ディアナ・ソレルのよしなに日記2006~時代~at X3
ディアナ・ソレルのよしなに日記2006~時代~ - 暇つぶし2ch483:通常の名無しさんの3倍
06/08/23 14:10:34
>>482
世界第一位の人口を持つ中華の料理ジャン

484:通常の名無しさんの3倍
06/08/23 14:16:36
>>483
ラーメンの原型自体は中国だが、実際ラーメンに昇華したのは日本。
というのを美味しんぼで読んだことがあった気がする。

485:通常の名無しさんの3倍
06/08/23 16:30:58
ラメーンを思い出すな…

URLリンク(www.geocities.jp)

486:通常の名無しさんの3倍
06/08/23 20:51:36
>>484
いわゆる「支那そば」ですね
今の日本のラーメンは日本人好みに作られてる料理ですよ
ディアナ様

487:通常の名無しさんの3倍
06/08/24 13:51:21
いや問題は作中に出てきたのは日本のラーメンだったかだろ


488:通常の名無しさんの3倍
06/08/24 14:05:27
>>487
何話ぐらいに出てきたっけ?

489:通常の名無しさんの3倍
06/08/24 16:12:38
知らん
言い出しっぺに聞いてごらんよ

490:通常の名無しさんの3倍
06/08/24 16:58:14
>>488-489
落ち着いて、
ラーメンの噺はTVの∀本編じゃなくて、>>484のリンク先のSSだよ。

491:通常の名無しさんの3倍
06/08/24 17:00:38
>>485だった…ちょっと酒樽で大気圏突入してくる…

492:通常の名無しさんの3倍
06/08/24 19:01:20
>>491
ィ㌔

493:通常の名無しさんの3倍
06/08/24 19:10:18
ディアナ様の行きつけオキニはバリバリ博多風トンコツとして、だ。
ロラン謹製のは何にあたるんだったか…
醤油ベースに魚のダシを利かせたあっさり仕立てというと…
尾道あるいは喜多方、それとも京風とかかな?

494:通常の名無しさんの3倍
06/08/24 19:24:59
ロランのは薬膳の効果もあるようで・・・ロラン、ウチに来て作って
くんないか?
最近胃が重くってさ…

495:通常の名無しさんの3倍
06/08/24 20:41:39
味は極上で、薬膳効果も満点の中華風スープ…まるで仏跳醤のようだ。
…いや、ロラン手づくりならば御曹司も海を乗り越えて食いに来かねんから、
曹跳醤とでも呼ぶべきか…

496:通常の名無しさんの3倍
06/08/24 21:16:35
>>493
ディアナ様は、実はうまい豚油ぎっとり
横浜家系がお好みのようで

497:通常の名無しさんの3倍
06/08/24 22:18:31
>>496
二郎や天下一品が好きなディアナ様というのも捨てがたい。

498:通常の名無しさんの3倍
06/08/25 10:29:57
>>493
鰹節で出汁をとったラーメンを出しているお店があるんだが、特に○○風というのは付けていなかったな
多分、そのお店のオリジナルなんだろう

499:通常の名無しさんの3倍
06/08/28 18:13:57
保守なに

500:通常の名無しさんの3倍
06/08/29 06:46:36
>>493,498
ロランを出汁に…

501:通常の名無しさんの3倍
06/08/29 20:47:41
よちなにー^^

502:通常の名無しさんの3倍
06/08/30 21:46:25
ょぅι゙ょなディアナさまも萌え

503:通常の名無しさんの3倍
06/09/02 07:45:35
何千年前前の話だ。

504:通常の名無しさんの3倍
06/09/02 23:23:42
日本語で(ry

505:ほしあげ
06/09/03 05:37:51
秋風がほのかに漂い、私の体にまとわりついては離れていく。
夏から秋の境目。
今はシドおじいさまの紹介で高原の別荘に来ています。
今はまだ陽射しも強く、まだ夏を感じさせました。
ロラン「涼しぃー。もっと早く来ればなー」
ディアナ「まあまあ」
ロラン「でも……いいんですか?」
ディアナ「ええ、信じてますから」
ベッドは2つですが部屋は同じ。
そう、今まで寝るときは別々の部屋だったのです。
ロラン「……ディアナさま」
ディアナ「え、な、なんです?」
そう言ってわたくし肩をガッチリ掴み、顔を近付ける…
荒い吐息がわたくしの顔にかかり、血走った眼が光る。
まさかロランが、という、こういった現実から目を背けるようにロランから目をそらす私。
なぜ一緒に暮らそうと思ったの?
こういう日が来るのを待っていたの?
いくら思案を巡らせても、取り留めのない不安が襲う。
ロラン「ここに来たってことは…」
再び唇を動かす彼。
ディアナ「そんな……まだっ…!」
ロラン「釣りに付き合ってくれるってことすよね!?」
ディアナ「…」
さ、最初から彼はそんな人では無いと分かってました!ホントですよ!

506:通常の名無しさんの3倍
06/09/03 06:32:28
釣り…それは男のロマン。

らしいです。わたくしには全く。
ロラン「魚とのかけひきなんですよ。生か死か、食わなきゃ生きられない両者の魂と魂のぶつかり合い、己のプライドを…」
ディアナ「はいはい」
ロラン「聞いてくださいよ~」
川釣り、本物の魚に見せかけて釣るルアー釣りというものです。
ロラン「このルアー、引くと水の抵抗で左右にブルブル震えて手に伝わってくるんですよ!」
ディアナ「ふぅん」
ロラン「やってみます?」
ディアナ「いえ……別に」
興味が無いと言えば興味が無いんですが
自分でも驚くぐらいに露骨に興味の無さが溢れ出しているのが……
だから彼は一生懸命楽しさを分かってもらおうと必死になって。
釣りに興味なんかありません。だから釣りの説明なんかされても困るんです。
…私は、あなたの頑張ってる姿を見ているだけで良いのです。
どんな結果でも、何があっても、
ずっとずっとあなたの頑張りを見ていてあげます
あなたを一番分かってあげます
釣れなくたって構わない。だから…
ディアナ(だけど、せっかくなら大物を釣ってよね?)
そう思い、彼を見つめる

507:通常の名無しさんの3倍
06/09/03 13:17:24
ロラン・・・なんて罪な子!!

508:通常の名無しさんの3倍
06/09/04 05:42:18
ディアナ「惜しかったですね」
ロラン「大物だったんですけど…」
突然来た大物に釣竿が折られて、結局その日はおしまい。
今夜はその前に釣った幾らかの魚と持ち込んだ食材でバーベキューです!
と言っても川辺に穴を掘って炭と、適当に拾ってきた枝を放り込むというものです。

火を調節しようと腰を屈ませて突き出したお尻をフリフリするロラン…
ムダの無いその…お尻にかぶりつきたくなるというか
なんかこう…今にも吸い込まれそうで
この手に持ったにんじんがお尻に入ったらどうなるとか
卑猥な事を考えてしま…
ロラン「炭に火がつきませんねえ。ちょっと枯れ葉でもあ、ああアッー!」
ディアナ「あ、すみません、にんじんがっ!にんじんが勝手に!」
ああ、願望が現実に!
…じゃなくて間違ってカンチョーを!!
ロラン「ぃいい、いつまで、さささ挿し込んでるんですか!」
計算してやったわけじゃありませんが目の前に火があり、手に火を持っているロランは逃げられません。
これでは背水の陣ならぬ背水のにんじんですね
ププッ
ハッ、いけないわディアナソレル!


509:通常の名無しさんの3倍
06/09/04 06:11:35
不機嫌なロラン。
ふくれっ面が似合わないですよ?
ロラン「危ないですし、もうやらないでくださいよ?」
ディアナ「あれはアクシデントです」
アクシデントで強引に済ませようとするわたくし。
さすがに不満なロラン。
それでも適当に焼いたお肉や野菜をほお張る際には笑顔がほころびますね♪
ディアナ「おいひぃえふえぇーうひひ」
ロラン「何て言ってるか分かりませんよ(笑)」
ディアナ「お肉はまだカナー?」
ロラン「野菜も食べてくださいよ」
ディアナ「はーぃ」
汗だくになりながら一生懸命火を調節したり焼いてくれる横顔。
最初は慣れない手付きで心配だったけど、やっぱり…
ディアナ「やっぱり、ロランは優しくて頼りになりますね」
ロラン「ハハハ…」
「これぐらい何でも無いよ」とばかりに一生懸命余裕を見せてるけど、
火が熱くて肉を落としちゃったり跳ねた火で飛び退いたり
丸分かりなぐらい照れながら作業をして
おかしいですね(笑)

後片付けは分担でした。
心なしか、
わたくしがロランの背後を通るたびにチラ見して背後に気をつかっていましたね

もうやりませんよ!

たぶん。

510:通常の名無しさんの3倍
06/09/05 23:29:17
お茶目なディアナ様もいいね

511:通常の名無しさんの3倍
06/09/06 17:43:56
地球と月を巻き込んだ忌まわしい大戦から約2週間が経過しました。
わたくしは女王の権限と責務をキエルさんに任せて、今はロランと一つ屋根の下で生活をしています。
ロランはわたくしのためにと家事全般をこなしてくれており、とても感謝しています。
そんな彼ばかりに任せるのは悪いと思い、今夜はわたくしが夕食の準備をすることにしました。

「気持ちは嬉しいのですが、大丈夫ですか?何か困ったことがあったらすぐに呼んでくださいね?」
「大丈夫です。わたくしだって、料理の一つや二つぐらいは作れますから。」
と意気込んでみたものの、本当はあまり料理の経験はありませんでした。
でも、一度あれだけ自信満々に言ってしまった以上後には引けません。
「じゃあ僕は隣の部屋で本でも読んでますから。」
「わかりました。そんなに心配してくれなくても、大丈夫ですよ。」
とりあえず、作るメニューはカレーライスにしました。
カレーなら嫌いな人はそんなにいませんし
料理慣れしていないわたくしにもおいしく作れると思ったからです。


512:通常の名無しさんの3倍
06/09/06 17:44:49
(まずは…お肉と野菜を食べやすい大きさに切るんですよね。)
大きめの玉ねぎを一つ取って皮をむき、まな板と包丁を使って切り始めました。
が、ここで思いもよらない事態に直面してしました。
(なんだか目が痛い。涙も出てくる。玉ねぎを切ったから?)
普段から料理をロランに任せているわたくしには野菜一つ切るだけでも大仕事です。
時間はかかったものの、なんとか玉ねぎを微塵切りにすることが出来ました。
切り終えた玉ねぎを見て満足しながらも、次に豚肉を細かく切り始めました。
(なかなか切れない…。目も痛いし…ロランはいつもこんな大変なことをこなしているのですか?)
そんなことを考えていたせいでしょうか?
自分の視界が涙でぼやけていくことに気づきませんでした。そして…。
「痛っ!!」
それは一瞬の出来事でした。わたくしは自分の人差し指を切ってしまったのです。
(血が…まず血を止めな)
「ディアナ様!!」
私が思考をめぐらせる間もなくロランは台所に駆けつけていました。
「指から血が…!すぐに手当てをしましょう!こちらに来てください!」
「だ、大丈夫です…ほんのかすり傷ですから…。」
「冗談言わないでください! ばい菌でも入ったらどうするんですか!?」
そう言うとロランはすぐさま救急箱を持ってきてわたくしの指の手当てを始めました。


513:通常の名無しさんの3倍
06/09/06 17:45:43
「…はい、これで終わりです。またお風呂上りに消毒しますからね。」
ロランには医術の心得でも持っているのでしょうか?
以前野戦病院で働いていたことがあるわたくしでも舌を巻くほど
ロランの治療は手際がよく鮮やかなものでした。
「そんな。大丈夫ですよ。そこまで大げさにならなくても。」
「何かあってからでは遅いんです。それと…夕食の準備の残りは
僕がやっておきますから、ディアナ様はそれまで休んでいてください。」
わたくしはロランの言葉に反発しました。
「そんな!たいした傷ではありません!最後までわたくしがやります!」
「その指で、どうやって包丁を使うおつもりですか?
今の指では切り傷を増やすだけです。」
…たしかに、ただでさえ料理が出来ないわたくしなのに、指が使えないとなれば
ロランの仕事を増やすだけかもしれません…。
「…分かりました、後はお任せします…。」
ロランにそう伝えるとわたくしは自分の部屋へと戻っていきました。
(…わたくしは、大切な人に、料理一つまともに作れないのか…。)

ロランの作ったカレーの味とは裏腹にわたくしの心は沈んでいました。
(料理を作るどころか逆にロランに迷惑をかけただけだった…。
こんなことになるなら最初からわたくしは何もしなかった方が良かったのでは?)
「ディアナ様、お味はいかがでしょうか?辛くはありませんか?」
わたくしはその問いかけに対して
「ええ、おいしいです。」
と返すのがやっとでした。
食欲は無いものの、残せばロランに余計な心配をかけると思い
なんとかのどの奥にカレーを流し込みました。
「ごめんなさい。今日はお風呂は結構です。先に休ませてもらいますね。」
「ディアナ様?どうかされたんですか?」
「すみません、しばらく一人にしてください…。」
ロランにそう告げるとわたくしは部屋に戻りました。
そして、ベットの上で怪我した指をしばらく眺めていました。


514:通常の名無しさんの3倍
06/09/06 17:47:13
今日は早く寝床に入ったにもかかわらず、なかなか寝付けませんでした。
物事を悪い方向へ考えてしまうことは悪い癖だと自覚しながらも、
夕食の支度のことばかり考えていました。
(ロランはソシエさんではなくわたくしと一緒にいることを選んでくれたのに、
わたくしは何もして上げられない。わたくしが今でも月の女王だったならば
ここまでロランに苦労をかけることもないのに、豪華な食事を
ご馳走してあげることだってできたのに…今はもう月の女王ではない…。
だからこそ、こんどこそわたくしが彼を支えてあげたいのに、
支えてあげなくてはいけないのに!
…ディアナ・ソレルから女王を取り除いた結果がこれでは、
ただロランの人生を縛り付けてるだけではないのだろうか…。)
そんなことを考えながら、ようやく眠りにつくことができました。

次の日の朝、朝食をとり終えたわたくしたちはロランを呼びました。
「ロラン、話があるのですがよろしいでしょうか?」
「どうしたんですか?改まって。」
できることなら、こんなことは話したくない…。でも、わたくしのせいで
ロランを不幸にすることだけはしたくない。…わたくしは覚悟を決めました。
「ロラン…貴方とわたくしはもういっしょに暮らすべきではないと思うのです」
「ど、どうしたんですか?突然そんなことを…」
「…」
わたくしはロランの問いかけに答えることが出来ませんでした。


515:通常の名無しさんの3倍
06/09/06 17:48:06
「…本気…なんですか…。…ディアナ様は…僕のことが嫌いになったんですか…?」
「それは違います!」
わたくしは悲鳴のような声で叫んでいました。
「…ロラン。貴方はわたくしにとって、心から信頼できる数少ない
大切な人の一人です。貴方には、言葉では言い表せないほど感謝しております。」
「だったら!どうしてそんなことを仰るんですか!」
ロランの疑問は当然だと思います。わたくしだって、本当は…。
「貴方が大切だからこそ言うのです!…貴方は民間人であるにもかかわらず、
わたくしの至らなさで戦いに巻き込ませてしまい、∀のパイロットとして
常に最前線で戦わせてしまいました。そして、貴方がいたからこそ、
ギム・ギンガナムとターンXを倒し、地球と月に友好の橋を築くことが出来たのです。」
「…」
ロランも黙ってわたくしの話に耳を傾けていました。
「貴方にはわたくしのせいで迷惑ばかりかけてしまいました…。
だから、戦争が終わった今こそ貴方には幸せになってもらいたいのです。」
「そんな…僕は今十分幸せですよ。」
あぁ、ロラン。何も出来ないわたくしに何一つ文句も言わないで、
その上今の生活を幸せだといってくれる貴方には言葉もありません。
そんな貴方だからこそ、わたくしもここまで感情的になっているのかも知れませんね。
「わたくしは、もう月の女王ではありません。月の女王でない今のわたくしは
家事一つまともに出来ません。そんな女のために、貴方の人生を縛りつけて、
貴方の幸せを奪いたくはないのです!」
「ディアナ様!」
「ですから!…ですから、今からでも遅くはありません。これからは、
わたくしなどではなくソシエさんと暮らしなさい…そのほうが、貴方にとって
幸せな人生を歩んでいけるでしょう…。」
わたくしは自分が泣いていることに気がつきませんでした。
これでいいんです、ロラン。わたくしなどよりソシエさんと暮らす方が
貴方にとって幸せなのです。私と一緒にいてくれるのは
とても嬉しく思います。でも…これでいいんです…これで…。


516:通常の名無しさんの3倍
06/09/06 17:49:32
しばらくの間、重い沈黙が続きましたが、
ロランがわたくしにこう言いました。
「…僕にとって、ディアナ様も、キエルさんも、ソシエさんも
みんな大切な人たちです。そんな中で、ソシエさんと別れて、ディアナ様と
一緒に生きる選択をした時は、正直辛かったです。でも、後悔はしていません。」
わたくしには彼の言葉の真意が分かりませんでした。
ソシエさんと決別させてしまったのに、後悔をしていないという言葉に…
わたくしがこの疑問をぶつけると、ロランはこう答えてくれました。
「僕は、自分が一番傍にいたいと思う人を自分の心で決めたんですから。」
「ロラン…。」
わたくしは、彼の誠意に答えるだけのことをしてきたのだろうか?
いつも、どこでも、わたくしはロランに迷惑をかけてばかりだった。
わたくしはそんな彼にいままで何をして上げられたのだろうか?
なにもしていなかった。してあげられなかった。わたくしはそう思っていました。
なのに、目の前にいる銀髪の少年はわたくしと一緒にいたいと言ってくれている。
「それに、すごく嬉しかったんですよ。僕がずっと尊敬し、
憧れていたディアナ様と一緒にいられることが。…ですから、
ディアナ様が僕のことを嫌いになったので無ければ、これからも、
貴方のそばにいさせてください。たとえ貴方が月の女王でなくても、
僕はディアナ様と一緒に生きたいんです!」
「ロラン、本当にわたくしでよろしいのですか?
何一つ取り柄の無いこんなわたくしなんかで…。」
「僕はディアナ様のことをお傍で見てきました。貴方が誰よりも
優しいことは良く知っています。そんなディアナ様のことが…僕は大好きです…。」
「ロラン…ありがとう…。わたくしも同じ気持ちです…。」
わたくしはロランの胸の中に飛び込みました。
ロランもわたくしをやさしく受け止めてくれました。


517:通常の名無しさんの3倍
06/09/06 17:50:44
「ディアナ様…。」
「ロラン、これから先わたくしはきっと貴方にたくさんの迷惑をかけてしまうでしょう。
それでもわたくしからは貴方に何もして上げられないかもしれません…。
そんなわたくしでも、これからも一緒にいてくれますか?」
「もちろんです。僕の方こそこれから先ディアナ様を傷つけてしまうことも
あると思います。それでも僕と一緒にいてくれますか?
「もちろんです。ありがとう、ロラン。本当にありがとう…。」
「僕の方こそ、ありがとうございます。ディアナ様…。」
わたくしは彼の胸の中で泣いていました。
その姿はかつて月の女王だった者の姿とは思えなかったと思います。
それでも、わたくしは感情の赴くままに声を上げて泣いていました。

どれくらい時間が経ったのでしょう?
ようやく落ち着いてきたわたくしにロランは外を見ながら言いました。
「天気もいいですし、湖に散歩にでも行きませんか?」
わたくしも顔を上げて外を見ると、明るい日差しがリビングに差し込んでいました。
「そうですね。行きましょうか?」
「じゃあ準備をしますので待っててくださいね。」
そう言うとロランはわたくしから離れて台所へと向かっていきました。
きっと昼食にサンドイッチでも作るつもりなのでしょう。
怪我した指の痛みは残っていますが、対照的に私の心はとても晴れやかでした。
(ありがとう、ロラン。今のわたくしは幸せです。これから先どれだけの間
貴方と一緒にいられるかは分かりませんが、一日でも多く貴方と
笑って過ごしたいと思います。それに、今は無理でも…いつかきっと、
わたくしが自分で料理して貴方においしいものを食べさせてあげますからね。)

「ディアナ様―!紅茶を切らしてしまっているのでコーヒーでもよろしいですか?」
「よろしくありません!今すぐ買ってきなさい!」
「そんなの無理ですよ!」
「ふふふ…冗談ですよ。コーヒーで結構です。」

ロラン、これからもよしなに。


518:通常の名無しさんの3倍
06/09/06 18:00:49
全ディアナカウンターが泣いた

519:通常の名無しさんの3倍
06/09/06 19:30:32
ゲーーッ原点回帰の超人!!

520:通常の名無しさんの3倍
06/09/06 21:20:45
イイネ(゚▽゚)/~ ホロン部乙

>519 まさにターンエーってとこか。

にんじんはにんじんでわるくはないがなぁ~

521:通常の名無しさんの3倍
06/09/06 21:44:36
正統派GJ!

522:通常の名無しさんの3倍
06/09/07 20:15:02
全アメリアが泣いた。そして俺も。GJ!!!

523:通常の名無しさんの3倍
06/09/09 12:16:16
初めてターンA劇場版を見たがめちゃめちゃ面白いな>ターンA
でもエロたりねえよママン
TV版でディアナ様のエロある回おすえて

524:通常の名無しさんの3倍
06/09/09 12:32:11
最高傑作ですから

525:通常の名無しさんの3倍
06/09/09 15:50:37 BE:180710382-2BP(11)
       /                   `ゝ
     /            、       、 ヽ
     /       「 ̄ ̄| ̄ ̄ヽ    λノ  ,ゝ
    /        |、  |    Vレレ' ̄|人ノ
   ノ  ノ     _ζ_|_____| /   /   ゝ
   7  λ    _ゝ ̄        \―/   ミ
  ノ   レ从人√            / |  lヽ)
 λ    \_           ^ ´  λ从ノ
  ノ     ( |       / ̄ ̄7  /
  "ヽ    λ|      / ̄ヽ ̄7  / / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    "ヽノレ  λ      l___|__/  /<   ディアナ様のエロと言ったか、おのれ~!
      /     ヽ    `----'  /  \__________
     /       ヽ   ---  /
 / ̄ ̄ ̄ ̄7―‐---\_______/
/       /      .-/---、








ないよ。

526:通常の名無しさんの3倍
06/09/09 20:09:55
キエルお嬢さんのエロなら2回ほどあったか

527:通常の名無しさんの3倍
06/09/09 22:34:15
わたくし、一人丘の上で夕陽を眺めておりました。
青い着ぐるみの中で待ちつことを日課にして、一体何日がたったでしょう。
「はぁ…、ロラン。やっぱり着ぐるみはサバではダメなのですか?」
そんな独り言をこぼしてみても、赤い夕陽は徐々に遠くの山々の陰に
隠れていってしまいます。

ふとその時、背後から誰かの声が聞こえてまいりました。
「あのー、お一人でなにやってらっしゃるんですか?」
誰ですか?んーと、見覚えがあるような、ないような。
金髪頭の男性は、山仕事の帰りか何かのようで、
肩に斧とリュックを抱えてそこに立っておりました。
「そのカツオ、似合ってますぜ。」
いえ、その、似合ってるとか言われましても。カツオに見えるくらいなら、
いっそのことイワシと言って欲しかったものです。
「ああ、そうでしたか、サバ、サバだったんですか。」
余計なお世話です。なんなんでしょうか。やっぱり、
世間一般には、サバでは何か悪いんでしょうか?
マグロよりはいいと思うんですが。


528:通常の名無しさんの3倍
06/09/09 22:35:57
「い、いえいえ、そんな。サバ、サバはいいです。自分も昔サバでしたから。」
へぇ。
サバだったんですか。いえ、まぁわたくしもサバと言えばサバですけど。
別にいいじゃないですか、サバ。
「つ~きのサバよぉ~って、これ、エヘヘッ、エヘヘッ!」
…。ああ、もう、日も暮れたことですし、そろそろ帰る時間かもしれません。
「ああ、ちょっとお待ちになってぇっ!
いや、その、サバは、その、群れて暮らしてるもんです。
 でもここ何日か、あなた様はなんだか寂しそうに一人でそこにいたもんですから。
 …しかも着ぐるみで…。
昔のあなた様は、いつも周りにだれかいたじゃないスか。」
一人…。そういえばわたくし、最近一人のことが多くなりました。
まるでコールドスリープを繰り返していたあの頃のよう…。
はぁ、でもあなたはそんなわたくしをあまりよく知らない方のようですね。
とはいえ、会ったことがあるのならもしかすると思い出すかもしれません。お名前は?
「あたし?え~っと、も、元ギンガナム隊所属、
シッキネンとかなんとか、であります!以上ぅっ!」
ギンガナム隊?って、すみません、やはりわかりません。
というか、もしや“ディアナ暗殺”とか、まだやっている訳じゃありませんよね?
「あ、暗殺なんてっ!滅相もございませんっ!あたしは、あたしはっ!」
男性はそう言うと、「つ~きのサバよ~」とさっきの唄を口ずさみながら
まだ赤い夕焼け空の下をいそいそと立ち去って行ってしまいました。
けれど、本当に誰でしょう?わたくし、こんなに物忘れが激しかったでしょうか。


529:通常の名無しさんの3倍
06/09/09 22:37:33
ああ、それにしてもサバの着ぐるみを着ていても、やはりもう9月。
11月には雪に覆われるこの辺りの風は、もうだいぶ涼しくなってきております。
「ディアナ様~っ!」
は…、その声は、…ロラン。いえ、わたくしはサバです。
夏にキャミソールすら着れなかった、おサバな1000歳なのです。
「もう、何拗ねてるんですか。またそれ着てらっしゃるんですか?
それにもう、サバじゃなくたっていいじゃないですか。」
いいの。いいから放っておいて!わたくしはディアナではありません、サバです。
サバディアナですっ!通販で苦労して探しあてたこの着ぐるみの中が、
わたくしの今の居場所なのです!
「そんなことないですよ。…そういえばさっき、ディアナ様がここにいるって
 教えてくれた人がいたんですけど、誰ですか?」
え、ああ、あの、なんていいましたっけ?シッキ…、いえ、シッケナイさんでしたね。あの、大門グラスをかけていて、どことなくうなぎ犬っぽい方。
「…うなぎ犬?」
―はっ、いけない、わたくしったら!つい黒歴史よりも前のことを
口走ってしまいました。やっぱり、やっぱりわたくしはサバですっ!
「ええっ!知らなかった、黒歴史よりもっと昔のことを知ってらっしゃるんですか!?
 すごいなぁ、ディアナ様、やっぱりディアナ・ソレル様だ!」
ま、まぁ、そんな事知っていても、何がどうなるということでもございません。
というか、大門グラスは知っているの?別にそれはどうでも構いませんが。
それにしてもロランの“すごく尊敬してます”みたいなまなざし。
ああ、まっすぐで、とても綺麗な瞳。
でも、なんで憶えてたんでしょう?
うなぎ犬なんて。

それからロランはサバのわき腹から突き出ている
わたくしの手を引いて丘の道を下っていきました。
「あ、ディアナ様、月ですよ。」
そういえば、今は月が一番大きく見える時期でしたね。
わたくしは空に浮ぶ銀色の光を眺めながら、なぜかふと、ものすごく唐突ですが、
ミスルトゥの爆発のことを思い出しました。
すこし笑ってから「ありがとう」と小さな声で呟くと、
ロランの耳に入ってしまったのか、「なにが“やべっ!”なんですか?」
と真顔で尋ねられてしまいました。

「残酷なものです…。ディアナ様は、あたしの顔を覚えていらっしゃらなかった!」
「ばかねぇ、ディアナ様はあたしたちが死んだと思ってらっしゃるだけなのよ。
 それか本当にキエル・ハイムだったってだけでしょ。
第一、なんでシッキネンだなんて名乗ったのよ。」
「だって、だって…、そんなことどうでもいいじゃない!あねさぁ~~~ん!!」

ムロンさん、ごめんなさい…。


530:通常の名無しさんの3倍
06/09/09 23:07:52
>>527-529
職人さん乙です
以前サバネタを書いた人ですかね
忘れられてるムロンかわいそうw

531:通常の名無しさんの3倍
06/09/10 00:03:28
着ぐるみディアナ様の画像きぼんぬ

532:通常の名無しさんの3倍
06/09/10 12:57:10
サバイバル

サバだけにサバ威張る

533:通常の名無しさんの3倍
06/09/10 17:38:34
そんなにディアナが好きかー!

534:通常の名無しさんの3倍
06/09/10 18:13:50
(,,゚Д゚)∩ハイッ!!大好きです

535:通常の名無しさんの3倍
06/09/10 18:28:39
よちなにー

536:通常の名無しさんの3倍
06/09/11 03:49:47
>>525
わたくしめは薄いスカートの上から分かるおみ足のラインだけで。。。。

537:通常の名無しさんの3倍
06/09/11 21:16:37
萌えスレの荒氏あぼーんよしなに

538:通常の名無しさんの3倍
06/09/14 22:27:40
御大将日記の続きが気になりつつ保守

539:通常の名無しさんの3倍
06/09/17 00:16:44
お前保守する気ないだろ

540:通常の名無しさんの3倍
06/09/17 00:36:19
>>539
sageでも保守は出来るよ。
保守ってのはdat落ちを防ぐ手段だから、定期的に書き込みがあればsage進行でも保守可能。
変なのが流入しやすいスレではsage保守の方が望ましい事もあるよ。

541:通常の名無しさんの3倍
06/09/19 22:45:11
保守します
よしなに

542:通常の名無しさんの3倍
06/09/23 01:33:40
保守

543:通常の名無しさんの3倍
06/09/23 01:42:32
わたくしはそこにいました。
その様に表現する以外表現しようのない。
例えるなら、まるで砂の無い砂漠いるような、空の無い空間にいるような
そんな場所にわたくしはいました。
そしてそこには、わたくしがよく知っている人たちがいました。

「ロラン、それにキエルさんにソシエさんにハリー。
お久しぶりですね。どうしたんですか?」
キエルさんたちと会うのは久しぶりのはずなのに
彼らの表情がなんだか悲しんでいるように見えました。
「ディアナ様、お別れを言いに来ました。」
「お別れ…?どういう意味ですか?」
わたくしはキエルさんの言葉の意味が分かりませんでした。
お別れ…?いつ?何故?どうして…?
そのようなことを考えてるところに続けてこう言われました。
「キエル嬢、そろそろ時間です。では、ディアナ様。月のことは私たちにお任せください。」
「さようなら。ディアナ様。あなたのことは一生忘れません。」
「どういうことですか!キエルさん!ハリー!」
二人は詳しい説明もなく光の中へと消えていきました。
畳み掛けるようにソシエさんもわたくしに別れを告げてきました。
「さようなら。もう一人の私の姉さん。貴方のことは嫌いじゃなかったわ。」
「ソシエさん!待ってください!ソシエさん!」
ソシエさんも2人の後を追って消えていきました。
あの3人には私の言葉は届いていないのでしょうか?
そのような行為を目の当たりにしたわたくしにある不安が襲ってきました。
まさか、ロランも…。


544:通常の名無しさんの3倍
06/09/23 01:43:33
「それでは、ディアナ様。僕ももう行きます…。」
それは最悪の形で的中しました。
言い方も同じ、継げる言葉も同じ。だとすると、おそらくは私の前から消えてしまう
ということも…。わたくしは必死に縋る(すがる)思いでロランに訊きました。
「待ってください!ロラン、説明してください!お別れとは何のことですか!?」
「だって…ディアナ様、もうすぐ冬眠されるじゃないですか。」
「冬眠…?」
冬眠…。わたくしがこの言葉から思いつくものは一つしかありませんでした。
人口冬眠。わたくしが今までに経験してきたもの。
そしてもう二度と経験したくないと思っていたもの。
キエルさんたちが言っていた「お別れ」とはこれを指していたのでしょう。
「冬眠って…どういうことなのですか!?
わたくしはもう人口冬眠するつもりはありません!
貴方たちと共に生きて、共に死にたいのです!」
「仕方がありません。そういうシステムなんですから。
それでは、ディアナ様…。貴方に出会えて本当に嬉しかったです。…さようなら…。」
「待ってください!ロラン!わたくしを…わたくしを一人にしないでください!
嫌です!もう嫌なんです!目覚めたときにはみんな
消えてしまっているあの体験をするのは!」
そんな私の言葉など彼の耳には届いていなかったのでしょう。
ロランもキエルさんたちと同様に光の中に消えていきました。
それから周りの空間が闇に覆われていくのが分かりました。
この闇は少しづつ、しかし確実にわたくしの命を、心を、精神を蝕んでいく。
そう告げているような感覚に襲われていきました。
わたくしは心の底から恐怖を感じていました。
立っている事さえ出来なくなったわたくしは
その場に座り込み、大粒の涙を流していました。
やがて周囲は漆黒の闇が包み、わたくしの心は絶望のどん底に叩き落されていました。
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
わたくしは絶叫していました。


545:通常の名無しさんの3倍
06/09/23 01:44:24
「…!!はぁっ!はぁ、はぁ…。ここは…わたくしの部屋…。」
目覚めたわたくしの目に映ったのは自分の部屋、白い布団、自分の指先でした。
目をこすると暖かい水が付着していました。それはわたくしの涙でした。
(夢…だったのか…。)
わたくしは今ここに存在する自分こそが真実なんだと確信し安心しました。
夢を見ること自体は珍しいことではありませんでしたが
ここまで嫌な夢を見たことは無かったかもしれません。
時計は午前2時を指しており薄暗い部屋の中に月の光が差し込んでいました。
(ロランは…?)
わたくしは自分のベットから身を起こすと真っ直ぐに
ロランの部屋を目指して歩いていました。
他意はありませんでした。ただ、ロランを見たい。
その思いだけが私を動かし、気づけばロランの部屋の前にいました。
この向こうにロランがいる。彼に会いたいという
焦る気持ちを抑えて慎重にドアを開けました。
しかしわたくしの期待に反してそこに存在するはずの
彼は部屋のどこにもいませんでした…。

(?…いない…?)
わたくしは自分の目が信じられなくなり電気をつけました。
しかし、ロランは寝室にはいませんでした。
「嘘、そんな…。」
まさかあれは正夢だったのではないか?
そう思った瞬間再びわたくしは恐怖を感じました。
「ロラン、どこですか!ロラン!」
わたくしは叫んでいました。深夜だということを忘れて
喉が痛むほどの大声で叫び続けていました。


546:通常の名無しさんの3倍
06/09/23 01:45:21
「本当にいなくなってしまったのですか!?ロラーン!!」
「どうされたんですか!?ディアナ様!」
「!ロラン…。」
声の先にロランはいました。
良かった…。正夢なんかじゃなかった…。
銀髪の少年は今ここに存在するわたくしと同様に、たしかにそこにいました。
「大丈夫ですか!?具合が悪いんですか!?病院へ行きましょうか!?」
そう言って私に駆け寄ってくる彼の姿に安堵したわたくしは
その場に膝をついてしまいました。
「ディアナ様!しっかりしてください!今すぐ車の準備をしますから!」
わたくしの姿を見て体調が悪いと思ったのでしょう。
彼に無用な心配をかけたくなかったので健康であることを説明しました。
「いえ、違うんです!体は大丈夫です!」
「本当ですか!?立ってられないほど辛いんでしょう!?」
「そうじゃないんです!なんと言いますか…その…
安心したら急に体の力が抜けてしまって…。」
「…?とにかく、体に異常は無いんですね?」
「それは大丈夫です。心配をかけてしまってごめんなさい。
それより、どこに行っていたのですか?」
「どこって…トイレに行った後に水を飲んでました。」
…なんだか自分のしたことがあまりにも幼稚で情けない気分になってきました。
「どうされたんですか?こんな時間に大声で叫んだりして?」
体に異常が無いと分かってくれたのは良いが、どう説明したらいいものか…。
とりあえず、言葉の思いつくままに話していました。
「それは…ロランが、寝室にいなかったものですから…
消えてしまったのではないかと思いまして…。」
「?僕が消える…?何故そのようにお考えになったのですか?」
「その…恥ずかしい話なんですが、夢を見たんです。」
「夢?」
「はい…。ロランだけでなく、キエルさんもソシエさんもハリーも
みんなわたくしの傍からいなくなってしまう夢だったんです。」
「…。」
わたくしはロランに自分が見た夢の説明を始めていました。


547:通常の名無しさんの3倍
06/09/23 01:46:22
「…人口冬眠…冬眠と覚醒…僕も想像したことはありますけど、
自分にとって大切だった人たちが、みんな死んでしまっているというのは
たしかに怖いことかもしれませんね。」
以前のムーンレィスにとって人口冬眠とは珍しいことではありませんでした。
人口の増加を防ぐ一端として、あるいは病気の治療のため、はたまた犯罪者の刑として
それはごく普通に存在していました。
そして、わたくしが地球帰還作戦を急いでしまった理由もここにありました。
「わたくしも冬眠は幾度となく行なってきましたが、あれは本来の人の
生き方ではありません。人はやはり、自然のままに生と死のある
普通の生き方をすべきだと思うのです。」
「そうですね。冬眠を行なってきたディアナ様がそのような結論に
行き着いたのは僕も間違ってはいないと思いますよ。」
そう。わたくしは地球で暮らしたかった。
普通に生き死にをする真の生き方をしたかった。
そして多くの人の助けがあってわたくしはそれを手に入れられました。
それなのに…。
「はい。頭では分かっているんです。わたくしはそのために地球に下りてきました。
でも…今でもあの感覚を思い出すと体が震えるんです…。」
わたくしは恐れていました。孤独というものを。
以前のわたくしにとっては人口冬眠も、死も、そう変わるものではなく
また、それほど恐れを抱くものでもありませんでした。
しかし、今回の地球帰還でわたくしは人の温かさというものを知りすぎてしまいました。
それは間違ったことだとは思いませんが
時間が経てば経つほどに、今はもう起こりえない人口冬眠や
決して逃れることの出来ない死というものに恐怖を抱いていきました。
そしてその恐怖の根源にはかならず孤独が存在しました。
「ディアナ様…。大丈夫です。ここは地球です。もう誰もディアナ様に
冬眠を強要させたりしません。それに僕はいつでもディアナ様の傍に
いて差し上げます。絶対にディアナ様を一人にはしません。」
「ロラン…そうですね。わたくしのそばには、いつもロランがいてくれますものね。」
人は時に死や孤独に苛まれます。
でも、人の暖かさを知り、いつも傍に大切な人がいるわたくしには
その恐怖を克服することが出来ます。
それはとても幸せなことだと思います。


548:通常の名無しさんの3倍
06/09/23 01:47:11
「…眠れそうですか?」
「そうですね…先ほどのような恐怖が襲ってくるような感覚はもうありません。ただ…。」
「ただ?」
今考えると、この時のわたくしはすこし大胆だったと思います。
でもそれは素直な感情だったのでわたくしはその感情に従いました。
「あの、ロラン。貴方にお願いがあります。」
「なんでしょう?」
「今夜だけ、今夜だけでいいですから…あの…。」
「はい。」
「わ、わたくしと一緒に寝ていただけませんか?」
「僕が…ディアナ様とですか!?」
「あ!別に変な意味で言ったつもりは無いんです!ただ…その…。」
やましい気持ちなどはありませんでした。
いや、わたくしとて一人の人間である以上微塵も無かったと言えば嘘になると思います。
でも、今は純粋にロランと一緒にいたいと思いました。
「…わかりました。ディアナ様がそうしたいと仰るなら。」
「すみません、ロラン。」
「いいんですよ。ディアナ様の手助けをすることが僕の幸せなんですから。」


549:通常の名無しさんの3倍
06/09/23 01:48:01
ロランにはわたくしのベットで寝てもらうことにしました。
一人用ですから少しきつかったですけど
たまにはこういうのもいいかな、なんてことを考えていました。
「こうやって二人一緒にいるのって、初めてかもしれませんね。」
「そうですね。さすがにこんな間近にディアナ様の顔があると…。」
「あると?」
「…緊張します。」
「ふふふ。慣れてください。」
「…努力します。眠れそうですか?」
「はい、大丈夫です。今はとても落ち着いています。」
「それは良かった。もう遅いですからお休みください。」
「こうして貴方と二人で話しているのも悪くありませけど?」
「駄目です。夜更かしは体に毒です。肌にだって良くないし、今日はもうお休みください。」
「あ、ロラン!今わたくしを子ども扱いしましたね。」
「してませんよ。ソシエさんみたいなことを仰らないでください。」
「まぁ。せっかくいい雰囲気なのに他の女性の名前を出すなんて。
本当はロランもこんな数百歳のお婆ちゃんより若くて綺麗な
キエルさんやソシエさんのほうが良かったんでしょう?」
「そ、そんなわけないじゃないですか!ディアナ様は僕にとって一番大切な人です!」
「ロラン。もう深夜なのです。大きな声を出さないように。」
「んー…。なんか納得いきません…。」
「ふふ、では、ロラン。」
「はい、なんでしょうか?」
「おやすみなさい。」
「はい。おやすみなさい。」


550:通常の名無しさんの3倍
06/09/23 01:49:06
明るい日差しがわたくしの部屋に射していました。
わたくしは悪夢にうなされることなく暖かい気持ちで熟睡できたようです。
(…朝…か…。ロラン…は…?)
目が覚めるとそこにロランの姿はありませんでした。
(いるわけありませんよね。貴方はいつもわたくしより
先に起きて朝食を用意してくれますものね。)
着替えてから居間にいくと既に朝食の準備がされていました。
「おはよう、ロラン。」
「あ、おはようございます。朝食はもう出来てますのでいつでも食べることが出来ます。」
今日の朝食はトーストにベーコンエッグに野菜サラダのようです。
栄養バランスも考えてあるおいしそうな朝食だと思いました。
「いつもありがとう。ところで…寝不足なんですか?」
「え!?ど、どうしてそう思われるのですか?」
「目の下にくまが出来てますよ?」
いつも見ているロランの顔とは違うのがはっきりと分かりました。
「あ…そうですか…。ま、まあ!大丈夫ですよ!それなりに睡眠時間はとってますから!」
笑いながらそう話す彼の顔がとても愛おしく思えてきました。
「…ねぇ、ロラン。」
「はい、なんでしょうか?」
「ときどき…で良いですから、またわたくしと一緒に寝ていただけますか?」
「え!?えぇ…それは…。」
「すいません、迷惑ですよね。忘れてください。」
「ディ、ディアナ様がそうしたいと仰られるなら…僕はいいですよ…。」
「本当ですか!?ありがとうロラン!」
「は、はは…。」
ロランの返事が空笑いなのも考えず私は喜んでいました。
「嬉しいことは嬉しいん…このままじゃ…寝不足で…僕の体がいつま…
それ以前に…僕の…理性がどれだけ…。」
「ロラン?何ぶつぶつと独り言を言っているのですか?」
「!い、いえ!何でもありません!」
「?…そうですか?ならいいんですけど。」


551:通常の名無しさんの3倍
06/09/23 01:49:52
「このベーコンエッグ、少し焦げてますね。」
「あ!すいませんでした。」
「いや、咎めようと思ったわけではありません。ただ、ロランが料理で失敗するのは珍しいですね。」
「ええ。寝不足が原因かもしれません。」
「ロラン。夜更かしは体に毒ですよ。」
「僕が寝不足になっ…因はディア…様にあるん…。」
「なにか言いましたか?」
「い、いえ!次からは気をつけます!」
「そんなに畏まらないでください。わたくしは貴方を使用人としてみているわけじゃないんですから。」
「はい。ありがとうございます。」
「…このトーストはおいしいですね。」
「そのパンはですね。ノックスの…。」

今日の風は涼しく過ごしやすいです。
これから秋が深まり、冬が来て、また春が来る。
わたくしはそんな季節の変化に心躍らせながら今を楽しく過ごしています。

ロラン、これからもよしなに。


552:通常の名無しさんの3倍
06/09/23 02:50:58 BE:225888454-2BP(21)
       /                   `ゝ
     /            、       、 ヽ
     /       「 ̄ ̄| ̄ ̄ヽ    λノ  ,ゝ
    /        |、  |    Vレレ' ̄|人ノ
   ノ  ノ     _ζ_|_____| /   /   ゝ
   7  λ    _ゝ ̄        \―/   ミ
  ノ   レ从人√            / |  lヽ)
 λ    \_           ^ ´  λ从ノ
  ノ     ( |       / ̄ ̄7  /
  "ヽ    λ|      / ̄ヽ ̄7  / / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    "ヽノレ  λ      l___|__/  /< >543-551ユニヴァァァァァァァァス!!
      /     ヽ    `----'  /  \__________
     /       ヽ   ---  /
 / ̄ ̄ ̄ ̄7―‐---\_______/
/       /      .-/---、


553:通常の名無しさんの3倍
06/09/23 04:18:21
GJ

554:通常の名無しさんの3倍
06/09/23 12:15:15
>>553
その通りです。失礼いたしました。
他にもいくつかミスがありましたが
この程度の駄文しか書けない奴だと思って
勘弁してください

555:通常の名無しさんの3倍
06/09/23 21:30:42
>>554
GJ以外に何と言えばいいのかユニバース!

556:通常の名無しさんの3倍
06/09/23 23:58:06
ユニヴァァァァァス!!
ユニヴァァァァァス!!

557:通常の名無しさんの3倍
06/09/24 00:15:15
(*^-^)bGJ
これで後10年は戦える

558:通常の名無しさんの3倍
06/09/27 01:21:10
とりあえず保守

559:もし、あの時、~だったら1/4
06/09/27 18:29:48
今日はディアナ様が食事の準備をしてくれている。
楽しみである反面不安な気もする…。
一体どんな料理が出てくるのだろうか…?

「さぁ、ロラン。出来ましたよ。」
「へぇ、鍋を作ったんですか。何を入れたんです?」
鍋には蓋がしてあって中は見えないようになっている。何が入っているんだろう…?
「実は、ただの鍋ではありませんよ。」
「へ?どういうことです。」
「こういうことです!」
そう言うと、ディアナ様は部屋の明かりを消してしまいました。
「ディアナ様、どうして明かりを消すのですか?」
「慌てる必要はございません。これは闇鍋という料理で
真っ暗な所で食べる鍋なのです。何が入ってるか分からないスリルと味わいながら
食べる料理なのですよ。また、一度箸で掴んだものは鍋に戻してはいけない
という暗黙の領域がある食べ物なのです。」
「は、はぁ。」
そんな説明を受けながら鍋の蓋が開けられる。
色や形での判別は殆ど出来ないが、ぐつぐつと沸騰していることだけは分かった。
「さぁ、いただきましょう。」
これはまずい。ディアナ様には余り料理の経験が無い。
出てくる料理次第では食べない選択肢も考えていたのに
この状況ではその判別も出来ない。
少し考えた結果、いま僕が出来ることは

1、覚悟して食べる
2、腹痛が起きたとごまかす
3、暗闇なのを利用してわざと鍋を引っくり返す

ぐらいだろう…。さて、どれが一番良いだろうか?


560:もし、あの時、~だったら2/4
06/09/27 18:30:49
1の場合
「いただきます。」
「どうぞ、召し上がってください。」
「ぱくっ…もぐもぐ…なんか、変わった味がしますね。」
「そうですか?ちゃんと洗剤とたわしを使って洗いましたよ。」
「ぶっ!洗剤って、食材を洗剤で洗ったんですか!?しかもたわしって…」
「だって、綺麗に洗うには一番じゃないですか。
念には念を入れて塩素もたっぷり入れてありますから安心してください。」
「……なんか…おなかの調子が…はぅ!!」
「ロ、ロラン?どうしたのですか?」
「こ、この鍋は絶対に食べてはいけませんよ!いいですね!?」
「どうしてですか?あの、ロラン。どこにいくのです?」
「トイレですー!」


561:もし、あの時、~だったら2/4
06/09/27 18:31:57
…絶対に有り得ないと言い切れないのが怖いな…。

2の場合
「あ、すいません。いまちょっとお腹が痛くて…。」
「まぁ!大丈夫ですか!?痛み止めをお持ちしますか?病院へ行きましょうか??」
「いえ!そこまでひどくは…。」
「何を言うのです!重い病気だったらどうするのですか!?
そうだ、キエルさんに連絡をとってゲンガナムで診てもらいましょう。
すぐに良くなります。」
「ちょ!ディアナ様!落ち着いてください!」
「離してください!ロランに万が一のことがあったら、わたくしは…!」
「嘘です!腹痛なんて起きてません!ですから落ち着いてください!」
「…嘘?」
「ごめんなさい。ディアナ様の料理を食べるのが怖くて嘘をついてしまいました。」
「…いです…。」
「え?」
「ひどいです!一生懸命作ったのに!そこまで言わなくてもいいじゃないですか!!」
「す、すみません!たしかにそうなんですが…。」
「もういいです!ロランの気持ちはよく分かりました!わたくし、月に帰らせてもらいます!」
「すみません!ごめんなさい!もう二度とこんなことはしません!考え直してください!」
「言い訳無用です!!いままでお世話になりました!!」
バタン!
「そんな…ディアナ様ー!」


562:もし、あの時、~だったら4/5
06/09/27 18:34:09
冗談じゃない!とんでもないバットエンドだ!
下手したらハリーさんから法の裁きを受けるかもしれない…。

3の場合
「じゃあ、いただきま…あ!」
「きゃあ!」
「す、すみません!お鍋をこぼし…ディアナ様…?」
「う…うぁ…くっ!……。」
「ディ、ディアナ様!!た、大変だ…。すぐに病院へ!
いや、地球での治癒じゃ無理だ!今すぐ月に連絡します!」
「ま…て、くださ…い…はぁ、はぁ…。」
「ディアナ様!何故ですか!?今すぐ治療しないと…!!」
「も…う…手遅…れ…です…。ロ…ラン…。」
「そんな!大丈夫です!絶対助けます!!しっかりしてください!!」
「ロラン…いまま…で…ありがとう…。あなた…に…であ…えて…本当に…よか…」
「ディアナ様!ディアナ様!!頑張ってください!!」
「だいす…き…です…ロ……ラ………。」
ガクッ
「ディアナ様…?…ディアナ様――!!!」


563:もし、あの時、~だったら5/5
06/09/27 18:36:57
却下却下!2つめどころじゃない!
こんなことになったら死んでも死にきれない!!

選択の余地なんて無い。
ディアナ様と一緒にいられるなら腹の一つや二つ、安いものだ。
僕は、心を決めた…。

「い、いただきます、ディアナ様。」
「どうぞ、召し上がれ。」
「ぱくっ…もぐもぐ…おいしい…。おいしいですよ!」
「それは良かった!頑張った甲斐がありました!」
「でも、以外だったなぁ。ディアナ様の料理だからもっとすごいものだと思ってたんですが…。」
「…ロラン。もしかして貴方、わたくしが料理オンチだと考えてません?」
「あ!い、いやその…。」
「もういいです!せっかくロランのために作ったのに!もう食べてくれなくて結構です!」
「ごめんなさい!私が悪うございました。ディアナ様の料理を食べられる僕は
世界一の幸せ者です。こんなにおいしい料理は食べたことがありません。」
「調子のいい事を…そうやっておだてれば許してもらえると考えてるのでしょう?」
「滅相もございません!ディアナ様の料理は世界一、宇宙一です。」
…こうしてディアナ様に謝罪を続けること1時間、
なんとかお許しをもらえた僕はディアナ様と楽しい食事を取ることが出来た。

…しかし一歩間違えれば僕の傍からディアナ様がいなくなってしまったのかもしれない
と思うと、今の僕が世界一の幸せ者だというのは言いすぎではないだろう。

ディアナ様、こんな僕ですが、これからもよろしくお願いします。


564:通常の名無しさんの3倍
06/09/27 19:15:39
同じ場面のディアナ様バージョンキボンヌ

565:通常の名無しさんの3倍
06/09/27 20:21:39
間違えて、箸でディアナ様を掴んだバージョンを…

566:通常の名無しさんの3倍
06/09/28 01:01:40
闇に紛れて生きるグエン卿が闇に乗じてロランを箸で掴みに来るバージョンをお願いしたい

567:通常の名無しさんの3倍
06/09/28 11:45:35
つ暗視装置付きダムダム弾仕様スナイパービームライフル(愛称:ガンド・ロワ)

568:通常の名無しさんの3倍
06/09/29 00:47:38 eNcjqEo6
よ、読み切れねー
もちょとマターリキボン




でもage

569:通常の名無しさんの3倍
06/09/29 01:08:33 eNcjqEo6
スレリンク(x3板)l50
よしなに

570:通常の名無しさんの3倍
06/09/29 01:18:16
>>569
419 :通常の名無しさんの3倍:2006/09/29(金) 01:06:29 ID:eNcjqEo6
ディアナ様ディアナ様ディアナ様ディアナ様ディアナ様ディアナ様ディアナ様ディアナ様ディアナ様ディアナ様ディアナ様ディアナ様ディアナ様


投票しすぎw

571:通常の名無しさんの3倍
06/09/29 17:58:21 BE:711547597-2BP(21)
>563
乙です乙です。


  .-ー-ーヽ 同一事象を多視点で書くのは難しいのですよ。。。
 /  i_i_i_i_i_i
 iノ |ノ|*゚ー゚)/ ̄ ̄ ̄ ̄/
 |ノ| リ つ /  VAIO /____
   ̄ ̄\/____/



~~予告~~
星の動きが風を生み、育む。
星が止まった時、風はどうなるのか…
次回、ディアナ・ソレルのよしなに日記番外編「決意」
もうあの声は聞こえない。


572:某月某日
06/09/29 21:59:21 BE:135532962-2BP(21)
1/3
#登場人物
#キエルのディアナ様:月の女王
#ミラン:執政官
#ハリー・オード中尉:ディアナ親衛隊隊長
#フィル・アッカマン少佐:ディアナカウンター・アメリア駐留部隊指揮官


ディアナ「移動の手はずは整っているのですか?」
ハリー 「隠密の移動ですので、車は1台、供も私を入れて3名になります。」
ミラン  「少なすぎはせんかな?」
ハリー 「出発時は3台になります。」
ディアナ「3台?」
フィル  「移民局が使用しているアメリア製の同型車を3台用意しました。」
ハリー 「3台にて出発、途中で分かれ尾行を撒きます。ですので、向こうへ着くのは1台になります。」
ミラン  「ふむ。」
ディアナ「分かりました。そのようにおこなってください。」
ハリー 「はい。」
フィル  「では、準備がありますので失礼します。」

ミラン  「フィル少佐、ハリー中尉。少し宜しいかな?」
ハリー 「はい、何でしょう?」


573:某月某日
06/09/29 22:02:53 BE:225888645-2BP(21)
2/3

ミラン  「少佐、ビシニティの治安はどうなのだ?」
フィル  「かなりいいですな。」
ミラン  「しかし、ホワイトドールが発見されたのはあの町だろう?」
ハリー 「はい。戦争初期の戦場に近い町です。」
フィル  「わだかまりや反感が全くないと言えば嘘になります。ですが…」
ミラン  「やはり、護衛を増やすべきではないかね?」
フィル  「ですが。あの町の有力者はハイム家、当主はソシエ・ハイムです。」
     「彼女はディアナ様と個人的な信頼関係にあり、さらに月に行った経験もある。」
     「その彼女の影響であの町はこの付近では一番の親月派です。」
     「実際、他の町で起きたような事件は発生していません。」
ミラン  「…」
ハリー 「まぁ、何とかなるでしょう。」
     「ここだけの話。我が隊員を数名、昨夜のうちにハイム家周辺に潜入させています。」
     「彼らにはスモーとワッドも与えていますから、過激派が動いたとしても対処できます。」
フィル  「聞いてないぞ!」
ハリー 「言ってまわる事ではなかろう?」『実際にはさらに一個小隊が常駐しているとは言えんな』
フィル  「ふん」『どうせ10名単位で送り込んだのだろう?』
ミラン  「護衛の件、治安の件は了解した。」
ハリー 「では、私も着替える必要があるので失礼。」
ミラン  「中尉。」
ハリー 「はい?」
ミラン  「くれぐれもよろしくな。」
ハリー 「はっ!」


574:某月某日
06/09/29 22:05:14 BE:406599449-2BP(21)
ミラン 「少佐はお会いした事は?」
フィル 「大統領府で何度か御眼に掛かったことがありますが、会話と呼べるような事は…」
ミラン 「ご尊顔を拝謁できただけでいいではないか。」
フィル 「本当によいのですか?今ならこちらにお出でいただく事も可能。そうすれば…」
ミラン 「いや、これでいいのだ。お会いすれば決意が鈍る…」
フィル 「決意?」
ミラン 「あの日…」
     『先の戦争の折、ディアナ様への忠誠を改めて誓った時』
     『この身命を賭して、ディアナ様の意志を形にすると…』
     「ふ…」
     「そろそろお見送りに行くとしよう。」
フィル 「…」


#END


575:通常の名無しさんの3倍
06/09/30 00:02:20
>>572-574
職人さん乙です
しかしこの二人のやりとりを見てると
どうしても劇中での描写不足を改めて感じさせられる

最後に、ハリーは中尉じゃなくて大尉だよね?

576:某月某日
06/09/30 00:07:36 BE:542131968-2BP(21)
おおぅ。昇進したの忘れてたよw

今回はネタ書いてると途中に曾我部さんの訃報を聞いたので、ミラン主役です。

577:通常の名無しさんの3倍
06/09/30 00:30:19 xsUAClU/
hage

578:食いしん坊なディアナ様1/2
06/10/02 17:51:30
「ロラン!これは一体どういうことですか!?」
「どうかしましたか?ご飯にはまだ早いですよ。」
「そういうことではありません!一昨日も昨日も今日も雨ばかりではありませんか!」
「それは仕方がありませんよ。ここは地球なんですから。」
「それは分かっています!でもこんなに雨ばかりだと頭からキノコが生えてきてしまいます!」
「それは面白そうですね。食用のキノコなら食費も浮くし、最高じゃないですか。」
「ロラン!わたくしはまじめに言っているのです。こんな天気ばかりじゃ散歩にも行けません!」
「(要するに、散歩したいけど外に出られないから退屈なんですね)
天気ばかりはどうしようもありませんよ。このチョコパンでもつまんでいてください。」
「食べ物だけで機嫌が良くなるほどわたくしは食いしん坊ではありません!」
「いりませんか?」
「…欲しくないとは言ってません。」
そう言ってロランから貰ったパンにかぶりつくディアナ様。
「うん。おいしい♪」
「(なんだかんだ言っても、機嫌がよくなるんだよな)
それで夕食まで我慢してください。」
「一つじゃ足りません。もう無いのですか?」
「そんなにありませんよ。それに晩御飯が食べれなくなりますよ?」
「ご心配なく。甘いものは別腹です。」


579:食いしん坊なディアナ様2/2
06/10/02 17:52:58
「…太りますよ?」
「余計なお世話です!ロランにはレディーに対する気遣いが足りません!」
「ディアナ様の健康のためを思って心を鬼にして申しております。」
「わたくしの体内にはいくら食べても太らないナノマシンが投与されているので心配要りません。」
「(キエルさんと入れ替わっていた数ヶ月で2kgも太ったって騒いでたじゃないですか…)
はぁ…そういうもんですか。」
「そういうもんです。そういえば、わたくしはまだキエルさんの手作りの
マロングラッセを食べたことが無いんですよね。」
「そういえばそうですね。とっても美味しいんですよ。」
「…よし!今から会いに行きましょう!」
「会いに行く…って今からですか!?どうやって会いに行くんですか!?」
「リリ様に月に連絡を入れてもらって、ソレイユで迎えに来てもらえれば今日中には会えますよ。」
「…それって、ものすごく迷惑じゃないですか?」
「かつての月の女王として、キエルさんのアドバイザーとして行けばいいんです。
そうと決まればすぐに支度をしましょう。ロランはリリ様に連絡してください。」
「…はい…(キエルさん、ハリーさん、リリ様。申し訳ございません。
僕には、もうディアナ様の突撃を止めることは出来ません…)。」
「ふふふ…実に素晴らしいアイディア…待っててくださいね、キエルさん手作りのマロングラッセ!」
「(…キエルさんじゃなくて、マロングラッセなんですね…。)」

その後、大至急ソレイユを呼んでもらったリリ様にロランは謝罪し
女王の職務を中断してまでマロングラッセを作らせてしまったキエルさんにロランは頭を下げ
かつての女王の暴走に激怒しているハリー大尉をロランがなだめました。

そんなロランの苦労など知らずにキエルさんの手作りマロングラッセを味わうディアナ様でした。


580:通常の名無しさんの3倍
06/10/02 18:36:43
一言だけ言わせてもらおう

GJ

581:通常の名無しさんの3倍
06/10/03 19:42:23
>かつての女王の暴走に激怒しているハリー大尉

ベルガバロスwwwwwwwwwwwwww

582:通常の名無しさんの3倍
06/10/06 21:52:57
ネタを考えながら保守

583:通常の名無しさんの3倍
06/10/08 01:05:10 cBmqSPj5
あげとくぞ

584:ロランだけど…
06/10/08 01:20:28
 最近、ディアナ様は読書がお好きらしい。
夕べも夕食の後、部屋で音楽をお聞きになりながら、
お気に入りのロッキングチェアーにずっと座ってらっしゃったようだ。
しかも相当熱中しているご様子で、深夜までそのロッキングチェアーの揺れる音が
聞こえてきていた。
そのせいか、今日はずいぶんとお寝起きが悪いようだ。
時計が9時を回って仕事に出かけなければならなくなったぼくは、
一応、ディアナ様のご様子を伺いに寝室へと向かった。
「ディアナ様…。」
ドアの向こうからは物音一つ聞こえてこない。
ぼくは少し不安になりながらもう一度ドア越しに尋ねてみた。
「ディアナ様…、ぼくはこれから仕事に出かけます。
朝ごはんはサラダを冷蔵庫に入れておきましたので、
トーストを焼いて食べてください。」
…。おかしい。いつもなら何かしらお返事をしてくださるはずなのに、
なぜかドアの向こうからは物音一つしない。まさか―。
まさか、ディアナ様の身に何か…。焦燥を覚えつつ、ドアを開けようとした瞬間だった。
「ん~、おひげ…。」
ぼくはドアノブに手をかけながら生唾を飲み込んだ。
今のは確かにディアナ様のお声だった。しかし、なんなんだろう。
ひげがどうかしたのだろうか?
ぼくは何も聞こえなかった振りをして「すみません、入らせていただきます」と言いながら
ドアノブをゆっくりと引いた。


585:ロランだけど…2
06/10/08 01:23:25
 部屋の窓にはカーテンが引かれていて薄暗かったが、
漏れてくる光でその様子はすぐにわかった。
ディアナ様は、よほど本に熱中されていたのか、ロッキングチェアーにお座りのまま
むにゃむにゃと何か寝言のようなことを言いつつすーすーと寝息を立てておられた。
「ディアナ様、そんなところでお休みになられていては、イテッ。」
部屋の中に入っていくと、足に何かがぶつかった。
本が山積みになっていた。
すごい、さすが月の女王様だ、ぼくはつま先の痛みより先にすぐにそう思った。
本の題名は、『宇宙英雄伝』。しかも、見たところ10冊はある。
女王様は、やっぱり“英雄”とかについて勉強しなきゃならないのだろうか。
とりあえず今は女王ディアナ・ソレルにお戻りになられるおつもりはないだろうけど、
なんというか、ディアナ様がそんな本を夜通しお読みになっているというだけで、
ぼくは改めて畏怖の感情を目の前に向つつ、
足元の本を拾って中を見てみた。
…。
…なんだこれ?…マンガ?
しかも、なんだろう、すごい、劇画だ。しかも…幼稚だけど濃いな。ヒゲが…。
この主人公、なんでこんなに青ヒゲが濃いんだろう。ん、まてよ、ヒゲ…?
ぼくはふとあることを思い出した。ウィル・ゲイムさん…?
なんてことは―。


586:ロランだけど…3
06/10/08 01:25:24
ふとその時、「んん…。むにゃむにゃ。」と言いながらディアナ様がこちら側を向いた。
まだ眠ってらっしゃる。とてもきれいなお顔立ちから、
すーすーと無邪気な寝息がぼくの頬を掠めた。
ぼくはその顔をじっと眺めた。ほんのちょっと手を伸ばせば触れられる。
ほんのちょっと、勇気を出せば、ぼくは、ぼくはもっと…。
けれどぼくは、ああ、ディアナ様…!
「んん~、おひげ、待って、ウィ…ル。」

「…!ディ…ディアナ様!」

ぼくはふと、体中から血の気が引いていくのを感じた。
いや、そうだ。そうなのだ。ぼくは何を考えていたんだ。
ディアナ様は月の女王様で、ぼくはただ護衛と執事を任されただけの
いちムーンレィスでしかないというのに…。

どうしようもなく打ちひしがれた気分だった。
そんな胸の内を自分自身で必死になだめつつ、
ディアナ様のひざ上にかけられている毛布に視線を落とした。
毛布をゆっくりと肩まで上げつつ、ベッドまで抱きかかえて行って
差し上げたほうがよいのかどうか考えて、少しの間固まってしまっていた。
そのときだった。
ディアナ様の手が伸びてそっとぼくの手を握った。
白いきめの細かい手がぼくの手の甲を包み込んだ。
ぼくは芯まで固まって、まるで石のように動けなくなってしまった。
そして、ディアナ様は目をおつむりになったまま穏やかな口調でおっしゃった。
「ロラン、…ありがとう。」
途端にぼくの体温が上がったからなのかもしれない。
以前と同じ、少し温度が低めの手だと感じた。
ディアナ様はなんとなく微笑を浮かべて、相変わらずすーすーと寝息を立てておられた。
夢の中に、ぼくも出てきたのだろうか。
そして、そんな夢を見ながら、こんないいお顔をされているんだろうか…。
ぼくはなぜかほっとした胸を小さなため息に換え、
ディアナ様の目が覚めないようそっとその手を握り返すと、そのまま毛布の中に戻した。


587:ロランだけど…4
06/10/08 01:28:12
 帰ってきて、ディアナ様に聞いてみた。
「ああ、あのマンガは、ソシエさんからお借りしたものです。なんだか読み出したら
 止まらなくなってしまって。」
ソシエお嬢さん。そうだったのか、ああいうのがお好きだったのか。
どうやらディアナ様はほかにもいろんなマンガをソシエお嬢さんからお借りになって
読んでいらっしゃったらしく、ぼくはちょっとだけ苦笑いした。
結構、劇画調の少年漫画ばかりだったし…。けれどなんとなく、ぼくは満足だった。
あの時、確かにディアナ様の夢の中にはぼくがいた。
それに、あの微笑みはぼくがディアナ様にとってどういう存在なのかということを
確信できるもののようにも見えた。
 以前、ハリーさんが言っていた。“ディアナ様の悲しみは誰よりも深い”、
ウィル・ゲイムさんとの100年越しの恋を、ディアナ様は今でもちゃんと
お心に残しておいでなのだということに、ぼくはかえって心が温かくなるのを覚えた。
嘘偽りない、飾り気一つなく、それでいて純粋で、たまに子供っぽいところを
お見せになりながらも、やはり気品にあふれていらっしゃる、
そんな表情をされる方はきっとどこにもいないだろう。
 夕食のテーブル越しに見るディアナ様は、いつものディアナ様だった。
とてもやわらかくて、自然な感じのする笑顔が折に触れて覗く。
「あ、もしロランも読みたかったら、貸してさしあげますよ。
 ソシエさんにお返しするのはもう少し先ですから。」
ぼくはうんうんと頷きながら、「聞いているのですか?」と怒ったようなことを
言いつつも楽しそうにしていらっしゃるディアナ様を、しばらくの間見つめていた。

 月明かりの差し込む部屋で、ぼくは明かりを手元に持ってくると、
ベッドに横になりながら久しぶりに読むマンガのページを一枚一枚めくっていた。
しかし、それにしても、である。まさかウィルさんって…。こんな顔だったのだろうか?
ぼくはなんとなくうなりたくなる様な疑問を抱きつつも、ま、そんなことどうでもいいか、
と考えながら、あの時のディアナ様の微笑みばかり思い浮かべていた。


588:通常の名無しさんの3倍
06/10/08 01:59:07
>>584-587
GJ!
ロランってかなり人間できてるから
ロランが悩むイメージてあんまり無いけど
実際には結構身分とかに劣等感抱いていたかもしれないんだよな
周りにいる人は女王に主人に領主の跡継ぎだし
またネタがあったら書いてくれ

589:通常の名無しさんの3倍
06/10/10 22:31:49
>>588
ありが㌧
実は俺は>>582じゃない。
ネタがしばらく浮かびそうにないので保守

590:588
06/10/10 23:16:23
>>589
>実は俺は>>582じゃない。
それはそうだろう。
だって>>582は俺だしw
まあ俺も完成したら駄文ながら載せさせてもらいます。

591:通常の名無しさんの3倍
06/10/11 00:26:23
>590
レスサンクス

592:二人の関係 1/10
06/10/11 16:51:25
ここで隠棲するようになってからわたくしの時間はゆっくり流れるようになった気がします。
以前の1分単位で、時には100年単位で時間に縛られていた以前の生活からは嘘のようです。
中でも本を読みながら過ごす午後のティータイムは至福のひと時です。
「ディアナ様、紅茶をお持ちしました。
今日はクッキーを焼いてみましたのでよろしかったら食べてください。」
ロランは今日もわたくしのために紅茶を用意してくれます。
忙しそうに家事をこなすロランに少し休むように言いました。
「ありがとう、ロラン。貴方も無理をしないで休憩を取ったらどうですか?」
「ですが、まだ掃除が終わっていませんので…。」
わたくしが手伝おうとしても『ディアナ様は休んでいてください』
と言うだけでわたくしはあまり家事をやらせてもらえません。
わたくしを気にかけくれるからなのでしょうが、わたくしにとっては心苦しいことでした。
ですから、せめて休憩ぐらい適度に取ってほしいと思いました。
「ロラン、そこまで丁寧にしなくても結構ですよ。休むことも大切なことです。
…それに一人でティータイムを取るよりロランが話し相手として
いてくれた方が楽しいですしね。駄目ですか?」
「…じゃあ、お言葉に甘えさせてもらいます。」
「そうなさい。いま貴方のカップを持って来ますから。」
そう言ってロランを休ませると、わたくしはロランのティーカップを用意して紅茶を注ぎました。
「ありがとうございます。…本を読んでいたのですか?」
「はい。まぁ、本と言うよりはわたくしが今までに書いた日記なんですけどね。…読んでみますか?」
「えっ?よろしいんですか?」
「構いませんよ。でも、笑わないでくださいね。」
「笑うなんて。じゃあ、失礼します。」
わたくしはロランに、今自分が見ていたページを開いたまま日記を渡しました。
「…このページは…ディアナ様とキエルさんが入れ替わった時の事ですか?」
「はい。正確に言うなら、わたくしとキエルさんが入れ替わった次の日のことですね。」


593:二人の関係 2/10
06/10/11 16:52:29
1年前

「行ってきまーす。キエルお嬢さん!」
「ちょっと!お弁当!」
「すみません、ジェシカさん。」
「行ってまいりまーす。お嬢さん!」
「気をつけて行っといでー。」
「ロランはどこに行くのですか?」
「マウンテンサイクルですよ。」
「…そう。」

わたくしはディアナ・ソレルです。だけど悪戯心からキエルさんと入れ替わって
今はキエル・ハイムを演じています。
墓参りの後、すぐにミリシャの襲撃に遭遇してしまい
キエルさんとは元に戻れぬまま分かれてしまいました。
そのことを誰かに相談するわけにも行かずに今はこんな状況になってしまっています。
まぁ、今は停戦中ですからキエルさんの身が危険にさらされることは無いとは思いますが
少々迂闊だったと反省しております。
今度グエン閣下がディアナ・ソレル(今はキエルさんですが)と交渉する時にこそ
元通りに戻らなければいけないと考えていますが
それまではキエル・ハイムを演じているのも面白いと思い
すぐにソレイユに戻ろうとは思いませんでした。
…その考え方がいかに甘かったかその時は考えもしませんでした…。

わたくしは入れ替わったときに出会ったロラン・セアックという名の少年に興味を持っていました。
彼は地球帰還作戦の先遣隊に選ばれた一人。
そして、ムーンレィスであるはずのロランが地球の人たちと普通に暮らしている
彼の生活はわたくしの目指すところでもありました。
また、ロランが悪意を持たない少年であることはすぐに分かりました。
少なくともあの少年なら、わたくしの正体がばれたとしても命の危険は無いだろう。
そう判断したわたくしはロランを追ってマウンテンサイクルへ向かいました。


594:二人の関係 3/10
06/10/11 16:53:31
マウンテンサイクルはわたくしの想像以上に広く
徒歩でロランを探していたら1日かかっても見つからないような大きさの山でした。
そこでわたくしはここで発掘をしていると思われる一人のおじいさんに尋ねてみました。
「あの、ちょっとよろしいでしょうか?」
「はいはい?おや、キエルお嬢様。どうしてこんなところに?」
(なるほど、このご老体はキエルさんの知り合いなのか。)
そう察したわたくしは以前からの知り合いのように尋ねました。
「ロランがどこにいるかご存じですか?」
「ロランの奴なら向こうで発掘作業をやってます。ホワイトドールを使ったほうが
MSの発掘は効率的ですからね。」
「?…ちょっと待てください!ロランがホワイトドールを使って発掘しているのですか?」
「前々からホワイトドールの操縦はロランが行なっていたじゃないですか。
お嬢様はご存知ありませんでしたかな?」
(どういうこと?ホワイトドールのパイロットはローラ・ローラのはず…。
どうしてロランがホワイトドールを…?)
わたくしが思考を廻らしているとおじいさんがわたくしにこう言いました。
「ロランに用があるんじゃったらトラックで送りましょうか?
途中までは同じ道ですし。」
「お願いできますか?」
「じゃあ乗ってください。10分もあれば着きましょう。」
トラックで移動中もホワイトドールのパイロットについて考えていました。
(ローラがホワイトドールのパイロットでロランもホワイトドールを操縦している…?
ムーンレィスならMSを扱えることは不思議なことではないが、このおじいさんは
『以前からロランが操縦している』と言っていた…。
じゃあ、新聞の記事になったムーンレィスのローラ・ローラって何者…?)


595:二人の関係 4/10
06/10/11 16:54:28
「キエルお嬢様!?どうしてこんなところに?…シドさんが送ってくださったのですか?」
(なるほど、この人はシドという名前なのか。それにしても…。)
ロランはホワイトドールのコクピットから出てきました。
(少なくともロランがホワイトドールを扱える以上パイロットは最低2人か…。
もしかしたら、ホワイトドールも2機以上存在するのかもしれない…。)
ここまで考えて、わたくしはとりあえずこれ以上考えることを辞めました。
キエル・ハイムとしてこのMSやロランの近くにいれば
答えは自然に分かるだろうと思ったからです。
「お嬢様がロランに用があるらしい。それでワシがお送りしたというわけじゃ。」
「そうだったんですか。ありがとうございました、シドさん。」
「ありがとうございました。わたし一人では迷子になってました。」
「なんのなんの。途中だったから送っただけじゃよ。じゃあな。」
そう言うとシドさんはトラックに乗って行ってしまいました。
「それにしても、お屋敷で何かあったんですか?キエルお嬢様がこんなところまで来るなんて?」
「いえ、今日は秘書の仕事はお休みですから、ロランが普段どんなことをしているのかと思いまして。」
「…そうなんですか。珍しいですね。お嬢様が僕の仕事に興味があるなんて。」
(たしかに、主人と使用人という観点から見ればこんなことはありえないか…。
でもキエルさんの妹のソシエさんとは仲がよさそうに見えたけど…。
…キエルさんはソシエさんの様に必要以上にはロランに接してこなかったのだろうか…?)
「…そうかもしれませんね。まぁちょっと興味があったものですから。」
「なるほど。とりあえず12時ですしお昼ご飯にしませんか?」


596:二人の関係 5/10
06/10/11 16:55:18
ロランの言葉を聞いてわたくしはお弁当を持ってこなかったことに気がつきました。
ロランもわたくしが昼食を持ってない(と言うより何も持ってきてない)
ことに気がついたようです。
「あれ?キエルお嬢様、お弁当持ってこなかったんですか?」
「はい…。用意してきませんでした…。」
「…だったら、僕のお弁当でよかったらどうぞ食べてください。」
「そんな!これはロランの昼食でしょう?貴方はどうするのですか?」
「一食ぐらい食べなくても大丈夫ですよ。朝食だって食べてますし。」
「何を言うのですか!これは貴方の昼食です。ロランの昼食を頂いておいて
わたしだけが食事をするなんてことできるわけありません!」
「じゃあ…半分づつしましょうか?」
「えっ?」
「そうすれば二人とも食べれるじゃないですか?」
「でも…本来は貴方の分なのですよ?ロランの昼食が少なくなってしまうではないですか。」
「かまいませんよ。それよりも、キエルお嬢様が僕に気を使って下さったことの方がずっと嬉しかったです。」
「じゃあ…一緒に頂いてもよろしいですか?」
「はい。量が少ないのは我慢してくださいね。」
「そんなこと!…ありがとう、ロラン…。」


597:二人の関係 6/10
06/10/11 16:56:14
(おいしい…。)
地球の食べ物は何を食べても美味しく感じました。
お弁当の中身は昆布のおにぎりが2つ、から揚げが4つにポテトサラダという
比較的簡素なものでしたがどれも美味しいものでした。
調理する人の腕もあるとは思いますが、もっと根本的に
地球と月の食べ物は違う気がしました。
紅茶もなかなかのものでした。
カップが一つしかなかったのでわたくしがカップを使わせてもらいました。
ロランは水筒に口を付けない様に器用に紅茶を飲んでいます。
「美味しいですか?」
「えぇ、とても。」
「よろしかったら僕の分も食べてくださって構いませんよ?」
「そこまで気を使っていただかなくても大丈夫です。」
この少年は優しい。主人と使用人という立場的な関係もあるのだろうが
これだけ気遣ってくれるのは彼の本質的な性格や思考からくるものだろう。
わたくしの周りの人は女王として扱ってはくれているが
まるでガラス細工でも取り扱うようにわたくしに接する人が多い。
そういう意味では『純粋な意味で心配してくれる人』がいるキエルさんが羨ましく思いました。
「あれを掘り出していたのですか?」
わたくしたちの近くに緑色で丸い形をしたMSらしきものが3つ
その横に黒い楕円型の板のようなものが1つありました。
「はい、カプル3機とホワイトドールのシールドらしきものを発掘しました。
午後からはシールドの様な物の周りのナノスキンを剥がして調べてみようと思ってます。」
あれがミリシャのカプルですか…。ウォドムやスモーと比べるとなかなか愛敬のある姿です。


598:二人の関係 7/10
06/10/11 16:57:16
「キエルお嬢様が直接ここまで来られたのを見たときにはグエン様からの
命令でも伝えに来られたのかと思いましたよ。」
「今日は非番ですから。それに命令を伝えるだけなら電話でも構いませんよ。」
「それもそうですね。」
普段の食事は一人で摂ることが多く、また誰かと食事をする場合でも
会食のように気を使いながらの食事が多かったわたくしにとって
雑談しながらする食事は久しぶりに感じました。
できることならキエルさんとしてではなくディアナとして
話をしてみたかったのですが、さすがにそれはできませんでした。
「それにしても…。」
昼食をとり終えたロランがわたくしに言いました。
「いくら任務とはいえあの舞踏会には参りましたね。グエン様の命令とはいえいくらなんでも
ローラとしてパーティーに参加するなんて考えてもいませんでしたよ。」
わたくしはその言葉を聞いてハッとしました。
(ローラとしてパーティーに参加した…?)
畳み掛けるようにロランは続けます。
「まあ、そのおかげでディアナ様主催のパーティーに参加できたわけですから
そういう意味では嬉しかったんですけどね。」
わたくしはこの発言でようやく理解できました。
ローラとロランは同一人物だったのです。
…たしかに、美しい銀色の髪、褐色の肌、緑色の瞳、身体的な特徴は良く似ております。
背丈も同じぐらいですし、声色も似ているように感じました。
(美しい女性だと思っていたら実はロランだったとは…。)
そう考えると舞踏会でロランに美しいお嬢様なんて言ってしまった事と
まじめに女装しているロランの姿を思い浮かべてしまったわたくしは
なんだか可笑しく思えて笑ってしまいました。
「いきなり笑い出だしてどうしたんですか?」
「いえ、ロランの女装も可愛かったのになぁ、と思いまして。」
「お嬢さま!からかわないでくださいよ。結構恥ずかしかったんですよ!」
「うふふ…。ごめんなさい。」


599:二人の関係 8/10
06/10/11 16:58:08
ロランとローラが同一人物だと言うことがわかった
わたくしにはある一つの疑問が浮かびました。
「ねぇ、ロラン。」
「…なんでしょうか?」
まだ怒っているのでしょう。ちょっと不機嫌そうに答えるロランでしたが
ふてくされてるロランの顔もなかなか可愛いものですね。
しかし今回は気持ちを切り替えてまじめに訊きました。
「ロランは何故戦っているのですか?」
今までのロランとのやりとりを思い返してもロランは戦争を望んではいない。
決して戦いを好む人ではないことは分かりました。
ロランがミリシャの軍人ならばおかしな話しではありませんが
ソシエさんとは違い彼は軍人ではないように見られました。
「…そうですね。」
そう呟いたロランは考え込んでいるように見られました。
やがて意を決したようにこう答えました。
「僕は…僕は地球人とムーンレィスが仲良く暮らせるようになってほしいと思っています。
そう考えている僕がホワイトドールに乗ってディアナカウンターと戦ってるのは
矛盾しているのかもしれません。」
わたくしにはロランの顔が悲しんでいるように見えました。
「僕は当初、ディアナ様が地球に降りてきてくださればこの戦争はすぐに
収まると思っていました。でも、僕の考えは甘かったようです。
停戦協定が結ばれている中でディアナカウンターのウォドムが
マウンテンサイクルに奇襲をかけてきました。」
「…」
「その時に気づいたんです。今回の戦争は今日明日に終わるものではないと。
今回の戦争で旦那様は死に、奥様もそのことで心に深い傷を負われました。
…だから、もう誰にも傷ついて欲しくないんです。僕にとって大切な人たちには、
これ以上悲しい思いをして欲しく無いんです。」


600:二人の関係 9/10
06/10/11 16:59:05
わたくしは何も言えませんでした。わたくしの発案した地球帰還作戦は、
地球人とムーンレィスの新たなる一歩となるはずだったのに
どうしてこんなことになってしまったのか…。
ロランは続けます。
「僕が舞踏会でディアナ様に直訴をした時、ディアナ様はこう言ってくれました。
『誰も戦いなどは望んでいません。貴方とわたくしは、立場は違いますが
思いは同じと感じました。お互いに頑張りましょう。』と…。
ディアナ様は戦いを望んでおりません。旦那様を殺されたお嬢様には
信じていただけないかもしれませんが、これだけはたしかです。
そして僕は、ディアナ様とグエン様が交渉を続けてくだされば
必ず平和な世界を作ってくれると信じています。
だから、僕は戦います。誰もが笑顔でいられる世界が出来るまでの間、
地球人もムーンレィスも、一人でも多く犠牲者を減らせるように。」

わたくしは自分の胸が抉れる思いがしました。
この少年はこれほどまでにわたくしのことを信じてくれているのに。
少年は自らの命を賭けて戦っているのに…。わたくしはなにをしているのだろう…。
ソレイユに戻るのは次の機会で良いなどとなんと浅はかな考え方だろうか。
…わたくしはこのような所で遊んでいて良いはずが無い。
キエルさんだって、今頃わたくしのせいで大変な思いをしているでしょうに。
何よりも、わたくしが今ここで職務を放棄しているこの瞬間にも人は死んでいるのだ…。
わたくしは、一刻も早く、地球と平和条約を結ばなければならない。
これ以上犠牲者をださないために。
ハイム家の人たちのような不幸をこれ以上起こさせないために。
そして、こんなわたくしのことを信じてくれている人たちのためにも…。
わたくしは自分の心にそう誓いました。


601:二人の関係 10/10
06/10/11 17:00:16
現在

「…どうかしましたか?」
「途中まで読んでみましたけどこの時の僕、すごい恥ずかしいことを言ってる様な…。」
「そんなことありません。あの時、いえ。あの時以来わたくしの傍に
いてくれたのがロランで本当に良かった。」
「そんな…。僕の方こそ、ディアナ様が傍にいてくださって
毎日が楽しかったし、嬉しかったです。感謝したいのは僕のほうです。」
「ありがとう、そう言ってくれて。そして、今でも一緒にいてくれて…。」
「やめてください、僕の望んでいたことでもあるんですから。」
考えると不思議なものです。3年前、フラットで地球に降下した少年と
当時の月の女王が一緒に暮らしているのですから。
今のような状況を想像できた人は多分一人もいなかったでしょう。
「あ!もうこんな時間ですね、夕食の準備をしてきます。」
いつもなら、ロランに任せてしまっているのですが
今回はわたくしの思いを伝えることにしました。
「ロラン。わたくしにも手伝わせてください。」
「そんな!ディアナ様の手を煩わせるなんて。」
「…わたくしは、いつもロランに助けられてきました。出会ってから今もずっと…。
わたくしだって、ロランの助けになりたい…。」
「ディアナ様…。」
「…わたくしだって、貴方の力になりたいんです。助けられてばかりなんて…そんなの嫌です…。」
ロランはわたくしの部下でも使用人でもない。そんな関係を望んでいたんじゃない。
わたくしだって、いつかロランと…。
「…わかりました。じゃあ手伝ってもらえますか?」
「はい。おねがいします。」
「それは僕の台詞ですよ、ディアナ様。」

わたくしは、貴方からたくさんの楽しみと、希望と、幸せを貰い続けています。
だから、ロランに負けないぐらいわたくしも貴方を幸せにしたいです。
…だってわたくしの恩返しは、まだ始まったばかりなのですからね。

ロラン、これからもよしなに。


602:通常の名無しさんの3倍
06/10/11 17:29:54 BE:158122627-2BP(21)
GJ!!
素晴らしい(;´Д`)ハァハァ


1つだけ言わせて貰うと、お弁当はおにぎりではなくパンの方が自然かと。

603:通常の名無しさんの3倍
06/10/11 17:59:57
>>592-601を書いたものです。
いまさら手遅れですがとんでもない誤字があったので訂正しておきます。
>>600のロランのセリフで

×地球人もムーンレィスも、一人でも多く犠牲者を減らせるように
○地球人もムーンレィスも、一人でも犠牲者を減らせるように

よりによってなんでこんなところでorz
その他不適切な表現などあると思いますが脳内で正しく直しておいてください。

>>602
パンでも良かったんですが、著者の好みでおにぎりにしてみました。
まあぶっちゃけパンでもいいですw

604:通常の名無しさんの3倍
06/10/11 22:10:39
>>592-601
原作の画像が頭に浮かんでくるようでした。
GJ☆

605:通常の名無しさんの3倍
06/10/12 19:38:44
>>602-603
まあかつて、「二人のログハウスには立派な掘りごたつがある」という設定での
傑作SSもあった事だし、ハイム家のライフスタイルは部分的にエイジア…
もっと言えば案外ヤーパン志向だったのかもしれないと考えてみるのも一興かと。

606:通常の名無しさんの3倍
06/10/13 21:06:26
それを含めてGJ

607:通常の名無しさんの3倍
06/10/15 01:43:39
ユニヴァァァァァス!!
ユニヴァァァァァス!!

608:通常の名無しさんの3倍
06/10/18 22:41:43
4472

609:通常の名無しさんの3倍
06/10/21 18:55:22 fbllUmfz
ゆにばす

610:ロランの憂鬱な一日 1/2
06/10/22 00:06:46
今日は僕の元主人だったソシエさんが遊びにきました。
それだけならば歓迎すべきことだったのですが、ソシエさんが
退屈しのぎにとゲームを持ってきたことが不運の始まりでした。
「軌道戦士ガンダムSFFD 連邦VSZAET」 というそのゲームは
早い話が黒歴史時代のガンダムを操作して戦うゲームのようです。
そのゲームでディアナ様とソシエさんが対戦することになったんですけど…

「それ!この!当たれ!」
「あまい、そこ!」
「……。」
「くっ!やりましたね!」
「貰った!!」
「そこで覚醒!そんな…。」
「……。」
どうやら勝負あったようです。くわしいルールまでは分かりませんが
ディアナ様が負けたことだけは分かりました。
「ふふん♪38戦38勝0敗ね。」
「も、もう一回お願いします!」
「いいですよ。」
「……。」

と、昼食以降この調子で困っています。
僕はお茶の準備をしながら2人の様子を見ていることしかできません。
全く辞めようとしないディアナ様も凄いけど
ソシエさんも手加減する気は無いようで、まるで恨みでも晴らすかのように
容赦なくディアナ様の操縦する機体を破壊していきます。

「こんどこそ…必殺ハイマットフルバースト連射!」
「かわいそうなディアナさん…。」
「なんですって!」
「それだけであたしに勝てると思うなんて笑止。今、楽にしてあげる。」
「そんな!横からビームが!後ろからも!?」
「さようなら、ディアナさん。」
「!!…そんな…レーダーにも横にMSの反応が無かったのに。」
「ドラグーンはいろんな方向から攻撃できるのよ。」
「くっ!もう一回!!」


611:ロランの憂鬱な一日 2/2
06/10/22 00:08:12
「その前に、お茶でも飲みながら休憩しませんか?」
口を挟むならここしかないと言うタイミングを見計らって二人に提案しました。が…
「駄目です!今は女同士の意地を賭けた真剣勝負なのです!
お茶を飲んでいる暇などありません!!」
「で、でも…。」
「あたしは貰うわ。ありがと、ロラン。」
「ソシエさん!?今は勝負の最中なのですよ!?」
「せっかくディアナさんのためにお茶を入れてくれたのにその行為を一蹴された
ロランがかわいそう…。こんな人のところじゃなくて家に来ない?
ここよりはいい生活させてあげるわよ?」
「いや、僕は…。」
「ソシエさん!こんな人とはなんですか!?わたくしの前でロランを誘惑するなど、
万死に値する行為です!!」
「そうは言ってもね~。どうせ生活無能力者のディアナさんは
ロランと一緒にいても1日中ゴロゴロして食べて寝るだけでしょ?」
「くぅぅ!!間違っていないとはいえ、かつての女王に対する侮辱の数々!
もう許せません!コントローラーを取りなさい!ディアナの法の裁きを受けていただきます!」
「いいわよ。やれるものならね♪」
「……はぁ…。」
と、こんな様子で今日一日が過ぎていきました。
結局ディアナ様は一度もソシエさんに勝つことができず
248戦248敗という不名誉な連敗記録を打ち立ててしまいました。
心身ともに疲労していたディアナ様はソシエさんの
「置物の方が、マシだったわね。」
という止めの発言を聞いてついに倒れてしまいました。
そんな泡を吹いて気絶したディアナ様の様子に満足したのか
「新作が出たらまた相手してあげるからそれまでCPU相手に特訓しておいて。」
という伝言を僕に聞かせると満足そうに帰っていきました。

…なんか疲れた…。

追伸
ディアナ様が風邪をひかないように寝室に運んだときに
ディアナ様がまた重くなっていることに気がついた。
もう少しディアナ様の生活態度について考えた方がいいのかもしれないな…。


612:通常の名無しさんの3倍
06/10/22 10:05:08
GJ!


そうか・・・またかロラン・・・



頑張ってこれ以上ディアナ様がふt(ディアナの法の裁きを受けました。続きを読むにはここを押してください)

613:通常の名無しさんの3倍
06/10/22 10:30:21
ユニバースユニバース

614:通常の名無しさんの3倍
06/10/22 10:49:27
>>611
GJ!
そのうち
「重い!しかし、ディアナ様一人僕の力で持ち上げてみせる。
ロラン・セアックは伊達じゃない!」
が、見られるのをwktkしながらまってます。

615:通常の名無しさんの3倍
06/10/22 13:41:54 qnct8zf2
「軌道戦士ガンダム」よりも「機関士ゲソダ6」の方がよかった気が

616:通常の名無しさんの3倍
06/10/24 13:18:10
うるおぼえスレの誤爆か?


それだけ








・・・はっ!俺は今何を口走ったんだ!?

617:ディアナ様歯医者に行く 1/4
06/10/25 01:14:44
「そんなにチョコばっかり食べてると虫歯になりますよ?」
「大丈夫ですよ。ロランは心配性ですね。」
「どうなっても知りませんからね?」

次の日

「うぇ~ん…歯が痛いです…。」
「だから言ったじゃないですか。とりあえず歯医者に行きましょうね。」
「はい…でも、歯医者は痛くないはずですよね?」
「…何を言ってるんですか?」
「え?だって、月では虫食ったところ部分を光で焼いて終わりでしょう?」
「…はぁ。ディアナ様、ここが何処だかお忘れですか?」
「どこって、地球ですけど?」
「地球が月の科学技術を取り入れ始めているとはいえ、まだまだ地球と月では技術に差があるんです。」
「…じゃあどうやって直すんですか?」
「削るんですよ、ドリルを使って。」
「ド、ドリル…嘘でしょう?」
「嘘じゃありませんよ。1mはあるドリルを使って歯をガシガシ削るんですよ。
だから関係ない歯を削ってしまったり、治療前より治療後の方が歯が無くなって
いるなんてことは良くあることなんです。治療中あまりの痛さに失神してしまうこともあり
待合室では子供が泣きながら許しを請うんですよ。」
「嫌です!そんなことになるなら、歯医者なんて行きません。」
「どうしてそんな結果になるのにみんな歯医者に行くのか知っていますか?」
「ど、どうしてなんですか?」


618:ディアナ様歯医者に行く 2/4
06/10/25 01:15:55
「最初の虫歯ができてから3日で歯が全部腐ってしまいます。」
「嘘…。」
「5日後には虫歯毒が回って体中に激痛が走り1週間で死んでしまうんです。
だから子供でも歯医者に行くんですよ。」
「だったら、だったら!月で治療すればいいじゃないですか!?
次の月行きの宇宙船はいつですか!?」
「残念ながら、次は5日後ですね、そのころには体中に毒が回って手遅れになっています。」
「そ、そんな…。」
「さぁ、瞬間の激痛を選ぶか死を選ぶか、どうしますか?」
「…こんなことになるなんて…。」
結局歯医者に行くことになりました…。

「さぁ、付きましたよ。」
「ここが歯医者ですか、見た目は普通の建物なんですね。」
「そう思っていられるのも今だけです。」
「え?」
「覚悟を決めて、入りましょうか?」
「……。」

「ごめんください。予約したキエル・ハイムですけど。」
「少々お待ちください…。お連れの方がキエル・ハイムさんですね。待合室でお待ちください。」
「ありがとうございます。さ、キエルお嬢様」
「は、はい…。あの、このキュィィィンという耳が痛くなる音は何ですか…?」
「やだなぁお嬢様、ドリルの音ですよ。前に説明したじゃないですか?」
「こ、これが1mあるというドリルなんですか?」
「そうです。この部屋の向こうで、今も誰かの歯が削られているんですよ。」
「……。」
「あれ?キエルお嬢様、どうかしたんですか?」
「いえ、ちょっと気分が…。」


619:ディアナ様歯医者に行く 2/4
06/10/25 01:17:03
欝になっていると、わたくし以外にも親子と思われる2人組みが
先客として待っているようでした。
「あの子も治療できたんでしょうか?」
「たぶんそうでしょうね。見てください。あの子、下を向いたまま一言も喋ってませんよ。
自分がこれからどうなるのか小さい体で理解しているんでしょうね。」
「うぅ…逃げたいです…。」
「次は○○ △△さん」
どうやらあの子が呼ばれたようです。
「ほら、入んなさい。」
「……。」
「…どうしたの?」
「…いやだぁぁぁ!!!痛いの嫌だぁぁぁ!!!」
そう叫びながら子供が外へ逃げ出してしまいました。
「コラ!待ちなさい!」
母親らしき人が後を追いかけます。
そんなに痛いんですか…。
「ほらね、子供はああやって逃げるんです。これにこりて、次からは
虫歯にならないように気をつけてくださいね。」
「もう手遅れです…。」
「大丈夫、まだ手遅れじゃなりませんよ。」
「……?」

「キエルハイムさん、診察室にお入りください。」
「さ、キエルお嬢様の番ですよ。」
「うっ、うぅ…。」
「大丈夫です。痛くありませんから。すみません。お嬢様は歯の治療が初めてなので
なるべく優しくしてあげてください。」
「ではキエルさんはムーンレィスですか?痛くないから大丈夫ですよ。」
「お嬢様、怖くありませんから。」
「は、はい…行って来ます。」
実際に治療が始まるとロランの言ってた1mのドリルなんて使われずに
痛みもほとんど無く治療も数分で終わりました。
わたくしはようやくロランに騙されたことに気づきました。


620:ディアナ様歯医者に行く 4/4
06/10/25 01:18:25
「もう!ロランのバカバカ!」
「痛い!痛いですよ、ディアナ様」
「何が『1mもあるドリルですか!?』わたくしが知らないのをいい事に嘘ついて!
他の歯が削られるだの、3日後には腐ってしまうだの、全部嘘じゃないですか!?」
「こう言えば少しは食生活を改めてくれるかと思いまして。
でも最後はちゃんと励ましてあげたじゃないですか?」
「最後だけじゃないですか!?わたくしが歯医者に行くのにどれだけの決心をしたことか!」
「すみません!本気で怖がるディアナ様があまりにも可愛かったもので。」
「やっぱりそんな理由で!もうロランなんか知りません!!」
「ごめんなさい。ディアナ様に虫歯の怖さを知ってもらうためとはいえ
やりすぎました。もう二度としませんから許してください。」
「本当にそう思ってますか?わたくしには反省の色が見えませんが?」
「このロラン・セアック。月の女王ディアナ・ソレル陛下に対して決して嘘は申しません。」
「さっきまで嘘をついていたじゃないですか!」
「…もしかして、本気で怒ってるんですか?」
「当たり前です!」
「…たしかに少々ふざけすぎました。本当にごめんなさい。」
「…今回だけですよ?」
「ありがとうございます。ディアナ様。」
「罰として、ケーキを買いなさい。」
「まぁ、そのくらいなら。」
「キースさんのパン屋さんの特製ケーキですよ。」
「そんなにお金ありませんよ!」
「…やっぱり許しません。」
「…じゃあ今回は特別サービスということで。でも、また虫歯になるんじゃないですか?」
「歯医者が痛くないと分かれば後は体重さえ気にすればいいことです。」
「はぁ、結局食生活は変えられそうもありませんね…。」
「そうと決まればドンキーのパン屋さんにゴー♪」
「わかりましたよ。」

ロラン、今日のことは復讐日記に記しておきますからね。


621:通常の名無しさんの3倍
06/10/25 02:17:32 az9na9eH
後日、チョップ(法の裁き)を喰らう事になるロランたん


622:通常の名無しさんの3倍
06/10/25 22:30:39
ほのぼの

623:通常の名無しさんの3倍
06/10/28 00:58:27
のほほん

624:通常の名無しさんの3倍
06/10/31 00:26:29
ぽかぽか

625:通常の名無しさんの3倍
06/10/31 17:03:45
   .., -ー-、.
  <___,-=◎=〉
i’ |-|*゚ー゚)| ニヤニヤ

626:通常の名無しさんの3倍
06/10/31 19:51:31
>>625
ずれてますよ

627:625
06/10/31 20:15:56
えろうすんませんですorz

628:通常の名無しさんの3倍
06/10/31 22:13:55
>>627
ディアナの法の裁きを受けたくなければ何かSSを書くのだw

629:通常の名無しさんの3倍
06/11/01 20:00:03
>>628
「えいっ」とかチョップなさるディアナ様萌え w

630:命の灯火 1/13
06/11/02 00:06:07
「おいしかったですね。ディアナ様。」
「そう言っていただけると頑張った甲斐がありますね。」
ロランは今日で20歳の誕生日を迎えました。
このあたりは今の時期でもかなり寒くなりますが
雪が降り積もるほど気温が低くなることは滅多にありません。
わたくしは寒いのが苦手なのですが
ロランの誕生日に雪が降り積もり、一面が銀色の美しい景色を見ると
まるで神様が祝福でもしてくれているような気がしました。
わたくしは普段の感謝をこめて夕食はご馳走を作りました。
ロランの料理の腕には及びませんが、それでもわたくしの料理の腕を考えれば
大成功と言えるほど美味しくできたと思います。
「ロランに誕生日のプレゼント、と呼べるほど出来が良くありませんが、
ロランに見てほしいものがあります。」
「ディアナ様が僕のためにプレゼントを?」
「はい。ケーキを作ってみたのですが、お口に合うかどうか…。」
「わざわざ作ってくださったのですか?ありがとうございます!
よろしければ持って来ていただけますか?」
「キッチンに用意してありますので、ちょっと待っていてくださいね。」
ケーキを取りにいこうとキッチンに向かおうとした時、わたくしの視界が突然歪み
まともに立っていることが出来なくなりました。


631:命の灯火 2/13
06/11/02 00:07:00
「……?」
「ディアナ様!!」
その時のわたくしには何が起こったのかを瞬時に理解することは出来ませんでしたが
次の瞬間にはロランがわたくしの体を支えてくれていたことは分かりました。
「大丈夫ですか?やはり無理をしすぎたのではありませんか?」
どうやらわたくしは疲労のせいかバランスを崩して倒れそうになったようです。
わたくしはロランに支えてもらいながら言いました。
「ごめんなさい。少し疲れただけですから…。」
「どうして倒れるまで何も話してくれなかったんですか?
また、入院することになったらどうするおつもりですか?」
「貴方には普段から頼ってばかりなのです。せめて今ぐらいは、
ロランに休んでもらいたいと思いまして…。」
「そこまで気を使ってくださらなくても良かったのに、
ケーキは僕が持ってきます。ソファで休んでいてください。」
ロランはわたくしを抱き上げるとソファに座らせてくれました。
「すみません。今日は貴方の誕生日だと言うのに。」
「謝らないでください。僕のために準備して下さったことでしょう?
感謝はしても、謝られる理由なんてありませんよ。」
ロランはそれだけ告げるとわたくしの代わりにケーキを取りに行ってくれました。
「ふぅ…入院か、あれから一月も経つのか…。」


632:命の灯火 3/13
06/11/02 00:07:58
1ヶ月前

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

わたくしは1ヶ月前に40度近い高熱と吐き気に襲われて月の病院で入院しました。
直接的な原因は疲労でした。しかしそれは、常人ならばそのようなことは
決して起こらないほど軽いものでした。
わたくしは月の女王として千年の時を生きてきました。
月にいたころは冬眠と共に行なってきた延命処置によって
健康面では不自由無く生活してきましたが
地球に降下して以来、延命処置は行なってきませんでした。
それでもしばらくは体内に残っていたナノマシンのおかげで
生活してこられましたが、いまのわたくしの体内のナノマシンはこの数年間で
ほとんど消滅しているらしいのです。その副作用が原因で体力、抵抗力が常人より衰えており
普通の生活を行なうには時間をかけて
少しずつ体力、抵抗力をつけていくしかないようです。
今回は1週間ほどの入院で良いそうですが、また無理をすれば、
今度は命の保障はできないというのがゲンガナムで治療を受けた結果でした。
医師たちはわたくしに延命処置を再び行なうように勧められましたが
それだけは頑なに断りました。

わたくしが倒れたと聞きつけて忙しい中キエルさんにハリー、そしてソシエさんが
駆けつけてくれたことはこんな状況でも嬉しく思いました。
特に、ソシエさんにはわたくしのせいで辛いことばかりさせてしまっていたので
申し訳ないという罪悪感もありました。

「ディアナ様、お体は大丈夫ですか?」
久しぶりに見たキエルさんは以前の美しさと気品を保ちながらも
女王としての威厳を一層身に付け、貫禄を感じさせられました。
「はい、おかげさまで。忙しい中わざわざ来ていただいてありがとう、キエルさん。」
「ロラン君、君にディアナ様を任せたのはこのような事態にならないためなのだぞ。
君がついていながらどうしてこんなことに…。」
「申し訳ありませんでした、ハリーさん…。」


633:命の灯火 4/13
06/11/02 00:08:55
ロランは申し訳なさそうに謝っていましたが、わたくしはハリーの言葉に反発しました。
「ハリー、ロランはよくやってくれています。今回の事態はわたくしの責任です。
ロランを責めるのはやめてください。」
「ですが…。」
「これから先もわたくしの傍にいて欲しいとロランに頼んだのはわたくし。
地球での生活で延命処置を断ったのもわたくし。そんな体で無理をしたのもわたくしです。
ロランには責任はありません。」
「はっ!…その、すまなかったな、ロラン君。怒鳴ったりして。」
「いえ、本当のことですから…。」
それでもロランはハリーに謝り続けていました。
ロランは責任感が強すぎるのでしょう。本来ならば彼に責任など無いはずなのに
それを自分の責任だと言い張るロランの姿に胸が痛みました。
「まぁでも、ディアナさんが無事でとりあえず一安心ね。
最初にロランから電話が来たときは何事かと思っちゃったし。」
「すみませんでした。ソシエさんがリリ様に連絡を入れてくださったおかげで
ディアナ様を月まで送ることが出来たんですから。」
「いいのよ、長い付き合いなんだし。あたしじゃなくてリリ様に
お礼を言った方がいいんじゃない?宇宙船の手配をしてくれたのはリリ様だし。」
ソシエさんもとても生き生きとしているように見られました。
今ではハイム鉱山を継いでキエルさんの代わりに経営を行なっているようです。
もし、わたくしがソシエさんの立場だったらここまで立ち直ることはできていなかったでしょう…。
「ロラン君。すまないが、医師たちがディアナ様の今後の
体調管理のことで話があるらしい。私が案内するからついて来てもらえないか?」
「わかりました。じゃあディアナ様。ゆっくり休んでいてくださいね。」
「頼みます、ロラン。」
「ディアナ様、わたしもまだ職務が残っていますので失礼させてもらいます。
明日、またお見舞いに来ます。」
「ありがとう、キエルさん。貴方も無理をしないでくださいね。」
「お気遣いありがとうございます。では、失礼します。
ソシエ。貴方とはなかなか会えないけど、たまには会いにきてね。」
「姉さんこそ、女王の仕事頑張ってね。」


634:命の灯火 5/13
06/11/02 00:09:53
3人がいなくなった後、病室にはわたくしとソシエさんだけが残りました。
いい機会だったのでわたくしはソシエさんにあるお願いをしました。
「実は、ソシエさんに頼みがあります。」
「どうしたんですか?改まって?」
「わたくしの命は、もう長くないのかも知れません。
わたくしが死んだその時にはロランのことをお願いしたいのです。」
「と、突然何を言いだすんですか!?」
ソシエさんは驚きを隠せないといった表情をしていました。
ソシエさんの反応は当然かも知れません。
「ごめんなさい。いきなりこんなことを話して驚くでしょうが…。
わたくしとロランの間には子供がいません。もし、今わたくしが死んだら、
ロランは一人になってしまいます。でも、ソシエさんにはわたくしと違って未来があります。
他の方では不安ですが、ソシエさんになら安心してロランを任せられます。
以前、ギャバンさんとの結婚を不純だと言ってソシエさんを非難し、
あげくソシエさんから最愛の人を奪った張本人であるわたくしに
本来このようなことを頼む資格があるとは思っていません。
ですが、この様な事態になったのも全てわたくしの責任でありロランに罪は無いのです。
わたくしのことは傲慢だと思っても結構です。自分勝手な女だと見下してくれてかまいません。
でも…わたくしが死んだその時にはロランのことを幸せにしてあげて欲しいのです。」
「……。」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「どうされたんですか?」


635:命の灯火 6/13
06/11/02 00:11:00
「……。」
「…ディアナ様?」
「え!?あ…はい、なんでしょう?」
わたくしが月で入院したときのことを思い返していると、
既にロランはわたくしが作ったケーキをテーブルに置いて
ロランもわたくしの隣に座っていました。
「いや、呼んでも返事がなかったものですから。ケーキってこれですよね。」
わたくしが作ったバースデーケーキはスポンジの間にイチゴと生クリームを挟んで
回りを生クリームでコーティングしたものに小さい家の形をした
チョコレートが乗っかっているだけという代物です。
改めて見るとバースデーケーキと呼ぶにはお粗末なものだと思いました。
「そうです。たいしたものは作れませんでしたけど…。」
「そんなことありませんよ。綺麗にできていると思いますよ。」
ロランはそう言ってくれますが、お菓子を作るのが上手なキエルさんが作ればもっとおいしそうに
いえ、比べることさえ出来ないぐらいのものが作れたことでしょう。
そう考えると見た目はそっくりなのに現在月の女王であるキエルさんと
ロランの介護無しではまともな生活さえ出来ない今のわたくしを比べた時、
わたくしがキエルさんに勝っている点が一つも無いことに気づきました。
「…あの時は、迷惑をかけてしまってごめんなさいね。」
「あの時?…あぁ、1カ月前に月で入院した時ですね。いいんですよ。ディアナ様が悪いわけではありませんし、
ディアナ様と一緒にいられることが、僕の幸せなんですから。」
わたくしだって貴方が傍にいてくれるだけで幸せです。
できることなら、わたくしがロランを幸せにしてあげたかった。
もし、今わたくしの寿命が尽きるとするなら、それが出来ないことだけが唯一の心残りです。
「ロラン、もしわたくしが死んだら、貴方は貴方の幸せを探しなさい。」
「ディアナ様!何を仰るのですか!?」
わたくしはロランを宥めながら続けました。
「聞いてください。わたくしは、いつ死んでもおかしくないのです。
…貴方は、わたくしが死んだら、今度は貴方自身のために生きるのです。
わたくしのためではなく、貴方自身の幸せを見つけるために。」



次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch