【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 5【一般】at ANICHARA
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 5【一般】 - 暇つぶし2ch200:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 15:02:37 mDSkncjU
>>198
一連の褒め殺し&叩きの元凶&マッチポンプ&傍観者の振りした煽り厨乙!!

201:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 15:17:04 Apxzm74T
>>200
一連の褒め殺し&叩きの元凶&マッチポンプ&傍観者の振りした煽り厨乙!!(^O^)

202:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 15:22:03 RC0p+x+2
だからなんでこんなに耐性無いんだ


203:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 17:07:16 uxf9ymop
>>202
暇潰しなんじゃないか?

204:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 17:36:37 kRSWBWjb
こんな所で暇潰しするより、将来食うのに苦しまないように
今は一刻も早く学校に行くべきだと思うわぁ~お馬鹿さぁ~ん




205:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 17:37:49 mDSkncjU
>>201
一連の褒め殺しの真紅&叩きの元凶の水銀燈&マッチポンプの金糸雀&傍観者の振りした煽り厨翠星石乙乙!!(^O^)

206:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 18:24:30 mDSkncjU
我ながらなかなかのお馬鹿さんっぷり。
>>204のように言われると弱いので、ここで止めとこう

207:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 19:00:22 FPKec1pV
>>206
なんなんだ、あんたは?

208:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 21:20:38 L2CdXoG2
ピンポーン

「誰だよ、こんな朝っぱらから…」

姉が登校してしばらくした後、呼び鈴が鳴った。
とりあえず誰が来たのか確認してから居留守を使おうと決め込み、
覗き窓に顔を近付ける。

(って柏葉?なんの用だろ?学校に間に合うのか?)そんなことを思いながら扉を開けるジュン。

がちゃっ

「あ…おはよう、桜田くん…」
挨拶をするものの、その表情はひどく落ち込んでいる。

「(なんか今日はいつにも増して暗いな。何かあったのか?)あ、ああ、おはよう…
 どうしたんだこんな朝から」
「うん…ちょっと相談したいことがあって」
「ふーん…でも学校は?」
学校という言葉を聞いた途端、表情を更に強ばらせる巴。

「…! 相談っていうのは、その学校のことなの…」
「(何か複雑な問題みたいだな。姉ちゃんも居ないってのに…)まあ、立ち話もあれだし、とりあえず上がってよ。
 話は中で聞くからさ」
「ごめんなさい…急に押し掛けて」
「いや」

「…ところで、雛苺は?」
「それが、まだ帰ってきてなくて…」
「そう…」
「真紅たちも最近はよく出かけてさ。今もどっかに行っちゃってるよ」

209:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 21:23:11 L2CdXoG2
場所を居間に移し、紅茶とお茶うけを用意したあと、ジュンは尋ねた。
「それで、相談っていうのは…?」
「うん、実はね…」
俯きながら巴は語りだした。

聞けば、学校の帰りに偶然ポストに手紙を出そうとしていた雛苺と会い、
近況を話ながら桜田家へ送り帰したのだが、
その様子をクラスメイトに見られたらしい。

友達も少なく、教室で浮いた存在となっている学級委員さまの
隠れた趣味発覚とばかりに、クラス中に「巴は人形遊びが趣味で、外で堂々と人形に話しかける危ない人」だの
「クラスになじめないストレスのあまり人形いじりに走った」だのの噂が広まり、
教室に居れなくなったという。
しかし厳格な父に登校拒否を認めてもらえず、似たような境遇の幼なじみに話を聞いてもらおうと、
ジュンを頼って桜田家へ足を運んだ次第だそうだ。

「それは…大変だったな」
「うん…これからどうしようかと思って…」
「担任に相談しようにも、アイツじゃな…」
脳裏にジュンのトラウマの原因をつくった、あの担任教師の笑顔が映り、
ジュンはうんざりした表情で言った。

「それじゃ下校の時間まで家に帰れないな」
「うん…どうしよう」
「とりあえずウチに居る?」
そう言って、ジュンは激しく後悔した。
何を言ってるんだ僕は。 今は両親も姉ちゃんも居ないんだぞ変な誤解を受けたらどうするんだよ!

「本当にいいの?」
ジュンが一人で慌てふためいているのをよそに、
巴は顔を上げてジュンを見つめながら聞いた。

…そんな顔をされたら断れないじゃないか。
「あ、ああ…」
っておい「ああ」じゃねえよ僕は
っていうか柏葉ももっと深く考えろよ
誰も居ない家に男と女二人っきりだぞ!?


こうして始まった二人の登校拒否カップルの行く末は…?

続かない

210:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 22:02:04 1vVKxfac
馬鹿野郎、何故エロパロ板じゃなくここで書くんだ

211:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 22:09:49 JP4mwcY3
>>207
自作自演したり煽ったりと忙しい、学校通いの某SS書きじゃね?w

212:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 23:22:43 3D3/QVtJ
ていうかここって笑えるほど馬鹿ばっかだなw
SS書き、SS読み、馬鹿同士で言い合ってるのかwそりゃ結構結構wwwww
見てると面白いから頑張れw

213:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/22 00:10:23 pyd2Wz7d
面白アゲ

214:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/22 00:19:05 sA+5fP+5
URLリンク(rozen.no-ip.org)

                   (゚д゚ )
          <⌒/ヽ-、__ノヽノ |
        /<_/____/ < <
         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                     (゚д゚ )
          <⌒ヽ_ /ヽ-、__ノヽノ |
        /<___ノ/____/ < <
         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                       Σ(゚д゚ )
          <⌒ヽ    /ヽ-、__ノヽノ |
        /<___ノ ̄ ̄/____/ < <
    
                     (゚д゚; )
          <⌒ヽ_ /ヽ-、__ノヽノ |
        /<___ノ/____/ < <
         ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
                   (゚д゚; )
          <⌒/ヽ-、__ノヽノ |
        /<_/____/ < <
        ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          ∧∧
         ( ・ω・)   Σ(゚д゚ )
         _| ⊃/(___ノヽノ |
       / └-(____/ < <
          ∧∧
         ( ゚д゚ )      ( ゚д゚ )
         _| ⊃/(___ノヽノ |
       / └-(____/ < <


215:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/22 00:29:58 c/pyXo/F

            >>1
             ↓                _人
      ∩    ∧_∧            ノ⌒ 丿
       \ヽ_(    )         _/   ::(
         \_   ノ        /     :::::::\
 ∩_   _/    /         (     :::::::;;;;;;;)
 L_ `ー / /   /           \_― ̄ ̄::::::::::\
     ヽ  | |__/ |           ノ ̄     ::::::::::::::::::::::)
  | ̄ ̄ ̄\     ノ こんな     (     ::::::::::::::;;;;;;;;;;;;ノ
  | | ̄「~| ̄( 、 A , )クソスレ   / ̄――― ̄ ̄::::::::\
  | |  | |  ∨ ̄∨        (        :::::::::::::::::::::::::::::::::)
  し'  し'                \__::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ



                               __
                         >>1  l ̄/.  ___
                         ↓ / /.  / ___ノ  
                        __/ /_/ / 
      たてんじゃねー!      Y人, ' ',人⌒ヽ、, '
                      Y⌒ヽ)⌒ヽ、 人,ヽ)人'、, '
        へ, --- 、         ノ ̄     ::::::::::::::::::::::)
     / ̄ ̄ ̄  、____\       (     ::::::::::::::;;;;;;;;;;;;ノ
    / _/ ̄「~|\ __ \     / ̄――― ̄ ̄::::::::\
   | |  | | ( 、 A , \ミソ   (        :::::::::::::::::::::::::::::::::)
   し'   し' と∨ ̄∨       \__::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ


216:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/22 00:41:14 zDajZO+y
おい、やめろ!もうこれ以上荒らさないでくれ!

217:Rozen Maiden LatztRegieren I:余命 Remained Life
07/05/22 02:24:09 CvZx6MMb
>>135の続き

9

水銀燈は自分を呼ぶ声に目を開けた。
その途端、朝日の光が一挙に目に飛び込んできたのでひどく動揺した。水銀燈はあまり日の光は好きでない。
なぜこんなことに?
自分の記憶をしばらく辿るとすぐに答えが出た。
あのまま病院の外に腰掛けて寝てしまったのか。
「ねぇ、水銀燈」めぐは窓から顔を出して自分を覗き込んでいた。「そんなとこで寝てたら、風邪ひいちゃうよ」
「ドールは風邪なんて…」言いかけた時、水銀燈は驚いて顔を上げた。「めぐ!あなた生きていたの」
めぐは自嘲するように笑った。
「私もね、驚いちゃった。まだ生きているなんて。昨晩、水銀燈が慌てた感じで窓から飛び込んできた時は嬉しかった。
死ぬ前にちょっとだけでも合いたかったから。結局生き延びちゃったけど。あの時私の命を使ってくれれば絶対に死ねたのに。」
水銀燈はめぐから視線を逸らして言った。
「アリスゲームが始まらないと契約も意味が無いと前も言ったでしょう?」
「ふふ…そうね。でもいいんだ」
めぐは両腕を窓口に組んで遠い空を見つめた。
「私ね、余命ニ週間なんだって。看護婦さんたちが話しているのを聞いちゃった。
心臓が肥大化して細胞が死滅していくんだって。全く原因が分からないみたい。
特効薬なんて無駄なことで進行が抑えられたらしいけど、それでももって二週間だって…ふふ」
「そぉ…よかったじゃなぁい」
水銀燈はめぐから視線を逸らしたまま答えた。
「ニ週間後に余命が尽きて死ぬか、それまでに天使さんに命もってかれるかのどっちかね。
どっちかというと天使さんに命もってかれる方が素敵な感じでいいんだけどな。贅沢過ぎかな…?」
めぐが自分のベッドに戻っていくと、水銀燈は後を追うようにして窓のふちに飛び上がってから着地した。
「下らない人生だった…生まれたて心臓が壊れてて、ろくに学校へも通えない。友達もいない。パパとママは喧嘩ばかり。
ついに私が10歳の頃ママは家を出ていっちゃった。パパは仕事のことしか頭になくて、私のことは忘れてる」

生まれた時から壊れてて、父には忘れられる。水銀燈はぞっとしてすぐに考えるのをやめた。

「おばあちゃんには昔歌を歌ってもらったりしたけど、そのおばあちゃんもいなくなっちゃった。
今となってはだーれも私のことなんか気にかけちゃいないの。そして毎日このつまらない部屋で死ぬのを待」
「黙りなさい。その話を聞いていると気分が悪いわ」
めぐは驚いて水銀燈に目を向けると、彼女は腕を組んだまま窓からずっと外を見ていた。
「ごめんなさい」
二人の間に気まずい沈黙が流れた。

218:Rozen Maiden LatztRegieren I:余命 Remained Life
07/05/22 02:25:12 CvZx6MMb
「ねぇ、水銀燈」
めぐは沈黙してるままではつまらないとばかりに再び話し掛けた。
「なにかしら」
水銀燈は外を向いたまま答えた。
「両手の指先を全部あわせて、中指だけ折り曲げてみて?」
そう言って、めぐは見本を手でやってみせた。中指だけ第二関節まで密着させ、他の指はその先端だけが接触する。
水銀燈は横目でちらとめぐの手を見てみた。
一瞬、いかにも下らなそうなことをしているので無視しようと思ったが、
不意にさっきめぐをを黙らせたことの後ろめたさが水銀燈の心に働き始めた。
もう一度横目でめぐを見てみると、お願いといわんばかりのめぐの顔がずっとこちらに向けられている。
それから水銀燈は数秒間だけ粘った。やがて、はぁとため息をついて手を動かした。
「…こーぉ?」
「ええ。そしたら、親指、人指し指、薬指…という順で指をはなしてみて」
水銀燈は言われた通りに指を離し始めた。親指、人指し指は何の問題もなく離れたが、薬指だけがどうしても離れない。
「ふふ」めぐは小さく笑った。「お人形さんでも水銀燈は人間と同じ関節の構造してるんだ」
水銀燈は手を組みなおした。「くだらないわ。ばかじゃなぁい」
「私達人間もね、こうしていると薬指だけは絶対に離れないの。
だから結婚指輪は薬指にはめるんですって。永遠に二人の仲が離れないようにって」
めぐと水銀燈は同時に左手の契約の指輪を見た。
「他にもね、左手の薬指は心臓に直結しているとか、リングには終わりが無いから永遠にとかどうとか」
水銀燈はあまり興味を持っていないふうだった。
「それで?」
「それでね、」
めぐは人差し指をたてた。
「私が死んでも、魂は永遠に水銀燈と一緒ってのはどう?文学的でいいでしょ?水銀燈は私の命を使っているんだからね。
そしたら私の魂は水銀燈と一緒に空を飛べるの」
「ふん…勝手にそう思ってなさぁい」そう言い残して、水銀燈は窓から飛びだっていった。

219:Rozen Maiden LatztRegieren I:余命 Remained Life
07/05/22 02:27:33 CvZx6MMb
10

「金糸雀が…動かなくなった?」
聞いた真紅と蒼星石の二人が後ろから駆けつけて来た。翠星石はというと、すねて二階へ閉じこもっている。
「そう…朝起きたら鞄から起きて来なくて…気になって鞄を開けて起こしてみても全然反応しなくて…」
みつは目を真っ赤にさせながらようやく答えた。ずっと泣いていたのだろう。
「わーーん!私の…私のカナがああああああああああああああ!!カナカナカナあああああああ」
みつはジュンに抱きついて吹っ切れたように号泣をはじめた。
「わああ…なんだよ…」ジュンは戸惑った。大人の女性に抱きつかれて泣かれるのなんて初めてだ。
みつの長い髪のかおりが鼻をつき、ジュンは気恥ずかしさを覚えた。
「ちょっと、金糸雀を私に見せて!」真紅はいきなり取り乱したように言って二人の間に割って入った。
金糸雀がみつとジュンに挟まれて押し潰されそうになっているのを見かねたからのか、
みつがジュンに抱きついているのに不愉快を覚えたからなのかは微妙だ、と蒼星石は思った。
「いけない、私ったら!」みつは我に戻り、慌ててジュンから離れて金糸雀を差し出した。
すると真紅は落ち着きを取り戻した様子で金糸雀を優しく抱きかかえ、まずは顔を見た。眠り続けたままの顔。次に背中の螺子。
最後に両脇を支え持ち全体を見る。一同が真紅の行動を見守った。

真紅は結論を口に出した。「金糸雀は眠っているだけだわ」
「じ、じゃあ金糸雀は無事なの!?」みつの顔がぱっと明るくなり、両手を合わせて真紅に迫った。
「ええ…まあ」真紅は答えた。「正しくは、金糸雀は夢の中で迷子になっている…」
みつは困惑した。「どういうこと?」
「…夢の中」蒼星石が代わって説明を始めた。
「僕たちローゼンメイデンは眠るとき必ず身を置く場所があります。そこが夢の中といったところです。
人間にも本来それぞれもっているのですが、人間にははっきりとそれを見ることが出来ません。
僕と双子の翠星石にはその夢の中への入り口を"見つけ出す"力を持っているのですが…その僕が知っていることは…」
蒼星石は自分の言葉にとまどいを見せた。
「人やドールが夢の中からの出口を見失ってしまった場合、一生そこから出れません。
現実世界ではずっと眠り続けたままになるんです」
蒼星石が喋り続けるにつれ、みつの顔には絶望の波が広がっていった。今にも再び瞳から滝のような涙を流しそうだ。
「それじゃあ…それじゃあカナは…」
「大丈夫よ」真紅が急いでなだめた。「その為にここに蒼星石がいるんですもの。金糸雀の夢の中に蒼星石の力を借りて入り、
金糸雀を見つけ出せればきっと呼び起こせるわ」
「ほ、ほんとおお!?」みつは希望に満ちた明るい顔に瞬時にして戻った。その表情の切り替えの速さは漫画のようだ。
「カナ、カナを呼び起こしてくれるの!?」
その問いに答えられるのは私ではない、真紅はそう思って蒼星石を見やった。
すると、蒼星石は微笑みながら真紅にうなづいた。オーケーサインだ。
真紅はみつに向き直って答えた。「ええ。だから安心して」
「ありがとう!真紅ちゃん、そして蒼星石ちゃん!!本当にありがとう!!きっと何かお返しするわ!」
みつは二人を両腕で抱きかかえ、ついに二度目の涙を解き放った。今回は嬉涙だ。
「でもおかしいよ、真紅」蒼星石はきつく抱かれながら小さな声で真紅に耳打ちした。
「今日の朝まで自分の鞄の中で眠っていたということは…」
「ええ。"自分のフィールド"から出られなくなるなんてことはローゼンメイデンには絶対にありえない」
真紅がまじめな顔つきをして答えた。「きっと昨晩金糸雀に何かあったわ」

「ああ、そういえば…」みつは突然何かを思い出したように言い出した。
「今日の朝、壁に変な文字が現れていたの。英語だかドイツ語だかわからないけど…とにかく変な文字。
外国語なんて全然私には読めないけど…すぷれんでぃとーとかなんとか」
「変な文字が壁に?」真紅は強い興味を示した。まるで何かに思い当たったかのようだ。
「それは英語かドイツ語かはっきりしない?」
「それが、とにかく変な文字でちょっと分からないのよ…ある文字は知っているアルファベットで、
ある文字はなんだかへんな感じになってる。iとsが合体したような…でも、多分英語じゃないかなあ」
真紅は一考した。薔薇乙女は元より様々な言語に精通しているが、
一部は通常のアルファベットで、一部はiとsが合体した文字を含むなんて言語は英語はもちろん、
ドイツ語にもラテン語にも思い当たらない。
まさか本当にそんな言語が存在するのだろうか。真紅は蒼星石に視線を送ると、蒼星石も首を横に振った。

220:Rozen Maiden LatztRegieren I:余命 Remained Life
07/05/22 02:28:35 CvZx6MMb
「ねぇ、その文字、私たちに見せて頂戴」
真紅が切り出すと、みつは驚いた様子をみせた。「え?でも私の家、遠いよ?」
「あら、問題ないわ」真紅は微笑んでから踵を返し、廊下の奥へと歩き出した。
「私が許可するわ。家に上がって頂戴。ある部屋に案内するから」
今まで黙って話を聞いていたジュンだったが、ついにそこで割り込んだ。「お、おい、一応僕の家だぞ」
真紅は足を止めて振り返った。「そういえば、ジュン、あなたもよ。ついてきなさい」
「僕の話を聞いてんのかよ!真紅!」
「すいません。でも今回は許してあげて下さい」蒼星石がなだめた。
「今回は真紅も人助けする為にしてるんですから。あなたも分かっているはずです」
「ああ、分かってるよ…ただ相変わらずあいつの態度が気に食わない」
言い終えてジュンは口を尖らたあと、戸惑っているみつに向き直り、あがるように素振りで示した。
「あ、どうぞ、あがってください。真紅が向かっていったのは多分鏡の部屋だと思いますので…ええっと、こっちです」
「は、はあ。お邪魔します」
みつは靴を脱ぎ整えなおしてからジュンについて行くと、やがて古びた物置部屋にたどり着いた。
物置の正面には大きくて豪勢な鏡がおいてあり、それは古き時代のものを感じさせる。
真紅はその鏡に向かって右手をかけて独り言を喋っていた。少なくともみつにはそう見えた。
「ホーリエ、以前に出かけた彼女の家のフィールドの出口は覚えてる?そう?さすが私の人工精霊ね」
真紅は言い終わると三人に向き直った。「すぐに着くわ。金糸雀は私が抱えているから」
その言葉に蒼星石とジュンが納得したような素振りを見せたが、みつには訳が分からなかった。「な、何をするの?」
真紅はみつに向かってほくそ笑んだ。「あなたはこれから、nのフィールドを通るのよ」

221:Rozen Maiden LatztRegieren I:余命 Remained Life
07/05/22 02:32:30 CvZx6MMb
11

同じ頃、桜田家の二階ジュンの部屋では翠星石と雛苺がそれぞれの行動に走っていた。
雛苺は床に紙を散らばせてひたすら絵描きに浸っている。
翠星石の方は部屋をあちこち歩き廻ったりベッドに座ったりしながらぶつぶつと独り言を口走っている。
「あのチビ人間…生意気ですコンチクショーです…」
今頃はどうせ真紅と仲良く紅茶でも飲んでいるんだろう。その光景を頭に思い浮かべた。
「きぃぃぃ!別にヤキモチとかは全然ないですけどあのチビ人間は真紅とばかり仲良くしててむかつくです!こちらがいづらいです!」
翠星石は絵描きに夢中な雛苺を尻目に部屋の中を探索し始めた。彼女の考えていることは一つ、チビ人間への復讐だ。
「あんなチビ人間にこの翠星石がなめられてたまるもんですか!!たっぷり胸に刻み込ませてやるです!!」翠星石の瞳が燃えた。
ふと、ジュンがよく座って向き合っている、光を発する厚みの薄い箱が目に入った。
この箱と向き合ってはジュンが嬉しいそうに"買い、買い"と口ずさんでいる箱だ。
最近では、真紅も同じことを始めたらしい。何でもくんくん関連の本がこの箱で手に入るとか。
今この箱の画面には、黒がベースの画面に、緑色に光ったどろどろした感じの文字でLastGenerationと書かれている。
そして左上にはサイト名が表示されていた。

OWN-AGE.COM
 online gaming media and editing resources

右下には別の小さなブラウザがある。

ファイルのダウンロード
46.8kb/s 残り2時間18秒

ジュンは何か重要なことをこの箱でしようとしている。翠星石の勘が働いた。
再び雛苺に目をやると、彼女の描いた絵が数枚目に入る。どれも下手くそだが、今はその下手さが素晴らしいものに思えた。
これだ!
翠星石は雛苺に近づいて耳打ちをした。その表情は既に悪いことを企んでいる女のそれだ。
「チビチビ苺、ちょっと力貸すです…」

222:Rozen Maiden LatztRegieren I:余命 Remained Life
07/05/22 02:34:19 CvZx6MMb
12

これから自分は人間として、何か一線を越えてしまうのではないのだろうか。みつはそんな気がしてきた。
「え…えぬのフィールド?」
無情にも、みつの問い掛けに誰も答えてくれなかった。いや、更に無情にも、三人は実際にそれをやってのけてくれた。
真紅を先頭にして、蒼星石、ジュンが鏡の中にのめり込んでいく。三人を吸い込む時、鏡はまぶしく光り輝いた。
「光が消えないうちにきてください」ジュンはそういい残して - 鏡の中に消えた。
そうしてみつ一人が物置部屋に取り残された。
そう、そうよ。分かったわ。
前にも鏡の中から突然部屋にドール達がやってきたことがあったっけ。それと同じことよ…!
千鳥足で、みつはゆっくりと鏡の前に立った。鏡から放たれる光はみるみるうちに弱まっていく。
みつは覚悟を決めた。本能が鏡に頭がぶつかることを警告したが、数秒後、その警告は間違いだったと分かった。

「きたわ。蒼星石!」真紅がnのフィールドに入ってきたみつを確認するとすぐさま叫んだ。
「うん!」蒼星石は世界樹と呼ばれる巨大な樹の枝から一枚の葉を取り出し、正気を失いかけているみつの元へと急いだ。

みつは自分が水面のない深い水の中でぐるぐる回されている気分だった。
呼吸ができない。どこが下でどこが上なのかも分からない。ただせめて、触れられるものを求めて体中をじたばたさせた。
しばらくして、背中が柔らかいものに触れた。
「ふう、大丈夫ですか?みつさん」
聞き覚えのある声。蒼星石の声だった。
気を落ち着かせて足元をみると、一枚の巨大な葉っぱが自分と蒼星石をのせている。
その下は地獄を思わせる、ひたすらの闇。
あちにこちらに、扉や窓といった入り口らしきものが無数に空間に浮いている。
重力はいずこへ、また一体どこに光源があって、こんな暗闇の空間でこういった物体が照らされているのかと思った。
「あまり動かないで下さい。あとはこの葉が案内してくれるので」
正確には真紅を追うだけだけどと思いながらも、蒼星石はみつを落ち着かせる為そういった。
真紅の人工精霊がみつの部屋への入り口を案内してくれる。

「ここよ!」真紅が叫ぶと、四人全員がある扉の前に集まった。
その扉が開けると、その先はマンションの一室を思わせる部屋に繋がっていた。
みつはすぐに分かった。自分の部屋だ。そしてこの光景は自分の部屋の鏡からみた角度と合致する。
「ここね?みつさん」
「は、はぁい…」みつはやっとの思いで声を出した。
「そう。では早速入りましょう」
自分を乗せている葉が勝手に動き出すと、みつの部屋へと繋がる扉がこちらに迫ってきた。

ようやくここから生きて出れる。みつは我が家がいかに素晴らしいものであるか泣きそうな思いで実感した。

223:Rozen Maiden LatztRegieren I:余命 Remained Life
07/05/22 02:36:20 CvZx6MMb
ふう、真紅はため息をついた。毎度人間を新しくnのフィールドに連れてく時は骨が折れる。
昨晩、夢の中で金糸雀には確実に何かが起きた。壁に残されたという文字が気になる。
不可解なのは、ドールが持つ独自のフィールドに他のドールや人間が入ることは普通は出来ないという点だ。
今一緒にいる蒼星石と、もう一人翠星石なら出来るが、そんなことをあの双子がするなんて考えられない。それは庭師の掟でもある。
それに、水銀燈だって違う。
彼女は一度スィドリームとレンピカの力を奪い、自分のフィールドにこそ押し入って自分の眠りを妨げてきたが、
その際金糸雀の方までは絶対入っていない。あの時はまだ金糸雀は姿を現していなかったから。
さらに付け加えると、これは"あの子らしくない"。
考えられることは…まさか。
真紅は胸に抱えていた金糸雀をゆっくりと部屋のベッドに置いた。
それから慎重に視線で壁中を見回す。見つかった。
「あれよ。あの文字」
真紅は言いながら指を差した。全員がその文字に注目した。
その文字を見ている内、みつの言っていることがよく分かった。確かに変な文字という形容がしっくりくる。

URLリンク(grugru.mine.nu)

「ね、ね?変な文字でしょ?」みつが言ったが、全員文字に集中して何も答えなかった。
間違いなくそれは英語を思わせるが、やたら湾曲された、不可解な文字だ。
どちらかというとただ単に字が下手な者が書いたという表現がしっくりくる文字で、
ジュンには雛苺あたりが壁に落書きしたのではないかとすら思えた。
「へったくそな字だなあ。なんてかいてあるんだ?"e"とか形違ってるし…」
「splendid…wee?」蒼星石が口走った。後半の"wee"の部分がいやに面白おかしく響いた。
「splendid iceじゃないかしら。一応そう無理やり読めば意味が通るけど。」
真紅が提案した。「ま、こんな汚い字を書いた子はまず一からアルファベットを勉強しなおすべきね」
「splendid ice ってどういう意味だ?」ジュンが聞いた。
真紅は一考した。「そうね。美しい氷とか、透き通った雪とか」
「ふーん…」ジュンは曇った返事を返したが、真紅の中では確信ができつつあった。
氷、そして雪。さて、どうしたものか…


Ⅱ:糸口 Breaking the ice に続く

224:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/22 02:57:59 sA+5fP+5
>>217-223
乙&wktk

225:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/22 04:07:45 fuKf9dQC
こいつぁ期待

226:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/22 05:14:38 NWodflZe
手が込んでる
こりゃ楽しみ

227:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/22 07:23:00 BKYeosFg
こういう手の込んだ手法をとるSSは初めて見た。
続きがとても気になる。

228:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/22 08:29:03 IH2S4lrQ
ここの銀ちゃんに一票入れて下さい
一日一回投票出来ます。
今月の24日までに3位以内に入っていたら銀ちゃんが脱ぎます。
URLリンク(vote.rentalcgi.com)


229:変態めぐ ◆b7XuiBsTpk
07/05/22 10:29:59 H03KzDLG
水銀燈がママになって優しくしてくれるスレ
スレリンク(charaneta2板:1-100番)


230:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/22 14:00:07 fsR6Z8lK
このスレつまんねつまんねつまんねつまんね
  <⌒/ヽ-、___ このスレつまんねつまんね
/<_/____/ このスレつまんねつまんね
このスレつまんねつまんねつまんねつまんね

     ∧∧
やっぱ( ^ω^)おもすれ━━!!!!
    _| ⊃/(___
  / └-(____/

231:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/23 00:17:08 WMMed1xj
ここはゴミ置き場である
暗くて、壊れた人形がいっぱいそこらかしこにちらばってある
壊れた人形からは悲しみの声が聞こえてくる
壊された人形からは恨みの声が聞こえてくる
そう、ここは全ての壊れた人形―ジャンクたちの立ち寄る人間の墓場みたいな所である
そしてここにまた一体のドールが現れた
(ここはどこ…?)
そこにいたのは真紅であった
きたばかりの真紅には自分が何故ここにいるかを理解する事が出来なかった
(私は薔薇水晶と戦ってたわ…それなら何故ここにいるの?)
「簡単な事よぉ」
真紅が声に気付き後ろを向くと、水銀燈がウフフと笑っていた
「どういうこと!?」
「あなたは薔薇水晶に負けたからここにいるのよぉ、他にここにいる理由は無いでしょう?」
(………!?)
真紅はまるで自分に銃を向けられてることに気付いた人質のような顔をしていた
自分が負けるなんて事実をしらされたからである
(私が負けたですって…?分からない…)
真紅は自分の中に微かに残る薔薇水晶と戦った時の記憶を思いだそうとした
(私はおい詰めたはずだわ…でもそこにジュンがきて…わたしは振り向いて……そして…刺されたんだ…)
真紅は自分が負けた時の事を全て思いだそうとした
(私はおい詰めたはずだわ…でもそこにジュンがきて…わたしは振り向いて……そして…刺されたんだ…)
真紅は自分が負けた時の事を全て思い出した…
(私はアリスゲームを否定していたのにそれに乗って、しかもそのアリスゲームにも負けてしまった…、今の私には何も残ってない…)
そして今の状況に絶望した
真紅はゆっくり膝を地面に落とし、手は顔を覆う為に使われていた
(わたしはジャンクね…何も出来ないただの人形なのだわ…)
真紅は手から溢れるくらいの涙を流していた
「あら?あなたは何を悲しむ必要があるの?」水銀燈はそんな真紅を見て声をかけた
だが真紅にはそんな話に興味はなかった
(…ジャンク…)
水銀燈は無視されたことに苛立ち声を荒げて聞いた
「聞いてるの真紅!?」
「黙ってて!」
真紅は水銀燈の無責任な発言に声を荒げて言い返した
「あなたはなんなの?私の気持ちの半分も分る訳が無いくせして、あなたに大事なものを守れない気持ちが分かるの!?」
―バッチィィン!!―
(な、何?)
真紅は自分の頬の痛みに気付くのに、2秒の時間をようし、さらにそれが水銀燈のビンタと気付くのに5秒をようした


232:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/23 00:24:20 WMMed1xj
「謝らないでよぉ、わたしはあなたがそんな女だって知ってるからぁ」
「あなたにも守るべきものはあったのね…」
「………」
水銀燈は唇を噛み、上を悲しげな顔で向いた
「…でも、所詮わたしはあなたと同じよ…大切なものを守れずに朽ち果てただけの何も残せなかった人形…」
(………)
真紅も薄々は気付いていた…
自分がどうしようもなく不様で何も出来なかった人形であることに
そして、自分がした事はローゼンメイデンでなく普通の人形と同等でしかない事に…
「でも…、ジュンならなんとかしてくれるわ」
「あのミーディアムが?あなたは何を考えてるの?」
「ジュンは私が壊れた時に完璧でなくてもいいと言ってくれた」
「…気休めよぉ…」
「あら?あなたのミーディアムも同じ事を言うと思うわよ」
「………」

私はきっとメグもそう言ってくれるだろうとは思っていた
しかし私がそれを認めたら自分に負けるような気がした
壊れた自分をお父様に認めてもらうために戦っていたのに、完璧でなくていいと言われたらそれに甘えてしまいそうだと思っていた…
だから私はこんな事を聞いてしまったのだろう…
「戦えば…、完璧になれるのよ?」
それを聞いた真紅は私の方向を振り向いて頬を緩めると優しい笑顔で言った
「戦わなくていいなら、わたしは完璧じゃなくていいわ」
「ばぁかみたい……」
私は当たり前のように言われてあきれてしまった
でもそれが正しいのかも知れない
私は難しく考えすぎていただけ…
メグと二人でいれればそれで良かったのに…
自分が素直なら良かったのかも…
もし生まれ変わりがあるなら、次は素直に生きるのもいいかな…


233:プライド
07/05/23 00:28:11 WMMed1xj
「謝らないでよぉ、わたしはあなたがそんな女だって知ってるからぁ」
「あなたにも守るべきものはあったのね…」
「………」
水銀燈は唇を噛み、上を悲しげな顔で向いた
「…でも、所詮わたしはあなたと同じよ…大切なものを守れずに朽ち果てただけの何も残せなかった人形…」
(………)
真紅も薄々は気付いていた…
自分がどうしようもなく不様で何も出来なかった人形であることに
そして、自分がした事はローゼンメイデンでなく普通の人形と同等でしかない事に…
「でも…、ジュンならなんとかしてくれるわ」
「あのミーディアムが?あなたは何を考えてるの?」
「ジュンは私が壊れた時に完璧でなくてもいいと言ってくれた」
「…気休めよぉ…」
「あら?あなたのミーディアムも同じ事を言うと思うわよ」
「………」

私はきっとメグもそう言ってくれるだろうとは思っていた
しかし私がそれを認めたら自分に負けるような気がした
壊れた自分をお父様に認めてもらうために戦っていたのに、完璧でなくていいと言われたらそれに甘えてしまいそうだと思っていた…
だから私はこんな事を聞いてしまったのだろう…
「戦えば…、完璧になれるのよ?」
それを聞いた真紅は私の方向を向き頬を緩めると笑顔で言った
「戦わなくていいなら、わたしは完璧じゃなくていいわ」
「ばぁかみたい……」
私は当たり前のように言われてあきれてしまった
でもそれが正しいのかも知れない
わたしは難しく考えすぎていただけ…
メグと二人でいれればそれで良かったのに…
素直なら良かったのに…
もし生まれ変わりがあるなら、わたしは素直に生きるのもいいかなと思ってしまった…



234:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/23 02:31:34 uOsyq/25
つまんね

235:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/23 06:47:28 FSETOyHg
>>233

ただ、このくらいの内容なら完成してから投下してくれた方が読者としては助かる。
短い上にブツ切れなのはちょっと、ねぇ。
>>234
作家さんは案外脆いんで、そういう感想の時は>>1に従いスルーでよろ。
もっとも、一番作家にとって辛いのは無反応・全面スルーなんだけどなw

236:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/23 07:56:38 KTE9jmOa
銀ちゃんに一票入れて下さい
一日一回投票出来ます。
今月の24日までに3位以内に入っていたら銀ちゃんが脱ぎます。
詳細はリクキャラ投票所
URLリンク(akm.cx)


237:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/23 10:24:03 YePjYomB
>>235が一番キツイ事言ってる気がする

238:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/23 11:15:34 FnIod3QY
シリアス系は相当上手くなきゃ評価はもらえないからな
ただ精進あるのみ、出直してまいれ

239:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/23 15:43:55 YePjYomB
でも下手上手とか気にせず、ドンドン投下して上手く書けるように練習するのがいいですよね。その方が読み手、書き手の両方に吉です♪

240:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/23 20:53:28 5NICaBX0
いい事言ったよ

241:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/23 23:36:55 qpbFnV5l
それはそうと何で>>43>>107>>98氏があそこまで槍玉に挙げられたのか
今だ理解できない。まぁxLJAc4vOZMさんも煽りを受けてたけど。

242:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 00:07:39 zD9yvCNa
そういや何でxLJAc4vOZMってあんなに煽り受けたんだっけ
まあ今更どうでもいいけどな
とりあえず俺は>>217-223の続きが見たいw


243:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 00:17:24 ExIwJUvV
自演乙

244:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 00:20:21 6umVCDkj
このSSスレ1~5までに挙がった作品群から選別して二次創作本にしたら
案外売れるかも試練ね

245:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 00:28:50 dJ8gqeEw
傑作だと思ったSSを挙げてみない?

246:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 00:39:34 y3v54qk2
>>245
それは完結or短編のみの話か?

247:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 00:50:57 e0r6vS0S
>>241-243
まぁ、過ぎた事を蒸し返すのはもう止めましょうや。
今更どうでもいいし。

>>245
SS職人さんが投下するまでの間を繋ぐにはちょうどいいかも。

248:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 01:09:17 6umVCDkj
>>246
自分が気に入った作品なら関係ないんじゃない?
>>245
傑作と思える理由か好きな理由(あくまでも個々の意見として)は
書いてみてもバチは当たらんだろう。
>>247
しかしIDはそうは言っていないようだが?w
退屈しのぎか計画的だったのか知らんが叩かれた一連の人間は堪ったもんじゃないよ。
43のお宝頂いといて叩いてたとしたらまさに盗人猛々しいって感じだw

249:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 01:25:59 GfylPPv6
早漏だが述べよう
「EVERGREEN」「翠のマフラーのやつ名前忘れた」
他色々あったけど、何度も読み返したやつがこれ

250:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 01:44:50 rTQ4Hlwb
super size shinku

251:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 01:59:39 e0r6vS0S
>>248

ああっ。本当だ。こんなID初めて出た。SOSってw

シリアス物なら長編で「アリスゲーム」ってのがあったっけ。
アニメ後のあとがき的な話で面白かった。ちょっと説教臭い感じが読み辛かったけど。
パロディなら>>250に同じ。一番笑った。

252:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 03:21:16 pImbZ/Gx
良いと思ったのは未完ばっか

253:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 04:57:43 UWYrFjDM
>>232駄作乙

254:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 16:21:08 6J0YIE3C
あげるぞ

255:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 17:43:46 ZI3+avwn
お見舞いってやつ?
話は割とありきたりだし知的な内容の文章でもないね。
類義語が重なっておかしいと感じた部分や誤字とかもあった。
でも人物それぞれの心情心理描写がすごく丁寧で、読んでていつの間にか引き込まれてた。
次のうPが楽しみだったし、ほんの一歩先の展開が気になる文章の構成がうまくて
ついつい先を読みたくなる気にさせるんだな。それに各キャラクターをまんべんなくフォローして
最後は綺麗に終わったのが個人的に好印象だったね。

256:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 22:50:28 dEDSvHaO
「もう、話がつながんないわー!」
苦悩する桃種の窮地に現れたコミックマスターJ
神の如き彼のペンが奇跡を呼ぶ!

その詳細はBIRZ発売を待て!




というのを書いて居たんだが
だめだ!
BIRZの発売前に書き切れん。

257:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/25 00:59:15 22DmfS7O
m9(^Д^)プゲラ

258:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/25 13:27:03 DYamu+DO
躁躁躁躁躁■■▼躁躁躁躁躁躁▼■▼躁躁躁躁躁躁躁躁躁
躁躁躁躁▼■■躁躁躁躁躁躁躁■■▼躁躁躁躁躁躁躁躁躁
躁躁躁▼■■▼躁躁躁躁躁躁▼■■▼▼▼▼■■▼躁躁躁
躁躁躁■■■躁躁▼▼躁躁躁▼■■■■■■■■■▼躁躁
躁▼▼■■▼躁▼■■▼躁▼■■▼▼▼▼▼■■■躁躁躁
▼■■■■▼▼■■▼躁躁▼■■■躁躁躁▼■■▼躁躁躁
▼■■■■▼▼■▼躁躁▼■■▼■▼躁▼■■■躁躁躁躁
躁▼■■■■■■▼躁▼■■▼▼■■▼■■■▼躁躁躁躁
躁躁▼■■■■▼▼躁▼■▼躁躁▼■■■■▼躁躁躁躁躁
躁躁躁▼■■▼▼■▼躁▼躁躁躁躁▼■■■躁躁躁躁躁躁
躁躁躁▼■■躁躁■■▼躁躁躁躁躁▼■■▼▼躁躁躁躁躁
▼▼▼■■■▼■■■■▼躁躁▼▼■■■■■▼躁躁躁躁
■■■■■■■■▼■■▼▼■■■■▼■■■■■■▼▼
■■▼▼▼■■躁躁▼▼■■■■▼▼躁躁▼■■■■■▼
▼▼▼躁躁■■躁▼▼▼■■■▼▼■▼▼▼▼■■■■▼
躁■■■▼■■▼■■▼■■▼躁▼■■■■▼▼▼▼▼躁
躁■■■▼■■▼■■▼▼▼躁躁▼■■■■■■▼躁躁躁
躁■■■▼■■躁▼■■躁躁躁躁躁▼▼■■■■▼躁躁躁
▼■■■躁■■躁▼■■▼躁躁▼躁躁躁▼■■▼躁躁躁躁
▼■■■躁■■躁躁■■▼躁▼■■▼▼▼躁躁躁躁躁躁躁
▼■■▼躁■■躁躁■■▼躁▼■■■■■▼▼躁躁躁躁躁
▼■■▼躁■■躁躁▼▼躁躁▼■■■■■■■■▼▼躁躁
▼■■▼躁■■躁躁躁躁躁躁躁▼▼■■■■■■■▼躁躁
躁躁躁躁躁■■躁躁躁躁躁躁躁躁躁躁▼■■■■■▼躁躁
躁躁躁躁躁躁躁躁躁躁躁躁躁躁躁躁躁躁躁躁躁躁躁躁躁躁
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼■■■■■■■■■■▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼■■■■■■■■▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼▼▼▼■■▼▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼■■▼▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼■■■▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼■▼▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼■■▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼▼■■▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼▼■■▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼■■■▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼■■■▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼■■▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼■■▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼■■▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼■■▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼■■▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼■■▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼■■▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼■■▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼▼▼■■▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼■■■▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼■▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱
鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱▼鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱鬱

259:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/25 18:13:03 7WVLjcxN
IDはそうは言っていないみたいだが

260:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/25 18:17:27 DkbrzJj/
そのIDはヂャムと読むのか

261:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/26 00:30:06 tFMWznqr
toukamada~?

262:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/26 00:38:43 e6s/8XnW
ローゼン日記も面白いとおもいます。
人物の主観点での情景描写が、ギャグでも、シリアスでも上手く書けるところが。
次の文字に目が行ってしまいます。

次の作品も期待しています。

263:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/05/26 13:55:30 eOGpEnZ1
>>223の続き

13

病院のすぐ隣にある廃れた教会の中を、水銀燈は十字架に向かって一人歩いていた。
夕日のオレンジ色の光がステンドグラス越しに差している。
20世紀の現実世界は本当につまらないもので、この教会を除いて好める場所はほとんどない。
町を上空から見渡せば、似たような美醜も無い灰色の建物ばかりが目に付いた。
不思議なことではあるが、実はこの教会は自分で見つけた所ではない。
気付いたら自分はここにいた。ここで自分はめぐによって目を覚ました。

お父様。お父様が私をこの教会に導かれたのですか?

ステンドグラスに描かれた一つの薔薇の花。水銀燈はそこにお父様の意思を感じ取っていた。
同時に、アリスを完成させなさいという声も。

お父様。

アリスを誕生させるには、自分一人で真紅共の陣営を崩さなければならない。
自分には出来る、また自分がやらなければなない、第一ドール。水銀燈は言い聞かせた。

お父様。待ってて下さい。そして、私を見ていてください。私が必ずアリスを完成させます。

水銀燈はステンドグラスの薔薇を見上げながら心の中で誓った。
その夜には、水銀燈をこの教会に導いた真実の答えが待ち受けていた。

264:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/05/26 14:00:52 eOGpEnZ1
14

「おーほっほっほっほ!!」翠星石はオーバーを思わせる程の笑い声を部屋に轟かせた。「完璧です!!」
「完璧?ヒナの絵が?」ヒナ苺は首をかしげた。
「そうですよチビ苺!」翠星石は目を輝かせてヒナ苺に向き直った。
「チビ苺の素晴らしい(あまにりも理解不能な絵をかく)才能は、これで世界中に認められるはずです!!」
「えー。」雛苺はいぶかしげな顔を見せた。「翠星石はこの前私の描く絵のことを"若き日のピカソ"なんていってたー!」
「何いってるですか、チビ苺!私達が前いた時代に生きていたそのしがない画家は、
次の時代になると知らないうちに超有名になってたじゃないですか!」
翠星石は雛苺の絵を指差した。
「目んたまひんぬいてよく見るです!この絵にはチビ苺の気持ちが痛い程伝わってくるです!その…」
言い終えた後、翠星石はいきすぎたことに気付いた。どう見ても理解不能な絵だった。
「その…おかしのこととか…これは…えーと…くんくんが楽しそう!…と…か…」
「これはくんくんじゃないの!」雛苺は頬を膨らませた。「これはジュンなの!」
「ジュ…これが…」翠星石は面食らった。どう考えてもあのチビ人間ではない。
「ま…まあいいです!そういうことなら」
翠星石はパソコンのPaintで、雛苺の描いたジュンの下に"Sakurada jun"と書き加えた。
上書き保存をし、再びOWN-AGE.COMとかかれたサイトのブラウザを最大化し、左下の部分に目を向けた。

Manage Screenshots
image to upload
________________ 参照...

〆 Use as default image for list pages?

upload

箱の操作は思いのほか簡単だ。真紅が短期間でこれをマスターしたのも納得できる。
Paintという絵描きソフトで雛苺に絵をかかせ、それをこのサイトにアップロードする。
ただ"参照"をクリックし雛苺の絵"h.jpg"と"jun.jpg"を選んでから"upload"をクリックすればいい。
やがて、先ほど手を加えた雛苺の画像が、サイトにでかでかと表示された。
「ふっふっふ。これで復讐は完了です…」
翠星石はふうと息をついてからニヤリと笑った。

265:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/05/26 14:02:06 eOGpEnZ1
「ヒナ、手書きの絵の方が得意なの」雛苺は心配気に呟いた。「その箱の"たま"で描く絵は難しいの」
全くもってそれでいい、と翠星石は思った。
現在このLastGenerationと書かれた動画がいかに世界中の注目を集めているかを理解することは、
英語をはじめ数々の言語に精通した薔薇乙女である翠星石には容易なことだった。
サイトではこう英語でコメントされている。

In one of the most spammed movie on irc, sempy shows you some 1337 frags with
clean editing and retaliation-style music.

Sempy cooks up a very slick frag movie featuring some frags by some of the best players of the moment.
Please excuse the novel that follows :P .

「クリアな編集と最強の人間達がとてつもない技能をあなたにお届けする史上最も賛賞された映像」
翠星石は満足気に笑った。「その参考画像がこれです!」
レビューされているサイトの上に載っている画像は、先ほどの緑色の文字とは打って変わって恐ろしくバランスの悪い文字で
"らすとじえねれーしょん"と書かれている。最初の方を大きく書き過ぎたせいか、後半の"しょん"は苦し紛れにスペースギリギリ
に詰められ、下へとのびている。さらに、一見何の生物か分からないような絵のもと、"sakurada jun"の文字が目に入る。

「我ながら傑作です…あのチビ人間はこうして"史上最も賛賞された"下手くそな絵描きとして世界に知られることになるです。
おーほっほっほっほ~!」
「うー!」雛苺はうなった。「やっぱりヒナの絵のこと下手っていったー!」
「う…」

人の製作した動画へのスクリーンショット - 参考画像をアップロードすることが、
サイトを閲覧している者全てに許可されていることは意外だったが、いかんせんここは見るからに海外のサイト。
この日本という国の常識は通用しないのかもしれない。

翠星石は英文中"some 1337 frags"の"1337"の部分で少し悩んだが、これは"leet speak"などを表す"leet"であることに気付いた。
19世紀時代、マスターの孫がこのleetspeakを手紙にふんだんに使ってマスターを悩ませていたのを覚えている。
leet speakとは"分かる人だけが分かる言葉"をモチーフにした、はっきり言ってしまうとただの俗語の外国語版である。
代表的なものは o を数字の 0 と表記すのもの、IやLを数字の1と表記するもの、他"for"を"4"の一文字で片付ける場合もある。
このleetの語源が、エリートを表すeliteにあることを知っている人間はこの国ではどれ程いるだろうか、
翠星石は心の中で一人笑みを浮かべた。

雛苺との沈黙が流れた後、翠星石は自分の成し遂げた復讐劇をもう一度確認しようとパソコンの画面を見た。
そして信じられない光景を目のあたりにし、一瞬で全身の毛がよだった。
「きゃあああ!」
恐怖が心を支配し、体がぶるぶると震える。
そこには身に覚えの無い、奇妙な三枚目の画像がアップロードされていた。

266:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/05/26 14:03:26 eOGpEnZ1
15

闇が意識を支配した時、水銀燈はそれからさらに40秒待った。

33…34…35…。

薔薇乙女の時間計算は完璧である。それは背中の螺子が着実に、そして正確に時を数えているからだ。
螺子は今のところ初めて動き出してから58万6940時間14秒まで数えている。

…40。

水銀燈は目を開けた。すると、おなじみの自分のフィールドが目に入ってきた。
醜いがらくたの人形達が活気に満ちた様子で自分のフィールド内をねずみのようにちょこまかと動き回っている。
少し眠りにつくのが早すぎたらしい。思えば現実世界ではまだ夕方だった。
思いのほか早く冷酷で非情な主人が帰還したことに気付いた人形たちは、慌てふためいてそれぞれ物陰に隠れていった。
「…こざかしいジャンクどもね」
今日は何故かこの人形たち相手に遊んでやる気分ではなかった。
人形たちが恐る恐る廃墟の物陰から自分を覗き込んでいるのを尻目に、水銀燈は一人フィールド内を歩いた。
目障りだが、こいつらは夜になれば勝手に動かなくなる。

「二週間…」水銀燈は呟きながら壁に手を添えた。ニ週間。めぐの余命。
「ふ、大したことじゃないわ。元々、私は…ミーディアムを必要としていなかった」
ただ現実世界での暇つぶしがなくなるだけだ。そうでしょう?

不意に、後からこつこつという音が水銀燈の耳に入ってきた。足音だ。誰かが厚かましくも私のフィールドに入ってきたらしい。
「誰!?」
水銀燈は音のする方向に振り返った。すると、ある人間の姿が目に入ってきた。
「お前は…」
それは今は亡き薔薇水晶を作り上げた男。
槐だった。

267:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/05/26 14:06:56 eOGpEnZ1
16

「あらぁ、いつかのエセ薔薇乙女の人形師さんじゃなぁい」水銀燈はいつもの人を小ばかにする語調で話しかけた。
「"エンジューメイデン"ってところかしらぁ?」
槐は表情一つ変えずに水銀燈の元へと歩いてきた。
「僕の薔薇水晶は、薔薇乙女第一ドール、お前を含め真紅をも倒し、アリスゲームを制した。僕の人形はお前達を超えていた」
水銀燈はキッと槐を睨み上げた。
「私の背後から姑息に攻撃してきただけのこと…!」
槐は心の中で密かに水銀燈を嘲った。戦いでは卑怯な者が強い。そんなことも分からないのか。
「その後の話しだけど、私お父様から聞いたわぁ。可愛そうにバラバラのジャンクへと崩れ去ったそうじゃなぁい。あっはっは」
「そう…バラバラだ。修復不可能。がらくたなんてものじゃない。完全に消し去られた。
何故ここまで跡形もなく消すのかと不思議なくらいにね」
「はん、神聖なるアリスゲームを穢した罰でしょぉ?」
その言葉を聞いた時、槐はフッと不可解な笑い声を立てた。
「その罪なら、第一ドール。実はお前も犯している」
水銀燈は面食らい、既に忍耐が限界へと近づきつつあるのが分かった。
「私の何処がアリスゲームを穢しているですって!?答えによっては、あなたをここでバラバラにしてやるわ」

槐が口を閉じ、不気味な沈黙が流れる中、水銀燈は槐を見据えながら答えを待った。
やがて返って来た答えは一驚を喫するものだった。

「真紅に一度敗れたお前を僕が直し、アリスゲームに再戦させたからだ」
「な…」調子が完全に狂い、水銀燈は一歩後ろへよろめいた。「…なん…ですって?」
「僕の作り上げた傑作である薔薇水晶。人は力を持ったり、何かを成し遂げると、必ずそれを誰かに認めて貰いたくなるものだ。
僕の場合、師であるローゼンに認めてもらいたかった。しかし、彼は姿を消していてその居場所は誰にも分からない」

槐は自分の右手の平を見つめながら話しを続けた。

「だから僕は思いついた。薔薇水晶を薔薇乙女のアリスゲームに参加させてはどうか。もし僕の人形が一番優れているのなら、
アリスゲームの勝者となりアリスとして師の元に届くだろうと。幸いにも、第七ドールがまだ姿を現していないことから、
お前達を欺くのは簡単だった」

「あんたの人形のことなんか聞いていないわ!」
水銀燈は話を遮った。さっきの言葉が気になって仕方がなかった。
「あなたが私を直したって…ホントなの?」
「僕の人形が本当に一番だと認められるためには」
槐は水銀燈を無視してただ一方的に話した。
「ちょっと!聞きなさい!」
「…師が手掛けたどんなドールにも劣ってはならなかった。
たとえアリスゲームの敗者となった者とさえ、一度比べてみる必要があった」

言い終わると、槐は水銀燈を意味ありげに見やった。
その瞳の持つ何かが、水銀燈の動きを凍らせた。

268:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/05/26 14:10:27 eOGpEnZ1
「そこで僕は薔薇水晶の完璧さを確かめる為に、君を直すことにした。君が真紅に敗れたあと桜田ジュンのフィールドに入り、
君を拾った。不思議なことに、ローザミィスティカまで一緒に放置されていた。真紅に慈悲をかけられたのかな。
その時点で僕は君を直す必然性を確信していた。このままローザミィスティカが放置されたままではアリスゲームは
進行できないからね。そうしてお前を直したあとは、薔薇水晶にお前を入れた鞄を持たせ、あとは置き場所を彼女に任せた。
薔薇水晶はそれを完璧にこなした。
柿崎めぐが夜に一人教会へ出向いたタイミングで鞄を落し、お前は当然その彼女によって目を覚ました。
そのあと薔薇水晶はお前のフィールドで待機し、然るべきお前との戦いを待った。全は予定通りだった」
「嘘…嘘よ」槐を凝視しながら、水銀燈はさらにもうニ、三歩後すざった。
「私を直して下さったのはお父様よ…真紅がアリスゲームを穢すから…一番アリスの相応しい私を…お父様が…」
槐の瞳から目が離せない。魔法にかかったかのようだ。
ふと薔薇水晶の言葉が思い出された時、水銀燈の体に電流が流れた。

 "ローゼンメイデンを直せるのは、お父様だけ。"

「……薔薇水晶のいったお父様というのは…」
水銀燈はそこで言葉を切ったが、答えはすぐ目前にある。はっきりとしていた。
「そんな…」
「お前を直す時、気になることがあった」槐は静かに言い放った。「なぜ我が師はお前の腹部を作ってやらなかったのか」
決定的な言葉だった。それを知っているのは、私を壊した者か直した者以外ありえない。

269:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/05/26 14:14:07 eOGpEnZ1
17

目に前に突然現れた刺客を、水銀燈は今やどう扱うべきなのか全く分からなくなった。
自分は薔薇水晶の比較台にされた。だが、その為とはいえ自分は蘇ることができた。
それが意味していることは残酷で受け入れ難いものだった。
私はお父様に直してもらえなかった。私は、まだお父様に認められていないの…?
それだけではない。自分はアリスゲームの敗者になったのも関わらず、
お父様の意思に反して今も堂々とアリスゲームに再戦している。それはアリスゲームを穢している行為に他ならない。
自分は恥ずべきドールだ!
お父様の非難するような視線が自分に向けられている気がして、水銀燈は何処かに身を隠したい想いに駆られた。
そして、押し潰されるような心細さも感じた。
今までは、一度お父様に直されたと信じていたからこそ、自分がアリスに相応しいという絶対の自信を持てていた。

槐は第一ドールを直すとき腹部が無いことには驚いていた。我が師は完璧を求めていた。それは自分も同じ想いだ。
薔薇水晶に絶対の自信こそはあったが、だからと言ってわざわざこれから薔薇水晶の敵となるであろう
ドールを強化するつもりは毛頭無く、槐は腹部がないまま水銀燈を直した。
さらに槐は念のために、死にかけている人間か、または病弱な人間に彼女を拾わせるよう薔薇水晶に言ったのだった。
そうして選ばれたのが柿崎めぐだ。

「僕の答えは君にバラバラにされてしまうものだったかな?」
槐に見据えられ、水銀燈は自分が蟻サイズまで小さくなっていく錯覚を覚えた。
「そんな…お父様…私を直して下さったのはお父様ではなかったのですか…?」
一人消え入りそうな声で呟きながら、気付いたら水銀燈は両手で自分の腹部をおさえていた。

「まあそう気を落すな…僕の薔薇水晶に倒された後も君は"まだ"動いている。二度目の復活は間違いなくわが師によるものだろう」
槐は水銀燈をなだめた。本題に入る前にこんなにうろたえてしまっては困る。
第一ドールは既に精神的に辛そうだが、僕や薔薇水晶の苦しみに比べれば何でもないと思った。
「もっともここで死ぬような僕でもないけどね。僕は師からあらゆることを教わった。この世の摂理に抗うようなことも。
僕は今夜君に聞きたいことがあって来た」

270:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/05/26 14:20:07 eOGpEnZ1
水銀燈は腹部を両手で抱えながら弱々しく槐を見上げた。
まだ何かあるの?
「師であるローゼンが自分の体にローザミィスティカを仕込んで長寿の命を得ていることは知っているね」
水銀燈は無言で頷いた。もう終わらせてと懇願する子供のようだ。
「僕も師の様にどうにか長寿の命が欲しかった。薔薇水晶は並みの人間が持てる月日では到底完成出来るものではなかったから。
ところが、ローザミィスティカを体に仕込む方法は生身の人間には不可能なことだった。
ローゼンの肉体の実態は弟子の僕にすら教えられていないが、もはや人間ではないことは確かに思える。
その時、師はスィドリームとレンピカの恐ろしい秘密を教えてくれた。
自分の命の提供主である両親のいずれかの夢の樹を奪い、それを自分の夢の樹に植えれば通常の4倍は生きられると。
僕は師の人間性を一瞬疑ったが、そんなことは今に始まったことではない。
師は元から狂人だった。究極の成果を求めればそうなってしまう。だから僕は…」

そこで槐は言葉を詰まらせたあと、突然目を見開き両手で頭を支え叫び始めた。狂気を思わせる変貌振りだ。

「だから僕は、父をも殺し、長寿を得て、100年以上研究して薔薇水晶を完成させた!どれほどの努力の成果の賜物であったかは
師が一番よく知っているはずだ!なのに師は一瞬にして僕の全てを崩した!どうしてだ!?師は弟子への愛を知らなかったのか。
教えてくれ、第一ドール!君はわが師ローゼンの言葉を聞いたはずだ。薔薇水晶には何が足りなかったのか。
彼女には何が起ったのか?なぜ薔薇水晶はアリスゲームの勝者にもなったに関わらず破壊されてしまったのか。」

水銀燈は迫真に迫る槐の声に気押されながらも、今自分に吹っかけられた問いの内容が思いのほか単純であることを理解した。
薔薇水晶が消滅したことについてお父様は何も言っていなかったが、そうだとしても考えてみれば答えは簡単なものだ。

「それを私に聞き来たって訳?あなた、ばかじゃなぁい…それは、あなたの人形がローゼンメイデンじゃなかったからよ」
「ローゼンメイデンではなかったから!?」槐は叫び、失望した顔つきになった。
「師の作ったものではないというだけで、究極の少女にはなれない条件に匹敵するのか?究極とはなんだ?その作り主は
選ばれない。誰が作ったものであろうと、究極は究極だ。ローゼンメイデンだけが究極の少女への道ではない。忘れるな。
君達はアリスへ目指して作られ、いずれもそれに届かなかった存在にすぎないと。それとも、師は何時の間にか薔薇乙女以外に
アリスはありえないと決め付けているのか。その根拠はなんだ?そんなこと弟子である僕ですら聞いていないぞ!
僕は師から全て教わったし、独自に研究もした。それが薔薇水晶だ!」
槐は叫び終わると、右手の拳を握り締めて壁を打った。

哀れ、この男は自分の人形への自信のあまり相手の気持ちまで考えが回らないらしい。
お父様は自作の薔薇乙女からアリスを作り出したいと思っておられるだろうし、それが当然のことだ。

ただし…、本当に薔薇乙女が7つのローザミィスティカを集めても尚、アリスに到達出来なかった場合は?
仮に自分が全てのローザミィスティカを集めたとき、アリスと認められず薔薇水晶の時のように体が崩れ始めたら?
こんなこと、考えたこともなかった。そして、これからも考えるべきことではないことだとも思った。
自分はアリスゲームを制することだけを考えていればいい。それでいいはずでしょ?。

「それじゃあ残念だけど、あなたの疑問の答えは今の私からは得られそうにないわねぇ」
水銀燈はようやくいつもの調子を取り戻しつつ話し始めた。槐は壁に向かったまま、身動き一つしていない。
「けど、アリスとは何か。究極の少女って何なのか」驚いたことに、久しく感じていなかった感情が心に湧き出てくる。
「その問いには私自身が必ずアリスとなって答えてあげるわ。それが一度私を直してくれたことへの私なりのお礼だと思いなさい」
「アリスに…君が…」
槐がゆっくり振り返ると、第一ドールは優しげに微笑んでいた。
「果たしてなれるかな。君はそもそも人形としても未完品…」
水銀燈の笑顔が一瞬の内にひきつった。
「一度しか言わないわ。帰りなさい」

271:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/05/26 14:24:50 eOGpEnZ1
17

これは恐らく覚悟の要る旅になる。真紅は確信していた。
「蒼星石。文字のことはもういいのだわ。金糸雀のフィールドに入ってみたい。やってもらえる?」
「もういいのかい?」
「ええ。私の考えでは、まず間違いなくこの文字の答えが金糸雀のフィールドの中にある」
蒼星石はうなづいた。「分かった。じゃあいくよ。レンピカ!」
青色に輝く蒼星石の人工精霊が、名前を呼ばれるとベッドに横たわる金糸雀の周辺を舞う様に飛び回り始めた。
「扉を開いて!」彼が叫ぶと、やがて何もない空間に渦を巻いた水面のようなものが浮かび上がり、
瞬く間にひと一人入れる大きさにまでに巨大化した。

みつは口をあんぐりあけてこの質量保存の法則が現実世界で破られる瞬間を目撃していた。
自分はやはりまだnのフィールドの中にいて、実はここは自分の家ではないのではないかという疑念が頭をよぎった。

真紅はみつに念を押した。「金糸雀が夢の中で迷子になっている時は、金糸雀と心が通じ合っているあなたが
一番金糸雀を見つけてあげられる可能性は高いわ。だから無理にとはいわないけど、あなたが来てくれれば大いに助けになる」
「あ、あ、あ、その、その中に入るんですか」みつは怯えた手で渦を指差した。
「ええ、そうよ。これは金糸雀の世界に通じている。もし私たちと一緒にきてくれる場合は、絶対に離れないで頂戴」

離れないとも。みつは思った。ええ、離れませんとも!

「あのー、僕もですか」ジュンが静かに言った。
「当然でしょう?私の家来」
ジュンは問い掛けたことを後悔した。

「それじゃあいくよ」「ええ」
四人は順番に渦の中へと飛び込んでいった。
それからというものの、目に入ってくるのはあらん限りの闇のみだ。
おかしい。蒼星石は思った。なぜ"何もない"んだ?これが金糸雀のフィールドなのか?

4人は空間の流れに身を任していると、前方に闇に浮いた巨大な白い薔薇が目に入ってきた。
それはみるみる内にこちらへと迫ってくる。いや、どちらかというとこちらが猛烈な勢いでそれに引き寄せられているらしい。
なすすべがないまま、四人は巨大な薔薇のもとへたどり着いた。そこで、4人の動きはピタと止まった。
いや違う。全員すぐに気付いた。

巨大な蜘蛛の巣に絡め取られた。

272:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/26 19:39:47 LExphZPF
(;゚∀゚)=3ムッハー

(・∀・)イイヨイイヨー

273:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/26 23:26:15 J23Qyyzg
>>263-271
凄く知的で謎めいているSSだ。
でもキャラが謎に翻弄される話は非常に読者を選ぶね。
頭のいい人が好んで書くタイプの話だけど、何を言い表したいのか凄く判り難い。
しかしボチボチと把握しながら読ませてもらいますね、オレ頭悪いんでw

274:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/27 06:43:31 QKky0r83
きらきー顕現?

275:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/27 14:34:46 U1YbsPgo
>>263-271
うむうむ。面白い。難しいから2回以上は読み返さないと話の繋がりが分からないけど
読んでみようという気にはさせるストーリーだ。

ただ一箇所どうにも気になった点を指摘させてもらう。
>>271
>蒼星石はうなづいた。「分かった。じゃあいくよ。レンピカ!」
>青色に輝く蒼星石の人工精霊が、名前を呼ばれるとベッドに横たわる金糸雀の周辺を舞う様に飛び回り始めた。
>「扉を開いて!」彼が叫ぶと、やがて何もない空間に渦を巻いた水面のようなものが浮かび上がり、
彼?彼?蒼星石は男の子?もしもし?

276:アリスゲームにゴリラ参戦!!
07/05/27 20:30:10 o4gEInVa
nのフィールドには魔物が棲む。
「翠星石はそう言った超常現象の類は信じてないですぅ。そう言った物は人間の心理に起因する事が多く、
科学的に説明が付いてしまうですぅ。」
「別に私はそう言う話をしてるわけじゃないかしらー。」
「じゃ、どういう話なんですぅ?」
「まあここでウダウダ言っててもラチがあかないわ。まず確認してみないと。」
nのフィールドに棲む魔物の噂の真相を確かめるべく集まった翠星石・金糸雀・真紅の三人は
ついにその魔物が棲むとされる部屋の扉の前までやって来たのである。
「じゃ、行くですぅ。せーの!」
そしてついに扉が開かれた時、そこには一頭のゴリラの姿が…
「ほらねかしら。」
「…。」
「まだこの世には科学では解明出来ない物が沢山あるですぅ…。」
「科学とかそう言う問題じゃないでしょ。」
何故nのフィールドにゴリラがいるのか? そのあまりにも非現実的な現実を受け入れる事の出来ない
翠星石と真紅の二人は呆れる他無かった。
「確かに薔薇水晶の事があってから他の乙女がアリスゲームに参戦してきてもおかしく無くなったけど…
まさかこれ程の乙女がいたなんてビックリかしら…。」
「乙女じゃないのだわ! と言うかドールじゃないわ!」
「いくらお父様がアリス探しを焦っていると言ってもゴリラにアリスゲームの資格を与えるとは思えないですぅ。
となればアレはドールだと考えるべきですぅ? 毛深いドールってたまにいるですぅ。」
「そうそう、何処にも一人は必ずいるかしらー。ああいう毛深いドール。」
「いないのだわ! 金糸雀にしても翠星石にしても何を根拠にアレをドールだと言い張れるの? 」
「だって腕時計してるかしら。」
「あっ! 本当なのだわ!」
何と言う事か、そのゴリラは腕時計をしていたのである。これには真紅もびびる。
「いや…腕時計をしているからと言ってドールと認めるわけには…
とは言え何を持ってドールとするか…。」
「あ…携帯電話かけてるですぅ…。」
「何ですってぇ!?」
「ラプラスの魔も携帯電話かけてるかしら!」
「まさかラプラスの魔がゴリラと電話してるの!?」
「と言うかラプラスの奴電話持ってたですぅ?」
とにかくそんな感じでゴリラはラプラスの魔と電話していた。
「腕時計して、電話出来るんだからドールとして認めてあげても良いと思うですぅ?」
「いいやダメなのだわ! 電話くらいゴリラだって出来るわ!」
「真紅も強情かしら…。」
と言う事で、ゴリラがドールか否かを調べる為に新たな実検を行う事となった。

277:アリスゲームにゴリラ参戦!!
07/05/27 20:31:06 o4gEInVa
「箱と棒と吊るしたバナナかしら?」
「翠星石、一体何を始める気?」
「以前テレビで見た事があるですぅ。アメリカの研究所で行ったチンパンジーの知能を
調べる為のテストですぅ。道具を使ってあのバナナを取れれば少なくともチンパンジー以上の
知能を持つ証拠ですぅ。」
「じゃ、あのバナナが取れたらアレをドールとして認めろって事?」
「その通りですぅ真紅。」
「なるほどかしらー。じゃあ翠星石、それでどうやったらあのバナナ取れるのかしらー?」
「翠星石! 早速実検開始なのだわ!」
「ちょっと待つかしら翠星石。ラプラスの魔がバナナ欲しがってるかしら。」
「よし、じゃあラプラスの魔取ってみるですぅ。」
そんなこんなでゴリラに先駆けてラプラスの魔で実検を行う事となった。が…
ラプラスの魔はバナナの取り方が分からず、暴れ出してしまい、取り押さえねばならなかった。
「やめなさい! もう良いわ!」
「箱の上に乗って棒でバナナを取るだけなのに何でこんな事になるですぅ?」
「え? そうやって取るのかしらー!?」
「金糸雀…。ま…いずれにせよあのバナナを取る事が出来れば流石の私もドールとして認めるわ。
ラプラスの魔は取れなかったけど。」
そこで噂をすれば影、ゴリラがやって来たのである。
「あ! 来たですぅ!」
「ウホウホ。」
「よし! これでアレがドールかゴリラかハッキリするですぅ!」
「あのバナナ! 取れる物なら取って見なさい!」
すると、ゴリラは脚立を使ってバナナを取っていた。
「翠星石達より頭良いですぅぅぅぅぅ!!」

もしかしたら、ゴリラのアリスが誕生するかもしれなかった。
                  おわり

278:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/28 09:16:55 0m3QMZiG
魁!!バラオトメ高校w

279: ◆qrN8aillXg
07/05/28 21:24:01 rF0OiDja
えー、すみません、お久しぶりです。だいぶ間を開けてしまって申し訳ありません。
てゆか、ほとんど書き進んでないわけですが・・・今、ちょっと上京したてなもので。
結局、夏休みまで再開できないかもです。すみません。
読み直したらけっこう意味不明なとこが多かったので、ちょこちょこ手直ししました。
www.interq.or.jp/mercury/p37/lampe/
すんげえ中途半端で恐縮ですが、5話もさわりだけ。一度に投下とか当分無理そうっす。

280:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/28 21:50:03 rF0OiDja
しまった、これ文字コードのせいで携帯から見れないかも・・・
それと、やっぱルビタグなんか使えたもんじゃないわ、これ
ほんとすみません、毎日ちょっとずつでも続き書き溜めますです、はい

281:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/29 00:12:58 cUEz2b9c
そうですか

282:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/29 02:34:04 3YQCJAI3
うんこ

283:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/29 20:33:35 ClDZrKc+
【人形師ローゼン】



【ローゼン】
僕はね、究極のアリスを探しているのです。でも【人間】には究極のアリスはいなかった。だから【人形】を作り自分の手でアリスを創ることにしたんだ。

一体目
水銀燈と名付けよう。ん?おかしいな。部品が足りない…
あとで作ればいいか。
二体目
金糸雀
水銀燈と比べ幼くしてみたが…ヴァイオリンでも持たせておくかな。

284:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/29 20:45:55 ClDZrKc+
三体目
翠星石
緑の服にして……………!!!ヤバい!眼球間違えてしまった!
両目を緑にする予定だったのに、【赤、緑】になってしまった…
何か解決策はないか。
四体目
蒼星石
我ながら良いアイディアだ。
このドールの眼球を【緑、赤】にした。
中々、いい感じだ。
翠星石とは姉妹ってことにしておこう。


sageを忘れてスマン。

285:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/29 20:59:49 ClDZrKc+
五体目
真紅
だんだんと疲れてきたな。あっ…紅茶をこぼしてしまった。あーあーまぁ、このまま創るか…。
六体目
雛苺
おもいっきり幼児体型にしてみたが、う~ん
七体目
雪華綺晶
いい。良い仕上がりだ。
さぁて、このぐらいでいいかな。


【アリスゲームの始まりだ】

【町の人々】
え?あぁローゼン?

あの人形を作って笑ってたわ。いや、笑い方が異常だったわ。

ロリコンだろ?

あの人、自分は不老不死だ!とかnのフィールドに行く!とか意味不明なことを叫んでいたわ。精神が異常なんじゃない?

ローゼン?あの行方不明になった人?

【ローゼン】
何か忘れているような…



286:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/29 21:35:09 PZZAmbKp
どうしてSSに描かれるローゼンは、こうもてきとーなのが多いのかw

287:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/29 23:45:22 YVbS4RXc
kaso

288:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/30 00:54:45 kqz8xs4f
いよいよ今日発売か!

289:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/30 02:11:20 QquFW3VB
何が?

290:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/30 07:38:27 VdLeleFx
>>289
バースに決まっているじゃないか!
薔薇乙女の最終話だよ。
もっとも、すでにいくつかの関連スレでネタバレ情報が流出してるけどね

291:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/30 08:08:31 zyHxMJlT
阪神か

292:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/30 09:07:51 JmL7I6Yb
打ち切りおめでとう!

293:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/30 10:52:00 kaxixUlL
>>290
アホ
バーズだバーズ

294:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/30 23:13:01 kqz8xs4f
終わりの形をとっているが、続編の期待を持たせる終わりだった>今月のバーズ

あとのことは皆さんのご想像にお任せします、という感じにもとれた。

295:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/31 00:58:19 yw7R/5vn
原作は読んだ事無いが、続編の期待を持たせる終わりだったのか・・・
俺は諦めないぞ!

296:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/31 11:49:17 r9YOessH
期待age

297:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/31 17:53:13 WfX8OhKV
ソードマスタージュン

298:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/31 19:16:50 7eyQhbvu

>>297
上手いこといったもんだw

299:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/01 01:30:40 EA+qGGGf
>>294
ここはアニメキャラの板だし。
原作がどうなろうと関係ないべ

300:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/01 02:56:22 yPiWjb54
            ∩_ 
           〈〈〈 ヽ
          〈⊃  }
   ∩___∩  |   |
   | ノ      ヽ !   !
  /  ●   ● |  /
  |    ( _●_)  ミ/ <こいつ最高にアホ
 彡、   |∪|  /
/ __  ヽノ /
(___)   /

301:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/01 03:06:25 7dZ8qLWh
全ては原作があってこそだ

302:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/01 22:29:34 LZBOCRWV
kasosure

303:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/01 23:46:38 Mbn6VXCJ
kusosure

304:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/02 02:09:53 x4lPfJly
kasusure

305:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/02 09:01:25 p1UH+thy
kaso?

sure!

306:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/03 01:32:03 uDp9apet
終了

307:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/03 19:19:46 s7L/Y9aB
期待age

308:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/06/04 03:40:47 0bjRwWFm
>>271の続き

19

もはや快眠など望めまい、水銀燈は鞄を開けて今は暗くなった教会へ再び出向いた。
今夜の月は満ち欠けなので、比較的ステングガラス越しに入ってくる光の量は多い。

「では僕は帰るとしよう。僕にはまだやるべきことがある。邪魔をした」
「そうやって私のフィールドにも入ってきたの?」
「その通り。僕は師と同じく、nのフィールドは自由に行き来できる」

ついさっき、槐が現実世界へと帰っていった時のやり取りだ。彼が私のフィールド内の壁に触れると、そこに出口となる穴が開いた。
お父様の弟子とだけあって、ラプラスの魔の様にnのフィールドを自由に行き来する方法を知っていたのだろう。
ラプラスの魔か。水銀燈はかつてあの兎に言われた言葉をふと思い出した。"かつては、持たざる者だった、薔薇乙女の第一ドール"。

違う。今はあるべくして私は今ここにいる!

そうは思うものの、いま水銀燈の頭の中は何重にも考えがこんがらがっていた。
そして、事実を確認しながら槐の話を改めて整理しようとした。

20世紀になって、自分は真紅を目の敵にして戦った。無論真紅が憎かったからだ。そして真紅の右腕をもぎ取った。
ところが、信じがたいことにミーディアムが - マエストロの業で - 真紅の腕を直した。
結束したミーディアムと真紅に自分はもはや勝てなかった。そして最後の抵抗として放った炎も返され - 自分は焼かれた。

だが、それで終わりではなかった。気付いたら自分はこの教会で今のミーディアム - 柿崎めぐによって目を覚ました。
その時私を直したのがあの弟子 - 槐だったというのだ。
私が入った鞄は薔薇水晶が持ち、この教会を選んで置いたのだと。いや、場所はおろかミーディアムも選ばれていたのかもしれない。
"ローゼンメイデンを直せるのはお父様だけ。あなたはアリスゲームの為に直された"。
あの言葉も考えてみれば、薔薇水晶とってのお父様というのは槐だし、アリスゲームの為に私を利用しようとしていた目論見も読めてくる。
私のことを"強い"と確信した薔薇水晶は私と手を組み、真紅達をまるごとアリスゲームに巻き込む計画を立てたのだ。
槐も最初からそのつもりで私を直したのかもしれない。

309:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/06/04 03:44:24 0bjRwWFm
水銀燈は以前、薔薇水晶がこの教会へ押し入り、自分と一対一でのアリスゲームを仕掛けてきたことを思い出した。
その時も私のことを"やはり、強い"と言った。
ところがその後、自分は水晶に捕らわれ閉じ込められた。その時彼女が言った言葉はこうだ。
"期待はずれ。もっと強いと思っていたのに。あるんでしょ?もっと。力が"
勿論あった。水晶の檻を突き破り、私はアリスゲーム続行の宣言を出した。
ところが彼女はそこで満足げに笑って消えていってしまった。
成る程今思えばあの一対一の対決は、真紅達を交えたアリスゲームの前の私の実力の最終確認に過ぎなかったのかもしれない。
そう思うと腹が立った。

やがて始まった槐による偽りのアリスゲームは、薔薇水晶が制した。
私も、真紅も、みんな彼女がジャンクにした。
けれどもお父様は、偽りのアリスゲームを正すため戻し、私を直してくださった。真紅達も。そして薔薇水晶は崩れ去った。
この私にとっての二度目の復活は、間違いなくお父様の手による復活。この時生まれて初めてお父様の声も聞いた。
"もう一度アリスを目指しなさい"。
あの槐によって一度掟破りに復活した自分だが、私にはまだアリスになる資格が残されている。お父様はまだ私を見てくれている。
そういうこと…。それが分かれば水銀燈はもう充分だった。

ふと、耳に綺麗な音色の歌声が入ってきた気がした。
衝撃的なことを知らされ、動揺し疼いていた心も、その歌声を聞いていると癒されていく感じがする。
歌っている本人のもとを目指し、水銀燈は教会から飛び立った。午後6時57分。
今宵は随分と長い夜になりそうだ。

310:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/06/04 03:48:40 0bjRwWFm
20

 夢は風 光導く 空と雲を超えてゆく あなたの声響け
  幸せと 嫌な思い出 優しい今が遠ざかる 静かな夜続け

有栖川大学病院のとある病室から少女の歌声がする。
その涼んだ歌声は外へと響き渡り、外の世界への憧れを主張しているかのようだ。
日が沈み、あたりが暗くなっているところを、満ち欠けの月が微かな光がその病院を照らす。

病院の頂には闇に浮かぶ赤十字のマークが目に入る。
この赤十字マークは、そこが病院であることを示す為の象徴、また人を治療することの象徴などと一般に思われがちだが、
実は本来"たとえ戦時にあっても攻撃をしてはいけないという標識"を意味する。
その信頼性を保持するために、赤十字のマークを勝手に使用することは禁じられている。
あまりにも多用されると、赤十字を盾に身を守ろうとしている戦略だと疑われてしまうからだ。
よって、日本での救急箱、薬局、Tシャツなどに使われる赤十字は条約の規定外だという声もある。
ゲームにおいても、主人公の体力を回復する為のアイテムに赤十字マークが使われることは本来不適切であり、
それを知っているゲームならば、回復アイテムは青の十字だったり、ハート型だったりという風にしている。
まして敵キャラクターに赤十字のマークを施したりするのは大いなる反則業だ。

 この場所に残す足跡さえ  消えかけてゆがむ 傷跡の様
  夢の中 生まれた心 ガラス窓が 君見てる

病室のベッドで月を見ながら、柿崎めぐはそこまで歌うと、ばさっという音と共に黒い翼を持った人影が窓に現れた。
めぐの顔が綻んだ。「天使さん。またきてくれたんだね」
窓に着地した水銀燈が発した言葉は一言だけだった。「続き歌って」
「その前に質問っ!アリスゲームはまだ始まらないの?」
水銀燈は肩をすくめた。「まだね」
「そう…。ねえ、私が二週間後に死ぬまでには始まってくれるかな?どっちにしろ死ぬことには変わりないんだけど。
やっぱり水銀燈に命を奪われるのが一番いいから。うっふふ」
そう言ってめぐは弱々しく微笑み、いつものばかじゃなぁい、とかくだらなぁい、というような返答を予想した。
しかし、今回は違った。
やがて水銀燈は普段にはない、重々しい口調で喋り始めた。
「あいつらは…真紅達は…どいつもこいつも、アリスになろうとする意思が足りない」
異様な雰囲気が立ち込め、めぐは笑うのをやめて彼女の言葉に聞き入った。
「いつもみんな揃って遊んではかり。堕落した日々を送る薔薇乙女たち。それが私の敵よ」
一時の沈黙。
「けれど、相手は五人。結束すれば手強い。確実に勝ちにいくなら、真っ向から戦うのは偶策。何か手段を考えなければならない。
そして、真の第7ドールはいまだに姿を見せず…」
水銀燈はそこでアホらしいとばかりに一人で笑った。
「アリスゲームに臨もうという気持ちがあるのは、薔薇乙女で私だけなのかもね」
めぐは水銀燈の話しからアリスゲームのむなしい現状を理解した。そして水銀燈が一人ぼっちだということも。
内容が殺し合いだろうと、なんだろうと、ゲームには相手が必要だ。相手がいなければ勝ち負けも成立しない。
「だから、なかなか始まらないのね」
めぐは言った。アリスゲームを始められない水銀燈のもどかしさが、よく分かる気がする。
それは自分も死に導いてくれるアリスゲームを望んでいるからだった。
けれども、私がアリスゲームについて水銀燈を手助けしてやれることなんてない。そしてそれは彼女も望まないでしょう。
私が彼女にできることは、一つだけ。

 瞬の内に込めて すがる気持ち捨てて 全て思い繋げ

月が夜空を登っていくなか、めぐは病室で歌を最後まで歌い終わった。

311:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/06/04 03:51:51 0bjRwWFm
同じ頃、翠星石と雛苺は痛みと衝撃にふらふらしながら、冷たい地面から立ち上がっていた。
「いったたたた…ここはどこです?」
自分の長い茶髪の大部分が地面にべったりついてしまい、翠星石は憂鬱な気分になった。
一方、雛苺はぶるぶる震えていた。
「こ、ここヒナ知ってるの。水銀燈のフィールドなの!」
「水銀燈のこんちくしょー?」
翠星石は何か引っ掛かるものを感じつつも、確かに自分のいる場所が雛苺の言う通りなのを確認した。
薄暗い廃墟。
「またあのカラス野郎ですか…チビ苺、私から離れるなですよ!」
雛苺はがっしり翠星石にしがみついた。
「う、チビチビ苺にここまでべったりされるとちょっとむかつくです…」
しかし、何かが変だ。
さっきジュンの箱から出てきた者の姿…あれは水銀燈ではない。どこかで見たことがあるが、それともまた違う。
そして自分達は白い棘 - いばらのようなものに捕らわれ、画面の中へと引き摺り込まれた。あれは…
でも、何故ここに?
いずれにせよ、今はこのフィールドから出る手段を考えなければならない。

312:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/06/04 03:59:55 0bjRwWFm
21

看護婦がめぐの病室のドアをノックする音が聞こえた。
「めぐちゃん、お父さんがお見えですよ!」
「水銀燈、隠れて!」
めぐは反射的にベッドから立ち上がり、窓のふちに立つ水銀燈に向かって両手をあたふたさせた。窓から突き落とすかの勢いだ。
「ちょっちょっと」水銀燈は仕方なく、窓の下のコンクリートの出っ張りに降り立った。
やがてドアが開き、めぐの父が入ってきた。
「めぐ。話がある」
厳格。そして規律。めぐの父の声から感じ取れる第一印象はまさにその二言に尽きた。
「ふーん」めぐは父と顔をまるで合わせようとしない。「そう、私2週間後に死ぬよ」
父は驚いた様子だった。「知っていたのか」
「うん。それで、もうすぐ死ぬ娘に何の用なの?」
「そんなこと言わないでくれ、めぐ。まだ話は終わっていない」
めぐは全く関心を示さなかった。
「エスコーツ心臓病院」
父はそういってプリント数枚をめぐの病棟のそばの棚に置いた。
「海外の病院で、心臓手術での成功率は90%を超えるらしいんだ」
めぐは、突然ぎっと目を見開いた。その目からは希望というよりも明らかに怒りが感じられる。
「そこの外国へ出かけて、手術を受けてみないか。パパも仕事で海外いくから、連れて行ける」
「はあ!?一人で勝手に海外にいってろ!いままで放ってきたくせに、今更何!?」
めぐは吹っ切れたようにして言い続けた。
「10歳の年からずっと病院暮らししてきた私が、今さら生き延びて何しろって!?
大体、心臓そのものを別の人と取り替えないと助からないって私知ってるんだから!!今まで放ってきたのもそれが理由だろ!!」
「めぐ。すまなかった。パパの仕事が」
「はいはいいいよ謝んなくても!パパは私のことよりも仕事が好きだもんね!だったら今からでも仕事に戻れば?消えろ!」
「めぐ!」
父は一喝した。
「そういうことはもう二度というな!パパの言うことをたまには聞いてくれ。
その病院へいけば、お前の心臓が治せる希望があるんだ。何もせずにお前には死んで欲しくない」
そこまでいい終わると、父は踵を返し病室の出口へと向かった。「また来る」
「最低のくず野郎!」
めぐは棚に置かれたプリントを引き千切り、父が見えなくなるまで叫び続けた。
「死んじまえ!バカ!私はもう何処にもいくつもりはないからね!」
興奮状態で叫び続けたせいか急に胸が激痛に襲われ、めぐは胸を押さえてもだえ苦しんだ。
同時に、本来心臓の病気とは関係のないもの…涙が、とめどめなく目から流れて出てきた。
何が悲しいの?あと二週間で死ぬこと?父のこと?
めぐは泣き続けた。

313:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/06/04 04:01:32 0bjRwWFm
「先生から娘さんについて話があるので案内します」
看護婦がめぐの父に話し掛け、何処かへ連れて行く。
水銀燈はゆっくりと窓へ飛び移り、めぐの様子を伺ってみた。
涙を流す目はぎゅっと閉じられ、左手は苦しむ胸を押さえ、右手は溢れる涙をふき取っている。
話が出来る状態ではないだろう。
しばらく時間が経つと、やがてめぐの泣き声がやんだ。眠りについたらしい。
この眠りは全てを忘れたいという現実逃避の行動だろうか、水銀燈は思った。
窓から病室に入り、ベッドに腰掛ける。涙の軌跡が爪跡のように残されためぐの顔を見ていると、なぜだが自分の心に痛みを覚えた。
生まれつきの欠陥を克服することなく、2週間後に死ぬ。
助けてやりたい…そう思ったとき、槐の言葉が頭をよぎった。
"自分の命の提供主である両親のいずれかの夢の樹を奪い、それを自分の夢の樹に植えれば通常の4倍は生きられる"
その意味はこうだ。
人間にはそれぞれ自分の夢の中に"樹"を持っている。母か父の樹を奪い、それを自分の夢の樹の一部にしろということだ。
そうすれば通常の4倍は長く生きられる。槐はそうやって長寿を得た。
無論、夢の樹を切り取られたりすれば、その人間は死ぬ。蒼星石と翠星石の双子はそういう能力を持っている。
4倍。八週間か。それまでなら、アリスゲームにも決着をつけることが出来るかもしれない。
全てのローザミィスティカの力があれば、めぐを救うことが出来る。
薔薇水晶の言ったことで信憑性には欠けるが、やってみる価値はある。
けど、自分に人間を殺せというのか。めぐの父を殺せと?
それは薔薇乙女らしからぬ行為だ。殺ること自体は簡単だが、これ以上お父様の志向に逆らいたくなかった。
水銀燈は病室の壁に寄りかかり、地面に座った。そして悩み続けた。

何の前触れもなく、病室の鏡が光を放った。
「誰…!?」
水銀燈が顔を向けると、逆さの状態で鏡の裏側にへばりついた真っ白な少女が目に入った。
「初めまして…お姉さま」
少女は言った。
「私は貴女の末の妹、雪華綺晶」

314:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/06/04 04:08:29 0bjRwWFm
22

ジュンは人生最大の悪夢になるであろう体験を味わっていた。
体中に絡みついた強力な糸。宙につらされ、暴れても力は空間に逃げていくだけだ。
蜘蛛の巣に捕らわれた体をばたつかせ、ジュンは情けない台詞を絶叫した。「真紅!!助けて!!」
一方、真紅の方も身動きが取れないでいた。
「油断したわ、ホーリエ…まさか入り口にこんな大掛かりな罠を仕掛けるなんて」
「ぼ…ぼくに任せて…」蒼星石が辛そうに声をしぼりだした。「レンピカ!」
彼女の手元に、巨大な鋏が現れる。庭師として、雑草を取り除く為の鋏だ。
そんなものでこの糸が切断できるだろうか、ジュンは大いなる不安を覚えた。
かつてテレビ番組で、えんぴつ程の太さがある蜘蛛の糸が巣を作れば、ジェット機すら絡め取るという話を聞いたことがある。
その説の根拠は蜘蛛の糸が持つ類まれなる強靭さに基づいている - 太陽光の焦点面ですら焼けない耐熱性と、
いかなる温度変化においても膨張・縮小といった変形を起こさない弾力性。
それ程神秘的な性質を持ちながら、蜘蛛の糸は人間の産業であまり目立った利用はされていない。
それは蚕などと違って飼育が困難だからだ。そのコストは絹糸の一万倍とすら言われることもある。
よって蜘蛛の糸は、本当に意外で目立たない部分 - しかし割と最近では身近な産業で使われている。
アクションものの映画やドラマでよく見かける、スナイパーライフル等のスコープの照準である。
何よりも変形を起こさないその性質は、ミリ単位で正確な狙いが要求されるライフルのメモリとするには最適と見込まれたからだ。
「くっそ!」
庭師の鋏を手にした蒼星石だったが、蜘蛛の糸が絡みついた両手はほとんど動かすことが出来ない。「真紅!僕の鋏を取れる?」
「やってみるわ」真紅は逆さに吊るされた状態で、差し出された鋏を取るために懸命に絡め取られた体をよじった。
上体を左斜めに起こし、鋏を受け取ろうとするが、ぎりぎりで手が届かない。「クっ。」真紅は毒づいた。
ジュンはふと巣の下部分に絡め取られたみつが、気を失って微動だにしていないことに気付いた。
蜘蛛の巣は、普通上半分よりも下半分に粘液性のある糸が集中して張られる。
「こうなったら仕方ない」
蒼星石は著しく制限された腕で届く糸に鋏を向けた。
「切れるところから切ったらなんとかなるかもしれない!」
「横糸を切る時は粘球に気をつけて!」ジュンは彼女に向かって叫んだ。「その鋏まで粘球に絡め取られたらおしまいだ!」
「わかりました!」
蒼星石は叫び返したあと、地道に蜘蛛の糸を切断していった。どうやら庭師の鋏の切れ味は抜群だったらしい。
一本、また一本と切断していくごとに、蜘蛛の巣全体に振動が伝わった。
蒼星石は少しずつ体の自由を取り戻していった。さらに切断作業を続けると、あたりを引いた。
ある一本を切ったとき、巣の全体が湾曲してゆらゆらと揺れ始め、真紅と蒼星石の位置が近くなった。
「よし、今だ!」「ええ!」真紅は庭師の鋏を受け取った。
真紅の位置からだと蜘蛛の巣の中心部に届く。
「ここを断ち切れば…!」
真紅は全身の力を込めて一振り、蜘蛛の巣の中心部に鋏を振る。
「はっ!」
空を裂く、バドミントンのスマッシュのような凄まじい音が轟いた。
ばさっ。真紅によって蜘蛛の巣は見事に四方八方ばらばらに崩れ、四人は蜘蛛の巣から開放された。
その途端今度は重力に引かれ、四人は遥か彼方の闇へと落ちていった。

315:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/06/04 04:11:09 0bjRwWFm
「ふう、いよいよ金糸雀のフィールドにつけるわね」
地面に着地した真紅は立ち直りながら、自分の体にいまだ残る糸を払った。
蒼星石も同じく糸を払っている。
真紅は彼女が糸を払い終えたタイミングを見計らって鋏を返した。「庭師の鋏は本来私に扱えるものではないのだわ」
鋏を受け取りながら、蒼星石は一瞥した。「ありがとう。それにしても真紅、すごいスイングだったね」

遅れてジュンとみつの二人が落下してきた。
「…散々だよ」
ジュンは頭に手を添えながらそう口にした。現実世界ではない分ダメージはあまりないらしい。みつは気を失ったまま地面に転がっている。
「困ったわね。こんな大きい人間私には運べないのだわ。ジュン?」
「僕?」ジュンはみつを見た。「うーん、僕の力でも…、っていうか、馬鹿力なら真紅の方があるんじゃないのか?」
真紅が何か言いかけた時、蒼星石が叫んだ。
「真紅!ここは!?こんなところが金糸雀のフィールドだなんて、僕には信じられない!」
「…ここは…え?」
自分達が今いる場所を見たとき、真紅は平静さを失ってありもしないことを必死に説得する目撃者のようになった。
「そんな!どうしてここに!?これはあの子の罠だったというの?私の考えは、全くの間違いだったってこと!?」
灰色の分厚い雲が空を覆う。
果てしなく続く廃墟。地面に散らばったがらくたも同然の人形。
そこは水銀燈のフィールドだった。

316:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/04 04:29:32 BaRWNofb
ktkr!wktk!!
この作品凝ってるなー

317:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/04 09:37:10 XIaDMSx1
ヒャッホウ打ち切りでも寂しくなんかないぜ

318:変態めぐ ◆b7XuiBsTpk
07/06/04 18:39:11 fate1Kl4

  .'´,ヘ ヘヽ
  !〈 ((゙ "))〉   >>313 私はそんなに繊細じゃないわもっと変態よ(オナニー
  il!!|.゚ ヮ゚ノ!       
  il(i ゜ ゜i)l 
 ノl!!l   |!|  
   |._ハ_.|     
   i⊃i⊃



319:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/04 21:38:13 1qHwaOe9
            ∩_ 
           〈〈〈 ヽ
          〈⊃  }
   ∩___∩  |   |
   | ノ      ヽ !   !
  /  ●   ● |  /
  |    ( _●_)  ミ/ <こいつ最高にアホ
 彡、   |∪|  /
/ __  ヽノ /
(___)   /

320:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/04 22:43:17 Xj6zyIC6
>>318いつまでもスネかじれると思うな

321:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/04 23:14:14 QTMbcOlJ
>>318
IDがfate
つまり型月の回し者

322:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/05 01:03:01 8fZx64gS
つまり過疎だってことだ

323:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/05 05:21:30 Zf6zUFE6
  ,',i><iヽ
  /((ノノリノ))  ヒナの菊に
. ((ミi!゚ ヮ゚ノミ)) 指を入れてほしいの~
    (⊃⌒*⌒⊂)   ∧_∧
     /__ノ(i)ヽ__)  (    )  
._______  /      ヽ
||\         /  .|   | |
||\..∧_∧    (⌒\|__./ ./
||.  (    )     ~\_____ノ|   ∧_∧
  /   ヽ            \|  (    )
  |     ヽ           \/     ヽ.  
  |    |ヽ、二⌒)        / .|   | |

324:蒼星石 ◆b7XuiBsTpk
07/06/08 00:57:05 JMvHKQZl

ローゼンメイデンの柿崎めぐと話すスレ6
スレリンク(honobono板:1-100番)

水銀燈がママになって優しくしてくれるスレ
スレリンク(charaneta2板)l50x

蒼星石の館
スレリンク(anichara2板)l50x

【妖艶】ローゼンメイデンの真紅と話すスレⅡ【才女】
スレリンク(charaneta2板:1-100番)

325:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/08 02:48:35 pFuFyse0


326:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/10 12:28:27 0Gb0Tt+3
保守揚げ

327:蒼星石 ◆b7XuiBsTpk
07/06/11 00:20:48 qUWNWqSX
つローゼンメイデンの柏葉巴が彼女になってくれるスレ
スレリンク(erochara板:1番)-100

328:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/06/11 03:23:40 7XnPQ4g4
>>315の続き

23

妹…。七体目を名乗る少女。きらきしょぅ?
水銀燈は気分が踊った。本当ならば、七つのローザミィスティカがいまこの時代に揃う訳だ。
「第七ドール…うっふふふ、ついに姿を表し…??」
鏡に映された少女の姿を目に納めた瞬間、水銀燈は頭を金づちで殴られたような衝撃を覚えた。
どこかで見た顔じゃないか。
「これは何かの冗談?」水銀燈はへらへらと笑いたてた。「"エンジューメイデン"第二ドールではなくて?」
その少女は、先週現れた偽の薔薇乙女 - 薔薇水晶に酷似していた。
あの懲りない人形師の槐が、また似たようなドールを作って私達のアリスゲームに送り込んできたのではないかとすら水銀燈には思えた。
「そう…私は薔薇水晶によく似ているのです。お姉さま」雪華綺晶は穏やかな笑みを見せた。「何故だと思います?」
「はぁ?そんなの知らないわ」
水銀燈は可笑しそうに首をかしげたあと、鏡の元へと詰め寄った。
「よりにもよってこの水銀燈の前に現れるなんて…ズタズタのジャンクにしてあげるわよ」
「強気…」
雪華綺晶は逆さのまま、水銀燈を薄い目で見据えている。
「でも、あなたはかわいそう。愛という棘(いばら)が貴女を幾重にも縛っているのが見えます…
お父様が愛しくて愛しくて…でもその愛は決して返されない」
「な…!」
「かわいそうな水銀燈。彼女のパパを殺してあげても、貴女の呪縛は消えないのに…」
雪華綺晶は鏡の中でくるくる踊るように回りながら、逆さの状態から地面に降り立って言った。
「ぐるぐる…ぐるぐると、ただ憎しみが廻るだけ…全てはアリスのために」

このフィールドに連れ込まれてから数十分、何も起らない。
焦らされているのだろうか。苛立ちを覚えるほど周囲は静まり返っている。
翠星石は堪え切れずに叫んだ。
「水銀燈ー!いるのは分かってるです!もったいぶってねーで姿現すです!」
返事はない。あまりの静けさに、自分の声がフィールドの壁や床に吸い込まていったような違和感すら覚えた。
彼女の頭には、べったりとカニのように雛苺がしがみついている。
灰色の空を見上げ、翠星石はかの第一ドールの姿を探し始めた。
水銀燈は大体空から黒い羽を撒き散らしながらという、憎たらしい登場をする。
上空に目を凝らしていると、思いもよらない人影が遥か上空に4つ翠星石の目に飛び込んできた。
その人影は崩れ落ちる瓦礫さながらにがらがらと地へ落ちていく。
「あれは…真紅!蒼星石!チビ人間にデカ人間!」
翠星石は叫んだ。
「雛苺、いきますよ!」

329:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/06/11 03:26:10 7XnPQ4g4
「ククっ…ふっふふ…あっはははは!この私がかわいそうですって?」
雪華綺晶がいい終わる前から、水銀燈は既に笑い出していた。
「私は水銀燈。闇を縫わされ"逆十字"を標された薔薇乙女最凶のドールよ。
末の妹さん。戦いを挑みにきたのなら、さっさとそこから出てくればァ?」
水銀燈が指で手招きすると、雪華綺晶はにっと笑った。
「現実世界には身をおけない…何故なら私は幻の中にしか存在し得ないから」
雪華綺晶は言いながら自分の頬を両手で触れてみせた。
「物質世界に存在を縛られること自体がアリスへの枷になってしまう不要の形骸なのか。
イデアのイリアステル。それこそがアリスの輝きなのか。お父様はそう考えました…だから私は、実体を持たない」
「実体を持たないですって?」
水銀燈は再び笑いが堪えきれなくなった。
「要はあなた、手抜かれたんじゃなぁい?おめでたいジャンクだわね七番目」
「かわいそうな水銀燈。手抜かれたのはあなたです…」
二人の睨み合いが続いた。

「私は争う為に来たのではない。お姉さま。可愛そうな私のお姉さま…私はあなたに協力します」
鏡が光を放ち、雪華綺晶の後ろにある光景が映し出された。
「そこは…」水銀燈にはすぐにその場所が分かった。「私のフィールド!?どうして…」
さらに、そこには翠星石と雛苺の二人が、廃墟の中を懸命に駆け巡っている姿もある。
「あいつら、知らない内に私のフィールドに…あなたが連れ込んだの?」
「お姉さま」雪華綺晶が薄く微笑む。「あなたの行いは正しい。アリスゲームを避けようとする愚かなドール達。
あなた一人ではアリスゲームを始めさせることは出来ない。私とあなたで…はじめましょう。」
「どうして私のフィールドがわかったの?あなた、人のフィールドに勝手に入れるこざかしい能力でも持っているわけ?」
「いいえお姉さま。張り巡らされた棘が私を導くのです」
「そんなでたらめで私をはぐらかす気?」
「棘の導きによって…今宵、あなたのフィールドに全ての薔薇乙女が集うのです」
「ふん、随分と親切なことしてくれるのね?あなたのローザミィスティカだって危ないわよぉ」
その言葉をきいた時、雪華綺晶はふふふっと実に少女らしい可愛げな笑い声を出した。
「私には要らないから。私のも姉妹のローザミスティカもみんなあなたに差し上げる。
今宵のアリスゲームで私が奪ったローザミィスティカはあなたに贈ります…だからお姉さまも負けないで」
次に、鏡はあの真紅と蒼星石を映し出した。他に、真紅のミーディアムともう一人気絶している人間の女の姿も。
どうやら今宵私のフィールドでアリスゲームが始まるのは本当らしい。
「…何を考えているの?おなた」
水銀燈はそれが心底から放たれた台詞だということに気付いた。
「ローザミィスティカを贈る代わりに」雪華綺晶は鏡の中で右手を差し出した。「あなたのマスターを私に下さい…」

330:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/06/11 03:31:04 7XnPQ4g4
24

「ここは水銀燈のフィールドだって?」
蒼星石が驚愕した顔で辺りを見回しながら、真紅に聞き返した。
「え、ええ、けど一体どういうことなの?どうして水銀燈のフィールドに繋がっているの?」
質問に質問で返しているあたり、真紅もかなり混乱気味のようだ。
「僕にも分からない…確かにレンピカは金糸雀のフィールドの入り口を探り当てたはずなんだ。
なのに中に入ってみると何も無いのは僕もおかしいと思った…まるで誰かに"喰われた"かのようだよ」
「喰われた?」真紅はその恐ろしげな表現に身震いした。「フィールドを食べるですって?」
「うん…」緑色と赤色の瞳がまっすぐ真紅に向けられる。「夢が奪われた、とも言える」
不安げに顔を見合わせる二人を見ながら、ジュンは事態が予想より遥かに悪い方向へ向かっていることを悟った。
金糸雀の身の安全に大いなる疑念が持たれている。

「蒼星石ー!真紅!」
遠くから自分達を呼ぶ声が聞こえる。
「翠星石!」真紅は勢い良く振り返った。「なぜあなたが?」
「ジュンー!みっちゃーん!」今度は雛苺の声だ。
「翠星石!今そっちに行くよ!」蒼星石が叫び返し、真紅と一緒に声のする方に走っていった。
「お、おいおいお前ら待てって…」取り残されたジュンは独り言を呟き、後ろに倒れているみつを眺めた。
しばらくの時が流れる。
「ち、ちっくしょおおお!」ジュンは叫ぶなり肩にみつを担いで、真紅達の後を追った。

五人は無事フィールド内で合流した。

一番先に問い掛けたのは真紅だった。「翠星石、雛苺!なぜあなた達までここに?」
こっちが聞きたいです…! - その気持をなんとか堪え、翠星石はゆっくり話しだした。
「それが…さっきチビ人間がよく一人で笑っている箱をいじっていたら…」
「な、なにー?」ジュンがすかさず身を乗り出したが、真紅が手で遮った。
「突然見知らぬ真っ白な女がでてきて…白い薔薇に絡まれてジュンの箱に吸い込まれたです…
そして気付いたら水銀燈のフィールドにいたです。」
「真っ白な女?」真紅が間髪要れずに聞いた。「それはローゼンメイデン?」
「多分そうですぅ。でもなんだか見覚えのあるようなドールだったです」
一端言葉を切ったあと、翠星石はついに答えを見つけたとばかりに人差し指を立てた。
「あああ、あいつ!あいつです!薔薇水晶!薔薇水晶が真っ白けっけーになったようなドールでした」
やはり、そうだったか。真紅は一呼吸してから言い始めた。「恐らく、そのドールが…」
「そう、そのドールこそが、真のローゼンメイデンの第七ドールですよ。レディー達。くくッ」
突然、別の方向からした声が真紅の言葉を遮った。今や誰もが知っている声だった。その声は、いつも不意を突いて横から耳に入ってくる。
「ラプラスの魔…!」
名前を呼ばれたタキシードを身に包む直立二足歩行の兎は、軽やかな動きで壊れた建物の上から地面に降り立った。
この兎が本当に - フランスの数学者ラプラスの考案した超越的な存在 - 全ての未来を予測する知性をもつとされる -
ラプラスの魔そのものであるか、またはそれにちなんで名づけられているかは謎に包まれたままだ。
「七番目はそもそも実体を持たない、アストラルの人形。そんな彼女の背中の螺子を巻くものは、人間のこころ。
薔薇乙女が一斉に目覚めている今…それはよりどりみどり…」
ドール達はお互いに顔を見合わせた。
第七ドールが目覚めた。何世紀にも渡って、決して姿を見せなかった真の第七ドールが。
「はてさて。第七ドールはなぜ、第一ドールの世界に皆さん方を招待したのでしょうな。
私がいまお嬢さん方にいえることはただ一つ…第七ドールが我々の前に姿を見せるとき、正真正銘のアリスゲームが始まるでしょう」
第七ドールがここに!?真紅は息を呑んだ。そういえば、肝心なこの世界の主 - 水銀燈も姿を見せていない。
「最初の舞台は第一ドールの壊れた世界。歯車は動き出しました」
ラプラスの魔はそう言うと、いつものように - 後の壁に穴を開けて、その中へと消えていった。

331:Rozen Maiden LatztRegieren Ⅱ:糸口 Breaking the ice
07/06/11 03:36:01 7XnPQ4g4
「本当の第七ドールが」翠星石が呟く。
「ここにやって来る」真紅がその続きを受け持った。「長かったアリスゲームも…いよいよこの時代で終わるということ」
その結末は誰にも分からない。想像したくもない。
再び空間は静粛に包まれた。
「ねえ、みんな」
そこへ、蒼星石がその重い口を開いた。
「もし今夜ここに、全ての薔薇乙女が本当に揃うようならば、僕は…」
彼女は一度顔を下に落としてから、決意に満ちた顔で皆に向き直って言った。
「僕はその時アリスを目指す」
全員が蒼星石の顔を見つめた。
「それが僕たちの宿命。みんなだって分かっているはずだ」
「蒼星石!」
最初に突っ込んできたのは双子の姉の翠星石だった。
「そんな、そんな急に…いやです!まだ7体揃うとは決まっていないです!そんなこと突然言われても私納得できないです!」
蒼星石の両腕を握り、激しく揺さぶる。
「翠星石…お願いだ。それにみんなも」
蒼星石は続けた。
「真のアリスゲームはもうすぐそこまできているんだ。今覚悟を決めないと、自分のローザミィスティカだって守れなくなるよ」
「いやぁ~!!」雛苺が大声で叫んだ。「ヒナは、アリスゲームなんてしないの!」
ふう、ため息をついて蒼星石は雛苺を見つめた。
君は確かに幼い。その幼さで戦う運命を担うのはあんまりだ。だがそう作られたのもお父様の意思…。
「蒼星石、一応念をおすけど」真紅も割って入った。「お父様はアリスゲーム以外にもアリスになる方法はあるといっていたわ」
蒼星石は首を横に振った。
「どうかな。アリスゲームが一番お父様の願いを叶える道に適っていると僕は思うね」
ジュンは歯を食いしばった。話を聞くだけの立場を取っていたが、いまや忍耐の限界を超えた。
「蒼星石、お前だって本当は姉妹同士戦うのは嫌なんだろう?真紅たちと一緒にアリスゲーム以外に
アリスになる方法を探せばいいじゃないか!どうしてそんなことがいえるんだよ?」
「何故なら」
蒼星石はジュンに軽んじるような視線を送った。こればかりは人間が関われる問題ではないんだ。
「いずれにせよ、アリスになるのはローゼンメイデンの内のたった一人。
アリスゲーム以外に方法があるにしても、結局はその一人を決めるため僕たちは争わなければならない」
「一人とは限らないかもしれないじゃないか!」
「それに、もう僕達は十分すぎる程アリスゲームを長引かせてきた」
蒼星石はみんなの方に向き直り、口調を強めて言った。
「いつまでお父様を待たせるつもりなんだ!僕はアリスを完成させたい!」
「蒼星石、早まる必要なら無いわ。お父様はまだ私達を待って下さっている」
「例えそうだとしても僕がもう我慢ならない!これから別の道を探すだって?これまでの60万時間は一体なんだったんだ!?」
「やだやだやだアリスゲームなんていらないのー!」

それぞれの想いが五人の間を交差するさなか、突然空から無数の黒い羽が雨のように降り注いできた。
「危ない!」
ドール達はとっさにその場から離れ、それぞれ近くの物陰に隠れた。
お互いの距離がそれぞれ広く開き、それは皮肉にも - ドール達の決裂を思わせた。
「う、うわああっ!」
ジュンはみつを抱えている分逃げるのが遅れた。
背中を黒い羽が何本かかすめるなか、どうにか屋根のある建物の下まで辿り着き、中に入って慎重にみつを地面に寝かせた。
その後ろでは未だに黒い羽が空を裂く音を鳴らしながら地面に降り注いでいる。
「うっふふふふ…」元凶の笑い声が上空より響き渡り、一同は顔を上げた。
フィールドの主、黒い翼を持ったローゼンメイデンの第一ドール。水銀燈が宙に浮いて五人を見下ろしていた。
その隣には、見たことのない真っ白なドールが浮いている。
真紅が声を張り上げた。「あれが…ローゼンメイデン第七ドール!」


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch