07/10/01 00:22:04 caYSZWiB
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Dボゥイを守るように立ちはだかったゆたかは、大きく腕を広げて真っ直ぐにヒィッツカラルドを見つめた。
それだけだった。
ヒィッツカラルドは訝しげな顔を見せたものの、それは次第に笑みに変わった。
「・・・・・・ふ、ふはははははは」
ヒィッツカラルドのテンションは上がりっぱなしだった。
―この二人は、なんと私を楽しませてくれることか!
「くあっはっはっは!あーはっはっはっは!」
ヒィッツカラルドは大きく背をそらし、頭に手を当てて嗤った。
あまりにもおかしすぎて腹を曲げ、指をさして嗤った。
そしてひとしきり嗤い終えると、両手を指を鳴らす構えに戻す。
もう十二分に楽しんだ、そろそろ終わりにしてやろう。
「よかろう、ではそこの男と一緒に・・・・・・むっ?」
真っ二つにしてやろう、と続けようとしたヒィッツカラルドはあることに気がついた。
ゆたかの胸にあるドリルのようなアクセサリー、がうっすらとだが光っているのだ。
―確かあのVの男は『心の力』がどうだとか言っていたな。
結びつけるのは早計かもしれないが、確保しておいて悪いことはあるまい。
ヒィッツカラルドは構えを解くとゆたかとの距離を詰める。
ゆたかは一歩だけ後ずさるが、自分の後にDボゥイがいることを思い出すと気丈にもヒィッツカラルドを睨みつけた。
その姿を見たヒィッツカラルドに、段々と嗜虐心が湧き上がってきた。
―ゆっくりとくびり殺してやろうか
コアドリルに伸ばそうとしていた手の行き先を、ゆたかの首に変更した。
マフラー越しに掴んだところで、首輪の硬い感触が手に伝わる。
そのまま首輪を掴んでゆたかを空中に吊り上げ、ヒィッツカラルドは思いついた。
「首輪を真っ二つにしてみるのも、面白そうだな」
はたして首輪は爆発せずに残るかどうか。その可能性は限りなく低いだろう。
―だが、何事も試してみないと始まらないからな。
首輪を真っ二つにする瞬間を想像し、ヒィッツカラルドは大いに嗤った。