アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ4at ANICHARA
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ4 - 暇つぶし2ch437:阿修羅姫(後編) ◆LXe12sNRSs
07/10/12 22:55:13 u8HW3Rwm
(ダメだな、私……)

 震える身体を体育座りの体勢で縮ませて、また思案の海に耽る。
 銃の残弾を確かめるのは、ジェットが戻ってきてからにしよう。そう決めたところで、ある重大な点に気づいた。

(外……爆発音……あれ? そういえばキャロは―)

 映画館。外。そう遠くない場所。路上に放置したままの、キャロの死体はどうなったのだろうか。
 真実がどうであれ、仲間の死体の場所を知りながら放置しておくのは居た堪れない。

(強く、ならなきゃ。立ち上がって、前を見なくちゃ駄目だよね)

 思い立ち、ティアナは自らの足で外へと飛び出した。
 キャロをあの場所に放置しておくわけにはいかない。然るべき場所へ移してやろう、と。

 それが、修羅道へと続く第一歩であるとも知らずに―


 ◇ ◇ ◇


 燃え盛る鉄の残骸、蔓延する血と肉の焼ける臭い、そして血達磨と化した少年の遺体。
 駆けつけた先に広がっていた光景は、まるで。


 ジェット・ブラックは思った。
 なんだここは、地獄か、と。


 ジェットがティアナを宥めている間、ここで何が起こり、誰がどうなったのか、定かではない。
 ただ確かな結果として、ここで誰かが爆発を起こし、バイクらしきものと人らしきものを粉砕し、血塗れの少年を作り出した。
 犯人は既に去った後だろうか。ジェットはティアナから没収した銃を片手に被害現場を検分する。
 そして、血塗れで既に死亡していた少年とは別に、割りと小奇麗な姿の少年が倒れているのを発見した。

「おいボウズ、生きてるか!?」

 警戒しがちに歩み寄り、その少年を抱き起こす。
 見たところ、目立った外傷はない。精々服が土に汚れているくらいで、それ以外はまったくの無傷と言っていい。
 しかし意識を失っているのか、ジェットが揺さぶってもすぐには起き上がらず、何度か声をかけてやっと目を開いた。

「うっ……あぁ…………」
「……どうやら、生きてはいるみたいだな」

 苦しそうに呻く少年の姿を確認し、ジェットは安堵した。
 ここで何があったのか、そこで死んでいる少年は誰なのか、どこまで把握しているかは知らないが、事情を聞くにしてもここでは場所が悪い。
 ジェットが少年を抱えて映画館に戻ろうとした―そのときだった。

438:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/12 22:55:22 29nYnTNE


439:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/12 22:55:41 gQBxTF1K
           

440:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/12 22:55:44 k1j242kf


441:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/12 22:56:21 29nYnTNE


442:阿修羅姫(後編) ◆LXe12sNRSs
07/10/12 22:57:00 u8HW3Rwm
「嫌ァァァァァッ! キャィヤァロロロオオオオオォォォォォッ―!」

 眼前に広がる惨状を目撃して、絶叫するティアナの姿があった。
 ようやく取り戻したかと思った整然さは表情からして崩壊し、涙と涎を垂らしながら頭を掻き毟っていた。
 落ち着いたなんてとんでもない。さっきの十倍は取り乱し、感情を暴発させている。
 このままでは、何をやらかすか分かったもんじゃない。ジェットはティアナを鎮めるため歩み寄ろうとするが、

「……ゥッ! 近寄るなァァァ!」

 容姿端麗な外見からは想像もできないほどの声量で威嚇され、ジェットは思わずたじろいでしまう。
 少年のほうもティアナの咆哮に驚いたのか、完全に覚醒しジェットの脚に縋りついていた。

「アンタが……アンタが、キャロを! よくも、よくもよくもよくも……アンタもグルだったの?
 そうなんでしょ? 二人で私を嵌めようとして……その上、キャロの……キャロの身体をこんなにしてぇぇぇ……」

 泣きじゃくりながら、ティアナはジェットと少年の二人を拒絶した。
 彼女がなぜ再び発狂しているのか、ジェットには考えつかない。
『アンタ』というのが自分と少年のことを指しているのだとしても、いったい何がきっかけでこうなったのか。
 異常患者の思考などジェットには理解しえない範疇だが、可能性があるとするならば、この惨事に散ったあの少年か。
 いや、ティアナが主張するキャロという名前は、どう考えても女の子の名前だ。だとすれば、彼女の発狂の理由は一つしかない。
 血塗れの少年ではなく、ティアナの足元に転がっている……少女らしき人物の、バラバラ遺体。
 おそらくはジェットをここに呼び寄せた根底たる爆発の最大の被害者なのだろうが、その有様は見るも無残で、原型を留めていない。
 なのに、何故ティアナはそのバラバラの遺体を、キャロという名の知人だと断定できたのか。
 もしくは、落ち着きかけていた錯乱状態が再発し、この被害を誇大解釈しているだけなのかもしれない。

「落ち着け、そこに転がっているのは、お前さんの言うキャロって子じゃ―」

 ジェットが負けずに弁解を試みるが、

「嘘だッッッ!」

 すぐさまティアナの怒号に打ち消され、後ずさる。
 決してジェットが臆病者なわけではない。そうさせるだけの意外な迫力が、今のティアナにあっただけの話だ。

「キャロはキャロよ! 私が……ううん、違う、アンタが殺したんだ! その銃で!
 そうよ、私は騙されていた……けど、ようやく気づけた! アンタが、アンタがキャロを!
 キャロをおおおおおぉぉぉぉぉ――うぷっ、げ…………ぇぇぇぇぇ」

 心臓がはち切れんばかりの勢いで喋っていたせいか、肉片に気持ち悪くなったのか、ティアナは堪えきれずその場に嘔吐した。
 滝のように流れる胃液を全て吐き出すと、余韻に浸ることなく口元を拭う。そして、間髪入れずに再起した。
 ジェットをキッと睨みつけ、脱兎のごとく逃げ出した。
 去り際の言葉は何もない。ただ、その女の子のものとは思えぬ形相は、この世の怨念を一身に受け止めた、阿修羅の化身のようだった。

「クソッ、何考えてやがんだあの女……ッ!」

 ジェットはすぐに後を追おうとするが、踏み出そうとした脚は、まだ名も知らぬ少年にひっしと抱き止められていた。
 ティアナの覇気にやられたのか、小動物のように竦み上がり、振り払うのも不憫な様子に見える。
 別に子供愛護団体に所属したつもりはないが、彼を無碍にしてティアナを追うというのも、それはそれで胸にしこりが残る。
 それに、少年からはこの場で起こった一部始終を聞きだす必要もあった。
 二兎を追える状況ではない。ジェットは決断し、ままならない歯がゆさを舌打ちに変えて、遠ざかっていくティアナの背中を見送った。

 すぐ後ろで妖艶な微笑を浮かべる、チェスの腹の底も知らずに。


 ◇ ◇ ◇



443:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/12 22:57:05 tz09pVL5
 

444:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/12 22:57:35 gQBxTF1K
 

445:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/12 22:58:03 f8SFo9OZ
 

446:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/12 22:58:11 tz09pVL5
 

447:阿修羅姫(後編) ◆LXe12sNRSs
07/10/12 22:58:18 u8HW3Rwm
 視界に入ったのは、数多の肉片。
 黒焦げに変わり果てたもの、辛うじて肌色を保っているもの、血の赤に染まったもの、大小様々な、人のバラ肉。
 確証を得たわけではない。あれがキャロである証拠など、何もないのだ。
 それでも。


 ティアナは思った。
 あれはやっぱり―キャロだった、と。


 なぜなら、キャロの死体は確かにあそこに放置されたままであり、あの場所は、確かにキャロが息を引き取った場所だったから。

(やっぱり私のせい? 私があのとき逃げ出さず、あの男を早急に確保しておけば……キャロはああはならなかった!?)

 動悸の激しい胸元を押さえながら、ティアナは懸命に走った。
 あの場から逃げ出したくて、あの場にいる変わり果てたキャロと向き合うのが怖くて、たまらず逃げ出した。
 ティアナが錯乱していた最中、爆発音が鳴り響いたと、あの男はいった。
 キャロは、おそらくそのときに身体を破壊されたんだ。そうに違いない。
 ティアナは心中で断言し、そして改めて、あの二人組に憤怒の炎を燃やした。

(私がキャロを殺したと思い込ませて……私を利用しようとしたんだ! なんて卑劣な……許せない、絶対に、絶対に許すもんか!)

 遠方からキャロを狙撃し、勘違いをきっかけにティアナを錯乱状態に追い込む。知人を目の前で射殺されて、精神が揺るがない人間などいない。
 そこからティアナと接触し、保護という形で銃を強奪。残弾を確認させないための意味もあったのだろう。
 そして先ほどのような形でキャロのバラバラ死体を見せつけ、ティアナの精神をさらに壊し、あわよくば懐柔。
 あのジェットという男と、爆発の最中にいたはずなのに、無傷にも見えた少年。二人でティアナを嵌めようとしたに違いない。

(あいつらの思い通りになんてなってたまるか……ッ! 私は騙されない。誰にも、誰にだって、私を謀らせたりは―)

 ふと、ティアナは怒りの表情を収めると同時に足も止めた。
 胸中に宿ったある不安を反芻して、顔の血色を青白く染め変えていく。

(……あいつらの仲間が、他にもいるとしたら? ううん、仲間じゃないにしても……あいつらと同じような奴等が、スバルや、エリオや、八神隊長を……キャロみたいに……)

 ―殺し合い。
 自然と、脳裏に今回の趣旨である単語が浮かび上がってくる。
 誰かが誰かを殺し、最後の一人になるまで続ける。それが殺し合いだ。
 様々な謀略を巡らし、暴力を持って他者を制するのが当たり前の環境。
 そんな状況下で、スバルやエリオやはやてが、ティアナと同じように騙されたら。キャロと同じように……殺されたら。

(ダメ! 絶対……! そうなる前に、敵は片っ端から確保して……ううん、それでもダメ!
 確保なんかじゃ生温い。やらなきゃやられる……キャロみたいに、キャロみたいに殺されちゃう!
 そうよ、あの男だって善人ぶって私を謀ろうとした。敵なんだ、ここにいる奴等はみんな、殺し合いに乗った敵……敵、敵、敵、敵!)

 必死の形相で前を見つめなおすと、ティアナは再び走り出した。
 ここに、六課が保護するに値するような民間人はいない。殺し合いという言葉に踊らされ、仲間を傷つける愚か者ばかりだ。
 ティアナは、先ほどそれを思い知らされた。知るのが遅すぎたために、キャロを死なせ、供養しなければならなかった遺体をも破壊された。
 既に手遅れになる一歩手前なのだ。このまま決断を遅らせていては、いずれはスバルたちも殺されてしまう。

448:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/12 22:58:44 29nYnTNE


449:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/12 22:58:45 k1j242kf


450:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/12 22:59:54 tz09pVL5
 

451:阿修羅姫(後編) ◆LXe12sNRSs
07/10/12 22:59:56 u8HW3Rwm
(そんなの、私が絶対に許さない! 殺す……殺す、殺す、殺す! これは殺し合いなんだ!)

 そしてティアナは心を閉ざし―聞く耳を失った。
 行動方針を、見敵必殺へシフト。仲間を傷つける輩を、事前に排除する。
 ここはミッドチルダではない。上司が見守ってくれている仕事場でもない。
 本当の意味での、戦場なんだ―ティアナは、やっと『殺し合い』の意味を理解して、狂った。


 ◇ ◇ ◇


 牧師が撒いた種は、大いなる少年を殺し、悲運な少女を狂わせ、不死の小悪魔を呼び、男に災厄を与え、また少女の精神を壊した。
 この醜悪な連鎖こそが、この世界の美学であり、日常であると言えた。
 殺め合い、求め合い、胸深く、哀しみの剣を突き刺して―また、誰かが狂う。



【C-5・北部/一日目/早朝】
【ニコラス・D・ウルフウッド@トライガン】
[状態]:やや不機嫌
[装備]:ヴァッシュ・ザ・スタンピードの銃(残弾4/6)@トライガン
[道具]:支給品一式
[思考]
基本思考:ゲームに乗る
1:自分の手でゲームを終わらせる。進路は北。
2:女子供にも容赦はしない。迷いもない。
[備考]
※迷いは完全に断ち切りました。
※ウルフウッドの最後の不明支給品は、手榴弾@現実でした。


【C-5・南東部/一日目/早朝】
【鴇羽舞衣@舞-HiME】
[状態]:精神崩壊、全身各所に擦り傷、全身が血塗れ
[装備]:クラールヴィント@リリカルなのはStrikerS
[道具]:支給品一式
[思考]
基本:シモンを手伝う
1:大切なものを奪う側に回る(=皆殺し)。進路は南東。
2:もう二度と、大切なものは作らない。
[備考]
※カグツチが呼び出せないことに気づきましたが、それが螺旋王による制限だとまでは気づいていません。
※クラールヴィントの正体に気づいておらず、ただの指輪だと思っています。HIMEの能力と魔力に近い物があるかどうかは不明。
※参戦時期の影響で、静留がHIMEである事は知りませんでしたが、ゲームに呼ばれている事から「もしかしたら…」と思っています。
※シモンが別の世界からやって来たのではないかと考えていますが、荒唐無稽な考えだとも思っています。
※帽子の少年(チェス)を殺したものと思っています。
※ポスティーノのバイク@王ドロボウJINGは、ウルフウッドの手榴弾によって破壊されました。


452:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/12 23:00:23 k1j242kf


453:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/12 23:01:30 tz09pVL5
 

454:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/12 23:01:31 29nYnTNE


455:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/12 23:01:32 f8SFo9OZ
 

456:阿修羅姫(後編) ◆LXe12sNRSs
07/10/12 23:01:40 u8HW3Rwm
【C-5・映画館近くの路地裏/一日目/早朝】
【チェスワフ・メイエル@BACCANO バッカーノ!】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、アゾット剣@Fate/stay night、薬局で入手した薬品等数種類(風邪薬、睡眠薬、消毒薬、包帯等)
[思考]
1:ジェットを利用できるかどうか見定める。
2:ゲームに役立ちそうな人間と接触する。
3:アイザック、ミリア、ジャグジーに警戒。
4:自分以外に不死者が存在するなら、喰われないよう警戒する。
5:舞衣が向かった先(映画館南東部)には行きたくない。
[備考]
※なつきにはドモン・カッシュと名乗っています。
※不死者に対する制限(致命傷を負ったら絶命する)には気付いていません。
※チェスが目撃したのはシモンの死に泣く舞衣のみ。ウルフウッドの姿は確認していません。

【ジェット・ブラック@カウボーイビバップ】
[状態]:健康
[装備]:コルトガバメント(残弾6発)
[道具]:支給品一式(ランダムアイテム0~1つ 本人確認済み)
    テッカマンブレードのクリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード
    アンチ・シズマ管@ジャイアントロボ THE ANIMATION
[思考] 基本: 情報を集め、この場から脱出する
1:ティアナを追いたいが、ひとまずはチェスから事情を聞く。
2:種々の情報を得るため、図書館or博物館or警察署に向かいたい。
3:スパイクとエドが心配。
4:初対面の人間には用心する。
[備考]
※テッカマンのことをパワードスーツだと思い込んでいます。
※ティアナについては、名前を聞き出したのみ。その他プロフィールについては知りません。


【C-5・南西部/一日目/早朝】
【ティアナ・ランスター@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:精神崩壊、血塗れ
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
1:スバル、エリオ、はやてが危険に晒される前に他の参加者を皆殺しにする。進路は南西。
2:映画館近辺には戻りたくない。が、あの二人(ジェットとチェス)はいつか殺す。
[備考]
※キャロ殺害の真犯人はジェット、帽子の少年(チェス)はグル、と思い込んでいます。
 これはキャロのバラバラ遺体を見たショックにより齎された突発的な発想であり、この結果に結びつけることで、辛うじて自己を保っています。
 この事実が否定されたとき、さらなる精神崩壊を引き起こす恐れがあります。
※銃器に対するトラウマはまだ若干残っていますが、相手に対する殺意が強ければなんとか握れるものと思われます。



【シモン@天元突破グレンラガン 死亡】
【残り73人】

※シモンの死体と荷物(フィーロのナイフ@BACCANO バッカーノ!、マタタビ@サイボーグクロちゃん(?)、支給品一式、ランダム支給品0~1個(本人確認済み・武器以外ないし、シモンの理解できない物))は、その場に放置。
※キャロの死体は木っ端微塵に砕け散りました。原型を留めていないため、判別は不可能です。

457:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/12 23:02:23 k1j242kf



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