リリカルなのはのクロスSSスレその7at ANICHARA
リリカルなのはのクロスSSスレその7 - 暇つぶし2ch520:マロン名無しさん
07/07/20 14:23:07 4lvQSo6V
>>509
GJ!!これからフェイトやアルフ、アースラメンバーに会うと思うと笑ってしまう。
彼は変人だがめちゃくちゃ強いからなぁ。常時ソニックフォームだし。クロノ登場時に
間違えて分身烈風拳を喰らわせて欲しい。
>>519
GJ!!ティアナ名前長いし二が多いのとスバルせめて会話をしようとしてくれw


521:リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー
07/07/20 14:23:17 sB6gwr2Y
>>464
本郷達は変身能力を失ってる身なんでナンバース達と戦う予定はありません…
ただ皆がナンバースに会ったとしたら彼女達を哀れむとは思いますよ。
本郷達も脳改造されていたら(村雨に至ってはもう少し記憶を取り戻すのが遅れていたら)
確実に彼女達のような戦う為だけの戦闘兵器になっていたので。

>翔一について
それはまた後日話しますのでお楽しみに。

>マスカレードさん
ザビーは出しません。
出したところで空気は確定だし、戦力にもならないので…
アナザーアギトとサソードで許してください…

それと質問なのですが、僕、第二話のAパートだけはなのは達を全く絡めず、光太郎さん主役で行こうと思ってるんですけど、やっぱなのは達と絡めなきゃダメですか?

522:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/20 14:34:26 HGoADBst
それでもかがみんザビーを待っている俺がいる君がいる太陽が呼んでる

523:マロン名無しさん
07/07/20 15:03:30 4lvQSo6V
アナザーアギトがでると分かった時点で私はあなたの下僕だ。
好きにすればいい。他のライダーに比べると一番生物ぽくって好きだ。
アサルトキック時のクラッシャー開放なんて興奮して寝れないよ。

524:魔法少女リリカルスクリームの人
07/07/20 15:33:14 TeC66w/X
皆さんGJです!
サイボーグクロちゃんかぁ…アニメでは漫画の自衛隊がめちゃくちゃ
やるって展開が不味かったのか民間自衛隊とかいう組織が出てきたの覚えてます。
>>521別に構わないのでは?
自分の作品でも恭也とTFの戦いだけでなのは達
管理局メンバーが出てこなかったことがありますし。


525:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/20 15:35:48 P5B7eoFj
>>52
そういえば、個人が核兵器を所有してたっけな、クロちゃんの自衛隊はwwww
そして打とうとするたび、クロちゃんやミーくんの突っ込み入ってたな。

526:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/20 15:39:09 pGFj79+F
ヘビビンガーとかおスネちゃん作戦とかあったなwww

527:魔法少女リリカルスクリームの人
07/07/20 15:46:48 TeC66w/X
まだ本編書くかどうかは未定なんすけど(需要あるかわからないし
知ってる人居あんましいないないだろうし)とある映画とのクロス思いついたんで
出だし投下して見てもいいですか?
あとリリカルスクリームの続きは今日か明日投下します。

528:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/20 15:57:20 pGFj79+F
かもおおおおおおおん!!!!

529:魔法少女リリカルスクリームの人
07/07/20 16:01:03 TeC66w/X
時空管理局機動六課フォワード・スターズ03スバル・ナカジマ

それは六課設立から少し経ったある夏の
ことでした…その日、私とティアナ二等陸士はちょっとした事故の事後処理があったために
なのは隊長達が住んでいる世界を訪れました。事故の事後処理は問題なく
終了し、私達は付近に巡らした結界を解いて機動六課の宿舎のコテージに戻ろうとしました。
しかし転移した先はコテージではなく、古い木造の小学校の校舎でした。転移座標を
間違えてしまったのかと思い外に出ようとする私とティアナでしたがどの出入り口も硬く閉ざされて開きません。
それどころか魔法まで使えなくなってしまったのです。校舎中の時計は全て「4時44分」を指したまま
止まっていました。どこからか女の子の無邪気な笑い声が聞こえてきて、背後からは怪しい気配が…
振り返るとそこには…あぁ…。


クロス元「学校の怪談」シリーズ


530:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/20 16:01:25 4lvQSo6V
『投下した』なら使っていいッ!!

531:魔法少女リリカルスクリームの人
07/07/20 16:11:27 TeC66w/X
学校の怪談は
1は面白いですよ。後半はクマヒゲさんことインフェルノの造形とあいまって
ほとんどバイオハザードですけど。
2は時計がテーマで1よりもストーリー重視になってます。ラストはちょい感動。
3はいささか怪獣映画っぽい音楽が微妙。基本面白いけど。
4は一番怖いです。でも花子さんもテケテケも出てこないんだよな。
学校の怪談シリーズとして見ると微妙。
ちなみに撮影ロケ中に砂浜に卒塔婆が流れ着いてきたり主演の子役の夢枕に幽霊が立ったり
など怖いエピソードにも事欠きません。

532:398
07/07/20 17:33:50 yxsT01TI
>>529
なかなか面白そうな雰囲気ですね。続き期待しています。

では、こっちもSIRENクロスネタの続きを投下しようと思います。

533:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/20 17:35:13 z9QiZhnH
キター!

534:398
07/07/20 17:36:09 yxsT01TI
―Lylycal Nanoha StrikerS × SIREN ~Welcome to Hanyuda vil~― part2

 キャロ・ル・ルシエ  蛇ノ首谷/折臥ノ森
            初日/0時03分34秒

 サイレンが鳴り止んだ。
 その後、周囲に拡がる静けさ。
 時折木の葉がこすれる音が聞こえる。

 とにかく……フリードを呼んでここから出よう。

 わたしは相棒の竜の名前を呼んだ。

 足がまだ痛い。
 そしてその場に座り込んでじっと待った。
 下は水溜りだったらしく、じとっと濡れる感触があった。
 気持ち悪いので、濡れていない場所を探して再度腰掛けた。

 ふと真上を見上げた。

 木々の隙間からのぞかせる空には星一つ無く、ただ真っ暗な空間が拡がるのみ。

 ―?
 5分ほど待ったが、いっこうにフリードは姿を現さない。


535:398
07/07/20 17:37:14 yxsT01TI
「フリード!早く来て!」
 わたしはもう一度呼んだ。
 たが、やはりその後には何事も無かったかのように、静まり返っていた。
 竜の羽ばたきの音はおろか、風の音すらしない。

 ただでさえ、近くにはガジェットや戦闘機人がうろついているかもしれない状況。
 こんな時なら、すぐさま飛んでくるはずなのに。
 どうしちゃったんだろ。
 ひょっとしたら、ガジェットらに取り囲まれているんじゃ……。

 わたしはすぐさま竜魂召喚の詠唱を始めた。
 足元に巨大な魔方陣が現れ出した……。

「蒼穹を奔る白き閃光。我が翼となり、天を翔けよ。来よ、我が竜フリードリヒ。竜魂召還!」

 だが……フリードリヒの姿は現れない。
 ただ魔方陣が空しく回転しているだけ。
 そして、何事も無かったかのように魔方陣は消滅した。

「え?なんで?」
 今起こっているが理解できなかった。
 普通なら、本来の姿のフリードが出てくるはずなのに!
 詠唱が不完全だったのかと思い、すぐさま再度魔法の発動させる。

 魔法陣が出現するものの……やはりフリードは現れない。

536:398
07/07/20 17:39:18 yxsT01TI
 ど、どうなっているの?これ!?

 わたしはただ、うろたえるしかなかった。
 普通ならまずありえないことだった。

 まさか……フリードが倒されて死んだんじゃ……。
 そんな思いがふと頭をよぎった。

 いや、そんなのは嫌!
 わたしは目を閉じて、けんめいに首を振って、そんな予感を振り払おうとした。

 その時だった。
 視界に白い砂嵐―まるで放送が終わったテレビが映し出す画面のような―が現れて、画面が切り替わる。
 目の前には勢いよく生い茂る木々の葉。
 それを掻き分けながら前進しているようだった。

 そして再び砂嵐の画像になって……私が今までいた風景が見える。

 い、今のは何?
 何が起こったのか、全く理解できなく、その場でただ立ち尽くす。

 再び、砂嵐が映って……画面が切り替わる。
 相変わらず木々を掻き分けて……立ち止まっていた。
 息遣いがやたらと荒い。しかも、視線もどこか安定していなく、ふらふらとしている。

537:398
07/07/20 17:40:26 yxsT01TI
 葉の隙間から、目の前に広がる光景が僅かに見える。

 その先には誰かの後姿。
 背は小さく、白い帽子をかぶった、桃色の髪の小柄な人物。白いマントを羽織っていた。

 これって……わたし!?

 ふと視界の隅に、わたしを見ている「誰か」の手にしているものが映る。

 ―鎌!?
 それははっきりとは分からなかったが、草刈なんかで使う鎌だった。
 しかも、その刃先には何かが滴り落ちて……!!

 同時に画面が再び切り替わり、元の視界に戻る。
 すぐさまわたしは後ろを振り返った。

 すると……それと同時にその先に見える茂みが動き出す。
 がさがさと木の葉を掻き分ける音が響く。

 わたしの頬を一筋の汗が静かに流れ落ちる。
 やけにひんやりとして気持ち悪い。

538:398
07/07/20 17:41:44 yxsT01TI
 茂みを掻き分けて……一人の人影が姿を現した。

 麦藁帽子をかぶって、白いシャツにズボンをはいた男の人だった……。
 でも……明らかに様子が変だった。

 服は汚れがついて、ボロボロで。
 姿勢もどこかおぼつかなく、フラフラしている。
 何より……顔は青白く、目からは血の涙を流し、白目をむいて不気味に笑っていた!
 その手には、血が滴り落ちた鎌が!

 明らかに人じゃない。
 そいつはゆっくりとわたしに近寄ってきた。

 逃げ出さなきゃ……そう思っても、体が動かない。
 ただ、ぶるぶると震えながら……そいつが近寄ってくるのを見ていることしか出来ない。

 そいつはわたしの目の前に立ち、じっと見ると、口を歪めてなお笑い出す。

「……お嬢ちゃんも悪い子だね……こんな夜中に出歩いちゃだめだぞお!ぎゃははは!」
 うめくような低い声で笑い出すと、手にしていた鎌を振り上げた!

 ―to be continiued―

539:398
07/07/20 17:43:31 yxsT01TI
今回の投下はここまでです。
感想およびご期待に激しく感謝です。

540:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/20 17:44:41 z9QiZhnH
キャロが・・・・・最初の犠牲者か!?
いやここはまだ助かって、最後の最後に絶望がやってくるんだな、きっと

541:398
07/07/20 17:46:48 yxsT01TI
いい忘れましたが、今回の舞台は1です。
なお、作中で他人の視界を盗み見る描写を示しましたが、これはSIRENではおなじみ
の視界ジャックとお考えください。
できれば夜にもう1発投下します。

542:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/20 17:56:33 z9QiZhnH
あ、言い忘れた



         / ̄ ̄ ̄フ\               _       ノ^)
       // ̄フ /   \            .//\     ./ /
      //  ∠/  ___\___  __//   \   / (___
    // ̄ ̄ ̄フ /_ .//_  //_  /      \./ (_(__)
   // ̄フ / ̄////////////         |  (_(__)
 /∠_/./ ./∠///∠///∠//      ∧ ∧ /) (_(__)
∠___,,,__/ .∠__/∠__/∠__/       (´ー` ( ( (_(___)
\    \ \/ ̄ ̄ ̄フ\ \ \_ \  _   /⌒ `´  人___ソ
  \    \ \フ / ̄\ \ .//\  //\ / 人 l  彡ノ     \
   \ _  \//___\/∠_  //   < Y ヽ ヽ (.       \
    //\///_  //_  ///     人├'"    ヽ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   //  //.////////∠/      ヽ-i ヽ__  ヽ
 /∠_//./∠///∠// .\\       `リノ ヽ |\  ヽ
∠____/.∠__/∠__/∠フ\.\\      c;_,;....ノ ヾノヽ__ノ


543:魔法少女リリカルスクリームの人
07/07/20 17:57:21 TeC66w/X
GJ!
キャロ死亡フラグ?

544:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/20 19:55:11 4lvQSo6V
GJ!!初めて友達がサイレンをプレイしたのを一緒に見ててめちゃくちゃびびったの覚えてるよ。
なんか怖いというか気持ち悪いという雰囲気とキャロの恐怖がよくわかっていいです。
電波を受信したんだがサイレンの世界にティベリウスが召還されたらさらにめちゃくちゃになるな。

545:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/20 19:57:57 iWTnT83g
>>リリカルなのはStrikerS+仮面ライダー氏(なのは達と絡めなきゃダメですか?)

私としましては…絡めて頂きたいですねぇ。

546:リリカル龍騎 ◆l5ZL/l4pJY
07/07/20 21:03:00 ppUPBpoF
職人の皆様GJです

>>白き異界の魔王氏
柊…もはや近所の人にまで慣れられて…カワイソス(´・ω・)
フェイトがリンディさんの味覚に染まってる…

>>217氏
>「あれ、ホントに女の子か?人間技じゃないな・・・・」
…うん、同感です

>>19
悟飯凄…って、考えてみればサイヤ人なんですからこれくらいはできますよね…
…よく考えたら、悟飯の攻撃防いだアルフも凄…

>>リリカル犬狼伝説氏
ちょ、ボーいったい何やって…w
…うん、無数の武器は日本でも違法ですね。見つかったら捕まりますね

>>511
サイボーグクロちゃん…これは大いに期待…
…いやいやいやユーノを食うなクロ…

>>230
タティアナさんの名前に2が多すぎて昔のボーボボ思い出したのも私だw
スカリの目的がバカ過ぎて吹いたのも(ry

>>リリカルスクリーム氏
学校の怪談…あまりの懐かしさに全俺が(ry
続きを大いに期待させてもらうとしましょう…

>>398
屍人怖い…屍人怖い…(SIRENがトラウマと化している)
キャロ終わ…りませんよね?さすがにこんな早く終わりませんよね?


547:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/20 21:09:03 V9kIT76Q
最近、このスレを携帯で見るだけが、多忙の中の唯一の潤いだったり。
今日の分だけですが、勿論他の職人さんもGJ!
>>217
GJ!メダロット懐かしいです。凄くらしさが出てました。
>>19
GJ!やはり悟飯は強い。本気になったらどうなるのか……。
>>リリカル犬狼伝説氏
GJ!異様なテンションと中略に爆笑しましたw
>>悪魔砲少女 対 生機融合猫氏
GJ!クロちゃん懐かしいなぁ。意外にマッチしてました。
ボンボンといえばJINGとハンゾーとNOAとナイトガンダムと……懐かしい……。
>>230
GJ!シグナムもうキャラが違うwwあとフルボッコに怯えるアギトw
>>魔法少女リリカルスクリーム氏
GJ!学校の怪談は全部見てました。1はクマヒゲさん怖かったけど怪談って感じはしませんでした。
2は怖くないけど話は面白かった記憶が。
>>398
GJ!キャロ大ピンチですね。sdkがいれば何とか……でも1ではただの人だったか。


548:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/20 22:06:59 4lvQSo6V
サイレンの「どうあがいても絶望」ってキャッチコピーはなのはとは正反対の
ベクトルですね。不屈の心を持った教官の教え子達はどこまで持つか楽しみです。
サイレンの世界に来たのはキャロだけなのかな?


549:魔法少女リリカルスクリーム十七話
07/07/20 23:04:02 TeC66w/X
「ぐうっ!」
思わず呻く恭也。
「仮にお前が死んだところで他の三人を人質にすればすむことだ!」
アルカディスがウイングガントレッドを単発モードに切り替え恭也に狙いを定めた。
「うう…!?。」
アルカディスを見上げた恭也にウイングガントレッドのビーム砲が襲い掛かった。
爆発音が辺りにこだまする。
爆炎はじきに収まったが恭也の姿はその場から忽然とかききえていた。
「当たっても別に構わんとは思ったがまさか本当に吹っ飛んでしまうとはな…。」
アルカディスは地面に降下すると辺りを見回しつつ言った。しかし…
「む!?センサーに反の…があ!」
センサーの反応を探知したアルカディスが反応するより早く彼の顔面に激痛を
告げるシグナルが走った。
「ば…馬鹿な!貴様は今吹っ飛んだハズ…?」
「御神流奥義…神速。」
瞬間的に自らの知覚力を爆発的に高めることにより、あたかも周囲が
止まっているかのように振る舞うことを可能とする恭也が習得した中でも
トップクラスに入る奥義である。彼は爆風で自分の体が隠れた瞬間に
これを使いアルカディスの背後に回ったのだ。再び身構える恭也。しかし…。
「……フッ。」
「何がおかしい!」
「貴様確かに人間にしてはなかなかにやる…。だが敵が一機だと思ったのは甘かったな。」
「何!?うわあ!」
神速は人間では知覚出来ないスピードで高速移動するという離れ業な
だけあって使い手の身体にかかる負担もまた大きい。
恭也が一瞬注意力散漫になった隙をついて戦闘機形態で音もなく接近してきた
スタースクリームが一瞬にして恭也を捕獲してしまったのだ。
「捕まえたぜ!この蟻野郎め覚悟しやがれ!」
「頃合ダナ…行くゾ!」
サウンドブラスターはレーザードライフルを取り出すとスタースクリームの
腕に狙いを定めた。
「恭也さん!」
「恭也!…ノエル!お願い!恭也を助けて!」
「はいお嬢様…!?…これは…新手です!」
「え…?」
殆ど悲鳴に近い声で叫んだ忍にノエルがやや上ずった声で答えた。
「うわあ!だ、誰だ!」
低出力のレーザーが恭也を捕らえていたスタースクリームの腕を撃ち抜いた。
スタースクリームがうめき声を挙げて撃たれた箇所を抑え、蹲った。
「お前人間にしちゃなかなかやるな~。まあ後は下がってゆっくりしてなよ。」
「うっ…お前は…?まあいい、とりあえずいまは感謝する」
「恭也様。こちらへ!」
神速の副作用とスタースクリームに乱暴に握りしめられたせいで身体が
痛む恭也はフラつきながらノエル達の居る方へと歩いていった。
「イジェェェェェェクト!奴を攻撃シロ!フレンジー・ランブル・フリップサイズ、
お前達はオレを援護シロ!」
サウンドブラスターは忠実な部下であるカセットロンを次々と胸の格納スペースから
出撃させた。
「民間人が襲われている!?そんな…。」
ガイルダート達との攻防を続けていたシグナムは恭也達の横で銃撃戦を始めた
サウンドブラスター達を見て青い顔をして叫んだ。
「あれはなのはのお兄さん!?…。不味い!」
「何余所見してやがる!」
「サンダースマッシャー!」
「があああ!」
その光景をフェイトも確認した。と、同時にビームガンを乱射しながらフェイトめがけて突っ込んできた
スリングがサンダースマッシャーをもろに食らって墜落していく。
「サウンドブラスター!手前…俺と一緒にメガトロンの下で働いていたくせに裏切るのかよ!」

550:魔法少女リリカルスクリーム十七話
07/07/20 23:08:25 TeC66w/X
スタースクリームとサウンドブラスター、またの名を「初代」
サウンドウェーブはかつて初代メガトロンの下で働いていた事があった。
「デストロンはもはやサイバトロンとの戦いでセーバートロンを追ワレ、
残党軍として存在するのみダ。そんな時期に分け前に目がくらんで
スーパースタースクリームに付き逃げ出したお前達こそ裏切り者ダ。」
「ほざけ!」
アルカディスがサウンドブラスターに飛び掛った。しかし、サウンドブラスターは
バックステップで軽快に回避するとそのままアルカディスの腹に回し蹴りを食らわせた。
「ぐあっ!」
アルカディスはなすすべなく吹っ飛ばされる。
「畜生!」
今度はスタースクリームが胸のダクトからミサイルを乱射してきた。
「そんな武器じゃ当たらない!」
女性型の人型形態に変形したカセットロンの1体、コンドルが翼から
噴霧したチャフとフレアで素早くミサイルを逸らした。さらにコンドルの
同型カセットロン、バズソーが胸のダクトを正確にライフルで狙い射った。
アニメでは人型に変形出来なかった彼女達カセットロンだったがビーストウォーズメタルスでの
ジャガーのようにリフォーマットされて人型形態と感情を得ていたのだ。ただし
ジャガーの場合獣の頭が頭部にきていたが彼女達は他のトランスフォーマーのように
完全な人型をしていた。
「にゃーっはっはっはっ!」
ちなみにそのジャガーも再々リフォーマットを施され、やはり以前とは違う姿の
ロボットモードを会得して無事戦線に復帰していた。
「撤退だ!アルカディス!」
「…解った!」
スタースクリームとアルカディス国守山の基地へ撤退していった。
「スタースクリームとアルカディスが逃げるぞ!俺達も行こう!」
ガイルダート達もそれに続いた。なまじガイスターズが考えた作戦を信じていない分行動は早かった。
「逃がすかよ!アアアアアッーーーー!?」
スタースクリームに追撃をかけようとしたカセットロンの一人、フレンジーだったが
突然襲ってきた雷撃によって仰向けにひっくり返った。
攻撃の主はフェイトである。素早く接近してバルディッシュで電撃を帯びた一撃を食らわしたのだ。
「一体何ガ…?グ…。」
呻いたサウンドブラスターの後頭部にシグナムがレヴァンティンを突きつける。
「あなたを犯人です。速やかに武装を解除すればあなたにはまだ弁護の機会が…。」
フェイトは少し焦って少し間違えつつも手順どおりにサウンドブラスターに武装解除を要求した。

551:リリカルなのはのKWAIDAN零話
07/07/20 23:12:05 TeC66w/X
とある真夜中の小学校…廊下に絵日記などが張り出されている中、
電話の音だけが闇をつんざいて木霊している。

「はいはいはいはい今出ますよお!」

中年の教師が電話にしぶしぶといったかんじで出ようとする。こんな夜中に
一体だれが…。

「はいもしもし~北海鳴小学校ですが。」
「…私、メリーさん。今、正門の前に居るの。」

受話器から聞こえてきたのはくぐもった女の声だった。

「ハア?あの…もしもし?……あれ?切れちゃった。」

中年の教師はやれやれ、と言いたげな調子で受話器から離れようとする。
ところが数秒するかしないかといううちに再び電話が鳴り始めた。

「私、メリーさん。」
「どなたか知りませんが…悪戯はやめてもらえませんか?」

再び受話器から流れてきた女の子の声に中年の教師はやや強い調子で言った。

「…今、校庭に居るの。」
「え?」

電話をかけてきた少女は相変わらず生気のこもらない声で言った。
中年の教師はギョッとして校庭を見回すが、人影どころか猫一匹いない。

「…花壇のところよ。」
窓に顔をくっつけて辺りを見回す教師を嘲笑うようにそこまで言うと電話は切れた。

「ったく…もう…!!…」

教師が毒づいて受話器を放ったその時再び電話が鳴り始めた。

「私、メリーさん。今、昇降口の前に居るの。」

電話の主はそういうと電話を切った。中年の教師はおそるおそる職員室
から顔を出し、昇降口の方を見た。誰も…いない。その時再び電話が鳴り始めた。
職員室の物ではない。廊下の公衆電話の音だと解った。
既に恐怖を覚え始めていた教師は体を震わせながら受話器をとる…

「あんたいい加減にしろ!こっちは忙しいんだ!」

中年の教師は勇気を振り絞って怒鳴った。

552:リリカルなのはのKWAIDAN零話
07/07/20 23:14:44 TeC66w/X
「…私…メリーさん。今…あなたのうしろにいるの。」

「えっ…」

受話器からその台詞が聞こえてきた瞬間中年の教師の背後に悪寒が走り、
何者かの気配を感じた。ゆっくりと振り返る。すると…

「な…!?」

そこにはなんと…スイカが浮いていた。そのスイカは教師が驚いて立ちすくむのを
尻目にぐるりと回転。ハロウィーンのカボチャのように目と鼻と口の装飾が施された顔を
露にすると教師に向かっていった。


「うえあああああああああああああああ!!!!!」


中年の教師の絶叫が木霊する。やがて、静かになった廊下を赤い服をはおった
女の子がゆっくりと歩いていく…。
「その先生は翌日死体となって発見されました。おしまい。…………わっ!!」
「きゃああああああ!」
ピンク色の髪の少女がクリと震えて後ろへと飛びのく。
彼女が驚いた原因の大きな声の主は時空管理局機動六課のスターズ分隊の一員スバル・ナカジマだ。
「い…いきなり何するんですかあ!」
「あははは…ごめんごめんあんまり怖がるもんだからついおかしくって…。」
頬を膨らませるキャロにスバルがケラケラと笑いながら言った。
「何馬鹿な事やってんのよスバル。キャロをいじめるとフェイト隊長に雷落とされちゃうわよ。」
スバルの同僚、ティアナ・ランスターがスバルを咎める。
平時における機動六課のごく当たり前の風景だった。そう、あの出撃命令が
出るまでは…。




553:魔法少女リリカルスクリームの人
07/07/20 23:17:48 TeC66w/X
今日はここまで。
学校の怪談とのクロスSSなんてどうせ需要ねえだろうなと思ってたもんだから
リリカルなのはのKWAIDANかなりやっつけ仕事ですよ…。
零話なんでさきほど投稿した出だしの前の話です。
次の更新は一週間後くらいかな…。

554:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/20 23:32:58 bwUgbxPL
突然だが、なのはAs×真・女神転生Ⅲ NOCTURNE マニアクス
なんてものは、需要あるかい?
ここの職人さんの作品読んでたら書いてみたくなって。

555:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/20 23:33:58 VcYARTC5
>>554
パトるシーンが出てくるなら需要ありありです。

556:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/20 23:45:28 yqr+nwK+
>>554
今から龍の眼光>wktk>wktk>wktk>龍の眼光(以下ループ)
して待ってます。

557:554
07/07/20 23:59:31 bwUgbxPL
了解!現在、大方のプロットはできてるからちょっと書いてみるよ。
確実に遅筆の初心者だが待っててくれるとありがたい。
もちろんマニアクスである以上、例の『狩人』も出すことは大決定している。

あと、リリカルスクライド//G.U. 氏にお聞きしたいのですが
この作品のスクライドはもしかしてTV最終回前ですか?

558:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 00:02:29 J0t6JZ0P
作者じゃないですが、アニメ後だと思う。無常はカズマたちを恨んでたし。


559:554
07/07/21 00:17:04 X3bcdoiz
>>558
あ~、そう言う事じゃなくて
TV最終回のカズマと劉鳳のガチタイマンの前なのかなと・・・。
クーガーの兄貴も生きてるし、それならこの事件の後にあの『ケンカ』をやるのかなと。
もしそうならスバルやエリオあたりがどんな感想を持つのかという妄想が膨らんだもんで。

560:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 00:45:52 KTNOWAaN
>>559
実は最終回あとでもクーガーさん生きてるらしいんだぜ
でも、俺アフターはなかったことにしたい派なんで最終回で散っていって欲しい…

561:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 00:50:13 hiD4qNEg
>>560
アフターって小説版?
あれもTV最終回のバトル以前の話じゃなかった?

562:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 00:55:34 KTNOWAaN
>>561
一応amazonの説明では最終回の後日らしい

563:554
07/07/21 01:16:48 X3bcdoiz
>>560
あれ?アフターに出てくる兄貴は回想のみで実際には散ってるんじゃなかったか?
それに、アフター時だとカズマと劉鳳がアルター使い過ぎでえらいことに・・・。

564:マスカレード
07/07/21 01:46:59 WcAejm35
それは小さな思いでした。
新たに始まる私達の日々。
決めたのは、戦う事を諦めない事。
誓ったのは、昨日よりももっと強くなる事。
走り出した復讐のプログラミング。
もう、二度と大切な人を傷付けないために。

宇宙の騎士リリカルなのはBLADE……
始まります。

565:マスカレード
07/07/21 01:56:03 WcAejm35
ピピピピピピピッ……
鳴り響く目覚まし時計のアラーム音。
「……ん。」
はやては時計をパシッと叩き、アラームを止めた。
明るい朝日が差し込み、今日もいつも通りの日常が始まる。
起き上がって横を見ればヴィータはすやすやと寝息をたたて眠っている。
はやてはクスッと笑いヴィータに布団をかけ直し、そのままリビングへと向かった。

「……ん……あ?」
リビングのソファで眠っていたシグナムは、キッチンから聞こえる音に目を覚ました。
「ごめんな、起こした?」
「あ……いえ。」
キッチンで朝食の準備をしていたのははやてだ。
「ちゃんとベッドで寝やなあかんよ?風邪ひいてまう」
「す、すみません……」
シグナムは自分にかけられた毛布をたたみながら謝罪する。
「シグナム、夕べもまた夜更かしさんかぁ?」
「あ……あぁ、その……少しばかり……」
シグナムの答えに「ふふっ」と笑うはやて。
間違っても闇の書を完成させる為にリンカーコアを蒐集していた等とは言えない。
「はい、ホットミルク。ザフィーラのもあるよ」
「ありがとう…ございます。」
シグナムははやてから差し出されたホットミルクを両手で受け取り、礼を言う。
「すみません、寝坊しました!」
そうこうしていると、今度はシャマルがエプロンを付けながら急いでリビングに入ってくる。
「おはよう、シャマル」
「……ああ、もう……ごめんなさい、はやてちゃん!」
シャマルはあいさつと同時に謝罪しながらキッチンに入る。もちろんはやては「ええよ」と笑う。
「おはよう……」
次にリビングに入ってくるのはシンヤだ。
「おはよう……ってなんや、シンヤも夜更かしさんか?」
「ああ……まぁね。それより、ホットミルクはあるかい?」
やはりはやてにはすぐに見破られてしまうのか。返事を返しながら着席し、ホットミルクを要求するシンヤ。
「あ……シンヤくん、その前に顔洗ってきなさい!」
それを聞いたシャマルは腰に手を当て、まるで母親のように言う。
「朝からうるさいなぁ、もう洗ったよ」
「あはは、流石シンヤやなぁ。はい、あったまるよ」
「ああ、ありがとうはやて」
シンヤの返答を聞いて笑いながらホットミルクを差し出すはやて。シンヤも「ふふ……」と笑いながら受け取る。

「(あったかい……な。)」
シンヤは手に持ったホットミルクを見つめる。そうしていると、人間だった頃の記憶が甦ってくる。
普通の家と何も変わらない朝食の風景。そこにいるのは父さん、ケンゴ兄さん、ミユキ、フォン、そして……

タカヤ兄さん。

思い出した途端に、シンヤの中から何かが込み上げてくる。自然にカップを持つ手が震えてくる。
「(タカヤ兄さん……いや、ブレードッ!)」
強くカップを握りしめ、それにより中のミルクが振動する。そして憎しみの次に込み上げる感情は、喜び。
「(ククク……ブレードは今頃……)」
考えれば考える程笑みがこぼれる。はやて達に気付かれはしないが、ちょっと危ない笑いだ。

566:マスカレード
07/07/21 02:00:17 WcAejm35


第4話「ペガス発進!新たなる力、起動!」



それは昨日の出来事。

「ハッハハハハハ……アーハッハッハッハッ!」
笑いながらクロノから離れてゆくエビル。
しかし……
「……ん?」
エビルの周囲から現れた、輝く鎖のような物が自分目掛けて飛んでくる。これには見覚えがある。
「人間共が使うバインドとか言う奴か……」

クロノの目の前で堂々と去ろうとしているエビル。もちろん執務官として逃がす訳にはいかない。
ましてやエビルは闇の書に関わる者。クロノとしても尚更逃がす訳にはいかない。
テッカマンとまともに戦っても勝ち目は無い。なら、バインドで何重にも拘束し、
動きを封じて転送する。今がそのチャンスかもしれない。いや、今しか無いというべきか。
詠唱を終え、『ディレイバインド』を発動するクロノ。エビルの周囲に現れた鎖はエビル目掛けて飛んでゆく。
しかし……
「消え……ッ!?」
目の前のエビルが消えた。そして一瞬、クロノの肌を風が掠めた。
「(まさか……)」
そして背後から感じる何者かの気配。クロノは恐る恐る後ろを振り向く。
そこにいたのは、自分の首筋辺りにテックランサーを突き付けて立っているエビル。
「……ッ!?」
「お前、死にたいのか?」
「何を……!」
「せっかく見逃してやろうと思ったけど……そんなに死にたいなら望み通り殺してやるよ!」
エビルはテックランサーを振り上げる。それを見て「殺される!」と思ったクロノは反射的に目をつむる。
「(………な?)」
しかし、テックランサーが自分に突き刺さる事は無かった。
ゆっくりと見上げれば、エビルはテックランサーを振り上げたまま静止している。

「…………。」
『(くれぐれも、殺さないでね。)』
エビルの脳裏をよぎるシャマルの言葉。
こんな虫けら一人、殺そうと思えば一瞬だ。だが、それはできない。してはならない。
ブレードならまだしも、こいつはただの人間だ。
「チッ……今回だけは見逃してやるよ。」
「……な!?」
「ただし……これが最期のチャンスだ。次は無いと思え……!」
「…………!」
エビルの恐ろしい声に返す言葉を失うクロノ。さすがのクロノでも死の恐怖を感じたのは初めてだった。
「それより……ブレードを追い掛けたらどうだ?」
さっきの恐ろしい声とは打って変わり、今度は少し楽しそうに言うエビル。
「……なに!?」
「ククク……行ってやれよ?楽しい事になってるかもなぁ」
最後にそう言い、また笑いながら立ち去ってゆくエビル。

「(ククク……『俺は』殺さないさ。後は知らないけどねぇ……)」
エビルはそう思いながらまた楽しそうに歩き始めた。

「そうだ……Dボゥイ!」
クロノはエビルが見えなくなった頃にやっと正気を取り戻し、空に上がる。まずはエビルが言うようにブレードを追うのが先だ。
「……にしても、なんでこんな時に!」
こんな非常時に敵から逃げ出したブレードに対し愚痴を零しながらクロノは捜索を開始した。

567:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 02:03:18 hJF7G3xv
支援

568:マスカレード
07/07/21 02:07:11 WcAejm35


ハラオウン家、クロノ自室。
現在、クロノは通信中。相手はレティ提督だ。
内容は、グレアム提督の口利きのお陰で武装局員の指揮権が借りられた、という話。
『それはそうと……』
「何ですか?レティ提督」
『Dボゥイの様子はどう?』
「……はぁ。今はアースラで眠ってますよ……」
クロノは少ししかめっ面をして答える。
『そう……昨日は散々な目にあったみたいね?』
それを見たレティはクスクスと笑いながら言う。まぁ昨日といっても正確には今日だが。
「はぁ、もう……死ぬかと思いましたよ……まったく。」
『フフ……まぁ助かって良かったじゃない』
「……それはそうですけど……」
言いながらかなり不機嫌そうな表情をするクロノ。

ここで再び回想シーンだ。


「……Dボゥイ!!」
クロノはブレードの捜索を開始してすぐにブレードを発見、地面に佇むDボゥイに呼び掛ける。
「聞こえないのか、Dボゥイ!」
今度はさらに接近して呼ぶ。それに気付いたブレードはゆっくりとクロノへと目線を向ける。
この時、ブレードの瞳の色が赤くなっていることにクロノは気付かなかった。
「一体どういうことなんだDボゥイ!理由の無い敵前逃亡なんて……ッ!?」
言いながら歩み寄るクロノの動きが止まった。ブレードはクロノの目の前で肩から二本のテックランサーを出し、連結したのだ。
「D……ボゥイ?」
「うおおおおおおッ!」
テックランサーを振り回し、クロノに襲い掛かろうと走ってくるブレード。
クロノは咄嗟に空に飛び上がり回避する。
「何をするんだDボゥイ!」
「うおお!おおおおお!」
言葉は通じず、さらにクロノに追撃しようとするブレード。もちろんクロノは全力全開で逃げる。


「くそッ……本当にデンジャラスボゥイだな、キミは!」
クロノはしばらく逃げ続け、いよいよもってキレかけていた。逃げながらブレイズキャノンの発射準備に入り……
「クソ……なんでこんなこと……」
クロノの中で何かが弾けた。意識を集中させるクロノ。
そして一気に急降下……いや、落下する。ブレードもそれを追うためすぐに急降下。
「うおおおおおおッ!!」
ブレードは叫びながらクロノの顔面を狙ってテックランサーを振るう。しかしクロノはそれを顎を上げて紙一重で回避。そして……
「何なんだアンタはァーーーーーーーーーッ!!」
『ブレイズキャノン』
急降下してきたブレードの腹にS2Uを突き付け、零距離でブレイズキャノンを発射。

お互いに落下する。
「……やったか?」
ダメージは与えられないまでも衝撃は伝わったはずだ。そう思いブレードを見る。
しかし、やはりブレードは無傷。普通に立っている。クロノは「ダメか」と思った。しかし……
「うおおおおおおッ!」
「何!?」
次の瞬間、ブレードはまた両手で頭を抱えて苦しみ出したのだ。
本当に苦しそうにもがき苦しみ、そして最後はその場に倒れた。

569:マスカレード
07/07/21 02:11:46 WcAejm35
「Dボゥイ?」
「…………。」
返事は無い。ブレードは死んだように動かない。
やがてブレードの体は緑の光に包まれ、人間の姿に戻った。
その時、近くに割れた緑のクリスタルが落ちていたという……。


『……で、拘束されてアースラに転送されたわけね』
「はい。まったく、Dボゥイの奴一体何考えてんだか……」
話をまとめるレティ。クロノは大きな溜め息をつきながら答えた。

「お、クロノ君。どう?そっちは」
部屋から出てきたクロノに、リビングで冷蔵庫を漁っていたエイミィが話し掛ける。
「武装局員の中隊を借りられたよ。そっちは?」
「よく無いね~。夕べもまたやられてる」
エイミィは昨晩の被害について説明する。昨日は魔導師が十数人、リンカーコアを持つ野性生物が5匹。
いずれもリンカーコアを奪われており、野性生物の内一匹はエビルが倒した龍だ。
「そういえば、Dボゥイ……目が覚めたらしいよ」
「そうか……。」
エイミィはリモコンのボタンを押し、さっきまで空中に表示していた闇の書の画像を別の画像に切り替えた。
「……これは?」
表示されているのは緑のクリスタル。だが、割れてしまっている。
「うん、Dボゥイが変身……テックセットだっけ?に使うクリスタル。」
「……でも、割れてるぞ?」
「うん……これが割れちゃったらもう……テックセット、できないらしいよ……」
「……そんな!」
クロノは耳を疑った。いきなり逃げ出して、いきなり襲い掛かって、いきなりテックセット不能なんて……訳がわからなさすぎる。

「……とりあえず今、艦長が事情を聞いてるらしいよ」
「…………。」


アースラ、面会室。
ガチャリとドアノブを回す音が聞こえ、リンディが入ってくる。
「Dボゥイ……。」
「…………。」
Dボゥイは何も言えない。
「理由の無い敵前逃亡……それにクロノ執務官に襲い掛かった理由、聞かせて貰えるかしら?」
「…………。」


数時間後。

「あ、メール……」
携帯の着信に気付いたなのは。
相手はクロノだ。どうやらレイジングハートとバルディッシュは来週には修理が終わるらしい。
それともう一つ、フェイトに「寄り道は自由だが夕食の時間には戻ってくるように」と伝えて欲しいとの事。
なのははレイジングハートの復活を心待ちにしながら、フェイトやアリサ達と思い思いの時を過ごす

同刻、八神家。
「カートリッジか?」
シャマルがカートリッジに魔力を込めていると、目の前で壁にもたれているシンヤが話し掛けてくる。
「うん、昼間のうちに造り置きしておかなきゃ」
シャマルが答える。
「大変だね。一人で任されっぱなしで」
「ううん、バックアップが私の役割だからね。これくらい平気よ」
カートリッジを眺めながら笑顔で言うシャマル。

570:マスカレード
07/07/21 02:16:02 WcAejm35
「そうか。ま、俺には造れ無いしね」
「それに、お前にカートリッジは必要無いからな」
今度は外出準備中のシグナムが上着を着ながら言う。
確かにテッカマンには魔力もカートリッジも全く関係無い。
「まあね。シグナムはこれからはやてのお迎えかい?」
「ああ。お前も来るか?」
「遠慮しとくよ。俺が行く意味が無いからね。」
シンヤはシグナムの誘いを断る。
別段はやてを嫌いな訳でも無いが、ただ迎えに行くだけならわざわざ自分が行く必要も無い。
シグナムは「そうか。」と言い、そのまま部屋を出た。


一方、再びアースラ。
「Dボゥイ……そろそろ答えてくれないかしら?悪いようにはしないから……」
「…………。」
ずっとだんまりを決め込むDボゥイにリンディは半ば諦めかけていた。その時……
「俺は……」
「……?何、Dボゥイ?」
「俺が、人の心を保っていられるのは、テックセットしてから30分が限界だ。」
「……え?」
予想外の展開にキョトンとした顔をするリンディ。
「テックセットしてから30分が経過すれば、俺の心はラダムに支配され、身も心もあの化け物になってしまう。」
「そんな……!?」
リンディはあまりにショッキングな事実に口を塞ぐ。
「だから……30分が経過して、できるだけクロノから離れようとしたのね……?」
「…………。」
「でも……それならどうして貴方はまた人間に戻れたの?」
ここで疑問に思った事を質問してみるリンディ。
「恐らく、暴走する直前にエビルのPSYボルテッカを受けて体力を消耗していたからだろう」
「…………。」
今度はDボゥイの説明に言葉を無くすリンディ。
「いいえ……きっと違うわ。」
「何?」
「貴方がまた人に戻れたのはきっと、貴方が人でありたいと願ったからよ」
リンディの言葉に驚くDボゥイ。まさかこんな風に言われるとは思っていなかった。
「貴方は化け物なんかじゃないわ。だって、ちゃんとこうして戻って来れたじゃない」
「……だとしても、変身できなくなった俺にはもう生きる意味なんて無い」
「……そんなこと言っちゃダメよ。生きてる事に意味があるんだから……」
突然ネガティブな話をしだしたDボゥイ。リンディは戒めるように説得を試みる。
「……仮に変身できたとしても……もう戦いたく無い。」
「……どうして?」
「こんないつ化け物になるか解らない奴がいても迷惑なだけだろ……」
「…………。」
Dボゥイの話を聞きながら黙って深く息を吸い込むリンディ。
「それに、俺はもう誰も傷付けたく無い。これ以上戦ってまた皆を……」
「い い 加 減 に な さ い ッ ! !」
「……!?」
リンディは大きな声でDボゥイを制した。それこそ他の部屋にまで聞こえるくらいの、特大の声で。

571:マスカレード
07/07/21 02:21:47 WcAejm35
「さっきから聞いてれば化け物だとか傷付けるとかって……あなたは誰も傷付けたりしてないじゃない!」
「傷付けてからじゃ遅いんだよ!俺みたいな化け物、いつ仲間を襲うかわからない!」
「いいえ、貴方は人間よ!化け物なんかじゃ無いわ!」
「……何と言おうが、俺にはもう変身能力は無い!もう戦え無いんだよ!」
「…………!!」
しばし流れる沈黙。リンディも黙ってしまう。いや、何か考えがあるのだろうか?
「……わかりました。」
「…………。」
だが今度はやけにあっさりと引き下がる。そのままリンディは席を立ち、面会室を後にした。


本局、メンテナンスルーム。

ピピピピピピピピッ

バルディッシュとレイジングハートの改修作業を進めていたマリーの元に通信が入る。
「誰だろ……?」
言いながらボタンを押し、相手をモニターに映す。
『久しぶりね、マリー』
「あ……お久しぶりです、リンディ提督!どうしたんですか?」
相手はアースラ艦長リンディ・ハラオウン。
『それが……ちょっと急ぎの用なのよ』
「はぁ……。」
『とりあえず、今から送るデータを見て頂戴。』
「あ、はい。」
マリーは受信したデータを見る為にボタンを押す。
同時にモニターに割れた緑のクリスタルと、そのデータが表示される。
「これは……テッククリスタル?……ですか?」
表示されている名前を読み上げるマリー。
『ええ、その割れたクリスタルを元通りに直して欲しいの。できれば一週間以内で』
「ええ!?む、無茶ですよ……こんな複雑なデータ……ロストロギア級じゃないですか!!」
モニターに表示されているだけでもテッククリスタルのデータは膨大な量となっており、それでもまだ未知の部分が多いという。
『そこをなんとかお願い!今必要なのよ、コレ……』
「う~ん……」
う~んと唸り、しばらく考えるマリー。
「……わかりました。完全に元通りになる保証はありませんけど……」
『ありがとう、感謝するわ!』

数分後、マリーの元にテッククリスタルが転送される。
「さてと……どうしようか……」
割れたクリスタルを眺めるマリー。
「そうだ……アレなら……」
何かを思い出したマリーは、ぽつりと呟いた。


その日の晩、ハラオウン家。
「……Dボゥイ、入るよ?」
言いながらDボゥイの部屋に入り、パチッと電気をつけるフェイト。
「ねぇ、Dボゥイ……」
「……何だ。」
ふて腐れたようにベッドに寝転がったまま素っ気ない返事を返す。
「その……変身、できなくなったんだって……?」
「ああ、その通りだ。戦え無い俺に生きる意味なんて無い」
気まずそうに話を持ち掛けるフェイトに、Dボゥイは冷たい口調で返す。
「前にDボゥイ……ラダムを倒すのは使命だって言ってたよね……?」
「…………。」
「その……ラダムって何なのかイマイチよくわかんないけど、Dボゥイの気持ち……わかるよ」
「……お前に何がわかる?」
Dボゥイはフェイトの顔を見ず、窓を向いたまま答える。

572:マスカレード
07/07/21 02:28:45 WcAejm35
「使命……目的の為に、強い意思で自分を固めちゃうと、周りの言葉が入らなくなるから……」
「…………。」
「そうなっちゃうと、使命を果たすまでは一歩も後に引けなくなる……。」
Dボゥイは黙ってフェイトの話を聞く。
「……それが間違ってるかもって思っても……疑っても……」
「…………。」
「だけど、絶対間違って無いって信じてた時は……信じようとしてた時は……誰の言葉も入ってこなかった。私がそうだったからね」
「お前……」
ここで始めて振り向き、フェイトと顔を合わせたDボゥイ。
それはかつてのフェイト自身の話。フェイトは母親であるプレシア・テスタロッサの命令に従い、その使命の為になのは達と戦い続けた。
「だからこそ、その使命が果たせ無くなったら……拠り所を無くしちゃったら……どうしていいのかわかんなくなっちゃう……」
フェイトはかつて母親の為に戦い続けたにも関わらず、その母親に見捨てられ、自分を見失いかけた。
当時のフェイトは、使命を見失った今のDボゥイと似ていると、そう言いたいのだ。
「Dボゥイのとはちょっと違うかもしれないけど……強い心で、想いを貫けば……」
「ミユキ……」
「……え?」
Dボゥイがぽつりと呟いた言葉に「え?」という顔をするフェイト。
「……いや、何でもない。」
「………。」
「……少し、フェイトの姿が死んだ俺の妹の姿と被ったんだ。」
妹?そんな話初耳だ。気になったフェイトはそれについて言及することにした。
「Dボゥイ……妹いたの?」
「ああ……元の世界でな……」
それからフェイトはしばらくDボゥイの妹……ミユキについての話を聞いていた。
自分と年が近い事や、優しい性格だった事など、色々だ……。

「Dボゥイの様子はどうだった?」
「うん……まだしばらくは落ち込んだままかな……」
リビングに戻って、クロノに報告するフェイト。
妹の話など、今まで言わなかったような話をしてくれるあたり、少しずつだが心を開いてくれている。そう考えると、やはり嬉しかった。
「……あれ?」
だが、フェイトはそこで一つの矛盾に気付いた。
「Dボゥイ……記憶、戻ったのかな……?」
妹の話をするという事は記憶が残っているということになる。
つまり、Dボゥイは少しずつだが記憶を取り戻しつつあるのか……
もしくは、「最初から記憶を失ってなどいない」のか……



一週間後。
この一週間、海鳴市に住む者は皆、思い思いの時を過ごした。
なのはは毎日魔法のリハビリに勤しみ、本局でもバルディッシュとレイジングハートの改修が進む。
そしてその間にもシンヤを含めたヴォルケンリッターはリンカーコアの蒐集を続ける。
一方、Dボゥイはやり切れない思いで葛藤を続けていた。
ラダムは憎い。だがまたいつ仲間を襲うか解らない為、戦うのが怖い。さらにテックセットも不能ときた……

573:マスカレード
07/07/21 02:35:25 WcAejm35
「ありがとうございましたー!」
本局の医務室からなのはが出てくる。すると、「なのは!」と呼びながらユーノ、アルフ、フェイトが駆け寄ってくる。
「検査結果、どうだった?」
「無事、完治!」
アルフの質問に笑顔で答えるなのは。魔力は完全に回復したらしい。それを聞いてフェイト達も笑顔になる。
「こっちも、完治だって!」
フェイトとユーノの手に輝くのは、赤い宝石と黄色い宝石。レイジングハートとバルディッシュだ。

「そう、よかったぁ!じゃあ戻ったら、レイジングハートとバルディッシュの説明しなきゃね」
二機のデバイスとなのはが完治したとの報を受けたエイミィは通信相手に喜ぶ。
「それから……Dボゥイにはこっちも説明しなきゃね……」
隣のモニターを見るエイミィ。そこに映し出されていたのは青い巨大なロボット。この世界的には傀儡兵というべきか。
「ふふ……Dボゥイ、驚くだろうな……ってコレ!?」
突如、警報が鳴り響く。モニターにはアラートの文字。要するに緊急事態だ。

「……管理局か。」
「でも、チャラいよこいつら?」
ザフィーラとヴィータ、それとエビルが大勢の武装局員に囲まれていた。
「ふん……こんな奴ら相手にしたってつまらないよ」
だがエビルは余裕な態度だ。ブレードがいない今、この世界にエビルを楽しませる相手はいないのか……
しかし、次の瞬間周囲の局員は一斉に撤退し……
「上だ!」
「スティンガーブレイド、エクスキューションシフト!!」
ザフィーラの声に上を向けば、そこにいるのは青く輝く大量の剣を従えたクロノ。
次の瞬間大量の剣は三人に向けて降り注ぎ、爆発。
眩しい光と爆煙が立ち込める。
「少しは、通ったか……!?」
はぁはぁと息切れしながら言うクロノ。しかし、ザフィーラの腕に何本かの剣が刺さっただけで、
特に大きなダメージを与えた様子は無い。しかもその剣もすぐに抜かれてしまう。

一方、アースラ。

「クロノ君、今助っ人を二人転送したから!」
『……なのは、フェイト!?』
エイミィの言葉に下を振り向くクロノ。そこにいるのはなのはとフェイト。もう完治したのかと驚くクロノ。
そして二人は新たなデバイスの名を叫ぶ。
『レイジングハート・エクセリオン!!』
『バルディッシュ・アサルト!!』
二人の体はピンクと黄色の光に包まれ、バリアジャケットの装着が完了。
二人は新しくなったデバイスを構えた。

「どうDボゥイ?あの子達の新しい力。」
「……俺には、関係無い。」
モニター越しに二人を見ていたDボゥイに話し掛けるリンディ。
「やっぱり……戦うのが怖いの?」
「ああ、その通りさ。第一今の俺は変身できない。行っても足手まといになるだけ……」
「そうでも無いっスよー!」
リンディに答えるDボゥイの言葉を遮り、大声で言うエイミィ。

574:マスカレード
07/07/21 02:39:43 WcAejm35
「何だと?」
「Dボゥイはテックセットできるよ!」
「馬鹿な……クリスタルが無いのにどうやって?」
その質問に対し、「ふふん」と笑いながら目の前のパネルをカタカタと叩くエイミィ。
そして表示された画像。それは格納庫らしき場所に保管されている青いロボット。
「これは……!?」
「よくぞ聞いてくれましたぁ!機動兵ペガス、Dボゥイのテックセットを可能にするサポートロボだよ!」
エイミィの言葉に驚いて言葉も無いDボゥイ。
「これ元は作業用のロボットなんだけど、一週間でここまで改修するのは大変だったのよ?」
リンディが「ふふふ」と笑いながら言う。
「だが、テックセットができたとしても……もう俺は戦いたくない!」
モニターを見れば、なのは達は相手の守護騎士と何か喋っている。エビルは腕を組んで黙っているようだが……
「もう嫌なんだ……俺が弱いせいで……俺の力が足りないせいで、これ以上誰かが傷付いていくのは……!」
「Dボゥイ……」
「大丈夫よ、Dボゥイ。」
リンディが優しい口調で言う。
「貴方は強いわ。だって、強い心を持っているもの」
「……提督。」
俯いていたDボゥイはゆっくりと顔を上げる。
「そうだよ!今までだって、ちゃんと戦ってきたじゃない!」
「……エイミィ。」
今度はエイミィだ。
「そりゃあ、人間は誰だって一度くらい失敗するわ。でも、それで諦めちゃダメよ!」
「だが……俺は……」
「いい?貴方は化け物なんかじゃないわ。れっきとした人間よ!」
「……俺は……。」
確かに今自分が行かねば、なのは達がヴォルケンリッターを倒せたとしてもエビルにまで勝てる保証は無い。
「それに、もしまた暴走しても私達が絶対元に戻すから!」
エイミィが自信に満ちた表情で言う。何故か信じてみたくなるような、そんな笑顔だ。
エイミィとリンディの激励に心を揺さぶられつつあるDボゥイは、俯きながらぎゅっと拳をにぎりしめる。
『強い心で、想いを貫く。』
さらに、あの日のフェイトの言葉がDボゥイの脳裏をよぎる。

もうDボゥイの答えは決まっていた。
いや……最初から決まっていたはずだ。家族や友人がラダムのテックシステムに取り込まれたあの時から。
さっきまでのDボゥイはただ、その決意から逃げていただけ。

そして……
「俺は……俺はッ……!!」
次の瞬間、Dボゥイは転送ポートを目指して一気に走り出していた。それを見たリンディとエイミィはニコッと笑いアイコンタクト。
「お待たせしました!機動兵ペガス……発進ッ!!」
パネルのボタンを押すエイミィ。それと同時にDボゥイはアースラから姿を消した。

575:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 02:44:40 srAj15o+
支援

576:マスカレード
07/07/21 02:49:07 WcAejm35


「話し合いをしようってのに武器を持ってやってくる馬鹿がいるか、バァ~カ!」
「いきなり襲ってきた人がそれを言う!?」
上空からグラーフアイゼンを突き付けるヴィータに、なのはが反論する。
「この感覚は……まさか……!」
しかし二人のやり取りを無視して割り込むエビル。
「あ?どうしたんだよシンヤ?」
「まさか……ブレードか?」
エビルの態度がいつもと違う事に気付いたザフィーラとヴィータ。
「いや……まさか……ブレードはもう……!」
小さな声でブツブツと驚きの声をあげるエビル。ブレードはもはや完全にラダムと化したはずだ。
まさかまたここに現れるなんてことは有り得ないはずだ。
しかし、エビルの予感は的中することとなる。

近くに現れた魔法陣から現れたのは見覚えのある男……。
「Dボゥイ!?」
「Dボゥイさん!」
「あいつ……ブレードの野郎か!」
フェイト、なのは、ヴィータもそれぞれに驚く。もちろんフェイトとなのはは嬉しそうな表情で。
「ク……ククク……兄さぁん、流石だよ兄さぁん!!ラダムの支配を脱したんだね!?」
そしてエビルは両手を広げて笑い出す。
「Dボゥイ、もう大丈夫なの……!?」
「ああ、俺はもう迷わない!
……エビル!俺は貴様らテッカマンを一人残らず滅ぼすまで戦い続ける!」
フェイトに返事を返しながらエビルを指差すDボゥイ。エビルも実に楽しそうだ。
「フン、いつラダムに支配されるか解らない兄さんにそれができるかな?」
「黙れエビル!俺は確かに人間では無いかも知れない……!」
その言葉になのはとフェイトは顔をしかめる。
「……だが、貴様らの様に人の心まで捨てはしない!俺は……俺はァッ……!!!」
次の瞬間、少し離れた空中に魔法陣が現れ、中から青いロボットが飛んでくる。
「テッカマンブレードだッ!ペガァスッ!!」
言うと同時に一気に飛び上がり、大きな声で青いロボットの名を呼ぶDボゥイ。
ロボットの名は『ペガス』。
ペガスの背中が開き、中に人一人が入れるスペースが現れる。
『マッテイマシタ。騎士ブレード』
「行くぞ、ペガスッ!!」
『ラーサッ!!』
そしてDボゥイがペガスの内部に入り、再び閉じる。次の瞬間にはペガスの頭部が変型。
そして中から現れたのは紛れも無い『テッカマンブレード』だった。
「また変身できたんだね!」
「クリスタル……直ったんだ!」
なのはとフェイトも嬉しそうな、ヒーローを見るような目でブレードを見る。

ブレードはすぐにペガスの背中に飛び乗り、連結したテックランサーを振り回しながら回転させ、構える。
そして……
「テッカマンブレェーーードッッ!!!」
テックランサーを構え、大きな声でその名を名乗った。

577:マスカレード
07/07/21 02:55:17 WcAejm35
投下終了!
投下開始から終了までに結構時間かかってしまいましたね……

ちょっと詰め込みすぎた感がありますがそこは大目にみてくれると幸いです

それと、テッカマンキャラの強さでだいぶ討論になってたみたいですが、リリカルBLADE作中では今後なのはキャラとテッカマンが対等とはいかないまでも
それなりにいい勝負をすることもあるかと思います。
その時はテッカマン側が人間に合わせている等、都合のいいように解釈してくれると幸いです

578:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 03:09:02 J0t6JZ0P
GJ!!
超越者ゆえに遊ぶか・・・某英○王を思い出した。
油断してて手痛い攻撃を喰らうと逆切れするんだよなこういう奴ら。
関係ないがゼストの旦那には斬艦刀が似合うと思う今日この頃。

579:19
07/07/21 03:10:45 hLLceRZg
皆様GJです

>>リリカル犬狼伝説氏
ちょ、何かえらいことになってますな
ただ、レイジング・ハートが主と認めるかどうか…

>>511
クロちゃんとのクロス……期待大です
ミー君の能力でデバイスとの融合とかあるのかな?

>>230
冥王奥義でまず最初に天の人が思い浮かびましたよ
なのはがそのうち「私、参上!」とか言ったり…しませんよね?

>>リリカルスクリーム氏
学校の怪談ですか
俺の記憶で一番新しいのは日記を使っておばけを封印するやつですかね。

>>398
キャロが大ピンチですね
ここはエリオ君が助けにきたりするのかな?

>>マスカレード氏
ペガスがここで来るとは
ブレードとエビルがどう戦いを繰り広げるか楽しみです

580:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 06:52:19 GYtlxZBC
あなたの30分を私に頂戴イベントはー?

581:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 07:39:03 6RqDlUd2
クーガー兄貴生存説が出たんで思ったんだが、兄貴のスピードって結局どれくらい?
音速超えてるのは本編中から分かるけど、それ言ったらホーリーアイ落としに行った時点でカズマ&劉鳳も超えてるしなあ。

ホーリーアイは軍事衛星の探索衛星。ということは高度は数百キロ上空でも可能(逆に対流圏、成層圏は大気の存在上考えにくい)。
まず音速が1193.4km/h。スペースシャトルがロケットブースタを切り離す時の速度が5040km/h。長距離弾道ミサイルが24500km/h。
第一宇宙速度(衛星射出の最低速度)が28440km/h。第二宇宙速度(重力圏脱出速度)が40248km/h。
宇宙速度までは行くまいが、ビーム押し返しながらでさえ弾道ミサイルぐらいのスピードじゃないと時間がかかりすぎてるんだよなぁ……

しかし最大の問題はこの二人より速い兄貴が横を通り過ぎてなお乱れない無常のスーツと髪型だろうな

582:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 09:03:40 X3bcdoiz
>>581
細かいことは分からんが、ホーリーアイに関して言えば『向こう側の力』が関係してくるんじゃないか?
『向こう側の力』の扉を開いたときにビーム自体は分解消滅、距離に関して言えば一種の空間転移な感じで・・・。

583:なのはStS+φ’s正伝
07/07/21 09:34:41 aFTljlG5
遅れてすみません、そろそろ10話投下できるかもしれないので許可をください
……誰もいない場合は10時に投下しますとだけ言っておきます

584:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 10:01:28 aQ5d78/6
今起きた俺が許可する!

585:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 10:04:22 oLAH5mrK
投下したなら(ry

586:激突する力(なのはStS+φ’s正伝)
07/07/21 10:04:31 aFTljlG5
『今回皆と模擬戦を行なうのは訓練の話を聞いてぜひ協力させてもらいたいと自ら立候補した……』

降り立った巧はシャーリーの適当に並べ立てられた美辞麗句を耳に入れながら準備運動をしていた。
熱さに関わることが巧は嫌いだがだからといってこのような薄ら寒くなるような話が好きなわけじゃない
……この熱さだというのに作業着で隠された中はほとんど鳥肌状態だった。

(人が涼んでたとこにいきなり呼び出しておいてこれかよ……くそったれ)
『ねえファイズ君? ちょーっとだけ付き合ってくれないかなー?』
「くそったれ! ちくしょう!」
借りがあったとはいえあのような怪しさ全開な言葉に付き合った自分の愚かさに腹が立つ。
頭の中がしだいに熱を帯びていくのが嫌になりデバイスを起動させようとしたが
目の前にいた4人組もどうやら自分のデバイスを持っていたらしく起動させたのはほぼ同時だった

「マッハキャリバー!」「クロスミラージュ」「ストラーダ!」「ケリュケイオン……」
「「「「 セ ッ ト ア ッ プ ! ! 」」」」
“スタンバイレディ”

「くそったれ……仕方ねえ。ファイズメモリー、いくぞ!」
"Mode Set“Normal Faiz”Standing by!"
「変身!」"Complete!"

5人はそれぞれのバリアジャケットを装備し、魔力を変換した力を送るための道が浮かび上がる
巧のデバイスがジャケットと融合し赤い光が広がるのを見て場にいる全員が少し驚く。
暑苦しい空気が遮断されるこの瞬間が巧はたまらなく好きだった。

〔ちょっとなにアイツ? 模擬戦の前なのににやけた顔しちゃって……〕
〔頬も緩んでる……ひょっとしてあの時に頭がおかしくなったんじゃ〕
〔変な目で見るんじゃねえ! いったい何考えてやがったんだおまえら〕

直接口で言えば簡単にことは済むのだがたまには念話を使って突っ込んでみた
一定期に使わなければいつやり方を忘れてしまうかわからない……巧は物覚えがあまりよくない
ただでさえ仕事に厳しい啓太郎のクリーニングのまともな手伝いができるようになるまで数ヶ月掛かった
……たったの3日で完璧にできるようになっていた真理が未だに信じられない

「見たことのないタイプのジャケットとデバイスだね……」
「ユニゾンデバイス……にしては人格がないみたいだし……」
『それはこれから明らかになりますよ! さーって』

なのはとフェイトを差し置いてシャーリーが嬉しそうにモニターを制御する

587:激突する力(なのはStS+φ’s正伝)
07/07/21 10:14:36 aFTljlG5
『午前はストラーダとマッハキャリバーのデータを取ります!』
「はい!」「わかりました!」
『射撃魔法は禁止! 接近戦だけで相手してね!』
「ってちょっと待て! まさか午後もやるのかよ!?」
『そうそう、午後は4人のコンビネーションプレーでやるからね?』
「4vs1……苛めと何が違うんだそれは!?」
『大変そうですねぇ? でも、楽しいですよねー♪』
「・・・・・」

歯牙にもかけずに口にした。この瞬間巧はようやく悟った、こいつには何を言ったところで無駄だろうと
馴れ馴れしいだけならともかく人の話を聞いてない……いや聞いてるんだろうが
おそらく何を言ったところで自分の意見は変えないだろう。こいつはマイペースすぎる。

『それじゃあなのはさん、お願いします!』
「うん、わかった。それじゃ……午前の部最後の訓練、特殊模擬戦・・・レディー、ファイトっ!!」
(特殊ってなんだよ……)
突っ込む気力も惜しい巧は大人しく訓練に付き合うことにする・・・負けを認めたような気がした。

「スバル、思いきりぶつかってきなさい!」
「エリオくん、気をつけて!」
「わかった!」「うん!」
〔じゃあエリオ、わたしが先に相手をするから……〕
〔わかりました!〕

ティアナとキャロの言葉に力強い答えを返しエリオとスバルが迫ってくる巧に向かって突っ込んでいく
一瞬自分が傷つけた頬のことが頭を過ぎったがこうして模擬戦に出られるという事は大丈夫ということだ
そう自己暗示をかけマッハキャリバーをさらに加速させ右腕をしならせながら歩いてくる巧に急接近。

(手加減はできない……勝負っ!)
(よりによっていあいつか……殺されたくねーな)

かち合う巧とスバルの目線、お互いに受け止め先制攻撃をしかけようとするスバルにやや遅れる巧。
姉直伝のシューティングアーツが巧を襲うがわずかに動いただけで回避される
スバルの気合に気圧されたのかはたまた最初からやる気がないのか距離を離した巧を追った。
顔面を狙うリボルバーナックルとマッハキャリバーを狙うローキックが同時に繰り出された。

「うおおおぉっ!!」
「……ちっ!」
ナックルを避けずに額で受けても蹴りを止めない巧、デバイスには当たらなかったがブーツに直撃。
体勢を崩すが転び慣れているためすぐに立て直すスバルと後ろに仰け反りながらも踏ん張る巧。

588:激突する力(なのはStS+φ’s正伝)
07/07/21 10:23:21 aFTljlG5
額に受けたリボルバーナックルが効いたのか少しふらつく……確認したがどうやら割れてはいないらしい
「ああやって切り返すなんて……やっぱりすごい!」
「何嬉しがってやがるんだよおまえは!」

相手が想像以上に強いことを知りスバルの心は燃え上がるがそれとは対照的に
フィールドがなかったら間違いなく額が粉砕されていたと感じる巧は恐怖で心が冷えていく
しかもスバルが嬉しそうに笑う場面を見てさらに増大していく不安。
過去の傷の一部……というか火傷の跡がほんの少しだけ痛んだ。

「けど、これからが本番だよ!」
「何・・・!?」

反応が一瞬遅れた、スバルの膝蹴りが身体に減り込む。好機を逃がさずリボルバーナックルを放つ
生み出された衝撃波と共に殴りつけ吹き飛ばす、リボルバーキャノンが巧のこめかみに入った。
倒れた巧を追いながら繰り出される蹴りが数回。なおも巧は避ける、全部避ける
対するスバルも独楽のように身体を回しつつ蹴った。攻撃が速く拳も警戒するためにさばくのが精一杯。
少々乗り気じゃなかった巧は並のオルフェノクを軽く凌駕するほどの少女の動きに戸惑っている。

「この……しつこいぞおまえ!」
「こうでもしないと君には勝てないの!」
「なんでだよ!?」
「絶対にあのキックは打たせないよ!」

それは新人フォワードの間で決まったことで既にエリオとキャロにも伝えてある。
スバルとティアナにとって記憶に刻まれたクリムゾンスマッシュの威力は脅威となっていた。
エリオがキャロのツインブーストを受けてやっと倒したガジェットを瀕死の重傷の身で一撃……

(殺されてたまるか……!)
「まだまだぁ!!」

恐怖を拭い去るためにもなおも迫り来てラッシュをかけてくるスバルの攻撃を受けながら
心を決めた巧は容赦をかなぐり捨てていつも通りに戦うことにする。
いつもファイズとしてオルフェノクと戦ってきたように、いつも通りに戦うことに。

「はあっ! ……う!?」
「たまにはこっちにも攻撃させろ!」

突き出してきた左拳を避けつつ掴みそのまま押すようにして動き壁に追い詰める
もがいて振り解いたスバルの顔をぶん殴りよろめかせたところにバリアジャケットの裾と襟を掴み
自分ごと建物に向かって体当たり。壁が壊れたが多少の物理攻撃なら勝手に守ってくれる為気にしない。

「痛…くうっ!?」
「やられた分は返す!」

倒れたスバルを引き摺り起こして打ち上げる拳、よろめいたところに放った拳が突き刺さる。
自分の手首を掻き鳴らしながら一発、また一発と的確に殴る。がら空きの腹部に執拗に連打を続ける。
スバルのガードが下がった瞬間顎を跳ね上げる。躊躇う必要はない、仰け反ったところを蹴り飛ばした。

589:激突する力(なのはStS+φ’s正伝)
07/07/21 10:30:06 aFTljlG5
一度攻撃に入らせたらこの女は手がつけられない。だから手を出す前に倒すか、あるいは
「くぅっ……だあっ!」
(次が来る前に入れて、止める!)

スバルが拳を振り被ったところに巧の蹴りが突き刺さる、よろめいた最中に目の前まで前進
繰り出した蹴りは避けられさらに殴られる顔面。攻撃が来たら避けて殴る、ただそれだけ。
こういう単純な作業は巧にとって容易い。少なくともクリーニングで啓太郎に認められるよりかは
「ううっ……まだまだっ!」
「まだやる気か」

殴っても殴ってもその度に立ち向かってくるスバルの頑丈さに再び恐怖を感じる巧
軽く30は殴っただろうか、いい加減に巧も固めた拳が痛くなってきた
"φ's Shot Ready"
一撃で決めるべきだと考えた巧は生成したブラッドスフィアを変換させる
デジタルカメラ型パンチングユニット、『ファイズショット』を右手に握り締めた

“リボルバーキャノン” "φ's Shot Exceed Charge"
同時に音声が鳴り響きそれぞれの魔力を込めた右拳同士がぶつかり合う
鍔迫り合いのような状態になり次第に押してきたのは巧。
体力が落ちていたスバルのリボルバーキャノンでは巧の一撃を押し返すことは不可能。

大地を揺るがすほどの衝撃を放つ必殺拳『グランインパクト』が直撃した瞬間、動かなくなる少女
その身体に"φ"の紋章が刻み込まれがくりと項垂れる……声をかけるが応答はない。
呼吸があることから死んではいないようだが立ったままで気絶した、ということだろうか?

「――だああぁっ!!」
「ちっ、新手か!?」

気絶した少女を蹴り飛ばすことも考えたがまた一瞬躊躇した、瞬間何かが割り込んでくる
巧が後退すると同時に上がった砂煙の中から現れたのは赤い髪をした子供の男だった。
年は10に届くかどうかで背は小さい……どう見ても戦うような人間には見えない。
その少年―エリオ・モンディアルが動こうとしないスバルの殴られた痕跡を見て怒りに震えた

「今度はガキかよ? まったく何考えてやがるんだこいつらは!」
「ひどい、ここまで痛めつけるなんて……こんな戦い方! あなたはそれでも騎士なんですか!?」
「そんなこと俺が知るかよ。……くだらねえこと言ってる暇があったら、さっさと来い」

気だるそうに手招きする巧(実際にはいつもの癖で手首を回していただけなのだがそう見えた)
のその言葉を聞いたエリオは怒りでストラーダを握り締める手に力が入る。
一人前で立派な騎士を目指しているエリオは聖王教会の騎士である巧との戦いを楽しみにしていた。
しかし正々堂々とは思えない立ち振る舞いの挙句に近づいて追い討ちをしかけようとするとは……

自分の理想の騎士像を汚されたと思ったエリオはストラーダを構え高速攻撃を仕掛ける。
当然巧には怒られる理由を完全に理解することはできない。

590:激突する力(なのはStS+φ’s正伝)
07/07/21 10:38:41 aFTljlG5
「許さない……ストラーダ、いくよ!」
“ソニックムーブ”

巧の目の前からエリオが消えた瞬間、身体に突き刺さる衝撃。最初は腹部次は背中その次は足……
まるで電気が全身を走るかのように痛みが駆け巡っていく……違う、実際に電気が走っている
自分が魔力を光と血に変換できるようにあの少年は電気エネルギーに変換できるのだろう
防御に回る巧の頭の中に声が聞こえてくる、エリオが念話で話しているのだ

〔信じられない、あなたが聖王教会の騎士だなんて……!〕
〔……ああ、まったくだな〕
(まだ速く走れる! そうだよね、ストラーダ!)
“OK,フルドライブ”

歯牙にもかけない巧に反応しさらにスピードを上げていくエリオの動きは目で追えないほどとなる。
文字通り雷のごとき動きに戸惑い攻撃の糸口をつかめないまま傷つけられていくバリアジャケット。
その執拗なまでの攻めに巧も次第に苛立ってきたが今は我慢するしかない
モニターで見守っていたなのはとシャーリーも目まぐるしく動くエリオについていけない
ただ1人、エリオより性能の高いソニックムーブを自在に操るフェイトだけは別だったが

「デバイスの力なのかな? この前のシュートイベーションのときよりスピードが上がってるよ……」
「すごいでしょう? そろそろなのはも4人を同時に相手にするのは厳しくなってくるかもね」
『でもなのはさんたちにはリミッターもありますし、まだまだ大丈夫ですよ!』

そんな会話が呑気に交わされていることなど露知らず巧は防御に回りっぱなしだった。
傷つけられている間にも念話は止まらない、なぜこうまで傷つけたのか
それは騎士の道に反しているふと先ほどのエリオの言葉が思い出される。
“こんな戦い方をするなんて、あなたはそれでも騎士なんですか!?”

〔立派な騎士は誰かを守るための存在なのに……なぜであなたはこんな誰かを傷つけるような戦い方を〕
〔おまえもべらべら喋る奴だな……つーかうるさいからいい加減口を閉じやがれ〕
〔あ・・・あなたって人はぁ!!〕
〔騎士がどれだけ凄いか知らないが……おまえの考えを俺に押しつけんな、迷惑だよ。〕

只でさえ堪え性がない上に先程から我慢の限界を超えていた巧は大人げない言葉を叩きつける
しかも自分の年の半分に満ちてるかどうか分からない相手に向かって
念話で話しているのだから口は最初から開いてないのだが考える間もなく
頭部に振り下ろされたストラーダを両腕で掴み受け止められたエリオの目が驚愕で開かれた

「……どうだ? 捕まえてやったぜ」
「まさか!?」

591:激突する力(なのはStS+φ’s正伝)
07/07/21 10:46:45 aFTljlG5
『0.1秒後出しだ! 俺はファイズだから超人的な動態視力でどんな後出しジャンケンも見逃さない』
じゃんけんに負けた言い訳の筋を通すための手段として以前真理と啓太郎に向かって口にした言葉。
あれは苦し紛れの発言だったとは思うが別に巧は嘘を言っていたわけではない
“動態視力”とそれを最大限に活かす“反射神経”はウルフオルフェノクとして覚醒していた巧にあった。

気が動転したエリオは自分の魔力を全開にしてロケットを吹かし魔力の雷を使いとなんとかして
巧の手を振り解こうとしたがうまくいかない。エリオは焦っていた。
ストラーダのロケットを全開で噴射しているのに腰がやや落ちた程度で防御は抜けない
『スピードだけが取り得』と自称してはいたがまるで通用していないのに驚いていた

現に巧には先ほどのソニックムーブとの応用で与えたダメージもまるで意味がなかった。
せいぜい鬱陶しさに苛ついたくらいでスバルの重い攻撃に比べると、軽い
子供はあくまでも子供、要するにエリオそのものの力はとても非力なのだ。
そして何よりもファイズとして戦った最後の敵、ホースオルフェノク……
自分の夢を絶望の闇に閉ざされてしまった男が繰り出してきた剣と比べるとあまりにも重みも、力もない。

「そんな……ストラーダが、押し返され……!?」
「子供と遊ぶのは別にいいんだけどな……」

不意に海堂が可愛がっていた勇介の無垢な顔が浮かぶ、今ごろどうしてるのか。もう会えないのか……
その気持ちをぶつけるかのごとく言い放った巧は腕を瞬時に振り上げエリオごとストラーダを押し返す。
身体が軽く握ったストラーダとごと宙を回転するエリオに叩き込まれる一撃。

「ガキに痛めつけられんのは大っ嫌いなんだよ!!」

背中に突き刺さった巧の蹴りはエリオの身動きをとれなくさせるダメージを与えるには充分な重さだった。
手加減はしなかった。散々痛めつけたんだからこれくらいしてもいい。先ほどの言葉へのお返しもある。
人を裏切るのが嫌な巧だが、だからといって要らぬ期待に答えてやるほど酔狂でもない。

「……おいシャーリー、聞こえたか? さっき言ったとおり2人とも倒したぞ」

倒れたまま動かなくなっているエリオと未だに動かないスバルをしばらく見つめたままで通信をする。
シャーリーから咎められたが巧は黙ったまま空間シミュレーターから立ち去ろうとした。
確かに少々やり過ぎたとは思う、模擬戦とはいえ本気を出せと言われたが確かにここまでやる必要もない
あの子供が言ったことも少しはわかるがだからといって謝る気にはなれない
―不意にめきり、と何か音がした。何かが身体に減り込んだような感覚が巧を襲う

「―ぐ、っ・・・え?」

背中に激痛が走った、突然のことだった。衝撃が身体を貫通していく。膝ががくんと折れた。
心臓が爆発したような感覚がしたがそれは痛みから来る錯覚。だが少なくとも巧には現実に思えた。

『え? 何今の声……どうしたの、ファイズ君?』
「……なんでもねえ、通信は終わりだ!」

シャーリーがまだ何かを言っているが話している暇はないため一方的に通信を切る巧。

592:激突する力(なのはStS+φ’s正伝)
07/07/21 10:52:51 aFTljlG5
何が起こったのかは背後を振り返るだけでわかった。呼吸が少し苦しいが立ち上がって戦闘態勢を取る
拳を突き出したまま立ち尽くしている青髪の少女の姿……模擬戦はまだ終わってないということらしい

「おまえ、騙し討ちなんて趣味があったのか……?」
「・・・・・」

巧の問いにスバルは答えない、動かない。その顔に表情はなかった、自分がやったことを理解していない。
唐突にマッハキャリバーの車輪が動く、さっきの不意打ちで動きと反応が若干鈍くなってしまった
攻撃を仕掛けてきた。しかしさっきから何か様子がおかしい、何も答えようとしないならともかく
なぜか動きが先程より速くなっているような気がする……自分が遅くなったのか? 答えは否

(こいつ、まさか……攻撃に躊躇いがなくなってるのか!?)
「ハァァァァァ・・・・ッ!!」

リボルバーナックルを叩きつけ壁まで吹き飛ばした巧に向かってさらに拳を突き出す
避けた巧の後ろを容易く破壊しローラーブーツを振り上げて巧の顔面を狙う。
顔面への致命傷は避けたがバリアジャケットに一本の線が入る、車輪で切られたのだろう
よろめいた巧を追って再び回し蹴りを叩き込むスバル、ガードした巧が吹き飛んだ。
腕の骨が軋む。攻撃力も上がっている、一体何が起こっているのかわからない

「……“ロードカートリッジ”」
「!! "φ's Pointer Ready"」

リボルバーナックルが回転したのを見て背筋が寒くなった巧は反射的に右手のファイズショットを外し
再び形状変化、デジタルトーチライト・ファイズポインターを右足部分に装着して置き上がる
技の体勢に入ったのはほぼ同時。スバルは拳を引いて構え、巧はやや腰を落としてエネルギーを装填。

“ディバインバスター” "φ's Pointer Exceed Charge"

先に動くのは巧、低く跳び上がって空中回転。足を伸ばして必殺の一撃の準備を始める
狙ったのはスバルの前に生成されている魔力スフィア……前の戦いの時に技の概要は聞いている
巧の魔力を注ぎ込んだ真紅のポイント弾が青色のスフィア弾に当たり開いた。
巧ごと撃ち抜くために構わずに魔力スフィアに向かって拳を打ち込むスバルとポイント弾に蹴り込む巧。

「「――うわあああぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」」

ディバインバスターとクリムゾンスマッシュがぶつかり合う瞬間、周囲に魔力と共に異常が走る
サーチャーの全機能が一瞬だけ停止する、巧が初めてこちらに来た時と同じことが起こった
相殺した魔力に飲み込まれた巧はどこからか漂ってきた匂いに意識を持っていかれる

それが不意に周囲を取り囲んでいた花びら―薔薇の匂いだと巧が気付く時には岩壁に叩きつけられていた。

593:なのはStS+φ’s正伝
07/07/21 10:59:52 aFTljlG5
投下完遂・・・前の投下から一週間、遅くなって申し訳ありません
戦闘シーンを考えるのは時間がかかる上につい長くなるから困ります
ディバインバスターvsクリムゾンスマッシュは書く予定になかったのですが……

まああの敏樹様も『いいんだよ、そういうのが面白いんだからさ』
とおっしゃってくださってるのだからいいということにしています
新たな仮面ライダークロスの人も出てきましたしますます負けてられない……
既に負けてるかもしれませんが。そして皆さん本当にGJ
そして更新の速さに少し嫉妬……しながら今日はここまでです

594:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 11:05:19 sdqgALNg
巧容赦ねえなぁ。
取り合えずエリオは、鉄パイプで素振り100本かな?

595:217
07/07/21 11:41:11 9SUqeDny
なのはStS+φ’s正伝氏の言うとおり、皆さん投下が速いですね~

各職人の方々GJです!そして、感想の一つも書かないで申し訳ない・・・
なんだか便乗するような形ですが投下↓

596:217
07/07/21 11:50:30 9SUqeDny
リリカル魂 第二話「魔法と管理局」


「さてと、まずは援護ありがとっ。時空管理局民間協力者の高町なのはです。
じゃあキミの名前と所属世界、それと・・・そのロボットは?」
砂漠に降り立ち、二人に質問をするなのは。
「「・・・」」
固まってる。
「ねぇ、ちょっと?」
「あ。えーと、俺の名前はイッキ、天領イッキ。そんでこいつは」
「オレはメタビーだ。それより・・・・時空なんたらって何だ?」
ロボットが思いのほかスラスラと喋ったことに多少驚きつつも、
「ん~、詳しい話はアースラに行ってから教えるよ。
それで、イッキくん達はどこから来たの?」
(いや、だからアースラって何だよ?)
新たな単語に頭を捻るメタビー。その横でイッキは、
「どこからって・・・・っていうか、ここは地球、なのか?」
知っているかぎり、地球の砂漠にあんな怪物が住んでいるなんて聞いたことがない。
「確かに似てるけど、ここは地球の砂漠じゃないんだ。
その様子だと自分達で転移してきたってわけでもなさそうだし・・・・
つまり、イッキくん達は別世界に飛ばされてきちゃったってことになるね」
え?何言ってんのこの子?・・・・イッキとメタビーは呆気にとられる。

「とにかくアースラに戻ってからちゃんとお話しよ?
 何があったか分からないけど怪我もしてるみたいだし。
―エイミィさん聞こえますかー?要救助者+αの保護完了。転送お願いしま~す」
『はいはーい、お疲れ様!すぐに送るからちょっと待ってね』
「ちょ、ま、待てよ!何だよ別世界って?人の話を聞k―」
「おい!その+αってまさかオレのこt―」
最後まで言い切る前に、3人は灼熱の大地から姿を消した。

597:217
07/07/21 11:52:35 9SUqeDny
「転送完了っ、そろそろ戻ってきますね」
「うん、大した異常じゃなくて良かったわ。それにしても『+α』って何なのかしら?」
なのはの言っていた「要救助者+αを保護」の後半部分がちょっと気にかかるリンディ。
救助されたのは年齢的にあまりなのはと変わらない少年のようだが、
それにどんな『おまけ』がくっついているのか。

ほぼ同時刻、アースラの転送ポートに少年と少女とロボットが到着した。
「うわっ、どこだよここ!?ってか俺たちって今まで砂漠にいたのに・・・」
いきなり光に包まれたと思ったら次の瞬間には見知らぬ施設の中にいる。
一体自分はどこにいるんだとキョロキョロするイッキ。
「・・・つまり、ここがさっき言ってた『アースラ』ってやつなのか?」
一方で、メタビーは冷静に状況を見て質問した。
「そうだよ、時空航行戦艦アースラ。ちょっと待ってて、クロノくんを呼んでくるから」
「いや、その必要はない」
メタビーに応えてから歩き出そうとするなのはを制した声の主は、
全体的に黒い服に身を包んだ少年。時空管理局執務官クロノ・ハラオウンだった。
「緊急の用事を頼んですまなかった、なのは。で・・・救助したのがその少年か?」
労いの言葉をかけるクロノ。そして、先ほどから落ち着きのないイッキを一瞥した。
「うん、天領イッキくん。それとそのロボットはメタビーくんっていうんだって」
「・・・そうか、自己紹介が遅れてしまったな。
僕は時空管理局の執務官、クロノ・ハラオウンだ。
天領イッキと、メタビー・・・だったか? 色々と聞くこともあるから
ついて来てくれないか」
言いながら既に歩き出しているクロノ。なのはもその後ろについて
「こっちこっち」と手招きしている。
メタビーも二人の後に続いて歩き出したが、ふと振り返り、
(・・・まったく、あいつは・・・!)
「おいイッキ、いつまでキョロキョロしてんだよ? 置いてくぞ」
メタビーの声に、待てよ~と言いながら追いかけていくイッキ。

「ふーむ、つまりその『メダロット』で戦っている最中に事故が起きたわけね?」
管理局による簡単な手当てと身体検査を受けた後、イッキとメタビーはアースラの
食堂に案内された。そこで待っていたのは一人の女性。
この戦艦の艦長、リンディ・ハラオウンだった。
クロノとなのはも立会い、互いに自己紹介を済ませ今は事情聴取の最中である。
最初の内こそ「別世界って何だ~!?」とか何とか騒いでいたが、
3人掛かりの熱心な説明により、ようやく理解できたところだ。

598:217
07/07/21 11:54:22 9SUqeDny
「事故っていうか、とにかく電撃を食らって・・・気付いたら砂漠にいたんです」
頭の包帯を指で触りながら、イッキは在りのままを話した。
「なるほどね、イッキくん本人にもなぜだか分からない、か」
顎に指を添え、難しい顔をするリンディ。
9歳の子どもの話からでは、やはり元いた世界の詳しい情報は得られない。
聞く限りでは、どうやらこちらがまだ認知していない世界の住人のようだ。が、
断片的に聞いた内容が、なのはの住む地球のそれと酷似しており、
しかも彼らの世界でも『地球』と呼んでいるらしいことが不可解だった。
ブラックホールを抜けた先に左右が逆なだけの地球が存在するなどという
信じ難い論説があるが、むしろそれを信じる方が楽なくらいだ。

とにかく彼の世界を探索し帰してあげることには職務的にも個人的にも全力を尽くす。
検査の結果、危険因子は発見されなかったし、保護してしばらく様子を見よう。
それにしても、とイッキの隣に視線を移す。
「『おまけ』がこの子か・・・」
「おまけ?」
ポツリと呟やかれた独り言にメタビーが反応する。
「ああ、気にしないで! こちらのことだから」
「?」
独り言のつもりが、実は聞こえていたことに少々慌てる艦長さん。

「それで・・・俺の方からも聞きたいことがあるんですけど」
イッキが口を開く。
「その、なのは・・・ちゃんはなんであんなことができるんですか?」
「ああ、オレもそれは気になってた」
メタビーも同意見のようだ。
イッキの言う『あんなこと』とは、空を飛んだり砲撃を撃ったりといった魔法のこと。
リンディは「そうねぇ」と言い、
「世の中には、『リンカーコア』っていう魔力の源を持つ人がいるの」
「魔力の源?」
「そう。それを持っている人は大小の差はあるけど様々な魔法を使えるわ」
「はぁ」
信じ難い話だ。おとぎ話かメルヘンの産物だと思っていたのだから仕方ないが。
リンディは続ける。
「でもそれはごく少数の人たちで、現になのはさんの世界でもわずか数人しか
確認されてなくてね」
正確には『管理局が認識している魔力保持者』の数であり、
もしかしたらまだ確認されていない者もいるかのもしれない。

599:217
07/07/21 11:57:41 9SUqeDny
「それで、そのごく稀な人たちのほとんどは高い魔力資質を持っていることが多いの。
なのはさんも、そのうちの一人」
「えっ!?」
「つまり、なのはさんは魔法使いってことになるかしらね」
今更ながら、正直驚いた。確かに自分とそれほど変わらない歳の子が
そんな力を持っているなど普通は考えられないだろう。
パッカーンと開いたイッキの口は、しばらく塞がりそうにない。
「ふふっ、まだ小学生の可愛い女の子にそんな力があるなんて思わないわよね」
リンディも初めてなのはのバカ魔力を目の当たりにしたときを思い出した。
あのときはまだ魔道士としての技量は低く、魔力量に頼っている部分も多かったが、
P・T事件、闇の書事件と修羅場をくぐり抜け、よく成長したものだと感心する。

「けど、あのすんげぇビーム見たら納得できるかもな」
と、メタビーは砂漠で見たディバインバスターを思い出す。
巨大ミミズ2頭を一瞬のうちに吹き飛ばしたのは、間違いなく目の前の少女だ。
「えと、あれでも抑え気味だったんだけど・・・」
さらりと怖いことを言うなのは。ミミズたちもあの世でさぞ微妙な心境だろう。
「「・・・・・・(汗」」
「あの・・・イッキくん?メタビーくん?」
イッキとメタビーも何か悪寒を感じたので、その発言はスルーすることにした。


「・・・とにかく、君たちの身柄はしばらくこちらが保護することになる。
なのはの世界ではもう夜も遅いし、今日のところはここまでにしようと思うが」
今まで話の流れを簡潔にまとめ、「よろしいですか?艦長」と尋ねるクロノ。
「そうねぇ。なのはさんもそろそろご家族が心配してるでしょうし」
いくら緊急の用事とはいえ、小学生を夜遅くまで留めておくのは少し問題がある。
ちらりと時計を確認するリンディに対し、
「いえ、仕事によっては遅くなることも家族には話してますし、大丈夫かと・・・」
と弁解するなのは。
「それに、家族のみんなは『無理しない程度に頑張れ』って認めてくれてますから」
「その割には、時折『無理』とか『無茶』を押し通すことがあるようだが?」
「にゃはは・・・(汗」
クロノの指摘に苦笑いを浮かべるなのは。
「確かに、ここのところなのはさんは頑張りすぎかもね」
「そんなぁ~、リンディさんまで」
艦長にまで追い討ちをかけられた。
「本格的に局の仕事に協力してくれるのは嬉しいけど、本業も忘れちゃダメよ」
「・・・は~い」
なのはは渋々といった感じで応える。


600:217
07/07/21 12:01:07 9SUqeDny
「うん、良いお返事ね。あ!そういえばイッキくん達の住むところを決めなくちゃ」
思い出したようにポンッと手を打つリンディ。
「オレたちの住むところ?」
「そう。管理局にもちゃんとした居住スペースはあるけど、たぶんあなた達では
息が詰まって暮らしにくいと思うの」

そういえば、とイッキとメタビーは顔を見合わせる。
別世界に飛ばされたとなれば、まずは住むところを探さなければならない。
かといって施設のようなところで暮らすのは正直なところ不安要素が多いわけで。

どうしようかと思案顔をするイッキに、リンディは一つ提案を出した。
「とりあえず今日は私達の家に泊まるといいわ。後のことはまた考えましょう」
「母さ・・艦長!!いきなりそんな!」
予期せぬ提案に一番驚いたのはクロノだった。
「あら、いいじゃないクロノ。別に女の子が泊まるわけじゃないんだし」
「いや男とか女とかの問題じゃなく!決定が急すぎますよ!」
慌てふためくクロノ。

先ほどのすました顔が印象に強かったイッキは、珍しそうな目で今の彼を見る。
(なんだか偉そうなヤツだなって思ってたけど、意外に面白いかも・・・)
内心そんなことを考えていたりする。人は見かけによらないものだったりするわけで。
「なぁ、なのはちゃん。この二人っていつもこんな感じなの?」
「なのはでいいよ。クロノくんがあんなに慌てるのは久しぶりかなぁ」
「ふーん・・・」
やっぱり珍しいのか、とか思いながら相槌を打つイッキ。
その目の前では未だにハラオウン親子の滑稽なやりとりが続行中だ。
本部に掛け合ってみるべきだとか一時的に保護スペースに預けるだとか
まくし立てるクロノを無視し、リンディは「パジャマ用意しなくちゃ」とか言っている。

結局、クロノはリンディにいいように丸め込まれ、承諾させられる破目になった。
「・・・それじゃあ僕と艦長も今日は家に帰るから、なのはもその時でいいか?」
「うん!大丈夫だよ」
「執務官、イッキくんとメタビーくんもでしょ?」
「・・・・保護対象者の天領イッキと+αも一緒に帰宅することになる。以上」
「おい!!なんだその態度の違いは!」
「ってか+αってオレのことかよコラ!!」
あからさまな扱いの違いに、揃って文句を言う二人。それを無視するクロノ。
「まぁまぁ。二人とも落ち着いて」
なのはが仲裁に入り、二人は何とか落ち着きを取り戻す。しかしまだ何か言いたげだ。
「それじゃ、みんな帰りましょうか」
やれやれとリンディが腰を上げ、転送ポートへと向かう一同。
その間、クロノとイッキ達は一言どころか顔も合わそうとしなかった。
そして、彼らの様子を見ながら本日二度目の苦笑いをするなのはであった。

601:217
07/07/21 12:05:54 9SUqeDny
今回の投下はこれにて終了!
やっぱりクロノとの会話が一番の悩みどころですw

にしても、初対面のキャラ同士を馴染ませるのが早すぎたかなと後悔・・・
次回は色々なキャラと顔合わせしていけたらと思います

602:217
07/07/21 12:08:33 9SUqeDny
今回の投下終了!
やっぱりクロノとの会話が一番の悩みどころです

にしても、初対面のキャラ同士を馴染ませるのが早すぎた、後悔・・・
次回は色々と顔合わせの回になる予定ですが、よく考えて投下せねば!

603:217
07/07/21 12:09:56 9SUqeDny
うわ、誤爆した・・・orz
無駄レス申し訳ない!

604:悪魔砲少女 対 生機融合猫 3
07/07/21 12:45:29 KPqevr6w
ロストロギアとして回収された可愛いコックさん人形入りの小瓶はすぐさま管理局内の
ロストロギア封引用特殊倉庫に収められるわけだが、その特殊倉庫に侵入する者がいた。
「管理局の連中も結構ずさんなんだな~。清掃会社の格好するだけであっさり信用しやがったぜ。」
それは管理局内に収められるロストロギアを盗み出して金儲けしようと企む
名も無きコソドロ達であった。管理局潜入の為に清掃会社の人間に成りすました彼等は
ロストロギア封引用特殊倉庫にまで潜入していたのである。
「よし! とりあえずコレにしようぜ。」
「え? こんなショボそうなのが良いのか!?」
「分かって無いな~。こういう一見ショボそうなのが実は凄かったりするもんなんだよ。」
名も無きコソドロが盗み出そうとしたロストロギアこそ、なのはとユーノが先程回収したばかりの
可愛いコックさん人形入りの小瓶だった。そして気付かれないようにこっそりと
特殊倉庫から脱出する名も無きコソドロ達であったが、そこでたまたま近くを通りかかった
なのはに発見されてしまった。
「そこ! 何をやってるの!?」
「やべ! 見付かった!」
「しかもあれ白い悪魔じゃねーか!」
名も無きコソドロ達は大慌てで逃げ出そうとするが、その時の弾みで小瓶のフタが開いてしまった。
「!?」
それがいけなかった…。小瓶のフタが開いた瞬間…その小瓶の中に封印されていたデビルが
解き放たれてしまったのである。そしてデビルは何という事かなのはに憑依していた。
「わぁぁ! このロストロギアから飛び出した変なのが白い悪魔に乗り移った!」
『白い悪魔…か…この女は元々そう言われていたのか…。』
「!?」
名も無きコソドロ達は青ざめた。デビルに憑依された直後から、なのはの声が
本来の物では無い地の底から響いてきそうな低い物に変わっていたのである。
それだけではない。なのはの背中からは悪魔を思わせるの漆黒の翼が生え、
頭からは鬼の様な角が…口には野獣の様な鋭い牙が…両手には鋭い爪が伸びると言う
おぞましき姿に変質したのである。
『フハハハ! 白い悪魔とは良い得て妙だな! 確かにこの女の体は素晴らしい!
力が…力が溢れる…フハハハハハ!!』
「うわぁぁぁぁ!! 白い悪魔が本物の悪魔になったぁぁ!!」
恐怖の余り腰が抜けてしまったコソロドであったが、デビルに憑かれたなのは…
いや、デビルなのはは右手を軽く上げ、正面を指差した。
その直後である、デビルなのはの指先から極太の魔砲が放たれ、正面の分厚い壁を
容易く貫き、さらにその向こう側まで完全に吹き飛ばされていた。
『フハハハ! 素晴らしい! 素晴らしい力だ! これならば…奴に復讐する事が出来るぞ!』
「アワワワワワ…。」
恐怖が限界に達して完全に失禁していたコソドロを尻目にデビルなのはは壁に空いた
風穴を通って何処へ飛び去ってしまった。

605:悪魔砲少女 対 生機融合猫 4
07/07/21 12:47:38 KPqevr6w
一方、管理局内では大パニックになっていた。
「一体何が起こったんだ!?」
「ロストロギアを盗み出そうとした不法侵入者を高町隊員が取り押さえようと
した所、そのロストロギアに封印されていたアストラル生命体が解放されてしまい、
高町隊員の身体を乗っ取ってしまった物だと思われます!」
「なんだって!?」
「本日高町隊員が回収して来たロストロギアに封印されていたアストラル生命体は
乗っ取った生命体を怪物へ変貌させ操る事が出来る様子です!」
「何とかして取り押さえろ!」
「既にやっていますが…押されています!」
「何!?」

「構うな! 撃てぇ!」
管理局の武装隊が一斉にデビルなのはに向けて魔砲を発射した。しかし…全く通用していない。
『フフフ…無駄だ…。次はこちらの番だな…。デビルレイジングハート!』
デビルなのはがデビルの力によってグロテスクに変質したレイジングハート
「デビルレイジングハート」を振り上げた。
『デビルディバインバスター!』
「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
デビルレイジングハートから放たれる漆黒の魔砲はあっと言う間に
武装隊を飲み込み、全滅させた。本来のなのはの魔砲はピンク色だが、
今は違う。デビルの力によって魔砲の色もどす黒く変質していたのである。
そしてデビルなのはが向かう先にはアースラがあった。
『なるほど…この艦は次元を飛び越えて様々な世界を行き来する事が出来るのか…
面白いな…では…この艦も使わせてもらう事にしよう…。』
デビルなのはがアースラに手を当てた直後、アースラにもデビルの力が送り込まれ
グロテスクに変質。デビルアースラとなってしまったのである。
『さあ行け! これで元の世界に戻るのだ! そして…この力で奴に…クロに復讐する!』

ユーノとフェイトが駆け付けた頃には既に管理局はデビルなのはによって破壊され、
アースラも奪われてしまった後だった。
「な…なんて事…。」
「ひ…酷い…。なのは…何故こんな事を…。」
「いや違う…なのは本人に非は無い。なのははロストロギア内に封印されていた
アストラル生命体に身体を乗っ取られているだけなんだ。」
「え?」
管理局の惨状に呆然とするユーノとフェイトの前にクロノが現れ、そしてさり気なく
あの騒ぎの中でも生き延びていたが、結局逮捕された名も無きコソドロが突き出される。
「悪いのはこいつ等だ。こいつ等がロストロギアを盗み出そうとした為に
あのロストロギアに封印されていたアストラル生命体が解き放たれてしまった。」
「え!? アストラル生命体!?」
「ああ。しかもあのアストラル生命体の力は想像以上の物だった…。
生物無生物に関係無く、物質世界のあらゆる存在を乗っ取る事が出来る様だ。
現になのは本人だけじゃない、彼女のレイジングハートや挙句の果てにはアースラさえも
奴の力によって乗っ取られ、おぞましい姿に変質させられてしまった…。」
「レイジングハートやアースラまで!?」
「それで…なのはを乗っ取ったアストラル生命体は…。」
「アースラを乗っ取った後…あのロストロギアのあった元の世界へ行ってしまった。
今動ける他の次元航行艦を探しているが、一刻も早く奴をなんとかしないと大変な事になる。」
「なのは…。」
ユーノもフェイトもなのはの身を案じていた…。

606:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 12:49:59 KPqevr6w
なのはさんがデビルに身体を乗っ取られるポジションでスンマセン
後、そろそろ次スレの必要性ありますけどどうしましょう?

>>学校の会談とか関連氏
一まとめにしてしまって済みませんが、恐怖感や絶望感と言うのが
良く表現できてて良かったと思います。

>>217
双方のカルチャーギャップと、馴染みのそれぞれが描かれてたと思います。
ハラオウン家預かりになったイッキとメタビーはこの先どうなってしまうのでしょうか?

607:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 12:53:09 PcIJGvu7
ちょwww次元世界オワタwwwww

608:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 13:00:35 f3G/CFg3
>>マスカレード氏
投下乙です。
しかしDボゥイ、割とあっさりと復活しましたね。
でもまあ、あの状態で人妻のリンディさんがフラグたてるわけにもいかずw
しかしシンヤ、ホント嬉しそうだなぁw

強さに関してはクロンとの戦闘(?)をみるに、要するに当てることが出来ればどうにかなるんでしょうね。
テッカマンの桁違いの機動性をいかに殺すか、ですかね。

609:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 13:02:09 f3G/CFg3
>>606
なのはが乗っ取られたって一番最悪の展開ですねw
どうなるんだろか(汗

610:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 13:34:36 4MXl/sUk
デビルって確か自己再生能力もあった様なwww頭吹っ飛ばされても再生するなのはさんコワスwwww

611:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 14:42:59 JtHaP4u4
で、次スレは必要ですか?

612:リリカル龍騎 ◆l5ZL/l4pJY
07/07/21 14:43:31 5ppetP1C
職人の皆様方GJです

>>リリカルスクリーム氏
ちょ、フェイトが某洗脳探偵にw
メリーさん怖…って、何でスバルがこんなの知ってるんでしょう…?

>>マスカレード氏
あのエビルが殺さずに止めるとは…どういう心境の変化なんでしょう…
ペガス登場ってことは…次回のハイコート炸裂楽しみに(ry

>>なのはStS+φ’s正伝氏
>(殺されてたまるか……!)
巧…スバルにマッハキャリバーで轢かれたのがトラウマになってるんですね…

>>217氏
メタビー…誰からも+α扱いされて…orz
リンディさん…なんて楽しそうな…

>>悪魔砲少女 対 生機融合猫氏
白い悪魔が本物の悪魔と同化した…どう見ても無敵です。本当に(ry
…南極の時のクロとミーくんの合体でもやらない限り勝ち目なさそうに思えて(ry

では、次スレ立ててきますがいいですね?答えは(ry

613:マスカレード
07/07/21 14:43:57 WcAejm35
>>φ's正伝さん
GJです!
巧がエリオとスバルを圧倒するのは気持ち良かったです
最後のってまさか社長さんですかね……
続き楽しみにしてます!

それと、大分前のジャンクションの話ですが、全然OKですよ。自分もTVの真似しただけですからね……

>>601
GJです!
果たしてイッキとクロノは仲直りするんでしょうか……?
メタビーがどんな扱いを受けるのかとか、色々楽しみにしてます!

>>606
GJです
白い悪魔が体を乗っとられてさらに悪魔度を増すとは……
クロちゃんとデビルなのはの邂逅が楽しみです!

確かにもう480KB越えてますね。そろそろ立てるべきでしょうか

614:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 14:47:19 JtHaP4u4
>>612
では管理人様、次スレをお願いします

615:リリカル龍騎 ◆l5ZL/l4pJY
07/07/21 14:47:25 5ppetP1C
エラー…誰か代わりに頼みますorz

616:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 14:49:04 JtHaP4u4
では漏れが

617:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 14:52:31 JtHaP4u4
俺もエラーorz
・・・あとは頼んだ!

ここはリリカルなのはのクロスオーバーSSスレです。

ガンダム関係のクロスオーバーSSは新シャア板に専用スレあるので投下はそちらにお願いします。
オリネタ、エロパロはエロパロ板の専用スレの方でお願いします。
このスレはsage進行です。
荒らし、煽り等はスルーしてください。
次スレは975を踏んだ方、もしくは475kbyteを超えたのを確認した方が立ててください

前スレ
スレリンク(anichara板)

過去スレ
スレリンク(anichara板)
スレリンク(anichara板)
スレリンク(anichara板)
スレリンク(anichara板)
スレリンク(anichara板)
スレリンク(anichara板)

まとめサイト
URLリンク(wiki.livedoor.jp)

618:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 14:52:31 7JK6NxYO
いってらっしゃい。
イギーの人帰ってこないかなぁ…

619:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 15:02:02 7JK6NxYO
リロードし忘れたorz俺立ててきます

620:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 15:06:39 7JK6NxYO
立てました。これが初スレ立てだよ

リリカルなのはクロスSSスレその8
スレリンク(anichara板)

621:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 15:13:54 JtHaP4u4
よっしゃ!乙!

622:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 15:17:28 JtHaP4u4
どなたか短編書く人はいらっしゃいませんか?
明日の昼まで待って埋め実行委員会は作業を開始します

623:リリカル犬狼伝説
07/07/21 17:03:55 hWWf09m6
 某日某所。
 思わず見惚れてしまいそうな筋肉質(主観的感想)で暑っ苦しい漢が、両手をVの字に広げた「グリコ!」なポーズで大笑いしている。

???「ワハハハハハッ!来た!遂にこの時が来たぞ!
     これで夢にまで見た【リリカル某本編に関わるようであんまり関わらない短編】が載せられるぞッッ!!」

 漢は「トウッ!」と言ってジャンプ!しくるくると空中ねじり十六回転!
 シュタッと着地!

???「じゅってん!じゅってん!じゅってん!!今この瞬間ッ、着地もまた一歩進歩したッ!」

 そして漢は  “ こ ち ら 側 ”  向って叫ぶッッ!!

???「まずは全ての職人に……!」

 右手で懐からもぞもぞとまさぐった後、バッと取り出す!
 大きな白紙に、達筆で清書された『GJ!』の文字ッッ!!

???「そしてええぇッ!感想レスをくれた未来の職人達に……」

 左手で懐から、また巨大な白紙を取り出す!
 これまた美事な達筆で『unixフラッシュ(ゆにっくすふらっしゅ)』と記されていたッッ!!
 二枚の紙を掲げ叫ぶ!

???「ウハハハハハハハハッ!今回も返信を兼ね、1kも無駄にすることなくネタレスをしたぞ!!」

???「む……!?なあにいッ!!生前はA・Mスーツを惰弱な物として着なかったのになんでバリアジャケットで喜んでいるんですか、だとおッッッ!!!
     馬鹿者ッ!弱き者の盾であらんとしても、貫通される“盾”では意味がないのだァ!!
     むろん、ゴッチゴチに関節がうごいては機動力を損ね、しいては守る事が間に合わなくなってしまう!
     『俊敏な盾であれ!』
     どうだ!理解したか!あと生前とか言うな!
     まるで私が、霊的な意味の(ライカンスロープなどの古代に創られたせ生物兵器群ではない)グールや吸血鬼のような言い方ではないかッッ!!
     ……確かに此処最近……ヴァチカンからの挑戦者が増えていたり
     (無論彼ら彼女らには正々堂々と試合をして敗北とは何かを身を持って教えてやったわ!)、
     昨晩はアルトルージュ・ブリュンスタッドと名乗る(あんな少女が死徒二十七祖なわけがあるかッ!私は相手の力量を推し量れない輩とは違う!!)少女が、
     「新入りさん……私と契約してみない?」とか言ってたりもしたが、断じて違うぞ!!
     む、時間だ!それでは庭の草刈という重要な依頼が待っているので此処で失礼する!!」

624:魔法少女リリカルスクリームの人
07/07/21 17:27:50 6SR+9qbC
支援。

625:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 17:29:35 JtHaP4u4
支援

626:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 17:30:50 J0t6JZ0P
彼なら気合で太陽を克服しそうだ。

627:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 19:02:41 Pih7WsRY
つってももうホントに短いのしか投下できないだろうな

多分好き好んで投下する奴はいないと思うぜ

628:リリカル龍騎 ◆l5ZL/l4pJY
07/07/21 22:42:21 5ppetP1C
NANOSINGの最新話が出来たんですが…どうしましょう?
ここの残り容量ギリギリくらいの容量ですし…やっぱりこっちに投下して埋めに貢献した方がいいですかね?

629:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/21 22:54:06 Pih7WsRY
>>628
アンタ英雄だよw
どんとこい!!


630:リリカル龍騎 ◆l5ZL/l4pJY
07/07/21 22:55:51 5ppetP1C
「ローマが、法王庁が、ヴァチカン特務第13課イスカリオテ機関が動いています!」
 眼鏡をかけた管制官の男が、インテグラへと報告する。
現在アーカードら3人に与え、遂行させている任務。それにヴァチカンの絶滅機関『イスカリオテ機関』が介入しているというのだ。
「イスカリオテ第13課…ローマカトリックの絶滅機関か!兵力は?」
「派遣戦力は3名!ハインケル・ウーフー、高木由美江、
そして…『聖堂騎士(パラディン)』アレクサンド・アンデルセン神父!」

「やれやれ…由美江、そっちは?」
 一方こちらは現場であるベイドリックの家屋二階。こちらではハインケルと由美江がグールの相手をしていた。
「こっちも終わり。んでもホントわっかんねえなぁ」
 たった今二階のグールの殲滅が終わったところのようだ。だが、由美江は何かがおかしいと感じている。
「わかんない…って、何が?」
「ここの吸血鬼はとっくの昔に神父様がたたっ斬ったはずよね?なのに『何でまだグールがいるのか』気になったからさ」
 確かにそうだ。グールは本来、母体である吸血鬼が死ねば全滅するはず。それなのにまだこれだけの数がいた。
アンデルセン神父が仕留めそこなったという解釈も出来るが、彼の実力から考えるとそれもありえない。
…ならば、このグール達には何かある。そう考えるのが自然だろう。
…と、下の階からバヨネットが突き刺さる音がした。おそらくHELLSING機関と接触したのだろう。
こうしてはいられないとばかりに、二人そろって下の階へと降りていった。

第三話『ANGEL DUST』(2)

「イスカリオテ第13課…ヴァチカンの非公式特務実行部隊…!」
 インテグラの表情が険しいものになる。それを見たシャーリーがインテグラへと聞いた。
「そのイスカリオテって人達…そんなに危ない人達なんですか?」
「ヴァチカンの持つ唯一にして最強の戦力。『イスカリオテ』の名を持つ存在しないはずの第13課。
悪魔退治、異教弾圧、異端殲滅のプロフェッショナル達…こう言えば分かるか?」
「じゅ、十分理解しました~…」
 シャーリーがそう言うのと同じ頃に、インテグラが葉巻をくわえる。
…だが、そこでシャーリーにはもう一つの疑問が浮かぶ。再び口を開き、インテグラへと聞いた。
「あれ?でも何でそのイスカリオテの人達があの町にいるんですか?
確か協定ではベイドリックはこっち側だって聞いてたんですけど…」
「連中はそんな事どうでもいいのさ。プロテスタントとカトリックの境界ぎりぎりの所に吸血鬼がいて暴れている。
いるのなら絶滅させる手段も方法も選ばない。それが連中だ」
 再びのシャーリーの問いにインテグラが答える。もはや眼鏡の管制官が忘れられているが、気にしないで頂きたい。
「問題は協定違反だけではない。アーカード達だ。
もしあいつらと第13課の面々…特にアンデルセン神父が鉢合わせになったらどうなる?絶対にヤバい」
 インテグラの口調から、その危険性を理解。ゾッとするシャーリーを尻目に、内線電話を取りウォルターと連絡を取る。


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