アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ2at ANICHARA
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ2 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:33:22 CXh4BjpZ
・参加者リスト・(作中での基本支給品の『名簿』には作品別でなく50音順に記載されています)

7/7【魔法少女リリカルなのはStrikerS】
○スバル・ナカジマ/○ティアナ・ランスター/○エリオ・モンディアル/○キャロ・ル・ルシエ/○八神はやて/○シャマル/○クアットロ
6/6【BACCANO バッカーノ!】
○アイザック・ディアン/○ミリア・ハーヴァント/○ジャグジー・スプロット/○ラッド・ルッソ/○チェスワフ・メイエル/○クレア・スタンフィールド
6/6【Fate/stay night】
○衛宮士郎/○イリヤスフィール・フォン・アインツベルン/○ランサー/○間桐慎二/○ギルガメッシュ/○言峰綺礼
6/6【コードギアス 反逆のルルーシュ】
○ルルーシュ・ランペルージ/○枢木スザク/○カレン・シュタットフェルト/○ジェレミア・ゴットバルト/○ロイド・アスプルンド/○マオ
6/6【鋼の錬金術師】
○エドワード・エルリック/○アルフォンス・エルリック/○ロイ・マスタング/○リザ・ホークアイ/○スカー(傷の男)/○マース・ヒューズ
5/5【天元突破グレンラガン】
○シモン/○カミナ/○ヨーコ/○ニア/○ヴィラル
4/4【カウボーイビバップ】
○スパイク・スピーゲル/○ジェット・ブラック/○エドワード・ウォン・ハウ・ペペル・チブルスキー4世/○ヴィシャス
4/4【らき☆すた】
○泉こなた/○柊かがみ/○柊つかさ/○小早川ゆたか
4/4【機動武闘伝Gガンダム】
○ドモン・カッシュ/○東方不敗/○シュバルツ・ブルーダー/○アレンビー・ビアズリー
4/4【金田一少年の事件簿】
○金田一一/○剣持勇/○明智健悟/○高遠遙一
4/4【金色のガッシュベル!!】
○ガッシュ・ベル/○高嶺清麿/○パルコ・フォルゴレ/○ビクトリーム
4/4【天空の城ラピュタ】
○パズー/○リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ/○ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ/○ドーラ
4/4【舞-HiME】
○鴇羽舞衣/○玖我なつき/○藤乃静留/○結城奈緒
3/3【R.O.D(シリーズ)】
○アニタ・キング/○読子・リードマン/○菫川ねねね
3/3【サイボーグクロちゃん】
○クロ/○ミー/○マタタビ
3/3【さよなら絶望先生】
○糸色望/○風浦可符香/○木津千里
3/3【ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-】
○神行太保・戴宗/○衝撃のアルベルト/○素晴らしきヒィッツカラルド
2/2【トライガン】
○ヴァッシュ・ザ・スタンピード/○ニコラス・D・ウルフウッド
2/2【宇宙の騎士テッカマンブレード】
○Dボゥイ/○相羽シンヤ
2/2【王ドロボウJING】
○ジン/○キール

【残り82名】

3:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:33:45 J6T9bDPO
・参加者リスト・(作中での基本支給品の『名簿』には作品別でなく50音順に記載されています)

6/7【魔法少女リリカルなのはStrikerS】
○スバル・ナカジマ/○ティアナ・ランスター/○エリオ・モンディアル/●キャロ・ル・ルシエ/○八神はやて/○シャマル/○クアットロ
6/6【BACCANO バッカーノ!】
○アイザック・ディアン/○ミリア・ハーヴァント/○ジャグジー・スプロット/○ラッド・ルッソ/○チェスワフ・メイエル/○クレア・スタンフィールド
6/6【Fate/stay night】
○衛宮士郎/○イリヤスフィール・フォン・アインツベルン/○ランサー/○間桐慎二/○ギルガメッシュ/○言峰綺礼
4/6【コードギアス 反逆のルルーシュ】
○ルルーシュ・ランペルージ/●枢木スザク/○カレン・シュタットフェルト/●ジェレミア・ゴットバルト/○ロイド・アスプルンド/○マオ
5/6【鋼の錬金術師】
●エドワード・エルリック/○アルフォンス・エルリック/○ロイ・マスタング/○リザ・ホークアイ/○スカー(傷の男)/○マース・ヒューズ
5/5【天元突破グレンラガン】
○シモン/○カミナ/○ヨーコ/○ニア/○ヴィラル
4/4【カウボーイビバップ】
○スパイク・スピーゲル/○ジェット・ブラック/○エドワード・ウォン・ハウ・ペペル・チブルスキー4世/○ヴィシャス
3/4【らき☆すた】
○泉こなた/○柊かがみ/●柊つかさ/○小早川ゆたか
4/4【機動武闘伝Gガンダム】
○ドモン・カッシュ/○東方不敗/○シュバルツ・ブルーダー/○アレンビー・ビアズリー
4/4【金田一少年の事件簿】
○金田一一/○剣持勇/○明智健悟/○高遠遙一
4/4【金色のガッシュベル!!】
○ガッシュ・ベル/○高嶺清麿/○パルコ・フォルゴレ/○ビクトリーム
4/4【天空の城ラピュタ】
○パズー/○リュシータ・トエル・ウル・ラピュタ/○ロムスカ・パロ・ウル・ラピュタ/○ドーラ
4/4【舞-HiME】
○鴇羽舞衣/○玖我なつき/○藤乃静留/○結城奈緒
3/3【R.O.D(シリーズ)】
○アニタ・キング/○読子・リードマン/○菫川ねねね
3/3【サイボーグクロちゃん】
○クロ/○ミー/○マタタビ
3/3【さよなら絶望先生】
○糸色望/○風浦可符香/○木津千里
3/3【ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-】
○神行太保・戴宗/○衝撃のアルベルト/○素晴らしきヒィッツカラルド
2/2【トライガン】
○ヴァッシュ・ザ・スタンピード/○ニコラス・D・ウルフウッド
2/2【宇宙の騎士テッカマンブレード】
○Dボゥイ/○相羽シンヤ
2/2【王ドロボウJING】
○ジン/○キール

【残り77名】

4:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:36:03 BPzw6pCs
 

5:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:36:19 CXh4BjpZ



6:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:36:45 J6T9bDPO
【基本ルール】
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が優勝者となる。
 優勝者のみ元の世界に帰ることができる。
 また、優勝の特典として「巨万の富」「不老不死」「死者の蘇生」などのありとあらゆる願いを叶えられるという話だが……?
 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
 ゲーム開始時、プレイヤーはスタート地点からテレポートさせられMAP上にバラバラに配置される。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。

【スタート時の持ち物】
 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
 ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
 また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
 ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
 「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
 「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。主催者の手によってか何らかの細工が施されており、明らかに容量オーバーな物でも入るようになっている。四●元ディパック。
 「地図」 → MAPと、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。【舞台】に挙げられているのと同じ物。
 「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
 「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
 「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。肝心の食料の内容は…書き手さんによってのお楽しみ。SS間で多少のブレが出ても構わないかと。
 「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。ちなみにアイウエオ順で掲載。
 「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
 「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
 「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1~3個入っている。内容はランダム。

【禁止エリアについて】
放送から1時間後、3時間後、5時間に1エリアずつ禁止エリアとなる。
禁止エリアはゲーム終了まで解除されない。

【放送について】
0:00、6:00、12:00、18:00
以上の時間に運営者が禁止エリアと死亡者、残り人数の発表を行う。
基本的にはスピーカーからの音声で伝達を行う。

【舞台】
URLリンク(blogimg.goo.ne.jp)

【作中での時間表記】(0時スタート)
 深夜:0~2
 黎明:2~4
 早朝:4~6
 朝:6~8
 午前:8~10
 昼:10~12
 日中:12~14
 午後:14~16
 夕方:16~18
 夜:18~20
 夜中:20~22
 真夜中:22~24

7:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:37:10 0JlIc8H/
【書き手の注意点】
・トリップ必須。荒らしや騙り等により起こる混乱等を防ぐため、捨て鳥で良いので付け、>>1の予約スレにトリップ付きで書き込んだ後投下をお願いします
・無理して体を壊さない。
・残酷表現及び性的描写に関しては原則的に作者の裁量に委ねる。
但し後者については行為中の詳細な描写は禁止とする。
・完結に向けて決してあきらめない

書き手の心得その1(心構え)
・この物語はリレー小説です。 みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
・知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
 二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。
・みんなの迷惑にならないように、連投規制にひっかかりそうであればしたらばの仮投下スレにうpしてください。
・自信がなかったら先に仮投下スレにうpしてもかまいません。 爆弾でも本スレにうpされた時より楽です。
・本スレにUPされてない仮投下スレや没スレの作品は、続きを書かないようにしてください。
・本スレにUPされた作品は、原則的に修正は禁止です。うpする前に推敲してください。
   ただしちょっとした誤字などはwikiに収録されてからの修正が認められています。
   その際はかならずしたらばの修正報告スレに修正点を書き込みましょう。
・巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
・叩かれても泣かない。
・来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
 作品を撤回するときは自分でトリップをつけて本スレに書き込み、作品をNGにしましょう。

書き手の心得その2(実際に書いてみる)
・…を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
・適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
 ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。
・適切なところで改行をしましょう。
 改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。
・かぎかっこ「 」などの間は、二行目、三行目など、冒頭にスペースをあけてください。
・人物背景はできるだけ把握しておく事。
・過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
 特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。
・一人称と三人称は区別してください。
・ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
・「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
・状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
 ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。
・フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
・ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
・位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。

書き手の心得3(一歩踏み込んでみる)
・経過時間はできるだけ『多め』に見ておきましょう。
 自分では駆け足すれば間に合うと思っても、他の人が納得してくれるとは限りません。
 また、ギリギリ進行が何度も続くと、辻褄合わせが大変になってしまいます。
・キャラクターの回復スピードを早めすぎないようにしましょう。
・戦闘以外で、出番が多いキャラを何度も動かすのは、できるだけ控えましょう。
 あまり同じキャラばかり動き続けていると、読み手もお腹いっぱいな気分になってきます。
 それに出番の少ないキャラ達が、あなたの愛の手を待っています。
・キャラの現在地や時間軸、凍結中のパートなど、雑談スレには色々な情報があります。
 本スレだけでなく雑談スレにも目を通してね。
・『展開のための展開』はNG
 キャラクターはチェスの駒ではありません、各々の思考や移動経路などをしっかりと考えてあげてください。
・書きあがったら、投下前に一度しっかり見直してみましょう。
 誤字脱字をぐっと減らせるし、話の問題点や矛盾点を見つけることができます。
 一時間以上(理想は半日以上)間を空けてから見返すと一層効果的。
 紙に印刷するなど、媒体を変えるのも有効。
 携帯からPCに変えるだけでも違います。


8:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:37:26 BPzw6pCs
【書き手の注意点】
・トリップ必須。荒らしや騙り等により起こる混乱等を防ぐため、捨て鳥で良いので付け、>>1の予約スレにトリップ付きで書き込んだ後投下をお願いします
・無理して体を壊さない。
・残酷表現及び性的描写に関しては原則的に作者の裁量に委ねる。
但し後者については行為中の詳細な描写は禁止とする。
・完結に向けて決してあきらめない

書き手の心得その1(心構え)
・この物語はリレー小説です。 みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
・知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
 二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。
・みんなの迷惑にならないように、連投規制にひっかかりそうであればしたらばの仮投下スレにうpしてください。
・自信がなかったら先に仮投下スレにうpしてもかまいません。 爆弾でも本スレにうpされた時より楽です。
・本スレにUPされてない仮投下スレや没スレの作品は、続きを書かないようにしてください。
・本スレにUPされた作品は、原則的に修正は禁止です。うpする前に推敲してください。
   ただしちょっとした誤字などはwikiに収録されてからの修正が認められています。
   その際はかならずしたらばの修正報告スレに修正点を書き込みましょう。
・巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
・叩かれても泣かない。
・来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
 作品を撤回するときは自分でトリップをつけて本スレに書き込み、作品をNGにしましょう。

書き手の心得その2(実際に書いてみる)
・…を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
・適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
 ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。
・適切なところで改行をしましょう。
 改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。
・かぎかっこ「 」などの間は、二行目、三行目など、冒頭にスペースをあけてください。
・人物背景はできるだけ把握しておく事。
・過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
 特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。
・一人称と三人称は区別してください。
・ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
・「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
・状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
 ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。
・フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
・ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
・位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。

書き手の心得3(一歩踏み込んでみる)
・経過時間はできるだけ『多め』に見ておきましょう。
 自分では駆け足すれば間に合うと思っても、他の人が納得してくれるとは限りません。
 また、ギリギリ進行が何度も続くと、辻褄合わせが大変になってしまいます。
・キャラクターの回復スピードを早めすぎないようにしましょう。
・戦闘以外で、出番が多いキャラを何度も動かすのは、できるだけ控えましょう。
 あまり同じキャラばかり動き続けていると、読み手もお腹いっぱいな気分になってきます。
 それに出番の少ないキャラ達が、あなたの愛の手を待っています。
・キャラの現在地や時間軸、凍結中のパートなど、雑談スレには色々な情報があります。
 本スレだけでなく雑談スレにも目を通してね。
・『展開のための展開』はNG
 キャラクターはチェスの駒ではありません、各々の思考や移動経路などをしっかりと考えてあげてください。
・書きあがったら、投下前に一度しっかり見直してみましょう。
 誤字脱字をぐっと減らせるし、話の問題点や矛盾点を見つけることができます。
 一時間以上(理想は半日以上)間を空けてから見返すと一層効果的。
 紙に印刷するなど、媒体を変えるのも有効。
 携帯からPCに変えるだけでも違います。


9:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:39:13 CXh4BjpZ
【読み手の心得】
・好きなキャラがピンチになっても騒がない、愚痴らない。
・好きなキャラが死んでも泣かない、絡まない。
・荒らしは透明あぼーん推奨。
・批判意見に対する過度な擁護は、事態を泥沼化させる元です。
 同じ意見に基づいた擁護レスを見つけたら、書き込むのを止めましょう。
・擁護レスに対する噛み付きは、事態を泥沼化させる元です。
 修正要望を満たしていない場合、自分の意見を押し通そうとするのは止めましょう。
・嫌な気分になったら、「ベリーメロン~私の心を掴んだ良いメロン~」を見るなどして気を紛らわせましょう。「ブルァァァァ!!ブルァァァァ!!ベリーメロン!!」(ベリーメロン!!)
・「空気嫁」は、言っている本人が一番空気を読めていない諸刃の剣。玄人でもお勧めしません。
・「フラグ潰し」はNGワード。2chのリレー小説に完璧なクオリティなんてものは存在しません。
 やり場のない気持ちや怒りをぶつける前に、TVを付けてラジオ体操でもしてみましょう。
 冷たい牛乳を飲んでカルシウムを摂取したり、一旦眠ったりするのも効果的です。
・感想は書き手の心の糧です。指摘は書き手の腕の研ぎ石です。
 丁寧な感想や鋭い指摘は、書き手のモチベーションを上げ、引いては作品の質の向上に繋がります。
・ロワスレの繁栄や良作を望むなら、書き手のモチベーションを下げるような行動は極力慎みましょう。

【議論の時の心得】
・このスレでは基本的に作品投下のみを行ってください。 作品についての感想、雑談、議論は基本的にしたらばへ。
・作品の指摘をする場合は相手を煽らないで冷静に気になったところを述べましょう。
・ただし、キャラが被ったりした場合のフォロー&指摘はしてやって下さい。
・議論が紛糾すると、新作や感想があっても投下しづらくなってしまいます。
 意見が纏まらずに議論が長引くようならば、したらばにスレを立ててそちらで話し合って下さい。
・『問題意識の暴走の先にあるものは、自分と相容れない意見を「悪」と決め付け、
  強制的に排除しようとする「狂気」です。気をつけましょう』
・これはリレー小説です、一人で話を進める事だけは止めましょう。

【禁止事項】
・一度死亡が確定したキャラの復活
・大勢の参加者の動きを制限し過ぎる行動を取らせる
 程度によっては議論スレで審議の対象。
・時間軸を遡った話の投下
 例えば話と話の間にキャラの位置等の状態が突然変わっている。
 この矛盾を解決する為に、他人に辻褄合わせとして空白時間の描写を依頼するのは禁止。
 こうした時間軸等の矛盾が発生しないよう初めから注意する。
・話の丸投げ
 後から修正する事を念頭に置き、はじめから適当な話の骨子だけを投下する事等。
 特別な事情があった場合を除き、悪質な場合は審議の後破棄。

10:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:39:57 J6T9bDPO
【NGについて】
・修正(NG)要望は、名前欄か一行目にはっきりとその旨を記述してください。
・NG協議・議論は全てしたらばで行う。2chスレでは基本的に議論行わないでください。
・協議となった場面は協議が終わるまで凍結とする。凍結中はその場面を進行させることはできない。
・どんなに長引いても48時間以内に結論を出す。
『投稿した話を取り消す場合は、派生する話が発生する前に』

NG協議の対象となる基準
1.ストーリーの体をなしていない文章。(あまりにも酷い駄文等)
2.原作設定からみて明らかに有り得ない展開で、それがストーリーに大きく影響を与えてしまっている場合。
3.前のストーリーとの間で重大な矛盾が生じてしまっている場合(死んだキャラが普通に登場している等)
4.イベントルールに違反してしまっている場合。
5.荒し目的の投稿。
6.時間の進み方が異常。
7.雑談スレで決められた事柄に違反している(凍結中パートを勝手に動かす等)
8.その他、イベントのバランスを崩してしまう可能性のある内容。

上記の基準を満たしていない訴えは門前払いとします。
例.「このキャラがここで死ぬのは理不尽だ」「この後の展開を俺なりに考えていたのに」など
  ストーリーに関係ない細かい部分の揚げ足取りも×

・批判も意見の一つです。臆せずに言いましょう。
 ただし、上記の修正要望要件を満たしていない場合は
 修正してほしいと主張しても、実際に修正される可能性は0だと思って下さい。
・書き手が批判意見を元に、自主的に修正する事は自由です。

【予約に関してのルール】(基本的にアニロワ1stと同様です)

・したらばの予約スレにてトリップ付で予約を行う
・初トリップでの作品の投下の場合は予約必須
・予約期間は基本的に三日。ですが、フラグ管理等が複雑化してくる中盤以降は五日程度に延びる予定です。

・予約時間延長を申請する場合はその旨を雑談スレで報告
・申請する権利を持つのは「過去に3作以上の作品が”採用された”」書き手

【主催者や能力制限、支給禁止アイテムなどについて】
まとめwikiを参照のこと
URLリンク(www40.atwiki.jp)

11:いきなりは変われない ◆h8c9tcxOcc
07/09/25 00:40:14 DtIeRnZG
「……あれ?」
しかし引き金は微動だにしない。
まさかとは思ったが、引き金の重さまで精巧に再現するとは正気の沙汰とは思えなかった。
「そこに、誰かいるの?」
仕留めそびれたうえ、漏らした呟き声に気付かれてしまったらしい。
撤退が頭をよぎる。しかし甲冑はのらりくらりと歩み寄ってくるものの、特に敵意や緊張感を示してはいない。
銃を構え直し、再度慎重に狙いを定める。的がこちらへ向かって動いている分、先ほどより随分楽だった。
照準が整ったそのとき、雲の切れ間からいささか強く月灯りが差した。
甲冑はあっと声をあげる。狙われていることに、ようやく気付いたようだ。
「撃っちゃダメだ!」
攻撃するなと訴えているようだったが、いまさら待ったはなしだ。まずは一人、順調に点をあげさせてもらうことにする。
今度こそは確実にやれるよう、肩に力を込め、引き金を両手で思い切り引いた。

12:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:40:42 /622+3yn


13:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:40:59 TIK4SdxO



14:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:41:03 B6iD+hxT
 

15:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:41:09 CXh4BjpZ



16:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:41:26 Ucy4q04R
 

17:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:42:15 0JlIc8H/
現在、この企画には二名の粘着荒らしが確認されています。(通称・CとG)
その内の一人、Cの詳しい来歴などは以下を参照の事。

2chパロロワ事典@Wiki‐キャプテン
URLリンク(www11.atwiki.jp)

また、単発IDで「ふーん」「あっそう」「つまらない」「どうでもいい」などの1行煽りレスや、
他スレや外部の毒吐き掲示板からのコピペを延々と繰り返す粘着荒らしがGと呼ばれています。
これらの人物には構うだけ無駄ですので、レスなどはせずにスルーしておきましょう。


・荒らしが出たら?                 → スルーしましょう
・C・G本人や、C・Gっぽい人、を見かけたら?     → スルーしましょう
・どうしてもそいつらにレスしたくなったら?     → 毒吐き若しくはC・G観測所に書き込みましょう
・吊られるやつは荒らしと同レベル。スルーしましょう
・吊られる奴を叩くのも吊られた奴と同レベル、スルーしましょう。
・荒らしレス~吊られレス、その一連のレス塊をまとめてスルーしましょう。

※専ブラの御利用を強く強くお奨めします。

関連リンク
アニロワ毒吐き所(ツチダマ掲示板)URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd毒吐きスレ・別館2(ID非表示の毒吐きスレ)URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
C観測所 URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
G観測所 スレリンク(tubo板)l50


18:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:43:52 BPzw6pCs
 

19:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:43:58 B6iD+hxT
 

20:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:44:07 Ucy4q04R



21:いきなりは変われない ◆h8c9tcxOcc
07/09/25 00:44:17 DtIeRnZG

烈しい破裂音が轟き、次いで短い金属音が響く。右の頬に鋭い痛みが走った。
衝撃に圧された手で胸を強打し、うしろによろめいて、椅子の下の固い床でしたたか尻餅をつく。
青い髪の束が、ふぁさ、と落ちた。
「へ? へ?」
こなたは煙を上げる銃口と駆け寄る甲冑を交互に見比べるばかりだった。
頬から血の糸が垂れ、顎の先から滴になって床へと落ちた。
がしょん、がしょん、がしょん。金属音はすぐそばから響き、かすかな振動すら伝わってくる。
巨体がいよいよ目の前に迫る。文字通り、目の前が真っ暗になった。
甲冑は目にもとまらぬ早業でこなたの腕を捕らえ、拳銃を取り上げる。抵抗する気にはなれなかった。
「撃っちゃダメだったら。兆弾して危ないだけだよ!」
甲冑の言葉は、耳に入らなくなっていた。



22:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:45:06 TIK4SdxO



23:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:45:08 /622+3yn


24:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:45:23 Ucy4q04R
 

25:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:46:06 VzWMKMqy
 

26:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:46:44 CXh4BjpZ



27:いきなりは変われない ◆h8c9tcxOcc
07/09/25 00:47:13 DtIeRnZG
銃が本物であるということは、この『ゲーム』は『ゲーム』でなく、ほんとうの殺し合いということになる。
同時に、胸躍らせながら眺めていた『演出』で首を刎ねられたモロトフが、作り物である必然性も失われるわけである。
そしてゲームの目的は、“唯一人の”優勝者を選び出すことであって。
参加者一覧には親しい友人や、妹同然の従妹の名があって。


目の前で人が死んだ?
この手で他人を殺そうとした?
自分や知人が、生命の危機に瀕している?


―わけがわからなくなった。


薄ぼけた月明りの中、こなたはただ呆然と巨大な甲冑を眺めつづけていた。



【G-3/空港-ロビー/一日目-深夜】

【泉こなた@らき☆すた】
[状態]:右頬に銃創、呆然
[装備]:なし
[道具]:デイバッグと支給品一式、不明支給品0~2個
[思考]:え? サバゲじゃなかったの?

【アルフォンス・エルリック@鋼の錬金術師】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:デイバッグと支給品一式、エンフィールドNO.2(弾数5/6)、不明支給品0~3個
[思考]:青髪の少女に対処



【エンフィールドNO.2】
 軍用回転式拳銃。装弾数六発のダブルアクション。ムスカ大佐が使用していたのがこれといわれている。

28:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:47:29 /622+3yn


29:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 00:49:05 Ucy4q04R
 

30:いきなりは変われない ◆h8c9tcxOcc
07/09/25 01:01:53 DtIeRnZG
アルのテンプレ修正

誤 不明支給品0~3個
正 不明支給品1~3個



すごく……不当なハンディです……

31:明智健吾の耽美なるバトルロワイアル――開幕◇tu4bghlMIw (代理)
07/09/25 02:57:30 n330Gvof

E-4、ヨットハーバー。一通り名簿と支給品を確認した私は、その見慣れぬ施設に足を踏み入れた。
左手に液体燃料式のランタンを持ち、用心深く歩を進める。


周囲は見渡す限り、輝く水で覆われている。塩の臭い、一瞬で嗅覚がそこが海に面した場所である事を察知する。
中々不思議な光景だった。
桟橋にロープで括り付けられているいくつもの小型の船舶。
風力で動く酷く原始的なものが大半、奥の方にはおそらく何らかの原動機を積んでいると思われる大型のものが並んでいる。

いっそ船で沖に……などという考えも浮かんだが切り捨てる。
私にはこの銀色の首輪の束縛がある。
主催者が何を考えているかは不明だが、不用意な行動は命取りになる。


そう首輪だ。
触って確かめた限り、金属である事は分かるが詳しい材質や内部の構造にはまるで見当が付かない。
錬金術の基本原理は【理解】【分解】【再構築】の三要素。
特に最も重要となるのが対象物の構成元素や特性を"理解"する事である。
つまり明らかに未知の物質を錬金術の対象にする事は出来ない。
そもそも鋼のならともかく、私個人はこのような金属の錬成はそれほど得意では無かった。

しかし今優先すべきは目下に迫る危険への対処。つまり―


「そこにいる事は分かっている。出て来い」
「……おや。中々無用心な背中かと思えばそうでもない、という訳ですか」


多数の船舶の影、丁度私の背後から一人の若い男が姿を現した。
透き通るような銀髪、冷たい印象を与える眼鏡、そして知性と閃きに満ちた瞳。
男は身にまとったスーツは遠目にもその質の高さが伺えたし、ネクタイからワイシャツに至るまで本人の几帳面な性格が滲み出ているような整然さに溢れていた。

醸し出す雰囲気は達人のソレではない。
だが、明らかに只者ではないと感じさせる特徴的な"何か"を持っている。
それは心技体で表すならば、"心"の煌き。大都市に設置された国家図書館の書庫にも匹敵するような抜群の知の匂いだ。
そして不屈の精神力。明らかに気の抜けない相手である事は確かだ。

男は見る限り丸腰、加えて自らの肉体を駆使して戦うアームストロング少佐のようなタイプにも見えない。
とはいえ無用心に近付くのは問題外。慎重に事は進めるべきだ。
ランタンを構えたまま、体勢は崩さず。
どのような攻撃が来ようとも対応出来るように細心の注意を払う。
だが、次に男が発した言葉は思わず拍子抜けしてしまうほど意外なものだった。


「―失礼、何か火種になるようなものをお持ちでしょうか?」


眼鏡の男はそう問い掛けると質の良さそうなスーツの胸ポケットから長方形の紙箱を取り出してこちらに見せる。
私はそれに見覚えがあった。もちろん煙草という概念に、という意味ではない。
それは"アイツ"がいつも吸っていた煙草と同じ銘柄のものだった。


「……煙草を吸うのか」
「いえ、普段はほとんど。ただ……こういう特別な状況で"コレ"が支給されたのも何かの縁かと思いまして」


答える男の表情は不自然な程余裕に満ち溢れていた。涼しげな佇まい。
思わず私は若干の苛立ちを覚える。
こんな危機的な状況にも関わらず、何一つ焦りや戸惑いを感じていないような男の態度に対してだ。

32:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 02:58:13 DtIeRnZG
 

33:明智健吾の耽美なるバトルロワイアル――開幕◇tu4bghlMIw (代理)
07/09/25 02:58:32 n330Gvof

正直、どう対応すべきか決め兼ねる。
この男は怪しい。胡散臭いというよりも、"腹の探り合いで数歩先を行かれている"ようなイメージ。
錬金術師は高い戦闘能力を誇る兵士であると同時に、優れた研究者でもある。
肉体派の国家錬金術師として通ってはいるものの、政治家としての手腕や話術にはそれなりの自信は持っていたものだ。
故に初対面の相手にここまで流れを持って行かれるのは中々久しい体験だった。
そう、"安易な行動"を取る事は出来ないと感じさせるだけの高い能力を男は有している。

微妙な沈黙。私が特別なリアクションを取らない事に痺れを切らしたのか、男は胸ポケットに再度煙草を仕舞った。


「自己紹介がまだでしたね。私は警視庁刑事部捜査一課の明智と申します。
 本来ならここで警察手帳をお見せしたい所なのですが……生憎とソレも没収されてしまったようで」
「―私がゲームに乗っているとは考えないのかね。
 それに少なくとも君は、身体を使って戦うのは得意では無いように見える。
 "煙草の火"を求めると言う事は、私にそれなりの距離まで接近するのを許しているように思えるのだが?」


男、明智健吾は口元に微笑を浮かべると楽しそうに数回喜びの声を漏らした。
こちらを試しているのだろうか、中々嫌味な男だ。

「……順を追って解説致しましょう。そうですね、まず一つ目の質問について。
 あなたがゲームに乗っている可能性は……私見ですが一割以下でしょうね」
「ほう、そこまで断言するか。まさか理由が無いわけでもあるまい?」

随分と言い切ったものだ。
一割以下、と言ってはいるものの、彼は"私がほぼ確実にゲームには乗っていない"と判断しているに違いない。
初対面の人間にここまで言えるのは余程の馬鹿か天才のどちらか。

「ヒントは3つあります。まず私の姿を確認した後、すぐさま襲い掛かって来なかった事。
 次に姿を見せた私に対して"何一つ"牽制を行わなかった事。
 そして何よりあなたが軍服を着ている事……そう、軍属の人間が上二つの行動を取らない。
 すなわちゲームに乗っていない証拠に他なりません」
「……それだけか? 確かに芯は通っているが、一割以下とまで絞り込めるようには思えんが」

確かにゲームに乗った好戦的な人物であれば、最低でも牽制は欠かさないだろう。
しかし、それなりの理由があってソレを行わないパターンも十分に考えられる。
頭上に輝く黄金の月がゆらりと輝いた気がした。
私は明智の更なる"推理"の続きを待った。


「そうですね……この三つでは精々三割以下が限界でしょう。
 ですが私には決定的な武器が一つあるのですよ、『ロイ・マスタング大佐』」
「ッ!?」


あまりにも聞きなれた名前、加えて階級。
明智の言葉を聴いた瞬間、私、ロイ・マスタングは思わず胸元から支給された武器を取り出し、ソレを突き付けていた。
コレは最後の最後まで取っておきたかった切り札だったのだが仕方がない。

銃。黒光りする、か弱い女や子供老人であろうと人間を殺す事が出来る魔の兵器。
そしてソレを模したレプリカを。
普通の人間にとっては完全にハズレ支給品だっただろう。
―だが私にとってコレは最高の武器となる。

34:明智健吾の耽美なるバトルロワイアル――開幕◇tu4bghlMIw (代理)
07/09/25 02:59:55 n330Gvof

「おや、そんなものを持っていましたか。銃器の類は所持していないと思ったんですが……」
「どういう、ことだ?」
「……錬金術、古代から中世にかけて行われた"金"や"賢者の石"に関する学問。
 現代における化学の根本を成す―例えば、かのアイザック・ニュートンも高名な錬金術師であったと言われています。
 ですが……あなた方の言う錬金術とはまたソレとは別の技術なのでしょう、<<焔>>の錬金術師よ」


明智は相変わらず嫌味な笑顔のまま、次は私にとって最も聞きなれた呼称を口にした。
その態度は明らかに不遜。
そしてそれは私と相容れる事がないと確信させるには十分過ぎる程だった。
光を受けて軽く反射する眼鏡。逆行に遮られ上手く見る事が出来ない男の瞳がやけに不気味だった。

そして私は決意した。
もう、遊びはここまで。
どんな手段を使って私の情報を得たのかは知らないが、奴はあまりにも不可解すぎる。


「……全て、お見通しと言う訳か。明智よ、ハボックの煙草を出せ」
「ハボック……? この煙草の持ち主の名前ですか?」
「そうだ、構えろ。餞別だ―見せてやる」


左手に持ったランタンに意識を集中。液体燃料式のソレの火力を調節し、シャッターを全開にする。
加えて瞬時に有効射程までの空間を認識。
そして、燃焼の三要素である【燃焼物】【酸素】【点火源】を準備する。

燃焼物は明智が億劫げに構えた部下であるハボックの物と同じ銘柄の煙草。
点火源は手に持ったランタン。
そして酸素だ。空気中の酸素濃度を錬金術を用いてコントロールする。
私と男の距離は約数メートル、だがこの程度の調節児戯に等しい。


イシュヴァールの殲滅戦を思い出せ。
私は何を焼いた?
女だ、老人だ、罪の無い無邪気な子供だ。
軍人としては部下を守るため、最後まで前線に出て戦った勇敢な上司なのかもしれない。
だがそれは所詮"勝った側"の理論。
イシュヴァールの民にとって私は殺人鬼、ただの悪鬼に過ぎない。

断末魔をあげ、消し炭になっていく人間をどれだけ見たのだ。
真っ黒い炭にあらゆる元素が消失し、完全な『C』になって行く、その光景の担い手は誰だ。
ああ、それも私だ。

人の皮一枚レベルの火力調整すら可能。
それがアメストリス軍中央司令部所属ロイ・マスタング、通称<<焔>>の錬金術師。


―燃えろ。


両手の掌に予め書いておいた錬成陣に力を込める。
円。錬金の流れを作り出す、循環の象徴に向けて。

35:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 03:00:38 4fKuvt7O
 

36:明智健吾の耽美なるバトルロワイアル――開幕◇tu4bghlMIw (代理)
07/09/25 03:01:04 n330Gvof



「!? これは……まさか、こんな事が……ッ!!」


明智の憎たらしい笑顔が"消失"する。
続けざまに、ヨット場に苦い煙草の匂いが出現。懐かしい、国を思い出させる匂いだ。

その顔面に刻まれたのは驚き、そして在り得ない物を視認した者が見せる恐怖の感情。
明智は手に持った煙草を忌々しいものでも見るように投げ捨てた。
ソレは奴の隣、何も無い海面に落ちて見えなくなった。


私は完全な火力調整の下、火種になって見せた。
もちろん、奴ごと燃やし尽くしてしまうようなヘマをやらかす訳がない。
完璧に"煙草の先端部分だけ"を燃やした。
その際少々大きな爆炎を発生させたが、それはただの威嚇。
奴は煙草を持つ指先にすら火傷を負ってはいない。

「お前は一つ勘違いをしていたようだな。どうやって知ったか知らんが、錬金術を手品か何かだと思っていたか?」
「ええ、正直予測はしていましたがここまでとは。……ですが、もはや確定的なようで」

若干乱れた髪を気にもせず、明智は少し下がっていた眼鏡を元の位置まで戻す。
そして自信満々に言い放った。



「ロイ・マスタング大佐、あなたはゲームに乗っていらっしゃいますね?」



「―正解だ」
「くッ!!!」


爆炎。人一人十分に殺傷させうる炎の渦を発生させる。
だが明智は予想外なまでに俊敏な身のこなしで私の炎を回避した。
相手の対応に私は思わず感嘆せざるを得なかった。


どうして中々。
今回は完全に"焼失"させるつもりでやったのだが。

 

 ■


37:明智健吾の耽美なるバトルロワイアル――開幕◇tu4bghlMIw (代理)
07/09/25 03:02:21 n330Gvof
「くッ!!!」


巨大な炎の塊が私の足元に発生した。
だがこのような展開もある意味予定通り。
彼がいつ攻撃してきても構わないように、全身の神経を張り巡らせていたのだから。

横に思いっきり身体を飛び退かせ、その炎から身を守る。


「……中々いい動きだな、明智。だが次は外さんぞ? そもそも『一割以下』という件はブラフだったのだろう?」
「ッ、ええ。元々、相当高い確率でゲームに乗った人間である事は予想していましたから」
「……参考までに聞いておこうか」


完全に、力関係の構図は逆転した。
私の表情に先ほどまでの余裕は無い。
地面に膝を付きロイ・マスタングを睨み付ける私と、こちらを見て口元をにや付かせる彼。
既に支給品の『参加者詳細名簿』によって彼の情報を知り得ていたアドバンテージなど、この圧倒的な力の前には無力。

推理のタネ明かしをこんなに追い詰められた状態でやった事は無かったな。
思わず無様な私自身を笑い飛ばしてやりたくなった。


「簡単な推理です。鍵はあなたが持っているそのランタンですよ。
 このヨットハーバーにおいて、そんな物を使う必要は全く無いんです。
 なぜなら、ここには既に"十分な程の照明"が焚かれているのですから」
「ほう」


私は辺り一面に設置された球場のライトにも匹敵する照明具を指差しながら告げた。
そう、このヨットハーバーは十分過ぎる程明るいのだ。
その証拠に―私はランタンを持っていない。


「しかし、あなたはランタンの灯を消そうとはしなかった。
 加えて武器を一切持っていないにも関わらず、全く動揺が見られなかった。
 いかに軍属の人間であるとは言え、ね。
 そして、最後に元々私が知り得ていた<<焔>>の錬金術師という異名……ソレはつまり、ランタンの火こそがあなたの武器である証拠」
「……なるほど、だが信じられたのか? その話素振り、貴様一切錬金術を知らない国の出身だろう?」


ロイ・マスタングは「その発想は無かった」という表情を一瞬だけ顔に浮かべたが、すぐさま厳しい顔付きを取り戻す。
ゆらゆらと揺れる真っ青な海面を背に、私は更に推理を続ける。


「そう。正直半信半疑でした。ですが私が火種を要求した時におかしいと思いませんでしたか?
 "どうしてお前は自分のランタンを使わないんだ?"ってね」
「!!」
「おそらくあなた自身も知らず知らずの内に、自らを炎と結びつけて考えていたのでしょう。
 だから、自分が火種を要求された事になんの疑問も持たなかった。
 この時点で半ば確信しました。……まぁ、予感めいたものも多々ありましたが。
 そして、最後にあなたの眼―職業柄、"殺し"を決意した人間には少々見慣れていますので」


38:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 03:02:36 4fKuvt7O
  

39:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 03:02:46 DtIeRnZG
 

40:明智健吾の耽美なるバトルロワイアル――開幕◇tu4bghlMIw (代理)
07/09/25 03:03:40 n330Gvof
男の眼―それは、爛々と燃え盛る太陽のような瞳をしていた。
野望、野心、そして遙かなる向上心。
天を、高みを目指す強欲なまでの彩りに満ちた視線。

だが私は見逃さない。
その輝きの中に、僅かな黒点にも似た曇りが存在する事を。
そしてソレは犯罪芸術家「高遠遙一」にも似た殺意を押し殺した人間の眼なのだ。


「ふふふ……面白いな、明智よ。こんな状況でなければ私の部下にしてやってもいいくらいだ」
「……どうですかね、あなたで私を容易く御せるとは思えませんが」

私達は共に低い笑い声をあげた。
皮肉、牽制、冗談、短い会話であったが相手は相当に出来る男であると理解し合っている故の行動。

「本当に残念だよ。君のそのキャリアもここまでだと思うと」
「―マスタングさん、一つだけあなた方の錬金術について聞いてもよろしいでしょうか」
「……言ってみろ」

最後、そんな言葉を意識する。
いや……ここで命を投げ出す気は毛頭無い。


「昔、世界とはエネルギー・液体・固体・気体の四大元素から成ると考察した研究者がいましてね……。
 そして、それぞれが火・水・土・風に対応する訳なんですが……。
 あなた方の世界における"火"と相反する元素とは何ですかね?」
「ッ!? 燃え―」
「勝負は預けておきますよ!! "無能"大佐!!」


今日二度目のダイブ。
今度は硬いコンクリートの上ではなく海の上へ。
丁度彼の視界からは死角に当たる部分。そう、唯一ヨットが無い場所へ。

追撃の炎が上がる。
私が先程まで居た場所で凄まじい爆音が響くが、さすがの火炎も海の中では無力だ。
買い換えたばかりのスーツが台無しになってしまう、がそんな事を考えている場合ではない。


学生時代のサークル活動で時々泳ぎに行っていた経験がココで役に立った。
息継ぎをせず相当な距離を、素潜りのままマスタングの射程範囲から逃れなければならない。
なにしろ頭の上、数十センチ上はまさに"火の海"なのだから。


 ■


41:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 03:04:14 DtIeRnZG
 

42:明智健吾の耽美なるバトルロワイアル――開幕◇tu4bghlMIw (代理)
07/09/25 03:04:44 n330Gvof
「ちっ……見失ったか」


火上するヨットの群れを前にして私は立ち尽くしていた。
手応えは正直、無い。
奴が海に飛び込んだ瞬間、確かに炎を練り上げたものの、またしても回避されたのだ。

ランタンの火を消し、デイパックの中に戻す。
正直意外だった。
まさか"ランタンを付けたまま行動している"というだけで、あそこまでの推理を働かせる人物がこのゲームに参加しているとは思わなかったのだ。
他の着火装置として、私に支給された道具の中に『拳銃型ライター』という絶好の道具が入ってはいた。
しかし、コレはある種諸刃の剣である。
なにしろサイズが大き過ぎることに加え、『銃であること』が露骨に警戒心を与えてしまう。


「……先に中尉とヒューズの情報を聞き出すべきだったか」



『あなたはゲームに乗っていらっしゃいますね』

私に問い掛けた明智の言葉はまさにその通りだ。
私はゲームに乗った。
あの螺旋王ロージェノムという男は気に入らない。
そして奴の意思のまま、また殺し合いに身を落とすのも躊躇われる事ではあった。

だが。
名簿の中に見つけた在り得ない名前、そして部下、親しい人間の名前を見つけた瞬間そんな想いは霧散した。

―何故、あいつが居る?

『マース・ヒューズ』

それは既にこの世にいるはずの無い人間の名前。
他に『リザ・ホークアイ』やエルリック兄弟の名前もあった。
ほんの数日前、確かにこの眼で死を見届けた筈の男が、私の親友がこのゲームに参加している。
そんな事実を知った以上、私は行動しない訳にはいかなかった。


「二度も……お前を殺させる訳にいかんぞ、ヒューズよ」


私は足元に一つ落ちていたハボックの煙草を拾うと、錬金術を使わずライターで火を付ける。
久しぶりに味わう煙草は正直さほど美味くは無かった。
だが、この一服が私の決意を更に固める事となったのもまた確かだ。


今回は相手を侮り様子を見たため、取り逃がす事態となった訳だ。
私がゲームに乗っている事が多数に知られるのは不味い。
なれば再び殲滅戦の時のような修羅になる、これしか残された道は無いだろう。
そして、奴らと共に生きて必ず帰還する。


……そんな手段しか私は取る事が出来無い。
火の海を背に私は歩き出した―次の獲物を求めて。


43:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 03:05:06 GvHQaTFw


44:明智健吾の耽美なるバトルロワイアル――開幕◇tu4bghlMIw (代理)
07/09/25 03:05:49 n330Gvof


【F-4 ヨットハーバー周辺 一日目 黎明】

【ロイ・マスタング@鋼の錬金術師】
[状態]:健康、両方の掌に錬成陣
[装備]:ランタン、拳銃型ライター
[道具]:支給品一式、ランダム不明支給品x2
[思考]
基本思考:知り合い以外の全参加者を殺害、脱出の道を探る。
1:リザ・ホークアイ、マース・ヒューズを探して守る。
2:エルリック兄弟を守る。
3:それ以外の参加者の殺害。
4:発火布の手袋を探す。

[備考]
※ロイは原作のヒューズ死亡直後から参戦。


 ■


「私とした事が……少しばかり泳ぎ過ぎてしまったようです」

泳ぎに泳いで私が辿り着いたのは先ほどまで居たヨットハーバーの対岸にあるゴミ処理場―その対岸だった。
普通にまっすぐ泳いでいれば簡単に陸地に付けたものを、まさかこんな遠回りをしてしまう羽目になるとは。
金田一君のボケが私にも僅かながら伝染しているのかもしれない。


私は服を脱ぎ、海水を絞りながら考える。
何とか無傷でやり過ごす事は出来たものの、今の状況は相当に思わしくない。
まず支給品。
この『参加者詳細名簿』と言う物は全体を見渡してもかなりの当たりに違いない。
参加者の簡単な人間関係や、通称。能力などが大雑把ながら記述されている。しかも顔写真付きである。
だが―

「能力よりも、あだ名や通称の方が充実していても大して役に立たないのですがね……」


例えば先ほどのロイ・マスタングならば彼が炎を使う錬金術師である事など一文字も書いていなかった。
確かに【通称】の欄に『<<焔>>の錬金術師』と書いてはあるものの、ソレぐらいのものである。
女性関係にだらしないだとか、無能大佐と呼ばれる事もある、といった余分な情報は全く持って役に立たないのだ。

他の人物に関しても、ワカメだのミジンコチビだのオレンジだのヘタレだのV様だの童貞だの慢心王だの、どうしてここまで意味の無い情報ばかりが書かれているのだろうか。
『詳細名簿』と言うよりも『噂帳』とでも名づけた方が良いに違いない。
確かに顔写真が付いている、と言うのは大きなアドバンテージにはなるのだが。


45:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 03:06:51 DtIeRnZG
 

46:明智健吾の耽美なるバトルロワイアル――開幕◇tu4bghlMIw (代理)
07/09/25 03:06:51 n330Gvof


他の支給品として例の煙草と訳の分からない双銃。
銃……なのだが、実弾を装填するための機構が何処にも見当たらないのだ。
加えてマガジンもデイパックの中には入っていなかった。

レーザー銃かと思い、壁に向かって引き金を引いて見たのだが当然何も起こらない。
故に扱うために何か特別な資格が必要なのかもしれないと判断した。
せいぜい威嚇程度にしかならないため、先ほどは相手を刺激しないためにしまっておいたのだが。


水を絞り終えたスーツに袖を通す。
染み込んだ塩分が最悪の感触をプレゼントしてくれる。
特注のお気に入りなのだが、どこか他の服に着替える必要も出てくるだろう。

先ほどの青色の軍服と身に纏った短髪の男、ロイ・マスタングと言ったか。
彼のようにゲームに乗った人間が多数出現するのはおそらく必然。
しかも私は彼らに比べれば力自体も乏しく、特別な能力などは何も無い。
だが、同じくらい主催者に向けて反旗を翻す人間が存在する可能性も高い。

その為にすべき事は―つまり、そんな人間を団結させる事だ。
幸いにも私にはこれから役に立つのかイマイチ不安ではあるが、詳細名簿という武器がある。
高遠遙一の存在も気になるし、金田一君や剣持君ともコンタクトを取っておきたい。
やらなければならない事は山済みだ。


「今回の私は完全な探偵役……では無くて、一人の剣闘士という訳ですか。それもまた面白い」


ここでは解決する役目、ではなく私は板状の駒の一つに過ぎない。
人々のやり取りを外部から眺めている立場では無いのだ。

ですが……解き明かして見せましょう。
このバトルロワイアルという一つの大事件を。
ソレが私、明智健吾に課せられた使命なのですから。



【E-4 ゴミ処分場・対岸(マップ右上) 一日目 黎明】

【明智健吾@金田一少年の事件簿】
[状態]:健康、ずぶ濡れ
[装備]:クロスミラージュ@魔法少女少女リリカルなのはStrikerS(カートリッジ4/4) x2
[道具]:支給品一式、ジャン・ハボックの煙草(残り18本)@鋼の錬金術師、参加者詳細名簿、予備カートリッジ8
[思考]
基本思考:犯罪芸術家「高遠遙一」の確保。ゲームからの脱出。
1:ゲームからの脱出。ゲームに乗っていない人間を探す。
2:金田一、剣持を探す。
3:高遠遙一を確保する。

[備考]
※ジャン・ハボックの煙草@鋼の錬金術師、二本消費
※参戦時期は未定(高遠を最低でも知っている段階)

【参加者詳細名簿】
参加者のプロフィールや能力が簡易的に記された名簿……の筈なのだが、その実態は単なる噂帳に近い。
間違いは一切書かれていないのだが、裏情報やTIPSのような項目が中心で例えばロイの項目であっても、炎の錬金術とはどのようなものなのか、という解説は皆無。
しかしあだ名や通称などの項目は充実しており、相手を罵倒する際には役に立つ事間違いなし。
ちなみに参加者の顔写真付き。どんなアングルかは人物によって異なる。

47:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 03:07:02 GvHQaTFw


48:少女の幸運と少女の不幸 ◇FbVNUaeKtI(代理)
07/09/25 03:38:17 k5nEM0BV
古手梨花がそれを見つけたのは、山を下り始めて三十分ほど経った頃の事だった。
(くすくす・・・随分とまた無用心ね)
進行方向の向かって正面。大木の根元に小柄な影が蹲っているのを確認し、梨花はほくそえむ。
尻尾のような飾りと見たこともない服装だが、おそらくは自分と同年代か少し上程度の少女だろう。
地面に色々な道具―おそらくは支給品だろう―を広げている。
(さて、どうしようかしら。利用するのもいいけど・・・)
そう考えながら少女の様子を見る。
・・・どうやら手に持ったものをいじくるのに夢中で、こちらにはまったく気づいていないようだ。
(やっぱり、殺せるときに殺しておかないとね)
鞄からゆっくりとスタンガンを取り出し、軽く構える。準備は万端だ。
一呼吸の間をおいて、少女に向かい一歩を踏み出す。そして・・・
「・・・!?」
「っ・・・!」
二歩目を踏み出そうとした瞬間、少女がこちらへと振り返った。
その視線に怯えと警戒の色を察知し、軽く歯噛みする。
(気づかれた!?・・・いえ、落ち着きなさい、クールになるのよ梨花。まだ充分に挽回できる状況よ)
さりげなくスタンガンを後ろ手に隠しながら、すぐに強張っていたであろう表情を笑みへと変えた。
「みー、やっとで人を発見したのですよ」
笑顔は元々、獣の行う威嚇という行為だった・・・何処で聞いたのかも解らない雑学を思い出しながら、
長きを生きる魔女は少女を安堵させるべく、巧みに笑顔と言葉を連ねる。
「大丈夫なのです、ボクは怖い事をする気は・・・」
その言葉を遮るように、少女が手にした物体をこちらに投げつける。
孤を描いた小さな“それ”は梨花の体に当たり、そのまま足元へと転がる。
「みー、本当に大丈夫なのですよ?」
「・・・・・・ぅぅ」
梨花は不安げな顔を作り、少女へと一歩歩み寄る。
しかし、返って来たのは微かな声と投擲の第二波、第三波。
こんなに入るのかと思うほどの荷物が飛んできたのだ。
飛来する傘やらペットボトルやらを梨花はなんとか避ける。
(そもそも、傘などはこちらまでの飛距離すら稼がなかったが)

49:少女の幸運と少女の不幸 ◇FbVNUaeKtI(代理)
07/09/25 03:38:41 k5nEM0BV
やがて、梨花が『やはりこの娘はここで殺しておこうか』などと考え始めたとき、不意に少女が動きを止めた。
投げられる物が尽きてしまったのだろう。じっと鞄へ視線を送っている。
(ふふ・・・よくも、てこずらせてくれたわね)
後ろ手でスタンガンを握りなおしながら、ゆっくりと少女に近づく。
「怯えなくても大丈夫なのですよ。にぱー」
もちろん、笑顔は絶やさない。邪気の無い笑みを装いながら、少しずつ歩を進める。
その時・・・少女が鞄の中から鋼色の何かを取り出すのが見えた。
(しまった!?)
死の予感に思わず目を瞑ってしまう。雛見沢での日々が脳裏を駆ける。
程なく身体を襲う衝撃に、古手梨花の意識は奪われ・・・

50:少女の幸運と少女の不幸 ◇FbVNUaeKtI(代理)
07/09/25 03:39:11 k5nEM0BV
「あれ?」
・・・なかった。目を開くと、少女の姿が忽然と消えている。視線を落とすと、足元に転がるのは黒い鞄。
その場に残されたのは散乱する道具と呆然と佇む梨花。そして草を掻き分ける微かな音のみ。
逃げられた・・・よほど恐ろしい顔をしていたのか、こちらの殺気とやらを読んだのか・・・
(なんにせよ、うかつだったわね)
逃げられたことに微かな不安と怒りが込み上げるが、頭を振ってそれを追い払う。
殺気のような物を読まれたとしても、決定的と言える証拠は無かったはずである。
だから、逃げられてもそんなに問題視することは無い。
それに命の代わりと言ってはなんだが、少女は数多くの物を残していってくれたのだ。
「大漁大漁なのです。にぱー」
雰囲気を打ち消すように呟き、梨花はその場に転がっている物を拾い集め始めた。
パンや水を袋にいれ、支給品であろうタイマーと傘を手に取り・・・傘の異様な重さに気づく。
(くすくす・・・こんな物騒な物まであるのね・・・私には無用の長物だけど)
傘の内部に仕込まれた銃に、思わず自虐的な笑みを浮かべる。
おそらく使いこなせはしないだろうが、それでも何かの役には立つだろうと鞄に突っ込む。
傘はつっかえる事もなくスムーズに鞄の中に消えた。
「・・・・・・・・・」
目の前で起こった異様な事実を軽く無視して、梨花はもう一つの物体へと目を注ぐ。
それは一番最初に投げられた物体。掌に余るくらいの大きさのタイマーらしきものだった。
(時報の機能でもついてるのかしら?まあ、陽動くらいには使えるかもね)
そんな事を考えながら、魔女は自分のツキに笑みを浮かべる。
(6とまではいかないけれど、順調にいい目がでてるわね。私の運も捨てた物じゃ・・・)
と、そこまで考えたとき・・・梨花の手元からポンッという間抜けな音が響いた。

51:少女の幸運と少女の不幸 ◇FbVNUaeKtI(代理)
07/09/25 03:39:45 k5nEM0BV











『おっぺけぺ~のぺ~!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』















52:少女の幸運と少女の不幸 ◇FbVNUaeKtI(代理)
07/09/25 03:40:05 k5nEM0BV
後方から聞こえた物凄く大きな声に、森の中を走っていたアルルゥは首をすくめ、その動きを止めた。
恐る恐る後ろを振り向き、何の気配も無いことを確認すると再び山を駆け下り始める。
その手に抱えられている物は鋼色に輝く扇子。
ついさっき、見知らぬ少女から逃げるときに持ち出した、たった一つのもの。
(ちなみにアルルゥが逃げ出した原因は・・・単なる人見知りである)
「おとーさん・・・」
それの持ち主である仮面の青年の姿を思い浮かべながら、少女は麓へと駆け下りてゆく。
・・・アルルゥは全く気づいていなかった。
聞こえてきた奇声が先程、自分に話し掛けてきた少女の声で、
奇声をあげた原因が自分がいじっていた支給品―時限バカ弾にあるという事を。



【C-6山中 1日目 深夜】
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:時限バカ弾で混乱、数秒程度で通常復帰
[装備]:スタンガン
[道具]:荷物一式×2、ロベルタの傘@BLACK LAGOON
[思考・状況]
 1:おっぺけぺ~のぺ~
 2:南下して町へと向かう
 3:ステルスマーダーとしてゲームに乗る
 基本:自分を保護してくれそうな人物(ひぐらしキャラ優先)、パーティーを探す
 最終:ゲームに優勝し、願いを叶える

53:少女の幸運と少女の不幸 ◇FbVNUaeKtI(代理)
07/09/25 03:40:19 k5nEM0BV
【C-6山中 1日目 深夜】
【アルルゥ@うたわれるもの】
[状態]:健康
[装備]:ハクオロの鉄扇@うたわれるもの
[道具]:なし
[思考・状況]
 1:ハクオロ等の捜索
 2:ハクオロに鉄扇を渡す
 基本:ゲームには乗らない


※アルルゥの支給品『時限バカ弾』は破裂して失われました
※梨花の奇声はエリア周辺に響いたと思われます

※『時限バカ弾』
  時限タイマーを巻いた状態で対象に貼り付けて使用。
  制限時間が来ると破裂し、貼り付けられた対象がバカな事を叫んだり踊ったりする。
  おそらく、数秒程度で普通の状態に戻ると思われる。

54:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 03:46:46 mtK0O8I3
 

55:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:51:43 3WZf49N1
投下します

56:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:53:22 3WZf49N1
 おっぺけぺ~のぺ~
  おっぺけぺ~のぺ~
   おっぺけぺ~のぺ~

 にゃはははぐるぐるでがらがらでどかんどかんぼーぼーなのです~

    おっぺけぺ~のぺ~
     おっぺけぺ~のぺ~
      おっぺけぺ~のぺ~

  byわひゃはyふぁらうぇおいjwみょ~

       おっぺけぺ~のぺ~
        おっぺけぺ~のぺ~
         おっぺけぺ~のぺ~

   ふぁけjひぁおうぇじゃだこぇえrふぁwfみおpmじゅえ~

          おっぺけぺ~のぺ~
           おっぺけぺ~のぺ~
            おっぺけぺ~のぺ~…………


 ◇ ◇ ◇

57:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:54:02 3WZf49N1
いきなり殺し合いをしろ、なんて可笑しなことを言われたら、誰だって必然と視野が狭くなるもの。
 灯台下暗し―なんて諺があるが、暗くて見失ってしまうようなものは、何も手元にあるとは限らない。

「まぁ。今まで気にも留めませんでしたけれど、ここから見える月夜もなかなかのものじゃありませんの」

 空に上る満月を見ながら、獣耳の女―カルラは、物思いにふけるような素朴な笑顔を作る。

「まったく、こんな厄介なことに巻き込まれたりしなければ、今頃ウルトあたりと一緒に月見酒と洒落込むところですのに」

 素朴……そう、月を見上げる彼女の笑顔は、確かに素朴だったのだが、

「ねぇ? そうは思いませんこと?」

 見事すぎる真円から視線を外し、目の前に立つ少女へと被写体を移したその瞳は、どことなく妖艶にも見えた。

 深夜の森を行き来する風は、冷たい。
 漆黒のレオタードにマントベースとしたバリアジャケットを装備し、煌びやかな金髪を闇に引き立てさせている少女―フェイト・T・ハラオウンの格好は、見るからに寒そうだった。
 むき出しの太腿に鳥肌が立っていることにも気づかず、一点に見つめるは、闇の奥に潜みし者。
 寒さを忘れさせるほどの存在が、そこにいた。
 寒さを忘れさせるほどの失態を、やってしまった。
 寒さを忘れさせるほどの誤解を、生んでしまった。

58:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:54:20 3WZf49N1
「あ、あ…………」

 やらかしてしまった失敗への後悔のせいか、それとも単純に、カルラへの恐怖からくるものか。
 分からない。分かるのは、自分が彼女に攻撃を仕掛けてしまったということだけだ。

 普段の冷静な思考が、取り戻せない。
 タヌ機による幻覚作用が齎した最悪な不幸―親友が人を殺す、という悪夢がフェイトを混乱の渕に追い込んでいた。
 目の前の女性は誰か? 耳や尻尾など、獣の象徴的なパーツを宿しつつも人型を成すその姿。アルフやザフィーラと同じ使い魔なのだろうか。
 そもそも自分は、殺戮を続けるなのはを追ってここまで来たはずなのに。当のなのはは何処に消えてしまったのか。

「なのは……どこ?」

 カルラに目の焦点を合わせようとせず、フェイトはキョロキョロと辺りを見渡す。
 見知ったはずの親友は、やはりいない。既に移動してしまったのだろうか。
 だとすれば、このままここで無駄な時間を使ってるわけにはいかない。

59:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:54:40 3WZf49N1
「…………通る」

 殺し合いに乗った親友―高町なのはを止める。
 フェイトは意思を強め、見失わない内になのはを追おうと、再び進み出そうとするのだった。
 それこそ、降りかかる火の粉、行く手を阻む障害は、全て蹴散らしてでも。

「あらあら。殺気を放っても臆せずに向かってくるなんて……本当に困ったお子様ですわね。忠告しておきますけれど、わたくし、そんなに優しくありませんことよ」

 微笑の影に強大な剣気を隠し、カルラは杖を構えるフェイトに向き直る。
 ホーホー、と何処からか梟の鳴き声が聞こえてきたような気がした。いや、ひょっとしたら虫の鳴き声だったかもしれないし、周囲の参加者が高笑いでもしていたという可能性もある。
 なんにせよその瞬間、開戦の鐘の音としては十分な―音が、鳴り響いたのである。

「ランサーセット」『Get set』

 フェイトの足元に輝きを放つ魔法陣が形成され、周囲に雷の光球が三つ、発現する。
 高速直射弾『フォトンランサー』。フェイトが最も得意とする、雷撃系の攻撃魔法である。

「ファイア!」『Fire』

 フェイトと、その手に握られた杖―デバイス『S2U』の声が重なり、三つの光球は複雑な軌道を描きながらカルラへと伸びる。
 一つは直線的に真っ直ぐと、一つは螺旋を描きながら相手を錯乱させ、一つは横合いから低速で移動し時間差で攻める。
 数多くの戦を経験してきたカルラといえど、さすがに自由自在に軌道が変化する矢というものは初めてだった。

 まず一つ目に襲ってきた直線的な光球は、跳躍一蹴、地面を強く踏み込み空へと避ける。
 そして二つ目に襲い掛かってきた螺旋軌道の光球は、回避では防御で攻略する。
 カルラは跳躍したその先―高く聳える木の枝を掴み取り、そのまま猿のような機敏さで、生い茂る木の葉の群集に逃げ込む。
 それが隠れ蓑となり、光球は多くの枝と葉に阻まれ、カルラの下に届くことなく拡散した。
 途端、衝撃で舞い落ちる木の葉の雨中から、カルラが飛び出す。

(我ながら品のない戦法ですこと。森を飛びまわって攻撃を回避するなんて、まるでキママゥじゃありませんの)

60:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:54:59 3WZf49N1
 余談だが、キママゥとはカルラが居た世界『ウィツァルネミティア』に生息する猿のことである。
 木の上から飛び出したカルラが向かう先は、魔法陣の上で光球の操作を行っているフェイト。
 カルラの想像以上のスピードに目を白黒させつつ、残った三つ目の光球を引き戻そうとする。が、
 時、既に遅し。カルラはフェイトの眼前に立ち、フェイトの額を目掛けて右腕を伸ばす。

「おイタはいけませんことよ」

 大人女性特有の、優しげだがどこか迫力のある微笑を見せ、フェイトの額にデコピン一閃。
 普段、大人の男四人がかりでも持ち運ぶのが困難な大剣を振り回すカルラのデコピンは、もはや単なるお仕置きのレベルを超越していた。
 ピンッ、と指が弾かれ、後方に飛ばされるフェイト。数多の魔法戦を経験してきた彼女でも、デコピンで攻撃されるのは初めてだった。

「―ぅあっ!?」

 デコピンといえど、怪力カルラの繰り出す攻撃の前に、超軽量級のフェイトが飛ばされない理由はなかった。
 地を転がり、綺麗な金髪を土に汚す。ダメージ自体は大したことはないが、精神面―命を懸けた戦闘でデコピンを繰り出す―という衝撃的な出来事に、フェイトは面食らっていた。

「アルカス・クルタス・エイギアス 煌きたる天神よ いま導きのもと降りきたれ……」

61:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:55:22 3WZf49N1
 立ち上がりながら、フェイトはブツブツと何かを呟く。
 その複雑な言語様式が何を意味するものかは分からなかったが、フェイトの足場に形成された陣が未だ消えぬことに、カルラは警戒した。

(ウルトやカミュが術を使うのと似た雰囲気……まだ、何かがきますわね)

 フェイトから距離を取り、来るべき何かに備えるカルラ。
 その間も、フェイトは呪文の詠唱を止めなかった。

「サンダー……フォール!」

 瞬間。
 フェイトとカルラの周りに取り囲むかのような雷の帯が出現し、バチバチと火花を撃つ。
 傭兵としてのカンか、カルラはその雷で出来た円陣からこれまでにない危険信号を感知し、行動を移した。

 そして、天雷は降り注いだ。


 ◇ ◇ ◇

62:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:55:39 3WZf49N1
「…………やった?」

 砂埃舞う森林地帯。焼け焦げた草の大地に立っていたのは、フェイトただ一人だけだった。
 獣耳の怖い女の人はいない。影も気配も見当たらない。
 クロノのデバイスを通して放った魔法、死ぬことはないはずだが。

「……!」

 消えたカルラを捜すフェイトの視線の先、その場に倒れた一本の木を発見して、顔色が変わった。
 長さはそれほどでもなく、太さは人間の女性といった細い倒木。
 サンダーフォールの範囲雷撃に耐え切れなかったのだろう。根元からポッキリと折れ、大地に力なく横たわっていた。

 所々に、紅い血を付着させて。

「――――ぁ」

 嫌な予感を感じた。
 最悪の結果が頭を過ぎる。
 カルラは何処に消えたのか。
 倒木に付着した血は誰のものなのか。
 分からない。違う。考えたくない。
 しかし、脳は無意識の内に思考を始める。

 ひょっとしたら、下敷きにしてしまったのではないか?

 ひょっとしたら、倒木の下にいるのではないか?

 血を流し、息絶えた状態の、彼女が。

 自分と戦っていたカルラが、

 死んでいるのでは、ないか?

63:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:56:09 3WZf49N1
「――――ッ」

 言葉が、出なくなった。
 非殺傷設定があるから、クロノのS2Uがあるから、相手が死ぬことはない。そう思って攻撃魔法を放った。
 しかし、そのせいで木が倒れた。その先に彼女がいて、下敷きにされてしまったのだとしたら。
 ―死ぬ。間接的だが、自分が殺した。

「…………わたし、が?」

 殺すつもりなんてなかった。殺戮に走ってしまった友人を止めるため、ちょっと退いてもらおうと思っただけなのに。
 事故、じゃ済まされない。元はといえば、フェイトの放った魔法が原因だ。
 たとえその気がなくても。あの人は、


    フ ェ イ ト チ ャ ン モ 、 コ ロ シ チ ャ ッ タ ン ダ ネ 


 なのはの声が、聞こえてきたような気がした。
 どうしようもない絶望の中で、フェイトは膝を折り、落胆し、項垂れて、

「………………………………」

 泣きたくなった。

「―ぁっ、イタタ……まったく、驚かされましたわ」
「…………!」

64:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:56:23 3WZf49N1
 涙が溢れ出す―その間際、フェイトの涙腺を閉めるきっかけとなったのは、ひょうひょうとした女性の声だった。
 倒木が持ち上がり、その下から獣耳の女が姿を現す。
 頭部から血を垂れ流し、痛みに苦しむ顔をしているにも関わらず、手では軽々と倒木を持ち上げている。
 若い女性が血を垂らしながら木を持ち上げる。その光景にも驚かされたが、それよりも何より、

「…………生き、てた」

 ―殺して、なかった。
 その現実に、フェイトはいたく喜んだ。

「『生きてた』、と。そう言いましたわね、今。自分であんなことをしておきながら、そんな口を叩きますの?
 ……これはさすがのわたくしでも、ちょっと怒りましたわね。
 子供にはお仕置きで済ませようとも思いましたけれど……そういうわけにはいかなくなりましたわ」

 起き上がったカルラの表情から、微笑が消えた。
 そして次の瞬間、ブンッ! という大音量の風を切る音が。

 ―ドズンッ

 カルラを殺していなかったという喜びから一転、眼前に振り下ろされた倒木を見て、フェイトは表情を失った。
 ほとんど顔スレスレで下ろされた倒木は、カルラが一歩前に脚を踏み込んでいたら、フェイトの頭をグチャグチャに粉砕していたであろう体積。
 それを棍棒のように扱うカルラの怪力もそうだったが、

「子供を甚振るのは趣味ではありませんけれど……!」

 傭兵が全力で敵を殺しにかかる際の、本気の正気の剣気を超えた殺気。
 それを剥き出しにしたカルラの迫力に、フェイトは恐怖した。

65:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:56:46 3WZf49N1
「う、うぅ……」

 実力……いや、違う。『覚悟』が違いすぎた。

 身も心も、全て捧げた主ハクオロのため。楽しく過ごした仲間たちと、一緒に帰るため。また、平穏を取り戻すため。
 カルラは戦うのだ。死ねないのだ。降りかかる火の粉は何度も振り払い、押しのけてでも進まなくてはいけないのだ。

 片やフェイトは、親友を取り戻すため……本当に、そうだったろうか。
 あれは本当に真実だったのか。なのはが、あんなことをするというのか。
 今では、全てがまやかしであったようにも思える。それに、振り回されていただけのようにも思える。
 だとしたら―フェイトはとんだピエロだ。真面目にショーを見に来てくれたお客に、悪戯をするような悪いピエロ。
 必死に生きようとするカルラを殺害一歩手前まで追い込み、自分勝手な妄想で全てを台無しにしようとしてしまった。
 こんな茶番には、もう付き合いたくない。心底そう思った。

『……Prease Master』

 声が、聞こえた。
 破壊的なカルラのものでも、猟奇的ななのはのものでもない。
 もっと穏やかで、冷静で、お母さんみたいな声。

『It believes』

(……S2U…………)

『Friendship with the friend』

 平坦な声で、単調に言葉を紡ぐS2Uの声帯が、義母であるリンディの励ましにも思えた。

 ――なまえを、よんで――

66:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:57:01 3WZf49N1
「なのは…………」

 呟く。小さくもしっかりと、会ってもう一度呼びたい、その名を。

「なのは、なのは……なのは」

「……その『ナノハ』というのは、あなたの恋人か何かかしら? それとも家族?」

 フェイトの呟きを聞き漏らさず、興味を持ったカルラが尋ねてみる。
 フェイトは、カルラのその問いを拒絶することなく、立ち上がって正面から返答する。


「友達だ」


 ハッキリと、言い切る。
 S2Uは言った。友達を信じろと。きっと、バルディッシュやレイジングハートでも同じことを言ってくれる。
 なのははフェイトを救ってくれた、掛け替えのない友人だった。そのなのはを、友達であるフェイトが信じないで、どうするんだ。

「私は、なのはに会う。友達に、会いに行くんだ」
「……そう。それが、あなたを『突き動かしていた力』だったのですわね。それが分かれば、十分……」

 フェイトがS2Uを構え、カルラが先程の倒木を拾い直す。

 それぞれの武器を片手に、譲れない思いを胸に。

 再び、衝突を。

「ブレイズキャノン」『Blaze cannon』

 杖の先端をカルラへ向け、魔力を集中させる。

「……参りますわ!」

 倒木を槍のように突き構え、フェイトへ向けて突進する。

67:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:57:23 3WZf49N1
「ブレイズキャノン」『Blaze cannon』

 杖の先端をカルラへ向け、魔力を集中させる。

「……参りますわ!」

 倒木を槍のように突き構え、フェイトへ向けて突進する。

「……ファイア!」『Fire!』

 S2Uの先端から、閃光の帯が放出される。
 カルラは倒木を前に突き出し、襲い掛かってくる砲撃を正面から突破しようと直進する。

「わたしは……!」

 意地と意地とのぶつかり合い。思いと想いとのぶつかり合い。
 より強い方が勝つ。そんな気がして。

「なのはに、会うんだァァァァァァッ――!!!」

 フェイトは、友達の名前を精一杯叫んだ。

 衝突は、轟音と閃光を放って、終焉を迎える。


 ◇ ◇ ◇

68:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:57:41 3WZf49N1
「ブレイズキャノン」『Blaze cannon』

 杖の先端をカルラへ向け、魔力を集中させる。

「……参りますわ!」

 倒木を槍のように突き構え、フェイトへ向けて突進する。

「……ファイア!」『Fire!』

 S2Uの先端から、閃光の帯が放出される。
 カルラは倒木を前に突き出し、襲い掛かってくる砲撃を正面から突破しようと直進する。

「わたしは……!」

 意地と意地とのぶつかり合い。思いと想いとのぶつかり合い。
 より強い方が勝つ。そんな気がして。

「なのはに、会うんだァァァァァァッ――!!!」

 フェイトは、友達の名前を精一杯叫んだ。

 衝突は、轟音と閃光を放って、終焉を迎える。


 ◇ ◇ ◇

69:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:57:57 3WZf49N1
 そこには、極めて明確な勝敗結果が示されていた。
 先程まで構えていた杖はカード形態に戻し、立ったままの状態で、横たわる女性を見つめる少女が一人。
 地面に仰向けになりながら、開けてきた朝空と少女の顔を見つめる女性が一人。

「…………負けて、しまいましたわ」

 どこか陽気に聞こえるのは、彼女の楽天的な性格故のことだろうか。
 大した悔しさも見せず、カルラが終わりを告げた大地に倒れていた。

「ウルトやカミュの術も凄かったけれど、あなたの術の規模も相当なものでしたわよ」
「…………ありがとうございます」

 笑顔で相手を称賛するカルラとは反対に、勝者であるはずのフェイトは、居た堪れない気持ちでいっぱいだった。
 元はといえば、勘違いから始まった戦い。フェイトがもっと冷静であれば、回避できたはずの戦いだった。
 なのに、双方とも引き下がることが出来ず……結果的に、カルラをここまで傷つけてしまう結果になってしまった。
 落ち度を感じてしまうのは、しょうがないことであった。

「……ごめんなさい」
「あら、あなたが謝ることはありませんわ。これは、戦なんかよりももっと不条理で救えない、殺し合い。血も涙もなくて当然ですわ。ささ、遠慮なさらずこの首を持っていきなさい」
「! ……しませんっ、そんなこと」
「クスクスッ、分かっていましてよ。あなた、優しそうな瞳をしていますもの。見ていると吸い込まれそうな、そんな素敵な瞳……」

 カルラとフェイトは互いの視線を交差させつつ、その魅力に引き込まれ合っていた。
 さっきまで戦いを繰り広げ、互いにいがみ合ったていたはずなのに。今では、全てが分かり合えた気がする。

70:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:58:14 3WZf49N1
「よろしければ……名前を教えていただけるかしら」
「……フェイト。あなたは?」
「カルラ、ですわ。別に覚えていてもなんの得もない、つまらない名前でしてよ」

 カルラのふざけたような物言いが、妙に心地よい。
 殺し合いという不安な境遇に置かれた中で、少しだけ元の世界の暖かさを取り戻せたような、そんな気がした。


 背後に死神が迫ってきていたことに気づけなかった。
 それは、一瞬でも殺し合いの世界から脱線してしまった意識のせいなのかもしれいない。


 ―バッ、と即座に飛び起きたカルラは、全身で覆い隠すかのように、フェイトの身体を抱きしめる。

「か、カルラさん!?」

 いきなり何をするのか、フェイトは赤面しつつも混乱を覚え、カルラの腕の中でされるがままに抱きしめられていた。
 その時の視界に映ったものは、ただ一つ。

 穏やかな笑顔から一転して、

 ドンッ、ドンッ、ドンッ、

 一頻りの銃声の後、笑顔から苦悶の形相へと表情を作り直す、カルラの姿だった。


 その後のことは、よく分からない。
 カルラはフェイトを抱きかかえたまま走り出し、森の中へと疾走を開始する。
 あの銃声はなんだったのか、カルラはどうしてこんなにも強く、フェイトを抱きしめるのか。
 その時はまだ、何も分からないでいた―


 ◇ ◇ ◇

71:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:58:31 3WZf49N1
 人気の薄くなった森の奥まで連れて来られ、フェイトはやっと、状況を理解した。

「あ、あ、あ……」

 差し伸ばした手―カルラの背中辺りから、ヌメッとした感触を感じる。
 そして、暖かさも。
 確認するまでもなかった。自分の手にカルラの血が付着したことも、カルラの背中にどうしてこんな液体が付着しているのかも。

「カルラさん……あの時、誰かに撃たれて……」
「……あらあら、そんな泣きそうな顔をしちゃって、せっかくの可愛らしい顔が台無しですわよ」

 不思議だ。どうしてこの女性は、こんなにまで完璧な笑顔を作れるのか。

「ほら、笑ってくださいまし。あなたにはやらなくてはいけないこと、会わなくてはいけない友達がいるのでしょう?」
「でも、でも……」

 拒絶するようなフェイトの声にも押し負けず、カルラはあくまでも、地の笑顔を通して語りかける。

「もう一度、聞きますわよ。フェイト、あなたには会わなくてはいけない友達がいるのでしょう?
 その子の名前を呼んであげなさい。わたくしに聞かせてみせなさい。あなたには、悲しむ必要性なんてないのですから」

 カルラが見せてくれた極上の笑顔は、どこか痛々しくて。見ているだけで、涙がとめどなく溢れてきて。

72:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:58:46 3WZf49N1
「わたしは……なのはに……」

 もう一度、確かめるかのようにその名を呼ぶ。
 もう二度と、この気持ちを失わないように。
 もう二度と、目的を見失わないように。

「なのはに、会いたいぃぃ……………………………………」

 目から大粒の涙をたくさん流し、フェイトは、号泣しながらカルラにそう言った。

「……その言葉さえ聞ければ、わたくしはもう満足ですわ。そうだ、あなたが無事に友達と再会できるよう、おまじないをかけてあげましょう。
 目を瞑って、泣くのをやめて、気を休めて……」

 フェイトは、カルラに言われたとおりに行動し、そこで背中に違和感を感じた。
 トンッ、という首筋を打つような音がした直後、フェイトの身体はぐったり崩れ落ち、そこで意識を失う。
 泣き疲れて眠ってしまったような―そんな表情を見せる幼子に、カルラはよしよしと頭を撫で、静かに布を被せて上げた。


 ◇ ◇ ◇

73:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:59:06 3WZf49N1
 何が「おっぺけぺ~のぺ~」だ。
 正直、あんな状態になってしまった時はどうなるんだろうかと心配したものだったが、意外と早めに効果が切れたようで助かった。
 バカになっている最中に誰とも遭遇しなかったことは、運が良かったとしかいいようがない。
 あの尻尾の子には報復が必要ね……フフフ……いえ、それにお礼も必要かしら。
 なにせ、現在のこの状況を招く、きっかけを与えれてくれたんですもの。

「……つくづく、子供運がないですわね、わたくしも。まさか、襲撃者があなたのような可愛らしい娘だなんて」
「フフフ……あれだけ大きな戦闘音をたてれば、誰だって気になって調べてみようとするものよ。すぐにその場を立ち去らなかったのは、失敗だったわね」

 バカから平静に戻った私―古手梨花は、あの尻尾の少女を捜して森を彷徨っていた。
 その最中に見つけたのが、殺し合う二人の女たち。
 尻尾の少女と同族のようにも思える大人の女に、どういう仕組みかは知らないけれど杖から電気を発していた少女。
 私は二人の死闘を終始観戦しながら、機会を窺っていたのだ。―漁夫の利を得る、絶好の機会をね。

「みー。もう一人の女の子はどうしたのですか? あの子も殺してあげないと、ねこさんはガクガクブルブルが治まらないのですよ」
「ああ……あの子なら、とっくの当に逃げてしまいましたわ。せっかく助けてあげたというのに、薄情な子。きっと、あなたの顔も見ていないんじゃないかしら」
「それはそれは、ご愁傷さまなのです。かわいそうだから、もうこれ以上苦しまないように、楽に殺してあげるのですよ。にぱー☆」

74:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:59:19 3WZf49N1
 私は満面の笑みを見せながら、銃を内蔵した傘を突きつける。
 女は既に死を受け入れたのか、木に凭れ掛かったまま静かに目を瞑った。

「何か言い残すことはあるですか? 今が最後のビッグチャンスなのですよ」
「遺言……ですか。そんなもの特にはありませんけれど、残念といえば残念ですわね……」
「みぃ? ここで死んでしまうことがですか?」
「後悔……というほどのものでもありませんけれど。叶うなら、もう少し居たかったですわね……あの居心地のいい食卓に……」
「食卓? ごはんが食べたいのですか? 心配しないでも、天国へいけばお腹まんぷくで、ペコペコフラフラになることもないのですよ」
「それもそうですわね。もっとも、天国なんてところに行けるかどうかは、イマイチ自信がないですけれど」
「大丈夫なのですよ。もし地獄に落ちても、ボクには全く関係のないことだから、安心して逝ってくるといいのです」
「……あなた、歳の割に意外と毒舌ですのね」
「? 何を言っているのかボクにはよくわからないのですよ」
「あらあら、それは困りましたわ」
「あはははは~」
「ふふふふふっ」

「じゃあ、死になさい」


 ◇ ◇ ◇

75:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:59:38 3WZf49N1
  『それは俺の芋だァーーーー!』      『バカっ、テメー一人で食いすぎなんだよ!』

        『クロウ、あなたもいい加減にしておきなさい』

            『若様、おかわりはどうですか?』      『あらあらウフフ』

     『おいしいねーユズっち』          『はい……』

        『うぅ……聖上ぉ……某は、某はぁ……』   『ちょ、トウカさんそれお水じゃなくてお酒じゃないですか!』

 『やれやれ……』              『おとーさん、たいへん』



 あの、騒がしくも楽しかった団欒の日々。
 悲しみを招くような戦乱もあったけれど、あの楽しい日々があったから、今まで頑張ってこれた。
 もうあそこに戻れないんだと思うと、心が悲しくなってくる。

(もう少しだけ、あの場にいたかった)

(みなさんと一緒に、もう少しだけ)

(ごめんなさい……あるじ様。わたくし、どうやらここで退場みたいですわ)


 ◇ ◇ ◇

76:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 03:59:55 3WZf49N1
 後に残ったのは、怪しく笑う青髪の少女が一人。
 木に凭れ掛かったまま、体中を銃弾で貫かれた死体が一つ。

「まずは一人……そろそろ夜も明けるだろうけど、まぁまぁの滑り出しといったところかしら。
 役に立ちそうな支給品も手に入ったことだし、早めにこの場から立ち去ったほうがいいわね」

 カルラを銃殺した古手梨花は、彼女の四次元デイパックを回収し、その場を離れる準備を進めていた。
 震源地から少し離れているとはいえ、あの戦闘音を聞きつけた参加者がまだ湧いてこないとも限らない。
 それらと接触するというのも手だが、近くに死体がある以上、無駄な誤解をされる危険性もある。

「尻尾の少女に金髪の少女も……今のところは保留ね。幸いにも私の正体はバレていないようだし、放っておいても大丈夫でしょう」

 古手梨花は子供らしからぬ妖艶な笑みを浮かべ、その場を去って行く。

「こわいこわい。あんなところで人が死んでるなんて、ねこさんはますますガクガクブルブルのニャーニャーなのですよ」

 異常としか取れないような、無邪気な発言を残して。


 ◇ ◇ ◇

77:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 04:00:15 3WZf49N1
 風が吹く。
 その風は、少女を覆っていた布をバタバタとはためかせ、空へと舞い上げる。
 むき出しにされた少女は目元に涙を溜め、すぐ傍で起こっていた惨劇に気づけぬまま、朝を迎える。
 カルラが死亡前、フェイトに被せた布―『透明マント』が、梨花の目からフェイトを救ったのだ。
 だが、死は免れても、悲しみから逃れることは出来ない。

 フェイトは目を覚ましたあとも、きっと泣きじゃくることになるのだろう。

 分かり合えた、戦友になれると思えた女性の、死を受け止めて。



【D-7 森林・1日目 早朝】
【古手梨花@ひぐらしのなく頃に】
[状態]:健康
[装備]:スタンガン@ひぐらしのなく頃に
[道具]:荷物一式×3、ロベルタの傘@BLACK LAGOON、ハルコンネン(爆裂鉄鋼焼夷弾:残弾5発、劣化ウラン弾、残弾6発)@HELLSING、
    :カルラの不明支給品ひとつ(カルラが扱える武具ではない)
[思考・状況]
1:南西の町方向へ移動。
2:ステルスマーダーとしてゲームに乗る。チャンスさえあれば積極的に殺害。
基本:自分を保護してくれそうな人物(ひぐらしキャラ優先)、パーティーを探す
最終:ゲームに優勝し、願いを叶える

78:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 04:00:31 3WZf49N1
【フェイト・T・ハラオウン@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:気絶、疲労大、全身に軽傷、背中に打撲
[装備]:S2U(元のカード形態)@魔法少女リリカルなのは
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム残数不明
[思考・状況]1:なのはに会う。それ以外の思考は停止中。
[備考]:タヌ機による混乱は治まった様子。


【カルラ@うたわれるもの 死亡】
[残り71人]

 ※午前四時ごろ、D-7の森林地帯にて、大規模な戦闘音と閃光が発生しました。
 ※カルラの支給品『透明マント@ドラえもん』は、風に飛ばされD-7の何処かに放置されています。
  ですが、布の生地自体が透明なため、著しく見つけにくくなっています。
  透明マントは子供一人がすっぽりと収まるサイズ。複数の人間や、大人の男性では全身を覆うことできません。
  また、かなり破れやすいです。

79:「友達だ」 ◆2LEFd5iAoc
07/09/25 04:01:04 3WZf49N1
終了

80: ◆Yf4GQL3Gk6
07/09/25 04:03:10 cGCfh01Z
「ウ、ウヌゥ……」
会場の一角に停泊する、殺し合いの場には不釣合いなほど豪華に飾り立てられた豪華客船の、医務室のベッドのシーツの上。
「こ……、ここはどこなのだ!き、清麿はどうなったのだ?」

そこから、金髪の、小柄な姿が、飛び起きた。

正直な所、ガッシュはまだ現状を良く理解してはいない。突然、謎の場所に呼び出され、突然、殺し合いをしろと言われ、
そして――突然、自らの最も信頼するパートナー、高嶺清麿と引き離された。
わかっているのは、そのくらいのものだ。自らを呼び出し、「螺旋王」と名乗った者の正体はおろか、その「螺旋王」に
挑みかかって返り討ちにあった異形も、今自らのいる場所も、高嶺清麿がいる場所も、

「ど、どうなったのだ?どうなっているのだ……?」

何も、わからない。

ガッシュは、焦った。ここに飛ばされる前の記憶によれば、ここは「殺し合い」の場であるらしい。
ガッシュも、戦いを知らないと言うわけではない。これでも、魔界の王候補の一人。高嶺清麿と共に、多くの敵と戦い、多くの仲間と
助け合って、多くの危機を乗り越えてきているのである。

しかし、今までは、仲間がいた。ティオも、キャンチョメもいた。何よりも……、清麿がいた。


「はっ!き、清麿が危ないのだ!」

突然、ハッとしたように立ち上がるガッシュ。螺旋王から、この殺し合いゲームの説明を受けた時まで、清麿が側にいた事を思い
出したのである。
彼のパートナー、清麿は普通の中学生である。いや、頭脳は普通どころか、超が付くほどの大天才であるが、肉体的な能力は
所詮、普通の中学生である。

今までは、二人で力をあわせて困難に立ち向かい、幾多の危機を乗り越えてきたが……それも、清麿の心の力と、ガッシュの術、
その両方があってこそのものである。
今、二人が離れ離れになったこの危機的状況で、もしも凶悪な敵に襲われたら……。


清麿も、ガッシュも、生きてはいられないだろう。




「こうしてはおれぬ、いかなくてはッ……!?」

清麿を死なせたくない――清麿を探して、必ず助ける。
強い決意を胸に秘め、全速力で走り出すガッシュ。そしてその直後、支給品のディパックに足を取られて、スッ転ぶガッシュ。

「いたたた、そういえば、これを忘れておった……」

これは、たしか螺旋王から渡された、いろんなアイテムの詰まったタカラ箱。よくよく考え直せば、清麿に出会う前に別の悪い
敵に見つかってしまう可能性もある。そうならない為には、このディパックから、何か身を守れる物を出す必要がある。

「この中に……、何か良いものが入っておればよいが……」

祈る様な気持ちで、ディパックの中身を漁るガッシュ。始めに手に触れたものは、フカフカしてやわらかくて、暖かい……

「ネズミ、か?」

……クリクリした丸い目を持って、尻尾の先にフサフサの毛玉を持つネズミのような生き物。とある世界では、「爆弾生物」
との異名を取り、金に目が眩んだ運び屋を何人も爆殺した、歩くA級危険物ポルヴォーラ。それが、ガッシュの前に現れた。
見れば、足に足輪と重りを括り付けられている。これで勝手に歩いて勝手に爆発という事態を防ごうとしているのだろう。

「オヌシも、どこかからこの変な場所に飛ばされたのか?」

81: ◆Yf4GQL3Gk6
07/09/25 04:05:15 cGCfh01Z
しかし、ガッシュは、ポルヴォーラを知らない。だから、この毛だるま生物が、「武器」として支給されたなど、思いも寄らない。
精々、自分と同じように世界のどこかから螺旋王と名乗る男に連れてこられた生き物、としか思ってはいなかった。
人間界ならいざ知らず、この程度の異形なら、彼の故郷の魔界には掃いて捨てるほどいる。

「……」
「……」
「……………………」

だから、この魔物も話が分かる、と思い、話しかけたガッシュであったが……、帰ってきたのは長い沈黙だけ。

「オヌシ、もしかして喋れないのか?」
「……………………」
「……スマヌ、聞いた私が間違っておった」

何を言っても暖簾に腕押し、首をかしげるだけのポルヴォーラは、身を守るのに役に立たないと判断し、デイパック漁りを
再開するガッシュ。やがて、一つの紙包みを取り出し、開けた……までは良かったのだが。
中から出てきたのは、武器でもなければ防具でもない。チョコである。ネオホンコンのとあるお偉いさんが愛したチョコを、
ありったけ集めて袋詰めにしたお菓子セット。平時ならこれを見た子供は大喜びするものであるが、あいにくとガッシュの
身を守るためには、全くもって役に立ちそうもない。

「……、こんなものではどうにもならぬのだ……ハァ……」

ガックリとうなだれるガッシュ。半ば諦めかけた表情でデイパックをひっくり返し、振った。

                               ゴ  ト  ッ

すると、一冊の赤い本が、医務室の冷たい床の上に転がり出てきた。魔物の術を使うための本、赤い魔本。ガッシュの本。
ガッシュは、それを見るなり、今にも万歳をしそうな勢いで喜んだが、やがて元のようにうなだれてしまう。

「本があっても、清麿がいないと意味が無いのだ……」

医務室の床に座り込み、しばしの間いじやけるガッシュ。傍らではポルヴォーラが、支給品から引っ張り出した板チョコを
勝手に齧っており、その咀嚼音だけが医務室に響き渡る。

                                ガタゴトッ!

「ウ、ウヌッ!い、今の物音は一体何なのだ?」

静寂を打ち破り、突如別の部屋から、聞こえてくる物音。なにやら硬いもの同士がぶつかる音や、刃物がガチャ付く様な、
耳障りな音が次から次へと漏れ出してくる。
ガッシュは、ポルヴォーラと板チョコ以外の支給品をあわててデイパックの中へとしまいこみ、そろりそろりとドアへと忍び
寄り、耳を鍵穴に押し付け、全神経を集中させて隣の部屋の様子を探った。

「……切る?……〆る!?おおおおお、恐ろしい話が聞こえるのだ……!」

その結果は、最悪。少し音源が遠すぎるため、正確な話は聞き取れないが、切るだの〆るだのと、会話の所々に物騒
極まりない単語が混じっているようだ。
ガッシュは、医務室で震え上がり、あちこち見回して別の出入り口が無いかどうか探すが、あいにく、医務室の出入り口は
一つしかないようだ。それはつまり、ここから逃げ出そうと思えば、必然的に声の聞こえるほうに近づくこととなり……

おそらく、戦っているか殺しの相談でもしているだろう連中の前へと無防備に姿を現さなければならない、という事になる。

82:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 04:06:14 N5clpOmA
あれ?投下宣言あったっけ?

83:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 04:06:25 cGCfh01Z
「逃げられぬ……となれば、あやつらが居なくなるまで、ここで待つしかないのか……?」

冷汗まみれの顔でそう呟くガッシュ。しかし、ここで待っていても、助かるとは限らない上、隠れて時間を無駄にすれば
無駄にするほど清麿が危険な目に会う確率が高くなり、無事に出会える確立は下がっていく。
で、あるから、奇襲をしよう。と、ガッシュは考えた。
一気に突っ込んで、驚かせるか何かして隙を作った後、息が続く限り全速で逃走する。それが、ガッシュの考えうる限り、
最良の方法。

「今行くぞ、清麿ッ!」

デイパックを背に背負い、頭にポルヴォーラを乗せて、いざ発進。覚悟を決めて飛び出し、人影が見えたら声を上げる。
首絞めティオもかくやと言わんばかりの形相で、両手を大きく振って全速前進するガッシュ。医務室から少し進み、船の
大広間に出ると、そこには人影が一つ。ガッシュに気が付いた様子で、両腕を構え、迎撃の態勢をとる。

そして、ガッシュと人影が今にもぶつかろうとする瞬間……

「ちょーっと待った待った待ったァァー!爆発するーゥゥ!」

人影と共に大広間に居た一羽のカラスが、大きな叫び声をあげ、大広間は凍りついた。



「……つまり、あたしたちの話し声にびっくりして出てきた、ってワケね。」

騒ぎが一段落し、互いの情報交換を終えた後の大広間。青い髪の少女がガッシュに話しかける。

「そうなのだ。切るとか、〆るとか聞こえてきて驚いたのだ。まさか、こんなことをしているとは、思いもしなかったのだ」

そういって、傍らのテーブルを見つめるガッシュ。そこに用意されていたのは、豪華に飾り付けされたテーブルクロスと、
大きな皿。奇妙な形の反りが入った大きなナイフに、ブリ。まごうこと無きブリ。青の背に、銀の腹を持ち、体の中央には
金のラインが入った息のいいブリが、飾られたテーブルの皿の上で、ビチンビチンと音を立てて跳ねている。

「ま、このお嬢さんとのお近づきのしるしに、ケーキカットならぬブリカットとしゃれ込もうと思ったってワケさ。ちょうど
 都合よく、俺のディパックから出てきたもんでね。あ、あとカット用のナイフもね。俺も、探し人はいるんだけど、そいつ
 なかなかにしぶとくてね、そー簡単にくたばりゃしないだろうから、今はアレンビーちゃんと親睦を深めるのが先決だと
 思ってさ。彼女の話によれば、彼女の探し人も相当タフだっていうし。それに、このブリも早いところ喰ってしまわない
 と痛んじまう……etc」

黒いカラスが、青い少女につつつーっと近づいていく。羽ばたきもしないのに宙に浮いているように見えるのは、目の
錯覚なのだろうか。水の入ったワイングラスを傾けながら、アレンビーに向けて話しかけ続けている。

「とりあえず、お互い怪我もしなかったみたいだし、それはよしとしてさ。あんたの話してくれた清麿、だっけ?そのコ、
 武芸の心得も無いんでしょ。じゃあ、急いで助けに行ったほうがいいんじゃないの?」
「そ、そうなのだ!急いで欲しいのだ!急がないと清麿が危ないのだ!」

カラスの話をスルーして、ガッシュに語りかけるアレンビー。ガッシュはハッと顔を上げ、力説する。

「それじゃあ急いだほうがよさそうね!荷物を纏めて探しに出ましょ!」

青髪の少女アレンビーは、そう言うなり各自の荷物をチャッチャと纏め始める。

「ガッシュは、私の背に乗って。ポルヴォーラってのは、頭の上でいいよね。ブリは……尻尾掴んで持っていけばいいか、
 いざとなったらリボンの代わりとまでは行かなくても、鈍器くらいにはなるだろうし」

あっという間に荷物は片付き、出発の準備が整った。ガッシュを背に乗せ、ポルヴォーラを頭に載せて、ブリを右手に、
火の灯ったカンテラを左手に付かんだアレンビーは、そのまま走り出すと、豪華客船の最上甲板へ、あっという間に
たどり着いき、そこからそのまま陸地目掛けて飛び降りた。

84:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 04:07:25 GvHQaTFw
 

85: ◆Yf4GQL3Gk6
07/09/25 04:08:31 cGCfh01Z
「おーい!あんたどうしてこっちこないんだよー?」

初対面時はあれほど引っ付いてきたのに、ガッシュとの合流直後から常に一定の距離を保ち、一向に近づいて来ようと
しないカラスに、高く飛び上がったままアレンビーは問いかけたが、

「アレンビー!オレはいつでも遠くからお前のことを見守っているよぉーん!」

カアスから返ってきた返事は、これだけ。


「可愛いけど……バカな女」

これが、現時点におけるキールの認識するアレンビー像であった。



【E-3/豪華客船最上甲板上空5m/1日目/深夜】

【機動武闘伝Gガンダム@アレンビー・ビアズリー】
[状態]:健康
[装備]:背中にガッシュ、頭にポルヴォーラ、右手にブリ、左手にランタン
[道具]:支給品一式、ブリ@金色のガッシュベル!!(鮮度:生きてる)
     爆弾生物ポルヴォーラ@王ドロボウJING
     不明支給品1~3(本人確認済み、少なくともブリよりリーチの長い近接武器は入っていない)
[思考]
基本思考:螺旋王にドモンとダブルゴッドフィンガー!
1:高嶺清麿を最優先で捜索!
2:ドモン及びジンを捜索!
3:悪いヤツにはビームブリをブチかます!
4:強い人が居たら、ファイトしてみたいと心の片隅では思ってたり……

[備考]
※いきなりキールに口説かれてから今までノンストップなので、名簿の確認はまだ。
※シュバルツと東方不敗は死人と認識。
※キール、ガッシュと情報交換済み


【キール@王ドロボウJING】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:支給品一式、ジンの仕込みナイフ@王ドロボウJING
[思考]
基本思考:とりあえず、さっさと会場から逃げ出す
1:仕方ないので高嶺清麿を探してやる
2:アレンビーと二人でウエディングブリに入刀したい
3:ジンも探さしてやるか
4:ポルヴォーラには近寄りたくないけど、アレンビーが襲われれば駆けつける
5:他にも女性が居たら口説くつもり、野郎には興味なし

[備考]
※いきなりアレンビーを口説いてから今までノンストップなので、名簿の確認はまだ。
※アレンビー、ガッシュと情報交換済み

86:名無しさん@お腹いっぱい。
07/09/25 04:09:06 0cQldrsZ


87:Lie!Lie!Lie! ◆hT7zRmFpyY
07/09/25 04:10:18 kAm7og1W
『警告します。禁止区域に抵触しています。
あと30秒以内に爆破します』

無機質な声が響き渡る、それと平行して放送の声が聞こえる。

「圭一君!」
「レナ、逃げるぞ!」
『―えられた!、 これもひと・・・』

そういうが早く、俺はレナの手を掴み、正反対の方向に向かって一気に走り出す。
その首輪を見ると、首輪のランプが赤緑に点滅している。
放送は今なお続くが、そんな話に耳を傾けている暇は無い。

チクショウ、警告だけしてそのまま爆殺ってか!ありえない、ありえないんだ絶対にッ!
あの屑野郎がこんなことで自分の楽しみを放棄したりはしない、だから絶対に助かるッ!
信じろ、信じるんだ圭一!自分を信じろッ!

『―7時より A-4・・・』

程なくして自分の首の点滅が消え、俺はその場にへたり込む。
助かった・・・。いや、今はそれ所じゃない!一番重要な点を聞き逃しちゃ絶対にマズイッ!

隣のレナをチラッと見る。レナは俺に引き吊られる形で一緒に地面に座り込むことになっていた。
レナの首輪だけが光ったりといったようなおかしいことにはなってはいなかった。
いや、今はまず放送に耳を傾けるべき・・・・・・

88:Lie!Lie!Lie! ◆hT7zRmFpyY
07/09/25 04:10:42 kAm7og1W
『・・・ワハハハ―』

その不快な声とともに、あの仮面の男の立体映像は消え去った。
よかった、みんな無事だ。そうさそうだ、そうだよな。
俺たち部活メンバーが、こんなことで脱落するわけが無い!
あの策士である魅音の奴はこんなことではうろたえる訳がねえ。
沙都子は自慢のトラップワークで飄々と生き延び、梨花ちゃんはにぱー☆と笑いながら他の誰かをファンクラブにしている。
そんな光景が、不謹慎ではあるが浮かんだ。ふいにレナから声がかかる。

「圭一君、みんな・・・みんな無事だったね。」
「ああそうさ、俺たち部活メンバーはこんなことでやられたりはしないからな。」

俺はレナの手を引いて立ち上がり、ズボンについた土を払う。
レナが不意に口を漏らす。

「でも、19人も死んでいる・・・。」
「四分の一か・・・くそっ・・・。」

まだ俺たちはこの殺し合いに巻き込まれてから誰にもあっていない。
だから19人の人間が死んだかと言われて、俺はそれを実感として感じることが出来なかった。
最初の広間には様々な人間が居たことからも、実は俺たち二人以外に誰も居ない。それは無いだろう。
たまたま隣の人間が信頼の出来る仲間だったからこそ、放送を信じないという選択肢が与えられている。
そんな幸運、いや、奇跡に感謝しなくてはいけないのだ。

89:Lie!Lie!Lie! ◆hT7zRmFpyY
07/09/25 04:10:58 kAm7og1W
奇跡、そう、奇跡なんだ。俺たちは出会いも奇跡なら、経過も奇跡だった。
奇跡は間違いなく起きている。それは証明されたんだ。

「なあ、レナ」
「何?圭一君」
「やっぱり、俺たちはツイてる。いや、奇跡はちゃんと起きてたんだ。」
「ただの小学生や中学生の集まりに過ぎないはずの私たち部活メンバーが・・・」
「誰一人欠けることなく残っている。だから俺たち部活メンバーは、絶対にこの悪魔の脚本を打ち破る。」
「圭一君・・・・・・」

レナが相槌を打つ形になる。俺はそのまま話を続ける。

「だから、仲間を探そう、みんなだけじゃない。この馬鹿げた殺し合いを止めさせたいと願う人はきっと居る。
 俺たち部活メンバー、そして他の誰かを信じあおう。仲間と一緒にこの惨劇を絶対に止めよう」
「うん、圭一君。レナも、レナも圭一君と一緒に頑張るから・・・」
「さあ、仲間を探そう。信頼しあえる、仲間を探しに行こう。」

レナの手を取り、俺は歩き出す。
ん・・・ちょっと待て圭一、何か忘れてないか・・・・・・
ああっ!放送をメモするのを忘れた!
俺は数歩歩き出した足を止め、レナの方向に情けない顔で向き直る。
レナが疑問符を浮かべたような表情で声をかけてくる。

90:Flying the Sky ◆Yf4GQL3Gk6
07/09/25 04:11:03 cGCfh01Z
【ガッシュ・ベル@金色のガッシュベル!!】
[状態]:健康、おでこに少々擦り傷
[装備]:赤い魔本@金色のガッシュベル!!
[道具]:支給品一式、ウォンのチョコ詰め合わせ@機動武闘伝Gガンダム
[思考]
基本思考:螺旋王を見つけ出してバオウ・ザケルガ!
1:なんとしてでも高嶺清麿と再開する
2:ジンとドモンを探す
3:ブリ喰いたい

[備考]
※色々あったので名簿の確認はまだ。
※魔本が清麿以外にも読める可能性は全く考えていない
※キール、アレンビーと情報交換済み

91:Lie!Lie!Lie! ◆hT7zRmFpyY
07/09/25 04:11:14 kAm7og1W
「圭一君、どうしたの?」
「すまんレナ、放送の内容をすっかり忘れてしまった。教えてくれないだろうか」

レナの表情が変わる。あの表情はまさか・・・

「放送を忘れちゃったうっかりやの圭一君かぁいいーーーー、おっ持ち帰りぃぃぃぃぃ」
「だあああああ、レナ待て!、今はそれ所じゃないだろうがああああ」

レナが緩みきった表情で思いっきりじゃれてくる。というか首が絞まってるって、ギブギブギブだから!


・・・レナに散々弄り倒されながらも、俺はなんとかレナを落ち着かせるという任務を成功させる。
抜け目の無いレナは俺がくだらない妄想をしている最中にきちんと放送をメモしてたらしい。
おかげで禁止エリアに突入して、またドカンの危機を受けることは無いのだ。
そう、俺の横には信頼できる仲間が居るし、これから向かう先には人が居て、信頼しあえる仲間になる。
そんな根拠の無い妄想なら、俺は信じることが出来た。奇跡の存在を確かめることが出来たからこそだ。



窓の外にあの変態仮面の顔が映る。とともに放送が始まった。
やかましい声が耳をつんさき、ようやく禁止エリア情報を伝えはじめる。
俺は取り出しておいた地図を取り出し、情報をメモする。
苛立ちすら覚えるその声とともに、死亡者の名をメモするべく名簿を取り出す。

92:Lie!Lie!Lie! ◆hT7zRmFpyY
07/09/25 04:11:41 kAm7og1W
「圭一君、どうしたの?」
「すまんレナ、放送の内容をすっかり忘れてしまった。教えてくれないだろうか」

レナの表情が変わる。あの表情はまさか・・・

「放送を忘れちゃったうっかりやの圭一君かぁいいーーーー、おっ持ち帰りぃぃぃぃぃ」
「だあああああ、レナ待て!、今はそれ所じゃないだろうがああああ」

レナが緩みきった表情で思いっきりじゃれてくる。というか首が絞まってるって、ギブギブギブだから!


・・・レナに散々弄り倒されながらも、俺はなんとかレナを落ち着かせるという任務を成功させる。
抜け目の無いレナは俺がくだらない妄想をしている最中にきちんと放送をメモしてたらしい。
おかげで禁止エリアに突入して、またドカンの危機を受けることは無いのだ。
そう、俺の横には信頼できる仲間が居るし、これから向かう先には人が居て、信頼しあえる仲間になる。
そんな根拠の無い妄想なら、俺は信じることが出来た。奇跡の存在を確かめることが出来たからこそだ。



窓の外にあの変態仮面の顔が映る。とともに放送が始まった。
やかましい声が耳をつんさき、ようやく禁止エリア情報を伝えはじめる。
俺は取り出しておいた地図を取り出し、情報をメモする。
苛立ちすら覚えるその声とともに、死亡者の名をメモするべく名簿を取り出す。

93:Lie!Lie!Lie! ◆hT7zRmFpyY
07/09/25 04:11:57 kAm7og1W
―俺は開いた口が塞がらなかった。タチの悪い冗談だろ?

タバコは咥えていないはずなのに、ポロっと落ちた気がした。

銭型のとっつあんに、五ェ衛門。あの殺しても死ななそうな二人が死んだって・・・・・・?
放送が嘘であることはあの変態仮面の性格からしてありえないだろう。
だが、ありえないはずの二人の死、これは一体どういうことだ・・・・・・。
不覚にもありえない二人の死から、そんな都合のいい考えをしてしまった自分が情けない。


涙は出ない、流さない、流せない。
それが次元大介という男だから、悲しむ暇なんて許されないのだ。

俺は帽子を深く被り直し、しばしの間黙祷を捧げる。
―とっつぁん、まさかあんたが死ぬとは思わなかったぜ。化けて出てきたりするなよ。
―五ェ衛門、毎度毎度女に騙されてたけど、また騙されて殺されたなんて言うなよ。
―悪いなおまえら、俺にはまだまだやることがあってな・・・・・・、後でゆっくり頼むぜ。

・・・それから少しして、隣の男に話しかける。


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