Rozen Meiden ローゼンメイデン SS総合 8at ANICHARA
Rozen Meiden ローゼンメイデン SS総合 8 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@お腹いっぱい。
06/11/30 00:32:08 OP0JDEjO
どうぞ。


3:名無しさん@お腹いっぱい。
06/11/30 04:30:17 JG1MorBm
はぁ?

4:名無しさん@お腹いっぱい。
06/11/30 07:39:11 IOIcrHvG
           /´...:...:..:..:..:.::::::::::::::::::::::::::`丶、
       ┌―-'- ...,,,__..:..:..:.:.:.:::::::::::::::::::::::::〉
      |...:...:...:..:..:..:.:.::::::::: ̄ ̄`:::::‐-、__:::::/
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  ヽ、__,ィ´::::::/:::/:::l:::::::|:::、:::::ヽ ̄¬、__::::::::::::/
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      l::l:::l:::::|-r‐ト| !::::K-‐、::―ヽ:::|::::::ノ::|
        リ:::|::::l::!l::::| ! ヾ、!ヽ,.::ヽ_;;::_`ー/‐':!
        !::|::::|::YTヽ  ヽ r'i´  リ:::|/゙}/ソ
       l:ハ:::!从 ト_j      ゝー;'!::/:!ノ ' ローゼンメイデン第4ドール蒼星石が
         ! ヘ:{ヽト、""_..'_  ""ノ:::ノハ:{    >>4ゲットです・・・・・・
         ヽ `/´__`ヽィ´/ ' `
         、_,/ .../;;;;;;;;;ヽ..ヽ`ー- 、_
        ,_/アュ、ヽ;;;;;;;;;;| r-、   j!`ト、
        ノ`ー'、フ ...` ̄´f、ヽ_>、 ノ!r':::::ヽ
       /:|  。ヘ`ー-ri´r'´  ∨ン::::::::::::\
   __,,.イ´:::!   。│/!} {!:| f、。   ゙、::::::::::::::::::::\
     ⌒ヽ._|  。 j/::|、_j|:|  }  。 、 ゙、:::::::::::::::::::::
          「ヽー7ヽ」ー‐'t_rtゝ、。 ヽ ヽ、::_,,r-‐
         ` ̄´/::::l><l⌒:::ヘ  ̄´ ノ `
>>1さん、乙です!
>2わ師の鋏は、翠星石の如雨露と対になってます。
>3んな元気でなによりです。
雛いち>5は無邪気だなあ。
ジャ>6君、じゃなかったジュン君・・・・・・
か>7りやは、おっちょこちょいだなあ。
翠星石、もっと>8っきりジュン君の気持ち受け止めたら・・・・・・
真>9はあいかわらずわがままだなあ。
水銀>10はああみえて愛情に飢えてるんだ。

>>11-1000は、ローゼンメイデンこれからもよろしく。

5:名無しさん@お腹いっぱい。
06/12/01 02:20:08 7663gQKo
何があったんだ?

6:真紅・激闘編
06/12/03 19:39:30 y4wY01iI
圧倒的な力の差だった。
真紅は水銀灯に叩きのめされ床に這いつくばっていた。
(もうダメなのだわ・・・)
水銀燈はニヤニヤといじわるな笑みを浮かべ真紅の頭を足蹴にしている。

真紅は床に倒れこんだままジュンの方を見た、なぜか意味のない言葉が湧いてくる。
(なのだーわ)
知らず知らずのうちに呪文のように心の中で唱える。
(なのだーわ!)
体に力が戻り、気力があふれてくる。
「なのだーわ・・・」
水銀燈がギョッとして一歩下がる。
「なのだーわ!!」
真紅は立ち上がり水銀燈をにらみつける。
(もう私は負けない!この言葉があるかぎり!)

「なのだーわ!!なのだーわ!!」
真紅は突進し、握り締めたコブシを叩きつける。

ポクッ!ポコッ!ポコン

水銀燈には全く通用しなかった。
再び叩きのめされた真紅の前にジュンが割ってはいる。

「ごめんなさい!!許してください!!お願いです!」
ジュンは必死に水銀燈に土下座し慈悲を請う。
「そうねぇ・・・今日のところは許してあげるわぁ」

水銀燈は悠々と飛び去っていった。

7:名無しさん@お腹いっぱい。
06/12/05 00:13:33 SS++9M+y
ちょっとドキドキした。

8:フードファイトメイデン フトイメント-真紅 V.S 翠星石-
06/12/05 02:16:18 TsV244YO
大食いの戦いの為に作られた人形……フードファイトメイデン。
勝利を重ねた物だけが許される称号「アリス」を求め、大食い少女達は戦っていく…!

ラプラスの魔「ではこれより真紅と翠星石の戦いを執り行う……」
ざわ…ざわ…。
ラプラスの魔「ルールはいたってシンプル。30分のうちにより多く食べた物が勝者となる」
ジュン「メ、メニューは一体何なんだ?」
ラプラスの魔「では本日のフードファイトメイデンの胃の中に吸い込まれていくメニューは…こちら」
目の前に30本ほどのポッキーが置かれた皿が登場した。
ジュン「ポ、ポッキーだって!?それじゃ翠星石が圧倒的に有利じゃないか!あの性悪人形…何か仕組んだな!」
ラプラスの魔「お飲み物として、こちらに紅茶のオレンジペコーをご用意しております…もちろん、これはいくら飲んでもカウントされません」
ジュン「いくら真紅の好物の紅茶があるからって、メニューがポッキーじゃ圧倒的に不利だ!くそッ…」
ラプラスの魔「では両者は準備を……」
ジュン「真紅……」
真紅「大丈夫よ、ジュン。私は負けたりなんかしないわ」
翠星石「(クックック…真紅よりも翠星石の方が凄いという事をチビ人間に分からせてやるですぅ)」
真紅と翠星石は、静かに椅子に座り、目の前のポッキーを見つめている。
ゴウゥゥゥウウゥゥゥゥン!!!!
大きな銅鑼が鳴り響いたと同時に、戦いはスタートした。

ジュン「真紅ー!頑張れえぇー!!」
翠星石「くっ…あのチビ人間、真紅ばっかり応援して…!今に翠星石の凄さを分からせてやるですぅ!」【5】ピッ
真紅「バリッバリッポリポリッバリッ。ズズー…。くっ、この紅茶、全然熱くないじゃない…!せっかくの葉が台無しだわ…」【5】ピッ
両者共に5本ずつポッキーを口に含んでいく。
翠星石「んふふふ美味しいですわね(ポリポリ)紅茶なんて(ポリポリ)飲まなくても(ポリポリ)全然楽勝ですぅ~(ポリポリ)」【45】ピッ【60】ピッ
真紅「くっ……はぁ……ハァ……………」【30】ピッ【45】
そう、一見差はなさそうに思えるが、紅茶で流し込んでいる真紅。そうでない翠星石、この差は明らかに大きかった。
翠星石「ヒッヒッヒ(ポリポリ)見てるですか(ポリポリ)チビ人間(ポリポリ)真紅より翠星石の方が凄いのですぅ~(ポリポリ)」【105】ピッ【135】ピッ
真紅「はぁ……くっ…せめて紅茶が……熱くて……美味しければ………!」【75】ピッ【85】ピッ
差が開いたまま、時間は過ぎていく。
ジュン「くそッ…!真紅うううううぅぅぅ!!!頑張れえええええぇぇぇぇぇ!」
真紅「ジュン…!!そう…だわッ、私は、こんな所でッ…負けられないのだわ!!!」【240】ピッ【270】ピッ
なんと、真紅は一気に10本を掴み取り、口に運んでいった。
ラプラスの魔「ほう……」
ジュン「なっ、10本!?無茶だ真紅!5本でもギリギリなのに…」
翠星石「ぐうううぅぅぅ…えぇい、真紅ぅぅぅ!!!」【415】ピッ【450】ピッ
真紅「ババババババズズズズズズズズババババババババババズズズズズズズ」【420】ピッ【490】ピッ
翠星石「ポリポリポリポリポリポリポリポリポリポリポリポリポリポリポリポリポリポリ」【535】ピッ【570】ピッ
真紅は10本を口に含み、一気に紅茶で流し込む。一方翠星石は5本ずつ食べていく。少しずつ差は縮んでいった。
ジュン「真紅うううううううううぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」
ビィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!
ジュン「時間だ!……結果はッ!?」

真紅【990】       翠星石【990】

ラプラスの魔「おや、これは……」
ジュン「引き……分け…」
真紅「いいえ、私の、」
その時、翠星石の手から、ポッキーのチョコのかかっていない部分が零れ落ちていった」
真紅「勝ちなのだわ」
ジュン「やった……!!」
翠星石「くうううぅぅぅ…なぜ、なぜ翠星石の好物のポッキーでも勝てないですか…!」
真紅「翠星石」
      .ィ/~~~'~~~' 、
    、_/ /  ̄ ̄`ヽ}
    ,》@ i(从_从.卯. ))  
    ||ヽ||  ゚ - ゚ )..|   私の胃袋は宇宙なのだわ
    || 〈iミ''  介 ミi〉|  
    ≦ ノ,ノ  ハ ヽ、≧  
    テ ` -v- --v-' テ 

9:もっさり ◆x3BPXU4g5U
06/12/11 00:38:14 MpQuAsVE
『みっちゃん と かなりあちゃん』


かなりあちゃんはみっちゃんが大好きでした。
卵焼きご飯に、卵焼きおやつ、卵焼きお夜食なんかも
みっちゃんは作ってくれるのです。
「みっちゃんって、すごくすばらしいのかしら」
「かなのためだったら、なんだってしちゃうんだから」
小さな丸いテーブルを囲み、みっちゃんもかなりあちゃんも
とても幸せな日々を送っていました。

でもある日、突然みっちゃんは帰ってこなくなってしまいました。
「どうしたのかしら!どうしたのかしら!」
かなりあちゃんはひどくしんぱいしました。
もう午後11時なんです、いつもなら帰ってきてたっておかしくないのに。
時計の針だけが、逃げたり追い抜かしたりをくりかえして、
心配だけが机の上につみかさなっていきます。
「さがしにいくかしら、ピチカート」
おとものピチカートといっしょにかなりあちゃんは出かけていきます。
雪がちらつく午前1時、かなりあちゃんのくつ音だけがろうかにひびきます。



ピー。留守録の発信音が部屋に響きます。
『こちら警察のものです。どなたか、ご家族の方いらっしゃいませんか?
 みつ様が、事故にまきこまれ、いま…』



12月の風はかなりあちゃんのほほを平手でぱちんとうちます。
あっというまに真っ赤になったかなりあちゃんのほっぺ。
でも、ここで立ち止まってはいられません。
みっちゃんはこの寒空の中、きっとどこかで寝ちゃっているのです。
「ほら、毛布ももったし、準備万端よピチカート」
右手でかさを左手で毛布をもったかなりあちゃん。
10キロも、20キロも、空を飛び続けていました。
真っ暗闇の中にみっちゃんの顔を浮かべながら。
「みっちゃん、どこかしら・・・・どこかしら」
夜の空はかなりあちゃんの体力をようしゃなくうばっていきます。
ピチカートもなんとかかなりあちゃんを暖めようとしますが、うまくいきません。
じわりじわりと、かなりあちゃんのねじは止まりかけていってるのです。


そして、とうとうかなりあちゃんは、空を飛ぶのをやめてしまいました。
大きな川の土手にその身を沈めます。
「ピチカート、ちょっとつかれちゃったのかしら・・・
 少しだけねて、おきたら、またみっちゃんを探すのよ」
ピチカートはねちゃだめ!となんどもジェスチャーでかなりあちゃんに訴えかけます。
でも、かなりあちゃんの目はうっすらと閉じかかっていました。
みっちゃんに渡す為にもってきた毛布にくるまり、ごろんと横になります。

対岸では、いくつもの赤色燈が光っています。
雪と混じり桃色に輝いたそれは、かなりあちゃんと誰かをつなぐ
小さな架け橋となってくれたようです。

そっとなにかが、かなりあちゃんのほっぺにふれます。
「・・・・みっちゃん、ようやく会えたのかしら・・・」

そして、かなりあちゃんのねじは、とまりました。


10:名無しさん@お腹いっぱい。
06/12/11 20:55:58 MUbwnKM1
ひどいよ・・・
【Rozen Maiden】雛苺萌えスレ4【ローゼンメイデン】
スレリンク(cchara板)

11:Reiner Rubin
06/12/11 21:21:32 QgcVlXdY

        {:::.:::.:::>.::´ ̄ヽ、 ,. -一 ヽ_
    ,. -┘.:::.:/:.:::.:::.:::.:::ノ::.Y:;___.:.:./.:.:.:.:.ヽ
   (.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:;:、;:;∠二:.ヽ`ヽ.:.:.:.:.:.:.:∟、
    ):.:::.:::.:::.:::.:::.; '´ //〈.:.:.:.:\ \.:.:.:.:.:.:.::ヽ-へ
  r''".:::.:::.:::.:::.:::/ / / / ハ `ー‐┐\ ヽ:.:.:.:.:.:.:ノ=ニ):\
  { ::.:::.:::.:::.:::.; ′  /      |   {_:.:.:.ヽ ヽ:.:.:.(二`V/^):、
    ̄つ.:::.::/   / ,′    |    |  ̄ヽハ. i.:.:.:.:.`i!ヽ.!_/:./
   (:.:::.:::.::!l!  l  i      |l!   |  ノ:.:.| |:.:.:.:.:.:||:.ト、;:ノ
    `7:.::|l|  | ハ      ;'|     し-、| |:.:..:_ノ.|.:| |
      ヽ|H  | | l__,    / |  /  / ノ|/:.:ん. l |:.| |
       |l!ヽ. 代「 ヽ.  , / `ト、/! ,イ. く:.:/:.; -┘| L」 !
        |  l N.--ミ ヽ/ソ _レ'´ lメ // |/  | |   | 新スレ乙なのだわ
        |  ! |l,ィ^h.、    ´ ̄ ヽ 1  |     | |   |
       | !( { { | | ' _, """ ノ!|   |    | |   |
      !.| |_\  ヽ、    _,. <._| !  |ヽ.   | |   |
         !/〈.:.:.Y_>、 }、 ̄´;:;:;:;:;:;://|  |:.:.::',  l l   |
       ム-レく.:.:.:_}ノ:@;:ニ、;:;:;//;:;! 、|:.:.:.:.:L_ ! !  |
     _,.∠=ニ〈:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ニ  V;〈〈_;/| ヽ:.:.:.:.:.:L_l !  |
    `ーニ二_‐ヘ.:.:.:.:.:.:.:.:(゙こ  /'^ヘ V:.:\ \:.:.:.:.:{! |   !
     <:.:.:. ̄} .:.:.:.:.:.:.:`} ノ:.:..:.ハ V:.:_>- ヽ.:.:.:.} |   i
      |_>'7.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:Y.:.:.:.:.:.:.:.::.:>'"  /:.:r‐'´〉、  i

12:名無しさん@お腹いっぱい。
06/12/11 22:40:53 2ATg3C0+
>>9
おかえり。

13:もっさり ◆x3BPXU4g5U
06/12/11 22:51:21 MpQuAsVE
>>12
ただいま。

14:M氏
06/12/12 00:37:42 MoyV9Spx
>>13
俺のカナになにをする。

15:重複誘導
06/12/12 10:42:42 QJlBvF3u
ここは重複スレッドです。
速やかに下記のスレに移動し以後書き込みをしないでください。
 
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 3【一般】
スレリンク(anichara板)

16:名無しさん@お腹いっぱい。
06/12/13 02:45:21 OjLb0KO/
さて、いい感じに暖まってきたところでぼちぼち何か書くかな。

17:名無しさん@お腹いっぱい。
06/12/14 00:01:10 zkplP/iA
【七日目】ローゼンメイデンが教師だったら。【補習】
スレリンク(news4vip板)


18:真紅・紅茶編3
06/12/16 16:29:29 RkJ8ZLDZ
「ジュン、紅茶を淹れてちょうだい」
ジュンがカップに黒い液体を注いで差し出す。
「ジュン・・・これはコーヒーよ。淹れなおしなさい」
飲まなくても漂ってくる匂いで紅茶でないことは真紅にはすぐわかる。
「真紅、何を言ってるんだい?これは紅茶だよ」
ジュンは怪訝そうな顔で真紅を見つめる。
「おいしい紅茶ですぅ」
「紅茶だ~い好きなの~」
翠星石と雛苺も調子を合わせる。
「・・・たまにはコーヒーもいいのだわ、ありがとう」

「ジュン、紅茶を淹れてちょうだい」
コーヒーが注がれて出される。
「紅茶よ!紅茶を淹れて!」
「これは紅茶だよ、真紅」
ジュンが笑いながらカップを差し出す。
毎日がこの繰り返しだった。

雛苺と翠星石が聞こえよがしに話す。
「真紅は頭がおかしくなったですぅ」
「紅茶の味もわからなくなったの~」
何度も繰り返されるやり取りに真紅も混乱してきた。

「ジュン、紅茶を淹れてちょうだい」
ジュンは真紅の目の前でインスタントコーヒーの粉にお湯を注ぐ。
「・・・・おいしい紅茶ね、ありがとう」

「毎日毎日、値段の高い紅茶ばっかり飲ませてられないよ、まったく」
「やっと真紅もあきらめたようですぅ」
「ヒナも高い紅茶よりお菓子のほうがうれしいの~」


「ジュン、紅茶を淹れてちょうだい」
ジュンはイタズラ心をだしてカップにミソ汁を作ってだす。

「ジュン・・・おいしい紅茶ね、ありがとう」

真紅は壊れてしまった。

19:クリスマスのローゼンメイデン達
06/12/25 20:47:02 LmjysBEj
ークリスマスの次の日ー


ノリ「翠星石~お届け物が来たわよ。」

翠「おじじからですぅ。なにかしら?」

小さな箱の中にはクォーツ式の懐中時計が入っていた。
表を見る限りは普通の時計だが裏を見ると


ーMerry X'mas SUISEISEKI From SOUSEISEKIー


…と彫られていた。

翠「……蒼星石…………っ!」

時計を固く握って涙が止まらなかった。

20:名無しさん@お腹いっぱい。
06/12/26 09:19:58 C0EgyyLV
蒼星石「これはボクが蒼虐待派に捕まった時、尻の穴に隠していた時計で・・・」

21:ジュソ
06/12/29 19:37:57 XAWg7mU6
昨夜の翠・蒼ドールの襲撃から一夜明けた日曜日のお昼前、少年と赤い人形はダイニングで遅めの朝食を取っていた。
「…はぁ~。」
少年の方をチラリと見ては溜め息を繰り返す赤い人形。最初のうちはスルーしていた少年だったが、そのいつまでも続く不愉快な態度に、ついに箸を止めた。
「さっきから何しっっっつこくガンくれてやがんだ、テメェ!胸くそ悪ぃ。」
そうキレる少年に対して一瞬怯みそうになる赤い人形。しかしながら今をおいて話を切り出すタイミングはない、と意を決して口を開いた。
「そうね…、私が悪かったのだわ。あなたに話があるのだけれどなかなか上手くきりだせなくて、やきもきしてて、それで…。今、いいかしら?」
「はぁ?んだよ。」
上目づかいで恐る恐る様子を伺いながら人形は語る。
「私、まだここに来たばかりで色々と不安なのだわ。それで、あの、その…。」
途中でまた口ごもる赤い人形に余計にイラつきを覚え、ドン!とテーブルに拳を叩き付ける少年。
「あ゛あん?はっきりしろや!」
「ほら、えっと、その。そんなふうな乱暴な態度や言葉遣いは控えて欲しいのだけれど…。一応私達はパートナーなんだし、これから上手くやっていくには信頼おける関係とか…、ね。」
少年の気に障らないよう細心の注意で言葉を選んだのだが、赤い人形はこの提案が悲劇を招く結果になってしまうとは夢にも思っていなかった。
「信頼ねぇ~。なめてやがんのかテメェ!!!アリスゲームもろくにやらず、毎日食っちゃ寝するだけの人形が偉そうにご主人様に命令か!?」
「えっ!私はそんなつもりじゃ…。きゃっ!」
ブチ切れた少年は赤い人形の胸ぐらを掴んでリビングへと場所を移動した。
「きゃんっ!」
そして人形は少年にソファーに投げとばされた。

22:ジュソ
06/12/29 19:40:01 XAWg7mU6
>>21
ただただ恐怖にビクビク震える人形をよそに、少年はおもむろにテーブルに置いてある来客用の分厚いガラス灰皿を手に取る。
「お前みたいな駄目な人形には躾が必要だな。」
「え?」
「オラよっ!」
次の瞬間、鈍い音と悲鳴がリビングに響き渡った。

ゴシャァァァ。。

「あっぎゃぁぁぁぁ!!!!」
赤い人形は突然の脳天をかち割られる激痛でソファーから転がり落ちる。
もうろうとする意識のなかで目に入ったのは、鈍器を手に持って自分を見下ろしている少年だった。
「おい、早く立て。お前のためにわざわざ躾てやってんだぞ?」
赤い人形の焦点の合わない眼球がかろうじて写したのは、ニヤニヤと薄ら笑いの少年が灰皿を振り上げる姿だった。
「いつまで痛がってるふりしてんだこのゴミクズ人形が!!」

ゴンッ。。

「うっぎぅぇぇぇぇ……。足が、私の足がぁぁぁぁぁ。」
全く容赦のないうちおろしが右膝を完全に潰し、人形の膝から下は無くなった。
「んん?どうだ?自分の立場わきまえて反省したか?それともこのまま手足潰されてイモムシにでもなってみるかるかよ?ククッw」
冷たい笑みを浮かべて容赦なくまた灰皿を振り上げる少年に一気に血の気が引く。
「い、イヤッ!もう止めて頂戴!こんなのただの虐待じゃない!!!私が何をしたって……あひっ!?」
そう言って両腕で頭を覆って床に伏する人形の髪の毛をむしり取って、無理やり自分と目線を合わせて少年は言った。
「お前は全然反省する気が無いみたいだな。残念だよw」
「ヒッ!誰か‥助っ、お父様ぁぁぁ、嫌ぁぁぁぁ…。」

23:ジュソ
06/12/29 19:45:31 XAWg7mU6
>>22
少年は人形の髪の毛を掴んだまま勢いよく振り回し始めた。
回転を増す毎に赤い人形は床や壁に叩き付けられ、その度にボディが軋み、へし折れていく。
と次の瞬間、遠心力に耐えきれず

ブチブチブチッ。。

と音をたてて人形の髪が引き千切れ
人形は惰性であらぬ方向に飛ばされ、顔面からテーブルの角に衝突した。

ブチュッ。。

「おぎゃぁぁぁ!!!!目がっ、目がぁぁぁぁぁぁ…。」
「あぁ~あ、こりゃ酷ぇなwどっからみてももう化け物人形じゃねーかひゃはハハハwwww」
左目を押さえて床にうずくまる人形の残り少ない髪の毛をむしり上げると、か細い声で反応した。
「私…ジャンクに…、もう…殺して、どうせ‥アリスには…。」
「んだぁ?まーだ躾が足りないようだな。」

ビリビリビリビリッ。。。

少年は赤い人形のドレスの下半身部分を破り捨てた。
「へぇ~、究極の少女をウタうだけあってちゃんと“リアル”なのな。こいつは楽しめそうだククッw」
イヤらしくニタつく少年に、赤い人形は僅かばかり残されていた羞恥心を振り絞って懇願する。
「な、何っを…?、これ以上‥の辱めは、やめっ…、それだけはっ……。」
「はぁ?お前何か勘違いしてねぇか?俺がンな小汚ねぇ穴使うかよヴァァァカがw」
少年はテレビの下の棚の中にしまってあったウイスキーを取り出して蓋を開けた。
「体の奥までこびりついて取れないお前の腐った根性は、内側からなんとかしないと、なっ!」

ギャリッ、メリメリメリッ。。

「うっぎぃぃゃぁぁぁぁぁぁ」
ウィスキーの口は人形の“穴”に捻り込まれ、中身が注がれる。
穴に入りきらない分が穴から溢れて人形はウィスキーまみれになり、ビクンビクンと痙攣している。
恐らく余りの恐怖と激痛で気を失ったのか、口から泡を噴いていた。

24:ジュソ
06/12/29 19:50:39 XAWg7mU6
>>23
カチッン、ボシュッ。。。

「ふぅ~。」
おもむろに煙草に火をつけて一服する少年。
「体の芯から反省しろやカス。プッ!」
少年はそう言うとタバコを人形に向かって吐いた。
次の瞬間人形に染み付いたウイスキーに引火して赤い人形は文字通り赤い火達磨となった。
「……ッ……あっ…アツイ、あつ!?いぃぃぃぎゃぁぁぁ!!」
全身にまわった火の熱さで目が覚めた人形は必死に火を消そうと飛び跳ねる。
しかしそうするたびにウイスキーの瓶が穴にめり込む激痛で狂喜乱舞する。
その姿はまるでどこかの原住民の踊りのように滑稽で、少年は燃えながらジタバタと踊る踊り子を横目に二本目のタバコに火をつけた。
「全くヤレヤレだぜ…。」






(あれ‥私、)
半開きの寝ぼけ眼を擦りながら起き上がる赤い人形。どうやらソファーでうたた寝してしまったらしい。
(まさか…、昨日の夜から眠ってて、あれは夢、だった―) 「あっつぅ!」
全身に走る激痛に声を洩らす。
「よぉ、やっと起きたか?」
そして少年の声に反応して振り向いた。少年は隣のソファーで読書をしていたよう―
「あ、え!?」(視界が半分ない…)
全身に震えが走る。
恐る恐る体をくまなく触って確かめると、先ほどまでの悪夢が現実のものとして蘇ってきた。
(そ、そんな…)

ドンッ。。

「なにアホ面でプルプルしてんだ?そんなんじゃローゼンじゃなくて老人だな。」
少年が少し大きめのハンドミラーをテーブルの上に置いた。そこに写された自分の姿はとても直視できるものではなくて―
「おいおいしっかりしてくれよ。アリスゲームはまだ始まったばかりなんだぜ?ククッ、クククッwヒャははははははwwwwwww」

25:名無しさん@お腹いっぱい。
06/12/30 02:32:17 V7EO3K8B
病んでるね

26:名無しさん@お腹いっぱい。
06/12/30 06:46:01 rnGEq1Nk
バイオレンスジュソ再臨

27:名無しさん@お腹いっぱい。
06/12/30 08:01:46 oaa2QrxP
一話の切れ味が無いなあ

28:名無しさん@お腹いっぱい。
06/12/30 13:10:11 DkCsPeLj
折角良い話を書くんだったら
もうちょっと設定をひねった方が……
元々壊れていたその時計を、蒼星石と翠星石が見つけて
おじじと一緒に楽しそうに直している蒼星石を、羨ましそうに見つめていた翠星石
でも、蒼星石は直した時計を翠星石にプレゼントした時の姉の喜ぶ顔が見たかったから頑張っていた事を
翠星石は時計を見て初めて気づいて、
冬の闇の中で、冷たい風に髪を揺らしながら、思い出す蒼星石と過したたわいも無い遠い日の夢を、
ただ、夜更けの月が静かに照らしている。

なんて感じで、肉付けすると良いかも。


29:↑
06/12/30 13:13:56 DkCsPeLj
>>19ね。


30:水銀燈・激闘編1
07/01/01 08:05:13 XOJjhZyo
「ジュン、誰を選ぶのかはっきりしなさい」
「チビ人間が選ぶのは、この翠星石に決まってるですぅ」
「ジュンはヒナのことが好きなのよね?」
三体の人形が僕を取り囲む。

「チビ人間!!いいかげん私たちの中で一番好きなドールを決めるですっ!」
絶対絶命の危機と言っていいだろう。
誰を選んでも残りの二人を傷つけてしまう。

ひょんなことから真紅たちは喧嘩を始め、僕は誰か一人と契約するか選ぶことになった。
誰も傷つけずにこのままの生活を続ける、それが一番の幸せだと思ってた。

でも、それは出来ないようだ・・・
せめて、傷つけるにしても最小限にしたい、誰を選ぶべきか・・・

今、目の前の三人から選ぶのは論外だ、また大喧嘩になってしまう。
巴の名前をだせば雛苺が傷つくし・・・
蒼星石と言えば翠星石は深く傷つくだろう・・・
もう一人、黄色いのが居た気がするが名前が思い出せない・・・
パニックになった僕はあらぬことを喋ってしまう。

「ぼ、僕は・・・水銀燈が・・・」

「「「水銀燈!?」」」

「何をふざけたことを言ってるですぅ!」
「うゆ~~!ヒナよりも水銀燈のほうが好きなのね!」
「水銀燈ですって?あきれたわ・・・」
三人が一様にあきれた表情で僕を見つめる。
「まったく、あんなジャンクのどこがいいのかしら?」

「誰がジャンクですってぇ~?」
最悪だ!最悪のタイミングで本物の水銀燈があらわれた。
三人がいつになく気合の入った視線を水銀燈に向ける。
「水銀燈、いつの間にチビ人間に手を出しやがったですぅ!」
「うゆ~、水銀燈ゆるさないの~」
「水銀燈、貴方がそんな泥棒猫だったなんて知らなかったわ」
水銀燈が怪訝そうな顔をする、当然だろう。
「いったい何の話かしらぁ?」

31:水銀燈・激闘編2
07/01/01 08:07:00 XOJjhZyo
「ジュン、せっかく大好きな水銀燈が来てくれたのだから、お茶でも出してあげたら?」
真紅が氷のように冷たい声で言う。
「水銀燈!このチビ人間はお前のことが好きで好きでしょうがないそうですぅ!せいぜい仲良くするですぅ!」
ついに翠星石が決定的なことを言ってしまう。
「いや・・・その・・・色々あって・・・」
僕は言い訳しようとするがうまい言葉が見つからない。
「え・・・私のことが・・・」

水銀燈の様子がおかしい。
水銀燈は急に顔を赤らめ、モジモジしだす。
「お、お前がどうしてもって言うなら私のミーディアムにしてやってもいいわぁ・・・」

ええーー!?

「・・・・ジュン、よかったわね。仲良くしなさい」
「もう見てられねーですぅ!」
「ジュンなんて大嫌いなの~!!」

ドン!

雛苺が僕を突き飛ばし、僕は水銀燈の上に倒れこんでしまう。
「やさしくしてね・・・」
僕の腕の下で水銀燈が目を閉じる。
「私たちはお邪魔みたいね、部屋から出ましょう」
「チビ人間の顔も見たくないですぅ!」
「・・・サヨナラなの」

その日から水銀燈は僕の部屋に居る。

真紅たち三人の激しい攻撃が毎日のように襲ってくる。
さすがに水銀燈といえど三人相手ではボロボロになってしまう。
「私がマスターを守ってあげるわぁ」
そう言って今日も水銀燈は戦いに出かけた。

32: ◆vJEPoEPHsA
07/01/02 07:55:45 KUh+UnDv
色々混ざってしまい見にくいとのことでしたのでスレごとに分けてみました。
URLリンク(rinrin.saiin.net)

33:名無しさん@お腹いっぱい。
07/01/02 12:16:44 ExF3mUdo
乙です

34:名無しさん@お腹いっぱい。
07/01/06 22:48:51 IwQh4Vvy
ドタバタと廊下を走る音。
ジュンの部屋のドアが勢いよく開いた。
雛「ジュン朝なのー」
J「ぐえっ」
雛苺が寝ているジュンに飛び乗る。
翠「全く。しゃあねーですから翠星石が起こしにきてやったです」
それっ、といってジュンの布団をひっぺがす。
J「うわあっ馬鹿やめろ!」
何故か焦るジュン。しかし遅かった。
翠「問答無用で―」
布団を奪いとった翠星石は



きゃあああ!!1!11
!!!1!1!!



J「こ、これは生理的現象で、って痛あっ!?」
翠「う、うるさいです!この変態チビ人間!!」
雛「わーい!雛もジュンをやっつけるのー!」
J「コ、コラお前ら……」



の「あらあら」
一階ではのりが皆の朝食の準備をしていた。
紅「全く騒がしいわね」ふぅと溜め息をつき真紅は紅茶を飲む。

今日も騒がしい一日が始まる。



勢いで書いた
どう見ても恥晒しです
本当に(ry


35:名無しさん@お腹いっぱい。
07/01/07 18:52:04 j06I4Qoy
きゃー! えっちばかへんたいしんじらんなーい!!

36:名無しさん@お腹いっぱい。
07/01/08 22:45:48 F0Bw+olL
テスト

37:名無しさん@お腹いっぱい。
07/01/13 11:58:44 5K7xZd1F
此処エロSSありなの?

38:名無しさん@お腹いっぱい。
07/01/14 05:11:12 /UbjL30d
>>30
>>31
それからしばらく一緒に生活してまんざらでもなくなってきたジュン。
でも「好きといったのが実はその場しのぎのために吐いたウソ」ってことがバレて、
怒った水銀燈に改めて「あの時はウソだったけど、今では本当に好きだ」と告白。
そしてキャッキャウフフ。

そんな妄想が脳裡に浮かんだ。

39:名無しさん@お腹いっぱい。
07/01/19 00:19:07 S1AZ+75a
>>37
何でもおKと思うけどエロパロ板に専用スレはある。

40:真紅・改造編
07/01/24 10:26:28 pqS+wd8F
散歩に出かけていた真紅が怒りながら帰ってきた。
「くやしいのだわ・・・くやしいのだわ・・・」

真紅、どうしたんだい?
「近所の小学生に古臭いとバカにされたのだわ」

真紅はアンティークドールだし服とか古風な感じがするのは仕方ないだろ。
「違うのだわ!今時ゼンマイで動くなんて古いと言われたのだわ・・・」

う~ん、ゼンマイはエコロジーだし何度でも使えるから良い動力なんだけどな。
真紅はバカにされたのがよほどショックだったのだろう、座り込んでさめざめと泣く。

よし!わかったよ、真紅。僕が改造してあげるよ!

早速、真紅の体を分解し腰からゼンマイを取り出す。
ゼンマイの代わりに入れるのはボールベアリング入り強力モーター!!
元通りに組み立てなおし服をきせてやり、腰から伸びたコードをコンセントにつなぐ。

真紅、完成だよ!起きてごらん。

真紅は起き上がると手を動かしたり、首を回して具合を確認する。
そのうちピョンピョン飛び跳ねて喜びだす。

「すばらしいのだわ!体に力があふれてくるのだわ!」

うんうん、成功したようだな・・・あっ!真紅!そんなに走ったら・・・

コテン!

腰から伸びたコードが限界まで引っ張られ真紅の体が床に転がる。
「こ、これは・・・コンセントの範囲1メートルしか動けないのだわ!」

それは仕方ないだろ、電気で動くんだからさ。
「直すのだわ!直すのだわ!」

ポカッ!ポカッ!ポカポカポカ!

いてっ!いてて!真紅、そんなに叩くなよ。すぐに直すよ。
バイク用のバッテリーを買ってきて真紅のコードをバッテリーにつなぐ。
赤い布でリュックサックを作ってやり、バッテリーを背おえるようにする。

ほら、これで動けるだろ。

「重いのだわ・・・重いのだわ・・・」
真紅はフーフーいいながら腰を曲げてお婆さんのように歩く。
前のように身軽に動き回ることはできないが、バッテリーとモーターという新世代の動力には満足してもらえたようだ。


今日も真紅はコンセントの前に座り、バッテリーの充電に余念がない。

41:名無しさん@お腹いっぱい。
07/01/24 12:59:23 Vik00jw4
アンティークとしての価値も、戦闘力も大幅ダウンだなw

42:名無しさん@お腹いっぱい。
07/01/24 13:46:53 IcKP1TTh
意地っ張りww

43:名無しさん@お腹いっぱい。
07/01/24 23:19:03 SMyTRFD9
ネジだと一回巻くだけで良いのにモーターだと常に充電しきゃならんのかw
逆に効率悪くなってるしw

44:名無しさん@お腹いっぱい。
07/01/28 01:57:53 1FlJFZLn
ゆらゆらと揺れるカーテンの隙間から月明かりがやわらかく差し込んでいく。
わずかに開けた窓を窓枠によじ登って翠星石は見つめていた。
「・・・またうなされているです・・・」
ベッドのほうを振り返り、形のいい眉を潜める。
その視線の先にはジュンがいる。
苦しげに潜められた眉、体に浮かんだ玉のような汗。
そんな光景を翠星石はばつが悪いように眺めた。
真紅の腕を取り戻すため、無意識の海に入り込んで以来ジュンは毎日うなされていた。

あの時ジュンの足を止めた記憶が原因なのだろうか

翠星石の勘はそう言っていた。
だが、見られたくない記憶なのかもしれない。
だとすれば彼は傷ついてしまうかもしれない。
「・・・・でも・・・」
あの時、無意識の海の中で茨に打たれながらも進むジュンを、翠星石は純粋にすごいと思ったし、好感を持った。
それだけにこんなにもうなされているジュンを見ているのはつらい物だった。
庭師である自分にできることならばやってやりたいと思っている。
「・・・別にジュンのためじゃないです、ただ・・・、ジュンは翠星石のマスターですから心が壊れたら困るだけです・・・。」
彼がおきているわけではない。ただの強がりの言葉を紡いでみれば、むなしく壁に吸い込まれるような感覚があった。
「翠星石のマスターとして認めてやるです」
精一杯の素直。
自分でいったそんな言葉に少し恥ずかしくなった翠星石は逃げるように夢の扉を開けた。



45:名無しさん@お腹いっぱい。
07/01/28 02:09:19 1FlJFZLn
「やめろ・・・!やめろ・・・!」
頭でそうさけんでも、周りの視線に捕らえられたような気がして、ジュンは激しい吐き気に襲われた。
耳をふさいでも響いてくる声。
逃げたくても逃げられない人の檻。
何故こんなことになったのだろう。
クラスメイトの視線が、声が、すべてが自分自身に対する痛めつけに感じてくる。
ジュンは次第に暗がりの、声だけの世界に落ちていった。
「やめろ・・・やめてくれ・・・」

「ジュン・・・。何処にいるですか・・・」
翠星石は、夢の扉をくぐり、ジュンの意識の中へときていた。
人の波がどっと視界に入る。
木の板が敷き詰められた広い空間、体育館という場所だろうか?
集まった学生たちは整列して、先生の話を聞いていた。
「2-3の桜田です!」
教師がそう継げたとたん、浮ついた雰囲気だった体育館はどっと騒ぎにあふれた。
「桜田って・・」
物陰に隠れながらみているのは、制服姿のジュンだった。
ジュンの周りの生徒はジュンから少し距離を置いて、視線はじゅんにいっせいに注がれている。
その中で。ジュンは息を荒げて耳をふさいでいた。
口々に何かを浴びせる生徒たちは収拾がつかなく、もはや何を言っているのかも聞き取れない。
それでも、何かジュンにとってつらい仕打ちになっているということがわかった。
このころのジュンは戦う術を知らなかったのかもしれない。
ジュンはそのまま戻してしまい、さらし生徒たちからどっと声が上がった。
そしてそのままジュンは、暗闇の底に逃げるように入っていった。



46:名無しさん@お腹いっぱい。
07/01/28 02:21:08 1FlJFZLn
暗闇の中、桜田ジュンは膝を抱えて震えている。
いつものジュンからは想像もできないほどに乱れてた。
「心が・・・、乱れているです・・。」
そしてそれに反応するかのように心の木の周りに蔓が生えて絡んでいく。
「樹が・・・」
心の樹の周りに、ジュンのトラウマの記憶のつたがまとわりつく。
「蒼星石・・・!」
とっさに双子の妹の名前を呼ぶ、だが敵に回っている妹は来るはずもなかった。
彼女のはさみならば、この記憶を断ち切って上げれたのにと、翠星石は自分の無力を呪った。
如雨露で水を上げようか。そんな考えが脳裏をよぎったがそれはできなかった。
今のジュンを完全に救うには、如雨露だけではだめだ。
心の樹の成長を促す如雨露は、周りの蔓まで成長させてしまうかもしれない。
過去の記憶になお縛り付けかねない。
意を決して翠星石はジュンの前に立った。
「・・・ジュン・・・」
膝を抱え、顔を伏せたままぴくりと反応する。
肩で息をし、錯乱しているのがすぐにわかることだった。
それでも言い聞かせるかのように、淡々と告げていく・・。
「立ち上がるのですジュン。お前はこの翠星石のマスターです」
「過ぎた記憶です、だからもう怯えなくてもいいのです」
「いつものいやみはどうしたんです?とっとと立ちやがれです!」
「翠星石が・・、せっかく来てやったというのに・・・」
「ごめんです、いまの翠星石には何もできんです・・・」
翠星石はまた、夢の扉を潜り現実世界へととんだ。

47:名無しさん@お腹いっぱい。
07/01/28 02:31:07 1FlJFZLn
翌朝、翠星石はジュンの耳元で叫んだ。
「ちび人間!朝です!とっととおきやがれですぅ!」
からだのうえでぴょんぴょんと飛んで、ジュンのうめき声を聞いた。
「性悪人形・・・。」
「翠星石には翠星石という名前があるです!早くおきやがれです!めがね小僧!」
ベッドから飛び降りて、ちらりと後を見た。
昨日の自分の声は届いているのだろうか・・・。
「・・・ジュン・・・」
「?」
「つらかったら翠星石に言いやがれです。一人で勝手に抱え込むなです。」
「え?あ、ああ・・・」
「別にお前のためじゃないです!す、翠星石のマスターなんだから、しっかりしやがれってことですぅ!」
少し様子がおかしい翠星石に、ふとジュンは昨日の夢を思い出した。
暗がりで膝を抱えた自分に、柔らかい声が振ってくる夢だった。
暗がりで確かに震えていた自分に注がれた声はまるで甘味な水のように思えた。
(よく思い出せないな・・・。でも・・・)
あのこえは翠星石の声によく似ていた。
もしかしたら彼女が、やわらげてくれたのかもしれない。
そう考えると少し楽になった。
心の糸のほつれはまだ解けないけれども。
いまだに自分自身は逃げている。
それでも助けようとしてくれるこの人形たちが今のジュンには頼もしくも愛しくも思えた。




48:名無しさん@お腹いっぱい。
07/01/28 02:32:23 1FlJFZLn
初ローゼン投稿。
翠星石の口調は書いてみて難しかったからところどころ変だと思うが許してくれ。
ジュンも変だと思うが許してくれ。

49:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/02 20:14:35 g4nWBVbV
ああ!なんてこと・・・ベッドの上で本を読んでいた僕の耳に悲鳴のような真紅の叫び声が聞こえてきたのはもう時計の針が2時を回っていた頃だった。
最近は真紅もパソコンの液晶画面と向き合っている姿を多く見かけるようになり深夜まで起きている事もしばしばだ。
まったく昔はいつも9時には寝ていたくせになんだんだこの変わりようはと思いつつ真紅の方に顔を向けると──泣いていた。
咄嗟に、何があったんだよと声をかけようとしたが途中で続いて耳に飛び込んできた真紅の言葉にそれもかき消された。
ジュン!なんとかして頂戴!お願いよ・・・真紅の様子にこりゃただ事じゃないなと思いつつベッドを起き上がりパソコンの画面を覗き込んだ。
「このページは表示できません」?くんくんの公式ホームページでも消えてたのか?僕の問いに真紅は俯いたまま答えようともしない。
なんなんだよ、俯いたままじゃ判らないだろ?若干苛立ちを含ませた言い方にその小さい体を少し震わせながらも僕の顔を見上げ言った。
「2チャンネルが・・・消えているのよ。」・・・これか最近妙に怒りっぽくなり液晶画面をその視線で打ち壊さんばかりの形相で睨みつけ不人気ですってぇ・・・等と口走っていたのは。
それをからかうと凄まじいばかりの勢いで攻撃してきたっけな、ああ3日前なんてホーリエまで持ち出して・・・そうかどうもこの頃翠星石との仲がギクシャクしていたと思ってたら原因はこれだな。
そう検討を付けると大丈夫だよとりあえずさ、今日はもう寝て明日また見てみればいいじゃないか。こんな事は以前もあったから悲観する事無いよ。正直ろくに見た事も無かったがその場を繕うために
言っただけなのだが真紅は少しほっとした様な表情を見せ、そう?あなたがそう言うのなら間違いは無いわね──どうも裁縫とインターネットに関しては随分と信頼されているらしい。
そいうと真紅は鞄に入っていった。これでやっと寝れる。電気が点いてると寝付けないもんな。ん?そういば2チャンネルが閉鎖するとかそんな電子記事を見たような・・・まあいいさ。明日いやもう今日か、うん。
起きる頃には復旧してるだろ。そう考えを纏めるとようやく眠気が襲いかかり・・・漆黒の闇へと意識は埋没していった。

50:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/12 22:04:21 H0GHQM+E
>>48
すごく・・・イイです・・・・

51:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/13 19:16:53 2kW2K4pz
連合軍最高司令部から褒められるなんて>>48は凄いね

52:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/19 22:41:59 2UgTlG6W
なんのことかと思ったらGHQかw

53:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/24 06:46:21 EfjpRLZI
Go Home Quikly

54:名無しさん@お腹いっぱい。
07/03/04 23:51:16 1WI6uG23
七つの大罪とは以下のようなものである。
傲慢 … ラテン語:superbia. 英語:pride, vanity. 司る悪魔は、ルシファーまたはベリアルであると言われる。
嫉妬 … ラテン語:invidia. 英語:envy, jealousy. 司る悪魔は、レヴィアタン(リヴァイアサン)であると言われる。
憤怒 … ラテン語:ira. 英語:wrath, anger. 司る悪魔は、サタンであると言われる。
怠惰 … ラテン語:acedia. 英語:sloth, accidie, acedia. 司る悪魔は、ベルフェゴールまたはアスタロスであると言われる。
強欲 … ラテン語:avaritia. 英語:avarice, covetousness, greed. 司る悪魔は、マンモン(マモン)であると言われる。
暴食 … ラテン語:gula. 英語:gluttony. 司る悪魔は、ベルゼブブであると言われる。
色欲 … ラテン語:luxuria. 英語:lust. 司る悪魔は、アスモデウスであると言われる。

姉妹の順番で当てはめてみても、けっこう一致しているようなしていないような。

55:名無しさん@お腹いっぱい。
07/03/06 18:36:27 8uZfiC41
>>54
いやがっちりあってるだろ

56:名無しさん@お腹いっぱい。
07/03/06 19:19:44 iNGvmgRa
自分なりにはこうだと思う

傲慢 …真紅
嫉妬 …蒼星石
憤怒 …水銀燈
怠惰 …翠星石
強欲 …雛苺
暴食 …きらきー
色欲 …金糸雀

銀様と蒼の子のどちらを嫉妬にするのかを迷った
カナは数合わせで・・・

57:名無しさん@お腹いっぱい。
07/03/06 20:24:52 BxXzgaZE
色欲 …金糸雀


萌え狂うのも色欲の範疇なら、俺にとってこれ以上のベストマッチは他に無いわけだが・・・。

58:名無しさん@お腹いっぱい。
07/03/06 20:33:29 IwcHs0YI
カナに色気はな(ry

59:名無しさん@お腹いっぱい。
07/03/07 23:29:23 qkEkC2J6
こうだと思う。

傲慢 …真紅(女王様気質)
嫉妬 …翠星石(ジュンと真紅の関係を見て)
憤怒 …金糸雀(烏に卵焼きを奪われて)
怠惰 …雛苺(アニメ版なら最後まで遊んでいたと思う)
強欲 …水銀燈(ローザミスティカに執着)
暴食 …雪華綺晶(人食いつながりでフランス人が絡んだのか?)
色欲 …蒼星石(ムッツリ)

60:名無しさん@お腹いっぱい。
07/03/12 02:28:13 0DTlW2+9
「誰かに死ねって命令されて、はいそうですかって死ねるほど、私は軽く考えていない!
そんな簡単に死ねるなら、とっくの昔に何百回も死んであげてるわよ!
こんな……ゴロゴロ転がってるありふれた死にかたなんて、同化できない!
私にとって死ぬってことは……特別なの!
手の届かない高い場所にひっそりと咲いて……散る……誰にも……」

「不愉快だわ!私の領域に、こんな雑草みたいな連中が土足で入ってきて!
昔から知ってたみたいな顔して!ばたばた死んでいって大迷惑!」

「あなたの死なんて、ありふれたものよ!死にたいけど怖くて死ねない。
そんなヒョロヒョロしたあなたの志と同類項でくくってもらっちゃあ、汚れるの!
私の……死の神聖さが……おとしめられる!
あなたなんて、そこらへんの……この下に積み重なっている連中と一緒!
平積みの『完全自殺マニュアル』読んで?
『自分には最終手段が残されているって思うことが勇気になる』とかいって?
気取るな!現実と戦う覚悟がない世捨て人気取りが!そんなのみんな一緒!
私があなたを案内したのは……私の領域の端っこに招いたのは……同列の存在を作るためじゃない!
あなたは道具!いい、道具なのよ?!死の儀式に必要不可欠な……道具!
いい、あなたは条件なの。わたしが死んでいい状況を形作るための条件でしかないんだから
……あなたは過去のわたしなの!
今の私じゃない。なんでもなかった頃の私で………………………………………………
……………………………………………………………………………………………………
………………………………………………………………思い上がるなッ!」

61:shinku
07/03/18 23:44:34 QVnusoNf
「ジュン、紅茶をいれてきてちょうだい」

「ノリにやらせれば良いだろ?なんで僕がそんな事…」

「人間のくせに、口答えするな!ですぅ…とっとといれやがれ!ですぅ…」

「この性悪人形…」

「ジュン」

「なんだ!」

「騒々しいわ、速くいれてきなさい?」

「…くそ、なんで僕が…」




…ジュンって微Mなんだろうか…

62:名無しさん@お腹いっぱい。
07/04/01 19:55:57 EiYu4etK
わ。

63: ◆vJEPoEPHsA
07/04/03 22:53:24 QWbgSr4h
>住人のみなさん
お知らせ:
サーバ乗り換えのため、保管庫移転します。
しばらく移転リンクを残すのでブックマークの変更とかよろしくです。


64: ◆vJEPoEPHsA
07/04/04 07:29:44 ypwhmDEY
URL貼り忘れていました、すみません。
URLリンク(library.s12.dxbeat.com)

65:名無しさん@お腹いっぱい。
07/04/07 11:39:52 z+1iMsZc
原作では、実はRMだけでなく、相手の身体も喰ってしまわなければならないという設定
なのかもしれないと、ふと思った。
1つの器に2つのRMは窮屈であり、力をコントロールできなくなると。
相手の身体も取り入れることで、RMを複数コントロールできるようになり
また、身体的にもアリスに近づくとか。

66:名無しさん@お腹いっぱい。
07/04/07 21:19:03 WHIXlRdk
人形を喰ってでかくなる人形…

67:名無しさん@お腹いっぱい。
07/04/07 21:58:05 PsRr8Mnx
元々、原作には陰惨な雰囲気が漂っていたから、
水銀燈が蒼星石の身体を貪り食らうシーンがあってもいいね。

68:名無しさん@お腹いっぱい。
07/04/08 00:13:35 OByCCJ57
ローゼンメイデンのアニメまたはじまらないかな?
その前に漫画がね・・・

69:名無しさん@お腹いっぱい。
07/04/08 01:38:05 WP2xc1jW
漫画は我慢

70:名無しさん@お腹いっぱい。
07/04/10 10:16:34 xrWvVS+k
漫画は我慢

逆さ読みが出来そうで出来ない

71:名無しさん@お腹いっぱい。
07/04/10 21:19:40 MOl/iguo
逆さ
━→
逆さ
←━

72:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/03 09:06:20 1U9VHx5Q
後々使うつもりでいるので一応あげとくか

73:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/27 15:34:22 fqV6z3O2


74:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/16 08:25:31 ubEV2kpF
        {:::.:::.:::>.::´ ̄ヽ、 ,. -一 ヽ_
    ,. -┘.:::.:/:.:::.:::.:::.:::ノ::.Y:;___.:.:./.:.:.:.:.ヽ
   (.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:::.:;:、;:;∠二:.ヽ`ヽ.:.:.:.:.:.:.:∟、
    ):.:::.:::.:::.:::.:::.; '´ //〈.:.:.:.:\ \.:.:.:.:.:.:.::ヽ-へ
  r''".:::.:::.:::.:::.:::/ / / / ハ `ー‐┐\ ヽ:.:.:.:.:.:.:ノ=ニ):\
  { ::.:::.:::.:::.:::.; ′  /      |   {_:.:.:.ヽ ヽ:.:.:.(二`V/^):、
    ̄つ.:::.::/   / ,′    |    |  ̄ヽハ. i.:.:.:.:.`i!ヽ.!_/:./
   (:.:::.:::.::!l!  l  i      |l!   |  ノ:.:.| |:.:.:.:.:.:||:.ト、;:ノ
    `7:.::|l|  | ハ      ;'|     し-、| |:.:..:_ノ.|.:| |
      ヽ|H  | | l__,    / |  /  / ノ|/:.:ん. l |:.| |
       |l!ヽ. 代「 ヽ.  , / `ト、/! ,イ. く:.:/:.; -┘| L」 !
        |  l N.--ミ ヽ/ソ _レ'´ lメ // |/  | |   |
        |  ! |l,ィ^h.、    ´ ̄ ヽ 1  |     | |   |
       | !( { { | | ' _, """ ノ!|   |    | |   |
      !.| |_\  ヽ、    _,. <._| !  |ヽ.   | |   |
         !/〈.:.:.Y_>、 }、 ̄´;:;:;:;:;:;://|  |:.:.::',  l l   |
       ム-レく.:.:.:_}ノ:@;:ニ、;:;:;//;:;! 、|:.:.:.:.:L_ ! !  |
     _,.∠=ニ〈:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ニ  V;〈〈_;/| ヽ:.:.:.:.:.:L_l !  |
    `ーニ二_‐ヘ.:.:.:.:.:.:.:.:(゙こ  /'^ヘ V:.:\ \:.:.:.:.:{! |   !
     <:.:.:. ̄} .:.:.:.:.:.:.:`} ノ:.:..:.ハ V:.:_>- ヽ.:.:.:.} |   i
      |_>'7.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:Y.:.:.:.:.:.:.:.::.:>'"  /:.:r‐'´〉、  i


らき☆すたメイデン2
翠星石登場! なぜか真紅は人間サイズなのだわ クスクス
URLリンク(www.nicovideo.jp)


75:名無しさん@お腹いっぱい。
07/06/25 00:54:17 hYQCQBHz
ももたねさんブログ更新ですよ

URLリンク(blog.p-pit.net)

今後どうなるんでしょう。。。

76:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/07 17:08:04 FcSuOqj7
今更ですがローゼンメイデンが女子高生だったら
スレリンク(news4vip板)


77:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/14 06:24:06 Fx31oIxq
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 5【一般】
スレリンク(anichara板)
がそろそろ容量オーバーです。

ところで、どうしてスレが2つも…



78:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/14 12:04:18 arOF9UHn
総合スレで揉め事が起きてその結果総合スレとノーマルスレに別れた筈(原因は虐待厨の投下した作品だったような)
よく覚えていないので上手く説明できなくてスマン

79:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/14 12:21:22 kuhIOXXI
統合するのかな?

80:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/14 19:57:22 +N5OHbhs
こういうのはあれだけど、それほど活気が無いのにスレが2つもあるのはどうかと思う。
(虐待厨が酷いようならまた分ければ良さそうなもんだけど)

81:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/14 22:29:52 q1yxvHbt
これまでの慣習に従い、立てた。
後はよろしく

【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 6【一般】
スレリンク(anichara板)

82:名無しさん@お腹いっぱい。
07/07/15 01:56:53 pMvTALmu
.       |
  ‐─┼.=r.r=、ヽ  ロ ー ゼ ン メ イ デ ン   r 、_ィi _lニ!_
.       |  .|:.|   }:.:)     _ ___ __    ーレ'に|:/ィュ:ト,           アニメ最萌トーナメント2007
.       |  .|:Κ:<´ .,ィ'''''ト, |_r ァ:./,イr_、:YT:T"「ヽ  __ ヽ,=<_ 今年もローゼンメイデン オーベルテューレキャラに熱き1票を!!
         __|:.| \:ヽ__l:.:l  l:.:l /∠イ !:ヽニr;._|:.:|_ |:.:|_"|:.:| <こ〈 最萌2007の概要、投票方法、現在の状況などはコチラ↓
.       └―‐〈 ゙ー '`''_-_''└―__-! `ー '',r:‐、 ‐┘|:.:| lフト-          URLリンク(animemoe2007.hp.infoseek.co.jp)
         _/:て、     ト:ヽ  /:.:.| _..--.、 >=< ,..--|:.:| ,.-.ト, _...-i_...-、
        、ィr:ニヽ_ ,.、__|:.ト、ヽ/:/!:.| 〉=!:.| T:.| f:.f"`|:.:| /:'三:.YT:.:r'''l:.:| 現在一次予選開催中 以下投票日程
         ゞツン-レK( |:.|. ヽ:./ |:.:!.{:.゙ーLァ._|:.:|_ヽ.ニイ:ァヘ.゙ー:.ア_|:.:.!__|:.:|_・7月16日(月)一次予選第10組  水銀燈
          ソ ー' `,ー|:.|.., ' ,...!:.:!.,  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ・7月18日(水)一次予選第12組  雛苺
                  ̄ ̄    ̄ ̄                 |       ・7月21日(土)一次予選第14組   蒼星石
                                           ・7月24日(火)一次予選第17組   サラ
現在までに、翠星石、真紅、金糸雀、柏葉巴(本選出場)
桜田のり、薔薇水晶、柿崎めぐ(二次予選進出)となっています

83:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/03 18:01:55 DV7qxyWi
虐待SS…読みたい。


84:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/05 13:22:50 X7pgVgez
8巻まで読んだのですが
あたらしい漫画はもうでないのかな?

85:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/06 08:55:10 1Td1829y
>>85
今日、9巻発売日。
初回限定は水銀燈のフィギュアが付いてくる!
早く本屋に逝け。

86:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/06 23:43:10 yGntsdPH
>>85
お前が逝けwww

87:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/06 23:48:37 yGntsdPH
>>85
お前が逝けwww

88:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/06 23:49:56 yGntsdPH
>>85
お前が逝けwww

89:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/06 23:51:54 yGntsdPH
>>85
お前が逝けwww

90:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/18 09:45:39 WixwOQfg
test

91:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/18 18:42:59 qyrubsWA
ここってなんでもあり?

92:カプチーノ8世
07/08/20 09:53:26 GwdeXLso
以前に書き込んだが誰も覚えてないだろうし保管庫にもないと思うので
この場で挙げさせてくれ、夏休みのいい暇潰しになることを祈る、長編




ここはnのフィールド。
荒野と化した大地に一体の人形が立ち尽くしていた。
彼女の名は水銀燈。
名工ローゼン初のドールにして、今やドールズ最後の戦士である。

「・・・そろそろ、行かなくちゃね。」

誰にともなくつぶやく。  しかし応えるものはすでにない。
やがて彼女はその翼を広げると最後の戦いに向け飛び立った。


 「  行  き  着  く  先  」



あれからどれくらい経ったろう?
思い返せばわずかに数時間に過ぎないことに気付く。
それでも彼女には何年も昔のコトのように思われた。
感覚が狂っているのか? 私はジャンクだ、無理もない
自嘲気味に薄く笑い、今一度過去を振り返る。


93:カプチーノ8世
07/08/20 09:57:59 GwdeXLso
「水銀燈。 貴女の力を貸して頂戴。」

珍しく真紅の方から水銀燈を訪れると、開口一番そう言った。
「あら真紅! ごきげんよう。 一体何の冗談かしら?」
「冗談ではないわ水銀燈。 私は真面目にお願いしているの。」
「お願い? お願いならお願いらしく振舞ったらどうかしら?」
いつもの嘲りの口調でそう言う。 すると真紅は膝をつき頭を垂れた。 
「お願いするわ水銀燈。 貴女の力を貸して頂戴。」
「・・・・」
自分の言ったこととは言えこれにはさしもの水銀燈も呆気にとられる。
ドールズの中でも特に気位の高い真紅がここまでするとは思わなかったのだ。

「・・・あらあら、そこまで言うなら貸してあげてもよくってよ?
 でも、その代わりの代価を戴けるかしら?」
「代価? 何がお望み?」
「うふふw わかるでしょ? ローザミスティカよ。」
「・・・いいわ、全てが終わったなら持って行きなさい。」
「・・・・」
またしても呆気に取られる。 思わず真紅の真意を探るべくその瞳を覗き込む。
「なにかしら?」
迷いのない澄み切った瞳は水銀燈の目を正面から受け止めた。 

「・・・わかったわ。 ではこれからどうするのかしら?」
先に目を逸らしてしまった水銀燈は内心の動揺を隠そうと尋ねる。
「あの人形は12時に来ると言っていたわ。 それまでには来て頂戴。」
「そう。 では12時に伺うわね。」
「あまりレディを待たすものではなくてよ?」
「お互い様ね真紅。 私もレディよ?」
「・・・そうだったわね。」
そのやり取りを面白くもなさそうに切り上げると真紅は鏡の向こうに姿を消した。

「・・・真紅、どういうつもり?」
水銀燈は真紅の消えた鏡をじっと見つめ続けた。

94:カプチーノ8世
07/08/20 10:00:48 GwdeXLso

ローザミスティカを狙う水銀燈は常時桜田邸を監視している。
当然コトの成り行きは見知っていた。 
真紅が説明の手間を省いたのも全て承知との暗黙の了解があったからだ。

あの人形は突如彼女らの前に現われた。 
ドールズの父ローゼンの作ではない。
日本の人形造形師、上近柳斎の作「瑞樹」。 それが金糸雀と
薔薇水晶の首を携えて来たときはさしも水銀燈も戦慄を禁じえなかった。
宣戦布告として真紅のミーディアムとその姉が殺害され桜田邸は炎上した。

そしていくらもしないうちに先の真紅の訪問である。

「・・・なにを考えているのかしら? 真紅。」
ローザミスティカはドールズの宿願たるアリスへの翼
そして敬愛する父の己らへの愛の証
例え損傷しようとも手放せるものではない。 

それが、なぜ?

「行ってみれば、わかるわよね? 真紅?」
水銀燈は配下のジャンク人形達を従えて鏡に入った。


95:カプチーノ8世
07/08/20 10:03:42 GwdeXLso

nのフィールドの一角にはすでに4体のドールズが揃っていた。
緑の服の人形が落ち着きなく歩き回っている。
「・・・それにしても水銀燈はホントにくるですか?」
「さぁ?」
「さぁって!? 来ないんですか?」
「知らないわ。 来るとは言ってたけど?」

真紅は相変わらず読書にふけり、片手間に答えるだけだ。
「まったく、あんなゲス野朗なんてアテにできないです。」
「でも味方は一人でも多い方がいいのぉ~。」
「そうだね。 水銀燈はボク達の中でも一番強いし。」
「そうね。 この戦いには欠かせない存在だわ。」
「うぅ~、来るなら早く来るです!」
「・・・お待たせしたかしら?」
「ひぃっ!?」 
突如の背後からの囁きに思わず飛び退く翠星石。

「ごきげんよう。 お久しぶりね?」 優雅に一礼してみせる。 
「久しぶりなのぉ~。」
「久しぶり、水銀燈。」
「お、脅かすんじゃないですっ!?」
「・・・よく来てくれたわね、水銀燈。」
真紅は水銀燈に一瞥くれるとまた本に目を落とす。

「まぁ、真紅のたっての頼みだもの。 それで?
 まだ時間はあるようだけどどうするのかしら?」 
「別に? 時間が来るまで待つだけよ。」
「作戦は立てなくてもいいの?」 驚いたように蒼星石が尋ねる。
「ないわ。 立てようがないもの。」
「じゃ、じゃあどうするのぉ~?」
「各個奮闘努力せよ。 こんなところかしら?」

相変わらずその目は本から外れない。 そして誰もがこれからの
戦いに気を取られ、本が逆さまであることに気付かなかった。

「相変わらずですねぇ真紅は。 先が思いやられるです。」
「・・・」
嘆息する翠星石、そして水銀燈は静かに真紅の横顔を伺う。
不安な沈黙の中、時間だけが過ぎていった。


96:カプチーノ8世
07/08/20 10:07:07 GwdeXLso
「来たわね。」 真紅は本を閉じると立ち上がる。
「い、いよいよです!」
「うん。」 翠星石と蒼星石は如雨露と鋏を構え、宙を睨む。
「こ、怖いのぉ~。」 雛苺は物陰に隠れてしまった。
「・・・」 水銀燈の目は相変わらず真紅の横顔に注がれているままだ。

やがて空が濁り、中心から「何か」が降りてくる。
遠目に判別できないがそれが瑞樹であることはわかる。
大気が歪むほどの「負」の気がここまで伝わってくる。

「待たせたの、西洋人形ども。 
 うぬらの体と命、我が父の悲願のために使わせてもらうぞえ。」

その姿はジャンクと言うも愚かな不気味な体を成していた。
様々な人形の部位をかなり乱暴に不規則に繋ぎ合わせている。
彼女本来の体が一体どれだけ残っているのだろう?
金糸雀、薔薇水晶の一部もその中に見て取れた。

「醜悪ね。」
「なんじゃと?」
「醜悪と言ったのよ。 そのお耳は飾りかしら?」
「抜かしたの小娘・・・」
「な、なんで私達を狙うですか!?」
「ほっほっほ、希代の名工ローゼンの手になる逸品なれば
 必ずや究極の美を生み出す役に立とう。」
「そんなものを生み出してどうするんだ!」
「我が父に捧げるのじゃ。 究極の美こそが我が父の悲願なれば。」
「・・・」

私と同じ? 水銀燈は一瞬奇妙な親近感を覚えるもすぐにその考えを打ち消した。
(違う! 私はこんなジャンクとは違う。 私はジャンクなんかじゃない!)

「ジャンクは・・・ジャンクよ。」
その言葉に水銀燈は思わず真紅を睨む。 彼女のもっとも忌むべき言葉だ。
だがそれ以上に激昂した者がいた。 

「・・・愚か者がっ!? すぐに貴様もガラクタに変えてくれるっ!」
叫ぶや否や瑞樹は真紅に襲い掛かる。
無数の手足がいくつもの連なりを見せ、ありえない距離を越える。

「真紅ぅっ!」 ババッ!
雛苺の叫びが響くと同時に真紅のいた場所に土煙が舞う。
しかし真紅は横っ飛びにかわし、ステッキを取り出す。

「はあっ!」 ガキッ!
蒼星石は一飛びで迫るや鋏を大上段に振り下ろし「腕」を切り落とす。
「邪魔じゃ!」  横薙ぎの一閃が蒼星石を弾き飛ばす。 
「ぐぅっ!?」  鋏で直撃を防いだものの大きく弧を描いて飛んで行く。 
「蒼星石ぃ~!」 雛苺が伸ばした蔓で受け止めた。

97:カプチーノ8世
07/08/20 10:10:17 GwdeXLso
蒼星石の無事を確認した真紅と翠星石は顔をあわせ頷きあう。
「行くわよ、翠星石。」
「はいです!」
正面から突進しつつ花を撒く真紅、如雨露を振りまわす翠星石。
「しゃあっ!」
真紅に飛ばした無数の腕はしかし突如伸び上がった蔓に絡め取られる。
「ぬっ!?」
「はっ!」  真紅は蔓と腕を駆け上り、掛声と共にステッキを繰り出した。
「無駄じゃっ!」 大きく開けた口から放たれた無数の「指」が真紅に降りそそぐ。
「きゃっ!?」
「真紅っ!」 落ちる真紅をすかさず翠星石が蔓で支える。

「たわけが!」
「貴女がね?」
「なに?・・・っ!?」
瑞樹の周囲には桃色の花が舞っていた。 それらは瞬時に針と化し瑞樹に向かう。
「ぬぅぅうっ!?」 腕を体中に巻きつけて針の雨を凌ぐ瑞樹。
「はあああああぁっ!」 間髪いれず蒼星石が宙を舞う。
「てやぁっ!!」 

ガキキキッ!   鈍い音と共に数本の腕を切り飛ばす。

「ぐ、おぉぉ・・・」 
瑞樹は衝撃に耐えかねその場に崩れ落ちた。
「やったです!」
「やったのぉ~!」
「ふぅっ・・・」
「・・・」

しかし直後無数の黒い筋が蒼星石に巻き付く。
「なっ!?」 
「・・・やってくれたの?」
腕を開き再び姿を晒したその顔からは夥しい量の髪がうごめきたゆたっていた。


98:カプチーノ8世
07/08/20 10:11:27 GwdeXLso
「蒼星石を放すです!」「蒼星石!」
如雨露を振り回す翠星石と突進する真紅。

「かぁっ!」 瑞樹は全ての腕を四方八方に振り飛ばす。
蔓は腕と喰い合い、真紅はかわすのに手一杯だ。

「やりおるわな、西洋人形。 だがここまでじゃ。」
「あぐっ!?」  髪を締め上げ蒼星石を圧迫する。
「水銀燈っ!」  真紅の悲痛な叫び。
「・・・ちぃっ!」 逡巡も束の間、水銀燈は瑞樹に向かって飛んでいく。
「かぁっ!」  口から「指」を吐き迎え撃つ瑞樹。
「ふんっ。」  水銀燈は巧みにそれらをかわし一気に瑞樹に肉薄する。
途上で見た真紅の目が何かを訴えていた。

「おのれっ!」  大量の髪を展開し絡めとろうとする瑞樹。
しかし水銀燈は寸前で急上昇をかけ一気に天に舞上る。
「逃げるか小虫めっ!」
「あら失礼ね?」  静止すると翼を大きく左右に広げ竜と成す。
「ぬ・・・?」  思わず構える瑞樹。
「ホーリエ!」

 グバッッ!!

「があああぁっ!?」  死角からの突如の衝撃に揺らぐ瑞樹。
「くっ!」  そのスキを突いて蒼星石は髪の毛を切払い縛から逃れる。
「おのれがぁぁ!!」  瑞樹は荒狂い、腕と髪をさらに振り回した。
そして真紅は再びステッキを振るう。


99:カプチーノ8世
07/08/20 10:13:46 GwdeXLso

(なぜなの真紅? なぜ?)
水銀燈は最初から真紅を全く信用していなかった。 
どうせ真紅は自分を弾除けにでもするつもりなのだ
水銀燈の心中には常に真紅への疑念が渦巻いていた。

だがいざ戦いが始まると真紅は先陣を切り、勇敢に戦っている。
絶えず一番前に立ち、皆を庇ってさえいるようだ。
(貴女はアリスになりたくはないの?)

――アリス 完璧なる乙女

それはドールズの存在意義であり悲願だ。
それを望まないドールはいない。
しかしこのままでは真紅は無事ではすまないだろう。
その体がわすかでも欠けてしまえばアリスの資格を失うのだ。
この私のように・・・

(本気なの? 真紅! 貴女はどうしてそこまで・・・)
ローザミスティカの話も自分を騙すための嘘だと思っていた。
激戦のさなか、水銀燈は真紅への疑念に埋もれていった。



「しゃあっ!」  無数の手を真紅に伸ばす瑞樹。 しかし真紅は難なくかわす。
「!?」     その軌道の妙に気付いたときはもはや手遅れだった。
勢いを増してそのまま向かう先には・・・雛苺!?
「雛苺! 逃げなさい!」
「ぇう!?」   突然の危機に雛苺は逆に固まってしまう。 
「くぉっ!」   攻撃を止めようと鋏を叩きつける蒼星石、だが勢いは止まらない。
「チビ苺っ! あぶないですっ!」

  ズンッ

瑞樹の腕が翠星石の腹部を貫く。
「あ・・・が・・・?」
「翠星石ぃっ!?」
「翠星石・・・」
「・・・なっ!?」
「す、翠星石ぃ・・・」

最後の力を振り絞って雛苺を突き放す。
「・・・に、逃げるで、す、チビい、ち・・・」 

  カクンッ

翠星石の首はそのまま力無く垂れてしまう。
「ひっ、ひえぇ~~ん!」 その場から逃げ出す雛苺。
「よくもぉっ!!」    再度鋏を振るう蒼星石。
「くっ!」     真紅も続いて瑞樹に挑む。


100:カプチーノ8世
07/08/20 10:15:26 GwdeXLso

(翠星石・・・バカな子ね。 他人を庇って死ぬなんて。 
 蒼星石ならともかくあんな役立たずを庇うなんて、ね。)
心中、翠星石を罵ってはいたものの水銀燈の受けた衝撃は大きかった。

アリスになる 
それは姉妹を倒し、己ただ一人が父の寵愛を得ること。
敗者には骸のごときジャンクの末路しかない。 それがアリスゲームだ。

(邪魔者を蹴落とす絶好のチャンスだったハズなのに・・・)
双子である蒼星石ならまだしもなぜ雛苺を? 水銀燈は混乱していた。
水銀燈が援護をしたのはあくまで現状、利害が一致しているからだ。
言わば自分のためである。 皆もそうであるハズだ。 それがなぜ?

しかし物思いに耽っている余裕はもはや無かった。
戦況は一気に悪化している。
攻守の要であった翠星石を失い、真紅も蒼星石も攻め手を欠いていた。 
闇雲に突っ込んでも腕や指に叩き落とされ、髪に絡め取られるだけだ。 
今は自分が行くしかない! 

「・・・ふぅっ!」  水銀燈は翼を広げ瑞樹に向かって羽を撃つ。
「小癪なっ!」     すかさず指を吐き出して迎え撃つ瑞樹。
さらに翼を竜に変じて放つ。 
「グゥォオオオオ!!」
「しゃあっ!」  宙で絡み合う腕と竜。
「はっ!」「てやぁっ!」 花を撃つ真紅と飛びかかる蒼星石。
戦いはさらに激しさを増していった。


101:カプチーノ8世
07/08/20 10:16:54 GwdeXLso

(これは?)
真紅は瑞樹の足元から腕が何本も地面に喰いこんでいるのを見つけた。
それはさらに地中に潜りこんでゆく。
「まさかっ!?」
慌てて中空の水銀燈を見る。 瑞樹の腕を必死に支える水銀燈。
その下には瑞樹から水銀燈に向かって大地に筋が這っていた。
(水銀燈っ!) 真紅は全力で走りだす。


「かかったのぉ?」
「? なにかしら?」
「先にそちが使った手じゃ・・・返すぞ!」
 
 シュバババッ

突如地中から無数の腕が飛び出る。 とっさにかわそうとする水銀燈。
「ぐっ!?」  だが自身の翼が瑞樹の腕と絡み合って動けない。
貫手状の繊手が弧を描き水銀燈に迫る!
「っ!」「水銀燈っ!」

バキンッ

「真紅ぅっ!」 
蒼星石の叫びに閉じた目を開く。

「?・・・真紅!?」
「水銀燈・・・後は、任せるわ、ね?」

水銀燈は目の前の事態が信じられなかった。
目の前で両手を大きく広げ、胸を貫かれている少女。
・・・真紅が私を庇っている? 

「アリスに、なって・・・お父、様、に・・・」
「・・・真紅?」

胴を裂かれ、その体は奇妙にゆっくりと大地に落ちていった。
まるで彼女の振るう赤い花弁のように。

「てやぁっ!」蒼星石が水銀燈の翼と噛みあっていた腕を切り落とす。


102:カプチーノ8世
07/08/20 10:18:47 GwdeXLso

「ジュン、のり、ゴメンね・・・」
まさに死のときを迎えながら真紅の心は不思議と静かだった。
どこかすがすがしい思いに包まれている。
自分は精一杯戦った。 力及ばなかったが二人は許してくれるだろうか?

そして・・・


(水銀燈・・・とうとう貴女に言えなかった。
 貴女はジャンクじゃないって、最後まで伝えられなかった・・・)
姉妹の中でも水銀燈の存在は別格だった。

  不完全ながら最強

  いびつながら秀麗

  背徳的ながら高貴

ドールズにとって水銀燈の存在は一つの壁であった。
ローザミスティカの獲得以上に、彼女を
超えることこそがアリスへの絶対条件と言える。
それはドールズ全員の共通認識である。

アリスへの試練、それこそが水銀燈の存在理由だった。

だがその現実を受け入れられるほど水銀燈の心は強くなかった。
水銀燈が他のドールに向ける目には劣等者への嘲りと共に、
常に嫉妬と憎悪があった。

「私はジャンクなんかじゃない。」

繰り返される虚勢の言葉は彼女自身が
その現実を認めている証左に他ならない。

(ずっと言いたかった。
 貴女を尊敬してる。 貴女に憧れてる。 そして貴女を愛してるって・・・)
誰よりも優れた水銀燈を誰よりも崇拝していた真紅。
その想いが、言の葉として贈られることはついになかった。

アリスへの執着がなかったワケではない。

父を愛していた  もう一度会いたかった
でもできなかった  水銀燈を超えることが
勝てなかったのは瑞樹にではない、水銀燈にだ

(貴女を超え さらなる高みに至る時 私は誰を目指せばいいの?)
(私にはわからない 私にはできない 私には貴女が必要なのに!)

その不安が、心弱さが敗因
でもいい
彼女はきっと勝つ
そして父に会うだろう
そしたら・・・

「・・・お父、様、に・・・今度、こそ・・・
 作って、もらって、ね?・・・おねえ、さ・・・」

最後まで言い切ることなく真紅はこときれた。


103:カプチーノ8世
07/08/20 10:20:14 GwdeXLso

「・・・」(なぜ?)
縛から解かれても思考はいまだ混乱の中にあった。
しかしその迷いがさらなる悲劇をもたらす。

「カカッ!」
「うぁっ!?」
水銀燈を解き放つも着地点に這わされていた髪に絡めとられる蒼星石。
「・・・っ!?」
助けなければ! しかしその距離は絶望的に遠かった。

「ぁぁあああああ!!」  おめいて飛び込む水銀燈。
「無駄じゃっ!」     させじと締め上げる瑞樹。

ギリリッ・・・ビキッ 
「きゃあああああ!?」グバァァァアアッッ!!


巨大な鎌と化した翼が大地ごと髪を切り飛ばす轟音が
蒼星石の絶叫と重なる。
すかさず蒼星石を抱きかかえ、飛んでいく水銀燈。

「・・・逃げるかぁっ!?」

瑞樹の呪詛を背に受けながら水銀燈は飛び続けた。


104:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/20 10:41:27 gVtyn88z
>>91
1 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/07/14(土) 22:26:05 ID:q1yxvHbt
ここはローゼンメイデンの一般向けSS(小説)を投下するスレです。
SSを投下してくれる職人は神様です。文句があってもぐっとこらえ、笑顔でスルーしましょう。
18禁や虐待の要素のあるSSの投下は厳禁です。それらを投下したい場合は、エロパロ板なりの相応のスレに行きましょう。
次スレは>>950を踏んだ人が、またはスレ容量が500KBに近くなったら立てましょう。


あとオリキャラは敬遠される傾向にあるよう

105:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/20 17:28:30 GwdeXLso
交戦地よりはるかに離れた荒野の一角に降り立つと
水銀燈は蒼星石を静かに大地に横たえた。
「・・・うぅ・・・くっ・・・」
「・・・蒼星石。」
あらためてみる蒼星石の姿は無惨なものだった。
あとコンマ数秒遅れていればもはや原型も留めなかったろう。
いまや戦うことはおろか立ち上がることも、
それ以前に命を保ち続けられるかどうかも怪しい。

「水銀、燈・・・」
「しゃっべては駄目よ、蒼星石。」
「い、いの・・・もう、わかってる、から・・・」
「・・・蒼星石。」

なんだろう、この気持ち?
胸が苦しい、なにかが溢れそうな危うい気持ちで一杯だった。 
(悲しいの? 私は悲しいと思ってるの? これが悲しい、気持ち・・・)

「これ、を・・・」
外れかけた手を必死に動かす蒼星石。
水銀燈はすぐにその手を取った。
「ボク、の、鋏・・・キミ、が・・・」
「わかったわ、大事に使わせてもらうわね。」
「それ、と・・・これ、も・・・」
そう言って自分の腹部を指す蒼星石。
「・・・?」 じっと蒼星石の言葉を待つ。
「もって、行って・・・ボク、の・・・おな、か・・・」
「なっ!?」 流石にこの申し出には面食らう。
「アリ、スに・・・なっ、て・・・」
「何を言ってるの? そんなことできるワケないじゃない!」
「・・・ボク、も、翠星、石も・・・キミが、好き・・・」
「あ、貴女は何を・・・」
「・・・生き、て・・・」
その目が静かに閉じられると、手も力なく地に落ちた。
「・・・蒼星石?」 
もはやいらえはない。
「・・・」

106:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/20 17:30:38 GwdeXLso
涙が止まらない。 こんなことは初めてだった。
嗚咽こそ出ぬものの涙はとめどなく溢れ続けた。
(どうして私は泣いてるの? いまいましい邪魔者が消えたのに。
 おかしいわね? ふふっ、やっぱり私はジャンクなのね・・・)
水銀燈は蒼星石の言葉を思い返していた。

 「ボクも翠星石もキミが好き」

信じられなかった。 いや信じたくなかった。 
いまさら疑う理由とてもなかったが、それでも信じることを拒んだ。
いままでずっと皆が自分を嫌い蔑んでいると思っていたのだから。
蒼星石の言葉を信じることは今までの自分を否定することでもある。

皆の笑顔が恐ろしかった。
水銀燈にとって、彼女に向けられる笑みは全てが嘲笑だった。
自身が不完全であること、そのコンプレックスは
弱い彼女の心をいとも容易く蝕んでいた。

嘲笑や失望、侮蔑を恐れる余りミーディアムも持てず、一人孤独に彷徨った。
何かを、誰かを憎むことでしか自分を保てなかった。


でも今はハッキリとわかる。
自分に向けられた笑みは嘲りでなく、親愛の証だったのだと。


水銀燈は己の過去と現実に折り合いをつけるため
ただじっと荒野に立ち尽くした。


107:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/20 17:31:47 GwdeXLso
そして今、彼女は一人最後の地に向け飛び続ける。
すでに配下の人形達は全滅していた。
先に雛苺を狙わんとした瑞樹の気配を感じ、
配下の人形全てをその足止めに投入していたのだ。
後は自分がこの速度を保てば、先に会敵できるだろう。

(よりにもよって貴女が残るなんて、ね。)
これには水銀燈も思わず苦笑してしまう。

   雛苺

一番幼く、一番頼りない少女。
妹どころか娘のように思えるほど彼女はかよわい。

アリスゲームに際し、水銀燈にとって彼女は完全に員数外だった。
例え自分に敗れるコトがあろうとも彼女が
勝ち残ることだけはあるまい。 そう確信していた。

よりにもよってその雛苺が最後まで残ろうとは

今まで苦々しく思っていた彼女のあどけない
言動も今となると妙に愛くるしく思える。

(雛苺・・・アリスには、貴女がなってね?)

自分に全てを託して逝った真紅や蒼星石には申し訳なかったが彼女の
意思はすでに決まっていた。 二人もきっと許してくれるだろう。

せめて雛苺と最後の別れをすませたかったがもはやそのいとまもない。
 (貴女は私が必ず守る!)
決意を胸に水銀燈は飛び続けた。


108:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/20 17:34:19 GwdeXLso
規制にひっかかるのでとりあえずこれまで
一時間後くらいにまた

109:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/20 18:29:17 GwdeXLso
「・・・待たせたわね。」  
瑞樹の眼前に舞い降りる水銀燈。
瑞樹はバラバラにされたジャンク人形の残骸の中にいた。

「怖気づかずによう来たの、西洋人形。」
改めて見ると、瑞樹の体は立っているのが不思議なほどに損傷していた。
彼女はただ一人でドールズ7体を相手に戦ったのだ、無理もない。
 
(・・・執念・・・)
まるでかつての自分を見る思い
どこか気恥ずかしい気持ちに思わず頬が緩んでしまう。

「・・・何がおかしい?」 それを嘲笑と取ったか、語気を荒げる瑞樹。
「フフッ・・・」 そんなところまで似ていることに感動すら覚える。

(おバカさんは、私一人じゃなかったのね・・・)
奇妙な嬉しさを感じ、さらに顔がほころぶ。
その顔はいつもの皮肉な笑顔からは創造も出来ぬほど屈託ない。

「・・・?」
その異様に呆気に取られ、瑞樹は手を出しかねた。
「貴女は、お父上を愛していて?」
「無論じゃ。 我ほどに父を愛する者があろうか?」
「私もよ・・・」

父への愛、しかしそれは呪縛でもあった。
父への愛に全てを捧げた、自分ばかりか他者までも。
それが間違いとは思わない。 だが悔いはあった。
今それを改められるなら・・・


「貴女とは良いお友達になれそうね。」
「・・・今更命乞いか?」 
「いいえ、私は貴女を許せるけれど、
 雛苺をその手にかけさせるワケにはいかないの。
 引いてくださる? さもなくば・・・いまここで終わりよ。」

最前までの笑顔はいまや氷のように研澄まされ、その目は静かに闘志に燃えた。
それを嬉々として迎える瑞樹。

「やらいでか!? その美貌こそ我を成し遂げる最後の鍵!
 今こそ父の悲願を叶えようぞ!!」
「ありがとう。 嬉しいわ、本当に・・・」

生まれて初めての賛美

水銀燈の寂しげな笑みも意に介さず、瑞樹は一気に躍りかかった。

110:カプチーノ8世
07/08/20 18:31:16 GwdeXLso
最後の戦いが始まった。
「がぁぁっ!」 これを最後とばかりに猛攻をかける瑞樹。
「あぁぁっ!」 水銀燈も死力を尽くす。

共に帰る道はなく、相手を倒す、ただその一点に全てを注ぐ。
雛苺に全てを託した水銀燈はもはや損傷を恐れない。
一方瑞樹も体の挿げ替えを期し、損傷を意に介さぬ。
駆け引きも何もない力と力のぶつかり合いが繰り広げられた。

「ぐぅぅぅっ・・・!!」「ぬぅぅぅっ・・・!!」
再び絡み合う腕と翼、拮抗する力に戦いは膠着状態に陥った。


「・・・水銀燈、がんばるのぉ~。」
雛苺は物陰に隠れてその様子を伺っていた。

翠星石に救われ、戦場から逃げ出したものの彼女はすっかり途方にくれていた。
やがて彼方にいる瑞樹の敵意が明確に自分に向けられるやパニックを起こす。
だが無数の気配が瑞樹に向かい、その進行を阻んだことから水銀燈の援護に気付いた。

そして、水銀燈の激しく燃えるような気が瑞樹に向かって
行くのを感じ、いてもたってもいられなくなったのである。

水銀燈が倒されれば次は自分。
とてもではないが己一人で立ち向かえる相手ではない。
雛苺はなんとか水銀燈への加勢を目論むも荒狂う巨大な気と
苛烈を極める闘争に竦んでしまっていたのだった。


111:カプチーノ8世
07/08/20 18:32:45 GwdeXLso
「かかったのぉ?」
「なにかしら?」
以前と同じやり取り

「終わりじゃ!」

 シュバババッ!

突如水銀燈の真下の地中から無数の腕が飛び出す。
しかし水銀燈は慌てず蒼星石の鋏を構える。

「同じ手をっ!」
「使うかよっ!?」

突如爆ぜ割れる腕、そして飛び出す大量の髪!

「っ!?」
「カカッ! そこまで舐めてはおらぬわえ!」 
「うぬっ・・・!」 必死に力を振り絞るも体を縛る髪はビクともしない。
「その首、もらったっ!」
腕を大きく真横に薙ぐ瑞樹。 軌道は正確に首を指す。

 ガクンッ 

「なぁっ!?」 突如停止する腕。 それには無数の蔓が絡まっていた。
「水銀燈をイジメちゃ駄目なのぉ~!」
「雛苺!?」
「小虫かっ!」
「ひっ!?・・・えぇ~い!」
瑞樹の凶猛な眼光に一瞬ひるむも、雛苺はさらに蔓を展開する。
それは文字通り戦場を埋め尽くした。

「くくっ!?」「ちぃっ!?」
敵も味方も、自身さえも意に介さぬ力の暴走に二人の戦士は舌を巻いた。
その縛鎖から逃れようと一旦腕と翼を緩め合う。
「ふっ!」 水銀燈はその間隙を突き、髪を翼で斬払う。

112:カプチーノ8世
07/08/20 18:33:59 GwdeXLso
「おのれぇっ!?」 絶好の好機を失い激昂する瑞樹。
怒りの矛先は・・・雛苺!

「この・・・小虫があぁぁぁぁ!!」 大地を引き裂きながら突進する瑞樹。
「あぅ・・・う~!」 怯える雛苺はさらに蔓を紡ぎ出す。 
結果、それが雛苺を追い詰めた。

「逃げなさい雛苺っ! 雛苺っ!?」 
水銀燈は蔓を切り払いながら近づこうとする。
だが次から次へと湧き出す蔓に阻まれ、近付けない。

一方瑞樹は蔓の及ばぬ地中に半ば身を埋ずめ、
文字通り大地を掘り進みながら肉薄する。
負荷に耐えかね、その身はさらに崩れていった。
そして・・・

「死ねぇっ!」「雛苺っ!」

 ズグッ

瑞樹の腕が雛苺の体を貫く。
途端に天地を埋め尽くした蔓は霧散した。

「あ・・・ぅ・・・」
「雛苺ぉっ!!」 水銀燈は即座に大鎌と化した翼を振るう。
「くっ!?」 大地を裂くが如き一撃に流石に飛びすさる瑞樹。

 グバァァァアアッ!! 

大地は裂け土煙が巻き上がり、すべてを隠す。
その絶好の好機にしかし水銀燈は追撃を怠った。

そして雛苺を抱え、その場を離れる

113:カプチーノ8世
07/08/20 18:35:37 GwdeXLso

「雛苺! しっかりなさい!」
「・・・水銀、燈・・・?」
その目はすでに霞み、死期が差し迫っていることを告げていた。
「どうして来たの!? 臆病者の貴女が。」
「・・・だっ、て・・・水銀、燈、が・・・」
「バカな子。 なんで私なんかのために・・・」
雛苺は水銀燈に笑いかけた。 
「・・・雛、ね・・・水銀燈、大、好き・・・」
「っ!」
「・・・おねえ、ちゃ・・・」
「雛苺っ!」
「・・・」
そして雛苺は静かに崩れ落ちた。


「・・・」
その様子を感情のこもらぬ瞳でじっと見つめる瑞樹。
水銀燈は雛苺の亡骸を大地に横たえると瑞樹と向き合った。

「・・・待っててくれたの? ありがとう。」
憎い仇でありながら、不思議と水銀燈に怒りはなかった。
むしろその心はこれ以上なく静かに澄んでいる。

「・・・よいかえ?」 問う瑞樹。
「・・・いいわ。」 答える水銀燈。


その身を一条の矢と化して
二人は互いに――飛んだ



次はまた後で

114:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/20 20:07:03 GwdeXLso


「ぁああぁっ!」
「じゃあぁっ!」
繰り出される鋏と繊手
それらは交差し、互いの急所を突き貫く!

 ドンッッ!

鋏は瑞樹の胸、繊手は水銀燈の腹に刺し込まれていた。

「・・・ぁ、う・・・」 苦鳴とともに水銀燈の首は力なく垂れ下がる。
「・・・カカッ! 我の勝ちじゃな西洋人形!」
勝ち誇る瑞樹、しかしその顔はすぐに神妙な面持ちとなる。

「・・・父上、ついにこの時がきました。
 長かった我が旅路もようやく・・・」
「・・・終わりね。」 
「!?」

突如跳ね上がる水銀燈の顔。 そこに死の翳りはかけらも見えない。

「メイメイ。」 グイッ
「なっ!?」
穿った胸部に精霊を押し込むと同時に両足で瑞樹の胴を挟み縛る。
そして上半身は宙に舞った。

「ばかなっ!?」 
事態が飲み込めない瑞樹は空に浮かぶ水銀燈の上半身を驚愕の目で見つめる。

「・・・な、なぜ?」  攻撃も離脱も忘れただ問いかける瑞樹。
「私はね・・・」   ゆっくりと目を閉じる水銀燈。



「――ジャンクなの。」
「・・・。」


「さよなら、メイメイッ!」



   ズドオォォッ・・・


115:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/20 20:08:14 GwdeXLso


炸裂する衝撃をその翼に受け、水銀燈はさらに空へと昇って行く

   私は  ジャンク

心中に呟いたことはあっても、ハッキリと口に出すのはこれが初めてだ。

「私はジャンクじゃない。」 

これが水銀燈の口癖だった。 数え切れぬほど繰り返してきた言葉。

  でももういい 私はジャンクで構わない

最後に見た瑞樹の顔が不思議と穏やかであったことが救いだった。
彼女も救われたのだろうか? 最後の最後に

私達はとうとう勝てなかった、でも負けなかった

  それで、十分だ



空をゆっくり舞い堕ちながら、やがて彼女の意識は白く溶けていった・・・





116:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/20 20:09:50 GwdeXLso



―ここは?


再び意識を取り戻した水銀燈は奇妙に見慣れた部屋に転がっていた。
暖炉の明かりが室内を薄く照らしている。
あちこちに見える人形のパーツや衣装・・・

  まさか!? 

上半身だけで必死に這って行く。
翼は爆風の煽りですでに使い物にならなかった。
しかし目的の場所にはすぐに辿りついた。
さして広い部屋でもない。

「おかえり、水銀燈。」
「・・・」
言葉に詰まる あれほどに思い焦がれた父が目前にいた

「そうか・・・オマエが残ってしまったのだね。」
「・・・あ」
水銀燈の思いをよそに彼は独白を続ける。

「私は敗れたのだな、天に。」
「・・・お父様?」
「よく知らせてくれた。 ありがとう。」
「わ、わたしは・・・」
言葉を挟もうとするももはや彼は聞いてもいない。

「ついに及ばなかったか・・・」
疲れきった声
「我が愛しい娘達を捧げてまでしたこの壮大な賭けもこれで終わりだ。」
そして初めて水銀燈の顔を見る


117:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/20 20:11:31 GwdeXLso

「さぞや私が憎かろう? オマエにだけ可能性を与えなかった私が?」
「そ、それは・・・」
流石にこれには言葉に詰まる。 
不完全な自身への憤りを憎しみにこそしなかったが、恨みがないワケではない。
その逡巡を肯定と取ったか言葉を続ける。

「オマエには私を殺す権利がある。
 オマエに殺されるならそれもいい、それこそ私にふさわしい最後だ。」
「待ってください、私は・・・」
「考えてみれば我が最高傑作たるオマエが残るのは、ある意味自然なことだ。」
その言葉は水銀燈にこれまでにない衝撃をもたらした。

「私が・・・最高、傑作・・・?」
「そうだ。 水銀燈。 オマエこそ我が生涯最高の作品だ。」



ローゼンは己ただ一人でアリスを成し得ると考えるほど愚かではなかった。

いかに天を衝く才に恵まれようと
いかに歳月を重ね技量を磨こうと
いかに我身を焼く情念を注ごうと

――アリスは生まれない

アリスゲームは苦悩の末に生み出された一つの賭けであった。
結果として全ての者が倒れ、何一つ残らないかもしれない。
しかし己一人で天に挑むより、まだ希望があった。

そして彼は生み出す、至高の少女を

   水銀燈

けしてアリスにはなれない 
しかしまぎれもない彼の最高傑作
名工ローゼンが、己ただ一人で成した生涯の頂点
そしてアリスを生み出すための最後の鍵


「愛しているよ、私の水銀燈。 アリス、キミは今どこに・・・?」
彼は再び自身の想念に浸っていく


118:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/20 20:13:35 GwdeXLso

「待ってください! お父様、私は・・・」
「・・・ん?」

  私は、なんだろう? 

度重なる衝撃的な事実と悲劇に思考は混沌としていた。
自分は父になんと訴えるつもりなのか?
今 私は何を望む? 私の意味は?

「あぁ、そうだね。 オマエの体を完全にしてやらなくては。
 我が最高の作を不完全なままにはしておけない。
 すでに腹部はできている。 というより最初からできていた。」
「・・・」
「下半身を失ったようだがそれも問題ない。 せめてオマエだけでも・・・」
「お父様!」
「ん?」
「一つ、お願いがあります。」
「なんだね?」
「みな倒れました。 翠星石、蒼星石、雛苺、真紅、金糸雀、薔薇水晶・・・
 お父様のお力で再びあの子達を・・・」
「・・・」
「・・・お父様?」
「残念ながらそれはできそうにない。 
 いや物理的には可能なのだがな・・・」
「?」
「犠牲無しには、叶うまい。」
「犠牲?」
「オマエと言う、犠牲がな。」
「私?」
「そうだ、我が最高傑作たるオマエを使えば、皆を復元させることは可能だ。」
「・・・」
「どうする?」
「お願いします、お父様。」
「・・・わかった。 それでこそ我が最愛の娘だ。」
水銀燈に向けられた彼の笑顔はこれ以上ない誇りと悲しみに満ちていた。

作業にとりかかる父の目は疲労に濁っていた先ほどとはうってかわり、
健康な生気に満ち満ちていた。
最後にその顔を見られただけで十分だ。

そしてなにより・・・


     我が最愛の娘


父の言葉にすべてが報われた
いいようのない幸福感を胸に水銀燈は静かに眠りについた――


119:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/20 20:19:27 GwdeXLso
とりあえずここまで
あとで後日談らしきものを挙げます

120:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/20 21:15:51 GwdeXLso

「ウフフッ♪ やっぱこういう自己犠牲モノが受けるのよねぇ~」
自身の書き上げた短編を読み返し、そのデキに満足する
深夜にこっそり起き出し、少しづつ書き続けた力作だ

「これで私の人気もうなぎ登りよねっ!」
これで昼過ぎに起きては冷め切った朝飯をあてがわれるという
今までの辛苦も報われようと言うものである

「なにをしてるのかしら? 水銀燈」

 ギクッ

「あ、あ~ら真紅、ごきげんよう。 こんな夜更けにどうしたの?」
思わずPCのモニターを隠す

「最近外が騒がしいようだったので気になってたの」
「そ、そう? そんなことはないと思うけど・・・」
自分の悪癖、独り言を思い出す 

「大層な力作ね? 誰が貴女を愛してるって? 冗談もそこまで行くと笑えないわ」
チッ 見てやがったがコイツ、かくなる上は口封じを・・・

「ふむ、裏山ってのはどうかしら?」
「・・・」
駄目だ のりにいらなくなったジャンクどもの処分を命じられて
捨ててきたら廃棄物不法投棄として桜田家は罰金を取られたのだ
おかげで一ヶ月のメシ抜きと町内清掃奉仕の刑を喰らったばかりである

空腹に耐えかね、虫や雀を捕食していた私を見かねた蒼星石は
こっそり食事を分けてくれた くぅぅっ、やっぱアンタはいいヤツねっ!
いつか私が世界を征服したら世界第二の地位をくれてやると言うと
困ったように笑っていた 遠慮してるのか? 相変わらず謙虚なヤツだ

「じゃあお隣の犬に喰わせるってのは・・・」
「・・・」
犬が腹を壊すだけだ、下手すれば死ぬ
それ以前にこんなもん食べてくれないだろう

「庭に埋めようかしら?」
「・・・」
バレたらのりに怒られる、またメシ抜きはもう嫌だ

「いっそ燃やしちゃおうかしら?」
「・・・」
ドールは燃えるような材質ではない
まったく、始末に負えないヤツらだ

「あ、そうだ! 粗大ゴミのタンスの中にでも入れとけばいいわ!」
「・・・」
粗大ゴミなら中身も見ずに即スクラップでバッキバキ!
ナイスアイデア! 私は今日も冴えている♪

121:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/20 21:17:31 GwdeXLso
「ねぇ真紅? 今度粗大ゴミの日に私と一緒に・・・」
「一人で行けぇぇぇ!?」 

ボグッ!―グワッシャァアン!!

真紅の腰の入った右ストレートが水銀燈の頬を捕らえる
虎の咆哮にも似たその一撃は水銀燈を窓ガラスごと吹っ飛ばした

しまった、また声に出してたか・・・

今更ながら自身の悪癖を呪う
それというのもいつも一人で寂しかったからだ
これでもママゴトでは一人で最高七役をこなす
世界タイまであと一歩!

「金メダルも遠くないわね・・・」
「・・・なにを言ってるのかしら貴女は?」

呆れ顔の真紅は背後の気配に後を振り向く

「さっきからうるさいですぅ~」
「ふわぁ、なにかあったの?」
「どうしたのぉ~」
どうやら騒ぎを聞きつけ起き出して来たらしい

「あらあらみんなお目覚めね? 貴女の力作、ぜひみんなにも見てもらおうかしら?」
こいつらにまで知られるのはさすがに不味い
こうなったら証拠隠滅あるのみ!

「仕方ないわね、こうなったら・・・PCごとすべて灰にしてくれるわ!」
「なっ!?」

さいわい元は頭に入ってる
モノはいつでも再現可能なのだ

「あははっ! みんな消えちゃえっ♪」
「オマエが消えろぉっ!?」

 ゴギッ!!

「げぶろぁっ!?」

マ、マジ痛い・・・
このガキ、いま本気で入れやがった! しかも木刀って!?


122:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/20 21:18:42 GwdeXLso
「ボクのPCを勝手に壊すんじゃなぁい!」
「うぅ、でも証拠が・・・」
「んなモン知るかっ! そのPCにはな!
 ボクが数十時間もかけて集めたエロ画像が・・・」

慌てて自分の口を抑える少年A

「ケダモノ」
「けがらわしいですぅ」
「最低」
「Hなのぉ~」
「無様ね」
「お姉ちゃん、悲しいわ」

いつの間にかのりまで起き出して来ている、この騒ぎでは無理ないか

「な、なんだよ!? 別にいいだろっ!」
「ジュン君も男の子だもんね、それは仕方のないことだわ。
 でもジュン君には巴ちゃんがいるじゃない?」

最近ガキは巴と言う名のGFができていた
なんでも幼馴染とかで復学してから思い切って告ったらしい

「だ、だって、アイツ胸ないし・・・」
「ジュン君のバカぁっ!?」

 ゴキッ!

のりの怒りのアッパーが完璧な角度で炸裂する
首が変な方向に曲がっているが平気なんだろうか?

「・・・チビ人間は巨乳好き、と」

翠星石が律儀にメモっている
どうやらまたエロガキをゆする気らしい
今まで一体いくら貢がせたのだろうか?


「・・・ぉごおおおおぅ!?」

なぜか顎ではなく口元を押さえもんどりうっている少年A
あ、舌噛んでら   指の間から大量の血が流れ出ていた


123:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/20 21:19:49 GwdeXLso
「・・・そりゃあね。 男の人の気持ちもわからなくはないわ。」
 でもね? 女の子って、恋にはもっと繊細なものなの・・・」

どうも事態に気付いてないらしく滔々と説教を垂れるのり
相変わらずのマイペースっぷりだ
このままだと救急車をすっ飛ばして霊柩車を
呼びそうな勢いだがどうしたものか?

ま、いいや

証拠隠滅の邪魔者でしかないガキにはさっさと消えてもらうに限る
のりグッジョブ! 私は100万ドルの笑顔で彼女に向かい親指を突き立てる

のりは気付きもしないが気にしない、シカトには慣れている
見てろよ愚民ども! 私が天下を取ったあかつきには不敬罪で処刑してやる!

暗い野望を胸に秘め、ゆっくりとPCに近づく
今こそすべてを闇に葬るとき!
しかし振り上げた手は何者かに掴み取られる

「っ!?」
「ダメです、水銀燈」
「翠星石・・・どういうつもり?」
「そんなことをしても誰も喜ばないです」
「知った風なコトを! 貴女に何がわかるって言うの!?」
思わず語気を荒げてしまう しかし彼女は優しく微笑んだ

「そのPCにはチビ人間の思い出が一杯詰まってるんです」
「・・・」
「それさえあればチビ人間からいくらでもせしめられるです♪」
「鬼ね」
よーするにゆすりのネタを潰されては困る、と言いたいらしい
いいわ 分け前は5:5よ?

仕方ないので、作品項目だけ削除することにした
また打ち直すのははなはだ手間だが背に腹は変えられない


124:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/20 21:20:56 GwdeXLso
「あ、それ♪ ポチっとな?」
「させるもんかぁっ!?」

ゲシッ!―ガンッ!!

「はげぇぇえ!?」

真紅の矢の如きドロップキックが私の後頭部を蹴り飛ばす
顔はそのままモニターに叩きつけられた

「きさんっ!? なんばすっとかぁっ!!」

言葉がおかしいが気にしてはいけない
間違っても鹿児島在住経験などない

「せっかくの証拠をそうやすやすと消されてたまるもんですか!」
「どこまでも私の邪魔をする気? 真紅、許さないわよ!」
「許さないのはこっちの方だわ。 それをどうする気だったのかしら?」
「知れたことをっ! 全国のお茶の間にお届けするのよ!」
「そんなことは絶対にさせないわ。 私、真紅の名にかけて!」
「何人たりとも私の邪魔はさせないわ! 行くわよ? 真紅!」

こうして二人のとっくみあいが始まった


「・・・ふぇぇ~~ん!」
突然室内に響く雛苺の泣き声
死体予備軍に説教くれていたのりは我に返ると彼女を宥める
ちなみに少年Aは痙攣を始めた 
もう長くねーな

「どうしたの? 雛ちゃん」
「雛が、雛が殺されてるのぉ~!」
「ボクも殺されてる・・・」

あ、それ私の創作作品だ
どうも真紅と取っ組み合ってる最中に蒼星石と雛苺が読んでいたらしい

「まぁ、ヒドイことするわねぇ」
「のりも殺されてるよ?」
「・・・なに?」
バカ! 余計なことは言わなくていい!
蒼星石はマウスを操り、冒頭部分に戻す

「ほら? わずか一行で瞬殺」
「・・・」
その顔が青、黄を経て赤に染まる様はまさに信号機そのもの
そうか! 信号機のモデルは人間の顔だったんだ!
私はまた一つ利口になったことを喜んだ

125:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/20 21:22:27 GwdeXLso
「・・・これ、誰が書いたのかしら?」
やっべ! 喜んでる場合じゃない!
私は真紅を突き放すと急いで割れた窓から飛び出した


「まちなさーーーいっ!!」
夜空に響くのりの絶叫、それにしてもこういう場合の人間のセリフはいつも同じだ
「待てー!」 人間は有史以前から同じことを言っている
きっとこれから何千年経っても、やっぱりこういうときは「待て」と言うのだろう
人間とはなんと進歩のない生き物だろうか?

世の無常を憂いながら私は月夜に舞った
まるで月光の精のように―








 ゴンッ! 「うげっ!?」
なにかが私の頭部を直撃する

「・・・うるっせーぞ桜田!!」
どうやら深夜の騒動にキレた御近所の投擲物らしい
私はそのまま大地に堕ちる

「うぅ、ちくしょう・・・」
私は大地を掻き毟って泣いた
なんで私がこんな目に? 
それもこれもみんな社会が悪いんだ!

いつか世界を支配してやろうと決意を固め
ほとぼりが冷めるまで逃げることにした




   ウフフッ♪ 今度は貴方のお宅に御邪魔するわね?

「 行 き 着 く 先 」 は 貴 方 の お 家     
          
       
           完

後日談1終了、残り二つは明後日に挙げます

126:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/22 08:47:21 EuS/YGUz
「 行 き 着 く 先 」アフター1

「真紅ちゃ~ん? はい、御飯よぉ♪」
「・・・」
「あらあら雛ちゃん、またこぼしちゃったのぉ? 
 もぅ、しょうがない子ねぇ。」
「・・・・」
「翠星石ちゃんも蒼星石ちゃんもすぐ食べさせてあげますからねぇ~」
「・・・・・」
「はい! どう・・・」

  ゴギッ!

「ぎゃああああああ!?」
「・・・それは押入れでやれって言ってるでしょ?」

私は木刀を突きつけると押入れを顎でしゃくった。

「うぅ、ごめんなさい巴様。 すぐ行きますから・・・」
散乱したわら人形や色とりどりのてるてる坊主を掻き集めるといそいそ
押入れの中に入っていった。  いちいちうっとうしいヤツだ

「まったく、我が家にはろくな人形が来ないわ。」
私は大きく溜息をついた。

話は3日前に遡る・・・


私は修行のために山篭りをしていた。
熊でも出れば新技のいい実戦テストになるのだがいかんせんここにはいない。
しょうがないので日々、自給自足と鍛錬を繰り返していた。

今日も今日とてエサを求めて山中を徘徊していると無数の壊れた人形達を見つけた。
人形に苦い経験のあった私は思わず眉をしかめたが当然それらは動き出す様子もない。
私は精神修養も兼ね、過去のトラウマを克服すべく一体持ち帰ることにしたのだった。

しかしあるのは壊れた人形ばかりで五体満足なものは一つもない。
恐らく欠けて売り物にならない人形をまとめて捨てていったのだろう。
最後に壊して遊んだのか、どれもこれも酷く損傷している。

仕方なく無事なパーツを組み合わせて作ることにした。
上半身のみの髪の長い人形が目を引き、それに合う下半身を探す。
すぐに見つかり、わずか二つの部品を組み合わせるだけで作業は終わった。
多少違和感がないでもないが十分だろう。
そのデキに満足した私はその場を後にしようとしたのだが・・・

127:名無しさん@お腹いっぱい。
07/08/22 08:49:04 EuS/YGUz

「・・・ぇ~~~」

奇妙にくぐもった声に思わず後を振り返る。
こんな山中に何者が?
私は出来上がった人形を放り出し、愛用の仕込み木刀「綾辻」を構える。
最悪の事態を想定し、親指で留め金を外す。 これでいつでも刃が使える。
注意深く周囲を伺い神経を研ぎ澄ます。 だが何者の姿も見えない。

「・・・ぇ~~~」

再びの声。
それはどうやら積み上げられた廃棄人形の中から聞こえるようだ。
私は慎重に人形を取り除き、声の主を探す。 
すると・・・

「おお! 父上っ・・・」 グシャ!

「それ」が何かを言い終わらぬ内に反射的に木刀を振るっていた。
誰が父上だ、私は女だ
ムカツいた私は腹いせに「それ」の残骸を薪の代わりにしてやることにした。
二つの人形を抱え、再び拠点にと作った巣に戻っていった。

「・・・ぉ~~~・・・」

満天の空の下、焚火にくべられた残骸の断末魔が心地よい。
ここしばらく話し相手もいなかったので少し寂しく思っていたのだ。
今夜はこっちの完成品を抱いて寝よう。
少し早いが床につくことにした。

「・・・お父様ぁ~~!」 ゲシッ!
突然抱きついてくる完成品を反射的に蹴り飛ばす。
チッ、コイツもか!? 私は綾辻を手に様子を伺う。

「うぅ・・・お父、様・・・」

  ゴリッ!

思わずその頭を踏みにじる。
どいつもこいつも・・・私はれっきとした女だ
その端正な横っ面を木刀の切っ先でぐりぐりこねまわす。
「あぐっ!?」
「・・・だぁれがお父様だって? あぁ?」
「ご、ごめんなさい・・・」
「私は、お、ん、な、よ! わかった?」
「はい、じゃあえ~と・・・お母様?」

  ダンッ!

「うごっ!?」
再度頭を踏みつける。 誰がお母様だ  私はまだ13だ

「あぅぅ・・・」
「巴様とお呼び、わかったわね?」
「は、はい・・・巴様。」
「よし。」
嫌な疲労感を覚えた私はすぐに眠ることにした。 とりあえず明日だ
完成品をロープでふんじばり、改めて床についた。

128:カプチーノ8世
07/08/22 08:52:39 EuS/YGUz
「ん~、いい朝ね。」
「おはようございます、巴様。」
「・・・」
「巴様?」
「・・・おはよう。」
しっかりと縛り上げておいたはずが、いつの間にか抜け出していた。
縄抜けとは意外に器用なヤツだ

山篭りも今日で終わりだ
荷物を取りまとめ、下山の準備をする。 次来るのは来年だろう
完成品を伴い、私は山を降りはじめた。

「そういやアンタの名前は?」
「水銀燈です。」
「ふ~ん。」
変な名前だ 「水銀」はまぁいいとして、どこら辺が「燈」なのか?
もしかして見つからなかった下半身がランプ状になっていて明かりが
取れる構造だったのか?   んなわけないか 

「水銀燈はこれから私の家で暮らしなさい。 いいわね?」
「はい、巴様。」
「言っとくけど私の命令は絶対よ? 
 逆らったら即スクラップだからね?」
「は、はい・・・」
動く人形は雛苺以来だ。 トラウマの克服にはうってつけと言えるだろう。
また、前回の失敗を反省し、これからは厳しくしつけることにする。
自分が厳しくしつけられた経験から、思わず甘やかしてしまったのが
いけなかったのだ。 子供できたら厳しくしよう


家に帰り着くと案の定、誰もいなかった。 好都合だ
とりあえず薄汚れた水銀燈を風呂に放り込み、ついでに
自分も風呂に入る。 山篭りの垢を落とさなくては

風呂から出ると早速タンスの肥やしになっていた子供の頃の服を
引っ張り出す。 手頃なサイズと言えるだろうそれを水銀燈に渡した。

「とりあえずそれを着なさい。 素っ裸じゃカッコわるいもんね。」
「はい、巴様。 ありがとうございます。」
「サイズは問題ないわね?」
「はい、ピッタリです。 でも・・・」
「? なに?」
「デザインがダサ・・・」

 ガゴンッ!

「げぁぁあああ!?」
「・・・殺されたいの?」
「も、もうしわけ・・・」
「次はないわよ?」
「は、はい。」

久々にまともな食事を取ろうと台所に向かう。
食卓に置かれたメモを見つけ、その内容に愕然とする。
なんと桜田邸が炎上し、ジュン君とお姉さんは病院に運び込まれたらしい。

すでに事件より4日が経過していた。

129:カプチーノ8世
07/08/22 08:54:10 EuS/YGUz
「水銀燈っ!? すぐ出かけるわよ!」
「は、はい! 巴様。」

水銀燈を伴い、私は二人の入院先に駆け出した。
勿論お見舞いの品も忘れない。 この辺の細かい気配りで地道に
ポイントを稼ぐのは恋愛の鉄則だ。 お姉さんに対してもである。

リサーチ済みのジュン君とお姉さんの好物を物色しながら
公然とジュン君を訪問する口実が出来たことを私は天に感謝した。



大きく一つ深呼吸すると「桜田」のプレートが入ったドアをノックする。

 コンコンッ

「はい、どうぞ?」 お姉さんの声だ。
「お邪魔します。」  音を立てぬようゆっくりドアを開ける。

「あら! 巴ちゃんじゃない。 わざわざ来てくれたの? ありがとう。」
頭には包帯が巻かれ、頬に絆創膏が貼られているが思った以上に元気そうだ。

「お久しぶりです。 あの、ジュ、桜田君は?」
「ジュン君は今寝てるの。 せっかく来てくれたのにごめんなさいね。」
そう言うと彼女はちらりとカーテンに遮られた隣のベッドに目をやる。

「い、いえ、いいんです。 あの、コレ良かったらどうぞ。」
「わぁ! ありがとう! 私の好物もジュン君の好物もあるんだぁ!」
「そ、そうなんですか? 良かった、気に入ってもらえて。」
あえてとぼけてみせる。 これもテクニックだ

「あら? その子は?」
「あっ、え~と・・・しばらく家で面倒見ることになった水銀燈です。
 ほら、桜田さんよ。 御挨拶なさい?」
彼女の肩をきつく掴む。 ここで下手打ったら折檻だというサインだ。

「あ、あの・・・はじめまして、水銀燈と申します。」
スカートの裾をつまむと優雅に一礼する。 
その場違いなしぐさに思わず眉をしかめてしまう。
後で日本式仕儀作法を叩き込んでやる



また後ほど続きを


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