07/10/09 06:03:06 5lRS/M12
|,,r''´ ̄ `''‐|_ ,-‐‐- ,,__,, -‐ 、
r´``'‐-=-‐'"´`':、 {,, -‐r‐ 、__r‐、>ノ
`-ト(ミ)‐(ミ)t,,ri'´ ,, -‐''''''''''‐- 、 lj ̄`- ' l`‐' リ
゙i ,,┴‐-,, 'ノ ,ィ´: : : : : : : : ノ、:\ レ _,,.`´,,_ l´
l "''"゙''''''゙ /~ /:::: : : : : : :;' ツ ゙i: :i, lヽ l
ヽ__∠_| |::::: : ; ''' ´ l: :l l__i、,,-‐-,,ノ_
__ 〉二ヽ/こ-、|_ l i ,. --、__, -- 、 l ノ _,, -‐ ''''〉,,- ,,__V_,,-'::l``''‐- 、,,_
_,, -‐'' _,, -‐''}:::::::○:::::::::l ⌒゙i- ,,_ `>l‐'、:::::ノ l、::::::ノ〈i , -‐ '''´ / l`l:::::::::::○:::::::} ヽ :::::::`''‐ 、
/::: '' '‐--ッ ゙i`‐'´ `''‐''ノ < ̄ `''‐- 、{ j ' ' /l/ '--‐ッ ゙i `‐ '´ `'‐' }<⌒ ::::::ヽ
/::::: , <´ \ / > _ \l -‐ー‐- l'´ / \ 丿 `> :::::::l
:::::: :l `'‐ 、_ y''´_, -‐ '"´ l } l ` /l , `'‐ 、,_ \__ /_, -‐'' , ::::l
::: ::l ``'´ l rl_`'‐-ー--'__), l `‐-/‐'' :l ::::l
:::l ○ __,,,,,, ,-‐''´{‐- ,,_ミv彡_,,-‐l`'‐、_ l ○ ::l ::::::l
:::::l , -‐''  ̄ / l`''ッ‐'´' ; \ / \`''‐- 、,,__ ::l ::::::l
::::::l / / 〉' ,' ', ヽ ___〉 \, :::l ::::::l
___ :::::l / ,  ̄フ / ,' ; l \_ \ :::::l ::::::l
:::::l / / `'‐- / ; l_,, -'' l l ::::::/‐- :::::l
:::::ヽ ( ノ / ,l ,, -‐''-、' ,,-l l `l ○ ::::::/ :::::l
l:::::::: / / -='´‐' ̄`‐-‐ '''`、_,, -''-‐' l ヽ :::::::l :::::ノ
/::::: / / , -、 , -、 l ヽ ::::::l ::::::ノ
/::::: / l `- ' `- ' l \ ::::::l _,,-''
l:::::: / l l ヽ :::::::l'´
l:::::: / l l ヽ :::::::l
. l:::::: _,,ィ',, -‐ '''‐- l l l :::::::l
何かやってたのかね
>>222 ここの住人にとってはあまり面白くないようだ書きなおし給え
>>249 したらばのアホ評価には正直うんざりさせられる
251:ringo■津軽のもつけ◇neputa
07/10/09 08:00:26 YCVDsRFO
投下スレ立てるなとかいったり修整したりしていったい何がしたいんだよお前らはw ここなんかほっといてりゃいいのにw
252:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/09 08:30:07 YCVDsRFO
俺はしたらばのやつとは関係ないから
253:極大射程 ◆ZJTBOvEGT.
07/10/09 09:26:40 LM+9BR2w
「よ…よすのだグラサン・ジャックぅぅぅ、いつまでも、こーしているわけには、イカンだろぉーがぁぁ…」
カミナが殴るのをやめたのは、別にガンメンモドキのあわれっぽい声に罪悪感を覚えたからではない。
単にくたびれただけである。ついでにこいつの言うとおり、こんな場所であまり長いこと油を売っているわけにもいかなかった。
殺し合いだかなんだか知らないが、大グレン団の鬼リーダーがやるべきことは変わらない。
螺旋王をぶっ倒す。邪魔するやつはぶん殴る。それだけだ。
デイパックを拾い上げて歩き出す。
どこにいくのか? そんなものは、歩いて決める。
まずはシモン、ヨーコと合流すべく。
どこにいるのか? 決まっている、自分の歩いたその先だ。
押しつけられた殺し合いに乗るようなシケた考え、大グレン団にありえない。
だったら当然あいつらも螺旋王をノすことだけを考えているはずで、
目指す先が一緒なら、向かっていればすぐ見つかる。 そういうことだ。
「ぐずぐずしちゃあいらんねえよなぁ、兄弟」
「おうともよ、わがソウゥゥゥル・ブラザー、グラサン・ジャックよ」
「……」
カミナは、いつの間にか横にいたVを、無言で蹴った。
だいたい、Vの先端あたり。具体的に言うと、下端。
転がるV。うめくV。もだえるV。
「ブルルゥゥゥアアアアア? な、何をするぅう?
私と貴様は兄弟ではないのかぁぁぁぁぁ?」
「てめぇじゃねんだよ、てめぇじゃあああ。
なんでオレとテメェが兄弟よ、ああん?」
「魂と魂が通じ合・え・ば、その瞬間から我らはブラザァァ…
ああっ、やめろ、やめてくれえええ、股間の紳士を踏・む・なぁぁぁ」
「いつ通じたよ? いつ?」
カミナの踵が圧力を増す。
赤くなるV。青くなるV。
顔色がチカチカ変わって、忙しいことである。
「思い出すのだグラサン・ジャック。
われらが宿敵、指パッチンを、力を合わせて撃退したときのことをぉぉ」
「あん?」
「キサマは私の本を読めていただろうがっ
それこそがわれらの、運命の証よぉ」
顎に指を当て、首をかたむけ、ほんのちょっとだけカミナは考えた。
まあ、力を合わせたと言われればその通り。
先ほどは魔本とやらが読めたから、あの指パッチン野郎に対抗できたらしい。
身をもって体験しているのだ。 こればっかりは認めてやろう。
だが。
「人の名前を変えてんじゃねえっつってんだろ、このクサレガンメンモドキが~」
「ワァァァァオッ? 電気アンマ、電気アンマはよせぇぇぇ、
ソコは敏・感なのよォォ、ワァァオッ? ワァァァァオ…」
それとこれとは別問題というやつ。
カミナは本格的にぐりぐりと踏みにじるだけ踏みにじり、
しまいには気色わるくなって、走り込みから思いきり蹴飛ばした。
Vは、宙に舞った。光のヨダレを吹いた。
そして力なく落下した。
カミナの気も、すんだ。
254:極大射程 ◆ZJTBOvEGT.
07/10/09 09:27:57 LM+9BR2w
「いよし」
「ベェェリィイシィィィィット! いよし、じゃねえだろクソッタレがぁあ」
なにやらパワフルにスピンしながら立ち上がってみせたVは、
しかしすでにカミナの視界の中には無かった。
気をとりなおして、とりあえずどこか適当な方向に歩いていき始めている。
「ま、待て、無視するなぁ、
このビクトリーム様は無視されるのが一番キライ」
「うるせ」
振り向きもしない、華麗な後ろ蹴りが炸裂。
ダッシュで追いかけた甲斐もなく、Vはまたも大地に転がっていく。
「何故だぁ、何故そこまでつれないのだぁグラサン・ジャックぅぅ、
私の火力は貴様にとってチャーミングではないのかぁぁぁ?」
カミナは歩みを止めない。 ガン無視である。
パートナーなんぞになってやる気はこれっぽっちもない。
イヤだと思えば死んでもやらない。 それがカミナという男。
なんか、いやに低姿勢になっているのがますます気にいらなかったのだ。
「む?…そうかそうか~、むっふっふ。
ウワサに聞くツンデレとは、貴様のことかグラサン・ジャック」
「……」
よくわからないので無視。
もう殴って疲れるのもうんざりだ。
「素直になれないギザギザハートが貴様の態度をツンツンさせるのだぁ。
だが心配するなグラサン・ジャック、貴様の本心は誰より私が知っているぅ~!
海より深きわが愛は閉ざされたココロのトビラを開くだろう、マイ・スウィート…」
「……」
「おおっ、おおっ、届いたか、わが真心。
遠慮することはなぁい、この胸に飛び込んで…
ブルゥアアアアア何をするだぁぁぁぁ」
予定は変更された。
カミナは、もうちょっと疲れることにした。
「ふ、不覚よぉ…ま、まさか、ヤンデレだったとは」
その辺の蔓草やら何やらでがんじがらめに念入りに縛られたビクトリームは、
立ち去るグラサン・ジャックをひくひくと痙攣しながらにらんでいた。
ここでやつを逃がすわけにはいかない。
モヒカンエースを発見するまではそばにいてもらわねば、呪文が全然使えないのだ。
しかもやつめ、デイパックまで奪っていった。魔本だけを放っぽり出して。
255:極大射程 ◆ZJTBOvEGT.
07/10/09 09:28:59 LM+9BR2w
「チィクショアアアア、逃がすかぁぁぁ」
ここで黙って引き下がるビクトリームではない。
グラサン・ジャックは大変なことを失念していった。
そう、ビクトリームの頭は身体と分離できる。
これは彼が彼として最初から持っている能力であり、呪文とは関係ない。
魔本を口にくわえて浮上。
「ヴルアアアアアッ」
『ぶ』がうまく発音できないが気にしない。
頭部に蓄積されたダメージは、合計したらすでに1000は超えている予感がしたが、
とにかく今ここで追いつかなければ、次に呪文が使えるのがいつになるかわからない。
そしてなにより…やつは、メロンを持っている!
「ヴルアアアアアアアッ」
「…ッ? ついてくんじゃねえええええっ」
走って逃げるグラサン・ジャック。
だが遅い、こっちは空を飛んでいるのだっ。
とでも言わんばかりの加速を見せるビクトリーム。
「う、うおおっ? 早えぞド畜生ォォォォッ」
「ヴルゥアアアアアアアアッ」
追いかけっこはしばらく続いた。
グラサン・ジャックは意地になっていたらしかったが、
ビクトリームは切実であった。
かかっているものが大きければ、それだけ力も出るというものだ。
そして、ついに。
「ブラアアアアッ」
一瞬、蹴つまづいたグラサン・ジャックの真正面へ、
ビクトリームは躍り出ることに成功。
魔本を口から放して勝利を高らかに宣言してやろうとする…が。
「っ、どいてろ首だけガンメンがぁぁッ」
「ぼあっ?」
グラサン・ジャックのヤクザキックが顔面を直撃。
そのまま踏み倒されて、水面に…
水面。
たくさんの水。
湖か。違う。
木がない、草がない、土がない。
「ヴルアアアアアアッッッ?」
「なっ、んじゃこりゃあーーーーッ」
見渡す限り、そこはなぜか海だった。
文字通り、とりつく島もないくらい。
問答無用で、そこは海だった。
256:極大射程 ◆ZJTBOvEGT.
07/10/09 09:30:03 LM+9BR2w
かつて湖の騎士と呼ばれた女、シャマルは、修羅の途を征く準備を完了していた。
用意したのは、あの男の支給品に含まれていたバルカン砲。
説明書によれば肩にかついで使うらしいが、非力なシャマルには持ち上げられる重さですらないそれ。
宝の持ち腐れを、彼女はよしとしなかった。
そこで、テーマパークの事務室などを探し回ってキーを手に入れ、二人乗りのゴーカートを調達。
その座席上でバルカン砲をうまい具合に取り出し、助手席に搭載する形をとったのだ。
デイパックの中に入れれば重さは存在しなくなることに気づいたからこそとれた手段であった。
二人乗りとはいえバルカン砲などを乗せた隣に自分が乗ったら、まともに動くか心配ではあったが、幸いにして問題なく走ってくれる。
重心の関係から、急ブレーキをかければバルカン砲が転げ落ちる危険をはらむものの、これ以上の贅沢は言っていられない。
メリーゴーランドの正面に陣取り、試射を開始。
予備弾の類は見当たらない。大事に使わなければならないため、引き金をひくのは一瞬。
銃身のうなりも一瞬であったが、それだけで十分すぎた。
射線上にあった木馬達が突風になぎ倒され、ばらばらに飛び散った。
そうとしか見えなかったのだ。
これで人間を撃つのなら、撃たれた者は痛みを感じるヒマすらあるまい。
おそらく、かすめただけで生命はないだろう。
今のシャマルにとっては、まったくうってつけの武器であった。
この試射で、ただ上に載せただけであるせいだろう…集弾率が劣悪きわまりないという問題点も明らかとなっている。
遠くの敵を狙い撃つに無理があるのなら、それなりの使い方を考えるまでだ。
これに、先ほど使ったばかりの因果逆転の槍ゲイボルクがあれば、自分は決して無力ではないはず。
最初の部屋で螺旋王ロージェノムに手向かったあの男クラスの存在につけ狙われても、一矢報いるくらいはできそうだ。
主、はやてを探しに行こう。機動六課のみんなも強い子達だ。
みんなそろえば、きっとこんな状況もどうにかできる。
そのためにも、みんなの生命をおびやかす人々は、全排除。
そう、みんなを守るためなのだ。みんなに会うまでに、可能な限り『完全な安全』を確保するのだ。
アクセルを踏み、スタートを切る。
が、思わぬBGMの乱入にブレーキを踏み込み、耳を澄ます。
一体、誰の仕業か。なんのために。近くを誰か通っているのか。
あれこれ考えているうちに…
チ~チチッチ おっぱ~い ボイン ボイ~ン(ボイン ボイ~ン)
チ~チチッチ おっぱ~い ボイン ボイ~ン(ボイン ボイ~ン)
もげ もげ もげ… ウゥ~ワォ!
「……」
どうしてくれるんだろう。私の決意。
シャマルは、片手に保持していたゲイボルクをとり落とした。
ひとつ溜息をついて落ち着く。
ゲイボルクを拾って、音楽の響いてくる方角を見極める。
支給品の磁石を合わせて見るに、どうやら西。
海か、海なのか? 海の向こうから何か来ている? そんな馬鹿な。
しかし、支給品のことを考えてみると、
海の上を歩けたり飛べたりする何かがあっても別段おかしくはない。
257:極大射程 ◆ZJTBOvEGT.
07/10/09 09:31:13 LM+9BR2w
とにかく見なければ。見て確かめなければ。
展望台の場所は園内地図を見て覚えている。 西側の岸付近にあるからちょうどいい。
歌詞を全力で聞き流しながらシャマルは走り、数分で目的地に到着。
狙撃を警戒しつつ露天展望台を駆け上り、そこから発見できた豆つぶを備え付けの望遠鏡で確認すると。
「……」
ありのまま、今見たものを記そう。
そこにいたのは、空飛ぶ顔つきのV字にまたがった、ガラの悪い入れ墨男だった。
片手に、多分CDラジカセ…をぶら下げて、半分開いたデイパックからメロンをぼしゃぼしゃ落としながら、こっちに向かってやってくる。
どうも、今流れているこの曲は、彼の仕業であるらしい…
「…ぁ~」
その場にぺたんと座り込んだシャマルは、深呼吸を二回。
わりと頑張って気を取り直してから、展望台を降りにかかる。
必要なのは、迎撃だった。
「ブルゥアアアァァッ、さっさと止めんかぁ」
「止めろって言ってもなぁー、俺にはさっぱりわからねぇ」
いきなり海上に出現したカミナとVは大混乱しつつも、
最寄りに見える陸地への上陸をすぐさま決めた。
これだけ広大な水溜まりを初めて見るカミナはワクワクしないわけでもなかったが、
持っている剣が水に濡れたらサビることくらい経験則で知っているのである。
だから今は、Vの頭上に居座り続けている…
Vの方は重くてしんどくて死にそうで、しかも身体が置いてけぼりになっているため
気が気でないものの、手足のない自分ではどうにもできないので頭上の男にまかせざるをえない。
支給品の中から、今の状態をどうにかできる何かをあさる仕事を。
よりにもよって、そうやって最初に出てきた支給品が、カミナにとってはよくわからない機械。
適当にがちゃがちゃやれば何か起こるだろうと思っていじってみたら、大音量の謎歌が。
そして今に至っているわけで、Vの体力はもはや限界に近いようだった。
「も、もういいグラサン・ジャック、次だ、次の何かをあされェェェ」
「待ちな、こいつをしまってから…うぉっと」
「…? どああああああああっ、何をしているか貴様ああああああああ」
Vが目撃したものは、カミナの半開きのデイパックから転がり落ちたメロン達。
ぼしゃりぼしゃりと落っこちて、沖合のゆるやかな波にさらわれていく。
…Vの速度が、格段に上がった。
「うおおっ、いきなり速くなんなテメェッ?」
「ヴェェリィィイイイイメェロォォォォン! イッツマイハァァァァァァァァァァァァ」
ここでひとつ、彼らは幸運に救われていた。
この付近で起こっていた潮流は、偶然にも向岸流だったのである。
メロンの流されていく先が陸地であったから、彼らは助かった。
もしこれが逆であれば、彼らはふたりとも力尽きて水没し、死亡者二名となっていただろう。
もっとも、その幸運も、どこまで続くかは誰にもわからないのだが。
今は、ふたり、砂浜にへたり込み、ゼェハァと肩を揺らしていた。
…一人は、首だけだが。
258:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/09 09:33:58 EnYULGsn
支援
259:極大射程 ◆ZJTBOvEGT.
07/10/09 09:34:27 LM+9BR2w
「どういうことだぁ、わが身体はいずこ?
あそこに置いてけぼりのまま、どこぞに飛ばされてしまったとでも言うのかああああ」
「知らねえよ、ったく…」
カミナに言わせてみれば、どこにいようがやることは一緒なのである。
なので、すぐに歩き出す。歩けば、まわりのことも勝手にわかってくるだろう。
デイパックふたつを拾い上げ、少し歩いてからふと振り向く…
カツカツと響いた音がなんだか気になってみれば。
「喰ってんじゃねぇよ…つか、そいつは俺んだ!」
「ブルゥアアアアア、喰わずにやってられっかぁぁぁ、
うう、しょっぱい、海は私の涙なのかっ? クゥゥッ」
「だから喰ってんじゃ…」
…今回の幸運、ふたつ目。
意地汚くメロンをかじるVに、カミナは生命を救われた。
奪還すべくまたボコろうと走り出していなければ、
カミナの全身は血煙と化していただろう。
突如として巻き上がる多量の砂がカミナとVの頭上に降り注いだ。
「ば、爆発っ?」
「上だぁー、上から来るぞグラサン・ジャック。
おのれ、わがメロンを砂に埋めよってからにいいっ」
言われた通りに上を見るカミナ。
砂煙の中、土手の上からのぞく銃口がぎらついた。
こればかりは、カミナにとってもよくわかる機械。
多分、銃だ。それもメチャメチャ強力な。
「…誰だ、テメェは?」
おさまった砂煙の向こうから、
なにか妙な機械に乗った女が顔を出した。
「ごめんなさいね。
今死ぬあなたに名乗る名前はないわ」
銃身うなる。
爆音、再び。
二度目の射撃も仕損じたことを直感したシャマルは、
すぐさまゴーカートをバックさせ、バックのまま砂浜沿いの道路を走っていく。
バルカン砲の銃口は前にしか向かないし、かろうじてできる上下射角の調整も
助手席への積載作業をやりなおす形をとるしかない。
こうも取り回しが悪すぎる以上、二人以上の接近を許せば待つのは死だ。
あのV字が男の支給品ではなく、参加者の一人である可能性が高いとわかったのは収穫だった。
名簿にグラサン・ジャックなる名前が見当たらなかったことも気がかりではあるが…死体にしてしまえば一緒である。
さて、彼らはどう出るか。
この火力を見せつけられた以上、そうそう気楽に歩き回ろうとは思うまい。
今は下で様子をうかがっているところだろう。
とはいえ、まったく安心というわけでもない。
260:極大射程 ◆ZJTBOvEGT.
07/10/09 09:35:37 LM+9BR2w
自分がこれを入手したように、あちら側にも対抗できる何かがある可能性もまたある。
警戒すべきは、あのVだ。あれは空を飛び、男一人乗せて西から海を越えてきたのだ。
なんにせよ、こちらの姿はすでにさらしてしまったし、手札の一枚目も知らせ済み。ここで逃がせば不利は否めない。
賽は投げられた。なら早期決着あるのみである。
敵の位置を確かめるべく、一旦ゴーカートを降り、そっと土手の下をのぞき込む。
「ぅおぉぉぉい、コラァッ、誰が今死ぬだとぉ?
死んでねえじゃねえか、この大ウソツキ野郎ぉッ
俺を誰だと思っていやがる!」
シャマルは、あきれた。
逃げることも、隠れることもせず、男はこっちに全速力で走ってくる。
さっきの威力が目に入っていなかったのだろうか?
予想外すぎるリアクション。正直、これはまずい。
かなりの速さで近づいてきているせいで、バルカン砲の照準の合わせようがない。
銃座も何もない、ただ乗っかっているだけの砲で、あれをどうすればいいのか。
かくなる上は仕方ない。適度に接近させたところで、手札の二枚目を解禁…ゲイボルクを使うか。
そこまで考え、シャマルははたと思い出す。
あのVはどこにいった?
今、あの男のそばにいないということは…
空を見上げる。果たしてそこに、やつはいた。
しかもなにやら怪しげな光を放って。
「今だぁあ、グラサン・ジャックぅぅ、魔本を開け、そして唱えるのだぁぁ」
まずい。
今すぐにでも何らかの攻撃が始まろうとしている。
迷っている時間はない。
空中のアレをゲイボルクで仕留め、素早くゴーカートに乗り、
一旦引いて体勢を立て直すしかないだろう。
(どこかしら、心臓)
などと思わなくもないが、繰り返そう、時間がない。
真名を解放…シャマルは渾身の力で槍を、投げた。
「刺し穿つ死棘の槍(ゲイ、ボルク)ッ」
制限ありとはいえ、この宝具は間違いなく敵の心臓を追跡し、突き刺さろうとする。
言い換えれば、敵の心臓に突き刺さるという因果に可能な範囲で近づくわけだ。
そして今回も、その性質に槍は忠実であった。
『Vの心臓めがけて、槍は飛んだ』のだ。
シャマルの目にそれがどう映ったかは別として。
「…え?」
シャマルは見た。
Vに向けて投げつけたゲイボルクが、空中でキレイに方向転換。
あさっての方角に向けて飛んでいき、やがて力を失い落っこちていくさまを。
アイスクリーム屋とおぼしき建物の屋根に、情けなくも音を立てて突き刺さったさまを。
「なに、これ?」
「ケンカの最中にヨソ見してんじゃねえぞパァーンチ!」
シャマルもまた、力なく崩れ落ちた。
テンプルにキレイな一撃をもらって。
261:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/09 09:37:27 EnYULGsn
支援
262:極大射程 ◆ZJTBOvEGT.
07/10/09 09:37:41 28/W/byS
「魔本を忘れていくヤツがあるか、こんのバカチンがーッ」
「ケンカにゃ勝った。それでいいだろーが」
生き残るために即興のチームプレイを演じる羽目になった二人は、
たった今倒した女の所持品をあさりつつ、そこそこに険悪な空気を発していた。
もっとも、その見事な連携の真相はというと、各々が好き勝手に走り出した結果に過ぎなかったのだが。
それはさておき、デイパックをふたつ持っていたこの女。
これが何を意味するのか、二人ともすでに理解していた。
正真正銘、こいつは殺し合いに乗っていて、すでに一人を仕留めているということ。
先ほど投げたあの槍でか、それとも超強力銃によるものかは不明。
両方とも、回収した今となっては自分達のものであるから、気にすることもないのかもしれないが。
「どうするのだ、グラサン・ジャック」
「あん?」
「この女をどうするのかと聞いているのだ」
Vの視線はいつになくするどい。
女を生かしておけば、また自分達に害をなすだろう。
その程度の可能性は、誰にでもわかるところ。
カミナは、大して考える素振りも見せずに答えた。
「ふんじばって、連れて行く」
「なんと、どうする気だーっ」
「どうもしねえよ、殺し合いには乗らねえ。それだけだ。
このカミナ様はそうやすやすと言いなりになる男じゃねえんだよ」
脱いだマントで女を縛り上げてから担ぎ、
ゴーカートに乗り込んだカミナはあちこち調べ回し始める。
「ガンメン…じゃねえな、どうやって動かすんだ、こいつは」
「ベェリィィシィィット、自動車も知らんのかグラサン・ジャック」
「知らねえな。知らねえけど、要は気合いだろ。
…おっ、こいつで走るのか、で、曲がるんだな?」
「ま、待て、私を置いていくなぁぁ、
いいか、まずはわが身体を回収だ、おい、聞けぇーっ」
なんとなくで要領をつかまれつつ、
ゴーカートはバルカン砲を乗せたまま走り出す。
…行く先は? 運転手その人が走って決めることだろう。
踏み出したその先は、大地に見せかけた薄氷かもしれないが。
263:極大射程 ◆ZJTBOvEGT.
07/10/09 09:38:55 28/W/byS
【F-1 テーマパーク西端海岸線付近・1日目 早朝】
【カミナ@天元突破グレンラガン】
[状態]:体力中消耗・左肩に中程度の裂傷(激しく動かすと痛みが走るが、我慢できないほどでは無い) 、マントを脱いでいる
[装備]:なんでも切れる剣@サイボーグクロちゃん、
モネヴ・ザ・ゲイルのバルカン砲@トライガン(あと9秒連射可能、ロケット弾は一発)を搭載したゴーカート
[道具]:支給品一式、ベリーなメロン(7個)@金色のガッシュベル!!(?) 、ゲイボルク@Fate/stay night
[思考・状況] 基本:殺し合いには意地でも乗らない。
1:ゴーカートで道なりに走ってみる。
2:シモンとヨーコとさっさと合流したい。ついでにガンメンモドキとは別れたい。
3:グレンとラガンは誰が持ってんだ?
4:もう一回白目野郎(ヒィッツカラルド)と出会ったら今度こそぶっ倒す!
※グレンとラガンも支給品として誰かに支給されているのではないかと思っています。
※ビクトリームをガンメンに似た何かだと認識しています。
※文字が読めないため、名簿や地図の確認は不可能だと思われます。
※カンでゴーカートを走らせているため、危険きわまりないです。
※ゲイボルクの効果にまるで気づいていません。
※1/4メロンは海に出た際、落っことしました。どこかに流れ着いても、さぞかし塩辛いことでしょう。
※向岸流で流れ着いたメロンが7個、F-1の海岸線に放置されています。
【ビクトリーム@金色のガッシュベル!!】
[状態]:身体部分がF-8に放置 カマイタチによる小程度のダメージ カミナの攻撃による中ダメージ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、CDラジカセ(『チチをもげ』のCD入り)、ランダム支給品(0~2個)・魔本
[思考・状況] 1:わが身体、行方不明! はやく回収しなければ…
2:正直な所グラサン・ジャックと気が合いそうに無いが、モヒカン・エースと合流するまでは一緒に行動する。
3:モヒカン・エースと再会したら目に物見せてくれるわぁ!!…それまでは、できる限り丁重に扱う。
4:F-1海岸線のメロン7個に未練。
※参戦時期は、少なくとも石版から復活し、モヒカン・エースと出会った後です。
※会場内での魔本の仕組みに気づいておらず、半ば本気でカミナの名前が原因だと思っています。
また、耐火加工についても気づいていません。
※モヒカン・エースがゲームに参加していない事にも気づいていません。
また、身体の事で頭が一杯になっているため、名簿確認や支給品確認の必要性にも気づいていません。
※地図すら見ていないため、身体の位置もわかりません。
※分離中の頭と身体の扱い(禁止エリアでどうなるのか?など)は、次回以降の書き手さんにお任せします。
【シャマル@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:気絶中? カミナのマントによって拘束中 極度の疑心暗鬼 魔力消費 大
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(その他、ランダム支給品が0~2、本人・カミナ・ビクトリーム確認済) 、
ジェレミアの支給品一式(その他、ランダム支給品が0~2、シャマル・カミナ・ビクトリーム確認済)
[思考・状況] 1:八神はやてを守る
2:六課メンバー以外、全て殺す
3:けれど、なるべく苦しめたくない
4:ゲイボルクを投げたのに…
※宝具という名称を知りません
※現在、彼女の持ち物はカミナが所持していますが、
ランダム支給品の中の何かをどこかに隠し持っている可能性があります
※ゲイボルク@Fate/stay nightは舞台のループを認識していないようです
264:極大射程 ◆ZJTBOvEGT.
07/10/09 09:39:56 28/W/byS
[モネヴ・ザ・ゲイルのバルカン砲@トライガン]
GUN-HO-GUNSの1、モネヴ・ザ・ゲイルが使用したバルカン砲。
彼は他にも建物を数軒まとめてなぎ倒す威力の片手用ガトリングガンを両手に装着して使用しているが、
そんな彼が切り札として持ち出したことから、このバルカン砲はその上をいく威力を最低でも持っていることになる。
また、バルカン砲部分をパージすることでロケット弾を放つこともできる。
逆を言うと、パージしなければロケット弾は使えないものと思われる。
モネヴはこれを肩にかついで使用していたが、並の人間が生身で扱える重さではとてもないだろう。
[CDラジカセ@現実]
何の変哲もないCDラジカセ。カセットテープも再生できる。
電池式だがプラグもあるので、電源さえ確保できればずっと使える。
[『チチをもげ』のCD@金色のガッシュベル!!]
イタリアの映画スター、パルコ・フォルゴレの大ヒット曲のCD。
本人が無償でファンに贈呈することもあるようだ。
265:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/09 16:49:33 a2QtkXGt
スレリンク(saku板:412-413番)
外部掲示板、最悪版のスレ内容、巨大AAなどのコピペ荒らしです。
IDを変えて複数人を装っています(発言103-105参照)。
スレタイとは別内容の企画をスレ内ですると言い出しており、
スレ違いだからと他への移動を何度も勧められるも、一貫して無視し続けています。
削除議論板での発言を参照していただければ分かる様に、日本語が通じません。
,、‐ " ̄:::゙:丶、
,r::::l3゙::::::::/ハヽ:ヽ::::、:ヽ ━┓┃┃
{::://:::::::// ヽ\ト、:::::::! ┃ ━━━━
ヾ l:::::::/ ノ `ヾ ィ、:::| ┃ ┃┃┃
|;:r::| O ` ' O ゙ハ| ┛
ヽハ :.:. :.: レ
´\ ゝ'゚ ≦ 三 ゚。 ゚
/ 。≧ 三 ==-
/ヽ、 -ァ, ≧=- 。
| | イレ,、 >三 。゚ ・ ゚
| | ≦`Vヾ ヾ ≧
| | 。゚ /。・イハ 、、 `ミ 。 ゚ 。 ・
| | ___ | |
| | ノ l | |
.| .| | i:| |
266:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/09 17:10:31 ugI5J1Mx
ワロタwwwww
スレタイとは別内容の企画をスレ内ですると言い出しており、
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
スレ違いだからと他への移動を何度も勧められるも
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
虚偽報告じゃね?wwwwwwwwwwwwwwww
267:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/09 17:41:53 B/+qG169
やれやれ
内輪喧嘩を潰すために削除人を使うとは
268:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/09 18:14:32 9apBBxM4
アホ杉
269:新しい朝が来た 1/9 ◆AZWNjKqIBQ
07/10/09 19:11:15 2ona80TF
風景が薄い青色で染まっている静かな街中で、柊かがみは先刻より数えて何度目かになる小さな悲鳴を上げた。
「アイタタタ……」
裸の男との不幸な邂逅の後、その男の持ち物であったローラーブーツを拝借して、
当初の目標であった風浦可符香を追い始めた彼女であったが、
それまで走り続けていたことによって脚に溜まっていた疲労と、
南―海の方へと向かうにつれて下り坂になる地形。さらに、履きなれない車輪のついた靴。
それらに、運動音痴というほどではなくても、決してそこまで運動が得意という訳ではない彼女は悪戦苦闘し、
勢いよく転んでは度々身体を傷つけていた。
もっとも、柊かがみの身体はすでに不死者のソレになっているため、小さな掠り傷などはたちまちに消えてしまう。
アスファルトの上に尻餅をつきながら、彼女はそれを直視して不死者としての実感を高めると共に、
繰り返しこけたせいで膝の部分に真ん丸な穴を開けてしまったハイニーソックスに溜息をついた。
傷つかない身体に任せていささか無理をしてしまったと、解れや汚れの見える衣装に自省する。
ともかくとして、先程よりかは僅かに慎重になった柊かがみは、その後一度も転ばずに進む事に成功し、
B-3エリアを東西に結び辿ってきた北よりの道と合流する丁字路へと到達した。
そこで、彼女は改めて目標の位置を確認すべく、支給品であるレーダーをポケットから取り出した。
「―ゲッ!」
少女としてはいささか下品な呻き声を洩らしてしまったのは、レーダーに驚くべき変化があったからだ。
柊かがみは朝日が見える方角―東へと視線を移し、逆光でシルエットとなっている高速道路を見る。
勿論、普通の人間である彼女の目には何も捉えられる者はない。
しかし、彼女はついさっきそこを高速で移動していく者を手の中のレーダーで見たのだ。
ドモン・カッシュ。そう名前のついた反応がスッと高速道路に沿って東隣りのエリアへと消えてしまった。
「……く、車……かな?」
そう柊かがみは静寂な路上で一人ごちる。
視界の開けた丁字路の真ん中から見渡せば、路上に駐車された乗用車などがいくつも確認できる。
実際の所は解らないが、映画やTVドラマの中では止まっている車やバイクなどを「直結」させて
それを自分の足とするのはよく見かけるシーンだ。高速道路を走って行った事からもその可能性は高い。
ドモン・カッシュという人物はそういう知識に長けており、そういう風にこのエリアを去ったのだろう。
……と、柊かがみは常識的な結論を出した。まさか、「走っていった」などとは思いもつかない。
そして、そうなると困ったな。とも、彼女は考える。
自分には車の直結は元より、そもそも運転免許も、車を運転するための知識もない。
レーダーの範囲からは消えてしまったが、おそらくは更に東のエリアへとどんどん行ってしまうだろう。
せっかく見つけた人間の一人ではあったが、追いかける手段は彼女にはない。
一つ溜息をつくと、改めて最初の目標であった風浦可符香の現在位置へと目を向ける。
「こっちもマズいわね……、急がないと」
柊かがみが真っ直ぐに南下しているのと同じように、風浦可符香もこの地点を越えて真っ直ぐに南下していた。
その歩みは順調で、もうすぐ南の端へと辿り着こうとしている。
エリアの境界を越えてしまってはせっかくのレーダーでも捉える事はできず、下手をすれば見失いかけない。
すぐに追う必要がある……と、足を進めようとした時。彼女はソレに気付いた。
270:新しい朝が来た 2/9 ◆AZWNjKqIBQ
07/10/09 19:12:31 2ona80TF
「…………う、嘘でしょ?」
暖かな陽の光を浴び、ゆっくりと思考を重ねながら休憩したことによって冷静さを取り戻し始めていた彼女の心が
にわかに粟立ち始める。
それは、彼女が妹の亡骸を道端に見つけ出した時と同じ種類のモノ―恐怖だった。
アイザック・ディアンと名前のついた反応が、動いている。しかもこちらへと向かって。
そのスピードは決して遅くはない。ここで留まっていれば時機に再会を果たす事になるだろう。
「(―殺したはずなのに!)」
手の中で暴れる銃の感触。耳をつんざくけたたましい銃声。ガクガクと揺れる男と暗闇に散った血液。
どれも、実感として身体に残っている。半時間も経っていない、つい先程のことだ。
なんでだろう? と柊かがみは考える。
誰かが死体を移動させている? ―そんな訳がない。男の周りに他者の反応はない。
ならば、思いつくのは―、
「(―不死者!?)」
とりあえずは、それしかない。実例は自分自身だ。不死者が存在するということは知っている。
そして、柊かがみはいままで失念していたある可能性に行き当たった。
それは、―この場に自分以外の不死者が存在するという可能性。
思い返せば、不死者の酒に添えられていた説明書には不死者の特性に加え、「不死者が不死者を倒す方法」も書かれていた。
不死者が不死者を倒す方法―そんなものは、その酒を飲む者が唯一の不死者ならば必要ないものだ。
不死身の身体というものに対して、柊かがみは希少性が高そうだという印象だけでそう思い込んでいたが、
自分の他に不死者が何人いてもおかしくはない。むしろ、その説明からはそれが必然だと思えた。
「……ど、ど、ど」
どうしよう? という言葉が口からでない。恐怖のあまりに漏れ出すのは意味をなさない吃音のみだ。
不死者は絶対的に有利だと言う前提で物事を進めてきたが、それは今覆ってしまった。
今思えば、あの男が何も手にせず裸で近寄ってきたと言うのも怪しく思える。
あの男が本当に不死者なのかということは、今からでも偽名のルールによって確認することもできるが、
もし本当にあの男が不死者で、自分を狙っていたのだとしたら……。喰われるのは、間違いなく体格的に劣る自分だろう。
271:新しい朝が来た 3/9 ◆AZWNjKqIBQ
07/10/09 19:13:50 2ona80TF
「(―逃げないと!)」
とりあえずはそれしかない。この場所に幾人かの不死者が存在するのだとしたら、不死というのはアドバンテージにはならない。
むしろ銃弾もすべて消費してしまった今、自分自身はそこらの女子高生とたいして変わりないのだ。
それに、あの男が銃弾に撃ち貫かれる様を自分に置き換えた場合。とてもじゃないが、自分はそれに耐え切る自信がない。
例え相手が不死者じゃないとしても、自分が不死者だと相手にばれればどんな殺され方をするか……。
「うわあああぁぁぁぁぁぁぁーーッ!」
思い浮かぶのはありとあらゆる残虐な方法で殺害される自分自身のイメージ。
柊かがみは朝日に背を向けると、悲鳴を上げながら広い道路を西へと懸命に走った。
不死者になんてならなければよかった。妹と一緒に死ねていたらよかったのに……と。
しかしそれももう叶わない。一度不死者となればもう安らかな死は望めないのだ。
彼女に残された道は誰も彼もを殺す非道の道しかない。
自身以外の全ての者を殺害し、螺旋王に全てを元通りに戻してくれと願う他にはないのだ。
【C-2/北東の端・路上/一日目/黎明】
【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]:疲労、恐慌、不死者
[装備]:軍用ナイフ、防弾チョッキ、UZI(9mm.パラベラム弾:0/50)、ローラーブーツ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:デイバッグ、支給品一式(水入りペットボトル×1消費)、レーダー、かがみの靴
[思考]
基本:優勝してつかさを生き返らせる
1.アイザック・ディアンから逃げる
2.つかさの仇をとるため人間を探して殺す
※風浦可符香を最優先
※今までよりかはやや慎重に相手を吟味する
※初めて出会う人間に対しては、偽名を名乗ってみて相手が不死者かどうかを確認する
※相手が不死者であったら、隙を見て喰う。敵いそうもなければ逃げる
3.つかさを埋葬するために戻る
※つかさを殺したのは武器を必要としないくらいの強者だと思っています。
※かがみの不死はBACCANOのアイザック、ミリア等と同じものです。
※かがみに支給されたレーダーは同エリア内のキャラ名と位置が表示されます
272:新しい朝が来た 4/9 ◆AZWNjKqIBQ
07/10/09 19:15:06 2ona80TF
◆ ◆ ◆
自分の存在が一人の少女に絶望的な恐怖を与えている。
そんなことは露ほどにも知らない男―アイザック・ディアン。
柊かがみが走り去って後しばらく経ち、朝日もその姿が完全に見えかかってきたという頃に彼はそこに現れた。
相変わらずの裸姿で足取りも軽く、そのまま道路を真っ直ぐ突っ切って南の路地の中へと通り過ぎてゆく。
迷いを微塵も見せずに去っていってしまったが、別に彼は考えなしで行動しているという訳ではない。
彼には彼なりの理由があって南を―正確には港を、更に限定すれば灯台を目指している。
自分自身が海の真ん中からスタートしたこと。
そこから陸地に上がればすぐに二人の男と出会えたこと。
さらに、その次に出会った少女が水兵(セーラー)服を着ていたこと。
それらを踏まえてアイザックは他の人間も海辺にいるのでは? と大雑把ながらに推論を立てた。
そして、海を観察するに最適な場所と言えば―、
「―灯台だっ!」
と言うことで、彼は一路灯台を目指して南へと向かっていたのだった。
彼方に見える、朝日を跳ね返して輝く海に向いアイザックは軽快に狭い路地を駆け抜けてゆく。
◆ ◆ ◆
さらに時は進み、朝を迎える寸前。チュンチュンと雀の鳴き声がはっきりと聞こえるようになってきた頃。
柊かがみの探し人であった風浦可符香は、街中にポツンとある小さな公園の中で朝食を採っていた。
錆の浮いた腰ぐらいまでの低い柵。風に揺られてギィと軋んだ音を鳴らす小さなブランコ。
象の姿を模したファンシーな滑り台。作りかけの山が放置されたままの小さな砂場。
そして、そこにさんさんと降り注ぐ朝日と、ほどよく流れる海からの涼風。
「絶好の朝食日和ですね。気持ちのよい朝に食べる朝食はまた格別です」
小さな公園の隅、塗装の半分剥げたベンチに座り風浦可符香は膝の上にお弁当を広げていた。
「全国駅弁食べ歩きセット」―それこそが、彼女に支給されていた食料である。
彼女は、その中でもとりあえずはオーソドックスな幕の内弁当を一番最初の食事として選択し、
だし巻き卵などを頬張っては一人悦に浸っている。
その所作から行楽ムードを振りまいている風浦可符香だが、その身に纏っている制服もまた
先程まで着ていた血塗れだったものとは変わっていた。
273:新しい朝が来た 5/9 ◆AZWNjKqIBQ
07/10/09 19:16:22 2ona80TF
「さすがドモンさん。持って行けなんて言うから何かと思えば紳士さんですね。」
風浦可符香は、ドモン・カッシュから受け取った荷物の中から一着の制服を見つけた時、そんなことを一人ごちた。
それは、セーラー服であることは同じだったが、襟にレースが入っていたり4つボタンだったりと、
それまでに着ていたオーソドックスなものと比べれば、かなり上品で可愛らしい感じがするものだった。
「あんな適当な誤魔化しがいつまでも通じる訳がありませんし、
それを見越してこんなものを用意してくれたドモンさんは本当に優しい人です」
誤魔化しとは彼女がドモンの前で語った血糊についての言い訳だ。
幸いなことに単純な彼には通じたが、そういった相手ばかりではないという事は冷静に考えれば解る。
夜が明けて、ますます血糊が目立つ様になってきた今、新しい制服を得られたのは彼女にとって僥倖であった。
制服と同じく血糊がびっしりとこびり付いていた聖剣も、公園内の水道で洗われて今はピカピカと陽光を反射している。
少なくとも誰かがルミノール液なんかをかけたりしないかぎりは大丈夫だろう。
「―ごちそうさまでした」
最後にうずらのゆで卵を飲み込むと、風浦可符香は丁寧にごちそうさまをして残った物をゴミ箱へと放り込んだ。
その後、朝日の方へと向かって信仰する神へのお祈りを手短にすませると、雑多に物が並べられた地面へと目を向ける。
そこには彼女自身が支給された物と、ドモン・カッシュより譲り受けた支給品がずらりと並んでいる。
聖剣と、今着ている制服に関してはその使い方になんら疑問を抱くことはなかったが、残りの物はやや不可解だった。
一つは抱えるほどの大きさがあるエメラルドグリーンのガラス管。
これは聖剣と一緒に入っていた風浦可符香自身の支給品で、陽の光の下で見てみれば綺麗な物ではあるが、
改めてじっくりと観察してみてもその用途は知れない。付属のメモにも、ただ「アンチ・シズマ管」とだけしか書かれていなかった。
ガラス管の両端についている蛍光灯と似た感じの金属の端子から、それは少なくとも電化製品のように見えるが……、
「うーん……。どこかに挿す……のかな?」
それをどこでどうすればよいのかは、やはり皆目検討もつかなかった。
もう一つは、新しい制服と合わせて入っていたドモン・カッシュの支給品だ。
綺麗なクロムメタルの2メートル足らずの鎖があり、その片端に50センチ程の太い杭。もう片端に大きなわっかが付いている。
メモによると名前は「ライダーダガー」と言うらしいが、どこがライダーでどこがダガーなのか風浦可符香には解らない。
とりあえずの印象は、大型犬やテントの端などをつなぎ止めておくための杭と鎖といった程度でしかない。
「うーん……。千里ちゃんだと喜びそうではあるんだけど……」
ぶっとい金属の杭は刺すための武器として使えなくもなさそうだったが、自分の細腕では刺すのは無理。
そう判断すると、風浦可符香はそれを他に広げていた地図やコンパス共々、鞄の中へとまとめて仕舞いこんだ。
「さてと……」
と、風浦可符香が鞄を担ぎ、改めて出発しようと公園の出口へと身体を向けると、そこには彼女を凝視する裸の男が立っていた。
◆ ◆ ◆
たまたま通りかかった公園の中に一人の少女を発見した時、アイザックは「しまった」と思った。
食事を済ませ、物珍しい雑多な道具を地面に広げて弄り回しているその様は、どう見ても―、
「(……あれは、手品のタネを仕込んでいる最中だよなぁ)」
手品師がそのタネを仕込む現場を見てしまう―それは、最大のタブーだ。
その禁忌を犯したことに対し、アイザックの胸中に罪悪感が満ちてくる。
とりあえずは見なかったことにするしかない。と、そぉっとその場を去ろうとしたのだが、それは一歩遅く、
道具を鞄に仕舞いこんだ手品師の少女と目が合ってしまった。
274:新しい朝が来た 6/9 ◆AZWNjKqIBQ
07/10/09 19:18:31 2ona80TF
◆ ◆ ◆
風浦可符香の目の前に裸の男がいた。裸といっても下着ははいているので全裸と言う訳ではないのだが、
この暖かなぽっかりとした日差しと合わせて考えると、目の前の男はどう考えてもストリー……、
「(―いや、そんなはずがありません。R18指定を受けたわけでもないのに突然そんな人が現れる訳がありません)」
唐突で不可思議な出会いに風浦可符香の頭は回転を始める。
目の前の男は「何者」なのか―?
「ゴメンッ! わざとじゃないんだッ!」
機先を制したのはアイザックの方だった。
風浦可符香が一言も発する間もな素早くに土下座をすると、すまないすまないと繰り返し謝った。
その勢いはすさまじく、これはある意味相手を退けさせるアグレッシブな攻撃的謝罪。と言える程でもあった。
「………………」
先手を奪われた風浦可符香は、彼女にしては珍しく僅かながらに同様していた。
また変な人が現れたぞ。などと、自分を棚に上げてそんなことを考えている。
「(……困ったなぁ)」
困惑する女子高生の前で、裸同然の格好で土下座する男。
ともすれば、いや普通に考えても誤解を招きかねない光景であった。そして、それはしばらく続く……。
◆ ◆ ◆
「……手品、ですか?」
突然の出会いの後、とりとめもなく一方的に語られる男の話を要約すると、
自分とミリア以外の人間は全員手品師で、彼はその全員から手品で殺されなければいけないのだと言う。
しかも、すでに2回も「殺されている」らしいのだが……。
「(新しいタイプの人ですね……)」
ともかくとして、そうと解れば話は早い。風浦可符香にとって取るべき手段は一つだけだった。
「じゃあ、私も手品を披露するんでアイザックさんはそこに立ってください」
と、アイザックを小さな砂場の真ん中へと誘導する。
アイザックは「種を見たけど見てないことになってるから」とか「痛くしないでくれよ」などと言いながらも素直にそこに立つ。
風浦可符香はそんな言葉を適当に聞き流しつつ、ベンチに立てかけてあった聖剣を持ち上げると―、
「うわぁ、綺麗な剣だな。俺、そんな綺麗な―ぁ!」
ズッ―と、聖剣をアイザックの胴体の真ん中へと刺しこんだ。まるで手品師の様に。
しかし、勿論彼女は手品師でも奇術師でもないので……。
刺されたの方はアイザックは、突然の痛みに加え、体内に異物が進入する違和感と、内蔵が持ち上げられる不快感の
三つの感覚に襲われると、一言も発する事もなく白目を剥き、お腹に剣を刺したまま砂場の上へと倒れこんだ。
そんなアイザックをどうということもないといった感じで見ていた風浦可符香は、今度は返り血を浴びない様
慎重に剣を胴体から抜き取ると、再びそれを洗浄すべく公園の端に設置された水道へと持っていく。だが―、
「あれ?」
蛇口を捻って水を出し、剣をそこへと持ち上げると―そこには何故か一滴の血もついてはいなかった。
275:新しい朝が来た 7/9 ◆AZWNjKqIBQ
07/10/09 19:20:38 2ona80TF
「あぁ、びっくりした。今度こそ本当に死んだかと思ったよ」
背後から聞こえる男の声に風浦可符香の身体がビクリと揺れる。
慎重に振り返ると、そこには殺したはずのアイザックが何事もなかったかの様に立っていた。
まるで、先程のことが本当に手品だったかのように。
風浦可符香は知らない。本当に不死者なる者がここに存在するということなど。
そして、不死者が「同じダメージに関しては馴れる」などということも。
それ故に、今回はそれこそ奇跡のような早さでアイザックが復活したということも。
知らないが故に、風浦可符香の目の前に現れたソレはまさしく彼女の夢見る奇跡―ポロロッカそのものだった。
◆ ◆ ◆
「あなたはポロロッカ星人だったんですね!」
可愛い水兵服を着た手品師の、突然の変貌にアイザックは目を丸くした。
目をキラキラとさせて迫ってくるが、彼女の言うポロロッカ星人とは一体……? いや、まてよ。
「ポ、ポ、ポロロッカ……、どこかで聞き覚えがあるような……? 確か、ハゲのおじさんが……」
この時、アイザックの頭の片隅に引っかかっていたのは、最初の場所で聞いた「ボルテッカ」である。
割と近い気もするが決してポロロッカではない。だが、風浦可符香も、そして彼自身もその間違いには気付かない。
「思い出せないんですか? ……まさか、記憶喪失! まるでピアノマンみたいですね!
でも、大丈夫です。私が一緒に行って、ポロロッカ星へと帰してあげますから!」
目の前の少女が言っていることがまったく解らないアイザックであったが、ノリに乗せらやすい性格のためか
どうやらそれは記憶喪失のせいらしいと彼女の言葉を鵜呑みにしてしまった。
言われてみれば、あの電車から降りた後の記憶が欠落しており、記憶喪失だというのなら合点はいく。
そして、ここからとってもおかしな二人の勘違いスパイラル(螺旋)は加速してゆく―。
「俺って、実は地球人じゃあなかったんだなぁ。いや、薄々そうじゃないかと思ってたんだけどな」
「間違いありませんよ。あなたみたいな人がポロロッカ星人でなければ、他にポロロッカ星人なんていませんよ」
「じゃ、じゃあミリアは? ミリアもポロロッカ星人だったっていうのか?」
「ミリアさんって誰ですか?」「実はかくかくしかじか……」
アイザックは更に洗いざらいにと自身の事を語る。自身の事に限らず、語ると言うことが好きな男なのだ。
そして、風浦可符香は彼の発言を一つ受け取るごとにうんうんと頷き、脳内にある大きな妄想を組み立てていた。
そして―、
276:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/09 19:22:25 MPx9w3Ou
277:新しい朝が来た 8/9 ◆AZWNjKqIBQ
07/10/09 19:22:56 2ona80TF
「 わ か り ま し た ! 」
風浦可符香は一体何が解ってしまったと言うのだろうか? それは―、
「アイザックさんとミリアさんは、ロミオとジュリエットなんですよ!
そして、アイザックさんのお父さんはあの螺旋王さんです。
そして、地球人との恋を許さない厳しいお父さんは、あなたの記憶を奪い二人を別れ離れにしました!」
その衝撃の新事実に、まるで足元が崩れ落ちたかのような衝撃をアイザックは受け、地に膝をつく。
「しかし! 安心してくださいアイザックさん。あなたのお父さんはそこまで冷酷ではありません。
これは二人の愛が本物だと認められるために必要な試練なのです!」
そうだったのかと。試練という言葉を耳にしたアイザックの身体に、今度は沸々と力が沸き上がり、再び彼を立ち上がらせた。
「あなたがこの試練を乗り越え、再びお父さんの元へと辿り着いた時。
その時こそ、二人の愛は認められ。そして、ポロロッカ星には14年に一度の春が訪れるのです!」
おぉ……と、天を仰ぐアイザックの口から感嘆の溜息が漏れた。
麗らかな日差しの下、幼児向けの小さな公園の真ん中で、顔を紅潮させて大いに盛り上がる裸の男と、聖剣を掲げる女の子。
第三者が見れば、「あぁ、本当に春だなぁ……」と、そんな風に思わせる面白い光景であった……。
◆ ◆ ◆
もう明るくなった路地の上を、二人の男女が楽しそうに駆けている。
それこそ今にもスキップしそうなぐらい、口から歌が流れ出てきそうなぐらい楽しそうに。
「それで、アイザックさんは今どこに向っているんですか?」
その片方の少女である風浦可符香が尋ねると、もう片方の男であるアイザックは鞄から地図を取り出し、
目をキラリと輝かせてそれに答えた。
「ここさ!」と言って自信満々に指差したのは―「ゴミ処分場」だ。
それに対して、どうして? という顔を少女が浮かべるとと、男は自信満々に自説を披露する。
「俺の親父は螺旋の王って名乗ったろう? つまりは、キーワードはその螺旋だ!
螺旋と言えば渦巻き。渦巻きと言えばトイレに流れる水と一緒で真ん中に集まる!
そして! この地図の真ん中にある集める場所と言ったらそう! この―ゴミ処分場だ!
そこに向かって、まず親父と話をしてみる。話し合えば解決できないことはないからな!」
牽強付会にも程があると言った感じではあったが、元々そんな風である二人にとってそこは気にならない。
「すっごいです! さすがはポロロッカの王子様。名探偵ですね!
でも、本当にそんな場所に王様が住んでいられるんですか?」
そんな当たり前の疑問に、アイザックはチッチッチッと口の前で指を振る。
「まだまだ甘いなワトソン君。そんな所だからこそ隠れる場所としては最適なのさ!
それに知っているかい? 残り物には福がある。捨てる神あれば拾う神あり―つまりは!
誰にも見向きされない、このゴミ捨て場こそが―」
278:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/09 19:24:04 MPx9w3Ou
279:新しい朝が来た 9/9 ◆AZWNjKqIBQ
07/10/09 19:25:14 2ona80TF
「「―真の自由人(ポロロッカ)の桃源郷(パラダイス)!」」
最後のセリフをはもると、遂におかしくなったのか二人はアハハ、アハハと笑い始めた。
アハハ、アハハと楽しげな、とても陽気で場違いな―そんな、笑い声を新しい朝に木霊させながら、
本当に本当に、見ている方が心配になるぐらいに楽しそうに朝日の下を駆けていった。
【C-3/市街地/1日目-早朝】
【アイザック・ディアン@BACCANO バッカーノ!】
[状態]:健康
[装備]:ボロボロになったパンツ一丁
[道具]:デイバック、支給品一式、賢者の石@鋼の錬金術師
ずぶ濡れのカウボーイ風の服とハット(※本来アイザックが着ていたもの)
[思考]
基本:螺旋王の試練を乗り越え、ミリアと結婚してポロロッカの王様になる
1.まずは螺旋王(親父)に会って、話し合いで解決できないか挑戦してみる
2.そのためにゴミ処分場に向かい、そこに隠された王城への入り口を探す
3.赤い宝石は、ミリアへ結婚指輪として贈ろう
※アイザックの参戦時期は1931年のフライング・プッシーフット号事件直後です
※殺し合いの意味を完全に勘違いし、終了条件は全員に(手品で)殺される事だと思っている
※自分はポロロッカ星の王子で、螺旋王は父親。それを記憶喪失で忘れていたと思い込んでいます
※この殺し合いの儀は、自分に課せられた試練だと思い込んでいます
【風浦可符香/@さよなら絶望先生】
[状態]:健康
[装備]:エクスカリバー@Fate/stay night、私立真白学園制服(冬服)@らき☆すた
[道具]:デイバック×2、支給品一式(食料-[全国駅弁食べ歩きセット][お茶])、支給品一式
ライダーダガー@Fate/stay night、アンチ・シズマ管@ジャイアントロボ THE ANIMATION
血塗れの制服(※元から着ていた物)
[思考]
基本:優勝してポロロッカ星に入国する
1.アイザックを利用して、自分がポロロッカ星に入国するための方法を探る
2.アイザックとミリア以外の人間は障害なので排除する
【私立真白学園制服@らき☆すた】
ラッキー☆チャンネルに出演している小神あきらが通っている学園の制服。
上のセーラー服は白を基調に黒いラインで、前は4つボタン。襟にレースがあしらわれている。
下のプリーツスカートは黒を基調に白いライン。
【ライダーダガー@Fate/stay night】
ライダーが通常時に使用していた武器。
50センチ程の杭-2メートル足らずの鎖-わっかという構成で、主に杭を投げて攻撃手段とする。
杭にはまったく返しや出っ張りがないのだが、一度ささると抜けにくいという特性がある。
魔力を持ってはいるが、宝具というわけではないので、通常の手段でも破壊可能。
【アンチ・シズマ管@ジャイアントロボ THE ANIMATION】
シズマ博士が完成させたシズマドライブに対して、フォーグラー博士が作った特殊なシズマ管。
全部で3本存在し、3本合わせて使用しないと本来の効果は発揮されない。
280:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/09 19:25:18 MPx9w3Ou
281:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/09 20:46:47 D3xENMH6
859 名前:最低人類0号 投稿日:2007/10/09(火) 00:19:23 ID:/MPv3jph
今日もゴキブリは元気だなあ。
えーと、とりあえず今後の展開を予想しつつ対策を考えてみよう。
未来を知り、覚悟すると言うことは『幸福』であるッ byプッチ
Gが俺ルール全開で議論を自演する。G以外は無視。
↓
新スレテンプレは従来どおり。多分それにGが噛み付く。交流所荒らしの時と同じ流れになるだろう。
↓
新スレは無効だとか議論に従えとか、Gがなんか適当なことを喚きだす。
ここまでは容易に予想できるね? ではその次。
そういう時にどうするか?
答え:何もしない。今までどおりに専ブラで無視し続ければいい
幾らGが何を喚いたところで、それは何の意味も無い。
削除人が動くなら、真っ先に削除されるのはGの発言群。
削除人が動かないなら、これまでどおりの素無視で問題なし。
で、万が一削除人が騙された場合。しかしこれでも全く問題は無い。
「複数の派閥があるなら、別スレですれば良いんじゃないですか?」の一言で完了。
交流所と違い、SSの投下という運用実績が生じる為、自称「G派」は全く言葉の裏づけを作れない。
また、交流所と違って、専ブラでのスルーが極めて容易であることも大きい。
結局Gは粘着荒らし程度しか出来ることは無く、無視し続けられるだけ、と。
もうさるさる避け虫に永久就職するしかないねえw 金払うのは(ネカフェに)Gだけどwww
860 名前:最低人類0号 投稿日:2007/10/09(火) 00:27:28 ID:/MPv3jph
つか、Gの言うしたらば派とやらと2ちゃんねる派とやらの「2つの派閥が存在する」って状況を演出しても、Gにはメリットなんて無いんだけどなあ。
「それぞれ別のスレでやってね」と言われてハイ終わり、だから。
まあ、それで問題大きくして削除人動かしたとして、真っ先に痛い目見るのはGなんだけどなw
861 名前:最低人類0号 投稿日:2007/10/09(火) 00:37:20 ID:/MPv3jph
あと名称問題を持ち出してくる可能性が非常に高いが、
「アニロワ2nd」と「アニメキャラ・バトルロワイアル2nd」の差異で区別する等、幾らでも躱せる手はある。
正当性云々は、寧ろGの方にこそ証明する手立てが無いので言い様が無い。
862 名前:最低人類0号 投稿日:2007/10/09(火) 01:02:46 ID:STKplfy6
殺虫剤置いとく。
「SS投下スレの住人とはSSを投下する人間のことである」
葉鍵の頃からGが越えられない絶対的な壁だな。
863 名前:最低人類0号 投稿日:2007/10/09(火) 02:09:09 ID:eMReoG8U
アニロワ見てないからGの事なんかとっくに忘れていた。
864 名前: ◆ncKvmqq0Bs 投稿日:2007/10/09(火) 07:19:50 ID:KEmMoQV+
あー、長かったなG撲滅誘導作戦。
アニロワ毒吐きで、削除以来に視線を向けさせるため自演をし、削除依頼で我こそは正統と感情的に言い出すまでわざと感情的になり、
暴発して本スレで証拠つくり、のための大々的な荒らしをするまで証拠を求め、そこで、スレに固執する発言をするまでスレ違いだと主張したり……
第4フェイズまで見事に俺の誘導にはまってくれてありがとう。
お礼に一つ教えてあげよう。
君みたいに、削除議論までやってきて自己の正当性を語る荒らしが抹消されないため絶対にやってはいけないことって知ってる?
それは、「スレと、そのルールに固執する発言を大々的におこなうこと」だよ。
俺こそが、このスレで正しいんだ!ルールはこうするべきなんだ!と荒らしが声高に主張すると、どうなるか分かる?
「そうですか、ならあなた方はこちらでそうやって活動してください、我々は別の分家スレを立てて活動しますので、
あなたのところではそれが荒らしでないと言い、それ(荒らしの内容 今回ならコピペ)をやりたいなら貴方のところで。
我々は、それを荒らしとみなし、スレを運用させますので。お互い、スレ違いは誘導しあう、と言うことでいいでしょう?」
と言い出されてその瞬間詰むんだよwなにしろ、荒らしの行為を明確にスレ違いにして、受け皿をはっきりと用意できるからなw
ラウンジクラシックでまったく同じ目にあったの忘れたんかお前www2回も同じトラップに引っかかるなよwww
さぁて、最後の第5フェイズは何を荒らし行為とみなすかスレの詳細を、バカが喚かないように「2chで」決めて分割するだけ。
あとは、荒らしたら坦々と削除依頼を出すだけだ。
282:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/09 20:47:51 D3xENMH6
865 名前:最低人類0号 投稿日:2007/10/09(火) 12:08:32 ID:jGCHRh4d
あんたは好きではないけど方法は正しいと思う。
だけど他スレ住民にしてみりゃただでさえCに乱立されて、さらに荒らしに一スレくれてやるのはあまりよい気はしないと思わないでもない。
どうせIDいらないんだし他板に移動とかどうなんだろね。集客力的に今のとこはベストか?
866 名前:最低人類0号 投稿日:2007/10/09(火) 14:57:33 ID:/MPv3jph
乱立スレってのは、只でさえ少ない書き手が分散してしまう可能性の有るモノを言うんだ。
GだのCだののアレは、乱立スレといっても、実質的には只の隔離所だし。
あんなのに引っかかる書き手は書き手未満。空気読む能力的に。
867 名前:最低人類0号 投稿日:2007/10/09(火) 16:57:32 ID:dNRqmN7c
そういうことじゃない。
他スレ住人にしてみれば板を圧迫する+似たような名前のスレが落ちずに残り続けるのは困るだろうって事なんだよ。
自ロワのことしか考えないのは傲慢だろう?
まあ、逆に言えばもう一つくらい増えても誤差だから自治スレに荒らし来るよりはよいと考えてくれるかもしれんけども。」
868 名前:最低人類0号 投稿日:2007/10/09(火) 16:59:47 ID:3EOuTADr
削除依頼ktkr
またしたらば派の陰謀だのなんだのぬかすんだろうかな
どんなポカやらかすのか楽しみだw
869 名前:最低人類0号 投稿日:2007/10/09(火) 18:07:03 ID:PLcf9K/0
さっそくGが議論スレに突貫している件。
これを見る限り奴は昨日の夜8時から今日の朝6時+
12時、そして夕方にかけてスレに張り付いている事になる。
……今日って平日だよな?
870 名前:最低人類0号 投稿日:2007/10/09(火) 18:15:43 ID:rmah9/za
ドラキュラをも上回る超不健康生活だなw
夜行性+起床時はほとんど(全部?)ネット閲覧って・・・
871 名前:最低人類0号 投稿日:2007/10/09(火) 19:44:32 ID:hMLFGhYU
ゴッキブリ!ゴッキブリ!
283:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/09 20:57:31 miglzRZR
どうしても彼等は反対者は一人だと思い込みたいようだなあ
284:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/09 21:40:50 Xi5pMwW3
まあIDそのままで自演してる例もあるし、
そう多くないだろうな
285:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/09 22:09:28 hBPHqZtC
それはわざとやってんじゃねーかなとも思うんだ
ただ、もし仮にバトロワスレを二つとか3つとか
この板の中で乱立するような事があるのなら
それは避ける行動を取らざるを得ないだろう
また、したらば掲示板のサイト管理者が別板への移動を仮に決断したら
このスレに止める権利はない
286:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/09 22:27:43 nbEkTjcV
でも、したらばはこの板じゃなくても2chならどこでもよかったりな
>>281-282からはそんな感じもするよ
287:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/10 06:11:58 Px3muFzU
ただ利用するだけって感じだな>したらば
288:セカンドチャンス ◆RwRVJyFBpg
07/10/10 07:27:50 /QXwjzwv
夜明けの高速道。
黒い道とグレーの壁が延々と続くそこを、衝撃のアルベルトは東に向かってひた走る。
腕を組み、葉巻を吹かしながらの高速度走行。
上半身を全く動かさずしてアスリート以上のタイムをはじき出すそれは
身体能力に欠ける人間には決して真似できない超人芸である。
しかしながら、アルベルトはBF団にその名を連ねる裏世界のトップ10、十傑集が一人。
このくらいの芸当は朝飯前であった。―本来ならば。
現在、アルベルトの額にはいくつもの汗の玉が浮かんでいた。
呼吸は不規則に乱れ、心臓は明らかにいつもよりアップテンポにビートを刻んでいる。
また、走行に伴う振動が伝わるたび、先ほどの戦いで受けた傷がジンジンと痛みを主張する。
ただ走る程度でこの体たらく。
そんなことになってしまったのは何故か。
もちろん、この世界が一定以上の超越的能力に対して課している制限も理由の一端を担っていたが
もっとも大きい要因は、単純に、彼が大きく消耗していたという事実であった。
(くっ……思ったよりも疲労が大きい)
アルベルトは歯噛みする。
彼は東方不敗との戦いで、予想以上のダメージを被ってしまった。
ここが殺し合いゲームの盤の上であることを考えると
初っ端からこのようなアドバンテージを背負うのは正直、好ましくない。
もし、この不完全な状態のまま、もう一度、東方不敗クラスの人間と戦うことになれば、今度は命の保証がない。
一般論で言えば、ここは一刻も早く休養をとり、体力を回復させるべきだ。
しかし、彼は、衝撃のアルベルトはそうしなかった。
彼には今や休むことのできない理由があった。
(戴宗……貴様はどこにいる?)
神行太保・戴宗。
BF団の宿敵、国際警察機構の幹部であり、自分から右目と無二の親友を奪った男。
彼の生涯最大のライバルと言っていい人間。
二人は既にお互いの手の内を知り尽くすほど、死合いを重ねていたが、未だその決着は着いていない。
いや、正確には着いていなかったというべきか。
(あんなものが、あんなものが決着などと……ワシは絶対に認めんぞ)
アルベルトがこの世界に召喚される直前にエージェントとして参加していた一つの作戦
上海油田壊滅作戦の過程において、彼は確かに戴宗を打ち破り、息の根を止めていた。
だが、それは、長年戦い続けてきたライバル同士の決着としては、あまりに不本意なものであった。
作戦の最終局面、戴宗は仲間を逃がし、上海油田を守るためにあえて自ら盾になり、命を散らしたのだ。
彼はアルベルトと力の優劣をつけることよりも、仲間を、世界を守ることを選んだのである。
だが、アルベルトにとって、その結末は、到底納得のいくものではなかった。
(ワシとお前の決着はお互いの全てを出し切り、ぶつかることによってのみ着けられるはずだった!
ワシとお前の戦いは、十傑集と九大天王の戦い、BF団と国際警察機構との戦いだ。
その高貴な戦いが、あんな形―ワシとお前の実力以外で決まることなど許されん!)
彼はそのように考え、望んでいた。
しかし、その望みは戴宗の死によって永遠に絶たれ
彼はこれ以降、悔恨を抱えながら生きねばならないはずだった。
―もし、この場に呼ばれることがなかったなら。
289:セカンドチャンス ◆RwRVJyFBpg
07/10/10 07:29:30 /QXwjzwv
走りながらスーツの内ポケットに手を差し入れ、一瞬で引き抜く。
その手に握られていたのは、一枚の紙。この殺し合いの参加者名簿。
アルベルトはその中の一点を見つめると、口の端をわずかに上げ、薄く笑った。
このゲームが始まってから何度目になるか分からない確認作業。
彼が見つめるそこには一つの名前が間違いなく書かれていた。
―神行太保・戴宗
嘘かもしれない。同名の別人かもしれない。もしくは何かの罠かもしれない。
その記述を否定する理屈はいくらでもこねることができた。
だが、そんな瑣末な理屈はどうでもよい。
戴宗がこの場にいる。戴宗ともう一度戦える。
そう考えるだけでアルベルトの胸は自然と躍った。全身に負った傷も心なしか軽く感じられた。
それは、失ったモノへの飢えがもたらす、この上ない興奮だった。
だから、アルベルトは休むわけにはいかない。
戴宗は自分との決着よりも、正義やら仲間の命やらを重んじる男。
もし、殺し合いに巻き込まれた弱者や、殺し合いに乗った悪党を見たならば、強きを挫き、弱きを救うだろう。
自らの命を顧みず、あの上海油田のときのように。
もしかしたら、戴宗はその果てに命を落とすかもしれない。あのときと同じように。
それだけは、それだけは何としても阻止しなければならない。
そんなことになってしまえば自分はもう耐えられないことをアルベルトは知っていた。
だから、会わねばならない。戴宗が生きているうちに、一刻も早く。
そして決着を。今度こそ正々堂々、正面から決着をつけるのだ。
290:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/10 07:30:06 KIWdgulf
291:セカンドチャンス ◆RwRVJyFBpg
07/10/10 07:31:07 /QXwjzwv
◆
「むっ!?」
高速道の途中、A-6とA-5の境界付近に差し掛かった時、アルベルトは不意に足を止めた。
そこは今までと何の変わりもない高速道路。黒い道とグレーの壁と銀の照明だけがただ立ち並ぶ、そんな場所。
しかし、彼はその景色に潜むわずかな違和感に気がついていた。
「出て来い。ワシに隠行は通用せんぞ」
どこも同じに見える壁の一点、照明の支柱を設置するために壁が凹んでいる一点を睨みつけ、言い放つ。
一瞬の沈黙の後、照明の支柱の裏側、コンクリート壁との間から人影が現れた。
出てきたのは、派手なマスクを被り、軍服を身に纏った長身の男。
その身体は肉付きがよくガッチリとしており、とてもあの狭い隙間に潜んでいたとは思えない。
「私の隠れ身の術を見破るとは……貴様、只者ではないな?」
「フン、幸いなことに忍者の同僚には恵まれておってな。そのテの術は一通り経験済みよ」
彼の隠れ身はゲルマン流忍術熟練の技であり
余程のことがなければ見抜かれることのない代物であったが、今回ばかりは相手が悪かった。
マスク・ザ・レッドや直系の土鬼、混世魔王・樊瑞といった
一流の忍者・道士たちの技を日常的に眼にしているアルベルトにとって
この程度の隠れ身を見破るのはさほど難しいことではなかったのである。
「で、貴様一体何者だ?こんなところでコソコソと……何をしていた?」
アルベルトが問う。その語調は、静かながらも剣呑なものであった。
292:セカンドチャンス ◆RwRVJyFBpg
07/10/10 07:32:42 /QXwjzwv
「私の名はシュバルツ・ブルーダー!殺し合いをするつもりはない!
身を隠したのは、相手が何者か知れなかったが故、様子を見ようと考えてのこと。
どうか許してもらいたい」
シュバルツはいつもの堂々とした調子でこれに答える。
隠れ身を看破されたにもかかわらず、その声にさしたる動揺は見られない。
だが……
(厄介なことになったな……)
覆面の裏の顔に一筋の汗が流れる。
外面こそ平静を保っていたが、シュバルツは内心焦っていた。
彼は先ほどの邂逅の後、少しの逡巡を経て、ドモンと名乗った少年に接触することを決めていた。
少年がどういうつもりで偽名を使っているのか、正直、見当もつかない。
だが、何にせよ、年端もいかない男の子を一人で殺し合いの場に放置するわけにはいかない。
そう判断したのである。
赤い髪の少年には、男の子に接触し、保護した後に追いつけばいいだろう。
まだ、そんなに遠くには行っていないはずだ。
万が一見失ってしまった場合だが、そのときは……残念だが諦めるしかない。
だが、赤髪の少年も自分も目指す目標は同じ。いる場所は違えども、お互いに縁があれば、再び会うこともあるだろう。
彼がアルベルトの気配を感じ取ったのは、そうして考えをまとめ、少年の後を追おうとした矢先だった。
一瞬、接触することも頭をよぎったが、こうしている間に少年に何かあったら大事だ。
知り合いでなければ声をかけずにやり過ごすつもりでいたのだが、まさか発見されるとは夢にも思っていなかった。
シュバルツは注意深く、目の前の人物を観察する。
黒いスーツに片眼鏡の中年男性。全体に上品な雰囲気を漂わせており、外見だけなら上流階級の人間にも見える。
だが、それが、彼の本質でないことは、彼の発する雰囲気から明らか。
一片の隙もなく地面に屹立したその身体からは、押し殺された闘気と殺気が漏れ出し
今にもシュバルツに向かってその牙を剥かんと構えているかのようだ。
話をしてみなければ男がどういう人間かは分からないが、第一印象だけでものを言うなら
どちらかと言えばこのゲームに乗りそうな、暴力的な人間に思える。
身体能力の方も、ここまでの走行を見ている限り、ガンダムファイターと互角かそれ以上。
もしも、ここで話がこじれ、戦うことになれば、苦戦は必至だろう。
(ここはできれば穏便に済ませたい……だが、もしもこの男が殺し合いに参加するというのなら!!)
シュバルツは拳を硬く握り、気を張り詰める。
男が殺し合いに乗っている人間だとしたら……みすみす見逃すわけにはいかない。
しかし……
293:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/10 07:33:16 KIWdgulf
294:セカンドチャンス ◆RwRVJyFBpg
07/10/10 07:34:21 /QXwjzwv
「そう構えるな。心配せんでも貴様を殺す気などない」
アルベルトが返したのは、案外と穏当な返事であった。
彼は、シュバルツがその応えの意味を飲み込み終わり、警戒を解くのを待ってから言葉を続ける。
「申し遅れたな。ワシの名はアルベルト。
シュバルツよ、貴様に聞きたいことがある。戴宗という男を知らんか?」
白い頭巾を被り、赤と白の民族衣装に身を包んだ東洋人の若者。
手や足からジェット噴射のように衝撃波を出す拳法の実力者―
戴宗の特徴を聞いたシュバルツの頭に、東方不敗の姿が思い浮かんで消えた。
「いや、残念ながらそんな人物は知らんな」
「そうか」
アルベルトは、気のない調子で返事を返す。
この80余名の人間がいるこの会場でただ一人の人間の行方を問うたところで
有効な情報がそうそう得られないことくらい、彼は初めから予想済みだった。
だから、この後にする提案についても事前に抜かりなく用意ができていた。
「では、お前に伝言を頼みたい。もし今後、戴宗に会うことがあれば……」
◆
「分かった。戴宗とやらに会ったときは、その言葉、間違いなく伝えよう。
……だが、貴様、その男とはどういう……?」
伝言を聞き終わったシュバルツは引っ掛かりを感じずにはいられなかった。
アルベルトが託したそれは、ただ単に仲間と合流するためのものにしては
いささか不可解なものだったのである。
生じた疑問を解消するため、彼は目の前の男に対し、質問を試みようとする。
だが、それは、完全な質問の体をなす前にアルベルトの一言によって打ち消される。
「詮索は無用。貴様はただ伝言を伝えてくれればそれでよい」
「なっ!」
「ワシにはお前達といちいち話をしている時間はないのだ!」
295:セカンドチャンス ◆RwRVJyFBpg
07/10/10 07:36:31 /QXwjzwv
シュバルツにとって、この答えは予想外のものであった。
……しかし『答えられない』という答えはある意味で彼が抱いた違和感を払拭する。
つまり『答えられない』ということは、アルベルトと戴宗は『他者に知られたくない関係』だということだ。
少なくともアルベルトにとっては。
だが、もしそれが正しいとすると、また新たな疑問が生まれざるを得ない。
すなわち「この場において『他者に知られたくない関係』とは一体何か?」ということである。
シュバルツは、表情を変えないアルベルトの顔を見据えたまま考える。
しかし、彼の頭に答えが浮かぶことはなかった。
実は一瞬だけ「まさかおホモだちかっ!?」という考えが浮かびかけたのは秘密だ。
「そう怖い顔をするな。貴様が納得いかんのもまあ、分かる。
……だから、タダで伝言を伝えてくれとは言わん。取引といこうじゃないか」
アルベルトの一言で、思考の堂々巡りから現実へと引っ張り戻される。
「……取引だと?どういうことだ?」
ワケが分からぬまま、シュバルツは思ったことをそのまま口に出す。
「もし貴様がワシの伝言を引き受け、かつ、これ以上の詮索をしないというなら……
ワシもお前の伝言を一つ預かってやろう。ワシもお前が誰にどんな伝言をしようと詮索はしない
しかも……」
言いながら、彼はズボンのポケットへと手を伸ばし、何かしらの道具を取り出した。
シュバルツは警戒し、身を硬くするが、次の瞬間にはそれが武器でないことを理解する。
アルベルトの手の中で朝日を受け、銀色に鈍く輝く長方形の機械―それは、ボイスレコーダーだった。
「貴様の場合は、肉声伝達のサービスつきだ。こうしておけば貴様の仲間にワシが疑われることもあるまい?」
「……なるほどな」
「どうだ?リスクなしで仲間と会える確率が上がるのだ。悪い話ではなかろう
ああ、貴様の声をネタに仲間に取り入り、不意打ちされるのが心配か?
それなら、ワシが信用ならん奴だということを伝言と一緒に吹き込んでおくことだな。
幸い、このレコーダーは旧式でな。編集機能までは付いておらん」
その真偽を確かめるため、シュバルツはレコーダーを手に取り、機能を確かめる。
なるほど。一通り見た限りでは、確かに編集機能は付いていないようだ。
だが、やはり引っかかる。妙な言い回しの伝言も。彼が纏う物々しい雰囲気も。
シュバルツの本能は、目の前にいる男の潜在的な危険性を鋭く嗅ぎ取っていた。
アルベルトがもしも、何かしらの陰謀を企んでいるとするならば、ここでその芽は摘んでおかなければならない。
296:セカンドチャンス ◆RwRVJyFBpg
07/10/10 07:38:13 /QXwjzwv
「……三つ質問がある。伝言への詮索以外でだ。
両方の質問に納得の行く答えが返ってきたならば、この取引、乗ってやろう」
「……いいだろう。言ってみろ」
若干不愉快そうな表情を見せるアルベルト。
だが、彼は物怖じすることなく、むしろはっきりと質問を口にした。
「一つ!貴様は結局、殺し合いに乗っているのか否か!?
二つ!貴様はこれ以後もこの『取引』とやらをやり続けていくつもりなのか!?
三つ!この『取引』を断った人間をどうするつもりなのか!?
自らの主張を通したくばこの三つ揃い、全て明確にお答えいただこう!」
目を見開き、指を突きつけて詰問する。
アルベルトは不機嫌な顔のまま、低い声で答えを口にした。
「……よかろう。
一つ、ワシはこんな馬鹿げた殺し合いに喜び勇んで参加するほど阿呆ではない。
二つ、その通りだ。
三つ、どうもせん。交渉が決裂したなら、黙って去るだけだ。ただ……」
瞬間、空気を切り裂く鋭い音が響く。
頭がそれを何か理解する前に、シュバルツの身体は素早く反応し、身をよじっていた。
次の刹那、さっきまで、彼の頭があった空間を細長い何かが貫通し、壁に突き刺さった。
警戒を強めながら、横目でそれを見る。
刺さっていたのは、アルベルトが咥えていた葉巻だった。
「ワシの時間を必要以上に浪費させる輩に容赦はせん。
さあ!ワシは答えたぞ!そっちの答えを聞かせてもらおうか」
言葉に反応し、シュバルツが向き直るのと、頬に熱を感じたのとはほぼ同時だった。
覆面が切れ、赤い血が滲んでいる。
アルベルトが口から放った葉巻は、顔をかすっていたのだ。
その事実を認識した時、彼の答えは決まった。
297:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/10 07:39:22 KIWdgulf
298:セカンドチャンス ◆RwRVJyFBpg
07/10/10 07:39:58 /QXwjzwv
◆
「さあ!ワシは答えたぞ!そっちの答えを聞かせてもらおうか」
「いいだろう。こちらの答えは……NOだ!」
そう言い放つとともに、シュバルツは即座に構えを作り、臨戦態勢に入る。
「……どういうつもりだ、貴様」
口調が震えている。
もはや、彼の不機嫌は静かな怒りの域にまで達しようとしていた。
「細かい事情はよく分からんが、貴様の心は今、戴宗という男に会いたいがあまり、焦り、乱れきっている!
そのような曇った心では、例えお目当てに再会したところで幸せな結果は招くまい!
むしろ、貴様の荒れた心は暴力を呼び、力無き人々を傷つけるだろう!
ならば、今ここでその心、私が叩きなおしてくれるッ!」
シュバルツは毅然と言い放つ。
彼が納得できなかったのは三つ目の答え。自分の足を止める人間は容赦なく殺すという意味の返答。
その言葉は、止める側の人間の事情を等しく考慮しないということを示している。
力の無い人間が話しかけてきたアルベルトを頼っても
赤い髪の少年のような正義バカが仲間に誘うためにしつこく勧誘しても
彼はやはり、自らの道を塞ぐ者に対しては非情だろう。
少し質問を投げかけただけで脅しをかけてくる短気さからも、それは容易に読み取れる。
だから、シュバルツは取引を否定した。代わりに、純然たる対抗の意志を示して見せた。
それに対してアルベルトは―
299:朝っぱらから何やってんだこいつは
07/10/10 07:40:40 w9M1DLF1
296 名前:名無しセカンド 投稿日: 2007/10/09(火) 22:51:07 ID:oVRPqis.0
>痛くても辛くても戻らないから
三者ともカッコ良くて素晴らしい戦いでした。
風前の灯となったロイが新たな火種になれるのか期待大。
>極大射程
終始コミカルなノリで進行しつつも次回は……な展開。
なんですがビクトリームの体がどうなるのかが気になって仕方ありません。良い意味でバカすぎるw
>新しい朝が来た
誰かは脱落する。そう思っていた時期が私にもありました。
蓋を開けてみたらなんという異次元。カフカに付いていける生命体が存在するなんて……アイザック、おそろしい子…!
297 名前:名無しセカンド 投稿日: 2007/10/09(火) 23:41:34 ID:D5h62R6E0
新しい朝が来た投下乙です
ちとアイザックがバカすぎる気もしましたが、相手がカフカならしょうがないと思えてしまうw
誰かかがみを救ってあげて、やり方は自由で
298 名前:名無しセカンド 投稿日: 2007/10/09(火) 23:45:58 ID:tJ7CWo420
馬鹿と電波の組み合わせが凶と出るか吉と出るか…怖いな
しかしアイザック、SS書かれる度に不死者じゃなかったら致命傷級のダメージ食らってるなw
299 名前:名無しセカンド 投稿日: 2007/10/10(水) 00:49:14 ID:uObdoWrA0
高遠なんだが船の資料からいきなり名簿の存在に考えがいくのは
さすがにいくらなんでも頭よすぎね?
300 名前:名無しセカンド 投稿日: 2007/10/10(水) 01:02:47 ID:bYLPwWTY0
>>299
高遠ではよくあること。
あいつの探偵能力と鼻の利き具合は異常。
301 名前:名無しセカンド 投稿日: 2007/10/10(水) 01:10:28 ID:oTLMPCcs0
というか金田一の犯人達のトリック考える思考回路は異常。
そして、それを解く金田一も異常。
302 名前:名無しセカンド 投稿日: 2007/10/10(水) 07:38:52 ID:atnANCfM0
ていうかそんな複雑なトリックじゃなくてもバレずに殺せるのにそこまでトリックにこだわる思考が異常
300:セカンドチャンス ◆RwRVJyFBpg
07/10/10 07:41:42 /QXwjzwv
「クク……フフフ……アハアーッハッハッハッ……分かった。よく分かったぞシュバルツ・ブルーダー……
―そんなに死にたいのなら、ワシがこの手で地獄に送ってやるわァ!!」
吼え、そして走る。
風のように一瞬で間合いを詰めると、その両腕が、バルカン砲のように唸り、凄まじい連撃を繰り出した。
だが、その嵐のような拳は一撃たりともシュバルツの身体を捉えない。
暴風に晒される柳のようなスウェーバックが、全ての拳に空を打たせていた。
「ハーッハッハッハッハッ!未熟未熟ゥ!威勢がいいのは口だけか!?」
ギッという鈍い音が鳴る。
シュバルツがアルベルトの右腕を上からの左腕で押さえ込んだのだ。
パンチの威力をそのまま利用し、彼は素早く懐に入り込むと、上半身を右腕の下にあてがい
そのまま―投げ飛ばした。
「うおおおおおおおお!!??」
細く、長いアルベルトの肢体が勢いよく、コンクリートの地面に叩きつけられる。
普通の人間ならば、これだけで尋常でない痛みを受け、そのまま大地に沈む羽目になるだろう。
しかし、不幸なことに、衝撃のアルベルトは普通の人間ではなかった!
「調子に乗るなぁ!!」
両腕をコンクリートが砕けるほどに地面へ叩きつけ、彼は受身をとっていた。
投げの衝撃を殺しきるや否や、そのまま腕を支点に長い足を半円状に振るい、シュバルツの足を刈る。
「うおっ!」
「ここまでだぁ!!」
足を振るった余勢をかって、そのまま足先から空に飛び上がるアルベルト。
星の重力は浮き上がった男を吸い寄せ、再び地面へ戻そうとする。
彼はその力に逆らわず、利用して、更なる一撃を覆面の戦士へと試みる。
シュバルツは先ほどの足払いで態勢を崩されており、アルベルトのエルボードロップを避ける手段はない
―かに思えた。
「フン!」
シュバルツは崩れかけた態勢をわざと自分からさらに崩し、ブリッジのような形で頭の後ろに手をつく。
そしてそのまま、足を跳ね上げバック転。その足の先にはアルベルトの顎があった。
「グオオ!!?」
下顎部を蹴り抜かれ、ほんの一瞬だけ意識を飛ばされかけたアルベルトだったが、地上に落ちるまでには
正気を取り戻し、両手を地面について間合いを取った。
一方のシュバルツも蹴りを放った一回目から続けてバック転を行い、後方へと退避していた。
高速道路の中央線を挟み、二人の男が再び向かい合う。
301:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/10 07:41:49 w9M1DLF1
かがみ、アイザック・ディアン、風浦可符香 投下します。
344 名前: ◆AZWNjKqIBQ 投稿日: 2007/10/09(火) 19:25:59 ID:123UgdKs0
投下終了しました。支援感謝です。
345 名前: ◆LXe12sNRSs 投稿日: 2007/10/09(火) 22:26:27 ID:lDkTKfRo0
鴇羽舞衣、シモン、ニコラス・D・ウルフウッド、チェスワフ・メイエル、ジェット・ブラック、ティアナ・ランスター予約します。
346 名前: ◆5VEHREaaO2 投稿日: 2007/10/09(火) 23:57:39 ID:/fYb.jkI0
こ、今度こそ大丈夫かな?
読子、スパイク、はやてで予約します。
347 名前:名無しセカンド 投稿日: 2007/10/10(水) 00:33:26 ID:kZC8/tTY0
10/11(木) 1:00ごろに期限が切れる予約
◆10fcvoEbko氏 ミー、クレア
10/12(金)に期限が切れる予約
◆LXe12sNRSs氏 鴇羽舞衣、シモン、ニコラス・D・ウルフウッド、チェスワフ・メイエル、ジェット・ブラック、ティアナ・ランスター
◆5VEHREaaO2氏 読子、スパイク、はやて
348 名前: ◆RwRVJyFBpg 投稿日: 2007/10/10(水) 07:25:57 ID:GPnLEvqY0
衝撃のアルベルト、シュバルツ・ブルーダー投下します。
書いている途中で展開が変わってきてしまったせいで
夜に投下するつもりが朝になってしまいました。
大幅に遅れて申し訳ないです。
302:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/10 07:43:11 MGLwiS2h
あんまおもしろくねえな
303:セカンドチャンス ◆RwRVJyFBpg
07/10/10 07:43:22 /QXwjzwv
「フン……意外とやるではないか」
「そちらこそな。プレッシャーに見合うだけの実力は持っているというわけか」
お互いの実力を讃えあいながら、二人のファイターは相手の隙を狙い、睨み合う。
しばしの沈黙が続いたあと、二人は同時に両腕を広げて構えをとり、そして叫んだ!
「シュトゥルム・ウント・ドランクゥゥゥゥッッッ!!!!」
「うおあああああああああああああ!!!!!」
シュバルツの首から下が高速回転を始め、やがて見えなくなる。
今や、彼の体は、首の付いた黒い竜巻と化していた。
滑稽な姿と侮る無かれ、なぜなら、彼を覆う竜巻は、全てを切り裂く真空の刃なのだから。
自らを、一個の風の弾丸と化し、体当たりで敵の威力を打ち砕く。
それがガンダム・シュピーゲルの、それを操るシュバルツ・ブルーダーの必殺技!
シュトゥルム・ウント・ドランクなのだ!
一方のアルベルトも、使う技は奇しくもシュバルツと同系統。
自らの衝撃波を体の回りにまとわせて、自らの四体を紅い竜巻と化す。
不細工な姿と笑う無かれ、なぜなら、彼を包む竜巻は、全てを打ち砕く闘う鎧なのだから。
自らを、一個の雷の剣と化し、体当たりで敵の威力を打ち砕く。
それがBF団十傑集の、衝撃のアルベルトの必殺技!
ちなみに名前はまだ無い!
黒と紅、二つの竜巻が逆向きの疾風を起こしながら睨み合っている。
逆巻く風は壁と為り、中央線の上空で、既に火花を散らしている。
「行くぞ!」
「応!」
気合一閃。二つの竜巻は一気にその距離を減じると、轟音をあげてぶつかり合った。
お互いがお互いを弾き合い、また引き合って、弾き合う。
そうするうちに黒と紅、二つの風は混ざり合い、やがて、一つの竜になる。
中央線の上空に天高く舞い上がるノワールとルージュのつむじ風の中で、二人の男が殴り合っていた。
その様はさながら、阿修羅の拳闘。
いくつもの腕がお互いを捉えて叩きあい、いくつもの傷が刻まれていく。
二色に絡む、疾風のヴェールに包まれたその中心で、男達は潰しあう。
シュバルツの左フックがアルベルトの右頬を捉えれば、黒い竜巻がその気勢を増し
アルベルトの右ストレートがシュバルツの鼻をへし折れば、紅い竜巻が猛威を奮う。
どちらも退かず、一進一退。風の中の攻防は全くの互角だった。
304:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/10 07:45:27 u+ejlR5q
ていうか表現方法が陳腐
305:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/10 07:46:37 KIWdgulf
306:セカンドチャンス ◆RwRVJyFBpg
07/10/10 07:46:40 /QXwjzwv
だが、全ての物事に終わりがあるように、この戦いにも終わりはやってきた。
不意に、紅い竜巻がその円周を膨張させ、黒い竜巻を飲み込んだ!
それと同時に、穴だらけの覆面をした男―シュバルツが竜巻から飛び出してくる。
彼は竜巻を足で蹴って跳ぶように、バックステップで空中へと躍り出た。
「逃がすかァ!」
荒々しい声をあげ、シュバルツを追いすがるように飛び出したのは擦り切れたスーツの男―アルベルトだ。
彼もまた、竜巻を足場にジャンプ。シュバルツの上空を確保する。
二人が風の中から抜け出ると、逆巻いていた暴風は嘘のように収まり、消えてしまう。
「これで終わりだァッ!!」
「そうはさせん!」
上を取り、シュバルツに渾身の一撃を叩き込まんとするアルベルト。
そんな彼の下にあって、シュバルツは全く動揺していない。
冷静に額へと手を遣り、今まで隠しておいた武器を手に取ると、空中で素早く投擲する!
「喰らえっ!」
「あまァい!」
だが、現実はあまりに非情だった。
シュバルツが投げた起死回生の一手、虎の子のブーメランは
アルベルトが体を捻っただけであっさり虚空へと消えていってしまう。
「ぐっ……」
「フン、どうやらここまでのようだな」
覆面の下で顔を歪めるシュバルツを見て、アルベルトは勝ち誇った笑みを浮かべる。
有利な態勢。通用しなかった奥の手。そして万策尽きたと見える敵の表情。
彼は勝ちを確信していた。あとはこの振り上げた手刀を着地と同時に彼の心臓へと打ち込む。
ただそれだけでこの勝負は自分のものだ。
「十傑集相手によくぞここまでやったと褒めてやろう。
あの世の鬼にでも自慢するがいい」
アルベルトは皮肉を吐き、彼の心臓へと狙いを定める。
だが、その瞬間、シュバルツの苦悶の表情が嘘のように消え去った。
そう、本当に嘘のように。
「ガンダムファイト国際条約第2条……
破壊されたのが頭部以外であれば、何度でも修復し決勝リーグを目指すことが出来る……」
「なに?」
「生命の灯が消えない限り、勝利のチャンスは失われないということだ!」
確固たる意志を載せたその声に、アルベルトが一瞬の怯みを見せたその刹那、彼の右足に激痛が走った。
「うおおっ!!?」
何事かと眼をやれば、そこには金色に光るブーメランが深々と突き立っていた。
「馬鹿な!?これは、さっき確かにかわしたはずの……」
「教えてやろう。ブーメランは戻ってくるからブーメランと言うのだッ!!」
シュバルツは道路に着地すると、すぐさま思い切り後ろに跳ぶ。跳んだ先にはグレーの外壁。
そこを足場に三角跳びを行い、今度は逆に、シュバルツがアルベルトの上空をとる。
対するアルベルト。突然の足の負傷は彼のバランスを崩し、地面に尻餅をつかせている。
「とったぞ!」
307:セカンドチャンス ◆RwRVJyFBpg
07/10/10 07:48:08 /QXwjzwv
シュバルツはそのままアルベルトへ向かい、渾身の跳び足刀を叩き込み―
「甘いな」
地上から空中へ。赤い波動が一直線に伸びる。
シュバルツはそのままアルベルトへ向かい、渾身の跳び足刀を叩き込む寸前で崩れ去った。
空中を飛んでいた影は、そのままの勢いに任せ、投げ出されるように地面に落ちる。
アルベルトは尻餅をついたまま、傍らの人影へと目を遣った。
それは、シュバルツ・ブルーダーだった。
その顔は、勝利の確信に満ちたまま、しかしその胸には致命的な風穴が開いていた。
刹那の後、思い出したかのように血液がその傷から流れ出す。
「フン、切り札を先に切った時点で、貴様は既に敗北していたのだ。
それが分からず徒に勝ち誇るとは……未熟とはまさに貴様のような奴のことを言うのだろうな」
右足に刺さったブーメランを引き抜きながら、衝撃のアルベルトは一人ごちる。
そう、彼の名はアルベルト。人呼んで衝撃のアルベルト。
全身から放つ衝撃波を武器とする、BF団十傑集の一人。
シュバルツ・ブルーダーは彼の二つ名を、その能力を知らなかった。
彼が知っていることといえば、せいぜい竜巻を出せることくらい。
ゆえに、シュバルツ・ブルーダーは、未知の衝撃波にその胸を貫かれ、死んだのだった。
【シュバルツ・ブルーダー@機動武闘伝Gガンダム 死亡】
308:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/10 07:48:20 7KwG6eES
だが、全ての物事に終わりがあるように、この戦いにも終わりはやってきた。
不意に、紅い竜巻がその円周を膨張させ、黒い竜巻を飲み込んだ!
それと同時に、穴だらけの覆面をした男―シュバルツが竜巻から飛び出してくる。
彼は竜巻を足で蹴って跳ぶように、バックステップで空中へと躍り出た。
「逃がすかァ!」
荒々しい声をあげ、シュバルツを追いすがるように飛び出したのは擦り切れたスーツの男―アルベルトだ。
彼もまた、竜巻を足場にジャンプ。シュバルツの上空を確保する。
二人が風の中から抜け出ると、逆巻いていた暴風は嘘のように収まり、消えてしまう。
「これで終わりだァッ!!」
「そうはさせん!」
上を取り、シュバルツに渾身の一撃を叩き込まんとするアルベルト。
そんな彼の下にあって、シュバルツは全く動揺していない。
冷静に額へと手を遣り、今まで隠しておいた武器を手に取ると、空中で素早く投擲する!
「喰らえっ!」
「あまァい!」
だが、現実はあまりに非情だった。
シュバルツが投げた起死回生の一手、虎の子のブーメランは
アルベルトが体を捻っただけであっさり虚空へと消えていってしまう。
「ぐっ……」
「フン、どうやらここまでのようだな」
覆面の下で顔を歪めるシュバルツを見て、アルベルトは勝ち誇った笑みを浮かべる。
有利な態勢。通用しなかった奥の手。そして万策尽きたと見える敵の表情。
彼は勝ちを確信していた。あとはこの振り上げた手刀を着地と同時に彼の心臓へと打ち込む。
ただそれだけでこの勝負は自分のものだ。
「十傑集相手によくぞここまでやったと褒めてやろう。
あの世の鬼にでも自慢するがいい」
アルベルトは皮肉を吐き、彼の心臓へと狙いを定める。
だが、その瞬間、シュバルツの苦悶の表情が嘘のように消え去った。
そう、本当に嘘のように。
「ガンダムファイト国際条約第2条……
破壊されたのが頭部以外であれば、何度でも修復し決勝リーグを目指すことが出来る……」
「なに?」
「生命の灯が消えない限り、勝利のチャンスは失われないということだ!」
確固たる意志を載せたその声に、アルベルトが一瞬の怯みを見せたその刹那、彼の右足に激痛が走った。
「うおおっ!!?」
何事かと眼をやれば、そこには金色に光るブーメランが深々と突き立っていた。
「馬鹿な!?これは、さっき確かにかわしたはずの……」
「教えてやろう。ブーメランは戻ってくるからブーメランと言うのだッ!!」
シュバルツは道路に着地すると、すぐさま思い切り後ろに跳ぶ。跳んだ先にはグレーの外壁。
そこを足場に三角跳びを行い、今度は逆に、シュバルツがアルベルトの上空をとる。
対するアルベルト。突然の足の負傷は彼のバランスを崩し、地面に尻餅をつかせている。
「とったどーーーー!」
309:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/10 07:49:35 KIWdgulf
310:セカンドチャンス ◆RwRVJyFBpg
07/10/10 07:49:54 /QXwjzwv
◆
朝日の照らす高速道。
黒い道とグレーの壁が延々と続くそこを、衝撃のアルベルトは東に向かってただ歩く。
腕をだらんと垂らし、荒い息を吐きながらの低速度移動。
全身をフルに使って気張っても、成人男性の歩行速度を超えることはない。
シュバルツの服を使って応急処置を施した傷口の痛みを噛み締めながら
アルベルトはひたすらに考えていた。
こんなはずではなかったと。
アルベルトの算段。
それは、彼が現状で戴宗に辿り着くための最短ルートだったはずだ。
それがどうしてこんなことになってしまったのか。
初めに名簿で戴宗の名前を見つけた時点では、アルベルトの頭に
「早く戴宗を見つけなれば、奴は無茶をした挙句死んでしまうかもしれない」
という発想は微塵も存在しなかった。
自分も戴宗も元の世界では、世界十指に名を連ねようかという闘士。
いくらここが殺し合いの場とはいえ、そう簡単にやられはせんだろうとタカをくくっていたのである。
だが、先刻デパートで行われた激闘が、彼の考えを改めさせた。
東方不敗と名乗ったあの男は―あまりにも強かった。
自分と互角以上に戦える人間など、数名の他には存在しないと思っていたアルベルトにとって
偶然出会った老人と引き分けたという事実はあまりにショッキングだった。
彼が東方不敗との戦いの中で感じた死への恐怖は、連鎖的に戴宗の死をも意識させた。
一度、自覚してしまうと、もう歯止めは効かない。
甦った戴宗が自分とは会い見えぬまま、再び失われてしまう恐怖は、瞬く間に彼を侵食した。
だから、彼は一刻も早く戴宗を探すための策を必死で考えた。
藁にも縋る気持ちでデイパックをひっくり返してみたものの
人探しの役に立ちそうなものは、せいぜい旧型のボイスレコーダーのみ。
これにはさすがのアルベルトも絶望しかけたが、それでも頭を絞って自分なりの最善策をはじき出した。
311:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/10 07:50:49 7W/L/8QM
まだ続くのこの文…
312:セカンドチャンス ◆RwRVJyFBpg
07/10/10 07:52:05 /QXwjzwv
彼の立てた作戦はおよそ以下の通りだった。
1.他の参加者に接触し、戴宗のことを知らないか尋ねる
発信機受信機や照明弾の類を支給されなかった彼にとっては、自らの足のみが唯一の探索手段。
だから、まずは他の参加者に出会わないことには話にならない。
2.相手が戴宗のことを知らなければ、伝言を頼む
この舞台には80人以上の参加者がいる。
殺し合いが始まってから経過した時間も考慮すれば、1で運良く戴宗の情報を仕入れるのは至難の技だろう。
そこで、相手には戴宗への伝言を頼む。こうすれば、一人で探し続けるよりはいくらか効率がよいはずだ。
ちなみに、彼が先ほど伝言として用いたのは以下の文言である。
『アルベルトが15:00にE-3の豪華客船で待っている。
もし、お前が来なければ、ワシはBF団のやり方に則って動く。
そっちで勝手に探すことだ。再会を期待する』
“BF団のやり方”とは、無差別な破壊行為のことを指している。
これは、戴宗に危機感を抱かせ、豪華客船へと呼び込む餌であり
かつ、戴宗に出会えなかった際のアルベルトの行動指針でもある。
彼は強要された殺し合いを好むほど下種ではなかったが
偉大なるビッグ・ファイアの元へ帰るための殺人を厭うほど聖人でもない。
3.自分や戴宗の素性についての詮索、情報交換などは全て断る
彼はできるだけ早く戴宗を見つけなければならなかった。
そのためには、お喋りに無駄な時間を費やしている余裕など無い。
弱者と情報交換した挙句、変に懐かれたり、付き纏われたりしても厄介だ。
4.3の条件を飲んでもらう代わりに、ボイスレコーダーを使った伝言を一つ預かる
3の条件だけを一方的に押し付けた場合、不満を言う者が必ず出るだろう。
だから、取引の条件としてこちらも伝言を預かることにする。
自分の肉声が仲間に伝わるかもしれないというのは人にとっては大きな魅力になる。
仲間を探していない人物相手には使えないが、まさか、この会場で人を探しているのが
自分だけということは無いだろう。アルベルトはそう考えていた。
5.できるだけ戦闘は避けるようにする
この世界では、何故か戦闘による消耗が普段より大きい。
加えて、参加者の中には、東方不敗のような強者がまだまだいる可能性がある。
いつものように力に任せて戦い続けていては、戴宗を見つけるまでこちらの身が持たない。
ただし、戦闘を行わないことで、徒に時間ばかりが消耗されるようなら
躊躇い無く戦い、障害を排除するべきである。
……彼はこの項目をもう少し厳格に守るべきだった。
313:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/10 07:53:00 KIWdgulf
314:セカンドチャンス ◆RwRVJyFBpg
07/10/10 07:53:22 /QXwjzwv
これが最善のはずだった。
これが最短のはずだった。
だが、結果はどうだ。望まない強者と望まない闘争をした挙句、満身創痍で長距離走もままならない。
この策ではやはり駄目なのか……だが、これ以上の策は今のところ立てることができない。
ならば、この策で行くしかないのか。
いや、そもそも策以前に自分には休息が必要だ。休んで体力を回復しなければ、それこそ、いつ殺されても不思議はない。
嗚呼、しかし、そうして時間を浪費している間にも、戴宗の命は危険に晒されている。
二人目に出会った男、シュバルツ・ブルーダーもまた、自分と十分に戦える強者であった。
この舞台には一体何人の兵が跋扈しているのか見当もつかない。
戴宗が仲間を救うために無茶をやり、命を落とす未来が、着々と現実味を帯びてきている―
不本意な結果に終わった策、思うようにならぬ身体、そして戴宗の死に対する恐怖。
様々なモノがアルベルトの精神の中で渦を巻き、うねり、蠢いていた。
それはゆっくりと、しかし確実に彼を削り取っていく―
315:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/10 07:55:06 KIWdgulf
316:セカンドチャンス ◆RwRVJyFBpg
07/10/10 07:55:22 /QXwjzwv
◆
もう二度と手に入らないはずだったものが、再び手に入る位置まで降りてきて
しかし、自分の努力が足りないがゆえにまたとり逃してしまう。
これは、ある意味で、大切なものを初めて失うよりも辛いことだ。
何故なら、これを体験する者は、既に失われることによる痛みを嫌というほど知っているのだから。
かつてカミナを失ったヨーコやシモンなら、あるいは今のアルベルトの気持ちが分かるかもしれない。
だが、彼らは未だ、甦ったカミナに気がついていない。だから、今の彼らにアルベルトの気持ちは分からない。
もしかしたら、かつてシュバルツを失ったドモンなら、あるいは今のアルベルトの気持ちが分かるかもしれない。
だが、彼は未だ、甦ったシュバルツに気がついていない。
放送が、甦ったシュバルツの死を彼に伝えたならば
ドモンはアルベルトの気持ちが分かるだろうか?
【A-6/高速道路/1日目/朝】
【衝撃のアルベルト@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-】
[状態]:疲労極大 全身にダメージ 右足に刺し傷(それぞれ応急措置済み)
スーツがズダボロ やや精神不安定
[装備]:なし
[道具]:支給品一式 シガレットケースと葉巻(葉巻2本使用) 不明支給品0~2(本人確認済み)
ボイスレコーダー@現実 シュバルツのブーメラン@機動武闘伝Gガンダム
[思考]:
基本方針:戴宗を一刻も早く探して合流し、決着をつける
1:戴宗を再び失うことに対する恐れ。そうならないために戴宗の情報を集める
2:休息をとり、体力を回復させる
3:脱出の情報を集める
4:いずれマスターアジアと決着をつける
5:他の参加者と馴れ合うつもりはない
6:脱出不可能の場合はゲームに乗る
[備考]:
※上海電磁ネットワイヤー作戦失敗後からの参加です
※素晴らしきヒィッツカラルドの存在を確認しました
317:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/10 07:55:25 o8nSyPQQ
: : ,、 : 丶
: : : ,,, .,, 、 ": ;゙i、 .゙'.
: : ` ,.、‐',゙'",、'"′.'" ." : ヽ .'、
.,、`" : _、‐"、,、.´‐"`` 、、: 丶 ` 丶
:'"、 : : : .,,-i"..,-″ _、,、‐`、:丶 : .′
.` ..、.,r:'/〃: ヽ" -'"` .,r" " 、
、: ィ ,、-、;;;;: : ″ ` 、 _.、
..、‐." : ,丶;;.'―‐-、 " ゙l、
.r: .` 、 : .";;;;;;;―‐━x,,,、 丶 、 ," ″
、 /;;;;;;;;;;;;;;,,,r‐"''''''゚゙lhi,,,-、,, ` : ,‐
、 .";;;_,,,,,illllll「 .,rllllllliiii,i,,゙゚''llll,,,z,,,,,,,.丶 、 .._,,,,,,,,,,_ .、 、 ,/
:: : ‐:.、._,,,wlll゙゙゙゙″;;;;lll、 ′ lllll!"` .:|,,,jjョ|,,,,,,!'',,,|,,,,ー、.、`、``、``
丶 : ;;;;;;;;;;゙゚″ .;;;;;;;;;;;;;;;;;;!l, .'っxr='" .,サ;;: ゙,il`゙’:,llll゚ト ``: ,."
丶 : ;;;"''-、;;、.′;;;;;;;;;;;;;;;;゙!ll,,,: : : : : ..i、";;;: lll .illll,,," .ir`
'. `;;;;;;;i'`、;;;:.丶;;;;;;;;;;;;;;;;;;: ゙゙゙゙゙゙゙サ'冖"` : .ll,, `: ~” :.y-、
`. :;;;;;;;;、‐;;;;;;;゜;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;: :゚゙゙lllllll,ea,e│ 丶 >>311
`:、 、.;;;;;;'、`、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;: : 、 7: :
`‐- `;、;`‐.′;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;: : -'";.ィ" .,".: まあ私の顔に免じて
`丶 : ;;;;;;;`;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;: 、 : : ,‐.、 許してくれたまえ
`、 丶;;;;;;;;、;;;;;;;;;;;;;;;;;: 、 ヽ.、 ∴:
`‐、`、、冫;;;;;;;;;;;;;;;;;: ``'''~、、,,,_ ,∵
l;;;;;;;゙、;;;;;;;;;;;;;;;;;;: ```'…-、.、 "
,l゙;;;;;;;;;;゙、;;;;;;;;;;;;;;;;;: 丶
,i´;;;;;;;;;;;;丶;;;;;;;;;;;;;: `'““" 、'`
l゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙.;;;;;;;;;;; "
│;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`.;;;;;;;;;;: ,`
|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'、;;;;;;;;;: ′
,!;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`、、;;;;: _、′
|;;;;;;;;;;、丶: ;;;;;;;;;;;;;;`ヽー-.-、、、、、,._ ._..‐冫
{;;;;;: : : : : : : : ``゙゙` .`
l゙;;: : : : : : : : : : : : : : : : `