【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 5【一般】at ANICHARA
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 5【一般】 - 暇つぶし2ch318:変態めぐ ◆b7XuiBsTpk
07/06/04 18:39:11 fate1Kl4

  .'´,ヘ ヘヽ
  !〈 ((゙ "))〉   >>313 私はそんなに繊細じゃないわもっと変態よ(オナニー
  il!!|.゚ ヮ゚ノ!       
  il(i ゜ ゜i)l 
 ノl!!l   |!|  
   |._ハ_.|     
   i⊃i⊃



319:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/04 21:38:13 1qHwaOe9
            ∩_ 
           〈〈〈 ヽ
          〈⊃  }
   ∩___∩  |   |
   | ノ      ヽ !   !
  /  ●   ● |  /
  |    ( _●_)  ミ/ <こいつ最高にアホ
 彡、   |∪|  /
/ __  ヽノ /
(___)   /

320:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/04 22:43:17 Xj6zyIC6
>>318いつまでもスネかじれると思うな

321:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/04 23:14:14 QTMbcOlJ
>>318
IDがfate
つまり型月の回し者

322:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/05 01:03:01 8fZx64gS
つまり過疎だってことだ

323:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/05 05:21:30 Zf6zUFE6
  ,',i><iヽ
  /((ノノリノ))  ヒナの菊に
. ((ミi!゚ ヮ゚ノミ)) 指を入れてほしいの~
    (⊃⌒*⌒⊂)   ∧_∧
     /__ノ(i)ヽ__)  (    )  
._______  /      ヽ
||\         /  .|   | |
||\..∧_∧    (⌒\|__./ ./
||.  (    )     ~\_____ノ|   ∧_∧
  /   ヽ            \|  (    )
  |     ヽ           \/     ヽ.  
  |    |ヽ、二⌒)        / .|   | |

324:蒼星石 ◆b7XuiBsTpk
07/06/08 00:57:05 JMvHKQZl

ローゼンメイデンの柿崎めぐと話すスレ6
スレリンク(honobono板:1-100番)

水銀燈がママになって優しくしてくれるスレ
スレリンク(charaneta2板)l50x

蒼星石の館
スレリンク(anichara2板)l50x

【妖艶】ローゼンメイデンの真紅と話すスレⅡ【才女】
スレリンク(charaneta2板:1-100番)

325:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/08 02:48:35 pFuFyse0


326:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/10 12:28:27 0Gb0Tt+3
保守揚げ

327:蒼星石 ◆b7XuiBsTpk
07/06/11 00:20:48 qUWNWqSX
つローゼンメイデンの柏葉巴が彼女になってくれるスレ
スレリンク(erochara板:1番)-100

328:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/06/11 03:23:40 7XnPQ4g4
>>315の続き

23

妹…。七体目を名乗る少女。きらきしょぅ?
水銀燈は気分が踊った。本当ならば、七つのローザミィスティカがいまこの時代に揃う訳だ。
「第七ドール…うっふふふ、ついに姿を表し…??」
鏡に映された少女の姿を目に納めた瞬間、水銀燈は頭を金づちで殴られたような衝撃を覚えた。
どこかで見た顔じゃないか。
「これは何かの冗談?」水銀燈はへらへらと笑いたてた。「"エンジューメイデン"第二ドールではなくて?」
その少女は、先週現れた偽の薔薇乙女 - 薔薇水晶に酷似していた。
あの懲りない人形師の槐が、また似たようなドールを作って私達のアリスゲームに送り込んできたのではないかとすら水銀燈には思えた。
「そう…私は薔薇水晶によく似ているのです。お姉さま」雪華綺晶は穏やかな笑みを見せた。「何故だと思います?」
「はぁ?そんなの知らないわ」
水銀燈は可笑しそうに首をかしげたあと、鏡の元へと詰め寄った。
「よりにもよってこの水銀燈の前に現れるなんて…ズタズタのジャンクにしてあげるわよ」
「強気…」
雪華綺晶は逆さのまま、水銀燈を薄い目で見据えている。
「でも、あなたはかわいそう。愛という棘(いばら)が貴女を幾重にも縛っているのが見えます…
お父様が愛しくて愛しくて…でもその愛は決して返されない」
「な…!」
「かわいそうな水銀燈。彼女のパパを殺してあげても、貴女の呪縛は消えないのに…」
雪華綺晶は鏡の中でくるくる踊るように回りながら、逆さの状態から地面に降り立って言った。
「ぐるぐる…ぐるぐると、ただ憎しみが廻るだけ…全てはアリスのために」

このフィールドに連れ込まれてから数十分、何も起らない。
焦らされているのだろうか。苛立ちを覚えるほど周囲は静まり返っている。
翠星石は堪え切れずに叫んだ。
「水銀燈ー!いるのは分かってるです!もったいぶってねーで姿現すです!」
返事はない。あまりの静けさに、自分の声がフィールドの壁や床に吸い込まていったような違和感すら覚えた。
彼女の頭には、べったりとカニのように雛苺がしがみついている。
灰色の空を見上げ、翠星石はかの第一ドールの姿を探し始めた。
水銀燈は大体空から黒い羽を撒き散らしながらという、憎たらしい登場をする。
上空に目を凝らしていると、思いもよらない人影が遥か上空に4つ翠星石の目に飛び込んできた。
その人影は崩れ落ちる瓦礫さながらにがらがらと地へ落ちていく。
「あれは…真紅!蒼星石!チビ人間にデカ人間!」
翠星石は叫んだ。
「雛苺、いきますよ!」

329:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/06/11 03:26:10 7XnPQ4g4
「ククっ…ふっふふ…あっはははは!この私がかわいそうですって?」
雪華綺晶がいい終わる前から、水銀燈は既に笑い出していた。
「私は水銀燈。闇を縫わされ"逆十字"を標された薔薇乙女最凶のドールよ。
末の妹さん。戦いを挑みにきたのなら、さっさとそこから出てくればァ?」
水銀燈が指で手招きすると、雪華綺晶はにっと笑った。
「現実世界には身をおけない…何故なら私は幻の中にしか存在し得ないから」
雪華綺晶は言いながら自分の頬を両手で触れてみせた。
「物質世界に存在を縛られること自体がアリスへの枷になってしまう不要の形骸なのか。
イデアのイリアステル。それこそがアリスの輝きなのか。お父様はそう考えました…だから私は、実体を持たない」
「実体を持たないですって?」
水銀燈は再び笑いが堪えきれなくなった。
「要はあなた、手抜かれたんじゃなぁい?おめでたいジャンクだわね七番目」
「かわいそうな水銀燈。手抜かれたのはあなたです…」
二人の睨み合いが続いた。

「私は争う為に来たのではない。お姉さま。可愛そうな私のお姉さま…私はあなたに協力します」
鏡が光を放ち、雪華綺晶の後ろにある光景が映し出された。
「そこは…」水銀燈にはすぐにその場所が分かった。「私のフィールド!?どうして…」
さらに、そこには翠星石と雛苺の二人が、廃墟の中を懸命に駆け巡っている姿もある。
「あいつら、知らない内に私のフィールドに…あなたが連れ込んだの?」
「お姉さま」雪華綺晶が薄く微笑む。「あなたの行いは正しい。アリスゲームを避けようとする愚かなドール達。
あなた一人ではアリスゲームを始めさせることは出来ない。私とあなたで…はじめましょう。」
「どうして私のフィールドがわかったの?あなた、人のフィールドに勝手に入れるこざかしい能力でも持っているわけ?」
「いいえお姉さま。張り巡らされた棘が私を導くのです」
「そんなでたらめで私をはぐらかす気?」
「棘の導きによって…今宵、あなたのフィールドに全ての薔薇乙女が集うのです」
「ふん、随分と親切なことしてくれるのね?あなたのローザミィスティカだって危ないわよぉ」
その言葉をきいた時、雪華綺晶はふふふっと実に少女らしい可愛げな笑い声を出した。
「私には要らないから。私のも姉妹のローザミスティカもみんなあなたに差し上げる。
今宵のアリスゲームで私が奪ったローザミィスティカはあなたに贈ります…だからお姉さまも負けないで」
次に、鏡はあの真紅と蒼星石を映し出した。他に、真紅のミーディアムともう一人気絶している人間の女の姿も。
どうやら今宵私のフィールドでアリスゲームが始まるのは本当らしい。
「…何を考えているの?おなた」
水銀燈はそれが心底から放たれた台詞だということに気付いた。
「ローザミィスティカを贈る代わりに」雪華綺晶は鏡の中で右手を差し出した。「あなたのマスターを私に下さい…」

330:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/06/11 03:31:04 7XnPQ4g4
24

「ここは水銀燈のフィールドだって?」
蒼星石が驚愕した顔で辺りを見回しながら、真紅に聞き返した。
「え、ええ、けど一体どういうことなの?どうして水銀燈のフィールドに繋がっているの?」
質問に質問で返しているあたり、真紅もかなり混乱気味のようだ。
「僕にも分からない…確かにレンピカは金糸雀のフィールドの入り口を探り当てたはずなんだ。
なのに中に入ってみると何も無いのは僕もおかしいと思った…まるで誰かに"喰われた"かのようだよ」
「喰われた?」真紅はその恐ろしげな表現に身震いした。「フィールドを食べるですって?」
「うん…」緑色と赤色の瞳がまっすぐ真紅に向けられる。「夢が奪われた、とも言える」
不安げに顔を見合わせる二人を見ながら、ジュンは事態が予想より遥かに悪い方向へ向かっていることを悟った。
金糸雀の身の安全に大いなる疑念が持たれている。

「蒼星石ー!真紅!」
遠くから自分達を呼ぶ声が聞こえる。
「翠星石!」真紅は勢い良く振り返った。「なぜあなたが?」
「ジュンー!みっちゃーん!」今度は雛苺の声だ。
「翠星石!今そっちに行くよ!」蒼星石が叫び返し、真紅と一緒に声のする方に走っていった。
「お、おいおいお前ら待てって…」取り残されたジュンは独り言を呟き、後ろに倒れているみつを眺めた。
しばらくの時が流れる。
「ち、ちっくしょおおお!」ジュンは叫ぶなり肩にみつを担いで、真紅達の後を追った。

五人は無事フィールド内で合流した。

一番先に問い掛けたのは真紅だった。「翠星石、雛苺!なぜあなた達までここに?」
こっちが聞きたいです…! - その気持をなんとか堪え、翠星石はゆっくり話しだした。
「それが…さっきチビ人間がよく一人で笑っている箱をいじっていたら…」
「な、なにー?」ジュンがすかさず身を乗り出したが、真紅が手で遮った。
「突然見知らぬ真っ白な女がでてきて…白い薔薇に絡まれてジュンの箱に吸い込まれたです…
そして気付いたら水銀燈のフィールドにいたです。」
「真っ白な女?」真紅が間髪要れずに聞いた。「それはローゼンメイデン?」
「多分そうですぅ。でもなんだか見覚えのあるようなドールだったです」
一端言葉を切ったあと、翠星石はついに答えを見つけたとばかりに人差し指を立てた。
「あああ、あいつ!あいつです!薔薇水晶!薔薇水晶が真っ白けっけーになったようなドールでした」
やはり、そうだったか。真紅は一呼吸してから言い始めた。「恐らく、そのドールが…」
「そう、そのドールこそが、真のローゼンメイデンの第七ドールですよ。レディー達。くくッ」
突然、別の方向からした声が真紅の言葉を遮った。今や誰もが知っている声だった。その声は、いつも不意を突いて横から耳に入ってくる。
「ラプラスの魔…!」
名前を呼ばれたタキシードを身に包む直立二足歩行の兎は、軽やかな動きで壊れた建物の上から地面に降り立った。
この兎が本当に - フランスの数学者ラプラスの考案した超越的な存在 - 全ての未来を予測する知性をもつとされる -
ラプラスの魔そのものであるか、またはそれにちなんで名づけられているかは謎に包まれたままだ。
「七番目はそもそも実体を持たない、アストラルの人形。そんな彼女の背中の螺子を巻くものは、人間のこころ。
薔薇乙女が一斉に目覚めている今…それはよりどりみどり…」
ドール達はお互いに顔を見合わせた。
第七ドールが目覚めた。何世紀にも渡って、決して姿を見せなかった真の第七ドールが。
「はてさて。第七ドールはなぜ、第一ドールの世界に皆さん方を招待したのでしょうな。
私がいまお嬢さん方にいえることはただ一つ…第七ドールが我々の前に姿を見せるとき、正真正銘のアリスゲームが始まるでしょう」
第七ドールがここに!?真紅は息を呑んだ。そういえば、肝心なこの世界の主 - 水銀燈も姿を見せていない。
「最初の舞台は第一ドールの壊れた世界。歯車は動き出しました」
ラプラスの魔はそう言うと、いつものように - 後の壁に穴を開けて、その中へと消えていった。

331:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/06/11 03:36:01 7XnPQ4g4
「本当の第七ドールが」翠星石が呟く。
「ここにやって来る」真紅がその続きを受け持った。「長かったアリスゲームも…いよいよこの時代で終わるということ」
その結末は誰にも分からない。想像したくもない。
再び空間は静粛に包まれた。
「ねえ、みんな」
そこへ、蒼星石がその重い口を開いた。
「もし今夜ここに、全ての薔薇乙女が本当に揃うようならば、僕は…」
彼女は一度顔を下に落としてから、決意に満ちた顔で皆に向き直って言った。
「僕はその時アリスを目指す」
全員が蒼星石の顔を見つめた。
「それが僕たちの宿命。みんなだって分かっているはずだ」
「蒼星石!」
最初に突っ込んできたのは双子の姉の翠星石だった。
「そんな、そんな急に…いやです!まだ7体揃うとは決まっていないです!そんなこと突然言われても私納得できないです!」
蒼星石の両腕を握り、激しく揺さぶる。
「翠星石…お願いだ。それにみんなも」
蒼星石は続けた。
「真のアリスゲームはもうすぐそこまできているんだ。今覚悟を決めないと、自分のローザミィスティカだって守れなくなるよ」
「いやぁ~!!」雛苺が大声で叫んだ。「ヒナは、アリスゲームなんてしないの!」
ふう、ため息をついて蒼星石は雛苺を見つめた。
君は確かに幼い。その幼さで戦う運命を担うのはあんまりだ。だがそう作られたのもお父様の意思…。
「蒼星石、一応念をおすけど」真紅も割って入った。「お父様はアリスゲーム以外にもアリスになる方法はあるといっていたわ」
蒼星石は首を横に振った。
「どうかな。アリスゲームが一番お父様の願いを叶える道に適っていると僕は思うね」
ジュンは歯を食いしばった。話を聞くだけの立場を取っていたが、いまや忍耐の限界を超えた。
「蒼星石、お前だって本当は姉妹同士戦うのは嫌なんだろう?真紅たちと一緒にアリスゲーム以外に
アリスになる方法を探せばいいじゃないか!どうしてそんなことがいえるんだよ?」
「何故なら」
蒼星石はジュンに軽んじるような視線を送った。こればかりは人間が関われる問題ではないんだ。
「いずれにせよ、アリスになるのはローゼンメイデンの内のたった一人。
アリスゲーム以外に方法があるにしても、結局はその一人を決めるため僕たちは争わなければならない」
「一人とは限らないかもしれないじゃないか!」
「それに、もう僕達は十分すぎる程アリスゲームを長引かせてきた」
蒼星石はみんなの方に向き直り、口調を強めて言った。
「いつまでお父様を待たせるつもりなんだ!僕はアリスを完成させたい!」
「蒼星石、早まる必要なら無いわ。お父様はまだ私達を待って下さっている」
「例えそうだとしても僕がもう我慢ならない!これから別の道を探すだって?これまでの60万時間は一体なんだったんだ!?」
「やだやだやだアリスゲームなんていらないのー!」

それぞれの想いが五人の間を交差するさなか、突然空から無数の黒い羽が雨のように降り注いできた。
「危ない!」
ドール達はとっさにその場から離れ、それぞれ近くの物陰に隠れた。
お互いの距離がそれぞれ広く開き、それは皮肉にも - ドール達の決裂を思わせた。
「う、うわああっ!」
ジュンはみつを抱えている分逃げるのが遅れた。
背中を黒い羽が何本かかすめるなか、どうにか屋根のある建物の下まで辿り着き、中に入って慎重にみつを地面に寝かせた。
その後ろでは未だに黒い羽が空を裂く音を鳴らしながら地面に降り注いでいる。
「うっふふふふ…」元凶の笑い声が上空より響き渡り、一同は顔を上げた。
フィールドの主、黒い翼を持ったローゼンメイデンの第一ドール。水銀燈が宙に浮いて五人を見下ろしていた。
その隣には、見たことのない真っ白なドールが浮いている。
真紅が声を張り上げた。「あれが…ローゼンメイデン第七ドール!」

332:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/06/11 03:43:10 7XnPQ4g4
25

何も見えていないかのような虚ろな金色の瞳。全身を覆う白。
そういう特徴を持ちながらも - その姿に真紅は薔薇水晶の連想を禁じえなかった。翠星石の言うとおりだ。
「初めまして、お姉さま方…私はローゼンメイデン第七ドール、末の妹…雪華綺晶」
第七ドールが名乗るその隣で、次に水銀燈が言った。
「うっふふふ…ようこそ。私のフィールドへ。可愛い私の妹たち」
お姉さま方と雪華綺晶が言う一方で、水銀燈が妹たちと自分達を呼んだことに、真紅は一種の倒錯にも近い感覚を味わった。
思えば、今宙に浮かんで並んでいるあの二人は - 薔薇乙女の長女と末っ子な訳だ。
第一ドールと第七ドール。
「蒼星石のぼっちゃんは初めて?どぉ?私のフィールドは」
水銀燈に問いを投げかけられた蒼星石は、手元に鋏をしかと手に握り締めながら返事をした。
「そうだね。完璧な少女アリスを目指す薔薇乙女のフィールドが、こんな壊れたような世界じゃ心配になってくるよ」
「あら、この壊れた世界は…」水銀燈は右手を蒼星石に向けた。「あなたたちの将来なる姿をかたどっているのよ!」
言い終わるや否や、水銀燈の翼から黒い羽が蒼星石の元をめがけて飛んでくる。
「はっ!」
羽が自分の目前まで飛んできたところで、蒼星石は鋏を振って逆風を起こし、勢いを殺した。
「第四ドール、蒼星石のお姉さま」
いきなり、今度は雪華綺晶が上から蒼星石に語りかけ始めた。
「かわいそうに。揺れておられますね。お父様の願いを叶えに応えたいのに、双子の姉があなたを縛っている…」
「な…なに?」
初対面のドールにいきなり心の内を言い当てられたことに蒼星石は悔しさと不快さを覚え、雪華綺晶を睨み上げた。
「どうしてそんなことが分かるんだ!?」
「水銀燈、どういうこと!?」今度は真紅が下から叫んだ。「あなた、また第七ドールと手を組んだというの!?」
「真紅ゥ…」水銀燈は不快そうな顔をして彼女をみやった。「手を組んだ?人のことがいえて?…っと」
真紅にむかって言い放ちながら、水銀燈は真横から伸びてきた雛苺の蔓をかわした。こいつの姑息な不意打ちにももう慣れている。
「ああっ…」自分の蔓が空を絡め取った失敗に、雛苺は悲しげに唸った。
「私からあなた達に教えられることはただ一つ」水銀燈は雛苺に右手を向けた。「今日生きてここからは出られない」
8本の羽が、矢のようにして同時に放たれた。雛苺が慌ててその場から逃げたあと、ショトガンのような着弾音を出して羽が地面に突き刺さった。
「第六ドール、雛苺のお姉さま」
再び雪華綺晶が上から物言い始めとき、雛苺は初めて自分のことを姉と呼ばれた気がした。
「うにゅ?」
「あなたがアリスゲームを恐れる理由は何も仲間割れや、苦痛が怖いからだけではありません。もう一つ心の中で恐れていることがあるのです。
こんな自分が究極の少女なんてものになれるはずがない、そんな素質は自分には全く無いのではないのかと。かわいそう。お父様の愛を」
「第七ドール!ドールの心の弱みに付け込むのはやめなさい!」
真紅が、これ以上は耐えられないとばかりに厳しい口調で怒鳴ると、わざとらしく雪華綺晶はびくっと体を振るわせた。
「ひゃっごめんなさいっ。第五ドールの真紅お姉さま!」
彼女は合わせた両手を右頬に当て、目を丸くさせた。しかし、その金色の瞳は相変わらず何も見えていないかのようだった。
「お姉さまは怖い。だから恐れられている。全ての姉妹が - アリスゲームが始まったら、自分を壊してしまうのは真紅なんだと、
第六を始め、双子の第三、第四のお姉さま達はみんなそう思っています」
「なん…!」
真紅は、ドール達の不安げな視線が一瞬自分に集まったのを肌で感じ取った。
私情に任せて再び怒鳴りそうになるのをどうにか抑える。
あの子の挑発に乗ってはならない。真紅は自分に言い聞かせた。ラプラスが言っていた…"心を喰うドール"だと。
真紅は物陰から身を乗り出して雪華綺晶を見上げた。
そして間を入れてから、全員に聞こえるようにして声高に言った。

333:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/06/11 03:44:18 7XnPQ4g4
「第七、雪華綺晶といったわね。はっきりと言うわ。私はアリスゲームを終わらせ、別の方法でアリスになる」
厳然たる声が迫り、フィールド内を響き渡っていく。
それはこの場の薔薇乙女全員に対しての紛れもない - アリスゲームを放棄する宣言だった。
真紅の言葉を聞いた雪華綺晶は、登録されていない文字列を打ち込まれたコンピュータのように固まった。
「別の方法で…アリスになる…?」
そう呟いた彼女は表情は意外なものだった。まるで恐れているかのような顔で、目を見開いている。その後ろで白い髪がゆらゆらと舞い続けた。
「あなたは聞いていないのね」真紅は確固たる声で続けた。「"アリスゲームだけが、アリスになる方法じゃない"。お父様の言葉よ」
「くっ…!真紅のやつ!」水銀燈が怒りに体を振るわせた。「アリスゲームこそが本来薔薇乙女の誇りであり宿命だというのに!」
その下では第四ドールの蒼星石が、地面に突き立てた鋏に手を掛け、暗い面持ちで肩を落としていた。
「真紅姉さま」
知らず内に普段の調子に戻した様子の雪華綺晶が突然言った。
「私には、もう一つあなたに謝らなければならないことがあるのです」

有栖川大学病院の一室で、めぐは心臓の苦しさから目を覚ました。
また発作が始まったの?…
心臓が熱い。だが熱いのはそこだけではないことに気付いた。
めぐは驚いて体を起こした。とっさの勢いで自分の左手薬指の指輪を見る。
すると、指輪は紫色の光を放ち、指に熱を伝えていた。
水銀燈が私の命を使って戦っている…

334:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/06/11 03:51:11 7XnPQ4g4
26

雪華綺晶はゆっくりと両手で何かを抱えるような動作を見せた。
「謝ります…お姉さま。お父様のため、アリスのために、このドールはその運命を担ったのです」
彼女の手元を、真っ白に輝く小さな光が - 雪華綺晶の人工精霊が - 舞う様に飛ぶと、そこに横たわった人影が姿を現し始めた。
その人影には白い棘が何重にも絡まり、ぐるぐる巻きにされている。
「金糸雀!」真紅が叫んだ。今日みつに助けを求められてから、ずっと探し続けていたドールだ。
棘に縛られた金糸雀は気を失っているのか、眠り続けたままだ。
「第二ドール・金糸雀姉さま。薔薇乙女の二女として誇り高く、知的なお方。
しかし、かえってそれが邪魔してお姉さまは疑惑に苛まれている。姉妹達との疑惑に…いえ、やめておきましょう。
真紅姉さまに叱られてしまう。ふふっ。金糸雀姉さまはお返しします」
雪華綺晶はにっこり笑い、手に持っていた金糸雀をぱっと手放した。地面に向かって一直線に落ちていく。
「金糸雀!」真紅はもう一度叫び、落ちゆく彼女の真下の落下地点にむかって駆け出した。
「うっ!」
ぎりぎりのとこで、真紅は金糸雀を地面に衝突させることなく抱きかかえることに成功した。
衝撃が強いあまり、バランスを崩しかける。
大丈夫。真紅は安心した。ローザミスティカは奪われていないようだ。
体勢を直し、雪華綺晶をきっと睨み上げた。
「やはり、あなただったのね!第七ドール!…口の割には二女に対する敬意が少し足りないのではなくて!?」
「真紅姉さま。私は第二ドールには少し休んで貰っただけなのです。すぐに目を覚ますでしょう」
雪華綺晶は微笑み、一瞥して言った。
「あなた方にも敬意を払い、第七ドールは自分を紹介していました」
彼女はそう言うと、何も無い空間に向かって、自分の右人差し指をゆらゆらと揺れ動す。
すると、白色に輝いた文字が透明なガラスに描かれるようにして、独りでに形作り始めた。

s…p…l…e…

URLリンク(up.sussiweb.com)

"splendidice"。今日みつの部屋を訪れた時、壁に書かれていたあの文字だ。
だが、文字には驚くべき秘密があった。
雪華綺晶が宙に現れた文字に左手で軽く触れてみせると、文字はゆっくりと反転し始めた。180度。
全員が目を瞠る。
文字が持つ魅惑なる魔力が、全員にとり憑ついた。文字を知らなかった水銀燈まで、その光景には魅入った。
反転した文字は全く違う単語をなしていた。

URLリンク(kissho.xii.jp)

"I am a seventh"。

「I am a seventh.splendidice」雪華綺晶は完成した単語を上と下順番に読み上げた。「私は第七の、雪華綺晶」
雪華綺晶は再び真紅に向かって微笑んだ。「気に入って戴けました?」
「アンビグラムだったのね…」真紅はそういう芸術文字を聞いたことがあった。
アンビグラム - Ambigramとは上から見ても下から見ても単語としてなしている文字で、イタリア語でAmbiは両方、Gramは単語を意味している。
aやeはひっくり返すだけで無条件にそう代わってくれるので、aとeを含む単語water、angelなどはアンビグラム化しやすい。
splendidIceは、"綺羅なる雪"を意味しているが、何もこれはアンビグラムの為に用意した自分の名でありお父様から戴いた名という訳ではない。
「上から眺めている日常も、下から見れば全く新しい発見があるものです」雪華綺晶は語りかけた。
「世界は全て対象をなしていますから。光と闇。現と幻。無と有…完全と不完全」
そこまで言い終わると、やがて文字は白い煙を上げながら消滅していった。
この場全員の注意が自分に注がれているのをはっきりと感じ取れる。アンビグラムもその為に用意した。
あとは、皆が見ている中はっきりと宣言するだけだ。

雪華綺晶は声を神妙に轟かせた。「全ての薔薇乙女が目覚め、ここに出揃いました…始まるのです。約束の刻が」

「誰も逃げられません」

Ⅲ:喪失 The lost に続く

335:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/11 03:56:57 sDydCmwv
こんな夜中に投下しやがって・・・お前は俺を寝不足にするつもりか?GJ!

336:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/11 03:57:39 ef905XfF
(;゚∀゚)=3ムッハー
GJ!!


337:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/12 00:55:27 WSqwiFpx
原作とアニメがうまく融合出来てる…。
この週1ペースの投下が待ち遠しくて仕方がないこの頃。
GJ!

338:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/14 03:21:57 xAQRRRo2
梅岡の奮闘日誌

いや~今日は良い天気だねぇ~桜田ぁ~
こんな日は・・・痴漢に限る!
そんな訳で早速僕は痴漢をすべく満員電車に乗ったんだ
電車の中で僕は可愛い女の子を見つけたんだ
僕は興奮してその女の子のスカートの中のパンツに
僕の勃起したチンポツールフを擦り付けたんだ
すると女の子は急に焦りだしたんだ
もちろん僕は女の子が焦っているのにも構わずにチンポツールフを擦り続けたんだ(僕って一途だろ?)
チンポツールフを擦り付けてから5分位が経った時ついに女の子が泣き出しちゃったんだよね
周りの人は泣き出した女の子に注目し始めたから
僕は流石に「ヤバイ!」っと思ってチンポツールフを擦り付けるのを止めて上げたんだ(僕って優しい♪)
もちろん僕はその後すぐさまエクソシスト風に電車から降りて逃げたんだけどね♪
いや~今日も良い日だったなぁ~桜田ぁ~明日はどんな女の子が僕に痴漢されるのを待っているんだろうねぇ~
桜田が学校に戻ったらすぐに痴漢のテクニックを教えてやるからな♪
先生達皆桜田の事待って居るからな 絶対に学校に戻って来いよ!




339:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/15 08:03:12 9JrcnJMQ
|<iヽ
|ノリノ))、
|ヮ゚ノミ))  ダレモイナイ・・ウニュ~スルナラ イマノウチ♪
⊂ノ
|
            _
          ,',i><iヽ
     ♪   /((ノノリノ))
       ♪ ((ミi*''゚д゚)ミ)   ウオォ~!アンマァエアウエァ~♪
        ((と__つつ))  クハッ♪キャハ♪ケヘァ♪カハァ♪
            _
          ,',i><iヽ
         /((ノノリノ))
         (ミi ゚д゚ )ミ)   
         (と__つつ  








  ,',i><iヽ
  /((ノノリノ))  ヒナのスジを
. ((ミi!゚ ヮ゚ノミ)) 指で開いてほしいの~
⊂/⌒ヽ∪/⌒ヽ    ∧_∧
 (__人,_,( !),_人__)  (    )  
._______  /      ヽ
||\         /  .|   | |
||\..∧_∧    (⌒\|__./ ./
||.  (    )     ~\_____ノ|   ∧_∧
  /   ヽ            \|  (    )
  |     ヽ           \/     ヽ.  
  |    |ヽ、二⌒)        / .|   | |

340:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/16 05:46:46 UMJA7nR5
_その人形は黒き羽衣を纏った天使か、はたまた悪魔に成り下がった堕天使か。少なくとも病中の少女、柿崎めぐは、彼女のことを天使だと思っているようだ。
_病を克服し外界に戻って行く者。克服出来ずに旅立って逝く者。生の香と死の香が混在する空間。それが病院であり、此処は外界とは異なった独自の雰囲気を醸し出している。
_特に一人部屋というものは、他の病室と比べ死の香が一層濃いものとなる。大病を患った人々は生の世界との繋がりを徐々に喪ってゆき、終いに死の世界に飲み込まれてしまうのだ。
_そして柿崎めぐという名の少女もまた、その死の世界へと飲まれようとしていた。少女にとっての生の希望、そんなものは死と言う名の甘美な果実の前ではあまりに無価値な存在なのである。
_少女の時より見せる大人びた表情から推測するに、年の頃は十五、六才程と言った所であろうか。その優美さとあどけなさを兼ね備えた少女の可憐な顔や体は、長い入院生活と死への憧れにより、痛々しいほどに痩せ細っていた。

341:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/16 05:51:24 UMJA7nR5
_窓辺に置かれた何の飾り気もない白のベッドに仰向けになりながら、只々意味もなく天井を見据えている虚数の瞳。その負の硝子玉は、今この瞬間に砕け散って終ったとしても何ら不思議ではない。
_ところが、その割れてしまいそうな負の硝子玉も、時に見違えたような輝きを放つ瞬間がある。それは黒き天使と一緒に過ごしている時であり、その瞬間だけは、少女の瞳は黒曜石のような輝きを放つのだ。
_だが、勿論少女は自らの死を望んでいる。何も天使と出会ったからと言って、生への希望を見出している訳ではない。寧ろ実際はその逆であり、少女は死への道標を、皮肉にも自らが天使と称した人形に求めているのであった。

342:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/16 06:03:51 WEeDRg0X
URLリンク(blog68.fc2.com)

343:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/16 16:59:39 UMJA7nR5
_そして今宵も、少女の黒き天使は病室の窓辺へと舞い降りた。少女はそれに気付くと直ぐに体を起こし、おもむろに窓を開けた。そうして、何時もように黒曜石の瞳で黒き天使を向かい入れるのである。
_「水銀燈、今日は寒かったでしょう。だから私のベッドで一緒に眠らない? 暖かいよ」
_先程と打って変わって満面の笑みを湛えた無邪気な顔。少女は掛け布団の右半分を捲り上げ、今まで掛け布団で隠れてていた部分を右手でポンポンと叩きながら、此方に来るようにと言った。しかし彼女は乗り気ではない。
_「いやよ、人間の、それも病人のベッドなんて汚らわしいもの」
_黒き天使は窓の縁に立ったまま、不機嫌そうな顔と共に冷たく無機質なグラスアイの瞳を病室の壁に向けている。冬の冷たい夜風になびく細く繊細な白絹の髪。そして少女の長い黒髪もまた、夜の冷たい風に帆を張っていた。
_すると彼女の返答を聞いた少女は、なびく髪を後目に突然クスクスと小さな声をあげて笑いだしたのである。
_「やっぱりね、水銀燈なら多分そう答えるんじゃないかと思っていたわ」

344:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/17 00:35:37 Pq/pT8ch

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|<iヽ                , '´ ̄`ヽ
|。リノ))                i ノ'_\@
|々゚ノ) うー…            ヾ* 々`ノ かしらーかしらー
⊂ノ                  / U  U
|                      しー‐J
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄





                           , '´ ̄`ヽ
     ,',i><iヽ              ;*∵i ノ'_\@
     /((ノ。リノ))  ギョイーーーン   ';∴+  ヾ# 々`ノ がじらぁぁぁぁぁぁ!
    〈《(* 々゚ノ)_ ,、,、,、,、,、,、,、   ';∴;.゚;・,、∴;
    / つ|匚) 巛|}三三三三)》 / U  U
    しー‐J ̄ ̄ ^^^^^^^^^  しー‐J
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄





                  ,',i><iヽ
                 /((ノ。リノ))            グシャッ
               ⊂〈《(# 々゚ノ) あ"う"ー! .゚;・.,'`ヽ
     ';∴;.゚;・,、;     ヽ とソ  \ 从/ _';;;∵\@
     / U  U     (__二⌒) <   > 'ヾ(i.゚'Д;;。;∵
     しー‐J         (_丿    /VV\   ;:∵;;;,
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄





                 ( ⌒ )
                  l | /  ちゃ・・・ぁぅーーーーー!!
                  ,',i><iヽ    ,,-----、
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    ';∴;.゚;・,、;    ⊂〈《(# 々゚ノつ二二|;::::  ::::|⊃', ', ¨
     / U  U      /    / ヽ∴。|;::::',ヾ,::::|;* @
    しー‐J          し―-J   `;:,゙;~ヽ|!|!!,i,,!ii,!l;;。,・ グチャッ!!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

345:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/17 21:50:36 XZ7fnOeB
うにゅ~

346:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/18 21:26:06 kuAvql2Z
>>343続きは?

347:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅲ:喪失 The lost
07/06/19 00:44:40 zOCUYvai
>>334 の続き

27

"Rozen Maiden" - "薔薇乙女による"


"Presents"   - "お父様への"

先程のアンビグラム文字と同様にして、白色に輝いた文字が雪華綺晶によって花火の様に上空に打ち上げられている。

 "For Father" - "贈りもの"

一つ一つの文字が打ち上げられるたびに、雪華綺晶は両手を上げて満足げな笑みを覗かせた。


"Began The Alice Game has!" - "アリスゲームが始まった!"


最後の文字まで煙を上げて消え去ると、今度は水銀燈のフィールドの鐘楼から、鐘の音が鳴り響き始める。
鐘の下にある大きなローマ時計は今、丁度零時を差している。
「これは約束の刻を知らせる鐘」雪華綺晶が水銀燈の隣で言った。「お父様も聞かれておられるでしょう」
水銀燈は鐘楼に目を向けた。あの鐘楼が鳴るのは19世紀時代のアリスゲームが終わりを告げた時以来だ。
時計のところに、かの兎 - ラプラスの魔が立っているのが遠くながらに見える。構図は真紅と決裂したあの時と全く同じだ。
ただし、今回この鐘は終わりではなく始まりを告げている。
アリスゲームの始まりか。
突然ぽつんと、ひんやりとしたものが体をくすぐったく差すの感じ、水銀燈は自分の世界を見上げた。
「雨…?」それは上空より落ちてくる水滴だった。「私のフィールドに…?」
隣の雪華綺晶が水銀燈の顔を覗き込んだ。「お姉さま?泣いておられるのですか?」
「…へ?」
一滴の水滴が頬を滴り渡っているのに気付き、水銀燈は白いレースの施されたドレスの袖でふいた。「これは雨の水滴よ」
「かわいそうに。過去に裏切られたことを思い出せずにはいられないのですね。あの紅薔薇に」
雪華綺晶は勝手に話を進めた。
一本の白薔薇を地面へするすると落とし、彼女はそれをつたってロープ代わりに地面へと降り立った。
地面に立つとすぐ、向きを変えて虚ろな金色の瞳を真紅に向けた。
「…?」
見据えられた真紅は金糸雀を抱えたまま後ろに身構えた。
体に纏わり付く白薔薇をゆらゆらさせて、雪華綺晶は微笑みながら真紅のもとへと歩いていく。

水銀燈はいぶかしげに雪華綺晶を見ていた。別に泣いてなどいなかったのに。増してこの私が。
なのに、雪華綺晶が言うことは毎回毎回どこかしら - 必ず核心をつくものがあった。
そう、今までの事全てが見られていたかのように。
水銀燈は真紅と雪華綺晶のやり取りを見守ることにした。第七の攻撃手段とかも把握できるかもしれない。

348:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅲ:喪失 The lost
07/06/19 00:50:56 zOCUYvai
雨は次第に激しさを増し、フィールド全体をぬらし始めている。
雪華綺晶は着実に真紅との距離を詰めていった。
僅かに口を開き、小さな声で何かを口ずさみ始める。
「 .. de..go. .. . der .. oo.. da .shoo」
ほとんど聞き取れなかったが、その声が魔女の呪文のような響きを持っていることだけは分かった。
雪華綺晶がもう一度言うと、今度ははっきりとそれが聞き取れた。
「derbgoo Nashgshoo,derbgoo dashshoo.. ふっふふ」
真紅は信じられないという顔で雪華綺晶を見つめた。「薔薇乙女がその言葉を口にするなんて!」
「"逆十字"の姉さまも躊躇する言葉でしょう」
雪華綺晶は言った。
「全てを終焉に繋ぎとめる言葉。アリスは全ての薔薇乙女を見つけ、捕まえ、一つに繋ぎとめます。それがアリスゲーム…」
「私はアリスゲームの道を選ばない」真紅はきっぱりと言った。
「ふふっ…強情…あなたも強情…」
雪華綺晶が言い終わったとき、真紅の手元で金糸雀がぴくっと動いた。ゆっくりと目蓋があがる。
「真紅…?ここは…?」
金糸雀が声を出した。
「金糸雀!」
真紅の注意が金糸雀に注がれた。「よかった。目を覚まして!」
金糸雀はドアップに映し出される真紅の顔を見つめながら、一体何が起きているのかぼんやり考えた。
真紅の後ろに見える、薄暗くて荒れ果てた廃墟。こんな所見たことない。nのフィールド?
背後から聞き覚えの無い、直接脳内に響いてくるような声がした。
「この雨…」雪華綺晶は手のひらで雨の水滴を受け止める仕草をした。
「お姉さまが心のうちで悲しんでおられます…他でもないあなたのことで」
金糸雀は首をよじってなんとか後ろを見た。途端、飛び上がりそうになった。薔薇水晶!?いや、違う、あの白薔薇!
今朝自分を絡めとって地面に引き摺りこんだあの白薔薇だ!間違いない。
「し、真紅、あれは…」
「何がいいたいの!?第七ドール!」金糸雀が言い終わる前から、真紅の険しい口調の声があの真っ白なドールを問いただしていた。
「だ、第七ドールかしら!?」
真紅の言葉を聞いた金糸雀の目が見開かれた。頭から瞬時にしてぼやきが消える。
「し、真紅!じゃあここは一体どこなの!?」
真紅は口が滑った己の迂闊さを呪った。今の現状を金糸雀に知られたくなかったのに。

「金糸雀姉さま。アリスゲームが始まったのです。全ての薔薇乙女がここに集って」
雪華綺晶は今やお互いの両手を伸ばせば触れ合うくらいのところまで来ている。
「金糸雀姉さまのお心が末の妹の言葉を聞き入れて下さる程寛大ならば、
すぐにその第五ドールの姉さまから離れてください。とんだ恐ろしい裏切り者ですよ」
「黙って!」
雪華綺晶に対する嫌悪感がみるみる内に増していく。真紅は歯を食いしばった。落ち着いて。挑発に乗ってはいけない。
だが、既に金糸雀をアリスゲームに巻き込ませないという希望は打ち砕かれた。
「アリスゲーム…全ての薔薇乙女が集って…」
金糸雀がオウム返しすると、急に彼女の体に力が篭った。「離すかしら!真紅!」
勢い良く真紅の手元から飛び降り、右手を高く掲げる。「ピカチート!」
金糸雀のバイオリンが光と共に出現し、彼女の手元に納まる。
「そういうことなら、お父様の為にアリスを目指し、私は戦う!」
顔を落とし、真紅は悔しそうに首を横に振った。

349:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅲ:喪失 The lost
07/06/19 00:51:50 zOCUYvai
「あなたは助かりました。金糸雀姉さま。もう少し遅ければ、真紅姉さまの裏切りで喰われていたでしょう。
まさにさっき、金糸雀姉さまのローザミスティカを掬い取ろうとしていたところだったのですよ」
雪華綺晶の言葉を聞くと、金糸雀は驚いたような顔を真紅に向けた。「それで私を手に持っていたの…?」
「違うわ!金糸雀、第七ドールの言葉に耳を傾けてはいけない!」
しかし、余裕を失い焦った形相の真紅に金糸雀の疑いは増大した。
「この真紅姉さまは」雪華綺晶は続けた。「恐ろしい策略家です…自分は戦う気のない振りをしておいて、
油断させて最後にまとめてローザミスティカを戴く。自分はいつも姉妹達を守るような存在だと、みんなにそう思わせるために、
水銀燈の姉さまを利用しているのです。元々、水銀燈はあんな冷酷で加虐的なお方ではありませんでした…
その真紅の思惑によってそう変えられてしまったのです。自分を失ってしまった、可愛そうな水銀燈」
雪華綺晶は意味ありげに真紅に笑みを投げかけた。
「真紅のもとに水銀燈が訪れた時から、その作戦は始まっていたのです…水銀燈を敵役に仕立て上げ、自分は姉妹を守る。
そうして皆の信頼を得る」
「なんて下劣な発想をするの!」真紅は叫んだ。
「真紅は水銀燈と仲良く接しました。彼女の歩行を手伝い、一緒に月を眺め、紅茶を飲みました。
そして遂に彼女が力を失って倒れた時…」
雪華綺晶はそこで間を入れ、恐ろしそうに身震いした。
「あなたは薔薇乙女なんかではないと告げ、ただの作りかけと吐き捨て、ジャンクと罵った!可哀想に!
そして水銀燈の心は引き裂かれました…あなたの思惑通りに。可愛そう…」
金糸雀は何か聞き間違いがあったに違いないと思った。真紅と水銀燈が仲良く?水銀燈を敵役に仕立て上げる策略?

「なぜ昔の私と水銀燈のことを知っているのかしら」
真紅は込み上げる怒りをどうにか抑えながら、努めて慎重に言葉を選びながら言った。
「本当は19世紀の時からあなたは目覚めていた。ずっと全てのドールを監視し続けながら。いやらしい子ね。
けどあなたは何も分かっていないのだわ。あの時水銀燈はローザミステイカを持っていなかった。
誰だって彼女が薔薇乙女なんて信じられるばすないじゃない…!なのに、なぜそんな捻くれた発想が出来るのかしら」
「なぜなら」
雪華綺晶は真紅の問いに答えた。その背中で白薔薇がうようよと伸び始める。
前戯はこれまでだ。
「"アリスゲーム以外の方法でアリスになる"というあなたの言葉…裏を返せばそういう意味だから!」
言い終わるのと同時に、白薔薇が幾本も伸びて真紅に襲い掛かってきた。
「くっ!」
真紅はその場から飛び退き、迫り来る棘を紅の花弁で追い払った。
互いの棘と花弁の力がぶつかり合う。そこに衝撃波が生まれ、近くの廃墟の建物の柱を崩壊させた。放射状に砂塵が巻き起こる。

「うっふふふふふ…いよいよ始まりねぇ」
水銀燈は上空から下の二人のやり取りを見て笑みを浮かべた。
二人の会話はこの位置からは聞こえなかったが、見るからに仲たがいしている。

アリスゲームの幕が今切って落とされた。

「ふふふ…それじゃあ私もそろそろ…」
水銀燈はそう言って、めいっぱいまで翼を広げ、自分のフィールド全体に響くような声を轟かせた。
「最初に悲劇のヒロインを演じるのは誰かしらぁ?」

350:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅲ:喪失 The lost
07/06/19 00:54:47 zOCUYvai
28

水銀燈の翼は最大まで広げられるとかなり大きく、身長の三倍近くはある。
そこまで広げなくても彼女は空を飛ぶことが出来るので、その巨大の翼の主な用途は別にあった。
身の防御。水銀燈は翼を最大限まで広めると己の身を覆い隠し、それを防御に使ってきた。
翼が大きければ死角もないし、何よりも丈夫になる。そして、これが彼女の戦闘に入る前の体勢だ。
水銀燈は素早くフィールド内のドール達全ての現在位置を確認すべくフィールド内隅々まで視線を走らせた。
好条件にも、ここは私のフィールド。ドール達の位置関係を把握できれば戦いにおける位置取りは自分のものだ。

まず、真下の広場に堂々と立っているのが、雪華綺晶 - 何を狙っているのか見えてこないが、こいつは絶対に何かを企んでいる。
私にローザミスティカを譲るですって?代わりにめぐを貰ってどうするつもりなのか。いずれにせよ、後で必ずジャンクにしてやる。
右下の建物の先にいるのが、真紅。砂塵に紛れて移動している。上空からは丸見えだ。
二人の間にいたはずの金糸雀はどうにも見当たらない。建物の中に隠れこんだか。
左に目をやると、蒼星石が一人立っているが、もう少し奥には翠星石と雛苺の二人がいる。三人の仲を考えると、三人1セットか。
全員の位置を大体確認したあと、水銀燈は雨に降られながら何処から攻めるべきか考えを巡らせた。

大多数による無差別な殺し合い - デスマッチにおいて生き残るには、ある一つの鉄則がある。
それは敵全員との相対的な位置関係において、出来るだけ外側にいろという鉄則だ。中心の方にいる者ほど、あらゆる敵の標的にされる。
一方、外側にいる者は、少なくとも背後からの攻撃の心配は無いし、常に全体を見据えることが出来る。
ドッチボールでいう内野に比べ外野が有利なのと同じ原理だ。
そうなれば、いまの私達の位置関係において、最も外側にいるドールどもを更に外側から攻めればいい。
水銀燈はもう一度ドール達に目配らせした。そして、にやりと口元に笑みを浮かべた。
標的は決まった。
そして翼を広げ、獲物に飛び掛る鷹のごとく廃墟の中へと飛んでいった。

351:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅲ:喪失 The lost
07/06/19 01:01:05 zOCUYvai
ジュンは建物の中に身を潜めながら自分に出来ることを考えた。
目前の壁は、一部が壊されて大きな口をあけている。その壁穴から慎重に外をうかがってみる。
さっきまで降りしきっていた雨は、それがにわか雨だったかのように今はもうすっかりとやんでいた。
左斜め前の建物に煙が立ち込めている。そこでドールの接触があったに違いない。戦闘という名の接触が。
真紅を見失ってしまった。うしろではみつが気絶したままで横たわっている。
「チビ人間!」
右斜め前の建物から、翠星石がこちらに声を掛けているのが見えた。
「おばかー!チビ人間が一人でそんなとこいたら水銀燈にメッタ殺しにされるです!はやくこっちくるですぅ!」
ジュンは顔をしかめた。薔薇乙女は人間に危害を加えるべき存在ではないらしいが、経験上水銀燈は人間にも手を出してくる。
建物の奥へと駆け戻り、みつを再び肩に抱え、意を決して建物の外へと躍り出た。
出来るだけ目立たないように壁に沿って走る。瓦礫が地面を埋め尽くし、ところどころひび割れが起きていてるので足場は悪い。
水銀燈の、壊れた世界か。
がしゃがしゃと瓦礫を踏む足音を立てながらジュンは翠星石のもとを目指した。
曲がり角まで到達した丁度その刹那、ゆらゆらとこちらに飛んでくる雪華綺晶の姿が目に入った。
「うわっ!」        (せつな)
ジュンは反射的に近くの建物の破片の影に身を伏せた。抱えているみつの体重が体にのしかかるなか、
ただ自分の身に何も起らないことだけを祈り続けた。
何も起らない。
ジュンは体の横にみつを一度ずらしてから慎重に顔を上げた。
雪華綺晶はジュンの存在を知ってかしら知らずか、そのまま角を曲がって逆方向へと飛んでいった。
(…あのドールは人間には直接には手を加えないのか?…)
「チビ人間、なにぼけーとしてるです!はやく!こっちに!」
翠星石の呼び声で、ジュンは我に返った。危険なのはむしろ水銀燈の方で、そちらはまだいつ何処からくるか分からない。
「い、今行く!」
ジュンは再びみつを抱えて廃墟の道を走り始めた。特にそれからは危険もなく、無事翠星石と合流することが出来た。
建物の中には雛苺もいる。中の部屋は相変わらず壊れた壁やひび割れた天井などで出来ていた。
「はぁ、はぁ。疲れた…」
「別にお前の命自体はそこまで心配してないんですけど」
翠星石はヒステリックな顔つきでジュンを見ながら言った。「この私のミーディアムであるお前に死なれると真紅も困りますからね」
「あーそーかい」ジュンは息を切らしながらようやく答えた。
ミーディアムが殺されれば、その契約したドールの力は格段に落ちる。
それを狙って水銀燈が自分を殺しに来るのは確かにあり得なくは無い話だ。実際、過去に一度奴に夢の中に閉じ込められたことがある。
「あー!」雛苺が急に声を出し、建物の外を指さした。「あれは蒼星石なのー!」
「な…!」翠星石はジュンの頭をおさえつけて外に身を乗り出した。「おい…いてーぞ…」
「蒼星石ー!」翠星石は完全にジュンを無視して叫んだ。「蒼星石!お願いです!こっちくるです!」
蒼星石は鋏を片手に廃墟の道を堂々と歩いていた。呼びかけられると、戸惑いを浮かばせた顔をこちらに向けた。「翠星石…」
「こっちくるです!」翠星石は妹に来るように手で促した。「そんな目立つとこ歩いていたら水銀燈の標的に…」
突然、全く予想外の衝撃が背後から伝わってきた。後ろの壁が爆音を立てながら炸裂し、大きな穴を二つ開ける。
穴からは巨大な黒い龍のようなものが頭を覗かせ、こちらを喰わんばかりに迫ってくる。
「後ろだ!」ジュンが叫んだ。「後ろからくる!」
「スィドリーム!」翠星石がすかさず如雨露を召喚し、部屋の中に緑色の水をばら撒いた。
世界樹の蔓が床から突き出し、それが水平に伸びて黒い龍の頭に正面から突っ込んだ。
黒い龍は世界樹にぶち当たると四方に散り、黒い羽の塊となって宙を舞った。
安堵の間もなく、今度は黒い羽が雨あられと穴の先から飛んできた。
耳たぶをかすめる羽が空を裂く音を鳴らし、壁に突き当って砂埃を巻き起こす。砕かれた石の破片が飛び散る。
「外に出るんだ!」
黒い羽に追い立てられながら、ジュンは身を低くして物陰を探した。
頭上を通り過ぎた羽が、前方の壁穴に貼り付けられた木の板を真っ二つに割った。

352:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅲ:喪失 The lost
07/06/19 01:09:54 zOCUYvai
水銀燈はその場に立ったまま、両手を前に突き出して執拗に羽を撒き散らし続けた。
翠星石と蒼星石はすでに何処かに身を隠したが、のろまな人間と雛苺はまだ視界の中であたふたとしている。
しかし深追いはしない - この攻撃の目的はまだ殺生ではない。
今の状況で例えば雛苺を狙いにいけば、背後から翠星石の援助攻撃を食らうことになる。
この攻撃の目的は4人の離散だ。羽を放ち続け、あいつらを錯乱させ、取り残された一人を確実に狙う。

ジュンはいよいよパニック状態に陥いりつつあった。
どこにも身を隠すところがない。外に出る以外に逃げ道はないが、遠すぎる。水銀燈の羽の雨に晒されている今の状況では。
だが、やっぱり外に出る以外に生き残る道はありそうになかった。
「いってっ!」
建物の外に一歩出たとき、二本の羽が右腕と足の腿に着弾した。千枚通しが体に刺されたような痛烈な感覚が走る。
思わず体のバランスを崩して足をつき、廃墟の道端に倒れる。
「ジュン!」頭上を過ぎ去る羽が激しい風切り音を轟かせる中、ジュンは翠星石の呼び声をおぼろげに聞いた。「ジュン!」
あののろまなチビ人間!翠星石は心の中で毒づき、羽の雨に晒されながらうつ伏せの体を引き摺るジュンを物陰から眺めた。
助け出してやりたいのは山々だが、黒い羽の雨が止むことなく降り注いでいるので物陰から身を乗り出せない。
視線の先には一本の柱があり、あれを遮断物として利用してジュンを引っ張り出すことは出来そうだが、遠すぎる。
そこに辿りつくまでにはハチの巣にされている。

三本目の羽がジュンの背中に突き刺ささり、悲鳴が上がった。赤色の液体が飛沫を上げ、びちゃという音を立てて地面を赤く塗った。
翠星石の身がよだった。人間の体は傷つくとあんな液体がでてくるのか。
苦痛に歪むジュンの顔が目に入る。
「ああ、もう見ちゃおれんです!」翠星石は叫び、近くの障害物の上によじ登った。
激情に任せるまま、彼女はそこから助走をつけて足元を蹴り、力いっぱい飛んだ。
翠星石の真下を黒い羽の雨が横殴りに降り注いでいく。「とりゃああぁああぁああぁあ!」
それからも翠星石は空中でクロールするように四肢を掻き、少しでも飛行距離を伸ばそうとした。
やがて重力に引かれ、体が地面を強打した時、翠星石は見事建物の柱のところにいた。
「届いた…!」この遮断物の後ろにいれば羽は当たらない。
安心してる暇は無い。翠星石は如雨露を振ってジュンをカバーするように水を撒いた。
世界樹が上に伸び、それが盾となって倒れたジュンを黒い雨から守る。
翠星石はジュンに近づいて手を差し出した。
「急ぐです、人間!こっちに!」
ジュンが応えて手を伸ばした。「あ、ああ!」
世界樹に守られながら二人は手を結び、翠星石の手に引っ張られてジュンは不恰好な匍匐前進を始めた。
「ひとまずはこの柱の後ろに身を隠すです!」
二人が柱の所まで到達した直後、スィドリームの世界樹が黒い羽の攻撃に耐え切れず切断され、軋む音をたてながら傾いて倒れた。
巨大な緑色の蔓が地面に打ち付け、瓦礫の破片や泥を周囲に吹き飛ばす。二人はそれを全身に被った。
泥が口にの中に入ったジュンは唾と一緒にそれを吐き出した。
黒い羽の攻撃は依然と続き、二人に残された遮断物はこの柱しかない。

353:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅲ:喪失 The lost
07/06/19 01:18:31 zOCUYvai
「これからどうすれば!?」ジュンが聞いた。残された柱の部分にも、激しく羽が打ち付けている。
「わからねーです!」
翠星石が答えた。
「向こうまでいければいいのですが」
彼女はさっき自分が飛んできた方向を指さした。
「遠すぎます!水銀燈の攻撃に晒される範囲が広すぎて世界樹の壁じゃ防ぎきれないです!」
羽の打撃を受け続け、柱にも少しずつひびが入っていく。ひびが入るたび、ピシという音を立てて石の破片が四方に飛び散る。
このままでは柱まで破壊され、二人とも羽の攻撃に対して無防備になる。
「水銀燈の羽は無限大なのか!?」ジュンが聞いた。
翠星石が迫る羽に身を縮み上がらせながら叫んだ。「どういう意味です!?」
「あいつの羽に"弾切れ"があるのかと聞いたんだ!」
横をかすめて飛んでいく羽が風を巻き起こし、二人の髪をなびかせる。
「そんな場面は見たことありませんが!」
「水銀燈がこんなにしつこく羽を飛ばしてくる場面も見たことないぞ!」
ジュンは叫んだ。「僕に考えがある!翠星石、建物の中に世界樹を出させるんだ!」
「そんなとこまでスィドリームの水は届かんですぅ!ちょっとでも腕出したらカラス野郎の羽がぶっ刺さるです!」
「じゃあ僕がやる!」
「に…!」翠星石が泣き顔で叫んだ。「人間に使わせる程この如雨露は易くねーですぅ!」
「そんなこといってる場合かよ!」
突然柱の一部がくびれ、そこから黒い羽が入り込んできた。二人は柱の中心により一層強く寄り添い合う。
翠星石は、ふとジュンの背中がなすり付けられている柱に赤い液体の跡がこびれ付いているのに気付いた。
「人間にこれを使わせるくらいなら」
自分の体がやけを起こす決心をしたことを、翠星石は悟った。「私は死を選ぶですぅ!」
右手を目いっぱい伸ばし、如雨露を後ろへと振り切る。黒い羽は如雨露に当たり、カンカンと音を立てて地面に舞い落ちた。
建物の中に撒かれた水が二本の世界樹を成長させ、上に伸びる。そして天井を貫いた。
瞬く間に天井に大きなヒビが入り、ゴロゴロと音を立てながら崩れ落ち始めた。地響きがし、大量の砂埃が吹き出てくる。
水銀燈の羽が一切飛んでこなくなった。崩れ落ちた天井が空間を遮断したのだ。
「よし、今だ!」二人はそこから駆け出し、道を進んで別の建物の中へと入り込でいった。

「ふん…まあいいか」水銀燈は翼から羽を飛ばすのをやめた。
もうこれ以上の深追いは危険だ。雛苺と蒼星石の場所が分からない。
一人だけ取り残されるのが一番理想的な展開だったが、これでも構うまい。4人は3つに離散した。
翠星石と人間。雛苺の一人。蒼星石の一人。この内どれを攻め立てるかがこれからの問題だ。

不意に後ろから小石の転がるような音がした。
「…!」
水銀燈が本能的に振り返ると、蒼星石が鋏を握り締めてこちらへ突進してきているのが目に飛び込んだ。
「はっ!」
蒼星石が振り切る直前で彼女は地面から飛び立ち、鋏は空を切り裂いた。
水銀燈は後ろの建物の上に着地し、蒼星石を見下して言った。
「後ろから不意打ちなんて…びっくりしたじゃなぁい」
「水銀燈。君の狙いは分かっていたよ。ドール達を個別にさせる為だったんだろう?」
蒼星石は言い、鋏の先を水銀燈に向けた。「でも、その必要ならなかったよ。僕が一人でお前の相手をする!」

354:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅲ:喪失 The lost
07/06/19 01:33:37 zOCUYvai
29

雛苺は転んだ身を起こそうと躍起になっていた。
自分がどんな場所にいるのか全くわからない。転んだと思ったらこんな所にいた。
とはいえ、身を隠すには絶好のポジションにはついたらしい。水銀燈の羽はこちらへは一切飛んでこなかった。
「う、うにゅう…ジュン、翠星石、どこぉ?」
突然、雛苺のすぐ左隣に水平な人影がミサイルさながらに突っ込んできた。
「きゃああああああ!」
雛苺が恐怖に飛び上がったとき、ようやく頭を上にして立つことが出来た。
砂塵が巻き起こり、しばし視界を砂の煙が覆う。雛苺はむせながら、やってきた人影に恐る恐る手をかけようとした。
ところが、視線の先にいたのは真紅だった。
「はあ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…。あら、雛苺」激しく息を切らした真紅がこちらに顔を向けた。「無事で…よかったわ」
「う、うにゅ…し、真紅こそ」
真紅の体のあちこちには白い棘や、分厚い蜘蛛の糸のようなものが絡み付いている。雪華綺晶と激戦した跡だろうか。
自分も物陰に入れてくれといわんばかりに真紅は雛苺に詰め寄った。
「はぁ、はぁ、はぁ…第七ドール、雪華綺晶…あの子はかなりヤバイのだわ」
息を乱した真紅の体が激しく波打っている。
「まさに蜘蛛そのものよ」
その時、右の方で建物が真っ二つに割られる爆音が空間に轟いた。激しく地面がゆれ、思わず物陰の外に投げ出されそうになる。
数秒後、二人の間に大量の砂埃が入り込んできた。再び視界を砂の煙が覆う。
「うっ…けほ、けほっ!…はぁ、はぁ」
真紅はむせ、息を切らながら話を続けた。
「第七ドールは、ドールを捕まえて、拘束して、体を溶かして中から吸う」
そう言って手持ちのステッキを持ち上げた。先端が溶けて形を崩している。"J"の形をしていたのが今や積分を表す∫のようになっている。
雛苺が恐ろしげに声を張り上げた。
「きゃあああ!真紅のステッキが溶けて…」
突然真紅の手が雛苺の口を覆った。雛苺の恐怖に血迷った目が真紅を見つめる。
その直後、二人が隠れた物陰の背後を雪華綺晶がゆらゆらと飛びすぎていった。
雪華綺晶が完全に消え去ったのを慎重に確認して、真紅は雛苺の口元から手を離した。
「はぁ、はぁ…。雛苺、よく聞きなさい」
真紅は物陰から外を覗きながら言った。
「あなたはここから逃げなさい。翠星石を探し出して、スィドリームの力でフィールドの出口をあけて貰うの」
彼女が言っている最中、こちらへ向けて水銀燈の羽の流れ弾が飛んできた。
とっさに再び物陰へと隠れなおすと、真紅の目の前の壁を数本の黒い羽が貫いた。
「ああ、恐ろしい!」
真紅は目を瞑り、やりなげな感じで頭を後ろの壁にぶつけさせた。
「水銀燈と蒼星石が戦っているわ」
雛苺の肩を強く握り、真紅はまた言った。
「ホーリエに翠星石を探させるわ。もうここには長く居られない。あなたはホーリエについていって、翠星石を探しなさい」
再び物陰の背後で建物が崩壊する轟音が轟き、二人は頭を低くした。その途端二人の頭上を塵と小石が飛び交う。
雛苺が不安げに頭を支えながら聞いた。「でも、真紅は?」
「私は、水銀燈を説得しなければ」
真紅はもう一度物陰から乗り出し、外で戦っている水銀燈と蒼星石の二人を眺めて言った。
「根はいい子なの。私は知っている。だから信じている。必ず…」
そこで雛苺に向き直り、思い至ったかのように小さく微笑んでみせた。
「あの子を追い込んでしまったのは私よ。だから、冷え切ってしまった今のあの子の心に私が優しさを取り戻させてあげたいの」
雛苺と真紅の目を合わさった時、互いにそれを理解した。 - 姉妹で戦うのはやめてほしい。水銀燈にも傷ついてほしくない。
「ホーリエ、いきなさい!翠星石を探し出したら、私達のところへ戻ってきて!」
真紅に命令された赤色の人工精霊が廃墟を推し進み始めた。
その人工精霊を心配そうに見つめながら、真紅は言葉を付け加えた。
「第七ドールに捕まってはだめよ!」

355:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/19 08:56:57 +hUKda+c
フォォォォゥ!
(;゚∀゚)=3ムッハー
(;゚∀゚)=3ムッハー

356:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/19 10:00:40 OqTm7yg/
ここまでガチでバトってる話は未だかつて読んだことねえぜ

357:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/19 11:46:14 IHoduKfN
凄い!
読んでいてその情景が目に浮かぶようだ。
何という臨場感溢れる文章!
wktkwktk

358:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/20 00:38:39 KaGVBXXf
原作が此処まで凝っていれば良いのにな

359:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/20 12:40:36 0JgvpMsL
「人形総進撃」

21世紀初頭、国連科学委員会は小笠原諸島周辺を利用して一大海底牧場を建設。
あらゆる魚類の養殖を始め、陸上では世界の恐怖であった人形を集め、人形ランドとして
その研究が進められていた。

真紅がいる。翠星石がいる。そして雛苺もいる。
蒼星石も、金糸雀も仲良く同居している。

人形達が、もし区域外に出ようとすると、管制装置が働く。
つまり、それぞれの本能と修正に応じて、科学的な壁が設けてある。

水銀燈が一定の水域を旋廻して外に出ないのは、いたる所に磁気防壁が設備してあるから。
それに、ここには人形達の食べ物が豊富に栽培され養殖されており、自由に食べられる。

この人形ランド海底牧場は、地底深く建設されたコントロールセンターで
自動的に管理されている。

360:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/21 02:06:02 cYylWsfP

     ___    お前みたいなゴミが翠星石の姉のはずないですぅ!
   く/',二二ヽ> 翠星石の姉は水銀燈一人だけですぅ!!
   |l |ノノイハ)) 
   |l |リ゚∀゚ノl|     バリバリバリバリバリ                     .゚;・.,'`ヽ
   ノl/l_介」 Lr○ュ"_ l_ ___,.,;:''''""`'';;;...,,            - ̄‐―  _';;;∵\@
 ト--l∪r=tl[((三三((三((=(;;'',       '',.:;,,,. '" .,.  .,,..; "'`,.,,  ‐―   'ヾ(i.゚'Д;;。;∵ かしらー!
 ヒ[冊冊冊ツヽ ̄ ̄!! ̄; ̄ll ̄||'':;:,..  ,...;:''"           - ̄‐―   ;;∵;;,i∞iミつ
   ミく二二二〉ミ                                  (,,( ),,)
                                             じ'ノ'

361:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/22 02:42:13 AJXntIzc

         ___ #ミ   まだ生きてるですか?
       く/',二二ヽ>#  さっさと息の根を止めやがれですぅ!
       |l |ノノイハ))  ミ
       |l |リ ゚ヮ゚ノl|   ヾ ヽ ∵:  ガスッ
       ノl_||  ]]つつ++#####.゚;・.,'`ヽ:, ゴスッ
       ≦ノ`ヽノヘ≧    _';;;∵\@v                       (,,( ),,)
       ミく二二二〉ミ   'ヾ(i.゚'Д;;。;∵ か…し…   ,;;∵;;,i∞iミつ   じ'ノ'



         ___    トドメですぅ!!!
       く/',二二ヽ>
       |l |ノノイハ))ミ      ,,-----、 グチャッ!!
       |l |リ ゚ヮ゚ノl| ヾ. ヽ. |;::::  ::::|
       ノl_||  ]]つつ二二二|;::::  ::::|⊃', ',・.,'`
        ≦ノ`ヽノヘ≧ ヽ.∴;;..|;::::  ::::|;* @';;;∵                (,,( ),,)
      .ミく二二二〉ミ `.:,゙;~ヽ.''-----'';。,・';;;         ,;;∵;;,i∞iミつ   じ'ノ'

362:水銀燈・告白編
07/06/22 18:13:00 aW+mFv94
ある晴れた日曜日の午後、僕は自室でネットサーフィンを楽しんでいた。

人形たちは一階のリビングでトランプをして遊んでいるようだ。
今日は蒼星石や水銀燈まで遊びにきているようで時々笑い声が二階にまで聞こえてくる。

コンコン・・・

僕の部屋をノックするのは誰だろう?
ドアを開けてみると、そこには黒い人形が立っていた。
「ジュン君・・・」
水銀燈はモジモジしながら部屋に入ってきた、何だろう?

「私・・・ずっとジュン君のことが好きだったの」
えっ!!??
「ジュン君・・・私のことキライ?」
こんなことがあっていいのだろうか・・・この僕が告白されるなんて・・・

「ぼ、ぼ、ぼくも水銀燈のことが・・・だ、だ、大好きだよ」
僕の言葉に水銀燈は赤くなり、目を潤ませる。

「うれしい・・・」

抱き寄せようと手を伸ばすと水銀燈はスッと身を避ける。
水銀燈はなんのつもりかニヤリと笑うと階下に駆け下りて行ってしまった。

「水銀燈・・・」
追いかけようと部屋を出た瞬間、一階のリビングからドッと笑い声が響く。
人形たちの「罰ゲーム」とか「告白タイム終了」という言葉が聞こえてきた。

水銀燈の「キモかったわぁ」というセリフを聞いて僕は部屋に戻って泣いた。

363:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/23 01:22:59 KdHnNpPS
        ┌─┐
         i二ニニ二i  在日死ね
          i´ノノノヽ)))_ _ _
         Wリ|゚ ー゚〔::二二〔()           ...:;:''"´"'''::;:,,, ドガァーーン!!
        /'i)介つ〔三三三:〔[二[二二二[〔()〕″     ,,;;;;´."'''
      と⌒__ ⊂ソ |ミ|| |_|_|  /A     '''''::;;;;::'''"´



         ヽr'._ r`γヽ./.゚;・.,'
         //`Y. ,,‘ .゚;・.,'`ヽ
         i | ノi ノ_';;;∵\@
         ヽ>,/! ヾ(i.゚'Д;;。;∵ がじらぁぁぁぁぁぁ!
          `ー -(kOi∞iミつ
              (,,( ),,)
               じ'ノ'



            ___   
           く/',二二ヽ>
           |l |ノノイハ)) 砕け散れですぅ!
         ⊂|l |リ゚ ヮ゚ノl|         .゚;・.,'`ヽ
          ヽl_介」とソ' \ 从/ _';;;∵\@  グシャッ
            (__二⌒) <   > ,ヾ(i.゚'Д;;。;∵
           (_丿    /VV\    ;:∵;;;,

364:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/23 11:56:16 qOED1XO9
難燃性素材にアスベストを織り込んだ特殊繊維製のオムツに船舶用高粘度B重油を滴り落ちるほど
滲み込ませて、ドレスをビリビリに引き裂いて素っ裸にしたチョンドールに装着。
燃焼途中で脱落せぬよう鋼鉄製の超細型コイルにてしっかりと固定しガスバーナーで点火。
JR渋谷駅前にて拘禁を解き明治通りを走らせる。

オムツから不気味なオレンジ色の炎をメラメラ燃え上がらせ、激しい黒煙を振りまきながら短い足で
全力疾走するクソキムシジャン。
「ああああ熱いかしらあああああああああああ~」と白目を剥いて叫びながら、
「カナ、なにも悪いことしてないかしらあああ」
と、完全に誤った自己認識に基く主張を行なって恥じることのないチョンドールの醜悪な姿。

ゲラゲラ哂いながら携帯を向ける女子高生。チョンドールに向い指を指して子供を諭す若い母親。
空缶やペットボトルを投げつけるDQN中学生。更には「売国人形」を轢き潰そうと迫る街宣車。

尻に火の点いたチョンドール、表参道方面へ向かって走る、走る、走る。
なるほど弱いだけのことはある。逃げ足だけは天下無敵だ。
自らを励まそうとしてか或いはオムツの燃える熱さに耐えようとしてか、無意識に
「あいとっ、あいとっ」と泣きながら自らに掛け声をかけるチョンドールの姿は実に陳腐だ

365:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/23 16:47:44 foM9QaPd
前スレで銀様SSを書かせて貰っていた者です。
現在引越しの余波でインターネットに接続するのが非常に厳しく、続きを投下出来ずに沈黙してました。。
この度運が良ければ接続出来そうなので、投下前に一言御挨拶をしに参りました。
SS名を『虚空回廊』から―Ravens.Feather―へ変更しました……どうでも良いなんて言わないでェ(蹴
書き溜めてますので、近いうちに一斉投下出来そうです。
最後に―前スレにて感想、応援をして下さった方々に感謝。。

366:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/23 18:48:46 WeYY8pFf
どうでも良い

367:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/23 23:17:24 Bso8G6q0
しょうもない一発ネタ思いついてしまったんだが……書いたらダメか?

368:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/23 23:23:32 uH5IIl18
いいから書きやがれですぅ

369:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/23 23:26:19 Bso8G6q0
……怒るなよ?


JUM「真紅! 大変だッ!!
真紅「朝から騒々しいわね……ジュ……ン!?
雛苺「うゆ……? どうしたの……のおぉぉぉ!?

JUM「エミュでロクゼロ3のメシアいじめやってたら……自分の体が



        、‐- _
         `'  、 `゛''' ‐-   、
            `゛''‐ 、     `/| ‐-  、_
               ∧`''‐-、 /  |     `゛''''―- 、_
               / l、_,,、, '  .| 、           `゛'''―-、__
              .l /::::::::/  .,‐ト、` ''‐ 、        ,‐- 、_,,y-‐''
              | /::::::::/  ./:::::::ヽ、// `゛''‐、     ヽ-ニニ:´`''‐-,、
              | l:::::::/.  |:::::::/ヽ /     >―,-'"  .ト'::::/フー‐ 、
              ヽーク  /olヽlヽ y,、------ヽ、_   ̄l | |,、ノヽ__/
           ,-r''~ヽ\/ /ー' /(__ノ'彡        '‐‐‐'-ー''"
          lT / `ヽヽア、_,-、 テ'  ̄ ̄`''‐-、     ヽ、`'-、     <こんなんになってたッ!!(CV:風間 勇刀)
          ヽ / / ̄ ̄ヽ   ̄フ‐''''"ヽ   ヽ `''、     ヽ ̄
           ヽ ( __,/ ̄ ̄ノ  0 .|    |   ヽ     `,
            `ヽi::::::::::::::::::::::_,,,,,、,,__/   /    .∧    l
             ヽニ‐‐フ ̄   \ニニニ/   / ヽ    |
               ̄ ̄   _,、 -‐lT::フ,ニ=ヽ‐'   /l   l |
              ,、-、,、-''"::::::::::::::lV /::::::::__ヽ /  l  ||.|
             / / ̄:::::::::::::::::::::::::ヽ l:::::::::ヽ  ヽ'   /) / リ
             l  {::::::::::::::::_,、-‐‐''''"`ヽ:::::::::\ ヽ // /
           ,、-ト、 'ー‐''"/  ̄`゛''ニ=--\:::::::::ヽ---、--、
          l l´ \_,,、ノ     ̄`゛''''‐‐\::::::::::::::::::::/ `ヽ
        _,,,ノ、 `ー'''´ト、          ,、-''\:::::::::::::,'    ヽ
      / ̄ ー―t-,-'"::::l       ー‐'''"''''" ̄`Tー‐'   ノ  .' ,
     ./ヽ__,,,、-)_(::::::::ノ               \  、‐'    ヽ― 、
     .\:::::::::::::::::::ノー‐'"                 `゛''''"`゛''―'"  ヽ
        ̄ ̄ ̄                            l  _,,、-イ''
                                        ̄| ̄ ̄ヽ、
                                       /    ヽ 
                                       .ト、___/ |
                                       |:::::::::::::::::::::::::|
                                       ヽ_____ノ

真紅「……どうしてポーズをとっているの?
JUM「そんなことより、このままだと水銀燈にまでこき使われそうだ……なんとなくだけど
雛苺「……ジュンかっこいい、登り甲斐ありそうなの(赤面
JUM「登るな


370:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/23 23:36:29 uH5IIl18
二度読んだ
一度目は何も感じず
二度目で何故か噴いた

371:ロックマンJUM
07/06/23 23:42:25 Bso8G6q0
タイトルつけるの忘れてた。

372:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/24 01:21:00 C+9GK1NO
>>368翠星石氏ね

373:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/24 08:54:14 1D8ONMbt
メカ真紅をやっつけろ

ニクイやつが やって来た
遠いフィールドのかなたから
ニクイやつが やって来た
銀の地肌に虹色の
よろいをつけた すごいやつ
その名はメカ メカ メカ真紅
メカ真紅が やってきた

URLリンク(www.nicovideo.jp) 

374:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅲ:喪失 The lost
07/06/24 22:08:46 fnSXDuAG
>>354の続き

30

水銀燈は上空で黒い翼を広げ羽を機関銃の如く放ち始めた。
その最中は、翼を羽ばたかせることが出来ないのでどうしても少しずつ高度が落ちていく。
また、別方向へ飛ぼうとする時には一旦攻撃を停止しなければならない。
しかし、この羽の攻撃に晒された蒼星石には反撃する余裕がないらしく、その必要はなさそうだった。
地面をちょかまこと逃げ回る蒼星石を上から狙って羽を放つこのシチュエーションはさながらゲームのようだ。
羽の速度は瞬速という訳でもなく、地面に着弾するまでには若干の時間がかかる。
だから、蒼星石の行く先をある程度読んで攻撃しないと当たらない。
水銀燈は的が隠れられないように、物陰付近には特に弾幕を張るようにして重点的に羽を飛ばした。
柱、身の隠せそうな建物の崩れた断片、建物の中への入り口…。こうなれば袋の中のネズミだ。

蒼星石は上空を見上げ、飛んでくる羽を確認すると二回地面を蹴って後ろに飛び退いた。
その地面に羽の先が食い込み黒い草を生やす。羽は尚もこちらに降り注いでくる。もっと後ろへ退こうとしたが、
そこで背中が壁にぶち当たった。これ以上後ろはない。蒼星石は迫り来る羽を鋏を振り切って逆風で追い払い、
両足で強く地面を踏んでから上に跳んだ。
上へと飛び上がるところ、ダダダダタと連続的な音をたてながら黒い羽が蒼星石を追って壁を登るように貫いていく。
高度が水銀燈と同じところまで達したタイミングを見計らって、蒼星石は背後の壁を思いっきり蹴った。
体が水銀燈を目掛けて水平に飛び、距離を一気に詰める。そして鋏を振った。
黒い羽の雨が一時的に止むや、水銀燈の体がふっと横にずれた。鋏は空を切り、蒼星石の体はそのまままっすぐ先へと飛んでいった。
「ふふふ、遅い遅い。この私を相手に空中戦であなたに勝ち目なんて無いわ」
水銀燈が笑いながら蔑むように言った。
空中で体を翻し、蒼星石は再び後ろの壁を蹴って水銀燈を目掛けて飛ぶ。またしても軽やかにかわされる。
すれ違いざまに水銀燈は彼女に声を掛けた。
「分かる?蒼星石…?これまでの私達の戦いは、ただの前戯に過ぎなかったのよ - 本当の薔薇乙女が全て集まった今からこそが、
アリスゲームの本番なの」
おちょくるようにすれ違いがてら背中を蹴られ、蒼星石は空中で加速させられて前方の建物を目掛けて剛速球で突っ込み始めた。
「うわああ!」
このままでは壁に激突する衝撃に耐えられない。スピードが速すぎる。本能的に蒼星石は手持ちの鋏を体の前に伸ばした。
鋏の先端がまず壁を貫き、クモの巣状のひびを壁に走らせた。金属と岩の正面衝突する音が耳をつんざく。
持ち手の部分まで鋏が壁の中に食い込むと突如勢いはがくんと止まり、次に鈍く深い衝撃が蒼星石の腹を襲った。
体が弓のようにしなり、うめき声が上がる。胸が苦しくなり一瞬呼吸でできなくなる。
たが、これでも衝撃は和らいだ方だった。体が直接壁に当たっていたら今頃気絶していたかもしれない。
蒼星石は壁に深々と刺さった鋏を取ろうとした。
しかし、どうしても抜けない。
もう一度しっかりと壁に足をついてから全力で鋏を引っ張る。無駄だった。
そうしていると間もなく、羽の飛ぶ風切り音が後方より聞こえてきた。
やむを得ず蒼星石は鋏をあとにして地面に降り立った。
羽の雨が降り注ぎ、壁と鋏にあたる。鋏にあたった羽はカンカンと音を立てて弾かれ、舞い落ちた。
丸腰になった自分を狙ってすかさず第二群の羽が降り注がれる。
蒼星石は右腕で顔を庇いながら瓦礫の地面を踏み進み、近くの建物の中に逃げるようにして入っていった。
少し間を入れてから、蒼星石はもう一度入り口から顔を出して水銀燈の位置を確認しようとしたが、
その時目の前の障壁を一本の羽が貫いた。そこが削られて破片が飛び散り、危うく目に入りそうになる。
息を切らしながら蒼星石は建物の中に隠れなおした。
「うっふふふ、これからどおするの?蒼星石。鋏を失った今のあなたに何ができる?」
外から呼びかける水銀燈の声がする。
「おとなしく私にローザミスティカを渡す?」
「渡すものか!」
蒼星石は大声で応えると建物の中を走り始め、奥の階段を駆け上った。
二階の部屋に入ったその時、壁を貫通して中に入り込んでいる自分の鋏の先端が目に入った。

この先端を中から向こうに押しやれれば外で拾うことができる…!

375:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅲ:喪失 The lost
07/06/24 22:29:21 fnSXDuAG
鋏に駆け寄り、先端を握って外に押し出そうとする。渾身の力を込めて押すがびくともしない。
蒼星石は部屋の中を見回し何か使えるものがないか詮索した。
通路に張り巡らされた木の板のバリケードが目に入り、蒼星石はそこに飛びついた。一枚の木の板を両手で掴んで引っこ抜く。
板の裏側では、打ち込まれた二本の釘が貫通先を失ってその尖った先端をむきだしにしている。
それから彼女は近くに転がる小さな岩を拾った。板を床に置いて足で固定し、その釘の先に岩を上から叩き付ける。何度も何度も。
次第に釘に岩が食い込んでゆき、奥まで入ってしっかりと固定された。巨大なハンマーの完成だ。
蒼星石はそれを握り締めて水平に振った。板の先に固定された岩を突き出た鋏の先端にぶつけさせる。
僅かに鋏が奥に押し込まれる。何度も打ち続けると、テコの原理の力もあって鋏は壁の中にまで押し込まれた。
もう一度だけ叩くと、やがて壁の向こう側で鋏の落ちる音がした。
「よし…!」
蒼星石は手作り製の金づちを投げ捨て建物の外に急ぎ足で向かった。
一段飛ばしで階段を駆け下り、水銀燈の存在に注意を払いながら外に出る。
鋏が落ちているであろう場所まで走り、そこで蒼星石は足を止めた。
遅かった。
水銀燈がその鋏を手に持って、今にも空に飛び立とうとしている。
蒼星石の足音に気付いた水銀燈は顔をこちらに向けて意地悪く笑った。
「一度、これ使ってみたかったの。うっふふ」
鋏をガチャガチャと閉じ開きしてみせる。「だってぇ、あなたがこれを振る度、とても気持ちよさそうな音が鳴るんですもの」
「返せ!」
蒼星石の帽子がブーメランのようにして飛んだ。水銀燈の手元に当たり、空を飛びかけていた彼女の手元から鋏がこぼれ落ちる。
すかさず蒼星石がされを拾い上げた。
水銀燈が右手首を痛そうに払い、上から彼女を見下して言った。
「いやらしい帽子ねぇ…」
それを聞いた蒼星石は意外そうな顔をした。「真紅にも全く同じことを言われたことがある」
その瞬間、水銀燈の顔から突然余裕そうな表情が消えた。
「私と真紅を一緒にするな!!」
上空で黒い翼が蒼星石を覆いつくさんばかりに大きく広げられ、再び羽が雨あられと飛んでくる。
蒼星石は慌ててその場から離れようとしたが、既にヘリコプターからスポットライトを当てられた逃亡者も同然の状態だった。
この攻撃はかわせない。どこにも身を隠すところが無い。
生存本能が働き、体が勝手に動いた。
鋏を盾にして身を庇う。羽が鋏を叩き、金属音が鳴り響くたび手に僅かな振動が伝ってくる。
だが、面積的に考えるとそれで全身を庇い続けることは不可能だった。
「いっ!」
足の甲に一本の羽が突き刺さり、一瞬体が揺らいだ。
衝撃の後にはズキズキと痛みが差してきた。その痛みの度合いは急激に上昇する温度計の感温液の如く増していく。
このまま地面に倒れたりすれば羽の格好の的だ。
蒼星石は、バランスを崩した体のよろめきをむしろ勢いとして利用するようにして両足を蹴った。
その場から真横に立ち幅跳びするような動作で、近くの屋根の下を目指す。
宙を飛んでいる最中の時間がえらく長く感じられた。
やがて体が地面に着いて横倒れになったとき、上半身だけが屋根の下にもぐり込めたことが分かった。
すぐに下半身も屋根の下に入れるべく体を前に引っ張る。後ろを振り返ると、既に向こうの地面は黒い羽の芝生に覆われていた。
更に数本の羽が加えてそこに降ってきた。地面に敷かれた瓦礫が割られ、泥と一緒に破片が跳ね上がっている。
蒼星石は身を丸めて足に刺さった羽を抜き取った。それから、鋏をしかと手に持って立ち上がる。
奴の言うとおり、空中戦においては自分に勝ち目は無い。相手は翼を持っていて、しかもあんなにも効率の良い飛び道具も持っている。
一方自分の持つ武器はこの巨大な鋏と、ついで程度の帽子だけだ。
水銀燈を相手にして勝ち目は接近戦以外にありえない。
この屋根の下にいれば上空からの羽の攻撃は届かない。それを見かねた水銀燈が降りてくれば、接近戦に持ち込むことが出来る。
より建物が密集し狭苦しくなっている場所を捜し求めて、蒼星石は屋根に沿って走り出した。

376:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅲ:喪失 The lost
07/06/24 23:01:21 fnSXDuAG
31

翠星石とジュンの二人は並んで走りながら建物の中へと駆け込んだ。
へこたれるように地面に座り、乱れた息を整える。
「せ、背中に刺さった羽が」ジュンは言った。「肺だ!羽が肺に穴をあけた!胸が、胸が苦しい!」
ジュンは見えぬ背中の羽を取ろうと必死にその場で暴れている。
「人間の体は良く分かりませんが、そういうことなら」翠星石はジュンの背後に移動した。「ちょっとそのまま動くなです!人間!」
そう言ってジュンの背中に飛び掛り、背中の羽を引っこ抜いた。
「いいいいっ!」
あまりに急な衝撃にジュンの背中が丸まる。瞬く間に羽が抜かれた箇所からジュンの服が赤く滲んでいく。
「あああああ死ぬ!」ジュンは涙目にに部屋の中を往復した。「僕は水銀燈とかいう人形に殺されていくんだ!」
「うるさいですぅ。ちょっと黙るです」
翠星石は如雨露を持ち上げた。不注意に走ってきたジュンの足にそれが引っ掛かり見事にぶっ倒れる。
「そんなに騒ぎ立てたら水銀燈のコンチクショーが聞きつけてそれこそ二人とも殺されるです」
「翠星石ー!死に際でお前まで僕の敵に回るのか!」転んだジュンが顔を上げた。「の…!…あれ」
ジュンはそこであることに気付き、自分の胸に手を触れた。「もし本当に肺に穴が開いてたとしたらこんなに喋れないよな」
安堵の波が押し寄せ、ジュンはほっと息をついた。「久々にあんなに走ったから胸が死ぬほど苦しくなっただけじゃないか…
よかったぁ。アクション映画の見すぎか。大体そんなことになってたら今頃吐血してるよな…あはははははって笑い事じゃない!」
ジュンは自分のノリツッコミを唖然とした表情で眺める翠星石の視線に気付き、恥ずかしそうに体の動作を止めた。
「羽」翠星石はゆっくりとジュンを指差した。「まだあと二本刺さってるです」
「え」言われた途端、急にあと二箇所の傷を脳が自覚し始めて激痛を知らせてきた。「いたたたたた…」
右腕と右腿。それぞれ突き刺さった黒い羽を抜き取る。その羽の先っちょは血がこびれついて赤黒く染まっている。
ジュンは右腕の袖をまくって傷口を確認してみた。
予想を超越してかなりの量の赤い液体 - 血がそこから流れ出ていたので、ジュンはその光景に戦慄した。
人間の体は血が一度に大量に失われ、急激に血圧が急に下がるとショック状態に陥る。
左手で傷口を拭ってみると、血が絵の具のように広がって腕を赤く染め上げただけだった。
手のひらに血が伝わって指先から滴り落ちる。ジュンはズボンのポケットからハンカチを取り出して血を拭き取り始めた。
「くそ、止まらないぞ…」
傷口を拭いても拭いても、真っ赤な血が次々と噴水の如く傷口から湧き出てくる。
動脈を貫かれたのだろうか。血が生き生きとしていてまるで止まる気配を見せない。
「に、人間!傷口を拭くことよりも塞ぐことを考えるです!」後ろで翠星石が言った。「ちょっと腕貸すです!」
翠星石は頭から白い頭巾を抜き取ってジュンの隣まで寄った。
一瞬その赤い液体を怖がるような仕草をしたあと、その傷口に頭巾を巻き付け始める。
ジュンの驚いた顔が翠星石に向けられた。
「できたです、人間。こ、これでその血とやらは止まります」
翠星石は言うと、ジュンは翠星石の顔をまじまじと見つめた。
「な、なんですか!?人間っ」
「いや、その…ありがとう。翠星石」
ジュンは心からの気持ちを口で言った。
「なっ…」翠星石の頬が自分でも分かるくらいに急激に火照った。「こ、このくらい当然のことですよ…!」
そう言ってジュンに背を向けたとき、突然翠星石は自分の両手を見るなり飛び上がった。
「きゃああああ!私の手が赤いです!真っ赤です!不吉で不純な人間の液体が私に付着したです!」
彼女は手当たり次第両手を壁になすり付けてジュンの血をふき取ろうと躍起になった。
「翠星石、落ち着いて。ハンカチで拭いてやるから」
今度はジュンが翠星石をなだめる番だった。彼女の肩に手をかけ、振り返らせてから、両手の血をハンカチでふき取る。
翠星石は言葉を失ってその光景に見入っていた。
「これは血といって人間には大切な液体なんだよ。お前達でいうローザミスティカみたいに…失い過ぎると死ぬんだ」
ちょっと驚いたような表情の翠星石が顔を上げた。「お前達人間は…そんなふうにして死ぬですか」
ジュンが翠星石の手を拭き終えると、何処からともなく赤色に輝いた人工精霊が二人の元に飛びよってきた。
「ホーリエ!」翠星石は人工精霊の言葉に耳を傾けた。「そうですか…!分かりましたです」
ジュンに向き直り、翠星石は言った。「ジュン!雛苺と真紅がこっちに向かうそうです!」

377:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅲ:喪失 The lost
07/06/24 23:22:03 fnSXDuAG
32

「…はぁ…はア…!」
蒼星石は息を切らしながら屋根の下をひたすら走っていた。
彼の周辺を絶え間なく黒い羽がビュンビュン音を鳴らして当り散らしてくる。
蒼星石は崩れかけの石造りの柱の後ろに隠れた。息を整え、柱から慎重に顔を出して状況を確認しようとした。
羽の攻撃をふんだんに受けたその柱にひびが走り、上半分が崩れ落ちて蒼星石の姿を丸見えにした。
「くっ!」
蒼星石は再び走り出した。その後ろで水銀燈の羽が発火し、青白い閃光と共に爆発を起こした。
地震が起り、蒼星石はよろめいて壁に寄りかかった。天井が崩れ落ち、破片の雨が降り注ぐ。
その雨に加え、さらに横から黒い羽の雨が横殴りに飛んでくる。
揺れる地面の中蒼星石はふらつく足取りで別の柱のところまで進み、もう一度身を隠した。
もう正面に出て行くしかない。
水銀燈をどうにか狭い建物の中に誘い込み、接近戦に持ち込むのが作戦だったが、バレバレらしい。
何処かしら遠くから一方的に執拗に羽で攻撃してくる。こちらに寄ってくる気配は一切無い。
このままではそれこそ反撃も出来ずにやられるだけだ。
周辺の羽が再び青白い火を発し始めたとき、蒼星石は腹を決めた。
「お父様…どうかアリスを目指し闘う僕を見守っていて下さい…」
柱の物陰で呟き、彼女はゆっくりと道の真ん中へと進み出た。
そんな彼女を外の世界へ迎い入れるように、水銀燈の羽はいつのまにかすっかりやんでいた。
空が覗かせる広い廃墟の空間にまた出た蒼星石は冷静に水銀燈の姿を探した。
水銀燈は廃墟の建物の屋上に立って翼を広げ、両手を掲げていた。
蒼星石が屋根から出てきたのを確認した水銀燈はふっと笑って建物から降り立ってきた。
そして蒼星石の鋏がぎりぎり届かない位の高度でまる。
「うっふふふ…あなたってほォんと、一人で悩んで、落ち込んで、自爆して最初に消えるタイプのおばかさんよねぇ」
水銀燈はその時 - 少なくとも蒼星石には - 信じられない行動に出た。
両手を伸ばし中指を立てたのだ。それも挑発するようにその中指をピクピク揺れ動かしている。
「あなたみたいな少年ドールがアリスになったと知ったら…お父様にしてみたら"コレ"よねぇ」
怒り狂った声を張り上げた蒼星石が飛び上がって水銀燈に襲い掛かる。
「許さない!」彼女は鋏をぶんぶん振りながら絶叫した。「僕はお前を許さない!」
グーで中指を立てた水銀燈の行為はただの蔑みを表すものではなかった。
"Flip the bird"と呼ばれるサインで意味は"Fuck You" - お前を強姦する - そして立てられた中指は雄の象徴である
男根を見立ている。それは、どちらかと言えば男の子に見える蒼星石の容姿を深くえぐるように侮辱したものだった。
「うっふふふふ!」水銀燈は目を見開いて笑った。翼を羽ばたかせて横にずれ、蒼星石の攻撃をかわす。
蒼星石は、すぐに自分が逆上してしまったことを後悔した。罠だ - 空中戦に誘い込む為の。
彼女は水銀燈に向き直って叫んだ。
「ローゼンメイデンがそんな卑しいことして、恥ずかしくないのか!お父様が見ているのに!」
「ふっ…私もう分からなくなってきちゃったのよ…蒼星石」
水銀燈は言った。「あなたが知っている以上に私は今まで何度もお父様の志向に背いたことがあるの…
アリスゲームの掟を破ったことすらね。でもそれら全ては"アリスになる為"私がしてきたことだった。この矛盾分かる?」
横に振られてきた鋏を一度頭を下げてかわす。蒼星石が鋏を定位置に戻そうとしたところを水銀燈は腕と鋏を掴み上げて動きを封じる。
「あなたに腹を切られ、真紅に焼かれて、薔薇水晶に砕かれ、
三度ジャンクを味わったこの水銀燈が尚まだここでアリスゲームに臨んでいるのは…」
バック転するような要領で水銀燈は蒼星石の胸を思いっきり蹴り上げた。空中で逆十字のオーバースカートが逆さまに捲れ上がる。
鈍い音が鳴り響き、蒼星石の体は遥か上空へと打ち上げらた。鋏が水銀燈の手元に収まる。
「お父様は私がアリスになるのを待って下さっていた!」
水銀燈は鋏の先を上にして思いっきり振り落とし、地面に突き立てた。
それからすぐに上に飛び、目にも留まらぬ速さで蒼星石の体を宙で捕まえる。
「けど次はない。何故なら真のアリスゲームが始まったら - 第七ドールが姿を現してね。私がもう一度ジャンクになれば本当に
全てが終わる - アリスゲームの掟なのだから。魂は闇の中で届かぬお父様を求め、延久に彷徨い続ける。でもおかしいと思わない?」
水銀燈は蒼星石を上から押さえつけ、下に叩き落そうと力を込め始めた。
その真下では突き立てられた庭師の金色の鋏が先端を光らせている。

378:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅲ:喪失 The lost
07/06/24 23:30:52 fnSXDuAG
「私最近思い始めたの - アリスゲームのルールはそんな簡単なものではない。何か恐るべきからくりがある。
"自由度が高すぎる"。一対一で闘うものでなければ、真紅みたいに敗者の雛苺に力を供給することも出来る。
第七ドールみたいにいつまでも姿を隠し続けることも出来れば、そもそも同じ時代に全員目覚めないと意味がない!」
二人は急激に高度を下げ始めた。隕石のように猛スピードで落下していく。
「どう思う?死に際のあなたの口から聞きたいの。うふっ、そのような条件下ではアリスゲームが何世紀にも長引いても当然。
なぜお父様はアリスを待ち焦がれながら、そのようにしたのか」
蒼星石は水銀燈の言葉に聞き入ってる余裕などほとんどなかった。むしろこの会話もまた罠だ。会話に集中させ、抵抗力を奪う。
「第七ドールはアリスゲームについて、何か知っている。私の直感がそう告げているの」
水銀燈は続けて言った。
「ローザミスティカについての秘密もね。真紅が"アリスゲーム以外の道"と口に出したとき雪華綺晶は怖がっていた」
蒼星石は無視した。"好奇心は猫を殺す"。興味の沸く話だったが、今の状況を忘れてはならない。
いま、水銀燈の話に受け答えなどしていれば自らの鋏が体を貫く。
必死に身を乗り出し、水銀燈を下に覆そうと試行錯誤するも全く効果が無い。見る見るうちに地面が迫ってくる。
その上で水銀燈が敗者を見下すように笑った。
突然、二人の横からバイオリンの演奏する音が鳴り響いた。
「追撃のカノン!」
何処かしらから声がすると、水銀燈と蒼星石の二人を目掛けて音波の竜巻が何本も蛇のように伸びてきた。
「チィ!」
水銀燈は舌打ちしてから蒼星石を手放し、翼を力いっぱい羽ばたかせて高度を上げた。
そのすぐ下を竜巻が伸びてゆきそばの建物の壁に突っ込む。衝撃音がして建物が真っ二つに砕かれる。
砂埃の塊が花火の様に散り散りに飛び、そのあとバラバラと断片や瓦礫がそこから土砂崩れの様にして流れ落ちてきた。
「金糸雀か!一体何処から!?」
水銀燈は飛んでくる砂を被りながら周辺の建物を見回した。金糸雀の姿は何処にも見当たらない。
なるほど。漁夫の利を狙っている訳か。
自分は身を隠し、他のドールが戦いに夢中になってるところを横からまとめてすくい取る。
いかにも金糸雀らしい戦い方だ。

水銀燈から手放された蒼星石は依然として地で待ち受ける鋏の先に向かって一直線に落下していた。
幸いにも、あれは僕の鋏だ。水銀燈に抑えられてさえいなければ鋏は主人の言うことを聞いてくれる。
「レンピカ!」
蒼星石は鋏に向けて手を伸ばして叫んだ。
水色の人工精霊が蒼星石をはるかに超えるスピードで降下してゆき、鋏の周辺を舞う。
鋏が独りでに地面でカチャカチャと震え始め、やがてフッと飛んだ。そして主人の手元に納まった。
無事地面に降り立った蒼星石はふうと息をついた。

「ふ、惜しかったのかしら。」
二階建ての建物の中、金糸雀は伏せの体制で、バイオリンを手に持って壁にあいた穴から水銀燈と蒼星石を見下ろしていた。
「戦いを続ければいいわ。二人とも…!そして薔薇乙女一の頭脳派この金糸雀が、
まとめてあなた達のローザミスティカを奪ってやるわ!」
自分は決して蒼星石を助けたつもりはない。ただその時を狙って攻撃を繰り出しただけのことだ。
どちらかが勝利を確信する瞬間。その時こそが隙を突くのに最も適したタイミング。今回の場合は水銀燈が標的だった。
「しかしまぁ、さすがは翼を持っているだけあって、交わされてしまったのかしら。ふふ、別の建物に移動した方がいいかしら」
金糸雀は呟いて穴から体を引っ込ませると、立ち上がって建物の中を移動し始めた。
既に位置を感づかれた可能性すらあるので、出来るだけさっきとは逆の方角へと移動したい。
角度を大きく変えれば変えるほど気付かれにくくなる。

379:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅲ:喪失 The lost
07/06/24 23:51:17 fnSXDuAG
33

何世紀もの間、姿を隠し続けてきた最後のローゼンメイデン - 第七ドールの雪華綺晶は、廃墟の建物の上から
第一ドール水銀燈の壊れた世界をその虚ろな金色の左目で眺めていた。
左の方からは、この世界の主水銀燈が羽を飛び散らす音や金糸雀のバイオリン、建物が崩壊する音など激しい乱戦の音が聞こえてくる。
真紅が何処かへ消えた。…自分はあの薔薇水晶とは違い、真紅に特別な執着を持ったりはしていない。
あの薔薇水晶が - 真紅に対抗心を燃やしたエピソードを思うと雪華綺晶は微笑まずにはいられなかった。
だが、第五ドール真紅は今大いなる過ちを犯そうとしている - アリスゲーム以外の道。お父様がドールにそう告げたと彼女は言った。
「何が、お父様の心を動かしたのです」
雪華綺晶は突然言った。その背後には、ラプラスの魔が立っていた。
「フフフ…光もなく、音もなく…その心を納められる器は存在しない。あなたと同じ様に」
「器がなければ…」雪華綺晶は若干首を上にあげて言った。「行き着く先は無意識の海だけなのに…」
二人の遠くで雷鳴を思わせる金切り音が轟いた。細かい塵と一緒に風が吹き、雪華綺晶の白い髪を右になびかせた。
恐らく町並みの建物を金糸雀のバイオリンが吹き飛ばしたか、蒼星石が裂いたかどちらかに思われる。
「ククっ…ならばどうしましょうか ?」ラプラスが言った。「影のお嬢さん…"アリスゲームの発端となった"ドールとして」
雪華綺晶はゆっくりとラプラスに向き直った。「アストラル体の未来は見れますか」
「おやおや…それが私の目から逃れられるかという意味だとすれば…これは大変。
末の子まで私に敵意を向けてくるとは…いささか淋しさを感じてしまいますな」
ふと雪華綺晶の金色の瞳が、ラプラス越しに小さな赤色の浮遊体 - 真紅の人工精霊を捉えた。
それは主人なしに単独行動でそそくさと廃墟の中を急ぎ足で進んでいる。
雪華綺晶はそれを楽しそうに目で追った。「ふふっ…あれは駒鳥さん…小さな小さな駒鳥さん…」
「いよいよなのですかな?影のお嬢さん」
「"偽りには真実の光りがまぶし過ぎたようです"」
雪華綺晶は依然真紅の人工精霊を眺め続けながら言った。薔薇水晶が崩れた時ラプラスの告げた言葉だ。
「その真実の光りとはわたし。それはわたしなの」言い終わるや雪華綺晶は建物から飛び降り、廃墟の道を飛ぶように移動していった。
「クククっ」ラプラスは頭の帽子に手を触れて呟いた。「今回の"おもちゃ"は扱いに頭をひねらせる…」

380:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅲ:喪失 The lost
07/06/25 00:13:07 clPhYV02
34

一端の引き際だ。水銀燈は心の中で言った。
自分を横から狙おうとする者がいる以上、これ以上蒼星石と戦い続けるのは明らか愚策だ。
「まずはあのこざしい金糸雀の息の根を止めなければね…!」
ところが、全く憎たらしいことに、空気を読めていない蒼星石がこちらへ突進してくるのが見えた。
「な…!」
反射的に羽を放ったが、蒼星石に全て鋏で追い払われた。そのまま一挙に水銀燈の元へ詰め寄り、鋏を振ってきた。
水銀燈は身を低くしてかわした。鋏がそばの柱を真っ二つに割る。
「蒼星石!あなたって信じられないおばかさん!…けほっ!」
壊された柱の細かい断片を吸い込んだ水銀燈がむせながら顔を上げて叫んだ。「状況を理解しなさい!二人とも死ぬわよ!」
「こういう切羽詰った状況ほど」蒼星石は再び鋏を振った。「君を追い詰め、倒すチャンスを得られる!」
何処までも男臭い社畜め!水銀燈は心の中で毒づいた。
まだ七体も残っているのに!始まったばかりからそんな危険な橋を渡って最後まで生き残れるつもりか!
水銀燈は身を退け、どうにか鋏の届かない距離を保ち続けた。
「逃がさないぞ!」蒼星石が血相を変えた顔で鋏を振りながらこちらに迫ってくる。
突然、水銀燈は地面に置かれた瓦礫に足がすくわれた。さっき金糸雀の攻撃で壊された建物の一部だ。
「しまっ…!」
水銀燈の息が詰まり、顔に一瞬恐怖の表情が浮かんだ。
バランスを崩し、ゆっくりと体が後ろに倒れていく。
「終わりだ!」
蒼星石は巨大な鋏を両手で押し開いた。鋏の内側が露わになる。
開かれた鋏の中に、蒼星石は倒れた水銀燈の首元を突っ込ませようと前進した。
「くっ!」
水銀燈は開かれた鋏の内側を両手で支え持った。鋭くなっている部分が彼女の指の関節に痛みを走らせる。
鋏が閉じられれば、水銀燈の首はチョン切られることになる。
「蒼星石…!やめな…さい…!」
全身の力を両手の指に込めながら、水銀燈が言った。
鋏を閉じようとするのと、こじ開けようとする二人の力がぶつかり合い、鋏はガタガタと揺れ続けている。
仰向けに倒れたまま鋏の内側を支え持つ水銀燈の手の痛みは極度に達していた。
「バカヤロウ!やめろ!金糸雀の格好の餌食じゃなぁい!」
水銀燈は絶叫し、右足で蒼星石の背中をしきりに蹴り上げ始めた。
こんな終わり方はごめんよ!
「ぐっ…うう…!」蒼星石の顔が一瞬痛みでゆがむ。「だが…まだ金糸雀の攻撃はきていない!」
言ってるそばから、再び何処かしらからバイオリンの演奏音が聞こえ、音波の竜巻がこちらに突進してきた。
二人はそれにすぐ気付いたが、お互い鋏に込める力を一瞬たりとも緩めることが出来ない。

さっきとは別の建物の中で伏せながら、金糸雀は一人笑みを浮かべていた。水銀燈と蒼星石。頂きかしらぁ!

381:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/25 18:10:05 KpmmTH6f
>>380
まるでTV観てるような、この切り方!
次回乞うご期待って感じが良いね。
wktkwktkでお待ちしておりますよ。

何となく金糸雀が最初にやられる予感。

382:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/25 22:06:56 0VLdFl+B
キム死ね

383:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/25 22:30:59 rMezwAxm
        ┌─┐
         i二ニニ二i  在日死ね
          i´ノノノヽ)))_ _ _
         Wリ|゚ ー゚〔::二二〔()           ...:;:''"´"'''::;:,,, ドガァーーン!!
        /'i)介つ〔三三三:〔[二[二二二[〔()〕″     ,,;;;;´."'''
      と⌒__ ⊂ソ |ミ|| |_|_|  /A     '''''::;;;;::'''"´



         ヽr'._ r`γヽ./.゚;・.,'
         //`Y. ,,‘ .゚;・.,'`ヽ
         i | ノi ノ_';;;∵\@
         ヽ>,/! ヾ(i.゚'Д;;。;∵ がじらぁぁぁぁぁぁ!
          `ー -(kOi∞iミつ
              (,,( ),,)
               じ'ノ'



            ___   
           く/',二二ヽ>
           |l |ノノイハ)) 砕け散れですぅ!
         ⊂|l |リ゚ ヮ゚ノl|         .゚;・.,'`ヽ
          ヽl_介」とソ' \ 从/ _';;;∵\@  グシャッ
            (__二⌒) <   > ,ヾ(i.゚'Д;;。;∵
           (_丿    /VV\    ;:∵;;;,

384:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/25 22:32:06 rMezwAxm

   , '´ ̄`ヽ
   i ノ_'\@
   ヾ# 々`ノ 
   / つ⊂ノ  ごろごろぴー
   (__ ̄) )
    し'し



     , '´ ̄`ヽ
     i ノ_'\@
     ヾ# 々`ノ  が・・・がじら゛ぁぁ・・・
     ( つ⊂ ヽ ゴロゴロ
      ( ヽ( ̄、)
       l,ノ (__)



          , '´ ̄`ヽ   っ
          i ノ。'\@    っ
          ヾ#゛々゚ノ かー・・・が!!・・・しー・・・し・・・ら・・・
         / つ大O
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          , '´ ̄`ヽ   |  TOILET    |
          i ノ_'\@ うー・・・       |
           ヾ# 々`ノ   | ◎        .|
.          /,   .つ   .|          |
         (_(_, )   .|          |
          i:;:lしし'      ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
        ⊂.:.,':.,':⊃
     ⊂;'::.,'::.:.,';.'.,';';.:⊃
       ⊂;':;.':.,'::.::⊃



    , '´ ̄`ヽ
  ∩ i ノ_'\@ グスグス…
 ⊂⌒ヾ* 々∩
  `ヽ  つ ノ
        ⊂.:.,':.,':⊃
     ⊂;'::.,'::.:.,';.'.,';';.:⊃
       ⊂;':;.':.,'::.::⊃



  ビチャビチャ
         , '´ ̄`ヽ
   〃〃∩:.,i ノ。'\@':.,
 :.,'::.:.,';.'⊂⌒ ヾ*;:々^ノ.,'.,';';.:
   :.,'::'::.,'`ヽ___つ.,':.:つ:.,';.'.,';'
     :.,'::.:.,';.'.,';':.,'::.:.,';.'.,';'

385:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/25 22:32:59 rMezwAxm
     , '´ ̄`ヽ
     i ノ'_\@                 人  
 /⌒ヽヾ* 々`ノ かしらー!!     /⌒.(;:;:;:;:)         , '´ ̄`ヽ
 {   (/つ ノつ  ___         I.  (;:;:;:u:;)         i ノ'_\@
 ヽ  (__⌒ワ')ク  (三(@    →   ヽ (;:u;:;::;:;:;)    →   ヾ*.;々`人 クチャクチャ
  に二二二)                に二二二)       / つ;:(;:;:;:;:;)
   _)   r'                  _)   r'        しー‐(;:;:;:;u;:;)
  └──`                └──`          (;:u;:;::;:;:;)
\___ ___________________________
      V
    , '´ ̄`ヽ
    i ノ'_\@∩
    ヾ* 々`ノ/
 _ / /   /
\⊂ノ ̄ ̄ ̄ ̄\
 ||\        \
 ||\|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
 ||  || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||

386:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/25 22:34:00 rMezwAxm
             人
    Σ , '´ ̄`ヽ (;:;:;)
      i ノ_'\@.(;:;:;:u:;)
      ヾ# 々`ノ(;:u;:;::;:;:;) がっ
      ノ  つつ ̄ ̄ ̄
    ⊂、_  ノ          
       しo
  """"""""""""""""""""""""""



            人
           (;:;:;)
         , '´ ̄`ヽ ドロ 
         i ノ_'\@
      /⌒ヾ# 々;(;:;:;:u:;)  かーしらー…
      と_)__つ(;:u;:;::;:;:;)
  """"""""""""""""""""""""""



      .人
     (;:;:;)
    , '´ ̄`ヽ
   i ノ_'\@
   ヾ*.;々`と,,, クチャクチャ
   / つ;:(;:;:;:;:;)
   しー‐(;:;:;:;::;:;)
  """"""""""""""""""""""""""

387:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/25 22:34:59 rMezwAxm
            ( ⌒ )
             l | /
            , '´ ̄`ヽ
            i ノ。\@
           ヾ# 々゚ノ かっ・・・かしらーーーーー!!
           /,   つ
.       ブリッ!(_(_  /
           //レヽJ
         .人
        (;:;:;:;:;)
       (;:;:;:;u;:;)



.    , '´ ̄`ヽ ガツ
.    i ノ'_\@  ガツ
    ヾ*.;々`人. 大好物かしらー♪ 
    / つ;:(;:;:;:;:;)
    しー‐(;:;:;:;::;:;)

388:ロックマンJUM
07/06/26 23:19:05 3j/9/dBi
水銀燈「お久しぶり、おばかさぁん♪」
JUM「水銀燈!?(CV:風間 勇刀)」

水銀燈「JUMがあの、どうりょくろをやられたイレギュラーハンターになったって聞いて、私も等身大になってみたわぁ」
JUM「……俺を訪ねて、どうしようと言うんだ」
水銀燈「そんなに身構えなくてもいいわぁ、って言うかその『※シールドブーメラン』下げて」

※一部の飛び道具を弾き返してダメージを与える効果あり。

JUM「……で、用件は何だ」
水銀燈「そんな大層な事じゃないわぁ、ちょっと付き合ってほしい事があるの……」



めぐへの、お見舞い品の『お買い物』にね……フフ……


                                                    ,i!
                                   |ヽ、   , ‐''''T''''‐  、 //|
                  , -r<薔薇コ=- 、 、       |:.:ヽ`y'::::::::::::::::!::::::::::::::::〉:/:./
                /  _ ___       \\      |:.:.:.ヽ`、::::::::::::i:::::::::::::/,:.':.:.:,/
             にy' ,r'´ .::.:.:.i:.i:.:``ヽ、    ヽ ヽ     ト、:.:.:.ヽ'、:::::::::|::::::::::/,:.:.:.:./:|
              「イ .,.:,.::,イ!.::j:||:|::|:..il:.ト、ヽ   li i  r┐.,':::',:.:.:.:.:\::::::::|:::::::/,.':.:.:./::::|    /1
                 //.://:/l.::i.:.:|:|!.!:i!:::|!:.i Nヽ _」ト、|  ヽ ヽ!:::::',:.:.:.:.:<´ ̄'i' ̄`>:.:.:.:|::::/-.ヘ ///  
             //::// / |.:.|.:.:| l:|: .:|.:||::| .|:l|二>ネ〈j!   ヽ ヽ:::::L:.:.:.:.:\ |  ,:':.:.:.,.ノ:::|,ノ、 /-、!  
            ,イ7Nl/N、 」:.:lMl/ lノノ! l|N ノノ! _ノ7!ト、!   ,|/´ヽ//i'ト,.、:.:.ヽ|/:.,.ィ'フ |::/N/:.:!:7 | 
           / ハ |トト、 l N、N  」, -!‐|‐|//LヽY二〕 ,....-ヘ:.:┌‐ヘ``゙~`ヽY-''"`~,イ/:/`ヽ:.:!'V     
          // / :l/入ヽヾモコヽ   'こテニ7/ノノ7l1::!! : : : : :.ヽ:.|ヽ ト、   :!    ,.イ':/! ///      
      __ / ノ / , イ/  〉' , ' ' ' '、   ' ' ' '//7.:/ |::||-‐,.=‐' ´``‐',┘>>´ ̄` <ノ:/:.ト-‐'  
 , イ.:..:.:::::::::::::::::``ヾ :.:.ノノノノ.>、  ー-   / /:/ l .:.:l::||:'': : : : : :,... ': : :.く二ニ`Y´,フ´:./!:./
  ,彡.:.:.:.:.::::::::::::`ヾ、ヽy ///イN >、_ , イ /:/ i |::l:|l|ト_...:._‐'',...: : '':.フ:.:.:.:.:.:,.>:': : :/v':.|
     ノ .:.:::r'.:.:.:.:.ヽ. .///L7孑ケノハ>、/,/:/  lN」」j!‐'' ,/-┐r':.:.:.:.:.,...:': : : : /:.:/: :/`ヽ r‐、 ,-、
   / /.:r'´.:/.::::::::///.:::7 ^ヾ/ノ1 |:::// /^フ不「.:.:.:ヽ'::::::::::::/>ヘ:.,. ': : : : : ,.イ:.:.:./: :/:.:.:ノ/´::::/:::::::\
    ,/.::.::::/.:.::::::::::///.:.:/   `~~ ~´/./ / ノ.::i!.1'::::::::::::::::/:://: : : : :,. ':.:.:!.:.:/: :,':.:.:く:::ヽ、/:::::::::::::::\

389:ロックマンJUM
07/06/26 23:26:24 3j/9/dBi
蛇足

水銀燈達と別れ早1年・・・・水銀党の追及は止む事なくJUMを追い詰める。
ドールズの事を案じながらも、JUMは目の前の銀様信者を振り払い生きる事に精一杯であった。


____
|  |
|  |
|  |      彡    ビュウウウ…
|  |                彡         彡
|≡|        彡
[ J]             |ヽ,---、|ヽ   彡
              __ヽ ヽ▼/ ノ
              \_>;・∀・|)
                人つゝ 人,,
              Yノ人 ノ ノノゞ⌒~ゞ
            .  ノ /ミ|\、    ノノ ( 彡
             `⌒  .U~U`ヾ    丿
                     ⌒~⌒
タララララーラー タララララララー ターラーラーララーラーラーラー(For Endless Batlle) 


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