07/10/09 09:26:40 LM+9BR2w
「よ…よすのだグラサン・ジャックぅぅぅ、いつまでも、こーしているわけには、イカンだろぉーがぁぁ…」
カミナが殴るのをやめたのは、別にガンメンモドキのあわれっぽい声に罪悪感を覚えたからではない。
単にくたびれただけである。ついでにこいつの言うとおり、こんな場所であまり長いこと油を売っているわけにもいかなかった。
殺し合いだかなんだか知らないが、大グレン団の鬼リーダーがやるべきことは変わらない。
螺旋王をぶっ倒す。邪魔するやつはぶん殴る。それだけだ。
デイパックを拾い上げて歩き出す。
どこにいくのか? そんなものは、歩いて決める。
まずはシモン、ヨーコと合流すべく。
どこにいるのか? 決まっている、自分の歩いたその先だ。
押しつけられた殺し合いに乗るようなシケた考え、大グレン団にありえない。
だったら当然あいつらも螺旋王をノすことだけを考えているはずで、
目指す先が一緒なら、向かっていればすぐ見つかる。 そういうことだ。
「ぐずぐずしちゃあいらんねえよなぁ、兄弟」
「おうともよ、わがソウゥゥゥル・ブラザー、グラサン・ジャックよ」
「……」
カミナは、いつの間にか横にいたVを、無言で蹴った。
だいたい、Vの先端あたり。具体的に言うと、下端。
転がるV。うめくV。もだえるV。
「ブルルゥゥゥアアアアア? な、何をするぅう?
私と貴様は兄弟ではないのかぁぁぁぁぁ?」
「てめぇじゃねんだよ、てめぇじゃあああ。
なんでオレとテメェが兄弟よ、ああん?」
「魂と魂が通じ合・え・ば、その瞬間から我らはブラザァァ…
ああっ、やめろ、やめてくれえええ、股間の紳士を踏・む・なぁぁぁ」
「いつ通じたよ? いつ?」
カミナの踵が圧力を増す。
赤くなるV。青くなるV。
顔色がチカチカ変わって、忙しいことである。
「思い出すのだグラサン・ジャック。
われらが宿敵、指パッチンを、力を合わせて撃退したときのことをぉぉ」
「あん?」
「キサマは私の本を読めていただろうがっ
それこそがわれらの、運命の証よぉ」
顎に指を当て、首をかたむけ、ほんのちょっとだけカミナは考えた。
まあ、力を合わせたと言われればその通り。
先ほどは魔本とやらが読めたから、あの指パッチン野郎に対抗できたらしい。
身をもって体験しているのだ。 こればっかりは認めてやろう。
だが。
「人の名前を変えてんじゃねえっつってんだろ、このクサレガンメンモドキが~」
「ワァァァァオッ? 電気アンマ、電気アンマはよせぇぇぇ、
ソコは敏・感なのよォォ、ワァァオッ? ワァァァァオ…」
それとこれとは別問題というやつ。
カミナは本格的にぐりぐりと踏みにじるだけ踏みにじり、
しまいには気色わるくなって、走り込みから思いきり蹴飛ばした。
Vは、宙に舞った。光のヨダレを吹いた。
そして力なく落下した。
カミナの気も、すんだ。