ディアナ・ソレルのよしなに日記2006~時代~at X3
ディアナ・ソレルのよしなに日記2006~時代~ - 暇つぶし2ch574:某月某日
06/09/29 22:05:14 BE:406599449-2BP(21)
ミラン 「少佐はお会いした事は?」
フィル 「大統領府で何度か御眼に掛かったことがありますが、会話と呼べるような事は…」
ミラン 「ご尊顔を拝謁できただけでいいではないか。」
フィル 「本当によいのですか?今ならこちらにお出でいただく事も可能。そうすれば…」
ミラン 「いや、これでいいのだ。お会いすれば決意が鈍る…」
フィル 「決意?」
ミラン 「あの日…」
     『先の戦争の折、ディアナ様への忠誠を改めて誓った時』
     『この身命を賭して、ディアナ様の意志を形にすると…』
     「ふ…」
     「そろそろお見送りに行くとしよう。」
フィル 「…」


#END


575:通常の名無しさんの3倍
06/09/30 00:02:20
>>572-574
職人さん乙です
しかしこの二人のやりとりを見てると
どうしても劇中での描写不足を改めて感じさせられる

最後に、ハリーは中尉じゃなくて大尉だよね?

576:某月某日
06/09/30 00:07:36 BE:542131968-2BP(21)
おおぅ。昇進したの忘れてたよw

今回はネタ書いてると途中に曾我部さんの訃報を聞いたので、ミラン主役です。

577:通常の名無しさんの3倍
06/09/30 00:30:19 xsUAClU/
hage

578:食いしん坊なディアナ様1/2
06/10/02 17:51:30
「ロラン!これは一体どういうことですか!?」
「どうかしましたか?ご飯にはまだ早いですよ。」
「そういうことではありません!一昨日も昨日も今日も雨ばかりではありませんか!」
「それは仕方がありませんよ。ここは地球なんですから。」
「それは分かっています!でもこんなに雨ばかりだと頭からキノコが生えてきてしまいます!」
「それは面白そうですね。食用のキノコなら食費も浮くし、最高じゃないですか。」
「ロラン!わたくしはまじめに言っているのです。こんな天気ばかりじゃ散歩にも行けません!」
「(要するに、散歩したいけど外に出られないから退屈なんですね)
天気ばかりはどうしようもありませんよ。このチョコパンでもつまんでいてください。」
「食べ物だけで機嫌が良くなるほどわたくしは食いしん坊ではありません!」
「いりませんか?」
「…欲しくないとは言ってません。」
そう言ってロランから貰ったパンにかぶりつくディアナ様。
「うん。おいしい♪」
「(なんだかんだ言っても、機嫌がよくなるんだよな)
それで夕食まで我慢してください。」
「一つじゃ足りません。もう無いのですか?」
「そんなにありませんよ。それに晩御飯が食べれなくなりますよ?」
「ご心配なく。甘いものは別腹です。」


579:食いしん坊なディアナ様2/2
06/10/02 17:52:58
「…太りますよ?」
「余計なお世話です!ロランにはレディーに対する気遣いが足りません!」
「ディアナ様の健康のためを思って心を鬼にして申しております。」
「わたくしの体内にはいくら食べても太らないナノマシンが投与されているので心配要りません。」
「(キエルさんと入れ替わっていた数ヶ月で2kgも太ったって騒いでたじゃないですか…)
はぁ…そういうもんですか。」
「そういうもんです。そういえば、わたくしはまだキエルさんの手作りの
マロングラッセを食べたことが無いんですよね。」
「そういえばそうですね。とっても美味しいんですよ。」
「…よし!今から会いに行きましょう!」
「会いに行く…って今からですか!?どうやって会いに行くんですか!?」
「リリ様に月に連絡を入れてもらって、ソレイユで迎えに来てもらえれば今日中には会えますよ。」
「…それって、ものすごく迷惑じゃないですか?」
「かつての月の女王として、キエルさんのアドバイザーとして行けばいいんです。
そうと決まればすぐに支度をしましょう。ロランはリリ様に連絡してください。」
「…はい…(キエルさん、ハリーさん、リリ様。申し訳ございません。
僕には、もうディアナ様の突撃を止めることは出来ません…)。」
「ふふふ…実に素晴らしいアイディア…待っててくださいね、キエルさん手作りのマロングラッセ!」
「(…キエルさんじゃなくて、マロングラッセなんですね…。)」

その後、大至急ソレイユを呼んでもらったリリ様にロランは謝罪し
女王の職務を中断してまでマロングラッセを作らせてしまったキエルさんにロランは頭を下げ
かつての女王の暴走に激怒しているハリー大尉をロランがなだめました。

そんなロランの苦労など知らずにキエルさんの手作りマロングラッセを味わうディアナ様でした。


580:通常の名無しさんの3倍
06/10/02 18:36:43
一言だけ言わせてもらおう

GJ

581:通常の名無しさんの3倍
06/10/03 19:42:23
>かつての女王の暴走に激怒しているハリー大尉

ベルガバロスwwwwwwwwwwwwww

582:通常の名無しさんの3倍
06/10/06 21:52:57
ネタを考えながら保守

583:通常の名無しさんの3倍
06/10/08 01:05:10 cBmqSPj5
あげとくぞ

584:ロランだけど…
06/10/08 01:20:28
 最近、ディアナ様は読書がお好きらしい。
夕べも夕食の後、部屋で音楽をお聞きになりながら、
お気に入りのロッキングチェアーにずっと座ってらっしゃったようだ。
しかも相当熱中しているご様子で、深夜までそのロッキングチェアーの揺れる音が
聞こえてきていた。
そのせいか、今日はずいぶんとお寝起きが悪いようだ。
時計が9時を回って仕事に出かけなければならなくなったぼくは、
一応、ディアナ様のご様子を伺いに寝室へと向かった。
「ディアナ様…。」
ドアの向こうからは物音一つ聞こえてこない。
ぼくは少し不安になりながらもう一度ドア越しに尋ねてみた。
「ディアナ様…、ぼくはこれから仕事に出かけます。
朝ごはんはサラダを冷蔵庫に入れておきましたので、
トーストを焼いて食べてください。」
…。おかしい。いつもなら何かしらお返事をしてくださるはずなのに、
なぜかドアの向こうからは物音一つしない。まさか―。
まさか、ディアナ様の身に何か…。焦燥を覚えつつ、ドアを開けようとした瞬間だった。
「ん~、おひげ…。」
ぼくはドアノブに手をかけながら生唾を飲み込んだ。
今のは確かにディアナ様のお声だった。しかし、なんなんだろう。
ひげがどうかしたのだろうか?
ぼくは何も聞こえなかった振りをして「すみません、入らせていただきます」と言いながら
ドアノブをゆっくりと引いた。


585:ロランだけど…2
06/10/08 01:23:25
 部屋の窓にはカーテンが引かれていて薄暗かったが、
漏れてくる光でその様子はすぐにわかった。
ディアナ様は、よほど本に熱中されていたのか、ロッキングチェアーにお座りのまま
むにゃむにゃと何か寝言のようなことを言いつつすーすーと寝息を立てておられた。
「ディアナ様、そんなところでお休みになられていては、イテッ。」
部屋の中に入っていくと、足に何かがぶつかった。
本が山積みになっていた。
すごい、さすが月の女王様だ、ぼくはつま先の痛みより先にすぐにそう思った。
本の題名は、『宇宙英雄伝』。しかも、見たところ10冊はある。
女王様は、やっぱり“英雄”とかについて勉強しなきゃならないのだろうか。
とりあえず今は女王ディアナ・ソレルにお戻りになられるおつもりはないだろうけど、
なんというか、ディアナ様がそんな本を夜通しお読みになっているというだけで、
ぼくは改めて畏怖の感情を目の前に向つつ、
足元の本を拾って中を見てみた。
…。
…なんだこれ?…マンガ?
しかも、なんだろう、すごい、劇画だ。しかも…幼稚だけど濃いな。ヒゲが…。
この主人公、なんでこんなに青ヒゲが濃いんだろう。ん、まてよ、ヒゲ…?
ぼくはふとあることを思い出した。ウィル・ゲイムさん…?
なんてことは―。


586:ロランだけど…3
06/10/08 01:25:24
ふとその時、「んん…。むにゃむにゃ。」と言いながらディアナ様がこちら側を向いた。
まだ眠ってらっしゃる。とてもきれいなお顔立ちから、
すーすーと無邪気な寝息がぼくの頬を掠めた。
ぼくはその顔をじっと眺めた。ほんのちょっと手を伸ばせば触れられる。
ほんのちょっと、勇気を出せば、ぼくは、ぼくはもっと…。
けれどぼくは、ああ、ディアナ様…!
「んん~、おひげ、待って、ウィ…ル。」

「…!ディ…ディアナ様!」

ぼくはふと、体中から血の気が引いていくのを感じた。
いや、そうだ。そうなのだ。ぼくは何を考えていたんだ。
ディアナ様は月の女王様で、ぼくはただ護衛と執事を任されただけの
いちムーンレィスでしかないというのに…。

どうしようもなく打ちひしがれた気分だった。
そんな胸の内を自分自身で必死になだめつつ、
ディアナ様のひざ上にかけられている毛布に視線を落とした。
毛布をゆっくりと肩まで上げつつ、ベッドまで抱きかかえて行って
差し上げたほうがよいのかどうか考えて、少しの間固まってしまっていた。
そのときだった。
ディアナ様の手が伸びてそっとぼくの手を握った。
白いきめの細かい手がぼくの手の甲を包み込んだ。
ぼくは芯まで固まって、まるで石のように動けなくなってしまった。
そして、ディアナ様は目をおつむりになったまま穏やかな口調でおっしゃった。
「ロラン、…ありがとう。」
途端にぼくの体温が上がったからなのかもしれない。
以前と同じ、少し温度が低めの手だと感じた。
ディアナ様はなんとなく微笑を浮かべて、相変わらずすーすーと寝息を立てておられた。
夢の中に、ぼくも出てきたのだろうか。
そして、そんな夢を見ながら、こんないいお顔をされているんだろうか…。
ぼくはなぜかほっとした胸を小さなため息に換え、
ディアナ様の目が覚めないようそっとその手を握り返すと、そのまま毛布の中に戻した。


587:ロランだけど…4
06/10/08 01:28:12
 帰ってきて、ディアナ様に聞いてみた。
「ああ、あのマンガは、ソシエさんからお借りしたものです。なんだか読み出したら
 止まらなくなってしまって。」
ソシエお嬢さん。そうだったのか、ああいうのがお好きだったのか。
どうやらディアナ様はほかにもいろんなマンガをソシエお嬢さんからお借りになって
読んでいらっしゃったらしく、ぼくはちょっとだけ苦笑いした。
結構、劇画調の少年漫画ばかりだったし…。けれどなんとなく、ぼくは満足だった。
あの時、確かにディアナ様の夢の中にはぼくがいた。
それに、あの微笑みはぼくがディアナ様にとってどういう存在なのかということを
確信できるもののようにも見えた。
 以前、ハリーさんが言っていた。“ディアナ様の悲しみは誰よりも深い”、
ウィル・ゲイムさんとの100年越しの恋を、ディアナ様は今でもちゃんと
お心に残しておいでなのだということに、ぼくはかえって心が温かくなるのを覚えた。
嘘偽りない、飾り気一つなく、それでいて純粋で、たまに子供っぽいところを
お見せになりながらも、やはり気品にあふれていらっしゃる、
そんな表情をされる方はきっとどこにもいないだろう。
 夕食のテーブル越しに見るディアナ様は、いつものディアナ様だった。
とてもやわらかくて、自然な感じのする笑顔が折に触れて覗く。
「あ、もしロランも読みたかったら、貸してさしあげますよ。
 ソシエさんにお返しするのはもう少し先ですから。」
ぼくはうんうんと頷きながら、「聞いているのですか?」と怒ったようなことを
言いつつも楽しそうにしていらっしゃるディアナ様を、しばらくの間見つめていた。

 月明かりの差し込む部屋で、ぼくは明かりを手元に持ってくると、
ベッドに横になりながら久しぶりに読むマンガのページを一枚一枚めくっていた。
しかし、それにしても、である。まさかウィルさんって…。こんな顔だったのだろうか?
ぼくはなんとなくうなりたくなる様な疑問を抱きつつも、ま、そんなことどうでもいいか、
と考えながら、あの時のディアナ様の微笑みばかり思い浮かべていた。


588:通常の名無しさんの3倍
06/10/08 01:59:07
>>584-587
GJ!
ロランってかなり人間できてるから
ロランが悩むイメージてあんまり無いけど
実際には結構身分とかに劣等感抱いていたかもしれないんだよな
周りにいる人は女王に主人に領主の跡継ぎだし
またネタがあったら書いてくれ

589:通常の名無しさんの3倍
06/10/10 22:31:49
>>588
ありが㌧
実は俺は>>582じゃない。
ネタがしばらく浮かびそうにないので保守

590:588
06/10/10 23:16:23
>>589
>実は俺は>>582じゃない。
それはそうだろう。
だって>>582は俺だしw
まあ俺も完成したら駄文ながら載せさせてもらいます。

591:通常の名無しさんの3倍
06/10/11 00:26:23
>590
レスサンクス

592:二人の関係 1/10
06/10/11 16:51:25
ここで隠棲するようになってからわたくしの時間はゆっくり流れるようになった気がします。
以前の1分単位で、時には100年単位で時間に縛られていた以前の生活からは嘘のようです。
中でも本を読みながら過ごす午後のティータイムは至福のひと時です。
「ディアナ様、紅茶をお持ちしました。
今日はクッキーを焼いてみましたのでよろしかったら食べてください。」
ロランは今日もわたくしのために紅茶を用意してくれます。
忙しそうに家事をこなすロランに少し休むように言いました。
「ありがとう、ロラン。貴方も無理をしないで休憩を取ったらどうですか?」
「ですが、まだ掃除が終わっていませんので…。」
わたくしが手伝おうとしても『ディアナ様は休んでいてください』
と言うだけでわたくしはあまり家事をやらせてもらえません。
わたくしを気にかけくれるからなのでしょうが、わたくしにとっては心苦しいことでした。
ですから、せめて休憩ぐらい適度に取ってほしいと思いました。
「ロラン、そこまで丁寧にしなくても結構ですよ。休むことも大切なことです。
…それに一人でティータイムを取るよりロランが話し相手として
いてくれた方が楽しいですしね。駄目ですか?」
「…じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいます。」
「そうなさい。いま貴方のカップを持って来ますから。」
そう言ってロランを休ませると、わたくしはロランのティーカップを用意して紅茶を注ぎました。
「ありがとうございます。…本を読んでいたのですか?」
「はい。まぁ、本と言うよりはわたくしが今までに書いた日記なんですけどね。…読んでみますか?」
「えっ?よろしいんですか?」
「構いませんよ。でも、笑わないでくださいね。」
「笑うなんて。じゃあ、失礼します。」
わたくしはロランに、今自分が見ていたページを開いたまま日記を渡しました。
「…このページは…ディアナ様とキエルさんが入れ替わった時の事ですか?」
「はい。正確に言うなら、わたくしとキエルさんが入れ替わった次の日のことですね。」


593:二人の関係 2/10
06/10/11 16:52:29
1年前

「行ってきまーす。キエルお嬢さん!」
「ちょっと!お弁当!」
「すみません、ジェシカさん。」
「行ってまいりまーす。お嬢さん!」
「気をつけて行っといでー。」
「ロランはどこに行くのですか?」
「マウンテンサイクルですよ。」
「…そう。」

わたくしはディアナ・ソレルです。だけど悪戯心からキエルさんと入れ替わって
今はキエル・ハイムを演じています。
墓参りの後、すぐにミリシャの襲撃に遭遇してしまい
キエルさんとは元に戻れぬまま分かれてしまいました。
そのことを誰かに相談するわけにも行かずに今はこんな状況になってしまっています。
まぁ、今は停戦中ですからキエルさんの身が危険にさらされることは無いとは思いますが
少々迂闊だったと反省しております。
今度グエン閣下がディアナ・ソレル(今はキエルさんですが)と交渉する時にこそ
元通りに戻らなければいけないと考えていますが
それまではキエル・ハイムを演じているのも面白いと思い
すぐにソレイユに戻ろうとは思いませんでした。
…その考え方がいかに甘かったかその時は考えもしませんでした…。

わたくしは入れ替わったときに出会ったロラン・セアックという名の少年に興味を持っていました。
彼は地球帰還作戦の先遣隊に選ばれた一人。
そして、ムーンレィスであるはずのロランが地球の人たちと普通に暮らしている
彼の生活はわたくしの目指すところでもありました。
また、ロランが悪意を持たない少年であることはすぐに分かりました。
少なくともあの少年なら、わたくしの正体がばれたとしても命の危険は無いだろう。
そう判断したわたくしはロランを追ってマウンテンサイクルへ向かいました。


594:二人の関係 3/10
06/10/11 16:53:31
マウンテンサイクルはわたくしの想像以上に広く
徒歩でロランを探していたら1日かかっても見つからないような大きさの山でした。
そこでわたくしはここで発掘をしていると思われる一人のおじいさんに尋ねてみました。
「あの、ちょっとよろしいでしょうか?」
「はいはい?おや、キエルお嬢様。どうしてこんなところに?」
(なるほど、このご老体はキエルさんの知り合いなのか。)
そう察したわたくしは以前からの知り合いのように尋ねました。
「ロランがどこにいるかご存じですか?」
「ロランの奴なら向こうで発掘作業をやってます。ホワイトドールを使ったほうが
MSの発掘は効率的ですからね。」
「?…ちょっと待てください!ロランがホワイトドールを使って発掘しているのですか?」
「前々からホワイトドールの操縦はロランが行なっていたじゃないですか。
お嬢様はご存知ありませんでしたかな?」
(どういうこと?ホワイトドールのパイロットはローラ・ローラのはず…。
どうしてロランがホワイトドールを…?)
わたくしが思考を廻らしているとおじいさんがわたくしにこう言いました。
「ロランに用があるんじゃったらトラックで送りましょうか?
途中までは同じ道ですし。」
「お願いできますか?」
「じゃあ乗ってください。10分もあれば着きましょう。」
トラックで移動中もホワイトドールのパイロットについて考えていました。
(ローラがホワイトドールのパイロットでロランもホワイトドールを操縦している…?
ムーンレィスならMSを扱えることは不思議なことではないが、このおじいさんは
『以前からロランが操縦している』と言っていた…。
じゃあ、新聞の記事になったムーンレィスのローラ・ローラって何者…?)


595:二人の関係 4/10
06/10/11 16:54:28
「キエルお嬢様!?どうしてこんなところに?…シドさんが送ってくださったのですか?」
(なるほど、この人はシドという名前なのか。それにしても…。)
ロランはホワイトドールのコクピットから出てきました。
(少なくともロランがホワイトドールを扱える以上パイロットは最低2人か…。
もしかしたら、ホワイトドールも2機以上存在するのかもしれない…。)
ここまで考えて、わたくしはとりあえずこれ以上考えることを辞めました。
キエル・ハイムとしてこのMSやロランの近くにいれば
答えは自然に分かるだろうと思ったからです。
「お嬢様がロランに用があるらしい。それでワシがお送りしたというわけじゃ。」
「そうだったんですか。ありがとうございました、シドさん。」
「ありがとうございました。わたし一人では迷子になってました。」
「なんのなんの。途中だったから送っただけじゃよ。じゃあな。」
そう言うとシドさんはトラックに乗って行ってしまいました。
「それにしても、お屋敷で何かあったんですか?キエルお嬢様がこんなところまで来るなんて?」
「いえ、今日は秘書の仕事はお休みですから、ロランが普段どんなことをしているのかと思いまして。」
「…そうなんですか。珍しいですね。お嬢様が僕の仕事に興味があるなんて。」
(たしかに、主人と使用人という観点から見ればこんなことはありえないか…。
でもキエルさんの妹のソシエさんとは仲がよさそうに見えたけど…。
…キエルさんはソシエさんの様に必要以上にはロランに接してこなかったのだろうか…?)
「…そうかもしれませんね。まぁちょっと興味があったものですから。」
「なるほど。とりあえず12時ですしお昼ご飯にしませんか?」


596:二人の関係 5/10
06/10/11 16:55:18
ロランの言葉を聞いてわたくしはお弁当を持ってこなかったことに気がつきました。
ロランもわたくしが昼食を持ってない(と言うより何も持ってきてない)
ことに気がついたようです。
「あれ?キエルお嬢様、お弁当持ってこなかったんですか?」
「はい…。用意してきませんでした…。」
「…だったら、僕のお弁当でよかったらどうぞ食べてください。」
「そんな!これはロランの昼食でしょう?貴方はどうするのですか?」
「一食ぐらい食べなくても大丈夫ですよ。朝食だって食べてますし。」
「何を言うのですか!これは貴方の昼食です。ロランの昼食を頂いておいて
わたしだけが食事をするなんてことできるわけありません!」
「じゃあ…半分づつしましょうか?」
「えっ?」
「そうすれば二人とも食べれるじゃないですか?」
「でも…本来は貴方の分なのですよ?ロランの昼食が少なくなってしまうではないですか。」
「かまいませんよ。それよりも、キエルお嬢様が僕に気を使って下さったことの方がずっと嬉しかったです。」
「じゃあ…一緒に頂いてもよろしいですか?」
「はい。量が少ないのは我慢してくださいね。」
「そんなこと!…ありがとう、ロラン…。」


597:二人の関係 6/10
06/10/11 16:56:14
(おいしい…。)
地球の食べ物は何を食べても美味しく感じました。
お弁当の中身は昆布のおにぎりが2つ、から揚げが4つにポテトサラダという
比較的簡素なものでしたがどれも美味しいものでした。
調理する人の腕もあるとは思いますが、もっと根本的に
地球と月の食べ物は違う気がしました。
紅茶もなかなかのものでした。
カップが一つしかなかったのでわたくしがカップを使わせてもらいました。
ロランは水筒に口を付けない様に器用に紅茶を飲んでいます。
「美味しいですか?」
「えぇ、とても。」
「よろしかったら僕の分も食べてくださって構いませんよ?」
「そこまで気を使っていただかなくても大丈夫です。」
この少年は優しい。主人と使用人という立場的な関係もあるのだろうが
これだけ気遣ってくれるのは彼の本質的な性格や思考からくるものだろう。
わたくしの周りの人は女王として扱ってはくれているが
まるでガラス細工でも取り扱うようにわたくしに接する人が多い。
そういう意味では『純粋な意味で心配してくれる人』がいるキエルさんが羨ましく思いました。
「あれを掘り出していたのですか?」
わたくしたちの近くに緑色で丸い形をしたMSらしきものが3つ
その横に黒い楕円型の板のようなものが1つありました。
「はい、カプル3機とホワイトドールのシールドらしきものを発掘しました。
午後からはシールドの様な物の周りのナノスキンを剥がして調べてみようと思ってます。」
あれがミリシャのカプルですか…。ウォドムやスモーと比べるとなかなか愛敬のある姿です。


598:二人の関係 7/10
06/10/11 16:57:16
「キエルお嬢様が直接ここまで来られたのを見たときにはグエン様からの
命令でも伝えに来られたのかと思いましたよ。」
「今日は非番ですから。それに命令を伝えるだけなら電話でも構いませんよ。」
「それもそうですね。」
普段の食事は一人で摂ることが多く、また誰かと食事をする場合でも
会食のように気を使いながらの食事が多かったわたくしにとって
雑談しながらする食事は久しぶりに感じました。
できることならキエルさんとしてではなくディアナとして
話をしてみたかったのですが、さすがにそれはできませんでした。
「それにしても…。」
昼食をとり終えたロランがわたくしに言いました。
「いくら任務とはいえあの舞踏会には参りましたね。グエン様の命令とはいえいくらなんでも
ローラとしてパーティーに参加するなんて考えてもいませんでしたよ。」
わたくしはその言葉を聞いてハッとしました。
(ローラとしてパーティーに参加した…?)
畳み掛けるようにロランは続けます。
「まあ、そのおかげでディアナ様主催のパーティーに参加できたわけですから
そういう意味では嬉しかったんですけどね。」
わたくしはこの発言でようやく理解できました。
ローラとロランは同一人物だったのです。
…たしかに、美しい銀色の髪、褐色の肌、緑色の瞳、身体的な特徴は良く似ております。
背丈も同じぐらいですし、声色も似ているように感じました。
(美しい女性だと思っていたら実はロランだったとは…。)
そう考えると舞踏会でロランに美しいお嬢様なんて言ってしまった事と
まじめに女装しているロランの姿を思い浮かべてしまったわたくしは
なんだか可笑しく思えて笑ってしまいました。
「いきなり笑い出だしてどうしたんですか?」
「いえ、ロランの女装も可愛かったのになぁ、と思いまして。」
「お嬢さま!からかわないでくださいよ。結構恥ずかしかったんですよ!」
「うふふ…。ごめんなさい。」


599:二人の関係 8/10
06/10/11 16:58:08
ロランとローラが同一人物だと言うことがわかった
わたくしにはある一つの疑問が浮かびました。
「ねぇ、ロラン。」
「…なんでしょうか?」
まだ怒っているのでしょう。ちょっと不機嫌そうに答えるロランでしたが
ふてくされてるロランの顔もなかなか可愛いものですね。
しかし今回は気持ちを切り替えてまじめに訊きました。
「ロランは何故戦っているのですか?」
今までのロランとのやりとりを思い返してもロランは戦争を望んではいない。
決して戦いを好む人ではないことは分かりました。
ロランがミリシャの軍人ならばおかしな話しではありませんが
ソシエさんとは違い彼は軍人ではないように見られました。
「…そうですね。」
そう呟いたロランは考え込んでいるように見られました。
やがて意を決したようにこう答えました。
「僕は…僕は地球人とムーンレィスが仲良く暮らせるようになってほしいと思っています。
そう考えている僕がホワイトドールに乗ってディアナカウンターと戦ってるのは
矛盾しているのかもしれません。」
わたくしにはロランの顔が悲しんでいるように見えました。
「僕は当初、ディアナ様が地球に降りてきてくださればこの戦争はすぐに
収まると思っていました。でも、僕の考えは甘かったようです。
停戦協定が結ばれている中でディアナカウンターのウォドムが
マウンテンサイクルに奇襲をかけてきました。」
「…」
「その時に気づいたんです。今回の戦争は今日明日に終わるものではないと。
今回の戦争で旦那様は死に、奥様もそのことで心に深い傷を負われました。
…だから、もう誰にも傷ついて欲しくないんです。僕にとって大切な人たちには、
これ以上悲しい思いをして欲しく無いんです。」


600:二人の関係 9/10
06/10/11 16:59:05
わたくしは何も言えませんでした。わたくしの発案した地球帰還作戦は、
地球人とムーンレィスの新たなる一歩となるはずだったのに
どうしてこんなことになってしまったのか…。
ロランは続けます。
「僕が舞踏会でディアナ様に直訴をした時、ディアナ様はこう言ってくれました。
『誰も戦いなどは望んでいません。貴方とわたくしは、立場は違いますが
思いは同じと感じました。お互いに頑張りましょう。』と…。
ディアナ様は戦いを望んでおりません。旦那様を殺されたお嬢様には
信じていただけないかもしれませんが、これだけはたしかです。
そして僕は、ディアナ様とグエン様が交渉を続けてくだされば
必ず平和な世界を作ってくれると信じています。
だから、僕は戦います。誰もが笑顔でいられる世界が出来るまでの間、
地球人もムーンレィスも、一人でも多く犠牲者を減らせるように。」

わたくしは自分の胸が抉れる思いがしました。
この少年はこれほどまでにわたくしのことを信じてくれているのに。
少年は自らの命を賭けて戦っているのに…。わたくしはなにをしているのだろう…。
ソレイユに戻るのは次の機会で良いなどとなんと浅はかな考え方だろうか。
…わたくしはこのような所で遊んでいて良いはずが無い。
キエルさんだって、今頃わたくしのせいで大変な思いをしているでしょうに。
何よりも、わたくしが今ここで職務を放棄しているこの瞬間にも人は死んでいるのだ…。
わたくしは、一刻も早く、地球と平和条約を結ばなければならない。
これ以上犠牲者をださないために。
ハイム家の人たちのような不幸をこれ以上起こさせないために。
そして、こんなわたくしのことを信じてくれている人たちのためにも…。
わたくしは自分の心にそう誓いました。


601:二人の関係 10/10
06/10/11 17:00:16
現在

「…どうかしましたか?」
「途中まで読んでみましたけどこの時の僕、すごい恥ずかしいことを言ってる様な…。」
「そんなことありません。あの時、いえ。あの時以来わたくしの傍に
いてくれたのがロランで本当に良かった。」
「そんな…。僕の方こそ、ディアナ様が傍にいてくださって
毎日が楽しかったし、嬉しかったです。感謝したいのは僕のほうです。」
「ありがとう、そう言ってくれて。そして、今でも一緒にいてくれて…。」
「やめてください、僕の望んでいたことでもあるんですから。」
考えると不思議なものです。3年前、フラットで地球に降下した少年と
当時の月の女王が一緒に暮らしているのですから。
今のような状況を想像できた人は多分一人もいなかったでしょう。
「あ!もうこんな時間ですね、夕食の準備をしてきます。」
いつもなら、ロランに任せてしまっているのですが
今回はわたくしの思いを伝えることにしました。
「ロラン。わたくしにも手伝わせてください。」
「そんな!ディアナ様の手を煩わせるなんて。」
「…わたくしは、いつもロランに助けられてきました。出会ってから今もずっと…。
わたくしだって、ロランの助けになりたい…。」
「ディアナ様…。」
「…わたくしだって、貴方の力になりたいんです。助けられてばかりなんて…そんなの嫌です…。」
ロランはわたくしの部下でも使用人でもない。そんな関係を望んでいたんじゃない。
わたくしだって、いつかロランと…。
「…わかりました。じゃあ手伝ってもらえますか?」
「はい。おねがいします。」
「それは僕の台詞ですよ、ディアナ様。」

わたくしは、貴方からたくさんの楽しみと、希望と、幸せを貰い続けています。
だから、ロランに負けないぐらいわたくしも貴方を幸せにしたいです。
…だってわたくしの恩返しは、まだ始まったばかりなのですからね。

ロラン、これからもよしなに。


602:通常の名無しさんの3倍
06/10/11 17:29:54 BE:158122627-2BP(21)
GJ!!
素晴らしい(;´Д`)ハァハァ


1つだけ言わせて貰うと、お弁当はおにぎりではなくパンの方が自然かと。

603:通常の名無しさんの3倍
06/10/11 17:59:57
>>592-601を書いたものです。
いまさら手遅れですがとんでもない誤字があったので訂正しておきます。
>>600のロランのセリフで

×地球人もムーンレィスも、一人でも多く犠牲者を減らせるように
○地球人もムーンレィスも、一人でも犠牲者を減らせるように

よりによってなんでこんなところでorz
その他不適切な表現などあると思いますが脳内で正しく直しておいてください。

>>602
パンでも良かったんですが、著者の好みでおにぎりにしてみました。
まあぶっちゃけパンでもいいですw

604:通常の名無しさんの3倍
06/10/11 22:10:39
>>592-601
原作の画像が頭に浮かんでくるようでした。
GJ☆

605:通常の名無しさんの3倍
06/10/12 19:38:44
>>602-603
まあかつて、「二人のログハウスには立派な掘りごたつがある」という設定での
傑作SSもあった事だし、ハイム家のライフスタイルは部分的にエイジア…
もっと言えば案外ヤーパン志向だったのかもしれないと考えてみるのも一興かと。

606:通常の名無しさんの3倍
06/10/13 21:06:26
それを含めてGJ

607:通常の名無しさんの3倍
06/10/15 01:43:39
ユニヴァァァァァス!!
ユニヴァァァァァス!!

608:通常の名無しさんの3倍
06/10/18 22:41:43
4472

609:通常の名無しさんの3倍
06/10/21 18:55:22 fbllUmfz
ゆにばす

610:ロランの憂鬱な一日 1/2
06/10/22 00:06:46
今日は僕の元主人だったソシエさんが遊びにきました。
それだけならば歓迎すべきことだったのですが、ソシエさんが
退屈しのぎにとゲームを持ってきたことが不運の始まりでした。
「軌道戦士ガンダムSFFD 連邦VSZAET」 というそのゲームは
早い話が黒歴史時代のガンダムを操作して戦うゲームのようです。
そのゲームでディアナ様とソシエさんが対戦することになったんですけど…

「それ!この!当たれ!」
「あまい、そこ!」
「……。」
「くっ!やりましたね!」
「貰った!!」
「そこで覚醒!そんな…。」
「……。」
どうやら勝負あったようです。くわしいルールまでは分かりませんが
ディアナ様が負けたことだけは分かりました。
「ふふん♪38戦38勝0敗ね。」
「も、もう一回お願いします!」
「いいですよ。」
「……。」

と、昼食以降この調子で困っています。
僕はお茶の準備をしながら2人の様子を見ていることしかできません。
全く辞めようとしないディアナ様も凄いけど
ソシエさんも手加減する気は無いようで、まるで恨みでも晴らすかのように
容赦なくディアナ様の操縦する機体を破壊していきます。

「こんどこそ…必殺ハイマットフルバースト連射!」
「かわいそうなディアナさん…。」
「なんですって!」
「それだけであたしに勝てると思うなんて笑止。今、楽にしてあげる。」
「そんな!横からビームが!後ろからも!?」
「さようなら、ディアナさん。」
「!!…そんな…レーダーにも横にMSの反応が無かったのに。」
「ドラグーンはいろんな方向から攻撃できるのよ。」
「くっ!もう一回!!」


611:ロランの憂鬱な一日 2/2
06/10/22 00:08:12
「その前に、お茶でも飲みながら休憩しませんか?」
口を挟むならここしかないと言うタイミングを見計らって二人に提案しました。が…
「駄目です!今は女同士の意地を賭けた真剣勝負なのです!
お茶を飲んでいる暇などありません!!」
「で、でも…。」
「あたしは貰うわ。ありがと、ロラン。」
「ソシエさん!?今は勝負の最中なのですよ!?」
「せっかくディアナさんのためにお茶を入れてくれたのにその行為を一蹴された
ロランがかわいそう…。こんな人のところじゃなくて家に来ない?
ここよりはいい生活させてあげるわよ?」
「いや、僕は…。」
「ソシエさん!こんな人とはなんですか!?わたくしの前でロランを誘惑するなど、
万死に値する行為です!!」
「そうは言ってもね~。どうせ生活無能力者のディアナさんは
ロランと一緒にいても1日中ゴロゴロして食べて寝るだけでしょ?」
「くぅぅ!!間違っていないとはいえ、かつての女王に対する侮辱の数々!
もう許せません!コントローラーを取りなさい!ディアナの法の裁きを受けていただきます!」
「いいわよ。やれるものならね♪」
「……はぁ…。」
と、こんな様子で今日一日が過ぎていきました。
結局ディアナ様は一度もソシエさんに勝つことができず
248戦248敗という不名誉な連敗記録を打ち立ててしまいました。
心身ともに疲労していたディアナ様はソシエさんの
「置物の方が、マシだったわね。」
という止めの発言を聞いてついに倒れてしまいました。
そんな泡を吹いて気絶したディアナ様の様子に満足したのか
「新作が出たらまた相手してあげるからそれまでCPU相手に特訓しておいて。」
という伝言を僕に聞かせると満足そうに帰っていきました。

…なんか疲れた…。

追伸
ディアナ様が風邪をひかないように寝室に運んだときに
ディアナ様がまた重くなっていることに気がついた。
もう少しディアナ様の生活態度について考えた方がいいのかもしれないな…。


612:通常の名無しさんの3倍
06/10/22 10:05:08
GJ!


そうか・・・またかロラン・・・



頑張ってこれ以上ディアナ様がふt(ディアナの法の裁きを受けました。続きを読むにはここを押してください)

613:通常の名無しさんの3倍
06/10/22 10:30:21
ユニバースユニバース

614:通常の名無しさんの3倍
06/10/22 10:49:27
>>611
GJ!
そのうち
「重い!しかし、ディアナ様一人僕の力で持ち上げてみせる。
ロラン・セアックは伊達じゃない!」
が、見られるのをwktkしながらまってます。

615:通常の名無しさんの3倍
06/10/22 13:41:54 qnct8zf2
「軌道戦士ガンダム」よりも「機関士ゲソダ6」の方がよかった気が

616:通常の名無しさんの3倍
06/10/24 13:18:10
うるおぼえスレの誤爆か?


それだけ








・・・はっ!俺は今何を口走ったんだ!?

617:ディアナ様歯医者に行く 1/4
06/10/25 01:14:44
「そんなにチョコばっかり食べてると虫歯になりますよ?」
「大丈夫ですよ。ロランは心配性ですね。」
「どうなっても知りませんからね?」

次の日

「うぇ~ん…歯が痛いです…。」
「だから言ったじゃないですか。とりあえず歯医者に行きましょうね。」
「はい…でも、歯医者は痛くないはずですよね?」
「…何を言ってるんですか?」
「え?だって、月では虫食ったところ部分を光で焼いて終わりでしょう?」
「…はぁ。ディアナ様、ここが何処だかお忘れですか?」
「どこって、地球ですけど?」
「地球が月の科学技術を取り入れ始めているとはいえ、まだまだ地球と月では技術に差があるんです。」
「…じゃあどうやって直すんですか?」
「削るんですよ、ドリルを使って。」
「ド、ドリル…嘘でしょう?」
「嘘じゃありませんよ。1mはあるドリルを使って歯をガシガシ削るんですよ。
だから関係ない歯を削ってしまったり、治療前より治療後の方が歯が無くなって
いるなんてことは良くあることなんです。治療中あまりの痛さに失神してしまうこともあり
待合室では子供が泣きながら許しを請うんですよ。」
「嫌です!そんなことになるなら、歯医者なんて行きません。」
「どうしてそんな結果になるのにみんな歯医者に行くのか知っていますか?」
「ど、どうしてなんですか?」


618:ディアナ様歯医者に行く 2/4
06/10/25 01:15:55
「最初の虫歯ができてから3日で歯が全部腐ってしまいます。」
「嘘…。」
「5日後には虫歯毒が回って体中に激痛が走り1週間で死んでしまうんです。
だから子供でも歯医者に行くんですよ。」
「だったら、だったら!月で治療すればいいじゃないですか!?
次の月行きの宇宙船はいつですか!?」
「残念ながら、次は5日後ですね、そのころには体中に毒が回って手遅れになっています。」
「そ、そんな…。」
「さぁ、瞬間の激痛を選ぶか死を選ぶか、どうしますか?」
「…こんなことになるなんて…。」
結局歯医者に行くことになりました…。

「さぁ、付きましたよ。」
「ここが歯医者ですか、見た目は普通の建物なんですね。」
「そう思っていられるのも今だけです。」
「え?」
「覚悟を決めて、入りましょうか?」
「……。」

「ごめんください。予約したキエル・ハイムですけど。」
「少々お待ちください…。お連れの方がキエル・ハイムさんですね。待合室でお待ちください。」
「ありがとうございます。さ、キエルお嬢様」
「は、はい…。あの、このキュィィィンという耳が痛くなる音は何ですか…?」
「やだなぁお嬢様、ドリルの音ですよ。前に説明したじゃないですか?」
「こ、これが1mあるというドリルなんですか?」
「そうです。この部屋の向こうで、今も誰かの歯が削られているんですよ。」
「……。」
「あれ?キエルお嬢様、どうかしたんですか?」
「いえ、ちょっと気分が…。」


619:ディアナ様歯医者に行く 2/4
06/10/25 01:17:03
欝になっていると、わたくし以外にも親子と思われる2人組みが
先客として待っているようでした。
「あの子も治療できたんでしょうか?」
「たぶんそうでしょうね。見てください。あの子、下を向いたまま一言も喋ってませんよ。
自分がこれからどうなるのか小さい体で理解しているんでしょうね。」
「うぅ…逃げたいです…。」
「次は○○ △△さん」
どうやらあの子が呼ばれたようです。
「ほら、入んなさい。」
「……。」
「…どうしたの?」
「…いやだぁぁぁ!!!痛いの嫌だぁぁぁ!!!」
そう叫びながら子供が外へ逃げ出してしまいました。
「コラ!待ちなさい!」
母親らしき人が後を追いかけます。
そんなに痛いんですか…。
「ほらね、子供はああやって逃げるんです。これにこりて、次からは
虫歯にならないように気をつけてくださいね。」
「もう手遅れです…。」
「大丈夫、まだ手遅れじゃなりませんよ。」
「……?」

「キエルハイムさん、診察室にお入りください。」
「さ、キエルお嬢様の番ですよ。」
「うっ、うぅ…。」
「大丈夫です。痛くありませんから。すみません。お嬢様は歯の治療が初めてなので
なるべく優しくしてあげてください。」
「ではキエルさんはムーンレィスですか?痛くないから大丈夫ですよ。」
「お嬢様、怖くありませんから。」
「は、はい…行って来ます。」
実際に治療が始まるとロランの言ってた1mのドリルなんて使われずに
痛みもほとんど無く治療も数分で終わりました。
わたくしはようやくロランに騙されたことに気づきました。


620:ディアナ様歯医者に行く 4/4
06/10/25 01:18:25
「もう!ロランのバカバカ!」
「痛い!痛いですよ、ディアナ様」
「何が『1mもあるドリルですか!?』わたくしが知らないのをいい事に嘘ついて!
他の歯が削られるだの、3日後には腐ってしまうだの、全部嘘じゃないですか!?」
「こう言えば少しは食生活を改めてくれるかと思いまして。
でも最後はちゃんと励ましてあげたじゃないですか?」
「最後だけじゃないですか!?わたくしが歯医者に行くのにどれだけの決心をしたことか!」
「すみません!本気で怖がるディアナ様があまりにも可愛かったもので。」
「やっぱりそんな理由で!もうロランなんか知りません!!」
「ごめんなさい。ディアナ様に虫歯の怖さを知ってもらうためとはいえ
やりすぎました。もう二度としませんから許してください。」
「本当にそう思ってますか?わたくしには反省の色が見えませんが?」
「このロラン・セアック。月の女王ディアナ・ソレル陛下に対して決して嘘は申しません。」
「さっきまで嘘をついていたじゃないですか!」
「…もしかして、本気で怒ってるんですか?」
「当たり前です!」
「…たしかに少々ふざけすぎました。本当にごめんなさい。」
「…今回だけですよ?」
「ありがとうございます。ディアナ様。」
「罰として、ケーキを買いなさい。」
「まぁ、そのくらいなら。」
「キースさんのパン屋さんの特製ケーキですよ。」
「そんなにお金ありませんよ!」
「…やっぱり許しません。」
「…じゃあ今回は特別サービスということで。でも、また虫歯になるんじゃないですか?」
「歯医者が痛くないと分かれば後は体重さえ気にすればいいことです。」
「はぁ、結局食生活は変えられそうもありませんね…。」
「そうと決まればドンキーのパン屋さんにゴー♪」
「わかりましたよ。」

ロラン、今日のことは復讐日記に記しておきますからね。


621:通常の名無しさんの3倍
06/10/25 02:17:32 az9na9eH
後日、チョップ(法の裁き)を喰らう事になるロランたん


622:通常の名無しさんの3倍
06/10/25 22:30:39
ほのぼの

623:通常の名無しさんの3倍
06/10/28 00:58:27
のほほん

624:通常の名無しさんの3倍
06/10/31 00:26:29
ぽかぽか

625:通常の名無しさんの3倍
06/10/31 17:03:45
   .., -ー-、.
  <___,-=◎=〉
i’ |-|*゚ー゚)| ニヤニヤ

626:通常の名無しさんの3倍
06/10/31 19:51:31
>>625
ずれてますよ

627:625
06/10/31 20:15:56
えろうすんませんですorz

628:通常の名無しさんの3倍
06/10/31 22:13:55
>>627
ディアナの法の裁きを受けたくなければ何かSSを書くのだw

629:通常の名無しさんの3倍
06/11/01 20:00:03
>>628
「えいっ」とかチョップなさるディアナ様萌え w

630:命の灯火 1/13
06/11/02 00:06:07
「おいしかったですね。ディアナ様。」
「そう言っていただけると頑張った甲斐がありますね。」
ロランは今日で20歳の誕生日を迎えました。
このあたりは今の時期でもかなり寒くなりますが
雪が降り積もるほど気温が低くなることは滅多にありません。
わたくしは寒いのが苦手なのですが
ロランの誕生日に雪が降り積もり、一面が銀色の美しい景色を見ると
まるで神様が祝福でもしてくれているような気がしました。
わたくしは普段の感謝をこめて夕食はご馳走を作りました。
ロランの料理の腕には及びませんが、それでもわたくしの料理の腕を考えれば
大成功と言えるほど美味しくできたと思います。
「ロランに誕生日のプレゼント、と呼べるほど出来が良くありませんが、
ロランに見てほしいものがあります。」
「ディアナ様が僕のためにプレゼントを?」
「はい。ケーキを作ってみたのですが、お口に合うかどうか…。」
「わざわざ作ってくださったのですか?ありがとうございます!
よろしければ持って来ていただけますか?」
「キッチンに用意してありますので、ちょっと待っていてくださいね。」
ケーキを取りにいこうとキッチンに向かおうとした時、わたくしの視界が突然歪み
まともに立っていることが出来なくなりました。


631:命の灯火 2/13
06/11/02 00:07:00
「……?」
「ディアナ様!!」
その時のわたくしには何が起こったのかを瞬時に理解することは出来ませんでしたが
次の瞬間にはロランがわたくしの体を支えてくれていたことは分かりました。
「大丈夫ですか?やはり無理をしすぎたのではありませんか?」
どうやらわたくしは疲労のせいかバランスを崩して倒れそうになったようです。
わたくしはロランに支えてもらいながら言いました。
「ごめんなさい。少し疲れただけですから…。」
「どうして倒れるまで何も話してくれなかったんですか?
また、入院することになったらどうするおつもりですか?」
「貴方には普段から頼ってばかりなのです。せめて今ぐらいは、
ロランに休んでもらいたいと思いまして…。」
「そこまで気を使ってくださらなくても良かったのに、
ケーキは僕が持ってきます。ソファで休んでいてください。」
ロランはわたくしを抱き上げるとソファに座らせてくれました。
「すみません。今日は貴方の誕生日だと言うのに。」
「謝らないでください。僕のために準備して下さったことでしょう?
感謝はしても、謝られる理由なんてありませんよ。」
ロランはそれだけ告げるとわたくしの代わりにケーキを取りに行ってくれました。
「ふぅ…入院か、あれから一月も経つのか…。」


632:命の灯火 3/13
06/11/02 00:07:58
1ヶ月前

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

わたくしは1ヶ月前に40度近い高熱と吐き気に襲われて月の病院で入院しました。
直接的な原因は疲労でした。しかしそれは、常人ならばそのようなことは
決して起こらないほど軽いものでした。
わたくしは月の女王として千年の時を生きてきました。
月にいたころは冬眠と共に行なってきた延命処置によって
健康面では不自由無く生活してきましたが
地球に降下して以来、延命処置は行なってきませんでした。
それでもしばらくは体内に残っていたナノマシンのおかげで
生活してこられましたが、いまのわたくしの体内のナノマシンはこの数年間で
ほとんど消滅しているらしいのです。その副作用が原因で体力、抵抗力が常人より衰えており
普通の生活を行なうには時間をかけて
少しずつ体力、抵抗力をつけていくしかないようです。
今回は1週間ほどの入院で良いそうですが、また無理をすれば、
今度は命の保障はできないというのがゲンガナムで治療を受けた結果でした。
医師たちはわたくしに延命処置を再び行なうように勧められましたが
それだけは頑なに断りました。

わたくしが倒れたと聞きつけて忙しい中キエルさんにハリー、そしてソシエさんが
駆けつけてくれたことはこんな状況でも嬉しく思いました。
特に、ソシエさんにはわたくしのせいで辛いことばかりさせてしまっていたので
申し訳ないという罪悪感もありました。

「ディアナ様、お体は大丈夫ですか?」
久しぶりに見たキエルさんは以前の美しさと気品を保ちながらも
女王としての威厳を一層身に付け、貫禄を感じさせられました。
「はい、おかげさまで。忙しい中わざわざ来ていただいてありがとう、キエルさん。」
「ロラン君、君にディアナ様を任せたのはこのような事態にならないためなのだぞ。
君がついていながらどうしてこんなことに…。」
「申し訳ありませんでした、ハリーさん…。」


633:命の灯火 4/13
06/11/02 00:08:55
ロランは申し訳なさそうに謝っていましたが、わたくしはハリーの言葉に反発しました。
「ハリー、ロランはよくやってくれています。今回の事態はわたくしの責任です。
ロランを責めるのはやめてください。」
「ですが…。」
「これから先もわたくしの傍にいて欲しいとロランに頼んだのはわたくし。
地球での生活で延命処置を断ったのもわたくし。そんな体で無理をしたのもわたくしです。
ロランには責任はありません。」
「はっ!…その、すまなかったな、ロラン君。怒鳴ったりして。」
「いえ、本当のことですから…。」
それでもロランはハリーに謝り続けていました。
ロランは責任感が強すぎるのでしょう。本来ならば彼に責任など無いはずなのに
それを自分の責任だと言い張るロランの姿に胸が痛みました。
「まぁでも、ディアナさんが無事でとりあえず一安心ね。
最初にロランから電話が来たときは何事かと思っちゃったし。」
「すみませんでした。ソシエさんがリリ様に連絡を入れてくださったおかげで
ディアナ様を月まで送ることが出来たんですから。」
「いいのよ、長い付き合いなんだし。あたしじゃなくてリリ様に
お礼を言った方がいいんじゃない?宇宙船の手配をしてくれたのはリリ様だし。」
ソシエさんもとても生き生きとしているように見られました。
今ではハイム鉱山を継いでキエルさんの代わりに経営を行なっているようです。
もし、わたくしがソシエさんの立場だったらここまで立ち直ることはできていなかったでしょう…。
「ロラン君。すまないが、医師たちがディアナ様の今後の
体調管理のことで話があるらしい。私が案内するからついて来てもらえないか?」
「わかりました。じゃあディアナ様。ゆっくり休んでいてくださいね。」
「頼みます、ロラン。」
「ディアナ様、わたしもまだ職務が残っていますので失礼させてもらいます。
明日、またお見舞いに来ます。」
「ありがとう、キエルさん。貴方も無理をしないでくださいね。」
「お気遣いありがとうございます。では、失礼します。
ソシエ。貴方とはなかなか会えないけど、たまには会いにきてね。」
「姉さんこそ、女王の仕事頑張ってね。」


634:命の灯火 5/13
06/11/02 00:09:53
3人がいなくなった後、病室にはわたくしとソシエさんだけが残りました。
いい機会だったのでわたくしはソシエさんにあるお願いをしました。
「実は、ソシエさんに頼みがあります。」
「どうしたんですか?改まって?」
「わたくしの命は、もう長くないのかも知れません。
わたくしが死んだその時にはロランのことをお願いしたいのです。」
「と、突然何を言いだすんですか!?」
ソシエさんは驚きを隠せないといった表情をしていました。
ソシエさんの反応は当然かも知れません。
「ごめんなさい。いきなりこんなことを話して驚くでしょうが…。
わたくしとロランの間には子供がいません。もし、今わたくしが死んだら、
ロランは一人になってしまいます。でも、ソシエさんにはわたくしと違って未来があります。
他の方では不安ですが、ソシエさんになら安心してロランを任せられます。
以前、ギャバンさんとの結婚を不純だと言ってソシエさんを非難し、
あげくソシエさんから最愛の人を奪った張本人であるわたくしに
本来このようなことを頼む資格があるとは思っていません。
ですが、この様な事態になったのも全てわたくしの責任でありロランに罪は無いのです。
わたくしのことは傲慢だと思っても結構です。自分勝手な女だと見下してくれてかまいません。
でも…わたくしが死んだその時にはロランのことを幸せにしてあげて欲しいのです。」
「……。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「どうされたんですか?」


635:命の灯火 6/13
06/11/02 00:11:00
「……。」
「…ディアナ様?」
「え!?あ…はい、なんでしょう?」
わたくしが月で入院したときのことを思い返していると、
既にロランはわたくしが作ったケーキをテーブルに置いて
ロランもわたくしの隣に座っていました。
「いや、呼んでも返事がなかったものですから。ケーキってこれですよね。」
わたくしが作ったバースデーケーキはスポンジの間にイチゴと生クリームを挟んで
回りを生クリームでコーティングしたものに小さい家の形をした
チョコレートが乗っかっているだけという代物です。
改めて見るとバースデーケーキと呼ぶにはお粗末なものだと思いました。
「そうです。たいしたものは作れませんでしたけど…。」
「そんなことありませんよ。綺麗にできていると思いますよ。」
ロランはそう言ってくれますが、お菓子を作るのが上手なキエルさんが作ればもっとおいしそうに
いえ、比べることさえ出来ないぐらいのものが作れたことでしょう。
そう考えると見た目はそっくりなのに現在月の女王であるキエルさんと
ロランの介護無しではまともな生活さえ出来ない今のわたくしを比べた時、
わたくしがキエルさんに勝っている点が一つも無いことに気づきました。
「…あの時は、迷惑をかけてしまってごめんなさいね。」
「あの時?…あぁ、1カ月前に月で入院した時ですね。いいんですよ。ディアナ様が悪いわけではありませんし、
ディアナ様と一緒にいられることが、僕の幸せなんですから。」
わたくしだって貴方が傍にいてくれるだけで幸せです。
できることなら、わたくしがロランを幸せにしてあげたかった。
もし、今わたくしの寿命が尽きるとするなら、それが出来ないことだけが唯一の心残りです。
「ロラン、もしわたくしが死んだら、貴方は貴方の幸せを探しなさい。」
「ディアナ様!何を仰るのですか!?」
わたくしはロランを宥めながら続けました。
「聞いてください。わたくしは、いつ死んでもおかしくないのです。
…貴方は、わたくしが死んだら、今度は貴方自身のために生きるのです。
わたくしのためではなく、貴方自身の幸せを見つけるために。」


636:命の灯火 7/13
06/11/02 00:11:56
「やめてください!縁起でもないことを言うのは…。」
「貴方には、迷惑ばかりかけてしまいましたね。こんなわたくしのために今日まで尽くしてくれて
本当にありがとう。地球と月の戦争も終わり、わたくしよりも優秀な後継者がいて、
わたくしの傍にはいつもロランがいてくれる。わたくしは、いつ死んでも悔いはありません…。」
今までのわたくしの人生を振り返ってみても
今のわたくしはこれ以上無い幸せを感じて生きていました。
『いつ死んでも悔いはない』
これは本心ではありませんでしたが嘘でもありませんでした。
わたくしは、この言葉でロランに感謝を伝えたつもりでした。
しかし、わたくしの思いとは裏腹に、この一言が
ロランに耐え難い苦痛を与える結果になってしまいました。
「…と仰らないでください…。」
「え?」
「『いつ死んでも悔いは無い』なんて…そんなこと仰らないでください!!」
「ロ、ロラン?」
ロランは激昂していました。
その普段のロランとはあまりにも違う姿を見たわたくしは驚きを隠せませんでした。
「ディアナ様はご自分が亡くなられた時、残された人たちがどんな思いを
するのか考えたことがあるんですか!?キエルさんだってソシエさんだってハリーさんだって、
もちろん僕だって…残された人がどれだけ辛いか、どれだけ悲しいか…。」
「…わたくしの死が、どんな思いをするか…。」
「人は、この世界に生きる全ての生き物は、いつか必ず死にます。それは分かっています。
だけど…だからこそ、人は後悔しないように精一杯生きているのではないのですか!?」
ロランは泣いていました。
わたくしはロランと知り合ってから彼が泣いたところなど一度も見たことはありませんでした。
ロランは跪きながらわたくしに懇願していました。
「お願いですから…お願いですから、そのようなことだけは仰らないでください…。
ディアナ様が死なれたら僕は…僕は…!!」
わたくしは…。


637:命の灯火 8/13
06/11/02 00:12:55
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「…わたくしのことは傲慢だと思っても結構です。自分勝手な女だと見下してくれてかまいません。
でも…わたくしが死んだその時にはロランのことを幸せにしてあげて欲しいのです。」
「…それは、あたしにだって無理です。」
「…ソシエさん!?」
「だって、ロランはこの世界の誰よりもディアナさんを愛している。あいつの一番の幸せなんて
ディアナさんと一緒に生きること以外ありえないの。少なくとも、あたしじゃ
ディアナさんの代わりはできない。あたしの思いなんて入り込む余地が無いほど
ロランはディアナさんのことが好きだった。そんなロランの想いに応えられる
ディアナさんが羨ましかった。…ディアナさんはさ、ロランのことをどう想ってるの?」
「どうって…今はもう月の女王ではないわたくしのために尽くしてくれてとても感謝しています。」
「そうじゃなくて!ディアナさんは一人の女として、ロランをどう想ってるのか?って訊いてるの。」
「え…その…それは…。」
「何?まともに答えることさえできないほど、ちっぽけな想いだったの?」
「…わたくしは、ロランのことを誰よりも愛しています。
この想いだけは、ソシエさんにだって絶対に負けません!」
「そう、それよ。」
「…え?」
「ディアナさんがロランを大切に想ってるのと同じように、あいつだって
ディアナさんのことが好きなのよ。だから、あいつの気持ちに応えてあげて欲しいの。」
「ロランの気持ちに応える?」
「ロランにとっての一番の幸せが何かを考えれば分かることよ。…あたしも、もう帰ります。」
「ソシエさん?待ってください!まだ話は終わっていません!」
「あたしの用事はもう済んだし、後はディアナさんが自分で考えてください。失礼します。」
ソシエさんはそれだけ言うと病室を出て行ってしまいました。
「ソシエさん…。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


638:命の灯火 9/13
06/11/02 00:14:26
わたくしはとんでもない思い違いをしていたのだと、今になって気づきました。
ソシエさんはわたくしにヒントをくれていたのに、わたくしは今まで気づきませんでした。
わたくしは、たとえわたくしが死んでもロランにはソシエさんがいてくれる。
キエルさんだってハリーだって生きているし、フランさんやキースさんだって生きている。
だからわたくしが死んでも、ロランはわたくしの死に囚われずに生きていける。
そう思っていました。でも、違ったのですね。
貴方はこんなにもわたくしを愛してくれている、大切に思ってくれている。
貴方にこんなにも愛されて、わたくしは本当に幸せです。
それなのに、わたくしはロランの好意を裏切ろうとしてしまったのですね…。
貴方の気持ちも考えずに、わたくしは…。
「ロラン…ごめんなさい、ごめんなさい…。」
ロランの嘆き悲しむ姿を見たわたくしはロランの手を取り、泣きながら許しを請いました。
「ディアナ様…。」
「わたくしは、貴方の気持ちも考えずにこんな馬鹿なことを言ってしまって…。
そのことで貴方がどれだけ苦しむかなんて…考えもしなかった。
ごめんなさい。本当にごめんなさい…。」
わたくしは床で跪いていたロランを抱き締めました。
ロランもまた、わたくしを抱き返してくれました。
「ディアナ様…僕は…。」
「ロラン、大好きです…。」


639:命の灯火 10/13
06/11/02 00:15:34
「…先ほどは大声で叫んだりして申し訳ありませんでした。」
「貴方が謝る必要なんてありません。悪いのはわたくしなのですから。でも、嬉しかった…。」
わたくしはロランの背中に回している手に力を入れました。
「?…どうしてですか?」
「ロランが、わたくしのことを大切に想ってくれているのが伝わりましたから。」
「あ…いや、その…はい…。」
「わたくし、もう二度と『いつ死んでも悔いは無い』なんて言いません。貴方と共に
いつまでも生きたいと思います。ロランと、ずっと一緒にいたい…。」
「僕もです、ディアナ様。」
そう言いながら、ロランもわたくしを強く抱き返してくれます。
「少しずつ、少しずつ体力を取り戻して、貴方の伴侶として、家事をこなしたい。
仕事もしたいです。わたくしはそんな未来を生きたい。」
「大丈夫です。希望を捨てないで、諦めなければ、きっとそうなりますよ。」
「そして、健康になったら…いつか貴方の子供を産みたい…。」
「そうですね、いつか僕と…ディアナ様の子供ですか!?」
どこからそんな声が出るのか?と思うほど高い声を上げながら
ロランは一瞬でわたくしから離れました。かと思ったらバランスを崩したらしく
尻餅をついて倒れていました。ロランは肝心なところで臆病なようですね。
「あら、女として最愛の人の子を産みたいというのはおかしなことではないでしょう?」
「い、いや、そそそうかもしれれませんけどど…子供を産むということは…その…あの…。」
「ロランは初心なのですね。そういうところが可愛いんですけど。」
「もう!からかわないでください!」
ロランの顔はこれ以上無いぐらい真っ赤でした。
ぜひ写真にして残しておきたいと思ったのは内緒です。
「子供も10人は欲しいですね。」
「…10人も産むつもりなのですか?」
「目標は高い方が良いでしょう?たくさんいた方が楽しい生活を送れると思いませんか?」
「そうですけど、大変ですよ。出産する体力をつけることも、子供を育てることも。」
「もちろん、わたくし一人では無理でしょう。でもロランがいるじゃないですか。
貴方がいてくれれば必ずうまくいきます。」
「いや、そうかもしれませんけど。」
「それとも、やはりわたくしには無理だと思いますか…?」
「…そんなことはありません!僕が精一杯、ディアナ様の手助けをします。
いつか必ず、10人の子供たちと生活できますよ!」
ロランは笑顔でそう答えてくれました。
貴方の優しさがわたくしには一番の活力になるような気がします。

640:命の灯火 11/13
06/11/02 00:16:37
「ケーキ、食べましょうか?」
「あ、そうですね。でもちょっと待ってください。」
そう言ってわたくしは、ポケットからこの日のために用意した
2本の蝋燭(ろうそく)を取り出しました。
「その蝋燭は?」
「20歳の誕生日ということで青と赤の2本の蝋燭を用意しました。」
わたくしは青色と赤色の二つの蝋燭をケーキに挿します。
「わざわざありがとうございます。でも、この蝋燭…。」
「蝋燭がどうかしましたか?」
「この生クリームといい、お菓子の家といい、そしてこの青と赤の蝋燭といい…。
なんだか今の僕とディアナ様みたいじゃありませんか?」
「…なるほど、それは思いつきませんでした。」
生クリームが雪の大地で、その雪の大地の上に小さな家があり、そこ住むわたくしとロラン、か。
この蝋燭がわたくしたちだとするなら、この2人はどんな毎日を
過ごしているのだろうか?周りには雪以外は何も無い完全に閉じられた世界。
そこには小さな家が一つあるだけで二人意外は存在しない世界。
でも、不幸ではない。幸せだろう。
愛しい人がいつも傍にいるのだから。この赤い蝋燭だって、きっと幸せだろう。
そう思うと胸が一杯になってきました。
「…アナ様…ディアナ様?」
「え?は、はい。」
「どうかしましたか?さっきからボーっとして。まさか、また熱でもあるんじゃないですか?」
「ね、熱なんてありませんよ!お気遣い無く!」
「でもお顔が真っ赤ですよ?ちょっと失礼…。」
「え?ちょっ!ロラン!?」
ロランはわたくしの頬を両手で抑えると、自分の額をわたくしの額に当ててきました。
ちょっとでも動けば口付けしてしまいそうな距離にあるロランの顔、
そしてその澄んだ瞳にわたくしは吸い込まれるような感じがしました。
わたくしは自分の脈拍が上がり体中が熱くなっていくのが分かりました。
頭の中が真っ白になってしまったわたくしは、指一本動かすことが出来ませんでした。


641:命の灯火 12/13
06/11/02 00:17:35
「…高熱ってほど熱があるわけじゃ無いみたいですけど、本当に大丈夫ですか?」
そう言いながらロランがわたくしから離れた時、ようやく声を上げることが出来ました。
「あ、貴方のせいです!!」
「?…そうなんですか?まあ大丈夫ならそれでいいんですけど。」
ロランは平然とそう言いました。わたくし、ロランに押されてる…?
先ほどまでわたくしの前で何も出来ずに顔を真っ赤にしていたあのロランを
目の前にして身動き一つとれなかったのかと思うと
わたくしも同じなんだと自覚し、嬉しいやら悲しいやら複雑な気分になり、
そんな自分自身がまた可笑しく思えてきました。
どうやらわたくしたちの間には問題が山積みのようですね。
「どうしたんですか?」
「いえ、わたくしも変わらないんだな、と思いまして。」
「はぁ、なんかよく分かりませんけど。じゃあ蝋燭に火をつけますね。」
ロランが蝋燭に火を灯したので、わたくしは部屋の明かりを消しました。
青と赤の蝋燭の炎は小さいながらもわたくしたちの周囲を明るく照らし出しました。
「ディアナ様、この蝋燭、こんなに力強く光っていますよ。」
この蝋燭たちは自分自身が強く光りながらもお互いを照らしあっているように見えました。
わたくしは、まず自分自身が強く光れるようにならなければならない。
そして、何かのきっかけで青い蝋燭の炎が弱まったときには、
青い蝋燭の分までわたくしが周りを明るく照らせるようになりたいと思いました。
「えぇ、綺麗ですね。わたくしもこの蝋燭のように力強く光りたい。」
「できますよ、ディアナ様なら。そして、いつか小さな10本の蝋燭たちも
立てられると思います。」
「そうですね。そのためにも頑張らなければなりませんね。」
「僕もお手伝いします。では、火を消します。」
そう言ってロランは蝋燭の火を勢いよく消しました。
「ロラン、誕生日おめでとう!」
わたくしは精一杯の感謝と思いをこめて伝えました。
部屋の明かりをつけた時に恥ずかしそうに照れていたロランの笑顔が印象的でした。
「ありがとうございます、ディアナ様。でも、この蝋燭に息を吹きかけたのはもう一つの意味もありますね。」
「もう一つの意味?」
「蝋燭の炎が消える時は…二人一緒です。」
「ロラン…はい…。」
わたくしはロランの言葉に目頭がまた熱くなってしまいましたが
笑顔で答えたかったわたくしは、なんとか涙を堪えました。

642:命の灯火 13/13
06/11/02 00:18:38
その後は2人で楽しくケーキを頂きました。
味には自信がありませんでしたが、今までで1番美味しいケーキでした。
「でも、今は2人だからいいですけど10人も子供がいたら
ケーキを12等分しなければいけなくなりますね。」
「子供がたくさんできたらキースさんのパン屋さんで大きなケーキを作ってもらいましょう?
3年前の舞踏会で出てきた地球と月のケーキぐらいの大きなケーキを。」
「そんな大きさのケーキを食べたら、いくら12分割でも太りますよ?」
「体力の基本は食事だから良いんです。いっぱい食べて体力をつけるんですから。」
「じゃあ明日からは辛いものが嫌だとか生臭いものは嫌いとか駄目ですからね。」
「え!?いや、それは…。」
「お母さんになるんでしたら、好き嫌いなんかしないでくださいね。
それから、今日はそれ以上ケーキを食べちゃ駄目です。明日にしましょう。」
ロランは残ったケーキを取り上げながら言いました。
「…ロランはいじわるですね。」
「誰のためだと思っているんですか?はぁ…。
これでディアナ様みたいな子供が10人も生まれたら大変だな…。」
「ロラン。今何か失礼なことを言いませんでしたか?」
「気のせいですよ、気のせい。」
「…なんか納得いきませんね…。」

今のやりとりだけを見た人がいるなら、わたくしたちを不幸だと思う人はいないでしょう。
だからこそ、わたくしは不安に襲われる時があります。
わたくしは、後どれだけ生きていくことができるのだろうか?
未来は誰にも分からない。わたくしだけでなく、ロランだってもしかしたら
明日死んでしまうことだって有り得るのですから、わたくしがいつ死ぬかなど分かるはずありません。
でも、もしわたくしの寿命が短命であったとしても、努力することでそれを先伸ばすことはできます。
だから、ロランの想いに応えるためにも、わたくし自身のためにも生き続けたいと思います。
あの赤い蝋燭のように、輝き続けられるように。
青い蝋燭の炎が消えるその時まで、共に輝いていられるように…。

ロラン、これからもよしなに。


643:通常の名無しさんの3倍
06/11/02 00:26:26
よしなにGJ

644:通常の名無しさんの3倍
06/11/02 00:30:30
泣いた

645:通常の名無しさんの3倍
06/11/02 03:58:55
GJ!

なんかロランとディアナと子供の話とか見たくなった

自分で作ってみるかな


あと気になったんだがキエル別荘での暮らしを支えてる収入はどこから?気になるぜ

646:630-642
06/11/02 21:50:14
>>643-645
レスどうもです。

>キエル別荘での暮らしを支えてる収入はどこから?
今回の場合に限り、ディアナ様の介護のためロランは外に働きにいけないので
事情を知っているキエル嬢とリリ様から生活資金を支援してもらっている
という設定にしています。

647:age
06/11/04 23:06:16
age

648:通常の名無しさんの3倍
06/11/04 23:07:01
前にSSでハイム家の運転手やってるらしいことがソシエの口から出た気が・・・




気のせい?

649:通常の名無しさんの3倍
06/11/05 18:23:13
>648
ロランの仕事(収入源)はSS職人さんによって違う。
ディアナ様がアルバイトするSSもあった。
それらも含めて楽しむのがよしなに日記。

650:通常の名無しさんの3倍
06/11/05 23:40:39
ディアナ様のアルバイトか。
以前ウェイトレスのバイトをしたのとかあったな。
ディアナ様萌えスレのほうにあったSSだと…まあ色々あった。

651:通常の名無しさんの3倍
06/11/07 20:36:01
表向きハイム家の長女だからハイム鉱山の収入から賄えるんじゃ。ソシエに遠慮して
その援助を断ってるかも知れないか・・・

652:通常の名無しさんの3倍
06/11/07 23:30:17
エピローグでのロランとディアナ様の生活でディアナ様が不健康だから
ソシエが生活資金を援助してくれるっていうならそれを受け入れると思うな。
むしろその好意を断ったりしたらそれこそ失礼なような気もするが…。

でも、2人が健康で普通に働いて生活してるなら誰からの援助も受けなさそう。

653:通常の名無しさんの3倍
06/11/11 17:46:15
保守するんですよーっ

654:小ネタ 1
06/11/12 23:33:19
雪の降る夜、ソシエと別れた車の中での2人

「ソシエさん…辛そうでしたね…。」
「…そうですね…。」
「ごめんなさい、ロラン。わたくしなんかのために…。」
「違いますよ、僕が自分で決めたことなんですから。ディアナ様の責任はありません。」
「…そう言えば、これからわたくしたちが暮らすコテージはどんな所なんでしょうか?」
「山の中にある小屋で緑にあふれた場所らしいです。僕も直接見に行った
わけではありませんが、近くにある湖がとっても綺麗なんですよ。」
「それは楽しみですね。」

それから車で移動すること数時間

「地図によると、このあたりなんですが…あ、あれですよ!」
「あれですか…。」
「はい、ね?綺麗なところでしょう?」
「それはそうなんですが、でも…。」
「でも?」



「ずいぶんこじんまりとしたコテージですね。」



「…へ?」
「中は…嘘でしょう?5つしか部屋がありませんよ!暖房器具は居間にしかありませんし、
しかも何故かコタツだし!2階でさえありませんし!」
「……。」
「ベットは安物もいいところだし、ベランダは狭いし、他にも…。」
「……(さすが月の女王様…。う~ん、選んだ人を間違えたかな?)。」

655:小ネタ 2
06/11/12 23:34:37
衣替えをしていたある日

「あら?このドレスは…。ロラーン!」
「どうかしましたか?…あ!その衣装は!!」
「覚えてますか?貴方が舞踏会で着たときのドレスですよ。」
「何でこんなものがまだ残っているんですか…?」
「わたくしは知りませんよ。こっちに引っ越すときの荷物にまぎれていたんじゃないですか?」
「懐かしいと言えば懐かしいですけど…女装したときの衣装ですからね…。
見て嬉しいものではないですね。」
「そうですか?綺麗な衣装じゃないですか。これ、わたくしが着たら似合いますかね?」
「え?そのドレスを着るんですか?」
「捨ててしまうのももったいないですし…。ちょっと待っててくださいね。」

5分後

バタン!

「うわっ!ビックリした!!あれ?着替えたんじゃないんですか?」
「ロラン…。お腹を出しなさい…。」
「…へ?」
「今すぐ、服を脱いでお腹を出しなさい!!」
「は、はい!」
ロランに服を脱がせると巻尺を取り出すディアナ様。
「あの…いったい…。」
「動かないで!ウエストのサイズ…58センチ!…58センチ、58センチ…。」
「あの~…ディアナ様??」
「…ぐすっ!うわぁぁぁん!!ロランのばかーーー!!!」
そう言ってローラの衣装を投げつけるディアナ様
「ディアナ様!」
「いいんです!わたくしが悪いんです!わたくしが運動もしないで食べて寝てばかりだったから!
でも、でも…この傷つけられた乙女心はロランには分かりません!!」
「どうしたんです!?何があったんですか!?」
「放って置いてください!!わたくしはランニングに行ってきます!!夕食もいりません!!!」
そう言って逃げるように外に行ったディアナ様。
「…どうしちゃったんだろう…ディアナ様。」


656:小ネタ 3
06/11/12 23:36:39
食事の準備をしているロラン

「ううっ…。寒いですね。ロラン、今日は何を作っているのですか?」
「今日は寒いのでおでんにしようと思っています。」
「おでん?どんな料理なのですか?」
「元々はエイジアの料理で大根や卵を鍋で煮込んで食べるんですよ。」
「それはおいしそうですね。…はぁ、それにしても寒いですね。」
「これからもっと寒くなるんですよ。大丈夫ですか?」
「どうしてこの間ストーブを出しておいてくれなかったんですか?」
「まさか今日こんなに寒くなるとは思わなかったんですよ。
もう少しでできますから我慢してください。」
「我慢できそうにありません…。そうだ!」

ピタッ

「暖かい♪」
「…なにしてるんですか?」
「抱きついてます。」
「そんなのわかりますよ!」
「行かないで、貴方!」
「なんのドラマですか…。これじゃ料理が出来ませんよ。」
「気合で頑張ってください。」
「無理ですよ!お願いですから離れてください。」
「ロラン、貴方はいつから女王に口出しできるほど偉くなったのですか?」
「…ずるいですよ、ディアナ様…。」
「ほら、頑張れ頑張れ。」
「くっ!切りずらいっ…。あっ!」

ブシュ!

「っっっっったぁぁぁ!!」
「ロラン!!大丈夫ですか!?すぐに救急箱を持ってきます!」
結局指を切ってしまったロラン
「お願いですから、台所でふざけるのは辞めてください。危険なんですから。」
「はい…ごめんなさい。」

刃物の扱いには気をつけましょう。


657:通常の名無しさんの3倍
06/11/13 18:03:59
ディアナ様ワラタ

658:通常の名無しさんの3倍
06/11/15 06:43:03
とてもおもしろい

659:ディアナ様の幸せ 1/6
06/11/15 22:41:44
ある晴れた日の午後

ピンポーン♪

「あら、お客様ですか?」
「こんなところまでどなたでしょうね?ソシエさんが遊びに来たのかな?」
玄関に向かうとそこにいたのは
「ごきげんよう、かつての大戦の英雄ロラン・セアック。そして、月の女王ディアナ・ソレル閣下。
いえ、元女王と言った方が正しいかもしれませんわね。」
「あ、貴方は…。」
「リリ・ボルジャーノ様!?」
「と、とりあえず中へどうぞ。」

「…久しぶりにお会いしたのに、お二方とも変わりませんわね。」
「このようなところまでわざわざご足労頂いて。本日はどのような御用でしょうか?」
「別に用があって来たわけではありませんわ。キエルと2人で今後のことを話したときに、彼女が
『ディアナ様とロランは今頃どうしてるのでしょう?』
なんて言うものですから私が直接見に来たというわけですわ。
それと、ロラン。これ、お土産のココアなんですけど、せっかくですから
いれていただけませんか?」
「あ…はい、わかりました。」
そう言ってリリ様が持ってきたココアを持ってキッチンへ向かうロラン。
「そうですか、キエルさんがそんなことを。」
「まだまだ問題は山積みですからね。今後のムーンレィスの地球移民。
それに伴う領土問題、食糧問題。戦争が終わって未だ続く地球人とムーンレィスの小競り合い。
月では月で問題があるようですし、大変ですわ。」
「は、はい…。それは本当にご苦労様です。」
「それに比べて、ディアナ様が羨ましいですわ。私だって休日らしい休日なんて20日ぶりですし、
キエルも寝る間も惜しんで公務に勤めてますし、ハリー大尉も一時も離れずに女王の警護をしているとか。
それと比べて殿方と一つ屋根の下でのほほんと暮らしている
ディアナ女王様が羨ましいことこの上ないですわ。」
「うぅ…相変わらずリリ様は手厳しいですね。」


660:ディアナ様の幸せ 2/6
06/11/15 22:43:01
「…で、実際のところどうなのです?」
「…何がですか?」
「何がって、彼との生活はどうなのです?」
「どうと言われましても…ロランはとても良くしてくれています。」
「そういうことではなくてですね、…彼とはどこまでいったのです?」
「え!?その…。」
「お子さんの予定とかあるのかしら?」
「いえ、わたくしたちは…。」
「あら、お二方とも子供はお嫌いでしたかしら?まぁ2人だけの
生活も良いとは思いますけれど。」
「いえ、そうではなくて…。その…まだ…。」
「…ま、まぁそうですね。物事には順序というものがありますし。
でも、キスぐらいはしたのでしょう?」
「いえ、その…あの…。」
「…へ?」
「わ、わたくしとロランは別にそのような関係ではないので…。」
「嘘…本当に?その手の話は全然無し?」
「はい…。」
「こんな何も無い山の中に若い男女が2人だけで暮らしてるのに?」
「そうです…。」
「……。」
「そ、そこで沈黙されるとすごく辛いんですけど…。」
「あ…ご、ごめんなさい。いや、奥手な方だろうとは思ってましたが
私の予想を超えていたものですから…。」
「……。」
「…向こうからそういうアプローチを受けたことってあるのですか?」
「いや、特にそのようなものを受けたことはありませんけど。」


661:ディアナ様の幸せ 3/6
06/11/15 22:44:15
「……(よく彼も我慢していられるわね。
もしかして、本当にロランじゃなくてローラなのかしら?)。」
「…リリ様?」
「あ、ごめんあそばせ。ディアナ様はこのままで良いのですか?」
「…別にわたくしは今の生活でも十分幸せですし、
でも、もしロランがそれを望むのなら、わたくしはかまわないとは思ってますけど…。」
「もう一度聞きます、本当にこのままで良いのですか?」
「は、はい…。」
「はぁ、それでは駄目なのです!いいですか?男が女を、女が男を求めるのは
自然の摂理なのです!黒歴史が始まる前からあったことなのですよ!?」
「そ…そうですけど…。」
「…彼の性格上向こうからの誘いは絶望的なのですからディアナ様が誘わないと。」
「ですけど…。」
「このままですと、50年経っても進展がありませんよ?」
「50年…。」
「えぇ、他の皆さま方は子供や孫に囲まれてるのに
未だに二人しかいないこの家の50年後が手に取るようにわかります。
それでもよろしいのですか?それがディアナ様のお望みなのですか?」
「…さすがにそこまで考えたことはございませんので…。」
「一度、きちんと考えた方がよろしいと思いますよ、お互いのためにも。」
「…はい。ご忠告、ありがたく承りました。」
「どういたしまして。」

「大変お待たせしました。リリ様から頂いたココアをお持ちしました。」
「ご苦労様。しかし、貴方も罪な人ですね。」
「…どういう意味です?」
「それが分からないから、罪な人だというのですよ。」
「??」


662:ディアナ様の幸せ 4/6
06/11/15 22:45:36
リリ様が帰られてからお風呂にて

(ふぅ、疲れが取れますね…。)

「彼の性格上向こうからの誘いは絶望的なのですからディアナ様が誘わないと。」
「このままですと、50年経っても進展がありませんよ?」
「一度、きちんと考えた方がよろしいと思いますよ、お互いのためにも。」

(リリ様はあんな風に仰られてましたけど、わたくしだって
どうしたら良いものか…。でも、今は良くてもたしかにずっとこのままというのは
寂しいかもしれませんね…。)

ガチャ

「ふぅ、今日も疲れって…………。」
「ロ、ロラン!?」
「!!うわー!!すみません間違えましたごめんなさいーー!!」

バタン!

「……。」
(あれではロランに期待はできませんしね。なにか良い方法は無いものでしょうか…。
そうだ!あれがあるじゃないですか!)

お風呂から出た後

「本当に申し訳ございませんでした!!考え事をしていてディアナ様が
入浴していることに気づきませんでした!!」
「そのことはもう良いのです。それより、ロランに頼みがあります。」
「はい、ディアナ様の頼みでしたらなんでも致します。」
「そんなに畏まらないでください。貴方がお風呂から出たら、
わたくしとお酒を付き合っていただけませんか?」
「お酒ですか?珍しいですね。どうしたんですか?」
「なんだか急に飲んでみたくなりまして、一人で飲むよりは
ロランと一緒に飲んだほうが楽しく飲めそうですし、よろしいですか?」
「そんなことでよろしければ、お付き合いさせていただきます。」
「じゃあロランはお風呂に入ってください。その間に準備をしておきますから。」
「分かりました。」
(お酒を使うのは少々卑怯なのでしょうけど、こうでもしないとね。)

663:ディアナ様の幸せ 5/6
06/11/15 22:46:40
「じゃあ乾杯といきましょうか。」
「はい。頂きます。」
「ロランはお酒は強いのですか?」
「分かりません。いつもお酒飲むと記憶が無くなっちゃってるんですよね。」
「そうなんですか、まあこれからわかりますよ。」

30分後

「ロランはお酒に強いようですね。」
「そんなことありませんよ。もう頭が回ってませんもん。」

さらに30分後

「ははは、おいしいれすね。ディアナ様もいかがれすか?」
「わ、私はもう結構です…。ロランもそろそろ辞めておいた方が…。」
「何言ってるんれすか。まだまだこれかられすよ。」

さらに1時間後

「…なんですよ、うぅ。ソシエお嬢さんは本気で叩くし
グエン様もローラローラうるさいし…僕はローラじゃないってのに!!うぅ…。」
「ロラン、これで涙を拭いてください。」
「ずびばぜん、ディバナざま。うぅ…。僕だって、僕だってムーンレィスなんですよー!」
(はぁ、どうしてこんなことに…これじゃ当初の予定と全然)
「ディアナ様!!ちゃんと聞いてるんですか!!!」
「は、はい!ちゃんと聞いてますよ!!」
「…でね、きえるおじょーさまだってほんとーは…」
「……。」


664:ディアナ様の幸せ 6/6
06/11/15 22:48:28
さらに1時間後

「zzz…。」
「…ふぅ。やっと眠ってくれた…。見事に失敗しましたね、はぁ…。」
「う~ん…。ディアナ様…。」
「え!?」
「zzz…。」
「なんだ、寝言ですか…。」
「ふふ…。」
「?」
「ディアナ様…れからも、一緒に…。ずっと…緒に…。」
「ロラン、貴方…。」
「zzz…。」
「うふふ、当初の目的とは違っちゃいましたけど、可愛いから許してあげます。」
(でも、このままだと風邪を引いてしまいますね。でもわたくしの力では
ロランを寝室に運ぶことなんてできませんし…。布団を持ってきましょうか。)
ロランのために布団を用意してロランを起こさないように
布団に寝かしつけるディアナ様。
「これでよしっと。」
「zzz…。」
「寝てるときに無理矢理というのは卑怯ですよね、でも…。」
ロランの布団の中に入るディアナ様
「このくらいならバチは当たりませんよね、ロラン?」
「zzz…。」
「ロランの抱き枕…温かい…。
おやすみなさい、愛しいロラン。これからもよしなに。」
「zzz…。」

次の日の朝、にわとりの鳴き声よりも早い時間に
ロランの大声が山のふもとまで聞こえたとか聞こえなかったとか。


665:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 01:17:14
ロラン!俺と代われぇ!

666:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 12:31:37
よしなに

667:通常の名無しさんの3倍
06/11/16 18:04:25 EflE7zYm
よしよしなになに

668:zash
06/11/16 22:28:07
ナニが良し

669:通常の名無しさんの3倍
06/11/18 23:55:57
よしなに

670:通常の名無しさんの3倍
06/11/19 02:47:16
よちなに

671:通常の名無しさんの3倍
06/11/19 13:50:44
ロランの日記

○月×日

朝、いつまでたってもディアナ様が起きてこられない。まぁそれは何時ものことだったので、ディアナ様の部屋にいったら
既に目を覚まされていたようだったんだけど『入ってこないでください!!』と部屋の中から叫ばれていた。声からして、
なにか尋常でないことを悟った僕は無理矢理部屋に入ると…そこには確かにディアナ様がいた。でも、ディアナ様は
僕の知っているディアナ様じゃなかった。 豊満なバストも、抑揚のあるボディラインも消えうせた…幼い少女がそこにいたんだ。
…なんだか文章を書いていたら、また頭の中が混乱してきた。明日、もう一度状況を整理してみようと思う。

672:通常の名無しさんの3倍
06/11/19 22:09:01
ロリ娘ディアナ様ハァハァ

673:通常の名無しさんの3倍
06/11/20 20:06:49
実はロランの願望に、ナノマシンが反応したのか?!

674:通常の名無しさんの3倍
06/11/21 15:45:34
ああーあれかキスしないとどんどん若返る病気だな

675:通常の名無しさんの3倍
06/11/21 18:07:24
  .., -ー-、.
 <___,-=◎=〉
 i’ |-|*゚ー゚)|  ヨチナニ
 ゝ,|,.|つ円こllつ
 (⌒).,_,.⌒^) 

     川   ぼいんっ
   ( (  ) )

676:通常の名無しさんの3倍
06/11/22 00:25:32
      .., -ー-、.
     <___,-=◎=〉
     i’ |-|*゚ー゚)|  ヨチナニ
     ゝ,|,.|つ円こllつ
     (⌒).,_,.⌒^) 
≡ヘ( `Д)ノ
≡ (┐ノ  ディアナ様げっと!
≡  /


677:通常の名無しさんの3倍
06/11/22 01:25:08
             ノ∩
           ⊂>>676
            /( 。A。 )っ
            U ∨ ∨
   __    ・@;∴‥
  //ヽヽヽヽ∩  :: :.
  川 ´∀`)/  :: :: <ディアナ様はわたしません!
  (つ 》 》/  :: :'
  人⌒l ノ  :: ::
  し(_)


678:小ネタ 4
06/11/22 01:34:52
「さて、朝食の準備もできたし、ディアナ様を起こしに行くか…。」
ディアナ様の寝室のドアの前でロランの見たものは



『ただいま冬眠中。起こしたものにはディアナの法の裁きを受けていただきます。』



「はぁ…昨日の夜、一生懸命何を作ってるのかと思えばこんなものを…。」
一つため息をついた後、勢いよくドアを開けるロラン
「ディアナ様!朝ですよ!起きてください!」
「…うぅ…。」
「ほら、朝ですよ!朝食が冷めてしまうので早く起きてください!」
「…ドアの前の札が読めなかったのですか?今女王は人工冬眠に入っているのです。
邪魔しないでください…。」
「馬鹿なこと言ってないで、起きてください!!」
無理矢理布団を引き剥がすロラン。
「寒いです…。寒い…。」
「ほら、早く起きて着替えてください。今日もいい天気ですよ。」
「天気はどうでもいいので後5分だけ寝かせてください…。」
「駄目です!言うこと聞かないと朝食抜きにしますよ!?」
「わかりました…。着替えますから部屋を出てください。」
「最初からそうしてください。下で待ってますから。」
そう行って部屋を出て行くロラン。
「…後5分だけ寝させてもらいましょう。」
…結局そのまま眠ってしまうディアナ様。
数分後にどこからともなくシンバルを取りだしたロランが寝室に向かったとか。


679:小ネタ 5
06/11/22 01:36:48
ロランたちの住む小屋に遊びに来たソシエとの3人の様子

「この家って暖炉があるのね。初めて見たわ。」
「ディアナ様の強い要望がありまして、この小屋の完成間際に急遽作ってもらったんです。」
「へ~。どうしてディアナさんは暖炉が欲しかったの?」
「だって暖炉には煙突があるでしょう?煙突がないとサンタクロースさんが
入ってこれないじゃないですか?」
「…は?」
「……。」
「もうすぐクリスマスですよね。プレゼントには何をお願いしましょう?」
「…ひそひそ(ねぇ、ディアナさんって、もしかしてサンタクロースが本当にいると思ってるの?)。」
「…ぼそぼそ(そうみたいなんですよ。本当のことを言おうと思ったんですけど
ディアナ様の嬉しそうな顔を見ると言うに言えなくて…。)。」
「…ひそひそ(馬鹿ねぇ…。信じたままでプレゼントが貰えなかったら
それこそ本人が傷つくだけなのよ。それでもいいの?)。」
「ぼそぼそ…(僕も少しは貯金がありますので、そんなに高いものじゃなければ
なんとかなるとは思ってるんですけど…。)」
「何がいいかしらねぇ…。ダイヤの指輪、じゃあ夢がありませんし…。
一面のお花畑とか良いかもしれませんね…。地球と月の平和とかも良いですね!」
「…ぼそぼそ(既にプレゼントって次元のものじゃないわよ?)」
「…ひそひそ(最低ラインがダイヤの指輪なんて…僕はどうしたらいいんですか?)。」
「ロランは何か欲しいものとかあるのですか?」
「え!?い、いや…。僕はディアナ様やソシエさんが健康でいてくれれば…。」
「ロランは無欲ですね。クリスマスまでに欲しいものを考えておきましょう♪」
「…ぷくく(あたしは知らないわよ。頑張ってね、ディアナさんのサンタクロラン。)。」
「…しくしく(はぁ…。僕はどうしたらいいんだろう。)。」


680:小ネタ 6
06/11/22 01:38:42
「…ところでさ、なんでこの家ってテレビが2台あるの?」
「…色々あったんですよ。」
「はい…あの時のロランは忘れもしません。」
「どういうこと?」
「以前なんですけど…。」

テレビが一つしかなかったころ

「今日はついにドラマ『千年の恋』の最終回なんですよ!?
千年間、愛する人を想い続けてきた悲劇のヒロインがその生まれ変わった人を失って、
絶望しているところに主人公の男の子がどうするのか?この二人の恋の行方は?
ついに今日決まるのです!これを見ないわけにはいきません!」
「いいや、特番の『衝撃!黒歴史の真実に迫る!』です!いままで禁忌とされていた
黒歴史の真実を徹底的に明かそうと製作スタッフが1年の年月を掛けてきたものなんです。
これを見ないわけにはいきません!」
「ロラン!貴方は女王に逆らおうというのですか!?」
「今はもう女王ではないでしょう!?そんなことでは譲れません!」
「ならばチェスで勝負をつけましょう!勝ったほうが見たい番組を見る!!」
「その勝負、受けましょう!」

こうしてみたいテレビ番組を掛けてチェスで戦うこと3時間

「これで…チェックメイトです!」
「そんな…千年の恋が…愛の行方が…。」
「さぁて、テレビテレ…あぁ!!」
「…うぅ…恋の行方が…って、どうしたのですか?」
「…勝負に集中しすぎて、時間を忘れてました…。」
「そういえば…わたくしのほうも終わっているようですね。
仕方ない、3日後にやる再放送で我慢しますか…。」
「そんな!僕の方は今日限りだったのに!!だったら譲ってくれてもいいじゃないですか!?」
「分かっていませんね。ドラマと一緒にパソコンで実況chで他の人と
泣き、悲しみ、笑うのが良いんじゃないですか?」
「そんな、僕は…。うあぁぁぁぁぁ!!!」

「…それからはそんなことが無いようにとテレビをもう一台買ったわけなんです。」
「あのときの悲しみを僕は忘れません!過ちの歴史は繰り返してはいけないんです!!」
「…どっちも馬鹿じゃない?」


681:通常の名無しさんの3倍
06/11/22 23:52:11
よしなにうむ補充完了

682:通常の名無しさんの3倍
06/11/23 17:31:26
ユニヴァース!!
ユニヴァース!!

683:通常の名無しさんの3倍
06/11/25 19:45:33
スレリンク(x3板)l50
よしなに

684:通常の名無しさんの3倍
06/11/25 23:41:42
>>683
ローラに投票すればいいんでしょうか

685:通常の名無しさんの3倍
06/11/26 05:46:45
よしなに

686:通常の名無しさんの3倍
06/11/26 14:49:54
∀ガンダムキャラ人気投票で一位を獲得したディアナ様なら何とかなる

687:時の人、ローラ・ローラ 1/5
06/11/26 23:33:47
ビシニティまで買い物に来ていた二人。

「今日もいっぱい買いましたね。」
「普段は町まで来れませんからね。せっかくですから本屋によってもよろしいでしょうか?」
「良いですよ。何か欲しい本があるのですか?」
「特に欲しい本があるわけじゃないですけど、なかなか本屋にも来れないので
何かめぼしい本はないか…あっ、この本は!」
ロランが一冊の本を手に取る。
「この雑誌がどうかしたのですか?タイトルは…『大戦の記録』?」
「フランはご存知ですよね?以前今回の戦争を本にして纏めたいと
言ってたんですが、これがそうなんですよ。」
「そうだったんですか。どれどれ…。」
その雑誌にはミリシャとディアナカウンターの戦争の経緯、
戦争をした兵士の写真、戦争で逃げ惑う人々、
カプルやボルジャーノンといった機械人形の説明などが掲載されている。
そして…。
「この記事、ロランのことじゃないですか?」
「そうですね。…なんだか恥ずかしいな…。」
そこには∀ガンダムのパイロットであったローラ・ローラの舞踏会での写真や
∀の戦闘の写真が掲載されている。
「でも、どうしてロランじゃなくてローラの名前なのでしょうか?
フランドールさんは貴方の知り合いでしょう?」
「僕がフランから取材を受けたときにローラの名前にして欲しいって頼んだんです。
僕は有名になったりするのって好きじゃないですし、以前新聞に掲載された時も
ロランじゃなくてローラにしてくれましたし。」
「なるほど、フランさんの計らいですか。他にも似たような雑誌がいくつ…。え…これは…?」
「…どうされたんですか?」
「あの、この雑誌…。」
そう言ってディアナ様が手に取っていたのは
「この雑誌がど…『月刊ローラ・ローラ12月号』!?」
そこにはドレスを着たローラが表紙の雑誌が一冊だけある。
「ど、どんなことが書いてあるんでしょう?」
「嫌な予感が…。」


688:時の人、ローラ・ローラ 2/5
06/11/26 23:35:11
ディアナ様が1ページ目を読み上げる。
「えっと、
『地球と月の戦争から早一年。今回の戦争で町は焼かれ、
多くの人が血を流した。戦争当初は停戦協定によりイングレッサ領を除けば被害はほとんど無かったが
かつてのイングレッサ領のミリシャを率いていたグエン・サード・ラインフォード卿
がギンガナム軍と地球に降下してから状況は一変。アメリアは戦火に飲まれた。
かつて無い大戦によって誰もが絶望する中で、この戦争に終止符を打ったのは
ローラという名のムーンレィスの少女だった。
戦争終結後には完全に表舞台から姿を消してしまった彼女だが、
そんなローラを知った人々は『平和の女神』として崇める者も多く、数多くの伝説を残している。
そんな多くの謎を残すローラ・ローラの真実に迫る。』
…だそうです。」
さらにディアナ様がページをめくると舞踏会でのローラの写真や
建国宣言でのローラの写真が掲載されている。
「この本はどちらかというと戦争よりもローラその人を中心に載せていますね。
読者の感想まで載っていますよ?」
「…どんなのがあるんですか?」
「14歳の女性の方から。
『ローラさんって本当に美しい。私もいつかローラさんみたいになりたい!』
41歳の女性の方からは
『今回の戦争が伸びていたら私たちの家族の誰かを失っていたかもしれません。
ローラさんには本当に感謝しています』
20歳の男性の方から、
『ローラはなんで私の側にいようとしないのだ!私は、私は!ローラ!!』
他には…。」
「もう結構です…。なんだか、頭が痛くなってきました。」


689:時の人、ローラ・ローラ 3/5
06/11/26 23:36:50
そう言って本を置くディアナ様。
「ロラン、大丈夫ですか?」
「はい、はい…大丈夫です。でもあんな本買う人がいるわけ」
そんな僕たちの前に若い男女がやって来て、
「おい!見てみろ!『月刊ローラ・ローラ12月号』があったぞ!」
「マジ!?やったじゃん!!10件以上回って見つかったのここだけだよ!速く買おうよ!」
「あぁ俺たちは運がいいな。オークションで定価の数十倍の値段で買う奴もいるのに!」
「今じゃ老若男女問わず大人気だもんね~。早く買おう!!」
そんな男女のやりとりを見た2人は
「どうやら今の男女のやりとりから見て、ローラ・ローラは時の人のようですね。
わたくしが女王の時でもあそこまでの人気はありませんでしたよ。」
「……。」
「落ち込んでますか?」
「…あたりまえでしょう…。僕は男なんですよ…。」
「…帰りましょうか。今夜はわたくしが食事の準備をしますから。」
「すいません、ディアナ様。お願いします…。」

落ち込むロランをディアナ様が慰めながら車まで向かっていると…。

「ロラン、今気づいたのですけど、なんだかローラと同じ
ファッションをしている人が多くありませんか?」
「ディアナ様もそう思いますか?僕の銀色の髪なんてそうあるものじゃないのに
髪型も、服装も、肌の色まで同じ格好の人がこうゾロゾロいると…。嫌でも目に付きますよ。」
「しかもあれ…。ローラの銅像ですよね?」
商店街の中心地にはローラの像が建っている。
「もう言葉もありません…。」
「ロラン、本当に大丈夫ですか?どこかで休みましょうか?」
「いや、ここにいると余計具合が悪くなりそうなので早く帰りたいです。」
「分かりました。もう少しですから、頑張ってください。」


690:時の人、ローラ・ローラ 4/5
06/11/26 23:38:27
ようやく駐車場の側まで来るとそこには

「ロラーン!」
「あ…フラン!」
「フランドールさん?」
「久しぶりね、ロラン。キエルさんもお変わりなく。」
「こんにちは、フランドールさん。」
「どうしてここに。仕事はどうしたの?」
「取材でここに来たのよ。で、今は休憩中だったんだけど
たまたま2人の姿を見たものだったから。」
「そうだったんだ。大変なんだね。」
「ロランだって、普段は畑で野菜作ったり、材木を売ったりしてるんでしょ?
仕事が大変なのはみんな同じよ。」
「それもそうだね。」
「あっそうそう!ちょうど良いから今渡しておくわ。
あたしが預かってたんだけど、この間の雑誌の報酬ね。」
「あ、ありがとう。え…?こんなに貰ってもいいのかい?」
「なんでもローラの記事を掲載したせいか飛ぶように売れてるらしいわ。
そんなつもりでロランの記事を載せたわけじゃないのに…。皮肉な話よね。」
「まあ、しかたないよ。」
「ごめんね、ロラン。あたしがロランの記事を載せようなんて考えちゃったから…。」
「フランが悪いわけじゃないさ。それに、フランがしなくても他の出版社はそういった
本を出してるだろうし、その言葉だけで十分だよ。」
「ほんとにごめんね。今度時間ができたら一緒に食事でもしない?キースたちも呼んでさ。」
「それはいいね。お嬢様もよろしいですか?」
「はい。その時を楽しみにしています。」
「じゃあ、あたしはそろそろ仕事に戻るね。」
「うん、フランも頑張って。」
「ありがとう。じゃあね!」
立ち去るフラン。
「フランさんって優しい方なんですね。」
「そうですね。でも、ディアナ様だって優しいですよ。」
「ふふ、ありがとう。ロラン、笑顔が戻りましたね。」
「あぁ…。そうかもしれませんね。」


691:時の人、ローラ・ローラ 5/5
06/11/26 23:39:31
帰り道の車の中で

「しかしこんなに報酬が出るとは思わなかったな…。
ほんのちょっと質問に答えただけなのに。」
「フランさんが飛ぶように売れたと仰ってましたし、特別報酬なのでしょうね。」
「そうですね。このお金、どうしましょうか?」
「そのお金はロランが稼いだお金です。貴方の好きに使いなさい。」
「よろしいんですか?」
「えぇ。貴方は休むことなく頑張っているのですから、たまには贅沢してください。」
「じゃあ…2人で旅行にでも行きませんか?」
「それはいいですね。でも、わたくしに気を使わなくてもいいのですよ。
本当にそれでよろしいのですか?」
「はい。僕としては、このお金はディアナ様にも使っていただきたいですし、
2人で遠出することってあんまりないじゃないですか?
だからどこか旅行にでも行きたいなぁ、と思いまして。」
「そうですね、2人で旅行なんて初めてですね。」
「今の時期なら温泉とか良いんじゃないですか?体も温まりますし。」
「そのあとは美味しいお酒を飲みながら食事ですね。」
「食べ過ぎてお腹を壊したりしないでくださいよ、ディアナ様?」
「わかってますよ。いつごろ行きましょうか?」
「せっかくだから速いほうが良いですよね。家に帰ってからゆっくり決めましょう。」
「旅行に関して言うならローラ・ローラ様様ですね。」
「まあ、発想の転換ですね。」
「これだけのお金が手に入るなら、もう一回ローラになりますか?」
「それは絶対に嫌です!」


692:通常の名無しさんの3倍
06/11/26 23:41:05
なーんつってなwwwwwwwwwwwwwwwwww

693:通常の名無しさんの3倍
06/11/28 23:03:14
アゲ

694:通常の名無しさんの3倍
06/11/29 00:47:17
痔穴・外出(ディアナ・ソレル)

695:通常の名無しさんの3倍
06/11/29 07:54:53
イボ痔が悪化して眠れなかったのですか?

696:通常の名無しさんの3倍
06/11/30 02:36:32
中の人のお誕生日記念パピコ。

   .., -ー-、.
  <___,-=◎=〉
  i’ |-|*゚ー゚)| よしなに
  ゝ,|,.|()円,こllつ
  |^| ,∪ ==|  
  y ゝ、__〉,_〉
    ∪ ∪

697:通常の名無しさんの3倍
06/11/30 04:02:54
中の人も外の人も、ぼちぼち年齢の話題は厳しs


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