07/10/06 11:23:44 OTC6ZE8s
・参加者リスト・(作中での基本支給品の『名簿』には作品別でなく50音順に記載されています)
6/7【魔法少女リリカルなのはStrikerS】
○スバル・ナカジマ/○ティアナ・ランスター/○エリオ・モンディアル/●キャロ・ル・ルシエ/○八神はやて/○シャマル/○クアットロ
6/6【BACCANO バッカーノ!】
○アイザック・ディアン/○ミリア・ハーヴァント/○ジャグジー・スプロット/○ラッド・ルッソ/○チェスワフ・メイエル/○クレア・スタンフィールド
6/6【Fate/stay night】
○衛宮士郎/○イリヤスフィール・フォン・アインツベルン/○ランサー/○間桐慎二/○ギルガメッシュ/○言峰綺礼
4/6【コードギアス 反逆のルルーシュ】
○ルルーシュ・ランペルージ/●枢木スザク/○カレン・シュタットフェルト/●ジェレミア・ゴットバルト/○ロイド・アスプルンド/○マオ
5/6【鋼の錬金術師】
●エドワード・エルリック/○アルフォンス・エルリック/○ロイ・マスタング/○リザ・ホークアイ/○スカー(傷の男)/○マース・ヒューズ
5/5【天元突破グレンラガン】
○シモン/○カミナ/○ヨーコ/○ニア/○ヴィラル
4/4【カウボーイビバップ】
○スパイク・スピーゲル/○ジェット・ブラック/○エドワード・ウォン・ハウ・ペペル・チブルスキー4世/○ヴィシャス
3/4【らき☆すた】
○泉こなた/○柊かがみ/●柊つかさ/○小早川ゆたか
4/4【機動武闘伝Gガンダム】
○ドモン・カッシュ/○東方不敗/○シュバルツ・ブルーダー/○アレンビー・ビアズリー
4/4【金田一少年の事件簿】
○金田一一/○剣持勇/○明智健悟/○高遠遙一
4/4【金色のガッシュベル!!】
○ガッシュ・ベル/○高嶺清麿/○パルコ・フォルゴレ/○ビクトリーム
4/4【天空の城ラピュタ】
○パズー/○リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ/○ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ/○ドーラ
4/4【舞-HiME】
○鴇羽舞衣/○玖我なつき/○藤乃静留/○結城奈緒
2/3【R.O.D(シリーズ)】
●アニタ・キング/○読子・リードマン/○菫川ねねね
3/3【サイボーグクロちゃん】
○クロ/○ミー/○マタタビ
3/3【さよなら絶望先生】
○糸色望/○風浦可符香/○木津千里
2/3【ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-】
○神行太保・戴宗/○衝撃のアルベルト/●素晴らしきヒィッツカラルド
2/2【トライガン】
○ヴァッシュ・ザ・スタンピード/○ニコラス・D・ウルフウッド
2/2【宇宙の騎士テッカマンブレード】
○Dボゥイ/○相羽シンヤ
2/2【王ドロボウJING】
○ジン/○キール
【残り75名】
3:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/06 11:24:58 OTC6ZE8s
【基本ルール】
全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が優勝者となる。
優勝者のみ元の世界に帰ることができる。
また、優勝の特典として「巨万の富」「不老不死」「死者の蘇生」などのありとあらゆる願いを叶えられるという話だが……?
ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。
【スタート時の持ち物】
プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。主催者の手によってか何らかの細工が施されており、明らかに容量オーバーな物でも入るようになっている。四●元ディパック。
「地図」 → MAPと、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。【舞台】に挙げられているのと同じ物。
「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。肝心の食料の内容は…書き手さんによってのお楽しみ。SS間で多少のブレが出ても構わないかと。
「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。ちなみにアイウエオ順で掲載。
「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1~3個入っている。内容はランダム。
【禁止エリアについて】
放送から1時間後、3時間後、5時間に1エリアずつ禁止エリアとなる。
禁止エリアはゲーム終了まで解除されない。
【放送について】
0:00、6:00、12:00、18:00
以上の時間に運営者が禁止エリアと死亡者、残り人数の発表を行う。
基本的にはスピーカーからの音声で伝達を行う。
【舞台】
URLリンク(blogimg.goo.ne.jp)
【作中での時間表記】(0時スタート)
深夜:0~2
黎明:2~4
早朝:4~6
朝:6~8
午前:8~10
昼:10~12
日中:12~14
午後:14~16
夕方:16~18
夜:18~20
夜中:20~22
真夜中:22~24
4:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/06 11:26:05 OTC6ZE8s
【書き手の注意点】
・トリップ必須。荒らしや騙り等により起こる混乱等を防ぐため、捨て鳥で良いので付け、>>1の予約スレにトリップ付きで書き込んだ後投下をお願いします
・無理して体を壊さない。
・残酷表現及び性的描写に関しては原則的に作者の裁量に委ねる。
但し後者については行為中の詳細な描写は禁止とする。
・完結に向けて決してあきらめない
書き手の心得その1(心構え)
・この物語はリレー小説です。 みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
・知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。
・みんなの迷惑にならないように、連投規制にひっかかりそうであればしたらばの仮投下スレにうpしてください。
・自信がなかったら先に仮投下スレにうpしてもかまいません。 爆弾でも本スレにうpされた時より楽です。
・本スレにUPされてない仮投下スレや没スレの作品は、続きを書かないようにしてください。
・本スレにUPされた作品は、原則的に修正は禁止です。うpする前に推敲してください。
ただしちょっとした誤字などはwikiに収録されてからの修正が認められています。
その際はかならずしたらばの修正報告スレに修正点を書き込みましょう。
・巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
・叩かれても泣かない。
・来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
作品を撤回するときは自分でトリップをつけて本スレに書き込み、作品をNGにしましょう。
書き手の心得その2(実際に書いてみる)
・…を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
・適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。
・適切なところで改行をしましょう。
改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。
・かぎかっこ「 」などの間は、二行目、三行目など、冒頭にスペースをあけてください。
・人物背景はできるだけ把握しておく事。
・過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。
・一人称と三人称は区別してください。
・ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
・「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
・状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。
・フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
・ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
・位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。
書き手の心得3(一歩踏み込んでみる)
・経過時間はできるだけ『多め』に見ておきましょう。
自分では駆け足すれば間に合うと思っても、他の人が納得してくれるとは限りません。
また、ギリギリ進行が何度も続くと、辻褄合わせが大変になってしまいます。
・キャラクターの回復スピードを早めすぎないようにしましょう。
・戦闘以外で、出番が多いキャラを何度も動かすのは、できるだけ控えましょう。
あまり同じキャラばかり動き続けていると、読み手もお腹いっぱいな気分になってきます。
それに出番の少ないキャラ達が、あなたの愛の手を待っています。
・キャラの現在地や時間軸、凍結中のパートなど、雑談スレには色々な情報があります。
本スレだけでなく雑談スレにも目を通してね。
・『展開のための展開』はNG
キャラクターはチェスの駒ではありません、各々の思考や移動経路などをしっかりと考えてあげてください。
・書きあがったら、投下前に一度しっかり見直してみましょう。
誤字脱字をぐっと減らせるし、話の問題点や矛盾点を見つけることができます。
一時間以上(理想は半日以上)間を空けてから見返すと一層効果的。
紙に印刷するなど、媒体を変えるのも有効。
携帯からPCに変えるだけでも違います。
5:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/06 11:28:38 OTC6ZE8s
【読み手の心得】
・好きなキャラがピンチになっても騒がない、愚痴らない。
・好きなキャラが死んでも泣かない、絡まない。
・荒らしは透明あぼーん推奨。
・批判意見に対する過度な擁護は、事態を泥沼化させる元です。
同じ意見に基づいた擁護レスを見つけたら、書き込むのを止めましょう。
・擁護レスに対する噛み付きは、事態を泥沼化させる元です。
修正要望を満たしていない場合、自分の意見を押し通そうとするのは止めましょう。
・嫌な気分になったら、「ベリーメロン~私の心を掴んだ良いメロン~」を見るなどして気を紛らわせましょう。「ブルァァァァ!!ブルァァァァ!!ベリーメロン!!」(ベリーメロン!!)
・「空気嫁」は、言っている本人が一番空気を読めていない諸刃の剣。玄人でもお勧めしません。
・「フラグ潰し」はNGワード。2chのリレー小説に完璧なクオリティなんてものは存在しません。
やり場のない気持ちや怒りをぶつける前に、TVを付けてラジオ体操でもしてみましょう。
冷たい牛乳を飲んでカルシウムを摂取したり、一旦眠ったりするのも効果的です。
・感想は書き手の心の糧です。指摘は書き手の腕の研ぎ石です。
丁寧な感想や鋭い指摘は、書き手のモチベーションを上げ、引いては作品の質の向上に繋がります。
・ロワスレの繁栄や良作を望むなら、書き手のモチベーションを下げるような行動は極力慎みましょう。
【議論の時の心得】
・このスレでは基本的に作品投下のみを行ってください。 作品についての感想、雑談、議論は基本的にしたらばへ。
・作品の指摘をする場合は相手を煽らないで冷静に気になったところを述べましょう。
・ただし、キャラが被ったりした場合のフォロー&指摘はしてやって下さい。
・議論が紛糾すると、新作や感想があっても投下しづらくなってしまいます。
意見が纏まらずに議論が長引くようならば、したらばにスレを立ててそちらで話し合って下さい。
・『問題意識の暴走の先にあるものは、自分と相容れない意見を「悪」と決め付け、
強制的に排除しようとする「狂気」です。気をつけましょう』
・これはリレー小説です、一人で話を進める事だけは止めましょう。
【禁止事項】
・一度死亡が確定したキャラの復活
・大勢の参加者の動きを制限し過ぎる行動を取らせる
程度によっては議論スレで審議の対象。
・時間軸を遡った話の投下
例えば話と話の間にキャラの位置等の状態が突然変わっている。
この矛盾を解決する為に、他人に辻褄合わせとして空白時間の描写を依頼するのは禁止。
こうした時間軸等の矛盾が発生しないよう初めから注意する。
・話の丸投げ
後から修正する事を念頭に置き、はじめから適当な話の骨子だけを投下する事等。
特別な事情があった場合を除き、悪質な場合は審議の後破棄。
6:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/06 11:31:01 OTC6ZE8s
【NGについて】
・修正(NG)要望は、名前欄か一行目にはっきりとその旨を記述してください。
・NG協議・議論は全てしたらばで行う。2chスレでは基本的に議論行わないでください。
・協議となった場面は協議が終わるまで凍結とする。凍結中はその場面を進行させることはできない。
・どんなに長引いても48時間以内に結論を出す。
『投稿した話を取り消す場合は、派生する話が発生する前に』
NG協議の対象となる基準
1.ストーリーの体をなしていない文章。(あまりにも酷い駄文等)
2.原作設定からみて明らかに有り得ない展開で、それがストーリーに大きく影響を与えてしまっている場合。
3.前のストーリーとの間で重大な矛盾が生じてしまっている場合(死んだキャラが普通に登場している等)
4.イベントルールに違反してしまっている場合。
5.荒し目的の投稿。
6.時間の進み方が異常。
7.雑談スレで決められた事柄に違反している(凍結中パートを勝手に動かす等)
8.その他、イベントのバランスを崩してしまう可能性のある内容。
上記の基準を満たしていない訴えは門前払いとします。
例.「このキャラがここで死ぬのは理不尽だ」「この後の展開を俺なりに考えていたのに」など
ストーリーに関係ない細かい部分の揚げ足取りも×
・批判も意見の一つです。臆せずに言いましょう。
ただし、上記の修正要望要件を満たしていない場合は
修正してほしいと主張しても、実際に修正される可能性は0だと思って下さい。
・書き手が批判意見を元に、自主的に修正する事は自由です。
【予約に関してのルール】(基本的にアニロワ1stと同様です)
・したらばの予約スレにてトリップ付で予約を行う
・初トリップでの作品の投下の場合は予約必須
・予約期間は基本的に三日。ですが、フラグ管理等が複雑化してくる中盤以降は五日程度に延びる予定です。
・予約時間延長を申請する場合はその旨を雑談スレで報告
・申請する権利を持つのは「過去に3作以上の作品が”採用された”」書き手
【主催者や能力制限、支給禁止アイテムなどについて】
まとめwikiを参照のこと
URLリンク(www40.atwiki.jp)
7:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/06 11:32:14 OTC6ZE8s
現在、この企画には二名の粘着荒らしが確認されています。(通称・CとG)
その内の一人、Cの詳しい来歴などは以下を参照の事。
2chパロロワ事典@Wiki‐キャプテン
URLリンク(www11.atwiki.jp)
また、単発IDで「ふーん」「あっそう」「つまらない」「どうでもいい」などの1行煽りレスや、
他スレや外部の毒吐き掲示板からのコピペを延々と繰り返す粘着荒らしがGと呼ばれています。
これらの人物には構うだけ無駄ですので、レスなどはせずにスルーしておきましょう。
・荒らしが出たら? → スルーしましょう
・C・G本人や、C・Gっぽい人、を見かけたら? → スルーしましょう
・どうしてもそいつらにレスしたくなったら? → 毒吐き若しくはC・G観測所に書き込みましょう
・吊られるやつは荒らしと同レベル。スルーしましょう
・吊られる奴を叩くのも吊られた奴と同レベル、スルーしましょう。
・荒らしレス~吊られレス、その一連のレス塊をまとめてスルーしましょう。
※専ブラの御利用を強く強くお奨めします。
関連リンク
アニロワ毒吐き所(ツチダマ掲示板)URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd毒吐きスレ・別館2(ID非表示の毒吐きスレ)URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
C観測所 URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
G観測所 スレリンク(tubo板)l50
8:一日目・森林/オルター・エゴ ◇Haf2Sq.37
07/10/06 11:34:12 OTC6ZE8s
夜闇の中、月明かりを受け煌く金色が揺れていた。
十字架だ。それを首から提げているのは、西洋の黒い僧服を纏った長身の影。
言峰綺礼、聖杯戦争というバトルロワイアルの監督役であった神父――しかし、今は参加させられる側。
その表情は常と変わらない。癖のある前髪の下から覗く黒瞳は、僅かに細められている。
西へと歩き出したあと、彼は幾つかの情報、推測を得ていた。
まず一つ。それは、原因の分からない魔術回路の不調だ。
本来、聖堂教会の人間にとって、魔術というのは最大の禁忌だ。だが、彼は遠坂時臣に師事し、数多くの魔術を修めていた。
――自らの心に空いた虚、それを埋める術を魔道の鍛錬に見出せるかという試みは、全くの見当外れであったが。
ともあれ、言峰綺礼はれっきとした魔術師でもある。魔術回路に不自然な負荷が掛かっていればそうと知れる。
結論を示すなら、彼の身体に刻まれた魔術刻印――言峰の家系が伝える、過去の聖杯戦争で使い残された令呪――を消費しなければ、常の効果には届くまい。
一流の域にある治癒魔術とて、致命傷を癒すには及ばないだろう。
だが、それだけなら大きな問題ではない。言峰綺礼は、元より魔術を以って戦場に臨む者ではないからだ。
聖言、秘蹟、祝福された武装――そして何より、鍛え抜かれた肉体を以って魔を撃滅する神罰の担い手。
言峰綺礼が直に戦いに臨むのは、必ず聖堂教会の代行者としてだ。
やろうと思えば、足場の悪い森林の中を時速五十キロメートルで疾走できる。細剣の投擲によって生木を貫通させられる。防弾装備さえあれば、機銃弾の嵐を真っ向から突っ切ることもできる。
――無論、何の魔術の助けも借りず。
しかしそれ故に、二つ目の問題が重い。即ち、身体能力の低下。
秘門まで極めた八極拳士であれば――と言うより、武術の類の鍛錬を積んだ者ならば、座り、立ち上がるだけでも体内の不調は把握できる。僅かな違和感を感じた彼は、その場で幾つかの套路を試したのだ。
その結果分かったのは、単に筋肉が衰えているのとは違い、発揮できる最大の筋力が落ちているということ。通常の行動では何ら問題ないが、戦闘での無茶はできまい。
少なくとも、一瞬で十メートルを跳躍するような超人芸は不可能だろう。
原因は全くの不明だが、二つの――制限とでも呼ぶべきものが存在することを裏付ける情報。
そしてそれこそが、最大の解を示す。
優秀な螺旋遺伝子を持つ個体を選び出す為の生き残りゲーム――螺旋王ロージェノムとやらは、確かにそう言った。
ならば何故、参加者が本来持っている能力を制限するような真似をする?
『優秀な螺旋遺伝子を持つ個体』が指すのは、単純な能力値の高さではない――そう考えると、逆に個体差を中途半端に残した理由が分からない。
圧倒的な能力値が選定の邪魔になるというのなら、あの男――モロトフとやらのような存在は、最初から排除しておくべきだろう。
完全に制限するか、極端な話、能力に差のない人形にでも精神を移し変え、そして争わせればいい。
そして、今はデイパックの中に納まっている槍。
考えれば、それぞれに異なる武器が支給されるのもまた不自然。わざわざ殺し合いなどさせるのだから、機械的検査では『優秀さ』を測定できぬのだろう。
では、運だけで生き残る弱者が出てきてしまえば? 当然、あちらの目的は果たせない。否、失敗と分からぬままに失敗するという、最悪の状況に陥ることとなる。それさえ考えていないほど愚鈍ではあるまい。
能力をある程度平均化へと近付けながら、しかしトップとボトムの差は莫大、弱者が運に頼って勝ち残ることも充分にあり得る――
この不自然を、容易く解決する仮定がある。
優秀な個体が云々というのは建前で、実際の目的は別――そう考えるのが自然ではないか。
言峰綺礼、彼がその考えに至ったのは、聖杯戦争が同様の構造を持っていたからだ。
共通するのは、参加者に伝えられた殺し合いの目的と、その実情が全くの別ということ。
制限と幸運から生まれるのは、弱者であっても強者に勝てるのではないか、あるいはゲームそのものを打破できるのではないかという希望。
だが、誰かが希望を抱くということは、誰かが絶望するということだ。弱者の希望が潰えた時に生まれるものか、強者が制限と不運によって敗北した時に生まれるものかは分からないが。
つまり、ロージェノムの目的は――憎悪と苦痛、悲嘆と憤怒、歓喜と快楽、あらゆる感情が互いを喰らい合う、この状況それ自体ではないのか。
9:一日目・森林/オルター・エゴ ◇Haf2Sq.37
07/10/06 11:38:53 OTC6ZE8s
何にしろ、言峰綺礼の行動は変わらない。
あの正義の味方が他人の幸福に至福を感じるように、彼は他人の不幸に至福を感じる。それをより多く観られるよう、場を動かしていくだけだ。
故に、自身を正と信じる者こそが、彼にとっては望ましい。
例えば、衛宮士郎のような。
例えば、パズーのような。
――例えば、八神はやてのような。
■
「むう……」
H-2と3の境界線上、木々の一つに背を預け座り込む人影があった。影は小柄で、肩の細さから女性と知れる。
グレーを基調とした服を着た彼女は、あぐらをかいた上に一枚の地図を広げていた。
「……拙いなあ、チャンスではあるんやろうけど……」
彼女、八神はやてが夜闇の先に見たのは、学校へと入っていく人影だ。
それはいい。元より学校を通過する際は、人を探す心算だった。
だが、その人影が二つだったのがまずい。やたらと金色に光っていた鎧姿と、影のように付き従うもうひとつ。
たとえ出会った人物がゲームに乗っていたとしても、単独であれば対処することは決して不可能ではない。だが、二人が相手であればその難易度は急激に上昇する。
ましてや武装の差すら測れないのであれば、乗り込むのは自殺行為に等しいだろう。
はやての武器はトリモチ銃と――『レイン・ミカムラさん愛用のネオドイツマスク』は使えまい。そこらで拾える石くれの方がまだマシだ。
対して相手の武器は、少なくとも防具が一つ。あの黄金の鎧だ。そして、はやてに鎧を素手で破れるような腕力はない。
彼女は地図を見下ろし、思案を続ける。
「選択肢、というか取れるルートは、と……」
一つは、予定通りに学校を経由してモノレールの駅に向かうというもの。
メリットは、あの二人との情報交換や、あるいは強力な仲間を作れる可能性があるということ。
デメリットはその逆。つまり、あの二人を敵に回してしまう可能性――そうなれば、無傷で逃げられることは期待出来ない。
二つ目は、このまま森沿いを進み、H-1の中心辺りから一気にモノレールの駅まで全速で進むというもの。
距離およそ七百メートル、全力疾走ならば、足場の悪さを考慮しても精々五分。近場で狙撃が可能な高所は、学校とモノレールの駅ぐらいだ。
あるいは彼女の親友のように、キロメートルオーダーでの遠距離砲撃が可能な者もいるかも知れないが、広範囲を恒常的に探知できる手段を併せ持っているとは考え辛い。何故なら、それならばとうの昔に吹き飛ばされている。
そこで、八神はやては気付いてしまった。幸運にも、気付けた。
「あかん、モノレールは使えへん……大きい上にレールまである。ついでに場所が高いなんて、格好の的やないか」
例えば、森の中で座り込んでいる彼女を狙撃によって仕留めるには、精密かつ高度な索敵、測距、射撃能力が必要とされる。
だが、モノレールに乗った所さえ確認すれば、軌道を破壊するだけで事は済む。十メートル単位の距離を、高速の車両ごと落下――常人であれば確実に即死、デバイスのない魔導師でも似たようなものだ。
そして、レールを破壊できるだけの能力を持った参加者が、はやてが知るだけで七人はいる――今は六人だが。
彼女自身とスバル、ティアナ、エリオ、キャロの五人は、デバイスさえあればその程度の破壊力は軽々と叩き出す。
次いでクロ。全身から開いた砲口全てからミサイルが放たれるなら、小型のものであっても支柱の一本ぐらいは崩せるだろう。
最後に、ロージェノムに殺された、モロトフという男。口訣と共に放たれたあの光爆ならば、レールどころか車両そのものを消し飛ばせるに違いない。
また、本人にその能力が無くとも、爆薬の類が支給されれば、タイミングを図って崩壊させることも可能だろう。
つまり、現状――モノレールを利用することは、開けた道を歩き続けるのと同等以上に危険だということだ。
――実際には、はやてが警戒するような『長距離狙撃、大規模破壊を可能とする能力』は軒並み制限され、代用可能な道具も数少ないのだが、全知ならぬ身が知り得ることではない。
だが、数は少なくとも存在する以上、彼女の判断は賢明だと言えるだろう。
ただし、
10:一日目・森林/オルター・エゴ ◇Haf2Sq.37
07/10/06 11:46:37 OTC6ZE8s
「……詰んでもうた」
その賢明さの代償として、打つ手の多くを失ったのだが。
クロに伝えた『西回り』が守れないことが確定した以上、
「引き返すしかない、ゆうことやなあ……」
やれやれ、と吐息した彼女は立ち上がる。
デイパックへと地図を収め、ひとまずは神社に向かおうと決定、歩き出す。
――その視線の先で、金色の何かが揺れた。
咄嗟にトリモチ銃を構え、はやては目を凝らす。
二メートル近い長身と、それに見合う肩幅。首から提げられた金色の十字架が、月明かりを反射していた。
ゆっくりとこちらへと歩いてくるその影が、黒い神父服を翻す。
――『僕が会ったのはコトミネっていうデカイ神父だけだよ』
コトミネ、と読める名前は、名簿の中にはひとつだけ。『言峰綺礼』……コトミネキレイ、だろうとはやては考えた。パズーと同じ側から来ていたのも道理に適う。
あるいは、彼女自身がそうしたように偽名を使った可能性もあるが、それは考えても仕方がない。何より、パズーは特に警戒しろとも言っていなかった。ならば、ゲームに乗ってはいないのだろう。
意を決し、はやては声をかけた。
「言峰綺礼さん……ですか? あたしは――」
■
「あたしは、石田幸恵いいます」
その言葉を聴いた瞬間、言峰綺礼は右脚で地を蹴った。
自分の名前を知っているのは、衛宮士郎、ランサー、ギルガメッシュ、イリヤスフィール、そしてパズーと名乗った少年のみ。この女はその誰でもない。
そして何より、石田などという名前は名簿の中には存在しなかった。彼の名を知る、偽名を使い銃を構えた女――あの少年に出会い情報を引き出した『ゲームに乗っている』人間ではないのか。
彼とて殺されてやる気はさらさら無い。先制攻撃で抵抗力を奪おうと考えたのなら、一辺の躊躇も無く行動に移す。
六メートルの距離を一息で殺しつつ長身を回し震脚、右半身にて靠法一打。女の身体を軽々と吹き飛ばし、傍の樹に叩きつけた。
呻きを聞き流し、鋼じみた硬さに握り込まれた左拳の一撃。締めていた脇を開き、遠心力を乗せる。
コンパクトな円弧を描いた拳が着弾し、粘着質の音が響いた。
――八神はやてにとって致命的だったのは、男が神父だという先入観。その戦闘力を、さして高いものではないと考えてしまったこと。
神父は眉一つ動かさず、粘性の液に塗れた拳を見つめる。
そして、口を開いた。
「……殺意のある反撃ではない。敵意は無かった、ということか?」
トリモチによって樹に接着された拳を見つめ、神父はそう言った。
およそ二歩。それだけ離れた距離で立ち上がった彼女に向けて。
「……本当の名前を、聞かせてもらおうか」
■
――言峰綺礼にとって誤算だったのは、八神はやての対応能力。制限下とはいえ、一般人ならば初手で即死しかねない拳技を生き延び反撃さえしてのけたのは、実戦に身を置き続けた彼女の経験ゆえだ。
打撃による骨折はデイパックで緩衝することによって防ぎ、背を樹に打ち付けたときは受身を取った。
身を捻って離脱し、右手に持っていたトリモチ銃を撃ち放つ。下半身不随だった頃ならいざ知らず、今の八神はやてに不可能なことではなかった。
彼女は、腰の土を払いつつ立ち上がった。神父に対する敵意のないことを示すため、銃とデイパックをゆっくりと地面に置く。
偽名に気付く判断力と、先ほど見せたあの動き。体格に見合わぬ速度、素手とは思えぬ攻撃力は、確固たる技術に基づいたものだ。
知りえる筈の無い名前を出したことと、偽名を使ったことが迂闊だったとようやく気付いた。
11:一日目・森林/オルター・エゴ ◇Haf2Sq.37
07/10/06 11:49:24 OTC6ZE8s
「八神はやて、です。あなたの名前は、パズー君から聞きました」
「あの少年からか……紫色の短剣を持っていただろう。私に支給された品だ。
シータという少女を、このゲームに参加させられた者達を絶対に救うと息巻いていた……誰かを殺すという覚悟も無く」
神父は、暗い息を吐く。その声は絶望でも諦観でもなく、ただ――
「あの少年は、殺さぬ限り傷つけることは厭うまい。なまじ殺さぬという覚悟を持つが故に、な。
そして自らが悪と定めた者に刃を突き立て、殺してしまえばそれまでだ。二人を殺し三人を殺し、五人目を殺す頃には、殺すべき相手を悪と考えるように歪んでいることだろう」
「そんな、こと……」
「ない、とは言い切れまい? 何かを愛する……譲れぬものがあるのなら、それを侵すものを悪と断ずるのはヒトとして当然の反応だ。
それに良心の呵責を覚え苦悶するか、受け入れてしまうかは分からんがな」
――三日月のように歪んだ口元だけが、その心中を語っていた。
頭の隅で、何かが警鐘を鳴らす。
「……おっと、本題を忘れていた。八神はやて、君は、この狂ったゲームの盤上でどう動く?
何を思い、何を救い、何を侵し、何に到ろうとする?」
「……あたしは、このゲームの支配者、ロージェノムという男を逮捕し、皆を救い出すつもりです」
「救い出す、だと?」
人ではない何かのように男は笑う。それは、人外の悪意を煮詰めたような笑みだった。
「あの男は、生き残ったものの願いを叶えてやるとそう言った。では、如何なる代償を支払ってでも叶えたい願いを持つものにとって、このゲームこそが救いではないのか?」
その声を聞き、八神はやては直感した。この男の言葉を聞いてはいけない、何か、気付くべきではないことに気付いてしまう、と。
だが、それは、
「誰かの命を奪って叶える願いなんて、絶対に間違っとると思います」
――あまりにも、遅すぎたのだ。
■
その言葉を聞いた時、言峰綺礼の心中に沸きあがったのは歓喜だった。
それは、かつて衛宮士郎と教会にて対峙したときと同じ感情。
「誰かの命を奪って叶える願いは間違っている、だと?
奇妙なことを言う。自分の願いを叶えるということは、誰かの願いを妨げるということだろう?
誰かを傷つけてまで叶えたい願いだ。生半可な覚悟ではあるまい――命を奪うのと何が違う」
「……せやけど、あの子達は、決してそんなことを願いません。それだけは確かです。あたしは、そんな仲間を助けたいと思うてます。
大事な人の命を、誇りを、守ろうとするのが悪や、言いたいんですか?」
言葉を重ね、意思をぶつけることによって、神父は傷を切開する。
八神はやての抱える歪みを、闇を、ひとつずつ暴き出していく。
「守りたいものがあるのが、君だけだとでも思っているのかね?
自身が守りたいものの為に、それを脅かす悪を打ち倒す――なるほど確かに正義の味方だ。
だが、君がそうして踏み付けた者達の願いはどうなる? 君は、それら全ての願いを悪だと断じたのだ。
他者を殺してまで叶えたい願いは悪であるから、そんな願いは消してしまっても構わぬとな」
「あたしは、そんな――」
12:一日目・森林/オルター・エゴ ◇Haf2Sq.37
07/10/06 11:51:17 OTC6ZE8s
その言葉を聞いた時、八神はやての心中に沸きあがったのは困惑だった。
それは、自身の正義が揺らぐ感覚、足場が今にも崩れそうな浮遊感を伴っていた。
誰かを殺してまで自分の願いを通すなど、絶対に間違っているという信念。
だが、その信念こそが、誰かを傷つけ、絶望させるかも知れないなどということは――考えたことも、なかったのだ。
「そんなつもりではない? 確かに、君が願っているのは誰かを守りたいということだ。それに違いはあるまい。ならば――」
沢山の人が、多くの犠牲を支払った上で自らの生がある。それを理解しているが故に、命の全てを使い果たしても誰かを守りたいと、そう覚悟することができる。
そんな純粋さを備えていたのが、八神はやてという人物だった。
「――祝福しよう。
喜びたまえ。君の願いは、ようやく叶う」
「……何、やて?」
「誰かを守りたいのだろう? 分かっていた筈だ。明確な悪がいなければ、その望みは叶わない。
何故ならば、君が望んでいるのは『誰かを守る』ということだからだ。それは『誰かに無事でいて欲しい』という願望とは、表層で相反せずとも奥に秘めたものは真逆だ。
たとえそれが君にとって容認しえぬモノであろうと、正義の味方には倒すべき悪が必要なのだから」
だから、理解できてしまった。
八神はやてが持つ最も純粋な願いと、最も醜悪な望みは同意であると。
騎士カリムの予言。管理局システムの崩壊を告げる詩を聞いたとき、自分なら世界を守れる、守りたいと、彼女はそう考えた。
それは、確かに正義だった。だがそれ故に、何よりも醜い呪いだった。
そう、何かを守ろうという願いは、同時に、何かを犯そうとするモノを、望む事に他ならない――
「だが苦しむことはない。人間とは、他者の不幸の上でしか幸福を謳歌できぬ獣の名だ。
誰かを否定することでしか肯定できぬ願望があるのなら、何を躊躇うこともない。自らの意思で他者を蹴落とし、その先へと進みたまえ」
その苦悶を覆い隠すように、神父は言う。
『敵ができて良かったな』と。その言葉こそが、胸の奥を突き刺した。
左手を樹から引き剥がし、呆然とする彼女の横を通り過ぎ、
「さらばだ八神はやて。そして、最後の忠告だ。
――気をつけたまえ。これより君の世界は一変する。
どのような変化かは分からぬが、自らの淵を覗いた人間は、決してそのままではいられない。
ならば、自身を自身足らしめる一片だけは、全てを賭して護り抜け。それだけが、今の君に残された矜持だ」
最後に、本心からの忠告を残して歩き去る。
――その背中に、懐古と回顧を浮かべながら。
13:一日目・森林/オルター・エゴ ◇Haf2Sq.37
07/10/06 11:52:49 OTC6ZE8s
【H-2/森と市街地の間/一日目/黎明】
【言峰綺礼@Fate/stay night】
[状態]:健康 左手にトリモチがへばりついてます
[装備]:ストラーダ@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[道具]:荷物一式 支給品0~1(本人確認済)
[思考]
1:殺し合いに干渉しつつ、ギルガメッシュを探す。
2:シータに会えばパズーの伝言を伝える。
※制限に気付いています。
※ストラーダはデイパックの中です。
【H-3/森と市街地の間/一日目/黎明】
【八神はやて@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:健康 茫然自失
[装備]:トリモチ銃@サイボーグクロちゃん
[道具]:支給品一式 レイン・ミカムラ着用のネオドイツのマスク@機動武闘伝Gガンダム
[思考]
1:自分の信念が正しいのかという迷い。困惑。
2:東回りに観覧車へ。クロと合流する。
3:主催者を逮捕するのは、果たして正しいのだろうか?
※ムスカを危険人物と認識しました
※シータ、ドーラの容姿を覚えました。
※モノレールに乗るのは危険だと考えています。
※言峰については、量りかねています。
14:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/06 11:56:56 OTC6ZE8s
貼り忘れ
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ3
スレリンク(anichara板)
15:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/06 20:04:28 IcaVORw9
16:飾られた虚実 ◆AaR9queMcU
07/10/06 20:08:49 K2R/aoA7
何の変哲のない道路を歩く一人と一匹……
「…………」
一人の方はやや疲れ気味の表情で。
「…………」
一匹の方はやや苛々気味の表情で。
「なぁヴァッシュ」
と一匹。
「なんだいクロ?」
と一人。
「オイラは何時になったら暴れられるんだ?」
「いや、僕に聞かれても困るんだけど……」
「かーっ!!これからこいつで思う存分暴れられると思ったのによー、だーれも出て来やしねー!」
「まぁ、暴れる前に仲間になってくれる人を探さないとね……」
「「はーあー……」」
辟易した表情で溜め息をつく一人と一匹。
無理もない。いままでの道すがら参加者はおろか生物の一匹とも遭遇していない。
途中立ち寄った下水処理施設にも人は居らず、ごうんごうんと浄化槽の起動音が鳴り響くだけだった。
月は沈み空はすでに赤みがかっており、夜明けが近いことを知らせる。
なんの変哲のないアスファルトの骨材もはっきりとし始め、ちらつき始めた街灯も明かりを消してゆく。
周りに見える建物のシルエットも、はっきりと見える部分と陰る部分とに分かれ始めていた。
こっちの夜明けもそう変わらないんだな……
と、ヴァッシュはそう思うと同時にあまりにも平和すぎるこの光景が非道な殺し合いの場になるんだということを思い出し顔を曇らせる。
「どうしたんだ?」
「いや、こんな平和な光景なのに、ここが殺し合いの場所って思ったらついね」
「ほーん、オイラにはわかんねぇや」
フツーの町でフツーに破壊活動を行っているクロにはあまりわからない感情だった。
とにかく傍から見れば、とんでもなく平和ボケした連中に見えただろう。
そう、物陰から盗み見ている一人の女、クアットロもそうだった。
17:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/06 20:09:20 pDQJK/sT
18:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/06 20:09:52 IcaVORw9
19:飾られた虚実 ◆AaR9queMcU
07/10/06 20:10:22 K2R/aoA7
□□□□□□□□□□□□
「クソッ!!」
クアットロは悪態をつきながら逃げていた。
いや、彼女に言わせればこれは戦略的撤退、すべてはあの男を始末するための然るべき工程なのだ。
遠射創から流れ出る血は未だ止まっていない。
失血は致死量には至らない程度であるが、それは彼女を疲弊させるには十分な量だった。
このまま垂れ流しておく訳にも行かないが、今はあの男から距離をとる方が最優先だ。
早く、早く、早く!
そう一通りの答えを出すと、クアットロは南西へと飛んだ。
ある程度距離をとった思える場所へクアットロは着陸する。
そして即座に目立ちにくい場所に身を隠し、簡単な止血処理を施すと、
キャロとティアナから奪った支給品を一通り確認しこれからの行動について思案し始めた。
まずはあの男を殺すための駒が必要だ。
あの距離を拳銃で狙撃出来るほどの腕の持ち主、仕留めるのは簡単ではない。
同じだけの技量、出来ればそれ以上の技量を持った駒が必要だ。
だが、並みの人間なんかでは話にならない。
まあ弾除けやら囮くらいにはなるだろうが。
幸いにもここは殺し合いのための場、都合のいい人間もいるはずだろう。
それに、ISや支給品といった駒を手に入れるための手段も持ち合わせている。
加えてこの狂気と疑心あふれるこの場こそが自分にとって最大のアドバンテージとなる。
そう、すべては自分が生き残るための駒、取るも取られるも、自分の手という盤上で躍らせればいい。
それこそ私にとって最大で最高の快感。
しかしそれには多少なりにも探す労働という枷が付いてくる。
致し方ないとはいえ、直接的な肉体的労働は気がすまなかった。
それから開放されるためにも一刻も早く駒となる人間を捜すこと。
それが、今一番の最善策だ。
そこで現在の位置を把握するため地図とコンパスを取り出す。
記憶していた地図の通りに飛んでいたなら今は博物館付近にいるはずだ。
地図を開きコンパスで方位を示した。
20:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/06 20:11:37 IcaVORw9
21:飾られた虚実 ◆AaR9queMcU
07/10/06 20:12:16 K2R/aoA7
おかしい。
何度繰り返し確認しても、ここはD-4地点ではなく、そこから少し西寄りのE-5地点だった。
そう、彼女はD-4地点へ向かったはずだった。
だが先ほどの出来事で動揺した彼女は不安定なまま飛行を続けた挙句、記憶していた地図の方角よりも西寄りに飛行していたのだ。
何たる失態、これではまるで自分がかき乱された馬鹿と同じではないか、まったく忌々しい!
だが、この失態は彼女にとってむしろ良い方向に進んだ事象かも知れない。
地図とコンパスをしまい込み、その場を立ち去ろうとしたその時、一人の男と一匹の猫が現れたのだった。
緊張感のかけらもないアホ面を下げた赤いコートの男。
そしてデイパックを背負っているところ意外普通の黒猫だった。
あの猫、喋っているということはネコ型の使い魔か、生物兵器の類だろうか。
とりあえずこちらには気付いていない様だった。
二人と一匹は会話を続けている。
「ところでよぉ、これからどこへ行くんだ?」
「とりあえず、一番近いデパートで仲間になってくれそうな人を探してみようかと思うんだけど、異論は?」
「無ぇ、んで、さっきから気になってたんだけどよぉ。」
「ん?どうしたんだい?」
「そこにこそこそ隠れてるやつ、そろそろ出てきたらどうだ?」
22:飾られた虚実 ◆AaR9queMcU
07/10/06 20:13:21 K2R/aoA7
□□□□□□□□□□□□
こちらの存在はすでに気付かれていた。
どうする、このまま交渉に出るか?それとも逃げ出すか?
決めかねるクアットロに声が掛かる。
「俺たちはゲームには乗っていない!きみもゲームに乗っていないのなら返事をくれ!!」
コートの男がそうこちらに告げる。
あの男たちはおそらくゲームに乗っていないだろう。
乗っているのならすでにこちらを殺しに来るはずだ。
まあそれもあちらの策のうちかも知れないが、このまま黙っていてもこちらの状況がかえって悪くなるだけだ。
事が起こってから逃げ出すことも出来なくは無いだろう。
「どうした?出てこれねぇならオイラ達がそっちに行くぜ?」
「わ、わかりましたわぁ今そちらに参ります」
物陰から現れたのは一人の女だった。
「私もゲームには乗っておりませんわ。」
そういうと両手を挙げ敵意が無いことを表した。
その顔は苦痛にゆがんでいる。
どうも左肩を怪我した様で布が巻かれていた。
それに気付くとヴァッシュは素早くその女の下へ駆け寄る。
「大丈夫か?まさか、誰かに襲われたのか!?」
「……ええ、つい先ほど、なので人に遭うのが怖くて隠れてたんです。」
女は酷く怯えていた。
ふるふると肩を震わせ今にも泣きだしそうな表情だった。
23:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/06 20:13:32 IcaVORw9
24:飾られた虚実 ◆AaR9queMcU
07/10/06 20:14:40 K2R/aoA7
うふふ……いいカモがやってきてくれましたわぁ)
クアットロは心の中でほくそ笑み、こいつらをどう巧く扱うか思案をめぐらしていた。
この男見かけ以上にお人好しそうだ、涙のひとつでもみせればコロリと信じてしまいそうなほどに。
それにこの猫だ、何時からかは知らないがこちらの様子に気付いていた。
支給品を使った様子は無かった。
何らかの索敵能力があるのは間違いない、大いに使える駒になってくれるだろう。
「それで、襲ったのはどんな奴だったんだ!?」
クアットロは一部始終起きたことを話した、もちろん虚偽や誇張を織り交ぜながら。
「なのでまだあいつが近くに居るかもしれません、なのでその……」
「ああ、君をその襲った奴から守ってやる、いいかいクロ?」
クロは銃を構えつつ答える。
「もちろんだ、それにその襲ってきた奴と暴れられるんだ、文句なんか付け様がねぇ!」
「なら決まりだ。仲間探しは一時中断、ひとまず今は彼女を守ること、それとその襲ってきた黒服の男を止める!」
彼女を守るため、黒服の男を止めるため、一人と一匹はその現場へと向かい歩き出す。
その彼女こそが一連の事象の張本人だとも知らずに。
25:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/06 20:15:33 pDQJK/sT
26:飾られた虚実 ◆AaR9queMcU
07/10/06 20:15:48 K2R/aoA7
E-5/町周辺/一日目 早朝】
【クロ@サイボーグクロちゃん】
[状態]:良好 少しハイになっている。C-5へ移動中
[装備]:ナイヴズの銃@トライガン 残弾×6+予備弾30
[道具]:支給品一式 錆びた日本刀@機動武闘伝Gガンダム
[思考・状況]
1.とりあえず今はクアットロを襲った奴を何とか説得する。
2.はやてとの約束を守りつつ東回りに観覧車へ 。
3.はやてより先に観覧車にたどり着く。
4.あ~、早く暴れてえ~!
※クアットロを除く【魔法少女リリカルなのはStrikerS】の参加者の容姿と概要、及び時空管理局、なのは世界の魔法に関する(クロの理解の範疇での)知識を得ました。
※全身の武器は全て没収されています。
【ヴァッシュ・ザ・スタンピード@トライガン】
[状態]:良好 C-5へ移動中
[装備]:ミリィのスタンガン 残弾8
[道具]:支給品一式
[思考・状況]基本:絶対に殺し合いを止めさせるし、誰も殺させない。
1.とりあえず今はクアットロを襲った奴を何とか説得する。
2.ナイヴズの銃は出来るだけ使いたくない。
3.ランサーが次に会ったときに怒ってたら、とりあえず謝り倒しながら逃げる。
※ある程度クロとの情報を共有しました。
【クアットロ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:銃撃を受けた左肩がまともに動かない C-5へ移動中
[装備]:
[道具]:支給品一式、不明支給品×1~3
[思考]:1.勝ち残り、ドクターの元へ生きて帰る
2.駒(クロ、ヴァッシュ)を使って、黒服の男(ウルフウッド)を始末する。
3.善良な人間の中に紛れ込み、扇動してお互いを殺し合わせる
4.出来る限り自分は肉体労働しない
5.可能であれば『3』のために首輪を集める
※キャロ殺害の真犯人です
※また、その犯人を黒服の男(ウルフウッド)ということにして二人に伝えています
※黒服の男(ウルフウッド)に恐怖を感じています。また、顔が割れた可能性が高いとも思っています
※支給品はすべて把握しています (何が入っているかは以降の書き手さんにお任せします)
27:片道きゃっちぼーる ◆umwdy9coMs
07/10/06 23:43:57 zr8xjKsr
「やはり私はこの世界でもこんな扱いなのか……」等、意味の分からない事を呟きつつうな垂れる久我を慰め、お互いの能力・情報等について話し合った結果、様々な事柄が似ているようで食い違っている、ということが判明した。
久我の推測も含めて纏めてみると
・今回の殺し合いは蝕の祭や聖杯戦争をモデルにした物
・テッカマンとHiMEとサーヴァントは似たような存在
・螺旋力=高次物質化能力=魔術に近い特殊な力
・螺旋遺伝子を持った者=特殊能力者
・この殺し合いの参加者は皆、何かしらの特殊能力を持っている
ということになるらしい。
何と言うか……ここまで明晰な頭脳を持ちながら“うっかり”で俺に襲い掛かってきたあたり、どこぞの赤い悪魔を彷彿とさせる。
“うっかり”俺に襲い掛かってきたとはいえ、この殺し合いの分析を進め冷静に脱出への道を探していた久我と比べて、自分は何をしていたんだろう。
(結局──聖杯戦争でセイバーや遠坂に助けられてばっかりだった頃と何も変わっていないじゃないか!)
先程の行為を水に流し、なつきに尊敬の念すら抱き始めた士郎だったが……
「しかし……衛宮と私達の知り合い全員が何らかの能力者と言う事はやはりドモンも何らかの能力を隠している可能性が高いな」
やはり彼女は“うっかり”だった。
「ドモン?」
彼女の知り合いは鴇羽、結城、藤乃の三人だった筈だけど──?
「ああ、お前に会う前に出会った子供だ。本人が言うには何の能力も持っていないらしいが、これだけ能力者が多い中で1人だけ能力を持っていないというのはやはり不自然──」
尚も続けようとするなつきの声は、しかし士郎の怒声に遮られた。
28:片道きゃっちぼーる ◆umwdy9coMs
07/10/06 23:45:11 zr8xjKsr
「こんな危険な所で子供を1人きりで放置するなんて、何考えてるんだ!?」
本当かどうかは分からないにしても、本人曰く何の能力も無い子供を殺し合いの場所で放置。
『正義の味方』を理想とする士郎にとって決して許せる行為では無かった
「お、落ち着け衛宮。私にも事情がっ!」
「事情?」
冷静に考えてみたら、久我だって好きでドモン君を放置してきた訳じゃないだろう。
(まさか自分の下着を持った俺を見つけたからそのまま追いかけてきた、何てこと無いだろうし。何か深いわけが……)
「あ、ああ。2人で歩いていたら全部燃えたはずの私のアレを持った男を見つけて──」
ああ、なんて事だ。
先程から考えていた事だが今確信が持てた。
目の前にいる女は──間違いなく、遠坂クラスの“うっかり”だ。
この殺し合いの場で、自分の下着を手にした男を見たくらいで取り乱して子供を放置するなんて。
なんて──無様。
「ってそのままドモン君を置いて俺を追っかけて来たのかよ!こんな危険な場所で無力な子供を1人きりにするなんてっ!!すぐ戻って守らないと!」
「その必要は無いッ!」
今にも駆け出さんとする士郎の前に叫び声と共に天から1人の漢が降臨した。
その漢こそ第13回ガンダムファイト優勝者にして現キングオブハート、ドモン・カッシュ。
衛宮士郎に無力な子供扱いされた漢だった。
29:片道きゃっちぼーる ◆umwdy9coMs
07/10/06 23:46:11 zr8xjKsr
■■■
ここで時間は少しさかのぼる。
士郎やなつきと出会う前、可符香と別れてしばらくたったドモンは、少し迷っていた。
(先程はあの少女の雰囲気に押されて納得してしまったが……やはり問答無用で参加者に襲い掛かるのは違う気がするな)
殺し合いに乗った強者と闘うのは問題無いし、殺し合いに乗ってしまった弱者を倒すのも致し方ないだろう。
殺し合いに乗っていない強者と闘って拳と拳で分かり合い且つ経験を積むというのも素晴らしい案に思える。
──だが、殺し合いに乗っていない弱者と闘うのは正しいのだろうか?
(強くなる……、俺の求める強さは弱者を蹂躙して得る強さなのか?)
時間がたてばたつほど、迷いは強くなる。
(否!真の強さとは強敵とのファイトを通じてこそ得れる物!弱者を蹂躙して得る強さなど、紛い物にすぎん!)
そうと決まれば迷いは無い。
高速道路に飛び移り、ドモンは力強い足取りで走り始めた。
強者と弱者を判断する為に彼が取った方法とは敢えて目立つ行動をとる、という方法だった。
高い所を走っていれば嫌でも目に付くだろう。
それを見たときの対応は3つ。
・不意を付いて襲い掛かる
・情報収集・仲間集めの為に接触する
・逃げる
襲い掛かってくる奴とは問題なく闘えるし、近づいてくる者はある程度の自信があるのだろうからファイトして貰う。
そして逃げる人は追いかけて保護する。
この時に殺人鬼と勘違いされてしまう可能性もあるが、一般人とガンダムファイターの追いかけっこの結果は火を見るより明らか。
追いついて理由を話して納得してもらえば問題ないだろう。
30:片道きゃっちぼーる ◆umwdy9coMs
07/10/06 23:47:14 zr8xjKsr
方針を定め気配を探りながら走っていたドモンは2人組みの少年と少女を見つけた。
ここからでは何を言っているのか良く聞こえないが、なにやら揉めているようだ。
反応を判断して強者なら闘う、弱者なら保護する。
そう思いつつ二人の方へ近づいていったドモンは驚くべき言葉を耳にした。
「ってそのままドモン君を置いて俺を追っかけて来たのかよ!こんな危険な場所で無力な子供を1人きりにするなんてっ!!すぐ戻って守らないと!」
俺を置いて、と言う事は俺を発見したが接触しなかった、という意味だろうか。
高速道路を走っていれば発見される事自体は不自然ではないが…。
……いや、待て。それだけでは名前を知っている理由にはならない。
まさか、風浦、あるいはエドとの会話の時点で監視されていたのか?
そして、何らかの事情で監視を放棄した?
こちらも警戒していたのに平然とその警戒を破り一方的に監視していたとは恐ろしい技術。
だが無力な子供だと?
年齢で見ればどう考えてもあの二人の方が年下。
ということは俺の力など子供の程度のものという比喩か?
一瞬で様々な考えが脳裏に浮かぶ。
だがドモンのキングオブハートとしての誇りと本能は考えるより先に体を動かし、
「その必要は無いっ!」
雄たけびと共に飛び降りていた。
31:片道きゃっちぼーる ◆umwdy9coMs
07/10/06 23:48:27 zr8xjKsr
■■■
そして時間は現在に戻る。
「この俺を前にして無力な子供を守る、とはよくぞ吠えた!そこまで言うのなら貴様らの実力見せてもらおう!」
「──ッ!?」
空から降って来た男は此方への殺気を隠そうともせず、ファイティングポーズをとっている。
常人なら即死──とは言わないまでも唯ではすまない高さから飛び降りてもかすり傷一つ負っていない。
向けられる殺気の質はサーヴァントにも劣らない。
間違いなく自分とは格が違う。
歯向かえば間違いなく殺される。
それでも──いや、だからこそ子供を守ることを否定されたのは許せなかった。
「子供を守ることの何がいけないんだ!」
「まだ言うかっ!もはや問答無用!それ以上吠えたければこの俺を倒してからにしろっ!」
駄目だ。完全に話が通じない。
男が恐ろしいスピードで突っ込んでくる。
投影する暇もない。
──やられるっ!?
「衛宮ッ!!」
その窮地は久我によって救われた。
とっさに銃を作り出し、威嚇射撃。
全弾外しつつ相手の動きを止めるとは相変わらず凄まじい銃の腕だ。
「くそっ!やるしか無いのか!?」
投影開始。
呪文を唱え双剣を作る。
見たところ無手の男はこちらの能力を警戒したのか仕掛けてこない。
かといって此方から仕掛けることも出来ない。
先程見せた身体能力──そして何よりも英霊とも比肩しうるその存在感。
少しでも動けば一瞬でやられてしまうだろう。
32:片道きゃっちぼーる ◆umwdy9coMs
07/10/06 23:50:38 zr8xjKsr
互いに動けず、膠着したまま時は過ぎる。
(こうしてる間にもドモン君は……)
どこかで1人で怯えているはずの少年を思う。
怖いだろう、淋しいだろう。
これ以上こんな所で時間をかけるわけには行かない。
しかし相手の能力を考えれば一瞬で倒す事など論外、それどころか逃げ切ることすら難しいだろう。
なら残された方法は一つ。
(俺が──時間を、稼ぐ!)
「久我!あんたは先に行けっ!」
「しかしそれではお前が──」
彼女の葛藤は良く分かる。
2人でも勝ち目は薄いのに、俺1人で挑めば敗北は必死。
それでも俺は──正義の味方は──
「ドモン君をこれ以上1人で怖がらせておくわけにもいかないだろ?」
俺を見捨てて逃げる形になることに抵抗があるのか、久我はなかなか頷いてくれない。
どうしたものかと悩む脳裏に浮かんだのは一人の英霊の背中。
『ああ。時間を稼ぐのはいいが─― 別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?』
あいつは──あの憎らしい弓兵は、敵う筈の無い狂戦士にも挑んでいった。
「それに──俺1人であいつを倒してしまっても構わないだろ?」
「──分かった。放送までは出会った場所で待っている。……死ぬなよ」
説得は無駄だだと悟ったのか久我はドモン君の所に向かってくれた。
彼女なら、ドモン君を守って、最終的にはこのふざけた殺し合いを潰してくれるだろう。
久我とドモン君の事を一時的に忘れて、意識を正体不明の男に向ける。
眼前の敵を倒すことは出来ないかもしれない。
それでも、後に続く人たちがあいつを倒せるように──無駄死には、しないっ!
(案外、似たもの同士だったのかな)
あれだけ馬が合わないと思っていた男と同じ行動をとっている自分に苦笑しつつ──
衛宮士郎は、格闘王に刃を向ける。
33:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/06 23:51:16 gbeiLDDV
34:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/06 23:51:21 Z5HMu7gz
35:片道きゃっちぼーる ◆umwdy9coMs
07/10/06 23:51:40 zr8xjKsr
■■■
「ドモン君をこれ以上1人で怖がらせておくわけにもいかないだろ?」
「──ッ!?」
この言葉を聞いた時のドモンの感情は、最早言葉で表せるものではなかった。
眼前の2人の眼にも映らぬ早業に恐怖を抱き、攻めあぐねていたのは事実だった。
こちらが仕掛けたと思った瞬間、女は虚空から銃を取り出し、こちらに射撃してきたのだ。
あまりの出来事に一瞬動きが止まってしまったが、弾丸はドモンをあざ笑うかのごとく全て外れた。
女だけではない、もう1人の男の方が双剣を手にした瞬間も視認することが出来なかった。
相手の一挙一動に注目していたのにも関わらず、だ。
にも拘らず隙だらけなのが恐ろしい。
打ち込む隙は随所にある。
だが打ち込んだ瞬間、眼に映らない速さで、女の銃で眉間を撃ち抜かれるかもしれない、男の双剣で斬り伏せられるかもしれない。
そんな恐怖があった。
だが──
『ドモン君をこれ以上1人で怖がらせておくわけにもいかないだろ?』
曲りなりにもキングオブハート。
ここまで言われて引き下がる訳にはいかない。
かと言って怒りで暴走すれば勝ち目はない。
侮辱された怒りも、相手の力への恐怖も、全てを受け入れつつも揺らがない、澄んだ水のような心。
すなわち──明鏡止水。
幸いにして残った方は剣士。
自分の力を全てぶつければ──勝機はあるっ!
「キングオブハートを──舐めるなァツ!」
我が心明鏡止水、されどこの掌は烈火の如く。
眼前の強敵に、ドモンは己の拳を向けた。
【A-4 川岸 一日目 早朝】
【ドモン・カッシュ@機動武闘伝Gガンダム】
[状態]:健康。明鏡止水
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本:己を鍛え上げつつ他の参加者と共にバトルロワイアルを阻止し、螺旋王をヒートエンド
1:目の前の少年と全力で戦う
2:積極的に、他の参加者にファイトを申し込む (但しある程度の力を持ったもの限定)
3:ゲームに乗っている人間は(基本的に拳で)説き伏せ、弱者は保護する
※本編終了後からの参戦。
※参加者名簿に目を通していません
※正々堂々と戦闘することは悪いことだとは考えていません
※士郎・なつきはかなりの腕前だと思い込んでいます。
36:片道きゃっちぼーる ◆umwdy9coMs
07/10/06 23:52:55 zr8xjKsr
【玖我なつき@舞-HiME】
[状態]:疲労(中)、チェスに軽度の不信感
[装備]:ライダースーツ@舞-HiME
[道具]:支給品一式、風華学園高等部制服@舞-HiME、不明支給品2(本人確認済み)
[思考]
1:チェスの元に行く。
2:放送まではA-6で士郎を待つ
3:舞衣、静留、奈緒と合流する
4:この殺し合いから脱出する
[備考]
※チェスの名前をドモン・カッシュだと思っています
士郎の情報を元になつきは以下の仮説を立てました。
・今回の殺し合いは蝕の祭や聖杯戦争をモデルにした物
・テッカマンとHiMEとサーヴァントは似たような存在
・螺旋力=高次物質化能力=魔術に近い特殊な力
・螺旋遺伝子を持った者=特殊能力者
・この殺し合いの参加者は皆、何かしらの特殊能力を持っている
※参戦時期は蝕の祭が終了した後です
【衛宮士郎@Fate/stay night】
[状態]:疲労(中)
[装備]:干将莫耶(投影)、デリンジャー(2/2)@トライガン
[道具]:支給品一式、暗視ゴーグル、デリンジャーの予備弾20
[思考]
1:目の前の男を何とかして、なつきとドモン(チェス)と合流する。
2:殺し合いを止める。
3:イリヤの保護。
4:できる限り悪人でも救いたい(改心させたい)が、やむを得ない場合は―
※投影した剣は放っておいても30分ほどで消えます。
真名解放などをした場合は、その瞬間に消えます。
※本編終了後から参戦。
※士郎はなつきが凄まじい銃の腕を持っていると思い込んでいます。。
37:螺旋博物館 ◆10fcvoEbko
07/10/07 00:35:00 7EbjPLm3
「螺旋博物館……ですか」
D‐4の中心に位置する博物館の入り口で、明智健悟はそう呟いた。
建物は名前の通り綺麗に捩れた螺旋形をしており、見たところ2階建て程度の高さである。
清潔に保たれた玄関にはたったいま明智が呟いた、館の名を示す看板が掲げられていた。
それも、近代的な館の外装には不釣り合いな木版画風の、妙に迫力のあるデザインの看板である。
「やれやれ、螺旋王という方は妙なところで凝り性のようだ」
周囲には誰もいないにも関わらず、明智は再び声に出して呟いた。
一度ずぶ濡れになった衣服は大分乾いてはきたが、肌に張り付く不快感が完全に消えた訳ではない。
「何か、面白い展示を行っているといいのですが。金田一君や剣持警部はこのような場所を訪れようともしないでしょうし」
螺旋、それは自らも螺旋王と名乗ったあの男の言葉の中に、度々含まれていた単語だ。
その言葉を冠した博物館ともなれば、螺旋王の意図、引いては事件解決の手がかりとなるような情報を見つけられるかもしれない。
たとえ、それが全て螺旋王の用意したものであったとしても、自分ならそこから何らかの情報を掴み取ることができる。
明智はそう判断し、博物館へと足を踏み入れた。
入り口は自動で、螺旋形に開いた。
博物館に入るとすぐに案内所らしきところに出た。しかし、人の気配はない。
無人の受付け所がどことなく不気味な雰囲気を演出している。
明智は案内用に置かれていたパンフレットを一枚取ると、近場の椅子に腰を下ろし読み始めた。
「『いがいとしらないみぢかな螺旋!~じんたいからうちゅうまで~』……名前の通り螺旋をキーワードにした博物館ですか。それにしても螺旋形に開くパンフレットとは読みづらい」
ぼやきつつも、どんなささいな情報も見落とすまいと明智はパンフレットを読み進める。
その目付きは、事件現場で犯人逮捕のための証拠を探す名探偵そのものだ。
パンフレットには館内地図と展示の概要が、子供向けの分かりやすい表現で記されていた。
ちなみに、文字の配列も螺旋形である。
38:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 00:35:31 kkTIgwTZ
39:螺旋博物館 ◆10fcvoEbko
07/10/07 00:36:26 7EbjPLm3
来館者は入り口を起点に、時計周りに展示物を見て回ることになっているようだ。
螺旋形に延びた廊下を歩き、途中設けられた部屋でテーマ毎の展示を見て、また廊下に戻り次の展示室へ向かうという順路である。
最後に廊下は館の中心へと至り、来館者は螺旋階段で2階へ移動するようになっている。
1階部分が常設展示なのに対し、2階部分は期間限定の特別展示に割り当てられていた。
「なるほど。しかし対象年令の低いテーマ名だ。
詳細名簿を見た限り、参加者の平均年齢はここまで幼くはないように見えましたが。
螺旋王の趣味と考えていいのでしょうか?」
無人の博物館に明智の独り言が空しく響きわたる。
1階の、常設展示用の部屋は3つ設けられていた。
展示テーマはそれぞれ「どうぐにもなる螺旋!~おとこのロマンだ~」
「きみのなかの螺旋!~じんたいのふしぎ~」
「うちゅうのなかの螺旋!~すごくでかいぞ~」
と書かれていた。
それぞれ概要も記されているのだが字が大きく内容も幼稚なため、得られる情報は少ない。
どういう訳か2階部分の展示に関する記述はなかった。
「とりあえず見て回りましょうか。螺旋王のセンスを拝見するためにもね」
明智はそう言って、螺旋形に配置された椅子の一つから立ち上がった。
言葉を返すものはこの場におらず、明智の靴音だけが博物館の壁に吸い込まれていった。
一つ目の部屋に展示されていたのは、要するにドリルだった。
さんさんと輝く照明の下、手動の穴堀り機やら電動ドリルやら重機の模型やら、そういったものが説明用のキャプションとともに展示されている。
多少なりとも期待していたような、明智にとって未知の情報は何も記されていない。
変わったことと言えば、部屋の床全てに段差があり、降りから途中で登りに変わり入り口へと戻るそれを、来館者が螺旋を描くような形で移動しなければならないことぐらいである。
明智は一瞬展示品を武器にできるのでは、と思ったが「ここにあるものはレプリカです。よいこはさわらないでね」と書かれた説明書きを見てそれを諦めた。
「特にこれといったものは無いですね。螺旋形に書かれたキャプションもまた、大変に読みづらいですが」
明智はそれだけ言うと、示された順路通り時計周りに部屋を一周して、次の展示室へと向かった。
40:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 00:36:45 mz/rnxkt
41:螺旋博物館 ◆10fcvoEbko
07/10/07 00:38:22 7EbjPLm3
結果から言えば後の2つの部屋でもたいした発見は無かった。
2つ目の部屋は結局人間のDNAの構造について淡々と説明してあるだけであり、3つ目の部屋は星や銀河の運動を螺旋と絡めて述べただけのつまらないものだった。
少なくとも、そこには明智から見て目新しく思える物は何もなかった。
「展示の一貫性もありませんね。後は2階部分ですが」
館の中心部に至り、2階へと続く螺旋階段の前で明智は立ち止まった。
明智の目の前には館の入り口と同じような扉があり、明智の侵入を拒むかのように固く締め切られていた。
そして扉には『特別展示準備中』と螺旋形に書かれた紙と、螺旋状に目盛りを減らしていくタイマーのようなものが取り付けられていた。
「一定時間生き残った者にしか見せたくない物、という訳ですか」
明智は顎に手をやりふむ、と考え込むように息をもらした。
確か螺旋王は、最初の説明のときに『優秀な螺旋遺伝子を求めている』と言っていた。
「螺旋遺伝子がどういうものかは分かりませんが『優秀』とはまた曖昧な表現だ。
最初に見せしめとなったあの男のように単体での破壊力に優れた物を指すのか。
それとも単にどんな状況でも生き残ってしまうような運の強い者を言うのか。
あるいは私のように推理力に優れた者を指すのか。
甚だ分かりにくい。
これを見る限りでは、この場で長く生きた者はその分だけ他より『優秀』である、という解釈はできますね」
この場にいない螺旋王へのイヤミをぶつぶつ呟きながら、明智はじっくり扉とそこに貼られた物を観察する。
よく見ると『特別展示準備中』と書かれた紙には小さな文字で続きが書かれていた。
「『特別展示に入場される方は螺旋に類する物を持参ください。開封、未開封は問いません』
……入場制限付きですか。『螺旋に類する物』というのも良く分かりませんが」
この博物館の展示を見る限り、どうとでもこじつけられるような気がする。
明智はため息をついた。どうもこの先に進まないとこの博物館の核心には触れられないようだ。
強度を確かめてみたが、手持ちの道具で強行突破できるようなやわな作りでもないようである。
明智はこれ以上の捜査を一旦諦め『目盛りの減り具合からして入場可能になるのは明日の正午ちょうど』であることを確認すると、もときた廊下を引き返した。
誰もいなくなった廊下で、螺旋の扉は沈黙を保ち続けていた。
螺旋のタイマーは、今はただ静かに時を刻んでいる。
その先にある物を守るかのように、ただ静かに。
それが何を齎すかは、まだ、誰も知らない。
42:螺旋博物館 ◆10fcvoEbko
07/10/07 00:40:39 7EbjPLm3
「さて、今のところ妙な扉の他にこれといった収穫は無かった訳ですが」
受付けまで戻った明智は、最初に座ったのと同じ椅子に再び腰を下ろしていた。
相も変わらず無人の受付所は、明智が立てる音を除けば、しんと静まりかえっている。
「それにしても、この博物館はひどい」
明智はそう言うと、なっていないと言わんばかりに目を閉じ指を組んだ。
そして、誰もいない博物館で滔滔と説教を始めた。
「まず展示の流れが分かりにくい。
螺旋を共通項にしたつもりでしょうが括りがあまりに広すぎる。展示内容の変化に見る者がついていけなくなってしまいます。
展示自体も単調なものです。目を引く配置をしている訳でもない。ただ物を置き文字で説明するだけでは見る者が飽きてしまう。
意図は分かりませんが、パンフレットの書き方を見たところターゲットには子供を想定しているのでしょう。それならば一層音声なり映像なりで工夫をこらすべきです。
照明の強さも問題です。
物によっては貴重な展示物を傷つけかねない。その辺りについて考慮しているかどうか非常に疑わしい。
それに、2階への移動手段が階段しかない、というのは論外です。
そもそも、博物館というものは『訪れた全ての人が快適に利用できる施設である』ことが大前提です。
床に段差を設けていることもそうですが、バリアフリーの概念が欠如していると言わざるを得ない。
その意味では順路の最初と最後が接続されていないことも、利用者に余計な手間をかけさせるという点では同様の欠点です。
まぁ、2階部分への入場制限については何らかの意図があるものとして大目に見ましょう。
ですが、総合的に見て螺旋王は、博物館の管理人としては最低であると言わざるを得ない」
次々と自らが感じた不満点を皮肉げに並べ立てる。
その姿は成績の悪い生徒を諭す教師のようである。
それを聞く者は館内にはいないが。
43:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 00:41:01 mz/rnxkt
44:螺旋博物館 ◆10fcvoEbko
07/10/07 00:41:51 7EbjPLm3
明智は一通り語り終えると満足したのか、煙草を一本取出し火を付けた。
深く煙を吸い、味わうようにゆるゆると吐き出す。
立ち上る紫煙が、無人の博物館に溶けていった。
明智は再び口を開いた。
「……少しは燗に触りましたか、螺旋王?」
ゆっくりと、視線を上に向ける。
ゲーム脱出のための手がかり探しと知り合いの捜索。
それらの他に、ゴミ処分場から博物館に至るまでの道程で、明智は一つの問題について思考を巡らしていた。
参加者達の監視方法についてである。
監視カメラを張り巡らしているのか、それとも監視衛星でも飛ばしているのか、それは分からない。
だが、螺旋王が何らかの方法で自分達の言動を監視していることは間違いないと、明智は考えていた。
(何か仕込むとしたら、この首輪などは打ってつけですね)
そうは思ったが確証もないため、何か監視のヒントを掴めないかと、館に入ってからはわざわざ口に出すまでも無いようなことまで声に出し、監視者の反応を見ることにした。
相手の感情を刺激した方が反応を得られる可能性が高まるだろうと、口にする言葉はわざとイヤミな内容にしていた。
さすがに悪口程度で首輪を爆破されることもあるまい、という計算を働かせた上でのことである。
軽い腹いせ程度のリアクションを期待していたのだが、たとえ何も反応が得られなかったとしても、明智には何の損失もない。
45:螺旋博物館 ◆10fcvoEbko
07/10/07 00:43:09 7EbjPLm3
そして、明智が煙草を一本吸い終えるだけの時間が過ぎても、博物館は依然として静寂に包まれたままだった。
「無視、ですか。まぁ、私の皮肉程度に反応するような小物には、このような舞台の主催者はつとまらない、ということですね」
思惑が外れはしたが、明智の声に落胆の色はない。そればかりか明智の思考は既に次に何をするべきか、というところに移っていた。
(代わりに気になる物も見つけましたし)
最早口に出して言う必要もなく、明智は先ほどの扉を思い浮かべた。
あの螺旋形の扉の先は、必ず調査しなくてはならない。
(さて、ここへは明日の正午以降にまた戻ってくるとして、それまでどうしますか)
他の施設にもここの2階部分のような要素が隠されている可能性は高い。
それらの情報を集めて回り、明智の推理力と掛け合わせれば、このゲームからの脱出に大きな助けとなるだろう。
引き続きマスタングや高遠のような要注意人物の確保と、脱出の助けとなる人物の捜索も続けたい。
問題は歩いて移動するかモノレールを経由するか。
施設が点在し、選ぶ指針も無い以上決め手に欠ける。
(とりあえずは、放送を聞いてから決めるとしますか)
明智は椅子に深々と身を沈めると、螺旋形の窓から差し込む朝日を浴びながら、新しい煙草に火を付けた。
【D-4 一日目 早朝 放送前】
【明智健吾@金田一少年の事件簿】
[状態]:健康、服は生乾き
[装備]:クロスミラージュ@魔法少女リリカルなのはStrikerS(カートリッジ4/4) x2
[道具]:支給品一式、ジャン・ハボックの煙草(残り16本)@鋼の錬金術師、参加者詳細名簿、予備カートリッジ8
[思考]
基本思考:犯罪芸術家「高遠遙一」の確保。ゲームからの脱出。
1:ゲームに乗っていない人間を探しつつ施設を回る。
2:金田一、剣持を探す。
3:明日の正午以降に博物館の先に進む。信頼できる人物にはこのことを伝える。
[備考]
※参戦時期は未定(高遠を最低でも知っている段階)
46: ◆10fcvoEbko
07/10/07 00:44:25 7EbjPLm3
以上で投下終了です。支援ありがとうございました。
47:美少女と甲冑、他 ◆1sC7CjNPu2
07/10/07 18:17:06 QVCPUnYG
「嫌ぁ!来ないでぇ!」
こなたは逃げていた。
すぐ後に迫ってくる、中身が空っぽの甲冑からだ。
甲冑はどれだけこなたが逃げようと、ぴったりと追いかけてくる。
こなたには分からなかった。あの甲冑は何がしたいのだろう、何を言ってるんだろう、こなたに追いついたら何をするんだろう?
どうしても、恐ろしい方に想像が行ってしまう。
―下手なホラーなんかより、ずっと怖いよ!
こなたは既にかれこれ小一時間ほど走り詰めていた。それだけ同じ時間恐怖に晒され、肉体も精神も疲弊している。
限界は、近かった。
「待ってってば!そんな大声出しながら走り回ったら目立って危ないって!」
アルフォンスは追いかけていた。
結局、自分から走って逃げた少女を放っておくことは出来なかったのだ。
アルフォンスは、少女が錯乱した原因は自分にもあると思ったのだ。
そもそも全身甲冑だし、極めつけに中身が無いことまで見せてしまった。
少女の反応はいささか過剰だとは思ったが、アルフォンスは当然の反応だと思ったのだ。
―とにかく、このままだとあの女の子が危ない。
兜とデイパックを拾ってから追いかけたため、そして錯乱した少女の想像以上の健脚とアグレッシブな行動のため思った以上に時間がかかった。
しかしアルフォンスの体力には限界が無く、少女には限界があった。
少女はもう、目の前だった。
「何、あんた、何!」
「ええと僕は……ちょっぴり鎧が不思議な錬金術師さ!」
「嫌ぁ!来ないで!憑き殺される!解剖されるぅ!」
「なんかグレードアップしたー!」
……二人の鬼ごっこはまだまだ続いた。
48:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 18:17:35 5yO1kyYF
49:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 18:19:09 1PfBJ4tc
50:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 18:19:18 vOOrh3OX
51:美少女と甲冑、他 ◆1sC7CjNPu2
07/10/07 18:19:37 QVCPUnYG
■
そして、ついにこなたは崩れ落ちるように倒れた。
限界を超えて酷使した足は痙攣し、息は驚くほど荒い。そんな身体に反して、心は驚くほど静かだった。
諦め、といった方が早いかもしれない。
―私、ここで死ぬんだ。
話に聞いていた走馬灯は流れなかった。
ただ薄暗い空を見つめながら、ガッシャンガッシャンと鎧が近づいてくる音を聞いていた。
そして、甲冑はとうとうこなたに追いついた。
お願いだから、苦しくないように殺して。そう言おうとしたが、荒い呼吸の音しか出なかった。
甲冑はこなたを覗き込むように膝を着き、告げた。
「水、飲める?」
こなたは思った。怪談のオチってこんな感じだっけ?
52:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 18:19:55 pjmAq3Na
53:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 18:20:22 1PfBJ4tc
54:美少女と甲冑、他 ◆1sC7CjNPu2
07/10/07 18:22:17 QVCPUnYG
アルフォンスは水の入ったボトルを差し出しながら、少女を観察していた。
こちらを警戒しているものの、やっと落ち着いてくれたようだ。
「……殺さないの」
「殺さないよ、僕はこんなゲームなんかに乗ってない」
呼吸が落ち着いてくるのを待って、少女の口元にボトルを持っていく。
少しの逡巡の後に少女は水を含み、咳き込んだ。
「まずはうがいをして、食道が開いて飲みやすくなるから」
もう一度ボトルを持っていくと、今度はうがいをしてから水を飲んだ。
アルフォンスは、ひとまず安心した。
とりあえず暴れて逃げようとはしないので、少しは信用してくれたと思っていいだろう。
後はある程度は隠れられる場所に移動して、話し合おう。
ふと、アルフォンスは少女が虚ろな瞳でこちらを見ていることに気がついた。
「……何かな?」
「本当に、殺さない?」
「うん、何にもしないよ」
「本当に」
「うん」
「……ひっく、うぁ、うぁぁぁぁぁぁぁん」
「わっ!」
突然泣き出した少女に、アルフォンスは戸惑った。
泣き出した理由が分からないし、泣いた女の子をうまくなだめる方法などアルフォンスはよく知らない。
しかし、この状況はあまりよろしくない。
現在地は走り回ったせいでよく分からないが道路の真ん中で、見つけてくれと言わんばかりの場所である。しかも、泣き声という音源つきだ。
焦るアルフォンスを尻目に、少女が泣き止む気配はない。
アルフォンスが混乱した頭でオロオロとしていると、呆れたような声をかけられた。
「おいおい、お前さんいつからロイのやつと同類になった?」
どこかで聞いたような声だと、アルフォンスは思った。
弾かれたように振り返り、アルフォンスは自分の正気を疑った。
「いやまだロイの方がマシか?少なくともここまで泣かせはしないしな」
「ギャー!お化けー!」
「何言ってんだお前?」
声と同様に呆れたような、それでいてどことなく嬉しそうな表情でマーズ・ヒューズ中佐はそこにいた。
すぐ後でぺこりと頭を下げるハチマキをした少女もいたが、驚いているアルフォンスの目には入っていなかった。
55:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 18:23:24 nnn+dvwg
56:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 18:23:38 pjmAq3Na
57:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 18:23:48 1PfBJ4tc
58:美少女と甲冑、他 ◆1sC7CjNPu2
07/10/07 18:24:17 QVCPUnYG
■
腰を据えて話し合うには見晴らしが良すぎて危険だったし、こなたを休ませたかったため四人はF―4の東側の橋の下へ移動した。
こなたは歩くほどの体力も残っていなかったので、アルフォンスが抱きかかえて運んだ。
軽い自己紹介とスバルの簡単な時空世界のガイダンスを聞き、アルフォンスは再会してから疑問に思っていたことをヒューズに尋ねた。
その答えは、予想外のものだった。
「はぁ?俺が死んだはず?」
積み重ねられたテトラポットの上に座り、マーズ・ヒューズは疑問の声を上げた。
自分が死んだはずだと聞かされれば、当然とも言える。
アルフォンスだって訳がわからない。死んだはずの人物が、目の前でピンピンとしているのだ。
死んだということにして実は生きていました、という事情かとも思ったがヒューズの口調からそんな気配は微塵も無い。
しかもヒューズにゲームに呼ばれる直前の日時を聞いたところ、それはアルフォンスにとってはもはや過去の時間だった。
「どういうこった、これは?」
「一つだけ、心当たりがあります」
「……なんだ」
「……完璧な、人体練成」
アルフォンスの言葉に、ヒューズは深く溜息をついた。
なるほど、確かに死んだはずの人間が歩き回っていることの説明にはなる。
しかし、ヒューズには死んだときの記憶は無い。死者を蘇生させた時に何か細工をしたのか、それともアルフォンスの記憶が違っているのか。
そこで、ヒューズはスバルのことを思い出した。彼女は自分たちとは別の、おそらく技術的には先を行っている世界の出身だ。
「スバルちゃん、君のところの技術で人間一人を完璧にコピーすることはできるか?」
「え、え~と、私も詳しいことは知らないんですけど」
「有るか無いかだけでいい。詳細なんてどうせ分からん」
「……完璧ってわけじゃないですけど、人の複製を作って記憶を植え付ける技術なら有ります」
スバルの答えに、ヒューズは頭を抱えた。
自分が既に死亡していて、しかも今の自分が複製かもしれない可能性が現実味を帯びてきたのだ。
それだけではない。あのロージェノムという男の持つ技術が想像以上だということなのだ。
ひょっとしたら、このゲームは何回も繰り返されたものかもしれない。正直あまり考えたいことではなかった。
59:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 18:24:40 pjmAq3Na
60:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 18:25:20 nnn+dvwg
61:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 18:25:55 5yO1kyYF
62:美少女と甲冑、他 ◆1sC7CjNPu2
07/10/07 18:26:16 QVCPUnYG
「パラレルワールド説ってのはどうかな?」
今まで黙っていたこなたが、口を開いた。
三人の視線が集中し、こなたは居心地が悪そうに頬を掻く。
「あ、それならあたしも知ってます」
「手短に頼む」
あれ、説明バトンタッチした?
スバルが言い出しっぺをみると、こなたはどうぞどうぞといった感じで手を差し出している。
自分の発言を後悔しながら、スバルは軽く内容をまとめて話し出した。
「……簡単に言っちゃえば『もしも』の世界ってやつです」
指をぴッと立て、説明する。
例えば一つの世界で、その世界を揺るがすほどの事件が起きたとする。
そこで『もしも』、世界を揺るがすほどの事件が起きなかったらどうなったのか。
事件が起きた世界の場合と、事件が起きなかった世界の場合と二つの可能性が出てくる。
そういった大きいことに限らず、遅刻した遅刻しなかった、指を鳴らしたときにうまく鳴った鳴らなかった、そんな感じに世界は常に分岐している。
だいぶ大味ではあったが、そんな説明だった。
「つまり、アル君はヒューズさんがこのゲームに呼ばれなかった場合の世界から呼ばれたんじゃないかってことです」
「……つまり俺が呼ばれた呼ばれてない辺りで世界が分岐したかもしれないってことか」
「いやまあ全部推論なんだけどね。これだ、ていう証拠はないんだし」
最後にこなたが話を締める。確かに、あくまで可能性の話で確証は無いに等しい。結局は情報が足りないということだ。
とりあえず、ヒューズの精神を大なり小なり揺さぶった話はここまでとなった。
63:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 18:27:39 1PfBJ4tc
64:美少女と甲冑、他 ◆1sC7CjNPu2
07/10/07 18:28:06 QVCPUnYG
■
「とりあえず、こなたちゃんが回復するまでここで待機だな」
「あの、私のことならお気にならさずに……」
「少なくとも走れるぐらいには休んどけ、いざって時に走れないんじゃ危ないしな」
互いの知り合いなどの情報交換の後にそんな会話があり、四人はしばらく橋の下に留まることになった。
テトラポットで入り組んでいるため居心地は多少悪そうであったが、アルフォンスの錬金術ですぐに改善された。
スバルとヒューズが交代で見張り番を担当し、こなたは思い切って眠らせることになった。
アルフォンスは見張りをさせると逆に目立つので、こなたの近くで座っている。
「……いや、やっぱり眠るのは無理があると思う」
「横になるだけでいいよ。こんな状況じゃ仕方ないし」
独り言のつもりだったこなたの言葉にに、アルフォンスが答えた。
アルフォンスは暇だったので、眠るまでの間の話し相手になろうと思ったのだ。
「……そういえば、初めて会ったときとは感じが違うね」
「あ~あれは、そのごめん」
アルフォンスは初め何のことかと思ったが、それが撃たれたときのことだと思い出した。
「別に責めてるわけじゃないよ。まあ甲冑着て歩き回ってるなんて不審者だし」
「……違うんだ。私さ、銃を撃ってみるまで本当に、ただのお遊びだと思ってたんだ」
こなたの目に、また涙がにじんで来た。
引き金の重さが、銃を撃った反動がまだ手の中に残っているようだった。
「アル君じゃなかったらさ、私、人殺しになってたかな?」
甲冑だけのアルフォンスだったからこそ、こなたは人殺しにならずにすんだ。
もしアルフォンスじゃなかったら、こなたは人を撃ち殺してたかもしれない。
「私さ、怖いよ。アル君を撃っちゃったよ。殺し合いなんかしたことないよ。ただの女子高生だよ」
段々と、こなたの語気が荒くなってきた。
一歩間違っていれば人殺しになっていたという忘れていた事実を、こなたは痛烈に思い出していた。
怖い、怖い、生きたい。人殺しなんかしたくない、殺されたくなんかない。
また、こなたの心は壊れ始めた。思考がまとまらない、身体が震えて止まらない。
65:美少女と甲冑、他 ◆1sC7CjNPu2
07/10/07 18:29:56 QVCPUnYG
「やだよ、死にたくないよ、生きたいよ、かがみとつかさとゆーちゃんと会いたいよ」
「僕も、兄さんと早く会いたい」
アルの静かな言葉と、頭に置かれた手がこなたを止めた。
こなたはアルの顔を見たが、兜でしかないアルの表情はこなたには読み取れなかった。
「一緒に探そう。僕も生きたいし、怖いし、兄さんに会いたい」
自分だけが、怖いわけじゃない。死にたくないわけじゃない。
こなたはそんな当たり前のことを、やっと思い出したのだ。
「今はちょっと休んで、それからみんなを探しに行こう」
「……うん」
一人じゃないということは、思った以上にこなたを落ち着けた。
不安はある、恐怖もある、けれども今度はこなたの心を壊すまでにはいかなかった。
こなたは目を閉じ、横になった。頭に置かれた手がひんやりとして気持ちよかった。
そして、隅っこでアルフォンスとこなたの分の支給品を確認しているヒューズはずいぶんと居心地が悪かった。
途中でこなたの様子がおかしくなったが、アルフォンスのおかげで手荒なことにならずホッとしたりもしたが。
まあ、若いってことはいいことで。そう思うことにした。
―まだ話し合わなけりゃならんことは沢山あるんだがな。
首輪のこと、螺旋王のこと、個人的には一番気になる自分の死亡した状況、ざっと考えただけでもこれだけはある。
焦ってもしょうがない。そのことはヒューズも承知しているが、どうしても焦ってしまう。
―俺も、少し落ち着くか。
タバコが欲しいとは思ったが、残念なことに支給品の中にタバコは見つからなかった。
66:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 18:29:56 1PfBJ4tc
67:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 18:30:19 5yO1kyYF
68:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 18:31:43 nnn+dvwg
69:美少女と甲冑、他 ◆1sC7CjNPu2
07/10/07 18:31:57 QVCPUnYG
【F-4/東側の橋の下/一日目/黎明】
【チーム:前線局員とデスクワーク軍人改め、引率の軍人と子供たち】
[共通思考]1:殺し合いには乗らない。互いの仲間や殺し合いをしたくない者と合流、彼等を守る。
2:首輪の解析・解除が可能な者を探す
3:主催者の打倒・ゲームからの脱出
※首輪から、会話が盗聴されている可能性に気づきました。
※盗撮に関してはあくまで推測の域なので、確定ではありません。
※螺旋王には少なからず仲間・部下がいると考えています。
【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:健康
[装備]:リボルバー・ナックル(左手)@魔法少女リリカルなのはStrikerS(カートリッジ6/6)
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム不明(本人確認済み)、予備カートリッジ数12発
[思考]:
基本:殺し合いには乗らない。仲間や殺し合いをしたくない者を守る。ヒューズ、アル、こなたと行動。
1:あれ、あたし空気?
2:こなたが回復してから行動
3: 共通思考1と2の達成の為、人が集まりそうな駅を目指す
【マース・ヒューズ@鋼の錬金術師】
[状態]:健康
[装備]:S&W M38(弾数5/5)
[道具]:支給品一式、ロイの発火布の手袋@鋼の錬金術師、S&W M38の予備弾数20発
エンフィールドNO.2(弾数5/6)、アルとこなたの不明支給品2~5個
[思考]:
基本:殺し合いには乗らない。スバル、アル、こなたと行動。
1:首輪に関する考察を続ける
2:こなたが回復してから行動
3:共通思考1と2の達成の為、人が集まりそうな駅を目指す
70:美少女と甲冑、他 ◆1sC7CjNPu2
07/10/07 18:32:59 QVCPUnYG
【アルフォンス・エルリック@鋼の錬金術師】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:デイパッグと支給品一式
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。スバル、アル、こなたと行動。
1:兄を探す
2:こなたの友人を探す
3:共通思考1と2の達成の為、人が集まりそうな駅を目指す
【泉こなた@らき☆すた】
[状態]:右頬に銃創、疲労大、精神は安定はしてないが安静
[装備]:デイパックのストラップ
[道具]:なし
[思考]
基本:死にたくない。柊かがみ、柊つかさ、小早川ゆたかに会いたい。
スバル、ヒューズ、アルと行動。
1:今は休んで体力を回復
2:怖いのは私だけじゃない
※支給品は次の書き手の方にお任せします。(タバコの類はありません)
※こなたの体力が回復するには最低2時間ほど必要です。
※それぞれの作品からの参加者の情報を共有しました。
71:そして夜が明ける ◆lbhhgwAtQE
07/10/07 20:44:58 +SVQQv2w
灯台で拡声器を用いてきたミリアを引っ張り、東屋に連れ込んでからどれくらい時間が経ったのだろうか。
ミリアを東屋に連れ込んだ張本人である少年、金田一一はひどく疲れていた。
―深夜、東屋、男女二人きり、そして疲労。
このフレーズから何かやましいことを想像した諸兄もいるかもしれないが、勿論そのような事態にはなっていない。
というより、実は奥手の一とあっけらかんとしたミリアでは、そのような事態が起る筈もなかった。
……では何故、一は疲労しているのか。
それは、体ではなく口を動かし続けていたことに原因があった。
「……とまぁ、そんな感じで京谷の奴は尻尾巻いて逃げ出したんだ」
「へ~~、そんなにすぐに消えた本の謎を暴いちゃうなんてすっご~~い!!」
「あ、ありがとう。……で、そろそろ―」
「ねぇねぇ! 他にも何か君が出遭った事件はないの!? ユキヤシャやジェイソンみたいな怪物が出てくる怖い話!」
―つまりは、そういうことであった。
東屋で自己紹介をした際に、つい祖父の金田一耕助という探偵であり、自分が今までにいくつかの事件に出くわしたことを話してしまった事が運の尽き。
好奇心旺盛なミリアは、一からひたすらにそれらの事件について尋ねてきたのだ。
「ねぇ、もっと事件の話聞かせてよ!」
「う~ん、そうだなぁ、それじゃ次は俺がオッサンと喫茶店に行った時の……って、そうじゃなくって!!」
ミリアの口車に乗せられて数時間。
話をしつづけた一はようやく、ミリアの催促を断った。
「俺ばっかりこんなに話しててもしょうがないしさ、そろそろ君のことも教えてくれないか?」
「私のこと?」
「あぁ。まだ名前くらいしか聞いてないしさ。色々知っておいた方が、今後役に立つと思うし」
「言われてみるとそうだね! ……こほん。改めましてこんばんは。私はミリア・ハーヴェントと申すものであります!」
「いや、だから名前はさっき聞いてからさ――」
一はやや呆れながらも、ミリアの話を聞き続ける。
しかし、それは一の頭をさらに悩ますこととなり……
「―えーっとね、その時は確かアイザックと一緒にメジャーリーガーの格好をしてマフィアの頭をカッキーンってしてね! それで……」
「ちょ、ちょっと待った! 少し待ってくれないか?」
止まることを知らないミリアの話を一は無理矢理止める。
「一つずつ確認していいか? えっと……君はまずアメリカ人なんだよな?」
「うん、そうなるねー」
「えっと……日本に来たことは?」
「ないよ~。でも一度行ってみたいと思ってるよ! ニンジャとかサムライに会ってみたいしね!」
72:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 20:45:06 LtDQm2Ls
73:そして夜が明ける ◆lbhhgwAtQE
07/10/07 20:46:17 +SVQQv2w
その言葉を聞いて一は改めて頭を抱える。
見た感じから百も承知であったが、これでミリアは日本語圏に住む人間ではことが発覚した。
そうなると、一の中には一つの疑問が思い浮かぶ。
……何故、自分は目の前の米国人の言葉が聞き取れるのだろう、と。
自慢ではないが、一は自分があまり英語の成績のよくない高校生だと自覚している。
今までに何度か事件などで外国の人間と会話したこともあるが、彼らは大抵が日本語に精通した人物であり、会話に苦労することは無かった。
だからこそ、日本語を流暢に喋れないであろうミリアと自分が普通に会話出来てる現状に疑問を抱かざるを得なかった。
「……ちなみにミリアさん、俺の言葉分かりますよね?」
「今更何言ってるの~? 当たり前じゃない」
「そ、そうっすよね……あ、アハハ」
考えられる可能性は二つ。
一つはミリアが実は日本語に精通していることを隠しているということ。
だが、この可能性はすぐに却下できるだろう。
何故なら、意思疎通が出来ない振りをしてを何かを企むのならともかく、こうやって普通に会話している以上、隠す理由など何も無いはずだからだ。
すると、残る可能性はただ一つ。
主催者のロージェノムとやらが何らかの手段を使って、それらの言語の障壁を取り払ったという可能性に限られてくるだろう。
ロージェノムからしても、最初のあの場所での自身によるルールの説明は、殺し合いを円滑に進めてもらう為に皆に聞いてほしいところのはず。
そのような場合に、参加者の中で自分やミリアのように言語形態がバラバラであると問題がある。
ならば、どうするか?
答えは簡単で、「そのバラバラの言語形態を一つにしてやる手段」を用いればいいのだ。
その技術がルール解説後、現在に至るまで用いられているのだとすれば自分とミリアがこうして普通に会話できているのも納得がいく。
……しかし、そのような技術は、一の知る限り日本どころか世界各地何処を探しても確立されていないはず。
思えば、自分の首にも取り付けられた首輪爆弾もかなりの性能を持っているように思える。
ならば、ロージェノムは一体その技術をどこで手に入れたのか?
一の疑問はそこに集結するわけだが、今はそれを考えていても何も始まらない。
彼はもう一つの疑問をミリアにぶつけた。
「えっとミリアさん、もう一つ聞きたいんですけど……泥棒をやっていたってのは……」
「本当だよ。アイザックと一緒に色んなものを盗んだんだよ。チョコレートとか美術館のドアとか!」
どうやら、目の前の女性。
ただのアメリカ人ではなく、前科のあるアメリカ人のようだった。
しかも、少し風変わりな格好で風変わりなものを盗んでゆくというスタイルの。
一は、咄嗟に自分が何度か出会った事のある怪盗を思い出してしまう。
「だけど泥棒は犯罪っすよ。そんなこと繰り返してたら……」
「その辺は心配無用よ! 罪滅ぼしだってきちんとしてるんだから!」
「罪滅ぼし……?」
「そう! 富豪の遺産相続を巡って家族がどろどろした人間関係になる前にその遺産をまるごと頂いたり! 私達、イブちゃんのために頑張ったんだから!」
呆気に取られあいた口も開かなくなってしまう。
しかし、それを効きとして喋るミリアの目からは悪意など全く感じられない。
高遠のような冷酷さも、怪盗紳士のような不敵さも全く無い。
そこにあるのは、楽しそうな感情のみ。
一は、そんな彼女を見ているうちに、殺し合いに乗っていないならばひとまずは保留しておいていいか、と考えるようになる。
今は泥棒を捕まえるよりも先に殺し合いを止めるほうが優先すべきだろうから。
74:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 20:46:33 LtDQm2Ls
75:そして夜が明ける ◆lbhhgwAtQE
07/10/07 20:48:44 +SVQQv2w
◇
互いに自己紹介が終ったところで、次は二人の知人の確認に入る。
「俺はあの最初に螺旋王が話をしてた場所で、剣持のオッサンと明智さんと一緒だったけど……ミリアさんは誰か知り合いいますか? そのアイザックさんって人の他に」
「うん。アイザックのほかにはね、ジャグジーっていう子とチェス君がここには来てるみたいなの。ほら、ここにも書いてるでしょ?」
ミリアはそう言って、デイパックから名簿を取り出すと一に見せる。
確認すると、確かにそこには「ジャグジー・スプロット」「チェスワフ・メイエル」の両名の名前が載っていたのだが……
「へ~。名簿なんて入ってたのか、このカバン」
「え? 今まで確認してなかったの?」
「ま、まぁ、色々あったっすから。ミリアさんをここまで引っ張ったり話をさせられたりで……へぇ、こんなに参加者がいたん…………!?」
そこで一は気付いた。
自分や剣持、明智と並んで書かれていたその名前に。
「高遠遙一……!! こいつもいたのか」
「知り合い?」
「えぇ。……知り合いって言えば知り合いだけど……出来れば来てほしくなかった知り合いです」
高遠遙一。自称、犯罪芸術家。
北海道の死骨ヶ原ホテルでの連続殺人を皮切りに、誘拐事件にかこつけた殺人を示唆したり、推理作家の遺産相続ゲームに潜伏したり……一からすれば、いわば宿敵ともいえる存在であった。
「へぇ~。そんなに危険な人なんだ」
「ここでも何か変な事考えてなければいいんだけど……」
恐らく彼がこの地に来て何もしない、ということはないはず。
きっと彼のことであるから、この殺し合いが正当化されている状況下でどのようにして芸術的な殺人を行うか、企てていることだろう。
ならば、一はそれを止めるまでだ。
(高遠……俺は必ずアンタの芸術とやらを阻止してみせるよ。そして、この殺し合い自体も止めてみせる!)
それが、名探偵と呼ばれた祖父を持つ者としての、そして幾度と無く高遠の関わる殺人事件に出くわしてきた自分自身の使命なのだ―彼はそう感じていた。
そして、その為にも今後は同じ意志を持つ仲間と合流すべきであろう。
そう。例えば、自分と同じく高遠を追っている剣持や明智といった知人ならば、きっと協力してくれるはずだ。
ミリアが楽しそうに話す「アイザック」という人物も、ミリア同様に根っからのワルでないだろうから恐らくは……。
76:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 20:48:48 nnn+dvwg
77:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 20:50:37 072dRx+x
78:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 20:50:47 rnslsuN/
79:そして夜が明ける ◆lbhhgwAtQE
07/10/07 20:51:01 +SVQQv2w
「そんなわけでミリアさん、ひとまずは、そのアイザックさんやオッサン達を探して―って、何してるんすか!!」
決意を固め、ミリアを向き直った時、一は思わず驚いた。
何故なら、目の前でミリアは一のデイパックをひっくり返していたのだから。
「何って、決まってるでしょ? 道具のチェックよチェック! 装備のチェックは登山の基本だよ!」
「いや、これは登山じゃないし…………」
「地図にコンパス、鉛筆に水と食料、ランタン、名簿……う~ん、ここらへんはみんな一緒だねぇ」
一の言葉を無視するようにミリアは彼の荷物を並べて確認する。
彼女の言葉を信じるなら、どうやらこの地を行動するに当たっての基本的な装備は全員のデイパックに収められているようだった。
そして、彼は、そんな基本的な装備の横にやや離れておいてあったいくつかの道具を目にする。
「あれ? こっちのって……」
「そっちのは私の荷物には入ってなかった奴だよ。きっとランダムに入れられてるんだね! 私のスピーカーみたいに」
言われてみれば、ミリアが持っていた拡声器は自分のカバンには入っていないようだ。
その代わりに彼の荷物に紛れていたのは…………
「……わ、腕章?」
「腕章だね」
白地に何かのアルファベットの『F』をシンボルにしたような紋章が描かれた腕章。
一の荷物にはどうやら、そのようなものが入っていたようだった。
「こんなん何の役に立つっつうんだよ、まったく……」
「うーん……あ! もしかしてこれをつけてると、どこかのお店で優待サービスを受けられるとか!」
「まさかそんなわけが……って、なんかもうつけてるし」
気付けば彼女は既に腕章を自分の腕につけていた。
その顔は妙に嬉しげだ。
「あれ? もしかしてハジメ君、これ欲しかった? いらなそうだから貰ったんだけど」
「い、いや、いいです。どうぞどうぞ」
「ありがとー! それじゃ、代わりにこれあげるね!」
そう言って手渡されたのは、ずっしりと重みのある金属製の篭手。
それは指先まで覆うタイプのようで、手首のあたりに歯車状の大きなリングがついているのが特徴的であった。
「なんかね、これリボルバーナックルっていうみたいなんだけどね、弾を使って攻撃出来るんだって」
「弾って……ってことは銃か何かか?」
「う~ん、私にはよく分からなかったや。でも、これさえあれば熱いお皿や鍋も簡単に掴めるよ! 便利だね!」
―と、深夜番組の通信販売のようなノリでその篭手をミリアは薦めてくる。
一は篭手を使うような武術など使えるはずも無かったが、折角の好意なのでそれを黙って受け取ることにした。
もしかしたら、本当に何かも役に立つかもしれない、ということで。
むしろ一が気になったのは、自分に配られたもう一つの道具。
それは、先ほどまでの腕章や篭手と違い、自分でも扱えるかもしれない武器だったのだ。
80:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 20:51:43 nnn+dvwg
81:そして夜が明ける ◆lbhhgwAtQE
07/10/07 20:52:27 +SVQQv2w
「大砲……いや、バズーカか?」
「みたいだねぇ」
説明書を読めば、見た目通り、それは携行用の大砲だということだ。弾薬も3発分付属してある。
「ねぇ、試しに一発撃ってみようよ!」
「だ、ダメダメ!! ためし撃ちなんてしたら、また大きな音が出ちまうよ! それに弾が3発じゃ勿体ない気がするしなぁ」
「ぶー、ハジメ君のケチ~」
「そんな顔しないで下さいよ……。俺が悪者みたいじゃないっすか」
「だって実際ケチじゃな~い」
頬を膨らますミリアに一は困惑してしまう。
……だが、それと同時に彼は一応、護身の為の武器が手に入ったことに安堵もしていた。
出来れば使いたくないが、もし殺し合いに乗った参加者が襲ってきたら……もし、高遠が何かの凶行に至ろうとしたら……。
一がそんなことを考えていると―
「それじゃ、そろそろ出発しよっか!」
「って、え? あ、ちょ、ちょっと!!」
気付けばミリアは荷物をまとめて東屋を出ようとしていた。
一は急いで荷物をデイパックに詰め込み、大砲を片手にするとその後を追う。
「出発って……どうする気っすか?」
「勿論、アイザックやジャグジーにチェス君、それにケンモチさんやアケチさんを探すんだよ。ハジメ君もそう言ってたじゃない」
「ま、まぁ、そうですけど……」
「それじゃ、そういうわけでしゅっぱーつ!!」
「―って、ちょっと待った待った!!」
有り余った元気を振りまきながら歩みを進めるミリアを、一は呼び止める。
「出発って言っても、まだどこに向かうかとか決めてないじゃないっすか」
「大丈夫大丈夫、もう決めてあるから! まずは映画館に行こ!」
「映画……館? どうしてそんなところに?」
「だって、映画館ならきっと楽しい映画をやってるだろうし、楽しい映画をやってるなら人も集まるでしょ? で、その集まってきた中にアイザックもきっといるはずってわけ! どう? 完璧な作戦でしょ!」
そんな突拍子も無い理屈に金田一は再び唖然としながらも、一考する。
確かに映画館などという娯楽施設ならば、殺し合いに乗った人間よりも自分達と同じような、殺し合いに乗っていない人物の方が集まりやすいかもしれない。
それに、人を探す意味でも映画館方面に向かい、市街の中心に近づいたほうがいいだろう。
「分かりました。それじゃ行きましょっか」
「うんうん。それじゃ、改めてしゅっぱーつ!」
こうして少年と少女は明るくなりつつある空の下を歩き出した。
彼らはこの舞台にて、主人公として物語を動かしてゆくのか? それとも脇役として物語を裏で支えてゆくのか?
彼らがこれから行く先で出会うのは、心許せる同士か、それとも殺し合いに乗った襲撃者か?
その結果、彼らに待ち受ける運命は、悲劇か、それとも喜劇か?
更にその先に待つのは、生か死か。
これは彼らの物語が終わるまで分からずじまいだが、一つだけ確かなことがある。
それは、あと数刻でロージェノムによる放送が始まるという事だ。
82:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 20:52:41 072dRx+x
83:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 20:53:47 072dRx+x
84:そして夜が明ける ◆lbhhgwAtQE
07/10/07 20:54:41 +SVQQv2w
【D-2/路上/1日目-早朝】
【金田一一@金田一少年の事件簿】
[状態]:健康
[装備]:ドーラの大砲@天空の城ラピュタ、リボルバー・ナックル(右手)@魔法少女リリカルなのはStrikerS(カートリッジ6/6)
[道具]:デイバッグ、支給品一式、大砲の弾3発、予備カートリッジ数12発
[思考]
基本:ジッチャンの名と自身の誇りにかけて殺し合いを止める。
1:ミリアと行動。まずは映画館方面へ
2:剣持や明智、アイザック達を探す
3:他にも意志を同じにする参加者がいないか探す
4:高遠が芸術犯罪を行おうとしているのなら阻止する
【ミリア・ハーヴェント@BACCANO バッカーノ!】
[状態]:健康。
[装備]:拡声器、珠洲城遥の腕章@舞-HiME
[道具]:デイバッグ、支給品一式
[思考]
基本:アイザック達を探す
1:金田一と行動。映画館へGO!
2:剣持や明智たちも探す
3:金田一からもっと事件の話を聞きたい。
※少なくとも「悲恋湖伝説」「雪夜叉伝説」「瞬間消失の謎」については把握済み
※両名の不明支給品は全て出きりました。
85:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 20:55:06 ylC/TAUz
86:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 22:17:09 ylC/TAUz
87:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 23:53:11 LjjjgLa0
ではテンプレ議論いきますか
【基本ルール】
全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が優勝者となる。
優勝者のみ元の世界に帰ることができる。
また、優勝の特典として「巨万の富」「不老不死」「死者の蘇生」などのありとあらゆる願いを叶えられるという話だが……?
ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。
【スタート時の持ち物】
プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。主催者の手によってか何らかの細工が施されており、明らかに容量オーバーな物でも入るようになっている。四●元ディパック。
「地図」 → MAPと、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。【舞台】に挙げられているのと同じ物。
「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。肝心の食料の内容は…書き手さんによってのお楽しみ。SS間で多少のブレが出ても構わないかと。
「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。ちなみにアイウエオ順で掲載。
「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1~3個入っている。内容はランダム。
【禁止エリアについて】
放送から1時間後、3時間後、5時間に1エリアずつ禁止エリアとなる。
禁止エリアはゲーム終了まで解除されない。
【放送について】
0:00、6:00、12:00、18:00
以上の時間に運営者が禁止エリアと死亡者、残り人数の発表を行う。
基本的にはスピーカーからの音声で伝達を行う。
ここからか?
88:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 23:55:45 3P02lJsy
全部見直しか
それもいい方法かな
89:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/07 23:59:49 CfKxvKfH
削除議論板でいわれてたけどさー
うーんと?
こまかいところ?
細かいところってどこ?
90:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/08 00:00:30 hethq4m3
議論したいならしたらばでどうぞ。
したらばが嫌ならこちらでどうぞ。
スレリンク(anichara板)l50
どちらにせよこのスレでの雑談は止めてください。SS投下の妨げになります。
それを覆したいなら適切な場所で、適切な方法を取ってください。
以後この話題はスルーで。リアクションの必要は一切有りません。
91:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/08 00:06:34 7rtLANVd
/\
/ || .\
/. .|| \_, ..__
,/ ,.个、r'´~:::::\:::::::´゛`'i、
/ /,.i'||::::\::::::::::::::\::::::::::: 'i,
/ / l、.||:::::::"\;;_;ィ' 'i;\:::::: 'i,,r"´~,,ir-、,
/___/___ i、_||t;r'"´_\__'i、_\,.r´`,r´ } ]
\ \ ヾ||,i / ゞ,イ゜ .r゜ } ] したらば掲示板では専ブラを使い
\ \ . ||{ゝ‐- <,...r‐=F,/"~`゛'-、__.ノ_ .ノ 我々の議論は一切無視するようだ
\,. -‐ ''\゙´||iゝ∠..ノ^ゝ.,,/i'"´~~゛'‐ 'i,_, li、.,_
/'\ ':;|レ''i, t . / >ィ‐"´~‐- 'iO ,ノ}‐-``'i, ならば我々は
/ \ ,,.:;||;;;;;i, -/‐: ゞ'´~` 'i_,.ィ'゜;;;;;;;;`i. 'l, 独自で企画を立ち上げようではないか
,i \;;;;;;||;;;;;;;×___ノ`'´`i i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`i 'l,
/ ::::::: ,;;;;;;;;\||;/;;;;;;ミ≧≦彡"ノ人 ノノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;´ ノ
,/ ::::::::.;;;;;;;;;;;;;;;||;;;;;;;;,r'´/ ヽノ|.;;;<`-ィ'´r';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; `l
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