタイプのコンピュータが置かれていた。
しかし、いずれも電源が落とされている。
それでも問題なく発電所が稼動しているのを見る限り、かなりのレベルまで自動化された施設であるらしい。

「どさどさどさ~~」
とりあえずエドにとっての問題は、部屋の暗さより自身の空腹である。
いつから持っていたのかはよく覚えていないが、何か良いものが入っているのではないかと、エドは部屋の真ん中でデイパックをぶちまけた。
地図やコンパス、カンテラなど様々なものが床に散らばる。
その中には、エドが現在最も望む物である食料も含まれていた。

「パンだ!いっただっきま~す!」
見つけると同時に飛び付き、三口で食べきった。
かなりの大きさで、しかも乾燥もしているため決して美味しくはない。
それでもエドは、常に空腹と戦い続けるビバップ号のクルーである。
食べれるときには食べておくことが如何に大切かは、嫌というほど経験で知っていた。

「まっず~い。でも、も~いっぱ~い」
もう一つのパンも同じように食べきった。
さらに、二本あったペットボトルのうち一本を一息に飲み干す。
そこでやっと満足したのか、エドはふみゃらはぁと声をあげ床に寝そべった。
デイパックの中身は散乱したままであり、その中にはエドにのみ支給されたものも含まれている。
それぞれ小型の装置のような物、鉛色に輝くステッキ、西部劇風の衣装という見た目である。
エドは見ていないが説明書には『X装置』『東風のステッキ』『アンディの衣装』と書かれている。


「これは何ですか~?」
エドはその中の一つ『X装置』を手に取り、目の前にかざして眺めた。


103:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/16 00:16:06 eShFQY/f
【基本ルール】
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が優勝者となる。
 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
 ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。


【スタート時の持ち物】
 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
 ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
 また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。

 ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
 「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
 「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。主催者の手によってか何らかの細工が施されており、明らかに容量オーバーな物でも入るようになっている。四●元ディパック。

 「地図」 → MAPと、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。【舞台】に挙げられているのと同じ物。
 「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
 「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
 「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。肝心の食料の内容は…書き手さんによってのお楽しみ。SS間で多少のブレが出ても構わないかと。
 「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。ちなみにアイウエオ順で掲載。
 「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
 「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
 「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1~3個入っている。内容はランダム。

【禁止エリアについて】
放送から1時間後、3時間後、5時間に1エリアずつ禁止エリアとなる。
禁止エリアはゲーム終了まで解除されない。

【放送について】
0:00、6:00、12:00、18:00
以上の時間に運営者が禁止エリアと死亡者、残り人数の発表を行う。
基本的にはスピーカーからの音声で伝達を行う。


----------------------------------------------------------------------

どうでもいいけど
この4次元デイバック、これまずくね?と思うのだが

104:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/16 00:16:11 fc0Uj1xG
 

105:Cats on sizuma drive ◆10fcvoEbko
07/10/16 00:17:09 W0wsa2sV
「ふみゃ~、お腹いっぱい…」
しかし、特に興味を引かれなかったのか、すぐそれをぽいと放り投げた。
放物線を描いて飛んだ『X装置』は、部屋の中央にしつらえられた、メインコンピュータと思しき一台の起動スイッチに綺麗にガンと、派手な音を立ててぶつかり、そのまま床に転がった。
コンピュータがヴンと、重低音とともに起動を始める。
その音は今まさに心地よい満腹感とともに眠りにつこうとしたエドの神経にも響いた。

「んにゃ?」
頭の奥底まで届く機械音と、暗い室内に突如発生したディスプレイの光に、エドが反応を示した。
のそのそと、目をこすりながらコンピュータの前に移動する。
最初に起動したコンピュータに続くように、他のコンピュータや照明が次々に起動し、暗かった室内は明かりで満たされた。

「ん~ん~?」
エドが珍しいものを見つけた子犬のように、コンピュータを覗き込む。
ディスプレイに映されていたのは発電所の管理用のプログラムと、通信記録だった。
管理プログラムは現在の発電状況に特に問題がないことを伝えている。
逆に、通信記録には何も記されていなかった。
普段エドが扱うコンピュータの性能からすれば幼稚もいいところであるはずなのだが、何かが琴線に触れたのかエドの好奇心は大きく刺激された。

「寄り道寄り道覗いちゃお~。今日のご飯はなんですか~?」
エドはコンピュータの置かれた机の上に直接座り込むと、準備運動と言うかのように指をぐねぐねさせ、迷い無い手つきでキーボードを叩き始める。
指の動きが非常識に速い、などということはない。
それどころか、体全体を揺らしながら叩いているのでむしろ遅めと言ってもいいかもしれない。
そうであるというのに、ディスプレイには凄まじい速度でウィンドウが表示されては消えていく。
常人ならば数分で酔ってしまうか、あるいはそもそも全く付いていけなくなる程の勢いである。
だが、エドにとってはまだまだ余裕であるらしく、行け!行け!ビバップ!などという歌を口ずさみながらそれらの情報を吸収していった。


106:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/16 00:17:31 GF2xbvum
>>103

あ、そうか




いくらでも入るなこれ

107:Cats on sizuma drive ◆10fcvoEbko
07/10/16 00:18:14 W0wsa2sV

「飛べ!飛べ!ビバップ!俺達かう~ぼ~い~、でも墜落し~そ~」
だが、コンピュータの中をいくら漁ってみても出てくるのは無味乾燥な発電所の管理に関する報告ばかり。
ネットワークも所内で完全に閉じており、外部へのアクセスも不可能である。
そもそも愛用のコンピュータが手元に無い以上、いかに天才的なハッキング能力を持っているエドとはいえ、所内の端末からできることは自ずと限られてくる。

「晩ご飯はまだですか~?あ、み~っけた!」
全く面白みの無い内容にだんだん飽き始めてきたエドだったが、ある情報を見つけたとき、楽しいもの見つけたとばかりに大声をあげた。
それはコンピュータ内の情報の山に埋もれるようにひっそりとした、だが逆にそれに気付く鋭さを持つ者には異質な存在感を以って受け止められるような、そんな場所に存在していた。
ある程度慎重な者ならば、繁華街の一角に居を構える不気味な占い師のような印象を感じ取っていたかも知れない。
エドは違った。ためらいなくキーボードを操作し、それを表示させる。

「おぉほ~」
画面が切り替わると同時に感嘆の声を挙げた。
ディスプレイは先程までの無機質さとはうって変わり、見るものの快適さを考慮したデザイン性の高いレイアウトに変化している。
どうやらこの発電所の動力について説明しているらしい。
コンピュータの奥深くに置かれていた不自然さに目をつむれば、広報用のページと思えなくも無い。
先頭に「シズマドライブの仕組み」とタイトルが記されていた。

「なにドライブ?」
エドは目を輝かせて、そこに表示されている情報の隅々までを、舐めるような視線で読み取っていく。


108:Cats on sizuma drive ◆10fcvoEbko
07/10/16 00:20:28 W0wsa2sV
そこに記されていた内容は、要約すると次のようなものである。
シズマドライブは完全無公害、完全リサイクル可能の夢のようなエネルギーであること。
この発電所の電力もシズマドライブに依るものであり、複数の巨大シズマ管を順次リサイクルして使用していること。
シズマドライブの開発の歴史について。
その開発過程で一人の科学者の暴走によって引き起こされた事故と、それに付随して起こったエネルギー静止現象について。
完成後のシズマドライブに仇をなすかのように存在するアンチシズマ管。
それらが使用されたとき再び起こる悪夢、エネルギー静止現象。
そして最後に、シズマドライブやエネルギー静止現象等に関する非常に詳細かつ専門的な報告が挙げられていた。
見る者が見れば、そこに記されている情報に驚愕するかもしれない。
何故ならそこに記された情報の一部、例えばアンチシズマ管の存在などは限られた世界の極僅かの者しか知り得ない情報だからである。
それが、あたかも一般的な情報であるかのように公開されている。
それがどのような意味を持つのか、あるいは何の意味も持たないのかについて判断できる者はこの場にいないが、少なくともエドがその奇妙さに気付くことはなかった。

「んにゃ~」
最初こそ、すごいすごいと未知のエネルギ-に関する情報を喜んで閲覧していたエドだったが、読み進むにつれて段々と不可解な表情になっていった。
「あれ~?」
何かが引っ掛かる。
書かれている内容は基本的にシズマドライブを褒め称え、エネルギー静止現象を忌むべきものとする論調である。
栄光を賛辞し、惨劇を忌避するのは当然の思考と言えるが、エドはそこに何らかの齟齬を感じ取っていた。
机の上にあぐらをかいたまま考え込む。
「あれがこ~なってえ……」
首を、どころか全身を傾げて考え込む。
思い出すのはたった今読んだばかりのシズマドライブの仕組みと、アンチシズマ菅の存在について。
「それがそ~なってぇ……」
逆方向に体を傾げる。
ほとんど机に接するかのような角度である。
「いらないものがたまっちゃって、最後にはぐるぐるばたんきゅ~。ぐるじい~」
そして、突然もがくような仕草をしたかと思うとばった~んと、床に倒れこんだ。
そのまま動かない。
本当に死んでしまったかのように、目を見開き天井の一点を凝視し続ける。
室内はしばし静寂に包まれた。


109:Cats on sizuma drive ◆10fcvoEbko
07/10/16 00:21:53 W0wsa2sV

「そうだよ!」
その静寂を輝かしい笑顔とともに破ったのもまた、エドだった。
さっきまでの、全身の力を抜いただるだるな態度からは一変し、全身に溢れんばかりの活力がみなぎっている。
「キミは間違ってるよ。合ってるのはそのおじいさんで、間違ってるのはそれ以外の人~」
指を突き付けてコンピュータにお説教をする。
自らが看破した真実を、自分以外には理解できない言葉で朗々と語る。
あるいは、看破させられたのかも知れないが。

「そのおじいさんはとってもいい人なんだ。そっちの管がないとみんなばたんきゅ-になっちゃうんだよ?ここのそれは止めらんないし、いらないものも一杯になっちゃうから、エドが探してきてあげる!」
知る者はほぼ皆無だが、シズマドライブにはリサイクルの過程で、一定以上の濃度になると酸素と結合する性質の物質を放出するという特性があった。
アンチシズマ管と呼ばれたものの正体は、その副作用を除去するための中和剤としての役目を担うものであった。
先程得た情報から、どういう訳か外部からの操作で発電所の機能を止めることは不可能であることが分かっている。
だからこそ、それを唯一知る自分が、自らの足でアンチシズマ管を集めなくてはならないのだと、エドは考えていた。

「エドがみんなを助けて、ついでにご飯も探すの。だってエドはカウガールだから!」
エドは元気よく宣言するとデイパックの中身をまとめ、勢いよく外へと飛び出していった。
自分が皆を救うのだと言う、無邪気なエネルギーがその背中から溢れていた。


110:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/16 00:21:55 oGmEi0CY


111:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/16 00:21:56 fc0Uj1xG
 

112:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/16 00:23:33 HQ+rRfda
 

113:Cats on sizuma drive ◆10fcvoEbko
07/10/16 00:24:00 W0wsa2sV


エドが行く。
カウボーイと呼ばれた男の帽子とスカーフを身に纏い、エドが走り行く。
目的はシズマドライブの副作用による酸素の結合現象の阻止。
その副作用を除去するために作られたアンチシズマ管の蒐集。
結合現象までの具体的な時間は分からない。
もはや、手遅れなのかもしれない。
もしかしたら、放っておいても問題は無いのかも知れない。
そもそもこの限られた空間内に真実それが存在するという保証すらない。
仮に管の蒐集が成ったとして、それをどこでどのように使えばいいかも分かっていない。
発電所のどこかにそのための装置があるのか、あるいはそれ以外の場所か、端から存在すらしないか。
何もかもが不明のまま、それでもそれに絶対の必要性を感じているエドが一人、発電所の外の世界へと飛びだしていった。

「いっきますよ~!1、2、5、4、こぉんにちわあ~~!!」


【C-2 発電所 一日目・早朝】
【エドワード・ウォン・ハウ・ペペル・チブルスキー4世@カウボーイビバップ】
[状態]:健康 強い使命感
[装備]: アンディの帽子とスカーフ
[道具]:支給品一式(食料残り水一本のみ) アンディの衣装@カウボーイビバップ
東風のステッキ(残弾率100%)@カウボーイビバップ
[思考] 1:アンチシズマ管を探す。
※X装置は説明書とともに中央制御室に放置されました。

【X装置】
無限エネルギー装置の核となる装置。

【東風のステッキ】
マッドピエロ東風が使用していたステッキ型の銃。
劇中では乱射していたため、弾数はかなりあると思われるが正確な数が不明であるため仮に%で表示。

【アンディの衣装】
スパイクと並び称されるカウボーイ、アンディの衣装一式。
靴、帽子、スカーフ、手袋、中着、上下白のカウボーイスタイル。
着れば誰でもたちまちカウボーイ。


【発電所】
シズマドライブによる発電所。
リサイクルの際に不純物を出しているのでいつかは酸素の結合現象が起きると思われる。
原作の描写では結合現象まで年単位の時間があるが、本ロワでそれがいつ起きるかは今のところ不明。


114:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/16 00:24:25 Soo0j8oQ
>>3 だろ?

☆全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が優勝者となる。
 は、まあ通常通りだが

☆優勝者のみ元の世界に帰ることができる。
 …戻る必要性あるのか?

☆また、優勝の特典として「巨万の富」「不老不死」「死者の蘇生」などのありとあらゆる願いを叶えられるという話だが……?

ここまずいだろ。参加者生き返り可能ってことじゃね?

☆ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。

説明そのものがいらない。不要

☆ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。

はOKかな?





115: ◆10fcvoEbko
07/10/16 00:27:15 W0wsa2sV
以上で投下終了です。支援、ありがとうございました。

116:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/16 00:30:54 gZf2TL29
      ,..-‐-- 、、
    ,ィ":::::::::::::::::::;;;;;:ii>;,
   /:::::::::::::::;;;;;;;;iii彡" :ヤi、
   .i::::::::::::;:"~ ̄     ::i||li
   .|:::::::::j'_,.ィ^' ‐、 _,,. ::iii》 >>114
   .|:::i´`   `‐-‐"^{" `リ"゙  人殺しておいて元の世界に戻すといわれても
   ヾ;Y     ,.,li`~~i     喜ぶのは私ぐらいじゃないのかね?
    `i、   ・=-_、, .:/  
      ヽ    ''  :/
       ` ‐- 、、ノ

117:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/16 00:35:41 DEKMsEEu

         /:/V :/_ ィ ´  i i 1 ┴イー⌒ ー-i_ |  _ ハ:\j   /
          ,' イ . :/  . i :! i:i| :||   |i、_!__:_: i: :丁: : : :|: : | /
        i:/ ! !: , :i . : :i + 爪|丁|   |ハ: :|リ|、:T: :j : :i: : :! : :レ'
        |l i i: :| :i : : :i |Vィ≠xリ   |{ ,ィ|示ぇⅥ: : :!: : |: :,l
        |{ i i: :| :i : : :| { {|::::::::}`     {:::::::::} } | : : i: : :|: :l'
.          |:|: :И、 : :ド 、廴.ソ       廴 .ソ ,i : : ,: : :ハ :|    >>116
         ヘ\: :V\i:、ゝ     ′      ̄ i : : ': : :l  ゙!
           ヽハ:ヤ/ト :、 ゝェェ-----ェェイ'  ,i : :, : : j、  !   慣れればなんてこと
  ト、       /: :ヽ/小i: :\ ` ー─‐ ´   ,ィ : , : : ム_ヽ|      ないですよ
  | ヽ     ゝ- ¬´  | ト、: : :ミ: 、     _.. </ :/ : ゝ二二_   
  |  ',           ゝ >トトゝ-}>.彡‐ .二7 / //__  __ ハ
  l   }          〈ー --- 二 -‐ ' ´  / / //  V__ハ: :ヘ
  l   l           \二 二.. -― x/ /:/:/ ̄ Y  {:ノ ヽ
  |   |            ハヽ|  _ -―ハ `ー7 _. ィ 二二ム  \

118:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/16 00:37:53 GF2xbvum
(´-`;).。oO(…・・・それでいいのか?)

119:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/16 00:40:51 lSjWfC2U
いや、だめだろ

120:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/16 01:11:56 WNHef7hq


    _  、_                                           ,.  ,./i,.
   、ヽ、 `ヽi、゙ヽ、                           ,,.-‐'''""'''- 、        /i/ '"´'´''"i,
  ,r''´'        ゙、                      ,.-'".:.: : :       `ヽ、     /        ノ'i'
. <´           ゙、  _,,.-- 、   __,,,_          /:.:.:.:.:.:. : :  __,,,. -- .,,,_ゝ、_,,,.-'、__       'ノ,
`フ         ./`'''7´    `y´   `ヽ、,.-‐''""'‐y'.:.:.:.:.:.:.:.:._,.-'"__,,. -''^ヽ、,_ヾ ヽ  ヾ、       ソ
〈、_...... . . . .  . ....:.:.〉、_l:..             /''"     l:.:.:.:.:.:.:.:.:/-‐''´       _,゙i      |'':.. . ....:.:.:.:>
  >.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::/   ゙、:.:.:.:.:....:.:..              i'ニヽ.:.:.:./  ,.== 、    i ,.=、'l  ノ:.:.ノ-、.:.:.:__=‐'"
   ̄´-ニ',,. -'"     `‐ --''゙、`.:.:.:.:.:.:.:.:.:..    . . ..l | | |.:.:.ノ  ,.=-=、`' ' ' _二, i'.:.:.:ノ'"     ̄
                   ヽ、,,__,,,.-、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l ! | |.:/ '‐‐(  Oi ゙i r' Oノ/_,ノ
                            ゙ヽ、,,,_,,{゙、i,l |:.i,  ,. 、`ー‐' ,.   ヽ=' i   夜中の0時放送なんて誰が聞くんだい
                         _,,,,,.-''":l゙、'-'.:.゙、 ' ´i'ヽ、__ノi_   l、 /     
                    ___,,,,r''":::::::::::::::::::::!:.:゙、.:.:.:| i l i'、   `ヽ,ノi/ ̄ ̄` ''ヽ、
                  ,,.-''"::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\.'i, ! ! `、二ニニソ/ ノ       ̄ヽ、_
                  r'´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`‐-.,,_::::::::::ヽゝ,    ‐‐  |r'      ,.-'"/::::::ヽ、
              /`'''‐- .,,,_:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::` ‐- .,,_゙、__,,,,. -'ー‐'    _,,.-'" /::::::::::::::::::゙、
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              i';;;;;;;;;;;;;;;;;;;!/;;;,.-─''''''ヽ、,.. -、;:;:__,r''"'ヽ,,,,____,,,,,,. -‐''''":::::::::::::::::::::::::::\;:;:;:::::::::::::::::::i、
            ,i;;;;;;;;;;;;;:;:;:/;/ _,.r== 、'y'´ ̄.) ゙̄、__,ノ:::::::::::::ヽ;;;;;;;/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ;:;:::::::::::::::::::::\
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         /;;;;;;;;:;:;::::::::l;;;;;|     ''´  ゙、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|;;;:;:;:::::::::::::::::::
         i';;;;;;;;;:;:::,,. --'" !    '   r‐ ノ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::,,. -─‐-、!;;;;;:;:;:::::::::::::::::

121:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/16 01:27:08 IQCR9iX6
w

122:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/16 02:05:49 Wp6B+bvM
誰が深夜帯に放送するって決めたん?

123:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/16 02:29:33 l2PsUc0/
いつのまに

124:ひとつ屋根の下 1/9  ◆AZWNjKqIBQ
07/10/16 19:51:21 CV/kvzvM
昇り始めた朝日から放たれる光を、一様に東側の壁で受け止める住宅の群れ。
その中の一つ。特に他とは変わりのない一軒の民家の中に彼らはいた。

それは、スバル・ナカジマ、アルフォンス・エルリック、マース・ヒューズ、泉こなた―の四人だ。

先程までは、そこより西にあった大きな橋の下に潜んでいたが、
陽が昇り始めたことで明るくなってきた事と、海から吹き始めた風が思いのほか冷たかったために、
これでは休むに適さないと隠れる場所を屋内へと移したのだった。
無断で場所を借りたその家は、大きな通りから二つの小さな通りを隔てた場所にある、庭付き二階建ての一軒屋である。
別に金持ちの家と言うわけではなく、安く余った土地にそこそこの家が建てられているといった感じで、
その周りに立ち並ぶ住宅も似たような感じだった。
適度に見通しがよく、他者を警戒しながら潜むには都合がよい場所であった。
もちろん、この選択は要人警護などに精通したマース・ヒューズ中佐によるものである。


 ◆ ◆ ◆


「そっちはどうだ?」
ヒューズのその問いかけに、二階より降りてきたスバルは、
「はい。誰かが入ってきていたり、隠れているということはないと思います」
と答えた。それに満足すると、ヒューズは彼女に向って頷き、二人揃ってリビングへと戻る。
そこには、ソファに横になったこなたと、彼女を抱えて運んできたアルの姿がある。
「大丈夫かい? こなたちゃん」
リビングへと戻って開口一番に放たれたヒューズのやさしい言葉に、小さな彼女は、
「ん。もうほとんど平気です」
と、横になったままの姿勢で答えた。その身体の上にはこの家で調達した毛布がかけられている。


「じゃあ、そろそろ俺は駅の方へ偵察に行ってくる。」
潜伏している家の調査をあらかた終わらせた後、リビングでお茶を一口飲むと、そう言ってヒューズは立ち上がった。
そして、部屋の端に固めて置かれているバックの内、アルの物であった所から二つの物を取り出す。
こいつを借りていくぞと、片手に見せたのは軍隊の中でも使用される単眼鏡だ。
そしてこいつもと、もう片方に持った物を慎重にテーブルの上へと置くと、その包みを解いた。

「鋏……ですか」
「ああ。しかしこのままじゃ、無用の長物だろう?」

ヒューズが取り出したアルに支給された最後の品。それは12挺の、銀色の鋏だった。
これをそのまま武器とするには、やや使い勝手が悪いと言わざるを得ない。
なので、これをアルの錬金術で他の物へと練成してくれないか―と言うのが、ヒューズの頼みごとだった。
もちろん、これはそもそもアルの所有物であるため、その最終決定権は彼にある。

「いいですよ。ナイフで構いませんか?」

間を置かずしてアルはそれを快く承諾した。鋏は彼にとっても不用品で、これを断る理由はない。
そして、ヒューズの肯定を受けると、アルはバックからペンとメモを取り出して手早く練成陣を作り、
銀色に輝く12挺の鋏をその中央に置いた。
初めて見る錬金術に、スバルとこなたの二人は興味深げに注目する。

125:ひとつ屋根の下 2/9  ◆AZWNjKqIBQ
07/10/16 19:52:33 CV/kvzvM
一瞬の後、練成陣の上に細い稲光と薄い煙が立ち上がり、12挺の鋏は12本の短剣へと姿を変えた。
目の前で起こった奇跡に、こなたとスバルの二人は小さな歓声と拍手をアルに贈る。

「兄さんほどじゃないから、強度と切れ味は保証できないけど……」
「謙遜だぜ、アル。じゃ、これはありがたく使わせてもらうよ」

言いながらヒューズはそれを懐に仕舞うと、改めて外へと向った。そして見送る三人に、

「アル。こなたちゃんを護るのはお前の役割だ。いざとなったら、その身体を盾にして護ってやるんだぞ」
「スバル。警戒と言っても緊張しすぎるのはだめだ。自分の中で適度な緊張感を保つよう意識しろ」
「こなたちゃん。君は今のうちによく休んでおくんだ。二人は頼りになる。心配することはないよ」

とそれぞれ言葉を残すと、扉を潜りその家を後にした。


 ◆ ◆ ◆


「(……期待が外れちまったな)」

駅へと向う道すがら、ヒューズは先程の家の中で集めた情報を、頭の中で整理しながら進んでいた。
民家に入ることを提案したのは彼自身だったが、それは何も休むためだけということではない。
目的は三つ。その内の一つは休息することだが、残りの二つは―監視体制の調査と、この世界の住民の行方である。

監視体制。つまりは、盗聴や盗撮。
狭い屋内に入り込めば、家捜しや外敵の侵入をチェックする振りをしてそれらを見つけることも容易いかと思ったが、
結果は芳しくなかった。残したスバルにも引き続き調査するよう指示してはいたが、期待薄だ。
ここから導き出される可能性はいくつもあるが、
まずポジティブに考えるとしたら―最低でも民家などの中は監視されていないという可能性がある。
しかしこれは前向きすぎるだろう。後に足元を掬われかねない。
最悪の可能性を考えるとしたら―自分達には思いもつかない方法や技術で監視されているという可能性。
やはり、こちらの線が強いと今は認識しておくべきだろう。魔法があるのだ。それ以上があっても不思議ではない。

そして、あそこで得られたもう一つの情報。
民家の中に入るそれまでは、姿を消した住民の行方を追えば、あるいは脱出の手がかりになるかと思っていた。
だがあの中で調べた限りは、元の住民達は忽然と姿を消されたとしか思えない。自分達がここに来た時同様に。
拉致や、避難させられた痕跡がないのはもちろん。日常生活の跡がまるで突然途切れたかのように残されていた。
これは、やはり自分達同様に何らかの不可思議な力で転移させられたとしか考えようがない。
何万人と居たであろう住人全てが―恐らくは一度に!

螺旋王が持つ力の強大さ、その空恐ろしさにヒューズの身体がわずかに身震いする。

だが、それはまだ始まったばかりだとヒューズは思考を切り替え震いを払った。
まずは仲間を探す事。自分達の顔見知りと合流することも大切だが、全く別世界の仲間も欲しい。
そうすれば、また情報も増える。圧倒的な力に対し、情報戦で切り込んでいくのは自分の領分である。

そのためにもと、ヒューズは駅の方へと向ける足を早め、その蒼い姿を目立たぬ路地の中へと滑り込ませた。


 ◆ ◆ ◆


「……ここも、OKと」

外に繋がる戸や窓を一つ一つ指差し確認しながら、スバルは家の中を一部屋ずつ回っていた。
ヒューズに言われた通りに、外敵の侵入に警戒するだけでなく、家の中に監視装置がないかも探しながら。

126:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/16 19:53:23 awG+U22B
 


127:ひとつ屋根の下 3/9  ◆AZWNjKqIBQ
07/10/16 19:53:46 CV/kvzvM
扉を閉め部屋の中から廊下に出たスバルの顔に、僅かながら笑みが浮かぶ。
同行するヒューズとは同じ軍属の身ではあるが、彼女は前線に出て戦う魔導師。つまりは兵士だ。
逆に、彼女に指示を与えたヒューズは後方支援。その中でも特に裏方に当たるエージェント。
彼から与えられた、まるで映画の中のスパイのような指示に、スバルの心は不謹慎ながらも浮き立っていた。

「(……~♪)」

エージェント・スバルが大活躍し、みんなを助けて大団円。そんな未来を夢想しながらスバルは捜索を続ける。
広い家の中を端から端へと進み、そして彼女はついにその扉を開いた。

そこは家の大きさに相当する、広い台所だった。
怪しい人影などはない。だが、入った途端に、それまでスバルの顔に浮かんでいた余裕は消し飛んだ。
そしてそれと入れ代わりに聞こえてくるのは―……、獣が発する唸り声の様な低い音。


 ◆ ◆ ◆


「(……暇だなぁ)」

ヒューズが家を出る際、君はできるだけ動かないようにとこなたは釘を刺されていたのだが、
体力も回復し、周りにも安全な人間しかいないと解ると、あれだけ高まっていた緊張感も次第に緩くなってきていた。
ソファの上から部屋の中を見渡しても、こなたの興味を引くような物は発見できない。
ゲーム機は勿論なかったし、DVDラックに収められているのも見知らぬ時代劇ものばかり……と、

「そういえばさ。あたしの支給品って、他はなんだったんだろう?」

最初に一つ拳銃を取り出したところでアルと出会った為に、他の支給品はまだ未確認だったことをこなたは思い出す。

「そうだね。じゃあ今のうちに確認しておこうか」

言いながら立ち上がると、アルはこなたのバックへと手を伸ばす。
そして、そこからゆっくりと取り出されたのは……、一本の大きな山刀―マチェットだった。
巨躯であるアルが持って、丁度釣合いが取れるぐらいの大きさで、鞘から抜くとその刃がギラリと光を反射した。
刃の背に当たる部分にはギザギザの鋸が刻まれており、その大きさと相まってまさに凶器といった様相を醸し出している。

「……う~ん。これはあたしには装備できません。って感じだなぁ。」
「……そ、そうだね。じゃあ、他にもないか見てみるね」

再びアルがバックの中に手を入れて引き抜くと、次に出てきたものは先程よりもさらに凶悪なものだった。

「(か、神殺し……!)」

こなたが胸中でそう思ったソレは、―巨大なチェーンソーだった。
今度の物は、アルが持ってもなお大きいと思わせるサイズがある。
こなたの胴回り以上もの太さのエンジン部分に、2メートルもの長さのチェーンを通すバー。
重さはゆうに20kg.程もあり、さらにこれを稼動させて振り回すとなると、相当の筋力が要求されると想像できる。

「……はは。これは絶対に無理。”こなたは装備できません”だ」
「……ハハ。ボクでもギリギリかも」

と、これでこなたに支給された物は出揃った。最初の拳銃も合わせて考えれば、これは当たりの部類に入ったろう。
もっとも、後の二つは威力はあるが、とても彼女に扱いこなせるような物ではなかったが。

128:ひとつ屋根の下 4/9  ◆AZWNjKqIBQ
07/10/16 19:55:00 CV/kvzvM
アルが取り出した武器を改めてバックの中に仕舞って、ついでにと切れたストラップを修復していると、
そこに家の中を再チェックしていたスバルがふらりと帰ってきた。
彼女の顔色は先程よりも心なしか悪い様に見える。それをいぶかしむ二人に、彼女は―……。


 ◆ ◆ ◆


「……30分から、1時間ってところか」

先を焦がした枯れ草。土に刻み込まれた足跡。コンクリートの床に残った黒い煤。そして、壁にかかった乾いた血。
駅の隣りに開けた空き地に残っていた戦闘の痕跡を検分したヒューズは、それがあったであろう時間を推測する。

「(痛み分けだったみたいだな……)」

焦げた床から炭と化した繊維質を取り上げ、ヒューズはそう推測する。
土の上に残った足跡から推測するに、ここで戦闘を繰り広げたのはおそらく三人。そして最低でも内二人が大きく負傷。
壁際に残された血溜りの跡からは真っ赤な足跡が、焦げた地面の上からも黒い煤の足跡が伸びている事から、
お互いにどちらも死には至っていないらしい……。
足跡はどちらもすぐに途切れてしまっているために追うことはできないが、どちらも北東方向へと向っている様に見えた。
派手で特徴的な戦闘痕は様々な情報を、それを観察する者に伝える。
そして、それによりヒューズが確信したのが―、

「……何やってるんだ。アイツは」

此処に、さっきまで彼の親友であるロイ・マスタングがいたと言う事だ。
ヒューズは親友の愚行に、ポケットの中の発火布でできた手袋を握り締める。
燃料を使用せずに対象を直接燃焼させ、爆炎を起こす彼の能力の痕跡は、非常に特徴的で解りやすい。
もちろん、直接見た訳ではないからそれだけでは断言できない。他にも同等の能力者がいるとも考えられる。
だが、そんな可能性は床に転がった銀色のボタンが決定的な証拠となって否定していた。

「いつもいつも、勝手にでしゃばって来やがって……。ケツを持つ方の気持ちも考えろってんだ」

恐らくは斬撃を受けた時に落ちたのであろう、彼の胸にある物と同種のボタンを拾いながら、ヒューズはひとりごちる。
彼の親友であるロイの目的は組織の中でトップを目指す事であり、ヒューズの目的は彼をその位置まで持ち上げることだ。
だが、上に立つ者は怠慢なぐらいが丁度よい……と言うのに、正義感と責任感が人一倍強い彼の親友は、
度々勝手に現場に出てきては、自分で直接物事を解決しようとしてしまうのだ。
今回のコレも、その結果であろうことが容易に想像できる。

溜息を一つつくと、ヒューズは壁際に放られたままのデイバックを拾った。
ここに落ちているということは、おそらく親友の持ち物だったのであろう。
そして、これは彼が荷物を拾う余裕すらなくここから離れたことを意味している。

「……銃が二挺、か」

置き去りにされたバックの中から出てきたのは二挺の拳銃だ。しかしどちらも偽物で、実弾が出るものではない。
どちらも見た目はリアルな拳銃そのものなのだが、片方は水鉄砲。もう片方は銀玉鉄砲だった。
ランタンが抜き出されていた事から、やはりこのバックが親友の物だったということと、
そして、やはり彼は不運な男だったということを確認すると、もう一つ溜息をついてヒューズは立ち上がる。

「……お前の方が死んじゃあ、元も子もないだろうが」

壁に残された血痕や、付近の地面を穿つ金属片を見やれば、親友がどういった状態に陥っているか察するのは容易い。
だが、ヒューズは親友を追おうとはしなかった。追うとなれば、それこそ愚の骨頂だ。
彼は護るべき人間を多数待たせているのである。それを無責任に放っていくことはできない。

129:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/16 19:55:24 awG+U22B
 


130:ひとつ屋根の下 5/9  ◆AZWNjKqIBQ
07/10/16 19:56:14 CV/kvzvM
「死ぬなよ……」

最後にそれだけを言い残すと、ヒューズはその場所を後にして駅の構内へと向った。


 ◆ ◆ ◆


無人の駅構内で、列車のダイヤを手持ちのメモに書き写すと、ヒューズは調査も程々に仲間が待つ民家へと戻った。
螺旋王が実験と称するコレが始まって五時間足らず。夜も明けきれぬというのにもう殺し合いが始まっている。
しかも、錬金術師をはじめとしたビックリ人間達によってだ。
あんなものに襲われては、彼もその仲間達もひとたまりもないだろう。
それが、目を放していた内に仲間が死んでいたとなれば、なお最悪だ。

ヒューズは蒼い制服の裾を翻して走る。もうあの民家は近い。後一つ通りを超えればそこに辿り着く。
―と、ヒューズはある「匂い」に気付いた。

「……あ、あいつら。……まさか」

それは……、その匂いは……、その匂いが意味するものは。それが何を意味するのか彼はよく知っていた。
今までは至極冷静だったヒューズの顔色が変わる。最初は青褪め、次に赤く―。

「クソッ!」

一つ毒づくと、ヒューズは走る速度を上げて仲間の元へと急いだ。
近づくにつれ、その匂いもはっきりとしたものになる。そして……、やはりその匂いはそこから零れているものだった。



 ☆ ☆ ☆


「「「 おかえりなさーい 」」」

それが、息巻いて戻ってきたヒューズにかけられた三人の言葉だった。
三人の内の一人であるこなたは、頭巾にエプロン、片手にお玉。その姿を見れば、彼女たちが何をしていたかは明白だった。

「おかえりなさいじゃないだろうっ!」

カウンターで浴びせられたヒューズの剣幕に、三人は思わずたじろぎ、廊下を後退してしまう。
何で彼がこんなにも怒っているのか? それが三人には解らない。

「お前達、状況を考えろよ。俺達は隠れているんだろうが!
 それなのに、こんなに美味そうな匂いをプンプンと外に漏らしてちゃあ―バレバレだろうがっ!」

その言葉に三人の表情が「あー……」という感じになる。
言われてみればその通りで、隠れ家から朝餉の匂いを漂わせている潜伏者など聞いたこともない。
あまりにも素直なその反応を見て、潜伏時の心得をきっちりと叩き込み直そうと考えていたヒューズの肩が落ちた。

「……まぁ、仕方ないか。
 じゃあ、せっかくだしお呼ばれするか。腹も減ってるしな―飯にしよう」

その言葉に、三人の―特にスバルの顔が明るくなった。

131:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/16 19:57:00 OkkSbqbt


132:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/16 19:57:05 awG+U22B
 


133:ひとつ屋根の下 6/9  ◆AZWNjKqIBQ
07/10/16 19:57:27 CV/kvzvM
 ☆ ☆ ☆


今朝の四人の朝食はこなた特製ジャガイモカレーだった。
最初に腹が減ったと言い出したのはスバルで、彼女はバックの中から大量のジャガイモを取り出して二人に見せた。
なんでも、それが彼女に支給された食料だったらしい。
でもそのままじゃ食べられないので、こなたがこの家の台所を使って調理するということになったのだ。

こなたはジャガイモの皮むきをアルに任せると、自分は台所を漁り使えるものがないか探し始めた。
その家はあまり無駄な物を溜め込まないらしく冷蔵庫はほとんど空だったが、いくつかの玉葱とカレー粉があったので
こなたはその時点で、メニューをジャガイモカレーと定めた。
皮を剥いた玉葱を手早く微塵切りにして、深い鍋の底で炒め始める。
本来ならここは時間を掛けたい所だが、そうも言ってられないので適当なところで水と調味料を加えて煮始める。
アルがジャガイモを剥き終わると、水を足して大まかにカットしたそれを加え、さらに煮込む。
そして、ジャガイモが煮えたら、アクを掬い取って後にカレー粉を放り込み、最後の一煮立ち。

あっと言う間に……ではないが、これでこなた特製ジャガイモカレー(ライスはないよ)の出来上がりである。


 ☆ ☆ ☆


「―おいしい。おいしいよ、こなたちゃん。―おかわり!」
四人の中でも特にたくさん。しかもバクバクと音を立ててジャガイモを貪っているのはスバルだ。
食べていると言うよりも、むしろ蹂躙されているといった表現が適切かもしれない。
大量に作られたジャガイモカレーは、昼にもとこなたが用意したものだったのだが、朝の内に完食されそうな勢いである。

「はい。慌てて喉を詰まらせないようにね」
言いながらお茶を差し出すのは、彼女とは対照的に一切食事を採らず、給仕に専念しているアルだ。
彼の身体は事情によりただの金属の鎧であるため、彼は食事をすることを必要とはしない。

「こなたちゃんもよく食べるんだぞ。じゃなきゃ大きくなれないからな」
帰ってきた時は不機嫌だったヒューズも何時の間にか上機嫌へと変わっていた。
子煩悩で、さらに家族思いであるため、この様なアットホームな食卓に心解されたのかもしれない。

「……いや、あたしもう成長期すぎてるし。てか、18歳だし」
ジャガイモを冷ましながらゆっくりと食べていたこなたが、ヒューズにそう答える。
そう。この中で一番小さく、下手をすれば小学生にも間違われかねない彼女だが、実はもう18歳である。
ある意味においては、もう大人と認められる年齢だ。

「―えぇっ! あたしより年上!?」(スバル・ナカジマ 15歳)
「……お姉ちゃんだったんだ」(アルフォンス・エルリック 14歳)
「……………………」(マース・ヒューズ 29歳)
三者三様の大げさなリアクションに、当のこなたは涼しい顔だ。
むしろ、最近はこういう反応も彼女は楽しめるようになってきている。


 ☆ ☆ ☆


「あのさ。ヒューズさんって、ウチのお父さんに似ている感じがする」
食事も終わりに近づいた頃、唐突にこなたがこんなことを口にした。言われたヒューズも敏感に反応する。

「へぇ、どんなところだ。格好よくて頼りになって、娘思いで最高のお父さんってところか?」
「ううん。女の子と食事してる時に、ニヤニヤしてるところ」


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