06/10/13 04:21:54 p43+Bg/a
表情を強張らせた翠星石が語りだした。
「真紅、聞いてほしいのですぅ。」
一息入れて、翠星石は俯き加減だった視線を真紅に向ける。
「今から5時間ほど前のことですぅ。nフィールドを経由して色んな人の
夢の世界が現役の特殊部隊によって占拠されたのですぅ。」
「何処の部隊なの?」
「Alice Doll部隊とその下についた次世代特殊部隊ですぅ。あいつらは私達を脅してきたのですぅ。
それが出来ない場合は夢の中で人を永遠の眠りにつかせると言ってますぅ。」
ある固有名詞、そして永遠の眠りという言葉を聞き、真紅は目を見開いた。
「永遠の眠りを?」
「はい、ドリームジャックをすることで私達を無力化しにかかったのですぅ。」
「Alice Dollがドリームジャックを…。」
Alice Dollの内情を知っていた真紅はすぐさまことの重大さに気付いた。
「大変なことになった、って君にも分かっただろう。」
蒼星石は口を挟んだ。音声はいつも通りの落ち着いた音声だったが、
その表情は彼女にしては珍しく少し青ざめているようにすら感じられた。さらに、翠星石は話し続ける。
「真紅にお願いしたいのはnのフィールドに単独潜入ですぅ!
人質としてとらえられた可能性のあるローゼンメイデンのミーディアムの捜索調査ですぅ!
そして見つかったら、彼らを救出するのですよぅ!」
「人質にしてはなかなか狡猾ね。」
今だ表情を殆ど変えない真紅に対して、泣き出しそうな翠星石は捲し立てるように言う。
「そして、奴らが本当に夢の中で人間を閉じ込められるかも調査をするですよっ!
本当だったら奴らをとっちめてやるです!」
52: ◆HdhO7FUzqk
06/10/13 04:27:04 p43+Bg/a
大まかな状況を真紅が聞いた後、蒼星石は真紅に声をかけた。
「真紅、質問はあるかい?」
「質問?バカなことを言わないで、私は受けると言った覚えは無いのだわ。」
まだ怒りが抜け切ってない真紅に対して蒼星石は続けた。
「もうちょっと、詳しく話を聞いてからでも遅くは無いと思うよ。」
少しの間だけ考え込んだのか真紅は黙っていたが、何か思いついたように口を開いた。
「・・・nのフィールドの状況は?」
「nのフィールドは私達のところは落ち着いていますぅ!
ですが、私達や雛苺じゃ他の人の夢への干渉が出来なくなっているのですぅ!」
「つまり、私か金糸雀…そして水銀燈ならまだ可能性があるというわけね。」
「しかも、Alice Doll部隊は手紙で真紅を指名してきたんですぅ!」
「何ですって?」
今まで、表情を大きく変えなかった真紅は驚愕の表情を露にし、声も大きくなった。
「それは、僕の方から説明させてもらうよ。」
蒼星石が再び口を挟んだ。
「人の夢の中へ干渉することを得意とした僕や翠星石が干渉出来ない。
これは明らかにおかしいことなんだよ。」
「本当に、ローゼンメイデンのミーディアム達を調査したの?」
「うん、僕のご主人様であるおじいさんは昨日から眠り続けているし
夢の中を調べようとしても結界みたいな物が張られていて入れないんだ。
翠星石や金糸雀、雛苺と手分けして調べたけど他のミーディアムも同じような状態だよ。
とりあえず、おばあさんには『心配しないで、必ず元に戻すよ』って
言っておいたけど・・・それでも大変なことは変わりは無いんだ。」
真紅は左手を右肘に、右手を顎に持って行って再び考え込んだ。
「そうなってくると犯人は・・・雪華綺晶はすでに前回の戦いで
ローザミスティカは取られたわ。金糸雀や雛苺は性格や能力を考えたら無理ね。
これだけのことを行ったことを考えると今回の事件には水銀燈が関わっているはずなのだわ。」
少し落ち着いてきた翠星石も同意する。
「そうですぅ。こんな悪趣味な真似をするの水銀燈以外考えられないですぅ。」
53: ◆HdhO7FUzqk
06/10/13 04:28:57 p43+Bg/a
また、しばらく俯きながら数秒ほど考え込んだ後、真紅はようやく口を開いた。
「・・・一体、彼らの要求は何かしら?」
「僕達5人のローゼンメイデンのローザミスティカ、そして・・。」
「そして?」
「・・・ジュン君だよ。」
翠星石、そして真紅のミーディアムであるジュンの名前を聞いたとたん、血相が変わった。
「ジュン!?・・・なぜ彼が?」
「不思議なことにジュン君は今回の事件には巻き込まれなかったんだ。何故だと思う?」
「私や翠星石のミーディアム・・・と言う理由ではなさそうね。」
翠星石が口を挟んだ。
「彼らの要求はマエストロに匹敵、いやそれ以上の腕前のジュンの技ですぅ。」
「うん、ジュン君はJUMと呼ばれている唯一無比のマエストロなんだ。」
「Japanase Ultra Maestro・・・とはよく言ったものね。ジュンの腕を使って何をするつもりかしら?」
「彼らの要求は恐らく・・・ジュン君を捕まえて、新しい体を作ってもらうことだよ。」
「新しい体?水銀燈の腹部のパーツかしら?」
「それだけじゃないと思いますぅ。奴らは、人質を盾にして
また新しく、ローゼンメイデンの贋作を量産することも考えているはずですぅ!」
「贋作・・・アリスになりきれなかった人形が増えたら。」
真紅の脳裏に、今までの戦いが思い浮かんだ。そして、かつて信頼していた雪華綺晶との二度の戦い。
その間には、アリスになりきれなかった贋作人形との死闘を避けて通ることは出来なかった。
「そうなってしまえば、nのフィールドにとどまらず現実世界に大きな混乱が出てくるはずだよ。」
「そうですぅ、ジュンは私と真紅のミーディアムというだけでは無いのですぅ!
あいつの腕はお父様に匹敵する、人形全体の平和にとって"JUM"はかけがえの無い存在なのですぅ!」
「私達ローゼンメイデンにとっては特に、でしょう?」
54: ◆HdhO7FUzqk
06/10/13 04:31:35 p43+Bg/a
蒼星石は更に話を続ける。
「手紙の出し主は、自分たちのことを『アリスドールの娘達』と名乗っていたんだ。」
「『アリスドールの娘達』…。」
アリスドール。それはローゼンメイデンが本来目指すべき完璧なる存在であり、
Alice Doll部隊の名前の由来にもなっている。
アリスを目指す方法がお互いに戦うこと以外にもある、とされたとは言え。
その意味はこの場に居る三人のローゼンメイデンにとって特別な意味を持つ。しばらく重苦しい沈黙が続いた。
「それで、タイムリミットはいつまでかしら?」
真紅は沈黙を破るかのように聞き返した。
「24時間ですぅ!それに、やつらは手紙を出してから24時間後にジュンの身柄を渡さないと
ミーディアムを完全に夢の世界の住人にしてやる。とかいてありましたですぅ!」
「それで、今は手紙が来てから5時間経っているのね?」
「そのとおりですぅ。」
真紅はどこからか取り出した自前の紅茶セットで、近くにあったポットを使い紅茶を入れ始めた。
「翠星石、私一人で潜入操作するのかしら?」
「それしか方法がないのですぅ!手紙にも真紅が来い、とあったのですよ!?」
「そういうことを聞いているのではないのだわ。」
紅茶を入れ終えた真紅は紅茶を一口入れた後、いつもの落ち着いた口調でたずねた。
「どうして私に接触をしたか、本当の理由を教えて頂戴。
貴方達だけでもその気になればのり、そしておばあさんを経由して
他のミーディアムによる夢の中への干渉をすることも可能だったはずよ。
二人一緒なら。いいえ、金糸雀や雛苺を交えれば任務の解決も難しくないはずなのだわ。」
真紅の鋭い目線が、二人の姉妹に向けられた。
「ごめん、真紅。実は、金糸雀が・・・置手紙を残して行方不明になってしまったんだ。」
「神奈川・・・いや、金糸雀は『みっちゃんを助けに行くかしら!』とだけ書いてどこかに言ったですぅ!」
「・・・それで、私に金糸雀の連れ戻しもして欲しい。と言うわけね。」
「お願いだよ、真紅。ミーディアムの救出とともに金糸雀を探してほしいんだ。」
翠星石、そして蒼星石の嘆願ともいえる視線が真紅に突き刺さる。
「いいわ、その代わり条件があるわ。」
観念したかのように目をつぶって仕方なさそうに真紅は答える。
「真紅・・・。」
「これ以上の私達の間では隠し事は無しよ。それから、貴方たちとも定期的に連絡がとりたい。
言いたい意味はわかるわね?」
「わかったですぅ。nのフィールドと現実とのやり取りが出来るような装置を用意しておいたですぅ。」
そう言い出すと翠星石はなにやらポケットから宝石のようなものが着いたようなブローチを取り出した。
「このブローチを使うと私達とも遠隔で会話が出来ますぅ。」
「・・・ありがたいわね。ところで蒼星石、さっきの人工精霊で何をしたの?」
「nのフィールドで何時でも出口が出せるようなおまじないだよ。
真紅は僕達と違って夢の中で動くのは少々辛いだろうからね。」
「確かに貴方達が動けず私だけが動くとなると、夢の中では不利になるのだわ。」
55: ◆HdhO7FUzqk
06/10/13 04:36:10 p43+Bg/a
「あと、彼らの情報について知っていたら教えて頂戴。」
今まで目を閉じていた真紅はもう一口紅茶を飲み終え、二人の姉妹に向き直った。
「水銀燈がかかわっている事は確実だよ。手紙には黒い羽が入っていた。」
「それに、薔薇水晶もか関わっている可能性があるかもしれないですぅ!」
「・・・どうして関わっていると分かるのかしら?」
「夢の中に行った金糸雀から君に渡した同じブローチを経由して聞いた話だけど
水晶が突き出ているフロアが確認されたんだ。
それに不気味な贋作人形が幾つか居るみたいだ。」
「それで、今は金糸雀と連絡が取れない。私を起こされた理由はそういうことなのだわ。」
「真紅、相変わらず鋭いね・・実は、金糸雀の話を聞いたところ
Alice Doll部隊は水銀燈の手で再び編成されたんだ。」
「・・・何のために?」
「水銀燈は長い間、僕達から距離を置いていたけどどうしてだと思う?」
蒼い姉妹の問いに、間髪居れずに真紅は返した。
「水銀燈は雪華綺晶との過去の戦いで傷ついた。
私や貴方達二人はおろか、金糸雀や雛苺も同様にね。
だけど私たち6人はジュンの手で再び新しいローザミスティカを与えてもらったわ。
ところが、その中の一人は復活条件付で復活させざるおえなかった。」
「だけど、一番ダメージが酷かった水銀燈は復活の代償に
過去の強力な戦闘能力がパワーダウンしてしまった。
僕達他のローゼンメイデンとは一対一では勝てないぐらいにね。」
「ジャンクと呼ばれてもいいぐらいのパワーダウンは水銀燈にとって屈辱なのだわ。
だから自分のパワーを取り戻すために年月を重ねていた。
その間に、夢の中に干渉出来る方法を探していたのだわ。
全てはジュンの手で再び自分の体を修理してもらうため。その為にしばらく姿をくらましてた。」
「仮に元の力を取り戻したとしても、水銀燈一人で夢の世界に行き来できる筈が無いですぅ!
薔薇水晶が何らかの形で夢の世界へ導いた可能性が高いですぅ!」
翠の姉妹から、再生した真紅達の元となったAlice Dollの贋作の名が出された。
「薔薇水晶・・・槐(えんじゅ)が作った雪華綺晶の贋作。
彼女が何を考えているのか未だに掴めないのだわ。」
半ば他人事のように目をそらして薔薇水晶のことを述べた。関わりたくないな、と言わんばかりに。
56: ◆HdhO7FUzqk
06/10/13 04:38:07 p43+Bg/a
「僕達が動きを封じ込められた以上、あの二人に対抗できるのは君しか居ないんだよ。
金糸雀は居なくなったし、雛苺では正直荷が重過ぎるんだ。」
「・・・。」
真紅は、紅茶を飲み干すとあごに左手を動かし考え込むように黙った。
「翠星石たちがサポートできるのは、真紅への連絡や夢の世界へ行かせる準備。
それに、ジュンとのりの安全確保やお婆さんや巴の家族との連絡ぐらいですぅ。」
翠星石の声を聞きおわった後、真紅が再び声を上げた。
「ほかの事は心配しなくていいのね・・・私のステッキがあったら返して頂戴。」
「どうするつもりだい?」
「心配しないで、任務を拒否するわけではないわ。素手では色々と不便になりそうでしょう?」
「フフッ・・・真紅、どうやら本気で行くみたいだね。」
「真紅、ステッキならここにあるですぅ。」
翠星石から愛用のステッキを受け取ると、確かめるように軽く体を動したの後に人工精霊を呼び出した。
「ホーリエ、いるかしら?」
人工精霊はどこからとも無く現れ真紅の周りを漂う。
「準備は完了ね・・・行くわよ!」
真紅は二人の姉妹と共に、桜田家の鏡のある部屋へと向かった。再び戦いに身を投じるために。
57:名無しさん@お腹いっぱい。
06/10/21 11:32:53 mv0XX29q
イイヨイイヨー
58:名無しさん@お腹いっぱい。
06/11/22 19:28:08 g13mkbB2
翠星石はハリアーに乗れ!
59:名無しさん@お腹いっぱい。
06/12/11 22:52:56 MUbwnKM1
ひどいよ・・・
【Rozen Maiden】雛苺萌えスレ4【ローゼンメイデン】
スレリンク(cchara板)
60:名無しさん@お腹いっぱい。
06/12/12 17:11:33 VIa9HRme
Rozen Maiden 糞苺であ゛ん゛ま゛あ゛あ゛あ゛
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Rozen Maiden 雛苺で遊ぶですぅ 39
スレリンク(charaneta2板)
ローゼンメイデン総合スレ
スレリンク(trend板)
61:名無しさん@お腹いっぱい。
07/01/02 03:32:12 +po3/EZD
あんたはオレ達のドールを救ってくれた!
今度はオレ達があんたのドールを救う番だ、マエストロ!
62:名無しさん@お腹いっぱい。
07/01/02 13:49:34 K8YLQzsJ
エルザとか
薔薇水晶なのにびっくり
63:名無しさん@お腹いっぱい。
07/01/18 22:46:18 is7YSYHf
>>1乙
64:名無しさん@お腹いっぱい。
07/01/31 20:08:43 CFn9jLzN
保守
65:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/03 17:36:25 C5IuG7TP
age
職人いないのか?
66:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/05 15:46:41 XdJjf4YP
保守
67:あぼーん
あぼーん
あぼーん
68:名無しさん@お腹いっぱい。
07/02/27 20:35:41 uuYSZ9nj
削除依頼申請完了
69: ◆HdhO7FUzqk
07/03/02 18:41:14 GeH0JzPv
…暇が出来たからとっととネタを搾り出して、
>>56の続きを再開しようと思ったんですが。
荒らしさんが止んだようなのでそろそろ再開していいですか?
70:名無しさん@お腹いっぱい。
07/03/03 10:10:52 9LTMi1h1
オッケーオッケー
このまま放置されるかと思ってたけど書いてくれるなら有難いよぉ
71:名無しさん@お腹いっぱい。
07/05/05 18:25:17 C500aYrp
浮上