06/12/24 11:43:54
>>保守作品
貴様がGX氏やSEED-X氏を楽しみにしているように、貴様を楽しみにしている人間もここに居る事を忘れるな
92:通常の名無しさんの3倍
06/12/24 11:46:56
仕事前に保守が読めてよかった、シン頑張れ!
93:保守作品9
06/12/24 18:46:25
アベル・バウアー中尉へ激励と部隊の近況、蛇足ながらフロスト大尉への注意を促す手
紙をニュータイプ研究所へ送るように手配し、自分にコーヒーを淹れたところでノック
の音が響いた。
部下なら名乗るし、島民でも一度来たものなら、やはり名乗る。
とりあえず厄介ごとの種であることは疑いようが無い。
シンは眉間にしわを寄せて肩を落としたが、深呼吸し気合を入れ直してお客を予想した。
襲撃するならノックしないだろうし、金属探知機にかからない以上、銃も持ってないだ
ろう。多分安全な手合いだ。となると十中八九、陳情……。
くそ、アポイントくらい取れ。俺は軍人だ、市長じゃない。大体元セインズアイランド
行政府の連中だって、真面目に働いてた奴は残してるんだ、そっちをあたってくれ。
悪い支配者を畏れ敬ってくれ、近づくな、頼るな、揉め事もってくるな、主にマイルズ。
3秒間に怒りを爆発させ、落ち着くと。
「どうぞ」
シンは入室を許可した。
「お邪魔するわ」
入ってきたのは痩身の男、名はルマーク・カウト。
この辺りでは名うてのシーバルチャーらしく、かなりの資産やコネを持っているらしい。
今までにも数回この執務室を訪れ、忠告やら仕事の売込みに来ていた。
軍の名義で彼のモビルスーツを買い取ったこともある。
こういう顔の広い相手は敵に回すのは得策ではないと、敵対しないように気をつけてい
たのだが。
「ああ座ったままで良いわよ、一応市長さんなんだから威張ってないとね、坊や」
「お心遣い痛み入ります」
心にもない返答を返すシン、こういう人間は苦手なのだ。
激動の時代を生き延びてきたせいか、腹芸がうまく、こっちが横暴に出ないことを知っ
て坊や呼ばわりするし、足元見るし、最初に来たときは武装蜂起するかもなどと脅しを
掛けてきたし、何より異常にこちらの内情を知っているのだ。
正直年季の違いを感じてしまう。侮ることができないのだ、目の前の男は。
「あら、そんな嫌そうな顔しないでよ、前の市長よりずっと役に立ってるわよ。
ピンハネしないし、バルチャーにも公正だし、ちゃんと商品を買ってくれるしね。
確かに前よりやりづらいけど、時代の流れでしょう。
無法時代は長く続かないなんて事、とっくに解ってたわ」
「理解あるお言葉、感謝に堪えません」
言葉は丁寧だが顔が引きつっている、使い慣れない対応に体が着いてこれないらしい。
商人のように談笑出来る軍人なんて人間になるように、遺伝子を調整しといてくれたら
良かったのに。と親に責任転嫁するシンであった。
94:保守作品9
06/12/24 18:47:43
「無理しなくて良いわよ坊や、そういう生真面目なトコ気に入ってるけどね。
じゃあ、からかってないで本題に入りましょうか」
「はあ、そうして頂けると助かります」
「仕事上の取引をしたいの、そちらは情報を教える。
私はその情報を生かして商品を造る、それを買って欲しいの」
疲れる相手だ、またロクでもないことを言うのだろう。
「随分と抽象的な物言いですけど、具体的に言ってください」
ルマークはいかにも愉しそうに目を細めると。
「ローレライの海」
シンの瞳が殺気を帯びる、こいつは危険だ。
シンは音を立てないように下段の引き出しを開けると拳銃を掴む。
「無法者のシーバルチャー、オルクも近づかない海域があると聞いてますが、
その海域がどうかしましたか?」
「とぼけなくても良いわよ、もうあの海域にローレライは居ない。
そして連邦にとって、いえ、貴方にとって大事なモノが沈んでる」
何処まで知っているかは解らないが、情報は筒抜けらしい。
部下か、それとも他に新連邦から情報を得たか。
「なるほど、貴方の言う俺の大事なモノを引き上げるから買ってくれ。
というお話ですか?」
「理解が早くて良いわ、けど足りない。
私が買って欲しいのは、その大事なモノを再利用して修復された──
・ ・ ・ ・
ガンダムなんだから」
1秒かけず、シンは銃口を眼前の男の眉間に押し付けた。
「知りすぎたようですね。貴方の存在は新連邦にとって害悪のようだ」
しかし男は眉一つ動かさず、それどころかこちらを面白そうに観察する始末だ。
「知りすぎた?
貴方が教えてくれたのに」
「なに」
「聞きたい?
だったら、銃を下ろしてくれないかしら、貴方の綺麗な瞳が見えないもの。
話は相手の目を見てするものでしょう」
「断る。そのたわごとを包み隠さず話すのなら、今は頭を吹っ飛ばすのを止めてやる」
「怖い怖い、でも本当よ。
貴方が私の最大の情報提供者だっていうのは」
「ふざけたことを──」
シンの言葉を遮り、
「お兄ちゃんはもう駄目かもしれないよ、マユ」
ルマークの口から妹の名前が漏れた。
95:保守作品9
06/12/24 18:49:02
音が止まる、呼吸が止まる、何故だ、何故知っている。
部下も知らないようなことを……何故
考えろ、考えろ、マユの名は一人の時しか漏らして──そうか!?
「盗聴か!」
「ご明察、貴方たちの会話は全部私に筒抜けだったのよ」
シンはこの男に底なしに怒りが湧いてきたが、同時に疑問も浮かんだ。
「何故、話した。
自分の優位を崩すような真似を」
「貴方がそうやって考えられる人間だからよ。
怒りに任せて銃爪を引くような、無能な軍人さんじゃないもの。
是非、貴方と親密な商売がしたくって。良い商売は信用から生まれるのよ」
よく言ったものだ、盗聴するような人間が信用を口にするとは。
「もし、貴方が此処から帰ることが出来なかった場合どうなる」
「そう考えられる坊やは好きよ、勿論、新連邦にとって都合の悪いことが、
連鎖的に起きてしまうかも。」
「今、貴方を殺す方が、連邦にとって都合が良いとは考えませんか?」
「部下に責任が行くわよ」
「っ」
ありえる、GXのことまで包み隠さず上に知られたら、彼一人の責任に出来なくなって
もおかしくない。
「……そちらの方が上手のようですね、だがそれは信用じゃなくて弱みを握って脅迫する
というんですよ」
「銃を突きつけられているんだからフェアだと思うわ」
ああ言えばこう言う、苛立たしい相手だが、盗聴をばらした以上、譲歩の気持ちはある
のだろう。シンは降参した。
「ふう、やはり年の差では勝てませんか。
やはり暴力に訴えるとします。
悪い軍人ですからね、俺」
「出来ないわよ、坊や」
「本業はパイロットですから」
「丸腰の相手を撃てる様な卑怯者じゃないわ、不器用そうだもの貴方」
「さて、それはどうでしょう」
相手を恫喝するため、銃口を相手の股間へ向ける。
シンは嘲笑って銃爪を──
冗談でしょ、と男の眼が驚愕に見開き
──引いた。
行き当たりばったりで続く。
ここのシンはバイオレンスなんです。
それとルマークってカツ・コバヤシと同じ声だったんですねえ。
96:通常の名無しさんの3倍
06/12/24 19:27:09
スゲー、連続投下だ乙
>>90>>91も言ってくれてるし、保守なんて言わなくてもいいぜこれは
97:GX1/144 ◆nru729E2n2
06/12/24 21:17:46
メリークリスマス… と夜な夜な投下 >>保守氏、トリつけて連載してみたら?
第四十六話『仲間を助けるための賭けだ』(前編)
フリーデンが拿捕されてから丸一日が過ぎた。ガロードたちはジャミルが捕まる寸前に出した『シークレットコマンド』”明日の夕日は見られない”に従い、
着々と準備を進めている。ガロードは通風孔に入って基地の武器庫やMS格納庫の配置を調べに行っている。残された面々は静かに時が過ぎるのを待っていた。
「GX、エアマスター、レオパルドを取り替えさえすれば状況は一気にこっちに傾くけど…。」
「捕まってるキャプテンたちが問題よねぇ…。」
「キャプテンとティファは新連邦にとって利用価値があるから、殺される心配はないと思うけど…。」
シンゴ、トニヤ、サラの表情は暗い。『シークレットコマンド』とは、緊急時のみ使われる暗号命令である。”明日の夕日は見られない”とは
”明日の夕方、日没と同時に各自逃亡作戦を開始せよ”という意味合いを持つ。だが、ジャミルたちを助け出すほどの余裕はおそらくない。今までずっとフリーデンに乗って
ジャミルの下で働いてきた彼らにとって、ジャミルがいなくなることに対する不安はかなりのものであった。
「な~に、ジャミルだって伊達にバルチャーやってるわけじゃねぇんだ。自分の身は自分で守るだろうさ。」
「そーそー。作戦やらなんやらはジャミルの担当だったしね。俺達にこんな指令出しておいて自分は何にもしないなんてことは無いんじゃないの?」
シンゴたちとは反対側の壁に寄りかかって座って脚を組んでいるウイッツとロアビィは楽観的に自体を見ていた。一人一人個別の牢屋に入れられると思っていたが、
実際にはグループごとにまとめて投獄されている。バルチャーを捕らえておくにはずさんな処置だったというべきだろう。
「それはそうと、シンはどうすんの?」
頭の後ろで手を組んだキッドが思い出したように口を開いた。
海中に沈んだディスティニーの残骸は新連邦に回収されており、兵士がコックピットからシンを引きずり出しているところを皆は見ていた。
「あいつら、けが人の扱いがえらくわるかったよな。敵とはいえ、シンはけが人だろ?」
「治療もろくにされないで、別の場所つれていかれちゃったもんねぇ…。」
ウイッツとトニヤの会話を左から右に流しながら、カガリはひざを抱えたまま床を見つめていた。
新連邦の兵士達に両脇を抱えられ連れて行かれたシンは、顔の半分近くを真っ赤な血で染めていた。頭部のけがは少しの傷でも多量の出血を伴うことは知識としては知っている。
だが、知識として知っているのと実際に目で見るのとでは受ける衝撃が違いすぎた。
赤黒く染まった彼の痛々しい姿は、カガリの脳裏に焼きついて離れないでいた。
「心配? シンのこと。」
顔を上げると、隣にトニヤが座っていた。カガリは傷ついたシンの姿を見て以降口を開いていない。いつも場を盛り上げていたトニヤの目に、沈んだ彼女の姿は見るに堪えないものがあった。
「…あんたがフリーデンに乗った最初の時は、シンいきなりキレちゃって手が着けられなかったわよね。」
「……今でもあいつは私と話すときあんまり目を合わせることは無いぞ…。」
「それでも、前に比べたらやさしくなったんじゃない?」
「まぁ…、な。」
カガリは視線を戻し、フリーデンに乗ってから彼と行動を共にした時間を思い返す。確かにトニヤの言ったとおり、前に比べれば彼の彼女に対する敵意は小さくなっているだろう。
初めて出会ったときに向けられたあの憎悪の眼差しに比べたら態度がかなり軟化しているのも事実だ。
「やっぱ、怒ってばっかだったシンちゃんが好意を素直に表現できるようになったのかしらね…?」
「…私はあいつの家族を殺した奴の娘だ。シンが態度を硬くしても仕方が無い。」
カガリの話す内容は日常の会話で話すような軽い内容のものではないが、不思議と彼女の表情は穏やかだった。
「だけど、あいつもようやく私のことを”仲間”と認めてくれたんだと思う。もっとも、私が勝手に思っているだけでかもしれないがな。」
顔を上げてトニヤのほうを向いたカガリは照れくさそうに頬をかく。トニヤもそんな彼女を見ながら穏やかに笑った。
98:GX1/144 ◆nru729E2n2
06/12/24 21:20:36
第四十六話『仲間を助けるための賭けだ』(中編)
シンは薄暗い道を必死に走っていた。向かう先には一向に光は見えず、この道がどこまで続いているのかまったくわからない。ただただ後ろから迫ってくる異形な者たちから必死で逃げていた。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ―!!」
どれぐらいの距離を走ったのか、どれだけの時間走り続けているのか。時間の感覚も距離の感覚もとうに麻痺し、汗だくになりながら息も絶え絶えに走り続ける。
「クソ! いつまで付いてくるつもりだッ!!!」
振り向いて異形な者たちの姿を確認する。距離はまったく開いておらず、異形がわざと距離を詰めていないように感じられた。
異形は2体、1体は人型に近い形状をしているが、背中の大きな翼を広げ腹部に大きな口が見え隠れしている。両腕の長さが通常の2倍はあり、
その先には金色に輝く2本の大きな爪が暗闇の中で異様なほどの輝いて見える。
もう1体は人型ではなく、丸々とした大きな胴体に2本の大きなはさみを持った一つ目の魔物である。正面に見える赤い目玉はシンを逃がすまいとしっかり見据える。
大きなはさみは動きを見せていなかったが、逆にその不気味なほど静止した無骨なはさみにシンは恐怖を覚えていた。
延々と走り続けたシンが勢いよく地面に倒れる。道は果てしなく長く続いているが、彼が躓いて転ぶような石や障害物は存在しない。彼が足に目を向けると、あのまったく動くことの無かった
一つ目のはさみが彼の足を掴んでいた。距離は目測で10m、この距離を一度振り返って前を向きなおすまでにはさみを伸ばしたのである。
「クソ!! 放せ!!!」
走り続けていた体は疲労を訴えて動こうとしない。ゆっくりと手繰り寄せられるはさみから逃れようと彼がもがいた。だが、異形たちはすぐに手を伸ばせば届く位置までたどり着いつく。
「あ…あ……。」
シンの顔に恐怖の色がありありと浮かぶ。今までMSでの戦闘で死ぬような怖い経験を何度もしてきた彼だが、ここまで恐怖を表面に出したことは無い。
人型の異形が長い両腕で彼の腕を地面に固定する。十字架に貼り付けられるような形になったシンの前で、ゆっくりと胴体の口が開いた。
「やめろ…!!」
異形の口内には歯や舌は見当たらない。しかし、口内の中心に小さな赤い光球があった。光は血のように赤く、徐々にその大きさを増していく。
「やめろぉぉぉッ!!」
首を左右に振りながら何とかその場から逃げようと必死に身をよじる。だが、腕の拘束は緩むことは無く、足を挟むはさみの拘束も緩まない。
「あああぁぁぁぁッ!!!」
その場から脱出することもできず、シンはそのまま光に呑まれた。
99:GX1/144 ◆nru729E2n2
06/12/24 21:23:25
第四十六話『仲間を助けるための賭けだ』(後編)
「あああぁぁぁぁッ!!!」
「うるせぇんだよ!! このガキが!!!」
頬に走った衝撃と痛みにシンは目を覚ました。固まった血がこびりつくまぶたを開けると真っ白な床が飛び込んでくる。ゆっくりと頭を動かすと、真っ白な部屋に入れられていることに気がついた。
「ここは…?」
そういって立ち上がろうとしたシンは、自分がどのような状態に置かれているかはっきりと認識する。
「な!? なんだよこれ!!?」
両腕は後でしっかりと縛られ、体は椅子にベルトでしっかりと固定されている。ベルトはきつく、身をよじった程度では逃れることはできそうに無かった。
「あんたら!! 一体これはどういうことだ!!?」
シンは正面に立つ二人の兵士に対して叫んだ。入り口の両側に立つ二人のうち、右側に立っていた兵士がめんどくさそうに答える。おそらく彼を殴ったのもこの男だろう。
「お前みたいな”化け物”を捕まえておくにはこれでもまだ足りないくらいだよ。」
「化け物…?」
初めて言われた『化け物』という言葉にシンは驚愕した。彼のいた世界にある”ブルーコスモス”は『青き正常なる世界のために』というフレーズをうたい文句にコーディネイターを化け物扱いしている。
無論シンのようなコーディネイターが自然の摂理に反しているといえば反しているだろう。だが、好きでコーディネイターとして生まれてきたわけではない彼らにとってその言葉はまさに”言葉のナイフ”というにふさわしいものであった。
シンもそういう風に言う輩がいることは知っていた。戦場でナチュラルの兵士達が口々にそう叫んでいるのを何度も聞いた事がある。しかし、この『ナチュラル』『コーディネイター』という概念のないこの世界で、そのことを言われたことに大きな衝撃を受けた。
「な、何だよ…? 化け物って……?」
「化け物は化け物だよ。細胞いじって、普通の人間とは体のつくりが違うんだろ? そんな人外な生き物を”化け物”って呼んで何が悪い?」
「…どこでそれを?」
「おまえ、あのキラとか言う奴と同じように色の変わるMSに乗ってたろう? あんな装甲はほかに無いからな。パイロットも遺伝子いじった形跡があったって話しだし、そうなると同じような機体を持っているならおのずと答えは出るさ。」
「おい、あんまりべらべらしゃべるな。」
もう1人の兵士が先に口を開いた兵士を黙らせる。そんな中、シンはうつむいて唇をかんだ。
この島に着く前の戦闘でフリーダムが現れなかったことを気にかけてはいた。確かにフリーダムのシンのディスティニーもPS装甲という『色の変化する装甲』をつけている。そういう考えにいたっても不思議ではないだろう。
ふと、シンの中で一つの疑問が生まれた。
「フリーダムは!? あいつは今どこにいる!!?」
「さてな、捕虜はそんなことを知る必要は無い。」
それ以降、シンがどんなことを聞いても彼らは口を開かなくなった。何もできない状態でただ時間だけが過ぎてゆく。
シンたちの会話が途切れて20分ほどたった頃、入り口から二人の男が部屋に入って来た。二人は監視をしていた男たちを部屋の外に出すと、椅子に縛り付けられろくに血を拭かれていないシンと正面から向かいあう。
監視役だった二人とは違い、彼らは紺の上着に白いスラックスを着用している。赤いシャツを上着の下からのぞかせた背の高い男と、紫のシャツをのぞかせるもう1人の男をシンは睨みつけた。
「血まみれの改造人間、か。無様だね。」
「キラ・ヤマトといい、お前といい、遺伝子に手を加えられた者達は普通の人間よりも優れた存在になるのではないのかね?」
シンは彼らの言葉に何も言い返すことをせず、ただ睨み続ける。あきれたように背の高い男が息とつくと話を続けた。
「我々は、貴様を尋問しに来たわけでも、拷問しに来たわけでもない。」
「僕らは、君と賭けをするために来たんだ。」
「…賭け…?」
要領を得ない発言にシンは眉をひそめる。
「そう、フリーデンのクルーは全員捕まっている。」
「仲間を助けるための賭けだ。掛け金は、君の命。」
シャギアとオルバは含みのある笑みを浮かべたまま、シンを見下ろした。
100:通常の名無しさんの3倍
06/12/24 22:08:00
GJ!
カガリは「シンが怪我した姿」にショックを受けた?
それとも「怪我そのものの酷さ」にショックを受けた?
101:通常の名無しさんの3倍
06/12/24 23:01:25
両方じゃないかね?
見知った人間の流血シーンは見ていて気分が良い訳ないしね
102:通常の名無しさんの3倍
06/12/24 23:12:56
クリスマスに更新乙、そして添削
>>97
>GX、エアマスター、レオパルドを取り替えさえすれば | 取り返しさえ
>ウイッツとロアビィは楽観的に自体を見ていた。 | 事態
>シンいきなりキレちゃって手が着けられなかったわよね。 | 付けられなかった
>カガリの話す内容は日常の会話で話すような軽い内容のものではないが
「話す」を同文内で重複して使うのはあまりよろしくないか。
先を カガリの話の内容 とするか、後を 日常の会話のような とした方がよいかも。難癖レベル。
>私が勝手に思っているだけでかもしれないがな。 | だけかもしれないが
>>98
>大きな爪が暗闇の中で異様なほどの輝いて見える。 | 異様なほど輝いて
>ゆっくりと手繰り寄せられるはさみから
「手繰り寄せる」は意味としては不適当。「引き寄せられていく」などの方が適当か。
>手を伸ばせば届く位置までたどり着いつく。 | たどり着く
>>99
>”言葉のナイフ”というに
前後からすると ここは 言うに か。
>そのことを言われたことに大きな衝撃を受けた。
「こと」を多用すると文章の流れが悪くなる。「そう言われたことに」、「そう呼ばれたことに」などが適当か。難癖レベル。
>細胞いじって、
後の文を見ると 遺伝子 の間違い?(間違ってはいないし、わざとそうしてあるのかもしれないけど)
保守氏も乙です!今日は二度も更新とは流石クリスマス。
103:保守作品10
06/12/25 21:02:00
「ぷ、あははははは、今の顔最高!」
シンの爆笑が執務室に響いた。
そうシンが突きつけていた拳銃には弾が入っていなかったのだ。
暴力の威光を最大限に示すために、こういった小道具を用意していたわけだ。
弾の入った拳銃はいつも腰に身に着けている。
これも恩師に当たるカトックから学んだハッタリ、もとい知恵だ。
見事にシンの演技に引っかかったルマークは憮然としていた。
「良い演技するものね坊や、腹立たしいけどますます気に入ったわ」
シンは銃を机に置くと、肩をすくめて全面降伏した。
自分より頭の切れる相手に全ての情報を握られたのだ。どうしようもない。
「降参です、お手上げだ。
けど一つ教えてください、いつの間に盗聴器を?
するとルマークは満面の笑みを浮かべた。
「貴方達が来るずっと前から、この建物が出来たときに。
元々ここの行政府から情報を手に入れるために仕掛けてたの」
シンは左手で顔を覆った。
何て間抜けだ、自分からバルチャーの餌場に飛び込んだようなものだ。
「それは、また……」
二の句が続かない、シンはあまりの愚かしさに落ち込んだ。
「あんまり落ち込むことないわ、接収した後に気をつけてただけでも及第点よ」
「はあ、まったく貴方は俺を凹ます為だけに来たんじゃないでしょうね」
「言ったでしょ、取引だって」
一度言葉を切り、商人の顔でルマークは言葉を繋ぐ。
「そっちの内情は大方知ってるわ。
Xタイプのbitモビルスーツで直す機体と言えば、同じくXタイプであるガンダムXしか無い。
つまり、貴方は所有しているんでしょう。世界を滅ぼしたガンダムの残骸を」
「ご明察。
ある倉庫に隠してありますけどね」
「隠した?
ああ巷のバルチャーが怪しんでる、軍が貸しきった倉庫のことかしら。
あれで隠したつもりだったの、バレバレよ。
私に任せなさい、連邦にも見付からない場所に隠してあげるから」
「それは………」
「信用できない?
でも私は商売に関しては嘘は言わないわ、誘導したり、話さないことはあるけどね。
私が信用できなくても、あの倉庫が怪しいなんて皆知ってるわよ。
そのうち隠すならもらってしまえって、バルチャーに襲われるかも」
「よく言う、けしかける側の癖に」
「まあそれは置いといて、どうする?
情報を貰えればbitモビルスーツを回収して、ガンダムXを修復、保管してあげるわ」
「貴方は直すべきだと思いますか、アレを……」
「もうダブルエックスっていう、サテライトキャノンを持ったガンダムがロールアウトしてい
るんでしょう、だったらもう一機増えたって問題あるの?」
104:保守作品10
06/12/25 21:05:13
「アレはジャミル・ニートが乗っていた現物です」
「だから、何?
手段は多いほうが良いでしょう、血濡れだろうが新品だろうが銃は銃よ。
革命軍がまだ現役だなんて知らされたら、またコロニーが降って来るなんて知ったら、
なりふり構っていられないわ」
戦後を生き抜いたシーバルチャーは冷徹らしい、感傷よりも明日の生存を優先する人間なのだ。
いや、もしかするとガンダムという象徴に拘っているのは軍人だけで、戦後を生き抜いた人々に
とって、GXですらただのお宝に成り下がったのかもしれない。
「いつまで迷ったフリをしているの、貴方は使う為にGXを手元に置いているのよ。
自分を誤魔化したってコロニーは待ってくれない。
だったら一刻も早く修復して備えるべきでしょう」
「確かに正論ですね、けれど直した後に騙して売り払ったりするのがバルチャーの流儀じゃないん
ですか?」
「傷つくこと言うわね。繰り返すけど嘘は言わないし、顧客は売らないわ」
「どうだか」
「証明してみせましょうか?
前に貴方達と交戦した青いモビルアーマー、
アレ、私が造ったのよ」
シンは意味を理解すると同時に腰の拳銃を抜き放ち、再び男に突きつけた。
「話せ、あれに乗っている奴のことを」
「嫌よ、お客さんだも──」
言い終える前に銃把で額を殴りつけ、足払いを掛けて転がす。
すかさず銃口を額にめり込ませ、床と銃で頭をサンドイッチにする。
「もう一度言う、死にたくなければ話せ」
圧倒的に不利な体勢にも関わらず、ルマークの眼光がいささかも衰えない。
「フリーのモビルスーツ乗りに売ったわ、
軍を襲ったのはセインズアイランドがその人の第二の故郷だからよ」
押さえつける力が、少し緩くなる。
「これ以上は守秘義務よ。自分で探しなさい」
「キサマの口を割らせる方が速い」
「無駄よ」
「バルチャーが客一人の為に命を棄てるか」
「客一人の為じゃないわ、私自身を賭けてるのよ」
まっすぐな眼差しを向ける相手にシンはひるんだ。
「生き汚いバルチャーの台詞じゃない」
「武力制圧する連邦軍人より上等な生き方じゃなくて」
シンとルマークは相手を射殺さんばかりに視線をぶつけ合った。
続く、忙しければ忙しいほど妄想が浮かんでくる、駄目社会人だ。
会話ばかり浮かんでくるんだけど、地の文が出てこないんだよねえ、困った。
それと忘れちゃいけないGX1/144氏、乙に御座います。
105:通常の名無しさんの3倍
06/12/25 21:13:08
ちょwルマ-ク姐さん(♂)男前過ぎww
106:通常の名無しさんの3倍
06/12/25 21:32:19
保守乙!
GX氏といい、保守氏といい、ルマークをグッとこさせる使い方。
107:通常の名無しさんの3倍
06/12/27 21:46:49
保守
108:通常の名無しさんの3倍
06/12/30 05:33:45
保守
109:通常の名無しさんの3倍
06/12/30 16:59:06
互いに睨み合う中、シンはこの男が正真正銘、命を賭けている事を認めざるをえなかった。
同時にこの男に危害を加えたとして、自分を含めた仲間たちに何らかの報復がある事も、
やはり認める他無かった。
「いいだろう、どうせ飲む以外に道はなさそうだ。
だがそのパイロットは見つけ次第こちらで処理する、文句は無いだろう」
「当然よ、客は売らないけど、客のツケまで払う気は無いわ。
これで商談成立ね」
渋々銃をしまうと、端末からローレライの海における作戦情報をディスクにコピーする。
ルマークは余裕たっぷりに立ち上がると、玉のお肌に瑕がついたなどと愚痴りながら、
額の傷をハンカチで拭っていた。
口も利きたくないシンは、無言でコピー済みのディスクを放り投げた。
ディスクを受け取ったルマークはにんまり笑うと、
「確かに受け取ったわ、だけど対価が足りないわ」
「鉛弾も欲しいか?」
「冗談。ねえ前の市長が横領していた隠し財産があると思うんだけど……」
全く忌々しい、そっちは口に出したことも無いというのに。
指摘の通りシンは金塊を秘匿していた。別に財産にしようとした訳ではなく、
軍の予算が足りなかった時に、内緒で運用しようと大事に取って置いたのだ。
「金塊が確かにあった。だが半分はカモフラージュで上に提出したぞ。
それと金塊は貴様の仕事を確認した上で、かつG-bitが無かった時だけくれてやる」
「若いのにしっかりしてるわねえ、流石、私の見込んだ市長さんね」
「用件が済んだらすぐに失せろ、いつまでも俺が切れないと思わないことだ」
「はいはい、おっかないわねえ」
肩をすくめて逃げ出すルマーク。
帰りのドアの前でこちらを振り向かぬまま、ルマークはシンに問いかけた。
「ねえ隊長さん、今の時代に、たかが兵士一人の損失でそんなに怒っていたら、疲れなくて?」
先ほどまでと声音が違うことに気づいたシンは、真摯に応えた。
「若いからな、仲間の死が堪えるだけだ」
「ウソ。戦後を生きてきた若者はもっとドライよ、死人を気にしてたら自分も死んでしまうって
知っているから」
「アンタがバルチャーだから、そんな人間としか出会わなかっただけだ。
俺はそんなに強くない」
ルマークは視線だけシンに向けると、微笑んだ。
「そう、そういうことにしておくわ。それじゃあ貴方のために頑張ってくるわ。
またね、隊長さん」
ドアを閉めて、去ろうとする寸前、手が止まる。
首だけ覘かせると、
「そうそう忘れてたわ、私のことが恋しくなったらシーサイドストリートの、Lilacって
お店に連絡して頂戴」
そう言い残し、今度こそ帰っていった。
「二度と来るな……」
シンは目頭を押さえ机に突っ伏すと、盗聴器の排除を誰に任せようか考え始めた。
続く保守。
110:通常の名無しさんの3倍
06/12/30 19:15:09
>>109
乙!
よろしければ参考資料としてどうぞ(出典・まとめサイト)
URLリンク(gxportal.yh.land.to)
111:通常の名無しさんの3倍
06/12/30 21:53:52
大晦日前に保守乙!
112:GX1/144 ◆W0Vy9L0Fcg
06/12/30 22:42:02 ExRQmk6+
第四十七話『”未来”を変える気、有るか?』(前編)
「基地司令室より入電! フリーデンの一部のクルーが脱走したそうです!!」
ゾンダーエプタの司令室から戦艦ゼノンのブリッジに一報が伝えられる。アイムザットは静かに目を開いた。
「フン…、奴らも行動を開始したか…。さて、我々も動くとするか。」
艦長席に座ったまま出港の準備を急がせる。ジャミル、ティファ、シンのとらわれた船の周りで、兵士達はあわただしく動き回っている。予定出港時間まで後30分、彼には時の過ぎるのがゆっくりと感じられた。
日は西の空に完全に落ち、空は満天の星空で埋め尽くされている中、ゾンダーエプタの中では銃弾と爆音が飛び交っていた。フリーデンのブリッジクルーとガロードたちMSパイロット、
そしてキッドとカガリはジャミルのシークレットコマンド『明日の夕日は見られない』に従い行動を起こしたのである。
しかし、その行動は既に新連邦に知られており、牢屋からの脱走は成功したものの、ガンダムを奪い返して戦局を一気に引き寄せる作戦は失敗に終わることとなった。
今はガンダムの格納してあった部屋でコンテナを挟んで激しい銃撃戦を繰り広げていた。
「クソ!! 何でこっちの作戦がバレたんだ!?」
「そんなこと、俺が知るわけ無いでしょ!!」
サブマシンガンのトリガーを引いたままウイッツとロアビィは叫ぶ。脱走の準備にしても新連邦の兵士に知られないように細心の注意を払っていた。にもかかわらず、
敵がなぜ彼らの行動の先を行っているのか不思議でならない。
「お前ら、そんな事考えるのは後にしろ!!」
アサルトライフルのマガジンを交換しながらカガリも叫ぶ。銃声と爆音のおかげで普段話している音量ではまったく会話が成り立たないほどに格納庫は騒然となっていた。
「このままじゃ埒があかねぇ!! カガリ! 俺を援護してくれ!!」
「ハァッ!? なんだとッ!!?」
「ティファたちを助けに行く!!」
言い終わらないうちにガロードは出入り口に向かって銃弾の雨の中走り出す。カガリも後を追おうとするが、コンテナの切れ間を狙って新連邦の兵士達が激しく弾丸を浴びせる。
「クソ!! ガロードの奴、どっかのバカに似てきたんじゃないか!?」
言いながら武器庫から奪ってきた手榴弾のピンを口にくわえて引き抜き、新連邦の兵士達が隠れているコンテナに投げ込む。緩やかな放物線を描いた手榴弾は、兵士達が盾としているコンテナの前に落ち爆砕する。
爆風で敵の攻撃が止んだ瞬間をチャンスと見たロアビィは、すぐさま背中に背負っていたロケットランチャーを片手で持ち上げ、ガロードの行く手をふさぐシャッターに向かってトリガーを引いた。
弾は見事に命中し、シャッターにぽっかりと大きな穴を開ける。
「せっかく花道作ってやったんだ! 失敗したらただじゃ置かないからな!!」
「サンキュー!!」
煙の立ち込めるシャッターの穴にガロードが飛び込むのを見送ると、ウイッツとシンゴはほぼ同時に手榴弾を取り出す。
「さぁて、とっととここを片付けねぇとな!」
「ああ、敵はまだいっぱいいるもんな!」
カガリの肩では届かなかった兵士達のいるコンテナの向こう側、彼女よりも筋力のあるウイッツとシンゴはそれぞれピンを引き抜き兵士達に向かって思い切り投げはなった。
格納庫を脱出したガロードは近くにいた兵士を脅して情報を聞きだした後、シンたちのつかまっている船のある港へ全力で走った。
ゾンダーエプタは周りを海で囲まれた完全な孤島、もし船でどこかへ逃げられてしまったならば追跡する術がない。
「ティファ…! 無事でいてくれよ……!!」
港に直行するエレベーターの中でガロードは乱れた息を整えながらティファたちの無事を祈る。彼女をさらう仕事を請け負っていなければ彼は今ここにいなかっただろう。
彼女がいたから、GXを見つけ、フリーデンに乗り、何度も死線を潜り抜けてきた。
フリーデン以外には利害関係の一致で組んだチームは有っても腰をすえて自分の場所を作ることなどしなかった。彼女との出会いが彼の何もかもを変えたのである。
「何が何でも、ティファを助ける!!」
エレベーターの到着音と一拍の間をおいてドアが開く。眼前で動き始めていた船に向かって、ガロードは走った。
113:GX1/144 ◆nru729E2n2
06/12/30 22:44:32
第四十七話『”未来”を変える気、有るか?』(中編)
ティファァァァァァッ!!!
ガロードの叫び声がティファの心に届いた。ブリッジで出港の様子を見せてやると連れてこられたジャミルとティファは四方を銃で武装した兵士に
囲まれ、ただ夢に見た彼女の運命に身を任せていた。だがガロードの声を、港を走るガロードの姿をみつけると彼女はいてもたってもいられなくなり窓際に走りよった。
「ガロード! ガロード!! ガロードォォッ!!!」
ジャミルですら、ここまで声を大にして叫ぶティファを見るのは初めてであった。ガラス越しにティファは叫び続ける。それまでおとなしかったティファの豹変振りに
あっけに取られていた新連邦の兵士達であったが、アイムザットに一喝されティファの腕をねじりあげて静かにさせる。
「ほぉう、逃げ出したクルーがここまでたどり着いたか。しかし、今少し遅かったな。」
ゼノンの後部に待機していたヴァサーゴとアシュタロンが港を走る生身のガロードに向かって容赦なくビームで攻撃を加えていく。ビームの着弾によって起きた爆炎の中にガロードの姿は消えた。
「くっそ~! どうすりゃいいんだよ!!」
ゆっくりと島を離れていく船を見ながらガロードは瓦礫の隙間から這い出した。
生身の人間はビームの直撃に耐えることはできない。ガロードがこうして生き残る事ができたのは、ビームの着弾点から距離があったことと、
着弾により飛散する瓦礫を足場にし、必死に逃げ回ってわずかな瓦礫の隙間に身を隠したからであった。
ティファに対する執念を糧に、ガロードは生き残ったのである。
「ガロード!!」
その様子を見ていたカトックは、ガロードを大声で呼んだ。右手に銃を構えたまま新連邦の制服を着た彼はまっすぐに彼を見据える。
こちらを向いたガロードが銃を向けられた状況の中で諦めていない様子を見て、感心した様子で唇の端を吊り上げた。
「…お前さん、”未来”を変える気、有るか?」
「未来を、変える?」
予想もしないカトックの言葉にガロードは戸惑いの声を上げた。カトックの話は続く。
「あのお嬢ちゃんが言ってたぜ、”お前にはもう会えない”って。ガンダムは船が牽引しているあのコンテナ船の中だ。アイムザットの野郎、
ニュータイプ研究所とのコンタクトの手土産にするらしい。」
「”ニュータイプ研究所”だと?」
「やるのか! やらないのか!! どっちなんだ!!?」
カトックは有無を言わさずこの場での即決を求める。ガロードの中での答えは最初から決まっている。だが、フリーデンがつかまる原因となった男のことを簡単には信用できない。
「…なぜ俺達の味方をする?」
「へっ! …未来が見えてたまるか、ニュータイプとやらの鼻をあかしてやりたい、それだけさ。」
カトックの口調はまじめなものではなかったが、彼の目は真剣そのものだった。
114:GX1/144 ◆nru729E2n2
06/12/30 22:46:25
第四十七話『”未来”を変える気、有るか?』(後編)
シンはチャンスが来るのをじっと待っていた。
『無事仲間を救い出す事ができたなら君の勝ち。』
『救い出す事ができなければ貴様の負けだ。』
シャギアとオルバはそういって縛られている手に折りたたみ式のナイフを握らせる。彼らはシンを逃がすための手助けをしたのである。
『何で、こんなことをする?』
『何で、って言われてもね、兄さん。』
『物語の山場は派手な方が面白い、それだけのことだ。』
それだけ言うと、彼らは部屋を出て行った。シャギアとオルバと名乗った二人の男、一体どういう理由で彼らがシンを逃がそうとしているのかは謎である。
確かなことは一つだけ。
「この部屋から逃げ出す手段ができたってことか…。」
既に腕を拘束していたロープは切り終わり、体を固定しているベルトも9割切り終えている。ナイフの刃はずっと最後の一片に突きつけっぱなしなっており、
力を込めればいつでも飛び出す準備は整っていた。見張りの男達に気づかれないよう慎重に事を進めたおかげで、ずいぶんと時間がかかってしまった。
「天使か悪魔か知らないが、逃げるチャンスがめぐってきたんだ。」
腕の固定された姿勢を保ったまま、カタパルトで発進シグナルの点灯を待つ時のように心を落ち着ける。
「コーディネイターを知らないこいつらが俺のことをどう扱うかなんて、簡単に想像がつく。」
“コーディネイター”というものを知らない彼らにとって、シンは実験動物にしか過ぎない。実験動物の末路がどうなるか、言うまでも無いことである。
「もしそれが俺の運命って言うなら…、絶対に認めない! そんな運命、おれが壊してやる!」
メラメラと胸の奥で燃える炎を隠しながら、静かにチャンスが来るのを待つ。だが元来、シンは待つことはあまり得意ではない。準備ができてから既に20分、集中力も切れ始め、そわそわと落ち着かなくなってくる。
「今動いて片一方を倒しても、もう一方が必ず引き金を引いてくる。…何か、…何か無いか!?」
そうシンが思った矢先、船の警報が鳴り響く。
「何が起こった!?」
「侵入者だ!!」
シンは、動いた。
年内最後の更新ッぽいです。来年もよろしくノシ
115:今スレ>>110
06/12/30 22:57:14
保守氏もGX1/144氏も年末に激乙!
これは設定画のエニル機を(勝手に)清書して塗り絵調に仕立てたものですが
よろしければ存分に塗って遊んで今後の創作のインスピに用立てて下しい。
勝手な思い込みですが用立てれば製作者も喜ぶものと思えよ!?
URLリンク(ranobe.com)
116:通常の名無しさんの3倍
06/12/30 23:33:40
お二方更新乙、そして添削
>>112
>日は西の空に完全に落ち、空は満天の星空で埋め尽くされている中
このような場合、空は場であり、日と星がそこにある物となるのでこのままでは統一感を欠くかも。難癖レベル。
>今はガンダムの格納してあった部屋でコンテナを挟んで激しい銃撃戦を繰り広げていた。
直前までの時間経過を示すなら、現在進行形の方がよりよいかも。難癖レベル。
>兵士達が盾としているコンテナの前に落ち爆砕する。
「爆砕」は対象物破壊の意味が含まれるのでコンテナが破壊できなかったならこのままでは不適当。
「地面を」などを加えた方が良いかも。
>>113
>フリーデンがつかまる原因となった男の
つかまる、には自主的またはあきらめのニュアンスは無いので状況と厳密に照らし合わせるなら
投降する、捕らえられる、拿捕される、などの方がよりよいかも。難癖レベル。
>>114
>既に腕を拘束していたロープは切り終わり、体を固定しているベルトも9割切り終えている。
状態が違うので動詞を一方は変えておいた方が分かりやすいかも。難癖レベル。
>“コーディネイター”というものを知らない | 直前の繰り返しはくどくなる。不要かも。難癖レベル。
今回も見た限り誤字脱字は無し、難癖は所詮難癖に過ぎないのでほぼパーフェクトですね。
今年を締めくくるには申し分ない出来なんじゃないでしょうか。
117:通常の名無しさんの3倍
06/12/31 01:05:17
乙!まさか二つも投下があるとは思わなかったw
なんつーか、二人とも引きが上手いよな
凄くいい所で次回に繋げてくれる
118:通常の名無しさんの3倍
06/12/31 01:51:29
\(≧▽≦)丿キターー
乙であります。2人とも
よいお年を
119:通常の名無しさんの3倍
06/12/31 07:23:09
GX氏&保守作品の人、乙です!
この忙しい時期の投下・・・内容もバッチリだし、展開も山場で・・・もう・・・GJ!!Σd
そして、今年最後のコーヒー保守!
つ URLリンク(jp.nescafe.com)
それでは、このスレの職人&住人の皆さん・・・良いお年を(・ω・)ノシ
120:通常の名無しさんの3倍
07/01/02 00:36:56
超遅レスだが両氏ともGJ&あけおめ
GX氏はガロードらしいカッコよさがでていて最高!!!
保守氏は原作より大人びたシンが見せた少年らしさが見えて嬉しかった
・・・話を変えて、ジャミルのGXは頭だけでなく左腕も無いよな
・・・・・・そういえばダブルエックスの予備パーツもあったんだっけ・・・・・・・・・
まさか!とまあ妄想はその程度にして続きを楽しみにしている
121:通常の名無しさんの3倍
07/01/03 15:29:18
もし、新しい投稿、あるいは今後の展開で
MSVやアストレイのキャラおよびメカ達が
出るとしたらどういうタイプが出るかな
122:121
07/01/03 19:44:28
もちろん俺はどんな者が出て来ても良いし賛成するけどどう思う?
123:通常の名無しさんの3倍
07/01/04 15:58:36
実力と展開しだい、面白い物なら構わないと思う
同じコズミック・イラの世界なんだから良いだろう
このスレが盛り上るならどんどん出て着てくれたほうが良いし
124:通常の名無しさんの3倍
07/01/04 17:38:56
まあ実力足りなくとも、熱意と、CE世界とAW世界を尊重する気持ちがあったらOKだと思う。
下手だから出てくるなって強硬派は居ないだろう。外伝キャラを使う時点で書く難しさは跳ね上が
るような気がするが……。>>123と同じく、スレが盛り上がるならどんどん出てくれると嬉しいな。
125:通常の名無しさんの3倍
07/01/05 01:00:46
X的なMSVの幻のエニルガンダムなんか出てもいいかも。
いちXファンとしては何か本編でそれ以上に他人事とは思えないの冷遇をされた
シンと同様に、ここで活躍させてもらえればもう言うことはないくらいだ。
126:保守作品11
07/01/05 08:38:17
「ここが極東基地か」
シンを含む中隊の面々は、極東へと引っ越していた。
彼らはセインズアイランドでの任を無事全うし、次なる任務に従事すべく、太平洋から
西の極東へと、装備とともに移動してきたのである。
セインズアイランドのこれからの行政は、後任の統合政府の役人がやってくれる。
もはや反乱分子の危険も無いと判断され、軍のモビルスーツが駐留する島ではなくなった。
シーバルチャーもしっかりとした民間業者へと姿を変え、あの島は太平洋上の重要拠点
として以前よりも賑わい、島全体の収益も増えると見込まれている。
無論、政府として税金もたっぷり頂くだろうが、それは時代の流れというものだろう。
シンはGXをルマークに預けた。場所はシンも知らない。ルマークに聞かなければ分から
ないようにしておけば、自白剤を打たれるような事態になったとしても、安全性は高まる。
盗聴器は市長室だけは残しておいて、他は全ては撤去した。わざわざ残したのは、後任の
市長が不正を犯した時、訴えるのに楽だろうと判断したからだ。ルマークへのサービスも
含んでいる。
金塊は結局、Lilacを通して赤いコントローラーごとルマークに流した。
あの男なら、払った謝礼に相当する見返りもあるだろうと判断した為だ。
ルマークは信用できるが、絶対に信頼したくない相手だとシンは思っている。
断じて気を許しているわけじゃない。苦手だ。会いたくないんだ。一方的に気に入られて
いるだけなんだ。本当だ、信じてくれマユ! とはシンの心の叫びである。彼なりに危機
感を抱いているらしい。
万が一GXが必要となった時は、シンがルマークにその旨を伝え、ルマークがGXを軍に
売りつける算段になっている。といってもbitモビルスーツが再利用できて、かつ修復が
終わっていればという条件付だが。
かくしてシンは、セインズアイランドの懸案事項を処理し、この極東基地へ異動して来た
のだった。
中隊隊員はこれまでの任を解かれ、新たな部隊へ編入されることが決まっている。
シンとて革命軍との戦いに向け、地球再統一から、大規模な戦争への対応するために必要
な措置だとは、重々分かっていた。
それでも、1年に満たない部隊であったとしても、シンは解散という言葉が寂しかった。
「職業軍人の宿命だとしても、切ないよな……」
自分がまだまだガキだということを、思い知らされてしまう。
彼らの幾人かが、或いは自分を含めた全員が、今度の第8次宇宙戦争で散っていくだろう。
その事実がとても悲しかった。
127:保守作品11
07/01/05 08:39:21
時間は待ってはくれず、軍は感傷に浸る間を与えてくれはしない。
シンは中隊長として最後の訓示を行っていた。
「これでアスカ中隊は解散となる。総員、次の部隊でも、
これまで以上に死力を尽くして欲しい。
新連邦の強引なまでの地球再統一と、今回の大規模な再編成。
この先に何が待っているのか、諸君らも分かっているはずだ。
地球を再び冬の星にしてはならない。それが我々の最優先事項だ。
地球の未来は我々の双肩にかかっている。総員、奮起せよ!
以上、解散とする。
なお短い間ではあったが、諸君らの上官になれて、私は幸運だったと思っている」
そこで言葉を切ったシンは姿勢を崩し、年相応の口調に戻った。
「こんな年下の上官について来てくれた事を、シン・アスカは感謝してます。
皆さん。本当に、本当にありがとうございました」
シンは深く深く頭を下げた。それは生まれ故郷の感謝を表す礼だった。
中隊全員から万雷の拍手が沸き起こる。
──俺は認められたんだな。
シンは涙ぐみながら頭を下げ続けた。
中隊の別れが済み、シンも自分の未来を示す文書を受領した。
それには次の任務が書かれていた。
「キョウドウタイ?」
シンが理解不能だと言うように、棒読みで独り言を発する。
重ねて言うが教導隊。
即ち、全兵士の規範となるべく選ばれた兵士たちであり、エリートだ。
彼らは演習の際、仮想敵となることもある。軍内部でも最強クラスという位置づけだ。
現在の情勢を鑑みれば、宇宙戦闘における訓練での先生が仕事だろう。
シンは思い出す。
──ああそういえば、ニュータイプ研究所で、宇宙シミュレーションはトップクラス
だって太鼓判押されたような気がする。
ZAFTの訓練生として、ジンを操っていた経験が大きかったようだ。
128:保守作品11
07/01/05 08:40:18
あの大戦の泥沼の戦局化で、地球に帰還できたモビルスーツや戦艦は少なかった。
それは宇宙戦闘を経験した上で、生き残った兵士は少なかったということだ。
地球上で無重力を再現できるシミュレーター設備は、そうありはしない。
つまり新連邦は、数少ないベテラン以外は、誰も彼も宇宙は素人か、経験不足の状態なのだ。
だからこそ、宇宙戦闘に非常な適正を持っていたというだけで、シンまでもが教導隊などに
選ばれたのだろう。
自惚れでなければ、紛争地帯での成績を考慮してくれたと感謝すべきだろうか。
シンは一兵卒になりたかった。事務仕事や神経を使うのはうんざりだった。
再統一における軍事統制も一時停止となり、本来の兵士に、一パイロットに戻れると期待し
ていたのだ。
自分より遥かに年上の人間たちへ、上官として命令するのはきつかった。
こまごまとした隊長職よりも、猪突猛進のパイロットが自分の本懐だと、日々鬱憤を募らせ
ていたのに──
その書面はシンに現実を突きつけるように、職務を全うしろとプレッシャーをかけてくる。
抗命は戦の華だとほざく少佐もいるらしいが、実際に『この仕事をやりたくありませんから、
他の仕事をください』などと言えば、きっと素晴らしい結末が待っているだろう。
シンは宇宙戦闘のベテラン達に混じり、年上の兵士たちに対して戦闘評価を行う、教導隊の
自分を想像しようとした。
想像しようとして、突如、胃がキリリと痛んで、痛くて。涙が出るぐらい痛くなって、その
場でシンは蹲った。
結論から言うと、シンはストレスからくる胃潰瘍だと軍医に宣告されてしまった。
ここ数ヶ月の、寝食を削った軍務が少しずつ胃にダメージを与えていたらしい。
例え肉体をコーディネイトしても、心の弱さは変えられないことを、彼は己が身で証明して
しまったらしい。
続く、保守。
教導隊じゃなくて親衛隊の方が良かったかな、教導隊もドートレスネオに乗っているイメージ。
平成19年度で最初に吃驚したのは、サテリコンが壊滅する回『どうして俺を知っている!?』
で、クラウダがビームサーベルを振りかざしていたことです。
そのせいで、ランスロー専用クラウダVSガンダムXの初期戦闘構想が崩れてしまいました。
サーベル装備の黄クラウダにタイマン勝てる奴いるのか? やはりクラウダは最強かもしれぬ。
あと、この保守作品でやっちゃったように、ジャミルGX直したり、■■■■■にランスローが
乗って出てくる予定だったりするような、全てのアイディアはばんばん流用しちゃっていいです。
もしも他の作者様で、似たような設定出てきたら小躍りしながら、にやりと喜びます。
129:通常の名無しさんの3倍
07/01/05 19:42:05
保守氏、GJ
そして、ことよろ!
130:通常の名無しさんの3倍
07/01/05 20:41:18
新年初保守乙&GJ
クラウダもドトネオもいい機体だ、個人的にはドトネオのほうが好きだけど
131:123
07/01/05 20:44:16
>>124
すまん、確かにあなたの言うとうりだ
よほどのことで無ければどんな職人さんが出ても歓迎したいと思っている
保守氏GJ!
・・・もしかしてルの付いた機体にランスローを乗せるのか!?(てゆうかドッチともルがついてるか(笑))
それともまさかのどんでん返しか、まあそのくらいにしておいて、ともかく頑張ってください
132:通常の名無しさんの3倍
07/01/05 23:45:25
新年の保守乙!
133:通常の名無しさんの3倍
07/01/05 23:52:48
職人の皆さん、住人の皆さん、遅まきながらあけましておめでとうございます。
保守氏、いつも楽しみにしてます。今回もGJでした!
134:通常の名無しさんの3倍
07/01/07 22:45:14
保守氏乙!
>125
ガンダムベルフェゴールも忘れるな
ヴァサーゴもダメ、アシュタロンもダメ、じゃあこれは?
OK!といわれたんだからサンライズ公認の機体なんじゃないかな?
135:通常の名無しさんの3倍
07/01/07 22:52:42
多分出すのは無理だが十数年後にはホーネット、ディクセンという機体が出るぞ。
136:通常の名無しさんの3倍
07/01/07 23:12:18
>>135
注:ディクセンホーネットは戦争末期に開発済み
137:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/01/07 23:19:21
第四十八話『こんな所じゃ止まれない』(前編)
シンは見張りの兵士達が動揺した瞬間を見逃さなかった。右手に握り締めた逆手持ちのナイフで右側の男に切りかかる。侵入者の報告に顔を見合わせていた二人の兵士は
シンが動いたことにまったく気づいていない。容赦ない彼の攻撃に兵士は首の頚動脈2本と気管を切断され、血を撒き散らしながら糸の切れた人形のように床に崩れた。
「ウ、ウワアアァアアァァアッ!!!?」
目の前で仲間が鮮血を垂れ流しながら死んだことにもう1人の兵士は驚き、恐怖する。
さらにシンは恐怖で固まったもう1人の兵士に襲い掛かった。肋骨と肋骨のわずかな隙間に正確に貫き、肺と心臓を切り裂く。
「ハァ、ハァ、ハァ…。」
時間にしてわずか五秒、それまで動いていたものはただの肉片に変わり、シンの右腕は自分以外の人間の血によって真っ赤に染まった。
「まさか、ナイフを実戦で使うことになるとはな…。」
プラントのアカデミー時代に軍人の基礎としていろいろなことを教えられたが、MSパイロットになったおかげで使うことの無いだろうと思っていた
ナイフ術がこんな所で役に立つとは思っても見なかった。
「…ッと、こんな所で呆けてる暇は無いんだった!」
自分がこの手で殺した死体に目を奪われている場合ではない。周りの状況は刻一刻と変化している。立ち止まっている時間は無い。
「サブマシンガンが二丁と予備のマガジンが4個…。」
死体が持っていたサブマシンガンを取り上げ、一丁はマガジンを取り外す。弾が入っていることを確認すると、マガジンを上着やズボンのすべてのポケットにそれぞれ一つずつ入れた。
「動く分には支障は無いな…。」
マガジンが動く時に邪魔にならないか確認すると再度死体に目を向ける。
戦場ではこんな光景は当たり前のことである。だが、いままでMSでの戦闘を主に活動してきたシンにとって、間近に広がる血の海と赤く染まった右腕はあまりにも現実離れして見えた。
「俺が…やったんだよ…な……。」
彼が殺した二人の人間、こうしなければシンの命がどうなっていたかわからない。だが、彼はそう簡単に割り切ることができないでいた。
「い、今までだって連合の兵士を何人も殺したんだ。今更こんなことで…!」
彼らを殺した時の感触が右腕によみがえる。そのおぞましさに思わず左手で右腕を握り締めた。
「と、とにかく逃げなきゃ…。せっかく拘束が解けて見張りも…!」
血の気の引いた青い顔でドアを開けて外へ飛び出す。ドアの外に見張りはおらず、誰もいない殺風景な廊下が左右に広がっていた。
「侵入者がいるって言ってたな…。」
妙に重たくなった体を強引に動かしながらシンは廊下を走る。額にはじっとりと汗がにじみ、呼吸は浅くテンポも速い。こみ上げてくる吐き気を必死に我慢しながら彼は足を進めた。
「この部屋だな…。」
戦艦ゼノンのブリッジでガロードが爆炎の中に消える様子を見送った後、ジャミルとティファは二人の兵士と共に彼らに宛がわれた部屋へと案内された。
案内された部屋は艦の中では上級なものだが、外に見張りがいるので監禁されている状況と多差無い。
「皆、がんばってる…。」
見張りの兵士に聞こえない大きさでティファは呟く。真横にいたジャミルだけがその声を聞く事ができた。
「なに?」
「皆、未来を変えるために必死にがんばってる…。」
「…そうか…。」
兵士が鍵を開けて扉が開く。だが、ジャミルもティファをその場から動こうとはしなかった。
「我々も未来に、逆らうか。」
ティファはジャミルの言葉にうなずく。その瞬間、ジャミルの右足が鞭のようにうなりをあげて横にいた兵士を蹴り倒した。
「き、きさまぁぁ!!」
もう1人の兵士が銃を構えてトリガーを引く。ジャミルは銃口から連続して吐き出される弾丸を掻い潜り、レスリングのお手本になるような見事なタックルで兵士を悶絶させた。
「ティファ! 行くぞ!!」
「ハイ!」
ジャミルは気絶した兵士から銃を奪うと、ティファと共に廊下を走り出す。
ティファは今この船で何が起こっているかわかっていた。進入してきたガロードとカトック、拘束を破って脱走したシン。限りなく四面楚歌に近い状態ではあるが、まだ絶望するに早い。
「ガロードとあの人がこの船にいます! 目的は…!」
138:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/01/07 23:22:12
第四十八話『こんな所じゃ止まれない』(中編)
「急げ!! やつらにこれ以上の進行を許すな!!」
通路を大勢の兵士達がサブマシンガンを片手に走る。立った二名の侵入者を撃退するのに時間をかける事わけにはいかないのだ。
ゾンダーエプタから出港した戦艦に潜入したガロードとカトックは、MS格納庫を目指して進んでいた。目的は一つ。
「おいおっさん! ホントにこの道であってんのか!!?」
「兵士がぞろぞろと出てくるってことは、そういうことなんだろ!」
通路の向こう側から飛んでくる弾丸を壁に隠れてやり過ごしながら二人は叫ぶ。激しい攻撃を抜けた向こう側には新連邦政府の新たな”象徴”として作られた『GX-9901 ガンダムダブルエックス』がある。
彼らの目的はこのダブルエックスを奪取することであった。潜入してMSデッキの位置を把握できたものの、後から後から出てくる敵になかなか前に進む事ができない。
「アイムザットの野郎、よほどダブルエックスが大事なようだな!」
「サテライトシステムが使えるってだけで、利用価値は十分じゃないの!?」
「あの男は自分に投影してるんだよ。サテライトシステムが使えるあのダブルエックスを!」
「投影?」
「そうよ。野郎が強いわけでもないのに、銃を持ったりMSに乗ったりしただけで『俺は強い!!』って思う勘違い野朗と同じなのさ!!」
銃撃が止んだ瞬間を見計らってカトックはマシンガンを敵に向かって乱射する。何人そこにいるかはわからないが、数の上では不利なことは明らかである。
「クソ! このままじゃ押し切られちまうな…!!」
「何人いんだよ一体!? 後から後からわいてきやがって!」
マシンガンは倒した敵から奪ったものである。敵が多いほど多くの弾を確保する事ができるとはいえ、それにも限度があった。
なかなか止まない銃弾の雨に、二人が進路を変えようとしたその時、敵のいる壁の向こうで騒ぎが起きた。あちらから飛んできていた弾丸の雨が止み、代わりに向こうの通路で激しい応酬が繰り広げられる。
「な、なんだ?」
ガロードは首を出して敵のいた壁の様子を伺うが、通路の向こうで銃の発砲音と人の悲鳴、跳弾の甲高い音が響くだけで何が起こったのかさっぱりわからない。
「誰か裏切った、かな?」
「いや、アイムザットの部下に反旗を翻すような肝っ玉の据わった野郎はいねぇよ。」
しばらくすると銃声も止み、あちら側からは何の音も聞こえなくなった。
「行くぞ。気を引き締めていけ!」
「言われなくてもわかってるって!!」
残弾の少なくなったマガジンを交換してカトックとガロードは駆け出す。彼らが銃を構えた状態でそこで見たのは十数体の死体とその死体から流れ出る血溜まりに立ち尽くすシンの姿だった。
「シ、シン!?」
「あ…、ガロード…。」
シンの顔は異常なほど青白く、まるで生気が感じられない。立っているのもやっとの状態なのではないかと疑うほどシンは憔悴していた。
「お前どうしてここに?」
「捕まってた…、ようやく脱出できたんだ…。」
「お前さん、白兵戦やるのは初めてか?」
死体を挟んでカトックはシンを見据えた。
素人目に見てもシンの状態が異常なことはわかる。カトックにはそうなった原因が一体なんなのか、すぐにわかった。
139:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/01/07 23:25:49
第四十八話『こんな所じゃ止まれない』(後編)
「MSに乗って敵を倒したことはあっても、生身で人殺しをしたことは無かったってわけか。」
「…ああ、そうだよ。」
力なくシンは答える。ナイフで二人、部屋を脱出してからすでに二十人以上。敵とはいえ、自分と同じ人間を殺した。MSに乗っていて今まで
見えなかった戦争のむごたらしい部分が見えて、シンは嫌悪感と恐怖を覚えていた。
「MSにだって人は乗ってる。けど今までパイロットがどうなったかなんて考えたことも無かった…。」
「…ちょっとは俺たち歩兵の気持ちがわかったようだな。で? お前さんはまだ『誰もが幸福に生きられる世界』なんて夢、持ち続けるつもりか?」
「『誰もが幸福に生きられる世界』…。」
カトックの皮肉がシンの中で反芻する。MSに乗っていて見えなかった世界、このむせ返るほどの血の匂いが彼のまわりでは立ち込めている。
自身の家族が殺され、敵を倒すことだけに目を向けていたが、自分の手がこんなに血まみれだったとは想像していなかった。
「こんな血まみれの俺が言っても、説得力ないな…。『誰もが幸福に生きられる世界』なんて所詮夢物語……。」
バシィィッ!!
カトックの左手がシンの右頬を引っ叩く。叩かれたシンは壁にぶつかり、簡単にひざを折った。力なく座りこむシンの襟をつかんで強引に顔を自分の目の前に持っていく。
「バカ野郎、お前は自分が言った理想がどれだけ大変か今ようやく理解したんじゃねぇか。この現状を変えるために何をしたらいいか、どう動けばいいか、何を使えばいいか! その頭と体は飾りか!!?」
「…血まみれの俺に、そんな資格は………。」
「資格も三角もあるか! 汚ねぇこと知らねぇやつがドンだけ奇麗事ほざこうがそれはただの妄想だ!! 綺麗なことも汚ねぇことも知ってる奴じゃなきゃ、そんな馬鹿げた理想を実現したりしねぇんだ!!」
フリーデンで捕まって尋問を受けていた時は飄々としていたカトックが、本気で親が子供を叱るように激しい口調で言葉を吐き出す。
「俺は、お前がそんな馬鹿げた理想を持ってると知った時は腹の底から笑った。なんにも知らねぇガキだったお前が一つ賢くなったってのに、ここでやめちまったらお前はただのくだらねぇガキに逆戻りだ!!」
「……何が言いたい?」
「俺にはお前みたいな理想を持つことはできん。お前は俺の十分の一も汚さを知らん。その馬鹿げた理想を実現したかったから清濁併せ持ってみろ!!」
「……俺が言い返さないからって、ごちゃごちゃ口出ししないで下さいよ。」
そういってシンはカトックの腕を振り払う。さっきまで青白くなっていた顔に血の気が戻り、体中から熱が感じられた。
「あんたはおれよりも多くのことを知っている。今はあんたに勝てないけど、あんたは俺が言い負かす。いつか、必ず!」
カトックに背を向けたシンは開いた左手をきつく握り締める。その様子をカトックはうれしそうに唇の端を上げて笑った。
「俺はこんな所じゃ止まれない。たとえ血にまみれても!」
「…ッたく、立ち直りが早いんだから。」
頭をぽりぽりとかきつつガロードがシンに近寄る。ガロードの目から見ても彼の様子は先ほどとは比べ物にならないくらいエネルギーにあふれていた。
「行こうぜ、俺たちは今格納庫に向かってんだ!」
「格納庫に?」
「アイムザットのおニューの玩具をいただこうって寸法さ。」
ガロードとカトック、そしてシンを加えた三人は格納庫を目指し再び動き始めた。
140:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/01/07 23:36:45
新年あけましておめでとうございますm(_ _)m
連載初めてだい~ぶ立ちましたがまだまだ終りが見えませんねぇ…
遅筆ではございますが、今後ともよろしくノシ
141:通常の名無しさんの3倍
07/01/07 23:47:05
GJです。
マイペースで確実に進めていってくださいな。途中で放り出すような事になるよりは
絶対マシですから。
142:通常の名無しさんの3倍
07/01/08 00:08:43
新年の更新乙、そして添削
>>137
>さらにシンは恐怖で固まったもう1人の兵士に襲い掛かった
前文で誰かははっきりしているのでここで「もう1人」と繰り返すとかえって混乱するかも。
>肋骨と肋骨のわずかな隙間に正確に貫き | 隙間を ?
>それまで動いていたものはただの肉片に変わり
文意からすると前者は人間であることを強調した方が望ましい、難癖レベル。
>>138
>立った二名の侵入者を撃退するのに時間をかける事わけにはいかないのだ。
たった二名の 時間をかけるわけには
>勘違い野朗と同じ | 野郎 (まぁ間違っているんではないけれども)
>>139
>そんな馬鹿げた理想を実現したりしねぇんだ!!
未だならざるものを、なっているという形で表現するのは少しマズいかも、
「実現できやしねぇんだ」などで十分かなぁ…難癖レベル。
ここ見てる人は速度より内容重視だと思うので(こう書くとこれはこれでプレッシャーになるかw)のびのび書いてくださいな。
143:通常の名無しさんの3倍
07/01/08 00:51:53
GX氏GJ!
15年目の亡霊、GX-9901-DX
「ダブルエックス起動!!!」の台詞は本編らしくXの主人公ガロード・ランか?
それとも奇跡のどんでん返し、DESTINYの主人公シン・アスカか?
と妄想を膨らまして次回を楽しみにしています
144:通常の名無しさんの3倍
07/01/08 15:36:48
「ダブルエックス起動」をガロードとシンの2人で言うのを妄想した
145:保守作品12
07/01/09 08:48:42
精密検査を受けたシンは、齢60過ぎになるだろう内科の軍医に、衝撃的な内容を告げ
られていた。
「コーヒーを飲むなって、そんな無茶苦茶な!」
「バカモン、胃潰瘍の人間がそんな物を飲んでどうする。
完治するまではカフェインを含めて、胃に刺激を与える物は厳禁だ。
これは軍医としての命令だ。分かったかね中尉」
「あ、ああ……どうしても、どうしても駄目なんですか?
軍人なんですよ、戦場に征く人間が、たかが胃潰瘍を気にしてストレスを溜めるなんて
生存率を下げるだけです。お願いです。他の食事は我慢してもいいですから、コーヒー
だけは許してください」
シンは絶滅したウサギのような、哀れな瞳で懇願した。しかし、
「駄目だ、そのストレスでぶっ倒れた軍人は誰だ!
健康管理も満足に出来ない軍人なんぞ、軍人の資格は無いわ!
後1日はベッドで療養せい、軍務に戻ってもは食事のメニューを気をつけろ。
完治までは絶対にブラックコーヒーのがぶ飲みなんぞ許さんからな、復唱!」
「シン・アスカ中尉は胃潰瘍の完治まで、胃に刺激のある食事、酒、及び、コーヒーを
──コーヒーを摂取いたしません」
「よろしい、では薬を飲むのを忘れないようにな。
君の体は華奢に見えるが、人一倍頑丈で治りも早い。
無理をしなければ身体は答えてくれる、しっかりと養生するんだぞ」
「はぁ、ありがとうございました」
シンはうな垂れた。
146:保守作品12
07/01/09 08:51:05
シンがコーヒーを嗜む様になったのはプラントに移民してからだ。
オーブにいた頃は緑茶、コーヒー、清涼飲料水等、色々なものを飲んでいたが、移住後は
農業資源から作られる嗜好品にあまり手を出さなくなった。
理由は単純明快、高いからだ。
プラントで農業コロニーを運営するようになったのは最近のことだし、主食に関わる分野
が最優先で生産された。故に嗜好品に関してはユーラシア連合を主として、ほぼ100%
輸入のままだったのだ。
そんな状況だったのだが、コーヒーは数少ない自給作物として生産を行っていた。そのお
かげで茶などよりも安く飲めた訳だ。
もうひとつの理由は、同期でZAFTに入った金髪の友人がコーヒー党だったためだ。
彼は外見に似合わずかなりの努力家であり、シンも後ろ盾のない移民生活の中、負けてな
るものかと彼を追いかけた。
一緒に行動しているうちにシンもコーヒー党に変貌してしまったのだ。
こちらの世界に来て、太陽が見えたのが10年ほど前からだと知り。コーヒーはもう飲め
ないだろうとあきらめた。
飲めても15年以上経過した、軍のレーションパックのインスタントぐらいしかないだろ
うなあと、遠い目をしたものだった。
だが意外や意外。この世界に生きる人々の、コーヒーに対する執念は激しかったようで、
真っ先に生産が再開され、どんな経路を辿っているのか激しく気になるものの、しっかり
とコーヒー豆を入手することができるのだ。
「それより先に作るものあるだろうが、アンタ等はー!」
と考えないでもないが、シンもしっかり恩恵に与っているので文句は言わない。
異世界に来た挙句、そこはコロニー落しで人類は1%ぐらいしか残っていないという過酷
な状況下で足掻く中、コーヒーは心安らぐオアシスだったのだ。
コーヒーブレイクがなかったら、あの小うるさいマイルズあたりは、足の一本ぐらい撃ち
抜いていたことは想像に難くない。
シンはかつて味わったことの無い絶望に包まれていた。
続く、保守
GX1/144氏、今回も乙でございます。
まあ歩兵でならしたカトックからみれば、殴りたくなるかもなあ。
147:通常の名無しさんの3倍
07/01/09 09:46:31
GX氏も保守氏も激しく乙です
>コーヒーブレイクがなかったら
そ、そこまでw
148:通常の名無しさんの3倍
07/01/09 14:11:08
保守氏乙!
マジレスだが、コーヒーが胃に悪いというのは迷信ではなかっただろうか?
むしろ胃に良いはずだが・・・それはそれでネタとして構わないが
とにかくGJ!
149:通常の名無しさんの3倍
07/01/09 16:48:33
保守の人乙
英国人の血管には紅茶が流れてると言われるらしいが、
プラント人の血管にはコーヒーが流れてるんだな。
これなら無印種での虎のコーヒー自慢もプラント人としてはごく普通のことだったという事になるな……
150:通常の名無しさんの3倍
07/01/09 19:13:06
虎さんについては豆をパーセントでブレンドするな、って突っ込みが多いな。
コーヒー党とは認めんって感じの突っ込み。
151:通常の名無しさんの3倍
07/01/09 19:16:42
保守乙!
凸といいコーディは逆に体調不良ネタにされやすいなw
152:通常の名無しさんの3倍
07/01/09 19:26:32
コーヒーが胃に悪いのは迷信ではないと思う。
俺は飲むと腹痛くなってしまう。好きだけどさ。
153:通常の名無しさんの3倍
07/01/09 20:20:02
二日間ブラックコーヒーだけで過ごした人が
胃が破裂(破れた)したって話もあるしあながち迷信じゃないだろうな
チョビ髭の総統閣下はコーヒーは胃に悪いから野菜ジュースを飲むのが好ましいって言ってるしw
154:通常の名無しさんの3倍
07/01/09 20:36:42
アメリカンな薄いコーヒー飲むとだんだん胃が変になるけど
濃いめのちびちび楽しむ分には逆に胃が落ち着く実体験
155:通常の名無しさんの3倍
07/01/09 20:50:34
二人で「ダブルエックス起動」か・・・確かに良いかもしれない
ガロードらしい個性をちゃんと出してくれればシンがダブルエックスに乗っても良いとも思う
156:通常の名無しさんの3倍
07/01/09 21:16:05
コーヒーは胃に良いってどっかの番組でみた気がする。
157:通常の名無しさんの3倍
07/01/09 21:22:50
>>155
ダブル主人公で「ダブルエックス起動!!」は王道になるな。
どう持って行くのかがミソだけど。
158:通常の名無しさんの3倍
07/01/09 21:32:29
コーヒーの一部の成分は体にいいけど
一部の成分は体に悪い。
そういう事だろ。
159:通常の名無しさんの3倍
07/01/10 12:11:29
コーヒー酔いするんだが、いい対処法はないか
160:通常の名無しさんの3倍
07/01/10 13:33:41
飲まない
161:通常の名無しさんの3倍
07/01/10 18:22:17
>>148
空きっ腹にコーヒーは胃によくないらしい
飲むなら食事中や食後がいい
熱すぎるコーヒーの飲みすぎは胃がんや食道癌の原因になると言ってたアホ学者がいたが
熱すぎる物を飲みすぎたら、別にコーヒーじゃなくてもお茶だろうがホットミルクだろうがお湯だろうが
ガンの原因になるよw
162:通常の名無しさんの3倍
07/01/10 20:13:01
缶コーヒーの飲み過ぎで最近糖尿気味
ちとヤバげ(足にしびれが・・・)
しゃあないので緑茶(玄米茶)に切り替えたサ
163:通常の名無しさんの3倍
07/01/10 23:24:30
せめて無糖にすれば
164:通常の名無しさんの3倍
07/01/10 23:29:03
糖尿病は暴飲暴食で一度に大量のインシュリンの放出を強いられた
膵臓が疲弊しておこるのであって。
砂糖の取りすぎで起こるんじゃないぞ。
165:通常の名無しさんの3倍
07/01/11 00:12:33
>>164
80へぇ
166:保守作品13 ◆XGuB22wfJM
07/01/12 22:35:17
ぼけっとシンは外を眺めて一日を過ごしていた。
こんなにゆったりするのはいつ以来だろうか。家族が死んだあの日からシンは休んだこ
となどなかったかもしれない。……コーヒー飲みたい。
それを苦痛に思うことなどなかった、振り返るほうが余程辛かった。
外では隊列を組んでランニングに勤しむ兵士たちが見える。彼らも自分と同じパイロッ
トだろうか、それとも歩兵として戦地に赴くのだろうか。あるいは基礎訓練の一環で新
兵がしごかれているのだろうか、遠目ではよく見えなかった。……コーヒーは体に良い。
「……アレは大丈夫かな」
名前を口に出すのは憚られた。云うまでもなくガンダムXのことだ。
何故自分はアレを壊さなかったのだろうか、この世界の地球で育たなかったから本当の
恐ろしさを理解できなかったからか、革命軍から地球を守るためだろうか、兵器に罪が
ないからか、どれも正解の筈だ。だが本心ではどうだったのだろう。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
本当は、真実はただGXに乗りたかっただけではないのか──
「俺は、俺はそんな馬鹿じゃない」
首を振って心の奥底から沸いて出た答えを否定する。
違う、違うはずだ。そんな子供じみたことがしたい訳じゃない。兵器は玩具じゃない。
だがあのDXのサテライトキャノンに対する恐怖は、裏を返せば自身が持ちえる究極の
意思の具現者たりえるのではないだろうか。
何もかもを押し通す力。何者にも屈せぬ力。あらゆる軍事力を個人が覆しうるジョー
カー。そんなものに憧れているのではないのか。自分はその程度の人間なのではないか。
「そんなの、あのフリーダムと変わらないじゃないか」
そうだ、絶対的な戦闘力を誇った最高のモビルスーツとパイロット。俺の家族を焼き尽
くしたガンダム。ユニウスセブンから始まった戦争で最強と呼ばれた存在。あの縦横無
尽に戦場を駆け巡り、自由自在に勝利をもたらす存在に自分もなりたいのだろうか。
167:保守作品13 ◆XGuB22wfJM
07/01/12 22:37:15
世間では彼らを英雄扱いするものも多かった。
だがZAFTに入隊したシンは知っている。彼らはエターナル、フリーダム、ジャステ
ィスといった、国防の要であった禁断の最終兵器をこともなげに強奪し、同じく連合か
ら脱走したアークエンジェル等の軍艦や軍人と共にZAFT、連合双方へ攻撃を仕掛け
たのだ。おそらくは彼ら自身の理想と信念で。
もしも彼らがプラント中枢を掌握し、新しい体制を作っていたのならば、それは単純な
クーデターなり革命なりと呼ばれるものだったのかもしれない。
だが彼らは逃げた。奪った兵器を返すこともなく姿をくらました。彼らは自らを正義に
押し上げることなく消えてしまった。それでは残るのは混乱する社会と、テロリズムを
正当化してしまう歪んだ正義感と、犯罪者の汚名だけだろうに。
百歩譲って、彼らを停戦に導いた英雄だと仮定しても、彼らは戦争を起こさない世界を
作る努力を放棄した。
気に食わない戦争を止める努力は成し遂げても、戦争と戦争の間、即ち平和というかけ
がえのない時間を長引かせる努力は無かったらしい。
彼らは世界が気に食わなくなったら、また最強のモビルスーツを駆って戦闘を止めるの
だろうか。それとも今度は傍観者に徹するのだろうか。
再び彼らが表舞台に立つ時、世界は彼らを容認するのだろうか、犯罪者として糾弾する
のだろうか、それとも彼らを否定する自分こそが悪だと断定され排除されるのだろうか。
とりとめのないことばかりが頭を巡る。コーヒーが欲しい、こんな煮詰まった頭にこそ
コーヒーの香りが何よりの薬だというのに、あの老いぼれ医者め。くそ。
ぐるぐると良からぬことばかり考えながら、演習の為に飛び出していくバリエントを眺
めるシン。彼の心の平穏はやはりコーヒー無しには在り得ないのだろうか。
そんな彼の元へ凶兆が舞い込むのは、世界が黄昏に染まった時だった。
即興で作成、続く。
トリップの使い方を覚えたので使ってみる。うまくできてるかな、
168:通常の名無しさんの3倍
07/01/12 22:44:35
GJ!
シンってばすばらしいまでにコーヒー中毒www
169:通常の名無しさんの3倍
07/01/13 01:30:25
保守乙!
コーヒー狂シンに乾杯
170:通常の名無しさんの3倍
07/01/13 13:26:58
すごいな…このコーヒー中毒者
ところで保守さんのシンはどの時点からとんできたんだ?
今回のがくる前は自分は種死終了後(FP無視)かなと思ったんだが
なんか違うような気がしてきた
171:通常の名無しさんの3倍
07/01/13 19:40:26
>>170
俺も気になった
個人的にメサイアからの出撃前か、アーモリーワンの強奪事件前だと思うが
あまり気にしてもしょうがないだろう
そのうち明かされる・・・と、思う
172:171
07/01/13 21:33:34
・・・ってメサイアはありえねーよ
何考えてんだ、俺orz
173:通常の名無しさんの3倍
07/01/13 21:44:05
インパ受領前だろ
174:通常の名無しさんの3倍
07/01/13 22:12:45
デスティニーアストレイで記者達集めての正式発表前にテストパイロットやってたんだが
やる前?それとも正式発表の後の強奪からの出撃前?
インパルスの件は議長が決めた事だってコートニーが言ってたし
テストパイロット就任前かな?
175:通常の名無しさんの3倍
07/01/13 22:12:54
>>173
受領前ってデストレイ初期頃かよ
176:通常の名無しさんの3倍
07/01/13 22:15:10
でもシンはSEED発動してるんだよな……まぁ、前から発動できたのかもしれないが。
177:通常の名無しさんの3倍
07/01/13 22:53:36
>>176
それはニュータイプ研究所とかの訓練という意味だよな?
ザムザザー戦前から発動させるのは無理だよな?
SE2もあるし
178:保守ってる人 ◆XGuB22wfJM
07/01/13 23:48:29
とりあえず保守!
なんか揉めてる、ごめん。シンがこっちに来たのはアカデミー卒業直前です。
SEED発動はニュータイプ研究所のカロン女史の挑発に切れてです。
こっちに来て右も左も分からずカトックに拾われ、あっちゃこっちゃ行って、
旧連邦モビルスーツを色々乗り回して活躍。
研究所に推薦されて、珍しいカテゴリーFなので中尉扱いの注意扱いで
紛争地域で実践テスト兼ねて任官して現在に至る。という裏設定を今年に
なって考えました。
作品中で明示しなければいけないんだけど、中々難しくて……すんません。
……作品終了後にCE世界で緑服として頑張るシンを今思い浮かんだ……
179:通常の名無しさんの3倍
07/01/14 00:12:35 SGqoHJWV
>178
議長の言うことに二つ返事で尻尾振る犬じゃないからガンダムもらえなさそ・・・・緑服シン
180:170
07/01/14 01:18:17
ごめん。おいらの発言が原因で…
でも、つい気になっちゃって…
そうか、AWに来て大分たってるからCE居続けるより、たくましいんですね
181:通常の名無しさんの3倍
07/01/14 03:45:21
シンに緑服は似合わなそうだ。
元々赤福前提でデザインされてるっぽいし。
182:通常の名無しさんの3倍
07/01/14 03:47:25
>中尉扱いの注意扱いで
不覚にもここで噴いたw
183:通常の名無しさんの3倍
07/01/14 10:09:10
>>179アレックスだって貰えたんだから問題ないだろ、多分
>>181ディアッカが黒服、キラが白服着てるんだし関係ない
そもそも軍服が似合うなんて普通はほめ言葉にならんよ
184:通常の名無しさんの3倍
07/01/14 10:50:24
それもそうだ
とにかく今後の展開に期待するだけ・・・だな、うん
185:保守作品14 ◆XGuB22wfJM
07/01/14 12:31:06
「シン・アスカ中尉ですね、少々伺いたいことがあってお邪魔しました。
療養中にすみませんが、一緒に来ていただけますか?」
陽が沈みかけたころにシンの元を訪れたのは、眼鏡を掛けた一見して物腰穏やかな大尉
だった。
そして彼に付き従う少尉が二人、ただ妙にこちらを警戒しているような視線を向けてく
る。手の動きが怪しい、……まさか銃を取る気じゃないだろうな。シンはとてつもなく
嫌な予感と、胃がキリキリ痛むのを感じた。が、
「はっ! わかりました」
反射的に即答するシン、階級社会は絶対なのだ。
内心いぶかしんではいるのだが、正面きって問い返す必要もない。命令とあらば付いて
いくだけだ。
しかしこの気配は容疑者を連行するような雰囲気ではなかろうか。
俺、何か悪いことしたかな。……してるな。
やばいGXがばれたのか、くそ、ルマークの奴俺を売ったか、あるいはかつての部下が
口を滑らせたのか、大丈夫かな皆。
ここで顔色を悪くしては余計に疑われる。平常心だシン。落ち着けシン。絶対にアスカ
中隊だった人に迷惑を掛けないようにしないと。ルマークはどうでもいいけど。
移動中は大尉の後ろを着いていく形だったが両脇を少尉が固めてくる。中途半端に警戒
されているようだ。
移動しながらシンは思考を巡らす。確証があるならもっと気合を入れた武装で囲むか、
ベッドで寝てるときに問答無用で捕縛すると思うんだが……着いたら解るか。
……マユ、最悪の場合、お兄ちゃんは反逆罪で銃殺刑になるかもしれないよ、そしたら
暖かく迎えてくれるよな。
ほどなく着いたのは小さな会議室。いや取調室と呼ぶにふさわしい小部屋だった。
軍事裁判という訳でも無いらしい、本当に聴きたいことがあるだけなのだろうか。
「掛けて下さい。中尉」
「失礼します」
大尉と正面に向き合う形でシンは腰を降ろした。
「さて、こんな犯罪者のような扱いをして申し訳ないとは思っています。
お気づきと思いますが、我々は情報部の者です。
今回中尉にお聞きしたいことは、これです」
鞄から取り出されたファイルを机の上にバサリと広げる大尉。そこには見知った顔写真
が見えた。
「アベル少尉! あ、いえ中尉でしたね」
こちらの反応を見ながら大尉はにこりと笑った。胡散臭いことこの上ないような柔らか
い笑みだ。
「そうです。アベル・バウアー中尉について貴方にお聞きしたいことがあって、お呼び立
てしたのですよ。
色々と質問をする前に、貴方のアベル・バウアー中尉の印象をお聞きしたい。
彼はどんな人間でしたか、中尉?」
186:保守作品14 ◆XGuB22wfJM
07/01/14 12:35:03
「どんな人間かですか。そうですね軍人としては極めて優秀であり、命令に不服従であっ
たことは一度もありませんでした。
パイロットとしても一流であり、副隊長として随分助けられました。人並み以上の功名心
や出世欲はあったとは思いますが、人並み外れる程ではなく、他人を貶めるような陰険
な姿勢ではなく、単純に戦功を立てて昇進を目指すような模範的な向上心ある軍人であ
った、と感じました」
「成る程、良くわかりました。では本題に入りましょう。
……彼は3日前、エスタルドという地域で、とあるバルチャーと交戦しました。
ニュータイプ研究所からの指示で、特殊な実験機を用いて戦闘を行ったようです。
結果は敗北でした。彼の実験機は頭部と腕を失い、撤退しました。そこまではいい。
問題はその後です。
彼は共に作戦に参加していた上官に危害を加え、逃亡。
交戦したバルチャーに回収されたました。その時の写真がこれです」
そこには確かに頭部と右腕を失ったモビルスーツが、白い陸上戦艦に回収される所が写
っていた。
その時点でシンは気づいた、その戦艦を知っていることに。
──フリーデン。
かつてのニュータイプ兵士にして、旧連邦最高のエース、ジャミル・ニートが乗るとお
ぼしき戦艦。3機のガンダムタイプを有する、バルチャーの中でも新連邦と渡りあえる
最強クラスのバルチャーだ。いや、今はあのDXを加えて4機だったか。
「さて、私が聴きたいのはアベル中尉が何故、そのような暴挙を行ったのかです。
よって私の質問に正直に答えて頂きたい。かつての部下を思う気持ちはわかりますが、
嘘偽りの無いようにお願いしますよ」
眼鏡の奥で狡猾そうな瞳が光る。
「何らかの理由があったと思います。その危害を加えられたという上官はなんと──」
こちらから情報を入手しようと口を開いた瞬間、大尉の雰囲気が豹変した。
「勘違いするな中尉。質問は私がするんだ。君はそれに答えるだけでいい。
君の意見など必要としていない」
このサド野郎、正体現したなクソッタレ。
シンにとって拷問と呼ぶに相応しい、長い長い時間が始まった。
短く保守、
……あのニュータイプ候補者試験の順番が入れ替わりました。シャギア・フロストのカー
ドの目が大きかったということで。
週末だからGX1/144氏くるかなあとwktk
187:通常の名無しさんの3倍
07/01/14 13:56:29
保守氏乙!
これからの展開が気になって今ハジケまくってる
続きを楽しみにしている
188:保守作品15 ◆XGuB22wfJM
07/01/14 17:13:07
「──ですので、出発前の様子は中尉になる喜びとニュータイプ候補としての気概に満
ちていました。翌日シャトルを見送って、アベル・バウアー中尉のアスカ中隊の活動は
総てです」
「分かりました。
先ほどの内容を思い出せる限り詳しく、どんな些細なことでも構わないので最初からも
う一度話してください」
にっこりと笑いかけるサド野郎。これで何回同じこと言わせてるんだ、この眼鏡。
怒るなよシン、怒ったら負けだ。尻尾を掴まれるな。って別にアベルのことについては
全く隠すことがないので、自然に怒りがこみ上げてくる。いい加減にしろ!
……落ち着け、これが奴の手だ。怒る様子も観察対象なんだ。落ち着けよ、落ち着け。
「はい、彼はアスカ中隊発足当初から部隊に居た人間で~」
質疑応答は続く、シンは怒りの矛先を変えるため、口で話してることとは別に今回の事
件について考え始めた。
アベル少尉が裏切ること自体が考えられない。あのザ・軍人と言えそうなムサ苦しい顔
からは古参とかベテランとか早死にといった、良き先人のオーラは漂っても、裏切ると
か賄賂とかは縁遠いのだ。出世のために焦ったり、功を競った挙句墜落死とかは凄くあ
りそうだが、断じて自分を認めてくれる存在に対して牙を向くタイプとは思えない。
第一あの人、軍人辞めて生きる場所あるのか、バルチャーになるって言っても軍服以外
果てしなく似合わないぞ。
勝手気ままなバルチャーか、フリーのモビルスーツ乗りになって悪行の限りを尽くす
アベル・バウアー……
ってかありえない、名誉とか地位とかに固執するタイプだからなあ。若い頃からあんな
のだったのかな、というか若い頃ってあったのかあの中年。
意識が朦朧としているので、普段だったら頭の中でも思わないような失礼極まりない感
想が浮かぶシン。
シミュレーションしてみる。まともに命令どおり戦って、返り討ちに遭い頭と腕を失な
う。戦闘続行不可能だと判断して撤退。ここまでは普通だ、全く違和感がない。
そして上官へ攻撃……自分がアベルに攻撃される状況を考えてみる。
……俺が上層部の命令を無視した。ありえるかな、でもそれなら拘束したりするのが適
切だしな。
……単機突撃しろと命令した。ありえないな、アベルの腕ならそんな命令でも切り抜け
てしまうかもしれないし、性情からいっても上官に反逆はしないだろう。
……後ろから撃った。ありえるか、ってそんな上官いる訳ない。
他にもちらほらと考えは浮かぶが、ピンと来るものはない。
大体見せられたのはフリーデンに運び込まれる機体を写した写真だけ。後はアベルのプ
ロフィールしか見せてくれない。
その上官がどんな人物で、どんな行動をしていたのかも分からないのでは叛意の理由な
ど推測のしようもない。堂々巡りだ。
フリーデンに回収されたのも分からない、直前まで殺し合いをしていた相手に助けを求
めるのも、助けられたのもおかしい。
バルチャーがお宝欲しさに回収するのは納得がいく。
189:保守作品15 ◆XGuB22wfJM
07/01/14 17:15:46
返り討ちにして機体をかっぱらう。実にバルチャーらしい。しかも実験機だったらしい
し、とても高く売れるだろう。
───実験機!?
ニュータイプ研究所の実験機といえば、ニュータイプ技術という言葉がつき物だ。
となれば十中八九フラッシュシステム対応の機体だった筈。ニュータイプの機体……
稼動していたというbitモビルスーツ。ニュータイプ候補のアベル。かつてのニュータ
イプ兵士ジャミル・ニート。ニュータイプの保護を目的としているジャミル・ニート。
再びシミュレーションしてみる。
戦闘中にアベルと、ニュータイプの力が戻ったジャミル・ニートのフラッシュシステム
が感応する。その結果アベルに何らかの価値観の変化が起こった……悪くない推理かも
しれない。
そしてアベルはフリーデンの味方になろうとして上官に攻撃を加えた。現在はニュータ
イプ同士、フリーデンで仲良くやっている。
……後2歩ぐらい足りなくて、3歩ぐらい横にずれている気がする。第一裏切るなら戦
闘中に裏切るだろうし、やはりしっくりこない。
アベルがニュータイプもないだろう、あの年齢で人類の革新とかいわれてもどうかと思
う……偏見かな。
推理を続けるシンの耳に、
「これは、大佐殿」
詰問していた大尉からそんな言葉が聞こえ、意識を現実に戻す。
そこには大佐の階級章を胸に着けた、二十歳にも満たなそうな青年がいた。
嘘だろ、と口から出なかったのは僥倖だった。
そんな馬鹿なと言いたい。そんなのオーブで読んだコミックでもそうないぞ、偉いとこ
の息子さんが身内人事だったりするのか、いやいやいやいやいやいや、そんなオーブじ
ゃないんだから在りえない。
「ご苦労、君たちは下がっていい」
その目つきの悪い青年は、大尉と少尉達を部屋から退出させると自己紹介を始めた。
「はじめましてシン・アスカ、私の名はオルバ・フロスト。階級は大佐だ」
驚き覚めやらぬシンをほったらかしにして、なおも大佐は続ける。
「君は私の兄にも会ったことがある、階級は同じく大佐、名はシャギア・フロスト。
セインズアイランドで援軍要請を行った大尉。彼が私の兄だ」
ああ、叶うならば、えぇぇぇ!と叫びたい。そんな馬鹿なと叫びたい。
その年で大佐ってなんだよ、大尉から大佐へ3階級特進ってなんだよ。
世の中間違ってることがいっぱいあり過ぎだ。
まさに信じられないといった面持ちのシンを眺めながら、オルバ大佐は更に言葉を続ける。
「カテゴリーFのシン・アスカ中尉、我々と共に世界を創り直さないか?」
そんな爆弾発言を続けた。
保守。
タイピングのノリがいい。オルバって公的な場所では私で良かったよね?
190:通常の名無しさんの3倍
07/01/14 18:37:00
保守氏GJ!
一日で二回の投下・・・あなたはすごすぎる
これからシンはどうなっちまうんだ!?
191:通常の名無しさんの3倍
07/01/14 21:36:33
保守乙!
この更新速度は凄いな
192:通常の名無しさんの3倍
07/01/14 23:00:51
ああ、面白かった~!
GJです保守氏
193:通常の名無しさんの3倍
07/01/15 14:55:54
>ああ、叶うならば、えぇぇぇ!と叫びたい。そんな馬鹿なと叫びたい。
その年で大佐ってなんだよ、大尉から大佐へ3階級特進ってなんだよ。
世の中間違ってることがいっぱいあり過ぎだ。
そんなことで驚いていたら、もとの世界に戻ったときタイヘンだぞv
もっそい、身内人事でニート→テロリスト→准将(中将?)なんてのあるからなv
194:通常の名無しさんの3倍
07/01/15 21:00:52
>もっそい、身内人事でニート→テロリスト→准将(中将?)なんてのあるからなv
挙句、そのままZAFTの白服とか「世の中舐めてるにもほどがある!」って事になるぞ
195:通常の名無しさんの3倍
07/01/15 21:14:48
しょうがないじゃないか。テロリストだろうが銀行強盗だろうが政権をとっちまえば国家主席にだってなれる。
スターリンとかみたく。
196:通常の名無しさんの3倍
07/01/16 20:05:01
2年前にプラントのっとっちまえばこんな事にはならなかったんだろうな・・・
197:通常の名無しさんの3倍
07/01/16 20:38:13
そんな話しは止せよ、これからの展開についてでも語ろうぜ
198:通常の名無しさんの3倍
07/01/16 21:47:16
兄弟スレの連中はGレジェンドコミックスの
存在を知らない奴らがいるらしいがここの住民は大丈夫か?
199:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/01/16 22:34:44
なんか保守さんのほうが多くなってしまっているなぁ… 私も頑張らねば…
っても… 卒研が… すいません、ペース上がらなくて…
第四十九話『落ち着く事が大事なんだよ』(前編)
「進入したフリーデンのクルーが、MS格納庫前に現れました!!」
「なるほど、連中の狙いはダブルエックスか・・・。」
通信士からの報告にアイムザットは納得した顔であごに手を当てた。ゾンダーエプタから脱出したガロードたちの目的はジャミル・ニートとティファ・アディール、
そしてシン・アスカを助け出すことであることは明白であった。だがこの船のどこに彼らが捕まっているかはわかるはずもない。
闇雲に進んでいるとおもっていたが、MSデッキに彼らが現れたとなると話は変わってくる。
「確かにダブルエックスを奪取されたら厄介なことになるな。だが、所詮はバルチャーの浅知恵だな…。」
この船にあるMSはフロスト兄弟のヴァサーゴとアシュタロン、そしてダブルエックスの三機である。この三機の中でダブルエックスは最も強く、そして最も弱い。
ジャミルの乗っていたGXを回収しデータを解析して新しく作り上げたダブルエックスは、試作段階であるために専用のライフルやシールドは存在しない。
通常の戦闘ではパイロットの技量によっては戦えなくもないが、一流のパイロットであるフロスト兄弟を倒すことができるとは言いがたい。
「サテライトキャノンのチャージが完了してしまっては手の施しようがなくなるが、逆に言えばそれ以外に使える武器がないということだからな。」
格納庫のゲート前では激しい攻防が繰り広げられていた。シン、ガロード、カトックの三人は、サブマシンガンを片手にゲート前にコンテナを積んでバリケードを設置した新連邦兵士に対して攻撃を仕掛ける。
だが、敵がバリケードに隠れてしまえばまっすぐにしか飛ばない銃弾は当たることはない。戦況はこう着していた。
「くっそ~。格納庫は目の前だってのに!」
壁に隠れて苦々しげにガロードは呟く。向こうからも銃弾はひっきりなしに飛んできている。この状況で突撃したところで体を蜂の巣にされてしまうのが目に見えていた。
「どうすんだよ! このままじゃ最悪挟み撃ちだぞ!!」
ガロードと反対側の壁に隠れていたシンもぼやく。通路にいる彼らはいつ後ろから攻撃されてもおかしくない状況に立たされていた。数でも地形でも不利な彼らにとって、長期戦の先に待つのは『死』の一文字だけである。
敵の兵士の1人が手榴弾のピンを抜いた。ガロードたちは通路の壁以外に遮蔽物がないため、爆発物が通路の突き当たりの壁まで届けば後は床に伏せるしかない。
「それ!!」
気合を入れて投げた手榴弾はワンバウンドしてガロードたちのいる通路へと飛んでくる。後は爆発した後に一気に始末するだけ、兵士はそう思った。だが、歩兵としてのキャリアが長いカトックが彼の予想を裏切る。
「へっ!! 投げるが、早いぜ!!!」
彼はなんと、飛んできた手榴弾をまるでサッカーボールを蹴るかのように蹴り返したのだ。
通常手榴弾はピンを抜いてもすぐには爆発せず、一定の時間が経過した後に爆発する。カトックは長年の経験で投げるタイミングをしっかりつかんでいた。
まさか投げ放たれた手榴弾が戻ってくるとは思っていなかった兵士達は、手榴弾の炸裂音に飲まれて消えた。
「ナイス!!」
「へ! この歳で伊達や酔狂で歩兵をやってるわけじゃねぇぜ!!」
カトックの思わぬ行動にガロードは賞賛の声を上げる。対してシンは信じられないといった表情であんぐりと口をあけた。
「…なんか、言いたそうな顔してるな?」
「めちゃくちゃだよあんた…。手榴弾を蹴り返すなんて普通じゃない。」
「バーカ、投げるタイミングを知らなかったあいつらが悪いんだよ。」
もうもうと煙を上げるバリケードの向こう側へ走りながらカトックは唇をゆがめる。シンも後に続いた。
「まったく、何でこっちはこんな規格外の奴らばっかりなんだよ!?」
200:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/01/16 22:37:02
第四十九話『落ち着く事が大事なんだよ』(中編)
吹き飛んだ格納庫の扉をくぐり中に入ると、正面に鎮座する1機のMSが彼らを迎えた。
「これが、ガンダムダブルエックス…!」
ガロードは直立状態で固定されたダブルエックスを静かに見上げた。
ダブルエックスはガロードが乗っているGXの直系の後継機に当たる。見た目は胸のマイクロウェーブ受信部以外は似たような所はなく、ぱっと見ただけではそのようには見えない。
だが、ダブルエックスは最大の武器ツインサテライトキャノンの出力向上のために幾重にも設計しなおされ、GXのそれにくらべて倍近い出力向上をする事ができた。黒く塗装された上半身に無骨になった四肢、
重量感の増した姿にガロードは圧倒された。
「これがさっき話で出たダブルエックスか…。GXに比べるとかなりごつい機体だな…。」
ガロードの横でシンもダブルエックスを見上げる。ジャミルはこの機体がサテライトシステムを起動しただけで降伏した。プラントやコロニーを一撃で屠る事ができるというが、シンにはあまり実感のわかない話であった。
カトックはというと、入ってきた入り口の緊急用のシャッターを下ろしていた。ようやく目的の格納庫までたどり着く事ができたというのに、また邪魔者が入ってきてはたまったものではない。
「これで、よしッと!」
シャッターが下りたことを確認すると、シャッターの制御装置をこわして操作不能にする。シャッターは内側からしか操作する事ができないため、後は大型の機材を使わなければ進入することは不可能である。
だが、アイムザットもそのことは承知している。既に別の手段が講じられていた。
真っ暗でほとんど何も見えない格納庫の中で、カトックは壁に設置されている通路に赤い光を見つけた。危険を察知した彼は、ガロードとシンをその大きな体を使って押し倒す。
「あぶねぇ!!」
『うおぁあッ!!』
ダァン!!!
床に伏せた3人の頭の上をライフル弾が通り過ぎる。カトックはすぐさま身を起こすと、ガロードとシンを脇に抱えて近くにあったコンテナの裏へと走る。
「おい! 俺たちは犬や猫じゃないんだぞ!!」
「苦情は後で聞く!!」
カトックが走っている間にも2回、3回と銃声が続いた。どうにかコンテナの後に隠れると、銃弾が飛んできた方向に目を向けた。
「狙撃部隊…、だな。」
「クソッ、先に入ってやがったな…。」
「正確な射撃だ。暗視スコープ付きのライフルを持った奴が3人、上から狙ってるみたいだ…。」
コンテナに背中を預けながらシンは呟く。カトックとガロードはシンの思わぬ発言に耳を疑った。
「お前、敵が見えるのか?」
「こんな真っ暗な中で見えるわけないだろ? さっきの銃声、3回とも別の場所から聞こえたからさ。少なくとも敵は三人、って言ったんだよ。」
「ほぉう、たいした耳持ってんじゃねぇか。」
シンの聴力に感心しながらカトックは上着のポケットを探る。目的の物を見つけると、シンとガロードの前に差し出した。
201:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/01/16 22:38:53
第四十九話『落ち着く事が大事なんだよ』(後編)
「ここからは長丁場になるな。ここらでひとまず、気分転換と行こうぜ。」
カトックの手に握られていたのはガムの袋であった。シンはそれをまじまじと見ながらカトックの神経を疑った。
「あんた、なんだってこんな時にそんなに落ち着いてられんだよ? ここは敵陣だってのに、そんなにのんきに構えてて良いのか?」
「敵のど真ん中だからこそ、落ち着く事が大事なんだよ。焦ったって奴さんが引いてくれるわけじゃねぇだろ? とっとと食え。塩味が効いてて、うまいぞ。」
「ハハ、塩味のガムか…。」
ガロードは彼の手から躊躇することなくガムを受け取る。ガロードのその様子を見たシンも自分だけ取らないわけには行かないと持ったのかしぶしぶガムに手を伸ばした。
「うへっ…! なんて味だよ…。」
「おいおい、吐くんじゃねぇぞ? 食べ物を粗末にするなってママにいわれなかったか?」
「大きなお世話だ!!」
カトックの言葉に顔を赤くしながらも、シンは海水の滲みたガムを奥歯で噛み締めた。
クチャクチャとガムをかみながら3人はこの状況をどう打開すべきか議論を始める。敵は上に3人、しかも暗視スコープ付きのライフルでいつでもこちらを狙撃できる状態。
対してこちらは弾数であれば負けはしないものの、敵が見えない以上こうやってコンテナの陰に隠れていることしかできない。
「とりあえずは、どうしようもないってことだな…。」
ジジジジジ……
3人がどうしたものかと頭をひねっていると、緊急用のシャッターを閉じた入り口の方から異音が響き始めた。入り口の方に目を向けるとシャッターから2本の青白い炎が飛び出している。
「やばいぞ、あいつらガス溶接機でシャッターを強引に破る気だ!!」
「この状況で奴らに入られたら、いよいよアウトだ。それに、あいつをどうにか手に入れないと…!!」
今まで余裕の表情だったカトックから余裕が消え、初めて焦りの色が見えた。シンたちには退路はなく、シャッターの向こう側にいる兵士と比較したら弾薬も少ない。
状況は彼らに不利な方向へと動き始めた。
「一か八か突っ込むか…。」
「バカ、狙い撃ちにされるのがオチだって!」
「…いやまてよ? そうでもないかも知れねぇぞ…。」
溶接機でどんどん切断されてゆくシャッターを眺めながらカトックの頭の中で一つの状況要素がまとまっていく。導き出された答えはなかなかできない発想のものであった。
「二人とも、俺に命を預けられらるか?」
真剣な表情で、カトックは二人を見つめた。
202:通常の名無しさんの3倍
07/01/16 23:01:25
更新乙、そして添削
>>199
>シン・アスカを助け出すことであることは明白であった。
ことであること はくどいかも、難癖レベル。
>サブマシンガンを片手にゲート前にコンテナを積んでバリケードを設置した新連邦兵士に対して攻撃を仕掛ける。
片手にの後は句読点で区切っておいた方が読みやすいかも、難癖レベル。
>戦況はこう着していた。 | 膠着
>>200
>見た目は胸のマイクロウェーブ受信部以外は似たような所はなく、ぱっと見ただけではそのようには見えない。
後半の文章が直前にかかる読み方も出来るので、
指示語は使わず「別の機体」など直接的な表現でもよいかも、難癖レベル。
>>201
>シャッターの向こう側にいる兵士と比較したら弾薬も少ない。
口語表現的。「比較すると」あるいは「比べると」などの方がよいかも、難癖レベル。
ペースのことは気にしないでいいですよ。
保守氏はスレのモチベーション上げるためにハイペース出してくれてるんでしょうし。
体に気をつけて卒研がんがってください。
203:保守作品16 ◆XGuB22wfJM
07/01/16 23:22:37
「は、───世界、でありますか?」
何を言ってるんだこの大佐殿は。作り直すも何も、既に壊れた後だ。
間抜け面をしてると自覚しつつも、鸚鵡返ししかできない。
「そうだ、我々カテゴリーFと呼ばれた人類が新しい時代を開く」
絶対の自信を漲らせ断言するオルバ大佐。
「そんな馬鹿な……」
「可能だ。
既に我々の同志が情報部や親衛隊に深く入り込み、時代の転機を待っている。
後は決起まで力を蓄えるだけだ。
新連邦は革命軍との戦争を想定している。
もうすぐだ。もうすぐ時代が雪崩のように動き出す。
君にもその一翼を担ってもらいたい」
熱っぽく語る大佐。
実のところシンの馬鹿なという発言は、そんな馬鹿なことが実現できる筈がないという
ニュアンスではなく、アンタたち馬鹿じゃないのかという意味だ。
誤解してくれなければ、とても危なかった。
シンは高速で思考を走らせる。
もしかして、俺はとんでもないことに巻き込まれているんじゃないだろうか?
この大佐正気か。クーデターでも起こすつもりか。大佐にまでなったのに、なんでこんな
に野心たっぷりなんだ。大体この大佐何者なんだろう。
馬鹿を諜報に回すほど上も無能では無いだろうから、単純な身内人事の線は多分無い。
それでもこの若さでこんなに出世してるんだから、それなりのコネと余程の実績を持っ
ていて、何より途轍もなくえげつない事をしているに違いない。
こんな大佐に命運を預ければどんな未来が待っているのか、コーディネイターの卓越し
ていると云われる頭脳でエミュレーションしてみる──
204:保守作品16 ◆XGuB22wfJM
07/01/16 23:24:12
「そんな反逆には手を貸せません」
「残念だよ、シン・アスカ君。
僕たちの事を吹聴されると困るからね、死んでもらうよ」
PAM! PAM! PAM!
……ダメだ。
「分かりました!」
「良かった。これで僕たちの理想にまた一歩近づいたよ」
某月、某日、ある戦場で、
「命を捨てて阻め!」
……ダメだ。
「誰にも言いませんから見逃してください」
「残念だよ、シン・アスカ君。
ではこの話は無かった事にしよう」
やはりある戦場で、
「戦場に誤射はつきものだからね」
後ろからビームの直撃を受け、コクピット蒸発する。
……ダメだ!
「貴方の同志となって新しい世界を築きます」
「嬉しいよ、シン・アスカ君。
ニュータイプでも、オールドタイプでもない我々で新時代を築くんだ」
革命軍鎮圧後、クーデター成功。
「ジークシャギア! ジークオルバ!」
……イヤだ。
八方塞がりじゃないか! どうする。どうしよう。
とりあえず突破口を見つけるために反応を引き出す。。
「大佐殿も、その、カテゴリーFなのでしょうか?」
──瞬間。
怒り、嘲り、妬み、愉悦、それらを内包した形容しがたい表情を浮かべるオルバ大佐。
「そうだ、君と同じカテゴリーFだ。
オールドタイプには無いなんらかの力を保有しながらも、ニュータイプとは認められな
かった欠陥品。
ただの人からは超人扱いでも、軍にとってみればまがい物。
出来損ないの烙印を押された新人類だ」
噴き出る負の感情にたじろぐシン。
はっきり言ってシンには理解できない感情だった。
この世界の軍隊で、ニュータイプの威光は絶対だ。
誰もがそれを知っていて、誰もがそれを欲しがっている。
それに成り損ない、妬みながら、羨みながら、憎みながら怨嗟を積み重ねていけば、
こんなカタチになるのだろうか。
その歪んだ瞳を見た時、シンの記憶を掠める瞳があった。
そうだ、あのハーフコーディネイターだった友人に似てるんだ。
205:保守作品16 ◆XGuB22wfJM
07/01/16 23:27:08
彼の方がシンを友人と思っているかと言われれば今では自信が無いが、シンは彼を尊敬
できる友人だと思っていた。
彼の父親はコーディネイターであることを隠して結婚し、子供を生み、そして悲劇を起
こしてしまった。両者が混在するオーブならではの事件だった。
騒動の詳細は知らされなかったが、彼に対する血液検査で片親がコーディネイターであ
ることが洩れた。
家庭内でどんな会話があったかは想像も付かないが、しばらくして彼の両親は別れた。
彼の顔からは笑みが消え、利己的になり周囲を見下し、嘲り、そして羨むようになった。
彼は優秀だった。誰よりも勉強して、訓練をして、誰にも負けなかった。
同世代のコーディネイターを一蹴するほど優秀であり続けた。
誰もが彼を認めざるをえなかったが、同時に彼を妬むものも多かった。
──あの半々め。あいつの両親はおかしい。突然変異じゃないの。
ナチュラルからは、コーディネイターだから凄いんだと言われ。
コーディネイターからは、ナチュラルと混じった出来損ないと陰口を叩かれる。
だが、それは特異な出自を持つ人間が、人の上に立つようになれば当然の事だった。
彼は胸を張って生きるべきだったし、大人にも負けない能力を得るために、努力を続け
る姿はシンには眩しかったくらいだ。
きっと彼は一生満足できないまま終わるのではないだろうか、人を信用できないまま生
涯を終えてしまうのではないだろうか。
オーブが戦場となって彼は生き延びられただろうか。
もしかしたら戦後の混乱を利用して、凄まじい勢いで出世してるかもしれない。
対面に座る、この大佐のような瞳で……
「長い質問で疲れているとは思うけれど、
答えを聞かせてくれるかな、シン・アスカ君?」
意識を引き戻されるシン。
まだどう答えて良いか見当もつかない。断りたいのは山々だが、間違いなく殺される。
相手は大佐、しかも情報部だ。でっちあげだろうが、拘束監禁だろうが何でもできる。
罪状なぞ後付けでなんとでもなるだろう、この時代に裁判制度自体あるかも疑問だ。
絶体絶命。やはり一度仲間になった後に告発や退役を選択するのがベストだろうか。
実行させてくれるかは甚だ疑問だが。
206:保守作品16 ◆XGuB22wfJM
07/01/16 23:29:34
「ニュータイプではない人類で未来を拓く……」
「そうだ。君だってあの研究所にいたのなら、思うところがあるんじゃないかな?」
「それは……」
カロン所長の顔を思い浮かべる。
確かに彼女は死んで良いと思う。人類社会にとって害悪なのは間違いない。
彼女の顔を思い浮かべ、頑張って怒りの表情を作り上げる。
「同じカテゴリーFである自分にも怒りはあります。
ですが、新連邦へ蜂起を行う決心は今すぐにはつきません。
一日だけ、いえ一晩だけ時間を下さい」
さて、どうでるか、おそらく長い尋問で対象者の人となりを把握し、その上で疲れきっ
た精神に勧誘する気だったのだろう。
単にアベルのことを聞いている最中に、この大佐が来ただけかもしれないが。
一切の表情を消すオルバ大佐。
シンは攻撃に備え、机をひっくり返して奇襲できる様、全身に力を溜める。
「いいだろう。事を性急に運び過ぎるのは良くないからね。
明日のゼロハチマルマル時に、君の病室に答えを聞きに行くよ」
シンの未来は、首の皮一枚だけ繋がってくれたようだ。
不本意ながらもハウメアに感謝したくなったシンであった。
続く、保守。
捻くれ友人Aの話は蛇足だったかもしれない。エリカ・シモンズさんは幸せな家庭なん
じゃないかと邪推。
フロスト兄弟ってあんなに出世してたのにねえ、複雑な心根なんだろうなあ。
オルバを出すとタイピングの調子が良くなった。……複雑な気分だ。
いえーいGX1/144氏が平日に来たよ、乙だね、やったねGJだね。
次回はダブルエックス起動? どうなるダブル主人公、楽しみだ。
……あれデスティニーはどうなるんだ? ストフリのパーツで復活とか予想しておくか
──自分、なにげにこのスレの>>16なんだけど、四十四話で改修だったのが回収に変
わってない? 二次創作である以上、設定改変はOKだとは思ってるけど。
実は放送初回では、GXを改修してDXは作られたと思い込んでた私です。他に同じこ
と考えてた人いないかな。