リリカルなのはのクロスSSその11at ANICHARA
リリカルなのはのクロスSSその11 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/09 23:28:05 QXbgrUEa


3:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/09 23:28:22 wUWr8O1y


4:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/09 23:28:49 Fgno9pbw
乙です。


5:リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2
07/08/10 00:05:15 awTbFqgz
>>1
スレ建て乙です。
前スレでのネタSSは即書きなネタなので、
時間かかります(ぇ

6:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 00:07:03 AghsT+JY
前スレのヤプールネタに便乗してみた

(破壊された都市の残骸)
「優しさを失わないでくれ」
(はやてを蹴り倒すヒルカワ)(なのはを殴りとばすヒルカワ)
「たとえその気持ちが、何百回裏切られようと」
(念動力を放つヤプール)(フェイトを罵り唾を吐き掛けるヒルカワ)
「それが私の…」
(眼ミサイルを連射するルナチクス)(アルカンシェルを発射するアースラ)

次回、A'sの願い

「星司さん…」「夕子…!?」

7:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 00:07:57 vj9LXSWY
ヒルカワ鬼畜すぎるぞ・・・

8:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 00:15:38 74K3ajnl
>5
それはどうかと。

特に、待つ身にとっては。
>6
むしろ、メトロンで『狙われた街』を。

9:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 00:45:41 HrBudb4O
Asのラストシーン
「「セーット、アーップ」」の後、転送事故。
「ここ何処ー?」「石碑にはアビスって書いてあるけど……」
なワイルドアームズ1stとのクロスとか。果たして三人娘はラギュ夫に勝てるのか?

10:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 01:51:10 WxUVapHV
ロストロギアの調査でキエサルヒマ大陸を訪れる三人娘。
彼女らが足を踏み入れたのは大陸有数の商業都市、トトカンタだった……

11:リリカルなのはBsts
07/08/10 01:58:49 diGBRuMD
>>1

乙です。

リリカルなのはBsts第6話が出来たので投下しますー

12:リリカルなのはBsts
07/08/10 02:05:08 diGBRuMD
スカ「私はジェイル・スカリエッティだ、みんな、明るい部屋で液晶画面をみるんだ、暗いところで見てると目に悪いぞ。ではリリカルなのはBstsの始まりだ。さてパチスロ行くか」


第6話「やな予感するぜ」


「検査結果はまだだろうか……」

検査が終わってからコンボイは医務室の隣にあった診断室でライノックスの報告を待っていた。

時間は30分程経つ。そんな中、コンボイはデストロン軍の事を考えていた。
ライノックスがいるおかげで、より自分の出した結論が間違っていないと感じてしまう。
間違っていないのなら、デストロンも私同様に、この時代に着いている可能性も高い。
そんな事を考えていると自動ドアが開かれる音が部屋に響く、入ってきたのは紙袋を抱えたギンガとライノックスであった。

「ライノックス、結果は…出たのか?」

「うん、リンカーコア。コンボイにもあったよ♪しかも大きい奴。ランクはAAA+」

ライノックスの言葉に安堵したコンボイは胸を撫で下ろす。
すると、今度はギンガがコンボイに更なる報告を告げる。

「父から言い渡されました。訓練先はライノックスさんと同じ第4陸士訓練校に決定。明後日には入学可能です、そしてこれが訓練校の資料です。 読んで解らない事があったら私に聞いて下さいコンボイさん。」

「ゲンヤが……ありがとうギンガ。」

彼女から資料を受け取り、コンボイはざっと眼を通していく。




13:リリカルなのはBsts
07/08/10 02:06:58 diGBRuMD
「コンボイ、あと他の皆の事を報告するよ。」

「サイバトロンの皆さんのですか?」

「うん、散らばった皆のね♪」

「わかった……教えてくれ、ライノックス」


コンボイは資料を机に置いてからライノックスに向き直る。

ライノックスは丁寧に今解っている情報をコンボイに説明していった。

「まず、チータスとラットルはコンボイと同じようにこの時代で見つかった。場所はこの時空管理局本局の隊舎。
タイガーファルコンは第59世界でさっき保護されて、今は中央区、首都クラナガンの八神はやて局員の家に住んでいるみたい。今だ行方不明なのは……ダイノボットとシルバーボルトだけなんだな。」

「そうか、ダイノボットとシルバーボルトは…まだ見つからないか。」

「コンボイさん……」

行方不明と言う言葉に少し声のトーンを落としてしまうコンボイの肩にギンガは心配そうに手を置く。

「あ、すまないギンガ。ここで気を落としている訳にもいかないな。バナナが食べたいよ」

「それは帰ってからです。……コンボイさんの気持ちも解りますから。」


そう言い、優しく微笑むギンガにコンボイは心から頭が下がる気持ちでいっぱいであった。そんなコンボイにライノックスも彼の肩に手を置いて告げる。



14:通常の名無しさんの3倍
07/08/10 02:15:17 suKGq4Mh
支援します!

15:リリカルなのはBsts
07/08/10 02:16:26 diGBRuMD

「コンボイ。とりあえず、明日もう一度僕に会いに来てくれるかな?チータス達を呼ぶから(良いなぁコンボイ、僕も彼女ほしいよ。」

「……ああ、是非くるさ。(うるさいよ、彼女じゃないし。」

「場所は僕が使ってる。31事務室。そこでコンボイ達がなんでメタルスじゃないかも教えるから」

「まさか、チータス達も元の姿になっているのか?」

コンボイの問いにライノックスは力強く頷く。そして、にこりと微笑むとコンボイに手を差し延べる。
うむ、と頷いてからコンボイもライノックスの手を取る。

「でもコンボイ。また会えて嬉しいよ」

「私もだ。ライノックス」



「でも、コンボイさんにリンカー・コアがあるって聞いた時はとても嬉しかったです。しかもランクがAAA+なんて本当に私も驚きました。」

ライノックスと別れて帰路に着いていた。
そんな中、ギンガはコンボイの結果を自分の事に喜んでいた。

「ありがとうギンガ。しかし、君にとって他人である私の事をなんで。そこまで喜ん〔コンボイさん!!」


言葉を遮られ、驚いたコンボイがギンガを見遣ると彼女は眉を吊り上げて怒ったような表情をしていた。

「コンボイさんは他人じゃありません。私達の大切な家族です。」


そうギンガに言われ、コンボイは素直に嬉しかった。これが人との友情なのだ、と。オプティマム達が言っていた人との共存と友情……。
深く噛み締め、コンボイはギンガの頭を撫でながら深く謝った。


「そうだな。ギンガ、済まなかった。私達は……家族だったな」

「はい。コンボイさん」

「コンボイさーん、お姉ちゃーん」

遠く前からの声に気付き、前を見据えると幼いスバルがこちらを見て嬉しそうに手を振っていた。

話しているうちに二人はいつの間にかナカジマ邸に着いていたのだった。

「行きましょうコンボイさん」

「ああ、そうだな。変身!」

ゴリラの姿に変身し彼女に振り返るコンボイ。そんな彼にギンガは微笑んでコンボイの手を取る。
コンボイのお尻を目撃したスバルはつい口を滑らせる。

「あ、コンボイさんの黄門様だ。」

「皆者、控えおろう」

「ははぁ」
「Σちょ、スバル!?ι〃〃」



16:リリカルなのはBsts
07/08/10 02:18:44 diGBRuMD

コンボイがナカジマ邸に戻った頃。時空管理局本局の隊舎の一室にてラットルはなのはと浴室に入っていた。

「そういえばラットル君、お風呂入っても大丈夫だったのかな?」

となりで椅子に座り、シャンプーで丁寧に茶色の長い髪を洗いながらなのはは浴槽に浸かっているラットル(ビーストモード)に尋ねる。

「オイラ達トランスフォーマーは他のロボットと違うのー。だからご飯食べたりーお風呂入ったりするのはなのは達とかわんないよー。でも今のオイラってまさにインジュウみたいだよね。」

「やっぱりラットル君達、すごいんだねぇ。」

そしてシャワーでシャンプーを流しタオルを身体に巻いたなのははラットルの浸かる浴槽に入る。
もともと広いタイプだった為、すんなり入る事ができた。


「ふぅー極楽極楽ーだね♪」

「おいおい、親父かよ。なのはー?ι」

浴槽に浸かって背伸びをしてから一息つく事を指摘されなのは顔をほんのり赤く染めて気付く。

「そ、そうかなぁι(でも、ラットル君と入ってると初めてユーノくんと会った事思い出すなぁ。」



数分立ってから二人が浴室から出ると同時に電話が鳴っていた。

「なのはー、電話鳴ってるぜ?」

「あ、ホントだ。誰からかな?」


タオルで身体を拭きながらラットルが教えると
既にパジャマに着替えていたなのはが電話を取りに脱衣所を出る。




17:リリカルなのはBsts
07/08/10 02:22:08 diGBRuMD

「エリオ。紹介するね。この子はチータスって言ってトランスフォーマーなの。」


リビングのテーブルの席に着いているフェイトは目の前に座る少年に告げる。
すると「変身」と言い、チーターからロボットに変形したチータスがエリオに手を差し出す。


「そ、俺がチータス。よろしくなエリオ♪」

「あ、はい。よろしくお願いしますチータスさん」

まだ、5歳と幼いエリオであるがトランスフォーマーという伝説的存在は知っている。

最初、フェイトから聞いた時は信じられなかった話だが、目の前での変身はもはや信じるしかない。

チータスの手を握る少年の目はキラキラと輝いていた。

「二人だけで仲良くなってる……何かチータスに嫉妬しちゃうかなぁ~」

そんな二人のやり取りをフェイトはイタズラっぽく微笑んで言う。

「あ、悪いフェイトι」

「すいません、フェイトさんι」

「あはは。大丈夫、嘘だよ二人とも。」


と、その時。リビングにあった電話が鳴り始める。

「あ、電話じゃん」

「こんな時間に?なのは……かな?」

誰だろうと思いながら、本体の液晶画面に表情されていたのは『時空管理局本局』だった。

気持ちを切り替えて電話を取り直ぐさま出るフェイト。




18:リリカルなのはBsts
07/08/10 02:27:08 diGBRuMD
ミッドチルダ中央区、首都クラナガン


「明日。本局に私らと31事務室に来てやって。」
「明日でござるか?」

電話を受話器に置きながら、内容を伝えるはやてにタイガーはビーストモードのまま尋ねる。

「うん、ライノックス一等陸尉って人が重要な話があるから来てほしい。って」

「ライノックス殿が!?」



ミッドチルダ北部、聖王教会。

なのは達やサイバトロン戦士達にライノックスが連絡していた中。聖王教会において一つの受任式が執り行われていた。
聖堂でダイノボットがカリムに膝まついている。
それを横で常に騎士甲冑で身を纏ているシャッハを初め多くの騎士が何時も以上に真剣な眼差しでダイノボットを見守っていた。

「ダイノボット、貴方が古代ベルカ式魔法を扱う事、貴方に騎士の称号を此処に与える事を認めます。」

透き通るような声でそう告げ、カリムはダイノボットに剣を与える。
剣を受け取ってからダイノボットは深く頭を下げ、剣を握る。


「こいつは……俺の」

彼にはその剣は見覚えがあった。というより……。

「ちょっと待ったぁ~。あ、こいつぁ~俺の剣じゃ~ねいか~?」

「あ、申し訳ありませ~ん。貴方がぁ~寝てる間にぃ~デバイスに改造したん~ですよ~。」

歌舞伎調に会話を交わしてからダイノボットはデバイス化した自身の剣をじっくりと見る。
恐竜の尾骨のような剣のフォルムはそのままであるが鍔等が機械的な物に代わっていた。


受任式が終わり、聖堂にダイノボット、カリム、シャッハが残る。
そこでダイノボットは二人からデバイスの説明を素直に聞いていた。

「デバイスって言うと皆使ってる奴か?」

「はい、アームドデバイスになります。ダイノボットに関する名を呼んでみて下さい。」

そう言われ、ダイノボットは自身に関するものを思い浮かべる。
頭に浮かぶのはサイバトロン関連のものばかりであったが一つだけはっきりしているものがあった。
俺は……戦士だ。正々堂々と戦う戦士。



19:リリカルなのはBsts
07/08/10 02:31:24 diGBRuMD

「ソルジャー!」『Yes, I am the master』

ダイノボットの声に答え、ソルジャーの刀身が音声と共に白く光を発する。

「しかし、口の悪い貴方が騎士になれるとは思いませんでした……おめでとうダイノボット」

嬉しそうに告げるシャッハにダイノボットは恥ずかしくなりデバイスをしまい「ビーストモード」と言いラプトルの姿になる。

「う、う。うるせぇな〃〃。ダーッ」
「それにしても……ライノックスさん達に会いに行かなくて良いのですか?」

心配そうにカリムが尋ねるとダイノボットは首を横に振る。

「まだ、会う時期じゃねえ。今あいつらと一緒に行動してたらメガトロンを追えなくなる……あの野郎の動きを追えない限りは。」

「貴方も考えているんですね……」
「ああ。ケツがいてぇから……ちょっと散歩して来るぜ」

「痔は痛いですからね……」
「Σ痔じゃねぇよ!ダーッ」

心配そうに彼のお尻を見遣るカリムにそう言ってから。ダイノボットは背中を向けて聖堂を去る。

中庭に出てから月夜を見上げる。
だがその目は鋭く、何処か遠くを見ていた。

「デストロンの匂いがする……向こうか。」

鼻を鳴らしながらダイノボットはこの北部の臨海に向かう。第8空港に。



北部、臨海第8空港

0070年4月3日 26:30

昼間ほど人の少なくなった空港に一人の少女が現れる。

「ここか……メガトロン様の言った空港は。」

「そうだ、どうやらここにメガトロンの望む力がある。そのデータを君にとってほしいのにゃ」

「黒猫に言われなくても解ってるよ、メガトロン様の言う通りにすれば良いだけだろ?それに私の前でメガトロン様呼び捨てすんな」

誰も居ないはずの隣に少女は何処かイラつきながら話し掛ける。

「黒猫ではにゃい、ジャガーだ。ノーヴェが自分自身の意志を尊重しているように私も私の意志でメガトロンに手を貸している。心から従っている訳じゃない。にゃ。」

「ちっ……じゃあ、必要以外黙ってろ」

そう言い、メガトロンの言う方向をジャガーに教えてもらいながら。ノーヴェは進む。

そして空港の飛航路から建物に入っていく。



20:リリカルなのはBsts
07/08/10 02:39:51 diGBRuMD
そんな二人の光景をモニター越しに微笑みながら見ているメガトロンが椅子に座っていた。
だが、それを見ているのは彼一人だけではなかった。

「どうだ?これで理解したかな、チンク。」

彼は隣にいる銀髪で右目に眼帯をした少女。チンクにそう尋ねる。しかし、チンクはモニターに映るノーヴェを信じられないといったように左目を見開かせていた。

「あ、カメラこっち?回想スタートーだ!」

それは数分前の事。

メガトロンがノーヴェを送り出して、場面の切り替えまで時間を笑い声で埋めていた時であった。
何かがいきなりメガトロンの身体を椅子に押さえ付け、ナイフを突き付ける。
だが、そんな状況になってもメガトロンは顔色一つ変えずに尋ねる。

「これは何のマネだ?チンク君。(カメラさんこっち写して」

「何故、ノーヴェがお前みたいな者の命令を聞いた!? 事と次第によっては同盟相手であってもお前を殺す!」

メガトロンを見据えるチンクの目は憎しみで溢れていた。
無理も無い、ナンバーズの中でもチンクとノーヴェは得に仲が良く。
ノーヴェはチンクを敬愛し、チンクはノーヴェを可愛がっていた。
その為にノーヴェが従ったメガトロンを憎かった。危険視していた男であった為に。

「ふははは、暗殺をするならよく、周りを見るべきだぞ?チンク君」

「何?--っ!」

とメガトロンが告げた瞬間、チンクのナイフはティラノサウルスの牙で弾かれる。また、いつの間にか彼女の身体が何かに縛られる。

「実体ホログラムというのを知っているかなチンク?」

「お肉屋さんで計ってもらう奴だったか?」

「おや、奥さんミンチ肉5gも買うなんて今日はハンバーグかい?Σって違うわ!」

いきなりのチンクのボケにもちゃんとノリツッコミをするメガトロン。

「今、君が触れていた私は実体映像だったのだよ。そして君を縛っているそれは捕獲魔法、バインドにレーザーを組み込み対戦闘機人用に造ったものだ」

そう言われ、チンクは力付くでバインドを解こうと試みるも力が入るどころか抜けていく事に気付く。

(な、何故。力が抜けていく!?くそっ!)

「止めておけ、そのバインドは力を奪い取り、私にその力を送信するように操作してある。こちらにこい……」

バインドに縛られ座り込んでいるチンクに歩み寄り、メガトロンはティラノサウルスの頭でチンクを持ち上げて先程座っていた椅子に座る。



21:リリカルなのはBsts
07/08/10 02:53:57 diGBRuMD

「君の大事な小野妹子のノーヴェが私のミッションを引き受けてくれているのだ。何故、従うか見て感じ取るが良い。」

「ちょ、遣隋使じゃないんだからι」

「やってる事は変わるまい。」

チンクのツッコミを軽く流しながらメガトロンはモニターに映像を繋ぎ。チンクにノーヴェの姿を見せたのであった。


「回想終了。さて、チンク。感想は?」

「ノーヴェ……」

ノーヴェの言った「メガトロン様」にチンクは頭を混乱してしまっていた。
何故?何故、この危険な男を敬っているのか。チンクには解る事が出来なかった。

「私はただ彼女の意志を受け入れただけだチンク。デストロンの戦いを知りたいと言うノーヴェのな。なら貴様は可愛がる妹の意志を邪魔するのか?」

「メガトロン……お前は……」


チンクは揺れていた、何故ノーヴェがメガトロンに従うか……それは意志を尊重する彼の有り方に同調したのだろう。
それならば自分やナンバーズはメガトロンに対して少し勘違いしていた事になる。
現にジェイル・スカリェッティや前まで危険視していたルーテシア達が信を置いているのが解る。

しかし、この男の言っている事は正しいのか?解らない…………なら、傍で見張っていれば……。

考察する彼女の目はモニターに映るノーヴェの姿を捕らえていた。

「どうだチンク。私の事が信用出来ないなら傍で私を見ていると良い。それで満足いかないなら……」

チンクのバインドを解いてからメガトロンは彼女に尋ねる。

その言葉にチンクは……頷く。

「良いだろう……メガトロン、お前の言っている事が正しいかどうか……見定める。しかし、私達の敵になるようなら命は無いと思え」

「ふん、いいだろう……」


とメガトロンが頷いた瞬間、モニターのレーダーにサイバトロンの識別と番号が表示される。

その番号が誰かを認識したメガトロンは通信を開く。

「どうした?」

「時空管理局が来たようだ。まだ、事をさらける訳には早いからな。(ダイノボットか……今はまだ貴様と遊ぶには早い……。」




22:リリカルなのはBsts
07/08/10 03:05:30 diGBRuMD

「ここか……」

空港地下室。
メガトロンに指示された場から発生する力のデータを取り終えるとそこで通信が入る。

『データーは取れたようだな。』

「はい、メガトロン様、指示された場所のデーターは取りました。」

『よくやった、ノーヴェ。遠くから時空管理局がそちらへ向かっている。まだ、知られる訳にはいかん。ジャガーと共に離脱しろ』

「わかった、おい。黒猫」

「ああ、私に掴まるにゃ」

そう言い、ノーヴェはジャガーに掴まる。その瞬間、ノーヴェはジャガーのステルス機能により、姿を消す。


モニターでそれを確認したメガトロンはチンクに向き直る。

「さて、チンク。さっそく、君に頼みたい事がある。」

「なんだ?」

「出来るだけ私への意識を改めるように他のナンバーズを説得してくれないか?」

とチンクに尋ねると彼女は渋々頷く。が、ある事実を教える。

「セインとウィンディ以外は全員お前を危険視しているから気をつけておいた方が言い……(協力する意志はあるみたいだな……)」

そう告げチンクは研究室を出る。その姿を見遣り、メガトロンはほくそ笑むように呟く。

「いづれそれも無くなる……私が貴様らの中身を書き換えるまではな。 さて……次まで出番無いからDr.スカリエッティとパチスロしてくるかぁ~。ナビ子ちゃん、Dr.に通信を繋いでくれ」
『はーい♪繋ぎまーす。』



ノーヴェとジャガーが空港から姿を消した後、たどり着いたダイノボットはくまなく空港を調べていた。



23:リリカルなのはBsts
07/08/10 03:18:55 diGBRuMD

「さっきまでデストロンと他の匂いがしていたが……。逃げられたか、ダーッ」

ダイノボットは空港の地下に入り、匂いを嗅ぎながらどこか悔しそうに呟く。

「しかし、デストロンが居たんなら……この場所には何かあるはずだ……。何がある……?」


そこでダイノボットはカリムに聞いたレリックの事、ゴールデンディスクに書かれていた内容の事を思い出す。

「教会にあるパソコンを使って調べてみるか……あとミッドチルダの地図も。なんでだ……なんでかやな予感がするぜ。」

呟き、ダイノボットは来た方向を逆に進む。

そして、ダイノボットの推理が間違っていなかった事が明かされるのは……1年後のこの場所。


続く

次回予告


ヴィータ「うわぁすげぇ気になる終わり方じゃん」

ザフィーラ「たしかに気になるな。」

ヴィータ「おい、早く次回の事教えてくれよダイノボット。」

ダイノボット「しかたねぇな。来週はいかり○長助のもしもシリーズがお勧めだな。次回、リリカルなのはBsts第7話「サイバトロン」」

ヴィータ「Σ次回予告になってねぇよ!!」

タイガー「これがビーストでござるι」

ザフィーラ「頭が痛くなるなι」

24:リリカルなのはBsts
07/08/10 03:20:22 diGBRuMD
以上です。忙しくなるから今回は長めにしました。
次はようやくサイバトロン集結出来ると思います。

25:リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ
07/08/10 10:20:02 s3BhHsbe
GJ!
ジャガーってメタルス本編では三話で退場だったんですよね。
そんな彼を慰めるためには…やはりSSで活躍させるしかない。

26:リリカルスクリーム二十一話 ◆0qJqyuBpiQ
07/08/10 10:47:02 s3BhHsbe
「こ、こうなれば!」
ホーンガイストは基地に持ち帰る筈だった十メートル近い彼の体躯でも一抱えはあるような
タンクを抱えると蓋をこじ開けて中身のドリンク剤を豪快に飲み始めた。

「おい!そんなに飲んだらビタミン過剰症になるぞ!カフェインも体に悪いぞ!
というか吐くぞ!悪いことは言わないからよせ!」
「黙れ!このエネルギー源を直接吸収すれば俺様はもはや無敵だ!」

怒鳴るシグナムの声にも耳を貸さずホーンガイストは空になったタンクを放ると得意げに怒鳴った。
「あのタンクの中身って本当にただのドリンク剤なんですか?」
「そのはずだ。機械が飲んでも錆びるだけだと思うが…。」
「ま、まあ根本的に私達とは違う生き物なんだしいろいろと誤解があってもおかしくないんじゃないかな…。」
なのは、ザフィーラ、フェイトの三人が呟いた。
「こんなしょーも無い奴らのためにクロノはあんな目に…。」
「う…うおおお、がああああ!」
ヴィータが怒りとやりきれなさにグラーフアイゼンを持つ手を震わせた
その時、ホーンガイストがもがき苦しみ始めた。同時に彼の体が赤いオーラに
包まれ、全身から蒸気がほとばしりはじめる。
「どうしたんだよホーンガイスト!」
アーマーガイストが後ずさりしながら言った。そして
「お、おかしい。奴のエネルギーが急激に上昇している!」
サウンドブラスターがそう言ったのと同時に突然ホーンガイストが竹の子のごとく巨大化しはじめたではないか。
数秒と経たずしてホーンガイストは身の丈70m近い巨躯へと生まれ変わった。
「ど、どういうことだこりゃあ!」
「あっ!プテラガイスト!これを見なよ!きっとこの成分のせいだぜ!」
おじけるプテラガイストにアーマーガイストが足元に転がっていた瓶を拾って成分表を凝視すると
プテラガイストに見せた。

「なになに~?老舗和菓子屋の芋ヨーカンから抽出した通称IMO-CHO成分配合…?
この成分で巨大化するのは暴走族だろ。俺達は海賊だぞ。そんなことよりこの隙に逃げようぜ。」

「首が痛たい…。帰って湿布張る…。」
「待ってくれよう!」
サンダーガイストとプテラガイストは先を争って逃げ出しアーマーガイストもそれに続く。

…しかしドリンク剤の成分に何故誰も突っ込まないのだろうか?


27:リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ
07/08/10 10:49:47 s3BhHsbe
さりげなく自分も投下しました。
今回はとりあえずこれだけ。
残りは午後になると思います。

28:217
07/08/10 11:54:16 2/L67T5X

「異世界から、か。確かに珍しいことだな」
食後のコーヒーを啜ってからシグナムは納得顔をする。
「ええ、私も最初はびっくりしました。しかもあんな子までいるなんて」
彼女に相対して話をしているのはフェイト。そう言うと彼女はチラと視線を移す。

「このっこのっ!」
「へっへー、まだまだ甘いんだよ!そらぁ!!」
カチャカチャと必死にコントローラーを操る者が二人。
ソファー越しのフェイトの視界には赤毛の三つ編みと一本のツノが見える。

『YOU WIN!!』
「やっりぃ~!」
テレビ画面の中で格闘家風の男が勝利のポーズを決めた。
それと同時にヴィータは拳を振り上げて喜ぶ。
その横には、
「だぁーくそ!!もう一回だもう一回っ!」
ジタバタと手足をバタつかせるメタビーがいた。
つもる話。二人は格闘ゲーム、略して格ゲーをしていたのだ。
「いいぜー、何度でもボッコボコにしてやんよ」
「なめんなっ!オレは同じ相手に負けで終わったことはねぇんだよ!」
面を付き合わせて火花を散らせる両者。
既に5対戦ほどしているのだが、今のところヴィータの5連勝中である。
そして、いざ第6試合目が始まろうとしたとき―

「こ ら ー ! ! いつまでやっとるんや二人とも!!」 ガチッ! ゴツッ!
「「痛ってぇ~っ!?」」

いつの間にか後ろにいたはやてからゲンコツの雷が落ちた。


第五話 「ダベリ DE 八神家」

しばらく時間を戻すと―
なのは、フェイトに連れられ八神家を訪れたイッキとメタビー。
クロノとリンディは「少し仕事があるから」とアースラへ出かけていった。
昨日のように光に包まれて、いわゆる『転送』されていったのである。


29:217
07/08/10 11:57:20 2/L67T5X
家主であるはやての出迎えを受け、玄関をまたぐ。
「まずはみんなに紹介するさかい、リビングに行こか」
「みんなって?」
わりと大きな家だ。いったい誰と住んでいるのか気になったイッキが聞くと
「そら、もちろん・・・」
家族に決まっとるやん、と笑ってこちらを見るはやて。
そう言ってあるドアを開くと中へ入っていった。
彼女に続いてなのは、フェイトもドアをくぐる。イッキたちが部屋に入ったところで、
「みんな、お客さんやで~」
「ん?誰だよはやて、うちに客なんて」
テーブルではヴィータが朝のホットミルクを飲んでいた。
床に足が届いていないため、足をぶらぶらさせている。彼女はドアの方向を見ると、
「・・・な~んだ」
なのはとフェイトじゃねーか、と再びマグカップに口をつけた。
件の闇の書事件以来、八神家の面々―特に守護騎士たちは管理局への協力も
しながら、一方では至って人間らしい生活を過ごしている。
騎士の一員であるヴィータも、なのはたちと対立していた時から比べれば幾分は
大人しくなったのだが、口の悪さはそうそう治らないようだ。

「こらヴィータっ、失礼な言い方するんやない!」
「だってよぉ~」
腰に手をあてて注意するはやてだが、ヴィータはお客の二人を見て気だるそうに言う。
「なのはとフェイトがうちに来るなんて珍しくねぇじゃんか」
「ははは・・・まぁそうなんだけど」
彼女の物言いに苦笑いを浮かべるなのは。この子の扱いは難しいなと内心で思ったりする。
「今日はちょっと用事があって来たんだよ。ね、はやて」
話を進めようと目配せするフェイトに、はやてはそうそうと頷くと、
「実は二人以外にもお客さんがおるねん。それとヴィータ、口の利き方は気ぃつけや」
「はぁ~い」
「ところで主、その客人の姿が見えないのですが?」
気の抜けた返事を返すヴィータにはやては再び睨みを利かすが、シグナムが疑問を
口にしたために、え?と後ろを振り返る。


30:217
07/08/10 12:00:54 2/L67T5X
「あれ?ちょっとイッキくん、どこにおるん?」
「ここにいるけど」
「おい、もう慣れたけどオレのことも忘れんなよ!」
なのはとフェイトの後ろから件の二人の声がする。
残念なことにイッキは彼女らよりも身長が低かったようだ。
まして約1メートルのメタビーは言うまでもなく完全に死角に隠れていた。
その二人を、ほらと前に押し出してあげるフェイト。
あれ、デジャヴか?さっきもこんなことがあったような・・・

「ん?おぉーーーー!!!!」
いきなり大声を出したのはさっきまで気だるげだったヴィータだった。
「な、なんやヴィータ。驚くやんか・・・」
急にテンションの上がった彼女にはやては言うが、当の本人はその横を通り抜け、

「す っ げ ぇ ー ー ! ! 本物だ動いてる~!!」

電光石火のごとくメタビーの至近距離まで近寄り、キラキラと目を輝かせた。
頭の発射口から爪先のさらに先まで舐めるように見回す。心底楽しそうだ。
しかし見られている方は気味の悪いことこの上なく、
「お、おい・・・何なんだよお前・・・」
当然の反応だ。メタビーは思わず後ずさる。が、
「おーーー!!?すげぇ喋ったーー!!」
声を出したことが逆に引き金になったらしく、更にマジマジと見られることになった。
もともとロボットが好きなヴィータのことだ、実際に動いて喋るロボットが
目の前に現れれば、はしゃぐのも無理はないのだろう。
「はいはい、ヴィータ、お客さんが困っとるやろ?」
「あ!何すんだよはやて~」
ネコのように首根っこを?まれて引き離されたヴィータはジタバタと暴れる。
一方でメタビーはホッと息をついた。
「あら。はやてちゃん、騒がしいけど何してるんですか?」
キッチンで洗い物を済ませたらしく、エプロンを外しながらシャマルが出てきた。
「あ、シャマルもちょうどいいとこに来たわ。イッキくん自己紹介してくれへん?」
「え、ああ。えーっと俺は―」



31:217
07/08/10 12:02:17 2/L67T5X
かくして八神家の面々に対しての自己紹介を済ませ、イッキはテーブルに座り、
はやてを中心に色々と話をしていた。
メタビーはというと、案の定と言うべきかヴィータのおもちゃ状態にされ、
あっちこっちのパーツを触られたり背中のメダルハッチを開けられそうになったり・・・
「ぉーいイッキ~、こいつをなんとかしてくれぇ~」
まさに『揉みくちゃ』にされているメタビーが悲痛に助けを求める。が、
「そっちでなんとかしろ~、俺はこっちの話で忙しいの」
にべもなく突き放されてしまった。実に不運だ。

と、見かねたシグナムが
「ヴィータ。一応は客人だ、あまり主に恥をかかせるな」
「ちぇ」
はやての名前を出されたこともあり、ヴィータは渋々ながらメタビーを開放した。
「はぁ~、助かったぜ・・・」
再びホッと息をつくメタビー。
それからテーブルへと向かい、ヴィータははやての、メタビーはイッキの横に座る。

「それにしても、本当によくできたロボットやなぁ」
まるで人間みたいや、とはやてが純粋に興味を示す。
彼女にとってロボットといえば、ヴィータがよく見ている巨大ロボや合体マシンなど、
いわゆる人間が操るタイプがほとんどだ。
しかし、目の前にいるのは人間のように自分で行動したり会話したりしている。
「そうそう!あたしも最初に会ったときはすごくビックリしたんだよ!」
なのはも砂漠で初めて会話したときのことを思い出した。
レイジングハートやバルディッシュのようなインテリジェントデバイスも
高度なコミュニケーション能力を持っているが、やはりどこか機械的な部分がある。
自分の相棒と比べても、メタビーの存在は驚きに値するものだった。
「それに、新聞も読んでたよね」
「え?それホントなのフェイトちゃん」
うん、と昨日のことを思い返しながら返事を返すフェイト。
確か昨日は4コマ漫画に没頭していたっけ、と思い出し笑う。


32:217
07/08/10 12:03:27 2/L67T5X
それらの感想に対してメタビーは首を捻る。
「別にオレだけじゃねーさ。他のメダロットもみんなそうだったぜ?」
「え?メダロットってメタビーだけちゃうん!?」
元いた世界ではあっちこっちにメダロットがいたためメタビーは意識せずに言ったが、
そんなことを知らないはやては柄にもなく驚いた。
そして、それはなのはとフェイトも同じらしく、目を丸くしていた。
「じゃあ、他にもそういうロボ・・メダロットが沢山いるの?」
「ああ。ほとんどの子どもには俺みたいにメダロットがいるんだぜ」
フェイトの質問に対して、イッキはごく当たり前のように答えた。
こいつは特に人間臭いんだけどな、と付け加える。

それを聞いたなのは・フェイト・はやての頭の中では、町の至るところを
沢山のメダロット(ただし架空の)が闊歩し始めた。
「なんだか、想像したらちょっと怖いね・・・」
眉を八の字にするなのはと、
「そうかな?私は面白いと思うけど」
その表情を見て意外そうな顔をするフェイト。
「うん、うちもそんな世界に行ってみたいわ!」
そして3人の中で一番楽しそうに笑うはやて。
ちなみに各々の反応の違いは、それぞれが想像したメダロットの違いだと思われる。

「それで、みんながメダロット持ってるってのは分かったんやけど、
何のために持ってるん?」
ここまで聞いてはやての頭に浮かんだ、『メダロットを持つ意味』への質問。
「え?何でかって言われると・・・」
それに対してイッキは腕組みをして考え込む。
なんでメタビーと一緒にいるんだろ?

彼にとってメダロットが欲しかった当初の理由は、「みんなが持っていたから」だった。
親にせがんでも「自分で買いなさい」と言われ、必死でお小遣いを貯めたのだ。
たまたまアリカを助けるために中古のボディを買って・・・

それ以来、自分の横にはいつも生意気な、でも大切な相棒がいる。
おそらく、俺がメダロットのメタビーと一緒にいるのは―

「「友達だから」」

イッキとメタビーは同時に、そう言った。
「え?」
「ん??」
思わず顔を見合わせる。
どうやら互いに同じことを考えていたらしい。が、そのことに気恥ずかしくなり、
「おい、マネすんなよメタビー!」
「バカ言ってんじゃねーよ!イッキこそマネすんなっ!」
なぜかケンカになる二人。「ふんっ」と同時にそっぽを向く。
この急展開になのはとフェイトは一瞬ポカーンとするが、すぐにクスッと笑い、
「つまり、メタビーとイッキはすごく仲がいい友達同士なんだよね」
「うんうん!ケンカするほど仲が・・・」
「「よ く な い ! !」」
なのはの言葉を遮り、背中を向け合っていた二人は力の限り叫んだ。


33:217
07/08/10 12:04:42 2/L67T5X
「そんでさ!そんでさ!メタビーはゲームとかできんのか!?」
互いにふんぞり返るイッキとメタビーを見てクスクスと笑うはやての横から
ヴィータが身を乗り出した。
「あ?ゲーム?」
突然聞かれたメタビーは聞き返した。
「ゲームっていうと、あれか?テレビに繋いでするやつ」
「そうそう!一緒にやろうぜ!」
「おっ、あるのか!? へへっ、やるやる~♪」
さっきのご機嫌斜めはどこへやら、メタビーは椅子から勢いよく飛び降り
ヴィータと共にソファーへ走っていってしまった。
「ヴィータ~、ゲームは一日1時間やで~!」
「はーい」
どこの家庭でもよく聞かれるような台詞だが、ここ八神家でも漏れなく使われて
いるようだ。
生返事をしたヴィータはイソイソとケーブルをテレビに繋げている。

「なんか、はやてってお母さんみたいだな」
自分も母・チドリから散々言われた経験からか、イッキは率直にそう思った。
メタビーと張り合ってゲームに熱中しては、怒られていた記憶が甦る。
(といっても、チドリの場合はとびっきりの笑顔で怒るので余計に怖い)
「え、うちってそう見えるんか?」
言われたはやては微妙な顔をする。
普通は小学4年生が言われるような台詞ではないので、当然っちゃ当然だが。
「確かにはやてちゃんは、八神家の母親役ですものね~」
「私も同感です。特にヴィータの相手をしているときなどは・・・」
シャマルがふふっと笑い、シグナムは同意を示すように頷く。
(外見は)妙齢のお二方がそんなことを言うのも問題ありな気がするが、まぁいいか。

「なんや、二人までそないなこと言うて~。あ、ザフィーラはどう思うん?」
会話に参加せず床に寝そべっていた青い毛並の守護獣は、ふと顔を上げると
「・・・・(コクリ)」
無言で頷いた。肯定か否定かはっきりしないが、流れからしておそらく前者だろう。
「満場一致みたいですね」
「はぁ~、知らんかったわ・・・」
シャマルが口元に手を当てて笑うと、はやては首をカクッと落とす。
その様子にテーブルの上はひとしきり笑いで満たされた。


34:217
07/08/10 12:06:56 2/L67T5X
それからしばらく、イッキたちは元いた世界のことなどについて色々と談笑し、
メタビーとヴィータは白熱した格闘戦を繰り広げていた。
まぁそれも、見かねたはやてのゲンコツによって強制中止になったわけだが。

12時が近くなると、あっと思い出したようになのはが立ち上がり、
「イッキくん、お昼からはアリサちゃんとすずかちゃんに会いに行くんだよ」
「んぁ?誰だよそれ?」
またもや知らない名前を出され、聞き返すしかないイッキ。
「なのはのお友達だよ。二人ともいい子だから、きっと友達になれるよ」
帰り支度をするフェイトが説明してくれた。
と言っても、会ってみなければどんな人なのかは分からないわけで。

「二人とは町のデパートで会うつもりだから、ついでにお買い物もしよっか」
財布の中身を確認するフェイト。
おかしなことに、小学生にしては大そうな金額が入っている。
「ええっ!?なんやそのお金・・・まさかフェイトちゃんのお小遣いか?」
ちらっと中身を拝見したはやてがその金額に驚きの声を上げるが、
「ち、違うよ!リンディさんから貰ったんだよ、その・・・『服代だ』って」
慌てて否定するフェイトの様子と『服代』の単語にピンときたのだろうか。
はやては、ちらとイッキの服装を見る。ところどころに土汚れがついていた。
「そっか、イッキくん一張羅なんやろ?それ」
「え、あ~そうだな。コレのまま飛んできちゃったみたいだから」
自分の赤いシャツをつまむ。お気に入りだったからまぁいいけど。

そういうことなら、とはやては何かを思いついたようだ。
「よし!うちも一緒に行くわ。そんで、新しい服を選んだる!」
「はやてちゃん?」
「ええやろシャマル?そろそろ買出しもせなあかんかったし、一石二鳥や」
「う~ん、そうですねぇ・・・」
いきなりの提案にシャマルはひとまず考える。と、その横から
「いいのではないか? 子どもたちだけで行かせるのが心配なら、大人のお前がついて
やれば無難だろう」
シグナムが口を挟む。
「な?シグナムもああ言うてることやし、行こ!」
「ん~・・・じゃあシグナム、留守番お願いね」
「ああ、任せろ」
リーダーの承諾を受け、はやてとシャマルは出かける準備を始めた。


35:217
07/08/10 12:08:31 2/L67T5X
買い物組の準備が整ったところで、一つの疑問がなのはの頭に浮かぶ。
「そういえば、メタビーくんはどうするの?」
こちらの世界ではメダロットは存在しない。
というか、そんな高性能なロボットが街中をうろつく習慣がない。
そんな中を普通にメタビーが歩いていれば、当然なんらかの騒ぎが起きるだろう。

でもアリサちゃんとすずかちゃんにも会わせるって言っちゃったしなぁ、と悩むなのはに、イッキはさも当然のように言ってのけた。
「ん?そのアリサってやつらと会うときだけ転送すれば大丈夫だろ」
「え、転送?」
「ああ、メダロッチですぐ呼び出せるし、こっちに送り返すこともできるぜ」
白いメダロッチが見えるように左腕を上げる。
「・・・そんな便利な機能がついてたんだ、それ」
一見すると腕時計にしか見えない代物を眺めるなのは。
あのメタビーといい、メダロッチといい。いったいどこまで文明が進んでいるのか・・・・

「じゃあみんな、行ってくるわ~」
「はい、お気をつけて」
「行ってらっしゃい、はやて!」
靴を履き立ち上がった家主を、シグナムとヴィータは見送る。
「メタビー、俺が呼び出すまで大人しくしてろよ?」
玄関をまたごうというときにイッキが相棒に振り返ると
「へんっ、言われるまでもねぇさ」
手を頭の後ろに乗せてメタビーは素っ気なく応えた。
「お邪魔しましたー、じゃあねヴィータちゃん!」
「おう、また来いよな」
ヴィータの返答になのはは思わず笑ってしまう。朝に会ったときは気だるげだったのに、
今は「また来い」だなんて・・・やっぱりこの子は面白いな、と内心で呟く。
「シグナムも、またね」
「ああ・・・」
打って変わって、こちらはごく静かに別れた。

その後。玄関を閉め、なのは・フェイト・はやて・シャマル、そしてイッキの5人は
最寄のデパートへ歩き出す。


36:217
07/08/10 12:11:14 2/L67T5X

「よし、はやても出かけたことだし・・・続きやるかメタビー!」
「おう!今度こそ俺が勝つからな~!」
意気揚々とリビングへ戻った二人の目に、キレイさっぱり片付けられたゲーム機が映った。
その横にはザフィーラが寝転んでおり、一言。
「ヴィータ、主の代わりに俺がもう一度言ってやろう―」

『 ゲ ー ム は 一 日 1 時 間 ま で だ 』


37:217
07/08/10 12:21:15 2/L67T5X
1スレ越しの投下終了!
自分の執筆スピードの遅さに落ち込みます・・・

>>リリカルなのはBsts氏
GJです!冒頭のスカの台詞から吹きましたw
単独行動のダイノボットがいつ合流するのか・・・楽しみです!

>>リリカルスクリーム氏
芋ヨーカンGJw それは某レンジャーものの敵では!?
ってかサンダーガイスト、湿布張って効果があるのか気になる・・・

38:マスカレード
07/08/10 13:45:10 HjK9KQPv
ブレイラウザーを構えるブレイド。
ギャレンラウザーを構えるギャレン。
そしてカリスアローを回しながら構えるカリス……
三人にスポットライトが当たる……


マスカレード
このあとすぐ!




という訳でACT.12Aパート……投下おKですか?

39:通常の名無しさんの3倍
07/08/10 13:58:26 suKGq4Mh
O・K!!

40:通常の名無しさんの3倍
07/08/10 14:05:07 suKGq4Mh
いいとも~

41:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 14:06:24 GnkYbFP9
待ってましたぁ!

42:通常の名無しさんの3倍
07/08/10 14:07:28 suKGq4Mh
かもんかも~ん!

43:マスカレード
07/08/10 14:38:55 HjK9KQPv
遅れてすいません。では投下します


『Standing by(スタンディングバイ)』
良太郎はステップを踏みながら片手に持ったデルタフォンを起動させる。
「変身!」
『Complete(コンプリート)』
なんと良太郎はデルタギアを装着、さらにデルタへと変身してしまったのだ。

何回もデルタへとムチ攻撃をしかけるセンチピードオルフェノク。
だがデルタはセンチピードオルフェノクのどの攻撃もブレイクダンスで華麗に回避。
しかもダンスの振り付けで反撃する人間など、琢磨からしても始めての相手だ。動きが全く読めない。
「ファイアっ♪」
『Burst Mode(バーストモード)』
さらに踊りながらデルタムーバーに音声コードを入力。
「ヒッ……!」
「ばぁ~ん!」
そのまま一回転、零距離でデルタムーバーを連射するデルタ。
それによりセンチピードオルフェノクも一気に距離を離される。

そして、そのままデルタムーバーを乱れ撃ち。公園はどんどん破壊されていく。
「ヒ……ヒィイイイイイーーーーーー!!」
もはやセンチピードオルフェノクに戦闘続行の意思も無いようで、ただ逃げ回っているだけだ。
声からして少し泣いているようだが……。

こんな目茶苦茶な攻撃をこれ以上許せば公園は完全に破壊されてしまう。
できればそれは避けたい。
「もういい加減にして下さい!」
「あ、そっかぁ……猫達が驚いちゃうね」
見兼ねたフェイトはデルタを止めさせる。
センチピードオルフェノクも泣いて逃げるだけだ。こうなるとデルタが弱い者いじめをして楽しんでいるようにしか見えない。
良太郎から見た優先度は猫達>>>>>>>越えられない壁>>>>>>センチピードオルフェノクなのだ。

で、今に至る訳だ。
「これ面白いね~!ボク貰うけどいいよね?」
両手を広げて嬉しそうに回りながら言うデルタ。しかも脚のステップからして立ち去る気満々だ。
「ちょ……ダメに決まってるでしょ!」
そんなことを許せるはずが無い。里奈が慌ててデルタに駆け寄るが……
「……え?」
デルタは華麗に一回転、さらに里奈の顔にデルタムーバーを突き付けているのだ。
「答えは聞いてなぁい♪」
言いながらゆっくりと引き金を引くデルタ。

そして……
「ばぁ~んっ!!」
「ッ!!」
デルタの声に目をつむる里奈と、フェイト達。
「(あ……あれ?)」
だが里奈は死んでいない。それどころか無傷だ。
恐る恐るデルタを見る里奈。すると……
「あははははは!じょ~だんだよ~!」
デルタは仮面の下で笑いながら言う。
腰が抜けた里奈もその場で固まっている。

「……って、デルタギア!」
我を取り戻したフェイトがデルタを追おうとした時、既にデルタの影は小さくなっていた……。

44:マスカレード
07/08/10 14:50:30 HjK9KQPv

数分後。
「あ~楽しかったぁ~!」
言いながらデルタフォンをデルタムーバーから取り外す良太郎。
それによりデルタの変身は解除され、同時に良太郎の体から紫色をした何かが離れる。

「ん……ココどこ?」
良太郎はすぐに意識を取り戻し、手に持ったデルタフォンを見つめる。
「……え?」
さらに腹に巻かれている白いベルトに良太郎は目をパチクリさせる。
「な……何……コレ?」


ACT.12「学校の怪談でG-3起動?」


翌日、ビストロ ラ サル。

太田と里奈はデルタギアが奪われたという旨を草加に伝えていた。
その為にこの店を選んだのに特別な理由は無い。話せればどこでもいいのだ。

「で……キミ達はそのデルタが立ち去るのを黙って見ていた……という事か」
席に座りながら里奈と太田の説明を纏める草加。顔には出していないがそれなりに怒っているようだ。
「ああ……すまない、草加……。」
「時空管理局っていう人達もデルタギアの捜索には協力してくれるらしいわ」
謝罪を続ける太田をフォローするように言う里奈。それに対し、草加はピクッと反応する。
「時空管理局だと……?」
「ああ、彼らもデルタギアを探してくれるって」
一瞬元の表情に戻った草加だが太田の顔を見て再びその表情を険しくする。
「何を悠長なことを言っているんだ……太田?」
「え……?」
「お前のせいで父さんが送ってきたデルタギアが奪われてしまったんだぞ……?」
草加は陰湿な表情で太田を睨み付ける。それに耐え兼ねた太田も気まずそうに目を反らす。
しかし、この険悪なムードを破るのは意外な人物だった。

ドン!

大きな音をたてて水の入ったコップを置く店員。
草加は「何かな?」という表情で店員を睨み付ける。
「喧嘩ならよそでやれ。迷惑だ」
店員も冷たい表情で草加を睨む。
「これは俺達の問題だ。よそ者のキミに関わって欲しく無いな……」
「ほぅ?ならばここは俺が働いている場所だ。よそ者の『キミ』に問題を起こされたく無いな」
『キミ』という言葉を強調する店員。相手の神経を逆なでするような店員の言葉に、草加はかなり苛立つ。
「一体何なのかな……キミは?」
「…………。」
席を立ち、店員に顔を近付けて言う草加。相変わらず嫌味な表情だ。
すると店員は窓の向こうで輝く太陽を指差す。
「おばあちゃんが言っていた。俺は『天の道を往き総てを司る男』……」
「…………。」
「俺の名前は天道総司。」
店員-天道-の自己紹介を聞いた草加はしばらくポカンとしていたが、やがて「ククク」と笑い始める。
「キミ……少し頭がおかしいんじゃないのか?」
自分の頭を指先で突きながら嫌味な作り笑いを浮かべる草加。
天道は黙って腕を組んだまま草加を睨む。
「フン……まぁいい。せいぜい店に迷惑をかけないように気をつけさせて貰うよ」
「……ならいい。」
草加はそのまま席に戻り、天道も厨房へと戻って行く。
どうやらこの二人はかなり相性が悪いようだ。

45:マスカレード
07/08/10 14:54:00 HjK9KQPv


数分後、時空管理局の情報を聞いた草加は不敵な笑みを浮かべながらサルを後にした。
天道も料理をしながらそれを見届ける。
その直後……
「こんにちわー!」
草加と入れ違いになるように店に一人の男が入ってくる。
両手に持ったダンボールにはたくさんの野菜がはいっているようだ。
「あら津上くんじゃない!また持ってきてくれたの?」
厨房から出てきた弓子が男に駆け寄る。天道は「誰だ?」という顔をしているが。
「はい!家の菜園で捕れた野菜です。今回も捕れたてですよ~」
言いながらダンボールをドサッと置く男-翔一-。

「ほぅ……確かに質のいい野菜だな。お前が育てたのか?」
「おっ……店員さん、なかなか見る目がありますねぇ。」
天道に聞かれた翔一は嬉しそうに言う。
「当たり前だ。俺を誰だと思っている」
「誰なんですか?」
聞かれた天道はさっきと同じように窓の向こうを指差す。
「俺は天の道を往き……」
「あ、彼は天道くん。たまにここで手伝ってくれてるのよ」
天道の自己紹介を遮る弓子。
天道も「……え?」という顔で弓子を見つめている。
まさか自分の自己紹介を遮られ、さらにこんなに簡単に説明を終わらされるとは思っていなかったのだ

「へぇ……俺は津上翔一って言います!ここにはたまに野菜をおすそ分けしに来るんですよ」
満面の笑みで自己紹介する翔一。
「……そうか。」
天道は翔一の自己紹介を聞きながら、何かに気付いたような表情をする。
「(この男……まさか……!)」
「(天道さんってもしかして……)」
そしてそれは翔一も同じだ。
「二人共……どうしたの?」
「いえ……天道さんはもしかして……料理が得意じゃないですか?」
「ほぅ……それに気付くということは津上……お前もか?」
弓子が心配そうに見守る中、二人の間に見えない火花が走る。
これは料理対決フラグということか。
「もしかしてまたうちで料理対決?」
それに気付いた弓子は少し期待しながら言うが……
「……残念だが、俺はこれからパンを売りに行かなければならない。料理対決ならまた今度だな」
「じゃあパン対決……ですね?」
「いいだろう……受けて立つ。」
睨み合う天道と翔一。
どうやらこの二人はそれなりに相性がいいようだ。


数時間後。

「あんた達最近屋上に来ないけど、天道さんと何かあったの?」
「にゃはは……ちょっとね」
下校中、突然アリサに聞かれたなのはは気まずそうに笑う。
それはフェイトもはやても同じようだ。
そんな時、前方で待ち伏せしていた男がなのは達の前に現れる。
「キミ達……時空管理局の人だよね?」
「そうですけど……貴方は?」
不審そうに聞くフェイト。
「驚かせてすまない。俺の名前は草加雅人。キミ達と話がしたいんだ」

46:マスカレード
07/08/10 14:57:13 HjK9KQPv


数分後、一同はハラオウン家で雅人から事情を聞いていた。

「じゃあ、貴方も仮面ライダーなんですか?」
「ああ、俺も平和の為に戦っている。キミ達とは気が合いそうだ」
雅人の前向きな言葉に一同は少し嬉しくなる。
最近は天道や良太郎……それからアギトなど、訳のわからないライダーが多かっただけに
草加のようないい人タイプの人間はさらにいい人に見えてしまうのだ。
「へぇ……あんたもライダーなんだな」
一通り自己紹介を終えた所で、横に座っていた剣崎が雅人に話し掛ける。

「キミは……?」
「ああ、俺は剣崎一真。仮面ライダーブレイドだ」
「そうか、キミも……」
剣崎の素性を知り、誰にも解らないような角度で不敵に笑う雅人。
「俺もカイザとして人々を守りたいと思ってる。よろしく頼むよ」
またすぐに元の爽やかな表情に戻った雅人は剣崎に握手の手を差し延べる。
「ああ、こちらこそ、同じ仮面ライダーとしてよろしく頼むよ!」
二人はがっちりと握手をかわし、微笑み会う。


「あの、草加さん……」
「何かな?なのはちゃん」
草加に質問したい事があったなのはは、思い切って疑問をぶつけてみる事に。
「オルフェノクって……何なんでしょうか?」
「……オルフェノク?」
途端に険しい表情になる雅人。
「オルフェノクは……人間の敵だ。奴らは心が腐ってる……だから平気で人を襲えるんだ」
「心が……腐ってる?」
「ああ、奴らはその力を楽しみ、人々を殺す事で仲間を増やしていく……」
「仲間を増やすって……どういうこと?」
リンディが質問する。
「オルフェノクに殺された人間は極稀にオルフェノクとして覚醒するんだ……」
「そんな……!じゃあ、オルフェノクは元は人間なんですか!?」
驚いて質問するフェイト。
「……その通りだ。だがオルフェノクになった時点で人の心は完全に無くなる……
オルフェノクになった人間は体だけじゃなく、心まで腐りきってしまうんだ」
「…………。」
「俺はオルフェノクはいずれ滅ぼさねばならない人類の敵だと思ってる。そしてそのオルフェノクを操っているのが……」
そのままテレビの画面を指差す雅人。そこに写っているCMは……

「「スマートブレイン?」」
声を揃える一同。
なのは達だって大企業であるスマートブレインのことは知っている。
「ああ……スマートブレインはただの企業じゃない。オルフェノクを操り、次々と人間を虐殺していく……悪の組織だ。」
「「…………。」」
そんな漫画みたいな展開、信じられ無いといった表情だ。
まさか天下のスマートブレインがオルフェノクを操り人を殺しているなんて……

47:通常の名無しさんの3倍
07/08/10 15:01:26 suKGq4Mh
支援します!

48:マスカレード
07/08/10 15:03:02 HjK9KQPv

「そうなんですか……」
「草加さん、物知りなんですね。
乾さんもオルフェノクについては何も知らないみたいだったのに……」
フェイトが何の他意もなくそう言うと、雅人の表情はまた険しくなった。
「草加さん……?」
「乾巧……奴も何とかしなければならないな……」
「ちょっと待て、どういうことだよ?あの巧って奴はファイズとして人間を守る為に……」
「騙されるな!!」
驚いて聞き返す剣崎を遮り、叫ぶ雅人。それによってさらに驚く剣崎。
「……怒鳴ってすまない。だが、乾巧は人間の敵だ……!」
「はぁ?」
「奴はファイズの力を楽しんでるんだよ……オルフェノクと同じにね……!」
「ちょ……ちょっと待ってよ!巧くんはいい人じゃないの!?」
なのはも慌てて確認する。
「ああ……乾巧は人間の為に戦うような奴じゃない!ファイズの力を楽しみ……人々を脅かす存在だ……」
「でも……私の目の前でワーム達を倒してたよ!?」
「それも乾巧にとって都合が悪かったからだろう……
奴は自分にとって都合が悪い者は何だって排除する……そういう奴なんだよ、乾は」
「そんな……」
確かにあの時巧は「遊んでくれた仕返し」のような形で戦っていた。でも、だからといって人間の敵とは言い過ぎでは無いか……
「でも、巧くんだって人を守りたいって……」
「口が上手いんだよ乾は……ッ!
あいつはそうやってまだ出会ったばかりの君達を利用しようとしているだけに過ぎない……!」
雅人の言葉により、なのは達は巧を信用できなくなり初めていた。
「じゃあ、結局奴も天道総司と同じということか……」
「天道総司……?」
クロノの言葉に反応する草加。
確か草加が今日の朝、レストランで会ったいけ好かない店員がそんな名前をしていたが……
「ああ、奴もカブトであることを楽しんでいる、時限犯罪者だ」
「お前なぁ……まだ理由も聞いてないのにそれは無いだろ!」
クロノの言葉に、聞き捨てならないといった感じに剣崎が割り込む。
「果たして理由なんてあるのかな……?
それに天道総司は時空管理局を潰すとまで言ったらしいじゃないか。それでも信じろっていうのかい?」
「それは……!」
「落ち着け、キミ達……!」
またしても言い争いになりそうなクロノと剣崎を制する雅人。
「俺は、天道総司も乾巧も同じだと思うけどね……」
「そんなこと……」
「無いと言い切れるのか?どっちにしろ、敵か味方か解らないなら最悪の場合の対処方も考えておいた方がいい。違うか?」
「確かに……そうだけど……」
雅人に言われた剣崎はすっかりさっきまでの剣幕を無くし、座ってしまう。

「(天道総司と乾巧……か)」
その時、雅人は確かに笑った。
何を考えているのかは知らないが、「いい話を聞いた」と言わんばかりに不敵な笑みを浮かべていた。

……その時。
「剣崎くん、アンデッドだよ!」
エイミィが大きな声で言う。アンデッドがサーチャーに反応があったらしい。
剣崎と雅人はお互いに目を合わせ、そのまま走って家を出て行った。

49:マスカレード
07/08/10 15:11:20 HjK9KQPv


「「変身!!」」
『Complete(コンプリート)』
『Turn Up(ターンアップ)』

雅人と剣崎はお互いのバイク、『サイドバッシャー』と『ブルースペイダー』に乗りながら変身する。
公道を走りながらカイザ、ブレイドへと変身を完了した二人はアンデッドが現れたという山奥へと急ぐ。

それからしばらく走り、二人のバイクが山に入りかけた、その時だった。
後ろからやってきた赤いバイクがカイザとブレイドを追い越し……
「……うわッ!」
「なんだ?」
二人のバイクの目の前で急に止まった。
「何なんだ、お前は!」
「…………」
怒鳴るブレイドに対し、赤いバイクに乗った男は黙ってヘルメットを外し、立ち上がる。
「カテゴリーAは俺が封印する。お前達に邪魔はさせない」
同時に男の腹に赤いハートのような形をしたベルトが現れる。
「……変身」
『チェンジ』
そして男はカマキリのような絵柄のカード-チェンジマンティス-をベルトにラウズした。
「お前は……カテゴリーA!」
「……コイツもライダーか?」
驚く二人-といってもカイザはブレイド程驚いてはいないようだが……-。
目の前で男は漆黒のライダー-カリス-へと変身したのだ。
「俺は53番目の存在……カテゴリーAでも人間でも無い……」
言いながらカリスアローを取り出すカリス。
「人間じゃないだと……?」
『Ready』
それに対し、カイザはカイザブレイガンをブレードモードにし、構える。
「はぁッ!」
「ク……!」
刹那、カリスが斬り掛かってきた。咄嗟にブレイガンで受けるが、なかなかの威力だ。
「チッ……!」
「…………。」
カイザも負けじとブレイガンを振るうが、それをカリスアローで軽く受け流すカリス。
「お前は一体何者なんだ!一度は俺達と一緒に戦ったのに……!」
さらにそこへブレイラウザーを振るいながらブレイドが乱入する。
「あの時はお前達の力を利用しただけだ……!」
「何だと!?」
ブレイラウザーとカリスアローが激突する。
「何を言っても無駄だ……!所詮コイツも人間の敵なんだよ……!」
「…………。」
今度はカイザがブレイガンを振り下ろすがやはり回避され、逆にカリスアローの一撃を受ける。
そして次に、ブレイドがブレイラウザーで斬り掛かるが、それもカリスアローで受けられてしまう。
「じゃあお前はあのオルフェノクを倒すために俺達を利用しただけだっていうのか!?」
「そうだ……!」
ブレイドとカリスはお互いの武器を衝突させながら走り回る。
カリスにとってカイザは割とどうでもいい存在らしく、スルーされ気味だ。

50:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 15:16:37 GnkYbFP9
支援しますです!


51:マスカレード
07/08/10 15:25:07 HjK9KQPv
「やっぱりお前もただのアンデッドだったのか……!」
「…………ッ!」
ブレイラウザーの一撃を受けたカリスは少しのけ反る。
カリスはただのアンデッドという言葉に少し反応したようだ。
以前にもバヂスに「人間の臭いがする」と言われ、少し反応していたが……。
二人はお互いの武器をぶつけ合い、少し距離をとる。
「許さない……許さないぞ、カテゴリーA……」
「お前と戦ってると……俺の中のアンデッドの血が目覚めてくる……」
言いながらカリスラウザーをアローにセットするカリス。
そして二人はほぼ同じタイミングで一枚のカードを取り出す。

「お前は俺の手で倒す!」
『サンダー』
「ぶちのめしたくなるッ!!」
『トルネード』
ほぼ同時にカードをラウズし、走り出すカリスとブレイド。
「「うぉおおおおおおッ!!」」
疾風を纏ったカリスアロー、稲妻を走らせたブレイラウザーを構えた二人は道路の真ん中で激突する。
「ク……!」
「なに……!?」
そして、ぶつかり合う二人の攻撃力はほぼ互角だ。
爆発と一緒に弾き飛ばされる。

「……お前は……俺が封印する!」
「お前は……俺がブッ潰す!」
同じようなセリフを言いながら立ち上がる二人。
『剣崎くん、何やってるの!?アンデッドに逃げられちゃうよ!』
そんな時、エイミィからブレイドに通信が入る。
「今は目の前のアンデッドが先だ!」
「……ならこれで終わらせてやるよ」
『Exceed Charge(エクシードチャージ)』
「な……!?」
突然カリスの体が黄色い光に捕縛されたことに驚くブレイド。
横を見ればすでにカイザがゴルドスマッシュの体勢に入っている。
「終わりだ……アンデッド。」
呟いたカイザはカリスの前に現れた円錐目掛けて一気に飛び上がった。
「ク……!」
カリスも諦めかけた、その時……

『始さん!』

カリスの脳裏を過ぎったのは楽しそうに自分の名を呼ぶ天音の顔。
「(そうだ……俺はこんな所で負けられない……!)」
「シャドーチェイサーッ!」
カイザが円錐に入ろうとした瞬間、カリスは大きな声でその名を呼んだ。
すると、さっきまで始が乗っていた赤いバイクは
漆黒の『シャドーチェイサー』に変身、さらにカイザに向かって走り出したのだ。
「何ッ!?」
そしてシャドーチェイサーに突進されたカイザは地面に落下、同時に円錐も黄色い光も消える。

カリスはそのままシャドーチェイサーに跨がり、立ち去ろうとしている。
「待て……逃げるのか!?」
「ブレイド……決着はいずれつける!」
この勝負は次回に預けるとでも言わんばかりにシャドーチェイサーで走り出すカリス。
「待て、カテゴリーA!」
「……カリスだ。」
そして最後にそう言ったカリスの姿は、だんだんと小さくなっていった……。

52:マスカレード
07/08/10 15:31:13 HjK9KQPv

数分後、さらに山奥。

「カテゴリーAには逃げられたか……」
『スピリット』
言いながらラウザーから現れた透明のゲートを通るカリス。
すると全身のカリスベイルが消え、その姿は相川始のとなった。
「次は封印する……」
始はシャドーチェイサー『だった』赤いバイクに跨がり、ヘルメットを被りながらそう言った。

翌日。なのは達の通う学校、その屋上。
何故か焼きそばパン屋が二つ並んでいる。
「なるほど……ここでパン対決をするということか」
腕を組みながら横にいる翔一を見る天道。
「はい!どっちの方が売れたかで勝負しましょう!」
「いいだろう……。」
翔一もかなり張り切っているようだ。
「あ、そうだ!そこの加賀美さん?ちょっと試食して下さいよ!」
「え!?なんで俺が……」
突然話を振られた加賀美も驚いている。
「そうだな……勝負を始める前に津上の実力を見てやる」
言いながら自分のパンを差し出す天道。
「まずは俺のからだ。」
「わかったよ……。」
仕方ないのでパンを食べる事にした加賀美。
天道の焼きそばパンを一口口に運び……
「うまい……!流石天道だ!」
いかにもおいしそうに頬張る加賀美。そのまま一気に完食した。
「じゃあ、俺のも食べてくださいよ!」
今度は満面の笑みを浮かべた翔一が自分の焼きそばパンを持ってくる。
加賀美はそれをゆっくりと口にいれ……
「しあわせだ~」
今にも天に昇ってしまいそうな幸せな顔でガツガツと焼きそばパンを食べ始める加賀美。
天道も軽く驚いているようだ。まさかここまで上手いとは……
「で、どっちが美味しいんですか、先輩?」
気になる答えを求める蓮華。
「う~ん…………」
加賀美は腕を組んで悩んでいる。そんなにどっちも美味しかったのか……
「……うん!俺には決められない!」
大きな声で言う加賀美にガッカリする一同。
「先輩……散々悩んでソレですか?」
「いや、ホントにどっちも美味いんだって!」
蓮華に白い目で見られた加賀美は慌てて言い訳を言う。
そんな二人を尻目に、天道と翔一は黙って火花を散らせるのだった。
昼休みまでもうすぐだ……。

一方、アースラ・ブリッジ。
リンディは通信で本局のスタッフと通信していた。
『リンディさん、デンライナーはもういつでも発車できますよ』
「そう……Gライナーの調子はどうなの?」
『良好ですよ!』
「それは心強いわね」
クスクスと微笑むリンディ。
『Gライナーはスタッフも有能な人ばかりですからね。まぁ三人しかいませんけど』
通信の相手もモニターの向こうで苦笑している。
「三人でも立派なチームよ。確か、SAULだったかしら?」
『ええ。氷川くんも初陣に備えて張り切ってますよ』
ちなみに初陣とは外ならぬカブト捕獲作戦の事だ。

53:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 15:41:18 XGEgJ2Uq
支援

54:マスカレード
07/08/10 15:50:41 HjK9KQPv
「(天道総司……か……)」
リンディも「どうしたものか……」といった表情をしていた……。

数時間後。
「どっちも売切れ……か。」
「引き分けですねぇ……」
屋上の屋台で落胆する天道と翔一。
「まぁいいじゃないか!どっちも完売したんだから!」
「それはそうと加賀美……」
「ん……何だ、天道?」
「何だ?じゃない。何か新しい情報は入ったのか?」
天道達はパンを売るためにわざわざZECTの力を使って学校に潜入している訳ではない。
ワームが絡んでいるであろう学校の怪談事件を解決するために学校に来ているのだ-まぁ天道は少し違う理由だろうが……-。
「ああ……それならいい情報が入った」
「ほぅ……言ってみろ」
「この学校には何年か前に、全国大会に出場する程の合唱部があったんだ」
今日手に入れた情報の説明を始める加賀美。
加賀美が言うには、その合唱部はある日突然消え、
それからこの学校では合唱部の幽霊の歌声が聞こえるようになったらしい。
「学校の怪談……か。他には?」
「まぁそんなところだ。どうせただの噂だと思うけどな」
それに対して天道が「いや……」と言いかけた時、突如として歌声が聞こえてきたのだ。
「うわ~……タイミングいいなぁ、コレ」
「世の中そういうモンですよ♪」
余りのタイミングの良さに驚く翔一だが、あっさりと蓮華に丸め込まれてしまうのだった。
「行くぞ、天道!」
「幽霊だったら、お前に任せる」
急いでグラウンドに向かおうとする加賀美にサラっと言う天道。
加賀美も流石に頭にきたようで……
「そんなワケ無いだろッ!!」
鼻息をフンフンと鳴らしながら持っているタオルを地面にたたき付けながら立ち去る加賀美。
「……いいんですか?」
それを見た翔一も苦笑いしながら天道に話し掛ける。
「ああ……アイツはな。」
腕を組んだまま表情を変えない天道。翔一は「この人達仲いいんだなぁ」と心底思ったという。
「さて……行くぞ、津上……!」
「はい!」

グラウンドには濃い霧が立ち込め、いかにも何かが現れそうな雰囲気だ。
加賀美もゆっくりと霧に近付いていく。
その時……
「気をつけて下さい!居ますよ……」
「居るって何が!?」
突然の翔一の声に驚いた加賀美はビクッとしながら後を見る。
「ワームだ。」
さらに翔一に続いて天道も現れる。翔一も天道もやけに落ち着いている-まぁそれが心強いのだが……-。
加賀美は再び霧を見つめる。
すると中から喪服姿の女と、数匹のサリスが現れる。

「行くぞ、津上!」
「はい、天道さん!」
次の瞬間、翔一の腹にはオルタリング、天道の腹にはライダーベルトが装着されていた。
ちなみに翔一の姿に驚いているのは加賀美だけだ。
そう……二人はお互いが戦士であることに気付いていたのだ。
最初にサルで出会い、自己紹介をしたあの時から、お互いの目を見た瞬間から。

そして翔一はクロスさせた両手を腰にあて、前方に右手を伸ばす。
一方、天道はカブトゼクターを構え……
「「変身!!」」
二人は大きな声で叫んだ。

55:通常の名無しさんの3倍
07/08/10 15:58:39 suKGq4Mh
支援!

56:マスカレード
07/08/10 16:02:09 HjK9KQPv
次の瞬間、天道と翔一の姿は変わっていた。
銀のアーマーを身に纏ったカブトと、金の装甲に大きな赤い目が特徴的なライダー、アギトだ。

二人はそのままサリスに突進、凄まじい速度で薙ぎ倒していく。
「ちょ、ちょっと待て……変身!」
加賀美も慌てて変身し、サリス達に突っ込んでいく。

アギトはパンチやキックで、ガタックはプロレス技でサリスを爆発させてゆき、
カブトはカブトクナイガン・アックスフォームでワームを斬り捨てていく。
サリスの数も減ってきた所でカブトとガタックはベルトのゼクターホーンを起こす。
「キャストオフ……。」
「キャストオフ!!」
『『Cast off(キャストオフ)』』
そうすることで二人のマスクドアーマーは弾き飛ばされ、近くにいたサリスが爆発する。
一方アギトもストームフォームにフォームチェンジし、ベルトからストームハルバートを抜き取る。
ワームは三人のフォームチェンジに反応し、そのうち一体のサリスが成虫へと脱皮を始める。
茶色の体をしたコノハムシに似たワーム……『フォリアタスワーム』だ。
フォリアタスワームはライダー三人に向かってくるが、その前にカブトが立ち塞がる。
「お前の相手は俺だ。」
言うが早いかカブトはクナイガン・クナイモードでフォリアタスワームを切り裂いていた。
さらに、突然紫のワームが空から急降下、アギトに襲い掛かる。
「クッ……!」
突然の奇襲に怯むアギト。
このワームはキリギリスに似た姿を持つ『レプトーフィスワーム』だ。
最大70mという驚異的な跳躍力を持つ。
こうなると自然にレプトーフィスワームの相手はアギトということになる。
ちなみにガタックはサリス軍団を相手に戦っている。


一方、アースラ。
「艦長、カブトが現れました!」
「場所は?」
エイミィの報告を受けたリンディはすぐに場所を確認する。
「ええと……なのはちゃんの学校です!」
「何ですって!?」
驚いたリンディはしばらく考え……
「クロノと剣崎くんに出動命令を!それから、デンライナーの発車要請もお願い!」
「わっかりました!!」
エイミィはすぐに本局に通信を入れる。


「剣崎!」
「どうした……!?」
クロノに呼ばれた剣崎は慌てて反応する。
「カブトが現れた!すぐに行くぞ!」
「カブトが!?わかった!」
剣崎はすぐにテーブルに置いていたブレイバックルを掴み、ブルースペイダーが停めてある駐車場へと走り出した。
ちなみにクロノは正式なZECTライダーでは無い為にマシンゼクトロンは支給されていない。
仕方がないので、ブルースペイダーに二人乗りだ。

57:マスカレード
07/08/10 16:07:39 HjK9KQPv


「どおりゃああああッ!!」
ガタックは最後のサリスをダブルカリバーで爆発させる。
周囲を見れば、一方的にフォリアタスワームを斬りまくるカブトと、
空から降ってくるレプトーフィスワームに苦戦するアギトの姿が。
「え~と……取りあえず、こっちだ!」
ガタックはカブトと戦うフォリアタスワームに向かって走り出した。

「ふん……!」
クナイガンに斬られ続けたフォリアタスワームもかなり弱っている頃だ。
しかも横を見ればガタックまでこちらに向かっている。
カブトはガタックに合図を送り、ガタックもそれに「おう!」と頷く。
天道と加賀美程の仲になると何も言わなくても伝わるのだろう。
……まぁ二人はそんなこと認めないだろうが。

『『One-Two-Three!!』』
ガタックとカブトはほぼ同時にゼクターのフルスロットルを三回押す。
それにより二人の脚にタキオン粒子がチャージアップされる。
そしてガタックは飛び上がり、カブトは回し蹴りの姿勢に入り……
「どぉりゃああああああ!!!」
「……はぁッ!」
『『Rider Kick(ライダーキック)』』
二人のライダーキックが炸裂したフォリアタスワームは見事に爆発、四散した。

「あとは津上か……」
カブトはそう呟き、アギトを見る。
アギトはなんとかストームハルバートで防いではいるが、空からの攻撃に防戦一方だ。
ガタックも急いで助けに行こうとするが、カブトに止められる。
「何するんだよ天道!?」
「俺達が助けるまでも無い。黙って見ていろ」
「はぁ?」
ガタックも何か策があるのかとしぶしぶそれを聞き入れる。


「(クソ……空からの攻撃じゃ、対応できない……!)」
ストームハルバートでレプトーフィスワームのジャンプ攻撃を防ぐアギト。
このままではいつかはやられる。
そして次の瞬間……
「……な!?」
ついにレプトーフィスワームの攻撃が直撃したアギトはそのまま吹っ飛ばされ、地面に転がる。

「天道……!」
「黙って見ていろ。奴は戦士だ……この程度ではやられん」
ガタックは焦って駆け寄ろうとするが、カブトは「手を出すな」の一点張りだ。

「(ダメだ……このままじゃ勝てない……このままじゃ……!)」
アギトは地面に転がりながらレプトーフィスワームを見つめる。
レプトーフィスワームは舌なめずりをしているのか、黙ってこちらを見ている。
かなり挑発的だ。
「(アイツは空から襲ってくるんだ……)」
レプトーフィスワームの動きをよく思い出すアギト。
奴は空に飛び上がり、急降下と共に攻撃を仕掛けてくる。
「(……そうか!)」
何かに気付いたアギトは一気に立ち上がった。
それに対し、レプトーフィスワームもアギトに向かって走り出す。
「…………。」
アギトは精神を集中させ、右腰を力強く叩いた。
同時にアギトの体は赤く染まり、ベルトから赤い刀-フレイムセイバー-を抜く。
これがアギト第三のフォーム、『フレイムフォーム』だ。

58:通常の名無しさんの3倍
07/08/10 16:08:54 suKGq4Mh
法律守れや執務官!支援!

59:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 16:13:33 74K3ajnl
バイクの二人乗りまでならまだ大丈夫!ヘルメット被っていれば。

支援。

60:マスカレード
07/08/10 16:14:45 HjK9KQPv

レプトーフィスワームは先程と同じように空高く跳び上がる。
アギトは「もう見切った」と言わんばかりにフレイムセイバーを構える。
そうすることでフレイムセイバーのクロスホーンが展開し、その刃を炎が包む。
燃え盛る炎の剣を構えたアギトはレプトーフィスワームを直視し……

「はぁーーーッ!」
そのまま落下してきたレプトーフィスワームの腹にフレイムセイバーを突き刺す。
それによりレプトーフィスワームの体がフレイムセイバーの炎に燃え始める。
さらに重力に引かれたレプトーフィスワームの体はフレイムセイバーに真っ二つに裂かれる。
次の瞬間にはレプトーフィスワームも他のワームと同じように爆発。
フレイムフォームの必殺技、『セイバースラッシュ』だ。
アギトが構えるフレイムセイバーは、美しく夕日に煌めいていた。


そして……

「終わったみたいだね」
突然の声に振り向く三人のライダー。
そこにいるのはなのはとフェイト。
「カブト……それからアギト、貴方達を捕獲します!」
三人にバルディッシュを突き付けながら言うフェイト。
「(え……なのはちゃん……フェイトちゃん!?)」
アギトも声には出さないが驚くアギト。「なんで……!?」と言いたげだ。
まさか自分の知り合いがあんな物騒な武器を構えて自分達を捕獲しようとするとは夢にも思わないだろう。
さらにその後ろからザビーとブレイドまで現れる。
「カブト……今日こそ捕獲する!」
そう叫んだザビーはゆっくりとなのは達に近づいてくる。
「ちょ、ちょ、ちょっと待てよ!!何がどうなってるんだよ?」
慌ててなのは達とカブト達の間に割り込むガタック。
恐らく今最も状況を理解できていないのはガタックだ。
管理局に追われるような事を何一つしていない上に、協力までしているのだから。
「加賀美くん……貴方は何も悪い事してないんだから、邪魔しないで!」
なのはの言葉に驚くガタック。
「そうだ。お前は関係無い……早く逃げるんだな」
「そんなこと出来るかよ!こんな無駄な戦い、させてたまるか!」
カブトも帰れというが、ガタックはそれを拒否。天道は加賀美の事を思ってそう言ったのだが……。
「フ……お前は相変わらず面白い奴だな」
「何馬鹿な事言ってんだよ……!」

こうして第2ラウンドが始まるのだった……。

61:通常の名無しさんの3倍
07/08/10 16:16:27 suKGq4Mh
支援!

62:マスカレード
07/08/10 16:17:04 HjK9KQPv
今回は今までで一番長い話です……
と、いう訳でまずはAパート、ここで終わりです。

Bはまた様子を見て投下できそうなら今夜にでも投下します

63:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 16:19:40 ndKCYtl9
GUN道とクロスするパターンって誰か作らないのかな?

なのは「おじいさん、早く逃げないと危ないよ。」
タクアン和尚「良いデバイスを持っているな。少し借りるぞ。」
フェイト「あのおじいさん落ちながら戦ってる。」

64:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 16:22:26 74K3ajnl
>62
機動六課の一番長い(?)日、乙。

65:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 16:23:31 GnkYbFP9
GJ!
久々のアギトの活躍!
そしてフレイム登場!
そして草加の陰謀www

66:通常の名無しさんの3倍
07/08/10 16:32:25 suKGq4Mh
GJっす!!
それにしても草加め!なんて卑劣な事を!だから仮面ライダー史上に残る、卑劣漢と
よばれるんだ!。

67:リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ
07/08/10 16:34:09 s3BhHsbe
>217氏
メタビー人気者w
メタビーとイッキのシンクロ度はなんだかんだ言ってかなり高いですね。
>マスカレード氏
今回は凄いボリュームですね。
草加が黒い…。

68:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 16:58:27 fhqVoSsj
GJ!
草加…ヤな奴街道猫まっしぐらですね(褒め言葉)
でもカイザは好き!なのでせめてカイザギアとサイドバッシャーには救済措置をwww

69:リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー
07/08/10 17:06:22 KMeRMt72
>マスカレード先輩
先輩は僕と違って地の文が上手くてとても羨ましいです…
戦闘パートも僕より丁寧でほんとにほんとに素敵っスよ…

さてと、こんな未熟な僕だけど、今日中に四話特別編魔法少女リリカルリンディ「ファーストコンタクト」Aパート投下する予定です。
でもまだ暑くて気分ではないので、夜涼しくなって、ブートキャンプをやり終えてから投下します。

70:ARMSクロス『シルバー』
07/08/10 17:08:04 E1zuorhn
リュウデルタ似合いすぎだw北崎と何気にタイプ似てるし……

二話Bパート投下します。

71:ARMSクロス『シルバー』
07/08/10 17:09:22 E1zuorhn


右足で床を蹴る/左足を着地点に突き立てる/右の踵が跳ね上がる/弧を描く――右手を囮としたハイキック。
引っ掛からない――女が体を沈める/右足が空を切る/この体勢から右手は振るえない――だが甘い。
右足/蹴り足が地に着くと同時に軸足へと転化/左の足払い/拳で払われる/それも布石――身体を一回転させ爪をバックハンドで薙ぎ払う。
避けられた。女の足下/ローラーが回転し一挙に距離を離す/二メートル。
膠着状態――好都合/左手の再生完了まで十秒前後/排熱/荷電粒子砲使用可能までおよそ十三分――先程の全力射撃が祟っている。
肩越しに通路を見る――他に進入されている様子は無い。

奴の通信――そこから得られた情報。

『スターズ03』――コールサイン、最低二分隊/

一分隊当たり最低三名=合計六名はいる。
『施設内の探索』――目的はレリックとやらの回収か。
『アンノウン一体』――自分のことは知られていない。
西側にガジェットが少なかったのは逆陽動/ミスリード。警戒を薄めておいて本命を突入させる。

『聞けマッドハッター、朗報だ』インカムからの声/リーダー格の男。
『機動六課が到着した。一人だけだが、こちらはもう大丈夫だ……そちらは?』
「……多少てこずっている。そいつに援護に来るよう言ってくれ」
『了解』
それを隙と見たのか女が動いた/ローラーブレードによる疾走――速い。構えるはただ右拳のみ。
埒が明かないと悟ったか、速度と力に特化した一撃を繰り出すつもりらしい。フェイントの挙動/動作の揺らぎが見られない。

「……いい判断だ」

聞こえない声で呟く/女の拳が放たれる/右腕を盾にする。
激突/衝撃――甲殻が砕ける/剥落する欠片/中枢に損傷は無い。
女が表情を変える/驚愕――更にもう一つ。
筋肉の浮いた腹に、再生の終わった左手を押し付ける/ARMSを解き放つ/長大な指で胴を掴み、持ち上げる――ローラーが空転。

「だが、相手が悪かったな」

右腕だけで闘っていた理由――再生/左腕もARMSだということを隠す為。
接触していては荷電粒子砲は使えない/必要も無い/超高熱と電磁圧を放射するだけで、サイボーグであろうと一瞬で熔解する。
輻射熱で手が熔け落ちるリスク/デメリット――この敵を倒すリターン/メリットが遥かに上回る。

「……燃え尽きろ」

構わず左腕に力を込め、そして、

――戦術兵器としての本能が、頭の隅で警鐘を鳴らした。

咄嗟に跳躍/右へ――振り向けた眼に映る薄紫の残影。
左腕/肩口――ARMS化していない生身の部分に、衝撃。
突如現れた女剣士の一閃が、左腕を根元から切り飛ばした。

「何……!?」
「カートリッジロード!」

女剣士の叫び/長剣の鍔から弾き出される薬莢/銀の刃が炎を纏う。
下段からの斬り返し/弾く/刃の横面を右手/ARMSで叩く――受け止めるのは危険だという判断。
大上段/唐竹割り/飛び退く/回避――剣の炎は残存している。
着地の隙を狙った中段/刺突/リーチが長い――コートが焦げる。脇腹を焼かれた/浅い/再生まで六秒。
反撃――荷電粒子砲/不可/発射前に腕が熔ける。加えてタイムラグが大き過ぎる。この距離では使えない。
反撃――ARMSの完全開放/不可/周囲の被害が甚大に過ぎる。
反撃――

「っ!?」

72:ARMSクロス『シルバー』
07/08/10 17:10:23 E1zuorhn

――ARMSの配列組替/右腕を伸長させる/一メートル。
ブリューナクの槍に比べればあまりに効率が悪い/隙が大きい/威力が低い槍――しかし意表を突くにはこの上なく効果的。
その一撃が、白い棒状のもの/鞘に受け止められた――互いに飛び退く。

膠着状態――二度目。
左肩の出血は皆無。脇腹の傷/再生中。
「……新手だ。片腕を落とされた」インカム/声が上擦る。
ローラーの女が立ち上がる/胴を掴んだ左腕の指をへし折る/外す。
剣の女が構えを正す/鞘は投げ捨て諸手で構える/正眼。
『何だと……!?』インカム/髭面の男の驚愕。
「事実だ……機動六課とやらはまだ来ないのか!?」
叫ぶ――焦燥と共に。



……強い……!
そう、シグナムは思う。稀に見る強敵だ、と。
初撃の不意打ちで左腕を落としたが――否、左腕しか落とせなかったのだ。
タイミング、太刀筋、剣速、全て完璧な一撃だった筈だ。並の相手なら、脊柱を青竹のように叩き割って余りある。
だというのに、直前で悟られ腕一本。気配を殺す為に強化術は使わず、足音を消す為に通路では扱い辛い飛行さえ使ったというのに。
腕を落とされた後の行動も見事なものだ。動揺はあってもそれを行動に及ぼさず、苦痛に至ってはその欠片すら表情に出さない。
斬り上げ、振り下ろし、突く。その三段攻撃に対し、男は最後の突きを掠らせるだけで避け切り、あまつさえ反撃さえしてのけた。
連結刃たるシュランゲフォルムではなく、長剣であるシュベルトフォルムで鞘を防御に使ったのは、生涯でこれが三度目だ。

ガジェットを足止めしていた発掘員の話だと、仲間が一人、こちら側で敵と戦っているということだった。
『人型』と遭遇し、苦戦していると。だが、実際にいたのは得体の知れない両腕を持つ男とスバルだけ。
つまり、その仲間はこの両腕の男に殺され、死体さえも残っていないということ。人型――言い得て妙だ。
溶解したガジェットの残骸、そしてあの砲撃から推測するに、『仲間』は特殊な砲戦魔導師だったのだろう。近接戦では脆弱だ。

シグナムは、レヴァンティンを構え直す。正眼から、ゆっくりと持ち上げ八双へ。
柄を握る手に力を込め――

「事実だ……機動六課とやらはまだ来ないのか!?」

男の声を聞き、その手から力が抜けた。

「……待て。今、何と言った?」
「何?」

男が怪訝そうに眉を顰める。
……もしや、私は途轍もない思い違いをしていたのかもしれん……
この男は、機動六課がまだ来ていないと思っている。つまり、自分達を機動六課だと知らない。
そんな男が、見るからに戦闘魔導師のスバルと遭遇すればどう考えるかなど決まっている。敵だと思うだろう。
『仲間』が『人型』と闘っている――この男が『仲間』で、スバルが『人型』だとすれば――
……勘違いで人の腕を叩き切ってしまったのか、私は。
こちらから敵意の無いことを示すべきか、と考え、一歩二歩と下がる。
剣を八双から下げる。柄から右手を離し、左の逆手に。
鞘を呼び戻してそれに収め、床に立てるように保持した。どのような達人であっても一瞬では抜刀できない体勢。
スバルにもそれとなく促し、構えを解かせる。

それを見た男が、ゆっくりと二歩後退した。
あの右腕が収縮し、色も通常の肌に戻る。所々が罅割れ剥離しているが、それだけだ。
左の腕は肩口から無い。外套は脇腹が無残に焼け焦げ、傷一つ無い肌を晒している――何?
その男が、呆然とした顔で聞く。

「まさか……おまえ達が、機動六課なのか?」
「……ああ」

シグナムは、そう答えた。

73:ARMSクロス『シルバー』
07/08/10 17:11:23 E1zuorhn


「まさか……おまえ達が、機動六課なのか?」
女の肯定/驚愕/不意を打たれた理由/他の敵が進入していない理由――それで全てが説明できる。
「少し待て……マッドハッターだ。援護に来た機動六課課員の特徴を教えてくれ」インカム/通信。
『長剣型のアームドデバイスを持った女だ。魔力光は薄い紫、髪の色も同じだな』男の返答。
特徴全ての合致――相手を味方だと確認。
「確認した……そちらも、俺が施設側であることの確認を」
「分かった。スバル、正門側に行って『足止めに行った仲間』の特徴を確認してくれ」
「了解!」ローラーブレード/手甲の女が疾走。
一分余り――右腕を腰の後ろに回す/敵意が無いことを示す。

手甲の女が帰ってきた/青褪めた顔。
「聞いてきました……金髪、眼は緑、青い帽子とコートに黒い両腕、だそうです」
疑惑の氷解/女剣士が表情を和らげる。



軽傷者十二名。
重傷者二名。
――死者五名。

レリックの発見報告より三十五分。機動六課到着から、およそ六分。
この事件は、それだけの被害を出して終息した。



「すまんな。こちらの手違いで――」女剣士/シグナム二等空尉の言葉。今は軍服姿/紅茶片手に。
「左腕の事なら構わん、既に大方再生している……それに、俺もそちらの部下を殺すところだった」
自分の言葉/借り受けた新しい外套/右手の珈琲に口を付ける。

――重要参考人からの事情聴取。

その名目での連行/発掘隊との別れ。
同僚/友人の死を嘆く者――約半数。
こちらに恐怖/化物を見る眼を向ける者――約半数/リール女史。
最敬礼――六名/髭面の男/魔導師達。こちらも敬礼を返す。

金髪の女/フェイト執務官からの質問/取調べ。
前置き――このまま地球には帰せない/強大な戦力/危険な技術は管理下に置かねばならない――時空管理局の理念。
こちらからの質問――帰せないのならどうするのか。
選択肢の提示――力の封印/管理局への入局、後者ならば口添えもする。
『自分自身の意思を選択し続けてきた――生き延びる為に』
『闘争の場へ! たとえプログラムであっても、それはオレを形作る真実の一つ!』
即答――後者。
執務官の質問――氏名/年齢/出身/所属/あの砲撃について/その腕について。
自分の返答――アレックス/二十五/メキシコ/カリヨンコーポレーション/極秘開発の『人体に移植する兵器』/同上。
虚偽は無い/真実ではない――『キース・シルバー』の表向きの身分。
ほぼそれだけで『事情聴取』は終わった/意思確認の書類/十数枚にサイン。
執務官――戦力査定の申請/上層部への根回し/報告書の作成があるので、明日か明後日まではこの施設/六課隊舎で過ごしてもらう。
自分――了承を伝える。互いに一礼し、執務官が退室。その十数分後、部屋の扉がノックされた。
シグナム二等空尉と名乗る声/女剣士の声が入室を求める――鍵を開ける。
軍服の女の両手には、紅茶と珈琲の缶があった。

そして、今に至る。
「再生した……? 馬鹿な、まだ一時間程度しか経っていないぞ?
 そもそも四肢の再生など、人間には――」はっとする/失言だと気付く。

74:ARMSクロス『シルバー』
07/08/10 17:12:24 E1zuorhn

謝罪しようとする/それを止めるように「その程度で謝っていれば、部下ともまともに話せんだろう……そう言えば、彼女はどうしている? 顔が酷く青褪めていたが」
「ナカジマ二等陸士……おまえと戦っていた奴なら、今は洗面所で吐いている。あの死体が余程堪えたらしいな。
 ……待て、何故それで私が話し辛くなる?」怪訝そうに。
返答/何故そんなことを聞くのかという疑問と共に。
「彼女も、サイボーグなのだろう?」



「……以上が、今回の事件に関する報告です。八神部隊長、何か意見は?」
「あ、三人以外誰も居らんねんからいつも通りでええよ。
 ……レリックは確保したとはいえ死者五名、か……重いなあ、それは」
「新人達の士気にも影響しているね……特に、スバルが」
「ん? 何かあったんか?」
「泣いてたよ。何で助けられなかったのか、って……死体も、酷い状態だったし」
「到着にはあれだけの時間が必要やった。ベストを尽くしたスバル達が悩むことちゃう……そう言うのが、大人の役割やろうな」
「……欺瞞だね、はやて。それは優しい嘘でしかないよ? スバルだって、それを分かった上で泣いているんだ。
 そう言われれば心も多少は晴れるだろうけど、偽物の青空に価値なんて無い。本人が納得できるまでそれには触れない方が……」
「せやけど、私もシグナム達も、グレアム提督……いや、あの事件に関わった人達の欺瞞の上で生きているんや。
 でも、士気は保たなあかん。それが何かを生み出すのなら、今更嘘の一つや二つ、躊躇う意味なんて無い」
「わたしはフェイトちゃんに賛成かな。今慰めても、諦めさせてしまうだけだよ。
 訓練中にそれを悩んでいるようならわたしが叩き直すから、それじゃ駄目かな?」
「……分かった。ここは二人に任せるわ……で、問題はこの男、と」
「質疑応答で手に入れた情報、裏は取ったけど……おかしいよ、これは。
 カリヨンコーポレーションは実在した会社だけど、ただの複合企業体じゃない。とんでもない曰く付きだ。
 裏で非人道的な研究を行っている情報があったから、管理局が調査の為に中隊規模で武装局員を送り込んだけど、四回目までは一人残らず消息不明。
 五回目に何とか断片的な情報だけが入手できた。裏の組織名――『エグリゴリ』という名前と、上級幹部の名前だけが」
「……ちょう待ち、私らはそんな事件があったって事すら知らされてへんよ?」
「中隊規模の部隊が魔法技術が無い世界から生きて帰って来なかった……海の面子が丸潰れだからね。無かったこととして処理された。
 提督以上の人間ですら、知っているのは一握り。リンディ統括官……母さんが知らなかったらお手上げだった。
 ……結論から言うと、もうその組織は解体されてる。倒産したら各国政府が共倒れになるから手を出せなかったんだけど、地下組織が上手くやったみたい。
 それはともかく、この人に移植されてる技術も、そこで作られた可能性が高い」
「非人道的手段によって得られた禁忌の技術、か……で、フェイトちゃんとしてはどうする心算なの?」
「現状、彼に犯罪行為は確認されていない……どころか、彼の行動が無ければ六課が到着する前に発掘隊は全滅、レリックも持ち去られていた可能性が高い。
 よって拘束はせず、自由意思による管理局入局を提示……まあ、お決まりのスカウトだね。
 必要な書類は署名付きで手に入れたし、後は許可を貰うだけ……一応、根回しも頼める?」
「……六課に必要な人材や、言いたいんか?」
「AMFに一切影響されず、インドアでの近接格闘でBランク陸戦魔導師を相手に無傷で倒せるほどの能力を持つ。
 戦術指揮を受けた発掘隊は、ミッド式Dランクが六人だけでガジェットを足止めできていた。
 魔法のこともガジェットのこともろくに知らないのに、だよ? 前線指揮能力も高いんじゃないかな?」
「……フェイトちゃん、やけに肩を持つね。子供相手でもないのに珍しいな」
「何や、惚れたか? 仕事に私情を持ち込むのは良うないで? 私達が言えた事やないけどな」
「……発掘員がメディカルチェックで確保してた血液サンプルの検査結果が、これ。
 遺伝子の一部に書き換えの痕跡があるし、テロメアも二十数年分位短いんだ……この意味、分かる?」
「……ごめん、茶化す所やなかった」
「……シグナムです。入ってもよいでしょうか?」
「丁度ええ所に来たなあシグナム。早速聞きたいことがあるんや……ズバリあの男、どや?」
「スバルが機人であることを見抜いていました。そして恐ろしく強い……正面からでは、私でも勝てるかどうか」
「……この聞き方で意味を誤解されへんのは寂しいなあ」


75:ARMSクロス『シルバー』
07/08/10 17:13:36 E1zuorhn
「……それはそうと、これで決まりかな?」
「まあ、そやな……同じ苦しみを背負った人を助けたい、思うんは当然や。フェイトちゃんの気持ちはよう分かる……一日だけ待たせてええか?」
「うん、お願い」




かつて運命に縛られていた帽子屋は、運命の名を持つ女に出会った。
かつて運命に縛られていた帽子屋は、運命を見据える女に出会った。

彼らが乗る運命のレールは、その出会いに火花を散らし軋みを上げる。



「でも、おかしいなあ……私、あの顔に見覚えがあるんやけど……」
「……はやてちゃんも?」
「会ったことがある、ワケないわな。あの眼つきは直に見たら忘れへん。
 なのはちゃんも知っとるゆうことは有名人かいな? せやけど――」




投下終了です。

76:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 18:53:23 lywv/kJ9
シルバーかっちょええ!!

77:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 19:08:06 Cu5WB23P
GJ!
さすが闘争に生きる覚悟完了後のシルバー兄さんだ!
ジャバウォックやバンダーズナッチがあんだけやったけど、管理局はARMSのことを
どんだけ知っているのか、ブルーメンはうまく隠し通せているのかな?
それにしても、室内で亜音速サイボーグやネクストに会ったら、そりゃ魔導師でも全滅するわな。
グリーンの空間転移や空間断裂とかどうしようもないし。

78:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 19:20:58 P6j+GjfE
今回もGJです!!
なるほど、シルバーの出生にはフェイトも色々と思う所があるだろうなあ
そして最後に気になる伏線が……


79:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 19:34:00 ck4Ottp3
グッジョブ
最後の似た顔の有名人というのは、アメリカ国務長官のヴァイオレットですな、
エグリゴリの幹部の名前も判ってるみたいなので、素性ばれの複線OK?

80:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 19:37:23 rKQOESDF
GJ!すぐる。
シルバーが六課入りかこれは地獄の訓練が待っているな、
亜音速の動きに反応できなかったら怒られそうだぜ。
そしてナンバーズは確実にヌッ殺されるな。

81:リリカルなのはStS×覚悟のススメ
07/08/10 19:41:56 mIO5q6Tj
有名人=バイオレットであろうか。
記憶正しくば、確か合衆国の国防関係者…
さてキースシルバー、己が道をいかに切り開く?

皆様にGJを言い切ることができぬこの身の不甲斐なき。

これより軽爆を開始いたします。
少しだけ行き詰まった『覚悟』の気分転換に、三時間程度で書き殴った小ネタであります。

82:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 19:44:52 h3l+fv7n
>>81
ドンと来い

83:リリカル絢爛舞踏祭
07/08/10 19:45:07 mIO5q6Tj

「…あなた、は?」

私の名前はOVERS・SYSTEM
七つの世界でただひとつ 夢を見るプログラム

「ここは、どこ?」

これよりあなたの舞踏の場となる世界へ通じる
一歩前の空白に位置します

「舞踏、なんのこと?」

退場を余儀なくされた戦士達に代わり
私とMAKIは 新たなる絢爛舞踏を必要としました

「…つまり?」

これよりあなたが送り込まれるのは、2252年の火星
汎銀河大戦の終結により大不況に陥った同惑星の人的被害を可能な限り減らし
全宇宙に百年の平和をもたらすことが あなたに求められる役目です

「そんなこと言われても…」

貧困から宗主国である地球への反感が強まり独立運動が激化
それに対する弾圧は強まり続け 宇宙全体に政情不安をもたらしています
まずは火星の独立を目標に行動してください

「いや、だから…」

私の名前はOVERS・SYSTEM
七つの世界でただひとつ 夢を見るプログラム

「話をっ、聞いてってばぁーっ」



こうして機動六課は、火星独立戦線唯一の戦闘潜水艦『夜明けの船』のクルーにされた。
全宇宙に百年の平和をもたらすその日まで、ミッドチルダには帰れない…


84:リリカル絢爛舞踏祭
07/08/10 19:46:46 mIO5q6Tj



◆        ◆        ◆


2253年 2月10日


「…やりきれないわぁ」
『夜明けの船』艦長、八神はやてはデータブックからニュースを見、一人落胆していた。
今日もまた、見慣れた字面が火星ニュースの記事に踊っているのだ。

『都市船イシディスで780万人死亡 革命派による虐殺か』

火星解放戦線最高指導者ヤガミ・アリアンの忠告に背き、物流操作のための海賊行為を良しとせず、
わがもの顔でのし歩き貧民達を十万単位で虐殺して回る地球軍とその同盟戦力を叩いて叩いて叩きまくり、
TV局を制圧してはアジテーション演説をくり返し、
そしてついに選挙での火星解放戦線勝利にこぎつけ、火星の独立を果たさせてみせたはやてであったが、
2253年に入り、一度は回復しかかっていた火星経済に致命的打撃がふりかかったのだ。
木星水資源公社『シスターズ』の台頭である。
火星は、全土を覆い尽くすその豊富な水資源を水素燃料に加工、その対外輸出が基幹産業となっていたが、
それよりもはるかに低重力下から水資源の打ち上げが可能である木星には、コストにおいて太刀打ちできなかった。
結果、火星の水打ち上げ事業は、生産が軌道に乗った木星に駆逐されつつある。
売れなければ儲けはない、儲けがなければ、社員に給料は払えない…水資源系企業の首切り多発。 失業者増大。
喰うにも困る人々は犯罪を起こし、それすらもできぬ人々は餓死。
それが現体制への非難につながっていくのは当然で…
それを内乱分子とみなして弾圧、虐殺しているのは、他ならぬ革命派…八神はやてが全力でバックアップした、火星解放戦線。
一体、なんのために戦ってきたのか?
十五億人いた火星人口は、たったの七ヶ月ちょっとで、八億前後にまで落ち込んでしまった。
火星経済の回復、プラス、独立による貿易の自由獲得の効果で、誰も死ぬ必要のない状況に持ってこられるはずだったのに。
変革すべきは水資源頼りの火星の経済構造そのものであったと今頃になってわかったところで、死んだ七億人は戻って来ない。
そしてこれからも死ぬだろう。 虐殺と餓死が、ニュースの紙面でワルツを踊る様が目に見えるようだった。

「アリアンが言うてたんは、これのことだったんやな」
ため息ひとつ、データブックを閉じて艦橋を離れる。
水測長アルトと、航海長グリフィスは、相変わらず忙しくコンソールをいじり回していた。
そのすぐそばで、飛行長席についていたリィンが、ぽてりと地面に落下する。

艦橋 で リ ィ ン  が  倒   れ    ま    し    た

流れる艦内放送。
床を滑走している多数の作業機械『BALLS』が、ただちにリィンを運び出していく。
八神はやては顔をしかめた。 またかいな、と。
飛行長というのは、それほどの激務なのだろうか?
なのは達、飛行隊の管制になら丁度よかろうと、リィンをつけたのは間違いだったかもしれない。
エレベーターホールに出てきたところで、副長のティアナが声をかけてきた。

「…ちょっと、いい?」
「バカヅキやな」
余勢の有り余っている副長に、はやては応える。
もっとも、地球その他の大艦隊に連日連戦連勝を収め続ける『夜明けの船』に、
余勢のない人間などすでに一人も居はしなかったが。
ちなみに、タメ口は禁止していない。 ここにいる間は、元の世界の地位に意味などないのだ。
ヤガミ・アリアンが言うには、これも『夜明けの船』の流儀らしい。


85:リリカル絢爛舞踏祭
07/08/10 19:48:13 mIO5q6Tj

「疲れた顔してるわね…」
「…なんのことや? わたし、元気やて」
「…………」
口ごもったティアナは、そのままはやての前を辞した。
どうも、心配をかけてしまっているらしい。
だが、艦の頭が弱さを見せるのはいけない。
ここはひとつ、食事でもしてきて精をつけよう。
そう思い、エレベーターで下甲板に出てきたところ。

(…なんや?)
そろって、エレベーターに乗り込む二人と出くわした。
あれは、なのはと、ユーノ。
なのはは飛行隊に所属し、人形、ことRB(ラウンド・バックラー)『希望号』のパイロットとして巨大な戦績を上げている。
撃墜スコアは120を数えるのに、敵にすら死者を一人も出していないという、別の意味のおそろしさも兼ね備えながら。
一方、ユーノは看護士である。 『夜明けの船』艦内の医療部門を統括する軍医長、シャマルの片腕として、彼もまたかいがいしく働き続けている。
機動六課がまきこまれた中に、どうして彼だけいるのか、かなり疑問ではあったが…今となっては、気にしない。
二人とも、まだ仕事時間中だが、こんな時間に一体、何を?
気になったはやては、迷わず後を追いかけた。
行き着く先は、士官個室201…なのはの個室。
気づかれぬようドアを開け、壁を背に、奥の様子をうかがい、音を聞く。
正直、この時点で、何が起こっているのか、想像はついていたが。

「じゃあ、最初は首ね」
「こう、かな…」
「ん…いい感じ。 次は、肩…」
ベッドの上に寝転がったなのはが、
ユーノに身体をまかせて気持ちよさそうにしている。
ときに強く、ときにリズミカルな指づかいを感じとるように、
ふぅ…とか、はぁ…とか、吐息を漏らしているのである。
…婉曲な表現はよそう。
簡潔に言うと、マッサージだった。 れっきとした医療行為だ。
飛行隊は出撃にそなえて四六時中、訓練し倒しであるから、
身体がガチガチに凝ってしまうのは当然ではある。
しかし、にしても。

(ユーノ君…手つき、やらしーっちゅーねん!)
無意識に右手が空中にツッコミを飛ばしていた。
そういえば思い出した。
以前、フェイトがしてきた話のことを。
いわく。
『二日前、個室でなのはの身体をいやらしく揉んだ。 そのときは、ひどく乱れた気持ちになった』
…ぶっちゃけ、死ぬほど反応に困ったのは言うまでもないだろう。
『あれはよかったなぁ』
などとのたまって思い出に浸っているのを適当に流して大急ぎで退散したが。


86:リリカル絢爛舞踏祭
07/08/10 19:49:57 mIO5q6Tj

「気持ちいい…じゃ、お尻も」
「え、お尻って…こ、こう?」
「ちょ、ちょっと、ほんとに触らないでよ、えっち~」
見ていてゲンナリな光景である。
いや、最初から出歯亀しなければよかったのだが。
いっそのこと、ふたり照れてお見合い状態になっていたり、
寄り添いあってキスをしていたりであれば、ほほえましい気持ちで見ていられたのだろうが…
マッサージなんかをさせておいて本人に『その気』がまったくないのが、なのはのおそろしさだと、はやては直感していた。
恥じらいを顔いっぱいに浮かべているユーノが、ベッドから立ったなのはを呼び止めて、

「なのは…」
「なぁに?」
「その……寝ない?」
「嫌…」
…見事な一蹴だった。
ユーノの大人技能は多分、この先ずっと、10のまま。
がっかりしているのを放って、部屋の外に出てきたなのはは、
急いで脱出していたはやてを目敏く見つけて、言った。

「お願いしたいことが、あるんだけど…」
「なんや? 言うてみ」
「マッサージ、してほしいんだ。
 身体があちこち、きしんじゃって…」
はやては、色々と理由をつけて、断った。



次回、「戦慄! キャロの大人技能を上げた奴は誰だ?」に、続かない。



87:リリカルなのはStS×覚悟のススメ
07/08/10 19:54:55 mIO5q6Tj
…なるべく、絢爛舞踏祭のゲーム中の光景に忠実にあてはめながら
皆の振る舞いを描いてはみましたが…
ゲームを知らぬ人には、どこを楽しんでいいかわからぬ代物になっている恐れあり。

我が身、あまりに未熟。

では、『覚悟』に傾注いたします。

88:リリカルスクライド//G.U. ◆etxgK549B2
07/08/10 20:08:50 awTbFqgz
GJ!投下者みんなGJ!
感想は後ほど…
そんで、みなさんに質問~
クロノ(25)の一人称って、僕でしたっけ?

89:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 20:22:18 fhqVoSsj
>>86
絢爛あんま知らないのですがGJは言ってもいい?答えは聞いてないw!
はやては中間管理職のイメージが固まってきた気がする…

90:マスカレード
07/08/10 20:26:10 HjK9KQPv
皆さんGJです!
一人一人感想書けなくてごめんなさい……

Bパート、9時前から投下始めようと思います

91:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 20:32:23 fhqVoSsj
>>88
少なくともStS漫画版(声変わり後の筈)時点では「僕」です。本編では一人称使うシーンあったかな?

>>87
追伸。覚悟クロス、戦々恐々(?)としながら続きを待っておりまするw。

92:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 20:46:53 W6CjS/0g
>>75
GJ!
かっこいいよシルバー司令官!

しかし迷ってきただけの人間を帰さず、従属さもなくば力の剥奪……改めて字に直すと本当に外道な組織だなぁ管理局。
でもエグリゴリがもうないってことは、ARMSモデュレイテッド(全滅してるけど)作成技術自体はもう地球にあるはず。
シルバー一人帰さなくたって結果はそう変わらないでしょうな。
ナンバーズは空飛んだり地に潜ったりでシルバー驚かせそうだけど、基礎スペックでザコ扱いされそうだ。
ARMSのサイボーグどもは半端無いから……

93:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 20:49:10 hJTrZwWe
超音速で地を駆けて空を飛び、無数の四肢を持て記憶を共有し引き継ぐ……
どこぞの八男を量産しているようなものですしね。

94:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 20:53:25 RwX2MyFn
個人的にはレッドキャップスの連中なんか好きだったなあ。
外道だから。

95:リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ
07/08/10 20:58:02 s3BhHsbe
二十一話の後編投下してもよろしいでしょうか?

96:マスカレード
07/08/10 20:58:14 HjK9KQPv
次の瞬間、ザビーはカブトに向かって走り出していた。
前回の雪辱を晴らす為に、なんとしてもカブトを倒さねばならない。
「はッ!」
「……甘い。」
接近したザビーはカブトに殴り掛かるも、片手で流されてしまう。
「クソ……!」
もちろんそれで終わる訳が無く、ザビーは次々とパンチを撃ち込む。
だがそれも全て受けられ、逆にカブトの打撃を受けるザビー。

「アギト……!お前は一体何者なんだ!」
「……ッ!」
フェイトが振り下ろすバルディッシュを、フレイムセイバーで受け止めるアギト。
「いきなり襲ってきたり……敵を倒すのに協力してくれたり……何を考えてるの?」
後ろから聞こえる声に振り向くと、ピンクの球体が自分に向かって飛んでくるのが見える。
「ハッ!」
アギトは咄嗟にそれをフレイムセイバーで叩き斬る。
しかもよく見れば自分の周囲を無数の球体が飛び交っているではないか。
これはなのはのアクセルシューター。無数の球体がアギトを襲う。

「止めろお前ら!こんな戦いに何の意味があるんだ!」
ガタックは戦闘を中止するように叫ぶが、一同はまるで聞く耳を持たない。
ならば無理矢理聞かせるしか無いか……
「……俺の話を聞け!!」
言いながらザビーを羽交い締めにするガタック。
「ク……離せ!」
ザビーも慌ててガタックから逃れようとするが、中々離そうとはしない。
なら……
『Cast off(キャストオフ)!』
「うわ……!」
ガタックと密接したままキャストオフ。
それによりガタックはザビーのアーマーと一緒に弾き飛ばされる。
「クソ……いい加減にしろーッ!」
頭に来たガタックはダブルカリバーを装備、そのままザビーに斬り掛かる。
「チッ……やっぱりキミもカブトの仲間か!」
ガタックに殴り掛かるザビー。
こうしてザビーの相手は一先ずガタックへとシフトした。

「カブト……いや、天道総司……!」
そして次にカブトの前に現れたのはブレイドだ。
「まったく……次から次へと……」
呆れるように言い、そのままクナイガンでブレイドに応戦する。
「……お前は本当に俺達の敵なのか!?」
「お前達が俺の邪魔をすると言うのなら、容赦はしない」
二人はクナイガンとブレイラウザーを激突させる。
赤と青のカブトムシライダー対決だ。
「俺はあんたを信じたいんだ……同じライダーとして!」
「何……?」
カブトの動きが一瞬だけ止まる。
「あんただって何か、使命を背負って戦ってるはずだ!」
「使命……か。」
呟きながらブレイドの攻撃をクナイガンで受け止めるカブト。

その時……
「……ッ!?」
大きな音と共に時空が裂け、巨大な電車が現れる。
「なんだコレ!?」
「電車……だと?」
またしても驚くカブト、ガタック、アギト。
地面にレールを敷きながら走る電車はギリギリ建物を破壊しない場所を走り、
やがて連結していた白い車両から一台のバイクが飛び出した。

97:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/10 21:04:12 GnkYbFP9
>>95-96
12秒差で被ってるな

98:リリカルスクリーム ◆0qJqyuBpiQ
07/08/10 21:09:51 s3BhHsbe
自分は後でいいです。
支援。

99:マスカレード
07/08/10 21:12:53 HjK9KQPv
白いバイクはサイレンを鳴らしながら地面に着地。
そのまま電車-『デンライナー』-は別の空間へと消えていった。

バイクに乗っているのは、管理局製の強化スーツを身に纏ったライダー……『G3』だ。
『氷川君、これがG3の初陣、頑張りなさい!』
「はい、小沢さん。」

白いバイク-ガードチェイサー-から降りたG3はサブマシンガン状の銃『GM-01 スコーピオン』を構えた。
『GM-01、アクティブ。』
Gライナーから遠隔操作でスコーピオンのロックを解除される。

「カブト!お前を捕獲する!」
G3はどこか滑舌の悪い喋り方でカブトにスコーピオンを向けた。
「……やれやれ、また管理局か。」
こうなるとカブト・ガタック・アギトの三人に対し、敵はなのは・フェイト・ザビー・ブレイド・G3の五人という事になる。
「(津上があの魔導師二人を、俺がこの男と今現れたライダーを相手にすればなんとかなるか)」
瞬時に状況を判断するカブト。出来ればあと二人、味方が欲しい所だが、無い物ねだりをしても仕方が無い。

「ハァッ!フン!」
一方、アギトはフレイムセイバーでなのはの放ったアクセルシューターを一つ一つ叩き落として行く。
「これなら……!」
『Haken Saber.』
フェイトがバルディッシュを振るうと、バルディッシュの魔力刃がアギトに向けて飛び出した。
「ク……!」
アギトは咄嗟にフレイムセイバーを両手で構える。すると、次の瞬間にはフレイムセイバーは二本に分裂していた。
「ダブルフレイムセイバー……!」
アギトは二本のフレイムセイバーでフェイトが飛ばした魔力刃を迎撃する。
「次!」
『Divine buster.』
「な!?」
今度は斜め上方向からのディバインバスターだ。
「(……かわすしか無いでしょこんなの!)」
常人を遥かに凌ぐ反射神経を持つアギトは咄嗟に転がってディバインバスターを回避。
ここまでやってまだお互いに一撃も入れていないというのがまた凄い。

「天道が一体何したって言うんだよ!」
「キミが知る必要は無い!」
ザビーの放つパンチをクロスさせたダブルカリバーで受け止めるガタック。
「それで納得できる訳無いだろ!」
「別にキミには関係無いんだ!納得して貰わなくて構わない!」
ザビーが放つパンチを一方的に防ぐだけのガタック。
「確かに天道は目茶苦茶な奴だけど、管理局に追われるような覚えは無いだろ!」
「それがあるんだよ!キミの知らない所でね……!」
ザビーは防戦一方のガタックを殴り続ける。ガタックもそろそろブチ切れそうだ……

「ふん……!」
「速い!?」
カブトは一気にG3の後ろに飛び上がり、G3も慌てて振り向く。
だが時既に遅く、クナイガンの一撃を受けたG3はそのまま倒れこんでしまう。
「止めろ!話を聞いてくれ!」
ブレイドもカブトに駆け寄るが……
「くどい。言ったはずだ……お前達と話すことなど何も無い!」
再びブレイドに接近し、クナイガンを振り上げるカブト。
ブレイドはそれを上手くブレイラウザーで受け止める。


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