07/05/13 20:46:36 4jnp7bW0
「んーっ…」
気付けば俺は意識が戻っていた。だが体はだるいままだ。関節が痛い。
「…ごめんね…」
壁にもたれ、足を広げて座っている俺の横に、水銀燈は俺に頭と体をもたれさせるように、座っている。
「ごめんね…私…ごめんね…」
俺は力を振り絞り水銀燈の頭を撫でた。まだ頭はボーッとする。
「なぜ…君が謝るの?なんで…泣くの?」
「…ごめんね…私も…あなたが好き」
「…そう…ありがとう。銀ちゃん。嬉しいよ…」
「私ね、とっても楽しかった…あなたと過ごした日々…私の…宝物よ…?」
意識が徐々にハッキリしてきた。体力も回復してくるのが分かる。視界の曇りも消えてきた。俺は横にいる水銀燈をみた。
俺の脇にもたれ、うつむいている。
「あれ?」確かに目の曇りは取れた。しかしすこし水銀燈が白っぽくというか薄く見える。
「おい、水銀燈?」俺は水銀燈をゆすった。
グシャ…
「それ」は脆くも崩れた。
「へ?水銀燈!!」俺は叫んだ。
どこからか水銀燈の声が聞こえる。
「はじめてだったの。こんなにやさしくされたの…嬉しかった…」
俺は窓を開け水銀燈と叫んだ。どこに行くのだ水銀燈。早く戻ってきてくれ。
「ねえ、私の最後の望み、聞いてくれる?。」
最後!?そんな…嫌だ。嫌だ最後なんて。離れたくない。せっかく…まだ出会ったばかりじゃないか…あんまりだよ。ひどいよ…
俺は水銀燈の名前を呼んだ。いい年して泣きながら呼んだ。しかし返事は無かった。水銀燈が戻ってくることは
もう無い。