07/02/23 14:53:36 VPXrGC26
「だから・・・はいっ♪」
「!・・・ ・・・」
優しい味。
めぐは微笑んでそう言いながら、改めて水銀燈にそのクッキーを・・・
チョッピリ変だけど、笑顔がいっぱいの水銀燈のクッキーを・・・彼女の前に差し出した。
水銀燈はおそるおそるその大きなクッキーを手にとって、
「こんなもの・・・」
割り砕こうとしたものの・・・
(( し、真紅達が、お前の為にも作ったお菓子なんだ・・・柿崎さんと一緒に・・・食べてくれよ・・・ ))
ジュンに手渡された時の言葉を思い出して、砕くのをやめた。
あの時以来微笑む事を捨てた自分。
愛情を注いでもらって、励まし続けられて、応援されて、裏切られた自分。
認めて貰いたかったのに、見下されていたと、同情で構ってもらっていたと、確信した自分。
あの子のブローチを砕いて、あの子の思いを踏みにじり、ジャンクと呼ばれた自分。
あの子の心の奥の奥で光る本当の想いと愛情に・・・気付けなかった自分。
(( ジャンクの癖に! ))
最も愛する妹なのに、最も憎い妹。
(( 貴女の事を、ジャンクなんて呼んで・・・))
(( 悪かったわ・・・ ))
(( だから・・・ごめんなさい・・・ ))
だけど、誰よりも解りあえるかも知れない・・・妹。
90:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/23 14:55:24 VPXrGC26
想いが水銀燈の脳裏を駆け巡る。
そして・・・水銀燈は自分でも知らずの内に、そのクッキーに口をつけていた。
サクッ・・・
軽い・・・想いがこぼれるような音と
甘い・・・想いが溢れ出す様な香りが
水銀燈の心を刺激する・・・
「美味しい??」
「・・・・・・ 不味ぅい ・・・・・・」
「♪ そう! よかったわね ♪」
美味しいかと問い掛け、
割合な間を置いて不味いと答えた水銀燈の態度に、めぐはさも嬉しそうな声を出す。
水銀燈はめぐからそっぽを向いて、体育座りのまま、
漆黒のドレスにクッキーの欠片がこぼれるのも気にせず・・・
「 ・・・不味い・・・(モグモグ) ・・・不味いわぁ・・・(カリカリ) 」
と、時折言い訳じみた文句を交えて、顔ほどもある大きさの
自分の笑顔のクッキーをほおばり続けている・・・
めぐは、自分に背を向け無意識にパスパスと縮んだ翼を羽ばたかせる水銀燈を・・・
愛しむ(いとおしむ)ような微笑で、ずっと見つめていた。
91:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/23 14:58:19 VPXrGC26
あと少し続くデス。
92:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/23 16:20:27 pdJhcKoD
>>91
うは~最高です
(*´Д`)銀様/lァ/lァ
93:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/23 19:33:04 /rJfjr/d
これは良作
94:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/23 20:46:34 LGF0+gxP
クッキーが食べたくなった
95:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/23 23:14:41 s+Zf0ddg
泣けた…。
歳相応に、涙腺の締まりが弛いからだよな…
96:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/23 23:48:06 O3YzEQnv
銀様の食べ方が青汁のそれだw
97:悲しみにブラックフェザー
07/02/24 09:44:29 5asXUptZ
私は水銀燈 人呼んで ファィティング・ドール
私の事をジャンクだと 笑わば笑いなさい
確かに私は 身体の半分はドールで 半分はジャンクよ
体の中にガラクタやジャンクが組み込まれ
けど 言っておくけど 私をバカにする奴は
この背中の翼 ブラックフェザーが胸に突き刺さるのを覚悟しときなさい
黒い翼が 鋭く光り フィールドに広がる 地獄絵図
ブラックフェザーで 返り血浴びる 冷たいファイティング・ドール
★(水銀燈) 苦しみを越えた時 (水銀燈) 微笑みさえ失しちまった
☆アリスでもない 人間でもない 悲しみがフィールドに こぼれ落ちる
愛を知らずに 夢にはぐれて Ah-Lonely night
シベリアの冬は厳しい 私が生まれ育ったのはそのシベリアの小さな村
できそこないのドールとして みんなに石を投げられたものよ
そして次に入ったのが ???? やられ専門のドール養成機関
けど 生まれながらに備わっている戦う本能が 負けることを許さなかったわ
私は 相手をぶちのめして雪の中を逃げたのよ
この世は勝たなければやられる だから 勝つために私は戦う
けど 言っておくが 私の体の中にも薔薇乙女の誇りがあるのよ
鉄のハートが重いおまえは 戦うことが 生きがいなのか
黒い悪魔と 仇名されても 無口なファイティング・ドール
(水銀燈) 残酷なラフ・ファイト (水銀燈) 身体の下に悲劇を隠す
アリスでもない 人間でもない 悲しみがフィールドに こぼれ落ちる
愛を知らずに 夢にはぐれて Ah-Lonely night
(水銀燈) 苦しみを超えた時 (水銀燈) 微笑みさえ無くしちまった
アリスでもない 人間でもない
悲しみがフィールドに こぼれ落ちる 愛を知らずに 夢にはぐれて Ah-Lonely night
98:ワショーイフェイトの歌作ったよー
07/02/24 10:11:42 5asXUptZ
URLリンク(www.youtube.com)
これ聞きながら読むと雰囲気がわかると思う
99:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/24 10:12:47 5asXUptZ
しまった名前消すの忘れてたorz
じゃあ吊って来る
100:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/24 13:57:13 RMNLQKII
>>90
>想いが水銀燈の脳裏を駆け巡る
こういう事で?
URLリンク(rozen.no-ip.org)
URLリンク(rozen.no-ip.org)
101:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/25 15:39:04 17KPPCfg
>>98
イイヨイイヨー!(*´∀`)
102:虹色の庭師
07/02/25 23:20:25 0PWSXsjg
「昔、僕は世界一の庭師になることを夢見ていた。
僕の名は蒼星石。昔、すでに僕は庭師世界大会の代表の一員になっていた。
しかし僕はアリスゲームを戦わなければならない薔薇乙女だったんだ。」
アリスゲームの旗の下 戦い続ける庭師がいる
飛び出す華麗なテクニック フィールドの庭師と人は呼ぶ
ジェントルハリケーン 鋏に隠した ジェントルハリケーン 奇跡のパワー
舞え!蒼星石 しなやかに美しく 燃えながら
舞え!蒼星石 虹色にきらめいて 霧の彼方の勝利をつかみとれ
「イギリス代表チームのメンバーに選ばれたとき、僕は自ら姿を消しそしてこの帽子をかぶった
アリスゲームに殉じることは難しい。しかしこれこそ薔薇乙女の仕事。
今ではもちろんアリスゲームの道を選んだことを誇りにしている。」
愛に凍えた風の中 希望を捨てない庭師がいる
おりなす技の数々に フィールドの詩人と人は呼ぶ
ジェントルハリケーン 正義の誓いを
ジェントルハリケーン 炎にかえ
舞え!蒼星石 しなやかに美しく 燃えながら
舞え!蒼星石 虹色にきらめいて 霧の彼方の勝利をつかみとれ
ジェントルハリケーン 鋏に隠した
ジェントルハリケーン 奇跡のパワー
舞え!蒼星石 しなやかに美しく 燃えながら
舞え!蒼星石 虹色にきらめいて 霧の彼方の勝利をつかみとれ
URLリンク(www.youtube.com)
103:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/27 08:44:50 2JSm1z6t
新作期待アゲ
104:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/27 19:58:03 o5DF+vpW
>>90
フォーリーーンラァーーブ!!!!!
105:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/27 22:33:48 0Y2BkxJw
1941年5月10日、1人のエジプト生まれのドイツ人の政治家が手に薔薇の装飾がなされた鞄を手に、1機の飛行機へと足早に向かっていた。
──畜生、なんだってこんな事に・・・。男はぼんやりと考え事をしながらも歩調を緩める事はしなかった。
「ああそうだ、全ては2年前にこの鞄が届いてからの様な気がする。」男は口に出して言った。実際はそんな事でもなかったのだが。
2年前・・・1939年の夏の終わり。彼はとある会議の一席を与えられた。最近彼の政治力は低下しており、これで復権がなったと喜んだ。
だがしかし現実は無情でその会議で彼は一言も発言は許されなかった。彼の経歴の絶頂期は1930年前後でありもはや彼にとっての
夏は終わったのだ。近頃は彼の副官がその力を伸ばしており、地方の有力者が尋ねてきてもまず挨拶するのは副官からだった。
その様な露骨な態度を取られても彼には文句を付けるだけの力も、気力も無かった。
彼に不可思議でそっけない電報が届いたのはそんな時だった。その電報にはただ「マキマスカ・マキマセンカ」とだけあった。
「ふん、数年前ならともかく今の私には何かの罠に引っ掛けるだけの価値もあるまい」彼は半ば自棄気味に、そしてほんの少しどうしようもない現状
の変化に期待しつつマキマスに○を付けた。しかし急にバカらしくなり紙をくしゃくしゃに丸めると屑捨てに放り入れた。
翌日、世間は戦争中らしいが儀礼的な式典に顔を出す事以外する事もないので帰宅すると、そこには喜ばしい変化が起きていた。
すなわち、どこかの要人から彼への久方ぶりのプレゼント(それは包み紙に収まった箱でもなくなぜか豪華な鞄だった)が書斎の机の上に鎮座していたのだ。
彼は使用人や妻には書斎に入らないよう言い付けて置いたにも関わらず、なぜそこに見知らぬ鞄が置いてあったのか、そもそも一体誰か送られてきたのか一瞬考えたがやめにした。
そんな野暮な事は後でじっくり考え、今は鞄を開けて中身を検分する事が一番大切なことだったからだ。その重厚な鞄は音も無く簡単に開いた。
そして中身を見て彼は顔をしかめた。中にはいかにも高級そうな、黒いドレスを身にまとった銀髪の美しい人形が納められていたからだ。
大方自分がオカルト好きなのを知った党の誰かが送ってきたんだろうと苦笑しながら鞄を閉めようとしたが人形の横に螺子があるのを見つけた。
巻いてみるか・・・、彼は何の気なしに人形を手にとり螺子を巻いた。と・・・彼は我が目を疑った。人形が動き始めたのだ。
「うわ!?」彼はつい慌てて人形を落としてしまった。するとその人形は悲鳴を上げた後、泣き始めた。
「一体何なんだ?動くだけならまだしも泣いてる?」彼は頭を素早く回転させ、一つの結論に至った。
うんそうか、きっとどこかの変態じじいが奴隷の少女を送りつけてきたに違いない。そうだとも、人形が動いて泣くなんて事はあるはずもないじゃないか。
螺子の事を無理やり忘れ、そう現状を整理する。「ええと、大丈夫かい?怪我は?疲れてるだろう、何か食べるかい?」
見たところそう弱ってそうでも無いが長時間鞄の中に居たに違いない。とりあえず冷たい床の上ではまずいと思い、彼は手を差し出した。
少女は戸惑いつつも手を上げた。その時、少女の服がずれ手首が露わになった。
「関節!?やっぱりこの子は人形なのか?」彼は頭が混乱しそうになったがすぐに落ち着いた。彼自身も科学では証明なし得ないものが存在すると
信じていたし、何より人形というところに惹かれるものを感じたのだ。
──人形?ふん。私と一緒じゃないか。上に飾られただそこにいるだけでよい「人形」。正に今の私にはふさわしいもんだな。
まあ、誰が送ってきたかは解らないが感謝しようじゃないか。畜生め。
106:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/27 22:36:49 0Y2BkxJw
その日から彼と人形の共同生活は始まった。彼は時間の許す限り書斎に閉じこもるようになり、周囲の人間からは聞こえよがしに鬱病とまで噂された。
しかし彼はその生活に満足していた。なぜなら彼はその漆黒の天使に心底惚れ上げていたからだ。もっともそれは人としてではなく、宗教に近いものだったが。
だが世界情勢は悪化の一途をたどり続けた。ドイツはイギリス本土の制空権争いに負け、次第にその目を東方へと向けていった。
彼はその事について悩む事が多くなった。いつもの癖で指で机をトントンと規則的に叩きつつ呻く。
「う~んイギリスと事を構えている上にあのソ連に攻め込むなんてなぁ。おまけにアメリカも参戦したがってるし・・・」
「どうしてそんなに悩むの?ドイツは強いんでしょう?」
「どこも強国だからね。いくらドイツが強くったって、2カ国位ならともかくこんなに沢山の国とは戦えないよ。」
「だったら・・・どっかと戦うのをやめてみる・・・とか・・・?」
「簡単に言ってくれるねぇ・・・」等と言いつつも彼は閃いた。そう言えばイギリスのハミルトン公爵とはオリンピック以来の仲だっけ。
ひょっとするとチャーチル首相との停戦交渉を取り持ってくれるかもしれない。そう考えた彼は気違いとまでは噂されたくないので、
周りの人間には秘密のまま行動しはじめた。まともな手じゃ無理だ。残念ながら私にはもうそんな影響力は残されていない。
ならば、会談というより亡命に近くなるが飛行機でスコットランドに強行着陸してしまおう。前の大戦では戦闘機パイロットだったからとりあえず操縦は何とかなるだろう。
彼はここ4~5年は味わった事の無い充実感に満ちていた。そして1941年5月、彼は祖国を守るべく行動を開始した。
ああ、そうだったな。全部私が決めたんだったな。男は双発戦闘機の操縦席に納まると腹をくくった。
「さあ行こうか。水銀燈。」
彼──国家社会主義ドイツ労働者党副総統ルドルフ・ヘスはそう言うとドイツを救うべく飛行場を飛び立った。
107:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/27 22:40:37 0Y2BkxJw
URLリンク(ja.wikipedia.org)
※ヘスさんは実在の人物です
108:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/28 01:19:12 7TXQEEy8
>>91
続きを期待しております。
銀様、よく噛み締めて食べて下さい。
109:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/28 01:22:13 7TXQEEy8
629 名前:水先案名無い人[sage] 投稿日:2007/02/27(火) 13:18:49 ID:rYIAVRgG0
ブローチを握りつぶされても、溜め息をつきながらも冷静に時間を巻き戻して元通りに直したり、
ブローチを奪われた時点で
「あら。貴方そんなにそのブローチが欲しかったの?」
「良かったら、それ、あげるわ。」
「ジャンクの手垢のついたブローチなんて、持っていてもしょうがないから」
と冷たく言い放つ真紅様を見たかった。
634 名前:水先案名無い人[sage] 投稿日:2007/02/27(火) 15:44:52 ID:rYIAVRgG0
或いは。
真紅が天使のように優しかったら、
「おめでとうございます、水銀燈、いえ、薔薇乙女第1ドール 水銀燈お姉様」
と言いながら、静かにブローチを外し、
「お姉様。これは私からのささやかなお祝いですわ」
と歩み寄りながら差し出す。
で、水銀燈が喜んで受け取った隙に、電光石火の早業でステッキを振り抜いて水銀燈の胸を貫き、
ローザミスティカを奪い取る真紅様も見たかった。
「こうも簡単に手に入るとはね。ちょっと拍子抜けなのだわ」
と言い残して立ち去る真紅。
元のか弱い人形に戻り、倒れ付しながら絶望のまなざしで真紅の後姿を見送る水銀燈。
アリスゲームのレフェリーストップを入れるタイミングを逸して、呆気に取られるラプラスの魔。
(fin)
ちょっと続きを読んでみたいw