06/12/14 20:39:33
X運命まとめサイト
ガンダムX-Destiny (作品展示・雑談掲示板・絵板他)
URLリンク(gx-destiny.x0.com)
GX-P
URLリンク(aw0015.hp.infoseek.co.jp)
3:通常の名無しさんの3倍
06/12/14 21:20:40
テンプレ張り終わりかな?
>>1は希望の乙だ!
4:通常の名無しさんの3倍
06/12/14 21:26:39
前スレ(?)のコーヒー22は必要かな?
新規スレって事で張らなかったけど
5:通常の名無しさんの3倍
06/12/14 21:28:51
>>4
張らないって方向じゃなかったっけ?
>>1乙
6:通常の名無しさんの3倍
06/12/14 21:41:57
ノ / / l| ! ', ``
. // ,' l| || ',
| l | | | l .l | | ! |
| ! .! | ! !_ _/_/ ! l l ! l
',| ', l_. '"「 ト、` ´/' イ'`丶、/ ,/ / ,'
', l 'r"ト、 ,.ヽ、_\ /'/_/ //ヽ' / /
\ヽヽ \ /_"`ヽ` ` ー-' イ,ィ_'`ヾ、/ //
\ > `ト イ |-イJ | |-イJ !ヘイ !\ ローゼンメイデンの第6ドール雛苺が
=`= -- K∠._!__, 弋_ン 弋_ン ' lヘ イ| _ >>6ゲットなのー♪
_-_‐‐''" ー- .,_| __'__ r二_ -‐'_.. -="-
_.. ∠∠、 i´ `i rー`―ト .._
_.. -‐'"_/''",∠ヽ、 ', / />ニ「  ̄ ̄
' ヽ-‐<<_ ,  ̄ー' /丶、 `ー' _.. < 、__) ̄ ``ト- ..__
 ̄ ', `丶-- '" / ゙ー- 、..二
、 、 ヽ / ヽ、__-'ノ /
す>>1星石はいじわるなのー!
水銀燈がよみがえったのが、>2しぎなのー!
ワニ>3んといっしょにねるなのー!
雪華綺晶のよみかた、>4らないなのー!
いち>5わだち、ヒナのとくいわざなのー!
真紅は>7まいきなのー!
児童ポルノは>8ん罪なのー!
>9んくんはてんさいなのー!
>10モエは大好き♥なのー!
>11-1000は、くろくてあかくてうにゅーなのー!
7:通常の名無しさんの3倍
06/12/14 21:51:24
>>1乙!
我等が望んだ新天地だ!
8:通常の名無しさんの3倍
06/12/14 21:56:54
>>1乙!!
>>6
最後の行、誰かさんの愛馬を思い浮かべた
9:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 00:05:24
>>1まことに乙な働きだ。
このスレではエレガントに行きたいものだな。
10:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 01:13:39
ザイぽんとブラちゃんが来たらなんかなるのかな
11:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 02:09:54
ザイデルとブラッドマンか?
別にどうもならんだろ。
組織ごと来るなら話は別だけどな。
12:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 02:16:05
>>10
CE世界に、二人の愛の花が咲くw
13:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 07:22:34
削除依頼出されてるな。
14:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 08:06:51
削除されたらまたその時対策を考えれば良いさ。
職人さんのやる気さえあればSSはなんとかなるだろう。
職人さんのやる気がなくなればスレがあってもどうしようもない。
15:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 08:12:39
見てきたがこのスレじゃなく向こうの重複スレが対象だったべ
16:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 09:34:57
荒らしが先に立てたスレは埋め立てられてたし
こっちが本スレになるからね
17:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 15:00:26
もしザフトの技術者たちがXの戦前G三機の設計図をみたら
URLリンク(ranobe.com)
デュートリオンビーム射程圏での艦船直掩を主眼としたMSとして機能を統合したかも
18:キラ in AFTER WAR
06/12/15 15:42:29
第三話・ガロードVSベジータ
遂に、ガロードとベジータが対峙した。
その時、ふとベジータの携帯が鳴った。
「はい、ベジータです。………、なんだと!PS3が再入荷!?よし、分かった、すぐに行く!」
電話を切ると、ベジータの怒りが爆発した。
「おのれ、フリーザ…、PS3は渡さんぞ!あれで、家帰ってガンダムターゲットインサイトをやるんや!」
そう言うと、ベジータは宇宙船へ向かおうとした。ガロードが止める―。
「おい!俺との対決はどうした!?」
べジータは、振り返ると言った。
「めんどくせ」
ベジータは、そのまま故郷に帰って行った。
生き残った3人は複雑な心境だった。
ガロードは、全員を生き返らせる提案をした。
「ドラゴンボールでジャミル達を生き返らせよう!」
「よし!」
「そうですね」
ウィッツもラクスも了承した。
こうして、一向はいったんフリーデンへ戻ることにした。
フリーデンに着くと、みんなが待っていた。
ガロードたちは事情を説明し、みんなは複雑な面持ちでそれを受け止めた。
そして、ドラゴンボール探しのたびが始まった。
19:キラ in AFTER WAR
06/12/15 15:43:34
第三話・その2
「むにゃむにゃ、ふにゅー」
ラクスは、与えられたフリーデンでの自分の部屋で寝ていた。
ラクスは夢を見た―。
コズミックイラでの楽しかった日々を
ふと目を覚ました。
ベットから起き上がると、ふと自分のベットに人影を感じた。
「は!」
よく確認すると、ラクスのベットに入ってたのはガロードだった。
「きゃー!」
ラクスの悲鳴で、ガロードは目が覚めた。
「よお、ラクス、おはよう」
「おはようじゃないわよ!なんであんたが私のベットで寝てるのよ!」
ガロードはいやらしい目をして言った。
「そんな事よりさあ、ラクスって寝るときブラしないんだね…ぐへぐへぐへ」
「~っ!!」
ラクスの怒りがピークに達したとき、ラクスのクローゼットからティファが現れた。
「排除します」
ティファは、持ってたマシンガンでガロードを撃ちまくった。
「いていおておいて、止めろよティファ!」
その様子を同じくクローゼットで見ていたサラも出て来た。
「あらあら、しょうがないわね」
20:キラ in AFTER WAR
06/12/15 15:44:47
第三話・その3
フリーデンの食堂に、ガロード、ラクス、ティファ、サラの4人が座った。
口火を切ったのはラクス・クラインだった。
「冗談じゃないわ!これから、ドラゴンボールを見つけて、尚且つそれが使えるようになるまでの1年間、こんなHな奴と一緒に暮らすなんて!」
ラクスの意見はもっともだった。
ガロード・ランは、まさにけだものと呼ぶにふさわしい男だった。
「まあまあ、Hな事はしないって本人も言ってるんだし」
サラがなだめたが、ラクスの怒りは収まらない。
「いーや、絶対するわ!」
「だからしねえって言ってるだろ?だいたい、お前みたいに色気の無い奴、誰が好き好んで許婚になんかなってやるか!」
ガロードの言葉に、ラクスはぶちぎれた。
「なんですってー!ガロードの馬鹿ー!!」
持っていた机でガロードをぶん殴った。
「可愛くねえ…」
ガロードの素直な気持ちだった。
そこに、キッドが現れた。
「ガロード、私と結婚するよろし」
「うわー!またおめえか!離せ!」
ガロードは抱きつかれたが、そこにトニヤも割ってはいる。
「なにすんねん!ガロンちゃんはうちと結婚するんや!よそものはひっこんどいてんか」
さらに、シンゴモリも割ってはいる。
「ガロード様は私と結婚するんですことよ、おほほほほ」
ここに、ガロードを巡っての3つ巴戦が始まろうとしていた。
21:キラ in AFTER WAR
06/12/15 15:46:11
第三話・その4
「あーあ、また始まっちゃったわね」
ティファはあきれた。
「あら、元気があっていいじゃない?」
サラは微笑んだ。
「馬鹿馬鹿しい、付き合ってられないわね」
ラクスは自分の部屋に帰った。だが、内心ガロードの事を気にしていた。
「あいやー!」
キッドは、もってた棍棒で二人に襲い掛かった。トニヤもシンゴモリもそれをかわす。
「隙あり!」
今度は、シンゴモリがトニヤに持ってたロープで襲い掛かる。
だが、トニヤも持ってたフライ返しで応戦する。
3人とも互角の戦いを繰り広げていた。
一方、ガロードは今日がクリスマスイブだという事に気がついた。
(あいつに、なんかプレゼントしてやんなくちゃな)
ガロードはGX-9900を発進させると、一人町へと向かって行った。
一方、3人は相変わらず戦いを繰り広げていた。
「ぐう!」
「ちい!」
「この!」
その激しさに、フリーデンは揺れた。
だが、そこにラクスが現れた―。
22:キラ in AFTER WAR
06/12/15 15:47:44
第三話・その5
「あら、あんたも来たんか?」
その姿を見て、トニヤが言った。
「ガロード様が欲しいなら今のうちです事よ、おほほほほ」
シンゴモリはあざけあらった。
「ガロードは誰にも渡さないネ」
キッドも笑った。
だが、ラクスは怒りを貯めながら言った。
「いい加減にしてよね」
そして、
「ガロードは、あんた達となんかと一緒にクリスマスを過ごさないわ!だって、私と過ごすんだもん!」
ラクスの形相に、3人とも声を失った。
ラクスはその場を立ち去った。
「私って馬鹿みたい」
ラクスは、気分を変えようとMSデッキに行った。
すると、そこにGXが帰ってきた。
「よお、ラクス」
「ガロード…」
降りてきたガロードを見て、ラクスはつぶやいた。
「ちょっと待ってろよ」
そう言うと、ガロードは持ってた荷物を取り出した。中には、たくさんのプレゼントが入っていた。
「これはぬいぐるみ。それから、これは手袋、これは帽子だな。それから、これはマフラーで…」
ガロードが次から次へとプレゼントを出す様子に、ラクスは一言つぶやいた。
「馬鹿…」
「ん?なんか言ったか?」
ガロードの言葉に、ラクスは笑って言った。
「ううん、なんにも!」
23:キラ in AFTER WAR
06/12/15 15:49:01
第三話・その6
ガロードとラクスが食堂に戻ると、そこにはフリーデンのクルーが全員集まっていた。
「メリークリスマス!」
一同は一斉にクラッカーを鳴らした。
呆然としてる二人に、仲間達が呼びかける。
「なにやってんの、早く座って」
「七面鳥がさめちゃいますよ」
サラやティファが呼びかけた。
「ガロンちゃん、今日はみんなで楽しく、クリスマスを過ごそうって話になったんや」
トニヤも呼びかけた。
「でも、明日は二人きりですごすネ」
キッドは、まだあきらめてなかった。
「おほほほ、それはわたくしですことよ」
シンゴモリもあきらめない。
ちなみに、シンゴモリのキャラ名は、SMAPの香取慎吾と森且行から取ったものである。
髪型は、当時の森君そのままである。
そして、そこにはフロスト兄弟の姿もあった。
「ガロード、来てやったぞ!」
シャギアがワインをかかげる。
「メリークリスマス、でも、明日からはまた敵同士だからね」
オルバも、そう言うとケーキを口にした。
「お前ら」
ガロードも、少し嬉しそうだった。そして、ラクスと顔を見合わせて言った。
「メリークリスマス!」
―続く―
※このお話は終わらないよ
このお話しは、ネバーエンディングストーリーだからね!
次回もお楽しみに!
24:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 16:01:34
>>18-23
>1のリンク先の兄弟スレでどうぞ。
タイトルからしてこのスレより向こうのスレの方が相応しいだろうから。
25:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 16:40:46
荒らしはスルーでよろ
ついでに削除依頼してきたからw
26:キラ in AFTER WAR
06/12/15 16:58:30
あ、それから、僕をコピペ荒らしだと思ってる人も居るみたいだけど、僕はちゃんと全部自分で打った文章を書き込んでるんだよ。
つまり、これは完全オリジナルSSなんだ!
だから、遠慮無く僕の傑作SSをWikiに登録してくれよ!
じゃ、次回もお楽しみに!
27:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 17:06:10
スレ違いなだけですでに荒らし
このスレはガロ→種世界の設定のスレだし
28:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 17:19:03
さて、種死でなく種世界ネタでも考えてみるか
宇宙で過ちを繰り返しそうな連合、
サテキャ手に入れさせると頭に乗ってこれまた過ちを繰り返しそうなザフト、
「連合を押し返すどころか本拠地まで攻め込めます」なオーブ
……
29:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 17:24:46
スカンジナビア中心に、大量破壊兵器監視組織でも作るか。
核やNJに類する兵器で民間人の大量殺戮を行ったらその勢力に報復するということで。
「沈黙の艦隊」でやってた核を持つ常設国連軍みたいなもんだな。
ユニウス条約の裏書きもその組織が行うと。
それくらいしか使い道があるまい。
30:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 17:27:59
スカンジナビアだけは駄目だろ、あそこはラクシズテロ活動支援国家だぞ?
あそこだけにはそんな権限与えたらいかん
31:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 17:30:53
>>30
他に中立国があるなら別にそこでも良いが、どこかあるかね?
32:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 17:34:23
俺はむしろ26が可哀想だな。
わざわざ荒らしの為に一作書こうなんざ、どんだけリアルで鬱屈した敗者ライフ送ってるんだろとか思うし。
わざわざスレ追っかけてくるあたりの厨っぷりからうかがえる知能の低さ加減といい。
こんな突撃馬鹿と一緒にされる観測スレの連中もさすがに憐れだね。
ま、そういうのを見たときはスルーに限るべさ。
33:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 17:39:19
別に中立国でなくてもいいやん。
種・種死とワリ食い続けているユーラシアなんてどうでしょ?
アルテミスをAAのせいで失ったり、アラスカでは囮にされたりとちと可哀想かなとも思うんで。
34:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 17:41:06
>>33
逆に考えるんだ。「囮にされたりアルテミスを失うような事をしている」
こう考えるんだ
35:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 17:42:29
スカンジナビアの現状
URLリンク(ja.wikipedia.org)
ここから、C.Eまでに何が起こったんだ?
36:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 17:42:43
いや、そのりくつはおかしい
37:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 17:42:57
>>33
中立国でないとユニウス条約の裏書きにはなれん。
当事者が条約の裏書きってジョークにしかならんから。
38:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 17:55:54
ユニウス条約の裏書き という行動込みか。
じゃあ駄目だな。
そうなると爆弾テロで事務総長だか殺された国連位しか思い浮かばん。
(ちとその辺は他スレで見かけただけなんで、どういう設定になっているかよくわからんが)
39:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 18:06:39
>>38
どのみちユーラシアが勝手に戦争やめて調停役になります、
というのはプラントも連合も納得しないだろう。
オーブは中立違反の上内側すらまとめられないというのを露呈したし、
国連は決議過程その他がどうなってるかわからん。
国でないとテロリスト扱いで相手にされない可能性が高い。
と、考えていくと消去法でスカンジナビアくらいしかないのさ。
とにかく、あの世界はブルコス過激派とプラント過激派が危険すぎてどうにもならん。
40:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 18:56:59
逆に考えるんだ
「エスタルドが種・種死世界に来たら」
と考えるんだ
41:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 19:14:19
ブーステッドやエクステンデットよりもぶっとんだ性格のNT候補3人組がCEに機体ごと来たら・・・
42:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 19:38:53
>>38
国連のトップ全員と
大西洋連合・ユーラシア・その他諸々のプラント出資国のトップ陣が
軒並み爆殺されましたが何か?
それによって開戦したというのにあの糞コーディども率いるプラントは
開戦理由は血バレ血バレとやかましいわ!! エイプリールフールを忘れたか!!
43:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 19:52:18
>>41
3人組みってことはアベル抜きか?
44:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 20:01:49
アベル別に濃くないじゃん。
45:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 21:54:00
>>40
あ、俺その設定で話考えてた。
厳密にはC.Eにエスタルドがあったらと言う形だが。
ただ地理上の問題でどうしても東アジア共和国かユーラシア連邦に組み込まれてしまうんだよな・・・
だからある程度力を持った自治区という形で考えてたんだが、
それじゃ調停役には不適だよなあ・・・
46:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 22:43:43
エスタルドがどちらの陣営にも組する事無く独立国としての立場を
得られ続けるとなると国力が相当でかいって事だよなぁ?
47:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 22:56:37
もしくは八方美人しまくって漁夫の利外交。
ブレイクザワールド以降の混乱期を、
逞しく強かに生き抜け! エスタルド!!!
48:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/15 22:57:36
「お前らの町はきっと俺達が助けてやる!」
アークエンジェルに与えられた次の作戦、それはマハムール・ジブラルタル間の勢力確保及び連合の補給路切断のため、
通称、ローエングリンゲートを突破し、ガルナハンの街を開放せよ、というものであった。
アークエンジェルはマハムール基地の部隊と協力して作戦に当たることになったが、
正面突破作戦が度々失敗していることから、正面から攻撃を仕掛けつつ、
さらに、地元住民しか知らない坑道跡を抜けると、
ローエングリン砲台のすぐ近くに出るという抜け道を突破して奇襲をかけるということになった。
作戦を説明していたアスランがレジスタンスの少女コニールから
その坑道のデータが入ったディスクを受け取るとシンにそれを渡す。
「お前にはインパルスを分離させて坑道を抜け、奇襲を仕掛けてもらう。
今回はインパルスが作戦の鍵だ、頼んだぞ」
だが、インド洋沖の一件以来険悪な空気が除かれていないシンとアスランである。
ガロードとティファがシンに伝えたものは確実にシンに、自分のことを含めて様々なことを考えさせ、
シンはガロードと少しずつではあったが打ち解けつつあったのだが、
それに対してシンとアスランの仲は完全に冷戦状態であったため、案の定、シンが突っかかった。
「そんな大事ならあんたがやればいいだろ。なんたって英雄様なんだからな」
予想通りといえば予想通りの反応に、レイ、ルナマリア、アーサー、ガロードからため息が漏れる。
他方で、そんな事情を知らないコニールは不機嫌な表情を隠せない。
「隊長さん、こんな奴で大丈夫なのかよ!?」
案の定、この売り言葉に対してシンが買い言葉を放ってしまう。
「こんな奴だと!?お前みたいなお子様が何言ってやがる!」
シンの言葉はガルナハンの街の惨状を知らないから出てきた言葉であったが、
コニールにとっては聞き捨てならない言葉であった。
49:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/15 22:58:28
「あんたに何がわかる!?街は連合の奴らに好き勝手にされて、
この前の起きた暴動で一体、町の人が何人殺されたと思ってるんだ!
今度何かあったらあたし達の町は本当に連合に皆殺しにされちまう…」
コニールの心の底から出た叫びであった。
その言葉はシンにインド洋沖で遭遇した連合兵による地元住民の搾取・虐殺の場面、
そして、かつてオーブに攻め込んで次々と国を焼き払っていった連合の姿を思い出させるのに十分であった。
「あたし達はもう生きるか死ぬかの瀬戸際なんだ、お前みたいな奴に軽々しく…」
「おい、このデータ、正確なんだろうな?」
コニールの言葉が遮られる。
「そ、そりゃ私達地元の連中が今回のために必死に正確なデータを作ったんだ。当たり前だろ」
「わかった、安心しろよ、お前らの町はきっと俺達が助けてやる!」
そう言ってシンはブリーフィングルームを後にする。
急変したシンの様子に戸惑いを隠せないコニールに、アスランが代わりに説明する。
「彼は自分の国が連合に侵攻されたんですよ、ミスコニール。
それに先日、我々が交戦した連合の部隊は地元住民を強制的に基地建設に従事させていて
逃げ出した者に容赦なく発砲したんですが、それを見たあいつはまさに怒り狂ったかのように
連合の部隊を壊滅させてしまいました。
きっとそれらの出来事が脳裏に蘇ったんでしょう。人格に難というかムラはありますが実力はありますよ」
そう言ってアスランはブリーフィングルームからコニールを連れ出して行った。
50:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 22:58:44
>>46
いっそジョージ・グレンの出身国で世界で最初のMSを開発した国とか、
実はロゴス発祥の地だったりとか・・・
どう見てもラスボスポジションです本当にありがとうございました。
51:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/15 22:59:16
ブリーフィングルームを出て、アスランがエレベーターを待っていると、
ルナマリアとそれに連れられたレイが近づいて来た。
「さっすが隊長!上手くシンをその気にさせちゃいましたね!」
作戦前だというのにルナマリアが歳相応のキャピキャピしたオーラを全開にして周囲に発散している。
端から見れば軍の上官と部下というよりは、ハイスクールの部活動の先輩後輩という感じだな。
レイは2人の様子を見てふとそんな感想を抱いた。
「・・・・・人と接するのが苦手なだけだよ、あいつも、俺と同じでな」
ルナマリアの勢いに任せたアタックであったが、
それはさらりとアスランに回避されてしまい、無機質な音を立ててエレベーターの扉が閉まる。
「あたし…もしかして予防線張られた?」
レイは、ルナマリアのあまりに的を得た自分の惨敗結果の分析の感想を求められて凍りつく。
ああ、間違いなく予防線を張られたな。
しかも、こう、同じエレベーターに乗られて密室での接近戦を上手く回避されたかっこうだ。
なるほど、さすがヤキンの英雄アスラン・ザラ。危険を回避する技術も高い。
ルナマリア、お前が以前に射撃訓練の指導を受けたことや
セイバーのコックピットで接近戦を仕掛けた成果はなかったらしい。
とはいえ、ストレートに答えていいものか。もしそう答えてルナマリアの士気が落ちるのもよろしくない。
とはいえ、そんなことはない、と答えるのはあまりに白々しいし、多分俺のキャラではない。
というかこの間は一体何秒だ?
レイの脳内で恐ろしいほどの速度で行なわれたシミュレーションの末、
結局はよくわからん、ということで通すという結論に至った。
「さあな…」
52:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/15 23:00:07
一方、シンがコニールの言葉を聞いてやる気を出した姿は、それを見たアーサーにもインド洋沖での出来事を思い出させていた。
理不尽な暴力に対する怒り、反発、憎しみ。
シンの姿に、アーサーは作戦終了後の惨状が容易に想定できた。
アーサーはブリッジに向かい、作戦の準備を指揮するタリアに進言を行っていた。
「艦長、連合が支配しているガルナハンの町では、我々の作戦終了後、暴動の発生及び連合兵の粛清が行なわれると予想されます。
ですが、それでは先日と同じです。連合の兵は、連合が行なってきた悪逆非道な圧制の生き証人でもあります。
彼らを上手く使えば、我々ザフトを、善意の解放軍のように印象付けることができるでしょう。
ですから、アークエンジェルはローエングリン砲台を破壊後、速やかにガルナハンの町へ向かい、
制圧部隊による暴動の沈静化を図るべきではないでしょうか」
「…貴方は余計なことを考えてないでいいわよ」
「は…?」
「貴方が言ってたようなことはさっき私が司令に申し上げてきたってことよ。わかった!?」
「は、ハイ!」
インド洋沖での一件はアーサーだけでなく、タリアの中にも大きな衝撃を与えていた。
故に、タリアは、ローエングリンゲート突破作戦後の、ガルナハンの町で起こるであろう事態に手を打ったのだ。
当然、基地司令官や幹部らは当初は難色を示したが、インド洋沖での一件の説明は司令官らに少なからぬ影響を与えたし、
敵兵とはいえ上への報告をするときに連合の兵は残らず地元住民の暴動で粛清されて死にました、
等という報告よりは、捕虜にした方がまだマシであろうとの判断も働いた。
「伊達に黒は着てないのかしらね…」
艦内に作戦準備に関するアナウンスをテキパキ行なうアーサーの姿を見ながら、タリアは、
ミネルバに乗って以来、頼りないという印象しかなかったアーサーの思わぬ進言に、その評価を改めさせられたのであった。
ルナマリアの下からなんとか逃げ切ったレイはザクの整備を終えると、インパルスの下に向かった。
するとそこではシンとガロードが坑道を抜ける飛行シミュレーションを行なっていた。
53:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/15 23:01:02
「精が出るな。俺も何か手伝えないか?」
「お、レイじゃねーか、お疲れ」
「ちょうどいい所に来たな、じゃあ飛行ルートを修正するのを手伝ってくれ」
「いいだろう」
レイが短く答えてしばしキーボードを叩く音が響くが、
何かを思い出したかのようにシンに問いかけた。
「シン、その抜け道を出た後、どうやって砲台を破壊するつもりだ?
シルエットは置いていくのだろう?」
「ああ、だからライフルとサーベルだけで砲台をぶっ壊すしかない」
「じゃあ手持ちの武器がなくなったらどうすんだよ」
「それは…」
シンが言葉に詰まる。
「んなら敵さんから奪うっきゃねーな」
そこにガロードが口を挟む。
「要は砲台をぶっ壊しちまえばいいんだろ?なら敵さんからいただいちまえよ。
使えるもんはなんだって使わねーとな」
「ほう、なかなかユニークなアイディアだな。なるほど武器がないなら頂くか、考えもつかなかった」
「なんつってもMSなんてそれ自体が爆弾みたいなもんだからな。
まあライフルやサーベルは規格が違って使えねー可能性はあっけど」
「駄目じゃねーかよ、それじゃあ」
そんなやり取りをしていると、艦内にアーサーの声が響き、作戦開始時刻の接近が知らされた。
「おとりは俺達ががっつりしてやるから頼んだぜ?」
「シン、お前ならできる。自信を持て」
ガロードとレイは口々にシンを激励して自分達の機体の下に向かっていった。
他方でシンは目を閉じてコアスプレンダーの中で自分に問い掛けていた。
連合の連中にこれ以上好き勝手をさせちゃいけない。
町の人達の命の行方は今、自分の腕に掛かっている。
俺みたいな奴をこれ以上増やしちゃいけないんだ。
だから絶対に成功させるんだ、それにガロードやレイも協力してくれたんだ、大丈夫。
何よりもこれくらいのことができないようじゃ、フリーダムを倒すなんて夢のまた夢だ。
俺はできる、いや、やってやるんだ!
自分が今、何をしなければならないか。なんのために戦うのか。
できないようなことか、否。自分ならできる。
自問自答し、決意を新たに、集中力を高め、己を鼓舞する。
やがて発進命令が下り、シンはコアスプレンダーを発進させた。
「シン・アスカ、コアスプレンダー行きます!」
そしてそれに続いて、GX、セイバー、紅白のザクと基地から借りたディンやバクゥが出撃していった。
54:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/15 23:01:55
ガロード達の任務はおとりである。
連合にも名前が売れているアークエンジェルを正面からぶつけて、
有名人の迎撃のために通常より大目に出てくるであろう迎撃部隊を引き付ける。
その隙にシンがインパルスで砲台を破壊する、これがザフトの側の作戦であった。
アークエンジェルの接近を感知した連合も、ローエングリン砲台を防衛すべく迎撃部隊を出撃させる。
出てきたのはダガーLとウィンダムの混成部隊であるが、連合の強みはその物量であり、
敵はアークエンジェルとあってか、その数はアークエンジェル側のMSの倍以上はあった。
するとタリアはここで迎撃機の数を減らしと、砲台を防衛するMAの実力試しを兼ねて
艦両舷にあるローエングリンの機動を命令する。
「ローエングリン照準、目標、敵MS部隊及び敵基地砲台、撃てえぇぇ!」
タリアの声と同時に、アークエンジェルの両舷から陽電子砲が放たれる。
だが、発射を予期していたMAゲルズ・ゲーは味方部隊の前に出ると、
放たれた陽電子砲を正面から受け止め、弾き飛ばしてしまう。
そして、ゲルズ・ゲーがローエングリンの射線軸上を離れる。
「敵のローエングリンが来るわよ!回避して!」
「了解!」
「高エネルギー反応アリ!来ます!」
爆煙を切り裂いて砲台から陽電子砲が放たれる。
アークエンジェルは地上スレスレの所を、
艦左舷をやや下に向けて移動させ、その風圧で砂を吹き飛ばしながらローエングリンを回避する。
一方、アークエンジェル上空でウィンダムの大部隊と交戦していたガロードとアスランであったが、
連合の数にモノを言わせた戦術に苦戦を強いられていた。
厳密に言えば押されている訳ではないのだが、次から次へと向かってくるウィンダムやダガーLに精神力を徐々に削り取られていく。
2人とも、言うまでもなく相当程度の実力を有するスーパーエース級の実力を有している。
だが、2人は中々連携が取れず、本来であればGXのディバイダーで敵機を散開させた上で
確実に叩き落していくという戦法が取れるはずなのだが、
ガロードが放つディバイダーのビームは空中迎撃用にも配備されているゲルズ・ゲーに弾かれてしまう。
一方でアスランはセイバーの機動力を生かして敵を敵の戦闘能力を奪うという行動に出るが、
ウィンダム部隊のビームライフルによる弾幕を張られてしまい容易に接近することができないでいた。
55:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/15 23:04:16
「くっそおおお!全然前が見えないじゃないか!一体誰だ、こんな作戦考えた野郎は!?」
その頃、シンは坑道を進んでいたが、光がほとんど入っておらず、飛行ルートはデータ頼りというなんとも恐ろしいものであった。
たまに機体の一部が壁をかすめてバランスを崩してしまうが、それをなんとか建て直しつつ進む。
レイやガロードとシミュレーションを重ねておいたおかげであろう。
正確なルート飛行を徹底的に頭に叩き込み、精密機械の如く進行ルートを計算したレイと、
複雑な地形等での力の加減や、姿勢の建て直し等、現場思考の色彩が強い飛行動作をアドバイスしたガロード、
この2人の対照的なアドバイスを上手く使い分けてシンは暗闇の中をギリギリのバランスで進んでいく。
そして、しばらく進むとやがてデータが目的地到達を知らせてきた。
「よし、着いた!?行っけええ!!」
コアスプレンダーからミサイルが発射され、岩盤を爆破する。
崩れる岩の隙間から光が差し込み、青空が視界に入ってくる。
そして爆煙の中からコアスプレンダー、チェスト・レッグフライヤーが飛び出してゆく。
突然、ローエングリン砲台付近で起きた爆発で基地司令部は騒然となった。
「何だ!?何が起こった!」
「ロ、ローエングリン近辺で爆発が発生!戦闘機が飛び出して・・・合体。
こ、これはインパルスです!」
「どういうことだ!アークエンジェルのMSはゲルズ・ゲーとウィンダムが押さえているんじゃないのか!?
いや、今はそれより迎撃だ。残っているMSはインパルスの迎撃を急げ。
それと迎撃部隊を呼び戻せ、陽電子砲を破壊させるな!」
56:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/15 23:06:17
アスランとガロードが相手をしていたゲルズ・ゲーとウィンダムの大軍は、基地からの命令を受け後退を始める。
今、基地近辺にいるのはシルエットを装着していないインパルス一機である。
ここにいる部隊が戻らせてしまっては、インパルスは袋叩きになってしまう。
ここでガロードは秘策を思いつく。
「おい、アスラン!手を貸してくれ。このままあいつらを戻らせる訳にはいかねぇ」
「そんなことはわかってる!だがどうすればいいと言うんだ、何か秘策があるのか!?」
「だから手を貸してくれって言ってんだろ!」
セイバーがGXの背後に回り、GXはディバイダーのビームを発射する。
「今だ、いっけええぇアスラン!」
発射されたディバイダーのビームが発射されつくしたと同時に、
セイバーがサーベルを引き抜いてゲルズ・ゲーに向かって切りかかっていく。
ゲルズ・ゲーは後退を始めていたウィンダムの前に立ち塞がり、ディバイダーのビームを受け止める。
これまではウィンダム部隊が、ゲルズ・ゲーに直接攻撃をしかける機体に対してビームの弾幕を張っていたが、
インパルスの出現により後退を始めていたことが仇となった。
ビームを受け止めるため動きを止めていたゲルズ・ゲーにセイバーが急速に迫る。
ゲルズ・ゲーのパイロットがセイバーの接近に気付いたときには既に遅く、
紅い機体がゲルズ・ゲーの横を通り過ぎた次の瞬間にはゲルズ・ゲーは上下2つに分断されていた。
そして、ゲルズ・ゲーという壁がなくなったウィンダムの部隊にGXが追撃を仕掛ける。
「あの蜘蛛野郎がいなけりゃ手前らなんてちょちょいのちょいだぜ!くらいやがれえ!」
GXは再びディバイダーを展開してビームの雨を降らす。
ウィンダムが次々とGXのディバイダーのビームやビームマシンガンに貫かれ、爆発していく音をBGMにして
セイバーが地上で交戦している部隊へ向けて突撃し、シールドを上空に放り上げ、
両手でサーベルを構えると、地上部隊の攻撃を防いでいたゲルズ・ゲーに向けてサーベルを頭上から振り下ろす。
セイバーが、左手に構えていたサーベルのビームを消して収納し、
腕を伸ばして上空から落ちてきたシールドを装着すると同時に、
2機目のゲルズ・ゲーは5体バラバラになって崩れ落ち、大きな音を立てて爆発した。
57:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/15 23:07:28
シールドを構えたインパルスは、立ち塞がるダガーLを手にしたライフルで撃ち抜き、邪魔となる砲台を破壊していく。
岩場の段差をジャンプして上りながら陽電子砲との距離を縮めて行くが、
陽電子砲は徐々に地下へと沈んでいく。
「くそ、このままじゃ…」
シンの中に焦りが生まれる。
このままライフルで敵を撃破しながら進んでいたのでは間に合わない、そうシンの本能が告げる。
インパルスはシールドとライフルを投げ捨てると、対装甲ナイフを両手に構えて突っ込んでいく。
目の前のダガーLが発射するビームを、上半身を屈めて回避し、コックピットにナイフを突き刺して動きを止める。
そして、そこに切りかかって来る別のダガーLに向けて、
ナイフが突き刺さったままのダガーLを力任せに投げつけて岩場から突き落とす。
さらにダガーL2機が落下して起こった爆発の爆風の勢いを借りて、インパルスは一気に
陽電子砲まですぐそこという距離までたどり着いた。
しかし、既に陽電子砲はその姿をほとんど地下に沈めてしまっており、
ライフルを捨ててしまったことが激しく悔やまれた。
だがその時、ガロードの言葉がシンの脳裏に蘇った。
なんつってもMSなんてそれ自体が爆弾みたいなもんだからな
そこに陽電子砲を守る最後のダガーLがインパルスに向かって来る。
だが、インパルスは左腕に持ったナイフを投げつけて頭部を破壊し、怯んだ隙に再びナイフをコックピットに突き刺した。
さらに、さっきと同じように動けなくなったダガーLを、陽電子砲を収容するべく閉じていく隔壁に向けて投げ付ける。
そして、挟まり、閉じていく蓋に押しつぶされそうとなったダガーLに向けてインパルスが胸部のチェーンガンを放つ。
チェーンガンの掃射を受けたダガーLは、小さな爆発をしながら陽電子砲に向けて落下して行き、
大きく爆発すると、その爆発が陽電子砲、そして基地施設に誘爆を広げていった。
58:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/15 23:09:23
ブリッジではアークエンジェルに、ガルナハンの町の開放が完了したとの連絡が入っていた。
ローエングリンゲート攻略にアークエンジェルのみを当てて、
基地に残った飛行が可能なMSと歩兵部隊をガルナハンの町へ
同時に向かわせて速やかに町に突入させたことが功を奏したのである。
格納庫では帰艦したシンが、レイ、ガロードとハイタッチをして喜びを分かち合っている。
「シン、見事だったな。お前があの町を救ったんだ」
「やったなシン。俺なんて蜘蛛野郎に苦戦しちまったぜ」
「いや、レイたちがシミュレーションに付き合ってくれたからだよ、俺1人の力じゃない。
それに最後はガロードのMSは爆弾って台詞があったおかげで陽電子砲をぶっ壊せたしな」
「そうか、ならば食堂でスペシャルランチ全部乗せの大盛を食べに行こうか」
「じゃあ俺はカツ丼の特盛でいいぜ」
「ゲ!マジかよ…今月まだ給料日前だってのに…」
「気にするな、俺は気にしてない」
こうして3人は大きな声で笑いながら食堂に向けて歩いていった。
59:50
06/12/15 23:24:06
GJ!
そして思いっきり割り込んでしまってスマソorz
ナイフ使いシンの本領発揮!
まさかそのうち極死・・・とかやったりしないだろうなw
にしてもシンの成長が目に見えて表れてきてるな。
自身を縛る憎しみの鎖から抜け出す日もそう遠くないか?
アスランは一応今回は見せ場あったな・・・でもゲルズゲー2機目のシールド投げはかっこつけすぎだww
まあどうかこのままヘタレにならず行ってくれ・・・
60:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 23:27:15
GJ!
…レイ、おまい、良い奴だな。
何となく俗っぽい、いや、とにかく良い奴だよ。
61:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 23:30:35
あー良かった良かった
職人さんも無事移ってきてくれたか…
これでもう完全にコーヒーと縁を切れるな
62:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 23:35:04
GJ!
続きが読めて感動ですよ。
3人の風景が何とも言えない。
63:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 23:37:34
GJ!!
凸「…………」
64:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 23:39:52
>>61
三行目が余計なんだよ馬鹿。
65:通常の名無しさんの3倍
06/12/15 23:41:16
GJ
ここの凸は躊躇無くラクシズに走れそうですねw
>>64
そっとしておいてあげよう?
66:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 00:25:22
GJ!
相変わらず、種世界の人間ではできない発想をあっさりひねり出すなぁガロード
このポジティブさはいつもあらゆる意味での清涼剤になりますねー
レイやルナもいい味出してるし、いい感じです
アスランはどう転んでもおかしくない蝙蝠思考が気になりますが…
67:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 00:36:37
お、おまいら一体どこにコウモリなとこがあるんだ、今回のヅラ。
フツーに少しカッコいいなと思った俺は負けなのか、教えてくれごひ…orz
68:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 00:54:11
>「さっすが隊長!上手くシンをその気にさせちゃいましたね!」
どうみてもコニールの台詞のおかげです本当にありがとう(ry
つか凸は何もしてねえよ
脳内に致命的エラーでも発生してんのかこのルナマリアは
69:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 01:51:13
>>68
ヒント:ゴマスリ
70:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 02:40:21
>>68
ヒント:アホ毛
71:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 02:45:17
投下GJ!
レイが人間臭くて良い感じ。
シン、ガロード、レイのトリオがまた良し!
爛れた友人関係ってか悪友関係は大好きだw
72:GPO単発ネタ
06/12/16 03:40:22
G.u.n.d.a.m. System open
¥:はじめまして。もしくはおかえりなさい。
¥:現在WTGをチェック中......
¥:第六世界での嫁の介入は発見されませんでした。
¥:決戦存在は発見されませんでした。
¥:Error どこかで誰かが泣いています。
おせっかいをやきますか?
Y / N
その答えはYESである。
¥:G.u.n.d.a.m. SystemはPlayerの同一存在を生成しています......
¥:Error 同一存在の生成に失敗しました。
¥:同一存在を既存のフォルダから開きますか?
Y / N
Y Entar
¥:フォルダを指定してください。
GX-9901-DX Entar
¥:実行中......
¥:指定世界に同一存在を生成しました。
¥:それでは、よいゆめを。
73:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 03:57:41
X組の転移はA一味の介入だったのかい。
だったらカガリも、ゆかりみたいに出張鳥あたりに救出されて平行世界に居るのかねぇ。
74:72
06/12/16 04:04:13
自律スレに投げた物を改変した
そして現在のガロードの乗機がGX-DVである事を忘れていた件。
吊る。
75:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 05:43:05
スマン、誰か教えてくれ。
今回の凸のどこに裏切りそうとか蝙蝠思考とか取れる部分があったんだ?
特に落ち度はなかったっぽく見えるんだが・・・
76:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 06:12:46
まあ、あえていうなら
>「・・・・・人と接するのが苦手なだけだよ、あいつも、俺と同じでな」
じゃないかな?
人と接するのが苦手だから、いうことさえホイホイ聞いてればそれですむラクシズに走るんじゃないか…みたいな
まあどっちかっつーと、人と接するというよりは人の思考に思いをはせるのが苦手なんだろな
シンとアスランじゃあベクトルが違うからかなり的外れなことをいってるとしか思えんが
77:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 10:22:25
原作が蝙蝠だから凸はそういうキャラって先入観じゃね?
ここのアスランは個人としては優秀だけど、人間関係ヘタレンジャー
頑張って成長してほしいもんだ。
78:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 10:40:39
このストーリーはレイがいい味出してますな
79:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 10:46:22
>>凸
原作と特に変わった感じがしないからこのままだと裏切る、と思われてるんじゃね?
80:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 11:48:53
レイの「内なる葛藤」(脳内シミュレーションとも言う)が楽しい
そのうち「こわいかんがえになってしまった」とかあるかな?
81:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 14:37:33
>>79
阿修羅nじゃなくてアスランだけ原作に取り残されてる感じだよなw
82:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 15:27:25
つ ルナマリア
ちなみに誰も突っ込まないが早々とツインテールがフェードアウトしているな。
まぁいなくてもまったく困らないからだろうが。
83:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 15:30:59
今まだ多分療養中だしなぁ
84:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 17:44:50
ラクシズの再登場が凸の進退を決めそう。
この話じゃカガリは今泣いてないしw
85:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 18:01:40
というかむしろ決めるのは再会した時のカガリの動向だろうな。>アスランの今後
キラとの友情?を取るかカガリへの愛を取るか・・・
まあ使命感なんてものに引きずられて惚れた女を放り出した形になってる事を考えると後者はかなり分が悪そうだが・・・
86:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 18:22:16
>>84
親友?の言葉を鵜呑みした場合十七分割です本当にあr
87:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 22:08:47
>>84
いや、違った意味では泣いてると思うぞ
脱出できない自分のふがいなさとかラクシズの情けなさとかに
88:通常の名無しさんの3倍
06/12/16 22:29:39
>>87
つまりそれをキラが曲解して、
「AAを返せ!カガ(ry」と襲い掛かってくるわけか。
89:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 00:56:33
「AAを返せ!それはオーブの物だ!!」
とか言って襲い掛かってくるんじゃね
どう考えても本来連合の物です本当に(ry
90:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 01:08:20
スウェン達も出してほしいな
91:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 01:37:44
あのさ
92:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 01:51:12
>40
エスタルドを出すならノーザンベルやガスタールも出さないと。
どの道圧倒的な軍事力を持つ連合には勝てそうもない、
X世界でも極東軍の空軍基地がDXに潰されなければ空爆で国力が疲弊して
そのまま降服せざるをえなくなっていただろう。
他方プラントは人口が2000万(うるおぼえ)だから数的に新連邦より組しやすい
はずだが、デュランダル議長ともなると新連邦のロマノフ司令と同様の
戦略を仕掛けてきてもおかしくない。生き抜くのは至難だ。
93:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 02:55:19
テクス先生がアークエンジェルかドミニオンかミネルバに乗ってたら
話はあれほど殺伐とした展開を迎える事はなかったであろう。
94:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 07:13:41
亀レスだが>>17、
この画像どこから?
95:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 09:14:41
>>94
GX、エアマスター・レオパルドの設定画を切り貼りしたコラをインパルスカラーに塗っただけだと思う。
ゴチャゴチャした装備のディスティニーを作ったザフトを皮肉ってるんじゃないかな?
96:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 11:29:08
>>23
ところで前スレで感動の最終回を迎えて
もう二度と書かないんじゃなかったの?
97:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 11:37:33
>>96
おいおい、放置しておきなさいって!!
98:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 11:52:21
>>92
AW世界の地球って総人口が戦前の1パーセントぐらいじゃなかったっけ?
1stの1年戦争前と同じと考えると100億の1パーセントで地球圏全体で1億。
2000万人はむしろ大国。
99:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 12:04:00
>>98
ザフト総人口2000万というとAWの宇宙革命軍の本拠地クラウド9(名前はうろ覚え)の人口の約2倍じゃないか
100:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 12:48:14
>>98
9600万人くらいだったと思われ>AW地球総人口
101:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 13:12:59
AWの地球の人口はだいたい9500万~1億未満で一致している。
そのうちの大多数が新連邦の勢力圏にいるという。
102:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 14:11:59
洒落にならんほど少ない人数だな
103:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 14:43:03
ジャミルのトラウマにもなるわこりゃ
104:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 14:45:23
地球の人工の99%以上が死亡したんだっけ
105:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 14:58:01
公式によれば
地球は戦前100億→戦後15年9800万
クラウド9では戦後人口が1200万。
106:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 16:57:39
こりゃぁ、人のいるコロニーも大分破壊してるねぇ。
それとも革命軍が毒ガス使いまくったのか。
107:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 19:24:17
冒頭でありえない数のコロニー落としてる品。
108:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 21:18:23
>>106
カトックの発言によると、コロニーの住人は前もって殺されてたらしい
109:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 21:28:36
んじゃ、毒ガス使いまくりか。本気でサイド3以外のコロニー全滅した世界だな、AW。
110:通常の名無しさんの3倍
06/12/17 21:28:58
ジオンのコロニー落しの時と同じ事をしやがったのか、、、
違うのは、ジオンはコロニー一つを毒ガスで始末して残して、後のコロニーは全部破壊したのに比べて
AWの引き金になったコロニー落しでは、全部のコロニーに毒ガスを流し込んだ上で全部地上に落下させたんだね
111:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/17 23:58:40
「立派なタヌキだな」
アークエンジェルは、ガルナハン、ローエングリンゲートを落として地中海を進み、ディオキアの基地に到着していた。
ディオキアの街では世界各国を慰問コンサートのために回っていたラクス・クラインのコンサートが行なわれており、
アークエンジェルのザフト軍人の面々の多くも、嬉々としてそれを見に走っていく。
他方で、驚きの表情を浮かべている者もいた。
アスランである。
今現在プラントの歌姫として活動しているのが、本物のラクス・クラインではなく、デュランダルが用意した偽者である。
そのことを知っているアスランは、熱狂的な勢いで支持を受けているミーア・キャンベルを見て複雑な心境であった。
おそらく、本物は今、カガリを誘拐してキラ・ヤマトと共に姿をくらましている。
その行方は未だに判明しないし、オーブは連合との同盟締結を白紙撤回して、その理念を維持している。
彼らは今、一体何を考えて、何をしているのだろう。
少なくともユウナの提案を蹴ってザフトに復帰した自分が心配する筋合ではないとわかっているのだが、
どうしても、彼らの行く末も含めて、気にならざるを得なかった。
そんなアスランの気持ちも露知らず、その後姿を見ているルナマリアの近くを、シン、ガロード、ティファと歩いていたレイが通りかかる。
「婚約者と言っても恋愛は自由だ。目の前のチャンスを掴もうとするかどうかはお前次第だ」
レイはボソっと言い残してルナマリアの近くを通り過ぎると、ルナマリアは案の定、アスランの方へ走っていった。
レイ本人としてはアカデミーからの付き合いであるルナマリアのせめてもの応援という意味合いもあったが、
それだけではなく、両者を緊密にさせて、ルナマリアをアスランに鍛えなおさせることによって、
アークエンジェルの戦力のアップを図るという意図があった。
だが、レイの配慮は後日、二重の意味で裏目に出てしまうことになってしまうことになることを、
現在は誰もが知る由もなかったのである。
112:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/17 23:59:52
ガロードは、シンと雑談しながら歩いていると、その目に見慣れた艦の姿があった。
するとその時、後ろから聞きなれた声に呼び止められた。
「おう、ガロード、久しぶりだな」
「ウィッツじゃねーか、一体なんでここにいるんだ?しかもその服…」
「おお、今はプラントの議長さんに雇われててな。その依頼でオーブの代表代行さんの護衛をしてここに来たんだ」
「オーブの、ってじゃあユウナさんが来てんのか?」
「ああ。今はデュランダルのオッサンと会議の最中だがな。
それが終わったらお前らを連れて来いと言われてるぜ。豪華なメシおごってくれるらしい」
すると、仮にもフェイスの勲章を付けた男とタメ口で話しているこのやりとりに
少し目を丸くしていたシンとレイが、ガロードに尋ねる。
「ガロード、お前、本国のフェイスに知り合いいたのかよ」
「お、おう、ちょっと前に知り合ってな」
ガロードは事情を知らないレイの方を見ながら答えに少し窮する。
気まずそうな顔をしているガロードを見たウィッツはシンの方を見て手を差し出す。
「特務隊フェイス所属のウィッツ・スーだ。よろしくな」
「あ、アークエンジェル所属シン・アスカです」
「同じく、レイ・ザ・バレルです」
「ガロードの奴が世話になってるな。バカな奴だけど面倒見てやってくれな」
「いえ、そんなことは・・・」
「ええ、我々の方こそガロードに助けられることが多いです。
彼の奇抜な戦闘スタイルや咄嗟の機転は我々も学ぶところが多々あります」
「そうか、そりゃよかった。お、ティファも一緒か。元気だったか?」
「はい。ウィッツさんも・・・」
ティファに声を掛けるウィッツの姿はシンの頭の中に流れた、とある映像を蘇らせる。
インド洋沖の戦闘の後、ティファが見せたガロード達の世界。
シンはその中に、青いMSに乗るウィッツの姿があったことを思い出す。
(そうか、この人も…)
113:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/18 00:01:05
その頃、ディオキアの街のとあるホテルの一室でユウナ・ロマ・セイランと、ギルバート・デュランダルの会合が行なわれていた。
「このようなところにお呼びだてして申し訳ない。プラント議長、ギルバート・デュランダルです」
「オーブ代表代行、ユウナ・ロマ・セイランです」
「このたびは大変でしたな、代表代行」
「いえ、こちらの対処が不十分で我が国に潜伏していたテロリストがミネルバに大きな打撃を与えてしまいました。
この件に関しては大変申し訳なく思っております」
「ラクス・クラインの件、ありがとうございました。まさかオーブに潜伏していたとは…」
「こちらとしては早々にオーブから立ち去って欲しかったのですが、あのような形で国外に出たことは不幸中の幸いでしたよ。
しかし、まさかプラントが影武者を使うとは…いくら彼女の影響力が大きいとはいえいささか驚きました」
「悲しいことに彼女の言葉は私などよりもはるかに強い影響力を持っている。
連合に核攻撃を仕掛けられて、連合への反感、武力行使を求める風潮を押さえるためにはやむを得ませんでした。
何せ、ヤキンの後、彼女は忽然と姿を消してしまったのですからね。我々も大変でしたよ」
「では、我が国の代表を拉致したテロリストの一味の主犯格の1人に
本物のラクス・クラインがいることの発表はまだ待った方がよろしいですかな?」
「ひと段落すればこちらから発表するつもりではあります」
「そうですか、わが国としてはとにかく代表の身の安否が気になりますが、
彼らは一体なにを考えているんだか…」
ユウナとデュランダル、2人とも、ラクス・クラインが目障りであることは共通している。
何せ、2人とも、自国の中にいる熱心な信奉者がいつ自分達の地位をおびやかすかわかったものではないだけでなく、
その本人も含め、その信奉者達は一体何をしでかしてくれるか予想もつかないのである。
ユウナの脳裏には、式典にアークエンジェルを引き連れて襲撃してきたフリーダム、
デュランダルの脳裏には、そのフリーダム強奪の手引きをしただけでなく、当時の最新鋭艦エターナルをも強奪したことが蘇る。
114:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/18 00:02:05
「ところで代表代行。申し遅れてしまい悪いのですが、
そちらのダブルエックスのおかげでユニウスセブンの落下を防ぐことができました。
私も手を打ったのですが間に合いませんで、助かりましたよ。
ですが、あのダブルエックス、率直に申し上げるとオーブが開発したものではありますまい」
「・・・・・・・ガロード達、フリーデンの仲間であるウィッツ氏に私宛の親書を託したことから薄々感ずいてはいましたが、
やはり議長も、『あの世界』のことをご存知のようですね」
「易々と信じられるものではありませんがね。ですが彼らの機体は明らかに我々の世界のものとは色々なことが明らかに違う。
現におそらくこの世界で今、最強であろうフリーダムはダブルエックスに破れた。
しかも彼らはナチュラルだ。我々人類にはまだ新しい可能性があるのでしょうな」
「えぇ、彼らは強い。MSの操縦などだけではなく、メンタリティ等も遥かに我らより強いでしょう」
「逆にそのような強さがなければ生きていけなかったのでしょうな、彼らの世界では。
我らはいつまでも地球・プラントで争いをしているわけにはいかない。
ですが、連合にはいまだにブルーコスモスの影響が強く残っており、それを後ろで操る『彼ら』は健在だ」
「まさか『彼ら』の排除も考えていると?」
「安易に排除はできないでしょう。何せ軍需産業複合体、つまりは世界各国の経済に多大な影響力を持っている。
それを何も考えなしに排除したのでは地球圏の経済は大混乱に陥ってしまう」
「では何か手があると?」
「ええ、彼らロゴスを排除した後、混乱するであろう経済、溢れるであろう失業者達、それにより世界が被るであろう
さらなる混乱。それを防ぐための私の奥の手がこれです。
名をデスティニープランといいます」
デュランダルが分厚い資料を取り出し、ユウナに手渡す。
それに目を通すユウナは少し顔をしかめながらも、その資料を読み進める。
「まさかこのようなことは可能だとお思いですか、議長?」
「私はそのつもりですが?」
「着眼点はとても面白いものですな。遺伝子レベルでの職業斡旋、とでもいうべきものなのでしょうが、
率直に申し上げればなかなか問題点も多い。これが、斡旋された職業への就職強制であれば話にならない」
「もちろん、それくらいは理系の人間である私にも分かりますよ。
人権団体が騒ぎ立てるどころの話ではないでしょう。各国の憲法問題にも発展しかねない。
他の国に強制したのでは余計な火種をプラントと地球の間に蒔くことになってしまう可能性すらあるし、
導入を強制してもおそらく多くの国で憲法改正を要するため、導入自体が否定されかねませんしな。
制度の実効性を期待するには、矛盾するような言い方ですが、各国が任意に決めるしかない。
そもそも、あくまで私が提案する『政策』の1つである以上、議会やプラント全体で話し合って否定されることもありえます。
それに・・・」
「それに、何ですか?」
「異世界から来た彼らを見る限り、遺伝子が人間の全てを決することには断じてならないことは私も重々承知の上です。
プラントに現れたウィッツ君達がいなければプラントは今頃、核の炎に焼かれていたかもしれませんしね」
「まあそこまで卑屈に成るほど悪い政策でもありませんよ。
そういえば議長、先日、月に連合が秘密兵器を建設中だという話を聞いたのですがご存知ですかな?」
115:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/18 00:03:41
ユウナは父、ウナトから連合がプラント殲滅のため、「鎮魂歌」という名の兵器を開発中であることを聞いていた。
ここでその情報をデュランダルにもたらしたのは、デュランダルが言った、ロゴスを排除するという
トンでもない決意を知らせてきたことへの礼と恩を売るためであった。
オーブとしてはロゴス排除による混乱を防ぐことも大事であるが、
ユウナは、ロゴス排除後、あまりプラントが勝ちすぎてしまうことでその影響力が地球に必要以上に及ぶことを懸念していた。
現在のように連合が強すぎても、プラントが強くなりすぎても、中立国のオーブとしては面白いことではない。
地球とプラントの力がほどほどの均衡を保つことでこそ、中立国の価値は高まってくるし、
上手く立ち回ることで双方への影響力を強くすることができるのである。
「月に秘密兵器、ですか。それは聞き捨てなりませんな」
他方で、デュランダルとしても実際にはその情報を入手していたわけではあったが、
連合の圧制が行なわれている地方の解放を大義名分として軍を進めるプラントとしては
ダブルエックスというトンでもない切り札を持つオーブを相手にすることは避けなくてはならない。
デュランダルがユウナと実際に話してみて感じたことであった。
故に今はオーブの好意を受けておくことが望ましく、友好的関係を継続することをデュランダルは選んだ。
「それではこちらの方でも情報を集めておきましょう。なにせ、今はオーブから『貸して』頂いた
アークエンジェルとガロード・ランが大活躍をしてくれておりまして、少しばかり余裕ができましたので。
インド洋、そしてマハムールのローエングリンゲート、さすが伝説の不沈艦、大天使アークエンジェル。
始めにあの艦が現れたときにはあっさりと動きを止められてしまったようなのですが、一体どんなメンツを集めたのですかな?」
「ふふふ、それは企業秘密ということにしておいていただけますか?」
「なるほど、クルーもオーブの秘密兵器ですか。まあいいでしょう。
本日は有意義な話ができました。デスティニープランの感想も聞けましたし。…それではまた」
「立派なタヌキだな」
デュランダルは部屋を後にして誰にも聞こえないように呟いた。
116:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/18 00:04:30
デュランダルがその部屋の扉を叩く音が聞こえる。
「ウィッツ・スーです。入ります」
扉が開き、ウィッツに連れられたガロード達が部屋に入ってくる。
「やあガロード、活躍しているようだね。それにティファも元気そうで何よりだ」
「ユウナさん、久しぶりだな。ウィッツとフリーデンのみんなと来たって聞いてビックリしたぜ」
「ああ、彼に護衛してもらってフリーデンに乗ってきたんだよ。デュランダル議長に呼ばれてね」
ウィッツがデュランダルから預かった親書の中身。それはディオキアで会談を行ないたく、
そこまでの足労を願う、というものであった。
そして、ディオキアへの道中の護衛も兼ねてウィッツを派遣したのであった。
「後ろにいるザフトレッドの2人が今、アークエンジェルに乗ってる君の仲間かい?」
「ああ、シンっていうんだ」
「オーブ代表代行、ユウナ・ロマ・セイランだ、式典の折は護衛と、フリーダムの撃退への協力に感謝するよ」
ユウナの差し出した手に訝しい顔をしながらシンが手を渋々差し出す。
「シン・アスカです」
そしてシンの名前を聞いたユウナは何かを思い出す。
「シン・アスカ君…君か、ミネルバにアスハ代表代行が乗っていたとき、彼女に、さすが奇麗事は、と言ったのは」
「・・・・・・そうですが、それが何か?」
「シン!」
レイがシンを止めようと声を張る。だがユウナはそれを気にしないでくれという素振りをして話を続ける。
「いや、君を責めているわけじゃないんだ。正直、僕も彼女の奇麗事には辟易していたからね。
ウズミ様も理念を唱えるのは結構だが、そのせいで国を焼いてしまったのでは本末転倒も甚だしい。
それでも戦後に僕らが必死になってオーブを立て直したのに、かつての彼女はまた理念に縛られて
連合との同盟締結を、理念に反する、ウズミ様の死が無駄になる、と拒んでいた」
シンにとっては少し毒気を抜かれた感じであった。
目の前にいるオーブの現最高責任者ともいうべき男の見解は自分の考えていたことに近かったのである。
少しでも奇麗事を言おうものなら、数倍の罵詈雑言を叩きつけようと思っていたのに肩透かしを食らってしまったようだ。
117:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/18 00:05:21
「ガロード、彼には話したのかい?君のことを」
「お、おう」
「アスカ君は、あの式典の時、オーブが連合との同盟締結を発表するつもりだった、と思っているだろう?
でも違うんだよ。あの時に、同盟締結白紙撤回をオーブは発表するつもりだった。
ガロード達の話を聞いて、彼らの力、ダブルエックスの力を借りることで毅然として
オーブの理念を守っていくことを決意していた。少なくとも今の彼女には理念という妄想が取り憑いてはいない。
君の事はこちらも調べさせてもらったよ。当時のことを許してくれとは言えないが、
これからのオーブを憎まないでくれないかな」
「・・・・・・・・・」
シンに即答することはできなかった。
ガロードの話、ということをユウナが言っていた以上、ユウナもカガリも、
ガロード達の崩壊した世界のことを知っているということである。
その上で、ダブルエックスという力を以ってオーブの理念を守っていくという
奇麗事ではない、それなりの現実的なヴィジョンに基づいた方針をオーブは採ることにした。
しかもフリーダムが襲撃してきたとき、カガリが乗ったフリーダムごと自分は撃とうとしてしまった。
正直、ユウナの言うことが本当であれば、あの場面でフリーダムを撃てなかったことは幸いだったのかもしれないと思える。
そして、今まで、シンが憎んできたオーブと今のオーブはかなり違う。
有していたイメージが大きく変わってしまい、自分の考え方の転換を余儀なくされていた。
「イメージは変わりましたよ。少なくともあんたは奇麗事を言うつもりはないみたいだし、
あんたの話が正しければアスハも、今はあんたと同じなら奇麗事を言わないだろうしね」
「そうか、でも今はそれで十分だよ」
ユウナはそう言うと、席を立ち上がる。
「今からデュランダル議長と食事会があるんだ。君達も招かれているから着いてきてくれるかい?」
「お、待ってました、メシの時間」
「ガロード、あまり議長の前で失礼のないように頼むよ」
その場で少し笑いが起きながら、ユウナとウィッツに案内されてガロードとシンは
デュランダルが待っているという部屋に向かって歩き出した。
つづく
118:通常の名無しさんの3倍
06/12/18 00:46:40
GJです
ユウナという理想と現実をすりあわすために奔走している"政治家"
と会うことでシンが成長できそうな予感
続き楽しみにしています
119:通常の名無しさんの3倍
06/12/18 01:38:10
シンは成長する可能性があるようだけど、
他の元ミネルバクルーはどうなるのか、スポットがあたってないので
気にかかるが…
今のところ大筋、本編通りの流れみたいですね。
だとすると、次の戦闘辺りが分かれ目になるかな?
120:通常の名無しさんの3倍
06/12/18 01:42:49
おまいにはさりげなく友達想いなレイや、実は優秀っぽいアーサーが見えないのか……
121:通常の名無しさんの3倍
06/12/18 02:14:26
>>120
だってアーサーなんだぜ?
122:通常の名無しさんの3倍
06/12/18 02:18:15
>>121
よせよ。もう眠らせてやんなきゃ・・・
123:通常の名無しさんの3倍
06/12/18 02:38:00
GJ!!
ユウナは議長にも「タヌキ」と認識されたみたいですな。
ま、政治家にとっては、褒め言葉みたいなもんなんですがねw
レイはつくづく良い奴です。
ホントにアレと同一の遺伝子を持ってるのかな?
現段階のオーブは、DXが中心の外交を行っています。
これは長期的に見ると結構拙いので、ユウナはDX抜きで話が出来る体制を今から考えておかなければなりませんね。
DX以外のカードを持つか、それ以外の状況を作り出すか、ユウナの政治家としての腕の見せ所ですな。
まあ、少々、気が早い気がしないでもないですけどねw
124:通常の名無しさんの3倍
06/12/18 02:42:35
腹の探り合いしながらも前進してる会談がおもろかたw
しかしウイッツの赤服姿、似合うよーな似合わんよーなwww
125:通常の名無しさんの3倍
06/12/18 03:24:46
>>123
だからこそ遺伝子なんざ大した問題じゃない、ってことなんじゃないのか?
いかに遺伝子的に○○だろうと、大事なのは今まで積み重ねてきたこととこれから積み重ねていくものってことなんだろう。
126:通常の名無しさんの3倍
06/12/18 03:36:08
それを踏まえた上で、Dプランがどういう風に変わっていくかも楽しみだ。
127:通常の名無しさんの3倍
06/12/18 08:30:23
しかしルナの複線に嫌な予感が…
アスランと一緒に原作のメイリンよろしく脱走するんじゃないだろうな…
メイリンと違って戦闘力があるだけに、死亡フラグたつぞ(苦笑
シンもユウナと会話したことによってカガリをある程度見直したようだが、カガリは今ラクシズにいるわけだからなー内心はどうあれ
カガリ自身が違っても、状況次第でシンがぶちきれる可能性が出てきてしまった
いったん見直しただけに、裏切りが強く感じられるだろうしなー
しかしレイがええ奴や…これはデュランダルの変化に影響されているのか…
128:通常の名無しさんの3倍
06/12/18 13:08:18
おお!ユウナもデュランダルもちゃんと政治家やってる
129:通常の名無しさんの3倍
06/12/18 13:15:16
>>127
ラクシズの悪役度をどこまで上げるかにもよると思うが、
場合によってはカガリが「愚かな私を撃て」とか言い出す可能性も…
あるいは敗北後に、キラクスに生き延びて反省と成長を促すために
全ての罪をひっかぶって自らA級戦犯として死刑を受け入れる虎とか…
130:通常の名無しさんの3倍
06/12/18 14:07:14
戦闘中に通信回線&スピーカー最大音量で(シン辺りに救出されて
コクピットから)
「この馬鹿弟がアアァァァ!!」(以下罵倒混じり迫力の説教が続く)
てのを期待するのは漏れだけなのか。
131:通常の名無しさんの3倍
06/12/18 15:06:00
>>123
ただのタヌキならともかく『立派なタヌキ』なところが割りと上な評価なんだろうね
しかしレクイエムの情報を友好関係を保つためにすっとぼけるとか
議長も立派なタヌキだなぁ
132:通常の名無しさんの3倍
06/12/18 17:53:47
遅ればせながらEDN氏GJ!
この分なら本編通りに行ったとしてもシンはオーブを討つのを迷うだろうな。
>>131
でも現状だとラクシズの方を危険視しすぎて月方面の対応が遅れてしまいそうな予感。>議長
果たしてこの議長は悲劇を未然に防げるのか!?
133:通常の名無しさんの3倍
06/12/18 23:22:56
>>ラクシズの方を危険視しすぎて月方面の対応が遅れてしまいそう~
実際の危険度を考えてもロゴス<<<ラクシズだと思う
ジブはまだ一定の理論の元に行動しているからある程度読めるが、ラクシズは
ナニしでかすか分からない点で、はるかに危険
134:通常の名無しさんの3倍
06/12/19 00:40:36
艦隊動かしたりデストローイ量産したり連合を動かすことの出来るロゴスよりラクシズの方が危険度上って、
そりゃちょっとラクシズ贔屓杉wwww
135:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/19 01:06:16
「救世主」
ウィッツに案内されたのは光が燦々と差し込む広いバルコニーであった。
そこには豪華な料理が並べられており、彼らを招待した人間の力の強さを象徴しているようであった。
そしてそこにはレイ、タリア、アスラン、ルナマリアの他に、黒髪で長身の男がいた。
「ユウナ代表代行お待ちしておりました」
「ご招待いただきありがとうございます、デュランダル議長」
デュランダルが差し出した手をユウナが握り返す。
先ほどまで化かしあいをしていた2人であり、
それを知っていたタリアは内心で黒タヌキと青タヌキの化かしあい第2ラウンドかと思ったくらいである。
まあユウナにしてもデュランダルにしてもタヌキというよりは2人ともキツネと呼んだほうがそれっぽい気がしなくもなかったが。
こうして楽しむ食事とはかけ離れた食事会が始まった。
「インド洋沖の海戦、マハムールのローエングリンゲートでの君達の活躍は私のところにも聞こえてきているよ。
その中でもシン・アスカ、そしてガロード・ラン君の活躍は特にね」
デュランダルが横目でシンとガロードを見る。
「シン、君のことは覚えているよ?」
そこにいたシン、アスラン、レイ、ルナマリアは、シンがミネルバに乗っていたカガリに、突っかかった時のことを思い出す。
そしてシンが赤面しながら気まずそうな顔をする。
「そう堅くならないでもいいよ、シン。
今言った2つの戦闘の他にも、オーブで手負いとはいえあのフリーダムと互角に戦った君の実力を私は高く買っているんだ。
これからも君の活躍に期待させてもらうよ」
「あ、ありがとうございます!」
「そしてダブルエックスというオーブの秘密兵器でユニウスセブン落下の危機から世界を救い、
さらにオーブに突如として現れたフリーダムを撃退した凄腕のパイロット、ガロード・ラン。
ミネルバが戦線を離脱したのは痛かったが、君が我々に手を貸してくれたおかげで
連合の圧制から多くの人達を救うことができた。心から礼を言わせて欲しい」
「いやいや、なんつっても困ってる人たちを放っとく訳にゃいかねーからな。
何かあったら報酬さえもらえりゃ炎のMS乗りがズバッとお悩みを解決するぜ」
「はっはっは、それは頼もしい。それならばこれからも君の活躍を期待してるよ。
活躍されすぎてザフトの予算がオーバーしないといいんだけどね」
ガロードのデュランダルを見た感想は、初めて会ったときのユウナにフロスト兄弟の狡猾さを加えたような人物のようだ、というものであった。
つまりは油断がならない相手であるということである。
とはいえ、一国家のトップとあろう人間なのであれば、それくらいの能力がなければ勤まらないのであろうが。
136:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/19 01:07:08
それからしばらく他愛のない話が続いた後、デュランダルの目が突如として光る。
それにガロード、ユウナ、アスランが気付く。彼らは何かが始まるという警報が自分達の中で鳴っているのを感じていた。
「ガロード、君の目には、私達の世界はどう映っている?」
いきなり核心の1つを突いてくるガロードの中ではさらに大きな音で警報が鳴っている。
だが、そこにユウナがフォローをいれた。
「安心してくれガロード、議長はご存知だ。思ったことを話せばいい」
今、現場で緊迫した空気が流れており、その原因が何なのかがサッパリわからず、ポカンとしている人間が数人いるが、
それを完全に無視してガロードが静かに口を開いた。
「連合の連中がやってることはさっきも言ったように、見過ごすことはできねえ。
でも俺が思う限りでは、いつまでもナチュラルだ、コーディネーターだとか言ってたら、いつか取り返しのつかないことに
なっちまうんじゃねえかって気がしてならねえ」
「なるほど、滅んだ世界を知ってる人間ならではの含蓄のある言葉だね。
私も今の君と同じようなことを考えている。おそらくそちらにいるユウナ代表代行も同じだろう。
だが、この世界もなかなかどうして複雑でね。それを望まない人間もいる」
「議長?」
突然の言葉にタリアが顔をしかめる。
「シン、ガロード、君達が使っているMS、いやそれだけじゃない。ライフルやミサイル、MS、これらは一体幾ら位だと思うかね?
きっとそれは日常的ではない価格であることはわかるだろう。
MSを始めとする兵器、それだけじゃない。生活用品や医療用品、破壊の後に訪れる再生のためのビジネス。
戦争が起きて破壊が起きれば起きるほど、世の中では金が動く。
世界には戦争を裏で操り、ビジネスとして戦争を扱っている人間がいる。
彼らはあのブルーコスモスの母体、そして最大の支援者であり、かつてはそちらにいらっしゃるユウナ代表の
セイラン家もそのメンバーであったことすらある、世界経済を裏で牛耳ってきた軍需産業等のトップが集まった組織であり、名をロゴスという。
この戦争、いやナチュラルとコーディネーターという垣根を払い、罪なき人々が苦しむことなき世界にするためには
彼らをなんとかしなければならない、私はそう思っている」
「「「ロゴス…」」」
シンやガロード、アスランにとってはいささかスケールが大きい話であり、自身の想像力が追いつけずにいた。
137:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/19 01:07:58
「せっかくの食事会なのに重苦しい話をしてしまってすまないね。軍人である君達は確かに上からの命令従わなくてはならない。
だが、軍人が何のために戦うかといえば、それは軍人でない人達が平和に暮らせる世界を作るためだ。
君達が戦っているうちに、何のために戦うのか迷い、苦しむことがあるかもしれない。
だから、この戦いの先に何があるか、そのために何をすべきなのか、に関する私の気持ちを
君達を信頼したからこそ、話したのだよ」
考えることは各々違っていた。
ここでこのようなことを言った真意を掴みかねている者、
あまり深刻に考えていない者、
とりあえずしばらくは手を貸しても大丈夫であろうと考える者、
デュランダルの示した考え方に強く心打たれた者など様々であった。
シンにとってデュランダルが示したものは強く共感できるものであった。
彼が力を欲した理由は、自分の力がないために味わった、理不尽な暴力で大切なものを失ったときの悔しさを2度と味わいたくない、
平和に暮らしている人たちは守られるべきであり、守らなくてはならないというものである。
今のシンには、デュランダルの示したロゴスこそが人々を苦しめる、人々にとって憎むべき存在である、という構図ができつつあった。
大きな話をした後ゆえに少し面々に疲れの色が見えてきたことを察したデュランダルは、
おもむろに近くの電話を取り誰かを呼ぶ。
「議長、どうなされました?」
「いや、君に頼まれていた補充人員を待機させていたのを忘れていてね。
ちょうどいい機会だから君達に紹介しようと思ったんだよ」
「本当ですか、それは?」
タリアが少し怪しみながら尋ねた。
表立ってこそいないものの、シンとアスランの対立に頭を悩ませていたタリアは、
確かに本国にMS隊の隊長となりうる人材の配備を願い出ていたのだが、こんなに早くその要請が受け入れられることに驚いていた。
部屋をノックする音が聞こえて、入るようにデュランダルが言うと、
オレンジの髪の、赤服を着た男が入ってくる。
その襟にはアスランやウィッツ同様、信頼を示すフェイスの紋章があった。
「このたび、アークエンジェルに配属になりましたハイネ・ヴェステンフルスです」
「彼は非常に優秀なパイロットでね。新型MSグフのパイロットとして、アークエンジェルに合流してもらうことになった。
以後、アークエンジェルではアスランのザラ隊とハイネのヴェステンフルス隊の2個小隊制でやってもらうことになったのでよろしく頼むよ」
その後、食事会で気さくに話すハイネと接したガロード達は、親睦を深めるべく話を続けていたが、
そこでユウナがアスランをさりげなく連れ出した。
138:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/19 01:10:04
「久しぶりだね、アスラン。まさかプラントにいったままザフトに復帰するとは思ってなかったよ」
「・・・・・・・・それは大変申し訳なく思っています…」
「まぁ僕としてはひとまずカガリが戻ってきてくれればそれでいいんだけど、君は誰の味方をするんだい?」
「どういうことですか?」
「議長から聞いたよ。何かあったら自分すら止めてくれと言われてフェイスになったそうじゃないか。
なら君は最終的にどの陣営につくのかと思ってね。
君も知っての通り、オーブは連合との同盟締結を拒み、その理念を守る道を選んだ。
にも関わらず、君のお友達はカガリをオーブに返す気配すらない。
僕が君達に嫌われていることくらいはわかっているが、一体何を考えているんだか…」
「それは私にも…」
「1つ君に教えよう。君がプラントへ出発した後、『彼ら』は所属不明のMSに襲われたようだ。
それ以降、彼らはカガリを拉致した後、完全に消息を絶っている。
もちろん、僕の仕業ではないが、犯人は全員死亡、乗っていたMSも自爆してしまったせいか身元などは完全に分からずじまい。
一応これを君に言っておかないと、君が彼らに接触できても、僕を怪しむように口車に乗せられかねないから、こんな話をしている訳だが」
「口車って…あなたこそキラ達を色眼鏡で見すぎではありませんか?」
ユウナのやや挑発的な台詞にアスランも熱くなってくる。
互いに言い過ぎになりつつあることは自覚していたが、事が事であるため、中々引き際が見えて来ない。
アスランは仲間を侮辱されたように感じているし、
ユウナは、自分の言動が己の立場を鑑みた言動ではなく、少なくともこれでは政治家失格とも思えてしまっているが、
相互に譲れないところであるために衝突が起こってしまう。
139:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/19 01:11:06
「そりゃあいきなり自分の婚約者を、条約違反のMSと連合に返すはずの戦艦を持ち出して連れ去った連中を中立的視点で見るのは難しいよ」
「きっと彼らだってオーブのことを思ってのことです!彼らは純粋だ。だからこそオーブのためを思って…」
「彼らが純粋かどうかは僕は知らないよ。話したこともない人間だからね。
ただ、仮にキラ・ヤマト達がオーブのことを思っていたとしても、目的が全ての手段を正当化するなどということはありえない。
彼らのやったことは犯罪だ。挙句、市街地付近で暴れ回って街は大混乱だよ。
偶然にも死者がでなかったからいいようなものの、僕には彼らは自分達さえよければ周りはどうでもいい無責任な人間にしか見えないね」
「ならあなたはキラ達がどうすればいいと言うんですか!?」
「それはこっちが聞きたいよ。今のオーブを見ていまだにカガリを返さないのはどうしてだい?
僕が気に食わないのは結構だが、これ以上僕にどうしろと言うんだ?せめてカガリの身柄を解放してもいいんじゃないのかい?
・・・・・・・・・・すまない、熱くなりすぎた」
「・・・・・・いえ、私も言い過ぎました」
少し冷静になって2人は自分を振り返る。
そして、互いに今、目の前にいる相手を責めても何らの解決にはならないことを己の中で確認する。
「以前、君に言ったね、オーブかカガリ、どちらかは、と」
「・・・はい」
「君の機体、セイバーというらしいね。救世主、救い主…なるほど今の君にはピッタリなのかもしれない。
君はオーブのために彼らからカガリを救い出すのか、それとも僕という性悪な婚約者からお姫様を助け出す救い主なのか、
それとも、そのいずれでもないのか…君は一体どれだい?」
「今の俺はザフトのアスラン・ザラです・・・」
「僕には君がそれを通すことができるとは思えない。
酷な言い方かもしれないが、君がザフトに戻ったのは成り行きに流されたとしか思えない。
いつかきっと君はさっき言ったどちらかの救世主になる。
僕の方でもカガリを救出するために手は打っている。
でも君は彼らの仲間だ。僕より早くカガリを救出する可能性は高い。
君が選択をするチャンスが欲しいのなら、僕より先にカガリを助けてくれ」
140:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/19 01:12:56
ユウナは苦しんでいた。
ユウナとしても、オーブを自分の手で栄えさせたいという野望はある。
彼はオーブが欲しかった。
しかし、オーブの代表は、自分の婚約者であるカガリなのだ。
無理にでもカガリと結婚してしまえばオーブもカガリも自分の手にすることはできる。
だがそれでは国は治まらない、いやユウナの力では治まらないことを彼はわかっていた。
国民はカガリ・ユラ・アスハが大好きなのである。
だからユウナはどちらかを欲したのである。
アスランも同じように苦しんでいた。
プラントへ出発する直前にユウナから示された条件。
にもかかわらず、アスランはそれを事実上反故にしてザフトに戻ったのである。
本来であれば、カガリの傍にいることを望める筋合ではない。
だが、そのチャンスが今、目の前に示されている。
他方で、彼にとってかけがえのない仲間達は世界のお尋ね者となっている。
アスランとしては彼らも救いたかった。
しかし、アスランが望むものも、両方を手にすることは極めて難しいものであり、それをわかっているから彼は苦しんでいる。
こうして様々な人間の、様々な思いが駆け巡った食事会は終わった。
だが、直後に、世界には、彼らの苦しみを嘲笑うかのような出来事が続くことを彼らはまだ知らない。
つづく
141:通常の名無しさんの3倍
06/12/19 02:59:36
GJ!!
ユウナは凸に最後のチャンスを示しましたね。
このチャンスをどのように生かすか(もしくは殺すか)で、凸の呼び名がアスランになるか、それとも凸のままか、どちらかに決まります。
……でも
>「きっと彼らだってオーブのことを思ってのことです!彼らは純粋だ。だからこそオーブのためを思って…」
こんな事いってるようじゃ、凸に決まったようなものなんだけどね。
最後に、議長がロゴスに拘り過ぎな様な気がします。
この人、ロゴスに恨みか、もしくは、彼らがいると自分(または、プラント)に不都合なことでもあるんでしょうか?
もしプラントにとって不都合があり、そのために彼らを打倒しようとしているのならば、それは借金の踏み倒し以外の何者でもないですw
142:通常の名無しさんの3倍
06/12/19 05:37:22
GJ!
こんなに早く続きが読めるとは・・・
ヴェステンフルス隊配属は誰になるんだろう?
今のとこほぼ確実なのはシンくらいか?
凸は・・・まあせいぜい悩むがいいさ。
悪行を重ねているとはいえ友人をバッサリ切り捨てるってのは現実に考えるとそう簡単な事じゃないしな。
ふと、無印種で奴がキラを「甘くてお人よし」と評していたのを思い出したがそりゃお前のことだろ。
なんにしても凸がアスランになるためにはもう一押し、
ラクシズに絶望するくらいの何かが必要だろうな。
>>141
> 議長がロゴスに拘り過ぎな様な
それすらもポーズなんじゃないのか?と思うんだが・・・
主に激情家のシンの敵意をロゴスに向けるための。
そうでなくても最終目標たるDプランの事を考えるといつまでも連合を敵としてはいられないから、
ザフト、連合が共通の敵として当たることの出来るロゴスを槍玉に上げたんじゃないかと。
143:通常の名無しさんの3倍
06/12/19 06:03:37
GJ!
>きっと彼らだってオーブのことを思ってのことです!
凸、お前の信じるオトモダチはオーブを姉の私物扱いな発言カマしてるんだが…。
144:通常の名無しさんの3倍
06/12/19 06:20:00
>>143
そうか、考えてみればその辺の考え方の違いとユウナの言った事の方が的を射ていたのに気付いて、
ラクシズから再脱走、というパターンもありえるんだよな。
145:通常の名無しさんの3倍
06/12/19 07:32:22
>きっと彼らだってオーブのことを思ってのことです!
カガリはともかく、キララクは「世界を思って」だろう。頭に自分達の、を付けてもいい。
犯罪者になったのは明白なんだから説得して投降させるとか、そのくらいの気概はあってもいいような・・・。
明らかに間違いを犯している相手を信じるのは妄信というものだ。
146:通常の名無しさんの3倍
06/12/19 08:50:35
>>143
というか、私物だと思ってるんだから基本的にアスランの入ってることは間違ってない
カガリのことを思ってということと、オーブのことを思うことはラクシズ的にはイコールだしな
>シンやガロード、アスランにとってはいささかスケールが大きい話であり、自身の想像力が追いつけずにいた。
というかシンとガロードはいいとしても、アスランは少しは理解しろ(w
お前元議長の息子で前大戦の中心人物の一人だろーが
まあこういう奴だからこそ今の状況なんだろうが…
147:通常の名無しさんの3倍
06/12/19 09:47:02
アスランは所詮、1兵士でしかない。別に戦後の具体的な在り方とかを考えてる訳じゃないし。
まぁカガリはそれなりに考えてるだろうが、ニートはピンクの操り人形だし、
ピンクは世界を手にしてどんなビジョンを持ってるか皆目検討がつかない。
っつーか、ピンクはカガリと比べても、武力以外で解決をしないから一体何をしたいのかわからんわ。
地球ではコニールを始めとして支持を受けてた議長を殺害して議長になったはいいが、
エイプリルフールクライシスの元凶の娘なんぞが議長になったら地球側は反発するどころじゃないだろ
その辺りもどうせ劇場版でもマトモに書けないんだろうけどな。
148:通常の名無しさんの3倍
06/12/19 10:58:57
プラントのほうでもなんか経団連みたいなのって無いのか?運命本編見て無いから分からんが
ラクシズを支援するファクトリーってザフト、ラクシズ両方に兵器を作ってるとか
ティターンズとエウーゴの時みたいに。
それならロゴス潰してプラント癒着団体に利益が行くようにって言う合理的説明がつくが
Dプランみたいな電波出さずにお互いにまともな黒い野心があったほうが面白いのに
アスランかラクスあたりが無印種終了からブレックスかクワトロみたいなロビー活動でもしてりゃよかったのに
149:通常の名無しさんの3倍
06/12/19 11:07:51
ハゲ…オーブでカガリの護衛
ラクソ…オーブで着々と戦争の準備
150:通常の名無しさんの3倍
06/12/19 11:30:21
負債がインタで結構面白いこと言ってるんだよな
凸の目にはキラがやることはうまく行ってるように見えるとか云々
その部分だけ抜き出して見ると楽しいけど負債だからなー
アテにならん
151:通常の名無しさんの3倍
06/12/19 11:48:41
実際ニートは自由撃墜以外は何一つ失っても失敗してもいないからなぁw
152:通常の名無しさんの3倍
06/12/19 12:10:27
さすがなんでもできるスーパーコーディネイター様ってとこかね。
153:通常の名無しさんの3倍
06/12/19 19:37:32
ホッ!ダイテンザン参上だっての!
154:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/20 01:08:07
「…割り切れよ、じゃないと、死ぬぜ?」
シンはテーブルに座っていた。
その視線の先にはキッチンにあるオーブンでクッキーが焼き上がるのを待ち焦がれている妹の姿がある。
チーンという音がして、妹がオーブンを開けると香ばしい匂いが漂って来た。
「お兄ちゃん、クッキー焼けたよ」
そう言ってマユは小皿に取ったクッキーを持って来る。
「はい、お兄ちゃん、あーんして」
「え、ちょっと恥ずかしいよ、マユ」
「気にしない気にしない、はいあーん」
「あーん」
目を瞑ったシンの口に巨大なクッキーが押し付けられる。
「マユ~、お兄ちゃんそんな食べられないぞ~」
幸せな気分だ。父がいて、母がいて、そして妹がいる…
こんな日々が毎日続いてくれればいいのに…
「おい、シン起きろ」
「ん~もうちょっと寝かせてくれよマユ」
「いいから起きろ、おいシン!」
ん?あれ、マユ声が変わってないか?
「おい、シン、朝だ、メシ行くぞ」
え、メシ?
シンが目を覚ますと自分の口に枕を突っ込んでいるハイネがいた。
でもどうして自分の枕元にハイネがいるんだろうか。
寝ぼけた頭では状況がよく判断できないが、分かっていることは、あれは夢だったということだ。
「おはようございまふ隊長・・・」
「やっと目ぇ覚ましたな、もう朝だ、ヴェステンフルス隊でメシに行くぞ。さっさと仕度しやがれ」
「え、でもまだ食堂は…」
「いいから早くしろ。まだ次行くところがあるんだ」
シンとレイは昨日付けでアークエンジェル配属となったハイネの下、ヴェステンフルス小隊として編成されることになった。
もっとも編成したのはタリアであったが、誰も異議を唱える者はいなかった。
いや、正確には誰も唱えることはできなかったのであるが。
食事会が終了した5秒後に編成を告げたタリアの目は座っていたとかいなかったとか。
155:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/20 01:09:04
「よし、仕度したな、じゃあレイの部屋に行くぞ」
「え!?あいつの部屋っすか?」
「そうだ、あいつみたいなタイプの寝起きはきっと面白い」
「……寝起きドッキリすか」
「オフコース!」
こうしてハイネとシンはレイが宿泊している部屋へ向かったのだが、
角を曲がった先でちょうど部屋から出てくるレイの姿を見つけてしまう。
どうやらもう既に起きてきてしまっているようであった。
「レイ、おは」
ハイネは、レイの方におはようの挨拶をしようとしたシンの口を手で塞ぎ、
口の前で人差し指を立てて、シッ!という仕草をして小さな声でシンに囁いた。
「おい、今あっちに行くな」
「え、なんでっすか?」
「あの先からルナマリアが来てる」
「ルナが来るとまずいんですか?」
「見てみろ、あの阿修羅のような顔を。ああいった顔をしてる時の女にだけは近づいちゃだめだ。
理由は分からんが、ありゃ朝から相当ご立腹だ」
シンが角からそっと顔を出してルナマリアの表情を伺う。
その目は釣りあがり、ルナマリアの象徴ともいうべきアホ毛が天をただまっすぐに衝いている。
そしてまるでその体からはどす黒いオーラが滾滾と湧き上がってきているような感じを受ける。
アカデミーの頃からの付き合いであるシンとしては、今のルナマリアが危険なことがよくわかる。
「やばいっすよ、あれ!早くレイを助けないと」
「・・・・・・ダメだ、もう間に合わない。俺達はあいつの分まで生きてやんないとならないんだ」
「でもレイは仲間じゃないですか!」
「…割り切れよ、じゃないと、死ぬぜ?」
結局2人は静かに敬礼をすると、非常階段を使ってこっそりと下へ降りていったのであった。
156:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/20 01:09:59
レイは今日の1日が間違いなく不吉な1日になるであろうと確信していた。
朝、部屋を出た途端に夜叉のような顔をしたルナマリアに捕まった。
聞いてもいないのに不機嫌の原因を延々と話してくる。
ルナマリアは、朝食を一緒に食べようとアスランを誘おうと部屋にいったのであるが、
その部屋から出てきたのはスケスケの服を着たピンク色の物体であった。
そして勝ち誇ったように朝食は自分が一緒に食べに行くから気遣い無用といい、バタンと扉を閉めたのだという。
(カンベンしてくれ…)
レイの心からの願いであった。
なおも続くルナマリアによるラクス・クライン批判。
ルナマリアに捕まってもうどれくらい時間が経っただろうか…
空腹のため思考が鈍く、何かを考えてもグルグル何かが回るだけで、時間はただ過ぎていく。
レイ自身、ルナマリアが怒りを向けているのが、デュランダルが用意した偽者であることを知っている。
偽者なんだからわざわざアスランに抱かれる必要なんてないだろうに余計なことを…
そもそもこんなことになったのも本物が戦後にドロンしたからじゃないか。
そういえば本物がプラントに反旗を翻したのはフリーダム強奪がきっかけだったな。
しかもあのキラ・ヤマトに、だ…それだけでなくその罪をラウに着せおって…
おのれラクス・クライン、キラ・ヤマト…
いや、今はそれは置いておこう。今、大事なのはこの場をいかに切り抜けるか、だ。
考えろ、レイ。何かいいアイディアがあるはずだ、考えろ、考えるんだ…
そしてレイはいいアイディアを思いつく。
「ルナマリア、こんな言葉を聞いたことはあるか?」
「何よ!!!」
「世の中には略奪愛という言葉がある」
「でもそれってよくないんじゃ…」
「そう、人の道に背いているのかもしれない。
だが、人としての道に背いて人の目を忍んで育む愛こそ、情熱的なものだ。
背徳感と愛されているという充実感はその愛を激しく燃え上がらせる。わかったらここで腐ってないで行動に移せ」
我ながらよくもこう心にもないことをいけしゃあしゃあと言えたものだ。
レイはそう思いながらスタスタとその場を去っていった。
157:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/20 01:10:49
早々と食事を終えたシンとハイネは、泊まっていたホテルから脱出するようにアークエンジェルへ向かった。
「おうシンにハイネじゃん、随分と早いな」
格納庫にはGXの調整を行なっているガロードが既にいた。
「おはよう、ガロード。お前こそどうしたんだ、こんな早くから」
「GXの調整をな。最近少し調子が悪い気がしたんで、キッドと点検してんだよ」
「朝から精が出るな、ガロード。さすがあのフリーダムに黒星をつけただけはある」
「そんなたいしたこっちゃねーよ。あんたの活躍もウィッツから聞いたぜ、ハイネ」
「ハハハ、炎のMS乗りにお褒め頂けるとは光栄だぜ。じゃあ今から模擬戦に付き合ってくれないか」
「別にいいけどレイはどうしたんだ?ヴェステンフルス隊のフォーメーションをチェックしなくていいのか?」
一瞬、シンとハイネの表情が曇るのだが、ハイネがなんとかそれをごまかしてガロードに答える。
「ああ、多分すぐには来ないと思うぜ。俺もグフを実戦形式で試してみたいしな」
「じゃあよろしく頼むぜ、黄昏のMS乗りさん!」
その日は、地球各地のザフト基地で慰問コンサートを行なっていた
「ラクス・クライン」こと、ミーア・キャンベルがディオキア基地のシャトルでプラントへ戻る日であった。
時計が正午過ぎを指した頃、予定よりも早くマネージャーに連れられてディオキア基地にラクス・クラインが到着した。
基地ではそのファンであるザフト軍人や基地関係者がサインを求めて押し寄せ、軽いパニック状態になっていた。
「まったく凄い人だかりだな、あれの何がいいのかサッパリわからん」
「プラントじゃ歌姫だったらしいからな。お前だって目の前に元芸能人いれば飛びつくだろ」
「しっかし、あの映像見てどうして偽者だと判らんのかねぇ、顔は似てるが胸が完全に別人だろ」
「バカ!声がデカイ!たぶんあれだ、あー成長期に入ったと想定してるんだ、きっと」
人込みから遠く離れたところで、基地にいる女性をウオッチングしている2人の男が半ばあきれたような声で呟いている。
アーノルド・ノイマンとダリダ・ローラハ・チャンドラ2世である。
彼らは、今、ザフトの基地を慰問して回っているラクス・クラインが偽者だと知っている数少ない人間である。
本物が今、どこにいるかは全く知らないが、キラ・ヤマト達といるであろうことは容易に想像できる。
ゆえに、彼らはこれから起きる出来事を全く予想できなかった。
158:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/20 01:12:40
「でもあのサイン、相当高値で売れるらしいぞ。確か整備班のヨウラン・ヴィーノが言ってるのを聞いた」
「お前それを早く言え!今からサイン貰いに行くぞ!」
そう言ってチャンドラがどこからかサイン色紙2枚を取り出した。
「お前、それをどこから出した?」
「…気にするな、レイの奴もそう言ってた」
「はいはーい、皆さん押さないで~な。ラクス・クラインは逃げも隠れもしまへんで~」
怪しげな関西弁と軽妙なノリの男が、サインと握手を求める人々に対応している。
その様子はとても楽しそうなもので、仕事をしている風にはあまり見えない。
そしてその脇で「ラクス・クライン」は驚異的な速度で次々と色紙にサインを書いていく。
彼女の様子もまた、とても楽しそうなものであった。
それを見ている人々には、彼女が群がってサインを求める自分達に嫌な顔1つ見せることなく
ファンの要望に応じる心優しいプラントの歌姫に見えていた。
そして、彼らの番がやって来た。
「ほなお待たせ、あなたのお名前なんでっか?色紙にあなたのお名前も書きまっせ?」
「アーノルド・ノイマンにダリダ・ローラハ・チャンドラ2世です」
「ノイマンにダリダ…チャンドラ?」
マネージャーの男の声が止まる。
同時に、ノイマンとチャンドラも一瞬、凍りつき…
「「「あ!!!!」」」
3人の声がハモった。
それを見た「ラクス・クライン」の表情も少し変わる。
「「アンドリュー・バルトフェルド!!それに本物のピンク!!」」
2人が思わず叫んでしまった人物の名を聞いて、周囲に驚きととまどいの空気が生まれた。
先日、オーブ襲撃犯として全世界に指名手配されている男の名前は今、世界中で有名である。
そう、今、ここにいるのは、正に本物の「ラクス・クライン」と砂漠の虎、アンドリュー・バルトフェルドだったのである。
周りの空気の変化を察したバルトフェルドは瞬時に懐から閃光弾を取り出し、地面に叩き付ける。
次の瞬間、一面を凄まじい光が覆いつくし、バルトフェルド達はシャトルの乗り場へ走り出す。
基地内では何が起こったのかがさっぱりわからず、大混乱に陥っていた。
そして予め乗っ取る手はずを整えておいたシャトルに乗り込んだバルトフェルドは、シャトルを発進させた。
事前に話を通してあったクライン派の内通者の手によって、シャトル強奪犯への対応するための命令伝達が大幅に遅れたものの、
シャトルを撃墜するべく、基地からバビやディンの大軍が飛び立っていった
159:ガロード IN DESTINY ◆EDNw4MHoHg
06/12/20 01:17:04
宇宙へ逃げるように飛んでゆくシャトルに、追撃のMS隊からビームが放たれるが、
それをバルトフェルドは機体を左右させることで辛うじて回避する。
しかし、鈍重なシャトルがいつまでも攻撃を避け続けることはできない。
シャトルが迫り来る大量のミサイルに捕らえられた、と思われた瞬間、そのミサイルは、
横から放たれた攻撃によってすべて撃ち落された。
現れたのは、「かつて」世界最強のMSの異名を取った、自由の名を持つ機体、フリーダムであった。
「キラか!助かったぞ!」
「無事ですかバルトフェルドさん!?僕が喰い止めますから早く!」
「了解した、あとは僕に任せておけ!」
「ラクスをお願いします!」
そう言うと、フリーダムは基地から上がってきた追撃部隊への攻撃を始めた。
その頃、シン、ガロード、ハイネ、そして遅れて合流したレイは模擬戦を行なった結果を検討していた。
「レイ、お前のいい点は正確な動きと戦場全体の状況の把握能力の高さだ。
能力で言うと指揮官に向いているな。ただ、動きがやや慎重過ぎる感がある。
場合によっては、もう一歩踏み込んでみることが必要なことがあることを覚えておけ」
「了解です」
「次にシン。お前はレイとは逆に、猪突猛進過ぎる。戦場ではもう少し冷静になれ。勢いに任せるだけじゃMS乗りとして2流だ。
ただ、お前の反応速度と操縦技術、機転を利かせた戦術はかなりイケてるぜ。そこら辺はガロードと少し似ている感じがしたな。
あとはお前のもっとも特徴的なところは近接戦闘の力強さだ」
「俺は?」
「お前は2人と比べると、やはり実戦慣れしてるな。全体的なものをいえば、俺より上だろう。
まあ世界最強と言われたフリーダムを退けた実力はさすがだよ。
お前ら3人は相性がいいぜ。これからもお前らで模擬戦をやれば全員、凄腕になれることは保障してやる」
ハイネが3人の特徴として考えたのは、
状況把握力のレイ、近接戦と機転のシン、状況対応能力のガロード、といったものである。
データをまとめていると、ハイネの下に基地へ至急帰還するべしとの命令が届く。
「おい、お前ら、急いで基地に戻るぞ、武器のモードを実戦用にしておけ」
ハイネはそう言って機体を基地の方へ向け発進させる。
3人がそれを追って発進するが、何が起こっているのかがわからず戸惑っていた。
「ヴェステンフルス隊長、どうなされました?」
「ハイネと呼べといったろ。フリーダムだ、ディオキアにフリーダムが現れた。それを迎撃しろとさ」
「フリーダムが!?」
シンの脳裏に、オーブでの悲劇の日の光景が蘇る。
「シン、熱くなりすぎるなよ、お前の話は聞いてる。俺達もフォローはしてやるから安心しろ、なあガロード?」
頭に血が上ったシンを諌めるようにハイネがシンに通信を入れる。
「おお、任しておけ!」
かつて自分もフリーデンになじめずに単独行動で自分だけでなく仲間も危機に陥れてしまったことを
思い出しながら返事をするガロードだが、少しGXで対応しきれるかが不安ではあった。
こうして、シン・アスカとキラ・ヤマトの2回目の戦いが始まることになったのである。
つづく
160:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 01:22:58
gj
だが、サブタイの台詞をそんな場面で使うかーっw
161:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 01:25:26
GJ!
まさか、凸の寝床の時点から既に入れ替わって夜通し洗脳を?
よしルナ、ラクスのためにと奇麗事ばかりのニートに目撃談をぶちかましたれや!
しかし背景兄弟が遠目にはミーアかと思い込むくらい胸が強化されていたという事は
さぞやパットを幾重にも(ターン
162:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 01:29:59
ちょ、サブタイそこかよwwwww
つーか虎よ…なんて迂闊で残念な………
163: ◆EDNw4MHoHg
06/12/20 01:34:08
>>161
一応、誤解のないように申し上げますと、それはアスランの部屋にいたのは巨乳のほうで、
そっちの方はまだ基地に移動中ということになっております。スマソ…
あと背景ズが遠くから見て本物と気付かなかったのは、遠くから見ただけで
頭のピンク色しか見てないからです…orz
164:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 02:58:30
GJ!
背景二人、元仲間だろうにピンク呼ばわりかいw
凸は何か「宝物は沢山手に入れたけど一番大切なものは盗られて無くしてしまいました」って結末になりそう。
165:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 07:23:24
GJ!!、本物のラクスが来ているとは、
これってまさか、ラクシズによるアークエンジェルごうだ……、もとい、
正当な持ち主の元に取り戻すための、神聖なる作戦wの一環でせうか?
166:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 08:44:04
というかそんなに楽しいならずっと歌姫やってろよラクス…
しかし何気にレイの交友範囲広いな、ノイマンやチャンドラとまで交流あるのか(w
原作じゃあ基本的に議長にとって有用か否かを前提として人間関係構築してたからなー
さて、アスランはミーアを食ったんだろうか?
描写的にはかなり食ったっぽいが、ミーアが見栄はり&ルナへの牽制でそう振舞っただけという可能性も…
(おそらくは)オーブのために頑張ってオーブへ帰還しようと暴れているであろうカガリを思うと不憫だなぁ
167:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 09:08:58
レイが推測してるだけでアニメと同じ朝起きたら隣に寝てた的展開だと思われ>凸&ミーア
168:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 09:18:23
虎の驚いた声とハモったことに反応しただけだと思われ>ピンク
虎も、まぁ招集を拒否したはずのブリッジのメインクルーがザフトの基地にいればびっくりするさ
169:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 10:18:02
以前あった
>だが、レイの配慮は後日、二重の意味で裏目に出てしまうことになってしまうことになることを、
>現在は誰もが知る由もなかったのである。
コレって、今回の夜叉(阿修羅)なルナの愚痴の事だったのかな・・・?
にしても、ホントにレイとノイマン&チャンドラがおもろいわw
170:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 10:44:18
>憤怒ルナ
何故だろう、怖い顔した出しゃばらない方の前作主人公のAA思いだした
171:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 11:18:25
>>165
同人アヌメにもあったなりすまし作戦だべ、ついでに宇宙に上がって戦争かます準備するための。
>>170
誰のこと?
172:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 13:37:15
>>現れたのは、「かつて」世界最強のMSの異名を取った
ワロタw
173:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 14:00:40
>「ラクス・クライン」は驚異的な速度で次々と色紙にサインを書いていく
事務処理能力高かったんだな…ラクスって。
などとヘンなところに感心していた俺がいる
職人様GJです
174:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 14:25:54
単に昔から書いてたから巨乳の方より慣れてたってだけじゃないか?
175:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 15:22:29
サイン書く早さと事務処理能力って全然別物じゃね?
176:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 15:30:41
タイピングの速さとプログラミング技術って別物じゃね?
177:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 15:36:01
>>176
頭はいいけど馬鹿な人
178:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 16:26:24
自分のやってることが大犯罪だとわからない時点で頭悪い通り越してぶっちぎりに池沼だろ、常識的に考えて。
179:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 17:06:47
売るためにサインを貰うのに自分の名前を書いてもらうっていいのか?
180:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 18:15:21
>>177知識はあるけど知恵は無い、みたいな?
181:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 19:18:59
>>181
後は性格自体が馬鹿、とか
182:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 19:20:53
>>181
……アンカー
(´;ω;`)ブワッ
183:通常の名無しさんの3倍
06/12/20 23:18:37
>>171
某舞-HiMEの主人公だとオモワレ
>>182
生㌔
184:通常の名無しさんの3倍
06/12/21 00:43:38
まぁラクソがキチガイなのはデフォルトだな。
ニートやハゲ、ゴリは話次第だが。
185:通常の名無しさんの3倍
06/12/21 02:54:16
>>178
厳密に言うと、大犯罪だとはある程度承知してるけど、目的のために過程を正当化してるだけ
悪いことをしてる、でも間違ったことはしてないという明らかにおかしい思考
ラクシズ的にどこかに正当性が認められれば、そこからおきる全ての被害は平和のための礎なのさ
その辺、デスノのLに通じるものがあるな
あっちはまだ周りがまともな思考してるし、できるだけ自分サイドの被害は少数に抑えようとしてるだけにまだマシだが
被害者(明確な自分サイド以外の人間)に対する加害者意識のなさは恐ろしい