07/05/15 12:36:05 mJvmNl3j
>>96殿のお手本を見たいですな
101:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/15 13:03:21 RDA5yZPL
>>100
ナンセンスの極み。
SSの批評はSS職人しかできないのか?
102:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/15 18:24:01 0QZIfxrS
そんなことより二階堂流麗だ
103: ◆xLJAc4vOZM
07/05/15 19:07:51 BjmU1jB0
>>96
なるほど・・・確かに言われてみればそうですね・・・
貴重な批評どうもです^^
>>97
途中ですが、今のところ書く予定は無いです。
多分、この続きを書いてもあまり面白くないと思うので^^;
104:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/15 21:51:26 dzoRThVH
とりあえずうPしときますね
世の中には不思議な事がある。
例えば人形が意思を持ち、人間と同じ様に振る舞い、話したり、物を食べたりと。
そう。
そんな事はあり得ない話だ。
本当なら。
しかし、だったらこんな事だってあり得ない話であるべきだ。
こんな・・・こんな事は。
・
・
・
「はぁ・・・いよいよか・・・」
桜田家の長男、桜田ジュンは学校の制服の襟に指をいれ、
窮屈そうにこね回しながら緊張した面持ちで玄関に座り、靴を履こうとしていた。
「何だったら私が付き添ってやってもいいですよ?」
すぐ側で、緑色のドレスに身を包んだ
二つ分けの茶褐色な長髪の人形がニヤニヤと笑みを浮かべながらジュンに話しかけてきた。
ローゼンメイデンと呼ばれる不思議なドールの第三女、翠星石である。
「バカ言うな。子供じゃないんだから。それにどこの世界に人形に保護者してもらう中学生がいるんだよ」
むすっとした顔で翠星石の言葉に言い返すジュン。
その後ろには鮮やかな濃赤のドレスをまとった、金髪のやや幼いドールが見守るような笑みで彼を見つめていた。
此方はローゼンメイデンの第五女、真紅である。
「そろそろ巴が迎えに来る頃ね・・・ジュン」
「やっぱり来るですか、あの精神注入棒女・・・」
真紅と翠星石がそう言いながら玄関のドアを見つめた。
彼が引き篭もりからようやく立ち直り、そして今制服をまとって、復学の為にこの扉を開けようとしている。
真紅の心には感慨深い物があった。
翠星石はあまり面白くなさそうである。
「お、お姉ちゃん・・・おねえちゃん・・・ううぅ」
「なっ、泣くなよ姉ちゃん・・・大丈夫、もう僕は逃げたりなんかしない・・・
みんなが居てくれたから、お姉ちゃんが居てくれたからこうして勇気が持てるようになったんだ」
感激のあまり よよよ と泣きそぼる姉、のりの肩に手をおいて力強い笑みを見せるジュン。
「ジュンくんっ!」
「よせっ離れろっ、抱きつくなッ!」
精神的に力強く成長した弟に感激して抱きつく姉に、何やってるんだと言わんばかりに
「もう巴がそこまで来てるですよ~・・・」
105:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/15 21:52:57 dzoRThVH
翠星石は白け顔で二人に話しかけてきた。何故か手にはモンキーバナナを持っている。
そこにジュンの幼なじみ、柏葉巴が玄関の扉を開けて朝の挨拶をかけてきた。
幸いクラスが一緒な上に、前々から徐々にジュンが復学出来る手はずを整えていてくれた彼女。
今回こうして一緒に登校して、ジュンの精神的圧迫感を和らげていこうとしてくれていた。
「おはよう、桜田君。・・・準備は・・・も、もういいの?」
「あ、ああ お、おはよう。姉ちゃん離れろって」
「あはは。ごめんね巴ちゃん、お姉ちゃん感激しちゃってついジュン君に」
「ジュン、いよいよあなたが本当の一歩を踏み出すときが来たわね。
この真紅のミーディアムらしく、気丈に振舞っていれば大丈夫。貴方ならそれができるわ」
「ま、翠星石も応援していてやるですから、 モグモグ 一発ガツーンとかましてきやがれです ムグムグ」
「ああ、ありがとう二人とも・・・って何食ってんだよお前・・・」
みんなが話する中、一人だけ緊張感無くバナナを頬張ってる翠星石にジュンが呆れ顔で尋ねた。
何故か翠星石はバナナを咥えたまま、ちょっぴりいやらしい笑みでジュンを見つめて
「べふにぃ・・・ふゅんふぉふぁんふぉくふぁふぇるふぁめをふぇんふゅうふぇふ」
まともに話すと放送コード断裂破砕な内容の言葉を喋っていた。
翠星石が何を言っているのか把握できない巴、のり、ジュンは首をかしげているが、
真紅は顔を赤くして猛然と翠星石に抗議しだした。外観は少女、中身は熟女の真紅ならではの明快な思考解析である。
「あ、朝から何を言ってるのあなたはっっ!!
大体抜け駆け無しって言ってきたのはあなたなのに何でジュンにそんな破廉恥な」
「あのぉ・・・真紅・・・何話してるのかわかんないけど、僕もう行くよ」
「桜田君の事は心配しないで下さい。私が・・・ついていますから」
「あ、ええ。よろしくね巴ちゃん」
二人のドールの良く解らないやり取りに別れを告げるべく、
ジュンは巴と一緒に玄関を出ようとしていた。
「よっし!行ってこいですぅーー!!」
「ぅわっ!?」
「ジュ、ジュンっ!!」
106:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/15 21:55:38 dzoRThVH
バナナを食べ終え翠星石が放ったその皮が、ものの見事にジュンの足もとに滑り込み
彼は見事に後ろ向きに倒れこんだ。ベタなギャグでもここまでクリーンヒットはしない。
「いっ・・・たたたた」
「だ、大丈夫ですか・・・ちょ、ちょっとした冗談だったですのに、
まさかここまでベタにヒックリこけやがるとは思わなかったです」
「っっ・・・翠星石っ!!あなた最近ジュンに対する度が過ぎるのではなくて!!」
その瞬間、辺りが凍りついた。
「え?!」
「し、真紅?!」
「じゅ、ジュン・・・君?!」
「な、何?」
「な、何だよ・・・」
「「って えーーーーーーーーーーーーー!!??」」
「どどど、どうなってやがるですか!?」
「ちょ、ちょっと二人とも??」
「どっどういうこと?!ジュン君が真紅ちゃんで真紅ちゃんがジュン君?!」
説明せねばなるまい。
翠星石の放ったバナナの皮で滑ったジュンを庇おうと、とっさに真紅がジュンの背中に回ったまではよかったが
当然身体の大きさが違うため支えきれる筈も無く、そのまま倒れこんでしまったのだが、
その時真紅のおでことジュンの後頭部がぶち当たってしまい・・・魂が入れ替わってしまっていたのである。
まさにローザミスティカの存在を否定するかのような不可解なトリック。
「あああああああああ」
「あああああああああ」
真紅とジュン、二人仲良く _| ̄|○; このように膝を突いて喚く様を、
三人の女性達は顔を引きつらせながら、気が遠くなる思いで見ているのだった。
107:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/15 21:57:37 dzoRThVH
多分続きますんで、また今度。
108:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/15 23:09:33 qDZ83kJI
>>107
いらね
そんなのよりこの人の続きが気になって仕方が無い
早く書いてほしいもんだ。
スレリンク(anichara板:3-15番)
109:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/15 23:25:24 BeqsCHN4
>>98
あれに>>93みたいなレスの価値があるのか?
ダラダラ長いだけで締まりの無い話じゃないか
しかもセリフの使い方がおかしいぞあれ。
セリフの「 」の中にまた( )の入れてるのなんか見たこと無いし
どう考えたってイレギュラーだろ、素人SSにしても文体が酷過ぎる。
最後も変に説教臭い終わり方でゲンナリしたよ
アリス云々語るんじゃねえってな。
110:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/15 23:35:28 b2crb44s
妙に殺伐
111:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/15 23:44:41 3OLituWs
>>109
長文読めないDQNですかw
112:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/16 00:13:40 xOo8GciP
>>107
同人誌のネタ乙。
113:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/16 00:21:26 ohrY1aw+
>>103
新作待ってるよ
>>107
つかもう書くな低脳文章のクズ野郎!wwwwwww
114:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/16 00:37:11 VuIGM5NU
>>112
kwskってか>>107って同人のパクりなの?最低だな
115:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/16 00:44:30 xOo8GciP
>>114
スマン、語弊があったかもしれん。
でも確か、真紅とのり、雛苺と水銀燈、翠と蒼、Jと金が入れ替わるやつを見たことある。
116:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/16 01:00:30 VuIGM5NU
>>115詳細snks
何にせよ>>107はもう書くの止めた方がいいな
ほんとにパクってるのかも知れないし
これ以上書いてもお里が知れるってもんだ
117:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/16 02:24:57 86NaNtbq
最近、新しい読者が増えてきた気がする
やっぱり本家が終了したからかな?
まぁ何であれ嬉しい限りですな
118:98
07/05/16 04:36:27 aJSrcoRV
>>109
おまい、話の論点が完全にズレてるぞ?
俺は>>93に対して、感想やレスは自分の言葉でしなよとは言ったが、別におまいや他の連中に対し、
俺と同じ感動を持てとか、俺の感想に強制的に同意しろなどと言った覚えは全くないぞ。
そういう風に取れる表現もしていないと思う。
どんな感想や感動を持とうが、それは個人の自由だろ?
もちろんおまいがそういう感想を持つのは、おまいの自由だ。
だけど俺におまいの批評や感想や意見を押し付けたって意味はない。
どうしても言いたいなら職人さんに対して言う事じゃないのか?
長文スマソ。
119:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/16 12:54:10 7HgghaOJ
>>109
もう少し穏やかに書けないものでしょうか?
確かに、ここでの発言は基本的に自由です。
しかしその自由は、発言が与える周囲への影響に対する責任が付いてくることを忘れないでください。
どういう感想を持ってもそれは貴方の自由ですが、評価の押し付けともとれる書きようや、
いちゃもんのような挑発的な批評の書きようはいかがなものでしょうか。
貴方の>>109のレスを、当時あのSSを心待ちにしていた読者たちが読んだらどう思うか考えましたか?
彼らとの論戦を望んで書かれたのですか?ここで論戦するとスレの雰囲気がどうなるか考えて発言しましたか?
書き込む前に少しでもそういうことに思いを巡らせましたか?
論調からして>>83も貴方でしょうか。違っていたらごめんなさい。
しかしあのように他のSSの職人さんを十把一絡げにけなすレスをされてまで、
自分のSSが褒められることを望む職人さんはいないでしょう。
そもそもSSの批判は>>118さんが指摘されている通り、SSの職人さんに直接向けられるべきではないですか?
批判が悪いとは言いませんし、むしろそれを望むSS職人も多いので大いに結構だと思います。
しかし批判するにも書きようというものがあるのではないですか。
SSスレは互いの価値観を発表しあう場である以上、どうしても衝突が起きやすいし荒れやすいものですが、
だからこそ互いを尊重する姿勢は持つべきじゃないでしょうか。
私の指摘は自分でも大袈裟だと思いますし、わざわざ事を大きくせずに見過ごしても構わなかったとも思います。
貴方にとっても間違いなく大きなお世話だとは思います。
しかしここ最近、特定の職人ばかり擁護して他の職人を排除するかのようなレスが目立つなど、
雲行きが怪しくなってきているのは看過できませんでした。
ですから、他にも該当者はいるようですが、敢えて発言が目立つ貴方を槍玉に上げさせてもらいました。
長文お目汚しすみません。
>>115
それを言ったら、◆xLJAc4vOZMさんのSSだって類似のSSがありますよ。
>>118
激しく同意します。
120:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/16 13:43:42 0eKosg62
晒しage
121:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/16 15:19:23 aHDspwJH
一転、糞スレ化したな
122:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/16 15:33:14 xNx5mwO+
>>107
続きに期待してます。
しかしスレの雰囲気が変な感じになってるからローゼンSS総合の方にでも投下し直したほうがいいかも。
123:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/16 18:53:24 XIiy3hWo
>>121
どの辺りから?
124:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/16 20:53:59 VedIeOTP
巴が雛苺と契約を続けていたと仮定しての小ネタ
とあるファミレスに中学生とおぼしき少年と少女が座っている。
注文はドリンクバーとデザートが少々、それだけでかれこれ30分以上はいるだろうか。
この若さにして将来を誓いあった仲なのか、お互いの左手の薬指には
薔薇をかたどった同じデザインの指輪がはめられていた。
しかし、二人の間に流れている空気はとても恋人同士のそれではない。
二人とも沈黙を続け、少年は落ち着きなくコーヒーを何度も口元に運んでいる。
少女の方は俯きながらテーブルに指で「の」の字を書いている。
まるでこれから別れ話でも始まりそうな、そんな重苦しい雰囲気だった。
「あの、これ…」
つと、少女が重い沈黙をやぶり、まるで離婚届けでも差し出すように、少女は鞄からおずおずと書類を差し出した。
「私の口からは何も言わないから、これで察して…」
まさかこの齢にして結婚していたのか、いやまさか。
興味本位の野次馬が見守る中、少年が口を開いた。
「…っておい、これ」
その紙はなんのことはない、ただの宿題のプリントだった。
「こんなもん届けるためにわざわざファミレス来てこんな雰囲気つくる必要ないだろ!
普通に渡せよってゆーかいつも通り図書館で会えばよかったじゃないか!
じゃなきゃウチに来てくれれば雛苺にも会えたし!」
「ごめんなさい、これ渡すの忘れてて…今まで渡すタイミング逃しちゃってて」
「答えになってなーい!っていうか僕柏葉にまで突っ込みたくないんですが!」
「そんな…ひどいよ、桜田くん…私だけのけ者なんて」
「確かにお握りに苺入れたりとか、天然かましてた時もあったけど!
そんなキャラじゃないだろあーた!」
オチはない
125:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/16 20:58:59 oka86dSp
なんで契約したままなのに苺がジュンの家にいるの?とつっこんでもいい?
126:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/16 21:57:47 79Ei5ox2
thfcー^^
127:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/16 22:39:49 ok/UH61D
>>124
いいタイミングでおもろいSSをw
素でワロタ。
128:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/17 08:55:15 3wecn9AN
前のスレで翠紅苺のSSを書いたんですけどどこが変でした?
初めて書いたから、反省して次に繋げてみたいと思って
129:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/17 10:18:13 /po0JIce
強いて言えば最後の名前で噴いた
まぁ楽しめるレベルだったと思う
130:Rozen Maiden LatztRegieren I:余命 Remained Life
07/05/17 22:18:49 OVHeD+Qc
>>77の続き
4
「…ダブルキル」
nのフィールドの中で、嘲る様な独り言が響く。そこは全体が薄暗く、廃墟しかない。
「…マルチキル。うっふふふふ…」
黒い翼を羽ばたかせ、銀色の髪、ダークピンクの瞳に、ナイトブルーのドレスと逆十字の柄が入ったオーバースカート。
ローゼンメイデン第一ドール・水銀燈が、自分のフィールドに無数に散らばっている
がらくたも同然な欠けた人形を相手に、破壊ゲームを楽しんでいた。
水銀燈の力によって無理やり意思を与えられた首や片手のない人形たちが、その命惜しさにフィールド中を逃げ惑っていく。
そんな彼らを自らの黒い翼の羽を使ってさらに粉々へとしていくのだ。
だが、これはあくまでもゲーム。無数に羽をとばしてやってただハチの巣にするのではつまらない。
水銀燈は自分の翼のうち、たった二本を取り出して手に持った。
狙うは二人仲良くそろって廃墟の道を逃げ惑う哀れなジャンクたち…あの二体だ。
道の先はただっ広く、一見この道を逃げ進むには無謀に思える。しかし、ただ一つだけ希望がある。
道の途中、横に開ける細く目立たない道…そこへ入り込めば身を隠すことが出来るだろう。
だが、無駄な努力だ。
水銀燈は狙いを定め、二本の黒い羽をあの細い道の数歩手前のあたりへと飛ばした。
一瞬、それは見当違いな所に向かって飛んでいったかに見えた…
ところが二体の人形は身を隠すべく、方向を転じて垂直にのびる細い道へ向かい始めた。
あと少しでその道へと入り込めるというところで、
まるで全てを予知していたかのように後から黒い羽がまっすぐ飛んできて二体ともそれぞれ頭と背中に突き刺さった。
タイミングも位置も完璧だった。
「うっふふふふ…あったり。おばかさんたちったら、まるわかりよ…」
ゲームの勝者水銀燈が敗者を嘲笑った。
突き刺さった黒い羽は青い炎を発し始め、有無を言わさず人形達に燃え移り始めた。
二体の人形はもがき、最期の抵抗として必死に自分達が目指した細い道の中へ体を引きずろうとしている。
足は既に灰と化し地面を蹴れる代物ではなく、這って進もうにも次は手が崩れ落ち、いまや体を運べるものは完全に無くなった。
水銀燈はこの敗者のもがく姿が面白くて仕方がない。
二体の人形はついに原型すらおさめないがらくたの塊へと化した。
「またしてもダブルキル…うふふふ…」
水銀燈の世界におかれた人形達は、こうして日を追うごとにジャンクからジャンクへと化していった。
アリスゲームの為だ。水銀燈は思った。アリスゲームの勝者となり、自分という存在の創立主 - お父様に合うための、
これは破壊の練習行為だ。他のドール達よりも、自分には遥かに物を破壊する経験を多く持っている。
それに自分の力で作り上げた技と武器だってある。
これこそがこの水銀燈の強さであり、お父様への愛でもある…
131:Rozen Maiden LatztRegieren I:余命 Remained Life
07/05/17 22:20:28 OVHeD+Qc
5
自分こそがアリスに一番相応しい。
アリスゲームの為になることもせず、保守的な他の愚かなドール達とは違う。
「……チィ」水銀燈は舌打ちしてがらくた人形を足で踏み潰した。
また思い出してしまった。
どいつもこいつもローゼンメイデンの宿命であるアリスを目指すこと - お父様が理想とした完全な少女になることを -
忘れ、ジャンクを恐れアリスゲームを避け弱い者同士固まってじゃれ合うドール達の愚行を思い出すたび、
水銀燈は必ず軽蔑や怒りといった感情に苛まれた。
この愚行の先頭には…顔も思い出したくない…あの第五ドール…
自分なりにアリスゲームを制するとぬかしといて、実際していることはままごとだ。
アリスゲーム以外の道?
薔薇乙女同士で誰が一番アリスに相応しいのか仲良く話し合いをするくらいのことしか思いつかない。
そしてどうせアリスに一番相応しいのは自分なのだ。
アリスへの執着が強い一方、普段から群れているドール達に真っ向から一人でアリスゲームを仕掛けにいく程、
水銀燈は自信過剰ではなかった。これまで、真紅のいない間に雛苺を人質に取って自分のフィールドにおびきよせたり、
翠星石と蒼星石の悪化した双子の関係を利用してローザミスティカを迫ったり、邪魔な媒介を夢の中に閉じ込めたりした。
結果としては…いずれも失敗した。あいつらの結束は想像以上に固い。そしてあいつらは相も変わらず…保守的だ。
おかげで、アリスゲームは全く進行しない!ただ一人のジャンクすらでていない!
いや…。
過去にジャンクとなった者は出た。最も認めたくない、最もアリスに相応しいはずだった者が。
私は一度、真紅に負けた。そして、ジャンクに…
あの様なアリスへの志半ばなドールに!この水銀燈を倒しておきながら、結局ローザミスティカを奪うこともしなかった。
どこまで私をばかにすれば気が済むのか!
今こうして左手で人形を握り締めながら真紅への殺意を込めている事が出来るのは、
お父様が私を直してくれたから。
一度アリスゲームの敗者になったにも関わらずお父様が私を直してくださった意図は明らか。
お父様は真紅のやり方に呆れられたのだ。
水銀燈には自然とお父様の声が聞こえたかようだった。
- アリスを完成させられるのは水銀燈、お前しかいない - 。
突然、左手の指輪が意思とは関係無しに紫色の光を発し始めた。「な、なぁに?」水銀燈は困惑した。こんなことは初めてだ。
「メイメイ」同じく紫色に輝く小さな光の浮遊体 - 水銀燈の人工精霊が駆け飛んできた。
人工精霊は今指輪が光っていることの意味を伝えた。
ミーディアムの命が危険に晒されている。
132:Rozen Maiden LatztRegieren I:余命 Remained Life
07/05/17 22:21:20 OVHeD+Qc
6
「誰かぁぁ!誰か助けて~!」
とある部屋の中で、極めて危険な状況に晒されている者が叫んだ。
「放せって!ほどけー!!」
不登校の少年 - 桜田ジュンが、ロープでぐるぐるに縛られて湯の溜まった風呂の湯船へと落ちそうになっている。
風呂場の隅に放置されており、その位置はかなりきわどい。
「あぁっ、すっかりチビ人間のこと忘れてたです」
階段を降りていくさなか、翠星石がジュンの声に反応して風呂場へと向かった。「チビ人間!生きてるですか!?」
「死んだ方が良かったか?この性悪人形!いやここまでくると悪魔人形だな!さっさとほどけー!どういうつもりだアー!」
「この前と同じことですよ」翠星石は微笑を浮かべて言った。
「私達ローゼンメイデンは契約したミーディアムに危険が迫ると反応するです。
そうやって真紅を起こそうとしたちゅー訳ですぅ」
「真紅!?」ジュンはいつもより目覚めの遅い真紅を今朝から気にかけていた。「それで真紅は起きたのか?」
「さっき起きて私より先に階段降りてったですよ」
「そ、そっか…よかった…って、、あ、あんにゃろうー!僕がこんなにも叫んでいるっつーのに無視しやがったな!!」
翠星石は吹き出した。「この調子だと真紅はチビ人間の危機に反応して起きた訳じゃなさそうですぅ!無様なヤツですぅ!」
「わ、笑ってないでほどけよ!!もういいだろー!」
「しゃーねーなー、救ってもらえない哀れなチビ人間に少し慈悲をかけてやるですぅ」
「くっそぉー…ほんとのほんとに覚えてろ呪いの性悪人形…」
「何かいったですか?チビ人間」翠星石は手をかけたジュンを少し湯船側に揺らした。
「わああああああ!なんでもない!」ジュンは青ざめた。殺される!恐怖で口が硬直する。「なんでもないから…ほどいて…」
「はぁ、もうやめなよ…翠星石…」蒼星石が呆れ気味な表情で部屋の入り口に立っているのが目に入った。
とめにくるのが若干遅い!
133:Rozen Maiden LatztRegieren I:余命 Remained Life
07/05/17 22:23:29 OVHeD+Qc
7
水銀燈は自分の契約したミーディアムである柿崎めぐの病室へと窓からかつてない程勢い強く飛び込み、
ガタガタとガラスが揺れた。
ミーディアムの身に危険が迫っている。
ところが、目に飛び込んできたのは、思っていた程悲惨なものではなかった。
ミーディアムは、呼吸器をつけられ何人かの白い服をきた人間の女に囲まれて、
聴診器の先端チェストピースをあてられたり、そばになにやらの機器を持ち込まれたりしている。
当の本人は苦しげにもがいていて、呼吸すらままなっていないように見える。
だがこんなことは生まれつき病弱な自分のミーディアムにはよくあることだった。
「メイメイ。これ位のことでこの私を呼び起こしたとでも?」
水銀燈は問い詰めたが、人工精霊はただあちこち宙を舞い続けるだけだった。水銀燈はため息をついた。全くの無駄足だ。
ゆっくりと窓から飛び降りようとしたとき、突然同じく白い服をきた男がめぐの病室に押し入ってきた。
「一体どういうことなんだ!原因は?」
「全く分かりません!先生、このままでは心臓の細胞が死滅していきます!かなり危険です!」
「とにかく今は特効薬の投与だ」男は叫んだ。「さあ運ぶぞ。ぐずぐずするな!」
心臓。それは人間にとって最も大事なもので、めぐは生まれつきそれに欠陥があると話していた。
一連の会話からして、人工精霊は正しかったらしい。
めぐの命は危ない。
水銀燈は運ばれていくめぐを窓から振り返って凝視した…すると、一瞬、めぐと目が合った。
ベッドを運ぶ白い人間達に遮られてその姿は見え隠れする。
めぐは左手を看護士の間から突き出させ、息もままならない状態で"それ"を必死に水銀燈に見せようとした。
左手に嵌められた、契約の指輪を…
水銀燈に考えられるめぐの意図は一つしかなかった。"私の命を使って"。
病室の外まで運ばれるまで、めぐは左手を差し伸ばし続けた。そして…今、水銀燈の視界から消えていった。
「おばかさんね」水銀燈は一人静かに呟いた。「あなたに都合のいいように…アリスゲームは始まらないのよ」
今はどのドールも眠りについているだろう。そんな状況下でのアリスゲームはあり得ない。
「メイメイ…あの子、これから死ぬの?」
人工精霊は未来のことは分からないことをマスターに伝えた。
「そう…そうね。おばかさん」
水銀燈は病室の窓から下にあるコンクリートの出っ張りに腰掛け、満月の夜空を見つめた。
驚くほど自然に、心の中に歌が流れ始めた。それはもう聞くことの叶わないかもしれない、ミーディアムのよく歌っていた歌が。
…からたちの花が咲いたよ
白い白い花が咲いたよ
からたちのとげはいたいよ
青い青い針のとげだよ
からたちは畑の垣根よ
いつもいつもとおる道だよ
からたちも秋はみのるよ
まろいまろい金のたまだよ…
134:Rozen Maiden LatztRegieren I:余命 Remained Life
07/05/17 22:26:11 OVHeD+Qc
8
「ヒグマ卿、あなたが犯人だな!?もう逃げ場はないぞ!」
「よくぞ見抜いたな、くんくん探偵。噂どおりの素晴らしい推理力だ。だが、私は止められぬぞ。無駄なあがきはよしたまえ」
「そうはいくものか!」
真紅はいつものようにソファーに腰掛けてくんくん探偵を見ていた。割と本格的なサスペンス人形劇だ。
隣でも、第六ドール・雛苺が緊迫した顔つきでテレビに夢中になっている。
「真紅~!!おまえェェェ…」ブルブルと怒りで体を震わせながら真紅の契約したミーディアムであるジュンが部屋に入ってきた。
真紅はミーディアムのことを下僕と呼び、水銀燈は糧と呼ぶが - ローゼンメイデンと契約してミーディアムとなった人間
の役目はどれも同じである。ドール達がアリスゲームへ望む為の力を分け与えること。それは人間の命を削られることも意味する。
にも関わらず、桜田家の少年ジュンは力を三体分のドールへと提供している。
彼は最初は真紅達をを悪夢の人形だとか呼んだが - ドール達の宿命アリスゲームのことに触れ、次第に心を動かし始めた。
いままで食事を共にしたり、家の床に落書きをしたり、醜悪な料理を作ってくれたりした
ドール達の姉妹が、アリスゲームで戦い左手をもぎ取られたり水晶に串刺しにされたりすることに心を痛めてくれたのだろう。
真紅はそんなドールを気遣ってくれるジュンをミーディアムとして正解だったかもしれない、と思っていた。
まだまだ家来として教育してやらねばならないところは多いが。
「ううっ…これはまずいぞ…」
「フッフッフッ。だからおとなしく逃げていけばよかったものを。くんくん探偵!」
「わあああっ!」
「ぬっ!?これは!」
「大丈夫です!くんくん、私がついています!」
「あ、あなたは…キツネ婦人!」
「フっ!たかが女一匹で…この私に敵うと思うか!」
ち、違うわ!真紅は思わず心の中で叫んだ。くんくん、キツネ婦人こそ真の黒幕よ!騙されないで!
「しんくぅぅー!!」
「えっ?」
再び自分の名前を呼ぶ超えに真紅は我に帰った。
「なーに?ジュン」
「僕の声が聞こえなかったのか?」
真紅はかぶりを振った。「あら?何か言ってたの?聞こえなかったわ」
「あのなァ!僕はさっきあの性悪人形に…」
そう言い出すと同時に、翠星石が声高に笑い出した。「おーほほほほ!私はただ眠りから醒めない真紅を気にかけたチビ人間に
協力してやっただけですぅー!そしてミーディアムを危険に晒して真紅を呼び起こそうとしたですよ感謝するです人間!」
「だ、誰が感謝なんかするかー!」ジュンは翠星石に今にも飛び掛りそうな体制を見せた。
「あら、そう?私を心配してくれていたのね」真紅は微笑んだ。
「でもホーリエが翠星石はジュンに危害を与えられるはずがないと言っていたわ」
翠星石は顔が急に火照った。「ななななな、何を言うですかっ冗談はやめろです!わわ私がこんなチビ人間一匹その気になれば…」
「フフ、嘘よ」
「きぃぃぃ!こいつぅせっかく私が心配して…はっ」翠星石は急にジュンに見やった。「何こっち見てやがるですか人間!
私はべべ別に、本気になればいつだってお前みたいな長所のない人間なんかボコボコにしてやれるですぅ!うぬぼれるなです!」
そう言うなり翠星石はジュンにけりを入れた。
「いってええええ!僕は何もしてないだろ!おい、いい加減にしろオ!!
僕だってお前みたいな性悪人形本気になればいつでも捨て…あ…ん…?」
ジュンは翠星石が突然黙り込んで後ろ向きにうつむいているのに気が付いた。
「いや…えっと、冗談だって…」
翠星石は突然向き直って二発目の蹴りをいれた。「いってええええええええ!」
「ふんっ」そういい残して、翠星石はリビングから出て行った。
135:Rozen Maiden LatztRegieren I:余命 Remained Life
07/05/17 22:28:50 OVHeD+Qc
丁度そのころ、真紅はくんくん探偵を見終えた。今日のくんくんも見事な洞察力を発揮し危機を脱してのけてくれた。
「私、ジュンの部屋でお絵かきしてくるの~!」くんくん探偵に満足した雛苺は二階へと駆け上っていく。
一方真紅は次に何をするか一瞬だけ考えたあと、ソファーから立ち上がった。
「ジュン。紅茶を入れて頂戴。」
「お前ー…。」ジュンは蹴られた痛みから床をころころ転がりながら叫んだ。「悪魔かあ~!」
「全くほんっとにこういうとこは成長しない家来ね。はやくしなさい」
ジュンをステッキで突きながらそういい終えたとき、家のチャイムが鳴った。
「くっそぉーどいつもこいつも。今いきまーす!」
ジュンが扉まで何とか痛みをこらえて辿り着いて扉を開けたとき、
第ニドール・金糸雀を抱えた草笛みつが涙目に玄関前に立っていた。
「桜田ジュン君…助けて…あなたしかいないの。金糸雀が…金糸雀が動かなくなっちゃったの…!」
136:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/17 22:40:08 70qpF/4n
>>130-135
こーいうSSを待ってた!
GJ!感想は全部終わってからにさせてもらうよ!
長くなりそうだけど、根気良く続けておくれ。
137:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/18 02:46:12 EIBqiGg/
一気に過疎った
138:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/18 03:09:57 B7gG1JY4
馬鹿野郎お前を一人にはしねーよ
139:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/18 07:54:37 aSZl94y1
ウザいガキが来なくなって、このスレも元の落ち着きを取り戻したね。
案外、過去SSをけなしてたレスも、露骨に一人の職人を贔屓していたレスも、
その職人の自演だったのかもな。
おっと、こんなこと書くとまた長い説教が来るかなw
140:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/18 13:12:42 isrzpaq7
やっぱりな俺も何故あんなSSが賞賛されるのか不思議だったぞ
141:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/18 13:25:22 1C890hGh
あの不自然なレスも、自演だったとしたら頷けるな。
142:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/18 16:46:54 xxmaKKkA
>>140>>141
自演乙
143:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/18 17:25:12 aSZl94y1
>>142
自演厨の作者乙
144:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/18 18:00:32 B7gG1JY4
頼む後生だお願いだ空気を悪くしないでくれ
145:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/18 18:07:44 twNVUfBN
むしろめちゃくちゃ悪くしようぜこのクズどもが
146:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/18 18:23:32 1C890hGh
>>145
ウザッ
147:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/18 18:42:52 isrzpaq7
>>146
原因が何か言ってるwww
148:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/18 18:46:24 EIBqiGg/
キリが無いから言い争いはここまでだ
149:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/18 19:14:09 Vbnk+TR9
うんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこ
うんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこ
うんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこ
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うんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこうんこ
150:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/18 20:28:47 KWhRHW0Z
同人ネタといえば、オイラも色々考えていたけど
あんまりだ…と思って没にしたアイデアw
1.捉えられた薔薇水晶が樽に頭だけ出して放り込まれ
剣を持ったドールズ達がその廻りを踊り狂って一人一人剣を樽に刺して行く
題して『薔薇水晶危機一発』
2.腹部のない水銀燈のゼンマイは、実は頭に付いていたという衝撃の事実
その事実に「パクリは許せない」とばかりに戦いを挑んでくるぜんまい侍
題して「水銀燈VSぜんまい侍~だんご屋の決闘」
151:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/18 20:43:27 twNVUfBN
どこの同人作家か大分絞り込める内容だな
152:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/18 20:55:02 VSWNm+UN
ぴんぽ~ん
「おっ!届いたな」
「なにが届いたのJUM」
「よう辛苦!いろいろな怪我を未然に防止できるメガネさ!これでもう(いろいろな意味で)痛い思いをすることはない!
逝ける!学校に逝けるぞワハハハハハ!」
「まあ素敵ね早速かけてみなさいな」
「そう慌てるなって今かけ・・・痛あっ!」
「ど、どうしたの!?JUM!?」
「メガネの柄が目に刺さった・・・」
ごめん
153:SUPER SIZE SHINKU 01/10
07/05/18 23:50:36 82sDwRU5
「お~い真紅起きろ~。 半年振りにBIRZの仕事だぞ~。」
ガチャリと部屋のドアを開ける。 ぶよん。 柔らかい感触に突き当たった。
「きゃっ! ちょっとジュン、どこを触っているの! 偶然を装って、いやらしい淫獣ね!」
……。 ぶよん。 ぶよん。 目の前の謎の物体がプルプル揺れる。 肉である。
ごしごし。 目を強くこする。 まず自分の視覚を疑うあたり、泣けるほど良心的だ。
ぷにっ。 指先をめりこませた。 やわい。 微妙に嬉しくない弾力だ。
「いやっ! 何をする気!? まさか人間に相手にされないからって、この私に欲情……」
「 鏡 見 ろ や !!! 」
怒りに任せて声を荒げた後に、自分の心無い一言に気付く。 見れるはずがない。
気まずいながらも、さりげなく上下左右に視線を走らせる僕。 全長ゆうゆう2メートル。 全幅余裕の4メートル。
「スパーサイズ真紅……。」
真紅はデブっていた。
「フン、BIRZの仕事も久し振りね。 私みたいにギャラが高いスターはそうそう呼べない羽振りのようね!」
上機嫌で紅茶に口をつける真紅。 ゴキュッ。
「おかわり。」
一口で飲み干しやがった。 遠近法はありあまる肉に無力化され、ティーカップはさながらお猪口のごとし。
半年近くに及ぶ無職生活は、真紅をボロボロ……もといブヨブヨに蝕んでいた。
「な、なぁ真紅。 お前ちょっと太……いや、ポッチャリしちゃったんじゃないか?」
傷つけないよう遠回しに言ってみる。 今の真紅がBIRZに載った日には、僕らみんな路頭で迷子だ。
「な、何ですって!? 卑しい下僕の分際で何て口を聞くの? もういっぺん言ってみなさいよ!
誰が鏡餅よ? 誰が冷奴よ? 誰がハンソロに一発でやられそうな顔してるってのよォーー!!」
「そこまで言ってねぇよ!!!!!」
真紅は自分の惨状をちゃんと把握していた。 あまりに悲痛なその叫びに、僕は思わず目を伏せた。
言葉のオブラートなんて、リアルオブラートの前では何の役にも立たないんだな。
154:SUPER SIZE SHINKU 02/10
07/05/18 23:51:32 82sDwRU5
「これが真紅……そう……。 これは脚本を変えなくてはいけないね……。」
蒼星石が呟く。 何気ない風を装っているが、顔面神経がビックンビックン脈打ってる。 クールキャラも大変だな。
雛苺はさっきからずっと無言だ。 真紅がのそりと動く度に、ビクリと僕の背中に隠れる。
明らかに知らない動物を見る子供の反応だ。 変わり果ててしまったけれど、アレは真紅なんだよ、雛苺……。
「なぜ? 普通に第7ドールと私の邂逅から始めればいいじゃないの。 私のピンチに注目が集まっているのよ。」
確かにそうだったのだが、今となっては言うまでもなく第7ドールの方がピンチだ。
あまりに戦闘力が違いすぎるというか、コイツめちゃ強そう。 そう言えばデビルガンダムに似てるな。
「うーん、君が太るという展開はどう頑張っても不自然すぎるよ。 いっそ主役交代した方がマシかもね……僕とかに。」
そう言って顔を赤くする蒼星石。 あるある。 いつもより少しだけ調子こいてみた時の居心地の悪さっていうか。
「ハッ! 貴女のような電波ポエマーには無理ね。 中学生日記でもあんなに転げ回れる神作品はそうそう無くてよ。
もし私が教師だったら、あの素敵ポエムはイラスト入りで全校掲示板に張り出してあげるのだわ(笑)。」
「それだけはやめてぇーーー!」
はっ。 思わず僕が叫んでしまった。 横を見ると蒼星石も屈辱に顔を真っ赤にしてプルプル震えている。
この攻撃で嘔吐しないとは、さすが呪い人形クール編。 僕なら(笑)で3回はいけたな。
「クリームに溺れて見る夢は……きっととても……甘いのだろうね。 いい詞ね。 貴女が考えたのかしら?」
「分かったよ! 分かりました! やめてください! ちょっと言ってみただけだろ!」
「いい~え、謝るこたないですよ蒼星石! それは素晴らしい名案ですぅ!」
ばこーん! ドアを勢いよく開けて性悪人形が登場。 胸を張る翠星石の影に、ドアと壁に挟まれた黄色いのが見える。
いたのか、えーと……カ……カ…………。 まぁいい。 やられキャラがやられただけの事だ。
「話は簡単です! 双子パートを増やすのです! 真紅と同じくらい私たちのヒキも注目されてますからね!」
「でも翠星石、僕らのエピソードは最初から入ってるじゃないか。 真紅パートの代案にはならないんじゃないかな?」
「だ、だからぁ、そこはほら、ローゼン一番人気キャラである私の、その……ろ、ロマンスとかどうですか?」
そう言いながら物言いたげにチラッチラッと僕を見る翠星石。
「なんだ性悪人形。 人気取りのために僕とロマンスするって事か? プッ。 プププ。」
皮肉っぽく言い返す僕。 無い無い。 いくらなんでも無理があるだろ。 しかし、今日の翠星石は一味違った。
もじもじ。 何を言い返すでもなく、服の裾をいじる様が何だかしおらしい。
155:SUPER SIZE SHINKU 03/10
07/05/18 23:53:10 82sDwRU5
あ、あれ。 調子狂うな。 何か言おうと口を開いた瞬間飛んできた言葉に、僕はさらに度肝を抜かれた。
「だっ、だからそう言ってるのです! ジュンと私との、心の触れ合いを描いてほしいのですーーー!!!」
ぽかーん。 うろたえるべきか。 冗談っぽく言い返すべきか。 怒るべきか笑うべきか泣くべきか。
完全にリアクションが取れずにいる僕。 い、いや、いつものコイツからして、このぽかんとする様を笑おうとかそういう……。
「い……イヤ、ですか?」
「そうではなく!」
即答してしまった。 イカン! 人間様の余裕を見せなければ。 こいつは人形……こいつは人形……。
「や、やっぱりジュン迷惑そうだから……。」
「思ってない思ってない思ってない!」
力答してしまった。 いつかも思ったけれど、綺麗な目。 それが今はうっすら涙を溜めていて。
それに見つめられていて、強情張る余裕もなくて。 思考が堂々巡りして、うまく頭が回らない。
「ちょ、ちょっと! 私の意向を無視して勝手に話を進めないで頂戴!」
「ローゼンはページ数が少ないですぅ! 今の真紅じゃ全容を描くだけで今月分が終わっちゃいますぅ!」
「餓狼伝はそれで立派に成り立ってるのだわ!!!」
「バキは成り立っていないです!!!!!」
ぐりん! 二人が突然僕の方を向いた。 その剣幕に思わずビクッとなる僕。
「ジュン。 翠星石たちのマスターはジュンです。 ジュンが決めてください!」
「フ! 愚問ね翠星石! ジュンはマスターである前に私の下僕よ! 結果なんて聞くまでも無いのだわ!!」
僕は途方に暮れて二人の顔を見回した。 耳までほんのり上気させた翠星石。 耳までむっちり肉の詰まった真紅。
翠星石。 桜色の頬、二色の瞳、瑠璃の涙。 真紅。 あんまん、食まん、カレーまん。 翠星石。 真紅。 翠星石。
「悪い、真紅。」
「 な ん で す っ て ェ ェ ェ ーーーーー !!!!? 」
真紅の絶叫が耳に痛い。 ごめん真紅。 ほんとごめん。 違うんだ。 外見で決めたんじゃないって。
だってほら、今日の翠星石、なんか凄いじゃん。 見た目じゃないよ。 心なんだよ。 マジマジ。 信じてくれよ、真紅。
「ジュン……。 真紅が落ち着くまで、私たちは他所に行ってる方がいいですぅ……。」
「そ、そうだな……。 真紅、ほんと違うから。 あくまでフィジカル面での差は考慮せず、純粋に……。」
翠星石を抱っこして、僕は気もそぞろにそそくさと部屋をでた。
156:SUPER SIZE SHINKU 04/10
07/05/18 23:54:01 82sDwRU5
「まぁ……過ぎた事はしょうがないし、落ち着いて話をまとめましょうか。」
「それがいいわぁ~……。」
「そうだね……。」
「うゅ~……。」
「かしら……。」
びゅーびゅーと風が吹き抜ける吹きさらし。 今回のリフォーム対象は桜田ジュンくんのお部屋です。
無機質だった味気ないお部屋が、ワイルドさ溢れる鬼押出に早変わり。 あなたも自然派ライフを満喫しませんか?
「水銀燈、まずは窓を閉めて頂戴。 風が温くて気持ち悪いわ。」
「真紅が壊しちゃったから無いわぁ……。」
八つ当たりでボコボコにされた水銀燈が、ひらひらと手を振る。
「蒼星石も気が利かないわね。 こんな時はみんなに暖かい紅茶の一つでも振舞うべきではなくて?」
「真紅が壊しちゃったから無いよ……。」
八つ当たりでゲジ眉を描かれた僕は必死にメイクを落としてる真っ最中。 ちくしょう、油性だこれ……。
「まったく、多少部屋を模様替えしたくらいでこの体たらく……。 貴女たちに美意識というものは無いの?」
「真紅が壊しちゃったから無……むぐぐ。」
必死で雛苺の口を塞ぐ僕。 八つ当たりで命を落とす妹なんて見たくないよ!
「……。」
「……。」
「それでは本題に入りましょうか。 平たく言えば翠星石の処刑方法についてだけれど。」
「あれあれ? カナがまだかしら? カナがまだかしら?」
「まったく、いつも天邪鬼な翠星石が直球ド真中で攻めてくるなんて完全に予想外だったのだわ。」
「今日の彼女は十分な勝算があったからあれほど大胆だったんだろうね。 だって、今の真紅って、ほら……。」
「あ゛!?」
「何でもないです。」
僕の臆病者、臆病者。 うう……僕の方が姉なのに。 もはや誰もこの大怪獣の暴挙を咎める事はできないのだろうか。
その時。 ばしん! 大きな音を立ててテーブルが跳ね上がった。 誰かが表面を強く叩いたのだ。
「真紅。 貴女の姉として、一言言わせてもらうかしら。」
157:SUPER SIZE SHINKU 05/10
07/05/18 23:54:52 82sDwRU5
チッ、チッ、チッ。 秒針の音がよく聞こえる。 ちーん。 雛苺がティッシュで鼻をかんだ。
「やっぱり一族郎党皆殺しにしてあげるくらいが妥当かしらね。」
「う~ん、僕らも一族郎党だからね……。」
「あれあれ? なんで反応が無いのかしら? なんで反応が無いのかしら?」
パンッ。 渇いたカシワ手の音。 振り向くと、水銀燈が怜悧な瞳で真紅を見つめている。
「……真紅ぅ。 貴女の姉として一言言わせてもらうわぁ。」
「あら珍しい。 面倒見のとってもよろしい水銀燈お姉さまから、訓示の言葉を戴けるなんて。 明日は雨かしら?」
「確かに。 君からそんな事を言い出すなんて。 僕も、興味あるな。」
「聞きたいの~。」
「あれあれ? カナも同じ事を言ったかしら? カナも同じ事を言ったかしら?」
ふぁさっと髪の毛を払って、優雅に毛先をくるくる弄る水銀燈。 視線は毛先に向けたまま、気のない素振りで告げる。
「結局ねぇ、貴女は実力で負けたのよぉ。 自分を律する事もできずブクブク太った結果、オトコに捨てられたのぉ。
分かるぅ? 敵は自分だったのよぉ。 貴女は翠星石に負けたんじゃないの。 自分自身に負けたのよぉ~。
それなのに、さも自分が被害者であるかのようにヒステリー起こして当り散らすなんて……」
ビシィ! 鋭く真紅に指先を突きつける。
「醜いわよぉ! し・ん・くぅ~!!!」
「いったぁー!」
「水銀燈かっこいいの!!」
さすが水銀燈! 僕らに言えない事を平然と言ってのける! そこに痺れる憧れるゥ!!
「フッ、なんて無様なのかしら。 貴女はもう真紅じゃないわぁ。 そう、肉。 真肉にでも改名するのねぇ!」
「そこまで言っちゃうかぁー!!」
「もう水銀燈フィーバーが止まらないのーーー!!!」
凄いぜ水銀燈! 見事なまでの斬りっぷりに、僕らの熱狂はクライマックスへと向かって高まっていった。
ド グ ワ シ ャ ァ ッ !!!
グボッ、と嫌な音を立てて真紅が拳を引き抜く。 水銀燈はものの1秒で厚さ1ミリの押し花となった。
今更ながら正論の通じない相手に命運を握られている事を悟り、僕らはガタガタ震えるだけなのだった……。
158:SUPER SIZE SHINKU 06/10
07/05/18 23:55:44 82sDwRU5
「まったくこの菌類が……今度燃やした暁には、悠長に見てたりせずガンガン石炭をくべてやるのだわ。」
ペラペラになった水銀燈を見ながらぼやく真紅。 罪の意識って何だろう。
「しかしアレね……。 これだけ時間があっても帰って来ないなんて、あの二人……キメてるかもしれないわね!」
ブフッ! ペラ銀燈から頂戴したニュー・サン・キングを盛大に噴出す僕。
すっ、翠星石が? ジュンくんに、その……操を? ブンブンと頭を振って、変な考えを振り払う。
「あっ、あのね真紅。 常識で考えなよ。 いくら好き同士でも人間とドールだよ? それは無いよ。」
「どうかしら? ジュンは私のネジを巻く前に下着チェックをした生粋の淫獣よ。 きっと今頃二人は熱く抱擁を交わしてるわ。」
「ハハハ、無い無い。 おかしな想像して、二人に失礼だよ。」
「やがて翠星石は目を閉じ唇をかざして、ジュンの唇がたどたどしくそれを覆うのだわ。 心音と息遣いが二人の全て……。」
「いやいやいや、やめなって。 分かるでしょ? 本当マジメな話。」
「絡めた舌から唾液を嚥下し合う二人。 荒い息がリビングを満たす中、ソファに倒れこんだ二人は互いの服を……。」
「だからやめろって言ってんだろ!!! ぶっ殺すぞ!!!!!」
思わず憤怒の言葉が口をつく。 そしてすぐに後悔。 お父様、本当に申し訳ありません!
僕は激情に囚われて、薔薇乙女らしからぬ暴言を吐いてしまいましたぁ!!
「そうよ蒼星石。 それが当然の反応。 貴女はさっきから他人事のようにこの話を聞いてるけど……。」
バオッと指先を突きつける真紅。 風圧で僕の顔面がひしゃげる。 ほんと何者ですか貴女。
「このままでは、翠星石はあの生殖鬼のモノになってしまうのよ!!!」
「!!!」
核心を突かれた。 その通りだ。 ついさっき僕を苛立たせたもの。 それは、翠星石を誰かに取られるという。
嫉妬だったのだ。
「でっでも……翠星石はそれを望んでるんだ。 僕が口を出す筋合じゃない……。」
「お馬鹿ね、蒼星石。 いいこと。 確かに、意思を尊重して自由にさせてあげるのは一つの愛情だわ。
でもね。 間違っていたら間違っていると頬をひっぱたいてあげるのも、また一つの愛情なのよ。
…………ねぇ、手を貸して頂戴、蒼星石。 今の私には。 貴女の助力が必要なの。」
……。 僕はどれくらいの時間黙っていたのだろう。 1分? 2分? ひょっとしたらもっと。
やがて目を開いた僕は。 しっかりと真紅の手を握ったのだった。
159:SUPER SIZE SHINKU 07/10
07/05/18 23:56:36 82sDwRU5
「お前らの考えてる事は、全部まるっとお見通しだ!」
リビングでまったりテレビを見ながら、時間を潰す僕ら。 平和だ。 普通に平和だ。
翠星石もいつもより機嫌がいいからか、大人しい。 真紅には悪かったけど、たまにはこういう時間もいいかな。
「あー、面白かったです。 上田ときたら本当にケッサクですぅ!」
乗り出してた身から力を抜き、ぽふんと翠星石がもたれかかってきた。 んん。 さっきのさっきだし、思わず緊張してしまう。
でも。 頭のどこかでは、こんな展開を考えていたような。 それでいて、考えるな、とも考えていたような。
「ドラマ終わっちゃったですねぇ……。」
「う、うん……。」
心地いいような、居心地悪いような、微妙で神妙な空気が流れてる。 ま、間が持たない……。
「……ジュン。 その、どうせだから、次の番組が始まるまで、ば、BIRZの練習……とか。 するのは、どうでしょう。」
「へ。 レンシュウ? と言うと。 ……あ、あ、あー、練習ね。 い、いいんじゃないか。」
BIRZの練習と言うと、えーと、勿論ろま……ロマンポルシェ。 ではなく。 やっぱり、さっきの話……だよな?
「そ、そうです。 練習です。 こ、これはあくまでBIRZの練習であって、それ以外の何者でもないのですよ……。」
「れ、練習だよな……。」
「練習です……。」
動悸が速すぎて胸が痛い。 小さすぎる肩に触れた。 少しずつ近付く顔。 ポプリのような香り。 大福を食う雛苺……。
「「 うぉわぁあああああああうあうあうあう !!! 」」
「ぴきゃー!」
大慌てで離れる僕らと、大声に驚いて叫ぶ雛苺。 危なかった! 今のは危なかった!
「二人とも何してたの?」
「へ? い、いや、ちょっとチビ人間の鼻毛が出てるみたいだったのでチェックを……。」
とばっちりで鼻毛キャラにされてしまった。 ちくしょう、本当にそんな所見てたんじゃないだろうな。
「そ、そういうお前はまた苺大福を食ってるのか? 苺大福もお前に食べられ続けて、可哀想な人生(?)だな。 ハ、ハハ。」
アホな事を言ってしまった。 しかし雛苺はそれに取り合うでもなく、ギタリと笑うと、豪快に苺大福を噛み千切った。
「ふふふ……心配しなくても、うにゅーの次はジュンの番なのよ……!」
「何だそりゃ!? 日常会話にしては斬新すぎるだろ!!!」
もっともそれは冗談では済まなかったのだった。
160:SUPER SIZE SHINKU 08/10
07/05/18 23:57:28 82sDwRU5
「い、一族郎党皆殺し……ですか。」
「そうよー。 もんくを言った水銀燈は、三次元から二次元にあっしゅくされちゃったなの。」
ガクガク震える僕ら。 どうやらほとぼりを冷ますどころか、僕らは完全に真紅を怒らせてしまったらしい。
だってしょうがねーじゃん! BIRZは樽ドル雑誌じゃないんだもん!
「ヒナがこのうにゅーを食べ終わる頃、ジュンはもううにゅーを食べられない体になっているのねー……ふぅ。」
「やめろよ!!!」
苺大福をかじりながら、しみじみと溜息をつく雛苺。
いるよねこういう奴! 瀬戸際の人間を見ると、大した理由も無くプレッシャーかける奴!
「えっと……翠星石たち、いる?」
「ひっ! そ、蒼星石!!」
リビングの入り口にひょっこり蒼星石が現れた。 雛苺リークで、こいつが魔王の尖兵である事は分かっている。
そんな見え透いた愛想笑いには騙されないぞ! いやらしげな帽子被りやがって!
「ねぇ。 もう真紅も落ち着いたし、そろそろ部屋に戻って来ないかい?」
「絶対にお断りですぅ!!」
「どうせ僕らを部屋におびき寄せて、ゆっくりとリンチするつもりなんだろ!!!」
露骨にギクリとする蒼星石。 マジなのかよ!
「い、嫌だなぁ。 どうして僕が真紅に加担しなきゃいけないんだい? 僕も彼女の横暴にはうんざりしてるのにさ。」
「ははぁ、分かった。 おおかた、僕に翠星石を取られて悔しいからだろーーー(笑)。」
「 ッ ラ ァ !!!!! 」
ザギッ。 蒼星石の飛び足刀が人中をえぐり、僕は台所まで吹っ飛ばされた。 やはり(笑)の威力は凄い……ガクッ。
「ジューン! カムバーック、なのーーー!!」
「そっ、蒼星石!! いきなり何て事するですか!!?」
ガクリと膝をつき、四つん這いで男泣きに泣き出す蒼星石。
「あぁそうさ! 妬みさ! 嫉みさ! 僕と翠星石はいつだって一緒だったんだ! なのに今は僕の場所に違う人がいて!
それも、よりによってメガネで根暗で引き篭もりな禁治産者で! 簡単に割り切れるわけないだろォーーー!」
恥も外聞も無い慟哭。 それは強く僕らの胸を打って。 ことさら僕は違う意味でも胸が痛くて。 そんな風に思ってたの?
そんな中、翠星石は泣き崩れる蒼星石に歩み寄ると、優しく肩を抱きしめた。
161:SUPER SIZE SHINKU 09/10
07/05/18 23:58:20 82sDwRU5
「蒼星石……私たちは双子じゃないですか。 家族の絆は、どんなに離れても決して切れないのです。
足元を見失って、オージービーフの手先になるなんて……蒼星石には似合わないですよ。」
「うっうっ……ごめん、翠星石。 手を切るよ。 僕、あの悪性コレステロールとは手を切るよ……。」
こうして蒼星石はベジタリアンとなった。 やっぱり牛肉は国産に限るよな。
しかしハッピーエンドに見えたのも束の間。 まるで天からの警句のような、恐ろしい声が辺りに響き渡った。
「うおおおお……あっさり裏切ってるんじゃないのだわ! この…………エロ帽子が!」
「お父様から載いた帽子だ!」
「 エ ロ 親 父 が !!!!! 」
「 お 父 様 の お 父 様 か ら 頂 い た お 父 様 だ !!!!! 」
真紅だ! まさか二階にいるまま会話できるとは。 声デカい! 耳もいい! そういやオペラ歌手って太った人が多いよな。
と言うか、この会話ご近所さまに聞こえてやしないだろうか。
学校にも登校せず、部屋からは小っちゃな女の子の声ばかり聞こえます。 恥ずかしすぎて死にたい。
「貴女まで私を見捨てるの? どうして? 半年も私をほったらかしにしたのは誰よ! BIRZじゃないの!
必要とされないドール。 愛されないドール。 その気持ちが貴方たちに分かって!?
気を紛らわすには食べるしかなかったのよ。 誰からも必要とされない日々。 不安で。 不安で。
涙を見せないためには、食べるしかなかったのよぉ……う、うっうっ……。」
真紅。 頭をハンマーで殴られたような気がした。 僕はなんて事をしてしまったんだろう。
忘れていた。 真紅が右手を失った日。 あいつがどんなに変わっても、僕は変わらないって。 そう誓ったはずなのに。
真紅が少し太ったくらいで。 そんなちっぽけな理由で、大切な事を見失ってしまっていたんだ。
「悪い、翠星石。 えと、僕……行ってくる。」
「……はいです。 ほら、ちんたらしてるんじゃねーです! ダッシュダッシュです!」
僕にその言葉は届かなかった。 もう走り出していたから。 階段を二段飛ばしで駆け上る。
例え、ビッグオー真紅に思い切り横っ面をひっぱたかれるとしても。 僕はあいつの所に行かなくちゃ。
「真紅!」
「ジュン……?」
そして僕はドアを思い切り蹴飛ばして。 何も言わず、あいつの胸に飛び込んで。 そっと、だぶつく脂身を抱きしめたんだ。
162:SUPER SIZE SHINKU 10/10
07/05/18 23:59:21 82sDwRU5
「真紅……。 さっきは言いそびれちゃったけど。 貴女の姉として、一言言わせてもらうかしら。」
黄色いのが真紅に優しく手を差し伸べる。 え。 お前ずっと部屋にいたわけ?
今の抱擁を見られたのは、ちょっと気恥ずかしい。
「貴女は見失っている事があったかしら。 本当に大切な事は、見た目じゃないの。
例えBIRZ収録の日までに痩せられなくても。 痩せようと努力する気持ち。
その心こそが大切なのかしら。 心なくして心を通わせる事はできない……もう、今の貴女なら分かってるかしら。」
そう言って。 黄色いのはニコリと微笑んだ。 それは、とても慈しみに満ちた微笑で。
こんなに小さい体だけれど。 彼女は大きかった。 彼女は真紅はより大きい、寄りかかる事のできる相手なのだった。
そして真紅はそっと涙を拭って。 彼女に向かって最高の笑顔を返したのだ。
「ありがとう…………貴女の事、大好きよ。 量産型雛苺…………。」
「 カ ナ が お 姉 さ ん か し ら ぁ ーーーーー !!!!! 」
そして。 BIRZ収録の日がやってきた。
「雪華綺晶さんスタンバイOKでーーーす。」
ADの声が響き渡る。 遂に真紅の出番だ。 結局、真紅は痩せる事はできなかった。
でも。 いいんだ。 そんな事は。
真紅は真紅だから。 それはきっと、誌面を越えて、読者の心にも届くから。
ふと、振り返る真紅と目が合った。 二人して、口元が綻ぶ。
言葉なんか無くたって。 今は分かる。 何もかも上手くいくって。 だから僕は。
振り返らないでスタジオを後にしたんだ。
次の号。 ローゼンは打ち切られた。
おしまい
163:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/19 00:05:16 fL1QWZ03
金糸雀うざい
164:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/19 00:10:16 KbkhZpd+
>>162
そりゃ打ち切られるなwww
面白かったww
165: ◆xLJAc4vOZM
07/05/19 00:31:31 tGpuwKQ0
自分は自演など一切しておりません。
一部のレスを見て非常に不愉快に感じたので書かせていただきました。
何の根拠も無いにもかかわらず、このような事を書かれるのは極めて不快です。
もう自分は二度とこのようなスレには投下しません。
先に投下した二つの拙いSSを読んでいただいた方々、ありがとうございました。
空気を乱して申し訳ありませんでした。
166:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/19 00:36:01 AyIvu8fq
おいおい
167:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/19 00:41:57 iwSHnT42
>>165
そうだそれでいい。自演厨もう来んな
168:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/19 00:49:31 Y0oSo9WU
>>162
なんという文才…面白かったGJ
169:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/19 03:08:42 tGqLgU0/
見やすい文章と見づらい文章がある
>>153の文章は久しぶりに見やすかった
んでもってカオスとシリアルの連動っぷりがよかった
んで、この人どっかで見たことある気がするんだ。ピンハかEVERGREENか翠マフラーの人じゃないかな
170:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/19 06:55:16 TdDlDBOw
ここもこんな状態か
どこもかしこも持ち直しは無理そうだ
171:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/19 12:50:33 fL1QWZ03
あげ
172:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/19 13:07:22 7kedL32r
アリスゲームが終わって2年後
人知れず人間を襲うドールがあらわれた
今はいない薔薇乙女の分まで奮闘する
みッちゃん、巴、じじい
劣勢挽回の為じじいはひとつの紙にマークをする
巻きます ○
しかし何もおきない
「なぜなんだ?」
「おまえでは無理だ」
そこに今まで行方不明だったJUMが
ベルトを巻いて登場
「来い!ホーリエ!」
ローゼンメイデン・カブト
あまりこのスレに合わないかも
173:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/19 19:18:50 Mr2yaVPa
こうして貴重なコンテをUPしてくれた43と、
107、165のSS作家を住人のみんなは力を団結して叩き出しました。
作家達のアリスゲームはこうして更なる始まりを迎えるのです。
叩いて叩いて叩きまくり、再起不能にされるか這い上がるか。
それはアリスを目指す作家達の根性と、読者達への服従貢献度が
どれだけあるかにかかっているのです。
ですからたっぷりと頑張って下さい、皆さん。
トリビアァァァル!!!
174:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/19 21:59:32 6hPftTXN
もうだめぽ
175:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/19 22:31:07 TJwPZ+IQ
>>153-162
GJ!
こういう楽屋裏ネタ的後日談SSって好きだなー。
読みやすい上に良く練りこまれていて面白かった!
まさにローゼンSSの手本だ。
ひょっとしてこれまでも単発のバキネタとかで投下してた人かな?
次作も期待大ageですよ。
>>165みたいのがベタ褒めされることに疑問を感じていたし、
もともといちいちそんなことで褒めたりするスレでもなかったと思うけど
敢えて評価するというのならば、>>153-162のようなSSこそが
本来評価されるべきSSだと思うね。
>>165
気の毒な気もするけど、最後の一文がちょっとひっかかるわけで。
無実なら書く必要も無い文なのでは?
抗議する相手へのアンカーも無いし。SSの文体も疑わしい人たちに似てるし。
彼らかららしいレスも無いし。
図星だったのか、褒め殺しにされたのか。
ま、いいや。また気が向いたら来てね。
176: ◆xLJAc4vOZM
07/05/19 23:37:51 tGpuwKQ0
>>175
自分はただ、新しいSSが投下されて、せっかく良い雰囲気になりかけてた
所にこういう事書くとまた空気が悪くなると思って書いただけです・・・
177:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/19 23:58:56 H8wuu0SC
どっちもどっちってことでひとつ
178: ◆xLJAc4vOZM
07/05/20 00:03:14 8mp3tpyy
>>177
何故???意味が分かりません。自分はただSSを投下しただけですよ!(怒
ハッキリ言って自分は何も落ち度はないし、悪くないと思っております。
だいたいこのスレの最初にいた人は何処に行ったのでしょう。
ここをまだ見ているなら少しは弁護して欲しいところです・・・
179:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/20 00:10:35 xSh6edTc
うるさいそんなことよりオナニーだ
180:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/20 01:35:34 kR/ruos5
>>162
GJだ!
もう一回、シリーズの一番最初から読んで泣いてくる。
ちうか、新しいシリーズをぜひとも書いてほしい。
さっきも書いたが、俺はアンタのSSのためにこのスレに来てる。
正直言って、原作者に承諾得て、正式に執筆するのを奨めたいくらいだ。
もう一度言おう。
GJだ!!
181:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/20 05:12:12 yw1X+qhk
おまいら天才か
182:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/20 05:39:29 68KEaqWT
ここも荒れてるのか
183:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/20 09:54:09 tKQkK69n
>>180
コピペ乙
一昨日出直しておいで
184:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/20 10:42:55 omods3B0
それじゃ初期にいたけど、一年くらい離脱していたおいらから一言
>>1を読め。10回くらい読め。それが全てだっ。
185:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/20 11:47:34 kbGwN4tb
◎(゚∀゚)◎アヒャ!
186:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/20 13:50:17 jz/hvica
ほめ殺しって上手い言葉だよな
187:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/20 16:10:29 tCYL8yB9
>>184
了~解っ
>>186
元祖は故 竹下 登だったけか?
188:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/20 21:14:20 bhvB6jck
中曽根じゃなかった?
189:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/20 23:40:55 FrGSJAkb
kaso
190:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 00:10:15 3D3/QVtJ
kuso
191:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 02:00:52 GTibp15a
>>98の言ってるお見舞いとかいうSSはノーマルスレ史上最悪のクソSS
それをわざわざ宣伝する98はそのクソSSの作者本人
つまり自作自演の最低なクソ野郎ということです
192:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 02:10:44 39LiFASX
>>191
まぁそんなクソクソすんなって
193:98
07/05/21 02:41:51 3MuFXwcx
>>191
何を根拠に自作自演だと?
俺は間違いなくSS職人ではないぜ。
まあ、どうでもいいけどな。
どうせこんな所でしか吠えられない、虫ケラ以下の知能指数の奴を相手にしても仕方ないからな。
ホント、可哀想に。
お前は頭の良くなる薬でも作ってもらえる製薬会社の実験動物になった方が幸せな人生を送れるよw
194:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 04:07:22 RC0p+x+2
何でこんなにあおり耐性が無いんだここは
195:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 07:12:23 kRSWBWjb
>>193
一番の馬鹿はおまえかもな
196:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 07:28:43 uxf9ymop
頼むから同人関係者の罵り合いは他所でリアルでやってくれ。
ディープな対立関係をこのスレに持ち込まないでくれ。
197:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 08:10:20 uxf9ymop
>>165も、そんな争いに利用されたとしたら
あまりに気の毒。
198:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 14:14:59 Apxzm74T
>>195-197
一連の褒め殺し&叩きの元凶&マッチポンプ乙!!
199:変態めぐ ◆b7XuiBsTpk
07/05/21 14:57:40 ESqQQUwT
.'´,ヘ ヘヽ
!〈 ((゙ "))〉 スレリンク(charaneta2板:1-100番)
il!!|.゚ ヮ゚ノ! ママ銀燈スレ復活!良かったら来て
il(i ゜ ゜i)l
ノl!!l |!|
|._ハ_.|
i⊃i⊃
200:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 15:02:37 mDSkncjU
>>198
一連の褒め殺し&叩きの元凶&マッチポンプ&傍観者の振りした煽り厨乙!!
201:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 15:17:04 Apxzm74T
>>200
一連の褒め殺し&叩きの元凶&マッチポンプ&傍観者の振りした煽り厨乙!!(^O^)
202:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 15:22:03 RC0p+x+2
だからなんでこんなに耐性無いんだ
203:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 17:07:16 uxf9ymop
>>202
暇潰しなんじゃないか?
204:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 17:36:37 kRSWBWjb
こんな所で暇潰しするより、将来食うのに苦しまないように
今は一刻も早く学校に行くべきだと思うわぁ~お馬鹿さぁ~ん
205:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 17:37:49 mDSkncjU
>>201
一連の褒め殺しの真紅&叩きの元凶の水銀燈&マッチポンプの金糸雀&傍観者の振りした煽り厨翠星石乙乙!!(^O^)
206:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 18:24:30 mDSkncjU
我ながらなかなかのお馬鹿さんっぷり。
>>204のように言われると弱いので、ここで止めとこう
207:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 19:00:22 FPKec1pV
>>206
なんなんだ、あんたは?
208:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 21:20:38 L2CdXoG2
ピンポーン
「誰だよ、こんな朝っぱらから…」
姉が登校してしばらくした後、呼び鈴が鳴った。
とりあえず誰が来たのか確認してから居留守を使おうと決め込み、
覗き窓に顔を近付ける。
(って柏葉?なんの用だろ?学校に間に合うのか?)そんなことを思いながら扉を開けるジュン。
がちゃっ
「あ…おはよう、桜田くん…」
挨拶をするものの、その表情はひどく落ち込んでいる。
「(なんか今日はいつにも増して暗いな。何かあったのか?)あ、ああ、おはよう…
どうしたんだこんな朝から」
「うん…ちょっと相談したいことがあって」
「ふーん…でも学校は?」
学校という言葉を聞いた途端、表情を更に強ばらせる巴。
「…! 相談っていうのは、その学校のことなの…」
「(何か複雑な問題みたいだな。姉ちゃんも居ないってのに…)まあ、立ち話もあれだし、とりあえず上がってよ。
話は中で聞くからさ」
「ごめんなさい…急に押し掛けて」
「いや」
「…ところで、雛苺は?」
「それが、まだ帰ってきてなくて…」
「そう…」
「真紅たちも最近はよく出かけてさ。今もどっかに行っちゃってるよ」
209:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 21:23:11 L2CdXoG2
場所を居間に移し、紅茶とお茶うけを用意したあと、ジュンは尋ねた。
「それで、相談っていうのは…?」
「うん、実はね…」
俯きながら巴は語りだした。
聞けば、学校の帰りに偶然ポストに手紙を出そうとしていた雛苺と会い、
近況を話ながら桜田家へ送り帰したのだが、
その様子をクラスメイトに見られたらしい。
友達も少なく、教室で浮いた存在となっている学級委員さまの
隠れた趣味発覚とばかりに、クラス中に「巴は人形遊びが趣味で、外で堂々と人形に話しかける危ない人」だの
「クラスになじめないストレスのあまり人形いじりに走った」だのの噂が広まり、
教室に居れなくなったという。
しかし厳格な父に登校拒否を認めてもらえず、似たような境遇の幼なじみに話を聞いてもらおうと、
ジュンを頼って桜田家へ足を運んだ次第だそうだ。
「それは…大変だったな」
「うん…これからどうしようかと思って…」
「担任に相談しようにも、アイツじゃな…」
脳裏にジュンのトラウマの原因をつくった、あの担任教師の笑顔が映り、
ジュンはうんざりした表情で言った。
「それじゃ下校の時間まで家に帰れないな」
「うん…どうしよう」
「とりあえずウチに居る?」
そう言って、ジュンは激しく後悔した。
何を言ってるんだ僕は。 今は両親も姉ちゃんも居ないんだぞ変な誤解を受けたらどうするんだよ!
「本当にいいの?」
ジュンが一人で慌てふためいているのをよそに、
巴は顔を上げてジュンを見つめながら聞いた。
…そんな顔をされたら断れないじゃないか。
「あ、ああ…」
っておい「ああ」じゃねえよ僕は
っていうか柏葉ももっと深く考えろよ
誰も居ない家に男と女二人っきりだぞ!?
こうして始まった二人の登校拒否カップルの行く末は…?
続かない
210:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 22:02:04 1vVKxfac
馬鹿野郎、何故エロパロ板じゃなくここで書くんだ
211:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 22:09:49 JP4mwcY3
>>207
自作自演したり煽ったりと忙しい、学校通いの某SS書きじゃね?w
212:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/21 23:22:43 3D3/QVtJ
ていうかここって笑えるほど馬鹿ばっかだなw
SS書き、SS読み、馬鹿同士で言い合ってるのかwそりゃ結構結構wwwww
見てると面白いから頑張れw
213:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/22 00:10:23 pyd2Wz7d
面白アゲ
214:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/22 00:19:05 sA+5fP+5
URLリンク(rozen.no-ip.org)
(゚д゚ )
<⌒/ヽ-、__ノヽノ |
/<_/____/ < <
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(゚д゚ )
<⌒ヽ_ /ヽ-、__ノヽノ |
/<___ノ/____/ < <
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
Σ(゚д゚ )
<⌒ヽ /ヽ-、__ノヽノ |
/<___ノ ̄ ̄/____/ < <
(゚д゚; )
<⌒ヽ_ /ヽ-、__ノヽノ |
/<___ノ/____/ < <
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(゚д゚; )
<⌒/ヽ-、__ノヽノ |
/<_/____/ < <
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
∧∧
( ・ω・) Σ(゚д゚ )
_| ⊃/(___ノヽノ |
/ └-(____/ < <
∧∧
( ゚д゚ ) ( ゚д゚ )
_| ⊃/(___ノヽノ |
/ └-(____/ < <
215:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/22 00:29:58 c/pyXo/F
>>1
↓ _人
∩ ∧_∧ ノ⌒ 丿
\ヽ_( ) _/ ::(
\_ ノ / :::::::\
∩_ _/ / ( :::::::;;;;;;;)
L_ `ー / / / \_― ̄ ̄::::::::::\
ヽ | |__/ | ノ ̄ ::::::::::::::::::::::)
| ̄ ̄ ̄\ ノ こんな ( ::::::::::::::;;;;;;;;;;;;ノ
| | ̄「~| ̄( 、 A , )クソスレ / ̄――― ̄ ̄::::::::\
| | | | ∨ ̄∨ ( :::::::::::::::::::::::::::::::::)
し' し' \__::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ
__
>>1 l ̄/. ___
↓ / /. / ___ノ
__/ /_/ /
たてんじゃねー! Y人, ' ',人⌒ヽ、, '
Y⌒ヽ)⌒ヽ、 人,ヽ)人'、, '
へ, --- 、 ノ ̄ ::::::::::::::::::::::)
/ ̄ ̄ ̄ 、____\ ( ::::::::::::::;;;;;;;;;;;;ノ
/ _/ ̄「~|\ __ \ / ̄――― ̄ ̄::::::::\
| | | | ( 、 A , \ミソ ( :::::::::::::::::::::::::::::::::)
し' し' と∨ ̄∨ \__::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ
216:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/22 00:41:14 zDajZO+y
おい、やめろ!もうこれ以上荒らさないでくれ!
217:Rozen Maiden LatztRegieren I:余命 Remained Life
07/05/22 02:24:09 CvZx6MMb
>>135の続き
9
水銀燈は自分を呼ぶ声に目を開けた。
その途端、朝日の光が一挙に目に飛び込んできたのでひどく動揺した。水銀燈はあまり日の光は好きでない。
なぜこんなことに?
自分の記憶をしばらく辿るとすぐに答えが出た。
あのまま病院の外に腰掛けて寝てしまったのか。
「ねぇ、水銀燈」めぐは窓から顔を出して自分を覗き込んでいた。「そんなとこで寝てたら、風邪ひいちゃうよ」
「ドールは風邪なんて…」言いかけた時、水銀燈は驚いて顔を上げた。「めぐ!あなた生きていたの」
めぐは自嘲するように笑った。
「私もね、驚いちゃった。まだ生きているなんて。昨晩、水銀燈が慌てた感じで窓から飛び込んできた時は嬉しかった。
死ぬ前にちょっとだけでも合いたかったから。結局生き延びちゃったけど。あの時私の命を使ってくれれば絶対に死ねたのに。」
水銀燈はめぐから視線を逸らして言った。
「アリスゲームが始まらないと契約も意味が無いと前も言ったでしょう?」
「ふふ…そうね。でもいいんだ」
めぐは両腕を窓口に組んで遠い空を見つめた。
「私ね、余命ニ週間なんだって。看護婦さんたちが話しているのを聞いちゃった。
心臓が肥大化して細胞が死滅していくんだって。全く原因が分からないみたい。
特効薬なんて無駄なことで進行が抑えられたらしいけど、それでももって二週間だって…ふふ」
「そぉ…よかったじゃなぁい」
水銀燈はめぐから視線を逸らしたまま答えた。
「ニ週間後に余命が尽きて死ぬか、それまでに天使さんに命もってかれるかのどっちかね。
どっちかというと天使さんに命もってかれる方が素敵な感じでいいんだけどな。贅沢過ぎかな…?」
めぐが自分のベッドに戻っていくと、水銀燈は後を追うようにして窓のふちに飛び上がってから着地した。
「下らない人生だった…生まれたて心臓が壊れてて、ろくに学校へも通えない。友達もいない。パパとママは喧嘩ばかり。
ついに私が10歳の頃ママは家を出ていっちゃった。パパは仕事のことしか頭になくて、私のことは忘れてる」
生まれた時から壊れてて、父には忘れられる。水銀燈はぞっとしてすぐに考えるのをやめた。
「おばあちゃんには昔歌を歌ってもらったりしたけど、そのおばあちゃんもいなくなっちゃった。
今となってはだーれも私のことなんか気にかけちゃいないの。そして毎日このつまらない部屋で死ぬのを待」
「黙りなさい。その話を聞いていると気分が悪いわ」
めぐは驚いて水銀燈に目を向けると、彼女は腕を組んだまま窓からずっと外を見ていた。
「ごめんなさい」
二人の間に気まずい沈黙が流れた。
218:Rozen Maiden LatztRegieren I:余命 Remained Life
07/05/22 02:25:12 CvZx6MMb
「ねぇ、水銀燈」
めぐは沈黙してるままではつまらないとばかりに再び話し掛けた。
「なにかしら」
水銀燈は外を向いたまま答えた。
「両手の指先を全部あわせて、中指だけ折り曲げてみて?」
そう言って、めぐは見本を手でやってみせた。中指だけ第二関節まで密着させ、他の指はその先端だけが接触する。
水銀燈は横目でちらとめぐの手を見てみた。
一瞬、いかにも下らなそうなことをしているので無視しようと思ったが、
不意にさっきめぐをを黙らせたことの後ろめたさが水銀燈の心に働き始めた。
もう一度横目でめぐを見てみると、お願いといわんばかりのめぐの顔がずっとこちらに向けられている。
それから水銀燈は数秒間だけ粘った。やがて、はぁとため息をついて手を動かした。
「…こーぉ?」
「ええ。そしたら、親指、人指し指、薬指…という順で指をはなしてみて」
水銀燈は言われた通りに指を離し始めた。親指、人指し指は何の問題もなく離れたが、薬指だけがどうしても離れない。
「ふふ」めぐは小さく笑った。「お人形さんでも水銀燈は人間と同じ関節の構造してるんだ」
水銀燈は手を組みなおした。「くだらないわ。ばかじゃなぁい」
「私達人間もね、こうしていると薬指だけは絶対に離れないの。
だから結婚指輪は薬指にはめるんですって。永遠に二人の仲が離れないようにって」
めぐと水銀燈は同時に左手の契約の指輪を見た。
「他にもね、左手の薬指は心臓に直結しているとか、リングには終わりが無いから永遠にとかどうとか」
水銀燈はあまり興味を持っていないふうだった。
「それで?」
「それでね、」
めぐは人差し指をたてた。
「私が死んでも、魂は永遠に水銀燈と一緒ってのはどう?文学的でいいでしょ?水銀燈は私の命を使っているんだからね。
そしたら私の魂は水銀燈と一緒に空を飛べるの」
「ふん…勝手にそう思ってなさぁい」そう言い残して、水銀燈は窓から飛びだっていった。
219:Rozen Maiden LatztRegieren I:余命 Remained Life
07/05/22 02:27:33 CvZx6MMb
10
「金糸雀が…動かなくなった?」
聞いた真紅と蒼星石の二人が後ろから駆けつけて来た。翠星石はというと、すねて二階へ閉じこもっている。
「そう…朝起きたら鞄から起きて来なくて…気になって鞄を開けて起こしてみても全然反応しなくて…」
みつは目を真っ赤にさせながらようやく答えた。ずっと泣いていたのだろう。
「わーーん!私の…私のカナがああああああああああああああ!!カナカナカナあああああああ」
みつはジュンに抱きついて吹っ切れたように号泣をはじめた。
「わああ…なんだよ…」ジュンは戸惑った。大人の女性に抱きつかれて泣かれるのなんて初めてだ。
みつの長い髪のかおりが鼻をつき、ジュンは気恥ずかしさを覚えた。
「ちょっと、金糸雀を私に見せて!」真紅はいきなり取り乱したように言って二人の間に割って入った。
金糸雀がみつとジュンに挟まれて押し潰されそうになっているのを見かねたからのか、
みつがジュンに抱きついているのに不愉快を覚えたからなのかは微妙だ、と蒼星石は思った。
「いけない、私ったら!」みつは我に戻り、慌ててジュンから離れて金糸雀を差し出した。
すると真紅は落ち着きを取り戻した様子で金糸雀を優しく抱きかかえ、まずは顔を見た。眠り続けたままの顔。次に背中の螺子。
最後に両脇を支え持ち全体を見る。一同が真紅の行動を見守った。
真紅は結論を口に出した。「金糸雀は眠っているだけだわ」
「じ、じゃあ金糸雀は無事なの!?」みつの顔がぱっと明るくなり、両手を合わせて真紅に迫った。
「ええ…まあ」真紅は答えた。「正しくは、金糸雀は夢の中で迷子になっている…」
みつは困惑した。「どういうこと?」
「…夢の中」蒼星石が代わって説明を始めた。
「僕たちローゼンメイデンは眠るとき必ず身を置く場所があります。そこが夢の中といったところです。
人間にも本来それぞれもっているのですが、人間にははっきりとそれを見ることが出来ません。
僕と双子の翠星石にはその夢の中への入り口を"見つけ出す"力を持っているのですが…その僕が知っていることは…」
蒼星石は自分の言葉にとまどいを見せた。
「人やドールが夢の中からの出口を見失ってしまった場合、一生そこから出れません。
現実世界ではずっと眠り続けたままになるんです」
蒼星石が喋り続けるにつれ、みつの顔には絶望の波が広がっていった。今にも再び瞳から滝のような涙を流しそうだ。
「それじゃあ…それじゃあカナは…」
「大丈夫よ」真紅が急いでなだめた。「その為にここに蒼星石がいるんですもの。金糸雀の夢の中に蒼星石の力を借りて入り、
金糸雀を見つけ出せればきっと呼び起こせるわ」
「ほ、ほんとおお!?」みつは希望に満ちた明るい顔に瞬時にして戻った。その表情の切り替えの速さは漫画のようだ。
「カナ、カナを呼び起こしてくれるの!?」
その問いに答えられるのは私ではない、真紅はそう思って蒼星石を見やった。
すると、蒼星石は微笑みながら真紅にうなづいた。オーケーサインだ。
真紅はみつに向き直って答えた。「ええ。だから安心して」
「ありがとう!真紅ちゃん、そして蒼星石ちゃん!!本当にありがとう!!きっと何かお返しするわ!」
みつは二人を両腕で抱きかかえ、ついに二度目の涙を解き放った。今回は嬉涙だ。
「でもおかしいよ、真紅」蒼星石はきつく抱かれながら小さな声で真紅に耳打ちした。
「今日の朝まで自分の鞄の中で眠っていたということは…」
「ええ。"自分のフィールド"から出られなくなるなんてことはローゼンメイデンには絶対にありえない」
真紅がまじめな顔つきをして答えた。「きっと昨晩金糸雀に何かあったわ」
「ああ、そういえば…」みつは突然何かを思い出したように言い出した。
「今日の朝、壁に変な文字が現れていたの。英語だかドイツ語だかわからないけど…とにかく変な文字。
外国語なんて全然私には読めないけど…すぷれんでぃとーとかなんとか」
「変な文字が壁に?」真紅は強い興味を示した。まるで何かに思い当たったかのようだ。
「それは英語かドイツ語かはっきりしない?」
「それが、とにかく変な文字でちょっと分からないのよ…ある文字は知っているアルファベットで、
ある文字はなんだかへんな感じになってる。iとsが合体したような…でも、多分英語じゃないかなあ」
真紅は一考した。薔薇乙女は元より様々な言語に精通しているが、
一部は通常のアルファベットで、一部はiとsが合体した文字を含むなんて言語は英語はもちろん、
ドイツ語にもラテン語にも思い当たらない。
まさか本当にそんな言語が存在するのだろうか。真紅は蒼星石に視線を送ると、蒼星石も首を横に振った。
220:Rozen Maiden LatztRegieren I:余命 Remained Life
07/05/22 02:28:35 CvZx6MMb
「ねぇ、その文字、私たちに見せて頂戴」
真紅が切り出すと、みつは驚いた様子をみせた。「え?でも私の家、遠いよ?」
「あら、問題ないわ」真紅は微笑んでから踵を返し、廊下の奥へと歩き出した。
「私が許可するわ。家に上がって頂戴。ある部屋に案内するから」
今まで黙って話を聞いていたジュンだったが、ついにそこで割り込んだ。「お、おい、一応僕の家だぞ」
真紅は足を止めて振り返った。「そういえば、ジュン、あなたもよ。ついてきなさい」
「僕の話を聞いてんのかよ!真紅!」
「すいません。でも今回は許してあげて下さい」蒼星石がなだめた。
「今回は真紅も人助けする為にしてるんですから。あなたも分かっているはずです」
「ああ、分かってるよ…ただ相変わらずあいつの態度が気に食わない」
言い終えてジュンは口を尖らたあと、戸惑っているみつに向き直り、あがるように素振りで示した。
「あ、どうぞ、あがってください。真紅が向かっていったのは多分鏡の部屋だと思いますので…ええっと、こっちです」
「は、はあ。お邪魔します」
みつは靴を脱ぎ整えなおしてからジュンについて行くと、やがて古びた物置部屋にたどり着いた。
物置の正面には大きくて豪勢な鏡がおいてあり、それは古き時代のものを感じさせる。
真紅はその鏡に向かって右手をかけて独り言を喋っていた。少なくともみつにはそう見えた。
「ホーリエ、以前に出かけた彼女の家のフィールドの出口は覚えてる?そう?さすが私の人工精霊ね」
真紅は言い終わると三人に向き直った。「すぐに着くわ。金糸雀は私が抱えているから」
その言葉に蒼星石とジュンが納得したような素振りを見せたが、みつには訳が分からなかった。「な、何をするの?」
真紅はみつに向かってほくそ笑んだ。「あなたはこれから、nのフィールドを通るのよ」
221:Rozen Maiden LatztRegieren I:余命 Remained Life
07/05/22 02:32:30 CvZx6MMb
11
同じ頃、桜田家の二階ジュンの部屋では翠星石と雛苺がそれぞれの行動に走っていた。
雛苺は床に紙を散らばせてひたすら絵描きに浸っている。
翠星石の方は部屋をあちこち歩き廻ったりベッドに座ったりしながらぶつぶつと独り言を口走っている。
「あのチビ人間…生意気ですコンチクショーです…」
今頃はどうせ真紅と仲良く紅茶でも飲んでいるんだろう。その光景を頭に思い浮かべた。
「きぃぃぃ!別にヤキモチとかは全然ないですけどあのチビ人間は真紅とばかり仲良くしててむかつくです!こちらがいづらいです!」
翠星石は絵描きに夢中な雛苺を尻目に部屋の中を探索し始めた。彼女の考えていることは一つ、チビ人間への復讐だ。
「あんなチビ人間にこの翠星石がなめられてたまるもんですか!!たっぷり胸に刻み込ませてやるです!!」翠星石の瞳が燃えた。
ふと、ジュンがよく座って向き合っている、光を発する厚みの薄い箱が目に入った。
この箱と向き合ってはジュンが嬉しいそうに"買い、買い"と口ずさんでいる箱だ。
最近では、真紅も同じことを始めたらしい。何でもくんくん関連の本がこの箱で手に入るとか。
今この箱の画面には、黒がベースの画面に、緑色に光ったどろどろした感じの文字でLastGenerationと書かれている。
そして左上にはサイト名が表示されていた。
OWN-AGE.COM
online gaming media and editing resources
右下には別の小さなブラウザがある。
ファイルのダウンロード
46.8kb/s 残り2時間18秒
ジュンは何か重要なことをこの箱でしようとしている。翠星石の勘が働いた。
再び雛苺に目をやると、彼女の描いた絵が数枚目に入る。どれも下手くそだが、今はその下手さが素晴らしいものに思えた。
これだ!
翠星石は雛苺に近づいて耳打ちをした。その表情は既に悪いことを企んでいる女のそれだ。
「チビチビ苺、ちょっと力貸すです…」
222:Rozen Maiden LatztRegieren I:余命 Remained Life
07/05/22 02:34:19 CvZx6MMb
12
これから自分は人間として、何か一線を越えてしまうのではないのだろうか。みつはそんな気がしてきた。
「え…えぬのフィールド?」
無情にも、みつの問い掛けに誰も答えてくれなかった。いや、更に無情にも、三人は実際にそれをやってのけてくれた。
真紅を先頭にして、蒼星石、ジュンが鏡の中にのめり込んでいく。三人を吸い込む時、鏡はまぶしく光り輝いた。
「光が消えないうちにきてください」ジュンはそういい残して - 鏡の中に消えた。
そうしてみつ一人が物置部屋に取り残された。
そう、そうよ。分かったわ。
前にも鏡の中から突然部屋にドール達がやってきたことがあったっけ。それと同じことよ…!
千鳥足で、みつはゆっくりと鏡の前に立った。鏡から放たれる光はみるみるうちに弱まっていく。
みつは覚悟を決めた。本能が鏡に頭がぶつかることを警告したが、数秒後、その警告は間違いだったと分かった。
「きたわ。蒼星石!」真紅がnのフィールドに入ってきたみつを確認するとすぐさま叫んだ。
「うん!」蒼星石は世界樹と呼ばれる巨大な樹の枝から一枚の葉を取り出し、正気を失いかけているみつの元へと急いだ。
みつは自分が水面のない深い水の中でぐるぐる回されている気分だった。
呼吸ができない。どこが下でどこが上なのかも分からない。ただせめて、触れられるものを求めて体中をじたばたさせた。
しばらくして、背中が柔らかいものに触れた。
「ふう、大丈夫ですか?みつさん」
聞き覚えのある声。蒼星石の声だった。
気を落ち着かせて足元をみると、一枚の巨大な葉っぱが自分と蒼星石をのせている。
その下は地獄を思わせる、ひたすらの闇。
あちにこちらに、扉や窓といった入り口らしきものが無数に空間に浮いている。
重力はいずこへ、また一体どこに光源があって、こんな暗闇の空間でこういった物体が照らされているのかと思った。
「あまり動かないで下さい。あとはこの葉が案内してくれるので」
正確には真紅を追うだけだけどと思いながらも、蒼星石はみつを落ち着かせる為そういった。
真紅の人工精霊がみつの部屋への入り口を案内してくれる。
「ここよ!」真紅が叫ぶと、四人全員がある扉の前に集まった。
その扉が開けると、その先はマンションの一室を思わせる部屋に繋がっていた。
みつはすぐに分かった。自分の部屋だ。そしてこの光景は自分の部屋の鏡からみた角度と合致する。
「ここね?みつさん」
「は、はぁい…」みつはやっとの思いで声を出した。
「そう。では早速入りましょう」
自分を乗せている葉が勝手に動き出すと、みつの部屋へと繋がる扉がこちらに迫ってきた。
ようやくここから生きて出れる。みつは我が家がいかに素晴らしいものであるか泣きそうな思いで実感した。
223:Rozen Maiden LatztRegieren I:余命 Remained Life
07/05/22 02:36:20 CvZx6MMb
ふう、真紅はため息をついた。毎度人間を新しくnのフィールドに連れてく時は骨が折れる。
昨晩、夢の中で金糸雀には確実に何かが起きた。壁に残されたという文字が気になる。
不可解なのは、ドールが持つ独自のフィールドに他のドールや人間が入ることは普通は出来ないという点だ。
今一緒にいる蒼星石と、もう一人翠星石なら出来るが、そんなことをあの双子がするなんて考えられない。それは庭師の掟でもある。
それに、水銀燈だって違う。
彼女は一度スィドリームとレンピカの力を奪い、自分のフィールドにこそ押し入って自分の眠りを妨げてきたが、
その際金糸雀の方までは絶対入っていない。あの時はまだ金糸雀は姿を現していなかったから。
さらに付け加えると、これは"あの子らしくない"。
考えられることは…まさか。
真紅は胸に抱えていた金糸雀をゆっくりと部屋のベッドに置いた。
それから慎重に視線で壁中を見回す。見つかった。
「あれよ。あの文字」
真紅は言いながら指を差した。全員がその文字に注目した。
その文字を見ている内、みつの言っていることがよく分かった。確かに変な文字という形容がしっくりくる。
URLリンク(grugru.mine.nu)
「ね、ね?変な文字でしょ?」みつが言ったが、全員文字に集中して何も答えなかった。
間違いなくそれは英語を思わせるが、やたら湾曲された、不可解な文字だ。
どちらかというとただ単に字が下手な者が書いたという表現がしっくりくる文字で、
ジュンには雛苺あたりが壁に落書きしたのではないかとすら思えた。
「へったくそな字だなあ。なんてかいてあるんだ?"e"とか形違ってるし…」
「splendid…wee?」蒼星石が口走った。後半の"wee"の部分がいやに面白おかしく響いた。
「splendid iceじゃないかしら。一応そう無理やり読めば意味が通るけど。」
真紅が提案した。「ま、こんな汚い字を書いた子はまず一からアルファベットを勉強しなおすべきね」
「splendid ice ってどういう意味だ?」ジュンが聞いた。
真紅は一考した。「そうね。美しい氷とか、透き通った雪とか」
「ふーん…」ジュンは曇った返事を返したが、真紅の中では確信ができつつあった。
氷、そして雪。さて、どうしたものか…
Ⅱ:糸口 Breaking the ice に続く
224:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/22 02:57:59 sA+5fP+5
>>217-223
乙&wktk
225:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/22 04:07:45 fuKf9dQC
こいつぁ期待
226:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/22 05:14:38 NWodflZe
手が込んでる
こりゃ楽しみ
227:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/22 07:23:00 BKYeosFg
こういう手の込んだ手法をとるSSは初めて見た。
続きがとても気になる。
228:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/22 08:29:03 IH2S4lrQ
ここの銀ちゃんに一票入れて下さい
一日一回投票出来ます。
今月の24日までに3位以内に入っていたら銀ちゃんが脱ぎます。
URLリンク(vote.rentalcgi.com)
229:変態めぐ ◆b7XuiBsTpk
07/05/22 10:29:59 H03KzDLG
水銀燈がママになって優しくしてくれるスレ
スレリンク(charaneta2板:1-100番)
230:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/22 14:00:07 fsR6Z8lK
このスレつまんねつまんねつまんねつまんね
<⌒/ヽ-、___ このスレつまんねつまんね
/<_/____/ このスレつまんねつまんね
このスレつまんねつまんねつまんねつまんね
∧∧
やっぱ( ^ω^)おもすれ━━!!!!
_| ⊃/(___
/ └-(____/
231:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/23 00:17:08 WMMed1xj
ここはゴミ置き場である
暗くて、壊れた人形がいっぱいそこらかしこにちらばってある
壊れた人形からは悲しみの声が聞こえてくる
壊された人形からは恨みの声が聞こえてくる
そう、ここは全ての壊れた人形―ジャンクたちの立ち寄る人間の墓場みたいな所である
そしてここにまた一体のドールが現れた
(ここはどこ…?)
そこにいたのは真紅であった
きたばかりの真紅には自分が何故ここにいるかを理解する事が出来なかった
(私は薔薇水晶と戦ってたわ…それなら何故ここにいるの?)
「簡単な事よぉ」
真紅が声に気付き後ろを向くと、水銀燈がウフフと笑っていた
「どういうこと!?」
「あなたは薔薇水晶に負けたからここにいるのよぉ、他にここにいる理由は無いでしょう?」
(………!?)
真紅はまるで自分に銃を向けられてることに気付いた人質のような顔をしていた
自分が負けるなんて事実をしらされたからである
(私が負けたですって…?分からない…)
真紅は自分の中に微かに残る薔薇水晶と戦った時の記憶を思いだそうとした
(私はおい詰めたはずだわ…でもそこにジュンがきて…わたしは振り向いて……そして…刺されたんだ…)
真紅は自分が負けた時の事を全て思いだそうとした
(私はおい詰めたはずだわ…でもそこにジュンがきて…わたしは振り向いて……そして…刺されたんだ…)
真紅は自分が負けた時の事を全て思い出した…
(私はアリスゲームを否定していたのにそれに乗って、しかもそのアリスゲームにも負けてしまった…、今の私には何も残ってない…)
そして今の状況に絶望した
真紅はゆっくり膝を地面に落とし、手は顔を覆う為に使われていた
(わたしはジャンクね…何も出来ないただの人形なのだわ…)
真紅は手から溢れるくらいの涙を流していた
「あら?あなたは何を悲しむ必要があるの?」水銀燈はそんな真紅を見て声をかけた
だが真紅にはそんな話に興味はなかった
(…ジャンク…)
水銀燈は無視されたことに苛立ち声を荒げて聞いた
「聞いてるの真紅!?」
「黙ってて!」
真紅は水銀燈の無責任な発言に声を荒げて言い返した
「あなたはなんなの?私の気持ちの半分も分る訳が無いくせして、あなたに大事なものを守れない気持ちが分かるの!?」
―バッチィィン!!―
(な、何?)
真紅は自分の頬の痛みに気付くのに、2秒の時間をようし、さらにそれが水銀燈のビンタと気付くのに5秒をようした
232:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/23 00:24:20 WMMed1xj
「謝らないでよぉ、わたしはあなたがそんな女だって知ってるからぁ」
「あなたにも守るべきものはあったのね…」
「………」
水銀燈は唇を噛み、上を悲しげな顔で向いた
「…でも、所詮わたしはあなたと同じよ…大切なものを守れずに朽ち果てただけの何も残せなかった人形…」
(………)
真紅も薄々は気付いていた…
自分がどうしようもなく不様で何も出来なかった人形であることに
そして、自分がした事はローゼンメイデンでなく普通の人形と同等でしかない事に…
「でも…、ジュンならなんとかしてくれるわ」
「あのミーディアムが?あなたは何を考えてるの?」
「ジュンは私が壊れた時に完璧でなくてもいいと言ってくれた」
「…気休めよぉ…」
「あら?あなたのミーディアムも同じ事を言うと思うわよ」
「………」
私はきっとメグもそう言ってくれるだろうとは思っていた
しかし私がそれを認めたら自分に負けるような気がした
壊れた自分をお父様に認めてもらうために戦っていたのに、完璧でなくていいと言われたらそれに甘えてしまいそうだと思っていた…
だから私はこんな事を聞いてしまったのだろう…
「戦えば…、完璧になれるのよ?」
それを聞いた真紅は私の方向を振り向いて頬を緩めると優しい笑顔で言った
「戦わなくていいなら、わたしは完璧じゃなくていいわ」
「ばぁかみたい……」
私は当たり前のように言われてあきれてしまった
でもそれが正しいのかも知れない
私は難しく考えすぎていただけ…
メグと二人でいれればそれで良かったのに…
自分が素直なら良かったのかも…
もし生まれ変わりがあるなら、次は素直に生きるのもいいかな…
233:プライド
07/05/23 00:28:11 WMMed1xj
「謝らないでよぉ、わたしはあなたがそんな女だって知ってるからぁ」
「あなたにも守るべきものはあったのね…」
「………」
水銀燈は唇を噛み、上を悲しげな顔で向いた
「…でも、所詮わたしはあなたと同じよ…大切なものを守れずに朽ち果てただけの何も残せなかった人形…」
(………)
真紅も薄々は気付いていた…
自分がどうしようもなく不様で何も出来なかった人形であることに
そして、自分がした事はローゼンメイデンでなく普通の人形と同等でしかない事に…
「でも…、ジュンならなんとかしてくれるわ」
「あのミーディアムが?あなたは何を考えてるの?」
「ジュンは私が壊れた時に完璧でなくてもいいと言ってくれた」
「…気休めよぉ…」
「あら?あなたのミーディアムも同じ事を言うと思うわよ」
「………」
私はきっとメグもそう言ってくれるだろうとは思っていた
しかし私がそれを認めたら自分に負けるような気がした
壊れた自分をお父様に認めてもらうために戦っていたのに、完璧でなくていいと言われたらそれに甘えてしまいそうだと思っていた…
だから私はこんな事を聞いてしまったのだろう…
「戦えば…、完璧になれるのよ?」
それを聞いた真紅は私の方向を向き頬を緩めると笑顔で言った
「戦わなくていいなら、わたしは完璧じゃなくていいわ」
「ばぁかみたい……」
私は当たり前のように言われてあきれてしまった
でもそれが正しいのかも知れない
わたしは難しく考えすぎていただけ…
メグと二人でいれればそれで良かったのに…
素直なら良かったのに…
もし生まれ変わりがあるなら、わたしは素直に生きるのもいいかなと思ってしまった…
234:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/23 02:31:34 uOsyq/25
つまんね
235:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/23 06:47:28 FSETOyHg
>>233
乙
ただ、このくらいの内容なら完成してから投下してくれた方が読者としては助かる。
短い上にブツ切れなのはちょっと、ねぇ。
>>234
作家さんは案外脆いんで、そういう感想の時は>>1に従いスルーでよろ。
もっとも、一番作家にとって辛いのは無反応・全面スルーなんだけどなw
236:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/23 07:56:38 KTE9jmOa
銀ちゃんに一票入れて下さい
一日一回投票出来ます。
今月の24日までに3位以内に入っていたら銀ちゃんが脱ぎます。
詳細はリクキャラ投票所
URLリンク(akm.cx)
237:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/23 10:24:03 YePjYomB
>>235が一番キツイ事言ってる気がする
238:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/23 11:15:34 FnIod3QY
シリアス系は相当上手くなきゃ評価はもらえないからな
ただ精進あるのみ、出直してまいれ
239:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/23 15:43:55 YePjYomB
でも下手上手とか気にせず、ドンドン投下して上手く書けるように練習するのがいいですよね。その方が読み手、書き手の両方に吉です♪
240:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/23 20:53:28 5NICaBX0
いい事言ったよ
241:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/23 23:36:55 qpbFnV5l
それはそうと何で>>43や>>107>>98氏があそこまで槍玉に挙げられたのか
今だ理解できない。まぁxLJAc4vOZMさんも煽りを受けてたけど。
242:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 00:07:39 zD9yvCNa
そういや何でxLJAc4vOZMってあんなに煽り受けたんだっけ
まあ今更どうでもいいけどな
とりあえず俺は>>217-223の続きが見たいw
243:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 00:17:24 ExIwJUvV
自演乙
244:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 00:20:21 6umVCDkj
このSSスレ1~5までに挙がった作品群から選別して二次創作本にしたら
案外売れるかも試練ね
245:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 00:28:50 dJ8gqeEw
傑作だと思ったSSを挙げてみない?
246:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 00:39:34 y3v54qk2
>>245
それは完結or短編のみの話か?
247:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 00:50:57 e0r6vS0S
>>241-243
まぁ、過ぎた事を蒸し返すのはもう止めましょうや。
今更どうでもいいし。
>>245
SS職人さんが投下するまでの間を繋ぐにはちょうどいいかも。
248:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 01:09:17 6umVCDkj
>>246
自分が気に入った作品なら関係ないんじゃない?
>>245
傑作と思える理由か好きな理由(あくまでも個々の意見として)は
書いてみてもバチは当たらんだろう。
>>247
しかしIDはそうは言っていないようだが?w
退屈しのぎか計画的だったのか知らんが叩かれた一連の人間は堪ったもんじゃないよ。
43のお宝頂いといて叩いてたとしたらまさに盗人猛々しいって感じだw
249:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 01:25:59 GfylPPv6
早漏だが述べよう
「EVERGREEN」「翠のマフラーのやつ名前忘れた」
他色々あったけど、何度も読み返したやつがこれ
250:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 01:44:50 rTQ4Hlwb
super size shinku
251:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 01:59:39 e0r6vS0S
>>248
下
ああっ。本当だ。こんなID初めて出た。SOSってw
シリアス物なら長編で「アリスゲーム」ってのがあったっけ。
アニメ後のあとがき的な話で面白かった。ちょっと説教臭い感じが読み辛かったけど。
パロディなら>>250に同じ。一番笑った。
252:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 03:21:16 pImbZ/Gx
良いと思ったのは未完ばっか
253:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 04:57:43 UWYrFjDM
>>232駄作乙
254:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 16:21:08 6J0YIE3C
あげるぞ
255:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 17:43:46 ZI3+avwn
お見舞いってやつ?
話は割とありきたりだし知的な内容の文章でもないね。
類義語が重なっておかしいと感じた部分や誤字とかもあった。
でも人物それぞれの心情心理描写がすごく丁寧で、読んでていつの間にか引き込まれてた。
次のうPが楽しみだったし、ほんの一歩先の展開が気になる文章の構成がうまくて
ついつい先を読みたくなる気にさせるんだな。それに各キャラクターをまんべんなくフォローして
最後は綺麗に終わったのが個人的に好印象だったね。
256:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/24 22:50:28 dEDSvHaO
「もう、話がつながんないわー!」
苦悩する桃種の窮地に現れたコミックマスターJ
神の如き彼のペンが奇跡を呼ぶ!
その詳細はBIRZ発売を待て!
というのを書いて居たんだが
だめだ!
BIRZの発売前に書き切れん。
257:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/25 00:59:15 22DmfS7O
m9(^Д^)プゲラ
258:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/25 13:27:03 DYamu+DO
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